わかりや すい機 械 教室
流体
改訂
の基礎と応用 森 田泰司 著
東京電機大学出版局
本 書の 法 上で 権 利の る場 合
全 部 ま た は 一 部 を 無 断 で 複 写 複 製(コ ピ ー 〉 す る こ と は...
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わかりや すい機 械 教室
流体
改訂
の基礎と応用 森 田泰司 著
東京電機大学出版局
本 書の 法 上で 権 利の る場 合
全 部 ま た は 一 部 を 無 断 で 複 写 複 製(コ ピ ー 〉 す る こ と は,著 作 権 の 例 外 を 除 き,禁 じ られ て い ます.小 局 は,著 者 か ら複 写 に 係 る 管 理 に つ き委 託 を 受 け て い ま す の で,本 書 か らの 複 写 を 希 望 さ れ は,必 ず 小 局(03-5280-3422)宛 ご 連 絡 く だ さ い.
初 版「流 “水 中 の 魚
,空
体 の作 用 と そ の 応 用 機 械 」の
とぶ 鳥 ” をは じめ,地
まえが き
球 上 の 生 物 に と って “水 や 空 気 ” は,深
い 意 味 を も って 存 在 して い る。 人 間 は,水 や 空 気 の 利 用 を古 くか ら考 え,そ れ を 進 歩 させ て き た。 そ して,い
まや 宇 宙 船 は 地 球 の 大 気 圏 を脱 出 し,人 類 は じめ て
の 月 旅 行 を も可 能 にす る時 代 に な っ た。 “流 体 の 作 用 ” を理 解 し,“ そ の 応 用 機 械 (流体 機 械)” の構 造 を知 る こ とは,学 生 ・生徒 諸 君 や 現 場 の 技 術 者 に と って,単 に工 学 的 知 識 を身 につ け る こ とに 止 ま らず,新
しい 宇 宙 時 代 に お け る 人 間 生 活 の
知 恵 を高 め う る もの と して 大 切 な こ と で あ ろ う。 本 書 は,工 業 高校 や 専 門 学校 の諸 君,新 応 用 機 械"を あ た り,と
し く現 場 に お いて “流体 の 作 用 と そ の
学 習 し よ う とす る人 達 を対 象 に編 集 した もの で あ る。 本 書 の執 筆 に くに “わ か りや す く,親 しみ や す い 内 容 ” に 留 意 し,多 少 理 論 的 に は
正 確 さ を 欠 い て も “直 観 的,常
識 的,身
に つ く知 識 ” を重視 した。
本 来,“ 流 体 の作 用 ”は,実 験 的,経 験 的 に 理 解 され るべ き もの で あ る と考 え た か らで あ る。 した が っ て,浅 学 を も顧 み ず,本 書 に よ っ て新 し い試 み と して の 説 明 を少 し行 っ た が,ご 理 解 を い た だ く と同 時 に,ご
批 判 をた まわ りた い 。
流体 とは,液 体 や 気 体 の 総 称 で あ っ て,液 体 に関 す る学 問 は 古 くか ら水 力 学 が あ り,簡 単 な理 論 と実 験 的 方 法 に よ っ て 流体 の 作 用 を調 べ て きた 。 一 方,流 体 の 作 用 を純 理 論 的 に 取 り扱 っ た 流 体 力 学 の 出現 に よ っ て,水 力 学 上 の係 数 の 意 味 も 解 明 さ れ,数 量 的 に もは あ くさ れ る に お よん で,水 力 学,流 体 力 学 を総 称 して “流 体 の 力 学 ” と呼 ぶ よ う に な って きた。 本 書 に お け る “流体 の 作 用 ” は,こ
の “流
体 の 力 学 ” を意 味 す るが,工 業 高 校 や 専 門 学 校 で 学 ぶ “流体 の 作 用 ” は,従 来 か ら主 と して水 力 学 で あ っ た の で,本 書 も それ に な ら っ た。 “そ の 応 用 機 械 ”は,ポ ン プ を 中心 に 油 圧 機 器 を加 え て,一 通 りの 流 体 機 械 に つ い て 学 習 して い た だ くよ うに 配 慮 した。 し た が って,本 た方 は,さ
書 に よ っ て “流 体 の作 用 とそ の 応 用 ” を理 解 さ れ
らに 進 ん で 高 度 の 専 門 書 へ 飛 躍 され ん こ と を切 に願 う もの で あ る。
本 書 の 執 筆 に あ た り,諸 先 輩,諸
先 生 方 の 著 書 や デ ー タ を参 考 に させ て い た だ
い た こ と を謝 す る と と もに,東 京 電 機 大 学 出版 局 の方 々 ,特 に朝 武 清 実 氏 に 一 方
な らぬ御 世 話 に な り ま し た こ と を深 く感 謝 い た し ます 。 1970年
9月 森
田
泰
司
改訂 に あたって 1970年 に 発行 さ れ た 本 書 の初 版 は,い まや23刷 て現 在 に 至 っ て い る。こ の20数 れ,ま
を数 え,幅 広 い 読 者 の支 援 を得
年 の 間 に は,産 業 界 に も色 々 な変 遷 ・進 歩 が み ら
た,読 者 層 に も新 し い変 化 が み ら れ た 。 した が って 今 回,本 書 の 内容 を全
面 的 に 見 な お し,再 検 討 した 結 果,内
容 を一 新 す る必 要 を痛 感 して 今 回 の 改訂 に
ふ み き っ た次 第 で あ る。 当初,対
象 と して い た 専 門 学 校 や 工 業 高 校 の 諸 君 に 加 え て,新
か ら勉 強 しよ う と す る諸 氏,消
し く現 場 に 出 て
防 設備 や 給 排 水 ・衛 生 ・空 調 設 備 な どの 資 格 試 験
を受 験 され る諸 氏 の 副 読 本 と して も活 用 され る よ う編 集 しな お した もの で あ る。 ま た,大 学 生 の 中 で流 体 を不 得 意 と す る諸 君 の 副 読 本 と して 戴 け れ ば 幸 い で あ る。 ま た,今
回SI単 位(国 際 単 位 系)を 採 用 す る こ とに よ り,内 容 を大 幅 に改 訂 し
た が,各 種 の現 場 が 全 面 的 にSI単
位 に 移 行 さ れ る ま で は,あ
え て重 力 単 位 系(従
来 か らの 工 学 単 位)に も若 干 ふ れ な が らSI単 位 の 説 明 を行 い,前 回 と同 様 に幅 広 い読 者 層 を念 頭 に入 れ て 改 訂 作 業 を 行 っ たつ も りで あ る。 初 版 の 「流 体 の作 用 とそ の 応 用 機 械 」 は,日 本 図 書 館協 会 の 推 薦 図 書 に も選 ば れ た な ど した名 残 り惜 しい 書 名 で もあ っ た が,改 訂 に あ た り書 名 を一 新 して,「 流 体 の 基 礎 と応 用 」 と した の で,宜 敷 し くお願 い 申 し上 げ る次 第 で あ る。 本 書 の 改 訂 に あ た り,諸 先 輩,諸
先 生 方 の ご教 示,ご
支 援 を今 回 も重 ね て戴 き
有 難 く御 礼 申 し上 げ る と と も に,東 京 電 機 大 学 出 版 局 の 岩 下 行 徳 氏 と石 沢 岳 彦 氏 に一 方 な らぬ 御 世 話 に な りま した こ と を深 く感 謝 致 し ます 。 1997年
2月 森 田
泰 司
も くじ
1.従
来 の 単 位 とSI単
位 1.1重 1・2流
力 単 位 とSI単
位
1
体 力 学 に お け る 基 礎 的 な諸 量 2
1・3重
2.流
3.静
体 と は
止 し て い る流体の力
力 単位 をSI単 た め の 係 数 κ
4
練 習問題
6
く 流 体 の 性 質
1
2.1流
体 の 重 さ と密 度
2・2流
体 の 圧 縮 性
12
2・3流
体 の 粘 性
15
2・4そ
の 他 の 性 質
18
3・1流
体 の 圧 力
21
3・2圧
力 計
24
3・3パ
ス カ ル の 原 理 と油 圧
30
3・4壁
面 に 働 く流 体 の 力
33
3・5浮
力 と浮 揚 体 の安 定
36
練 習問題
4.動
位 に換 算す る
3
9
40
4・1層
流 と乱 流
42
4・2連
続 の 法 則
44
4・3ベ
ル ヌ ー イ の 定 理
47
4・4ト
リチ ェ リの 定 理
52
練 習問題
4
54
5.水
道 管 と水,
ガ ス管 とガス
5・1流
体 摩 擦
56
5・2直
管 の 損 失
57
5・3管
路 の 形 状 変 化 に よ る損 失
62
5・4実
際 の 送 水 管
71
5・5水
撃 作 用
71
5・6水
路 の 流 れ
74
練 習問題
6.流 量 を は か る に は
6・1容 77 6・2ベ
積 式(体
体 が 物体 に 当た る力
積)流
76
量 計
ン チ ュ リ 計
78
6・3オ
リ フ ィ ス
82
6・4せ
き
86
6・5ピ
トー 管
88
練 習問題
7.流
5
7・1噴
6
流 が 平 板 に 当 た る 力
91
7・2噴
流 が 曲 面 板 に 当 た る 力
93
7・3ジ
ェ ッ ト機 の 推 力
94
7・4流
線 形 と は
96
7・5境
界 層 と摩 擦 抵 抗
97
7・6抗
力 と揚 力
98
7・6キ
ャ ビ テ ー シ ョ ン
104
7・7高
速 気 体 の 特 色
105
練 習 問題
7
106
8.ポ
ン プ の し くみ
8・1ポ
ン プ と は
108
8・2遠
心 ポ ンプ
117
8・3ポ
ン プ の 比 速 度(比
較 回転 数) 127
8・4軸
流 ポ ン プ と斜 流 ポ ン プ
130
8・5そ
の 他 の ポ ン プ
133
8・6ポ
ン プ の 設 備 と選 定
139
練 習 問題
9.油 圧 装 置 の し くみ
の他 の流体 機械
148
9・1油
圧 とは
149
9・2油
圧 機 器
151
9・3油
圧 装 置 の 使 い 方
158
練 習問題
10.そ
8
9
162
車 の し くみ
163
10・2空
気 機 械
180
10・3流
体 継 手 お よ び トル ク コ ンバ ー タ
10・1水
187 練 習 問 題10
188
練 習 問 題 の 解 答
190
参 考 文 献
198
索 引
199
1
従 来 の 単 位 とSI単 位 従 来 か ら使 わ れ て い た 工 学 単 位 は 重 力 単 位 系 で あ る 。SI単 System
of
用 さ れ,世
Units)と
呼 ば れ る 国 際 単 位 は,1960年
の 第11回
位(lnternational 国 際度 量衡 総 会 で採
界 の 各 国 に 勧 告 さ れ た 単 位 系 で あ る。 し た が っ て,各
国 と も,SI単
位
系 へ の 切 換 え が 着 々 と進 め ら れ て き た 。
本 書 が 重 力 単 位(従
来 単 位)に
現 場 に お け る計 測 器 類(圧 力 計,は
も多 少 ふ れ な が ら説 明 す る理 由 は,①
使 わ れ て い る。 ②
か り,… …)が
各種 の
い まだ 重 力 単 位 の もの が 多 く
過 去 に発 行 され た 書 物 の 単 位 は従 来 単 位 の ま まで あ る とい う
現 状 等 を考 えた か らで あ る。 と くに,重 力 単 位 をSI単 位 に換 算 す る方 法 は,理 解 して お く必 要 が あ るの で,1・3節 で その 換 算 方 法 の 例 題 と問 題 を用 意 した 。
1・1重
力単 位 とSI単 位 の基 本 単位
従 来 か ら の 工 学 単 位 は 重 力 単 位 が 主 で あ っ た 。 そ の 基 本 単 位 の 主 な も の は,長 さ は メ ー トル 〔 m 〕,時 間 は 秒 〔 s〕,力 は 質 量 に 働 く重 力 で キ ロ グ ラ ム ジ ュ ウ 〔kgf〕 で あ る 。SI単
位 は,長
さ メ ー トル 〔m 〕,時 間 に 秒 〔 s〕 は 変 ら な い が,質
量 の キロ
グ ラ ム 〔kg〕 を も っ て 基 本 単 位 と し て い る 。 ま た,ニ
ュ ー ト ン の 運 動 第 2法 則(力=質 力A〔kg・m/s2〕=質
で あ っ て,こ
量B〔kg〕
の A の 値 が1kgm/s2の
量 ×加 速 度)よ × 加 速 度 α 〔m/s2〕
と き,1N(ニ
位 で 力 を 表 す こ と に な っ た。
〔参 考 〕kgfは
正式には
り,
「重 量 キ ロ グ ラ ム 」 と よ む 。
ュ ー トン)と
い う,新
し い単
す な わ ち,
1kgm/s2=1N
(1・1)
で あ る。
従 来 か らの 工 学 単 位 は 重 力 単 位 系 で,力
の単 位 はkgf(キ
ロ グ ラ ム ジ ュ ウ)で あ
るか ら,つ ぎ の よ う に な る。 1kgf=質 =9
量1kg×
重 力 加 速 度9.80665m/s2
.80665kg・m/S2
=9.80665N
(1・2)
ま た,
1N=
1 /9.80665
kgf
(1・3)
で あ る。
表1・1にSI単
位(国
際 単 位)の 表1・1SI単
主 な基 本 単 位 と主 な組 立 単 位 を示 した。 位 の 主 な基本 単位 と組 立 単位
1・2流 体 の 力学 に お け る基 礎 的 な諸量 流 体 の 力 学 関 係 で 使 わ れ て い る,重 力 単 位 とSI単 位 の 基 礎 的 な も の を表1・2 に あげ た。
流 体 の 力学 で用 い る基礎 的 な 諸 量
表1・2
重力単位
量 長さ
時間 速度 加速度 角速度
SI単 位
m
〃
S
n
m/s
u
m/s2 rad/s
備 考 面積 体積の単位 も変 らず 標準重力加速度 g=9.80665m/s2
q 〃
流 量(体積 流量)
m'/s
11
動粘度
m2/s
〃
(動粘 性 係数)
粘度(粘性係数)
kgf.s/m2
Pa・s,N・s/m2
1Pa∴s=1N・s/m2 1kgf・s/m2 =9 ,.0665N・s/m2
質量 質量 流量
kQf.s2/m
重 量 ・力
kgf
N
1N=1k9・m/s2
重量 流量
kgf/s
N/s
圧 力 ・応 力
kgf/mz
Pa
kgf/cmz.z
N/m2
ikgf=9.80665N 1Pa=1N/mz Ikgf/mz=9.80065Pa
kg
kg/s
(kgf・s/m)*1
mmHg.3
(水銀 柱) mAq
1mAq=9806.65Pa
}(水柱)
mH2U atm
1atm=100mHg =101325Pa
(標準 大 気圧) at(工 学気 圧)
密度
kgf・s2/m4
単位 体 積 当 た り の 重 量 ・比重 量
kgf/m3
1at=10000kgf/m' =1kgf/cmz
kg/m3 N/m3
1kgf/m3=9.80865N/m'
運動量
kgf・s
kg・m/s
1kgf・s=9..0665kg・m/s
エ ネ ル ギ,仕 事
kgf・m
J,N・m
1J=1N・m
力 の モ ー メ ン
kgf・m
N・m
tkgf・m=9..0605N・m
kgf・m/s
W.J/s
1W=1J/s
ト,ト
ル ク
動 力,仕 事 率
75kgf.m/s
1kgf・m/s=9.80665W
=1PS
*1重
力 単 位 で は,あ
*2.*3は
ま り使 わ れ て い な い 。
っ ぎ に 示 す 適 用 範 囲 に か ぎ り,規
記
号
換
算 率
格 値 と して用 いて もよ い。
適 用範囲
kgf/cm'
1kgf/cmz=9.80665x10`Pa
圧 力 計 の 目盛 又 は指 示 。 た だ し,保 安 上 又 は安 全上 の理 由 で,SI目 盛 へ の移 行 が特 に困 難 な場 合 に 限 る。
mmHg
1mmHg=1.33322x102Pa
血圧 計 の 目盛 又 は指 示 。
1・3重
力単 位 をS・単 位 に換算 するための係 数K
従 来 か らの 工 学 単 位 は 重 力 単 位 系 で あ る が,重 力 単 位 をSI単 位 に 換 算 す る 必 要 が 生 じた 時 は,次 の 表1・3に よ る係 数 κに よ って 換 算 す れ ば よい 。 表1・3主
な重 力 単位 か らSI単.位 に換算 す るた め の係 数 κの値 a(重 力 単 位)×K(係
旦 里
数)=b(S・
重 力単 位a
単 位)
係数 κ
長 さ,面 積,体 積
m,mzms
時 間,速 度,加 速度
s,m/s,m/sz
角 速度,流 量(体積 流量)
rad/s,m3/s
動粘 度
mZ/s(cmz/s)
K:カ
粘度
kgf・s/m2
9.80665
SI単 位b
a=b
1
ッパ とよむ Pa,s N・s/mZ
質量
kgf.s2/m
9.80665
kg
質量流量
kgf.s/m
9.80665
kg/s
重 量,力
kgf
9.80665
N
重量流量
kgf/s
9.80665
N/s
圧 力,応 力
kgf/m2 kgf/cmz
9.80665 98066.5
Pa,〃
mmHg
133.322
Pa,〃
mAq(mH20)
9806.65
Pa,〃
atm(標 準 大 気圧)
101325
Pa,n
at(工 学 気 圧)
98066.5
Pa,〃
密度
kgf。s2/m'
9.80665
kg/m3
単位 体 積 当 た りの 重 量 ∴比 重 量
kgf/m3
3.80665
N/m3
力 の モ ー メ ン ト, トル ク
kgf.m
9.80665
N。m
エ ネ ル ギ,仕 事
kgf。m
9.80665
J,N。m
動 力 ・仕 事 率
kgf・m/s
9.80665
W,J/s
PS
735.5
W,〃
な お,表1・4は
よ く使 わ れ る 主 な 接 頭 語 で あ る。
Pa,N/m2
表1・4接
圧 力 の 単 位 で,CGS(従
頭語
来 の 物 理 学 単 位)にbar*(バ
SI単 位 で 表 す と105Pa(1bar=105Pa)と
ー ル)が
な る の で,表1・4の
あ る が,1barは 接 頭 語 を使 っ て 表
す と,
と な り,
1mbar(ミ
リバ ー ル)=1hPa(ヘ
ク トパ ス カ ル)
と な る。
古 くか ら の大 気 圧 を表 す 単位 の ミ リバ ー ル と,現 在 使 わ れ て い るヘ ク トパ ス カ ル の 大 き さ を示 す 数 値 は一 致 し て い る こ とが わか る。 した が って,大 単 位 で あ っ た ミ リバ ー ル は,い
気圧 を表 す
ち早 くSI単 位 に 切 り替 え る こ とが で き た理 由 を
うか が う こ とが で き る。 例
題
重 さ1000kgfの,あ
る 流 体 をSI単
位 で 表 す と何 N(ニ ュ ー トン)に
なるか。
〔解 〕
表1・3を
参 考 に し て,kgfを
を か け れ ば よ い 。 し た が っ て,SI単
N に 換 算 す る た め に は,“kgf” 位 で 表 す と,
とな る。 *barはSI単
位 と 併 用 し て よ い こ とに な っ て い る 。
に9.80665
例 題
あ る 管 路 内 の圧 力 が,圧
で,4kgf/c㎡(重
力計
力 単 位)を 示 して い
る。SI単 位 で表 せ ば,何Pa(パ
ス カ ル)
に な るか 。
図1・1
〔解 〕
表1・3よ
り,kgf/c㎡
圧 力(SI単
をPaに
換 算 す る た め の 係 数 を 調 べ て,
位)=4kgf/cm2(重
力 単 位)×98066.5
=392266 =392×103Pa(N/㎡) =392kPa(kN/㎡) とな る。 以 下,本
書 に お け る計 算 の 答 は 有 効 数 字 3桁 を “原 則 ” と し,な
速 度 g は9.80mjs2*で
力の 加
計 算 を 行 う こ と に す る。
練 1.次
お,重
に あ げ た 単 位 は 重 力 単 位 かSI単
習
問
題
1
位 か。
(1)kgf/㎡(2)N/㎡(3)Pa・s(4)N・m(5)kgf・m 2.水
面 下20mに
3.圧
力10kgf/㎡
4.1m3の
お け る水 の 圧 力 は い く ら か,SI単 は 何 気 圧(工
水 の 重 さ が1000kgfで
学 気 圧)か
位 で 答 え よ。
。 又,何Paか
あ っ た と す る と,こ
。 の 水 をN/m3の
単位 で表
す とい く らに な るか 。 *JISB8301解
説 4
試 験 装 置(2)よ り。 ま た,わ
に 変 化 し て い る の で,9-80m/s2が
が 国 の 各 地 の g の 値 は9.790∼9.806m/s2
実 際 に 近 い ため で あ る。
5.760mmHg(標
準 1気 圧)は
何Paか
。
6.力
の モ ー メ ン ト10kgf・mはSI単
位 で表 す とい くら か。
7.単
位 体 積 当 た りの 重 量 を動 力 単 位 で 表 す と,kgf/m3で
位 に な お す と き に 必 要 な 係 数 κは い く ら か 。 ま た,SI単
あ る が,こ
れ をSI単
位 は ど の よ う な単 位 に
な る か。
〔 参 考 〕 従 来 単 位 とSI単 位 との併 用 目盛(こ 重 目盛)を 付 した計 器 に つ い て は,換 算値 を併 記 し な い で,そ れ ぞれ の 目盛 分 割 ご とに,そ れ ぞれ の 単位 に基づ く丸め た数 値 だ け を用 い るこ と と して い る(JISZ82038.計
図1・2ブ
器 目盛 の取 扱 い)。
ル ドン管 圧 力計 の 目盛板 の例(参 考 図)
2
流 体 とは 液 体(水,油,ガ
ソ リン … … …)や 気 体(空
気,ガ
ス,蒸 気 … … …)の
こ とを
流 体 とい う。 容 器 に は い っ て い る液 体 や 気 体 は静 止 して い る よ うに 見 え て も,よ
く観 察 して
み る と静 か に 動 い て い る場 合 が 多 い 。 また,容 器 か ら出 た 流 体 は 流 れ る性 質 を も って い る。 こ れ は 固体 に 比 較 して 流体 の分 子 引 力 が 非 常 に 小 さ く,分 子 運 動 が 自 由 で あ るか らで あ る。 し たが って,流 体 は 固体 に くらべ て 自由 に そ の 形 を変 え る こ とが で き る物 質 とい え る。
図2・1流
体 は 流れ る
流 体 を利 用 した 機 械 を流 体 機 械 とい い,ポ 風 機(空 気 や ガ ス をお く り出す 機 械),タ ペ ラや 発 電 機 を 回 す機 械) ,水 車(水 械),風
車(風
ン プ(水 や 油 を くみ上 げ る機 械),送
ー ビ ン(燃 焼 ガ スや 蒸 気 を使 っ て,プ
の 流 れ る力 を利 用 して 発 電 機 な ど を 回 す 機
を利 用 して 回 転 力 を得 る機 械),油
圧 機 器(ト
た り,工 作 機 械 類 を 自動 的 に動 か す と きに 使 わ れ る機 器)な の他 に,各 種 の機 械 類(化 学 機 械,産
ロ
ラ ッ クの 荷 台 を傾 け どが あ る。 また,こ
業 機 械,自 動 車 の 装 置)に
流体 が 使 わ れ て
い る の で,流 体 とは ど うい う もの か,そ の 性 質 を十分 に理 解 し なけ れ ば な らな い。 流 体 の 力 学 的性 質 を調 べ る学 問 を “流 体 の 力 学 ” とい い,こ
の な か で も特 に流
体 に 関 す る諸 問題 を実 用 的 に 取 り扱 っ た 学 問 が 水 力 学 で あ る。
2・1流
体 の 重 さ と密 度 重 い 流体,軽
い流体
流 体 に は 重 さが あ っ て,流 体 の種 類 に よ って そ の重 さは 異 な る。い ま,図2・2の よ うに,び ん の 中 に水 と油 を入 れ る と,油 の重 さは 一 般 に水 の 重 さ よ り軽 い の で, 水 の 上 に 油 が 浮 くこ とは 明 らか で あ る。 ま た,油
よ り空 気 の 重 さ は 軽 い の で,油
の 上 部 に 空 気 の部 分 が で き る。
図2・2重
い 流 体,軽
図2・3空
い 流体
気 に も重 さ が あ る
一 般 に,液 体 は気 体 よ り重 い。 ま た,気 体 に も重 さ が あ る こ とは,地 球 上 を空 気 が お お っ て い る こ とで も明 らか で あ る。 空 気 も物 質 で あ り,重 さが あ るの で, 地球 の 引 力 に よ り地 球 の ま わ りに 引 きつ け られ て い るの で あ る。 物 質 の 重 さの こ と を重 量 とい い,SI単 kgf(キ
位 で は N(ニ ュ ー トン),重
ロ グ ラ ム ジ ュ ウ)で 表 して い る。
力単位 で は
図2・4比
と く に,単 の 単 位(重
位 体 積(1m3)当
た りの 重 量 を比 重 量 と も い い,SI単
力 単 位 でkgf/m3)に
そ の 体 積V〔m3〕
重 量 と密 度
な る。 比 重 量 γ*1を 式 で 表 す と,重
位 で はN/m3 量W〔N〕,
と し て,
比 重 量 γ=
流体 の重 量 /その流体 の体積=WV
(N/m3)*2
(2・1)
とな る。
密 度*3(density)は kgf・s2/m4)で
単 位 体 積 当 た りの 質 量 で,SI単
あ る が,い
ま,質
量 をm〔kg〕,そ
位 でkg/m3(重
の 体 積 をV〔m3〕
量単 位 で と す る と,つ
ぎ の よ う に な る。 m
密 度 ρ= / V 〔kg/m3〕 ま た,力 ば,つ
〔N〕=質
(2・2)
量 〔kg〕× 重 力 加 速 度 〔m/s2〕 の 両 辺 を 体 積V〔m3〕
ぎ の 式 が 成 り立 つ 。 γ=ρg
(2・3)
*1γ
は ギ リ シ ア 文 字 で ガ ン マ と読 む 。
*2重
力 単 位 で 比 重 量 γ′を 表 せ ば,比 重 量 γ′= 1 /比 重 量 γ′〔m3/kgf〕
比 体 積 ν′= *3ρ
で割 れ
と な る。
は ギ リ シ ャ 文 字 で ロー と読 む 。
流体 の 重 量 〔kgf〕 〔kgf/m3〕 /その 流体 の体 積 〔m3〕
と な り,ま
た,
ま た,密
度 の 逆 数1/ρ
比 体 積 υ=1
を比 体 積 と い い,つ
/ρ
ぎ の よ う に な る。
〔m3/kg〕
(2・4)
SI単
位 の 密 度 と 重 力 単 位 の 比 重 量 は,そ
1kgの
物 体 の 標 準 重 量 は 重 力 単 位 で1kgfと
表2・1は,101.3kPa(標
の 数 値 は 実 用 的 に は 同 一 で あ る(質 量
準 1気 圧=1atm)に
し て い る か ら で あ る)。 お け る 水 と 空 気(乾
密 度 と 比 重 量 で あ る。 こ の 表 か ら も わ か る よ う に,4℃*に 量)が
も っ と も 大 き く,実
用 的 に は0℃
す 場 合 が 多 い(JISB8301,3.試 表2・1 101.3kPa(重
燥 空 気)の
お け る水 の 密 度(比
∼40℃ の 清 水 の 密 度 は1000kg/m3と
験 条 件,3.1試
験 揚 液 な ど よ り)。
力 単 位 の 標 準 一 気 圧1.0332kgf/c㎡,760mmHg)に
ま た,こ
*よ
り正 確 に は3.98℃
で あ る。
と,数
みな の
お け る 水 と乾 燥 空
気 の 密 度(ρ)と 比 重 量(γ=ρg)
密 度 ρ 〔kg/m3〕 の 数 値 は 重 力 単 位 の 比 重 量 〔kgf/m3〕
重
値 は 同 一 で あ る。
表 よ り 常 温 で の 水 の 密 度 は,空 101.3kPa,約4℃ 比 を,そ
気 の 密 度 の800倍
以 上 で あ る こ とが わ か る。
に お け る 水 の 密 度(最 大 密 度)PHに
の 物 質 の 比 重(specific
gravity)と
対 す る物 質 の 密 度 ρ との
い う。 表2・2は101.3kPaに
お ける
各 種 流 体 の 比 重 で あ る。
比 重s=
ρ /ρH
(p=SρH)
(2・5)
表2・2 101.3kPa(標
準 1気 圧)
機械学会編 「 機 械 工 学便 覧 」 よ り
例 題
比 重0.95の
油 の密 度 は い く らかSI単 位 で表 せ 。 ま た,こ の 比 重 量
を重 力 単 位 で 表 せ ば い くらか 。 〔 解 〕
比 重0.95の
油 の 密 度 は,1000kg/m3×0.95=950kg/m3で
そ れ を 重 力 単 位 で 比 重 量 を 表 せ ば,そ
あ る 。 ま た,
の 数 値 は 同 一 で あ る か ら,950kgf/m3と
な
る。
2・2流
体 の 圧縮 性 流体 は縮 むか?
