照明工学講義 新 訂 版 工 博
関
重 広 著
東 京 電 機 大 学 出版 局
〈日本 複 写権 セ ン ター委 託 出版 物 ・特 別 扱 い〉 本 書 の無 断 複写 は,著 作 権 法 上 での 例 外 を除 き,...
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照明工学講義 新 訂 版 工 博
関
重 広 著
東 京 電 機 大 学 出版 局
〈日本 複 写権 セ ン ター委 託 出版 物 ・特 別 扱 い〉 本 書 の無 断 複写 は,著 作 権 法 上 での 例 外 を除 き,禁 じられ て い ます 。 本 書 は,日 本複 写権 セ ン ター 「出版 物 の 複 写利 用 規程 」 で定 め る特 別 許 諾 を必 要 とす る出版 物 です。 本書 を複 写 され る場合 は,す で に 日本 複 写権 セ ン ター と包 括契 約 を され てい る方 も事 前 に 日本 複 写権 セ ン タ ー(03-3401-2382)の 許 諾 を得 て くだ さい。
序 著 者 は,東 京 芝浦 電 気株 式 会 社 に勤 務 の傍,東 北大,早 大,電 機 大,日 大,法 大,工 学 院大 の各 大 学 の講 師を 兼任 し,更 に 昭 和25年
よ り関東学院大学の専任
教 授 と して,照 明 工 学 の 研 究 と講 義 とに 専 念 して現 在 に至 って い る。 この 間,数 種 の教 科 書 を 著 作 した が,そ の 内 容 も 日新 月 歩 の 現代 の 照 明工 学 に 適 応 しな い点 が次 第 に多 くな って 来 た の で,今 回,50年
の教 壇生 活 の体 験 に 基 づ
き,従 来 の著 作 に と らわ れ な い 全 く新 しい大 学教 科書 を著 作 した。 そ れ が本 書 で あ る。 本 書 の執 筆 に当 た って は,次 の よ うな点 に特 に留 意 した 。 (1)現
在,ほ
とん どの大 学 に お け る照 明 工 学 の講 義 が15時 限 に な った の で,
この時 間 内 に大 体 消化 し得 る よ うな 内容 と した。 (2)従
来 の 多 くの教 科 書 は,最 初 か ら発 光 や 放射 に関 す る理 論 的 記 述 が 出 て
来 て,学 生 に と って取 り付 き に くい傾 向 が あ った の を 改め,ま ず,灯 火 の 変遷 か ら説 き起 こ し,照 明工 学 と は どの よ うな もの で あ る か と い う概 念 を 与 え,入 す く,か つ,楽 (3)最
近,光
りや
しい夢 をい だ か せ る よ うに 努 め た。 源 の 進 歩 が め ざ ま し く,新
ら を な る べ く多 く取 り入 れ る と と も に,現
しい 電 灯 も 色 々 出 現 した の で,そ
在,ほ
れ
と ん ど 製 作 も使 用 も さ れ て い な
い も の は 一 切 割 愛 した 。
(4)理
論 的 な堅 苦 しい表 現 や,数 式 本 位 の む ず か しい記 述 を な るべ く避 け,
で き る だ け分 か りやす い現 代 語 を用 いた 。 (5)光 JISに
源 そ の他 に 関す る資 料 は,で き るだ け 新 しい もの を取 り入 れ,数 値 も
こだわ らず,つ
とめ て 実 際 的 な もの を採 用 した。 そ う しな けれ ば実 際 の設
計 はで きな い か らで あ る。 (6)電
気 工 学 科 の 学生 が 苦手 とす る建 築 様 式 や,心 理,目 の生 理 な ど につ い
て は,特 に注 意 して 分 か りや す く解 説 した 。 (7)照
明設 計 に は特 に重 点 を 置 き,設 計 法 や色 々な 実際 の照 明施 設 の あ り方
に つ いて 多 くの ペ ー ジ を さい た 。
本 書 の 特 色 は以 上 の よ うで あ る が,こ れ に よ って 学 生 諸 君 が 照 明 工 学 を 楽 しい 気 分 で 学 習 で きれ ば 著 者 の 幸 い とす る と こ ろで あ る。 著 者 はか って,「 建 築 と工 芸 意 匠 」 に つ い て 故岸 田博 士 に,「 照 明 の理 論 と 計 算 」 に つ いて 故尾 本,山
内,黒 沢 の 3博士 に,「 色 彩 」 につ いて は東 博 士 に学 び,
更 に 故石 原 博 士 と蒲 山博 士 か らも 目の機 能 につ いて貴 重 な 教 え を受 けた 。 ま た, 伊東
孝 氏 か らは,常 に最 新 の 資料 を頂 いて 新 しい照 明 の研 究 に専 念 して 来 た 。
本 書 は それ らの方 々 の貴 重 な 賜 物 の 集 成 で あ り,こ の 完 成 に当 た って 上 記 の 方 々 に深 く謝意 を捧 げ た い。 1977年
1月
著者
照 明 工学 講 義 恩師
関
関
重広
新 訂 版 の編 集 に 当 た って
重 広 先 生 に は 昭和57年
2月13日,享
年89歳 の 生 涯 を閉 じ て か ら
早 や 5年有 余 が経 過 した 。 この度,東 京 電 機 大 学 出版 局 か らの 増 刷 要請 もあ り, ご遺 族 の ご了 解 の も とに,こ の 際,全 面 的 に見直 しを行 い,そ の流 暢 な 筆致 を損 う こと な く,最 新 ・最 良 の 資 料 を取 り入 れ て 編 集 す る こ と と した 。 小生 が お 引 き 受 けす る に至 っ た経 緯 は,昭 和15年11月 に 接 して,そ
に早大 専 門 部工 科 で の 電 灯 照 明 の講 義
の卓 絶 した名 調 子 に す っか り魅 了 され,先 生 の お勧 め もあ って 東芝
に入 社,以 来39年
2か 月 に わ た り在 勤,こ の 間,東 京 電機 大 学 電機 学校 に12年
間,東 京 電 機 大 学 工 学 部 第 2部 に 8年 間,講 師 を 勤 め させ て い た だ い て い る。 愛 弟 子 の ひ と りと して,照
明一途 を 一生 仕事 と して 取 り組 ん で い るが,こ の改 訂 版
が 照 明教 育 の良 き伴 侶 とな る ことを祈 念す る もので あ る。 末 筆 なが ら,東 京 電機 大 学 出版 局 の 朝武 清実 編 集 課 長,岩 下 行 徳 企 画 主 幹 の ご 尽 力 の賜 物 と厚 く感 謝 を捧 げ た い。 1987年
3 月
伊東
孝
目
第 1章 照
次
明 総
1・1
人 工 光 源 の 出 現 と灯 火 の進 歩
1・2
電 磁 波 と視 覚
論 1 6
第 1章 問
題
9
第 2章 電
球
2・1
熱 放 射 とそ の法 則
2・2
電球 の構造
11
2・3
電球の性質
14
2・4
特 殊電球
17
第 2章 問
10
題 第 3章 蛍
21
光
灯
3・1
放 電発光
23
3・2
ル ミネ セ ン ス と 放 電 灯
24
3・3
蛍 光 灯 とそ の 構 造
3・4 3・5
蛍光 灯の性 質
29
特 殊 蛍光 ラ ンプ 第 3章 問
35
題 第 4章 放
4・1 4・2
4・3
26
カ ー ボ ン ア ー ク 灯
高圧水銀灯 メ タ ル ハ ラ イ ド灯
41
電
灯 43 45 48
4・4
高 圧 ナ ト リウム灯
4・5
低 圧 ナ ト リウム灯
4・6
キ セ ノ ン アー ク灯
問
第 4章
51 54 55
第 5章 5・1
光 度 と配 光
5・2
照
5・3
照 度 の 計算
明 計
算 58 63
問
66 77
題
第 6章
昼
光
照
明 79
天 然 の光 源 第 6章
問
83
題
第 7章 7・1
照
度
第 5章
6・1
57
題
照 明 の生 理 と心 理 84
目の機 能
問
第 7章
87
題 第 8章
色 彩 と 照 明
8・1
色の表示
88
8・2
色の性質
92
8・3
色彩調節
96
第 8章
問
97
題
第 9章
照
9・1
照 明 器 具 の 材 料 とその 性 質
9・2
照 明 器 具 の 配 光 と効率
明 器
具 98 102
9・3
107
光の投射 第 9章 問
題 屋内 照 明 の設 計 と施 工
第10章 10・1
10・2
109
111
全 般 照 明 の設 計
125
局 部 照 明 の設 計
129
10・3 照 明 の 施工
第10章
問
題
131
屋内照 明施 設
第11章
132
11・1
照 明 の分 類
11・2
作 業 の た め の照 明
11・3
展示 の た め の照 明
140
11・4
生活 娯 楽 の た め の照 明
147
第11章
問 第12章
132
題
屋
12・1
道 路 照 明
12・2
広 場 ・公 園 ・庭 園 の 照 明
12・3
建 造 物 の 照 明
12・4
運 動 競 技 場 の 照 明 第12章
151
外
照
明 152
問 第13章
158 160
162
題
測
164
光
13・1
光度測定
166
13・2
輝度測定
170
13・3
光束測定
13・4
照度測定
171 173
第13章
問
題
177
放 射 の 応 用
第14章 14・1
商業 にお け る応 用
178
14・2
産 業 に お け る応用
182
14・3
交通 に お け る応 用
184
14・4
保 健 医療 に お け る応 用
186
14・5
将 来 の灯 火 とそ の 応 用
188
第14章
索
引
問
題
189
190
第 1章 照
1・1人 〔1〕 火
明
総
論
工 光 源 の 出 現 と灯火 の進 歩 の
創
造
人 類 が 火 を 創 造 した の は,170万
年 の 昔 に 中 国 雲 南 省 の元 謀 猿 人 に よ る と いわ
れ て い る。 どの よ うに して 最 初 に火 を 得 た か は明 らか で は な い が,物 体 を こす り 合 わ せ る と熱 くな る とい う事 実 を 発 見 し,そ れ か ら木 材 同 士 を 強 く こす って 火 を 得 た の で あ ろ う とい うのが 定 説 で あ る。 しか し,た だ 2本 の木 を こす るの で は過大 な 労 力 を 必 要 とす るの で,色 々工 夫 が な され た で あ ろ うが,そ の う ち図1・1の
よ うに,き
りもみ を す る方 法 が 考 案
され て,そ れ 以 来,世 界 各 地 で 行 わ れ て きた 。 そ して わ が 国 で は,最 も発 火 しや す い木 を選 ん で,こ れ を 火 の 木 と名 づ けた が,木 を会 わせ る とい う意 味 か らひ の き(檜)と
書いた。 図1・1火
を起 こす方 法
この 発 火 方 法 は,現 在 で も神 事 な どの 折 に 行 わ れ て お り,熟 達 者 で は 1分以 内 に発 火 で き る。 その 後,金 属 と石 とを打 ち合 わ せ て 出 る火 花 か ら火 を 得 る方 法が 考 案 され,こ れ に使 われ る金 属 と石 を火 打 金 と火 打 石 と い った 。 これ は小 さ くて 携帯 用 に な る の で,家 庭 用 は も とよ り屋 外 で も広 く用 い られ た。 欧 米 で もマ ッチ が 出来 る まで は,一 般 に この 方 法 で火 を得 て い たの で あ る。 マ ッ チ が 発 明 さ れ た の は イ ギ リス で,1827年
の こ と で あ っ た が,こ
れ か ら世 界
各 国 に 伝 わ り,現 在 で は 最 も一 般 的 な 発 火 方 法 と して 利 用 さ れ て い る 。 この ほ か の 発 火 方 法 と して は,レ
ンズ と 太 陽 熱 に よ る も の が あ り,オ
は これ が 利 用 され て い る。
リン ピ ック の聖 火 に
〔2〕 灯 火 の 進 歩 こ う して 得 た火 は,炊 事 や 採 暖 用 に使 用 されて,古 代 人 の 生 活 を う る お した こ とで あ ろ うが,同 時 に この火 を夜 の 灯 火 と して も役立 たせ た 。 わ が 国で の最 初 の 灯 火 は,魚 油 を 器 に入 れ て燃 や した り,木 材 を 燃 や した り し た もの で あ るが,そ
の後,菜 種 油 の よ うな植 物 油 か ら石 油 まで 用 い られ,更
に,
ろ うそ く(蝋 燭)が 考 案 され て 携 帯 に 便 利 に な り,こ の ろ うそ くを 用 いた ち ょ う ちん(提 灯)は,懐
中電 灯 の で き るま で屋 外 の携 帯用 と して 一 般 に 広 く用 い られ
て 来 た が,現 在 で もま だ用 い て い る と こ ろ もあ る。 こ う して 油 や 木 材 が 昔 か ら長 い間 灯 火 と して 利用 さ れ て 来 た が,1800年
ごろ
ヨ ー ロ ッパ の 各 地 で ガ ス 灯 が 実 用化 さ れ た。 わが 国 で も明 治 5年(1872年)に, 横 浜 市 に10基 の ガ ス街 灯 が点 火 され,そ れ 以 後,急 速 に家 庭 用 と して も普 及 した が,こ れ に は ガ ス を供 給 す る会 社 を必 要 とす るの で,広 な か った 。 この ガ ス 灯 も大 正 3年(1914年)ご
く農 村 まで は行 き わ た ら
ろ を境 に次 第 に電 灯 に代 え られ,
現 在 灯火 と して 残 って い る の は ご くわ ず か で あ る。 電 灯 は1808年 る が,そ
に イ ギ リス で カ ー ボ ン ア ー ク 灯 が 発 明 さ れ た の が は じ ま り で あ
の 後,1879年
に エ ジ ソ ン が 電 球 を 完 成 して か ら家 庭 用 と して 利 用 さ れ て
今 日 に至 って い る。 〈注 〉(1)わ
が 国 で は,明 治10年(1877年)現
在 の東 京 大 学理 学 部 の実 験室 で
カ ー ボ ンア ー ク灯 の点 火 に成 功 し た が,公 式 に は,翌 年 の 3月25日
に工 部 大 学 校(現
在 の 東京 大 学 工 学 部 の前 身)に お け る電 信 中 央 局 の 開局 祝賀 会 の席 上 で点 灯 さ れ た の を 電 灯 初 点 火 の記 録 と して い る。 そ して 毎 年,こ の 3月25日
を電気記念 日と して 各地 の
電気 事 業者 が記 念 祝 賀 会 を 開 いて 今 日 に至 って い る が,昭 和53年(1978年)は,こ
の
電 灯 初 点 火 の 百 年 目 に 当た った 。 また,そ の 翌 年 の 昭 和54年(1979年)は,エ
ジ ソ ンの 電 球 発 明 百 年 目 に 当 た る の
で,こ の年 に は盛 大 な 電 灯 発 明 百 年 祭 が 行 わ れ た 。 (2)電 球 の 発 明 は,1854年 リスで ス ワ ン(Swan)が
ドイ ツに お い てゲ ー ベル(Gobel)が,ま
た1878年
イギ
そ れ ぞ れ 発 明 して い るが,そ れ らは 電 源 を 電 池 に よ って い た た
め,一 般 に 普 及 しな か った の に反 し,エ ジ ソ ンは 自分 の 発 明 した電 球 を 一般 に 使 わせ る た め,発 電機 を 作 り(エ ジ ソ ンダ イ ナ モ),電 灯 会 社 を設 立 し て 配 電 を 開 始 し,ニ ュー ヨー ク市民 に広 く電 球 を普 及 させ た ので,現 在 一 般 に 同氏 が 電球 発 明者 と して の栄 誉 を に な って い る の で あ る 。
年次と国名
表1・1電
発明者 その他 1808 (英) 1854 (独) 1855 (仏) 1877(明10)
Davy Gobel Dubosq 山川 健 次郎
1878(明11)
Ayrton,藤 中野 初 子 1878 (英) Swan 1879 (米) Edison 1882(明15)
Potter
1886(明19) 1887(明20)
東京電燈 東京電燈
1889(明22)
藤 岡市 助
岡市 助,
1890(明23) 三 吉正 一,藤 岡市 助 1901 (米) Cooper Hewitt 1905 (墺) Just, Hanaman 1908 (米) Coolidge 1909 (米) Langmuir 1910 (仏) Claude 1921(大10) 三浦順一 1925(大14)(米) 不 破 橘 三,Pipkin 1931 (独) Pirani 1931 (和,独) Philips社,○sram社 1935 (和) Philips社 1935 (米) Inmanら 1938 (米) GE社 1940(昭15)
東京芝浦電気
1944 (米) 1944 (米) 1944 (独) 1949 (米) l950 (米) 1953 (米) 1953 (米) 1956 (米) 1958(昭33)
GE社 GE社 Schulz Pipkin Sylvania ネ 士 GE社 GE社 GE社
東京芝浦電気 1959 (米) Zubler, Mosby 1961 (米) Reiling ら 1963 (米) Schumitら 1963(昭38) 東京 芝 浦 電 気 1967(昭42) 東 京芝 浦 電 気 1974 (米) GE社 1974 (和) Philips社 1977(昭52) 東京芝浦電気 1979 (和) Philips社 1980(昭53)(和) 三 菱 電 機,Philips社
灯
発
達
の
年
表
事
項
最 初 の電 灯(カ ー ボ ンア ー ク灯)を 発 明 炭 素 電 球 を発 明 実 用 カー ボ ンア ー ク灯 を 完成 12月19日,わ が国 で 初 め て カー ボ ンア ー ク灯 を 点灯 3月25日,工 部 大學 校 講堂 で デ ュ ボ ス ク ・ア ー ク灯 を点 灯(こ の 日を 電 気記 念 日に制 定) 炭 素電 球 を発 明 10月21日,実 用 炭 素電 球 を発 明(こ の 日を あか り の 日に制 定) 11月1日,銀 座 の 大倉 組前 で ブ ラ ッシ ュ ・ア ー ク街 灯 を点 灯 7月5日 創 立 11月29日,日 本 橋 の第2電 燈 局 で 電 灯 供 給 事 業 を 開始 8月12日,銀 座 の 東京 電 燈 電 球 実 験 室 で,国 産 炭 素電 球12個 を 試 作 4月,銀 座 の 合 資会 社 白熱 舎 で電 球 製 造 を開 始 低圧水銀灯を発明 押線 タン グ ス テ ン電 球 を発 明 引線 タ ン グ ス テ ン電 球 を発 明 ガ ス入 り電 球 を 発 明 ネ オ ンサ イ ン初 点 火(パ 2重 コイ ル電 球 を 発 明
リ)
内面 つ や 消 し電 球 を 発 明 高 圧 水 銀 灯 を発 明 低 圧 ナ トリウ ム灯 を発 明 超高圧水銀灯を発明 蛍光 灯 を 発 明 ニ ユ ー ヨー クお よ び サ ンフ ラ ン シ ス コ万 博 で 大 々的 に 蛍 光 灯 実 用 化 8月27日,大 和 ・法 隆 寺 の金 堂 壁 画模 写 に 蛍光 灯実用化 ス リム ラ イ ン形 蛍 光 灯 を 完成 環 形 蛍光 灯 を 完 成 キ セ ノ ンア ー ク灯 を 発 明 シ リ カ塗 装 電 球 を発 明 ELラ ンプ を完 成 ラ ピ ッ ドス タ ー ト形 蛍 光 灯 を 完成 高 出 力 蛍光 灯 を完 成 超高 出 力 蛍光 灯 を完 成 白 色塗 装 ボ ー ル電 球 を 完 成(わ が 国 独特) ハ ロゲ ン電 球 を発 明 メ タル ハ ライ ド灯 を 発 明 高 圧 ナ トリウ ム灯 を 発 明
日本で の 製造年
1890(明23)
1909(明42) 1911(明44) 1914(大3) 1926(大15) 1936(昭11) 1926(大15) 1934(昭9) 1934(昭9) 1939(昭14) 1940(昭15)
1950(昭25) 1953(昭28) 1957(昭32) 1973(昭48) 1961(昭36) 1954(昭29) 1957(昭32) 1958(昭33)
1961(昭36) 1968(昭43) 1971(昭46)
細 管 形 蛍光 灯 を完 成(わ が 国 独 特) 高 演 色 メ タル ハ ラ イ ド灯 を 完成(わ が 国独 特) 省 電 力 形 蛍 光 灯 を完 成 3波 長 形 蛍 光 灯 を完 成
1975(昭50)
省 電 力 形 電 球 を 完成(わ が 国 独 特) 電 球 形 蛍 光 灯 を 完成 コ ンパ ク ト形 蛍 光灯 を完 成
1979(昭54)
1977(昭52)
図1・2日
本 古灯変遷 図表(故 本野 亨博士作製)
灯 火 の 変 遷 は 前 記 の よ うで あ る が,こ れ らの 火 に は そ れ を用 い る灯 器(照 明 器 具)を 必 要 とす る の で,各 国 に お いて,そ れ ぞ れ特 有 の灯 器 が作 られ て き た。 こ れ らの 灯 器 の意 匠 と して は,実 用 性(機 能性,合 理 性),色
沢 や 形 の 美 しさ,装
飾 効 果 な ど,色 々の条 件 が要 求 さ れ るが,わ が 国 の古 来 か らの灯 器 は,実 用 性 と と もに 色 沢 と形 の美 しさ に 優 れて お り,無 意 味 な装 飾 を さ け,単 純 な うち に典 雅 な意 匠 を 持 って い る の が特 色 で あ る。 これ に反 し,外 国 で は装 飾 に重 点 を おい た ものが 多 く,豪 華 な シ ャ ンデ リア な どは この代 表 例 で あ る。 ま た,わ が 国 で も灯 ろ う(籠)な
ど にか な り装 飾 の 多 い
もの が あ るが,こ れ は 仏教 の伝 来 に伴 う外 国 の 影響 で あ って,わ が 国 古 来 の もの で は な い 。 図1・2は,わ
が 国 の灯 火 の 変遷 を示 した も ので あ る。
〔3〕 電 灯 の 発 達 電 灯 は デ ー ビ ー の ア ー ク 灯 発 明 以 来,約180年 蛍 光 灯,水
を 経 て い る が,こ
の 間 に 電 球,
銀 灯 な ど 種 々 の も の が 完 成 さ れ て 今 日 に 至 っ て い る 。 こ れ らの 経 過 を
ま と め た も の が,表1・1で
あ る。
〔4〕 電 灯 の 生 産 数 と普 及 わ が 国 に お け る 電 灯 の 生 産 数 は,毎 数(100万
年 多 少 の 増 減 が あ る が,平
個 以 下 4捨 5入)は,表1・2で
千 万 個 に の ぼ る 。 工 場 の 稼 動 日数 を300日
示 さ れ る よ う に,総 と す れ ば,1
成 2年 度 の 生 産 計 で 約25億
日 当 た り857万
個とな
る。 表1・2電
次 に,わ
が 国 で の 電 灯 の 普 及 状 態 で,他
の 国 と 異 な る と こ ろ は,全 及 率 が99.9%で
戸 数 に対 す る普
世 界 最 高 で あ る こ と と,
蛍 光 灯 が 著 し く多 い こ と で あ る。 諸 外 国 で は,蛍
光 灯 は 工 場,事
ら れ,こ
の ほ か,百
い る だ け で あ る が,わ 商 店 は も と よ り,旅 ン,住
務 所,学
校 な ど に限
貨 店 な ど に用 い られて が 国 で は,百 館,ホ
テ ル,レ
貨店や ス トラ
宅 な ど に ま で 多 く点 灯 さ れ て い る 。
灯 の 生 産 数(単
位=百
7
万 個)
この よ うな 国 は世 界 中 ほか に な い。 1・2電 〔1〕 光
磁 波 と視 覚 の
正
体
光 の正 体 は何 か,と い う こと は昔 か ら色 々 と論 じ られ て来 たが,大 別 す れ ば, 波 動 説 と粒 子 説 とに分 かれ る。 波 動 説 は,粒 子 説 で は 説 明 で き な い問 題 を 解 明 で き る長 所 が あ った が,こ れ に は波 動 を 伝 え る物 質 を必 要 と し,宇 宙 空 間 の 真 空 中 を光 が 到 達 す る現 象 を説 明 す る こ とが で きな い。 この た め 宇 宙 空間 を は じめ, あ らゆ る所 に 満 ち満 ちて い るエ ーテ ル と称 す る もの を仮 想 し,光 は この エ ー テ ル を 媒体 とす る波 動 で あ る と した。 しか し,そ の後,フ
ァ ラデ ー(Faraday)が
光 は電 気 と磁 気 の波 で あ る と い う電
磁 波 論 を打 ち出 し,更 にマ ック ス ウェル(Maxwe11)が 次 いで , ヘル ツ(Hertz)が
そ れ を理 論 的 に証 明 し,
電 波 を発 見 して,そ れ が 光 と同 じもの で,た だ波 長 が
違 うだ けで あ る とい う こと を 唱 え る に至 って,も は や エ ー テル な どの 仮 想 物 質 を 必 要 と しな い光 の 電 磁 説 が確 立 した 。 しか しな が ら,そ の後,波 動 説 だ けで は説 明 で き な い現 象 が 見 られ るよ うに な る に及 ん で,現 在 で は光 は電 磁 波 で は あ るが,粒 子 性 を併 せ 有 す る もの と解 釈 さ れている。 〔2〕 電 磁 波 の 種 類 ヘ ル ツ に よ って 光 は電 波 と同 じ電磁 波 の一 種 で あ る と解 明 され たが,そ の 後, エ ックス線 や ガ ンマ線 な ど も同 じ電磁 波 の仲 間 で あ る こ とが明 らか に な った 。 これ らの 電磁 波 の 種 類 は,そ の波 長(ま た は振 動 数)に よ って 決 ま る の で あ る。 と ころが,電 磁 波 の 振動 数 は媒 質 の いか ん にか か わ らず 一 定 で あ るの に,波 長 は媒 質 に よ って 異 な り,真 空 中 と空 気 中 とで も多少 違 う。 従 って,波 長 よ り も振動 数 で 分 類 した 方 が 合 理的 で,ラ ジオ や テ レ ビで は そ う して い るが,一 般 に は(特 に光 に関 して は)従 来,波 長 で 分 類 され て き た の で, 現 在,学 界 で もそ の よ うにな って い る。 光 の 波 長 は極 めて 短 い の で,そ れ を測 る単 位 と して は 普通10-6mmの
長 さを
図1・3電
用 い,こ 1/10の
れ を1nm(ナ Å(オ
磁 波 の スペ ク トル
ノ メ ー トル)と
ン グ ス トロ ー ム)を
い う 。 し か し,補
助 単 位 と して1nmの
使 用 す る こ と もあ る。 す な わ ち
1(nm)=10-9〔m〕=10-6〔mm〕 1(Å)=10-10(m)=10-1〔nm〕 電 磁 波 の 種 類 は,図1・3の
よ うで あ る。
〔3〕 電 磁 波 の 性 質 電 磁 波 の 一 般 的 性 質 は,次 (a)放
の よ うで あ る 。
射 エ ネ ル ギ ー が 物 体 に 当 た る と,反
射 ・屈 折 ・吸 収 な ど の 現 象 が 起 こ
る 。 吸 収 さ れ た も の は 熱 エ ネ ル ギ ー に 変 わ る 。 こ れ を 放 射 熱 と い う。 (b)真
空 中 に お け る 光 の 速 度 は3×108〔m/s〕(正
〔m/s〕)で,他 反 比例 す る。
の 媒 質 中 に お い て は,そ
の 絶 対 屈 折 率(真
確 に は2.99792458×108 空 に 対 す る屈 折 率)に
(c)振
動 数 は媒 質 に無 関 係 に一 定 で あ る。
(d)光
の速 度(波 長/振 動 数)の 関 係 で あ るの で,波 長 も また媒 質 の 絶対 屈
折 率 に反 比 例 す る。 <注>光 の速度に関 して 具体例 を述 べ れ ば,光(電 波 も同様)は 1秒間に地球 を 7.5周 し,ま た,月 までは1.28秒,太 陽まで はお よそ 8分19秒 か かる。 また,光 が 1年 間で到達 する距 離を 1光年 とい って,天 文学上 の長さの単位 とされて いるが,最 も近い恒星 の光 で も地球 に達す るに4.3年 かかる。 (e)光
の進 行 は そ の 波 長 と媒 質 の 中 に浮遊 す る粒 子 の大 き さに影 響 され る。
す なわ ち,紫 外 線 や 青 色 に 相 当 す る短 い 波 長 は,空 気 の 分 子 や 空 気 中 の じ ん あ い に 当 た っ て散 乱 す る の で,晴 天 の空 は 青 く見 え,赤 色 に相 当 す る長 い波 長 や 赤 外 線 は,地 表 に近 い 空 気 中 の じ ん あ い や無 数 の 細 か い水 滴 の 中 で も透 過 し て 進 むの で夕 日 は赤 く見 え る。 また,波 長 の短 い 紫 外 線 は,皮 膚 の 中 に 入 り細 胞 を刺 激 し て炎 症 を起 こ し,波 長 の 長 い 赤 外 線 は,皮 膚 の表 面 の 細 胞 を刺 激 す る の で熱 と し て 感 ず る。 電 波 で も波 長 の 長 い ラ ジ オ 波 は障 害 物 を超 え て届 くが, 波 長 の短 い テ レ ビ波 が 障害 物 の 裏 側 へ 回 りに くいの も同様 の 理 由 に よ る。 な お,光 はそ の 波 長 に よ って異 な る色 彩 感 覚 を 与 え る。 図1・3の
図 中 に,こ
の 関係 を示 した 。 〔4〕 放 射 と 視 覚 電 磁波 が 放 射 され る時,そ の放 射 の 強 さ を放 射 束(記 号 は Φe)と い い,ワ ッ ト (W)を 単 位 とす る 。 この放 射 が 目 に入 った 時,目 は そ の波 長 が380∼780nmの
範 囲の もの を 明 る
く感 じる。 これ が光 で あ る。 しか し,各 波 長 に対 す る 目 の感 度(こ い う)は 一様 で は な く,555nmの
れ を視 感 度 と
波 長 に対 し最 高 の感 度 を有 し,そ の他 の光 に対
して は感 度 が 落 ち る。 この 関 係 を表 した もの が 比視 感 度 曲 線 で,図1・4の
よう
で あ る。 この 曲線 は人 種 に よ って もあ ま り違 わ な いが,高 齢 に な る と多 少 長 波 長の 方 へ 移 る。 また,暗 い所 で は 曲線全 体 が 図 の破 線 の よ うに短 波 長 の方 へ移 るの で,青 色 はよ く見 え るが 赤 い 色 が 認 め に く くな る。 これ を プ ル キ ンエ(Purkinje)現
象と
図1・4比
視感 度 曲線
い う。 目 は こ の よ う に して 放 射 を 光 と して 感 じ る の で あ る が,こ 束(記
号 は Φ)と い い,ル
出 る 光 の 明 る さ な ど は,こ <注>束
ー メ ン(lumen:1m)を
の 感 じた 明 る さを光
単 位 とす る。 そ し て 電 灯 か ら
の ル ーメ ンを も って 表 す。
の 記 号 は,昭 和51年
に Ф に 変 わ った が,従 来,長
く F が用 い ら れ て
来た。
第 1章
問
題
(1)月 の 表面 に大 き い鏡 を お き,地 球上 か ら 強 い レーザ 光 を 放 射 した場 合,鏡 た こ とが見 え た と した ら,そ れ は何 秒 後 で あ ろ うか。 (答2.56秒 (2)横
が光 っ
後(こ れ は 電 波 で も同様 で あ る))
断用 歩 道 の小 旗 や 児 童 の 事 故 防止 用 の 帽子 な ど は,赤 色 が 最 も有 効 な は ず で あ
るが,実 際 に は黄 色 が用 い られ て い る の は なぜ だ ろ うか。
第 2章
2・1熱
電
球
放 射 と そ の法 則
〔1〕 熱
放
射
周 囲 よ り温 度 の 高 い 物 体 は,そ
の 周 囲 に エ ネル ギ ー を放 射 す る。 これが 放 射 束
で あ る。 温 度 差 が 比 較 的 小 さ い 時 は,放 が,温
度 差 が500°Cぐ
黄 色 光,緑 う に,高
射 束 は主 と して 長 波 長 の 赤 外線 で あ る
ら い よ り大 き くな る と 赤 色 光 が 現 れ,さ
色 光 が 含 ま れ て き て,合
らに高 温 にな る と
成 光 は 黄色 か ら白色 に近 づ いて くる。 この よ
温 物 体 か ら発 光 す る 現 象 を 熱 放 射(以
前 は 温 度 放 射 と い っ た)と
い う。
電 球 は こ の 現 象 を 利 用 し た もの で あ る 。 熱 放 射 に つ い て は,次 〔2〕
の よ うな法 則 が あ る。
ス テ フ ァ ン ・ボ ル ツ マ ン(Stefan-Boltzmann)の
放 射 束 は,そ
法則
の 放 射 体 の 絶 対 温 度 の 4 乗 に 比 例 す る 。 す な わ ち,Φeを
放 射 束,
T を 絶 対 温 度 と す れ ば, Φe=σ(T14-T24) こ こ に,σ
は ス テ フ ァ ン ・ボ ル ツ マ ン定 数,T1は
温 度 で あ る が,空
気 中 や 真 空 中 で はT24は
放 射 体 の 温 度,T2は
無 視 して よ い の で,Φe=σT14と
周囲の 見 な
して よ い 。 〔3〕
キ ル ヒホ ッ フ(Kirchhoff)の
法則
放 射 束 は そ の 物 体 の 吸 収 率 に 比 例 す る 。 こ れ が こ の 法 則 で,つ る も の を,よ
ま り よ く吸 収 す
く放 射 す る と い う こ と で あ る 。 黒 色 物 体 は最 も よ く吸 収 す る か ら,
同 一 温 度 で は 最 も 放 射 が 強 い 。 エ ネ ル ギ ー を100%吸
収 す る 物 体 を 黒 体 と い う。
電 気 冷 蔵 庫 の 放 熱 板 を 黒 塗 りに す る の も こ の た め で あ る 。 〔4〕
ウ ィ ー ン(Wien)の
熱 放 射 に よ る 放 射 束 は,単
変位 則 一 波 長 で は な く連 続 ス ペ ク トル で あ る が,そ
の波 長
と エ ネ ル ギ ー と の 関 係 は,図2・1の 山 形 に な る 。 そ して,こ
よ うな
の 曲線 の う ち極大 エ
ネル ギ ー を も つ 波 長 は絶 対 温 度 に反 比 例 す る 。 す な わ ち,極
大 エ ネ ル ギ ー の 波 長 を λm
とす れ ば, λmT=2.898×106〔nm・K〕 現 在 の 電 球 の フ ィ ラ メ ン ト温 度 を2900K とす れ ば,λm≒1000〔nm〕
と な り,極
図2・1分
光分布
大 エ
ネ ル ギ ー は近 赤 外 線 と な る 。 ま た,太
陽 の 表 面 温 度 は6430Kで
ら,λm≒450〔nm〕 の で,太
あるか
で 可 視 光 線 の 範 囲 に入 る
陽 は極 め て 効 率 の よ い 光 源 で あ る と
い え よ う。 図2・2は,種
々の 温 度 にお け る放 射束 と
温 度 と の 関 係 を 示 した も の で,各
曲 線 の面 積
は 温 度 の 4乗 に 比 例 し,極 大 波 長 は 温 度 に 反 比 例 す る こ と が 示 さ れ て い る 。 ま た,ABは 可視 光 線 の 範 囲 で あ る 。 〔5〕 選
択
放
物 体 の 吸 収 率(ま
射 た は反 射 率)は,各
スペ
ク トル に よ っ て 必 ず し も等 し く は な い 。 金 や 銅 は 長 波 長 の 反 射 率 が 短 波 長 よ り大 き い 。 こ の よ うな も の に 対 して は,ウ
図2・2各
温度 における分光分布
ィー ンの変 位 則
は正 確 に は当 て は ま らな い 。 この よ うな放 射 を選 択 放 射 とい う。 2・2電 〔1〕 形
球
の 構 造 状
現 在 の電 球 には非 常 に 多 くの 種類 が あ るが,そ の う ち一般 照 明 用 の もの は,図
図2・3電
2・3の
球 の 内部 構 造
よ うな形 状 を して い る。 この形 は過 去 数 十 年 来 ほ とん ど変 わ って い な い 。
それ は性 能,材 料,製 造 な ど,色 々の 点 か ら最 も合 理 的 に デ ザ イ ンさ れ た もの だ か らで あ ろ う。 〔2〕 フ ィ ラ メ ン ト 電 球 の発 光 部 分 は フ ィ ラメ ン トで あ る。 熱 放 射 の 法 則 に よれ ば,温 度 が高 い ほ ど放 射 は 強 くな り,波 長 も可 視範 囲 に近 づ く。 従 って,効 率 の 高 い 電 球 を作 るた め に は,フ ィ ラメ ン トの温 度 を な る べ く高 くす る ことが 必 要 で あ る。 初 期 の 電 球 に は炭 素 フ ィ ラメ ン トが用 い られ た 。 しか し,炭 素 は 融点 は 高 い が,2100Kを 超 え る と蒸 発 と飛 散 に よ って ガ ラス 球 が 黒 化 す る の で,こ れ 以 上 温 度 を 高 め る こ とが で き な い。 そ こで,炭 素 に次 い で 融点 の高 いタ ング ス テ ンが 採 りあ げ ら れ,温 度 も2500 Kま で 上 昇 した 。 と ころで,タ
ング ス テ ンの 融点 は3660Kで
あ るが,2500Kを
超 え る と,炭
素 と同 じよ うに蒸 発 や 飛 散 が は じま る。 これ は真 空で あ るか ら,圧 力 を加 え れ ば 防 げ るで あ ろ うと い う考 え か ら,高 温 のタ ング ス テ ンと化 合 しな い 窒 素 ガ ス を封 入 した と ころ が,2800Kぐ
らい まで 上昇 させ て も 差 支 え な い こ とが分 か った。
と ころ が,ガ ス を封 入 す る とそ の熱 伝 導 の ため に フ ィ ラ メ ン トの 熱 が 奪 わ れ,
そ れ を 補 給 す る た め に 余 計 な 電 力 が 費 さ れ て,せ
っ か く温 度 を 上 昇 して も効 率 が
高 く な ら な い 。 と こ ろ が 線 を 直 線 の ま ま で な く,コ
イ ル 状 に 巻 く と,熱
な く な る こ と を ア メ リカ の ラ ン グ ミ ュ ア(Langmuir)が
発 見 して,こ
損 失 が少 こに ガ ス入
り 電 球 が 発 明 さ れ た 。 ま た,ガ
ス も窒 素 よ りアル ゴ ンの方 が 熱 伝導 率 が 少 な い の
で,採
気 中 の 含 有 量 は 窒 素78%,ア
取 に 費 用 が か か る が(空
率 向 上 の た め に 現 在 で は ア ル ゴ ンを 主 体 に,窒 と こ ろ が,こ
ル ゴ ン0.93%),効
素 との 混 合 ガ ス を用 いて い る。
の コ イ ル フ ィ ラ メ ン トを も っ て,さ
らに コイ ル に巻 いた フ ィ ラ メ
ン トが 三 浦 順 一 に よ っ て 完 成 さ れ た 。 こ う す る と 一 層 熱 損 失 が 少 な くな る の で 効 率 も さ らに 高 くな り,ま
た,フ
ィ ラ メ ン ト 自 体 の 長 さ も短 く な っ た の で,ア
ンカ
も 1本 で す む よ うに な っ た 。 こ う し て で き た 2重 コ イ ル フ ィ ラ メ ン トが 現 在 も 用 い られ て い る 。 図2・4は,2
重 コイ ル フ ィラ メ 図2・4
ン トの 一 部 拡 大 図 で あ る 。
しか しなが ら,300W以
2重 コイ ル フ ィ ラメ ン ト
上 の大 型 電 球 は フ ィ ラメ ン トも太 く,熱 損失 も少 な い
の で 2重 コ イル に は な って い な い。 〔3〕 ガ
ラ
ス
球
ガ ラ ス球 は電 球 の大 き さを 決 め る もの で あ り,な るべ く小 さい方 が材 料 も少 な く,取 り扱 い も便 利 で あ る。 しか し,こ れ を小 さ くす れ ば タ ング ス テ ンの蒸 発 と 飛 散 に よ る黒 化 が ひ ど くな るの で,や は り限 度 が あ る。 また,フ
ィ ラ メ ン トが コイル に な って 電 球 の 中 心 に 集 中 す る と,直 視 す る と 目
に まぶ しい ので,ガ
ラス 球 を つ や消 しにす る こ とが行 わ れ た 。 これ はふ っ化 水 素
とふ っ化 ア ンモ ニ アの 混 合 液 で ガ ラス の表 面 を 腐 食 す る の で,不 破橘 三 が 世 界 に 先 が け て ガ ラス球 の 内面 つ や 消 しに成 功 して以 来,長 (1976年),ふ
く行 わ れ て き た が,最 近
っ酸 の廃 液 が 公 害 を起 こす こ とが 懸念 され て 来 た た め,つ や消 しの
代 わ りに 白色 塗 料(シ る よ うに な って い る。
リカ また は ジル コニ ア)を 使 用 した 白 色 塗 装 電球 が 使 われ
〔4〕 付 属 部 分 と材 料 図2・2に
お いて,電 流 を 取 り入 れ る部 分 が 口金 で あ る。 口金 の 材 料 と して 望
ま しい の は 電気 抵 抗 が 小 さ い こ と,さ び に くい こ とな どで,こ れ に 適 す る材 料 と して 黄 銅(真 ち ゅ う)が 一 般 に使 わ れ て い る。 この 口金 のAとCの
部 分 の 内側 に2本 の導 入 線 が 接続 され て いて,そ れ か らフ
ィ ラメ ン トに 電 流 を通 す 。 この 途 中で ガ ラス を貫 通 す る部 分 が あ り,こ れ を封 着 部 導 入 線 と呼 ん で い る。 こ の封 着 部 導 入 線 の 線 膨 張 率 がガ ラ スの それ と等 し くな い と,高 温 に な った時 す き まが で きた り,ま た 壊 れ た りす る。 従 って,最 初 は 白 金 以 外 にそ れ に 適 す る金 属 が 見 当た らなか った の で,初 期 の電 球 に は 白金 を使 用 し,そ の た め 電球 の値 段 も高 か っ たが,現 在 で はニ ッケル 鋼 に銅 を被 せ た ジ ュ メ ッ ト線 が 一 般 に 使用 され て い る。 また,フ
ィ ラメ ン トは た るむ お それ が あ るの で,ア ン カ に よ って 適 当 に支 え,
ア ンカ はケ ー ンガ ラ ス で 固定 さ れ る。 ア ンカ と接 触 す る フ ィ ラメ ン トの部 分 は ア ンカ の 熱 伝 導 の た め に冷 却 され,こ れ は熱 損失 とな るので,ア
ンカ の材 料 と して
希 望 され る性 質 は,で き る限 り細 い線 で あ る こ と,融 点 が 高 く線 膨 張 率 が ガ ラス とあ ま り違 わ な い もの で,熱 伝 導 率 が低 い こ とな どで,以 上 の条 件 を満 足 す る も の と して 現 在 モ リブ デ ンが 使用 さ れて い る。 ま た電 球 の 形 状 は,ど この 製 造 会 社 の 製 品で もみ な 同 一で あ る か ら,そ の 製 造 会 社 を示 す た め に マ ー クを つ け る。 マ ー ク は,口 金 の反 対 側 のガ ラス球 の 中央 に 押 されて お り,こ こに 商 品 名 と と もに,電 圧 ・ワ ッ ト数 が 銘記 され て い る。 2・3電 〔1〕 特
球 の 性
質
性
電球 を点 火 し,そ の 電圧 を変 化 させ る と,そ れ に従 って光 束 ・電流 ・電 力 ・寿 命 な ど もま た変 化 す るが,そ れ ら変 数間 の 関係 を示 した もの が 図2・5で,こ
れ
を 電圧 特 性 と い う。 これ らの関 係 は電 球 の 種 類
フ ィ ラメ ン トの形 状,製 造条 件 な ど に よ り必 ず し
も一定 で な いが,ガ ス 入 り電 球(基 準 効 率16lm/w)の
特性 は,定 格 電圧Voに
図2・5
お け る 電 流A0,電 圧
力W0,光
ガ ス入 り電球の電圧特性
束 Φ0,効
率E0,寿
V に お け る そ れ ぞ れ の 値A,W,Φ,E,L,
図 よ り明 らか な よ うに,例 えば10%の %,光
束 は40%増
〔2〕 動
命L0,色 Tの
温 度T0と,あ
関 係 は,次
式 で示 され る。
過 電 圧 にな る と電流 は7%,電
加 し,寿 命 は 逆 に約1/4に
る 電
力 は17
減少 す る。
程
電 球 の 電 流 ・光 束 な どが 点 灯 中 次 第 に変 化 して ゆ く有 様 を動 程 とい う。 フ ィ ラ メ ン トは点 灯 中蒸 発 や飛 散 に よ って 細 くな るか ら,電 流 は減 少 して ゆ き,最 初 は お よ そ95%前
後 にな った とき 断線 す る。
電 流 が 減少 す れ ば,光 束 も また 減少 し,断 線 時 に は95%前 図2・6に,ガ
ス入 り電 球 の 光 束 維 持特 性 を示 す。
後 に ま で低 下 す る 。
図2・6ガ
〔3〕 寿