図2・5の よ うな 実 験 を行 っ て み よ う。 自転 車 の 空 気 入 れ の ホ ー スの 先 を手 で 押 え て,ピ
ス トン を押 し下 げ る と,明 ら
か に ピス トン は下 が り,空 気 は圧 縮 され るが,注 射 器 内 の水 や 油 は圧 力 を加 え て も,ほ
とん ど体 積 の 変 化 が な く縮 み に くい こ とが わ か る。
気 体 は圧 縮 され や す い が,水 や 油 な どの 液 体 は圧 縮 され に くい。表2・3は4℃
の
図2・5
空 気(気 体)は 圧 縮 さ れ,水(液
体)は 圧 縮 さ れ に くい
水 の 体 積 を 1と し た と きの 各 種 圧 力 に お け る体 積 の 変 化 を表 し た もの で あ る。 こ の 表 か ら,0℃ の 水 は101.3kPa×500の
高 圧 に な っ て もそ の体 積 は約2.3%し
か
縮 ま な い 。 した が っ て,他 の 液 体 と同様 に,水 や 油 は 圧 縮 され な い もの と見 なす 場 合 が 多 い。 た と え ば,水 管 路,ポ 性(縮
ま な い性 質)と 表2・3
い ま,気
ン プ,水 車 な どの 中 を 流 れ る液 体 は,非 圧 縮
して 取 り扱 っ て い る。
101.3kPa(標
準 1気 圧),4℃
体 だ け を 考 え る こ と に し て,P
た 圧 力)〔Pa〕,題 と す る と,P
体 積 を υ 〔m3/kg〕,絶
の水 を 1と した ときの 体積 の変 化
を 絶 対 圧(完 全 な 真 空 を 0 と し て は か っ 対 温 度 をT〔K〕(T=セ
氏 温 度t+273)
と υ の 積 が 完 全 に T に 比 例 す る と き,
pυ=RT
(2・6)
と な る 。 こ の 状 態 式 に 従 う気 体 を 完 全 気 体(perfect こ と を ガ ス 定 数(gas
constant)と
空 気 で287〔J/(kg・K)〕
例
題
温 度15℃,絶
1kg当
式(2・6)よ
い い,比
い う。 ガ ス 定 数 R は101.3kPa,20℃
例 定数 R の の乾 き
の 値 に な る。
対 圧100kPaの
は い く ら か 。 た だ し,空
〔解 〕
gas)と
空 気 が10kgあ
気 の ガ ス 定 数 を287J/(kg・K)と
る 。こ の 空 気 の 体 積
V
す る。
り
た り0.827m3で
あ る か ら,10kgで
は,
V=0.827×10=8.27m3
ま た,流 体 の圧 縮 性 を表 す の に圧 縮 率 が あ る。い ま,体 積 V の 流 体 に ⊿Pの 圧 力 が 働 い て,体 積 が ⊿Vだ
け 変 化 した とす る と,圧 縮 率 δ*は 次 式 で表 す こ とが で
き る。
図2・6シ
リンダ 内の 混 合気 の圧 縮
⊿V/Vの
値 が 大 きい程,圧 縮 され や す い流 体 とい え る(マ イナ ス は体 積 の減 少
を意 味 す る)。 図2・6の よ うな 自動 車 の シ リン ダ 内 の混 合 気(空 もの)が1/10前
気 とガ ソ リン の霧 が ま ざ った
後 に圧 縮 さ れ,点 火(電 気 火 花 に よっ て 着 火 す る こ と)し,爆
の 力 で ピス トンが 上 下 して,エ
ン ジ ンが 回転 す るの も,気 体(こ
発
の場 合 は 空 気)
が た や す く圧 縮 され る こ と を利 用 した もの で あ る。
2・3
流 体 の 粘性
油 ど ろ ど ろ,
水 さ らさ ら
流体 の 粘 性 を感 覚 的 に と ら え る方 法 を 考 え て み よ う。 正 確 な 方 法 で は な い が, 図2・7(a)の方 法 に よ って,そ
の傾 向 を う
か が う こ とが で き る。 い ま,重 油 と水 を そ れ ぞ れ(別 々 に)指 先 に 少 量 と り出 し, こす る よ うに した と きの 指 先 に 感 じる抵 抗 力 は,重 油 の ほ うが水 よ り大 で あ る。 この よ うに,流 体 に は 流 動 を妨 げ よ う と す る抵 抗 力 の あ る こ とが わ か る。
(a)指 に 感 じ る 粘 さ
(b)流 動 しや す い液 体 と流 動 しに くい液 体 の比 較 図2・7(1)
流 体(液
体 や 気 体)が
流 れ よ う とす る
と,分 子 間 の 引 力 に よ っ て 流体 相 互 に 流 動 を妨 げ よ う とす る抵 抗 力 が働 く。 こ の よ ぅ な性 質 を 流体 の 粘 性(viscosity)と い う。 粘 性 の 大 き い流 体 ほ ど流 動 しに く い 。 重 油 な ど は水 に く らべ て粘 性 が 大 き (C)流 体 の 粘 性
く,図2・7(a)の よ う な方 法 で 調 べ て も指 先 に 感 じ る抵 抗 は 大 きい。
図2・7(2)
い ま,図2・7(c)の よ うな 流 れ の方 向 に 流体 の うす い 層 を考 え,層 の面 積 を A(上 面,下 面 は 平 行 とす る),距 離 を ⊿yと す れ ば,両 面 の 速 度 差 ⊿vに よ って 生 じ る抵 抗 力 F は,次
式 に よ っ て 表 す こ とが で き る。 ⊿v/ ⊿y
F=μA
(2・7)
す な わ ち,抵 抗 力 F は,面 積 A と速 度 差 ⊿vに 比 例 し,両 面 の 距離 ⊿yに 反 比 例 す る。 この と きの 比 例 定 数 μ*1を 粘 度(ま
た は粘 性 係 数)と い う。 液 体(水 や
油 な ど)の 粘 度 は,温 度 が上 昇 す れ ば 小 さ くな り,流 動 しや す くな る。 ま た,気 体(空
気 や 炭 酸 ガ ス な ど)の 粘 度 は 大 き くな り流 動 性 は や や 落 ち る。
一 般 に,圧 力 が 上 昇 す れ ば液 体 の 粘 度 は 多少 増 加 す る。 た だ し,水 の 粘 度 は圧 力 に よ る変 化 が 少 ない 。 した が って,水
は圧 力 に よ る粘 度 の 変 化 は ない もの と し
て 取 り扱 う場 合 が 多 い。 表2・4は,101.3kPaに 平 行 な 二 平 面 壁 の 間 や,管 8の
お け る水 と 空 気 の 粘 度 で あ る 。 内 を 流 れ る 水 や 空 気 の 速 度 分 布 は,粘
よ う に 中 心 ほ ど 流 れ は 早 く,壁 ま た,粘
面 に 近 い と こ ろ ほ ど遅 く な る 。
度 μ と密 度 ρ の 比v*2は,
v=
u/ ρ
で 表 され,こ *1μ(ミ
性 の た め 図2・
〔㎡/s〕
(2・8)
れ を動 粘 度(ま た は 動 粘 性 係 数)と い う。 動 水 力 学(動 い て い る 流体
ュ ー)*2ν(ニ
ュ ー)
の 力 学)に
は よ く用 い ら れ る値 で あ る。 表2・4 101.3kPa
(標 準 1気 圧)に
お け る水 と空気 の粘 度 μ mPa=10-3Pa
温度 〔 ℃〕
水 の粘 度 μ 重 力 単位 〔kgf・s/㎡
0
182.7×10-6
5
155.0〃
〕 SI単
乾 燥 空気 の 粘 度 μ 位 〔mPa・s〕
重 力 単 位 〔kgf・s/㎡
〕 SI単 位
〔mPa・s〕
1.743×10-6
1.709×10-2
152.0〃
1.768〃
1.734〃 1.759〃
179.2×10-2
10
133.3〃
130.7〃
1.794〃
15
116.0〃
113.8〃
1.819〃
1.784〃
20
102.2〃
100.2〃
1.844〃
1.808〃
30
81.3〃
79.7〃
1.893〃
1.856〃
40
66.6〃
65.3〃
1.942〃
60
47.6〃
46.7〃
2.036〃
80
36.2〃
35.5〃
2.129〃
100
28.8〃
28.2〃
2.218〃
1.904〃 1.997〃 2.088〃 2.175〃
機械 学 会 「 機 械 工 学 便 覧 」参 考
図2・8
速 度 分布
図2・9 動 粘 度 と温 度
2・4 そ の 他 の 性 質
〔1〕
アル キ メ デ スの原 理
流 体 中 に あ る物 体 は,そ の物 体 が 排 除 した 流 体 の重 量 に等 しい 力 を上 向 きに 受 け る。 こ れ を ア ル キ メ デ ス の原 理 と い い,こ の 力 を浮 力 とい う。
図2・10浮
力
〔2〕 表 面 張 力 コ ップ の水 は 上 端 よ り盛 り上 が った 状 態 で も,こ ぼ れ な い 。 また,机 上 の水 滴, 木 の 葉 の 上 の 水 滴 が 球 状 に な っ て い る こ とが あ る。 こ れ は 液 体 の 自由 表 面(液 体
図2・11表
面張 力
が 他 の 気 体 な どに ふ れ て い る面)近
くの分 子 が,分
子 相 互 の 力 の 作 用 に よ っ て,
自 由 表 面 を縮 め よ う とす る か らで あ る。 す な わ ち,弾 力 の あ る膜 が 張 られ た よ う に表 面 に 張 力 が働 くか ら で あ る。 こ の 張 力 を表 面 張 力 とい う。
〔3〕 毛 管 現 象 ペ ンや 毛 筆 が イ ン クや 墨 汁 を吸 い上 げ る性 質 を毛 管 現 象 とい う。 い ま,液 体 に 図2・12の よ うな丸 い ガ ラ ス 管 を垂 直 に 立 て る と,液 体 は 管 内 を上 昇 す る。 この 液 体 の 高 さ hは,液 体 の 温 度 や 空 気 の湿 度,管 の 材 料 や 内壁 の仕 上 げ の程 度 に よ って 異 な る。 液 柱 の 高 さh 〔mm〕 は,大 気 中 で は お お よ そ次 式 に よ っ て 求 め る こ とが で き る。 水 の場合 h≒
15/
〔mm〕
r
ア ル コー ル の 場 合 図2・12毛
h≒
た だ し,γ
5.8/r
管現象
〔mm〕
は 管 の 半 径 で,単
位 はmmで
あ る。
〔4〕 そ の 他 一 般 に 液体 は,気 体 を少 し溶解 す る性 質 を もっ て い る。水 は101.3kPa,常 その 体 積 の 約2%
温 で,
の 空 気 を吸 収 し て い る。 した が って,流 体 機 械 の 中 で 水 が 低 圧
ま た は 高 温 に な る と,吸 収 して い る空 気 が 気 ほ う とな って 水 中 に 遊 離 し*,流 体 機 械 を損 傷 し た り,機 械 の 性 能 を悪 くす る原 因 に な る場 合 が あ る。
*後
で述 べ るキ ャ ビ テー シ ョン参 照。
練
習
問
題
2
(一 部 動 力単 位 使 用) 1.あ る油 の 質 量 が14kgで び,比 2.あ
体 積 が0.02m3で
あ っ た 。こ の 油 の 密 度 と 比 体 積 お よ
重 を 求 め よ。 る 油 の 重 量 が24kN,体
積 が3m3で
あ っ た 。 こ の 油 の 比 重 量,密
度,比
体
積 を求 め よ。
3.前 問 に お い て,重
力 単位 で比 重 量 を表 せ ば い くら に な るか 。
4.あ る 油 の 重 さ が3.32kgfで,体 で 求 め よ 。 ま た,こ 5.圧
力200kPa,温
〔J/(kg・K)〕
積 が4eで
の 油 の 密 度 はSI単 度15℃
あ っ た 。こ の 油 の 比 重 量 を 重 力 単 位
位 で い く らか 。
の 空 気 の 比 体 積 は い く ら か 。 空 気 の ガ ス 定 数 を287
と し て 計 算 せ よ。
3静止 して い る流 体 の 力 3・1
流体の圧 力
流 体 は 止 っ て い て も力 持 ち 容 器 に 水 や 油 を入 れ る と,容 器 を 内側 か ら外 側 に 向 か っ て 押す よ うな 力 が働 く。 こ れ は,水 や 油 の もっ て い る力 が 容 器 に 働 くため で あ る。 ま た,昔
よ く使 わ れ た
風 呂桶 は,木 が 乾 燥 して す き間 が あ く と きが あ る。 こ の よ うな風 呂桶 に水 を入 れ る と,す
き間 か ら水 が もれ るが,す
き 間 か ら 出 る水 の い きお い は,桶 の 下 の ほ う
ほ ど大 で あ る。 す な わ ち,水 の も っ て い る力 は,下 の ほ うほ ど大 で あ る こ とが わ か る。
図3・1
〔1 〕
圧
静 止 して い る水 の 力
力
静 止 して い る液 体 の 液 面 か らH〔m〕
の 深 さに あ る,液 面 と平 行 な 平 面 を考 え,
この 平 面 の 面 積 をA〔 ㎡ 〕とす れ ば,そ の 平 面 上 に あ る液 体 の体 積 は,AH〔m3〕
で あ る。 また,平
面 上 に あ る液体 の 全 質 量 は,
密 度 ρ と体 積AHと
の 積 で,ρAH〔kg〕
であ
る。 した が っ て,平 面 上 の 液 体 の 重 さ P は,全 質 量 ×重 力 の加 速 度 で,
(3・1)
で あ る 。 こ の P を 全 圧 力 と い う。 ま た,単
位 面 積(1㎡)当
の 強 さ,ま
た は,単
た りの全 圧 力 を圧 力
に 圧 力(pressure)と
い い(大 図3・2
気 圧paを
考 え な い と)次
液体 の 圧 力
の よ うに な る。
(3・2)
例
題
水 面 下10mに
お け る水 の 圧 力 は,大 気 圧 を考 え な い と何Paか
〔解 〕 水 の 密 度 ρ=1000kg/m3で
あ り,H=10mで
あ る か ら,
気 圧pa(標
準 大 気 圧 は101.3kPa)を
と な る 。 液 面 下 の 圧 力 を 表 す の に,大 に 入 れ れ ば,液
面 下H〔m〕
。
考 え
の 圧 力 p は, (3・3)
と な る 。 圧 力 を 表 す の に,式(3・2)の
よ う に 液 体 の み に よ る圧 力 を考 え る と き と,
大 気 圧 を 考 え に 入 れ る と き が あ る(23頁
例 題 を重 力 単 位(従
〔2 〕 一般 に は,主
来 単 位)kgf/㎡
で 述 べ る)。
で 求 め る と,圧 力p=
圧 力の単位 ,工 学 上 よ く用 い ら れ る 圧 力 の 単 位 はSI単
と し てkgf/㎡(あ
る い はkgf/c㎡)で
位 でPa(N/㎡),重
あ る。
力単位 で
一 般 に 液 柱(液 は,圧
の深 さ
,高
さ)の
こ と を ヘ ッ ド(head)と
い う が,こ
力 値 の 代 用 と し て 使 わ れ る 場 合 が あ る 。 原 則 的 に は,SI単
はPaで
あ る が,と
と き が あ る(た つ ぎ に,従
くに,水
と え ば,ビ
な ど は 水 柱,す
位 での圧 力単位
な わ ちヘ ッ ド(mAq,mH2O)で
ル 管 理 な ど で の 配 管 圧 力,水
来 か ら の 単 位 とSI単
のヘ ッ ド
表 す
車 の 圧 力 … 等)。
位 の 主 な 関 係 を示 す 。
(3・4)
大 気 圧 を0と
し て 測 っ た 圧 力 を ゲ ー ジ 圧 と い い,一
般 の 圧 力 計,真
空計 はゲー
ジ圧 を示 す よ うに な っ て い る。 ま た,完
全 な 真 空 を0と
絶 対 圧=ゲ
し て 測 っ た 圧 力 を絶 対 圧 と い い,つ
ー ジ圧+大
大 気 圧 よ り高 い 圧 力 を正 圧,低
気圧 い 圧 力 を 負圧 とい い,負 圧 は真 空 計 で測 る 。
図3・3
例
題
海 面 下100mの
ー ジ 圧 で 表 せ 。 ま た,重
圧 力 は 何Paか
圧 力の 関 係
。海 水 の 密 度 を1025kg/m3と
力 単 位 で 求 め る と何kgf/c㎡
〔 解 〕 ρ=1025kg/m3,H=100mを
か。
式(3・2)に 代 入 す れ ば,
p=ρgH=1025×9.8×100=1.005MPa(M→106) *1Hgは
ぎの よ うに な る。
水 銀 柱 の 高 さ を 表 す 。*2Aq(H2O)は
水 柱 の 高 さ を表 す 。
し,ゲ
ま た,重
力 単 位 で は,圧
力 〔kgf/㎡ 〕二 題 重 量 〔kgf/m3〕 ×深 さ 〔m〕 よ り
p=1025×100=102500kgf/㎡=10.25kgf/c㎡
例/国-遠
心 ポ ンプ の 吸 込 み 管 の圧 力
を真 空 計 で 測 っ た ら水 銀 柱 で4cmで あ っ た 。 こ の と きの絶 対 圧 は 水 銀 柱 で 何mmか
。 た だ し,こ の と きの 大 気 圧
は 水 銀 柱 で760mmと
す る。 ま た,何
Paか 。
図3・4遠
心 ポ ンプ と真 空計
〔解 〕4cmHg=40mmHg 絶 対 圧=760-40=720mmHg 表1・3よ
り,係
数k=133.3を
乗 じ て,
720mmHg=720×133.3Pa=96kPa
3・2圧
力計
圧力 をはかる計器類 流 体 の 圧 力 を 測 定 す る 計 器 類 を 圧 力 計(pressure
図3・5圧
力の 大 小 を知 る
gauge)と
い う。
圧 力 の 大 小 関 係 を 計 器 を 使 っ て 調 べ る こ と が で きれ ば 便 利 な こ と が 多 い 。 た と え ば,プ て,流
ロ パ ン ガ ス の 圧 力,ポ
ン プ の 水 圧,高
圧 炉 な ど,圧
体 を 有 効 に 利 用 す る こ と が で き る 。 ま た,危
力 を知 る こ と に よ っ
険 防 止 か ら もた いせ つ な こ と
で あ る。 圧 力 計 の お も な も の に,各 (図3・10)な
種 の 液 柱 計*(図3・6,図3・7)や
ブル ドン管 圧 力 計
どが あ る。
図3・6液
図3・6の(a)で,A
柱 計(マ ノ メ-タ)
点 に お け る 圧 力 p を 絶 対 圧 で 表 せ ば, (3・5)
と な る 。 ま た,や
や 大 き い 圧 力 を 測 定 す る た め に は,U
字 管 を 用 い,水
銀 の よ う
な 質 量 ρ′ の 大 き い(ρ < ρ′)液 体 を使 用 す れ ば よ い 。 図(b)の A 点 の 絶 対 圧pAは, (3・6)
と な る 。 た だ し,こ た と え ば,B
の 場 合 も 流 体 内 の 圧 力 は 自重 の た め,位
置 に よ って 異 な る。
点 の 絶 対 圧pBは,
(3・7)
と な る。圧 力 が 高 くな る と液 柱H′ が 大 き くな るの で,U 字 管 の 長 さ も長 くな る(U 字 管 の 長 さ に も限 度 が あ るの で,一 般 に,ブ 液 体 の 圧 力 差 を測 定 す るに は,図3・7の *液
柱 計 の こ と を マ ノ メ ー タ と も い う。
ル ドン管 圧 力計 を使 用 す る)。
よ うな U 字 管 を使 用 す る。 図(a)の 場合
図3・7
示 差圧 力 計(圧 力差 を測 定 す る液 柱 計)
の圧 力 差 p は, (3・8) と な る。
図3・7(b)の逆 U 字 管 液 柱 計 を使 用 す る と,圧 力差 p は (3・9)
た だ し,ρ > ρ′(液体 の 圧 力 差 の と き に,そ
の 液 体 よ り 軽 い 油,空
気 な ど を 使 う)
と な る 。こ の と き逆 U 字 管 に 空 気 を つ め れ ば,空 気 の 密 度 は き わ め て 小 さ い(ρ ′≒ 0)の
で 無視 し, (3・10)
と な る。
例題 図3・6(a)の 液 柱 計 を使 っ て,図3・8の し た 。 水 銀 柱 が5cm(0.05m)の Paか
。 た だ し,水
と き,流
銀 の 比 重 は13.6と
し,水
直管 の 圧 力変 化 を調 べ よ う と
体(こ
の 場 合 は 水)の
の 密 度 ρ=1000kg/m3と
図3・8
圧 力 差 は何 す る。
〔解 〕 水 銀 の 密 度 ρ′=(比 重)× ρ で,
で あ る か ら,
図3・9
図3・9(a)は傾 斜 微 圧 計 で,小
傾 斜微 圧 計 と使用 例
さな圧 力 を測 定 す る と きに 使 わ れ,圧 力 差 の 読 み
を拡 大 して読 む こ とが で き る。 図3・9(b)は,送 風 管 路 の 圧 力 の 変 化(圧 力 の 損 失) を調 べ る と きの 一 例 で あ る。管 路 内 の① に お け る圧 力 をp1,② と し,①
に お け る圧 力 をp2
と② の圧 力 差 を p とす る と, (3・11)
こ こ に,
ρ;液 体 の 密 度 H1;基
準 路 か らの上 昇 高 さ
H2;基
準 路 か らの下 降 高 さ
(上 昇 液 の 体 積 と下 降 液 の体 積 が 等 し くAH2=al) で あ る か ら,
(3・12)
とな り,傾 斜 角 θ を小 さ くす れ ば lが 大 に な り,圧 力 差 を拡 大 して読 む こ とが で き る(た だ し,あ
ま り θ を小 さ くす る と,管 と液 体 の 付 着 が 影 響 して,測 定 精 度
が 悪 くな るの で 注 意 を要 す る)。 ま た,容 器 の 断 面 積 A を十 分 大 き くす れ ば(A≫a),a/Aは
非 常 に小 さ な値 に
な り, (3・13)
と見 な す こ とが で き るの で, (3・14) で 表 す こ と が で き る 。 な お,θ=30°
に と れ ば,sin
30゚=1/2な
の で,
(3・15)
とな る。
例題傾 斜 微 圧 計 で 傾 斜 角 θ=45゚,傾 を141.4mmと
す れ ば,圧
斜 管 内 の 液(こ
の場 合 は水)の 上 昇
力 差 は い く ら を 示 し た こ と に な る か 。 た だ し,容
器 内 の 液 面 降 下 は 無 視 す る も の とす る。
〔解 〕 水 の 密 度 ρ=1000kg/m3,液(水)の (3・14)よ
り,
上 昇l=0.1414mで
あ る か ら,式
図3・10ブ
ル ドン管圧 力 計
図3・11
図3・10は ブ ル ドン管 圧 力 計 で,最 も一 般 的 に使 われ て い る。円 弧 形 に作 られ た 金 属 管 は,断 面 が だ 円 に な って い る。一 端 A に 圧 力 が か か る と,他 端 B がB′ に移 動 す る。 これ は,圧 力 の ため に 金属 管 が ま っす ぐに な ろ う とす るた め で あ る。 こ の こ とは,ち ょ う ど子供 達 が よ く遊 ん で い る,図3・11の
よ うな オ モ チ ャ の 原理 と
同 様 で あ る。B とB′ との 距 離 は 圧 力 の 大 きい ほ ど,大 で あ る。B がB′ に 移 動 す る と リ ン ク C に よ って,扇
形歯 車 D が 回 転 し,D
とか み合 う小 歯 車(ピ
ニ オ ン)E
も 回転 す る。こ の 小 歯 車 E と同 軸 上 に あ る指 針 G が 圧 力 の 大 き さ を示 す よ うに な っ て い る。 負 圧 用(真
空 用)の
ブル ドン 管圧 力 計 は B の 動 きが 逆(B′ と反 対 方 向)で,円
弧 形 を小 さ くす る作 用 に よ って 指 針 が動 くよ うに な っ て い る。 例題ブ ル ドン管 圧 力 計 の 読 み が 重 力 単 位 で示 さ れ て い て,2kgf/cm2の と き,重
力 単 位 のkgf/m2で
表 せ 。 ま た,SI単
位 で表せ。
(重力 単 位)
〔解 〕 つ ぎ に,SI単
位 で 直 す に は,表1・3を
参 考 に し て,係
数9.80を
乗 じ て,
20000×9.8=196000Pa =196kPa(SI単
位)
3・3
パスカルの原理 と油圧 ――油圧 の原理
密 閉 され た容 器 内 に あ る液 体 の一 部 に 圧 力 を加 え る(ピ ス トン,ポ
ン プ な ど で)
と,そ の 圧 力 は 強 さ を変 え な い で 液体 の す べ て の部 分 に伝 わ る。 また,圧 力 は容 器 の形 に は関 係 な く,容 器 の 壁 面 に 垂 直 に 作 用 す る。 こ の事 実 をパ ス カル の 原 理 (Pascal′s
principle)と
い う。
こ の 原 理 を 応 用 した もの に 油 圧 装 置 が あ る。 図3・12に
お い て,断
の ピ ス ト ン に 力f〔N〕
面 積A1〔
㎡ 〕
を か け る と,p=
f/A1〔N/㎡
〕 の 圧 力 が 液 体 に 伝 わ る。し
た が っ て,断
面 積A2〔
こ の 圧 力 が 伝 わ り(パ り),荷 重W〔N〕
㎡ 〕の ピ ス ト ン に ス カル の原 理 よ
を さ さ え る と す れ ば,
両 ピ ス トン に 作 用 し て い る 圧 力 は 等 し い か ら,圧
図3・12
油圧 の 原理
力 p は,
(3・16)
で表 す こ とが で き る。 (3・17)
(p=f/A1で A1を
あ る か ら,W=pA2〔N〕)と
大 き くす れ ば,小
な る 。し た が っ て,ピ ス トン の 面 積 比A2/
さ な 力 f で 大 き な 荷 重Wを
さ さ え る こ とが で き る 。 こ れ
が 油 圧 の 原 理 で あ る。 た だ し,こ の 場 合 に 注 意 し た い こ と は,小 の 移 動 距 離S2は
異 な り,必
ピ ス トン の 移 動 距 離S1と
大 ピ ス トン
ず,
S1>S2
(3・18)
で あ る。す な わ ち,小 ピス トン を押 す こ とに よ っ て,移 動 した液 体 の 体 積 は,S1A1 で あ り,大 ピ ス トン が 押 し上 げ られ る ため に移 動 した体 積 はS2A2で
あ る。そ れ ぞ
れ の 移 動 体 積 は 等 し いの で, S1A1=S2A2 ∴ S1=S2
(3・19)
A2/ (3・20)
A1
図3・13小
さな 力 で大 き な力 が働 く
と な り,こ
の 揚 合,A2はA1よ
り大 き い の で,S1>S2と
距 離 は 大 き い 。 ま た,式(3・16)よ
な り,小
ピ ス トン の 移 動
り,
で あ る か ら,式(3・20)は,
(3・21)
と な る 。 こ れ は,小
ピ ス トン の 仕 事(S1f)と
大 ピ ス ト ン の 仕 事(S2W)が
こ と を 表 し て い る(ジ
ュー ル 〔 J〕 は 仕 事 や エ ネ ル ギ の 単 位 で あ る)。
い ず れ に し て も,小
さ な 力(圧
図3・14に p〔N/㎡
力)で
等 しい
大 き な 力 を 出 す こ とが で き る 。
お い て,油 圧 ポ ン プ よ り圧 力
〕 の 油 圧 がA〔
㎡ 〕の ピ ス トン
を 押 す 力 F は, (3・22)
とな る。ピス トン の 断 面 積 A を大 き くす れ ば,小
さ な圧 力 p で 大 き な 力 F を 出
す こ とが で き る。 トラ ッ クの荷 台 を傾 け る装 置 や 自動 盤 の 刃 物 台 駆 動,そ
の他 多
図3・14油
圧 駆動
くの 油 圧 装 置 に利 用 され て い る。 例
題
図3・14に
断 面 積 が100c㎡
〔解 〕
お い て,油 な ら ば,ピ
で,ピ
ス トン
ス トン を 押 す 力 は 何 N か 。
式(3・22)で,F=pA=10×100=1000N
(重 力 単 位 のp〔kgf/c㎡
例
圧 ポ ン プ か ら の 圧 力 が10N/c㎡
題 図3・15に
り,16Nの
と き,加
〕,A〔
お い て,ピ
㎡ 〕 を 使 え ば,F
は 〔kgf〕で 求 ま る 。)
ス ト ン の 直 径 が400mmで,油
工 物 が受 け る力 は い くらか 。
圧 が1c㎡
当た
〔解 〕1c㎡
当 た り16Nは1㎡
り160000Nす
な わ ち,160000Paで
る 。 ま た,400mm=0.4mで
当 た あ
あ る か ら,
図3・15
3・4
壁面 に働 く流体の力 ――風 呂桶 の もれ
3・1節 で 述 べ た よ うに,流 体 の 圧 力 は下 の ほ うほ ど大 きか った 。 液 体 の 場 合 は,液 面 下 の深 さに 比例 して圧 力 が大 き くな る こ とは,式(3・2)に よ っ て も明 らか で あ る。 風 呂桶 の もれ も,下 の ほ うほ ど激 しい の は,深
さが 大 きい
ほ ど圧 力 が 大 き くな り,風 呂桶 の す き まか ら 出 る水 の い きお い が 強 くな るか ら で あ る。
図3・16流
体 の 圧 力 は 下 の ほ う ほ ど大 き い(液 体)
地 球 を お お っ て い る空 気 の圧 力 も,上 空 ほ ど低 くな り,地 表付 近 で高 くな っ て い る。 た だ し,こ の 場 合 に は,圧 力 と高 さの 関 係 はや や 複 雑 で あ る。 図3・17は, 地 球 上 に お け る高 さ と空 気 の圧 力 との 関 係 を表 した もの で あ る。 しか し,限 ら れ
図3・17流
体 の圧 力 は下 の ほ うほ ど大 きい(気 体)
た 大 き さの 物 体 に 働 く空 気 の圧 力 は,そ
の物 体 の 高 さ に 関係 な く(一 般 に,数 十
m 程 度 で は ほ とん ど圧 力 の 変 化 は な い もの と見 な す),同
じ大 き さの 圧 力 が 一 様
に働 い て い る もの と して 考 え る。 以下,液 体 の 圧 力 が 液 中 の壁 や 板 に どの よ う な作 用 をお よぼ す か 考 え て み よ う。 図3・18の よ うな 垂 直 な 壁 に 作 用 す る圧 力 を ゲ ー ジ圧 で 表 す と,液 面 上 で は 0 で,液 中 に 向 い 深 くな るほ ど圧 力 は 上 昇 し,深 さH〔m〕
の 箇 所 で は ρgH〔Pa〕,
〔N/㎡ 〕の圧 力 に な る。 す な わ ち,圧 力 は 液 体 の 深 さ に 比 例 して 上 昇 す る。
図3・18液
体 の 深 さ と 圧 力(垂 直 壁)
図3・19の よ うに,壁 が傾 斜 して い る場 合 で も,壁 に作 用 す る圧 力 は深 さ hに 比 例 して 大 き くな り,深 さH〔m〕 た だ し,こ の場 合,圧
の 箇 所 で は ρgH〔Pa〕,〔N/㎡
〕の圧 力 に な る。
力 は壁 面 に 垂 直 に作 用 す る こ とに気 をつ け た い 。
垂 直 壁 に して も傾 斜 壁 に して も,壁 に お よぼ す 平 均 圧 力pmは,
図3・19液
ρgH /2
pm= で あ る,し
(Pa),(N/㎡)
た が っ て,壁abcdに
P=(平
体 の 深 さ と圧 力(傾 斜 壁)
(3・23)
お よ ぼ す 全 圧 力 P は,
均 圧 力)×(壁 の 面 積) (3・24)
とな る。 こ の 全 圧 力 を 一 つ の 合 成 力 と考 え,壁 考 え る と き,そ M は,図3・20の
上 の ど こか の 一 つ の着 力 点 に作 用 す る と
の 着 力 点 を圧 力 の 中 心(center
of pressure)と
よ う な 三 角 柱 の 重 心 G を 通 り,壁
の 交 点 と し て 求 め る こ と が で き る 。 す な わ ち,液
図3・20圧
図3・21は,お
い う。 圧 力 の 中心
に 垂 直 な 直 線 を 引 い て,壁
深(2H)/3の
面
箇 所 に あ る。
力の 中心
も な平 板 の圧 力 の 中心 と平 均 圧 力 の 大 き さ を示 し た もの で あ る。
(b)
(a)
平 板 の圧 力 の 中心 と平均 圧 力
図3・21
例
題
図3・21(b)に お い て,平
平 板 を 押 す 力(全 cm,20cmと
圧 力)は
板 の 重 心 と水 面 ま で の 距 離 が10mの
い く ら か 。 た だ し,平
す る 。 ま た,圧
の 密 度 は1000kg/m3と
(c)
板 の た て,よ
と き,
こ の 長 さ は50
力 の 中 心 は 水 深 い く ら の と こ ろ か 。 た だ し,水
す る。
〔 解 〕 全 圧 力 P = 平 均 圧 力Pm×
面 積a・b=pgh・ab
また,圧 力 の 中 心 η=水 面 か ら重 心 ま で の 距 離
〔 注 〕 水 深 が 深 く な る ほ ど圧 力 の 中 心 は 重 心 に 近 づ く。
3・5浮
力 と浮 揚 体 の安 定 浮 か ぶ 物 体,沈
〔1〕 浮
む 物体
力
2・4節 の 〔1〕 で述 べ た よ うに,流 体 中 に あ る物体 は,そ の 物 体 が 排 除 した 流 体 の 重 量 に等 し い力 を上 向 き に 受 け るが,こ
の 上 向 きに 作 用 す る力 を 浮 力(buoy-
ancy)と
い っ て い る。
物 体 が 流 体 中 に 浮 か ぶ か,沈 む か は,そ の 物体 と同体 積 の 流体 の 重 量 と,物 体 の重 量 との 大 小 関係 で きま る。 す な わ ち,物 体 を 流体 中 に 沈 め た と き物 体 が 排 除 した 部 分 の 流 体 の 重 量 が 物 体 の 重 量 よ り大 き い と きは 浮 き,小 さ い と きは 沈 む(浮 力 と物 体 の 重 量 が 等 しい と きは,流 体 中 の ど こ に あ って も,物 体 は そ の位 置 に と ど ま り,浮 揚 体 は 浮 力 と物 体 の 重 量 が つ り合 っ て い る)。 い いか え れ ば,流 体 の 比 重 よ り大 きい 比 重 の物 体 は 沈 み,小
さければ浮かぶ こ
とに な る。
図3・22
浮 か ぶ物 体 と沈む 物 体 の例
物 体 の 空 気 中 で の 重 さW〔N〕,流
体 中 で の 重 さW′
V〔m3〕,流
力F〔N〕
体 の 密 度 ρ 〔kg/m3〕,浮 F=W-W′=ρgV〔N〕(密
〔N〕,排 除 し た 物 体 の 体 積
と の 間 に は,次
の 関係 が 成 りたつ 。
度 × g×体 積)
(3・25)
図3・23は,比 重 計 の 原 理 を示 し た もの で あ る。 比 重 1の蒸 留 水 の 中 に 比 重 計 を 入 れ る と,1.00の
目盛 が 液 面 と一 致 す る
よ うに な っ て い る。 さ らに 比 重 の 大 きい 液 体 中 で は,比 す)液
重 計 が 排 出 す る(押
し出
体 の 重 量 は 大 き く,浮 力 が 大 き く
な るの で 比 重 計 は 上 方 に移 動 す る。 この こ とを利 用 して,た
と えば,比 重1.5の
液 体 中 に 比 重 計 を 入 れ る と,1.5の
目盛
が 液 面 と一 致 す る よ う に つ く られ て い
(a)
(b) 図3・23
比重計
る。 自動 車 の バ ッ テ リー 液 な どは,あ 充 電 の 効 率 を悪 くす る の で,比 例
題
と,何 Nと
図3・24の
る一 定 の 比 重 を も って い て,比 重 の 変化 が
重 計 で測 定 す る こ とが しば しば あ る。
よ う に,水
中 で 体 積1000cm3の
物体 を手 の上 に乗 せ る
N の 重 さ を感 じ る こ と に な る か 。 た だ し,物 体 の 空 気 中 で の 重 さ は10 し,水
の 密 度 ρ は1000kg/m3と
す る。
図3・24
〔 解 〕
式(3・25)よ
り,水
中 で の 物 体 の 重 さW′
は
で あ る か ら,
例
題
図3・25の
よ う に,密
度 ρ=2000kg/m3(比
重=2)の
流 体 中 に,あ
る 物 体 を お い た ら 浮 い た 。 こ の と き の 物 体 の 重 量 を 求 め よ 。 た だ し,沈 い る 部 分 の 体 積 を1 .5m3と
す る。
図3・25
んで
〔解 〕 物 体 が 浮 くの は,物 体 の 重 量 と浮 力 が つ り合 っ て い るか らで あ る。 した が って,こ
の 場 合 は,
物体 の重量 =浮力
〔2〕 浮 揚 体 の 安 定 浮 揚 体 が つ り合 い の状 態 に あ る た め に は,次
の 条 件 が 必 要 で あ る。
(1)浮 力F=物
体 の重 量W
(2)浮 力 F の作 用 線 と重 心 G が 同 一鉛 直線上 に ある 。 浮 揚 体 が つ り合 い の 状 態 か ら少 し傾 け
で,浮
浮揚体 のつ り合 い
図3・26
る と,浮 力 の 中心 C がC′ に移 動 す る の 力 と重 量 と で モ ー メ ン トの作 用 が働 く。
つ り合 い の 状 態 に あ る と きに 重 心 を通 る重 量 の 作 用 線 と,傾 い た と きの 浮 力 の 作 用 線 との 交 点 M をメ タセ ン タ(metasenter)と
い う。 こ の メ タセ ン タ M と重
心 G との 距 離 h を メ タ セ ン タの 高 さ とい う。 メ タ セ ン タ M が 重 心 G よ り上 の位 置 に あ れ ば モ ー メ ン トの 作 用 は,浮
揚体 を
も との つ り合 い の状 態 に も どそ う とす る働 き(復 元 の働 き)を す る(図3・27)。 こ の よ う な と き浮 揚 体 は 安 定 して い る とい う。 しか し,図3・28の
よ うに メ タセ ン タ
M が 重 心 G よ り下 側 に位 置 す る よ うに な る と,傾 い て い る 浮 揚体 を さ らに傾 き を
図3・27
安定
図3・28
不安定
図3・29
中立
大 き くす る よ うに モー メ ン トの 作 用 が働 き,浮 揚体 は 回転 す る。 こ の よ うな と き 浮 揚体 は 不 安 定 な 状 態 に あ る とい う。 ま た,モ ー メ ン トの作 用 が 働 か な い状 態 を 中 立 の 状 態 とい う(図3・29)。
練
習
問
題
3
(一部 重 力 単 位 使 用) 1.負 圧 が 水 銀 柱 で300mmの 2.深
さ200mの
と き は 絶 対 圧 で は 何kgf/c㎡
湖 底 の 水 圧 は 何Paか
3.1 標 準 気 圧(1atm)は,水 た だ し,水
あ る が,こ
よ う に,容
20cm,H′=50cmで
あ っ た 。 こ の と き の 大 気 圧 が 水 銀 柱 で760mmと
内 の 圧 力 は い く ら か,ゲ
す る 。 ゲ ー ジ 圧,絶
対 圧,と
もに 求 め よ。 あった。 タン ク
ー ジ圧 で求 め よ。
よ う な 水 圧 プ レ ス の ピ ス トン B,B′ の 直 径 が,そ
あ る と き,次
し て,容
位 で 求 め よ 。た だ し,水 の 密 度 を1000kg/m3,
ス タ ン ク の ガ ス圧 を 水 柱 マ ノ メー タ で 測 っ た ら160mmで
mmで
。
器 内 の 水 圧 を 水 銀 マ ノ メー タ を 用 い て 測 定 し た ら,H=
水 銀 の 密 度 を13600kg/m3と
6.図3・32の
か。
図3・31
器 内 の ゲ ー ジ 圧 と 絶 対 圧 をSI単
5.ガ
れ は 何kgf/c㎡
し て 計 算 せ よ 。 ま た,(図3・30)何Paか
図3・30
4.図3・31の
。
。
銀 柱 で760mmで
銀 の 比 重 を13.6と
か 。 ま た,何Paか
の 値 を 求 め よ 。 た だ し,ピ
れ ぞ れ60mm,400
ス トンの 重 さ は考 え な い もの と
す る。 1)ピ
ス ト ンB′ で2000Nの
物 体 を持 ち 上 げ る た め に は ピ ス トン B に どれ だ
け の 力 を加 え る必 要 が あ るか 。 2)
物 体 を20mm持
ち上 げ る に は,ピ ス トン B を どれ だ け 動 か す 必 要 が あ る
か。
図3・32
7.図3・33の
よ う な 幅6m,高
の 高 さ に あ る と き,扉 8.図3・34の ろ,上
さ10mの
ダ ム の 水 門 扉 が あ っ て,水 位 が 扉 の8m
に 作 用 す る 全 水 圧 お よ び 圧 中 の 中 心 を 求 め よ。
よ う に,幅2.4mの
流 の 水 位 が3.6mに
図3・33
水 路 に 高 さ2.8mの
せ き板 を垂 直 に 立 て た とこ
な っ た 。 こ の と き 下 流 の 水 位 が1.6mな
ら ば,せ
き
板 に 作 用 す る 全 圧 力 と圧 力 の 中 心 を求 め よ 。
図3・34
9.外 径20mmの
ガ ラ ス管 に鉛 の粒 を入 れ て水 中 に 入 れ た ら90mm沈
した。 次 に,こ れ をあ る油 の 中 に 入 れ た ら110mm沈 を求 め よ。
ん で静 止
ん で静 止 し た。 油 の 比 重
4
動 く流体 の性 質 管 路,水
路,そ
の他 流 体 機 械 内 の流 体 は 運 動 して い る。 一 般 に,運 動 して い る
流体 の圧 力 が 変 わ れ ば,厳 密 に は 密 度 が 変 化 す る が,液 体 や あ ま り早 く流 れ な い 気体 の密 度 変 化 は微 小 な の で これ を無 視 し,密 度 一 定 と し て動 く流体 の 性 質 を調 べ て み よ う。
4・1層
流 と乱 流
――す な お な 流 れ,乱
れ た流 れ
流 体 の 分 子 が 流 れ の 方 向 に 規 則 正 し く一 定 の 線 を な して 流 れ る と き,こ の 流 れ を層 流(laminar
flow)と
い う。 層 流 は 流 体 の動 粘 度 が 比較 的 大 き い か,狭
いす
き まや 細 い管 内 を きわ め て遅 く流 れ る と き に生 じや す い。 流 体 の分 子 が 入 り乱 れ る不 規 則 な流 れ を乱 流(turbulent
flow)と い う。乱 流 は,
流体 の 動 粘 度 が 比 較 的小 さ い か,広 路 や 太 い管 内 を流 れ る と き,お
い流
よび 流 速
図4・1層
流 と乱 流
の大 き い と きに 生 じや す い 。 レ イ ノ ル ズ は,図4・2に 流 に な る と き に,ど
示 す よ う な 実 験 装 置 を 使 っ て,層
流 に な る と き と,乱
ん な規 則 が あ るか を調 べ た 。
大 き な水 そ うの 中 に水 を入 れ,ガ
ラ ス管 を水 平 に お い て外 に 導 き,水 そ う 内の
水 は ガ ラ ス管 を通 って 外 に 流 れ 出 る よ うにつ くられ て い る。 水 そ う内 の 水 が ガ ラ ス 管 に は い る と き,着 色 液 も一 緒 に は い り流 れ る よ うに な って い る。 弁 を徐 々 に
図4・2レ
イ ノル ズの 実験 装 置
開 くと,管 内 の 流 速 が 小 さ い と きの 着 色 液 は,は
っ き り した一 本 の 線 に な って 流
れ る。 これ が 層 流 で あ る。 しか し,管 内 の 流 速 が あ る 限度 以 上 に な る と,着 色 液 は 周 囲 の水 と混 合 して 乱 れ る。 こ れ が 乱 流 で あ る。 レ イ ノル ズ は この 実 験 を 多数 行 な っ て,層 流 が 乱 流 に 移 り変 わ る と き,次 の値 が い つ も一 定 で あ る こ と を確 か め た 。 υd/
=Re
ν
た だ し,υ,d,ν のReを
〔 無次 元〕 は,そ
(4・1)
れ ぞ れ 管 内 の 平 均 流 速,管
レ イ ノ ル ズ 数(Reynold's
number)と
表4・1 101.3kPaに
の 内 径,動
い う。
お け る水 と空気 の動 粘 度
単位 〔 ㎡/s〕
機 械 学会 編 「機械 工 学 便 覧」 よ り
粘 度 で あ る。 こ
層 流 か ら乱 流 に移 り変 わ る と きのReは
約2320で,こ
れ を特 に 臨 界 レイ ノル ズ
数 とい う。 こ の 臨 界 レ イ ノル ズ数 以 下 の 流 れ で は,一 時 的 に 外 か ら乱 流 を与 え て も,し だ い に 層 流 に も どっ て し ま う。 例
題
内 径10cmの
直 管 内 を 流 速1m/sで
層 流 か 乱 流 か 。 た だ し,水
水 が 流 れ る と き,管
の 動 粘 度 ν は1.00×10-6㎡/sと
内の流 れは
す る。
〔解 〕
こ の 場 合,Reが2320以
上 で あ るか ら乱 流 で あ る。
4・2
連続の法則
広 場 で ゆ っ く り,狭 路 で 急 ぐ 流 路 内 の あ る一 定 点 P を通 過 す る 流 体 が,流 れ の状 態(圧 力,速 度 ま た は 密 度) を変 え な い で連 続 して 流 れ て い る と き,こ の流 れ を定 常 流 とい う。 実 際 に は,厳 密 の意 味 で の 定 常 流 は 得 に くい 。 しか し,流 体 の分 子 が 多少 上 下,左 右 に 運 動 し て も,直 管 路 内 の 水 や 油 の よ う に圧 カ ー 定 で全 体 が 一 定 の 速 度 で流 れ て い る と見 なせ る と き は,乱 流 で あ っ て も大 局 的 に は定 常 流 と して 取 り扱 う場 合 が 多 い(図 4・3)。
図4・3定
常 流 の一 例
時 間 的 に 流 れ の状 態 が 変 化 す る と き,そ の 流 れ を非 定 常 流 とい う。 波 動,水 撃 作 用(5・5節 の 水 撃 作 用 を参 照)な どは 非 定 常 流 で,管 路 の弁 を操 作 中 は流 体 の速 度 が 変化 して い るか ら非 定 常 流 で あ る。 ま た,手 押 しポ ン プ か ら出 る水 は,出
た
り,止 ま っ た り して 時 間 的 に 流 れ の状 態 を変 え るか ら非 定 常 流 で あ る(図4・4)。
図4・4非
い ま,図4・5に
定常 流 の一 例
お い て,人 が 広 い道 を前 後 左 右 の 間 隔 をつ め る こ とな く,一 定
の 速 さ で 歩 い て い て,狭 い 道 に きた と き,前 後 の 間 隔a〔m〕 路 で は 小 走 りに(速
度 を早 め て)通
を保 つ た め に は,狭
り過 ぎな け れ ば な らな い。
た と え ば,狭 路 の 幅 が 広 路 の 幅 の 約 半 分 で あ る とす れ ば,狭
路 を歩 く速 さは 広
路 の約 二 倍 で な い と,前 後 左 右 の 間 隔 をつ め て 通 る こ とに な る。
図4・5広
場 で ゆ っ く り,狭
路 で急 ぐ
圧 縮 され な い 流 体 が,図4・6の 流 体 の 量(Q〔m3/s〕)と,細
い 管 を毎 秒 通 過 す る流体 の 量 は 同 じで な い と,ど こ
か の 部 分 で真 空(ま た は 圧 縮)を 所 でQ〔m3/s〕
よ う な管 を流 れ る と き,太 い 管 を毎 秒 通 過 す る
つ くろ う とす る こ とに な る。 す な わ ち,A
の 量 が 通 過 し た と き は,B の 箇 所 で もQ〔m3/s〕
の箇
の量が 通過 しな
け れ ば な ら な い。
図4・6管
い ま,図4・7の