ス入 り電 球 の 光 束維 持 特 性
命
電 球 の寿 命 は,光 束 維 持 率 で 規 定 され る点 灯 時間 と,フ ィ ラ メ ン トの切 れ る ま で の 点 灯時 間 の うち短 い方 の 時 間 をい う。例 え ば,一 般 照 明 用 電 球 のJISに れ ば,30W電
球 以 上 で は750時 間 に達 した と き の 光 束維 持率 は85%以
定 され て い る。 寿 命 に対 す る 因子 と して は,フ
よ
上 と規
ィ ラメ ン トな どの 構 成 材 料 に よ る
もの と,振 動 や 電圧 な ど使 用 条 件 に よ る もの が あ る。 しか し,通 常 の条 件 で は寿 命 Lと効 率 E とは,次 の 関 係 に あ る。
電圧 特性 で 示 され るよ うに,電 圧 を上 昇 す れ ば 効 率 が高 くな る が,そ の 代 わ り 寿 命 が短 くな る。 従 って,電 力 の経 済 と電 球 の 交 換 費 とは 相反 す る こ とに な る。 そ こで,両 者 の合 計 が 最 も小 さ くな る よ うに現 在 の 電球 の寿 命 が 定 め られ て い る。 〔4〕 効
率
電 球 の効 率 は,1W当
た りの光 束(1m/W〕
を も って表 す。 この 効 率 に は電 灯
の効 率 と視 感度(以 前 は発 光 効 率 とい った)と の 2種 類 が あ る。 電 灯 の 効 率 はW に 実際 の 消 費 電 力 を 当 て た もので,視 感 度 はW に そ の光 束 を 出 す 放 射 束 を も って 当て た もの で あ る。 例 え ば,100W白
色 電 球 の 光 束 は1520lmで
lm/Wで
球 の 電 力 の う ち,ガ
あ る が,電
線 と ア ン カ に よ る 熱 損 失 が6.5%あ
あ る か ら,電
灯 の 効 率 は15.2
ス に よ る 熱 伝 導 の 損 失 が11.5%,導
る の で,フ
ィ ラ メ ン トか らの 放 射 束 は82%
入
と な る 。 従 っ て,視 〔5〕
定
現 在,一
感 度 は1520/(0.82×100)=18.5〔lm/W〕
格 般 照 明 用 に 使 用 さ れ る100V電 表2・1
2・4特
となる。
殊
球 の 定 格 は,表2・1の
よ うで あ る。
一 般 照 明 用 電 球 の 定 格(100V級)
電
球
〔1〕 ボ ー ル 電 球 電球 の形 は,ガ ス量,性 能,製 作 価 格 な ど,あ らゆ る 角度 か ら検 討 して 図2・3 の よ うな も のが最 も合理 的 で あ る と決 ま ったの で あ るが,性 能 や 価格 の点 は 多少 犠性 に して も,違 った 意 匠 の もの が 望 ま れ る こ と もあ り,こ の う ち現 在 広 く用 い られて い る ものが ボ ー ル 電球 で あ る。 これ は,普 通 の 電 球 よ り も大 型 の球 形 に し た もので,輝 度 も低 い た め グ ロー ブで 包 ま ず,裸 の ま ま点 灯 で きる点 が特 長 で あ る(図
図2・7
ボ ー ル電 球
2・7)。 普 通,白 色 ボ ール 電 球 と呼 ば れ て い る。 しか し,透 明 ガ ラ ス球 の もの も造 られ て い て,特 殊 の 雰囲 気 を 出 す 目的 で使 用 され て い る。 形 が 大 きい た め 価格 も 若 干 高 くな るの で,効 率 を少 し落 と して,寿 命 を2000時 〔2〕
間保 つ よ うに して あ る。
ク リ プ トン 電 球
一般 照 明用 電 球 は ,ア ル ゴ ン封入 の タ ング ス テ ン 2重 コイル 電 球 を完 成以 来, そ れ以 上 の 改良 進歩 が行 われ ず に50年 以 上 経 過 した が,新
しい 電球 が 出現 した。
そ の一 つ は ク リプ トン電 球 で あ る。 これ は アル ゴ ンガ ス よ り熱 伝 導 率 の 低 い ク リ プ トンガ ス を封 入 した もので,熱 損失 が少 な い ので 効 率 が 高 い。 しか し,ガ ス の 価格 が高 い た め 電球 も高 価 にな るので,効 率 の 向上 を多 少 押 えて 寿 命 を2000時 間 に して あ る。 最 近 は小 型 ク リプ トン電球 が シ ョー ウ イ ン ドや ス タ ン ド用 に普 及 して い る。 表2・2小
*最
大 光 度310cd
〔3〕
,1/2ビ
型 ク リプ トン電 球 の 定 格
ー ム の 開 き80゚
ハ ロ ゲ ン電 球
こ れ は ハ ロ ゲ ン(よ
う素,臭
素,塩
電 球 で あ る 。 こ の 電 球 で は,フ
素 な ど の 有 機 ハ ロゲ ン化 合 物)を
ィ ラ メ ン トか ら蒸 発 し た タ ン グ ス テ ン が,ハ
ン と化 合 して ハ ロ ゲ ン化 タ ン グ ス テ ン と な り,こ ラ メ ン トの そ ば に く る と,再
封入 した ロゲ
れ が 球 内 を 浮 遊 して 高 温 の フ ィ
び 分 解 し て タ ン グ ス テ ン は も と の フ ィ ラ メ ン トに 付
着 し て し ま う。 こ の よ う な 現 象 を ハ ロ ゲ ン サ イ ク ル と呼 ぶ 。 こ の 現 象 の た め に 温 度 を 上 げ て も黒 化 が 少 な く,従 (a)黒
っ て,次
化 が 少 な い の で 形 が 小 さ く で き る(同
分 の 1 ぐ ら い)。 (b)寿
の よ うな特 長 が あ る。
命 が 長 い(2000時
間)。
ワ ッ トの 普 通 の 電 球 に 比 べ 数 十
表2・3ハ
〔 注 〕 上 記 は 一般 照 明 用 で,こ
ロゲ ン電 球 の定 格
の ほ か ス タ ジ オ 用,映
(JISC7527-1978)
写 機 ・光 学 機 器 用,自
動 車 用,飛
行場用 も
あ る。
(c)温
度 が 高 い の で 光 色 が 白 に 近 く,効
こ の 電 球 で は,ハ
率 も 高 い(21∼22lm/W)。
ロ ゲ ン 化 タ ン グ ス テ ンが 絶 え ず 高 温 の フ ィ ラ メ ン トの そ ば に
く る こ と が 必 要 な の で,そ
の た め 図2・8
(a)の よ う な 細 長 い 形 と な っ て い る 。 ハ ロ ゲ ン 電 球 の う ち最 も普 通 に 用 い られ て い る の は,よ で,大
う 素 を 封 入 した よ う 素 電 球
き さ は500Wか
ら1500Wま
であ
(a)J
形 両 口金
る。
一 般 に これ らのハ ロゲ ン電球 は,効 率 が 高 く,形 も小 さ い ので,照 明 器 具 も小 さ く で きて運 搬 に も便 利 で あ り,テ レビや映 画 の撮 影 や 建 物 の投 光 照 明 な ど に多 く用 い ら れ て い るが,発 光 管 が 小 さ いた め 高 温 に な
(b)JD形 図2・8ハ
片 口金(小
型)
ロゲ ン電 球
り,石 英 ガ ラ スを 使 用 す るの で 高 価 とな り,一 般 照 明 用 に は普 及 し に く か っ た が,臭 素 封 入 の小 型 ハ ロゲ ン電 球 が 開 発 さ れて,商 店 な どで賞 用 され て い る。 〔4〕 反 射 形 電 球 電 球 の ガ ラ ス球 の 約 半 分 を 反 射 面 と して,前 方 へ 強 い ビー ム を 出 す よ うに した 電 球 で あ る。 これ には 次 の よ うな種 類 が あ る。
(1)反
射 形 投 光 電球
一 般 に 投 光 照 明 用 の も の で,レ
て い る 。 普 通 の 電 球 よ り 価 格 も高 い た め,寿
命 も1500時
フ ラ ンプ と も呼 ば れ
間 に と って あ る 。 反 射
面 に よ る 吸 収 の た め 全 光 束 は 普 通 の 電 球 よ り少 な い が,軸 ム の 開 き(P.109参 約3.5倍
照)が60度
の も の で,普
の 中 心 光 度 は1/2ビ
通 電 球 の 約 7倍
,100度
ー
の もの で
程 度 で あ る。
(2)ビ
ーム 電 球
反 射 面 を 放 物 鏡 に し,
更 に前 面 ガ ラス にひ だ を つ け て多 少 拡 散 性 を も た せ た も の で,1/2ビ
ー ム の 開 き は15度
と30
度 の 2種 類 あ る 。 軸 の 中 心 光 度 は 普 通 の 電 球 に 比 べ,前
者 は50倍,後
者 は17倍
に 及 ん で い
る。
この ビー ム電 球 の 前 面 ガ ラス に 赤外 線 を透 過 図2・9熱
線 カ ッ ト形 ビ ーム 電 球
させ な い膜 を塗 って,前 方 へ の 放 射 熱 を60% 減 じた も の も あ り,熱
(3)熱
線 カ ッ ト形 ビ ー ム 電 球 と 呼 ば れ て い る 。
線 カ ッ ト形 シー ル ドビー ム 電球
(250W)で1/2ビ
熱線 カ ッ ト形 ビ ー ム電 球 よ り大 型
ー ムの 開 き を 一層 狭 く し た も の で,反 射 鏡 に 赤外 線 を透 過 さ
せ る膜 を施 こ し,赤 外 線 を 後 方 へ 放 射 させ,前 方 へ の放 射 熱 を70%減
少するよ
うに した。 放 射 熱 を き らう土 俵 や ボ ク シ ング リンク な どの 高 照度 の照 明 に用 い ら れ る。
図2・10自
動車 前 照灯 用 シ ー ル ドビ ー ム電 球
(4) (4)自 自動 動車 車前 前照 照灯 灯用 用 シー シール ル ドビー ドビーム ム 電球 電球
シ ー ル ド ビ ー ム 電 球 で,前
ラ ス に 色 々 の ひ だ を つ け て ビ ー ム の 開 き を 調 節 し た も の で,容 で,寿
命 は200/500時
(5) 〔5〕 耐 耐
振 振
電 車,列 り,効
量 は35∼75W
間 で あ る。
電 電 球 球
車 そ の 他 振 動 の 多 い 所 に つ け る た め の 電 球 で,ア
率 を 多 少 犠 牲 に して(フ
低 く と る),振
面ガ
ンカ の 数 を 多 く し た
ィ ラ メ ン トの 温 度 を
動 に 耐 え る よ う に して あ る 。
(6) 〔6〕 装 装 飾 飾 用 用 電 電 球 球 こ れ に は,普 マ ス 装 飾,シ
通 の 電 球 に 着 色 した 色 電 球 や ク リス ャ ンデ リア に利 用 され る特 殊 な形 の小
型 電 球 な どが あ る。 ま た,コ
イ ル フ ィ ラ メ ン トを 図2・11の
よ う に,
細 長 い ガ ラ ス 管 の 中 に 分 散 さ せ た 電 球 も あ り,装
飾
用 に使 用 され て い る。 色 電 球 に は 色 々 の 色 の も の が あ る が,色 明 る さ が 非 常 に 違 い,淡 緑 色,青
黄 色,桃
色,黄
色 の 順 で 暗 くな る。 従 っ て,同
に よ って 色,赤
色,
図2・11装
飾 用 棒 状電 球
じ明 る さ の
色 電 球 を 使用 しよ うと思 え ば,暗 い もの ほ ど大 き いW 数 の もの に しな けれ ば な ら な い。
第2章 第 2章 問 問 (1)同
題 題
じ太 さの 2本 の 金 属線 が あ る。 一 つ は反 射 率30%で750Kに
っ は反 射 率50%で,1500Kに
熱 せ られ,他 の一
熱 せ られ て い る。 こ の場 合 に お いて
(a)両
線 の放 射束 の比 は どの く らい か 。
(b)極
大 波 長 は何 マ イ ク ロ メ ー トル か 。 (答(a)1=11.4(b)3.86μm,1.93μm)
(2)タ
ングス テ ンの 抵 抗 の 温 度係 数 が大 き い こ と は,電 球 の 性能 に 対 しど の よ うな 影
響 を 与 えて い るで あ ろ うか 。
(3)電
灯 の 配 電 電 圧 が 低 下 した ら,電 力 会社 と需 用 家 の 相 方 にど の よ う な影 響 が あ る
だ ろ うか 。 (4)一
般 に,電 球 は W 数 の 多 い もの ほ ど効 率 が 高 い の は なぜ で あ ろ うか 。
(5)自
動車 前 照 灯 の寿 命 を短 く して あ る の は,ど うい う理 由 で あ ろ うか 。
第3章
3・1放 〔1〕 放
電 電
発 現
蛍
光
灯
光 象
両 端 に 電極 を有 す る細 長 いガ ラス 管 を よ く排 気 し,こ れ に 真 空 に近 い 低 圧 の ガ ス を封 入 し,そ れ に電 圧 を 加 え,そ の 電圧 を次 第 に増 加 す る と,あ る値 に 達 した 時 急 に 放 電 を 開始 し,そ の ガ ス 特 有 の ス ペ ク トル を も った 光 を 発 す る。 気 圧 と放 電 電 圧 との 関係 は図3・1の
よ うで,低 圧 に
な る ほど 電圧 は低 くて 放 電 す るが,あ
る点 に
至 る と急 に 上昇 しは じめ,真 の 真 空 にな れ ば も う放 電 は しな い。 放 電 に お け る光 の 分 布 な らび に電 位分 布 は,図3・2の
よ うで あ る。
この管 内で 主 な発 光 は陽 光 柱 F で,負
グ
図3・1気
圧 と放 電 電圧 と の 関 係
図3・2放
電管 の電位分 布と光
ロー そ の他 は ご く うす い 。 電 位 分 布 は 陰極 部 分 で傾 斜 が強 く,陽 光柱 で はゆ るい。 これ は 陽光 柱 は視 感 度 が 高 い こ とを 意 味 し,ま た 陰 極付 近 で 電力 が 多 く消 費 され る こ と も示 して い る。 これ は陰 極 か ら電子 を放 射 す る た め の 電力 で あ る。 従 って,管 が 長 け れ ば陽 光 柱 が 長 くな る ので 視 感 度 が高 くな り,管 を短 くす る ほ ど視 感 度 は低下 し,極 端 に短 くす れ ば 陽 光 柱 は消 失 して 負 グ ロー だ け が わず か に残 る。 〔2〕 気 体 の種 類 と光 色 気 体 の 種 類 と光 の 色 と の 関 係 は,表3・1 の よ うで あ る。
表3.1気
体の種類と光色 との関係
この う ち実 際 の光 源 と して 利 用 され て い る の は,Ne(ネ オ ン管,蛍 光 灯,水 〔3〕 一
般
特
銀 灯),Na(低
オ ン管), Hg(蛍
光ネ
圧 ナ ト リウム ラ ンプ)な ど で あ る。
性
放 電灯 の電 流 と電 圧 と の関 係 は,電 球 や 電 熱 器 と異 な り負 特 性 を有 す る。 す な わ ち,図3・3の
曲線1の
よ うに 電流 が増 加 す る と,そ れ を維 持 す る に要 す る電
圧 は低 くな る。 これ は電 流 の 増 加 に よ って 管 内 ガ ス 体 の抵 抗 が 減 少 す る ため で あ る。 この ため,一 定 電 圧 の 電源 に接 続 す れ ば 不 安定 とな り,い った ん 電流 が増 加 す れ ば,そ れ に よ って ま す ます 電 流 が増 加 す る。 これ を防 ぐた め,直 列 に 抵抗 を入 れ て全 体 の総 合 抵 抗 を 曲線3の
よ うに 正 と して点 灯 す る。 この た め
の 抵 抗 を 安 定抵 抗 とい う。交 流 で は リア ク トル を用 い る ので,電 力 損 失 は少 な い。 この よ うな負 の特 性 は,後
に述 べ る蛍 光 灯 や水 銀 灯,カ ー ボ ンア ー ク灯
図3・3
放 電 灯 の 特性
な どす べ て に 共通 の 現 象 で あ るか ら,そ れ らを点 灯 す る に は必 ず リア ク トル か, ま た はそ の 代 用 を す る もの を つ けな けれ ば な らな い。 また そ の た め,交 流 の場 合 は 当然 力 率 は 低 下 し,W=V×Aの 多 くな るの で,コ
関係 か ら 求 め た 電 流 よ り も,実 際 の電 流 は
ンデ ンサ を入 れ て 力 率 を0.85以
上 に す る こ とが普 通 行 わ れ て
い る。 3・2 ル ミ ネ セ ン ス と 放 電 灯 〔1〕 ル ミ ネ セ ン ス 熱 放 射 以外 の 原 因 に よ って 発光 す る現 象 を ル ミネ セ ンス(luminescence)と
い
う。 熱 放 射 に よ る発 光 は連 続 スペ ク トルで あ るが,ル
ミネ セ ンス に よ る光 は輝 線
か も し くは帯 状 で あ る。 照 明 に関 係 あ るル ミネ セ ンス に は,次 の よ うな 種 類 が あ る。 (1) エ レク トロル ミネ セ ンス 気 体 放 電 中に お け る加 速 され た 自 由 電子 が 原 子(ま た は分 子)に 衝 突 して,励 起,放 射 され る放 電 発光(以 前 は これ を電 気 ル ミネ セ ンス と称 した)と,電
界 に よ って 励 起 され た 蛍光 体 な ど の 固体 か ら放 射
され る 電界 発 光 と は,共 に エ レ ク トロル ミネ セ ンス とい う。 前 者 は 水 銀 灯 や ネ オ ン管 な ど の発 光,後 者 はELラ
ンプや 発 光 ダ イオ ー ドな ど の 固体 発 光 素子 が こ の
利用 で あ る。 (2) ホ トル ミ ネ セ ン ス 紫 外線,エ
ックス 線 な ど の 短 波 長 の 放 射 を受 けて
発 生 す る光 で,一 般 に そ の 波 長 は 原 放 射 の 波 長 よ り長 い。 これ を ス トー ク ス 〈Stokes)の法 則 と い う。 夜 光 塗 料,蛍 光 灯 な ど は この応 用 で あ る。 ホ トル ミネ セ ンス に は,蛍 光 と りん光 との別 が あ る。 蛍光 は 放 射 を受 け て い る 間 だ け発光 して い る もの を い い,り ん光 は原 放 射 が な くな って も,な お 発光 が持 続 す る もの を い う。 しか し,り ん 光 は一般 に時 間 の た つ に つ れ て そ の光 が衰 え る。 蛍 光 体 の 代 表 的 な もの は 硫化 亜 鉛 で,夜 光 塗 料 と して 標 識,そ の 他 種 々 の用 途 に 用 い られ る 。 〔2〕 ネ
オ
ン
管
ネ オ ン管 は,一 般 に ネ オ ンサ イ ン と して 利用 され て い る も の で,管 の 外管 は 8∼15mmで
あ る。 ガ ス は ネオ ンか 水 銀 で,ネ オ ンの 場 合 は橙 赤 色,水 銀 の場 合
は青 緑 色 で,水 銀 管 は ま た管 壁 に種 々の 蛍光 体 を 塗 る こ と に よ って,黄,紅, 緑,白 な どの 色 を 出 させ て い る。 な お,水 銀 は液 体 で あ るか らア ル ゴ ンを封 入 し て お いて,ま ず ア ル ゴ ンの放 電 に よ る熱 で水 銀 を蒸 発 させ て 始 動 す る。 ネ オ ン管 の 電 圧 と長 さ と の 関 係 は,短 い もの で1500V/m,長 V/mぐ
い もの で800
らい で あ る 。 この よ うに長 さ に よ って違 うの は,陰 極 降 下 の た め で あ る。
ネ オ ンサ イ ンの最 高 電圧 は15000Vで
あ るが,こ
れ に触 れ た 場 合 に は非 常 な
シ ョ ック を受 け るが,死 ぬ こ とは な い。 それ は人 の死 ぬ の は電 圧 で はな く電 流 の
た め だ か らで あ る。 そ の た め,法 規 で は 2次 短 絡 電 流 を50mA以 る。 しか し,実 際 の ネ オ ン変 圧 器 の 2次 短 絡 電 流 は20mA程
下 と定 め て あ 度 にな って い る。
ま た,ネ オ ン管 を 2本 以 上 点 灯 す る と,1 個 の変 圧 器 で 並 列 点 灯 を す る こ とが で き な い の で,1 本 ご と に変 圧器 を つ け る。 そ の理 由 は,並 列 の 場 合 に は,ス イ ッチ を入 れ た瞬 間 に,ど れ か 1個 が 先 に放 電 を 開始 す る(全 部 が 全 く同 じ状 態 に で きて い る わ けで は ない の で)。 す る と電 流 の 通 過 によ って,2 次 電 圧 は低 下 し, 残 りの もの は放 電 しな い か らで あ る。 この こ と は ネオ ン管 ば か りで な く,蛍 光 灯 や ア ー ク灯 で も同様 で あ る。 この よ うな わ けで,ネ オ ン管 や 蛍光 灯 を た くさん 並 列 で 点 灯 す る場 合 に は,必 ず 1本 ご と に安 定 器 も し くは安定 器 を兼 ね た変 圧 器 をつ けな けれ ば な らな い。 3・3蛍
光 灯 とそ の構 造
〔1〕 高効 率 光 源 へ の探 究 と蛍光 灯 の完 成 電 灯 の は じま りは カ ー ボ ンア ー ク灯 で あ った が,こ れ は屋 内用 に は不 適 当 で, 次 い で 発 明 され た電 球 も,効 率 と光 色 の点 に 難 が あ り,な ん とか して 昼 間 の太 陽 光 線 の よ うな 白色 光 で,し か も効 率 の高 い 電 灯 を と い うこ と は世界 の研 究 者 の 探 究 の的 で あ った。 こ れ に 答 え た 一 つ の 試 み は,ネ り,水
オ ン管 よ り太 い ガ ラ ス 管 の 内 壁 に 蛍 光 体 を 塗
銀 の 放 電 の 際 に 発 す る 遠 紫 外 線(波
長253.7nm)に
よ って明 る い蛍 光 を発
す る よ う に し た も の で あ る 。 こ れ は ネ オ ン管 よ り 明 る く,光 で,1935年
ご ろ よ り各 国 の 市 場 に 多 少 出 回 っ た が,電
圧 が 高 い た め に一 般 照 明 用
と して は 普 及 し に くか っ た 。 電 圧 が 高 い の は,図3・2で 陰 極 降 下 が 大 き い た め で あ る か ら,こ う と い う考 え か ら,GECo.の
示 さ れ て い る よ う に,
れ を 小 さ くす れ ば 電 圧 も低 くな る で あ ろ
イ ン マ ン(Inman)は,電
に 陰 極 に ア ル カ リ金 属 の 酸 化 物 を 塗 り,更 で100∼200Vで
色 も白 色で 明 る い の
子 が 飛 び 出 しや す い よ う