内 の流 れ
図4・7連
続の法則
よ うな 管 路 内 を流体 が 定 常 流 で流 れ て い る場 合 を考 え る と,ど
こ の 断 面 に お い て も通 過 す る流 体 の 単 位 時 間 の 量,す なわ ち,流 量Q〔m3/s〕
は変
わ ら な い。 管 の ① と ② に お け る 断 面 積 をA1〔 〔m/s〕,υ2〔m/s〕
㎡ 〕,A2〔
㎡ 〕,流 速(流
体 の 速 度)を
とす る と, (4・2)
と な る 。 こ の 関 係 を 連 続 の 法 則(law
例 題
図4・7に お い て,① の 断 面 積 を300c㎡,流
積 を500c㎡ 〔解 〕
of continuty)と
い う。
速 を12m/s,②
とす る と き,② の 断 面 を通 る水 の 流速 と流 量 を求 め よ。
の断面
υ1
例 題 m/sに
図4・7の
管 路 内 の 断 面 ① と ② に お い て,流
し た い 。流 量 を0.5m3/sと
速 を そ れ ぞ れ2m/s,1
す る と,断 面 ① と 断 面 ② の 直 径 は い く ら に
す べ きか 。
〔解 〕 い ま,断
面 ① と ② の 直 径 を そ れ ぞ れd1 ,d2と
す る と,
同 様 に,
4・3ベ
ル ヌー イ の定 理 百円は百円
図4・8の 5円 玉10個,10円
玉 5個 と
50円 玉 2個 を比 較 して み よ う。前 者 は合 計100円
で あ り,後 者 も合 計100円
であ
っ て,お 金 の 価 値 と して は 同 じで あ るが, そ の 外 観 はけ っ し て 同 じで は な い 。 姿 を変 えて も同 価 値 と考 え られ る もの
図4・8お
金 の 価 値 に 変 わ りは な い
に エ ネ ル ギが あ る。 図4・9の よ うに,あ る物 体 を静 止 の状 態 か ら下 方 に 落 す(空
気 の抵 抗 は 無視 す る)と,物
体 は下 方 に
速 度 を増 しな が ら落 下 運 動 をす る。 こ の と き,位 置 の エ ネ ル ギは 減 少 す るが,等 量 の運 動 の エ ネ ル ギの 増 加 が あ る。こ の よ うに,〝外 部 か らの エ ネ ル ギ の 出入 りが な い と き,エ ネ ル ギ の 種 類 は 変 わ っ て も,そ の もっ て い るエ ネ ル ギ の総 量 は一 定 で 変 わ らな い 〟 の で あ る。 これ をエ ネ ル ギ 保 存 の 法 則(law energy)と
い う。
of conservation
of
位 置の エ ネル ギ と運動 の エ ネル ギ
図4・9
あ る 基 準 面 か ら│〔m〕 ギ はw│〔J〕,〔N・m〕*で れ 高 さZ,〔m〕,乙 の 関 係 に あ り,高
の 高 さ に あ る,重 さW〔N〕 あ る 。 し た が っ て,同
〔m〕に あ っ て,Z,〉 い 位 置Z,に
じ重 さw〔N〕
る な ら ば,位
置 の エ ネ ル ギ はWZ,〉
じ重 さW〔N〕
図4・10
1N・m=1J
れ ぞ 隅
の 流 体 の も つ 運 動 エ ネ ル ギ はWvz/2g〔J〕, の 流 体 が,そ れ ぞ れ 速 度v,〔m/s〕,
υ2〔m/s〕 で 運 動 す る と き,v、 〉 υ2な ら ばWl12/2g>Wvz2/2gで
*
の 流 体 が,そ
あ る 流 体 の ほ う が 位 置 の エ ネ ル ギ は 大 き い 。 ま た,
速 度 υ 〔m/s〕 で 動 く 重 さW〔N〕 〔N・m〕 で あ る 。 し た が っ て,同
の 流体 の もつ 位 置 の エ ネ ル
流 体の 各種 エ ネ ル ギ
あ り,大
きい 速 度
で 動 く流 体 の ほ うが 運 動 の エ ネ ル ギ は大 きい。 流 体 に は 圧 力 が あ り,あ
る圧 力p〔Pa〕,〔N/㎡
〕 を もつ 流 体 は,前
体 を 押 し 出 そ う と す る働 き を し て い る 。 エ ネ ル ギ の 大 き さ は,な と 同 じ で あ る か ら,圧 力 も エ ネ ル ギ の 一 種 で あ る 。断 面 積A〔 よ っ て 移 動 す る 距 離 がl〔m〕 し た が っ て,断 面 積A〔 p2な
し得 る 仕 事 の 量
㎡ 〕 に 働 く圧 力 p に
な ら ば,圧 力 の エ ネ ル ギ はpAl〔J〕,〔N・m〕
㎡ 〕,移 動 距 離l〔m〕
ら ば,p1A1>p2Alで
方 に あ る流
が 同 じ で,圧 力p1,p2が
あ り,大 き い 圧 力p1の
で あ る。
異 な り,p1>
ほ うが圧 力 の エ ネ ル ギ は大 き い。
圧 縮 性 と粘 性 を考 え な い 流 体 が,図4・11に 示 す よ うな管 内 を定 常 流 で 流 れ る と きの エ ネ ル ギ の 関 係 につ い て調 べ て み よ う。
図4・11
管 内 の 流 量 をQ〔m3/s〕,断 〔m/s〕,υ2〔m/s〕,基 p2〔Pa〕,〔N/㎡ の 和 は,単
ベ ル ヌー イ の 定 理
面 ① と ② の 面 積 をA1〔
準 面 か ら の 高 さ をZ1〔m〕,Z2〔m〕,圧
〕 と す る と,断
㎡ 〕,A2〔 ㎡ 〕,流 速 を υ1 力 をp1〔Pa〕,〔N/㎡
〕,
面 ① を 通 る 流 体 の 運 動 エ ネ ル ギ と位 置 の エ ネ ル ギ
位 時 間 で は 次 の よ うに な る。 υ12
ρgQ /2g +ρgQZ1〔N・m/s〕 こ こ に,ρ9;比
重 量 〔N/m3〕,ρgQ;単
る 。 同 様 に 断 面 ② で は,次
(4・3)
位 時 間 に 流 れ る 流 体 の 重 量 〔N/s〕 で あ
の よ う に な る。
υ22
ρgQ
/2g
+ρgQZ2〔N・m/s〕
(4・4)
断 面 ① と断 面 ② の 間 で,運 動 の エ ネ ル ギ と位 置 の エ ネ ル ギ の和 に 増加 が あ っ た とす れ ば,単 位 時 間 の エ ネ ル ギ の 増加 量 は,次 の 式 で 表 す こ とが で き る。
(4・5)
次 に,断 面 ① の 流 体 が 受 け て い る 力 はp1A1〔N〕
で あ る か ら,単 位 時 間 の 仕 事
は, p1A1υ1=p1Q〔N・m/s〕
(4・6)
で あ り,断 面 ② に お け る流 体 が 前 に 進 む 流体 に与 え る単 位 時 間 の仕 事 は, p2A2υ2=p2Q〔N・m/s〕
(4・7)
で あ る。 した が っ て,断 面 ①,②
の 間 で流 体 が 単 位 時 間 に 受 け た仕 事 と,与 え た
仕 事 の 差 は, (p1Q)-(p2Q)〔N・m/s〕
(4・8)
で あ る。
エ ネ ル ギ保 存 の 法 則 か ら,断 面 ①,②
の エ ネ ル ギの 増 加 量 は,こ
の部 分 の 流 体
が 単 位 時 間 に外 部 よ り受 け た仕 事 に等 しい 。し た が って,式(4・5)と 式(4・8)よ り, (4・9)
と な り,式(4・9)を
ρgQで
割 っ て,移
項す ると
(4・10)
と な る 。 こ の 関 係 を ベ ル ヌ ー イ の 定 理(Bernoulli′s
theorem)と
い う。
流 体 が 定 常 流 で 流 れ る と き,各 断面 に お け る三 種 類 の エ ネ ル ギ の和 は,ど
こも
同 じ値 に な る こ と を示 して い る。 こ れ を一 般 式 で 表 す と, (一 定)
(4・11)
υ2
と な る。
p /ρ9
/2g
を速 度 ヘ ッ ド (velocity head),
Z を位 置 ヘ ッ ド (potential head),
を圧 力 ヘ ッ ド (pressure head), H を全 ヘ ッ ド (totalhead)
とい う。
いず れ
も 単 位 は 〔m〕 で あ る 。 式(4・11)の
等 式 の 左 右 に g を 乗 ず れ ば,
〔N・m/㎏
(一 定)
〕,
〔J/㎏)
(4・12)
と な り,流 体 の 単 位 質 量 当 た り の エ ネ ル ギ を 表 し て い る 。 式(4・11),式(4・12)共, ベ ル ヌ ー イ の 式 で あ る が,式(4・11)
例題
図4・12の
垂 直 管 の 中 を,上
m下
に よ く使 わ れ る 式 で あ る 。
よ う に,径 の 異 な る か ら下 に水 が 流 れ て
い る 。流 量 は8.4m3/minで,断 圧 力 は70kPaで
,式(4・12)共
面①の
あ る 。断 面 ① よ り1.5
の 断 面 ② に お け る圧 力 を求 め よ。
た だ し,水 の 密 度 ρ=1000㎏/m3と
す
る。
図
〔解 〕
断 面 ① と断 面 ② に お い て, ベ ル ヌー イ の 定 理 を適 用 す る と, 式(4・12)
よ り,
ま ず,
υl,υ2
4・12
を求 め れ ば,
連 続 の 法 則 よ り,
ま た,Z1-Z2=1.5m,ρ=1000kg/m3,g=9.8m/sで
あ る か ら,
4・4ト
リチ ェ リの 定 理 二 階 の水 は 出 が 悪 い
一 軒 の 家 の 中 で,一 階 と二 階 で水 の 出 か た が 異 な る こ とに気 がつ くと きが あ る。 一 般 に は,二 階 は一 階 よ り水 の 出か た が 悪 い 。 こ れ は 二 階 の水 圧 は 一 階 の水 圧 よ り低 い ため で あ る。 さ て,水 圧 と流 量 の 間 に どん な 関 係 が あ るの か調 べ て み よ う。 図4・14の よ う な タ ン ク の 液 体 が 底 面 また は 側 面 の 小 さな 穴 か ら流 れ 出 る と き の,流 出 速 度 ν2につ い て考 え て み よ う。 い ま,液
図4・13H1>H2∴Q1>Q2
面 ① と 流 出 穴 ② の 間 に ベ ル ヌ ー イ の 定 理 を 適 用 す る と,p1,p2と
気 圧 に 等 し く,p1=p2で
あ る か ら,式(4・11)よ
り
も大
図4・14
vlz +Z,= 2g と な るoま
た,大
vzz +ろ 2g
(4.13)
(m)
き な タ ン ク で は 液 面 の 降 下 速 度 υ1は 無 視(υ1≒0)で
vzz =Z,/ろ=H 2g と な るo上
ト リチ ェ リの 定 理
式 で,Hは
き る の で,
(4.14)
(m) 液 面 か ら 流 出 穴 ま で の 高 さ で あ る 。 し た が っ て,
(4.15) と な る 。 こ の 関 係 を ト リ チ ェ リの 定 理(Torricelli's 速 度 は,物 体 を高 さHか し,ト
い う。 こ の 流 出
ら 自 由 落 下 させ た と き に 物 体 の 得 る 速 度 に 等 し い 。 し か
リ チ ェ リの 定 理 は,空
い な い の で,実
theorem)と
気 の 抵 抗 や 流 出 穴 で の 摩 擦 な どに よ る 損 失 を考 え て
際 の 流 出 速 度 は こ れ よ りや や 小 さ く な る(実
際 の 流 出 速 度 は,
6・3節 オ リフ ィ ス 参 照)。 さ て,流
量Qは
流 出 穴 の 断 面 積Aと
流 出 速 度 υ2の積 で 表 さ れ,
(4.16) とな る。
二 階 の 水 の 出 か た が 悪 い の は,Hが ば,流 量Qも
小 さ いか らで あ る(水 圧Hが
大 き くな るが,式(4・16)よ
倍 に しなければ ならない。
大 き くな れ
り,流 量 を二 倍 にす る ため に は 水 圧 を四
例 題
大 き な水 そ うに水 を入 れ,水 面 下2mの
とこ ろ に 直径2cmの
あ け た ら,初 め に 出 る水 の 速 度 は い くらか 。 ま た,そ
穴を
の と きの 流 量 は い くら
か 。 た だ し,空 気 の 抵 抗 や 流 出 穴 で の摩 擦 は 無 視 す る。 〔解 〕
Q=Av2=
πx0.022
/4
×6.26=0.00197m3/s
(0.118 m3/min)
練 1.図4・15の 10cmに
よ う に,直 径20cmの
問
題
4
管が
細 くな っ て 管 路 内 を一 定 の 流
量 が 流 れ て い る と き,断 1m/sの
習
と き,断
面① の流速が
面② の細 い部分 にお
け る 流 速 を 求 め よ 。 ま た,こ
の と きの
流 量 は い くらか 。
図4・15
2.図4・16の
よ う な 絞 っ た 管 を水 平 に お き,こ れ に 毎 秒0
断 面 ①,②
に ど れ ほ ど の 圧 力 差 を 生 じ る か 。 た だ し,こ
メ ー タ で 測 る も の とす る 。
図4・16
.028m3の
水 を 流 す と,
の圧 力 差 hは水 銀 マ ノ
3.内 径2mの
円 筒 形 の 水 そ う の 側 面 に 内 径0.1mの
瞬 間 に お け る水 の 流 出 速 度 が2m/sで 速 度 を 求 め よ。 ま た,こ 4.吐
出 し 量3.6m3/minの
入 れ る と き,水
は,一 方 は150mm,他
量 を求 め よ。
る
あ っ た。 この と きの水 そ う内 の 水 面 降 下
の と きの 流 量 は い くらか 。 ポ ン プ を 用 い て 直 径3mの
直 立 円 筒 水 そ う内 に 水 を
そ う内 の水 面 の 上 昇 速 度 は い くらか 。
5.内 径200mmの
minで,150mmの
流 出 穴 を あ け た と き,あ
本 管 か ら Y 字 形 に 分 岐 さ れ て 水 が 流 れ て い る 。分 岐 管 の 内 径 方 は100mmで
あ る 。い ま,本 管 を 流 れ る 流 量 が2.4m3/
分 岐 管 の 流 速 が1.0m/sで
あ る と き,100mm管
の 流 速 と流
5 水 道 管 と水,ガ
ス 管 とガ ス
水 道 管 や ガ ス 管 に 限 らず,一 般 に 流体 輸 送 に使 われ る流 路(管 路 や 水 路)の
中
を流 体 が 流 れ る と,種 々 の エ ネル ギ損 失 を生 じ,流 体 の エ ネ ル ギ は減 少 す る。 圧 力 の あ る流体 を輸 送 す る場 合 に は 管 路 を用 い るが,管 路 を構 成 して い る 直 管, 曲 管,断
面 積 に 変 化 の あ る管,管 路 内 の弁 類 な どに 流 体 が ふ れ 合 う とエ ネ ル ギの
損 失 が 起 こ る わ け で あ る。 この エ ネル ギ損 失 は,ど の よ うな 原 因 に よ る もの な の か,ま
た,エ
ネ ル ギ損 失 の大 き さ は,ど れ ほ どの もの な の か調 べ て み よ う。
一 定 の エ ネ ル ギ(圧 力
,速 度)を
もつ 流体 が 必 要 な と きに は,流 路 の 途 中 で 失
うエ ネ ル ギ を考 慮 に 入 れ て,輸 送 源 で は あ らか じめ 余 分 の エ ネ ル ギ を流 体 に 与 え て お か な け れ ば な ら ない 。
5・1流
体摩 擦
人 ごみ の 中 を歩 け ば 疲 れ る 正 月 に 神 社 や お 寺 に初 詣 をす る人 の列,都 市 に お け る朝 夕 の 駅 周 辺 の 人 の 波, 雑 踏 の 中 に い る人 は,心
身 と もに 疲 れ を う っ た え る。 隣 の 人 の 肩 にふ れ,通 路 の
壁 に 当 た るの で,ま っす ぐに歩 くだ け の エ ネ ル ギの ほ か に,人 を よけ,壁 を よ け, ぶ つ か る もの を は ね 除 け るエ ネ ル ギ を余 分 に 消 耗 す る。 こ の こ とは,流 体 が 流 路 を流 れ る と き に似 て い る。 実 際 の 流体 に は粘 性 が あ り,運 動 をす る こ と に よ り抵 抗 を生 じ る。 こ の抵 抗 を 流 体 摩 擦(fluid friction)と い う。 流 体 摩 擦 は,内 部 摩 擦 と外 部 摩 擦 に分 け られ, 内部 摩 擦 は 流体 自身 の 分 子 間 に生 じ る(流 線 の 上 下 の 速 度 差 に よ って,流 体 の分 子 間 に 生 じ る摩 擦 力)も の で あ り,外 部 摩 擦 は,流 体 と接 触 壁 面 との 間 に生 じ る
図5・1
流体摩擦
も の で あ る。 こ の よ う に,輸
送 中 の 流 体 は 種 々 の 摩 擦 に よ っ て,エ
流 路 の 初 め に あ っ た 流 体 の エ ネ ルEpは,流
ネ ル ギ が 減 少 す る の で,
路 の 出 口 で は 減 少 し てE′pと
な る
(図5・2)。
図5・2
い ま,流 体 摩 擦 に よ る エ ネ ル ギ損 失 を eとす れ ば, Ep=Ep′+e
(5・1)
とな る。 した が って,流 路 の 出 口 で,あ
る必 要 エ ネ ル ギ を もつ 流 体 を得 る た め に
は,計 算 や 実 験 に よ っ て 流 路 内 で生 じ るエ ネ ル ギ損 失 eを求 め,あ
らか じめ 余 分
(Ep′+e)の エ ネ ル ギ を流 路 の 入 口 で液 体 に 与 え て お か なけ れ ば な ら な い。
5・2
直管 の損 失
お もに 管 の 内 壁 の 凹 凸 に 左 右 され るエ ネ ル ギ 損 失 流 体 が 直 管(ま っす ぐな 管)を 流 れ る と,流 体 摩 擦 に よ っ て摩 擦 損 失 が 生 じ る。 い ま,図5・3の
よ うに,管 径 の 等 しい 直管 を水 平 に お い て,2 点 ①,② に お け る
圧 力 ヘ ッ ドの 差h〔m〕 た こ とに な る。
を 測 れ ば,こ れ が 失 われ た 直 管 の 圧 力 損 失 をヘ ッ ドで 表 し
図5・3直
こ の よ う に,損 head)と
管 の 損 失 ヘ ッ ド測 定 例
失 圧 力 を ヘ ッ ドで 表 す と き,こ
れ を と く に 損 失 ヘ ッ ド(loss
of
い う。
原 則 的 に は,SI単 水 の 高 さ,す
位 で の 圧 力 単 位 はPa(ま
な わ ち ヘ ッ ド(mAq,mH2O)で
で 表 す と実 用 的,か
た は,N/m2)で
言 う よ り,屋
宜 上,
表 す こ と も あ る。 こ の 場 合 ヘ ッ ド
つ 合 理 的 で あ る場 合 に 限 る が 。 た と え ば,ビ
特 定 個 所 の 圧 力 をPaで
あ る が,便
ル 管 理 な ど で,
上 の 受 水 槽 ま で の 水 の 高 さ(水 柱)で 示 し た
方 が 実 用 的 で あ る 場 合 が 多 い 。 し た が っ て,ポ
ン プ を は じ め,水
こ の ヘ ッ ドが 使 わ れ て い る 。(10mAq=98.0kPa=1kgf/cm2)
車 な どに は よ く
直 管 の 損 失 ヘ ッ ドh〔m〕 例 し,内 径d〔m〕 て,直
は,直
管 の 長 さl〔m〕
と速 度 ヘ ッ ド υ2/2g〔m〕
に比
に 反 比 例 す る こ とが実 験 に よ って確 か め られ て い る。 した が っ
管 の 損 失 ヘ ッ ド h は,次
式 に よ っ て 表 す こ とが で き る 。
(5・2)*1
こ れ は,ま
た1N当
た り の エ ネ ル ギ(N・m)損
失 を 表 す 式 で も あ る 。 式(5・2)の
左 右 の 辺 に ρgを 乗 ず れ ば,
(5・3)
と な り,p
は 損 失 圧 力(lose
of pressure)を
〔Pa〕,〔N/m2〕
の 単 位 で 表 した こ と
に な る。 こ の 比 例 定 数 λ*2を 管 摩 擦 係 数 と い う 。 λ の 値 は,管
の内
壁 の 突起 凹 凸 の平 均 高 さ ε と 内 径 d と の 比 ε/dに
よ つ て,
と くに 変 化 す る 。 ま た,同
一 ε/
dに つ い て も層 流 か 乱 流(レ ノ ル ズ 数Re)に ん ど ε/dの
図5・4管
の 突 起(凹 凸)の 平 均 高 さ εと管 の 内 径 d
よ っ て も変 わ る 値 で あ る 。 た だ し,Reの
値 が 大 き く な る と,ほ
と
み に よ っ て λ の 値 は 決 定 す る。
表5・1は,管 は,長
イ
摩 擦 係 数 λ の 値 を 求 め る 式 を 表 し た も の で あ る が,こ
れ らの 結 果
い年 月 と多 くの 学 者 の努 力 に よ っ て だ さ れ た もの で あ る こ と を わ す れ て は
な ら な い。 市 販 の 新 し い 管 の λ に つ い て は,図5・5よ
り ε/dを
求 め,さ
ら に 図5・6の
ム ー
デ ィ 線 図 よ り 求 め る と便 利 で あ る 。 ま た,実 く,鋼
用 上,直
管 の 損 失 ヘ ッ ド を概 算 す る と き に は,円
*1
管 の 場 合,λ=0.03を
用 い る こ と もあ る。
こ の 式 を ダ ル シ ー ・ワ イ ス バ ッハ(Darcy
*2λ(ラ
ム ダ)
壁 のあ らさに関係 な
Weisbach)の
式 と呼 ん で い る。
表5・1
λの 実 用 式
υ 〔m/s〕;管
図5・5ε/dと
dの 関 係
内 平 均 流 速,d〔m〕;管
の 内径
図5・6ム
ー デ ィ線 図
例題
内 径20㎝
の 新 し い 鋳 鉄 管 に15℃
s)を 平 均 流 速2.8m/sで ま た,こ ま た,損
の鋳 鉄 管100mの
ま た,
5・6よ
図5・5よ
損 失ヘ ッ ドは何mか
d=200㎜
。
。
d=0.2m,
り,
粘 度v=1.15×10-6㎡/
流 す 場 合 の 管 摩 擦 係 数 を ム ー デ ィ線 図 よ り求 め よ。
失 圧 力 は 何Paか
υ=2.8m/s,
〔解 〕
の 水(動
で あ る か ら,
v=1.15×10-6㎡/s
ε/=0
で
.0013で
d
あ り,
Reと
ε/ d
の 関 係 か ら,図
り, λ ≒0.022
損失ヘ ッ ド
損失圧 力
特 に こ と わ りの な い場 合 は 水 の 密 度 は1000㎏/m3と
5・3
して あ つ か う。
管路の形状変化 による損失 じゃ 口 で 水 量 が 加 減 で き る の は
流 体 が 管 路 内 を流 れ る と,管 の 断 面積 や 形 の変 化,流
れ の 方 向変 化,管
路 内の
障 害 物 の 存 在 な ど に よ って もエ ネ ル ギは 消 費 さ れ,損 失 を生 ず る。 い ま,管 内 の 速 度 ヘ ッ ドを υ2/2g〔m〕 とす れ ば,一 般 に,損 失 は,速 度 ヘ ッ ド に 比例 す る こ とが 確 か め られ て い るの で, h=ζ
υ2 /2g
〔m〕,
ま た は,
p=ζ
ρυ2/ 2
〔Pa〕
(5・4)
で 表 さ れ,比 例 定
ζ*1を損 失 係 数 とい う。こ の 損 失 係 数 は,実 験 に よ っ て求 め ら
れ る値 で あ る。 以下,い
ろ い ろ な形 状 の 損 失 係 数 に つ い て調 べ て み よ う。
〔1〕 管 路 入 口 の 形 状 変 化 に よ る損 失 係 数 ダ ムや 大 きな容 器 か ら管 路 へ 流 体 を導 く と き,管 路 入 口 の形 状 変 化 に よ る損 失 が 生 じ る。 この と きの 損 失 係 数 は,図5・7に
図5・7入
記 入 した よ うな値 に な る。
口の 形状 と損 失係 数 ζの値
〔2〕 断 面 が 急 に拡 大 す ると きの 損 失係 数 図5・8は,急
に拡 大 され る管 の 損 失 ヘ
ッ ドを示 した も の で あ るが,断 面 ① の 面 積 をA1,断
面② の 面 積 をA2と
す る と,
損 失 係 数 ζは,
図5・8拡
大 管 の損 失ヘ ッ ド
*1
ζ(ツェー タ)
*2
一 般 に,断 面積 が変 化 して υ が 変 わ る とき,大 きい ほ うの υ を とって ζ υ2/2gと す る。
(5・5)
ξ≒1 で 表 さ れ る 。 し た が っ て,
ま た は,
(5・6)
〔3〕 断 面 が ゆ る や か に 拡 大 す る と き の 損 失 係 数 ゆ るや か な拡 大 管 の 損 失 係 数 ζは,式(5・4)と 同 じで あ るが,ξ ≒1で は な く, 拡 大 管 の 角 度 θ(度)に 図5・10は,ξ
よ って 異 な る。
と θ゚の関 係 を表 す ギプ ソ ン の実 験 結 果 で あ る。
図5・9ゆ
るや か な 拡 大 管 の 損 失 ヘ ッ ド
〔4〕 断 面 が 急 に収 縮 す る ときの損 失 係 数 図5・11は,急 をA1,②
に 収 縮 す る 管 の 損 失 ヘ ッ ド を 示 し た も の で あ る が,断
の 面 積 をA2と
す る と,損
面① の面積
失 係 数 ζ は,
(5・7)
と な り,こ *2
の 場 合,損
ξ(ク シ イ)
失 を 表 す 式 は,υ2を
使 っ て,
図5・10ギ
プ ソ ンの実 験 結果
図5・11収
縮 管 の損 失 ヘ ッ ド
ま た は,
と な る 。A2/A1に 結 果 で あ る。
対 す る ζ の 値 を 表5・2に
示 し た が,こ
(5・8)
れ は ワ イ ス バ ッハ の 実 験
表5・2
ワ イス バ ッハ の 実験 結 果
〔5〕 断 面が ゆ るや か に 収縮 す ると きの損 失 係 数 ゆ るや か に 収 縮 す る管 で は,そ の 細 ま り角 度 θが 小 さ い(30°以 下)と 状 変 化 に よ る損 失 は,ほ
きは,形
とん ど 0で あ っ
て 無 視 して よ い。 し たが っ て,こ の 場 合 は,管 摩 擦(直
管 の 場 合 と同 様)に
よる
図5・12
ゆ るや か な収 縮管
損 失 の み に な る と考 え て よい 。
〔6〕 流 れ の 方 向 を変 え る管 の 損 失 係 数 流 れ の方 向 を変 え る,エ ル ボや ベ ン ドの 損 失 係 数 を求 め るの に,よ
くワ イ スバ
ッハ の 式 が使 わ れ て い る。 エル ボの損失係 数
(5・9)
ベ ン ドの 損 失 係 数
(5・10)
図5・13
エ ル ボ とベ ン ド
〔7〕 弁 類(仕
切 弁,玉
管 路 の 途 中 に,流
形 弁,コ
ッ ク,ち
ょ う形 弁)の
量 を加 減 す る た め に,仕 切 弁,玉
を お く。 こ れ ら弁 類 に よ っ て流 れ が 妨 げ られ,激
形 弁,コ
損失係数 ッ ク,ち
ょ う形 弁
しい うず をつ くる原 因 とな って
エ ネ ル ギ損 失 が 生 ず る。
図5・14
図5・15
弁 類 の損 失 ヘ ッ ド
弁 類(仕 切 弁,玉
形 弁,コ
ッ ク,ち
ょ う 形 弁)
仕 切 弁 は,全 開 時 に も っ と も損 失 の 少 な い弁 で あ り,玉 形 弁 は,高 圧 に 適 す る 弁 で あ る。 コ ッ クは,管
内の 流 れ を急 閉鎖 す る と きに使 わ れ,ち
きな 管 内 の 流 量 調 整 や 自動 車 の気 化 器 な どに使 わ れ て い る。
ょ う形 弁 は,大
表5・3は,各
種 弁 類 の 開 度 と損 失 係 数 との 関係 を表 した もの で あ る。 表5・3
各種 弁 類 の損 失 係数 ζの 一例 (a)円 形 仕切 弁 の ζ 〔 例〕
d:口
径,h:弁
の 開 き(1in≒25.4mm)
(b)1inね
じ込 み 玉 形 弁 の ζ 〔 例 〕
(c)円
(d)円
形 コ ッ クの ζ 〔 例〕
形 ち ょ う形 弁 の ζ 〔例 〕
〔8〕 管 路 出 口 の 損 失
管路 の 出 口で 流 体 の 運 動 エ ネ ル ギ を利 用 しな い と きは,出
口 に お け る速 度 ヘ ッ
ドも損 失 とみ な され る。 出 口 の 流 速 を υ〔m/s〕 とす る と,損 失 ヘ ッ ドは h= と な る。
υ2/ 2g
〔m〕
(5・11)
〔9〕 管 路 入 口 の 全 ヘ ッ ドHt〔m〕
と 管 路 の 諸 損 失 ヘ ッ ド 〔m〕 と の 関 係
い ま,管 径 の 等 し い(管 の 内径=d)管
路 に お い て,直 管 部分 の損 失 ヘ ッ ドや,
管 路 の 形 状 変 化 に よ る諸 損 失 ヘ ッ ド,お よび 管 路 出 口の 速 度 ヘ ッ ドを考 え る と, 管 路 入 口 に お け る全 ヘ ッ ドHtは,次
の 式 で表 す こ とが で き る。 (5・12)
た だ し,Σ
ζ;管 路 の 形 状 変 化 に よ る損 失 係 数 の 和
式(5・12)よ り,管 内 の 流 速 υ を求 め れ ば, (5・13)
と な り,管
路 の 損 失 が 大 き い ほ ど,管
管 の 内 径 をd〔m〕(面
内 の 流 速 は 小 さ くな る。
積A=πd2/4)と
す れ ば,流
量 Q は (5・14)
と な る。 水 道 の じゃ 口を締 め れ ば,じ
ゃ 口の 損 失 係 数 が 増 し,流 速 が 小 さ くな っ
て 流 量 が 減 少 す る こ とに な る。 ま た,ポ 圧 力Htが
ンプ で 送 水 す る場 合 に,ポ
ンプの吐 出 し
大 き くて も,管 路 が 長 か っ た り,管 路 の 形 状 変 化 が 激 しい と きは,流 量
が 相 当 に 減 少 す る もの で あ る。 例
題
と き,出 る。 〔解 〕
図5・16に 示 す よ う に,水
そ うか ら内 径10cmの
鋼 管 で配管 をした
口 の 流 量 は い くらか 。 た だ し,水 面 の 降 下 速 度 は 無 視 す る もの とす
図5・16
〔10〕 管 路 内 の 実 用 流 速 一般 に
,上 水 道 の 管 路 内 の 流 速 υ は,0.6∼1.5m/sに
て い る。 ま た,ポ
ン プ か ら 配 管 さ れ た 管 路 で は,ポ
を 水 柱 で 表 し た も の)の20%以
な る よ うに 管 径 を設 計 し ン プ 出 口 の 圧 力 ヘ ッ ド(圧
内 の 損 失 で す む な ら ば,管
力
路 内 の 流 速 は2.5m/s
程 度 に して も よ い 。
水 力 発 電 所 の 導水 管 で は,ふ つ う2∼3m/sと
す るが,落 差 の 大 き い もの は5m/
sに 達 す る もの もあ る。 消 火 用 ホ ー ス で は10m/s程
度 ま で 使 用 さ れ る が,ふ
つ う は3∼4m/sで
あ る。
この よ うに 管 内 の 流 速 が き ま れ ば,逆 に 式(5・12)を 使 い,管 路 の 諸 損 失 ヘ ッ ド を計 算 し,管 路 入 口の 全 ヘ ッ ドHtが 計 算 で き る の で,必 要 とす る ポ ンプ の 吐 出 し
圧 力 を求 め る こ とが で きる。
5・4 実 際 の送 水 管 ――管 路 を 流 れ る 流 体 は エ ネ ル ギ を もつ 管 路 出 口 の水 の もつ エ ネ ル ギ を利 用 した もの に 水 車 が あ る。 水 力 発 電所 の 水 車 は,水
の もつ エ ネ ル ギ を利 用 して 発 電 機 を 回 し,電 気 エ ネ ル ギ をつ くる役 割 を果
た して い る。 い ま,実 際 に ダム の 水 面 か ら水 車 まで の 高 さ(総 落差 とい う)がHt 〔m〕あ っ た と して も,5・3節 で 述べ た よ うな 損 失 ヘ ッ ドが 送 水 管 路 で 生 じ るの で, 水 車 に働 く圧 力 ヘ ッ ド H(有
効 落 差 とい う)は,次
の よ うに な る。
H=Ht-ht〔m〕 こ こ に,Ht;水
ht;総
し た が っ て,管
(5・15)
車 の 場 合 は 総 落 差 と い う(全
ヘ ッ ド)。
損 失ヘ ッ ド
路 出 口 に お い て 水 の もつ エ ネ ル ギ(水 動 力)Lthは,次
の よ うに
な る。
Lth=ρgQH〔W〕,〔J/s〕
(5・16)
水 車 の 効 率 を η とす れ ば,実 際 に水 車 の軸 に 発 生 す る有 効 動 力(正 味 出 力)L は, L=ηLth〔W〕
(5・16)
で あ る。
5・5
水 撃作 用
――圧 力波の発生 充 満 し て流 れ て い る管 路 内の 流 体 が,弁
に よ って 急 に 閉 鎖 さ れ る と,弁 の 直 前
で 圧 力 は 著 し く上 昇 す る。 ま た,静 止 して い る管 路 内 の 流 体 は,弁
を急 に 開 くこ
と に よ っ て流 れ だ す と,圧 力 は著 し く降 下 す る。 こ の よ うな 現 象 を水 撃 作 用 ま た
は,ウ
ォ ー タ ハ ン マ ー(waterhammering)と
い う。 場 合 に よ っ て は 流 体 機 械 や
管 路 を 破 損 させ る 原 因 に な る。
この よ うな圧 力 上 昇(ま
た は圧 力 降 下)は,弁
よ って まず 圧 縮 され て 高 圧(低 圧)に
直 前 の 流体 が 後 か ら く る流体 に
な り,つ い で,こ の 圧 力 上 昇(圧
力 降 下)
は,圧 力 波 とな って 一 定 速 度 で上 流 に伝 わ っ て ゆ く*。
(a)
(b)
図5・17水
ま た,鋼
管 を 使 用 す れ ば,d./S(d:管
波 の 伝 わ り速 度aは,お *こ
撃作 用 に よ る流体 の 圧 力上 昇
の 内 径,S:管
お よ そ,表5・4の
の と き の 圧 力 波 の 伝 わ り速 度aは,ア
材 の 厚 さ)に
対 す る圧 力
よ うに な る。
リ エ ビ(Allievi)に
よ る と,
(5.18) で あ る。 た だ し,1(:流
い ま,か
体 の 体 積 弾 性 係 数 〔Pa〕,9:重
ρ:流
体 の 密 度 〔kg/m3〕,E:管
S:管
材 の 厚 さ 〔m〕
りに15℃
を 使 用 し てE=208GPaと
材 の 縦 弾 性 係 数 〔Pa〕,d:管
の 内径
〔m〕,
の 水 の 場 合 に つ い て,ρ=999kg/m3,×=2.15GPa(G→109)と し た と きのaの
式(5・18)に,K=2.15GPa,ρ=999kg/m3,E=208GPaを
と な る。
力 の 加 速 度9+8〔m/s2〕,
値 を(d/S)の
関 数 と し た 式 で 表 せ ば, 代 入 し て,
し,鋼
管
表5・4鋼 管 円 を流 れ る水 の 水 激作 用 に よ る圧 力波 の伝 わ り速 度
図5・18水
撃 作用 に よる圧 力上 昇
図5・18の よ う な長 さl〔m〕 の 管 の 先 端 に弁 を設 け,こ れ を急 に閉 鎖 す れ ば,圧 力 の変 化 は 波 動 とな って 管 路 内 を往 復 す る。 こ の と きの圧 力 波 の 伝 わ り速 度 は a で あ る の で,弁 直 前 の 圧 力 上 昇 が 反 射 して再 び弁 の 位 置 まで も ど る時 間 T は, 2l/ a
T=
(5・20)
〔s〕
で あ る 。 弁 の 閉 鎖 時 間 が こ れ よ り小 さ い と き(T≦2l/a)を い と き(T>2l/a)を
急 閉 鎖 と い い,大
緩 閉 鎖 と い う。
急 閉 鎖 の と き に 強 い水 撃 作 用 を お こ し,圧 力 上 昇 の 最 大 値hmaxを で 表 す と,次
き
ヘ ッ ド〔 m〕
式 の よ う に な る。
hmax= た だ し,υ;管
aυ/ g
〔m 〕
(5・21)
路 内 の 流体 の弁 を閉鎖 す る前 の 流 速 〔m/s〕
緩 閉 鎖 で 発 生 した は じめ の圧 力 波 は,再
び弁 に も ど る とき に,ま だ 弁 の 一 部 は
開 い て い るの で,そ こか ら流 体 が逃 げ,圧 力 上 昇 は 急 閉 鎖 よ り低 く問題 は少 な い。 水 撃 作 用 の被 害 を少 な くす るた め に,弁
の 開 閉 は 徐 々 に行 な うか,上 昇 圧 力 の エ
ネ ル ギ を他 に 逃 が す工 夫*を す べ きで あ る。 *水
力発 電所 の サ ー ジ タン ク,ペ ル トン水 車 の そ らせ 板 な ど。
5・6水
路の流れ
―― 河 は 流 れ る 河 川 や み ぞ の 中 を水 が 流 れ るの は,水
面 に傾 きが あ るた め で あ る。 水 路 の 上 部
が 大 気 に接 して い る水 路 を開 き ょ と い い,上 部 が 閉 じた水 路 を暗 き ょ とい う。 図5・19は,代
表 的 な水 路 で あ る。
図5・19水
路
流 れ の 断 面 積A〔 ㎡ 〕と,水 に 接 し て い る水 路 の 壁 の長 さ(ぬ れ ぶ ち)L〔m〕 と の 比 を水 力 水 深 とい う。 水 力 水 深 をhmと hm=
A /L
〔m〕
す る と, (5・22)
とな る。
い ま,長 方 形 開 き ょ,台 形 開 き ょ,円 形 暗 き ょ の 水 力 水 深 を ,そ れ ぞ れhm1,h㎡ hm3,と
すれば hm1=
BH / B+2H
〔m〕
(5・23)
とな る。 傾 き がi(tanθ)の
水 路 内 の 流 速 を υ と す れ ば,シ
ェ ジー の 式 は,次
の よ うに
な っ て い る。 υ=C√hmi
C の値 は,バ
〔m/s〕
ザ ン の実 験 式 に よ る と
で あ る 。 た だ し,β の 値 は,な り,割
(5・24)
石 積 の 場 合 は0.46で
め ら か な セ メ ン ト面,削
っ た 木 の 場 合 は0.006で
あ る。
図5・20水
路 の傾 き
水 路 の こ う配 を大 き くとれ ば,流 速 が 大 き くな って 流 量 を増 す が,壁 を早 め る。 ま た,こ
あ
面の損傷
う配 が小 さ い と水 路 の 底 面 に 土砂 が た ま る。 表5・5は,開
き
ょの 実 用 流 速 で あ る。 表5・5開
きょ実 用 流速
日本 機 械 学会 編 「機 械工 学 便 覧 」 よ り
練 1.0.045m3/sの
流 量 の 水 を鉄 管 で 送 る の に,100m当
習
問
題
5
た り の 損 失 ヘ ッ ド を1m
に と ど め た い 。 こ の と き の 管 の 内 径 は い く ら に し た ら よ い か 。 た だ し,λ=0.03 とす る。 2.水
平 に お い た 管 を,内
径 が15cmか
ッ ド を 求 め よ 。 た だ し θ=6°,管 3.全
長800mの
ら30cmに
徐 々 に拡 大 した と きの 損失 ヘ
内 の 流 量 を0.0625m3/sと
管 路 内 を 水 が3m/sで
す る。
流 れ て い る 。 出 口 の 弁 を1.0秒
で 閉 じた
と き,圧 力 は ど の く ら い 上 昇 す る か 。た だ し,圧 力 波 の 伝 わ り速 度 を900m/sと す る。 4.幅12mの ち,お 5.幅6mの
長 方 形 水 路 で 送 水 す る の に 深 さ が3mで よ び水 力水 深 は い くらか 。 長 方 形 水 路 で,34m3/sの
水 を 水 深3mで
い く ら に し た ら よ い か 。 流 量 係 数 C は β=0.16と よ。
あ っ た 。こ の と き の ぬ れ ぶ
送 る に は,水 路 の こ う配 を し て バ ザ ン の 式 よ り算 出 せ
6 流 量 を は か るに は 単位 時 間(1 秒 当 た り,1 分 当 た りな ど)に 流 れ る 流体 の 量(m3,〓)を
測定 す
る こ と を流 量 測 定 とい う。 流 量 測定 は工 業 上 きわ め て た いせ つ な こ と で,水 車 や ポ ンプ お よ び ター ビ ン な ど の流 体 機 械 の 性 能 を調 べ る う えに も,ぜ ひ 必 要 な こ と で あ る。 流 量 測 定 の 方 法 に は色 々 あ るが,次
に,そ の 代 表 的 な もの をあ げ る。
6・1
図6・1は,液
体 の 流 量 を測 る方 法 の 中 で は,も
確 な流 量 測 定 法 で あ る。 液 体 を,あ 入 れ,V
容積 式(体 積)流 量計 っ と も簡 単 な方 法 で あ るが,正
らか じめ わ か っ て い る体 積V〔m3〕
の容器 に
を満 た す 時 間t〔s〕 を測 れ ば 流 量 Q は,次 式 で求 め られ る。
Q=
V /t
〔m3/s〕
図6・1簡
(6・1)
単 な 流量 測 定(容 積 式 流 量計)
この 方 法 は,他 の 流 量 計 の 目盛検 定 に使 わ れ る な ど,注 意 を して行 な え ば 誤 差 が 少 な い。 〔 参 考 〕JISの
方 法 に よれ ば,容 器 の 体 積 や 液 量 を測 る 目盛 は,厳 密 な 試 験 に よ
って 定 め,容 器 内 の液 位 の 高低 差 を500mm以 体 を入 れ る 時 間 の 測 定 は,1/10sま
上 と し,ま た,容 器 に液
で読 み とる こ との で き る正 確 な 計 器
を用 い る こ とに な っ て い る。 流 量Q〔m3/s〕
の こ と を,質
量 流 量Q質
〔kg/s〕,重
量 流 量Q重
〔N/s〕 に 対 し て
体 積 流 量 と呼 ぶ と きが あ る。 質 量 流 量 Q 質 を 求 め た い と き は,ふ 値 に 液 体 に 限 ら ず,そ
つ う,Q(体
積 流 量)〔m3/s〕
を 求 め,そ
の
の 流 体 の 密 度 ρ 〔kg/m3〕 の 値 を 乗 じ て 求 め れ ば よ い 。 す な
わ ち, Q質=pQ〔kg/s〕 で あ る 。 つ ぎ に,重 を 求 め,そ
(6・1)
量 流 量Q重
〔N/s〕 を 求 め た い と き は,Q(体
の 値 に そ の 流 体 の 単 位 体 積 当 た り の 重 量,す
積 流 量)〔m3/s〕
な わ ち 比 重 量 ρg〔N/m3〕
を 乗 じ て 求 め れ ば よ い 。 す な わ ち, Q重=ρgQ〔N/s〕
(6・2)
で あ る 。 ま た,秤 の 上 に 容 器 を の せ て,そ の 容 器 に 入 る 液 体 がW〔N〕 間t〔s〕
を 測 り,Q重=W/t〔N/s〕
で 求 め て も よい 。
い ず れ に し て も体 積 流 量Q〔m3/s〕 り,単
を満 た す 時
が 基 本 で あ り,ま
た,よ
く使 わ れ る 値 で あ
に流 量 とい う場 合 が 多 い。
6・2
ベ ン チ ュ リ計(venturi ら れ た 管(ベ
meter)は,圧
ン チ ュ リ管)が
あ っ て,そ
よ っ て 流 量 を 求 め る も の で,オ い ま,図6・3の
よ う に,ベ
ベ ンチ ュ リ計
力 損 失 の 少 な い 沸量 計 で あ る。 内部 に 絞 の 前 後 の 圧 力 ヘ ッ ドH〔m〕
を測 る こ とに
リ フ ィ ス 同 様,差 圧 式 流 量 計 の 一 種 で あ る(図6・2)。
ン チ ュ リ計 を 水 平 に お い て,絞
① と② に ベ ル ヌ ー イ の 定 理 を 適 用 す る と,Z1=Z2で
られ た管 の 前 後 の 断 面
あ る か ら,次
式 が 成 りた つ 。
図6・2
ベ ン チ ュ リ計(JIS
図6・3
ま た,連 続 の 定 理
B8302)
ベ ン チ ュ リ計 の 原 理
よ り,
で あ る か ら,こ れ を
上 式 に 代 入 す る と,
(p1-p2)/ρgは,断 p2)/ρg=Hで
面 ① と断 面 ② に お け る 圧 力 ヘ ッ ドの 差H〔m〕
あ る か ら, m=d2/D2(開
口 比 と い う)と
す る と,
で あ り,(p1-
図6・4
υ2の 求 め 方
と な る 。 ま た,
(6・3)
と な る 。 し た が っ て,流
量 Q は
と な る。 しか し,実 際 は 多少 の エ ネ ル ギ 損 失 が あ っ て,実 流 量 Q は
または で 表 す 。 こ こ で,C
(6・4)
を流 量 係 数 とい い,ふ つ うは0.95∼0.99の
値 で あ る。
ベ ン チ ュ リ計 の流 量係 数 C を,あ らか じめ 検 定 に よ って 決 め られ た値 の もの を 使 用 す れ ば,断 面 ① と② の 内径 が わ か っ て い る の で,圧 力 ヘ ッ ドの 差H〔m〕 る こ とに よ って 実 流 量 Q を測 定 す る こ とが で き る。
を測
図6・5は,レ
イ ノ ル ズ数Reと
流 量 係 数 C との 関係 を あ らわ し た線 図 で あ る。
なお,流 量 係 数 C は,管 内 の 流 速 が あ る一 定 以 上 に な る と,一 定 値 に な る こ とが わ か っ て い る。 た だ し,流 体 が 気 体 の場 合 は,流
図6・5ベ
例 題
図6・3の
ン チ ュ リ計 の 流 量 係 数 の 一 例
ベ ン チ ュ リ計 に お い て,D=15cm,d=5cmで,圧
水 銀 柱80mmの
力差が
と き,流 量 を求 め よ 。 た だ し,流 量 係 数C=0.98と
流 体 は 水 と す る 。 た だ し,水
銀 の 比 重13.6,水
〔解 〕 圧 力 差 が 水 銀 柱 で 示 さ れ て い る の で,ヘ H=(水 =0 ま た,開
量係 数 は1% 程 度 大 き くな る。
銀 柱h)×(水
口 比 m は,
流 量Qは,式(6・4)よ
り,
の 比 重 を 1とす る。
ッ ド(水 柱)H
銀 の 比 重 − 水 の 比 重)
.08×(13.6-1)=1.008mAq
し,使 用
に 換 算 す れ ば,
6・3オ
リ フ ィス
幾 何 学 的 に 規 則 正 し い 穴 か ら,流 体(液 体,気
体)を
流 出 さ せ る と き,こ
オ リ フ ィ ス(orifice)と い ま,図6・6の
の穴 を
い う。
よ うな オ リフ ィ ス か ら
の 流 体 の 流 出 速 度 υ は,オ 前 の ヘ ッ ド をH〔m〕
リフ ィ ス の 手
と す れ ば,ト
リチ
ェ リ の 定 理 か ら, 図6・6オ
リ フ ィ ス
υ=√2gH(m/s)
と な る。 しか し,実 際 に は粘 性 や 壁 面 な どで 起 こ る内 部 摩 擦 や 外 部 摩 擦 の ため, この 値 よ りや や 小 さ くな り,実 速 度 νは, (6・5)
と な る 。 こ のCυ
を 速 度 係 数 と い い,ふ
リ フ ィ ス か ら で る 流 体 は 縮 み(縮 い う 。 し た が っ て,噴
流 の 径d〔m〕
流)を
つ う は0.93∼0.98の
値 で あ る 。 ま た,オ
起 こ す 。 こ の 部 分 の 流 れ を 噴 流(jet)と
は,オ
リ フ ィ ス の 径D〔m〕
よ り小 さ く な る 。
噴 流 の 断 面 積 a と オ リフ ィ ス の 面 積 A と の 比 Ccは,
で 表 さ れ,収 っ て,実
縮 係 数 と い う 。 ふ つ う,水
の 場 合 は0.61∼0.66の
値 で あ る。 した が
流 量 Q は,
(6・6)
で あ る。 こ こ で,CυCc=Cと
と な る。 こ の C を,オ 68の
値 で あ る。
お く と,実
流量 Q は
リ フ ィ ス の 流 量 係 数 と い い,ふ
つ う,水
の 場 合 は0.59∼0.
図6・7管
図6・8の
図6・8管
オ リ フ ィ ス(JISB8302)
よ う に,管
オ リフ ィ ス の 原 理
内 に も うけ た オ リフ ィ ス を管 オ リ フ ィ ス とい う。
管 を 水 平 に お き,管 オ リ フ ィ ス 前 後 の 圧 力 ヘ ッ ド差 H す れ ば,実
〔=(p1-p2)/ρg〕
を測 定
流量 Q は
ま た は,
(6・8)
と な る。
C は 管 オ リ フ ィ ス の 流 量 係 数 で,ふ
つ う は0.60∼0.80で
あ る 。 し た が っ て,管
オ リ フ ィ ス の 流 量 係 数 C を あ らか じ め 検 定 に よ っ て 決 め ら れ た 値 を使 用 す れ ば, 管 オ リ フ ィ ス の 内 径d0が
わ か っ て い る の で,ヘ
ッ ド差H〔m〕
を測 って 実 流 量 Q
を求 め る こ とが で き る。 流 量 係 数 C は,図6・9の
よ う な 傾 向 を示 す が,レ
イ ノ ル ズ 数Reと
開 口比 m に
よ っ て 決 ま る値 で あ る こ とが 実 験 に よ っ て 確 か め ら れ て い る 。 ま た,C
の 値 は,
図6・9管
オ リフ ィ スの 流 量 係 数 と レ イ ノ ル ズ数 の 関 係 の 例
そ れ ぞ れ の m に 対 して,レ
イ ノ ル ズ数 が あ る値 に 達 す る と(管 径 D と動 粘 度 ν
が 決 ま っ て い れ ば,流 速 υが あ る値 に達 す る と),一 定 値 に な る。この 一 定 値 C と m の 関 係 を示 した グ ラ フが,図6・10で 路 の 入 口 に お い た場 合(Ce),途
あ る。た だ し,流 量 係 数 は オ リフ ィ ス を管
中 に お い た場 合(Cc),出
口に お い た場 合(Ca)に
よ っ て 異 な っ た値 に な る。 た だ し,気 体 の 場 合 は 膨 張 に関 す る修 正 を行 な う必 要 が あ り,次 式 の よ うに 修 正 係 数 ε をか け る こ とに な る。
ま た は,
(6・9)
た だ し,ε=1-C′
P2は,そ
P1-P2/ P1
れ ぞ れp1,p2の
で,c′
の 値 は 図6・10の
絶 対 圧 で あ る。
図 中 に 示 し て あ る 。 ま た,P1,
図6・10管
例 題
オ リ フ ィ ス の 径d0=40mm,管
0.62と
オ リ フ ィ スの 流 量 係 数
の 内 径D=80mmの
し て 水 の 質 量 流 量 を 求 め よ 。 た だ し,圧
密 度 を1000kg/m3と
流量係 数 C を
力 ヘ ッ ドの 差H=2m,水
の
す る。
〔解 〕
式(6・1)よ
り,
管 内 オ リ フ ィ ス を 管 路 の 途 中 に 取 り付 け る と き に は,ふ を,次
に 示 す 値 を 目安 に し た 方 が よ い(図6・11と
た だ し,図6・12は
表6・1参
つ う,直
管 前 後 の長 さ
照)。
整 流 格 子(流 体 の乱 れ を少 な くす る装 置)を 示 す が,こ
の整
流格 子 を管 内 オ リフ ィス の 上 流 側 に つ け る と きは,上 流 側 の 直 管 の 長 さL1は 基準 の 長 さ よ り,短 い 上 流 直 管 長 さ とす る こ とが で き る。
(b)
(a)
(c)
(d)
図6・11管
表6・1管
図6・12整
オ リフ ィ スの取 付 位置
オ リフ ィス 前後 の 直 管 の長 さ
流格 子 の例(AMCA式
整 流装 置)
6・4
せ
き
水 路 の下 流 に流 れ をせ き止 め る板 を お き,こ れ に 幾何 学 的 に正 し い形 の 切 り欠
き をつ く り,こ
れ よ り水 を 流 出 さ せ る よ う に し た も の を せ き(weir)と
き よ り上 流 の 水 面 と,せ
き の 上 縁 と の 高 さ(せ
れ に よ っ て 流 量(一 般 にm3/min)を
き の ヘ ッ ド)H〔m〕
求 め る こ と が で き る 。 図6・13に
せ き の 上 縁 は 内 側 か ら 直 角 に 約2mmで,直
を 測 定 し,こ 示 す よ う に,
角 に 丸 み が あ っ て は い け な い。ま
せ き の 内 側 は 上 縁 よ り100mm以
内 は,特
水 路 内 の 流 れ が,な
が 立 た な い よ う,せ
め ら か に,波
い う。 せ
に な め ら か に す る 必 要 が あ る 。 な お, き の上 流 に整 流 格 子 を取 り
付 け る。 図6・14は,お
も な せ き の 種 類 とJISの
図6・13水
(a)直 角三 角 せ き 図6・14せ
た,
流 量 公 式 を示 し た も の で あ る 。
路 とせ き の 断 面
(b)四 角 せ き き の 種 類 とJISの
(c)全 幅 せ き 流 量 公式
6・5
ピ トー 管(pito
tube)は,主
と して 管 路(水
ピ トー 管
管や 風 胴)内 の 流 速 を測 る もの で
あ る が,管 路 の平 均 流 速 と,断 面 積 の積 に よ っ て 流 量 を求 め る こ とが で き る。
図6・15ピ
図6・16は,ピ
トー 管
トー 管 の 原 理 を 示 し た も
の で あ る。 流 体 の 流 れ に 直 角 な 小 管 A と,流 れ に 平 行 な 小 管 B が 一 組 に な っ て い る 。小 管 A に は 圧 力 ヘ ッ ドp1/ρgが, 小 管 B に は 全 ヘ ッ ド(流 れ の 速 度 ヘ ッ ド υ2/2gと 圧 力 ヘ ッ ドp1/ρgの 和)p/ρgが あ らわ れ る。 い ま,断
面① でベ ル ヌー イ の定 理 を適 図6・16ピ
トー 管 の 原 理
用 す る と,
(6・10)
と な り,速
度 ヘ ッ ド υ2/2gは
と な る の で,流
速 νは
ま た は,
と な る。(υ2/2gは,小
管 B と小 管 A の ヘ ッ ド差 で あ る 。)ピ トー 管 の 構 造 上,実
流 速 υは
ま た は,
(6・11)
と な る 。C を ピ トー 管 係 数 と い う。 一 般 に は,C=1.0前 で,p〔Pa〕
を 全 圧,p1〔Pa〕
式(6・11)に
よ っ て,管
分 布 は 一 様 で な く,中
を 静 圧,p-p1を
動圧 とい う。
内 の 任 意 の 点 の 流 速 を 知 る こ と が で き る が,管 心 部 で 大 き く,管
内の速度
壁 に 近 づ く と小 さ く な る 。 し た が っ て,
管 径 に 沿 っ て い ろ い ろ の 箇 所 で 流 速 を 測 り,そ し,実
後 に 作 ら れ て い る。 こ こ
れ ら を 平 均 し た 平 均 流 速 υmを 出
流 量 の 算 出 に 使 っ て い る。
図6・17は,管
路 内 の 平 均 流 速 を 出 す た め の,測
流 速 の 和 を 求 め,そ 管 の 断 面 積 をA〔
定 点 の 一 例 で あ る(各 測 定 点 の
の 数 で 除 し た 値 が 平 均 流 速 で あ る)。 ㎡ 〕 と す れ ば,実
図6・17ピ
流量 Q は
トー 管 の 測 定 点
(6・12)
と な る(こ の場 合,流 例
題
量係 数 が 1で あ るの は,υmが 実 流 速 で あ る か ら で あ る)。
ピ トー 管 で 流 速 を 測 ろ う と し て,動 圧 を 水 柱 で 測 っ た ら,H=10cm
で あ っ た 。 ピ トー 管 係 数C=1と
し て,そ
の 部 分 の 流 速 υ を 求 め よ。
〔解 〕
練 1.ベ
ン チ ュ リ計 の 縮 水 部 の 内 径d=50mmで,開
D=100mmに
口 比m=0.25(入
量 係 数C=0.98と
係 数Cυ=0.98,収
縮係
数Cc=0.6と
量係
量 係 数C=0.6と
し て,流
っ た。 この と きの 流 量 係 さ2.6mの
に は,オ せ よ。
あ っ た 。オ リフ ィ
量 を求 め よ。 分500eの
水 を流 出 させ
だ し,管
オ リフ ィ スの 流
す る。
5.直 角 三 角 せ き の 圧 力 ヘ ッ ドの 差H=250mmの
6.深
度
す る。
の オ リ フ ィ ス の 径 は い く ら に す べ き か。た
数C=0.6と
に 内 径10cm
出 流 量 を 求 め よ 。 た だ し,速
オ リ フ ィ ス 前 後 の 圧 力 ヘ ッ ドの 差H=2mAq,毎
る に は,こ
示 した 。こ
す る。
3.管 内 オ リ フ ィ ス 前 後 の 圧 力 差 を 圧 力 計 で 測 っ た ら1mAqで ス の 内 径d0=80mm,流
6
口 の 内径
き な 水 そ う(水 面 の 降 下 速 度 を 無 視 す る)の 水 面 か ら,3m下
の オ リ フ ィ ス を つ け て 水 を 流 出 さ せ た と き,流
4.管
問 題
な る)の と き,二 点 間 の 圧 力 差 hが 水 銀 柱 で50cmを
の と き の 流 量 を 求 め よ 。 た だ し,流 2.大
習
と き,流 量 が2.6m3/minで
あ
K を求 め よ。
水 そ う の 底 に オ リ フ ィ ス を 設 け,流
リ フ ィ ス の 直 径 は い く ら に し た ら よ い か。流
出 水 量 を0.006m3/sに 量 係 数 は0.65と
す る して 計 算
7 流 体 が 物体 に 当 た る力 水 中 の 魚,空 飛 ぶ 鳥,海
を行 く船,天
深 く飛 ぶ 宇 宙船 … …,流 体 と物 体 は どの
よ うな 関係 に あ る の か 。と くに,動 く流 体 が どの よ う な作 用 を物 体 に 与 え る の か 。 ま た,流 体 中 を動 く物 体 は どの よ う な作 用 を受 け る の か考 えて み よ う。
7・1
噴 流が平板 に当たる力
消火 ホー ス でガ ラスが割 れ るか 消 火 ホー スか らで る水 の 噴 流 が もっ て い る 力 が 強 け れ ば,お
そ ら くガ ラ ス を割
る こ とが で き るで あ ろ う。 噴 流 が 物体 に 及 ぼ す 力 は,重 い 流体(比 重 量 ρgの 大 き い)が,ス
ピー ド(流 速 υ)を 早 め て,し
か も その 量(流 量 Q)が 多 け れ ば 強 い 。 こ の よ うな力 が水 車 や 蒸 気 ター ビ ン な ど 図7・1
の羽 根 車 に働 き,回 転 運 動 を与 え る わ け で あ る。 い ま,噴 流 の 衝 突 に よ るエ ネ ル ギ損 失 や,板 ど を無 視 して,板
噴流 の 力
の 表 面 の摩 擦 に よ る損 失 な
に及 ぼ す 力 を考 え て み る こ とにす る。 この 力 は,噴 流 の 単 位 時
間 の 運 動 量 の 変化 に等 し い。 図7・2の Q〔m3/s〕
よ う に,静
止 して い る 平 板 に,密
の 噴 流 が 直 角 に 当 た る と き,平 F=ρQυ
で あ る 。 ま た,噴
度 ρ 〔kg/m3〕,流
速 υ 〔m/s〕,流
板 を押 す 力 F は
〔N 〕 流 と平 板 の な す 角 が θ の と き は,
(7・1)
量
静止 平 板 に 直角 に 当た る噴 流
図7・2
F=ρQυsinθ
図7・3
静 止平 板 に θで 当 たる噴 流
〔N 〕
(7・2)
で あ る。 ま た,平 板 を 噴 流 の 方 向 に 押 す 力Fxは, Fx=ρQυsin2θ
〔N 〕
で あ る 。 た だ し,式(7・2),(7・3)が 径)*1の
(7・3)
成 りた つ の は,(平
板 の 直 径)>6×(噴
流 の直
と きで あ る。
さ て,ラ
イ ヒ(Reich)に
よ れ ば,式(7・1)で
ろ な 損 失 を考 慮 し て い な い 場 合 で あ っ て,F な る こ と を確 か め て い る 。 ま た,ラ 直 径 を D,噴
流 の 直 径 を d,オ
与 え ら れ る 噴 流 の 力 F は,い の 実 験 値 は,こ れ よ り4∼6%小
イ ヒ に よ る と,式(7・1)が
リ フ ィ ス(ま
ろい さ く
成 りたつ の は 平 板 の
た は ノ ズ ル)と
平板 の距離 を n とし
流 の 方 向 に 板 が 速 度 u 〔m/s〕 で 動 く と す れ ば,噴
流 と板 の 相 対 速 度 は
た と き,
の と き で あ る とい う。 も し,噴 (υ-u)で
あ る か ら,板
に 当 た る 力 は,式(7・1)の
て 求 め な け れ ば な ら な い。
*1,*2
日本 機 械 学会 編 「機械 工 学 便 覧 」 よ り。
υ の 代 わ り に(υ-u)を
入れ
7・2
噴流が曲面板 に当た る力 水車はなぜ回る
噴流 の 力 を利 用 した流体 機 械 の代 表 は,ペ ル トン水 車 で あ る。 ペ ル トン水 車 は,バ
ケ ッ トと呼 ば れ る水 受 が 円 周 上 に
つ い た羽 根 車 に噴 流 の 力 を与 え て 回転 運 動 をす る よ うに つ く られ て い る。 ま た, フ ラ ン シ ス水 車 も噴 流 の 力 を利 用 し た も の で あ る。 曲面 板 に 当 た る力 の 作 用 を調 べ て み よ う。 静 止 して い る 曲 面 板 に 噴 流 が 沿 っ て 流 ペ ル ト ン 水 車 と バ ケ ッ ト
図7・4
れ る と き,始 め と終 りの 噴 流 の なす 角 を θ とす れ ば,曲 面 板 を噴 流 の 方 向 に 押 す 力Fxは, Fx=ρQυ-ρQυcosθ ∴ Fx=ρQυ(1-cosθ)
〔N 〕
(7・4)
で あ る。
実 際 の ペ ル トン水 車 の バ ケ ッ トや フ ラ ン シ ス水 車 の 羽 根 車 は,運 転 中動 い て い る。 し たが って,い
ま,曲 面 板 が 噴 流 の 方 向 にu〔m/s〕
れ ば,噴 流 の 曲面 板 に 対 す る速 度(相 対 速 度)は,(υ-u)で
の速 度 で 動 い て い る とす
図7・5
静 曲面 板 に 当 た る噴 流
図7・6
あ る。
動 く曲面 板 に 当 た る噴 流
い ま,噴
流 の 断 面 積 をa〔 ㎡ 〕 と す れ ば,実
u)〔m3/s〕
で あ る 。 し た が っ て,曲
際 に 曲 面 板 に 当 た る 流 量 は, a(υ-
面 板 を 噴 流 の 方 向 に 押 す 力Fxは,
(7・5)
とな る。 ま た,ペ ル トン水 車 のバ ケ ッ トや フ ラ ン シ ス水 車 の 羽 根 車 の よ う に,曲 面 板 が 多数 あ っ て,噴 流 が 曲面 板 の どれ か に 必 ず 当 た っ て い る もの は,噴 流 の 流 量 Q が全 部 有 効 に 利 用 さ れ る もの と仮 定 し て, (7・6)
で 表 す こ とが で き る。
例題
図7・7の
よ う に,180°
ら れ た 曲 面 板 に,噴 の 水 が20m/sの
に 曲 げ
流 の 直 径70mm
速度 で 当た って い
る。 も し,こ の と き 曲面 板 が 噴 流 の 方 向 に10m/sの ば,曲
速 度 で 遠 ざか っ て い れ
面 板 に 及 ぼ す 噴流 の 方 向 の 力 は 図7・7
い く らか 。 〔解 〕 式(7・5)よ
り,
ジ ェ ッ ト機 の推 力
7・3
ジ ェ ッ トエ ン ジ ン の 中 で 燃 焼 させ た ガ ス を 高速 で 後 方 に 噴 射 させ た と きの 反 作 用 で推 力 を得 て い る の が ジ ェ ッ ト機 で あ る。 図7・8の よ うな タ ー ボ ジ ェ ッ トエ ン ジ ン を例 に と って ジ ェ ッ ト機 の 推 力 F を求 め て み よ う。 ジ ェ ッ ト機 の 飛 行 速 度 がu〔m/s〕
で,大
気 圧p0〔Pa〕
の 大 気 中 を飛 行 し て い る
図7・8
ター ボ ジ ェ ッ トエ ン ジ ン の 原 理 図
と き,吸 気 口か ら質 量 流 量 Q質aの 空 気 を取 り入 れ,圧 縮 機 を通 っ て,圧 縮 さ れ た 空 気 が 燃 焼 室 に 入 る。そ こ で,質 量 流 量 Q質fの 燃 料 を燃 焼 させ て,高 温 ・高 圧 ガ ス を圧 縮 機 駆 動 ター ビ ン を 回 し なが ら排 気 口か ら噴 出 させ て い る場 合 を考 え る こ と に す る。 排 出 速 度(エ ン ジ ン に 対 す る相 対 速 度)を υ 〔m/s〕,排 気 圧 力(絶 対 圧)をp 〔Pa〕,排 気 口 面積 をA〔 ㎡ 〕とす る と,機 体 に働 く推 力F〔N〕
は 次 の よ うに な
る。 (7・7)
例題 い ま,タ
ー ボ ジ ェ ッ ト機 が30kPaの
空気 を吸 気 口か ら取 り入 れ て,時 速430kmの 積 を0.1㎡,エ
大 気 中 を,質
量 流 量4kg/sの
速 度 で 飛 行 して い る。排 気 口面
ン ジ ン に 対 す る排 気 速 度 を1000m/s,排
気 圧 力(絶 対 圧)を40
kPaと
す る と きの 推 力 を求 め よ。た だ し,燃 焼 室 内 で の 燃 料 の 質 量 流 量 は0.2
kg/sと
す る。
〔 解 〕 式(7・7)に 各 条 件 を代 入 して 求 め る。
7・4
航 空 機 の 胴 体,自 流 体 の 中 に あ る物 体 は,粘 性 の ため 抵 抗 を受 け,位 の 中 を運 動 す る物体 の抵 抗 を少 な くす る方 法 は,な
流線形 とは 動車 の ボ デー
置 を変 え よ う とす る。 流 体
い もの だ ろ うか 。
7・1節 で も述 べ た が,流 れ に対 し物 体 の 表 面 が あ る斜 傾 角 を もつ と きは,ま と も に ぶ つ か る よ り抵 抗 は少 な か っ た。 しか し,実 際 に は物 体 の 後 ろ に あ る流体 の 流 れ も,物 体 の抵 抗 に影 響 す る こ とが わ か って い る。
図7・9
流体 中に あ る物 体
図7・10の よ うに,流 れ に対 して 円 筒 を 直 角 にお け ば,粘 性 の な い流 体(完 全 流 体)の と きは 流 れ が 対 称 に な るの で,A,Bに
お け る圧 力 は 等 し く,し た が って,
円 筒 は 流体 か ら何 ら力 を受 け な い。 しか し,実 際 の 流 体 は 粘 性 が あ り,円 筒 の 後 方 に複 雑 な うず を生 じ る。 これ を後 流 と い う。
図7・10
形 状 抵抗 と流線 形
後 流 の部 分 の 圧 力(静 圧)p2は,円
筒 前 面 の 圧 力p1よ
り小 さ くな り,円 筒 は 流
れ の 方 向 に 流体 か ら力 を受 け る。 この 力 を形状 抵 抗 とい う。 そ して,形 状 抵 抗 を 少 な く した 形 を流 線 形 とい う(た だ し,た と え形 状 抵 抗 を 0に 近 づ け て も,あ
と
で 述べ る物 体 表 面 に摩 擦 抵 抗 が 残 る こ とはや む を え な い)。 最 近 の 自動 車 は 最 高 速 度 が 大 き くな り,ボ デ ー の 抵 抗 を無 視 で きな くな って き た の で,こ
の 形 状 抵 抗 を 少 な くす る工 夫 が な され て い る。
7・5
境界層 と摩擦抵抗
動 く流 体 中 の 物 体 の 表 面 に で き る薄 い 膜 流体 の 中 に あ る物体 の 表 面 上 で は,粘 性 の た め 流 速 は 0で あ り,表 面 よ り離 れ る と流 速 は増 加 す る。 しか し,あ
る厚 さ(境 界 層 の 厚 さ)よ
り離 れ る と流 速 は ほ
と ん ど変 わ ら な く な る。 こ の 速 度 こ う配 の 急 激 に 変 化 し て い る 層 を 境 界 層 (boundary が,そ
layer)と い う。 境 界 層 は 表 面 上 きわ め て 薄 い厚 さの とこ ろに で き る
の 内部 で は粘 性 の 影 響 が 大 き く,そ の た め に 摩 擦 が 生 じ物 体 の運 動 に対 し
て 抵 抗 と な る。 この 抵 抗 の こ と を摩 擦 抵 抗 とい う。
図7・11
境 界層
7・6
抗 力 と揚 力
航空機 はなぜ空に浮かぶか 流 体 の 中 に あ る物 体 は,形 状 抵 抗 や 摩 擦 抵 抗 な ど に よ って,流 受 け る。 こ れ を抗 力(drag)と
れ の 方 向 に力 を
い う。
図7・12
抗 力 と推進 力
航 空 機 が 前 に 進 む の は,こ の 抗 力 とつ り合 っ て,航 空 機 を前 に 引 っ ぱ る推 進 力 が働 い て い る か ら で あ る。
図7・13
抗力
い ま,流 体 の 密 度 を ρ 〔kg/m3〕,流 体 の 速 度(ま た は 物 体 の 進 行 速 度)を v 〔m/ s〕,重 力 の 加 速 度 を g 〔m/s2〕,物 体 の 流 れ に垂 直 な 最 大 投影 面 積 を A 〔m2〕とす れ ば,抗 力 D は, D=CD
ρv2/ 2
A〔N〕
で 表 さ れ る 。 こ こ で,CDを る 。 図7・14は,抗
抗 力 係 数 と い い,実
力 係 数 の一 例 で あ る。
(7・8)
験 に よ っ て 求 め られ て い る値 で あ
図7・14
抗力係数
航 空機 は ま た,そ
の重 量 とつ り合 っ た上 向 きの 力 に よ っ て機 体 を 空 中 に 浮 かせ
る。 この 力 も推 進 力 に よ っ て生 じ るの で あ る(図7・15)。
図7・15
い ま,図7・15の
よ う に,上
下 非 対 称 の 物 体 を 流 れ に 平 行 に お き ,上 側 が 下 側 よ
り曲 線 が 長 い と,上 側 の 流 速v1は は,下
側 の 圧 力p2よ
た が っ て,物
揚 力 と推進 力
下 側 の 流 速v2よ
り低 く な る こ と は,ベ
り大 に な る の で,上 側 の 圧 力p1
ル ヌー イ の定 理 か ら明 らか で あ る。 し
体 は 流 れ の 直 角 上 方 に 移 動 し よ う とす る 力 が 働 く。 こ の 力 を 揚 力
(lift)と い う(た だ し,図7・13の
よ う な 上 下 対 称 な 物 体 に は 揚 力 は 働 か な い)。
図7・16
揚力
揚 力 を得 る た め に 考 え られ た物 体 が 翼 で あ る が,揚 力,抗 は左 右 に 幅 を もつ が,こ
れ を翼 幅 とい う。 ま た,翼 形 の 前 端 と後 端 との 距 離 を弦
長 とい う。 い ま,翼
力 と もに 受 け る。 翼
の 最 大 投 影 面 積 を s 〔m2〕 と す れ ば,揚
力 L は,
(7・9)
で 表 さ れ る。 こ こ で,CLを 形 状 や,翼
揚 力 係 数 とい い,実 験 に よ っ て 求 め られ る値 で,翼 の
の 流 れ に対 す る角(迎
図7・17は,抗
力係
え角)α
な どに よ っ て 異 な る値 で あ る。
数CDと 揚 力 係 数
CLが 迎 え 角 α に よ っ て,ど
の ように変
化 す るか を示 し た グ ラ フ で あ る。 迎 え角 α が,あ
る値 以 上 に な る と翼 上 面 に 沿 っ
て い る境 界 層 が は が れ,揚 力 か 急 減 す る。 こ の こ とを 失 速 とい う。 図7・18は,翼
が 失 速 現 象 を起 こす と き
の 流 れ の状 態 を示 し た もの で あ るが,後 流 が 異 常 に 発 達 して い る こ とが わか る。
図7・17CD,CLと
図7・18失
さて,翼
α゚の 関 係(例)
速 時 の後 流
に 働 く揚 力 の状 態 を,実 験 に よ って 調 べ て み よ う。
前 に も述 べ た が,翼
の上 面 で は流 速 が 大 き く,下 面 で は 流 速 が 小 さい た め,上
面 の 圧 力 は 低 く,下 面 の圧 力 が 大 き くな り,翼 は 揚 力 を受 け る。 あ る翼 が あ る迎
え 角aで
揚 力 を受 け て い る ときの上 面
と下 面 の圧 力 分 布 の 一 例 が,図7。19で あ る。 こ の場 合,翼
弦ABの
上 面 で は 負圧
が 働 き,翼 を吸 い上 げ る作 用 を し,下 面 で は正 圧 が働 い て,翼
を押 し上 げ る作 用
をす る。 こ の 二 つ の 作 用 に よ っ て 揚 力 が 働 くの で あ る。 翼 に 発 生 す る揚 力 を利 用 した もの に, 航 空機 の 翼,プ 転 翼,船
ロペ ラ,ヘ
リコプ タ の 回
の ス ク リュ ー プ ロペ ラ,送 風 機
の羽 根 車,軸 流 ポ ン プ の 羽 根 車,プ
ロペ
ラ水 車 の 羽根 車 … … な どが あ る。
図7・19
1例■團
時 速90kmで
翼表 面 の 圧 力分 布(例)
走 って い る 自動
車 の 投 影 面 積 が1.8m2の
と き,抗
求 め よ ゜た だ し,抗
力 係 数 を0・3,空
の 密 度 を1.25kg/m3と
す る。
力 を 気
図7・20
〔解 〕
90km/h=25.Om/s
例
題
図7・21は,あ
る 模 型 の 抗 力 測 定 装 置 で あ る。 い ま,送 風 の 前 後 で 右
図 の よ う な “つ り合 い ”状 態 に な る よ う に,秤 風 速20m/sの 積 を50c㎡,空
送 風 時 の ほ う が,0.568N多
C の “お も り ” を 調 節 し た ら,
くな っ た。 この 模 型 の 最 大 投 影 面
気 の 密 度 を1.29kg/m3と
し て,こ
の 模 型 の 抗 力 係 数 を求 め
よ 。
図7・21抗
〔解 〕 た,OAの
力測 定装 置
図 の よ う な つ り合 い 状 態 で は,OAの 張 力 とOCの
と な る 。 し た が っ て,こ
で あ る か ら,
張 力 の 増 加 分 が 抗 力 D に な り,ま
張 力 は 等 し く な る か ら,結 の 場 合 の 抗 力 は,D=0.568Nで
局,抗
力 はお も り C の増加分 あ る。
7・7
キ ャ ビテ ー シ ョン さ び な くて も減 る
水 車 や ポ ンプ の羽 根 車 の 羽 根,そ
の他 液体 が 物 体 の 表 面 に 当 た っ て侵 し摩 滅 す
る こ とが あ る。 こ れ は 単 な る"さ び"な
どの 化 学 変 化 で は な く,主
と して 流体 が
物 体 表 面 に 当 た っ て起 こす 物 理 的 な原 因 に よ る もの で あ る と考 え られ て い る。 液体 が 物 体 の 表 面 に 沿 って 流 れ る と き,表 面 の 形 状 変 化 な ど で 表 面 上 の一 部 で 流 速 が きわ め て 大 き くな る こ とが あ る。 そ して,そ
の部 分 の 圧 力 が 下 が り(ベ ル
ヌ ー イの 定 理 に よ っ て,速 度 が 大 き くなれ ば圧 力 は 下 が る),そ の 液 体 の 飽 和 蒸 気 圧 以下 に な るこ とが あ る。 この と き,液 体 中 に含 有 して い る空 気 や 他 の 気 体 が低 圧 の た め に 分 離 され,無 数 の 小 さ な気 ほ う とな っ て 現 れ る現 象 を キ ャ ビテ ー シ ョ ン(cavitation)と
い う。 ま た,気
ほ うの 発 生 は,温 度 が 上 が っ て もみ られ る現 象
で あ る。
図7・22キ
ャ ビ テ ー シ ョ ン に よ っ て 侵 さ れ た 水 車 の 羽 根(例)
(b)浸 食 され た翼 断 面
(a)流 速 の増 す 箇所(例) 図7・23
圧 力 が 下 が る と,水 は低 い 温 度 で 沸 騰(飽 和 温 度 が 低 い)し,蒸
発す るととも
に 溶解 して い る 空 気*1を 本 来 の 気体 と して分 離 す る の で あ るが,一 般 に は蒸 気 の 発 生 よ り も,溶 解 空 気 の分 離(気
ほ うに す る)が 先 に行 な わ れ る こ とが 多 い。
発 生 した 気 ほ うは,流 速 が 減 じて圧 力 が 増 加 し た箇 所 で 壊 滅 す るが,短 時 間(た と えば,100分
の 1秒 以 下)に 気 ほ う は急 激 に縮 む の で,衝 撃 圧 力*2が 気 ほ う内 に
生 じる。 こ の 異 常 な 衝 撃 の た め に,物 体 の表 面 が 侵 さ れ るの で あ る。 こ れ をエ ロ ー ジ ョン*3(浸 食)と
い う。
キ ャ ビテ ー シ ョ ンは,水 車 ・ポ ンプ ・弁 ・オ リフ ィ ス な ど,液 体 を使 う機 械 類 に起 こ る現 象 で,振 動,騒
音 の も とに な り,ま た,そ れ に よ るエ ロー ジ ョ ンは,
物 体 表 面 に た くさ ん の くぼ み をつ く り,材 料 に 大 き な 損 傷 を 与 え,機 械 の効 率 を 低 下 させ る原 因 に も な っ て い る。
高速気体の特色
7・8
衝撃波 とは 気体 は圧 縮 性 の 大 き い 流体 と い わ れ て い るが,物 体 に 当 た る気 体 の速 度 が,音 速 に 比 べ て 小 さ け れ ば,密 度 の 変 化 は少 な く,実 用 上,圧 縮 され な い もの と して 取 り扱 っ て よ い。 しか し,気 体 の 速 度 が 音 速 に 近 づ き,あ
る い は音 速 を越 す よ う
に な る と,気 体 の圧 縮 性 は 当 然 問 題 に な っ て くる。 図7・24気 *1
2・4節 の
〔4〕 で も述 べ た が,水
は101.3kPa,20℃
で 約2%の
空 気(体
る。 *2
FOttingerな
*3
エ ロ ー ジ ョ ン は,キ
ど は,数
百atに
体 の 圧縮
な る こ とを示 した。
ャ ビテー シ ョン発 生 の下 流 の とこ ろで起 こる。
積)を
含 有 して い
気 体 の 圧 力,密 度 の変 化 は 圧 力 波 とな っ て 気体 中 を音 速a〔m/s〕
で伝 わ るが,
物 体 の 速 度(物 体 が 止 ま っ て い る と き は気 体 の 速 度)υ 〔m/s〕 と音 速(圧 力 波 の 伝 わ り速 度)a との 比 M をマ ッハ 数(Mach M=
υ/ a
number)と
〔マ ツ ハ 数 〕
(7・9)
マ ッハ 数 は,気 体 の 流 れ を特 長づ け る値 で,M<1の 超 音 速,M≒1の
い う。
と き亜 音 速,M>1の
とき
と き遷 音 速 の 流 れ とい う。
特 に,M>1(υ
>a)の 流 れ に お い て は,物 体 に よ り起 こ され た圧 力 波 が 気体 中 に
伝 わ る 前 に,さ
らに物 体 が 前 に 進 み,圧
力 波 を 押 す の で激 しい 波 とな る こ とが あ る。 こ の 波 を衝 撃 波(shock
wave)と
い
う(図7・25)。 軸 流 圧 縮 機 の 気 流 速 度 や 蒸 気 ター ビ ン 翼 列 の 出 口速 度 は音 速 に 近 い の で,気 体 の圧 縮 性 を考 慮 す る 必要 が あ る。
図7・25
練 1.図7・26の
習
よ うな 平 板 に 水 の 噴 流 が
30゚の 角 度 を も っ て 当 た る と き,板 が 直 角 の 方 向 に 受 け る 力F1と,板 の 方 向 に 受 け る 力F2を
求 め よ。 た だ
し,噴 流 の 流 量 は0.01m3/s,流 m/sと
が 噴流
速 は30
す る。 図7・26
問
題
7
2.図7・27の よ う な平 板 に 水 の 噴流 が板 に直 角 に 当 た る と き,板 の 受 け る力 F を求 め よ。た だ し,噴 流 の 速 度 は20m/ s,噴 流 の 直 径 は1c㎡,平 向 か っ て20m/sで
板 は噴 流 に
移 動 す る も の とす
る。
図7・27
3.タ ー ボ ジ ェ ッ ト機 が 飛 行 中,高 た ら絶 対 圧 で26kPaを が1000m/s(エ 面 積 が0.1㎡
度9000mを
少 し越 し た あ た りで,圧
示 し た 。飛 行 速 度 は140m/sで,排
ン ジ ン に 対 す る 相 対 速 度),排
気 口出 口 の排 気 速 度
気 圧 力(絶 対 圧)が30kPa,排
と し,排 気 口 に お け る 空 気 の 質 量 流 量 を3.0kg/s,燃
の 消 費 は 質 量 流 量 で0.15kg/sで 4.投 影 面 積 が2㎡,抗 求 め よ 。 た だ し,空 5・ 揚 力 係 数 が0.6で
力 係 数0.2の
力 計 を見
焼 室 の燃 料
あ っ た とす る。 こ の と き の 推 力 を 求 め よ 。 自 動 車 が,速
気 の 密 度 を1.25kg/m3と
度40 m/sで
走 る と きの 抗 力 を
す る。
あ る こ と が わ か っ て い る,面
積1.2㎡
の 板 に20m/sの
を 直 角 に 送 る と,揚 力 は い く ら に な る か 。た だ し,空 気 の 密 度 を1.25kg/m3と す る。
気 口
風
8
ポ ン プ の し くみ ポ ン プ(pump)は,回
転 運 動 や 往 復 運 動 の 機 械 的 エ ネ ル ギ を動 力 源(電 動 機 や
内 燃 機 関 な ど)か ら受 け て,液 体 に 運 動 エ ネ ル ギや 圧 力 エ ネ ル ギ*を 与 え る機 械 で あ る。 そ し て,液 体 を高 所 に あ げ た り,流 体 輸 送 に使 われ て い る。 ポ ン プ は液 体 を対 象 に して お り,気 体 を対 象 に した もの に送 風 機(blower)な ポ ン プ は,都
どが あ る。
市や 町 村 の上 下 水 道 の輸 送 に欠 かせ な い もの で あ り,一 般 家 庭 か
ら高 層 ビル ま で使 わ れ て い る。 ま た,工 業 用 水 の 給 排 水,農 地 の か ん が い 用,自 動 車 や 工 作 機 械 の潤 滑 油 の圧 送 用,そ
の他 化 学 工 業 方 面 な ど,そ の 利 用 は 広 範 囲
に お よん で い る。
8・1
ポンプ とは
ポ ン プ で水 や 油 を くみ 上 げ る し くみ
〔1〕 水 や 油 に エ ネ ル ギ を与 え る原 理 水 や 油 に エ ネ ル ギ を与 え る も のが ポ ンプ で,図8・1に
示 す よ う に,と
くに昔 の
ポ ン プ は 液 体 の圧 力 を変 え ず に,位 置 の エ ネ ル ギ,す な わ ち,ヘ ッ ドの増 加(H2H1)の み を行 な う もの が 多 か っ た。BC10世
紀 に水 流 を動 力 源 と した 水 揚 げ 車(水
車 を利 用 して水 を高 い とこ ろに 上 げ る)が す で に 存 在 して い た 。 しか し,こ ん に ち の ポ ンプ は,圧 力 ヘ ッ ドを高 め る こ とを お もな 目的 とす る もの が 多 くな っ た 。 そ の 高 め た圧 力 を利 用 して 液 体 を高 所 に 上 げ た り,圧 送 した りす る役 目 を果 た す の で あ る。 *ポ
ン プ は,主 と して圧 力 エ ネル ギ を与 え る機 械 で あ る。
図8・1液
体 をH1か
〔2〕
らH2ま
で ヘ ッ ドを 高 め る
図8・2注
射 器は ポン プの 役 目もす る
ポ ンプの 分 類
ポ ン プ は,非 常 に広 い分 野 で使 わ れ て い る ため,分
類 の方 法 も い ろ い ろの 観 点
か らな され て い る。 そ の お も な分 類 法 を次 に あ げ る。 (1)ポ ①
ン プ 主 要 部 分 の 運 動 方 法 に よ る分 類 直 線 運 動 をす る もの(ピ
②
ス トン ポ ンプ,プ
ラ ン ジ ャ ポ ンプ)
回 転 運 動 をす る もの(遠 心 ポ ン プ,軸 流 ポ ン プ,斜 流 ポ ンプ,歯 プ,再
③ (2)ポ
車 ポン
生 ポ ン プ)
運 動 部 分 が ほ とん どな い もの(ジ
ェ ッ トポ ン プ,気
ほ う ポンプ)
ン プ羽 根 車 の 液 体 に対 す る作 用,形 状 な ど に よ る分 類
表8・1は,そ
の 一 例 で あ る。 (3)用
途 や 構 造 に よ る分 類
表8・2に
は,ポ
ン プ の お もな も の をあ げ た。
表8・1
名
称
備
遠 心 ポ ンプ (うず巻 ポ ンプ) 横 案 内羽 根 の あ もの をター ビ 形,な い もの ボ リ ュ ー ト形 い う。
{
ポ ン プの 作 用,形 状 に よる分 類例
る ン を と
名
考
片吸込 軸 両吸込
単
備 考
段
横 斜 流 ポ ンプ
多 段 単
段
2
段
立
単 段 ピス 片吸込 立 て 軸 多 段 往 復 ポ ンプ ン プ
横 軸 流 ポ ンプ
と可 動 羽根 の も 立 て 軸 のが あ る。
備
称
特殊 ポ ンプ
ラ ン ジ ャポ
ジ ェ ッ トポ ン プ,空 再生 ポ ンプ
ほ う ポ ン プ,
ポ ンプ の用 途, 構 造 に よ る分 類例
考
名
ボ イ ラ給 水 ポ ンプ ボ イ ラに 給水 す る ポ ンプ 遠