に こ れ を 熱 す る こ と を 考 案 した 。 こ れ
点 灯 で き る よ う に な っ た が,陰
極 降 下 が 小 さ くな っ た こ と に よ
り 効 率 も 非 常 に 高 ま っ た 。 こ う して 現 在 の 蛍 光 灯 が 完 成 し た の で あ る が,こ 電 極 を 高 温 に 熱 す る の で 熱 陰 極 形 と い う。 こ れ に 対 し,そ
れ は
れ以 前 の もの を冷 陰 極
形 と い う。
〔2〕 構 造 ・回 路 と始 動 現 在 の 蛍 光 灯 の 発 光 管(蛍
光 ラ ン プ)は,直
管 の 内 壁 に 蛍 光 体 を 塗 っ た も の で,そ
径32mmま
の 電 極 は 図3・4の
た は38mmの よ う に,2
ガ ラス 重 コイル の
タ ン グ ス テ ン フ ィ ラ メ ン トを 主 と し て 構 成 さ れ て い る 。
図3・4蛍
(a)手
光 ラ ンプ 内部 の 構 造
動 式
(b)グ ロー ス ター タ式 図3・5蛍
光灯の点灯回路
こ の 蛍 光 ラ ン プ を 点 灯 す る 回 路 は,図3.5の
よ う に な って い る 。
この 蛍光 灯 を 始 動す る に は,ま ず 電 源 を 入 れ,次 いで 点 灯 ス イ ッチ を閉 じる。 す る と電極 に 電流 が 流 れ て 熱 せ ら れ る。1∼2秒
の後 点 灯 ス イ ッチ を 切 る と,安
定 器 の コイル の た め に瞬 間 に 高 電 圧 が誘 起 され て,両 極 間 に アル ゴ ンの放 電 が 生 じ,次 いで 水 銀 蒸 気 の放 電 に 移 り,強 い遠 紫 外 線 が 生 じて 蛍 光 体 を刺 激 す る。 こ う して ラ ンプ は明 る く発 光 す る。 以 上 の始 動 操 作 を す るの に,点 灯 ス イ ッチ を手 で 開閉 す る こと は,ス タ ン ドに
(a)E
(b)P 形
形
図3・6グ
は 行 わ れ て い るが,天 灯 管)を
井 灯 な ど に は 困 難 で あ る の で,一
般 に グ ロ ー ス タ ー タ(点
用 い て 開 閉 を 行 う。 こ の グ ロ ー ス タ ー タ は,ご
ル ブ で,そ で,B
ロー ス タ ー タ の 内部 構 造
の 内 部 は 図3・6の
く小 型 の プ ラ ス チ ック バ
よ う に な って い る 。 こ の 図 に お い て A と B は 電 極
は バ イ メ タ ル に な っ て お り,内
側 の メ タ ル の方 が 線 膨 張 率 が 大 き い。 バ ル
ブ の 内 部 に は アル ゴ ンが 低 圧 で 封 入 して あ り,電
源 を 入 れ る と,こ
ー タ の 両 電 極 間 に 電 圧 が か か って 放 電 を 始 め る 。 す る と,そ
の グ ロー ス タ
の熱 でバ イ メ タ ル が
外 側 に 押 さ れ て 接 触 す る。 こ う して 回 路 に 大 き い 電 流 が 流 れ る が,グ タ 内 で は 放 電 が 止 ま る の で,熱 タ ル が 縮 ん で 離 れ,そ と 安 定 器 が あ る た め,管
の 発 生 は な く な り冷 え て く る 。 そ こ で 再 び バ イ メ
の 瞬 間 に 蛍光 ラ ンプ は放 電 を開 始 す る。 い った ん 開 始 す る 電 圧 は100Vよ
り低 くな り,グ
ロー ス タ ー タ 内 の 電 極
間 の 電 圧 は 蛍 光 灯 の フ ィ ラ メ ン トの 影 響 で 一 層 低 くな る の で,グ で は,も
ロー ス タ ー
ロ ース タ ータ 内
う再 び 放 電 は しな くな る 。
以 上述 べ た よ うに,蛍 光 灯 は 発光 管 の ほ か に,色 々の 付 属 品 を必 要 と す る の で,発 光 管 だ けを 指 す 時 は 蛍 光 ラ ンプ とい い,回 路 まで 全部 含 め た 場 合 は蛍光 灯 とい って 区別 をす る。 また,照 明 器 具 ま で 含 め た場 合 も同 じ く蛍 光 灯 と い う こ と に な って い る。 と ころ で蛍 光 灯 で は,安 定 器 の た め の 電 力 損が あ る こ とは止 む を 得 な い が,こ
れ が ラ ンプ 電 力 の約20%ぐ
らい にな る。 一 般 に,蛍 光 灯 の電 力 と い うの は ラ ン
プ だ け の電 力 を指 す の で,例 え ば,40W蛍 力 は49Wぐ
光 ラ ンプ の場 合 は,蛍 光 灯 全 体 の 電
らい に な る。蛍 光 灯 の電 力 を
計 算 す る に は,こ
の こ と を 見 落 と して は い
けない。 次 に,蛍
光 ラ ン プ が で き あ が る と,そ
の
ラ ン プ に マ ー ク を つ け る 。 こ の マ ー ク は, 図3・7の
よ う に,蛍
数 を 示 す ほ か,製
造 会 社 の 名 前 も 示 して あ
る 。 こ の 表 示 で,FLRは 色 の 意 味 で あ る(蛍
3・4蛍 〔1〕
光 ラ ンプ の種 類 やW 図3・7蛍
光 ラ ンプ の表 示
ラ ピ ッ ドス タ ー 卜形 蛍 光 ラ ン プ,40は4=W,W
は白
光 灯 の 光 色 の 項 参 照)。
光 灯 の 性 質 特
性
蛍光 灯 の特 性 は,図3・8に
示 され て い るよ うに 電球 と反 対 で,電 圧 が 上 が る
と電 力 の増 え方 が光 束 の 増 え 方 よ り も大 きい の で,効 率 はか え って低 下 す る。 ま た,ラ
ンプ 電圧 も下 が るが,こ れ は安定 器 の影 響 で あ る。
な お,100V用
蛍 光 灯 は80V以
図3・8蛍
下 で は点 灯 しに くい 。 図3・8に
光 灯 の 電 圧 特性
示 さ れて い
る特 性 は,周 波 数 も温 度 も一 定 の場 合 で あ るが,蛍 光 灯 は 周 波 数 の変 化 に よ って 電 流 が変 わ り,従 って 光 束 も変 わ る。 一般 に,周 波 数 が1Hz上
が る と電流 は2%減
増 加 す る。 従 って 例 え ば,関 西 用(60Hz)の
少 し,1Hz下
ば,電 流 は約20%増
が れ ば電 流 は2%
蛍 光 灯 を 関 東 の50Hzで
使用すれ
加 し,安 定 器 が 過 熱 す る。 そ の反 対 の場 合 は 電流 が 減少 す
る の で,安 全 で は あ るが 光束 が 減 って 暗 くなる。 次 に,周 囲 温 度 が 低 くな る と,水 銀 蒸 気 の 発生 量 が 減 り,効 率 は低 くな る。反 対 に 温 度 が高 ま る と気 圧 が 高 ま り,蛍 光 体 の刺 激 線 で あ る253.7nmの が 減 る ので 結 局,暗
くな る。 そ こで 現 在 の蛍 光 ラ ンプ は20∼25℃
遠 紫 外線 の時 に最 高効
率 に な る よ うに水 銀 の 量 を 決 め て あ る。 ま た,屋 外 で 寒 い風 の 吹 く場 所 に さ らされ て い る と き は,管 壁 の 温 度 は当 然下 が る ので や は り暗 くな る。 ま た,温 度 が あま り下 が っ て0℃ 以 下 に な る と点 灯 し に く くな る。 そ の よ う な場 合 に は,特 に 水 銀 を 多 く封 入 し た も の が で きて い て -20℃
ぐらい ま で点 灯 で き る。 これ を低 温 用 蛍 光 ラ ンプ とい って い る。
〔2〕 光 の ち らつ き とそ の 防止 電 灯 を交 流 で点 灯 した 場 合 は,1秒
間 に周波 数 の2倍 の 回 数 だ け電 流 が0に な
る。 しか し,電 球 の フ ィ ラメ ン トは電 流 が0に な って も,急 に温 度 が 下 が る わ け で は な いか ら,光 は点 滅 しな い。 ネオ ン管 や 蛍光 ラ ンプ は,放 電 によ る発光 で あ る か ら,電 流 が0に
なれ ば 発光 しな いの で,1秒
間 に周 波 数 の2倍 の 回 数 だ け明
滅 す る。 しか し,目 の 残 像性 の た め に そ の明 滅 を感 じる こ と は な いの で,普 通 の 仕事 に は差 し支 え な いが,ピ
ンポ ン球 の よ うに 早 く動 く物 体 が あ る と,そ れ が ち
らつ いて 見 え る。 この ち らつ き を防 ぐに は,次 の よ うな 方 法 が あ る。 (a) 蛍 光 ラ ンプ を2本 近 接 して 並 行 に並 べ,一 方 の 回 路 に コ ンデ ンサ を直 列 に入 れて 位 相 をず らせ,一 方 の ラ ンプが 消 え て い る時 は,他 方 の ラ ン プが点 火 し て い る よ うにす る。 これ を フ リ ッカ レス 回路(ち
らつ き防 止 回路)と
よ うな 回路 に な っ た製 品 も市販 さ れて い る。 (b)三
相 の各 相 に1本 ず つ点 灯 して 近 接 して つ け る。
い い,こ の
(c)
高 周 波 で 点 灯 す る。
(d)
直 流 で 点 灯 す る。
〔3 〕
ラ ジ オ 障 害
ラ ン プ 電 圧 の 波 形 が 矩 形 波 に 近 く な り,高 が 電 波 と して 放 射 さ れ,ま こ れ を 防 ぐ た め に は,グ
次 の 高 調 波 を 含 ん で い る の で,こ
た 電 流 と して 伝 搬 さ れ る の で,ラ ロ ー ス タ ー タ と 並 列 に0.006μFぐ
れ
ジ オ に雑 音 が入 る 。 らい の コ ンデ ンサ を
入 れ る の が 最 も 有 効 で,こ
れ で 大 部 分 の 雑 音 は 防 げ る の で,現
在 市 販 の 蛍光 灯 に
は グ ロ ー ス タ ー タ 内 か,ま
た は器 具 内 に雑 音 防 止 用 コ ンデ ンサ を入 れ て あ る の が
普 通 で あ る。 〔4〕
高 周 波 点 灯
蛍 光 灯 を数 百Hzの
高 周 波 で 点 灯 す る と,次 の よ うな利 益 が あ り,特 殊 の 場 合
に利用 されて い る。 (a)
ち らつ き が 減 少 す る 。
(b)
安定 器 が 小 さ くて す み,安 価 にで きる,
(c)
効 率 が 向 上 す る 。400Hz程
度 で 効 率 の 向 上 は20%程
度 に な る。
この よ うなわ けで,航 空 機 や 船 の よ うに 周 波数 を任 意 に決 め られ る と ころ や, ま た非 常 に大 き い建 物 で 灯 数 も多 い と ころ で は,上 記 の利 益 が 高 周 波 にす る た め の 費用 を上 回 る こ とが あ るの で,実 施 され る こ と もあ る。 〔5 〕
直
流
点
灯
蛍光 灯 を直 流 で 点 灯 す る こ と は,安 定 抵抗 の 損失 が 大 き く,普 通 で は行 わ れ な い 。 また,一 方 の 電 極 が 絶 え ず 陰 極 に な る の で,極 の 消 耗 が 激 し く,時 々極 性 を 変 換 す る必 要 が あ る 。 〔6 〕
動 程 と寿 命
電球 の寿 命 は 効 率 と相 対 的 な 関 係 が あ り,効 率 を高 め よ う とす れ ば 短 寿命 にな るが,蛍 光 ラ ンプ の 場 合 は,効 率 を支 配 す る もの は蛍光 体 の 品 質 で あ り,寿 命 は 電 子 を 放 射 す る アル カ リ物 質 の耐 久 力 に よ るの で あ る か ら,寿 命 は効 率 とは 関係 が ない。 現 在 の 蛍 光 ラ ン プ の 寿 命 は,お
よ そ10000時
間 程 度 で あ る 。 し か し,始 動 の 際
図3・9
蛍光 ランプの光束維持特性
に過 大 な 電流 が 流 れ て 電極 が過 熱 され る ので,点 滅 回 数 が 多 い と幾 分 寿 命 は短 く な る。 蛍 光 ラ ン プ の 光 束 維 持 特 性 は 図3・9の 光 束 が 減 少 し,そ
光
初 の100時
れ か ら ゆ る や か な 傾 斜 と な っ て,10000時
程 度 に な る 。 た だ し,こ 〔7〕
よ う に,最
れ は40Wの
もの で,小
間 にや や 急 速 に
間 で 初 光 束 の85%
さい もの で は寿 命 は多 少 短 い。
色
蛍 光 ラ ンプ に使 用 され る蛍光 体 は,色 々の 光 色 の 蛍 光 を 発 す る もの を混 ぜ て, そ の合 成 色 が 希 望 通 りの 色光 に な る よ うに して あ る。 しか し,各 蛍 光 体 は効 率 が 違 うので,光 色 に よ って 明 る さ が違 う。 例 え ば,緑 色 光 を 出 す け い酸 亜 鉛 は最 も 効 率 が高 く,赤 色 光 を 出 す もの は いず れ も効 率 が 低 い 。 一 般 照 明用 蛍 光 ラ ンプ は,昼 間 の太 陽 光 線 に近 い もの が 使 われ て い るが,こ れ に も光 色 の違 う ものが あ る。 そ れ らを 区別 す るた め に 色 温 度 で表 示 す る。 ウ ィー ンの変 位 則(p.10参
照)に よ れ ば,黒 い 物 体 の 温 度 を 上 げ る と,は じめ
は 赤 色光 を 出す が,温 度 が 高 くな る につ れ て,光 色 は赤 色 か ら次 第 に 白 に 近 くな る。 この よ うに温 度 と光 色 との 間 に は一 定 の 関 係 が あ るの で,光 色 を黒 体 の温 度 で示 す こ とが で き る。 これ が色 温度 で あ る。 現 在 の 一 般 照 明 用 蛍 光 ラ ンプ に は,昼 色(WW),電 白 色 は5000K,白
球 色(L)の
光 色(D),昼
5種 類 が あ り,色
色 は4200K,温
白 色(N),白
温 度 で 示 す と,昼
白 色 は3500K,電
色(W),温
白
光 色 は6500K,昼
球 色 は2800Kで
あ る。
と こ ろが,色 温 度 は同 じで も光 の分 光 組 成 は必 ず しも一 定 と は限 らな い。 極 端 な例 で は,3 原 色 の 各 ス ペ ク トル を 3本 合 わ せ て も 白色 光 が 得 られ るの で あ る。
(e)電 球 色(L) (a)昼 光 色(D)
(b)昼 白 色(N) (f)3 波長 形 昼 白色(EX-N)
(c)白 色(W)
(g)高 演 色 昼 白色(N-SDL)
(d)温 白色(WW)
(h)超高演色色評価用 (N-EDL)
図3・10
各種蛍光 ランプの分光分布
従 っ て,前
記 5種 類 の 蛍 光 ラ ン プ の 分 光 分 布 は,図2・1(p.11)の
か な も の で は な く,し あ る 。 そ れ は,一
か も,5
種 と も 共 通 して い る こ と は,赤
よ うな 滑 ら 色光 が弱 い こ とで
定 面 積 の 管 壁 に 効 率 の 低 い 赤 色 蛍 光 体 を 使 う こ と は,全
体の効
率 が 低 くな る た め で あ る 。
この よ うな ため に,こ れ ら の蛍 光 ラ ンプ で 赤 色 物 体 を 照 す と,暗 赤 色 に見 え る。 従 って,美 術 館,博 物 館,画 廊,衣 料 店,料 理 店 な どに は具 合 が 悪 い 。 そ こ で,赤 色 光 を 出す 蛍 光 体 を多 く して,実 際 の 昼光 に近 づ けた もの も製 作 され て い 表3・2一
〔注 〕1.演
般 照 明 用 蛍 光 ラ ンプ の定 格(ス
色 性 の 区分 を表 す 記 号 が-DL,-SDL及
表 の 値 の75%以 上,65%以 上及 び60%以 2.演 色 性 の 区分 を表 す 記 号 が-DL,-SDL及
(JIS C 7601-1989)
タ ー タ形,直
管 形)
び-EDLの
ラ ンプ の 全光 束 は,そ れ ぞ れ この
上 とす る。 び-EDLの ラ ン プの 光 束 維 持 率 は,こ
値 か ら 5差 し引 い た値 以 上 とす る。 3.EX-D,EX-Lの
4.*は
全 光 束 は,そ
れ ぞ れEX-Nの94%,102%と
省電 力 設 計 に よ る蛍 光 ラ ンプ
す る 。
の表の
る 。 こ の よ う な も の を 高 演 色 形,超
高 演 色 形 と い っ て い る が,実
製 造 会 社 に よ っ て 色 々 な 商 品 名 が つ け られ,光 ら光 色 を 改 善 し た も の は,効 べ て 効 率 は15∼30%ほ
際 の 製 品 で は,
色 も 一 定 し て い な い 。 な お,こ
率 の 低 い 蛍 光 体 を 使 うた め,普
れ
通 の 蛍光 ラ ンプ に 比
ど低 い。
ま た,現 在 一般 に最 も多 く使 用 され て い る も の は白 色蛍 光 ラ ンプ で,全 体 の 90%以 〔8 〕
上 に及 ん で いて,高 演 色形 の もの は ご くわ ず かで あ る。
定
格
電 球 の定 格 は 実 際市 販 の電 球 とそ の 値 は ほ とん ど 違 わ な い が,蛍 光 ラ ンプ の JIS規 格 は 実際 の製 品 の 値 よ り値 が小 さい。 従 って,こ
こに は実 際 の 製 品 につ い
て の値 を 併 記 した。 3・5
特殊 蛍 光 ラ ン プ
〔1〕 環 形 蛍 光 ラ ンプ ラ ンプ を 環形 に した もので,こ れ を 使 用 す る と照 明 器具 も小 型 に な り,し か も 円形 や 正方 形 に で き る ので 住 宅,料 亭,旅 館 な どの 和 室 に広 く普 及 して い る。 し か し,直 管 形 に 比 べ て効 率 も低 く,寿 命 も多 少 短 い。 〔2 〕
反 射 形 蛍 光 ラ ンプ
蛍光 ラ ンプ の上 部 半 分 以 上 に白 色 の 酸 化 チ タ ン膜 を 塗 って 反 射 面 と し た も の で,光 束 の 一部 は膜 を通 じて 上 方 に も行 くが,大 部 分 は下 方 に反 射 され る。 また 反 射 面 に は ごみ が つ か ず,反 射率 が低 くな らな いの で,従 来 の ラ ンプ を こ れ に替 え れ ば,下 方 の明 る さ は1.7倍
ぐらいに な
る。従 って,裸 で点 灯 す る時 は有 効 で あ る が,反 射 が さを つ け た場 合 は それ ほ ど効 果 はな く,乳 白グ ロ ー ブ で 包ん だ場 合 は全 然 効 果 はな い。 〔3 〕
高 出力 蛍 光 ラ ンプ
普 通 の蛍 光 ラ ンプ は管 の長 さに 対 す る電 力 の 割 合 図3・11
は,30W/m程
度 で あ るが,こ れ に50%程
度大 き
反射形蛍光 ランプ の断面
表3・3
環 形 蛍 光 ラ ンプ の 定 格(ス
*は 省電 力 設 計 に よ る環 形 蛍 光 ラ ンプ,ほ
い電 流 を 流 して,同
タ ー タ形)
か にEX-D,EX-Lも
じ管 径 で50W/mぐ
(JIS C 7601-1989)
あ る。
らい に した もので あ る。 効 率 も少 し低 く
な り,寿 命 もわず か なが ら短 いが,形 がW 数 の 割 に小 さ くて す む ので,照
明器 具
も小 さ くて よ く,多 数 点 灯 す る所 で は灯 数 が少 な くて す む な ど の長 所 は多 いが, 管 の 温度 が 高 くな る ので,天
井 に埋 め 込 ん だ り,包 囲式 器 具 に入 れ た りす る と,
温 度 が 高 くな りす ぎ て光 束 が 減 り,短 寿 命 とな る。60W,80W,110Wの3種 が 市販 され た が,現 在 で は110Wだ
けが賞 用 されて い る(表3・6参
照)。
〔4〕 小 型 蛍 光 ラ ンプ 一般 照明 用 と して は,10W以 常 夜灯,そ
上 の もの が主 と して 用 い られ るが,こ の ほか に
の他 特 殊 の 用 途 に小 型 の 蛍光 灯 が利 用 され て い る。 効 率 も寿 命 も劣 る
が,明 る さ よ り も電 力 の 経 済 が 重 要 視 され る と ころ に使 用 され る。
表3・4
〔5〕
小型蛍光 ランプの定格
(JIS C 7601-1989)
ス リ ム ラ イ ン形 蛍 光 ラ ン プ
蛍 光 ラ ンプ の最 初 の 冷 陰極 の低 効 率 を改 善 し,し か も点 灯 管 を や め て 瞬 時 点 灯 と した もの が,こ の ス リム ライ ン形 蛍 光 ラ ンプ で あ る。 当初 数 百 V の 高 電 圧 を か けて 始 動 す る こ とは,冷 陰 極 ラ ンプ と同様 で あ るが,従 来 の 冷 陰極 ラ ンプ は電 極 を 丈夫 に す る た め,ネ オ ン管 と 同 じよ うに大 き い 円筒 形 の もの に した の に 対 し, ス リム ライ ン ラ ンプ で は,熱 陰 極 形 と 同 じよ うな 電極 を用 いて,い
った ん 高 電 圧
で放 電 した あ と,電 極 が 熱 せ られ て 低 電 圧 で 電 子 放 射 が行 わ れ る よ うに した もの で あ る。 こ の ス リム ラ イ ン形 蛍 光 ラ ンプ は 細 長 く,多 少 曲 げ る こ と も 出 来 る の で,百 表3・5
ほ か にEX-D,EX-Lも
ス リム ライ ン形 蛍 光 ラ ンプ の 定
あ る。
格 (JIS C 7601-1989)
貨
店 や 大 商 店 の シ ョー ケ ー ス に多 く用 い られ て い る が,始 動 時 高 電圧 をか け るの で 電極 も傷 みや す く,寿 命 は普通 の 蛍光 ラ ンプ よ り多少 短 くな る。 〔6〕
ラ ピ ッ ドス タ ー ト蛍 光 ラ ン プ
これ は ス リム ラ イ ン形 の よ う に 瞬 時 に は 点 灯 し な い が ,ス
イ ッチ を入 れ て 約 1
秒 以 内 に点 灯 す る 回路 を用 いた もの で あ る。 こ れ は 図3・12の て,フ
よ う な 回路 に な って い
ィ ラ メ ン トは 2重 コ イ ル フ ィ ラ メ ン ト
の 中 を1本
の フ ィ ラ メ ン トが 通 っ て い る 。 こ
の フ ィ ラ メ ン トは,そ
の 上 に 巻 か れ た コイ
ル フ ィ ラ メ ン ト と 接 触 して い る が,こ
れは安
定 器 内 に 納 め られ た 変 圧 器 に よ っ て 電 流 を 流 図3・2 して 加 熱 さ れ る よ う に な っ て い る 。 こ の た め