ボ ア ホ ー ル ポ ン プ
ト ン ポ ン プ,プ
車 ポ ンプ
段
軸 固定 羽根 の もの
表8・2
軸 遠心 ポ ンプ と軸 流 ポ ン 軸 プの 中 間形 式
回転 ポ ンプ ベ ー ン ポ ン プ,歯
}
両吸込 単
名
称
心
備
称 ポ
考
ン プ うず巻 ポ ンプ と もい う
深井 戸 な どか ら地 下水 を サ ン ド ポ ン プ 粉 炭 や 土砂 な ど を含 む水 を輸 送 す る ポ ンプ くみ上 げ るポ ン プ
化 学工 場 な どで,生 産工 電 動機 とポ ンプ が 一体 に プ ロ セ ス ポ ン プ 程 の溶 液 の 輸送 に使 うポ 水 中モ ー タ ポ ンプ な って 水 中 に あ る ポ ンプ ンプ パ ル プ ポ ン プ 紙料,せ ん い 原料 の 輸 送 に使 うポ ンプ カー ゴ オイル ポ ン プ 油 そ う船 の 送 油 ポ ンプ
〔3〕
ド ッ ク ポ ン プ
復
水
ポ
ドッ クの排 水 用 ポ ンプ
ボ イ ラの復 水 を と りだ し ン プ 送 水 す るポ ン プ
ポ ン プの 揚程
吸 い上 げ よ う とす る液 体 は,吸 込 み 管 に よ っ て ポ ンプ に連 絡 され,ポ
ンプ を で
た液 体 は 吐 出 し管 に よ っ て送 り出 さ れ る。 ポ ン プ の 中心 か ら吸 込 み 液 面 ま で の 高 さh′ 〔m〕を吸 込 み 揚程(吸 込 み 実 揚程),吐 出 し液 面 まで の 高 さh″ 〔m〕を吐 出 し 揚 程(吐 出 し実 揚 程)と い う。 した が って,実
際 に ポ ン プ が 上 げ た液 体 の 高 さH
〔m〕は,h′+h″ で あ る。 これ を 実揚 程(actual
head)と
い う。 吐 出 し揚 程 に は 理
論 上 の 限 界 は な い が,吸 込 み 揚 程 は 理 論 上,水
の 場 合 で10.33mが
限 界 で あ る*。
図8・3ポ
ンプの 揚程
しか し,実 際 の 吸 込 み 揚 程 の 限 界 は,吸 込 み 管 内 の摩 擦 損 失 や 弁 の抵 抗,吸 込 み 管 内 の 速 度 ヘ ッ ド,吸 込 み 管 内 の 空 気 の 混 入 な どの た め,実 用 的 に は6∼7mが
限
度 とさ れ て い る。 実 際 の 管 路 に は,摩 擦 損 失 な どの 諸 損 失 が あ る の で ポ ンプ が実 揚 程 を う る た め に は,ポ ン プ は 液 体 に 実 揚 程 以 上 の エ ネ ル ギ を与 え て い る は ず で あ る。 い ま,ポ *(110ペ
ー ジ)式(3・4)よ て,吸
り,1 標 準 気 圧 は 絶 対 圧 で101.3kPa=10.33mAqで
込 み 揚 程 を10.33m以
上 とす る こ とは 不 可 能 で あ る。
あ る。したが っ
ンプ の 入 口 と出 口に 真 空 計 と圧 力 計 を と りつ け て,ポ れ ば(使
ンプ 中心 に お け る圧 力 を測
用 液 は水 とす る), 真 空 計 の 読 み=吸
込 み 揚 程+吸
込 み損失ヘ ッ ド
圧 力 計 の 読 み=吐
出 し揚 程+吐
出 し損 失 ヘ ッ ド
と な る 。 い ま,真 をhs〔m〕,圧
空 計 の 読 み をH1〔m〕,吸
力 計 の 読 み をH2〔m〕,吐
込 み 揚 程 をh′ 〔m〕,吸 込 み 損 失 ヘ ッ ド 出 し揚 程 をh″ 〔m〕,吐
出 し損 失 ヘ ッ ド を
hd〔m〕 とす れ ば,H1,H2は, (8・1) (8・2)
とな る。 しか し,真 空計 や 圧 力 計 に は 速 度 ヘ ッ ドは 現 れ な い が,実 側(入
口)と 吐 出 し側(出
たが って,吸
口)で,そ
際 に は吸 込 み
れ ぞ れ の 水 は 速 度 ヘ ッ ドを も って い る。 し
込 み 側 の全 ヘ ッ ドと吐 出 し側 の全 ヘ ッ ドは,次 の よ うに な る。
吸 込 み 側 全 ヘ ッ ド=-(真
空 計 の 読 み)+(吸
=− 〔(吸込 み 揚程)+(吸
込 み速 度 ヘ ッ ド) 込 み損失ヘッド)〕
+(吸 込 み 速 度 ヘ ッ ド) 吐 出 し側 全 ヘ ッ ド=(圧 力 計 の 読 み)+(吐 =(吐 出 し揚程)+(吐
出 し速 度 ヘ ッ ド) 出 し損 失 ヘ ッ ド)
+(吐 出 し速 度 ヘ ッ ド) い ま,吸
込 み 速 度 ヘ ッ ド,吐
出 し 速 度 ヘ ッ ド を,そ
れ ぞ れ υ2s/2g,υd2/2gと
すれ
ば,
吸込み側全ヘ ッ ド (8・3)
吐 出 し側 全 ヘ ッ ド (8・4)
と な る 。 ポ ン プ が 水 に 与 え た エ ネ ル ギ の 総 和 は,式(8・3)と
式(8・4)か
ら求 め ら れ
る 。 こ れ を ポ ン プ の 全 揚 程(total
head)ま
た は 総 揚 程 と い う。 全 揚 程 をHtと
お
け ば,
(8・5)
と な る。こ こ で,一 般 に ポ ン プ 入 口 と 出 口 の 管 径 は 等 し く,流 速 は 等 し い の で υd= υsと す れ ば, (8・6)
と な る 。 す な わ ち,
と な る。
と な る。
実 際 に ポ ンプ の 性 能 試 験 な どで全 揚 程 が 必 要 な と きは,式(8・6)か ら 出 して い る (た だ し,こ の 式 は ポ ンプ 入 口 と出 口 の管 路 の径 が 等 しい と きに 限 る)。
〔4〕 ポ ン プ揚 水 量 と回 転 数 ポ ンプ の 揚 水 量 は,単 位 時 間 当 た りに ポ ン プ が 送 りだす 液体 の 体 積 で表 し,一 般 に Q の 記 号 を使 っ て い る。 単位 はm3/s,実 m3/hな
どが 用 い られ て い る。
また,ポ 量,軸
ン プ の 回転 数 は 一 分 間 の 回転 数(rpm)*3で
動 力 に影 響 を お よぼ す の で,ポ
*2
は 絶対 値 を表 す 。 管 路 内 の 損 失 ヘ ッ ドは,4
表 す 。回転 数 は 全 揚 程,揚 水
ン プ の仕 様 を考 慮 して 決 定 しな け れ ば な ら
な い。
*1
用 的 に はm3/min,l/s,l/min,
章 で 述べ た。
〔5〕 ポ ン プ の 軸 動 力 と 効 率 全 揚 程Htを
得 る の に 必 要 な理 論 上 の 動 力Lω は,次 の 式 で 表 され る。 (8・7)
た だ し,ρ;液 量)〔m3/s〕,Ht;全
体 の 密 度 〔kg/m3〕,g;重
力 の 加 速 度 〔m/s2〕,Q;吐
出 し 量(流
揚 程 〔m〕
こ こ で,使 用 液 を水 とす れ ば,水 の 密 度 ρ は0∼40℃
で は1000kg/m3と
こ と が で き,流 量 Q の 単 位 を 〔m3/min〕
は,ρ
を使 え ば,Lω
みなす
と g の 値 を 式(8・7)に
代 入 し て, (8・8)
と な る 。Lω の こ と を 理 論 動 力(水
動 力)と
い う。
図8・4
ポ ンプ 軸 に 与 え られ た 動 力 の一 部 は,摩 擦 損 失 や 軸 受,パ
ッキ ン な どの摩 擦,
水 漏 れ な どの 損 失 の た め に 消 費 さ れ る(こ れ を損 失 動 力 とい う)こ い るの で,所 要 の 理 論 動 力 を う るに は,ポ
とが わ か っ て
ンプ 軸 に は それ 以 上 の 動 力 が 必 要 で あ
る。 ポ ン プ 軸 に与 え た動 力 を ポ ンプ の 軸動 力 とい う。 こ れ を L とお け ば,ポ
ンプ
の 効 率 η は,
(8・9)
*ポ
ン プ 効 率 η は,η=ηh・ηm・η
い う 。nhは
υで 示 さ れ,ηhを
水 力 効 率,ηmを
流 体 摩 擦 に よ る損 失 を 考 え に 入 れ た効 率,ηmは
よ る 損 失 を 考 え に 入 れ た 効 率,nυ
軸 受,パ
機 械 効 率,η υを 体 積 効 率 と ッキ ン な どの摩 擦 抵 抗 に
は 主 と して水 漏 れ を考 えに 入 れ た効 率 で あ る。
と な る。 一 般 用 ポ ン プ の 最 高 効 率 は 50∼85%ぐ
ら い で,ふ
つ う は 吐 出 し量 の
大 き い ポ ン プ ほ ど効 率 は 良 い 。 し か し, 同 一 ポ ン プ で も 規 定 吐 出 し量 を は ず れ る と 効 率 は 低 下 す る(図8・5)。 ポ ン プ 効 率 は,ポ
ン プ の 種 類,形
式,
容 量 に よ っ て 異 な る が,図8・6は,一 用 ポ ン プ のQ-η L=
般
曲 線 で あ る。 Lω/ (8・10) η
図8・6一
図8・5ポ
ンプ の性 能 曲 線例
般 用 ポ ン プの標 準 効率
ポ ン プ効 率 と理 論 動 力 が わ か れ ば ポ ンプ 軸 動 力 L は,式(8・10)で 算 出 で きる 。 な お,実
際 に は ポ ン プ は原 動 機(電
動 機 や 内燃 機 関 な ど)に
原 動 機 の動 力 は 少 し軸 動 力 よ り大 き く(ふ つ う5∼25%増)す 由;規 定 揚程,規
よ っ て駆 動 す るが, る必 要 が あ る(理
定 吐 出 し量 以 上 で使 用 す る こ と も考 え ら れ る。 ま た,内 燃 機 関
な どは 燃料 の 良 否,運
転 の不 慣 れ,そ
の 他 機 関 の 調 子 に よ っ て は 出力 減 が 考 え ら
れ る。 な お,ベ ル ト伝 達 で は お お よ そ平 ベ ル トで10%,V
ベ ル トで5%の
動 力損
失 が 考 え られ る)。次 に,電 動 機 直 結 で ポ ンプ を駆 動 す る場 合 の 電 動 機 の 所 要 動 力
R は,一
例 と して 次 式 が あ げ られ る。 (8・11)
な お,V
ベ ル ト使 用 の と き は,次
例
図8・7の
題
よ うに,吸
式 の よ うに な る。
込 み管 と
吐 出 し 管 の 径 が 同 じ ポ ン プ に お い て, そ の ポ ン プ の 運 転 中,圧
力 計 の読 み が
20mAq(20mH2O),真
空 計 の読 み が
水 銀 柱73.5mmで
あ っ た。 圧 力 計 と
真 空 計 の 距 離 が0.4mな の 全 揚 程Htは の 比 重 を13.6と
らぱ,ポ
ンプ
い く ら か 。た だ し,水 銀 す る。
図8・7
〔解 〕 圧 力 計 の読 みH2=20m 真 空 計 の読 みH1= 圧 力 計 と 真 空 計 の 距 離=0.4m
例 題 mの
常 温 の水 を揚 水 す る ポ ン プ の 吐 出 し量 が0.6m3/minで,全
ポ ンプ 軸 動 力 は何kWか
〔解 〕
。 た だ し,ポ ン プ 効 率 は60%と
す る。
揚 程20
例 題
ポ ン プ 揚 水 量0.6m3/min,管
ン プ 中 心 よ り1m下
路 の 全 損 失 ヘ ッ ド5mの
に あ る 水 を20mの
ン プ 軸 動 力 は い く ら か 。 た だ し,ポ
ポ ン プ が,ポ
吐 出 し水 面 に 揚 水 し て い る と き,ポ ン プ 効 率 は60%と
す る。
〔解 〕 =(実 揚 程)+(管
路 内 の全 損 失 ヘ ッ ド)=20+1+5=26m
8・2遠
心 ポ ンプ
遠 心 力 を 利 用 して 水 や 油 に エ ネ ル ギ を与 え る ポ ン プ 遠 心 ポ ン プ(centrifugal に よ っ て,液
pump)は,う
体 に 遠 心 力 を 与 え,圧
ず 巻 ポ ン プ と も い わ れ,羽
根 車 の回転
力 を 高 め て 液 体 を 送 り出 す ポ ン プ で あ る 。 も
っ と も多 く生 産 さ れ,そ の 用 途 も広 範 囲 に お よん で い る。 〔1〕 遠 心 ポ ン プ の 原 理 図8・8の よ うに,バ ケ ツ に 入 れ た水 が バ ケ ツ の 穴 か ら出 る い きお い は,静 止 し て い る とき よ り,バ ケ ツ 内 の 水 が 回 転 し て い るほ うが 強 い 。 す な わ ち,水 に 遠 心 力 を与 え て水 をバ ケ ツ の外 周 に押 し付 け る よ う に した ほ うが,穴
か ら で る水 の い
きお い は大 きい わ け で あ る。 1818年,米
国 の ボ ス トン市 に お い て,
初 め て現 在 の 遠 心 ポ ン プ の 原 形 と い わ れ る ボ ス トン ポ ンプ が 造 られ た 。 こ の ボ ン
(a)水 が 静 止 して いる とき
図8・8バ
(b)水 が 回 転 して い る と き
ケツの 穴 か ら出 る水 は遠 心 力 が 働 く と遠 方 に とぶ
図8・9ボ
プ は,羽 根 を もっ た 軸 を 回転 させ,ポ
ス トンポ ン プの概 略 図
ン プ の 中 心 に は い っ た水 を遠 心 力 に よ って
羽 根 の 間 か ら外 周 へ 押 し出 し,貝 の 形 を した 流 路(だ
ん だ ん と広 くな る)を 通 し
て 吐 出 し管 へ 導 くよ うに し た もの で あ る。 現 在 の 遠 心 ポ ンプ の 原理 は,こ
れ と同
じ で あ り,初 め 中心 に あ っ た水 は吐 出 し管 を通 る と きに は,圧 力 を高 め て 出 て行 くこ とに な る。
〔2〕 遠 心 ポ ン プの種 類 羽 根 車 の 外 周 に,す pump)と
ぐ うず 形 室 だ け の あ る ポ ン プ をボ リ ュ ー トポ ン プ(volute
い う。 また,羽 根 車 の外 周 に案 内 羽 根 が あ って,遠
心力 によってでて き
た 液 体 を案 内 羽 根 を通 して うず 形 室 に 入 れ る ポ ン プ を タ ー ビ ン ポ ン プ(turbine pump)と
い う。 ボ リュ ー トポ ン プ は 低 揚 程 に 適 し,タ ー ビ ン ポ ン プ は 適 正 流 量 に
お け る効 率 は 高 く,従 来 よ り高 揚 程 用 と して使 わ れ て きた 。 しか し,案 内羽 根 の 存在 は 流体 摩 擦 を増 す 役 割 も果 たす の で,適 正 流 量 を は ず れ る と効 率 は 急 に低 下 す る。 した が っ て,最 近 は案 内 羽 根 を取 って,そ
の 空 間 の うず 室 の形 をい ろ い ろ
と研 究 ・改 良 し,適 当 な うず 室 の 設 計 に よ っ て案 内 羽 根 に 変 えた 形 式 の ポ ン プが 増 加 して きた(う
ず 室 に つ い て は,後
で述 べ る)。
図8・10ボ
リ ュ ー
トポ ン プ
図8・11タ
ー ビ ン ポン プ
羽 根 車 の 片 側 か ら液 体 を吸 い込 む もの を片 吸 込 み 形,両 側 か ら吸 い 込 む もの を 両 吸 込 み 形 とい う。 両 吸 込 み 形 は,吐 出 し量 の 大 きい と きに使 う。 遠 心 ポ ンプ で 高 い 圧 力 を う る に は,同 一 軸 上 に 2個 以上 の 羽 根 車 を並 べ た ポ ン プ を使 う。 一 つ の 羽 根 車 を段 とい い,一 段 ご とに 液 体 の圧 力 を高 め て 吐 出 す ポ ン プ で あ る。 ポ ンプ 軸 の お き方 に よ って,横 軸 形, 立 て 軸 形 が あ る が,大 部 分 の ポ ン プ は 横 軸 形 で あ る。 図8・12片
吸 込み 単 段 ボ リュ ー ト ポ ンプ
図8・13両
吸 込 み 単 段 ボ リュ ー ト ポンプ
図8・14多
段 ター ビ ン ポ ンプ
図8・15片
〔3〕 羽 根 車 の 数(段
数)と
吸 込 み遠 心 ポ ンプの 外観
揚程
一 個 の 羽 根 車 で液 体 に 与 え る揚 程 に は限 度 が あ り ,高 揚程 の ポ ン プ に な る と二 個 以 上 の 羽 根 車 を使 用 す る。 た とえ ば,一 個 の 羽 根 車 で10mAqの らば,二
番 目の 羽 根 車 は10mAqを
根 車 で30mAq,四
さ らに20mAqま
番 目の羽 根 車 で40mAqま
揚程 が 可 能 な
で圧 力 を上 げ,三 番 目 の羽
で圧 力 を高 め る こ とが で き る。
一 般 に
,二 段 以 上 の もの を 多 段 ポ ン プ とい い,一 段 ご との 揚 程 は ふ つ う数m
∼30mぐ
らい で あ る。多 段 ポ ン プ の 羽 根 車 の 向 き は 同 じ向 きの もの と,図8・17の
よ う に,向 推 力(ス
き を対 称 に した もの が あ る。 羽 根 車 の 向 き を 同 じに す る と,軸 方 向 に
ラ ス ト)が か か るの で,対 称 に 配 置 した ほ うが 軸 推 力 を小 さ くす る こ と
が で き る。 た だ し,こ の よ うに つ くら れ た ポ ン プ は,ケ ー シ ン グ内 が 複 雑 に な り 大 形 に な る欠 点 を も っ て い る。
図8・16多
段(4 段)タ ー ビ ン ポ ン プ
図8・17多
段(4 段)ポ ン プ 羽 根 車(例)
〔4 〕
構
(1)羽
造
根 車(impeller)液
体 は,吸
込 み 管 よ り羽 根 車 の 中 心 部 に は い り,う
ず 形 室 内 で 圧 力 エ ネ ル ギ を 与 え ら れ る の で あ る が,羽 根 の 数 は7∼8枚 く使 わ れ て い る 。 特 に 大 形 の も の に は9∼12枚 一 方 ま た は 両 方 が な い 開 放 形(図8・18 (図8・20)が
の もの が よ
の もの も あ る。 羽 根 車 は 囲 い板 の
,図8・19)や,両
面 に 囲 い 板 を もつ 密 閉 形
あ る。
図8・18
土砂 を含 む 水,パ ルプ 用 の羽 根 車
図8・19
開 放形 羽 根車 の(例 2)
(開放 形)の(例 1)
図8・20
開 放 形 の 羽根 車 は,ポ
羽 根 車(密 閉 形)
ンプ 発 達 の 初 期 に使 用 され た もの で,現 在 で は 土 砂 を含
む 水 や 製 紙 原料 の パ ル プ な ど を取 り扱 う と きに使 用 さ れ て い る の み で あ る。 (2)案 体 は,う
内 羽 根,う
ず 室,う
ず形室
ター ビ ン ポ ン プ で は,羽 根 車 か らで た 液
ず 形 室 に 固定 さ れ て い る案 内 羽 根(guide
vane)を
通 る 間 に,運 動 エ ネ
ル ギ を圧 力 エ ネ ル ギ に変 え ら れ る。 しか し,現 在 で は 高圧 ポ ンプ も多段 ボ リュ ー
トポ ン プ に 作 られ る よ うに な り,案 内羽 根 の 使 用 は 減 少 の傾 向 に あ る。 これ は, 案 内 羽 根 の あ る ポ ンプ は,計 画 吐 出 し量 か ら は ず れ た運 転 状 態 で は効 率 が 急 に低 下 す るか らで あ る。 〔参 考 〕 案 内羽 根 を取 り除 い た 空 間 を うず 室(vortex 形 室(spiral
casing)の
chamber)と
最 近 の 進 歩 と合 わせ て,う
い う。 うず
ず 室 の み で よ い効 率
を得 られ る よ う に な っ て きて い る。
図8・21
うず室 を有す る うず巻 ポ ンプ
羽 根 車 か ら で た液 体 は,直 接(ボ ポ ン プ)や
うず 形室 の 断面 形状
図8・22
リュー トポ ンプ)ま
た は案 内 羽根(タ
うず 室 を通 って うず 形 室 に 流 入 す る。 うず 形 室 の 空 間 は徐 々 に拡 大 さ
れ て い て,羽 根 車 をで た 液体 の エ ネ ル ギ損 失 をで き る だ け な く して,吐 導 くた め の もの で あ る。 断 面 の 形 状 は,図8・22の (3)そ
ー ビン
よ う で あ る。
の 他 の 構 造 片 吸 込 み 形 の羽 根 車 は,左 右 側 面(囲
圧 力 は対 称 で は な く,図8・23の
出 し 口へ
い板)に
作用す る
よ うに,吸 込 み 口 の圧 力 が 低 く,吸 込 み側 に 向 か
っ て 押 す 力 が 生 じ,羽 根 車 を固 定 した軸 に 軸 推 力 が 作 用 す る。 した が って,ス
ラ
ス ト荷 重 用 軸 受 が 必 要 に な る。 しか し, ポンプ の 機 種 に よ って は,図8・24の よ う に,羽
根 車 の 背 面 に つ りあ い穴 をあ け て
吸 込 み側 の 圧 力 と A 部 の圧 力 を近 づ け, 軸 推 力 を少 な くす る方 法 が あ る。 この 方
図8・23
片吸 込 形 の羽 根 車の 軸進 力
図8・24
つ りあ い穴
図8・25
つ りあ い 円板
法 は 多 く採 用 され て い る。 ま た,多 段 ポ ンプ の 最 終 段 に,図8・25の
よ うな つ り あ い 円板 を設 け,つ
円板 の右 方 の つ りあ い室 は,吸 込 み 口に つ な が り低 圧 で あ るた め,吐 っ て右 方 に力 が働 き軸 推 力 を消 す 。 この 方 法 は,つ
りあ い
出 し圧 に よ
りあ い穴 の 方 法 よ り効 率 の低
下 は少 な い。図8・26の よ うに,多 段 ポ ンプ の羽 根 車 の 配 列 を変 え る こ と も軸 推 力 を少 な くす る方 法 で あ る。 た だ し,両 吸 込 み うず巻 ポ ンプ(図8・13)の
羽 根 車 は,
左 右 対 称 で あ るか ら理 論 的 に は軸 推 力 を生 じな い。
図8・26
羽 根 車 の配 列 を変 え て軸推 力 を少 な くす る
ポ ン プ運 転 中 は羽 根 車 先 端 とケ ー シ ン グ,軸 体 が 少 し漏 れ て 体 積 損 失 と な る の で,す
とケ ー シ ン グ な どの す き まか ら液
き まの 部 分 は,摩 擦 の大 き くな らな い 程
度 に 少 な くす る必 要 が あ る。ま た,図8・24の
よ うな ラ イナ リ ン グ をつ け,つ ね に,
最 小 の す き ま を保 つ よ うに し,摩 耗 し た と きに は 取 りか え る よ うにす る。
ポ ン プ 内部 の 圧 力液 の 漏 れ止 め に,図8・27の
よ うな液 冷 式 パ ッキ ン箱 も一 般 に
使 わ れ て い る。
図8・27
図8・28
液冷 式パ ッ キン箱
吸 込 み 管 末 に,図8・28の
フ ー ト弁(外
観)
よ うな フ ー ト弁 を取 り付 け,吐 出 し管 の 液 が ポ ンプ 休
止 中 に逆 流 し な い よ うに す るの が ふ つ うで あ る。 〔5〕 ポ ン プ の 材 質 遠 心 ポ ンプ の 材 質 も,そ の 他 の ポ ン プ の 材 質 もほ とん ど同 じで あ る。 羽 根 車 や 案 内 羽 根 の 材 質 に は,キ
ャ ビ テー シ ョ ン な どの影 響 を考 えて18-8ス
テ ン レス鋼*
や 低 マ ンガ ン鋳 鋼*な ど を一 部 に 使 っ て い るが,一 般 的 に は,表8・3の よ うで あ る。 表8・3使
使
液
ケ ー シ ン グ
羽 根 車,案 内羽根
軸
清
鉄,青 銅,鋳 鋼,特 水 鋳 殊 青 銅,特 殊 鋼
鋳鉄,鋳 鋼
海
水 青 銅,特 殊青 銅
鋳鉄,青 銅,特 殊 青銅 特殊鋼
砂,泥
*日
用
用 液 と材 質
を含 む水 白銑,鋳 鋼,特 殊鋼
軟鋼,炭 素 鋼
白銑,鋳 鋼,特 殊 青銅 炭 素 鋼,特 殊 鋼
本機 械 学 会 誌 “水 力機 械 特 集 号 ”昭 和42年
3月 よ り
〔6〕 羽 根 車 が 液体 に与 え る揚 程 羽 根 車 の 羽 根 に 沿 っ て 流 れ る 液 体 の 流 量(吐
出 し 量)をQ〔m3/s〕,羽
根 の入 口
と 出 口 の 液 体 の 絶 対 速 度 を υ1,υ2〔m/s〕,羽 根 の 入 口 と 出 口 の 周 速 度 をu1,u2〔m/ s〕,羽 根 の 入 口,出
口 の 半 径 をr1,r2〔m〕,流
α2,液 体 の 密 度 を ρ 〔kg/m3〕
入 角,流
出 角 を 図8・29の
よ う に α1,
とす れ ば,
回 転 方 向 の 羽 根 出 口 の 液 体 の 持 つ 力=ρQυ2cosa2〔N〕 回 転 方 向 の 羽 根 入 口 の 液 体 の 持 つ 力=ρQυ1cosa1〔N〕 羽 根 出 口 の 液 体 の モ ー メ ン ト=ρQυ2cosa2×r2〔N・m〕
(8・12)
羽 根 入 口 の 液 体 の モ ー メ ン ト=ρQυ1cosα1×r1〔N・m〕
(8・13)
し た が っ て,羽 あ る 。 い ま,液
根 車 が 液 体 に 与 え た モ ー メ ン トは,式(8・12)と
体 の 有 す る モ ー メ ン トをT〔N・m〕
式(8・13)の
差 で
と す れ ば, (8・14)
と な る。 羽 根 車 の角 速 度 を ω とす れ ば,羽 根 車 が 液 体 に 与 え た動 力 L は,
(8・15)
た だ し,
図8・29液
体 に 作用 す る羽 根
い ま,ポ ン プ の 諸 損 失 を無視 し,動 力Lに
よ っ て 得 られ る液 体 の 揚程 をHrと
『9xし は ,
L=pgQHz
(W)
(J/s))
(〔N・m/s〕,
(8.16)
よ り,
1
HT=
(uzv2 COSα2+
9
と な る。 こ のHTを,遠 α夏=90。 の と き,
9
(m)
, cos a,)
(8・17)
心 ポ ンプ の 理 論 揚 程 と い う。 HTは
COS CYl=0で,
1 一u
HT=
一u,v
1 zv2 Cos aZ=
9
最大 とな り
uz(uz-w2
cos/3Z)
(m)
(8.18)
と な る° す な わ ち,羽 根 車 に は い る液 体 は,羽 根 車 の 中 心 よ り直 線 的 に 羽 根 に沿 って は い る よ うに 設 計 すべ き で あ る。 また,一 般 に 遠 心 ポ ンプ の 設 計 で は, β2=20。
∼30。
ぐら い に と っ て い る゜
遠 心 ポ ン プ の 羽 根 車 の 出 ロ の 直 径 を30cm,回 wZ=12
Rz=30ー,
し,
m/s
〔解 〕 ま ず, a=η
図 よ り,vZ
娠
ω よ り,
1 9
*
こ の ポ ン プ の 理 論 揚 程 は い く らか 。
よ り,
β、=300よ
..HT一
と し た と き の,
0.3
uz(uz-w2
cos a2=u2+wz
x151.8=22.8m/s
2
COS Qz-COS
り,
cos/3z)
cos/3Z
30`一
転 数 を1450 rpmと
√;. =0 2
.866
8・3ポ
ンプ の比 速度(比 較 回転 数) 羽 根 の 形 と ポ ン プ の 種 類
遠 心 ポ ン プ に 限 らず,一 般 に ポ ンプ の 目的 とす る と こ ろは,基 本 的 に は い か な る流 量 をい か な る 揚程(全
揚 程)に
す る か に あ る(回 転 数 は 決 め られ て い る も の
とす る)。 ポ ン プ の 形 式 は,こ の 二 つ の要 素 の う ち,ど ち らに 重 点 をお くか に よ っ て 多 い に 異 な っ て くる。 ポ ンプ の 形 式 を代 表 す る もの は羽 根 車 で あ って,羽 根 の 形 が ポ ン プ の 形 式 を左 右 す る大 きな要 素 とな っ て い る。 さ て,図8・30の
よ う に,同
量 の 水 を 長 い 筒 と,短
い筒 の 両 方 に 満 た して 比 較 し
(a)長 い 筒,短 い 筒 に 同量 の水 を入 れ て,同 一 回転 数(角 速 度)で 筒 を振 っ た と き,ど ち らの 水 が遠 くへ 飛 ぶ か(遠 心 力 の大 きい ほ うが遠 くへ 飛 ぶ)
(b)角 速 度 が 同 じな ら,周 速 度 は半 径 に 比例 す る(v=rω) 図8・30
て み よ う。
長 い筒 の 水 を ω の角 速 度 で図 の よ うに 回転 させ た とき,飛 ぶ 水 の 距 離 と,短 い 筒 の 水 を同 じ角 速 度 ω で 回転 させ て 飛 ぶ 距 離 は,前 者 の ほ うが 長 い。 これ は 前 者 の ほ うが 水 に与 え る遠 心 力(速 度 の二 乗 に 比 例)が 大 き い か ら で あ る。 した が っ て,同 量 の水 を同 じ距 離 に 飛 ば す の に 必 要 な角 速 度 は,長
い筒 の ほ う
が 小 さ くて も よい わ け で あ る。 角 速 度 と 回転 数 は 比 例 す るの で,長
い筒 の 回転 数
は低 くて も よ い わけ で あ る。 こ の 回転 数 が つ ぎに 述 べ る比 速 度 に 相 当す る。 い ま,あ る 形 式 の ポ ン プ が あ っ た と き, そ の ポ ン プ を縮 小(ま
た は 拡 大)し
て相 図8・31
似 形 の ポ ン プ を つ く っ て,揚 程1m,流 1m3/minと
量
同 量 の 水 に 同 じ遠 心 力 を与 え る に は, 長 い 筒 の 角 速 度(回 転 数)は,短 い筒 の 角 速 度(回 転 数)よ り 小 さ く て よ い
な る よ う に した と き に 得 ら
れ る回 転 数 を,元 の ポ ン プ の比 速 度(比
較 回 転 数)と
幾 何 学 的 に相 似 な 羽 根 車 を もつ ポ ンプ の 比 速 度nsの
い う。 値 は, (8・19)
た だ し,n;ポ
ン プ の 回 転 数 〔rpm〕
Q;吐
出 し量 〔m3/min〕
H;全
揚程 〔 m〕
で 与 え られ る。幾 何 学 的 に相 似 な 羽根 車 のnsの こ とが 確 か め られ て い る。 した が って,nsの
値 は,大 小 に 関 係 な く一 定 で あ る
異 な るポ ンプ の 羽 根 車 は互 い に相 似
で は な い。 比 速 度 を計 算 す る と きに は,H
と Q は 羽 根 車 1個(1段)当
た りに つ い て の 全
揚程 と吐 出 し量 で あ る。 た だ し,両 吸 込 み うず 巻 ポ ンプ の と きは,片 側 の 吐 出 し 両(Q/2)を
使 って 計 算 す る。
ポ ン プ の 回転 数 n,必 要 吐 出 し量(流 量)Q,必
要 揚 程 H が 決 まれ ば,比 速 度
nsが 決 ま り,羽 根 車 の 形 が 決 定 され るの で,ポ ン プ の種 類 を選 定 す る こ とが で き る。 羽 根 車 の 形 状(ポ
ンプ の種 類)とnsの
関 係 を,図8・32に
示 した。nsの 値 が 大
きい ほ ど羽 根 幅 の大 きい 低 揚 程 に 適 す る ポ ンプ に な り,nsの 値 が小 さ い ほ ど,羽 根 幅 は 狭 くな り高 揚 程 に 適 す る ポ ンプ に な る。
図8・32
例題 うる
毎 分1500回
nsと 羽 根 車 の 形 状 お よ び ポ ン プ の 形 式
転 の 電 動 機 に 直 結 し て ,流 量4m3/min,全
揚 程30mを
ポン プ は 何 ポ ン プ が 適 当 か 。
〔 解〕
図8・32よ
り,タ
ー ビ ン ポ ン プ ま た は ボ リ ュ ー トポ ン プ が 適 当 で あ る 。
8・4 軸 流 ポ ンプ と斜 流 ポ ンプ 低揚程の ポンプ 比 速 度nsが
大 き い ポ ン プ に,軸
ン プ は 低 揚 程,吐 れ,吐
流 ポ ン プ(axial
flow
pump)が
あ る。 軸 流 ポ
出 し 量 の 大 き い と き に 適 し て い る 。ふ つ う揚 程10m以
出 し 量1800m3/min(全
都 市 の 上 下 水 道 用,蒸
揚 程5.3m)の
もの も あ る 。 農 業 用,土
下 に使 わ 木 工 事 用,
気 ター ビ ン復 水 器 の循 環 ポ ンプ な どに 使 わ れ て い る。
軸 流 ポ ン プ の ポ ン プ ケ ー シ ン グは,吸 込 み ケー シ ン グ と吐 出 しケ ー シ ン グ に わ か れ て い る。 吐 出 しケ ー シ ン グ 内 に案 内 羽 根 が あ っ て,プ
ロペ ラ 形 の 羽 根 車 よ り
で る水 を軸 方 向 に 案 内 して い る。 な お,こ の ポ ン プ に は,吸 込 み水 位 の 変 化 に 応 じて 羽 根 の 角 度 を 自動 的 に 調 整 で き る よ うに した もの もあ る。 こ の よ う に,可 動 羽 根 を もつ 軸 流 ポ ン プ の効 率 は,固 定 羽 根 の もの よ り良 い(図8・33)。 軸 流 ポ ン プ の 揚 程 は,羽 根 が液 体 に 与 え る揚 力 に よ って 得 られ,羽 根 車 の 羽 根 は4∼6枚 つ うで,図8・34の
がふ
よ う に,管 路 内 に直 接 取 り付 け られ て い る。
羽 根 車 を 中心 よ り半 径 rの 円 で切 断 し,⊿r(薄
い幅)の 翼 形 を考 え て,羽 根 車
図8・33 軸動 力 を一定 と した と きの可 動 羽 根, 固定 羽 根軸 流 ポ ン プの性 能 曲 線 の 比較(例)
軸 流 ポ ンプ
図8・34
の 羽 根 が 流体 に与 え る揚 程 につ い て 調 べ て み よ う。 翼 形 の 周 速 度 u と流 体 の 速 度 υか ら, 翼 形 の 流 体 の 相 対 速 度 は,速 度 線 図 よ り ω とな る。 す な わ ち,流 体 が 翼 形 に 沿 っ て は い る と きの 速 度 は ω で あ る。ま た, 翼 形 出 口 に お け る 流 体 の 相 対 速 度 を ω′ とす る と,翼 形 の 周 速 度 u と ω′ か ら,流
(b) 図8・35
翼 形が 流 体 に与 える揚 程
(a)
体 の 流 出 速 度 は合 成 に よ り υ′と な る。 流体 の 羽 根 車 軸 方 向 の 分 速 度 を υ0とす る と,流 体 が 幅 ⊿γの 翼 形 部 分 に は い る 流 量 は,羽 根 車全 体 で は,
とな る。
上 式 の 流 量 ⊿Qに Qυ'cosβ
よ る 翼 形 入 口 と 出 口 の 運 動 量 は,そ
で あ る か ら,翼 列 が 流 体 に 与 え た 力 ⊿Fは,出
れ ぞ れp⊿Qυcosa,ρ
⊿
口 と入 口 の 運 動 量 の 差 よ
り,
とな る。 した が っ て,流 体 が 翼 列 で受 け た動 力 ⊿Lは,
で あ る か ら,流 体 が 理 論 的 に 与 え られ た揚 程(理 論 揚 程)HTは,式(8・16)な
どか
ら
と な る 。 一 般 に,α=90°
で あ る か ら,
しか し,実 際 に は諸 損 失 が あ り,⊿γ部 分 の 羽 根 車 が 流 体 に 与 え た実 揚 程 H は, こ れ よ り小 さ くな り,
とな る。
こ の理 論 は,薄
い幅 の翼 列 に つ い て 展 開 した が,羽 根 の つ け根 か ら末 端 まで に
つ い て考 え な い と,羽 根 車 全 体 に つ い て の 揚 程 は得 られ な い 。 斜 流 ポ ン プ(diagonal
flow
pump)は,う
ず 巻 ポ ンプ と軸 流 ポ ン プ の 中 間 の 特
性 を もっ て い て,う ず 巻 ポ ンプ よ り高 速 回 転 で運 転 で き る。 小 形 で 軽 量 の ポ ンプ も製 作 が 可 能 で あ る。 比 速 度nsは600∼1300で,横
軸 形 で は 揚 程3∼10m,立
て 軸 形 で は5∼30mの
図8・36
範 囲 に用 い られ,立
斜 流 ポ ンプ
て軸 形斜 流 ポ ン プ で 吐 出 し量720m3/min(全
揚 程8m)の
も
の も あ る。 軸 流 ポ ン プ とほ ぼ 同 一 の 箇 所 に使 用 され て い る。 斜 流 ポ ン プ は,軸
流 ポ ン プ に 比 べ て締 切 り始 動 が で き,ま た,高 揚 程 で 用 い て
も キ ャ ビ テー シ ョ ン の発 生 が 少 な く,寿 命 も長 い 。
8・5
その他のポ ンプ ポ ンプの い ろ い ろ
〔1 〕
回 転 ポ ン プ(rotary
pump)
回転 ポ ン プ は,ケ ー シ ン グ に 内接 す る 回転 子(羽 根 や 歯 車 な ど)が 回転 して 液 体*を 押 し出 す もの で,密 閉 さ れ た 空 間 に液 体 が は い り,そ の 密 閉容 積 の 移 動 に よ っ て行 な わ れ る。 後 で 述 べ る往 復 ポ ンプ と同 様 に,吐
出 し量 が少 な く,高 圧 を得
る の に 適 し,潤 滑 油 を送 っ た り,油 圧 装 置 の 圧 油 供 給 源 と して も広 く使 わ れ て い る。 (1)ベ
ーンポ ンプ
に 偏 心 回 転 子 が あ っ て,回 *回
ベ ー ン ポ ン プ は 図8・37の
よ う に,円 筒 形 の ケ ー シ ン グ 内
転 子 の み ぞ に板 状 のベ ー ンが は い って い る。 こ の べ 一
転 ポ ン プ が 吸 う 液 体 に は,ガ
ソ リ ン ・油 ・塗 料 ・グ リ ス ・糖 密 ・水 な ど,範
囲 は 広 い。
図8・37
ン は遠 心 力,ま
た は,ば
ベ ー ン ポ ンプ
ね の 力 を利 用 して ケー シ ン グの 内壁 に 押 しつ け ら れ て い
る。 吸 込 み 口 よ りは い っ た 液体 は,回 転 子 の 回転 に よ っ て,図 の ①,②,③
と移
動 し,圧 力 を上 げ な が ら 吐 出 し 口 よ り吐 き出 され る。 この ポ ン プ は,ふ つ う油 圧 ポ ン プ と して使 用 され,吐 出 し圧 力 が10MPa(M→ 106)約100kg/c㎡ た もの で85%,小 (2)歯
ぐら い まで の もの が 製 作 され て い る。 効 率 は 精 密 に つ くら れ 形 で 高圧 用 の もの は70%ぐ
車 ポ ン プ(gear
pump)歯
ら いが 最 高 で あ る。
車 ポ ン プ は 図8・38の
よ う に,ケ
ー シング
内 壁 と歯 み そ の 間 に は さ ま れ た 液 体 を 歯 車 の 回 転 に よ っ て 送 り 出 す も の で あ る 。 こ の ポ ン プ も油 用 ポ ン プ と し て よ く使 わ れ,一
図8・38
歯 車 ポ ン プ(外接 歯 車 式)
図8・39
回 転 の 送 出 容 積 が0
.5cm3∼10l
ト ロ コ イ ドポ ン プ(内 接 歯 車 式)
程 度 の もの が 製 作 さ れ て い る。 こ の ポ ンプ の効 率 は,精 密 に つ く られ た も の で70 %ぐ
らい で あ る。
図8・39は,ト
ロ コイ ドポ ン プ とい わ れ る もの で,内 接 歯 車 式 ポ ンプ の 一 種 で あ
る。 ふ つ う内接 ロー タ を回 転 させ る こ と に よ り,そ れ とか み 合 う外 部 ロー タ が 同 一 方 向 に 回転 す る。 両 歯 車 間 に で き る容 積 は 吸 込 み 側 で 増加 しよ う と し て液 体 を 吸 い込 む 。 そ して,吐 〔2〕
出 し側 で液 体 の圧 力 を上 げ つ つ 吐 出 し口 よ り吐 き 出す 。
往 復 ポ ン プ(reciprocating
往 復 ポ ン プ は,ピ
Pump)
ス トンや プ ラ ン ジ ャが 往 復 運 動 して,吸 込 み,吐
う ポ ン プ で あ る。図8・40は,井
出 しを行 な
戸 水 を吸 い上 げ る と きに よ く使 わ れ る ポ ン プ を改
良 した もの で,バ ケ ッ トポ ン プ とよ ん で い る。
図8・40バ
図8・42プ
ケ ッ トポ ン プ(単 動 式)
ラ ン ジ ャ ポ ン プ(単 動 式)
図8・41ピ
ス トン ポ ン プ(単 動 式)
図8・43複
動 式 ポン プ
ピ ス トン ポ ン プ は 比 較 的 吐 出 し 量 が 大 き く(図8・41),ま は,吐
出 し量 が 少 な く圧 力 が 高 い と き に 用 い る(図8・42)。
の 往 復 で,そ
れ ぞ れ 吸 込 み,吐
た,プ
ランジャポ ンプ
ピ ス トンや プ ラ ン ジ ャ
出 し を行 な う ポ ン プ を 複 動 式 ポ ン プ と い う(図8・
43)。 単 動 式 往 復 ポ ン プ の 理 論 吐 出 し量Qthは,次
Qth= た だ し,D;ピ L;ピ
πD2 /4
式 の よ う に な る。
Ln〔m3/min〕
(8・20)
ス トン あ る い は プ ラ ン ジ ャ の 直 径 〔m〕 ス トン あ る い は プ ラ ン ジ ャ の 行 程 〔m〕
n;ピ ス トンの 毎 分 の往 復 数(ク
ラ ン ク 回転 数)〔rpm〕
な お,複 動 式 ポ ン プ は,単 動 式 ポ ンプ の 2倍 の理 論 吐 出 し量 を う る こ とが で き る。 一 般 に,往 復 ポ ンプ は ク ラ ン ク機 構 を各種 の 原 動 機 に よ り駆 動 させ,回
図8・44単
動 式 往復 ポ ンプの吐 出 し速度
転運動
を往 復 直 線 運 動 に変 え る こ とに よ り作 動 して い る。 原 動 機 の 回転 数 が 一 定(角 速 度 ω が 一 定)で も,ピ ス トンや プ ラ ン ジ ャ の速 度 は一 定 で な く変 化 す る。 したが っ て,吐
出 し速 度 は脈 動 す る。
図8・44は,ク
ラ ン ク角 度 と吐 出 し速 度 の 関係 を表 した もの で あ るが,90゚の とこ
ろ で ピ ス トンや プ ラ ン ジ ャ の速 度 は最 高 に な り,吐 出 し速 度 も最 高 に な る。 実 際 の 吐 出 し量 Q と,理 論 吐 出 し量Qthと
の 比 を体 積 効 率(ま た は容 積 効 率)
とい う。 体 積 効 率 を ηυとす れ ば, (8・21)
と な る 。体 積 効 率 ηυは,一 般 に80∼90%ぐ η は,こ 例 題
ら い で あ り,ポ ン プ 全 体 の ポ ン プ 効 率
れ よ り低 い。 毎 分100回
転(100rpm)す
ラ ン ジ ャ の 径 を20cm,行 よ 。 ま た,体
る 単 動 式 プ ラ ン ジ ャ ポ ン プ に お い て,プ
程 を20cmと
積 効 率 ηυを80%と
す る と き,理
す る と,実
論 吐 出 し 量Qthを
求め
際 の 吐 出 し 量 Q は い く らか 。
〔解 〕
例 題
前 間 に お い て,ポ
ンプ の 全 揚 程 が20m,ポ
ン プ の 軸 動 力 が2.5kW
で あ る と き,ポ ン プ効 率 は い く らか。 た だ し,使 用 液 は水 とす る。 〔 解〕
式(8.9)お
よ び 式(8・8)よ
り,
〔3〕
(1)ジ
特殊ポ ンプ ェ ッ トポ ン プ
液体 を ノズ ル か ら噴 射 させ,そ
体 を さ そ い 出 す ポ ン プ を ジ ェ ッ トポ ン プ(jet pump)と ズル か ら噴射 させ,他
の 噴 流 に よ っ て他 の 流
い う。 図8・45は,水
の 水 を揚水 す る 方 式 の もの で あ る。こ の ほ か に,水
をノ の噴流
で気 体 を送 り出す 方 式,蒸 気 の 噴 流 で水 を送 り出す 方 式 な どが あ る。 こ の ポ ンプ の効 率 は案 外 低 く15∼25%ぐ
図8・45
(2)空
らい で あ る。
ジ ェ ッ ト ポ ン プ(噴 射 式 ポ ン プ)
気 揚 水 ポ ン プ(気 ほ う ポ ン プ)吸
図8・46
気 ほ うポ ンプ
込 み 管 の 一 部 を水 中 に入 れ,下 端
に 圧 縮 空気 を送 り込 ん で,空 気 の あ わ をつ く り,あ わ と と も に水 を揚 水 す る ポ ン プ を空 気 揚 水 ポ ン プ(airlift pump)と
い う。 この ポ ン プ は摩 耗 部 分 が な く,ま た,
故 障 もほ とん ど な い が,効 率 は低 い(図8・46)。 (3)再
生 ポ ン プ(regenerative
ウ ェ ス コ ポ ン プ と もい わ れ,粘
pump)こ
の ポ ンプ は,か(渦)流
度 の 低 い液 体 の 小容 量,高
ポ ン プ,
揚 程 に 適 して い る。 狭
い ケ ー シ ン グ内 に 円板 の 周 囲 に 多 数 の み ぞ をつ け た羽 根 車 を 回転 させ,こ
れにふ
れ る液 体 を流 体 摩 擦 に よ っ て送 り出 す ポ ン プ で あ る。 家 庭 用 電 動 式 井 戸 ポ ンプ,
図8・47再
生 ポ ンプ
ボ イ ラ給 水 ポ ン プ お よ び化 学 薬 液,石 油 な どの 輸 送 に も使 わ れ る。 効 率 は,一 般 に30∼40%ぐ
ら い で あ る(図8・47)。
8・6
ポ ンプの設備 と選定 ポ ン プ の使 い 方,選
ポ ン プ の 形 式 を決 定 す るに は,ま ず 比 速 度nsの
算 出 が た いせ つ で あ るが,細
部 に わ た る仕 様 や 運 転 時 に お け る そ の ポ ン プ の 特 徴 な ど も よ く調 べ て お く必 要 が あ る。
〔1〕 ポ ン プの 設備 計 画 (1)ポ
ン プの 回 転 数
ポンプの回転
数 は早 い ほ うが 能 率 的 で は あ るが,早
す
ぎ る とキ ャ ビテ ー シ ョ ンの 発 生 が 激 し く な る の で,適 度 の 回転 数 を設 計 者 は決 め
表8・4三
び方
相 誘 導 電動 機 の極 数 と回 転数
て い る。 表8・4は,三
相 誘導電動機 の極
表8・5吹
出 し 量 と ポ ン プ の 口径
数 と回 転 数 の 関 係 を 表 し た も の で あ る が,な
るべ く直 結 に した ほ うが よい。
(2)吐
出 し量 と 口径
を 決 め る比 速 度nsの
ポンプの形式
計 算 に 必 要 な全 揚
程 H や 吐 出 し量 Q の 決 定 は,使 用 者 の 目的 に合 わせ て 十分 検 討 し た上 で行 な う べ きで あ る(4章 参 照)。吐
出 し量 Q と 口
径 d の 間 に は,一 般 用 ポ ンプ で は,表8・ 5に 示 す よ う な関 係 が あ り,例 外 を 除 い て お お よ そ の基 準 に な っ て い る。 (3)ポ 力
ン プ 軸 動 力 と使 用 原 動 機 の 動
式(8・10),式(8・11)な
どか ら,適 切
な 原 動機 を選 定 す る。 (4)配
管
配 管 上 特 に気 を付 け る
点 は,吸 込 み管 の 長 さ で あ る。 回 転数 と 吐 出 し量 を一 定 に し た場 合,吸
込 み揚程
が あ る一 定 以 上 に な る と羽 根 車 に キ ャ ビ テ ー シ ョ ン が 起 こ りや す く な る こ と が わ か っ て い る(一 径160mm以 mm以
下 の も の は 約5∼7m,口
径400mm以
般 用 の 遠 心ポ ン プ で は 口
下 の も の は 約4∼6m,400
上 の 大 形 ポ ン プ や 高 速 回 転 を す る ポ ン プ は 約3∼5mを
ー シ ョ ン が 起 こ りや す く な る こ と が わ か っ て い る)
図8・48吸
。ま た,吸
込 み管 の 取 付不 良
越 す と,キ
ャ ビテ
込 み管に空気 がは い
ら な い よ うに 管 継 手 を正 し く締 め つ け た り,吸 込 み 管 に 余 分 な 力 が か か っ て 変 形 す る こ と を防 い だ りす る 必 要 が あ る(図8・48)。 吸 込 み 管 の 取 付 位 置 は,他 の 吸 込 管 の位 置 と接 近 しな い よ うに,ま な どの 壁 との 距 離 も,図8・49に
た,水 そ う
示 す よ う な配 慮 が 必 要 で あ る。
図8・49吸
込み 管 の 取付 け 位 置
吐 出 し側 の 輸 送 管 の 取 付 け は,温 度 に よ る伸 縮 を考 え,支 持 方 法 は十 分 気 をつ け る必 要 が あ る(輸 送 管 が 長 くな り,温 度 に よ る伸 縮 が 無 視 で き な くな っ た と き は,中 間 に伸 縮 継 手 を設 け る必 要 が あ る)。 設 備 費 や 運 転 の 動 力 費 か ら配 管 の 太 さ を 考 え れ ば,大 動 時 間 が 短 い と き な ど は,管 し か し,小
流 量,輸
内,流
送 管 が 長 い,運
と っ た ほ う が 経 済 的 で あ る(0.5∼1
速 は,あ
流 量,輸
送 管 が 短 い,運
る 内 度 高 め に と り う る(1 .5∼3m/s)。
転 時 間 が 長 い と き な ど は,管
内流速は低め に
・5m/s)。
図8・50の よ う に,配 管 A と B を 比較 す れ ば,始 動 時 に お け る揚 程 はA,B共 にH〔m〕
で あ るが,配 管 B は 管 内 に 液体 が 満 た され た後 は,サ イ ホ ン の作 用 に よ
り揚 程 はH′ 〔m〕 と な っ て経 済 的 に な り,と くに低 揚 程 の と きは,こ の サ イ ホ ン配 管 の 経 済 性 が発 揮 さ れ る。
図8・50サ
(5)ポ
ン プ の す え付 け
イホ ン配 管
ポ ン プ の 運 転 ・保 守 に 便 利 で,し
位 置 を す え 付 け 位 置 に し た い 。 こ の と き,基
か も吸 水 面 に 近 い
礎 コ ン ク リー トは 地 盤 の 耐 圧 性 を 考
え た う え,十 分 な 広 さ と容 積 を も たせ た ほ う が よ い 。 と くに 地 盤 の 弱 い 場 所 で は, く い 打 ち な ど を し た う え,基 ポ ン プ の す え 付 け は,ま
礎 コ ン ク リー ト打 ち を行 な う必 要 が あ る(図8・51)。 ず,基
礎 コ ン ク リー ト上 で ポ ン プ と 原 動 機 を 組 立 て,
水 準 器 で 水 平 に し て か ら 基 礎 ボ ル ト穴 に コ ン ク リー トを 流 し込 み,コ が 十 分 に 固 ま っ て か ら ボ ル トを 締 め るべ き で あ る 。 な お,原 う フ ラ ン ジ 継 手 の す き ま(図8・52)x,yは,そ
ン ク リー ト
動 機 直 結 の と きに使
れ ぞ れ,0.05mm以
下,0.03mm
以 下 に な る よ うに 調 節 す る。
図8・51基
礎 コ ン ク リー ト
図8・52フ
ラ ンジ継 手 の す きま
〔2〕
ポ ン プの 取 扱 い
(1)
始動前 の注意
(i)
軸 流 ポ ン プ を 除 き,吐
出 し弁 は 閉 じ て お く。
(ii)
ポ ン プ を手 で 回 して極 端 に重 く感 じ る と きは,ポ
ン プ 内 に異 物 が 混 入
して い る と きが あ るの で,除 去 の方 策 を と る。 (iii)
油 や グ リー ス を 必 要 と す る 軸 受 に は,適
当 に補 充 す る。
(iv)
フー ト弁 の 故 障 な ど で ポ ンプ の 内水 が 給 水 面 に 落 ち て い る と き は,呼 び 水 ジ ョ ウ ゴ か ら呼 び 水 を入 れ る。
(2)
始動の 注意
(i)
実 際 の 始 動 に 際 して は,吐 出 し弁 は閉 じた ま ま(軸 流 ポ ン プ は 除 く), ス イ ッ チ を入 れ,圧
力 計 の 読 み や 異 常 音 の有 無 を確 か め て 揚 水 を確 認 す
る。 この と き揚 水 され て い な い と きは,空 運 転 で あ るか ら(焼 起 こ す)す (ii) (3)
き付 き を
ぐに 停 止 し,原 因 を調 べ 故 障 を な お す 。
ポ ン プ が 規 定 回転 数 に な るの を確 か め て か ら,吐 出 し弁 を徐 々 に 開 く。
(i)
運転 中の注意 軸 受 温 度 が 異 常 に 上 昇 して い な い か 確 か め,オ
イル リン グ で 油 が よ く
行 きわ た っ て い る こ と を確 か め る。 (ii)
グ ラ ン ドパ ッキ ンの 締 め 過 ぎは,動 力 の損 失 や パ ッ キ ン を早 くい ため る の で,少
量 の 水 が 漏 れ る程 度 に締 め て お く。
(iii) 異 常 音 や 異 常 振 動 が起 き た と きは,そ の 原 因 を確 か め,場 合 に よ って は ポ ン プ の 運 転 を休 止 させ る。 (iv)
ポ ン プ 内 に 固 形 物 や 空 気 が は い っ て い る と,圧 力 計 や 電 流 計 が 平 常 の 位 置 を示 さ な い の で必 ず 確 認 す ろ。
(4)
停止 時 の注意
(i)
吐 出 し弁 を閉 じて か ら ス イ ッチ を切 る(軸 流 ポ ンプ は除 く)。
(ii)
ポ ンプ 運 転 中 に停 電 な どが あ り,停 止 した とき は た だ ち に ス イ ッチ を 切 っ て お く と同 時 に,吐
出 し弁 を閉 じ る。
(iii)
長 期 間 の 停 止 の と き は,一
時 停 止 と は 逆 に ポ ン プ 内 の 水 を 抜 くた め,
エ ア ー コ ッ ク や ドレ ン コ ッ ク を 開 い て お く。
(5)
ポ ン プの 定 期 点 検
と くに 自動 運 転 の ポ ン プ な ど は,日 常 は 外 観 検 査 で
す ませ る場 合 が 多 い の で,次 の 定 期 検 査は ぜ ひ行 な った ほ うが よい 。 (i)
グ ラ ン ドパ ッ キ ン の 締 め ぐあ い や フ ラ ン ジ 継 手 の 狂 い……
(ii)
軸 受 油 の 取 替…………
(iii)
分 解 点 検…………
(iv)
吸 込 み 側 の ス ト レ ー ナ,フ
月 1回
3か 月 に 1回 年 1回 ー ト弁 の 掃 除……
6か 月 に 1回
〔3〕 ポ ン プ の 自 動 運 転 基 本 的 な 自動 運 転 の 実 例 を,給 水 ポ ンプ につ い て 述 べ て み る こ とに す る。 (1)
小 形ポ ンプ
小 形 の 給 水 ポ ンプ に よ く使 ぬ れ る 方 法 に,図7・53に 示 す よ
うな もの が あ る。ポ ン プ の起 動,停 止 は, 吐 出 し水 そ う 内に あ るフ ロー トに よ り行 な い,水 面 が 下 が りフ ロー トが 下 が れ ば, 電動 機 の ス イ ッ チ が 自動 的 に働 き,電 動 機 を 回転 させ,ポ
ン プ が 起 動 して 揚 水 す
る。 また,水 面 が 上 が りフ ロ ー トが 上 が る と,電 動 機 を 自動 的 に 止 め,ポ
ンプが
停 止 す る。 こ の フ ロー トの代 わ りに電 極 式 が あ る。 電 極 式 は,電 極 棒 に よ り水 そ う内 の 水 が 下 が れ ば,電 動 機 を起 動 させ, 上 が る と停 止 す る よ うに し た もの で あ る。 なお,吸
水面の異常低 下や異常上 昇
を検 知 して ポ ンプ を停 止(と
きに は 起 動
も行 な う)さ せ る吸 水 面 水 位 検 知 器 もよ
図8・53小
形給 水 ポ ンプ の 自動 運 転
く使 ぬ れ て い る。 (2)
中,大 容 量 送 水 ポ ン プ
ポ ン プ も大 形 に な る と,初 め に 真 空 ポ ンプ で 主
ポ ンプ を満 水 に して か ら起 動 す るの が ふ つ うで あ る。 主 ポ ン プ が 正 常 の運 転 状 態 に な り周 囲 を封 水 し,主 ポ ンプ の 満 水 が 終 わ る と,満 水 報 知 器 が働 い て真 空 ポ ン プ は 停 止 す る。 主 ポン プ が起 動 し,圧 力 が あ る一 定 の 圧 力 に な る と,圧 力 ス イ ッチ が 働 き吐 出 し側 の 電 動 ス ル ー ス 弁 が 開 く よ うに な っ て い る。 この と き電 動 ス ル ー ス弁 は,あ る 開 度 に な る と上 限 リ ミッ トス イ ッチ に よ り,そ の 位 置 で 止 ま る よ うに な っ て い る。 ポ ンプ が停 止 す る とき は,初 め に 電 動 ス ルー ス弁 が 締 ま り,全 閉 に な る と下 限 リ ミッ トス イ ッ チ が働 い て電 動 機 が 止 ま る よ うに な っ て い る。 水 位 に よ る起 動,停
止 は,小
形
ポン プ の 場 合 と 同 じ で あ る(図7・54)。
〔4〕 ポ ン プ形 式 の 選 定 ポ ン プ を選 定 す る に あ た っ て は,ポ ン プ の 性 能,経
済 性 お よ び運 転 ・保 守 の 上
か ら も十 分 考 慮 す る 必要 が あ るが,使 用 液 が 清 水 の と きは,揚 程 と吐 出 し量 か ら, 図8・55お よび 図8・56の よ うに,ポ
ン プ 形 式 を選 定 す る こ とが で きる。 た だ し,
各 形 式 の 境 界 線 は 明 り ょ うな もの で は な い 。 図8・55は, 図8・55は,50Hz,図8・56は60Hzの 50Hz, 図8・56は60Hz60Hz 図8・56は
ク)場 場 合 合 で で あ あ るo る。
図8・54大
容量 の 送 水 ポ ンプ
図8・55ポ
図8・56ポ
ン プ の 選 定 図(50Hz)
ン プ の 選 定 図(60Hz)
練 1.図8・57の
遠 心 ポ ン プ に お い て,圧
習
問
題
8
力
計 の 読 み が ヘ ッ ド に 換 算 し て20 mAq,真
空 計 の 読 み が2mAqで
あ っ
た。 ポ ンプ 中心 か ら圧 力 計 ま での 距離 は0.4m,吐 き,理
出 し 量 が0.05m3/sの
と
論 動 力 は い く ら か 。 た だ し,使
用 液 は水 とす る。
図8・57
2.前
問 に お い て,ポ
ン プ の 効 率 を0.82と
す れ ば,ポ
ン プ の 軸 動 力 は 何kWか
。
3.電 動 機 よ り V ベ ル ト掛 け で,あ る ポ ン プ を 運 転 し た と き に 全 揚 程 が100mで, 吐 出 し量 が3.0m3/sで き,ポ 95と
あ っ た 。 こ の と き の 電 動 機 の 出 力 が4000kWで
ン プ の 効 率 は い く ら か 。 た だ し,V し,使
ベ ル ト掛 け に よ る 動 力 伝 達 効 率 は0.
用 液 は清 水 とす る。
4.遠 心 ポ ン プ 中 心 に お け る 吸 込 み 管 の 真 空 度 が 水 柱 で5m,ポ の 位 置 に お け る 圧 力 計 の 読 み が 水 柱 で30mあ m3/minと
あ る と
す る と き,ポ
ン プ 軸 よ り0.5m
っ た 。 ポ ン プ の 吐 出 し 量 を1.2
ン プ の 理 論 動 力(水 動 力)は い く ら か 。 た だ し,使
用液
は清 水 とす る。 5.前
問 に お い て,吸
込 み 管 の 径 と 吐 出 し 管 の 径 は 同 じ で あ る と し,吸
と吐 出 し 水 面 の 実 長(実
揚 程)を33mと
す る と き,管
込 み水 面
路 内 の 全 損 失 ヘ ッ ドは い
く らか。 6.全
揚 程10m,吐
ま た,こ
出 し 量4.0m3/min,回
転 数1500rpmの
の ポ ンプ の形 式 は 何 ポ ンプ が よい か 。
比 速 度 は い くらか 。
9
油 圧 装 置 の し くみ 一 般 に
,油 圧 ポ ン プ で,適
当 な粘 度 を もつ 油(作 動 油)に 圧 力 の エ ネ ル ギ を与
え,こ れ を各 種 の 制 御 弁 を経 て,油 圧 モ ー タ*(油 圧 シ リン ダ,油 圧 回転 モ ー タ な ど)に 導 け ば,機 械 的 仕 事 を うる こ とが で き る。 油 圧 に よ って 機 械 的仕 事 を う る ため に 必 要 な機 械 要 素 を油 圧 機 器 とい い,そ れ ら を組 合 せて,一 つ の装 置 を形 成 した と きの 装 置 を油 圧 装 置(広 義 に は 油 圧 機 器 と もい う)と い う。 各 種 産 業 機 械 の 進 歩 ・発 展 と と もに,油 圧 装 置 の 利 用 は 増 加 し,応 用 範 囲 は あ らゆ る方 面 に わ た っ て い る。 工 作 機 械 類,建
設機 械,航
空機,船
舶,自
動 車,医
療 器 な ど,そ の 利 用 範 囲 は きわ め て 広 い。
9・1
油 圧 とは
パ ス カ ル の 原 理 を応 用 して 力 を 出 す 3・3節
パ ス カ ル の 原 理 と油 圧 で 述 べ た,油
側 の ピ ス ト ン の 断 面 積 をA1,荷
圧 の 原 理 か ら,図9・1に
お い て,左
重 を f,お よ び 右 側 の ピ ス ト ン の 断 面 積 をA2,荷
重 を W とす る と,次 の 関 係 式 が 成 りた っ た。
f /A1 こ の 場 合,荷
= W / A2 重 f を 断 面 積A1の
ピス
ト ン に の せ て 生 ず る 圧 力 をp(=f/A1) と す る と,圧 力 p を 生 ず る よ う な 油 圧 ポ ン プ を,図9・2の *
よ う に 使 用 す れ ば,
図9・1油
油 圧 で 直線 運 動 や 回転 運 動 な どの機 械 仕事 をす る機 器 の こ と をい う。
圧 の 原理
(9・1)
と な り,油 圧 ポ ン プ の圧 力 を上 げ れ ば, A2が 一 定 で も,W
は大 き くな り,大 き
な 力 を得 る こ とが で き る。 小 さ な力 で大 き な力 を得 る こ とが で き る こ とが 油 圧 の 特 色 で あ り,こ の 力 を油 圧 装 置 の 目的 に合 わ せ,有 効 に 利 用 しな
図9・2ポ
ン プの圧 力利 用
け れ ば な ら な い。 そ の ため に は,油 圧 機 器 一 つ 一 つ に 対 す る理 解 を深 め,そ
れら
の 組 合 せ に よ っ て適 正 な油 圧 回 路 を選 ぶ こ とが た いせ つ で あ る。 一 般 に
,油 圧 装 置 の特 長 と して,次
の こ と を あ げ る こ とが で き る。
(1)小 形 な装 置 で大 き な 力 が 出せ る(こ の こ とは,油 圧 の原 理 か ら も明 らか で あ る)。 (2)力 の 大 小 を簡 単 に,し か も正 確 に 調 整 で き る(ポ ンプ か らで た 油 を油 圧 シ リン ダ や 油 圧 回転 モ ー タ に 導 く途 中 で,圧 力 制 御 弁 に よ っ て圧 油 を一 部 加 減 して,正 確 に圧 力 が 変 え られ る)。 (3)作 動 部 の 移 動 を無 段 変 速 に す る こ とが で きる(歯 車 で変 速 す れ ば,変 速 比 に 限 りが あ るが,簡 単 な コ ッ ク を操 作 す る よ う に,流 量 制 御 弁 に よ って 油 の 流 量 が 加 減 で き る。 した が っ て,作 動 部 の移 動 速 度 は 自由 に変 え ら れ る)。 (4)安 全 装 置 が 簡 単 で あ る(あ る一 定 の過 負 荷 に な る と,逃
し弁 に よ って,圧
油 が 逃 げ る仕 組 み に で き る)。 (5)電 気 的 操 作 と組 合 せ る こ と に よ り,全 自動,半
自動 な ど容 易 に で き る(各
種 の油 圧 機 器 を電 気 的 に操 作 し,油 圧 装 置 を 自動化 で き る)。 (6)耐 久 性 が あ る(水 や 空気 と異 な り,油 の 中 に機 器 が あ る よ う な もの な の で, 摩 耗 や 腐 食 が 非 常 に少 な い)。 (7)保 守 や 点検 が 容 易 で あ る(配 管 な ど を考 慮 す る こ とに よ り,作 動 部 と制 御 部 を分 離 で き るの で,保 守 や 点 検 に 目が と ど くこ とに な る)。
ま た,欠 点 と して 次 の こ と を あげ る こ とが で き る。 (1)油
は可 燃 性 で あ る か ら,装 置 の 周 囲 に 高 温 の もの を お く こ と は 危 険 で あ
る。 (2)油 が 漏 れ な い よ うに,配 管 に は特 別 に気 をつ け な い とい け な い(各 種 の 制 御 弁 や 継 目 と管 の継 手 か ら油 が もれ る こ とが あ るの で,と きに よ っ て は特 別 の継 手 や 管 を必 要 とす る)。 (3)装 置 作 動 中,油 の温 度 が 徐 々 に上 が り,流 量 制 御 弁 を通 る 油 の 流 量 に少 し 変 化 が お きて,作 動 部 の 速 度 が 少 し変 化 す る(こ の速 度 変 化 は,微 量 で は あ るが,精 密 加 工 に は特 別 の 工 夫 が 必 要 に な っ て くる)。
9・2油
圧 機 器*
油圧装置 を組立ててい る各要素 装 置 を形 成 す る各 種 制 御 弁,な
らび に それ に付 属 す る各 要 素 の お も な もの を次
にあげた。 歯 車 ポ ンプ 油圧 ポンプ
ベ ー ンポンプ
そ の他 の ポ ン プ 油圧 シ リン ダ
油 油圧 モー タ
圧
歯 車 モ ー タ
軸 圧 回 転 モー タ ベ ー ン 型 モ ー タ
(ア ク チ ュ エ ー タ) そ の 他 の モー タ
各 種 プ ラ ン ジ ャ モー タ
圧 力制御 弁
機 油圧 制御弁 器
流量制御 弁(速度制御弁) 方向制御 弁
蓄圧 器 昇 圧器 *本
書 で は,油 圧 装 置 を形 成 す る各 種 機械 要 素(各 種 制 御 弁 と,そ の他 装 置 に 関係 あ る各要 素)
を"油 圧 機器"と したが,そ れ らの組 合 せで で きた油 圧 装 置 の こ とも油圧 機 器 とい って よい。
〔1〕 油 圧 ポ ン プ 油 圧 ポ ンプ に は,歯 車 ポ ン プ,ベ ー ン ポ ンプ,プ
ラン ジ ャ … … な どが 使 わ れ る
が,い ず れ も容 積 形 ポ ンプ で あ る。容 積 形 ポ ンプ は,回 転 数(rpm)が
一 定 な ら ば,
圧 力 が 変 化 し て も吐 出 し量 の変 化 は 少 な く,重 荷 重 が か か っ て も作 動 部 の 速 度 が 変 わ らな い 。 した が っ て,遠 心 ポ ンプ の よ うに,圧 力 変 化 に よ っ て 吐 出 し量 が大 き く変 わ る ポ ンプ は油 圧 ポ ンプ と して 不 向 きで あ る(油 圧 ポ ン プ の 構 造 は,8・5節 そ の他 の ポ ンプ で述 べ た もの は,こ
こ で は省 略 す る)。
往 復 形 の プ ラ ン ジ ャ ポ ンプ を使 用 す る と きは 本 数 を 多 くし,脈 動 を平 均 化 して い る。 図9・3は,プ
ラ ン ジ ャ ポ ン プ の 一 種 で,ア キ シ ャル 形(斜 軸 式)プ
ラ ンジ
ャ ポ ン プ の原 理 図 で あ る。 これ は シ リン ダ ブ ロ ッ クの 各 プ ラ ン ジ ャ軸 を 自在 継 手 で斜 板 に と りつ け,斜 板 は 駆動 軸 に よ って 回転 す る よ うに した もの で あ る。 シ リ ン ダ ブ ロ ッ ク軸 と駆 動 軸 は,あ
る角 度 を な して い るの で,駆 動 軸 が 回転 す る と,
各 プ ラ ン ジ ャ は 回 転 を しな が ら シ リン ダ 内 を往 復 運 動 し,斜 板 が 一 回転 す る間 に 油 の 吸 入 と吐 出 し を行 な っ て い る。 吐 出 し量 の調 整 は,斜 板 の角 度 を変 え る こ と に よ り行 な う。
図9・3ア
キ シ ャ ル 形(斜 軸 式)プ ラ ン ジ ャ ポ ン プ の 原 理
こ の ポ ン プ の 吐 出 し圧 力 は24500kPa(250kgf/c㎡)前 な く,回
〔2〕
後 で,容
積,重
量が少
転 数 も相 当 高 くす る こ とが で き る 。
油 圧 モ ー タ(ア
ク チ ュ エ ー タ)
油圧 モ ー タ は,油 圧 ポ ンプ か らで た 油 の圧 力 を利 用 して,直 線 運 動 や 回転 運 動 を行 な う機 械 で あ る。 直線 運 動 に は 油圧 シ リン ダ を,回 転 運 動 に は 油 圧 回転 モ ー タ を使 用 す る。 油 圧 ポ ン プ と形 は ほ ぼ 同 一 で,油 の 圧 力 を油 圧 シ リン ダ の片 側 に 入 れ れ ば,プ
ラ ン ジ ャ また は ピ ス トンは
直 線 運 動 を行 な い,油 圧 回 転 モー タ は 回 図9・4ベ
転 運 動 を行 な う。
ー ン モ ー タ(油 圧 モ ー タ)
〔3〕 圧 力 制 御 弁 圧 力制 御 弁 の う ち で,簡 単 な もの は リ リー フ弁 で あ る。 リ リー フ弁 は,油 圧 回 路 の最 高圧 力 を越 え な い よ うに 減 圧 して 安 全 を は か った り,圧 力 を一 定 に保 って, 油 圧 モ ー タ の仕 事 量 を一 定 にす るた め に 使 わ れ る(図9・5)。
図9・5(1)リ
リー フ弁(圧 力 制 御 弁)
図9・5(2)リ
図9・6は,圧
リー フ 弁(圧 力 制 御 弁)
力 制 御 弁 の 一 種 で,圧 油
は A か ら は い っ て B よ り油 圧 モ ー タ に は い るが,そ
この 仕 事 が完 了 す る と圧 力
が 上 が り,ピ ス トン が上 昇 し て C へ 圧 油 が 進 み,そ
こ で別 の 仕 事 を始 め るの に 必
要 な圧 油 を 配分 す る よ うにつ くられ て い る。 こ の よ うに,流
れ の抵 抗 を た くみ に
利 用 して 圧 力 回 路 の 作 動 順 序 をつ け る弁 を シ-ケ
ン ス弁 とい う。 図9・6シ
ー ケ ン ス 弁(圧 力 制 御 弁)
〔4〕 流 量 制 御 弁 流 量 制 御 弁 は,油 圧 モー タ に は い る油 の 流 量 を変 化 させ て,油 圧 モ ー タ の 作 動 速 度 を変 え る役 目 を果 たす 。 流 量 を増 せ ば 速 度 が 上 が り,減 れ ば 速 度 は下 が る。 す な わ ち,流 量 制 御 弁 は,油 圧 モ ー タ の 速 度 を制 御 す る弁 で あ る。 図8・7は,一
般 的 に 使 わ れ て い る流 量 制 御 弁 で あ る。 圧 油 の 流 量 は,入
口と出
口 の途 中 に あ る絞 り弁 E に よ っ て 決 め られ る。 流 量 は 絞 り弁 E の 前 後 の圧 力 差 (p1-p2)が 一 定 な らば変 わ ら な い。 した が っ て,出 口の 圧 力が 変 わ って も圧 力 差 が 変 わ らな い よ うに 工 夫 す れ ば,流 量 を一 定 に保 つ こ とが で き る。 この よ うな 弁 を圧 力 補 償 付 流 量 制 御 弁 とい う。圧 力 補 償 弁 A 室 の受 圧 面 積a〔 ㎡ 〕は,B 室,C
図9・7圧
室 の 受 圧 面 積b〔 p2〔Pa〕(〔N/㎡ の 間 に は,次
力 補償 付 流量 制御 弁
㎡ 〕,C〔 ㎡ 〕の 和 に 等 し く な っ て い る。 し た が っ て,A 〕),ス プ リ ン グ の 力F〔
室の圧力
N 〕,B 室,C 室 の 圧 力p1〔Pa〕(〔N/m2〕)
の 式 が 成 りたつ 。 (9.2)
(9.3)
p1-p2の
値 は,ふ
つ う300∼400kPa(約3∼4kgf/cm2)ぐ
く ら れ て い る 。 い ま,出
口 の 圧 力p2が
低 く な っ た と す る と,圧
す 力 は 弱 ま り,圧 力 補 償 弁 は 上 に 押 さ れ,オ も低 く な る。 こ の よ う に,p2やp1が p2の 値 は い つ も 一 定 に 保 た れ,流 な ら ば,油
圧 モ ー タ(油
らい に な る よ うにつ
リフ ィ スGの
変 わ っ て も,オ
力補 償 弁 を下 に押
流 路 を せ ば め て 圧 力 p1
リ フ ィ ス G の 働 き に よ りp1-
量 が 変 化 しな い よ う に な っ て い る。 流 量 が 一 定
圧 シ リ ン ダ や 油 圧 回 転 モ ー タ)の
速 度 も一 定 に 保 た れ る
わ け で あ る。
〔5〕 方 向 制 御 弁 方 向制 御 弁 に よ って,油 圧 シ リン ダ の 往 復 や 油 圧 回転 モー タ の 正 逆 回 転 を行 な わせ る。 図9・9は,回
転 ス プ ー ル 形 四 方弁 で,ス プ ー ル を 回転 移 動 して 油 路 を変
え る し くみ に な っ て い る。図9・10は,オ
ー プ ンセ ン タ形 四 方弁 で,図 の 点 線 の位
図9・8
図9・9
図9・10
方向制御弁
回転 ス プー ル 形四 方弁(方 向制 御 弁)
オー プ ンセ ン タ形 四方 弁(方 向制 御弁)
置 ヘ ス プ ー ル を移 動 す れ ば,点 線 矢 印 の 方 向 に作 動 油 が働 く。 ま た,ス プ ー ル を 逆 の 位 置 へ移 動 す れ ば,点 線 矢 印 と逆 の 方 向 に 作 動 油 が働 く。 〔6〕 そ の 他 の 機 器 油 圧 装 置 の 故 障 や 停 電 な ど に よ って,装
置 の機 能 が 止 ま ろ う とす る と き,回 路
内 に 油 圧 エ ネ ル ギ を蓄 積 す る容 器 をお け ば,そ
の容 器 内 の 油 を放 出 して 機 能 を続
行 す る こ とが で き る。 こ の よ うな容 器 を蓄 圧 器(ア
キ ュ ム レー タ と もい う)と い
う。
図9・11
蓄 圧 器(ピ ス ト ン 式)
図9・11は そ の使 用 例 で,自 動 盤 の 油 圧 チ ャ ッ クが停 電 に よ っ て ポ ン プ か らの圧 油 が 停 止 して も,蓄 圧 器 の 圧 油 をチ ャ ッ クに 送 っ て材 料 を保 持 す る と きな ど に使 っ て い る。 また,蓄 圧 器 は 回路 内 の 脈 動 圧 を緩 和 す る働 き もす る。 油 圧 回 路 内 の 一 部 を,と 12は,そ
く に 高 い 圧 力 に し た い と き に は 昇 圧 器 を 用 い る 。 図9・
の 原 理 を 示 す 図 で あ る。 圧 力P1の
図9・12
油 が A 室 内 に は い り,面
昇圧 器 の 原理
積 aの ビ ス
トン を 押 す 力 はP1aで
あ る 。 そ の 力 は B 室 の ピ ス トン に 働 き,B
面 積 を b,B 室 の 圧 力 をP2と
室 の ピス トン の