ラ ピ ッ ドス タ ー ト形 蛍 光
灯の点灯回路
グ ロー ス ター タを 必 要 と しな いが,始 動 時 に高 電 圧 が 誘 起 され な い た め,普 通 で は100Vで
始 動 せ ず,そ
こで 色 々の 方 法 を と って い る。 そ の 一例 と して は,ラ
ン
プ 内 面 に 透 明 な導 電 被膜 を塗 布 して 始 動 を容 易 に した もの で,器 具上 に近 接導 体 を必 要 と しな い。 これ を 始動 す るに は,電 源 を入 れ る と フ ィ ラメ ン トが 加 熱 され る と同時 に,ラ ンプ の両 端 に始 動 電圧 が加 わ り,ま た 高 圧 側 フ ィ ラメ ン トF2と に も,始 動 電圧 程 度 の 電位 差 を生 じて 微 小 電 流(0.1mA以
導 電 被 膜 との 間
下)が 流 れ,薄 い グ
ロー放 電 か ら急速 に主 放 電 に移行 す る。 こ う して ス イ ッチ を入 れ て約 1秒 前 後 で 即時 点 灯 され る。 特 色 と して は,グ ロー ス タ ー タ が い らな い し,即 時 点 灯 で な お そ の上 に,特 殊 な 調光 用 安 定 器 と調光 装 置 に よ って 調光 が で き る長 所 を も って い る。 普 通 の蛍 光 ラ ンプ は80V以
下 に な る と消 え るが,ラ
数 V に 下 が る まで 消 え な い で,滑
ピ ッ ドス タ ー ト形 で は,
らか に調 光 で き る。
この 調 光 装 置 に よ り,映 画 館,劇 場 な ど の客 席,ま た は講 堂,大 広 間 な ど の蛍 光 灯 の 明 る さを 自 由に 変 え る ことが 可 能 に な った 。 〔7〕 退 色 防 止 用 蛍光 ラ ンプ
表3・6ラ
〔注 〕 1.演
(JIS C 7601-1989)
ピ ッ ドス ター ト形 蛍光 ラン プ の定 格
色性 の 区分 を表 す 記 号 が-DL,-SDL及
表 の 値 の75%以 上,65%以 上 及 び60%以 2.演 色 性 の 区分 を表 す 記 号 が-DL,-SDL及
び-EDLの
ラ ン プ の全 光 束 は,そ れ ぞ れ この
上 とす る。 び-EDLの ラ ンプ の 光 束 維 持 率 は,こ の 表 の
値 か ら 5差 し引 い た値 以 上 とす る。 3.EX-D,EX-Lの 全 光 束 は そ れ ぞ れEX-Nの94%,102%と 4.*は 省 電 力 設 計 に よ る ラ ピ ッ ドス ター ト形 蛍光 ラ ン プ
す る。
蛍 光 ラ ンプ は,水 銀 か ら出 る遠 紫 外 線 を完 全 に 蛍光 化 しな い で,多 少 の線 スペ ク トル が 外 に 出 る。 こ の う ちの 短 波 長光 が色 彩 を あせ させ る作 用 を もつ ので,貴 重 な絵 画 な ど を近 くか ら蛍 光 ラ ンプ で長 時 間 直 射 す る こ と は避 け た い。 これ を防 ぐため に,こ れ らの 短 波 長光 を 出 さな いよ うな 被膜 を施 こ した蛍 光 ラ ンプ がで きて い る。 美 術 館 の シ ョー ケ ー スの 照 明 な ど に適 して い る。 〔8〕 ブ ラ ック ライ ト蛍光 ラ ンプ 紫 外 線 だ け出 し,光 を遮 断 した黒 色 管 の 蛍 光 ラ ンプ で,暗 室 で 宝石 そ の他 の 物 質 を紫 外 線 に よ る蛍光 の有 無 に よ る鑑 別 な どに用 い られ る が,こ の ほか,暗 い 舞 台 で 蛍光 体 を 塗 布 した衣 装 を着 た踊 子 を 照 射 して 特 殊 の効 果 を 出す こ とな ど に も 利 用 され て い る。
〔9〕 色 物 蛍 光 ラ ンプ 一 般 照 明 用 蛍 光 ラ ンプ は
,色
々 な 蛍 光 を 発 す る 蛍 光 体 を 混 合 して 白 色 に 近 い 光
を 出 す よ う に し た も の で あ る が,こ
の ほ か に 青,緑,青
す る 材 料 だ け を 用 い た 色 物 蛍 光 ラ ン プ も あ り,こ
白,桃
色 な どの 蛍 光 を発
れ ら は 主 と して 装 飾 用 と か,キ
ャバ レ ーな ど の色 彩 照 明 に利 用 され て い る。 〔10〕
3波 長 形 蛍 光 ラ ン プ
詳 し くは 3波 長 狭 帯 域 発 光 形 蛍 光 ラ ンプ の こ と で,450nm(青),540nm(緑) お よ び610nm(赤)付 と に よ り,高 で,比
近 の三 つ の波 長 を ピー ク に もつ 希 土 類 蛍光 体 を組 合せ る こ
効 率 と高 演 色性 を 両 立 さ せ た 蛍 光 ラ ンプ で あ る。 蛍 光 体 の組 合せ
較 的 任 意 に 光 色 が 選 べ る が,わ
が 標 準 的 で,さ 果 も あ り,住
が 国 で は 色 温 度5000K(EX-N)の
ラ ンプ
わ や か な 雰 囲 気 と 日 本 人 の 肌 色 が よ り 美 し く見 え る と い う相 乗 効 宅 の リビ ングル ー ムや 食 卓 灯 に普 及 され つ つ あ る。
〔11〕 電 球 形 蛍 光 ラ ン プ 電 球 形 の グ ロ ー ブ の 中 に,安
定 器 と グ ロ ー ス タ ー タ(点
灯 管)を,U
形 ま た は 内 管 分 離 式 に し た 蛍 光 ラ ン プ と と も に 内 蔵 した も の で,電
形,く
付 き な の で,ボ
ら
球 口 金E26
ー ル 電 球 に 置 き替 え て 使 用 す る こ とが で き る。
従 来 の 白 色 ボ ー ル 電 球 に 比 べ て,消 と い う利 点 が あ り,光
射 熱 も1/3,寿
命 は 3倍
色 も ク リス タ ル 感 の あ る さ わ や か な 昼 白 色(EX-N)か
電 球 と 見 間 違 え る 電 球 色(EX-L)ま 大 き い の と,密
費 電 力 は1/3,放
で あ る 。 な お,外
径 が100∼110mmと
閉 し た グ ロ ー ブ 内 で は 使 え な い の で,電
ら, やや
球 形 蛍 光 ラ ンプ 用 の 住 宅
用 器 具 も市 販 さ れ る よ う に な っ た 。 図3・13に
電 球 形 蛍 光 ラ ン プ(安
定 器 内 蔵 形)の
の 定 格 で あ る。
図3・13電
球 形 蛍光 ラ ンプ
外 観 を 示 し,表3・7は
そ
表3・7電
球 形 蛍 光 ラ ンプ の 定 格
(注 1)色
温 度 は電 球 色(L)2800K,昼 白色(N)5000K,昼 光 色(D)6700Kで ク リア は外 管 カバ ー が 透 明 ま た は半 透 明の もの を 示 す。
(注 2)形
名 はBF
ある。
G17EX-N/5
① ② ③
④
⑤
① 内 蔵 す る安 定 器 の 種 類,BF:チ ョー ク式,EF:電 子 回 路 式,FE:抵 ② ラ ン プの 形 状,G:球 形,T:円 筒形,C:環 形,D:4 本 管 形,N:グ ③ 定 格 電 圧(省 略 可),定 格 消 費 電 力 ④ 光 源 色 お よ び演 色 性 を示 す(一 般 照 明用 と同 じ)。 ⑤ 定 格 周 波 数(50ま た は60Hz)
抗形 ロー ブ な し
〔12〕 コ ン パ ク ト形 蛍 光 ラ ン プ 高 効 率 化,小
型 化 の ニ ー ズ に こ た え て,極
蛍 光 管 を U 形 に 曲 げ て 口金 を 片 側 に ま と め,長 を 短 く した シ ン グ ル 形 と,2
細の さ
本 の U形 管 を ブ リ ッ
ジ に よ っ て つ な ぎ 合 わ せ て,ボ
ール 電 球並 み の大
き さ に し た ダ ブ ル 形 が あ る 。 コ ン パ ク ト化 に よ っ て,消
費 電 力 は1/3∼1/4,放
射 熱 は 約1/3で,更
に 電 球 よ り も 長 寿 命 の 高 効 率 設 計 で あ る。 図3・14は 形)の
コ ンパ ク ト形 蛍 光 ラ ン プ(ダ
構 造,表3・8に
ブル
は コ ンパ ク ト形 蛍 光 ラ ン 図3・14コ
プ の 定 格 を 示 した。
ンパ ク ト形 蛍 光 ラ ンプ (ダ ブ ル形)
表3・8コ
ンパ ク ト形 蛍 光 ラ ン プの 定 格
(注 1)色 温 度 は電 球 色(L)2800K,昼 (注2)管 長 は,口 金 ピ ンを 含 まな い 。 (注3)形
名
FDL27EX-N
①
②
③
白色(N)5000Kで ① ラ ンプ の 種 類
FPL:2
② ラ ンプ電力
③ 光源色,演 色性
第 3章 問
(1)20Wと40W蛍
ある。 本 管 形,FDL:4
本管形
題
光 ラ ンプ の電 流 は,そ れ ぞ れ0.36Aお
よ び0.42Aで
あ るが,
力 率 は どの く らい にな るか 。 (2)昼
間 屋 外 か ら ビル の 内部 を 窓 こ し に 見 る と,蛍 光 ラ ンプ が 淡 黄 色 に見 え るの は な
ぜ だ ろ うか 。 (3)40W蛍
光 灯 を毎 夜10時
間 点 灯 した ら 1か 月 の電 力 量 は ど の く らい に な るか。
(4)20W白
色 蛍 光 灯 を100灯
点 灯 して い る部 屋 が あ る。これ を40Wに
代 え た ら 1か
月 の電 力 量 は どの く らい 違 うだ ろ うか。 た だ し,総 光 束 は 同一 と し,1 日の 点 灯 時 間 は10 時 間 とす る。 (5)高 だ ろ うか 。
演 色 形 蛍 光 ラ ンプ は,適 所 が た くさ ん あ る の に,需 要 が 非 常 に 少 な い のは な ぜ
放
第4章
4・1カ
〔1〕
電
灯
ー ボ ン ア ー ク灯
ア ー ク灯 の 特 質
放 電 灯 を 広 義 に 解 釈 す れ ば,ア
ー ク 灯 も 当 然 そ の う ち に 含 ま れ る 。 し か し,一
般 に放 電 灯 と い わ れ て い る も の と,ア 灯 は 管 長 が 長 く,電
ー ク灯 とは 多少 の相 違 が あ る。 そ れ は 放 電
流 が 小 さ い の に 対 し,ア
ー ク 灯 は 管 長 が 短 く,電
流 が大 きい
の で あ る 。 しか し,ア
ー ク 灯 と い え ど も放 電 発 光 を 利 用 した も の で あ る か ら,陰
極 降 下 を 伴 う こ と,安
定 抵 抗 が 必 要 で あ る こ と,力
率 が低 くな る こ とな ど の性 質
は放 電 灯 と同様 で あ る。 〔2〕 機
構
カ ー ボ ン ア ー ク 灯 は,1808年
に イ ギ リス の デ ー ビ ー(Sir.H.Davy)に
明 さ れ た 世 界 最 初 の 電 灯 で あ る 。 そ の こ ろ は 配 電 線 も な い の で,電 灯 さ れ た 。 ま た,わ
が 国 で 明 治11年
の 瞬 間 に 火 花 が 生 じ,炭
池 に よ って 点
に最 初 に点 灯 され た 電灯 もま た この ア ー ク
灯 で あ る。 2本 の 炭 素 棒 の 先 端 を 接 触 さ せ て 直 流 を 通 じ,次 と,そ
よ って 発
素 棒 の 先 端 は 熱 せ られ,陰
に,こ
れ を 引 き離 す
極 か らは熱 電 子 を放 出
し,両 極 間 に ア ー ク が 発 生 し て 光 る。 こ こ に お い て 両 端 は 絶 え ず 熱 せ ら れ る が,特 の くぼ み が 高 温 度 に な り,そ
に 陽極 は熱 電子 の衝 突 に よ り中心
の 熱 放 射 に よ り 強 烈 な光 を 発 生 す る 。 そ の 発 光 を 利
用 した も の が カ ー ボ ン ア ー ク 灯 で あ る 。 す な わ ち,カ 射 が 主 で あ っ て,そ
の 割 合 は 陽 極85%,陰
ーボ ンア ー ク灯 の 光 は熱 放
極10%で,ア
ー ク に よ る 光 は5%
に す ぎな い。 ア ー ク を 持 続 さ せ る と,両 ゆ く。 そ れ ゆ え,カ
極 か ら は 絶 え ず 炭 素 蒸 気 が 発 生 し,電
極 は 消 耗 して
ー ボ ン ア ー ク 灯 の 機 構 と して は 電 極 を 保 持 し,そ
接 触 して 離 し,始 動 後 は 電 極 の 消 耗 に 応 じて 極 を 動 か し,両
れを最初に
極間の距離を一定 に
す る 装 置 が 必 要 で あ る 。 そ の 装 置 の 一 例 と して は,図4・1の こ の 図 で,ア
ー ク 間 の 距 離 が 長 くな れ ば,コ
よ うな機 構 を 使 う。
イ ル に 流 れ る 電 流 が 少 な く な り,鉄
片 を 引 き上 げ る力 が 減 る の で,鉄 片 が 下 が って距 離 を 短 く調 節 す る。 〔3〕 性 質 と 用 途 光 の大 部 分 が 陽極 か らの熱 放 射 で あ るが,直 流 で は 一方 の極 だ け絶 え ず 熱せ られ るの で,温 度 が 高 く3800K近
くな る 。 従 って
効 率 も高 い が,交 流 に お いて は交 互 に 陽極 とな る た め,温 度 は や や低 くな り,両 電 極 か ら発 光 す る に もか か わ らず,効 率 は直 流 の 場 合 よ り低 い。 ま た直 流 の 場 合 は,陽 極 の温 度 が 高 く消 耗 が甚 だ しい ので 太 く し て あ る が,交 流 の 場 合 は両 極 と も同 じ太 さで あ 図4・1
る。
自動 調 節 装 置
電 極 に は純 炭 素 の ほ か にCa,Srな
ど の 金 属 塩 類 を しみ 込 ま せ て,そ
有 な 光 色 を 持 た せ る も の も あ る。 ま た,極 ム,酸
を 中 空 に して,そ
化 セ リ ウ ム な ど を つ め た も の も あ り,こ
い る と,電
極 の 中 心 の 火 坑 が 深 く な っ て,そ
な り,非
の 中 に ふ っ化 セ リ ウ
れ を 有 心 炭 素 棒 とい う。 これ を用
こ に 明 る い 炎 が 出 る の で,こ
レー ム ア ー ク と い う。 炭 素 の 溶 融 温 度 は4000Kぐ 温 度 は5500∼6000Kと
れ らに特
ら い で あ る が,フ
れ をフ
レー ム の色
常 に 輝 度 が 高 い の で,探
照 灯 な ど に 利用 され て
中 で 放 電 が 行 わ れ る た め,カ
ーボ ンの蒸 気 が 出 る の
い る。 カ ー ボ ン ア ー ク 灯 は,空 で,一
般 屋 内 照 明 に は 適 さ な い が,大
に 多 く用 い られ た 。 ま た,光 が 高 く,し
きい 電 球 や水 銀 灯 の で き る前 は道 路 の照 明
源 が 小 さ い た め(極
か も 色 温 度 が3780Kで
電 球 よ り 白 色 に 近 い の で,映
場 の ス ポ ッ ト ラ イ トな ど に も利 用 さ れ た が,現 え られ て い る。
の 直 径 が5∼20mm程
度)輝
度
画 の映 写 や 大 劇
在 で は キセ ノ ンア ー ク灯 に 置 き替
4・2高
圧 水 銀 灯
〔1〕 気 圧 と スペ ク トル ガ ラス管 内 の水 銀 蒸 気 中 の放 電 発 光 を利 用 し た も の を 水 銀 灯 と い う。 この 場 合,発 光 スペ ク トル は管 内 の蒸 気 圧 に よ って 異 な り,低 圧 の 場 合 は遠 紫 外 線 が 強 く,可 視 線 ス ペ ク トル は弱 いが,気 圧 が高 くな る ほ ど可 視 線 ス ペ ク トル が 強 くな り,光 と して の効 率 も高 くな る。 更 に高 圧 に な る と,線 ス ペ ク トル の外 に帯 スペ ク トル が現 れ る。 ま た,低 圧 の場 合 は単 位 長当 た りの 電圧 が低 い(電 位 傾 度 が 小 さ い)が,高
圧
に な る ほ ど高 くな る。 最 初 に 製作 され た低 圧 水 銀 灯 は1kPa*程
度 で,管 長 も1m以
上 もあ る長大 な
もの で効 率 も低 か った が,陰 影 が 柔 か く,写 真 乾 板 の 感光 度 も高 い の で,工 場 や 事務 所 の照 明 や 写 真 撮 影 のた め な どに利 用 され た 。 しか し,現 在 で は全 く用 い ら れ て い な い。 次 に,1930年 青,青 緑,緑
ごろ か ら製作 され た の は,気 圧 を100kPa前
後 に した もの で,
の スペ ク トル が 強 く現 れ,効 率 も高 くな った 。 ま た,電 位 傾 度 が大
き い ので 管 長 も短 く小 型 にな った 。 これ が高 圧 水 銀 灯 で,現 在 は一 般 照 明用 の水 銀 灯 は,ほ と ん ど こ の高 圧 水 銀 灯 に 限 ら れ て い る。 従 って普 通,水
銀 灯 とい え
ば,こ の高 圧 水 銀 灯 の ことで あ る。 この ほ か,更 に気 圧 を2000kPa以
上 に 高 め た 超高 圧 水 銀 灯 も製 作 され て い る
が,一 般 照 明 と して は利 用 され ず,実 験 用 な ど特 殊 の 用 途 に 限 られ て い る。 〔2〕 機 構 と 始 動 高 圧 水 銀 灯 で は管 は短 いが,電 位傾 度 が 大 きい の で,小 型 の管 の 中 で大 電 力が 消 費 され る。 従 って,管
は高 温 にな る ので,こ れ に 耐 え る よ うに石 英 ガ ラス を使
用 す る。 その た め に,強 い紫 外線 が外 に 出 るの で,そ の外 側 に ガ ラス の外 管 をつ *Pa(パ
ス カ ル)は
圧 力 の単 位記 号 で あ り
1bar(バ
ー ル).105〔Pa〕=750.062〔mmHg〕
1atm(気
圧)=101325〔Pa〕=760〔mmHg〕
1torr(ト
ル)=133.322〔Pa)=1〔mmHg〕
,従
来 の 単 位 とは 次 の 関係 式 が 成 立す る 。
図4・2高
圧 水 銀 ラン プ
図4・3高
圧水銀灯の始動特性
けて 紫 外 線 を遮 断 して い る。 この外 管 と発 光 管 との 中 間層 は,伝 導 に よ る熱 損 失 を防 ぐた め に真 空 に近 く し て あ る。 この水 銀 ラ ンプ を始 動 す る た め ス イ ッチ を入 れ る と,ま ず アル ゴ ン中 の放 電 が 発生 す る が,水 銀 の 量 が 蛍光 ラ ンプ の よ うに少 量 で ない の で,一 時 に蒸 発 しな い で少 しず つ気 化 す るの で,規 定 の気 圧 に な る まで に5分 以 上 を要 す る。 図4・3は,こ
の 有 様 を 示 し た も の で あ る 。 ま た,い
ま で は 放 電 を 開 始 しな い の で,冷 7∼10分
っ た ん 消 え る と高 圧 の ま
え て 低 圧 に な っ て は じめ て 再 点 灯 す る 。 こ の 間
ぐらい を要 す る。
〔3〕 蛍 光 水 銀 灯 高 圧 水 銀 ラ ンプ の光 は全 部 が 青,青 緑,緑 の線 スペ ク トル で あ る か ら,緑 の 木 の 葉 な ど を照 した場 合 は明 る く美 し く見 え るが,そ れ ら以 外 の色 彩 の 物 を 照 す と,色 が消 え て 暗 灰 色 に 見 え る。 こ うい う欠 点 を 改 善 す る た め に,ラ ンプ の 外 管 に 蛍 光 体 を 塗 っ て 連 続 スペ ク トル に し て,黄 や 赤 の 光 まで 出 させ たの が 蛍 光 水 銀 灯 で あ る(図4・4)。
図4・4蛍
光 水 銀 ラ ン プ(HF形)
(a)
(b)
(c)
図4・5高 図4・5
高圧水銀 圧 水 銀 ランプの分光分布 ラ ン プ の分 光 分 布
この 蛍光 水 銀 灯 は,蛍 光 体 の 選 び方 に よ って色 々 な光 色 の もの が 得 られ,昼 光 に近 い もの ま で 出来 たの で,従 来,光 色 の欠 点 の た め敬 遠 され て い た 一般 屋 内照 明 や 高速 道 路,商 店 街 の 照 明 に ま で 用途 が広 が って き た。 図4・5は
高圧 水 銀 ラ
ンプ の 分 光 分 布 で あ る。 〔4〕 反 射 形 蛍光 水 銀 ラ ンプ (4) これ は図4・6の
よ うに,ラ
ンプの 半 分 を
反 射 面 に した もの で,普 通 の水 銀 ラ ンプ に 反 射 が さ をつ けた の に 比 べ る と,反 射 の 効 率 が 高 く,反 射 面 に ごみ が つ か な いか ら清 掃 の必 要 が な く,か つ,反 射 が さを加 え た 総 合 価 格 よ り安 い と い うよ うな特 長が あ る。 〔5〕 用 (5: 用
途 途 図4・6反
水 銀 灯 は,蛍 光 灯 に比 べ電 力が 大 き い割 に
射 形 蛍光 水 銀 ラ ンプ
形 が小 さ く,例 え ば40W蛍
光 灯10灯
の代 わ りに400W水
銀 灯 1灯 で す ま せ
る ことが で きる の で,屋 外 照 明 か ら広 い屋 内照 明 に まで 広 く用 い られ て い る。 こ の用 途 は,主 と して光 色 に よ って 次 の よ うに分 か れ て い る。 (a)高
圧 水 銀 ラ ンプ
庭 園,公
(b)蛍
光水 銀 ラ ンプ
高 速 道 路,商 店 街,体 育 館,銀 行,高 天 井 の工 場 な ど。
(c)反
射形 蛍光 水 銀 ラ ンプ
〔6〕 定
園,建
物 の 外 郭 な ど。
建 物 の外 郭,建 設 現 場 の投 光 照 明 な ど。
格
高 圧 水 銀 ラ ン プ の 種 類 は非 常 に 多 い の で,そ 表4・1の
よ うで あ る。 表4・1高
圧 水 銀 ラ ンプ の 定格
〔 注 〕 形 式 はH400,HF400Xな ンプ,始 動 時 間 は 8分 以 下,再
4・3メ
の う ち主 な も の だ け を あ げ る と,
(JIS C7604-1980)
ど と呼 称 す る。 形 式 の う ち Fの つ い た もの は,蛍 始 動 時 間 は10分 以 下,点 灯 方 向 は 任 意
光高圧水銀 ラ
タ ル ハ ラ イ ド灯
〔1〕 機 構 と 種 類 メタ ル ハ ライ ドラ ンプ は,外 観 は高 圧 水 銀 ラ ンプ と似 て い るが,発 光 管 の 中 に 水 銀,ア ル ゴ ンな ど の不 活 性 ガ ス の ほか に,発 光 物 質 と して ハ ロゲ ン化 合 物 が 封 入 され て い る。 ア ー ク放 電 の 中心 部 で は,ハ ロゲ ン化 合 物 は金 属 原 子 とハ ロゲ ン 原 子 に解 離 し,金 属 原 子 は励 起 され,金
属 特 有 の スペ ク トル が 放 射 され る。 現
在,実 用化 され て い る の は,次 の 4種 類 で あ る。 (a)Na-Tl-In系
ナ ト リ ウ ム(589nm),タ
リ ウ ム(535nm)お
よ び イ
ン ジ ウ ム(411,451nm)の 75∼85lm/w,平
強 い ス ペ ク トル を 組 み 合 せ た も の で,ラ
均 演 色 評 価 数Ra=60∼70,色
(b)Sc−Ns系
温 度 は5000Kで
ンプ効 率 は
あ る。
ナ ト リ ウ ム の 強 い ス ペ ク トル と ス カ ン ジ ウ ム の 多 数 の 弱
い ス ペ ク トル の 組 み 合 わ せ で,80∼100lm/W, (c)Dy−Tl−(In)系
タ リ ウ ム,イ
Ra=60∼70,4000∼5000Kで
あ る。
ン ジ ウ ム の 強 い ス ペ ク ト ル と,ジ
ス
プ ロ シ ウ ム の 多 数 の 弱 い ス ペ ク ト ル の 組 み 合 わ せ で,80∼83lm/w,Ra=85∼ 90,5500∼6000Kで (d)Sn系 で,特
あ る。 ハ ロゲ ン化 す ず の 分 子 に よ る 連 続 ス ペ ク トル を 利 用 し た も の
に 演 色 性 が 優 れ,フ
リ ッカ も 少 な い 。50lm/W,Ra=92,5000Kで
メ タ ル ハ ラ イ ドラ ンプ の 分 類 は,次
図4・7に
の と お りで あ る 。
メ タ ル ハ ラ イ ドラ ンプ の 分 光 分 布 を 示 す 。
図4・7
メ タ ルハ ラ イ ドラ ン プの 分 光 分 布
あ る。
ラ ンプ の定 格 寿 命 は9000時 時 間 で70%(Sn系
は90%)で
間(Sn系
は6000時
間),光 束 維 持 率 は定 格 寿 命
あ る。
始 動 時 間 は,高 圧 水 銀 ラ ンプ と同 様 に 数 ∼ 十数 分 を要 し,再 始 動 時 間 も高 圧 水 銀 ラ ンプ よ り一 般 にや や 長 い。 電 源電 圧 の影 響 を 受 け や す く,光 色 の ば らつ きが起 こ りやす い の で,定 格 電 圧 の5∼6%以
内 が 望 ま しい 。 また,点 灯 位 置 に よ って 光 色 が 変 化す る。 す な わ ち,
発光 管 の最 冷部 の 温度 が変 わ り,そ の 温度 に応 じた金 属 蒸 気 圧 が 変 化 して,ラ
ン
プ 電圧,効 率 お よ び光 色 が変 化 す る。 そ の た め,口 金 上 部 鉛 直,口 金 下 部 鉛直 お よ び水 平 点 灯用 と指 定 した もの が あ る。 メ タル ハ ライ ドラ ンプ は,高 圧 水 銀 ラ ンプ よ り一 般 に 始 動 電 圧 が 高 い 傾 向 に あ り,リ ー ドピー ク形 ま た は高 電圧 パ ル ス印 加 方 式 の 点 灯 回 路 が 使 わ れ る。 これ を. 改善 す る た め に,ネ オ ン− アル ゴ ン混 合 ガ ス な どを 封 入 す る こ と によ って,一 般 形 水 銀 灯 安定 器(1灯
用 高 力 率形 お よ び低 始 動 電 流 形)で 点 灯 で き る低始 動 電 圧
形 メタ ル ハ ラ イ ドラ ンプ が 開 発 され,今 や これ が 主 流 とな りつ つ あ る。 表4・2メ
タル ハ ライ ドラ ンプ の 定格
〔2〕
用
途
蛍 光 水 銀 ラ ンプ に 比 べ て,1・5倍
も の 光 束 が あ り,屋
に わ た り普 及 され つ つ あ る 。 ま た 昨 今 は35∼150Wの 開 発 さ れ て お り,商
店 照 明 な ど の 白 熱 電 球,蛍
内,屋
外 を 問 わ ず全 領 域
メ タ ル ハ ラ イ ドラ ンプ も
光 ラ ンプ の分 野 に 採 用 さ れ て い
る。 〔3〕
定
格
メ タ ル ハ ラ イ ド ラ ン プ の 主 な も の の 定 格 を あ げ る と,表4.2の
4・4高
〔1〕
圧 ナ トリウ ム灯
機 構
と 種
類
高 圧 ナ ト リウ ム ラ ンプ は,104Pa程 0.1気
よ うで あ る 。
圧)の
度(約
高 い ナ ト リウム蒸 気 中の ア ー ク
放 電 に よ る 放 射 を 利 用 し た ラ ン プ で,そ 造 を 図4・8に
の構
示 す 。 発 光 管 は透 光性 アル ミ
ナ セ ラ ミ ック ス を 用 い,ナ
ト リウム と水 銀 ア
マ ル ガ ム と キ セ ノ ン ガ ス が 封 入 さ れ て お り, 外 管 は 保 温性 を もたせ る た め高 真 空 に保 た れ 図4・8高
て い る。
圧 ナ ト リウ ム ラ ンプ (NH形)
高 圧 ナ ト リ ウ ム ラ ン プ の 分 類 は,次
の とお
りで あ る 。
ラ ンプ 効 率 は100∼150lm/wで,実
用 化 されて い る 白色 系 光 源 の 中で は最 も
高 い。 寿 命 は高 圧 水 銀 ラ ンプ と同 様,定 格 寿 命 は12000時 光束 維 持 率 は 定 格 寿 命 時 間 で90%と
優 れ て い る。
間 で 長寿 命 で あ る。
(a)一 般 形
(b)高 演 色 形
図4・9高
分 光 分 布 を 図4・9に イ トで,平
圧 ナ ト リウ ム ラ ンプ の分 光 分 布
示 す 。 色 温 度 は2100Kと
均 演 色 評 価 数Ra=28と
の 演 色 改 善 形 とRa=85の
低 い が,演
暖 か み の あ る ゴ ール デ ンホ ワ 色 性 を 改 善 した ラ ン プ(Ra=60
高 演 色 形)も あ る 。高 演 色 形 の 色 温 度 は2500Kで
あ る。
始動 時 間 は,点 灯 後,安 定 す る ま で に 十数 分 か か り,再 始 動 時 間 は,パ ル ス 印 加 始動 方 式 の た め,他 の 蛍光 水 銀 ラ ンプ や メ タル ハ ライ ドラ ンプ よ り早 い。 電 源 電 圧 変 動 の 影 響 につ いて は,ナ
トリウ ムの 飽 和 形 で あ る た め,ラ
の変 動 が 大 き いの で,電 源電 圧 の 変 動 は5∼6%以
ンプ電 力
内で 使 用 され る こと が 望 ま しい 。
高 圧 ナ ト リウム ラ ンプ の点 灯 回路 は,半 導 体 ス イ ッチ 回 路 に よ る数 千 V の高 圧 パ ル スを 二 次 電圧 に重 畳 させ る方 式 を 用 い る。定 電 力 形 で は,並 列 鉄 共 振 回 路 を 用 い,点 灯 中 の ラ ンプ 電圧 上 昇 を抑 え る方式 で あ る。 ま た,チ
ョー ク コ イル の イ
ンダ クタ ンス値 を切 り替 え る段 調光 定 電 力形 もあ る。 低 電 圧(200V)始
動形 ラ
ンプ で は,水 銀 灯 用 安 定 器 に補 助 安定 器(チ ョー ク コイ ル)を 直 列 に 接続 す る か, 専 用 の チ ョー ク コイル 回 路 を用 い る。 始 動 器 内蔵 形 高 圧 ナ ト リウム ラ ンプ の 場 合 に は,ラ ンプ の外 管 内 に,フ ィ ラ メ ン ト抵 抗 とバ イメ タル ス イ ッチで 構 成 され た 始 動 ユ ニ ッ トが 内蔵 され て お り,一 般 形 水 銀 灯 安 定 器(1 灯用 高 力 率 形 お よ び低 始 動 電 流 形)を そ の ま ま使 用 で き る 利点 が あ る。 〔2〕
用
高 速 道 路,ト
途 ン ネ ル を は じ め,ス
光 照 明 が よ く用 い られ る 。 ま た,鉄
ポ ー ツ照 明 で は メタ ル ハ ライ ドラ ンプ と の混 鋼,鍛
造 な ど 高 天 井 の 工 場 照 明 で は,昼
光利
用 と 内装 仕 上 げ色 の ク リーム 色塗 装 を条 件 と して 用 い られ る ほか,工 場 構 内照 明 に多 用 され つつ あ る。 これ は 蛍光 水 銀 灯 照 明 に 比 較 して,同 一 照 度 で約1/2.4の 消 費電 力で す む た めで あ る。 ま た演 色 改 善 形 は工 場 照 明 に,高 演 色 形 は百 貨 店,ス
ーパ ーマ ーケ ッ トな ど の
高 天 井照 明 な ど に,白 熱電 球 に よ るダ ウ ン ライ トに 置 き替 え て普 及 され つ つ あ る。
定
〔3 〕
表4・3に な お,水 して,高
高 圧 ナ トリウム ラ ンプ の定 格 を示 す 。 銀 ラ ン プ,メ
タ ル ハ ライ ドラ ンプ お よ び高 圧 ナ トリウ ム ラ ンプ を総 称
輝 度 放 電 ラ ン プ(high
こ れ は,発 W/㎡
格
intensity discharge
lamp,HIDラ
光 管 の 管 壁 温 度 に よ り ア ー ク の 安 定 が 保 た れ,管
以 上 で あ る 熱 陰 極 放 電 ラ ン プ で あ り,最
ン プ)と
壁 負 荷 が3×10-4
近 の 発 達 が 目 覚 ま しい の で,よ
この 呼称 が用 い られ る よ う にな った 。
表4・3
〔注 〕 形 式 はNH400,NH400Fな 始 動 時 間 は 4分 以 下,再
い う。
高 圧 ナ トリウ ム ラ ン プの 定 格
ど と呼 称 す る。 形 式 の う ち Fの つ い た もの は 拡 散 形 始動 時 間 は 1分 以 下 。 点 灯 方 向 は 任 意
く
4・5
〔1〕
低圧 ナ トリ ウム灯 機 構 と光 色
水銀 ラ ンプ の 水 銀 の 代 わ り にナ トリウム を封 入 した もの で,こ れ に は低 圧 と高 圧 の 2種 類 が あ り,た だ ナ トリウム ラ ンプ と いえ ば,低 圧 の もの を 指 す の が 普 通 で あ る。 低 圧 ナ ト リウ ム ラ ン プ は,図4・10の (蒸 気 圧 は 約0.5Pa程 起 が あ る 。 こ れ は,余
度)と
トリウ ム
ア ル ゴ ン を 封 入 し た も の で,こ の 発 光 管 の 数 か 所 に 突
分 の ナ ト リ ウ ム が こ の 中 に た ま る よ う に した も の で あ る 。
図4・10
低 圧 ナ トリ ウム ラ ンプ
ナ ト リ ウ ム は 固 体 で あ る か ら,ス る ま で に10分
よ う な 細 長 い U 字 形 の 中 に,ナ
前 後 か か る が,そ
イ ッチ を 入 れ て そ れ が 全 部 蒸 発 して 常 態 に な
の 光 は589nmの
こ れ は 比 視 感 度 の 極 大 点 の555nmの
い わ ゆ る D 線 だ け で,し
波 長 に 近 い の で,視
か も,
感度 はすべての光源 中
最 高 で あ る。
この光 で色 彩 の あ る も のを 照 す と,黄 色以 外 はす べ て 色 が 消 え て しま う。 しか し,こ の D線 は霧 の 中 の透 過 率 が 高 いの で,霧 の 多 い地 方 の トン ネル や 道 路 照 明 な どに 賞用 され て い る。 表4・4
〔 注 〕 始 動 時 間 は8∼12分
低 圧 ナ トリウ ム ラ ンプ の 定 格
。点 灯 方 向 は水 平
(JIS
C7610-1977)
〔2 〕
用
途
ト ン ネ ル,霧 〔3 〕
定
の 多 い 土 地 の 道 路,建
物 の 外 面 な ど。
格
低 圧 ナ ト リ ウ ム 灯 の 定 格 は,表4・4の 4・6
〔1〕
キ セ ノン アー ク灯
機
構
キ セ ノ ン ア ー ク 灯 は,キ
セ ノ ン(空
ク 放 電 を 利 用 した も の で,こ と が あ り,前
中の アー
の 方 が 多 く用 い られ る 。 管 は 石 英 ガ ラ ス,電
極 に は電 子 放 射 を 助 け るた め の酸 化 物 を 塗 った 細 い線 が
巻 か れ て い る。 ガ ス 圧 は800kPa,点
始
気 中 の 含 有 量 は1/8000000)の
れ に は シ ョー トア ー ク ラ ンプ と ロ ン グ ア ー ク ラ ン プ
者 は 電 力 も小 さ く,こ
極 は タ ン グ ス テ ンで,陰
〔2 〕
よ うで あ る。
灯 時 で2000∼3000kPaに
な る。
動
管 内 の 圧 力 が高 い ので,普 通 に電 圧 を 加 え た だ け で は始 動 しな いの で,特 殊 の始 動 器 で 高 周 波 電 圧 を 発 生 させ,こ れ を電 極 に加 えて 放 電 を 起 こさせ る。 従 って 即 時点 灯 で,点 灯後 も直 ち に安 定 す る。 始 動 後 は 整流 器 を用 い,直 流 で 点 灯 を続 ける。 長 形 は交 流 が 普 通 で あ る。 〔3 〕
光
色
多 少 の 線 ス ペ ク トル を 伴 っ た 連 続 ス ペ ク トル の 光 で,そ 分 布 は 図4・12の
よ うに,色
温 度 は6100Kで,天
め て よ く似 て い る 。 ま た,800∼1000nmの
の 分光
然昼 光 と極
範 囲 の 赤外 線 が 非 常
に 強 い。 〔4 〕
光 束 と 輝 度
シ ョ ー トア ー ク ラ ン プ は,10000∼1000000×104cd/㎡ 高 輝 度 の 点 光 源 と な る 。 ロ ン グ ア ー ク ラ ンプ は,光 在 の 電 灯 中最大 で あ る。
に及 ぶ 束 も 容 量 も現
図4・11 キ セ ノ ンシ ョ ー トア ー
〔5 〕
用
途
ク ラ ン プ
図4・12キ
シ ョ ー トア ー ク ラ ンプ は,標 写,ス
セ ノ ンア ー ク ラ ンプ の 分光 分 布
準 白 色 の 高 輝 度 光 源 と して,色
ポ ッ トラ イ ト,そ の 他 用 途 は 広 く,ロ
特 色 に よ り,広 <注>ロ
ン グ ア ー ク ラ ン プ は,光
画 の映
束 の大 き い
場 や 空 港 の 照 明 に 利用 され て い る。
ン グア ー ク ラ ンプ は,わ が 国 で は20kWが
(スイ ス)空 港 で は 世 界 最 大 の65kWラ
〔6〕 定
彩 鑑 別,映
最 大 で あ る が,チ
ンプが 使 わ れ て い る。
格
キ セ ノ ン ア ー ク ラ ン プ の 定 格 は,表4・5の
表4・5キ
よ うで あ る 。
セ ノ ンア ー ク ラ ン プ の定 格
ュ ー リッ ヒ
第 4章 (1)低
問
圧 ナ トリウ ム灯 が高 速 道 路の トンネ ル 照 明 に 用 い られて い るの は なぜ だ ろ うか 。
(2)400W蛍
光 水 銀 ラ ンプ12灯
で照 明 され て い る所 が あ り,こ れ を 同 ワ ッ トの 低 始
動 電 圧 形 メ タル ハ ライ ドラ ンプ に代 えた ら,ど は1.7倍
題
と し,ま た単 価 は2.3倍
とす る。
ち らが 経 済 的 で あ ろ うか。 た だ し,全 光 束
第 5章
5・1光
度
照
明
計
算
と 配 光
〔1〕 光 度 と 輝 度 (1)光
度 とそ の単 位
電 球 そ の 他 の 光 源 か ら は,光 が四 方 八 方 へ 出て い
る。 しか し,各 方 向 へ の光 の強 さ は必 ず しも等 し くは な い。 そ こで,あ
る方 向 へ
の 光 の 強 さを 表す た め の術 語 と して,光 度(記 号 は I)を 用 い る。 これ は そ の光 源 を頂点 とす る立 体 角 内 に含 まれ る光 束 の 密 度 を 表 す。 す な わ ち, dΦ I= / dΩ 光 度 の 単 位 は カ ン デ ラ(candela;cd)で,1cdは
1ス テ ラ ジ ア ン 内 に1lmの
光 束 が 出 て い る場 合 の光 度 で あ る。 実 際 の 光 源 は 皆 大 き さ を も っ て い る 。 そ の よ う な 光 源 の 光 度 は,そ
の光 源 の各
微 小 部 分 か らの 光 度 の 総 和 と 考 え れ ば よ い 。 (2)輝
度 とそ の単 位
光 源 の 単 位 面 積 当 た りの 光 度 を 輝 度(記
い う。 こ の 単 位 は カ ン デ ラ毎 平 方 メ ー トル(cd/㎡)で,1㎡ る 。 た だ し,こ く,そ
号 は L)と
当た り の光 度で あ
の 場 合 の 面 積 は真 の 表 面積 で な
の 方 向 へ の 正 射 影 の 面 積(見
で あ る 。 例 え ば,図5・1の
よ う に 半 径 γ〔m〕 の
球 形 と 円 板 の 2光 源 が あ り,と っ た と す る と,そ
掛 け の 面 積)
もに光 度 が Iで あ
の 輝 度 も と も にI/π γ2〔cd/m2〕
で あ る。 表5・2は,各
図5・1
種 光 源 の 輝 度 を 示 した も の で あ る が,cd/㎡
数 値 が 大 き くな る の で,cd/c㎡ を乗 ず れ ば よ い。
に な っ て い る 。 こ の 値 をcd/㎡
で 示 す と あ ま りに に 直 す に は104
<注>輝
度 の単 位 はcd/㎡
便 宜 上stilb;sb(cd/c㎡)が
で あ るが,光 源 の輝 度 の よ うに値 が 非 常 に 高 い もの には, 使 わ れ る こ と もあ る。 ま た外 国図 書 には,こ の ほ か の単 位
も使 わ れて い る ので,表5・1に
これ らの 換 算 率 を 示 す。
表5・cd/㎡
例 え ば,100W電 こ れ をcd/㎡
単位の数値に換 算するために掛 ける係数
球 の フ ィ ラ メ ン トの 輝 度 は650cd/c㎡(表5・2参 単 位 で 表 せ ば,650×10000=6500000〔cd/㎡
表5・2各
照)で
あ るが,
〕 と な る。
種 光 源 の輝 度
〔2〕 配 光 曲 線 と等光 度 図 (1)配
光曲線
光 源 か ら各 方 向へ の光 度 の分 布 を配 光 とい い,そ れ を 曲線 を
もって 表 した もの を配 光 曲 線 と い う。 図5・2に
示 した もの は この例 で,こ れ は
電 球 が 図 の 中心 に点 灯 して い る もの と し,こ の 中心 か ら この 曲線 まで の距 離 で, その 方 向 へ の 光 度 を表 して い るの で あ る。 この 図で は,直 下 の 方 向 が140cd,水 平 方 向 は100cd,直
上 は0cd(口
金 お よび ソケ ッ トの 陰 に な るか ら)で あ る こ と
を示 して い る。 この 配 光 曲線 は,鉛 直 面 に おけ る光 度分 布 を示 した もの で あ る が,水 平 面 に お け る もの は,図(b)の
よ うに ほぼ 円形 に な る。
図(a)の よ うな鉛 直 面 上 の 配光 曲線 を鉛 直 配 光 曲 線,図(b)の
よ うな もの を水
平配光 曲線 とい う。 しか し,普 通 の光 源 で は水 平 配 光 曲 線 は 円に近 い の で,一 般
(a)鉛
(b)水 平配光 曲線
直 配 光 曲線 図5・2
100W白
色 電 球 の 配 光 曲線
に 配光 曲線 と い え ば,鉛 直 配 光 曲線 を意 味 す る。 (2)等
光度図
一 つ の軸 を横 切 る鉛 直 面 は 無数 に あ るか ら,鉛 直 配 光 曲線
と い って も,ど の 鉛直 面 を と っ た の か不 明 で あ るが,水 平 配 光 曲線 が 円 に近 けれ ば,ど
の鉛 直 面 で も大 体 同 じに な る ので,差 支 え はな い。 しか し,も し水 平 配 光
曲線 が 円か らひ ど く離 れて いた ら,各 鉛 直 面 の配 光 もま た著 し く違 って くる。 そ こで,こ の よ うな光 源 の配 光 を立 体 的 に表 す よ うに考 案 され た もの が等 光 度 図 で あ る。
(a)正
(b)円 等光度図
弦等光度図 図5・3等
光
度
図
これ は,光 源 を 中心 とす る単 位 半 径 の 仮想 球 面 を考 え,そ の 球 面 上 に等 光 度 の 方向 を連 れ た 曲線 を描 い た もの で あ る。 図5・3は
あ る街 灯 の 等光 度 図 で あ るが,図(a)は
正 弦 等 光度 図 とい わ れ,鉛
直 角 を示 して い る。 図(b)は 円 等 光 度図 とい わ れ て い る。 この等 光 度 図 に よ って,ど の よ う な光 源 の 配光 も正 確 に表 す こ とが で き る。 〔3〕 光 源 と 配 光 (1)光
源 の 形 と配 光 との 関 係
どの方 向 に 対 して も輝 度 の 等 しい 光 源 の 光
度 は,そ の方 向へ の 正 射 影 の 面 積 に輝 度 を掛 け合 わ せ た も の に 等 しい 。 す なわ ち,光 度 は正 射 影 の面 積 に比 例 す る。 従 って,簡 単 な形 の 光 源 の 配 光 は次 の よ う に な る。 (a)球
各 方 向 に対 し面 積 は同 一 で あ るか ら,配 光 曲線 は 円 と な る。
(b)平
板
そ の 法 線 の 方 向 に 最 大 光 度 を 有 し,そ
れ をI0と
す れ ば,そ
と θ を な す 方 向 へ の 正 射 影 の 面 積 は,平
板 の 面 積 にcosθ
で,光
光 曲 線 は 光 源 を 頂 点 と し,I0を
度 もI0cosθ
と な る 。 従 っ て,配
れ
を掛 けた もの にな るの 直 径 とす
る 円 と な る。 (c)直
線
(d)半
球I0が
(e)環I0が
平 板 と 同 じ理 由 で,I90を 最 大 で,I90は
最 大 で,I90は
直 径 とす る 円 とな る。
そ の 半 分,直
そ の2/π
上 は 0に な る 。
に な る。
以 上 は幾何 学 的 な形 状 の もの で あ るが,実 際 の 光源 につ いて 考 え る と,蛍 光 ラ
図5・4光
源 の形 と配光 と の 関係
図5・5蛍
光 ラ ン プの 配 光 曲 線
ンプ は直線 で あ るが,そ の配 光 を実 測 す る と図5・5の
よ うに,円 よ りや や 細 長
くな る。 しか し,普 通 は 円 とみ な して い る。 (2) 球 面光 度 光 源 か ら あ ら ゆ る 方 向 へ の光 度 の平 均 値 を球 面 光 度 とい う。 中心 の 光 源 か ら各方 向 へI 〔cd〕の 光 が 出 て い る もの とす る と,1ス