す る と,
p1a=p2b
a>bと
(9.4)
す る と, P2>P1
と な り,油 圧 ポ ンプ か ら吐 き出 され る油 を高 圧 に 変 え る こ とが で き る。 そ の他,管
内 の 逆 流 を防 ぐ逆 止 弁(図 逆 止弁
図9.13
9・13)や 作 動 油 の よ ご れ を と るオ イル フ ィル タ な ど が使 わ れ て い る。
9・3油
圧 装 置 の使 い方 油圧装置の実例
図9・14は,重
い 荷 重 を上 げ る こ と の で き る ジ ャ ッ キ の 油 圧 装 置 の 例 で あ る 。
油 圧 ポ ン プが 回転 す る とオ イ ル タ ン ク よ り作 動 油 が 送 りだ さ れ,油 圧 シ リン ダ 内 の ピ ス トン を動 か す 。 こ の と き,仕 事 の 大小 に よっ て 圧 力 を変 化 させ る こ とが で き る よ う に,圧 力 制 御 弁 が 取 り付 け て あ る。 ピ ス トン に伝 わ る力 を大 き くす る に は 圧 力 を高 め,小
さ くす るに は 圧 力 を低 くす る。 ま た,ピ ス トンの 移 動 速 度 を
調 節 す るた め に 流 量 制 御 弁 を取付 け,ピ る。 な お,シ
ス トン速 度 を早 め るに は 流 量 を少 な くす
リン ダ の上 下 は 方 向 制 御 弁 に よ っ て,い
か ら は い っ て い た作 動 油 は,切
ま ま で ピ ス トン の下(上)
り替 えハ ン ドル を操 作 して,上(下)か
らは い る
よ うに な り,ピ ス トンの 上 下 運 動 を行 な う よ うに な っ て い る。 方 向制 御 弁 の 切 り 替 え に は,手 動 式 と電動 式(た
とえ ば,電 磁 切 換 弁)が
ジ ャ ッ キ の 油 圧 装 置 は 基 本 的 な もの で あ る が,そ
あ る。
の他 の 油 圧 装 置 も,こ れ らの
制 御 弁 の 組 合 せ を変 えた り,一 部 の 油 圧 機 器 を追 加 して構 成 さ れ て い る。
図9・14
ジャ ッ キの油 圧 系 統図(例)
図9.15は,油
図9・15
油圧 プ レ ス(例)
圧 に よ る プ レ スの 例 で,油 圧 に よ っ て物 体 に 力 を加 え る機 械 で あ
る。 ジ ャ ッ キの 場 合 に 比 べ る と,シ
リン ダ の 数 が 増 して い るが,方
向制御弁 の作
用 を有 効 に利 用 し た一 例 で あ る。 図10.21(176ペ
ー ジ)の 水 車 の 調 速機 も油 圧 装 置 を使 っ て い る。
9.4
油 圧
記
号
油圧 回路図 とは 油 圧 記 号 を使 っ て 油 圧 回路 図 を書 き(ラ ジオ や テ レ ビの 回 路 図 の よ う に),組 や 修 理 を能 率 的 に して い るoま
た,新
立
しい 計 画 や 設 計 に も油 圧 回 路 図 はぜ ひ 必要
で あ る。 油 圧 記 号 に は,従 来 よ りア メ リカ の 油 圧 記 号 が,わ が 国 で も使 用 され て き たが,JIS油 た。
圧 ・空 気 圧 用 図 記 号 表 が で き た の で,そ れ を使 っ て 油圧 回路 を表 し
図9・16は,図9・14ジ
ャ ッ キ の油 圧 系
統 を油 圧 回 路 で 表 した もの で あ る。 この 回 路 は,ジ
ャ ッ キ・ の ほ か に ブ ロ ー チ 盤,
ホ ー ニ ン グ 盤 な どに 使 わ れ て い る。 表9・1(1),(2),(3)は,JISの り,お
油圧 記 号 よ
もな もの を選 ん で のせ た 。
図9・16油
表9・1(1) 名
称
管路の接続
管 路 の 交 差
JIS記
号
JISの 面 圧記 号(主 な もの を抜粋) 備
考
名
称
黒 円の 直径 ≒ 5×(線 の 太 さ) +は まぎ ちわ しい ときは, その 使 用 を さ け る。
タ ン クにつ な が る管路 管 端 を 液中 に 入れ な い。 管 端 を 液 中に 入れ る 。
定容 量 形 油圧 ポ ンプ
管路 に 沿 って 書い て よい 。
管端 は,タ ン クの 緑 を結 ん だ線 よ りは い らな い こ と。
軸,レ ハ ー ,ロ ッ ド
線 間 距離 >5 ×(線 の太 さ)
〃 (回転 軸)
円 弧 の中 心 は 原動機 側
JIS記
備
考
一 方向 だ
→― 流 れ の 方 向 (液 体 の場 合)
圧 回路 図
可 変 容 量 形油 圧ポンプ
けの 流 れ
三 角 形は 流体
の場 合
の 出 口 を示す 三 角 形の 高 さ
両方向の
は,円 の 直径
流れの場
の約1/5と
合
る。
す
表9・1(2) 名
称
JIS記
号
JISの 油 圧 記号(主 な もの を抜粋) 備
考
名
モ
称
ー
JIS記
号
備
考
タ
定容量形油圧 圧 力 制 御 弁
モー タ
リ リ
出 を意味 する。
フ 弁,
安全弁
ア ン ロ ー ド弁
可変容量形油 圧モータ シ ー ケ ン ス弁
(a)
パ イ ロ ッ ト 式
(b)
シー ケ ン ス弁
単 動 シ リ ンダ (a)詳 細 記 号
ば ね な し
(b)簡 略 記号
ば ね 付
流 量 制 御 弁 固
定
形
内部 ドレ ン式
複動 シ リンダ
可 入 力 方
式
変
レバー 方 式
形
押 ボ タ ン式 ペ タ ル 式
▼印は大気放
外部 ドレ ン式
逆止め弁 付
表9・1(3)JISの
名
称
油 圧 記 号(主 な も の を 抜 粋) JIS記
備
号
考
方向制御弁 2 ポ ー ト 2位 置
切換弁 4 ポ ー ト 3位 置
切換弁 逆 止め弁
逆 止め 弁 な し
逆止め弁付 止め 弁 ま たは コ ッ ク
油圧 用
蓄圧器
熱機関
練 1.圧
力 制 御 弁,流
量 制 御 弁,方
向 制 御 弁 は,油
習
問
題
9
圧 回路 内 で どん な 目的 の た め に
使 わ れ るか 。 2.油
圧 シ リ ン ダ を使 っ て,1000Nの
す る と き,シ 3.図9・12の
の 圧 力 を200kPaと
リン ダ の 内径 は い くらに す べ きか 。 昇 圧 器 に お い て,A
の 面 積 が80c㎡ は40c㎡
力 を得 た い 。 い ま,油
の と き,B
とす る。
室 の 圧 力 が3MPa(3000kPa)で,ピ
ス トン
室 の 圧 力 を 求 め よ 。 た だ し,B 室 の ピ ス トン の 面 積
10 その他 の流 体 機 械 一般 に
,流 体 機 械 を大 別 す る と,水 力 機 械(こ
釈 し,液 体 全 般 を さ して い る)と 空 気 機 械(こ
の場 合 の 作 動 流 体 は,広 義 に解
の場 合 の 作 動 流 体 は,広 義 に解 釈
し,気 体 全 般 を さ して い る)に わ け られ る。 8章 で は ポ ンプ を,9 章 で は 油 圧 装 置 に つ い て 述 べ た が,こ の 章 で は水 車,流 体 変 速 機 な どの水 力 機 械 と,送 風 機,圧 縮 機,風
車 な どの 空 気 機 械 につ い て 述 べ る こ とにす る。
10・1水
水 車(water
turbine)は,高
車 の し くみ
い とこ ろ の水 を低 い と こ ろに 導 き,水 の もつ 位 置
エ ネ ル ギ を利 用 して 羽 根 車 を回 し,機 械 的 エ ネ ル ギ に変 え る機 械 で あ る。 水 力 発 電 所 は,こ の よ うな水 車 を用 い て 水 の エ ネ ル ギ を機 械 的 エ ネ ル ギ に 変 え, そ れ に よ って 発 電 機 を 回 して発 電 を行 な う とこ ろ で あ る。 水 力 発 電 所 は 火 力発 電 所 に比 べ て,建 設 費 は 高 いが 維 持 費 は安 い の が 特 徴 で あ る。 〔1〕 水 車 と は-水
車 の 原 理 と動 力-
水 車 の 利 用 は 非 常 に 古 くか ら行 な わ れ,3000年
以 上 の歴 史 を有 して い る とい
わ れ て い る。 もっ と も原 始 的 な もの に, 図10・1に 示 す 下 掛 け水 車 が あ る。この 水 車 は,半 径 方 向 に木 製 の 羽 根 を つ け た車 を 自然 の 流 れ の 中 に 入 れ て,流
れ る水 の
力 を利 用 して 車 を回 す よ うに した もの で
図10・1
下掛け水車
あ る。 製 粉 や 揚 水 な どの 動 力 源 と して使 用 した。 水 力 発 電 所 で は,取
入 れ 口か らは い っ た 水 は,水 路 や 水 圧 管 を通 り,水 車 を 回
転 させ た の ち放 水 路 へ 放 流 させ る。 こ の 取 入 れ 口水 面 か ら放 水 路 水 面 まで の 高 さ Ht〔m〕 を総 落 差(total
head)と
い う。 な お,取
入 れ 口か ら上 水 そ う まで の 損 失
ヘ ッ ドをh1〔m〕,水 圧 管 路 の 損 失 ヘ ッ ドをh2〔m〕 ,放 水 路 に お け る損 失 ヘ ッ ドを h3〔m〕 とす れ ば,水 車 に有 効 に 作 用 す る水 の 高 さH〔m〕
は, (10・1)
とな る。 こ の H
を 有 効 落 差(effective
図10・2
す れ ば,式(10・1)の
動 力Lth〔kW〕
い う。
有効 落 差 と損 失ヘ ッ ド
い ま,水 車 に は い る 流 量 をQ〔m3/s〕,有 kg/m3と
head)と
効 落 差 をH〔m〕,水
の 密 度 ρ を1000
有 効 落 差 に よ っ て水 車 が 理 論 的 に発 生 で き る は ず の
は,
(10・2)
で あ る 。 こ のLthの
こ と を 理 論 水 力(theoretical
と い う。 し か し,水
車 に は 種 々 の 損 失 が あ る た め,水
動 力 L は,水
water
power)ま
たは理論 出力
車 の 軸 で 有 効 に 取 り出せ る
車 の 効 率 を η*と す る と,
(10・3)
と な る。 こ の L を 正 味 出 力 ま た は 有 効 動 力(effective 水 車 の 効 率 η は,水 で あ る 。 な お,発
車 の 形 式,出
力,構
造,形
い う。
状 の 大 小 な どに よ っ て 異 な る値
電 機 の 効 率 を η′と す れ ば,発
N=Ltん
power)と
電機 の 出力 N は
ηη′
(10・4)
とな る。 N を発 電 所 出 力 とい う。 ふ つ う使 わ れ て い る水 車 の 最 高 効 率 η は86∼94%,発 95∼98%で
電 機 の 最 高 効 率 η′ は
あ る。
水 車 の 形 式 を,羽 根 車 に 対 す る 水 の 作 用 に よ っ て 分 類 す る と,衝 動 水 車 (impulse
turbine)と 反 動 水 車(reaction
撃 水 車 は,水
turbine)に 大 別 す る こ とが で き る。 衝
の位 置 エ ネ ル ギ を ノ ズ ル に よ っ て 速 度 エ ネ ル ギ に 変 え,高 速 度 の 噴
流 を羽 根 に与 え,そ
の衝 撃 力 に よ って 回転 す る水 車 で あ る。 ま た,反 動 水 車 は水
の 位 置 エ ネ ル ギ を速 度 エ ネ ル ギ と して 羽 根 に作 用 させ るほ か に,圧 力 ヘ ッ ドで も 羽 根 に 圧 力 をか け て 反動 力 を利 用 して 回転 す る水 車 で あ る。 ペ ル トン水 車 は衝 動 水 車 で あ り,フ ラ ン シス水 車,プ
ロペ ラ水 車,ポ
ン プ水 車 な ど は,反 動 水 車 で あ
る。 水 車 の 形 式 を,す え付 け 方 法 で分 類 す る と,立 て軸 形 と横 軸 形 に 大別 さ れ る。 中 流 量以 上 の フ ラ ン シス 水 車 や カ プ ラ ン水 車 は 立 て軸 形 が 多 く,ペ ル トン水 車 や フ ラ ン シス 水 車,カ プ ラ ン水 車 の小 流 量 の もの は,横 軸 形 が 一 般 に使 わ れ て い る。 立 て 軸 形 は,発
電機 をす え付 け るの に 二 階 建 に して,二 床 面 を必要 と した り,基
礎 も堅 固 に す る 必要 が あ るが,横
*(164ペ
ー ジ)η(水
た だ し,ηhは
車 の 効 率)=ηh(水
水 車 の 外 胴,羽
よ る損 失 で,h1を
軸 形 は す え付 けや 保 守 は容 易 で あ る。
根 車,吸
力 効 率)× ηυ(体積 効 率)× ηm(機 械 効 率) 出 し 管 内 の 水 力 損 失,案
内羽 根 に は い る と きの衝 突 に
吸 出 し管 にお け る排 棄 の 損 失 な どの 全 損失 ヘ ッ ドとす れ ば,ηh=
H-h1/ H
で
表 さ れ る。
ηυは,羽 根 車 と外 胴 の 間か ら水 漏 れ す る流 量 を ⊿Qと す れ ば,η υ= ηmは,機
械 的 な摩 擦 に よ る損 失 をlmと
L す る と,η υ=/ L+lm
Q-⊿Q /Q
で 表 さ れ る。
で 表 さ れ る。
例 題 000kWの
〔解 〕
い ま,あ る 水 車 の 有 効 落 差 が200m,流 と き,こ
式(10・3)よ
L η= / Lth
量25m3/sで,正
味 出 力 が45
の 水 車 の 効 率 は い くらか 。
り, =45000
=L/9.8QH
/ 9.8×25×200
=0 .918(=91.8%)
〔2〕 ペ ル トン水 車 一 衝 撃 力 で 回 る水 車 − ペ ル トン 水 車(Peltom れ,1300mを
(1)構
wheel)は
,従
来 よ り高 落 差 用(約200∼1000)に
使 わ
越 え る もの も使 わ れ て い る。
造 の概 要
水 圧 管 よ り導 か れ た 水 は,ノ ズ ル に よ っ て 噴 流 と な り,羽
根 車 の 周 囲 に取 り付 け た わ ん 形 のバ ケ ッ ト(bucket)に
当 た り,水 の も って い る
エ ネ ル ギ をす べ て 運 動 エ ネ ル ギ に変 え,羽 根 車 を回 転 させ る(図10・3)。
図10・3
ペ ル トン水 車 の構 造 図
羽 根 車 の 周 囲 に は,中 央 に刃 状 の水 切 りを もっ た バ ケ ッ トが16∼30個 り付 け て あ る。 バ ケ ッ トは従 来,個 け た か,ま
ぐらい 取
々 の 鋳 造 製 バ ケ ッ トを ボ ル トに よ っ て 取 り付
た は 鍛 造 バ ケ ッ トを溶接 した もの を採 用 して き た。 しか し,現 在 で は
大 型 で も,13Cr製
の一 体 鋳 造 羽 根 車 な ど を用 い る よ うに な っ て きた 。バ ケ ッ トに
当 た っ た 噴 流 は,水 切 りで左 右 に バ ケ ッ トの 内 面 に 沿 っ て ほ ぼ 進 入 方 向 と逆 の 向 きに 流 れ 去 る。 この と き水 の 飛 び 散 るの を 防 ぐた め,羽 根 車 は鋼 板 製 の ケ ー シ ン グ(casing)で
包 ま れ て い る。
ノ ズ ル の 中 に は ニ ー ドル 弁(needle
valve)が
あ り,調
速 機 に よ っ て ニ ー ドル を
出 し 入 れ し て 流 量 を 加 減 す る よ う に な っ て い る 。 ま た,弁 用 が 起 こ る の で,噴 を も う け て,噴
流 とバ ケ ッ トの 間 に,図10・4の
流 の 方 向 をバ ケ ッ トか ら そ らせ,そ
に し て あ る 。 ま た,ノ
図10・4
を 急 閉 鎖 す る と水 撃 作
よ う な そ ら せ 板(deflector) れ か ら弁 を徐 々 に 閉 じ る よ う
ズ ル を 閉 じ て も な お し ば ら く 回 転 が 続 くの で,バ
ノ ズル とそ らせ 板
図10・6
ペ ル ト ン 水 車(ノ
図10・5
ズ ル 2個)
ケ ッ トの
噴 流 とバ ケ ッ ト
裏 面 に 別 の 噴 流 を 当 て る ため の小 形 の 制 動 ノズ ル を付 け る のが ふ つ うで あ る。 ふ つ う,ノ ズ ル の 材 料 は 鋳 鋼 で あ るが,ノ え て,ス
ズ ル 出 口の 部 分 は 耐 摩 耗 性 や 耐 食性 を考
テ ン レ ス鋼 を使 っ て い る。 ま た,ニ ー ドル 弁 は 黄 銅,り
ん 青 銅 な どの 材
料 でつ く られ て い る。 噴 流 の 速 度 は100m/sに 摩 耗 が早 い の で,取
達 す る もの もあ り,ノ ズ ル 出 口 とニ ー ドル 弁 の先 端 は
り替 えが で き る よ うに な っ て い る。
(2)ペ
ル トン水 車 の 特 徴
(ⅰ)流
量 が 比 較 的 少 な くて落 差 の 大 き い と きに 効 率 が 良 い 。
(ⅱ)摩
耗 部 分 が 少 な く,ま
た,羽
根 車,ニ
ー ドル,ノ
ズ ル な ど の 取 り替 え が
容 易 で あ る。
(ⅲ)負
荷 し ゃ断 時 の水 圧 上 昇 を低 く押 え ら れ る。
(3)バ
ケ ッ トに作 用 す る噴 流
噴 流 の 流 量Q〔m3/s〕,速
度 υ 〔m/s〕,周 速 度
の 方 向 と水 の 流 出 速 度 の な す 角 を β とす れ ば,噴 流 が バ ケ ッ ト を 押 す 力Fxは,式 (7・6)よ り
で,ま
た,噴
流 が バ ケ ッ トに 与 え る 動 力Lbは,
(10・5)
図10・7
バ ケ ッ トに 当 た る噴 流
図10・8
バ ケ ッ トに 与 え る実 際 動 力 と理 論動 力
と な る 。式(10・5)に 大 動 力Lmaxが
お い て,β=0,u=υ/2の
と き,バ ケ ッ トに 与 え る 理 論 上 の 最
え ら れ,
Lmax=
ρQυ2
〔W〕(〔N・m/s〕,〔J/s〕)
/2
と な る 。 しか し,実
(10・6)
際 に は 噴 流 と バ ケ ッ ト と の 間 に 生 ず る流 体 摩 擦,そ
失 の た め にu=υ/2を
少 し 下 ま わ っ たu=(0.42∼0.48)υ
で,ま
た 噴 流 が 次 に 進 ん で く るバ ケ ッ トの 裏 面 を 打 つ の で β=0で
た,バ
の他 の 損 ケ ッ トを 出
は な く,β=4° ∼15°の
と き に 最 大 動 力 が 得 ら れ る こ とが 経 験 上 わ か っ て い る 。
〔3〕
フ ラ ン シ ス 水 車 −反 動 力 も利 用 して 回 る水 車 ―
フ ラ ン シ ス 水 車(Francis て,現
turbine)の
落 差 は 一 般 に 約20∼500mの
範 囲で あっ
在 最 も 多 く用 い ら れ て い る 水 車 で あ る 。
(1)構
造 の概 要
ケ ー シ ン グ の有 無,形
フ ラ ン シ ス水 車 を 式 に よ っ て分 類 す
れ ば,ケ ー シ ン グの な い もの(露 出 形)*, 円 筒 形 の もの(前 口形),う ず 形 の もの(う ず 巻 形)に 分 け られ る が,現 在 で は,ほ とん どの フ ラ ン シ ス水 車 は,ケ ー シ ン グ が うず 巻 形 の 形 式 の もの が使 わ れ て い る (ま た,主 軸 の 向 きに よ って 立 て軸 形 と
図10・9
フ ラ ン シ ス 水 車(出 力137000kW)
横 軸 形 が あ る)。 図10・10は,最
も 多 く採 用 さ れ て い る 立 て 軸 形 フ ラ ン シ ス 水 車 の 構 造 を 示 し た
も の で あ る 。 水 は 水 圧 管 か ら ケ ー シ ン グ に は い る が,ケ っ て い る の で う ず 巻 室(spiral
casing)と
よ ば れ,鋼
ー シ ン グ は うず 巻 形 に な 板,鋳
鋼,鋳
鉄,ま
筋 コ ン ク リー ト な ど で つ く ら れ て い る 。さ ら に,水 は ス ピ ー ド リ ン グ(speed で 流 れ を 整 え,案 *露
内 羽 根(guide
vane)に
よ っ て 羽 根 車(runner)に
た は鉄 ring)
導 か れ,羽
出形 は低 落 差,小 容 量 に わ ずか に採 用 され て い るが,前 口形 は新 規 に は ほ とん ど製作 され
て い な い。
根 車 を 回転 させ る。 ス ピー ド リン グ は,ケ ー シ ン グの 補 強 に もな っ て い る の で,強 度 を要 す る部 分 で あ る。 ま た,案
内 羽 根 は水 車 の 負荷 に
よ り,羽 根 の角 度 を 変 え て流 量 を加 減 す る働 きが あ り,不 銃 鋳 鋼 ま た は鋳 鋼 で つ く られ て い る。 案 内 羽根 の 角 度 は,ふ つ う調 速機 に よ り油 圧 装 置 に よ っ て操 作 し て い る。図10・11は,案 鋳 鋼,鋳
鉄,り
内羽 根 の 形 状 で,
ん 青 銅 な どで つ くられ て
い る。 羽 根 車 か ら出 た水 は,図10・12の し管(draft が,吸
tube)を
吸出
通 って 放 出 さ れ る
出 し管 の 断 面 積 は徐 々 に拡 大 さ れ
て い て,出
口 の 流 速 を減 少 させ,速 度 エ
ネル ギ の排 棄 損 失 を少 な くす る働 き を し 図10・10
て い る。
図10・11
羽 根 車 の形 状
立 て 軸 形 フ ラ ン シス水 車 の構 造
図10・12
吸 出 し管
図10・13
立 て 軸 形 フ ラ ンシ ス水 車の 例
(2)
フ ラ ン シ ス 水 車 の 特 徴
(ⅰ)
フ ラ ン シ ス水 車 の 適 用 落 差 の 範 囲 は 広 く,ま た,小 容 量 か ら大 容 量 まで 使用 範囲が広 い。
(ⅱ) 高 落 差 で は,ペ
ル トン水 車 に 比 べ 比 較 回転 数 を大 き く とれ るの で,回 転
数 を 高 くす るこ とが で き,同 一容 量 で は ペ ル トン 水 車 よ り小 形 に す る こ と が で き る。 (ⅲ)
した が っ て,高 落 差化 の 研 究 ・開 発 は,今 後 の た い せ つ な課 題 に な っ て い る。
(3) 羽 根 車 に 作 用 す る水 流 量Q〔m3/s〕
の 水 が 羽 根 に そ っ て 流 れ る と き,
羽 根 の 入 口 お よ び 出 口 に お け る水 の 絶 対 速 度 を υ1〔m/s〕,υ2〔m/s〕,羽 根 の 周 速 度 をu1〔m/s〕,u2〔m/s〕, 半 径 をr1〔m〕,r2〔m〕
と し,流 入 角,
流 出 角 を そ れ ぞ れ 図10・14の a1,a2と
す れ ば,入
よ うに
口 と出 口 で 回転
方 向 に 働 く水 の もつ 力F1,F2は, F1=ρQυ1cosα1
〔N〕
F2=ρQυ2cosα2
〔N〕
図10・14
羽 根 に 作用 す る水
で あ る 。 し た が っ て,入
口 と 出 口 の 軸 に 対 す る モ ー メ ン トM,,M2は,
M,=pQv,
cos a, r,
〔N・m〕
MZ=ρQυ2
COS-XzYz
〔N・m〕
で あ る。 羽 根 車 の 回 転 モ ー メ ン トTは,M,とM2の T=M、
一MZ=nQ
差 で あ る か ら,
(r,v, cos a,一rZvZ
cos aZ)
〔N・m〕
(10。7)
とな り.羽 根 車 の 角 速 度 を ω*と す れ ば,水 が 羽 根 車 に 与 え る動 力Lは, L=Tcu=pQ(u,v,
cos a,一u2vZ
cos a2)
〔W〕(〔N・m/s〕,
(J/s)) (10・8)
で あ る 。 た だ し, 式(10・8)に
u,=y,m,
笏=r2mで
お い て,uzv2
あ る。
Cos a2=0(α2=90.)の
と き,理
論 的 に は 最 大 動 力LI118X
が 得 ら れ. L,,,ex=pQu,
v, cos a,(W)
(〔N・m/S〕,
(10.9)
(J/s))
と な る。
す な わ ち,羽 根 車 か ら出 た 水 は,羽 根 車 の 中心 に 向 か うよ うに 設 計 す れ ば,最 高 の効 率 を得 るこ とが で き る。 流 量4・9m3/sの す る と き,羽
水 が,フ
ラ ン シ ス 水 車 の 羽 根 車 に 流 入 角30.で
根 車 が 得 る こ と の で き る最 大 動 力 は 何kWか
の 周 速 度 は24m/S,/羽
。 た だ し,羽
根 車 入 口 の 水 の 絶 対 速 度 は40 m/sと
流入 根車
す る。
〔解 〕
(4)
そ の 他 の 水 車/プ
c>〉
プ ロ ペ ラ 水 車 プ ロ ペ ラ 水 車(propeller
5∼90mの
ロ ペ ラ 水 車,斜
2π
60
ン プ 水 車/
water turbine)の
落 差 は約
範 囲 に適 用 さ れ,主 要 部 分 は フ ラ ン シ ス水 車 に 似 て い る。図10・15は 立
て 軸 形 プ ロペ ラ水 車 の 構 造 で あ るが,羽
*m=
流 水 車,ポ
×(羽根 車 の 毎分 回転 数)
根 車 に は プ ロペ ラ形 を し た 羽 根 が4∼10
枚 取 り付 け られ,落 差 が 高 くな る ほ ど羽 根 の枚数 も多い。 プ ロペ ラ水 車 は,小 形 で 丈 夫 に作 る こ とが で き るが,負
荷 の変 動 に 応 じて案 内
羽 根 を開 閉 して 流 量 を加 減 す る と きに, 適 性 流 量 を は ず す と急 激 に効 率 が 低 下 す る(177ペ
ー ジ 〔6〕水 車 の 選 択 を参 照)。
これ は,羽 根 車 の 羽 根 が 固定 され て い る た め で あ る。 そ こ で,流
量 を変 え て も,そ の 流 量 に
最 適 に な る よ うに,羽 根 の角 度 を案 内羽
図10・15
プ ロペ ラ水車 の構 造
根 と 同様 に,油 圧 に よ っ て 自動 的 に 変 え る 可 動 羽 根 式 に し た も の を カ プ ラ ン 水 車(Kaplan カ プ ラ ン 水 車 の 効 率 は,負
図10・16
turbine)と
い う。 し た が っ て,
荷 の変 動 に よ って ほ とん ど変 化 しな い 。
カ プ ラ ン 水 車 (30000kW)の
羽根車
図10・17
可動 羽 根 の 原理
図10・18
カプラ ン水 車
低 落 差 用 の プ ロペ ラ水 車 の うち で,円 筒 形 の ケー シ ン グ の 中 に発 電機 をお い た 形 式 の も の を,と (2)
くに チ ュー ブ ラ水 車 とい う。
斜 流 水 車 落 差 が 約60mを
越 え た カ プ ラ ン水 車 は,構 造 上,流 体 摩 擦 に
よ る損 失 が 増 加 し効 率 が低 下 す る が,斜 流 水 車 は60∼150mで
良 い効 率 を得 る こ
とが で き る水 車 で あ る。また今 後,さ らに 高 い落 差 に 適 用 され る こ と と思 わ れ る。
構 造 上 で は,フ
ラ ン シ ス 水 車 とカ プ ラ ン水 車 の 中 間 の 形 式 で,羽 根 の 形 が 異 な
る。 図10・19は 羽 根 車 の外 観 で あ る。
図10・19
斜 流 水車 の 羽 根車
図10・20
羽 根 に 作用 す る水
(3) プ ロペ ラ水 車 や 斜 流 水 車 の 羽 根 車 に作 用 す る水 図10・20の
根 を半 径 rの 箇 所 で 切 断 し,幅
よ うに,羽
⊿rの 部 分 を考 え れ ば,飛 行 機 の翼 が 空 気 の作 用
を受 け る の と同 様 に,水 の 作 用 を うけ て,揚 力 お よび 抗 力 が 羽 根 に働 い て,羽 根 車 に 回転 力 が 与 え られ る もの と考 え られ る。 任 意 の半 径 rに お け る羽 根 幅 ⊿rの 部 分(分 割水 車 とい う)に つ い て考 えれ ば, 羽 根 に 対 し て ω0〔m/s〕 の 速 度 で 流 入 す る水 に よ っ て 生 ず る,羽 根 の 揚 力 をL 〔N〕,抗 力 をD〔 N〕 とす る と,羽 根 の移 動 方 向 の力 ⊿P〔N〕 は, ⊿P=Lsin/β-Dcosβ dP=Lsin a-DLosa
こ こ に,β;ω0が
羽 根 の 移 動 方 向 と なす 角 で あ る。 し たが っ て,羽 根 の 回 転 方
向 に受 け る動 力 ⊿N〔W〕 ⊿N=d1)・u
は,周 速 度 をu〔m/s〕
とす る と,
(羽根 一 枚 につ い て)
=(Lsinβ│1)cosβ)u
=L(sinR-LcosR)u (W) 揚 力 L は,式(7・8)よ
り,
(〔N・m/s〕,
(J/s))
(10・10) こ こ に,
ε=
D/ L,
1/ ε
を揚 抗 比 とい う。
羽根 の 数 を Z とす れ ば,
(10・11) とな る。
羽 根 車 全 体 の動 力 は,分 割 水 車 の ⊿Nを
羽 根 の つ け根 か ら外 端 ま で求 め,そ れ
らの 総 和 と して考 え な け れ ば な ら な い。 (4) ポ ン プ水 車 発 電 所 に お け る軽 負荷 時(深 夜),豊
電 力 に 余 裕 が あ るの で,こ
水 期(梅 雨 時)な どは
の余 剰 電 力 を利 用 し て下 部 貯 水 池 の水 を上 部 貯 水 池 に
揚 水 す る 方 式 を と った 発 電 所 が あ る。 こ の よ う な発 電所 を揚 水 式 発 電 所 とい う。 最 近 は,各 所 に こ の 方 式 の 発 電 所 が建 設 され て い るが,こ こ で使 用 す る ポ ン プ は, 常 時使 用 す る水 車 を使 って い る。 す な わ ち,反 動 形 水 車 は,逆
回転 す る こ とに よ
りポ ンプ の作 用 をす る こ とに着 目 し,揚 水 もで き る よ うに 作 っ た水 車 をポ ン プ水 車 とい う。 ポ ン プ 水 車 に は,フ
ラ ン シ ス形,プ
ンプ 水 車 の 羽 根 車 は,む
ロペ ラ形,斜
流 形 な どが あ るが,一
し ろ ポ ンプ と して 設 計 され,こ
般に ポ
れ に 水 車 と して使 う と き
の効 率 向 上 を考 慮 してつ くるの が ふ つ うで あ る。 〔5〕 水 車 の 制御 装 置 ―水 車 の 回転 数
を 自動 的 に一 定 回転 す るに は ―
(1) 調 速 機 規 定 周 波 数 の 交 流 を発 生 す る発 電 機 の 回転 数 は,常
に一 定 で な
け れ ば な ら な い。 した が っ て,水 車 の 回転 数 を一 定 に保 つ た め,発 電 機 の 負荷 の 変 化 に 応 じ,水 車 の 流 量 を加 減 す る必 要 が あ る。 こ の 操 作 を行 な う の が 調 速 機 (governer)で,機
械 式 と電 気 式 の 方 法 が あ るが,図10・21は
機械 式の一例 であ
図10・21調
速 機 の 原理 図(回 転数 上 昇 の場 合)
る 。
水 車 の 流 量 を調 整 す る に は,ペ ス 水 車,プ
ル トン水 車 で は ニ ー ドル 弁 を操 作 し,フ ラ ン シ
ロペ ラ,斜 流 水 車 で は,案 内 羽 根 の 角 度 を変 え て行 な う。 い ま,水 車
の 負 荷 が 減 少 し,規 定 回転 数 よ り一 時 的 に 上 昇 し よ う とす る と,遠 心 振 子 お も り ② は,遠 心 力 が 増 加 して 矢 印 の 方 向 に広 が り,す べ り環 ③ が上 が る。 した が っ て, 水 平 レバ ー の 一 端 ④ が 下 が り,方 向 制御 弁 の ピス トン を下 げ る。 油 圧 ⑤ は,管 ⑥ を通 っ て 油 圧 シ リ ン ダ⑦ の ピ ス トン の右 側 か ら ピス トン を押 す 。 ピス トン の左 側 の 油 は,方 向 制 御 弁 に よ り圧 力 を下 げ られ,油
タ ン クに放 出 され る。 ピ ス トン棒
⑧ が 押 され る と,支 点 ⑨ を 中心 に リン ク装 置が 働 き,案 内 羽 根 は 閉 じる の で 流 量 が 減 じ,回 転 数 が 下 が って,規 定 回 転 数 に調 整 され る。 逆 に 負 荷 が 上 昇 し,回 転 数 が 下 が れ ば,案
内羽 根 は 開 くよ うに 働 き,流 量 を増 し,回 転 数 が 上 げ られ る。
な お,速 度 の検 出 に 遠 心 振 子 お も りを使 う代 ぬ りに,電 気 的 に検 出す る電 気 式 調 速 機 が,最 近 で は,使 (2)制
圧機
わ れ る よ うに な っ て い る。
案 内 羽 根 を 急 閉 鎖 す るケ ー シ ン グ 内,お
よ び水 圧 管 に 水 撃 作 用
が起 き る の で,ケ ー シ ン グ 内 の 水 を 自動 的 に 外 に放 出 し,圧 力 を下 げ る働 き をす るの が 制 圧 機(pressure
regulator)で
あ る。
ふ つ う調 速 機 に 連 結 さ れ て い て,案
内 羽根 が 急 に 閉 じ る と,図10・22の
矢印 の
方 向 に 力 が働 き,弁 が 開 い て圧 油 が 逃 げ る。 した が って,制 圧 弁 を 閉 め て い る力 F が 弱 ま り,ケ ー シ ン グ 内 の水 圧 に よ っ て水 は 外 に放 出 され,圧 力 上 昇 は 押 え ら れ る。 な お,制 圧 機 は 案 内羽 根 の 閉 鎖 が ゆ るや か の と き は作 動 し な い。
図10・22制
(3)サ
圧 機 の原理 図
ージ タンク
図10・23サ
ージタンク
弁 の 急 閉鎖 に よ る水 撃 作 用 を軽 減 す るた め,水 圧 管 の 上
部 に設 け た,断 面 積 の 大 き な水 そ う をサ ー ジ タ ン ク(surge
tank)と
い う。 水 撃
作 用 に よ る圧 力 の 高 低 を,水 そ うの水 位 の 昇 降 に よ っ て圧 力 変 動 を少 な くす る装 置 で あ る。 一 般 に,水 圧 管 が 長 い と きに 用 い られ る。 〔6〕 水 車 の 選 択-ど
ん な水 車 が 適 当 か-
水 車 の 形 式 や 種 類 は,回 転 数,有 効 落 差,流 れ らの 関係 や,水 (1)比
量,出
力 な ど に よ って 決 ま る。 こ
車 の特 性 に つ い て調 べ て み よ う。
速 度(比
較 回 転 数)水
車 の 大 き さが 異 な っ て も,羽 根 車 の 形 状 が 幾
何 学 的 に相 似 に つ く られ て いれ ば,羽 根 車 に作 用 す る水 の 状 態 は似 て い て,性 能 もほ ぼ 同 一 で あ る。 した が って,羽 根 車 の 形 状 が わか れ ば,水 車 の種 類 を知 る こ とが で き る。 比 速 度nsと
は,あ
態 で 運 転 し て,1mの
る 水 車 の 羽 根 車 と相 似 な 羽 根 車 を仮 定 し,こ れ を 同 じ状 落 差 で1kWを
発 生 す るの に要 す る羽 根 車 の 毎 分 の 回転 数
を い う。
い ま,あ れ ば,こ
る水 車 の 有 効 落 差 をH〔m〕,出
力 をL〔kW〕,毎
分 の 回 転 数 を n とす
の 水 車 のnsは,
(10・12)
で表 ぬ され る。
nsが 同 じ水 車 は,羽 根 車 の 形 状 が 同 じで あ る か ら,こ のnsに
よ っ て水 車 の 種 類
を選 ぶ こ とが で き る。 水 車 の キ ャ ビ テ ー シ ョ ン を さ け,機 囲 は,表10・1の
械 的 強 度 を 考 え た 経 験 の 上 のnsの
よ うで あ る。 表10・1nsと
水 車 の種 類
日本 機械 学 会 編 「 機 械 工 学便 覧 」 よ り (2)有
効 落 差 と比 速 度
ら れ る 有 効 落 差 に 対 し て,と る 比 速 度 の 最 大 値 を,経
与 え りう
験 式 よ り
グ ラ フ に 直 す と,図10・24の
よ う
に な る。 こ の 経 験 式 よ り,与
えら
れ た H に 対 し,nsの ま る の で,式(10・12)よ nsが,こ
最 大値 が求 り求 め る
れ よ り大 き く な ら な い よ
う に し な け れ ば な ら な い 。た だ し, 製 作 技 術 の 進 歩 に と も な い,nsの 最 大 値 は 向 上 の傾 向 に あ る。 図10・24有
効 落 差 とnsの 最 大 値
許 容範
例
題
有 効 落 差 が200m
,回 転 数1000rpm,流
量0.3m3/sの
水 車 の形 式 は
何 が適 当か。
〔解 〕 水 車 の 有 効 動 力 L は,式(10・3)よ
い ま,か
りに
η=0.8と
り
す る と,
こ れ を 式(10・12)に
代 入 し,比
と な り,表10・1よ
り,一
速 度nsを
求 め る と,
応 ペ ル トン 水 車 を 採 用 す る こ と に な る 。
〔参考 〕 図10・24か
ら,水
車 の形 式
を 求 め よ う とす れ ば,有 差200mの
効落
水 車 は ペ ル トン
水 車 か フ ラ ン シ ス水 車 か決 定 し が た い が,図10・25*を す れ ば,こ 3m3/sで
の 場 合,流
参照 量 が0.