テラジ
ア ンの 立 体 角 内 にI 〔lm〕の光 束 が 出 て い る こ とに な る。 光 源 の周 囲全 体 の 立 体 角 は4π で あ るか ら,全 光 束 は4πI〔lm〕
とな る。 各 方 向 の光 度 が 違 って も,平
均 値 を とれ ば 同 じよ うな 関係 にな るの で,結 局,次
の よ うな 関係 式 が 成 立 す る。
球 面光 度 〔cd〕 ×4π=全 光 束 〔lm〕 〔4〕 配 光 と 光 東 光 束 は立 体 角 に そ の方 向 へ の光 度 を掛 け れ ば 得 られ る。 従 って,配 光 が 分 か れ ば そ の 光源 の光 束 も求 め られ るわ けで あ る。 そ こで,こ
の光 束 を求 め るに は,ま
ず 各方 向 へ の立 体 角 を求 め な けれ ば な らな い。 その 立 体 角 へ その 方 向の 光度 を 乗 じて,そ の総 和 を求 めれ ば よ いわ けで あ る。 この方 法 と して は,ル ー ソー線 図 に よ る もの,球 帯 係 数 法 に よ る もの な ど色 々あ るが,山 内 式 に よれ ば簡 単 に求 め ら れ る。 これ は配 光 曲線 か ら30。,60。,80。,100。,120。,150。 の6方 向 の光 度 を求 め て, そ れ を平 均 す れ ば よ い とい うもの で,各 方 向 の光 度 を それ ぞれI30,I60,… … と す れ ば,
〈注 〉 こ の 山 内式 を用 い て,試 み に 直線 光 源(図5・4(c))の 最 大 光 度 をI90と
で あ るか ら,
す る と,
光 束 を求 めて み る と,
表5・3光
こ の よ う に し て,光
源の形 と光度 と光束 との関係
源 の 形 と光 度 や 光 束 の 関 係 を 求 め る と,表5・3の
よ うに
な る。
これ か ら直 線 光 源 の光 度 を求 めて み る と,光 束 を Φ 〔lm〕とす れ ば, 最 大 方 向 の 光 度I90=Φ/π2〔cd〕
≒ Φ/10〔cd) (5・2)
球
面
光
度I=0.785I90〔cd〕
と な る。
度
5・2照
〔1〕 照 度 と光 束 発 散 度 (1)照 E)で,こ は,1㎡
(2)水
度 と そ の単 位
床 や 机 な ど 場 所 の 明 る さ を 表 す 術 語 が 照 度(記
れ は そ こ の 単 位 面 積 に 投 ぜ られ た 光 束 の 密 度 で あ る 当 た り1lmの
照 度 を と り,こ
平 面 照 度 と鉛 直 面 照 度
れ を ル ク ス(lux;lx)と
号 は
。 この単 位 と して い う。
水 平 面 上 の照 度 を水 平 面 照 度,鉛 直 面 上 の
照 度 を鉛 直 面 照 度 と い う。 一 般 に照 明工 学 で 照度 とい うと,水 平 面 照 度 を意 味 す
図5・6照
度
曲
線
るの が 普通 で あ る。 (3)照
度曲線
あ る面 上 の 1線 に沿 って,そ の 照 度 分 布 を 曲線 で 表 した も
のを照 度 曲線 と い う。 図5・6は (4)等
この一 例 で,柱 上 に直 線 光 源 を つ け た時 の照 度 曲線 で あ る。 照度曲線
面 上 の 等 照 度 の点 を連 ね て作 っ た 曲線 で,こ れ に よ って
照 度 分 布 の状 態 が判 別 で き る こと は,地 図 の 等 高 線 と同様 で あ る。 図5・7は,
図5・7等
照 度 曲線 の 一 例
あ る室 内 の等 照 度 曲線 の 一 例 で あ る。 〔2〕 光 束 発 散 度 と輝 度 照 度 は場 所 に投 ぜ られ る光束 の 密度 で あ る が,わ れ わ れが 実際 に 明 る さを感 じ る の は,そ の光 が 反 射 して 目に入 る か らで あ る。 従 って,実 際 の 明 る さは 出て 来 る光 束 に よ る も ので あ って,こ れ を光 束 発 散 度(記 号 はM)
と い う。
これ は照 度 に その 面 の反 射 率 を乗 じた もの で,ルー メ ン毎 平 方 メ ー トル(1m/m2) を単 位 とす る。 例 え ば,反 射 率70%の 光 束 発 散 度 は70lm/m2と
白紙 を照 度100lxの
所 に お け ば,そ こ の
な る。
完 全 拡 散 反 射 面 の光 束 発 散 度 とそ の 面 の 輝 度 との 間 に は,一 定 の 関係 が あ る。 図5・8 にお い て,微 小 面dSを
完 全 拡 散 発光 面 と
し,そ の 光 束 発 散度 をM〔lm/m2〕,輝 L〔cd/m2〕 とす る。dSを
度を
中 心 と して,半
径 図5・8
r〔m〕 の 半 球 を 描 き,こ の球 面 上 で θお よ び dθ に よ っ て 決 め られ る 球 帯dS'を る か ら,こ
考 え る と,dS'の
照 度 はLdSCOSθ/r2で
あ
の球 帯 の受 け る総光 束 は
とな る。 ゆ え に,半 球 内の 全光 束 は
と な る 。 こ の 光 束 はdSか
ら発 せ ら れ て い る の で あ る か ら,
(5・3)
の 関 係 を 得 る 。 こ の 関 係 は 照 明 計 算 上 重 要 な も の の 一 つ で,例 の 光 束 発 散 度 が10001m/m2で
あ る な らば,そ
の 輝 度 は1000/π
え ば,完
全拡散面
≒318〔cd/m2〕
と
な る。 以 上 の 関 係 は,完
全 拡 散 面 で な い と成 立 し な い 。 完 全 拡 散 面 で な い と 輝 度 は 方
向 に よ っ て 一 定 し な い か らで あ る。
5・3照
度 の 計 算
〔1〕 点 光 源 によ る照 度 の計 算 点 光 源 と い うの は,幾 何 学 で い うよ うな大 き さの な い光 源 と い う 意 味 で は な い 。照 度 を求 め る点 と光 源 との 距 離 に 比 べ て,光 源 の大 き さが 非 常 に小 さい時 は,こ
れ を 点 光 源 と 見 な す の で あ る。
図5・9に
お い て,光
源 L か ら立 体 角 Ω
内 に Φ 〔lm〕 の 光 束 が 放 射 し て い る も の と す る 。立 体 角 をA〔
Ω で 切 り取 られ る部 分 球 の面 積
㎡ 〕 と す る と,こ
の部 分球 面 上 の照 度
は Φ/A〔lx〕 で 表 せ る 。 L か ら球 面 ま で の 距 離 をr〔m〕 の 光 度=Φ/Ω
と す る と,A=Ωr2〔
㎡ 〕 で,L
図5・9
で あ る か ら,
(5・4) とな る。
す な わ ち,照 度 は 光源 の光 度 に比 例 し,光
図5・10
源 か ら の 距 離 の 2乗 に 反 比 例 す る 。 こ れ を 照 度 の 逆 2乗 の 法 則 と い う。 し か し,式(5・4)は,面 図5・10の
よ う に,光
が 光 源 に 対 し法 線 の 方 向 に あ る 場 合 の 計 算 式 で,も 源 の 入 射 角 が θ で あ る な ら ば,点
し
P の照 度 は (5・5)
とな る。
こ の 法 則 を 利 用 し て,点 図5・11に 角OLP,LPの
お い て,L
光 源 に よ る照 度 を 計 算す る こ とが で き る。 を 光 源,P
方 向 へ の 光 度 をIθ
を 照 度 を 求 め る 点,○
を 光 源 直 下 の 点,θ
と す る と, (5・6) (5・7)
を
図5・11
鉛 直 面 照 度Eν=Iθsinθcos2θcosθ/h2〔lx〕 (も し ψ=0な
(5・8)
ら ば,Eν0=Iθsinθcos2θ/h2〔lx〕)
これ らの式 の うち,水 平 面 照 度 と鉛 直 面 照 度 とは,h と θとを 与 え られ た 場 合 で あ るが,実 際 の 計 算 の 場 合 は,h
と d とが与 え られ る こ と もあ る。
この場 合 は三 角 関 数 を 利用 して,そ れ らを hと θとの 関 係 に 置 き替 え て 求 め れ ば よ い。 〔2〕 大 きさ の あ る光 源 に よ る照 度 の計 算 (1)立
体 角投 射 の法 則
光 源 と照 度 を求 め る点 との 距 離 の1/10以
上 の大 き
さ(径 ま た は長 さ)の 光 源 は,点 光 源 と見 な され て い な い。 それ は逆 2乗 の法 則 で 照 度 を 計 算 す る と誤 差 が 生 じるか らで あ る。 この よ うな光 源 に よ る照 度 を求 め る に は,次 の よ うな方 法 に よ る。 図5・12に
お いて,Seを
一 つ の 面光 源,P を水 平 面 A上 の 照 度 を 求 め る点,L
図5・12
立 体角投射図
を 光 源Seの
輝 度 と す る 。 光 源 の 微 小 部 分dSeを
Pの 方 向 へ の 光 度 をdIθ,dSeの
法 線 と P へ の 方 向 の 角 を α,点
と す れ ば,dIθ=LdSecosα り,光
源Se全
と り,dSeと
で,dSeに
P と の 距 離 を γ, P の入 射 角 を θ
よ る 点 P の 照 度 はdE=dlθcosθ/γ2で
あ
体 に よ る照 度 E は LdSecosαcosθ/
E=〓dE=〓
(5・9)
γ2
と な る 。 こ の 式 か ら 求 め る こ と は 実 際 に は 厄 介 な の で,む
しろ 図 的 解法 の方 が 便
利 で あ る。 図5・12に
お い て,P
を 中 心 と し,半 径P
の 球 面 を 考 え,P
源 全 体 を 底 と す る す い 体 が 球 面 か ら 切 り取 る 面 積 をs0,A平 の 正 射 影 を S と す れ ば,光 面 上 にdS0,dSを
源 の 微 小 面dSeに
と る と き,P
対 して,そ
を 頂 点 と し,dSeお
=dSecosα/γ2=dS0/P2と
な り
と な る 。 こ こ にp=1と
す れ ば,
,dS=dS0cosθ
を 頂 点 と し,光 面 上 に お け るs0
れ ぞ れ 球 面 な らび に 平
よ びdS0を
含 む 立 体 角 はdΩ
で あ るか ら
E=LS
(5・10)
とい う簡 単 な結 果 が得 られ る。 これ を立 体 角 投 射 の 法 則 と い う。 この法 則 を 利用 す れ ば,ど の よ うな光 源 に よ る照 度 で も求 め られ る。 (2)円
板 光 源 に よ る照 度
図5・13に
お いて,Seを
輝 度 が L で あ る 円板
光 源 と し,そ の 中心 と P とを 結 ぶ直 線 は 光 源 の法 線 で,入 射 角 を θとす る。 これ に立 体 角 投 射 の法 則 を応用 し,球 面 の半 径 を 1と し,r,p,dを
そ れ ぞれ 図 に示
して あ る よ う に とれ ば, E=LS=LS0cosθ = LSe /γ2+d2
LSeは
cosθ
光 源 全 体 の 光 度 で,こ
れ を Iと
図5・13円
板 光 源 の立 体 角 投 射
お け ば, E=
Icosθ
Icosθ/
/γ2+d2=
p2
(5・11)
式(5・8)を 書 き換 え る と, πLγ2
E=
cosθ=πLsin2αCOSθ
(5・12)
/ p2 θ=0の
場 合 は, E=
I
I/
=πLsin2α
/γ2+d2=
(5・13)
p2
と な る。 光 源 が 非 常 に 大 き くな る か,ま
た は,点
P が 光 源 の ご く そ ば に 近 付 くか す る 時
は, sinα ≒1 と な っ て,
E=πL
(5・14)
とな る。
つ ま り照 度 は距 離 に 無 関 係 に な り,光 源 の 輝 度 だ け に 比例 す る。 以 上求 め た 結 果 は,点
Pが光 源 の 中心 の法 線 上 に あ る特 別 の 場 合 で あ って,一
般 の 場 合 には,こ の よ うに 簡単 に は で き な い。 しか し,等 照 度 球 の 理 論 を 応用 す る こ とに よ って,図 的 解法 が可 能 で あ る。 等 照 度 球 と い うの は,円 板 光 源 の 端 を 含 む 球 面 の こ とで,そ
の球 面 上 の どの 点 で も照 度
は み な等 しい と い うの が,等 照 度 球 の理 論 で あ る。 図5・14に
お い てABを
円板 光 源 と
し,こ れ によ る任 意 の点 Pの水 平 面 照 度 を 求 め よ う とす れ ば,ABPの
3点 を含 む 円を 描
くと,点 P の水 平 面 照 度Ezは,こ にお ける光 源ABの
の 円周上
中央 直下 の点 Q の照 度
に等 しい の で あ るか ら,式(5・13)に よ って,
図5・14等
照度球
2Ω /2
Ez=πLsin
と して 計 算 す れ ば求 め られ る。 また,球 面 の 照 度Eω
もEzと
値 が 等 し くな る。 この よ うな等 照 度 球 の理 論 に
よ り,円 板 光 源 に よ る い か な る点 の照 度 も簡 単 に求 め られ る。 (3)球
形 光 源 に よ る照 度
この 場 合 も図5・15の
よ うに,立 体 角投 射 の 法
則を利用すればよい。 Seを
球 形 光 源 と し,P,q,γ,d,θ,α,
S0,Sを
それ ぞれ 図 に示 さ れ て い る よ
う に と り,P
を 頂点 と して光 源 に接 す
る 円 す い を 作 れ ば,そ は,接
点ABを
の 円す い の底 面
円 周 とす る 円 と な る
(そ の 半 径 を q とす る)。 従 っ て,球 源Seに ABを
光
よ っ て 切 り と ら れ る 面 積 は, 円周 とす る 円に よ って 切 りと ら 図5・15
れ る 面 積S0と
等 し い 。ABを
す る 円 の 面 積 をS′
球形光源の立体角投射
円周 と
とす る と, S′=πq2で,
S′/S0=P2,
ま たP/q=d/γ
か ら,
(5・15)
従 っ て,S=π 光 度 を
γ2cosθ/d2と
I と す れ ば,I=π
な り,求
γ2Lで
め る 照 度 はE=π
γ2Lcosθ/d2で,光
源 の
あ る か ら,
E=Icosθ/d2
(5・16)
とな り,点 光 源 の式 と全 く等 し くな る。 つ ま り光 源 が 縮 小 して,中 心 に集 ま っ た 場 合 と照 度 は等 しい とい う ことで あ る。 例 え ば,電 球 を 球形 乳 白 グ ロー ブで 包 ん だ場 合 に,照 度 は グ ロー ブ の直 径 に無 関 係 と な る。 (4)直
線 光 源 に よ る照 度
これ も点 光 源 と同 じ く真 の線 とい う意 味 で は な
く,距 離 に比 べ て 細 長 い光 源 と い う意 味 で,蛍 光 ラ ンプ な どは これ に入 る。 図5 ・16に お いて,l を光 源 の長 さ,I を単 位 長 当 た りの光 度(直 角 な方 向の 光 度)
図5・16
と し,光 源 の 微 小 長 さ をdlと dlで,こ
す れ ば,こ
のdlの
P の 方 向 へ の 光 度 はIθ=Icos
れ に よ る軸 方 向へ の 法線 照度 は dEn=Iθcosθ/r2=Icos2θdl/r2
と な る 。 従 っ て,光
源 長 lに よ る照 度 は
(5・17)
ま た, Ez=Encosδ
Ex=Ensinδ Enをh,d,lで
}
(5・18)
表 せ ば
(5・19)
と な る 。 次 に,dlに
-θ)dl/r2で
よ る 照度EyはdEy=Icosθcos (π/ 2
,光
源 長
l
に よ る照 度 は
(5・20)
こ の 式 は,蛍 式(5・17)に
光 灯 を 鉛 直 に 点 灯 した 場 合 の 水 平 面 照 度 の 計 算 に 利 用 さ れ る 。 お い て,P
sinα=1,cosα=0と I/ En= ・π 2p と な り,照 <注>計
/ 2
た は l が 大 き く な る と,
=πI/ (5・21)
4p
度 は距 離 に反 比 例 す る。 算 式 の 中 に角 度 の度 数 が あ った ら,こ れ らはす べ て ラ ジ ア ンに直 して 計 算 す
る。 す なわ ち,180゚=π (5)長
が 非 常 に 小 さ くな る か,ま
な り,
と して計 算 す れ ば よ い。
方 形 光 源 に よ る照 度
下 の 点 の 照 度 は,次
図5・17の
よ うな 水平 の 長方 形 光 源 の 隅 の直
の式 で示 され る。
(5・22)
(5・23)
点 P が 頂 点 の 直 下 に な い と き は(図5・18),
図5・17
図5・18
Ez=E(OFAG)+E(OECH)-E(OFBH)-E(OEDG) と す れ ば よ い 。 こ こ にE(OFAG)と
い う の は,OFAGの
4点 に 囲 ま れ た 仮 想 長
方 形 光 源 に よ る 照 度 で あ る。 <注>試
み に,こ の式 を利 用 して 図5・19の
よ うな窓 の 光 に よ る机上 の 照 度 を 求 め て
み よ う。
図5・19
こ の 窓 は 透 明 ガ ラ ス で,曇 に よ っ て,空
天 の 日 と す る 。 地 上 の 照 度 を30000lxと
の 輝 度 は30000/π
≒9550〔cd/㎡
が,実 は ガ ラ ス の 吸 収 が あ る の で,こ 〔cd/㎡ 〕 と な る 。 そ こ で,式(5・23)を
れ を10%と
す る と ,式(5・3)
〕 と な る 。 こ れ が 窓 か ら見 え る の で あ る す る と,窓
の 輝 度 は9550×0.9≒8600
応 用 し て,z=1.5,x=1.0,y=2.0と
おけば
こ こ に,
こ れ ら の 角 を ラ ジ ア ン に 直 す と,33.7°=0.588,21.8゚=0.380と
とな る。
な り,
〔3〕 平 均照 度 の 計算 一 つ の 室 内 また は屋 外 の あ る範 囲 内 の平 均 照 度 を 求 め る に は,そ の 内の 1点 1 点 につ いて 前 記 の 計 算 を して,そ の平 均 を求 め て も よ い わ けで あ るが,そ れ で は あ ま りに も面 倒 なの で,一 般 には,求 め る範 囲 内 に落 ち る光 束 を計 算 して,そ れ を面 積 で 割 る方 法 を と る。 この方 法 は,照 明 設 計 の 項 で 述 べ るの で,こ
こで は省
略 して お く。 〔4〕 相 (1)相
互
反
射
互反射の意味
室 内 の あ る 1点 の 照 度 は,以 上 述 べ た 方 法 に よ っ て
求 めた 値 よ りも 実際 に は幾 分 高 い 。 そ れ は壁,天 井 な どか ら反 射 され て 来 る光 が 加 わ るた め で あ る。 また,床 に落 ちた光 が そ こか ら反 射 され て,壁,天
井に当た
り,更 に ま た反 射 して 床 に来 る とい うよ うに,相 互 の反 射 を 無 限 に繰 り返 え す わ けで あ る。 この 相 互 反 射 が どの く らい にな るか を調 べ て 見 よ う。 (2)球
面 内 の相 互 反 射
内面 が 完 全 拡 散 反 射 面 で あ る球 に Φ 〔lm〕の光 束 を
有 す る光 源 が あ る とす る。内 面 の 反 射率 を ρ,球の 直 径 をD〔m〕
とす る と,球 の
内面 が第 1回 に受 け る光 束 は Φ 〔lm〕で あ るが,こ れ が Φρ だ け反 射 され,そ れ が 第 2回 に 内面 に落 ち る。 そ れ が ま た Φρ2だ け 反 射 さ れ,こ
う した 無 限 の反 射
を繰 り返 して行 くので あ るか ら,結 局,球 の 内面 で 受 け る総 光 束 Φ。は, Φ。=Φ+Φ
ρ+Φ ρ2+Φ ρ3+…
=Φ(1+ρ+ρ2+ρ3+…
…
…)
=Φ/(1-ρ)
と な る 。 従 っ て,球
(5・24)
面 内の 平 均 照 度
E は,
E=Φ。/(1-ρ)πD2〔lx〕
(5・25)
と な る。 (3)相
対 す る面 の 相 互反 射
広 い 2平 面 が 相 対 して い る 場 合,例 え ば,広 い
事 務 室 や 大 広 間 の天 井 と床 の よ うな場 合 に も,前 例 と同 様 に 相 互 反 射 の影 響 は相 当強 い 。 広 い部屋 の 中 央 が 大 きい 天 窓 に な って,そ
こか ら Φ 〔lm〕の光 束 が 出て い る も
の とす る。 この 場 合,こ の光 束 は全 部 床 に 落 ち,更 に 天 井 と の 間 に 相互 反 射 を繰
り返 す 間 に,側 面 か ら外 に 出 る光 束 はな い もの と見 なす 。 そ う しな けれ ば計 算 は 難 し くな る。 室 の 面積 をA〔 ㎡ 〕 とす る と,床 に落 ちる光 束 は Φ 〔lm〕で あ るか ら,床 面 の 平 均 照 度 は Φ/A〔lx〕 と な る はず で あ る。 と ころ が,こ の 光 束 が 床 か ら反 射 され て 天 井 に 当 た り,更 に ま た反 射 さ れて 床 に来 る とい うよ うに して,無 限 に反 射 を 繰 り返 え す わ け で あ る。 そ こで,天 井(発 光 面 を も含 む)と 床 の反 射 率 を そ れ ぞ れ ρc,ρfと す る と, 結 局,床
に落 ち る総 光 束 Φ。は, Φ。=Φ+Φ
ρfρc+Ф
ρf2ρc2+Φ
ρf3ρc3+…
…
=Φ/(1-ρfρc)
と な る 。 従 っ て,床
の 照 度Efは
Ef=Φ/(1-ρfρc)A〔lx〕
(5・26)
と な る 。 こ こ に,ρcを50%,ρfを30%と
す ると
Ef=Φ/0.85A
と な り,相
互 反 射 を 考 え な い 場 合 の1/0.85=1.176〔
こ の 場 合,天
井 面 の 照 度 を 求 め る と,次
に 当 た る の は 第 1回 が
Φρfで,そ
倍 〕 とな る 。
の よ う に な る。 床 か ら の 反 射 光 で 天 井
れ が 床 に 反 射 さ れ,更
に天 井 に 当 た る の が
Φρf2ρc,こ う して 最 終 的 に は, Φ ρf(1+ρfρc+ρf2ρc2+ρf3ρc3+… =Φ