ペ ル トン 水 車 の 流
域 で あ る こ とが わ か る。
図10・25水
*実
際の製作分布
車 の落 差 と流量
(3)水
車の効 率
図10・26は,落
差 と水 車 の 回転 数 を一 定 に し て,負 荷 を変
え た場 合 の効 率 の 変 化 の よ うす を示 す 図 で あ る。 プ ロペ ラ水 車 は,固 定 羽根 の た め 適 性 負荷 か らは ず れ る と著 し い効 率 の変 化 が あ る。 ま た,斜 流 水 車,カ
プ ラン
水 車 は,負 荷 に変 化 が あ っ て,流 量 を増 減 して も,可 動 羽 根 の た め,羽 根 の 角 度 を調 整 で き るの で,効 率 は 負荷 の 変 化 に あ ま り左 右 され な い。
図10・26水
車 の 効率 と 負荷
10・2
空 気機 械
通 風, 換 気, 空 気 圧 縮 の 機 械, 風 車 空 気 機 械 に は風 車 の よ うに,気 体 の持 つ エ ネ ル ギ を機 械 的 エ ネ ル ギ に変 え る原 動 機 と,送 風 機,圧 縮 機 の よ う に機 械 的 エ ネ ル ギ を気体 に与 え,気 体 の圧 力 や 速 度 を高 め る被 動 機 に大 き く分 け る こ とが で き る。 表10・2は,ふ
つ う 使 わ れ て い る 分 類 法 で あ る が,こ
昇 圧 力 が 1台 当 た り10kPa以 (blower)に
分 け ら れ,100kPa以
の 表 に よ れ ば,送
下 の フ ァ ン(fan)と,10∼100kPaの 上 の もの を 圧 縮 機*(compressor)と
風 機 は上 プ ロ ワ よんでい
る。
*送
風 機,圧 縮 機 の 使 用状 態 を変 えて,吸 込 み 用 に使 えば排 風 機 また は真 空 ポ ンプ に な る。
表10・2送
ま た,送 3の
風 機,圧
よ う で あ る。
風 機,圧
縮機の分類
縮 機 は タ ー ボ 形 と 容 積 形 に 分 け ら れ,構
造 上 の 特 徴 は,表10・
表10・3送 タ 羽 根 を回転 させ 気体 ー が 羽 根 を通 る こ とに ボ よ って,そ の圧 力, 形 速 度 を高 め る。
容 積 形
一 定 容積 の密 閉 空 間 の 移 動,縮 小 に よ っ て 圧 力 を高 め る。
風機,圧 縮 機 の 構 造上 の特 徴
軸流式 羽根 の 楊 力 を利 用 し,気 体 が 軸 方向 に 流動 す る。 遠心式 遠 心 力 に よっ て,羽 根 の間 の 気体 が 半径 方 向 に流 動 す る。 斜流式 軸 流式 と遠心 式 の 中 間的 作 用 で気 体 が 流動 す る。 回転式 ケー シ ン グ内の 回転体 の 回転 に よって気体 が吐 き出 され る。 往復 式 ピ ス トン が往 復 運動 して 気体 が 吐 き出 さ れ る。
軸 流 送 風 機 の 構 造 は,軸 流 ポ ンプ の 構 造 とほ ぼ 同一 で あ っ て,羽 根 車 に数 枚 の 羽 根 を取 付 け,羽 根 車 の 回 転 に よ って 気 体 が 軸 方 向 に 流 れ る。 扇 風 機 や 換 気扇 の よ うに,ほ
とん どケ ー シ ン グ を もた な い もの と,ケ ー シ ン グ を もっ て い る もの と
が あ る。 ケー シ ン グ を もつ 形 式 の もの に,羽 根 車 か ら で た 気体 の 流 れ が 旋 回 し な い よ うに 案 内羽 根 の つ い た もの もあ る。 軸 流 圧 縮 機 は圧 力 を高 め る た め,羽 根 数
図10・27
羽根車
図10・28
図10・29
軸流圧縮機
軸流送風機
を 増 し,ま
た,段
数 も数 段 に す る の が ふ つ う で あ る 。 ジ ェ ッ トエ ン ジ ン,ガ
ー ビ ン 用 と して 最 も 良 く使 わ れ て い る
ス タ
。
図10・30は
多 翼 送 風 機 で,シ
幅 の 長 い,多
数 の羽 根 を もつ 送 風 機 で あ る。 ケ ー シ ン グは 一 般 に鋼 板 製 で長 方 形
断 面 を も ち,建
築 物,船
ロ ッ コ フ ァ ン と も よ ば れ,前
さ の 低 い,
舶 の 換 気 な どに使 わ れ て い る。
図10・30多
図10・31は,ラ
向 き で,高
翼 送 風 機(シ ロ ッ コ フ ァ ン)
ジ ア ル 送 風 機 で,6∼12枚
の平 板 羽 根 が放 射 状 に ス ポー クに 取 り
付 け ら れ て い る 。 ケ ー シ ン グ は 多 翼 送 風 機 と ほ と ん ど 同 じ で あ る。
図10・31ラ
ジ アル 送 風機
図10・32は タ ー ボ 送 風 機 で,羽 根 は うず巻 ポ ンプ と同様 に 後 向 き で,効 率 の よ い送 風 機 で あ る。ケ ー シ ン グは,10kPaま あ るが,そ
でのフ ァンでは長方 形断面の鋼板 製 で
れ 以 上 の プ ロ ワや 圧 縮 機 に な る と,う ず 巻 室 を もつ 鋳 鉄 製 の もの に な
る。 数 段 の羽 根 車 を もつ 多段 ター ボ ブ ロ ワや,多 イ ラ の 強 制 送 風,ガ
段 ター ボ圧 縮 機 な どが あ り,ボ
ス の 送 風 な ど,そ の利 用 範 囲 は 広 い 。
図10・32タ
図10・33は,ル
ー ボ 送 風 機(片 吸 込 み 1段)
ー ツ送 風 機 で,ケ ー シ ン グ 内 に 2個 の 回転 子 が 位 置 をず ら して
取 り付 け られ,回 転 子 と壁 の 密 閉 空 間 の 移 動 に よ っ て気 体 を圧 送 す る よ うに な っ て い る。 船 用 機 関 や 2サ イ クル 自動 車 デ ィー ゼ ル機 関 の 給 気 や 掃 気,そ
の 他,気
体 の圧 送 用 に 用 い られ て い る。
図10・33ル
ー ツ送風 機
図10・34可
動 翼 圧 縮機
図10・34は 可 動 翼圧 縮 機 で,べ 一 ン ポ ンプ と作 用 は 同 じで あ る。 ケー シ ン グ 内 の 偏 心 ロ ー タ に 多数 の み ぞ を 設 け,可 動 羽 根 を と りつ け た もの で あ る。 遠 心 力 に よ っ て,羽 根 は ケ ー シ ン グ の壁 面 に 押 しつ け ら れ,密 閉 空 間 内 の 気体 を圧 縮 しな が ら送 り出 す もの で あ る。 図10・35は ね じ圧 縮 機 で,一
対 の ね じ形 の 回転 子 が ケ ー シ ン グ 内 で 回転 し,気
体 は ね じみ ぞ に は さ まれ な が ら圧 送 さ れ る よ うに な って い る。 往 復 圧 縮 機 の 作 用 は,往 復 ポ ン プ とほ とん ど 同 じで,大 風 量 に は 適 さ な い が, 圧縮 比 は高い。
図10・35ね
じ圧 縮 機 の 原 理
風 車 は 自然 界 の風 を利 用 した 空 気 機 械 の一 種 で あ り,古
くか ら水 車 と同様 に 製
粉 ・農 業 の 揚水 な どに 使 わ れ て き た。 風 の特 色 で あ る強 さや 向 きの 変 化 に 対 応 し た スム ー ズ な 回転 が得 に く く,ま た,無 風 の 時 に 利 用 が 出 来 な い な ど の 欠 点 が あ っ た。 した が っ て,現 在 は さ ほ ど利 用 さ れ て い る とは 思 わ れ な い 。 しか し,発 電 をは じめ 各 種 の 動 力 源 と して の 利 用 が 見 直 され つ つ あ り,今 後 に 課 題 を残 して は い る もの の まだ 発 展 の 余 地 は 充分 残 さ れ て い る。 風 車 の 種 類 に は,古 れ ば,オ
くか らい ろ い ろ あ るが,一 例 と して,代 表 的 な もの を あ げ
ラ ンダ 形 風 車(図10・36),プ
横 形 の もの,ダ
ロペ ラ形 風 車(図10・37)な
リウ ス 形 風 車(図10・38),サ
どの 回 転 軸 が
ボ ニ ウ ス 形 風 車(図10・39)な
どの
縦 軸 形 の もの が あ る。 いず れ に して も,風 車 の 歴 史 は 古 い の で,世 界 中 に い ろ い
図10・36オ
ラ ン ダ形 風車
図10・37プ
ロペ ラ 形風 車
図10・38ダ
リウ ス 形 風 車
図10・39サ
ボ ニ ウス形 風 車
ろ な 形 の 風 車 が 存 在 して い る。 さて,風 車 の 向 きを風 に 正 対 させ る ため の 方位 制 御 と,回 転 数 の制 御 に つ い て 例 をあ げ れ ば,ま ず,方 位 制 御 で は 風 向 きが 変 わ っ て も風 車 の 方 向 尾 翼(図10・40) に よ っ て軸 が 風 向 きに 向 くよ う工 夫 し た もの や,横
図10・40尾
図10・42羽
に小 形 の 風 車(図10・41)を
翼 で 方位 制 御
根 の 角度 で回 転数 制 御
図10・41小
形 風 車 で方 位制 御
図10・43側
翼 式 の 回転 数 制御
つ
け て 風 に 正 対 させ る工 夫 を した もの が あ る。 な お,風
の 強 さが 変 化 して も回 転 数
が 一 定 を保 つ よ う,翼 の角 度 を変 え て(図10・42),強
風 で 羽 根 が 円錐 状 に な って
受 風 面 積 を減 ら し,弱 風 な ら ま と もに 風 力 を受 け る よ う工 夫 した もの もあ る。 ま た,側 翼 式(図10・43)と
呼 ば れ る,強 風 で バ ネ の 力 に逆 ら っ て側 翼(受 風 板)に
当 た る風 で 羽 根 を傾 け て受 風 面 積 を減 らす よ うに した も の もあ る。
10・3流
体 継 手 お よび トル ク コ ンバ ー タ 流 体 を 歯 車 の 代 わ りに使 っ て 力 を伝 え る
原動 機 軸 の動 力 を他 の 軸 に伝 え る に は,一 般 に,歯 車 装 置 や ベ ル ト掛 け 装 置 を 使 っ て い る。 こ れ らの機 械 的 伝 動 装 置(図10・44)に
対 して,鉱 物 油 な どの 適 当 に
粘 性 の あ る油 を媒 体 と して 動 力 を伝 達 す る装 置 が,流 体 継 手 お よ び トル ク コ ンバ ー タ で あ る。
図10・44機
械 的伝 動 装 置 図10・45流
図10・45は,流
体 に よ る伝動 装 置の 原理
体 に よ る伝 動 装 置 の 原 理 で あ る。 す な わ ち,原 動 機 軸 に よ っ て
ポ ン プ を回 し,そ の ポ ン プ に よ っ て 回 る水 車 の 軸 を 出力 軸 とす れ ば,原 動 機 軸 の 動 力 を出 力 軸 に伝 達 す る こ とが で き る。 ま た,途
中に 調 整 弁 を お け ば,出
力軸の
回転 数 も変 え る こ とが で き る。 流 体 継 手(hydraulic
coupling)は,図10・46に
示 す よ うに,入
力側 の 軸 に うず
巻 ポ ン プ羽 根 車 を,出 力 側 の 軸 に水 車 羽 根 車 を同一 直 線 上 に 取 り付 け,内 部 に 液 体(油,ま
た は 水)を
満 た し た もの で あ る。 入 力 軸 が 回転 す る と液 体 に エ ネ ル ギ
が 与 え られ,出 力 軸 の 水 車 羽 根 車 を 回転 させ る こ とが で き る。 こ の よ うな継 手 の
長 所 は,入
力 軸 の振 動 が 出力 軸 に 伝 わ らな い で 静 か な こ とで あ る。 理 論 的 に は ポ
ン プ 羽 根 車 が 液 体 に 与 え る トル ク と,液 体 が 水 車 羽 根 車 に 与 え る トル クは 等 しい 。
図10・46流
図10・47ト
体継手
トル ク コ ンバ ー タ(hydraulic
torque
ル ク コ ン バ ー
converter)は,図10・47に
タ
示 す よ う に,
ポ ン プ 羽 根 車 と水 車 羽 根 車 の ほ か に,固 定 案 内 羽 根 を も って い る。 ポ ンプ 羽 根 車 か ら出 た液 体 は 水 車 羽 根 車 に は い り,案 内 羽 根 を経 て 再 び ポ ンプ 羽 根 車 に も ど る。 案 内 羽 根 が トル クを 吸収 す るの で,入 力 軸 と出 力 軸 の 間 に トル ク差 を生 じ,回 転 数 が 変 わ る。 す な わ ち,ト ル ク コ ンバ ー タは,一 種 の 変 速 装 置 で あ る。 こ の装 置 を利 用 す れ ば,変 速 歯 車 の 必 要 が な く,ま た,原 動 機 の 始 動,加
速が容易 に なる
利 点 を もっ て い る。最 近 は,自 動 車 や 各 種 産 業 機 械 の 変 速 装 置 に利 用 され て い る。
練 1.貯 水 池 水 面 よ り,放 水 面 まで の 高 さが200mで,途 の と き,理 論 水 力15400kWを
問
題10
中の 諸 損 失 ヘ ッ ドが10m
出 す た め に は 流 量 は い く ら必 要 か 。
2.前 問 に お い て,水 車 の効 率 を86%,発 出力 は何kWか
習
電 機 の 効 率 を95%と
。
3.ペ ル トン水 車 の 制 動 ノズ ル の 役 割 は 何 か 。
す れ ば,発 電 所
4.ペ ル トン 水 車 の バ ケ ッ トの 数 は,ふ と,ど
つ う16∼30個
で あ る が,こ
れ以上 に増す
ん な 現 象 が起 き るか 。
5.ペ
ル ト ン 水 車 は,水
6.流
量4m3/s,噴
に お い て,バ
質 の 悪 い 場 所 に も よ く使 わ れ る の は な ぜ か 。
流 の 速 度40m/s,バ
ケ ッ トの 速 度 が20m/sの
ケ ッ ト出 口 に お け る 噴 流 の 流 出 角 β が16゚の
ペ ル トン水 車
と き理 論 上 の 動 力 は
い く らか。 7.有 効 落 差60mの
と こ ろ に,回 転 数 が150rpm,35000
ど の水 車 が 適 当 か 。
kWの
水 車 を 設 け た い,
練 習 問 題 の 解 答 練 習問題1 t.
(1)重 力 単 位
2.
表1・3よ 上9800で
(2)SI単
1kgf/cmz=1at
x 9800=
(4)SⅡ 単 位
(5}重 力 単 位
換 算 す る た め の 係 数 は9806.65
196000Pa=
(工学 気圧)
10000kgf/mz=. 10kgf/mz= 表1・3よ
位
を"Pa"に
で あ るが,実
用
計 算 し, 20mAq=20
3.
(3)SI単
位
りmAq(mH20)
196kPa
ま た,
1kaf/rm2=1at =0 .001at
D.001kgf/cm'
りk=9.80
.'. 10kg/m2=
10x9.80=98
Pa
解 図1
4.
1000kgf/m3をN/m3
1000kgf/m3=
に 換 算:す る と,
5.
T60 mmHgをPaに
麦1・3よ
り係 k=9.80で
あ る か ら,
9800N/m3=9.8kN/m3
1000x9.80=
換 算 す る に は, 表1・3よ
りk=133.322
(比重 量) Zあ
る が,133.3を
て, ?60mmHg=760
s.
[Okgf・mをN・mに 10kgf・m=
x 133.3=
101.3x103Pa=
な お す た め に は,
10x9.80=
98.ON・m
表1・3よ
101.3kPa りk=9.80を
使 って
使 っ
i.
表1。3よ SI単
りk=9.80
イ ウ はN/m3で
あ る.
練 習問題2 1.
式(2・2)よ 比体積
り,
=1 .43x10-gm3/kg
υ=1/ρ=0.00143m3/kg
比 重 は 式(2・5)よ
2.
14 =700kg/m3 0.02
密 度 ρ=m/V=
700 1000
り,S=-
比 重 量 は 式(2・1)よ
り,γ=
密 度 ρ は 式(2・3)よ
り,
謂
重量 その体積
24 =8kN/m3 3
=816kg/m3
p=y/9.8=8000/9.8
比 体 vは 式(2・4)よ り v=1/p=0.00123m3/kg 3.
=1 .23x10-3m3/kg
重 力.単位 の 比 重 量 はSⅠ 単 位 の 密 度 と,そ の 数 値 は 一 致 し て い るの で,816kgf/m3と な る゜
ま た,重 量24000Nをkgfの を3m3で
4.
11当
割 っ て,816
単 位 に 換 算 して, (式(1・3),表1・3)
kgf/m3で
た りの 重 さ は3.32÷4
も よ い。
=o .83kgf/'
Pで あ るか ら, 1m3で
.'. 1m3=1000
0.83x1000=
24000/9.80(kgf)
330kgf/m3と
(1'当
た りの 重 量)
は
なる。
ま た,こ の 油 の 密 度 は,重 力,単位 の 比 重 量 と数 値 は 同 じで あ るか ら,830kg/m3と る 。
5.
式(2・6)よ
り,
pv=RT 200000v= ・・v=
287x288 200000
287x(15十273)
=0 .413m'/kg
な
練 習 聞題3 1.760mmHgは1.033kgf/cm2で
ま た,絶 133.3を
あ る か ら 〔式(3・4)よ
り 〕。
対 圧 はmmHgで(760/300)mmHg=460mmHgで
あ る か ら,表1・3よ
乗 じ て,
p=460x133.3=61.3kPa な お,0.625kgf/cm2か 000=61.3kPaと 1. p=pgN,
らPaを
乗 じ て,0。625×98
な る。 ρ=1000kg/m3と
し て, 1960kPa=1.96
p=1000x9.8x200= 3.水
求 め れ ば,表1・3は98000を
銀 柱 で760mm=0.76 0.76x13.6=10.336
mは
水 柱 の 高 さ(Aq)に 式(3・4)よ
mAq,
MPa
り,
換 算 す る と,
1kgf/cm2=10
mAqで
10.336mAq=10.336=10=1.034kgf/cm2 式(3・4)よ
り,1kgf/cm2=98kPaで
1.034kgf/cm2=98
あ るか ら
4.式(3・6)よ
kPa
x1.034=101.3kPa
り
ゲ ー ジ 圧p=pgH・
一pgH
=13600x9
x9.8xO.2=64.7kPa
.8xO.5-1000
絶 対 圧pA=p。(kPa)十64・7kPa =101
.3+64.7(標
準 気 圧101.3kPaと
し て)
=166kPa 5.式(3・4)よ
り,
10mAq=98
kPa,
1mAq=9.8kPaで
あ る か ら,
0.16x9.8(kPa)=1.57kPa
160mmAq=0.16mAq=
6.1) 2)仕
1.P=
事 の 原 理 に よ り,W,・s=WZ・
1 一xpgxHxBxH= z 圧 力の 中心
ηニ
亀
1881600N=1882
z H= 3
2 一xg=5
3
.33m
kN=1.882
MN
あ るか ら
り
8.
せ き板 に お よ ぼ す 平 均 圧 力 の 水 深 をh,.,亀 h,=3.6一
2.8 =2 .2m, 2
∴ P,ニpgh,/11=1000×
駐
1.6 一=0 z
A,=2.4x2.8=6.72
mz
9.8x2.2x6.72=144.9kN AZ=2.4x1.6=3.84
.8m,
.'.PZ=1000x9.8x
とす れ ば,
m2
0.8x3.84=30.1kN
P=P,一PZ=114.8kN
(図3・21(b)よ P,の
作 用 点 は,水
ま た,Pzの
底 よ り3.6-2.5=1.1mの
作 用 点 は,水
高 さに あ る。
底 よ り1.6│1.067=0.533mの
高 さ に あ る。
.・.Px==P,×1.1│PZ×0.53
9.排
除 した 水 の 体 積 をV,,排
除 し た 油 の体 積 をv2,油
の 比 重 をSと
浮 力F=ρ9砿=spgvz
練 習問題4 1.Q=A,v,=AZvZよ
2.ベ
り,
ル ヌ ー イ の 式(4・12)を
適 用,
水 銀 マ ノ メー タ の 高 さは,
p1-p2=(ρ'9│P9)hに
よ り
す る と,
り),
h=
p、一P1
=0 .777m=777mm
(13600-1000)x9.8
3.A,v,=AZv2
π
Q=AZvZ= 4.(;Q=・Avよ
xO.IZx2=0.0157m3/s
り,
v=
5。
4
3.6
Q A
=0 .00849m/s
60x,rx32/4
本 管 の 流 量 をQ,,150mm管
の 流 量 をQ、,100mm管
の 流 量 をQzと
Q=Q,+Q2 n
Q,=A,v,_
4
xO.152x1=0.0177m3/s
Q=2.4m3/min=0.04m3/s 0.0177=0.0223m3/s
・.・ Qz=(Q一(;Q1ニ0+04│
練 習問 題5 1.
5 一logd=logO a logd=一
2.24-log
.0224=log
〇.66=一1十
。 ●.d:=o+22
100=一1.6498
〇.39
m=220
mm
2.
図5・10よ
り,
ξ ≒0・ ・3,0+0625一
チ
・0・152υ1
..
v,=3.537
す る と,
3.
T=
za a
2x80C 900
z1.8s
弁 を 閉 じ る 時 間 は,
4.
ぬ れぶ ち L=B十2H=
これ よ り短 い か ら, 圧 力上 昇 は
12十2x3=18m
水 力水 深 5.
2=
1 2500
練 習問 題6 1.
H:=0と5×(13.6・1)
z. 3.
4と
5.
s. .'.D=41mm
=6 .3m
練 習問題7 1.
F,=pQvsinB=
1 =150N 2
1000xO.01x30x 1 =75N 2
Fz=pQvsin2θ=150>く
z.
F=pa(v+u)2=1000x
3.
式(7・7)よ
n xO.012x(20十20)2=125.7N 4
り,
F=(Q質 _(3
。+Q質f)υ
十(P-Po)A・Q質Q・u〔N〕
xO.1-3x140
.0十 〇.15)x1000十(30000-26000)
=3150十400-420
=3130N=3
4.
D=CD2vZA=0.2x
5.
L=CL
.13kN
1.25 x40Zx2=400N 2
1.25 x20Zx1.2=180N 2
,
vZS=0.6x ガ
練 習問題8 1と
Ht=HZ十H,十
〇.4
.'.Ht=20十2十
式(8・7)に
式(3・4)よ
H2=20mAq,
り,
H,=2mAq
〇.4=22.4m
代 入
=10976W=11
Lw=pgQHs=1000×9I8×0。05×22.4
.OkW
2. 3.
ポ ン プ の 軸 動 力L=4000×0と95=3800kW, Qの
一 単 位 がm3/sな
の で,式(8・7)を
つ か って
Lw=pgQH
(61〔m3/min〕
ポ ンプ の理論 動 力
=1000x9 =2940kW=2 ・'.ポ
4.
Ht=5十
ン プ効 率
η=
Lw L
x100=
の と き はLw
=0 .163QHt)
.8x3x100=2940000W .94MW 2940 3800
x100=77.4
〇と5十30=35.5m
Q=1.2mg/min,
Qがm3/minで
Lw=0.163QHe=6.94kW
与 え られ て い るの で, 式(8。8)よ
り,
5.
Ht=(実
揚 程)+
(管路 内 の 全 損 失 ヘ ッ ド)
管 路 内 の 全 損 失 ヘ ッ ド =私 一(実 揚 程)ニ 35.5-33=2.5m
∴ s.
図8。32よ
り,
ボ リュ ー トポ ン プ
練 習問題9 1.
略(本 文 参照)
2.
000Pa) 3.
a あ= b
..p2=
p,a=p2b
80 x3000000=6000000Pa= 40
=6000kPa=6MPa
練 習問 題10 1と
錫 十届). =200-10=190m
H=H一(h,十
Leh=9.8QH
15400xO.86xO.95=]
L5400xO.817=12582kW
2.
N=Ltバ
3と
略(本 文参 照)
4.
ノ ズ ル よ りバ ケ ッ トに は い っ た 噴 流 が,バ
η ・η′=
ケ ッ トを 出 る と き,次 の バ ケ ッ トの 裏 側
に 当 た っ て 逆 回転 の 作 用 をす る。 5.
部 分 の取 替が容 易 で あ る。
s.
L6=pQu(v-u)(1+cos/3) =4000x400x1
7.
.9613z
=1000x4x20x(40-20)(1十
3140kW=3.14MW を 計 算 し,
車。
〇.9613)
表10・1よ
り,
フ ラ ン シ ス水
参 考 文献 〔1〕
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第 5版(昭41)日
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〔8〕 下 坂
水 力 学 ・熱 力 学 演 習(昭40)産 水 力 学 ・流 体 力 学(昭41)朝
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ロナ社 業図書
水 車 の 理 論 と構 造(昭36)工
学 図書
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清行 夫
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空 気 機 械 設 計(昭40)近
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江 幹男
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力 学 ・流 体 力 学(昭15)ア
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実
力 機 械,空
}演 習水力 学(平
代 工 学 出版 業 図書 倉書店
6)森
さ わや か エ ネ ル ギ 風 車 入 門(平3)三
北 出版 省堂
学 図書
索
引
索引 エ ネ ル ギ保 存 の 法 則
■
あ行
エ ロ ー ジ ョ ン
ア キ シ ャ ル 形 プ ラ ン ジ ャ ポ ン プ
152
液 圧 計
105
25
ア キ ュ ム レ ー タ
157
液 体
ア ク チ ュ エ ー タ
153
液 冷 式 パ ッキ ン箱
ア リエ ビ
8
遠 心 ポ ンプ
72
ア ル キ メデ ス の原 理
47
124
117
18
亜音 速
106
オ ー プ ン セ ン タ 形 四 方 弁
圧 縮 機
180
オ イ ル タ ン ク
圧 縮 率
14
オ イ ル フ ィ ル タ
158
オ ラ ン ダ形水 車
185
圧 力
22
圧 力計
24
圧 力 制 御 弁
153,158
圧 力 の 中心
35
圧 力 の 強 さ
22
圧 力 波 の伝 わ り速度 圧 力 ヘ ッ ド
暗 き ょ
155
135
か行 14
154
開 き ょ
74
開 口 比
79
173
回転 ス プー ル 形 四方 弁
74
案 内 羽 根
82
カプ ラ ン水 車
51,57
圧 力補 償 付 流 量 制御 弁 圧 力 モ ー タ
オ リ フ ィ ス
ガ ス定 数
72
158
往 復 ポ ンプ
■
回転 ポ ンプ
121,169
56
加 速 度
51
1
片 吸 込 み形
119
ウ ェ ス コ ポ ン プ
138
可 動 翼圧 縮 機
ウ ォ ー タハ ン マ
72
か 流 ポ ンプ
うず 形 室 うず 室
118,121,122 118,121,122
うず 巻 室 うず巻 ポ ンプ
117
換 気 扇
1
83
182 14
管摩 擦 係 数 管路
SI単 位
184 138
管 オ リフ ィ ス
完 全 気体
169
155
133
外 部摩 擦 位 置 ヘ ッ ド
155
59
56
管路 内の 実 用 流速
70
69
管路 の 諸 損 失 ヘ ッ ド
再 生 ポ ンプ
138
三相誘導電動機 の極数 ギ プ ソ ンの 実 験 結果
64
キ ャ ビ テー シ ョ ン
104,140
キ ロ グ ラム ジュ ウ
1,9
機械効率
114
規格値 8
気 ほ うポ ン プ
138
基本単位
シー ケ ンス弁
154
シ ェ ジー の 式
3
気体
三相誘導電動機の 回転数
2
75
ジ ェ ッ トポ ン プ
138
シ ロ ッ コフ ァ ン
183
四 角せ き
87
仕切弁
67 114
逆止弁
158
軸動力
境界層
97
軸流圧縮機
182
軸流送風機
182
軸 流 ポ ンプ
130
下掛 け水車
163
空気機械
163,180
空気 揚 水 ポ ンプ
組 立単位
138
失速
2
101
実 揚程 ゲー ジ圧
23
ケー シ ン グ
傾斜微圧計 形状抵抗
後流
96
抗力
98
抗力係数
サ-ジ
修正係数
84 9
78
重力単位 系 縮流 98
抗力測定装 置 国際単位
82
重量流量
23
103 1
さ行
1
82
昇圧器
157
衝 撃波
106
衝 動水車
165
正味出力
71,165
タンク
177
ス ピー ドリン グ
サ イ ホ ン配 管
141
水 撃作用
71
吸込 み管
110
サ ボ ニ ウ ス水 車
185
69
132
収縮係数 重量
67
工学気圧
78
斜 流 ポ ンプ
100
コック
質量流量
じゃ 口の 損 失係 数
27 97
弦長
■
質量
167,169
110 1
169
139 139
吸込み管の取付 け位 置 吸込み実揚程
110
吸込み揚程 水車
110
8,163
141
送風機
8
送風機
108,180
総揚程
113 71,164
水車の形式
165
総落差
水車の効率
164,180
層流
水車の負荷
180
速度係数
吸 出 し管
水柱
71
総 損失 ヘ ッ ド
42 82
速度 ヘ ツ ド
170 23
51
そ らせ 板
167
水動力
114
損失圧力
58
水力学
9
損失係数
63
水力機械
163
損失動力
114
水力効率
114
損失 ヘ ッ ド
水力水 深
74
■
58
た行
正圧
23
ター ビ ン
静圧
89
ター ビ ン ポ ン プ
8 118
制圧機
176
ター ボ 形
制御弁
149
ター ボ ジ ェ ッ トエ ン ジ ン
181
清水の密度
11
ター ボ送 風 機
183
制 動 ノズ ル
168
ダ リウ ス水 車
185
整流格子 せ き
85
ダ ル シー の 式 87
せ きのヘ ッ ド
絶 対圧
87
23
接頭語 全圧
ダ ル シ ー ・ワ イ ス バ ッハ の 式
87
せ きの種 類
4
89
114,137
体積流量
78
縦軸形
185
玉形弁
67
多翼送風機
遷 音速
106
段
扇 風機 全ヘ ツ ド
全 揚程
87 182
120
多段 ポ ンプ
22
183
119
単 位 体 積 当 た りの 重 量
単動式往復ボンプ
51 113
力
畜圧器
59
60
体積効率
全圧 力 全 幅せ き
94
1
157
10 136
超音速
バケ ッ ト
106
ち ょ う形弁
調速機
135
バ ザ ンの実 験 式
167,175
吐 出 し管
87
直 角 三 角せ き
166
バ ケ ッ トポ ン プ
67
75
110
吐 出 し実 揚程 つ りあ い 穴 つ りあ い 円板
110
吐 出 し量
123
つ りあ い室
110
吐 出 し揚程
122
123
140
歯車ポンプ
134,152
発電所 出力 定常流
羽根車
44,49
電動機 の所要動力
115
ト リチ ェ リ の 定 理
53
165 121,166,169
反動水車
165
ピ ス トン ポ ン プ
トル ク コ ン バ ー タ
188
ピ トー 管
ト ロ コ イ ドポ ン プ
135
ピ トー 管 係 数
動圧
非圧縮性
89
動粘性係数
■
比重
16
な行
内部摩擦
56
N(ニ ュ ー トン) ニ ー ドル 弁
1,9
167,168
ニ クラ ゼの 式
粘度
bar(バ
比重量
10
比速度
128,130,177
比体積
11
非定常流
45
標 準気圧
23
表面張力
19
フ ー ト弁
124
プァン
180 60
フ ラ ン シ ス水 車
169
プランジャ
16
166
152
プ ラ ン ジ ャポ ン プ
136
ブ ル ドン管圧 力計
25,29
プ ロア
は行 ー ル)
128,177
12
ブ ラ ジ ウ スの 式 16
ノ ズ ル
■
184
16
粘性係数
13
60
ね じ圧縮機 粘性
89
比較回転数
16
動粘度
136
88
180
プ ロペ ラ形水 車 5
プ ロペ ラ水 車
185 172
負圧
23
風車
マ ツハ 数
風車の回転数制御
186
風車の方位制御
186
風車の方向尾翼
186
浮力
97
摩擦損失
57
密度
39
25
摩擦係数
水切 り
136
複 動 式 ポ ンプ
浮揚体
106
マ ノ メー タ
185
167 10
18,36
噴流
82
ム ー デ ィ線 図
迎 え角 ベ ー ン ポ ンプ ヘ ツ ド
133,152
メ タセ ン タ
23,58
ペ ル トン水車
166
ベ ル ヌー イ の定 理 78
ベ ンチ ュ リ管
78
弁類
毛管現 象 ■
34
ボ リ ュ ー トポ ン プ
118
8,108
ポ ンプ 形 式 の選 定 ポ ンプ 水 車
39
19
や行
油 圧 回転 モー タ
67
ポ ンプ
39
メ タセ ン タの 高 さ
50
ベ ンチ ュ リ計
平均圧力
59
101
145
油 圧 回路
油圧機 器
8,149
油圧記号
159
油 圧 シ リン ダ
油圧装 置
175
ポ ンプ の 口径
140
ポ ンプ の 材質
124
153
160
153,158
149
油 圧 の 原理
31
油 圧 ポ ンプ
149,152,158,153
ポ ンプ の 自動 運 転
144
有効数 字
ポンプ の す え付 け
142
有効動 力
71,165
144
有効落差
71,164
ポ ンプ の 定期 点検 ポンプ の 取 扱 い ポンプ の 配 管
方向制御弁
■
143 140 155,158
揚抗比
175
揚水式発電所 容積形
は行
パ ス カ ルの 原理
6
175
181
152
容積形ポンプ 30
容積式流量計 揚力係数
77 101
翼
流量係数
100
翼幅
100
横形
185
■
流量測定 流路
ら行 123
ライ ヒ
92
ラ ジア ル送 風機
183
ラ ンダ ー の式
60
56 119
理論 出力
164
理 論水力
164
理論動 力
114
臨 界 レイ ノル ズ数
44
42
97
流体
ル ー ツ送 風 機
184
レ イ ノル ズ数
43
153
リ リー フ 弁
流線形
連続の法則
8
流体機械
8
流体継手
187
流体の力学 流体摩擦 流量
154,158
77
両吸込み形
ラ イナ リン グ
乱流
80,82
流量制御弁
78
9
56
■
46
わ行
ワ イ ス バ ッハ の 式
60,66
ワ イス バ ッハ の 実 験結 果
65
<著者 紹 介 >
森 田 泰 司 学 歴 都 立工 業 専 門学 校(現 都 立 大学)機 械 工 学科 卒 業(1948) 明 治大 学 理 工 学部 機 械 工 学科 卒 業(1951)
職 歴
明 治大 学 大 学 院工 学 研 究 科 中退(1954) 東京 大 学 工 学 部機 械 工 学 科 日本 設備 工 業専 門学 院 東 京都 立 工 業 高等 学 校(小 金 井,練 馬,王 子) 太 平 ビ ルサ ー ビス(株) 甲種 消 防 設 備 士
著 書
流体 の力 学 計 算法(東 京 電 機 大学 出版 局) 配 管技 術 の 基礎(啓 学 出 版),共 著
わか りやすい機械教室 改 訂 流 体 の 基 礎 と応 用 1970年11月10日
第 1版 1 刷 発 行
1995年
8 月20日
第 1版23刷
1997年
2 月20日
第 2版 1 刷 発 行
2006年
3 月20日
第 2版10刷
著
者 森 田 泰 司
発行
学校法人 東京電機大学
発行
発行所 東 京
電機 大学 出版局
代 表 者 加 藤 康 太 郎 〒101-8457 東 京 都 千 代 田 区 神 田 錦 町2-2 振 替 口 座 00160-5-71715 電 話(03)5280-3433(営 (03)5280-3422(編
印刷 三立工芸㈱ 製本 渡辺製本㈱ 装丁 高橋壮一
〓Morita
Printed
Yasuji
in Japan
*無 断 で 転 載 す る こ と を 禁 じ ま す 。 *落 丁 ・乱 丁 本 は お 取 替 え い た し ます 。 ISBN4-501-41370-0
C3353
1970,1997
業) 集)
機械工学図書 基礎と演習 機 械 力学
入門流体力学 G.K.Batchelor著 橋 本 英典 他 訳 A5判654頁
三 船 博 史/一 瀬 謙 輔 共 著 A5判202頁 力学 の基礎 として静止物体 の力学,運 動す る物体 の 力学 について,初 等数学 の知 識で十分理解 できる。
世界 中の研究者や 学生に読み次がれてい る古典的名 著。流体,物 性,流 れ の場合の運動学,流 体 の運動 を支配す る方程式,粘 性 流体の流れ等 を解説。
図解 機械材料 改訂版
理 工学講 座教 養
金 属 材料 か ら新 素 材 ま で
材 料 力 学
打越 二彌 著 A5判260頁
機械 技術 者 の ため に
初 めて機械材料 学 を学ぶ学生 や技術者のた めに,金 属材料 を中心に機械材料 について金属物理的,材 料 強度学的,金 属組織学的 な視 点か らで きるだけ平 易 に解説 した。
山本 善之 編 著 浅 岡 照夫/松 原 典宏/小 久 保 邦雄 A5判196頁 力学で はモー メン ト,設計 では機械 構造の材料 の選 択を中心に,SI単 位 と工学単位を併記 して解説 した。
基礎 と演習
基 礎 と演 習
流 体 力 学
水 力 学
岩本 順 二郎 著 A5判176頁 豊富な例題 に詳 しい解説 を付 し,読 者 が問題 を解 く ことに よって実力がつ くよ うに編集。
細井 豊 著 A5判160頁
教養
振動の解析
専門学科で学ぶ人 を対象 に,豊 富な例題 と問題によ り理 解を深め るよ うに編集 したテ キス ト 。
流 れ の 力 学(上/下) (上)流 れ の 力学 史(下)流 細井 B6判
豊 著 上)154頁
れの科学
下)196頁
三船 博 史 著 A5判216頁
本 書は,流 れ の力学にまつわ る歴 史的 な話題や 日常 的な現象 を通 じて,親 しみやす く解説。 高校での学 習か ら大学 での専門分野の学習へ橋渡 しとな る。
大学 の振 動学のテキス トと して執筆 した もので,随 所 にパ ソコン を使 って シュ ミレー シ ョン した グラフ とプ ログ ラム を示 し,各 種振動現象 が把握 出来 るよ うに配慮 してある。
可視化情報学入門
計 算 法 シ リー ズ
見 え な い もの を視 る
熱 力 学 の 計 算 法
可視 化 情 報 学 入 門編 集 委 員 会 編 A5判228頁 可視化情報学 は,目 に見 えな い情報 を可視 化技術や コンピュー タを使 って,目 に見 えるよ うに して新 し い情報 を取 り出 し現象の解明す る学問 であ る。本書 は多岐にわ たる内容 を紹 介す る入門書 であ る。
松 村 篤 躬/越 後雅 夫 共著 A5判200頁 熱 力学の基礎 的な公式や 数式 をわか りやす く説明。 改訂 にあたって大幅にSI単 位へ移行 した。
*定 価,図 書 目録 のお問い合わせ ・ご要望 は出版局 までお願い致 します.
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