従 っ て,天
…)
ρf/(1-ρfρc)
井 の 照 度Ecは
Ec=Φ
ρf/(1-ρfρc)A〔lx〕
床 と天 井 の照 度 比 を と れ ば,1:ρfと
(5・27)
な る。 従 って,床 面 の 反 射 率 が 高 い と,
床 面 と天 井面 との 照 度 は あ ま り違 わ な くな る。 以 上 の こ と は,相 対 す る 2面 の距 離 に比 べ て 面 積 が非 常 に大 き い場 合 に だ け当 て は ま る ので,も
し,2 面 の 距 離 が 面積 に比 べ て大 き く離 れて い る場 合 は,相 互
反 射 の影 響 は小 さ くな る。 (4)円
筒 内 の 相互 反 射
長 い拡 散 性 円筒 の 中 心 に直 線 光 源 が あ る場 合 を 考
え る と,こ の 場 合 は 円筒 が 直 径 に比 べ て 十 分 長 く,光 束 は全 部相 互 反 射 で 円 筒 内 に吸 収 され て しま って,両 端 か らは外 に 出な い も の とす れ ば,球 面 内 の場 合 と同 様 に考 え られ る。 円 筒 の直 径 をD〔m〕
と し,円 筒 の 単 位 長 につ い て 考 え,こ の光 束 を Φ 〔lm〕
とす れ ば,こ の 間 の 円筒 の 内面 に落 ち る光 束 は,直 射 光 と 反 射 光 と を合 わせ て 球 と同様 に Φ/(1-ρ)〔lm〕 と な る 。 従 っ て,円
筒 内 面 の照 度 は
Φ/(1-ρ)πD〔1x〕 と な り,球
(5・28)
(5・29)
の 場 合 と 同 じよ う で あ る 。
〔5〕 透 明 体 の 透 過 以 上 の諸 計 算 は,空 中に お け る光 の吸 収 は な い もの と仮 定 した場 合 で あ るが,空 中 で も距 離 が 非 常 に長 い と,じ ん あ い な ど に よ る吸 収 を 受 け て光 度 が 減退 す る。 ま た,水 中 で は 短距 離で もこの 減 退が 特 に著 しい。 この透 明体 の透 過 率 を求 め る式 は,次 の よ うで あ る。 図 5・21に
図5・20
お い て,A を ある透 明体 と し,そ の層 の 厚 さ を d,
光 が点 Pか ら点 Q まで 通 り抜 け る間 の透 過 率 を τd,層の単 位 長 当 た りの透 過 率 を τ1と す る と,次 式 の よ うに な る。 τd=
τ1d
表5・4空
(5・30)
気層 および水層の透過率 (著者 測定)
図5・21透
明体 の透 過
第5章 (1)直
問
題
径 と高 さの等 しい 円筒 光 源 の最 大 光 度 の方 向 を求 め よ 。
〔 解 法 〕 輝 度 をL,高
さま た は直 径 をdと す れ ば,角
θ方 向 の光 度I は
で,こ れ が 極 大 に な る よ う な θを 求 め れ ば よ い 。 (答 52°) (2)40W白
色 蛍 光 ラ ンプ を水 平 に点 灯 した 場 合 に,そ の 中 心 直 下60cmの
面 照 度 を求 め よ。 た だ し,蛍 光 ラ ンプ の長 さ を120cm,光 〔 解 法 〕
束 を30001mと
の 式 を 用い る。蛍光 ラ ンプ の光 度 は光 束/π2で,こ
ら1m当
プ を5mの
れか
た りの光 度Iが 得 られ る。 こ う して求め た 値 を最 後 に2倍 す れ ば 求 め る
照 度 の 値 とな る。 (3)道
所 の水 平 す る。
幅10mの
長 い 道 路 に全 面 ア ー ケ ー ドが あ り,そ の 中 央 に40W白
(答530lx) 色 蛍光 ラ ン
高 さに連 続 して 直 線 状 に 点 灯 して あ る 。 道 路 面 の平 均 照 度 な らび に 中心 の照 度
を 求 め よ 。 た だ し,ア ー ケ ー ドや 両 側 の店 舗 か らの反 射 は 無 視 す る もの とす る。 〔 解法〕 この 断 面 は 図5・22の
よ う にな る。平 均 照
度 を 求 め るに は,こ の光 源 の光 束 中 何%が 道 路面 に投 ぜ られ るか を 求 め て面 積 で 割 れ ば よ く,ま た 中心 の照 度 は長 い 直 線 光 源 と して 計 算 す れ ば よ い。 (答 62lx, 72lx) (4)前 5m奥
間 の蛍 光 ラ ン プが,ア
図5・22
ーケ ー ドの入 口か ら
に入 った点 の直 上 か ら連 続 点灯 され て い る と した ら,ア ー ケ ー ド入 口 の 中央 点 の 照
度 は ど の く らいか 。 〔 解 法 〕 蛍 光 ラ ンプ が 入 口 ま で5m延 れ か ら,そ の5mの
長 して 点 灯 され て い る もの と仮定 して 計 算 し,そ
仮 想 光 源 に よ る照 度 を 求め て 差 し引 きす れ ば よい 。
(答71x) (5)広
い室 の 中央 に直 径8mの
天 窓 が あ り,そ の上 側 は 昼 光 に よ って300001xの
度 に照 され て い る。 天 窓 中 央 直下 の床 上 の点 の照 度 を 求 め よ 。 た だ し,天 井 の 高 さ4m, 天 窓 の透 過 率50%,壁,天 (6)前
井 な どの反 射 の影 響 は無 視 す る も の とす る。 (答 75001x)
記 の室 に お い て,中 央 よ り5m離
〔 解法〕 等 照 度球 を 利 用す れ ば よい 。
れ た 点 の 照度 を求 め よ。
照
(7)直
径30cmの
球 形 グ ロ ーブ に 電球 を入 れ て 床 上1mの
直 下 の 床 面 の 照 度 は1001xで (a)グ
ロー ブ の下 半 面 の輝 度 は どの く らい か。
(b)グ
ロ ー ブを 直 径35cmの
(8)高
さh〔m〕
(答1410cd/m2)
もの と代 え た ら,照 度 は ど う な るか 。
の灯 柱 上 の 上 に,蛍 光 ラ ンプ を鉛 直 に点 灯 した 場 合,柱
上 の照 度 の 最 大 の 点 ま で の 距 離d〔m〕 (9)一
高 さ に点 灯 した ら,そ の
あ った 。 この 場 合,
を求 め よ。
の 根 元 か ら地
(答d=h/√
′3「)
つ の光 源 が あ る。 そ の 地 上 直 下 の 点 か らd〔m〕 隔 て た 地 上 の点Pの 水 平 面 照 度
を 最 大 に す る に は,光 源 の高 さを ど の よ うに とれ ば よい か 。 た だ し,光 源 は点 光 源 と し, 形 は球,平
板,直 線 の3種 の 場 合 に つ い て,そ れ ぞ れ求 め よ。
〔 解 法 〕 お の お のの 場 合 に お け る点Pの
水 平 面 照度 の式 を 出 し,そ れ が 極 大 に な る よ う
な値 を 求 め れ ば よい 。 この 場 合,照 度 の 式 はdと
θ とで 出 した 方 が 計 算 が楽 で あ
る。 (答 球 形 光 源 の場 合h=d/va,平
板 光 源 の場 合h=d,直
(10)間
広 い 室 の 天 井 が縦 横 お の お の4mの
口,奥 行 お の お の20mの
線光 線 の 場 合h=d/√!3) 天 窓 に な って い
る 。 この天 窓 の上 面 は,300001xの
照 度 に照 され て い る。 天 窓 並 び に そ の周 囲 の天 井 の反
射 率 を50%,床
窓 の透 過 率 を50%と
の反 射 率 を30%,天
した ら,床 の平 均 照 度 は ど の く
らい に な るか。 た だ し,相 互反 射 の 光 束 は 側面 に は 出な い もの とす る。 (11)下
方へ の光 度 が1000cdの
(答710tX)
電 球 を水 面 す れ す れ に水 中 で点 灯 した 時,水 面 下im
ご との 照 度 は ど うな るか 。 た だ し,水 の透 過 率 を0.5/mと
す る。
〔 解 答 〕 これ は 逆2乗 の法 則 に よ る 照度 の計 算 値 に,そ こ ま で の水 の透 過 率 を 乗 ず れ ば よ い。 (12)中
心光 度1億cdの
大 探 照 灯 を も って,1kmの
距 離 に あ る 白色 板 を 照 した 場 合
に,探 照 灯 の そ ば か ら見 た 白色 板 の見 掛 け の輝 度 は どの く ら い か 。 た だ し,空 気 の透 過 率 を0.8,白
色 板 の反 射 率 を80%と
す る。
〔 解 答 〕 白 色 板 の 照 度 を 計 算 し,そ れ か ら輝 度 を 求 め る。 見 掛 け の輝 度 は,そ れ に透 過 率 を 再 び 乗 じた もの とな る。
(答16.2cd/m2)
第 6章
6・1天
然
昼
光
照
明
の 光 源
〔1〕 光 源 の 種 類 電 灯 は,わ れ わ れ人 類 が こ し らえ た人 工 光 源 で あ るが,こ の 他 に 天 然 自 然 に光 を 出す ものが た くさん あ る。 この 天 然 の光 源 の一 番 大 きい もの は太 陽 で,わ れ わ れ人 類 は,こ の 太 陽 の光 の下 に生 活 して い る。 太 陽 が沈 ん で 夜 に な る と,色 々な 天 然 の 明 りが 出て 来 る。 そ の 一 つ は 月 で あ る。 ま た無 数 の 星 の 光 も眺 め られ る。 北 の 方 へ行 く と北 極 光 が あ り,ま
た夜光
虫,発 光 バ ク テ リヤ,蛍 の よ うな もの まで,そ の 種類 は なか なか 多 い。 しか しな が ら,わ れ われ が 照 明 用 の光 源 と して 研 究 す る もの は,太 陽 だ けで あ る。 〔2〕 太 陽 の 運 行 地 球 が 太 陽 の 周 囲 を 回 転 す る 際 に,そ 23.5度
の 回 転 す る 軌 道 に 対 し て,地
傾 い て い る 。 そ の た め に,春,夏,秋,冬
1は 北 半 球 の 夏 至,す が 北 緯23.5度
な わ ち 6月22日
の 四 季 の 変 化 が 生 じ る 。 図6・
の 状 態 を 示 した も の で,こ
の 真 上 に 来 る。
図6・1北
球の軸 は
半球の夏至
の 日に は 太 陽
そ して,高
緯 度 の 土 地 ほ ど 昼 間 が 長 く な り,夜
に な る と 夜 が な くな り,太
よ り北 へ30度
緯66.5度
の 日 は 北 緯35度
回 っ た 地 点 と な り,正
っ た と こ ろ ま で 昇 る の で,南
以北
陽 は終 日頭 上 を ぐる ぐる 回 って い る だ けで あ る。
ま た 南 半 球 で は 夜 が 長 く,南 と は で き な い 。 な お,こ
が 短 い 。 そ して,66.5度
以 南 で は 終 日 夜 と な り,太 の 土 地 で は,日
午 に は,天
の 出,日
陽を見る こ
没 と も東 西線
頂 か ら わ ず か11.5度
南 へ片 寄
側 の 窓 か ら も ほ と ん ど 日 光 は 入 射 しな い 。
夏 至 を過 ぎ る と,日 の 出,日 没 の 地点 も東 西 へ 移動 し,9月23日
の秋 分 にな
る と,日 の 出 は真 東,日 没 は 真 西 とな る。 秋 分 を 過 ぎる と,太 陽 は 次第 に南 へ 傾 き12月22日
の冬 至 に な る と,日 の 出,日 没 は南 方30度
太陽 の 高 度 もわ ず か31.5度
の 地 点 とな り,正 午 の
しか上 が らな い 。 そ の代 わ り,南 側 の窓 か らは最 も
よ く日が 入 り,影 の 長 さ もそ の 物体 の高 さの1.6倍
に及 ぶ 。 この 日 南半 球 は一 番
昼が 長 く,夏 の気 候 と な る。 冬 至 を 過 ぎ る と,太 陽 は再 び もと に戻 り,春 分 で は 秋分 と全 く同 じ運 行 を して,次 いで 夏 至 に戻 る。 <注>日
の 出,日 没 は 太 陽 の上 端 が 出没 す る時 刻 を 指 す 。 ま た,春 分 と秋 分 の 日は昼
の方 が 夜 よ り数 分 長 い。
〔3〕 昼 光 の 照 度 地 球 位 置 で の大 気 圏外 の法 線 照 度(日 光 定 数 とい う)は133800lxで 昼光 に よ る地 上 の 水 平 面 照 度 の 値 は大 体,表6・1の 表6・1昼
な お,各 に な る が,こ
月 の22日
よ っ て 多 少 の 違 い は免 れ な い 。 〔 4〕 昼
光
よ うで あ る。
光 に よ る照 度
の 快 晴 の 日 の 1 日 中 の 照 度 変 化 は,お
れ は 大 体 の 値 で,ご
率
あ るが,
み の 多 少 と か,季
よ そ 図6・2の
よう
節 に よ る水 蒸 気 の影 響 な どに
図6・2
1日 中の 照 度 変 化(ロ
ー マ 数字 は月 を示 す)
太 陽 の直 射 光 を 除 いて,天 空 光 によ るあ る場 所 の照 度 をE〔lx〕 と し,そ の場 所 に 対 し,光 を遮 ぎ る屋 根 とか 樹 木 な どを 除 い た と 仮 定 した場 合 の 照 度 をE0〔lx〕 とす る と,E/E0を 図6・3は
この点 の昼 光 率 と い う。
あ る部 屋 の 窓 か らの 昼 光 に よ る
等 昼 光 率 曲 線 を 示 した も の で,例 え ば,0.25 線 上 の 点 の 照 度 は,そ
の時の全天空による
屋 外 の 障 害 物 の な い 点 の 照 度 の0.25で る,と
あ
を示 す 。
〔5〕 昼 光 の 採 光 (1)窓
の効罪
一 般 の建 物 で 窓 を大
き く とれ ば 明 る く な る が,そ
の 反 面,次
図6・3等
昼光率曲線
の よ う な 欠 点 も生 じて く る 。
(a)室
内の 気 温 の 変 化 が 著 し くな る。
(b)窓
ガ ラス の掃 除 費 が 増 加 す る。
(c)冬
の 暖 房 費 な らび に夏 の 冷 房 費 が増 え る。
(d)工
場 な どで は,心 理 上 外 部 の影 響 を 受 けや す い 。
(e)百
貨 店 な ど で は,商 品 の 陳 列 面 積 が 減 る。
この よ うな 理 由 に よ り,最 近,人 工 照 明 の進 歩 に つ れ て,百 貨 店 や工 場 な どで は,窓 の な い建 物 も出現 して い る。 しか し,事 務 所,大
レス トラ ン,住 宅 な ど で は気 分 の点 か ら窓 を大 き くす る こ
と も最 近 の 傾 向 で あ る。 (2)室
内 の仕 上 げ
室 内 の 照度 は,窓 際 が明 る く,奥 の 方 は暗 い。 この 明
る さの 比 は窓 が低 い ほ ど,ま た 天 井 の反 射 率 が 低 い ほ ど大 き くな る。 従 って,大 き い部 屋 で は,こ の比 を 小 さ くす る た め,天 井 は な るべ く反 射 率 を高 く し,窓 は 天 井 に 接 す る く らい高 くと りた い。 (3)高
層 集 団 住 宅 の採 光
アパ ー トま た は マ ンシ ョ ンな ど とい われ る高 層
集 団 住宅 の 向 き を,図6・4(a)の
よ うに 東 西 に細 長 く した 場 合 と,図(b)の
よ
うに 南北 に 長 く した 場 合 とで は,利 害 得 失 が 反 対 に な る。 図(a)の 場 合 は居 室 が 皆南 面 し,冬 暖 か くて 夏 涼 し く快 適 で あ る が,各 棟 の間 隔 を建 物 の高 さの1.6倍 以 上 に しない と,冬 至 の 日 に陽 が 終 日当 た らな い部 屋 が で き る。 ま た,一 番 北 側 の棟 の北 が 日陰 に な って 日照 権 問題 が起 きや す い。 図(b)の 場 合 は,日 の 当 た る の は半 日だ けで あ るが,各 棟 の間 隔 を狭 く して も 必 ず部 屋 に 日 の 当た る時 が あ る し,北 側 の 住 宅 に 一 日中,陰 を作 る,と も な い。 ま た この建 て 方 で は通 路 を 中心 に して,両 側 に部 屋 を とる,と が で きて,1 戸 当 た りの 建 設 費 が 安 くな る。 わが 国 で は,図(a)の
よ うな建 て 方 が 好 ま れ るが,北
(b)
(a)
図6・4集
団 住 宅 の配 置
欧 な ど で は,冬
の 日 陰 が 長 く な る の で,図(a)の
き く し な け れ ば な ら な い の で,図(b)の
第 6章 (1)曇
天 の 日の 屋外 の 照度 が30000lxの
よ う に す る と,各
よ う に 建 て る,と
問
棟 の 間 隔 を大
も行 わ れ て い る 。
題
時,室 内 の あ る点 の 照 度 が3000lxで
あっ
た とす る と,そ の点 の昼 光 率 は どの く らい か。 (2)野
原 に 白壁 の家 が あ る。 曇 天 の 日の水 平 面 照 度 が30000lxの
時,壁 の 輝度 は どの
く らい に な る か。 ま た,壁 と天 空 との 輝度 比 は どの く らい か。 た だ し,壁 の反 射 率 を70% と し,天 空 の輝 度 は一 様 な もの とす る。 〔解法 〕 白壁 は天 空 の半 分 か ら照 ら され て い る こ と にな るの で,そ の 照 度 は15000lxで あ る。 こ れ か ら輝 度 を 計 算 す れ ば よ い。 ま た,水 平 面 照度 は 天空 の光 束 発 散 度 と 値 が 等 しい か ら,天 空 の 輝 度 も求 め られ る。 (3)赤
道 に お い て,水 平 面 照 度 の 最 も高 い 時 は,何 月 何 日で あ るか。
(4)建
物 の北 窓 が真 北 に直 面 して い る とす る と,そ れ に 陽 の 当 た る,と が あ る のは 1
年 中 で い つ で あ るか 。
第 7章
7・1目 〔1〕 視
の
機
照 明 の 生 理 と心 理
能
覚
光 が 目に入 り,網 膜 に 当 た る と光 の感 覚 を生 じる。 図7・1は 示 した もの で,光 が 角膜 に 当 た る と,そ
目 の水 平 断 面 を
こ を 通 し て ど う(瞳)孔
よ り内 部 に入
り,水 晶体 で屈 折 され て 網 膜 上 に焦 点 を結 ぶ 。 そ れ に よ って物 体 を 認 識 で き るの で あ る。 物 体 の距 離 が 違 え ば 焦 点 の 位 置 も異 な るが,水 晶体 の厚 さ を加 減 す る こ とに よ って,常 に焦 点 の 位 置を 網 膜 上 に も って 来 るよ うに調 節 して い る。 しか し,目 の奥 行 が 特 に長 か った り, 水 晶体 が厚 くな り過 ぎた り して い る と, 遠 方 か らの光 に対 して は 調 節 力 が 及 ば ず 焦点 が網 膜 の前 方 に 結 ぶ 。 これ が 近 視 眼 で,凹
レ ンズ で 補 って 焦 点 距 離 を 延 ば
す。 ま た奥 行 が 短 す ぎる と,近 い 物 体 か 図7・1目
の水 平 断面
らの光 に対 して 調 節 しきれ な くな る。 こ れ が遠 視 眼 で 凸 レ ンズ で補 う。 ま た大 体40歳
以 上 に な る と,水 晶 体 の 調 節 力 が
に ぶ くな り,あ る程 度 厚 さを 増 す,と が で き に く くな るの で,近 い 物 が は っ き り 見 え な くな る。 これ が 老 眼 で,遠 視 眼 と同様 に 凸 レ ンズ で 補 う。 目 に 当た る光 が 強 い と き は,ど
う孔 が 縮 ま って 入 る量 を 調 節 す る 。 ま た光 が 弱
い と き,す な わ ち暗 い と き は ど う孔 が広 が って,な
るべ く多 くの光 を 目の 中 に入
れ る よ うに す る。 ビタ ミ ンA が不 足 す る と,こ の 作用 が に ぶ って暗 い所 で は 見 え
な く な る 。 これ が 鳥 目 で あ る 。 〔2〕
視
力 と 照 明
視 力 と は,目
が 物 の 形 を は っ き り認 め る 能 力 で あ る 。 こ の 視 力 を 表 す に は,視
角 1分 の もの を 見 分 け る 能 力 を1.0と 図7・2の
よ う に,5mの
れ1.5mmの
す る。
距 離 か ら直 径7.5mmで,切
ラ ン ドル ト環 の 切 れ 目 が,ち
れ目および幅がそれ ぞ
ょ う ど こ の 視 角 1分 に 相 当 す る の で,
これ を も って 視 力 試験 をす る。
図7・2ラ
ン ドル ト環 に よ る 視 力1.0の
条件
す な わ ち,視 力 表 の 上 に,こ の よ うな形 を大 小 た くさん 書 いて お いて,そ の ど れ ま で見 分 け られ るか とい う こ とに よ って,視 力が 幾 らか とい う こ とを 決 め る の で あ る。 一般 に,日 本 人 の 視 力 は,目 の よ い人 で1.2∼1.5程
度 で あ る 。 しか し,視 力
は 照 明 に よ って 非 常 に変 わ る もの で,そ の 関係 は図7・3に
示 され て い る通 りで
あ る。 〔3〕 照 明 と作業 能 率 照明 が 作 業 能 率 に影響 す る こ とは 当 然で,一 般 に明 るい ほ ど能 率 は増 進 す る。 そ れ は,明 る けれ ば 視 力 が良 くな る と と もに,気 分 も明 朗 に な って 作 業 に励 む た め で もあ る。 〔4〕 照 明 と 疲 労 目が 疲 れ る と,ひ いて は身 体 も疲 れ る こと は よ く経 験 す る。 目 の疲 労 も照 明 に 関係 が あ る こ と は当 然で あ る。 目 の疲 れ を 促 進 す る 照 明 に は,次 の よ うな もの が あ る。 (a)照
度 が低 い場 合
暗 けれ ば 視 力 が低 下 す るか ら,そ れ を む りに 見 よ う
図7・3照
度 と視 力
と努 力 す れ ば,目 が 疲 れ るの は当 然 で あ る。 (b)ま
ぶ しい光 や 作 業 面 に まぶ しい反 射 面 が あ る場 合
これ は例 えば,ア
ー ト紙 の よ うに光 沢 の あ る紙 の 本 を 読 む時 ,電 灯 との 角度 に よ って は,紙 が 光 る こと が あ る。 この よ うな場 合 は 目が 疲 れ る。 (c)作
業 箇 所 だ けが 明 る く,周 囲 が 暗 い か,ま た は そ の逆 で あ る場 合
(d)照
度 が激 し く変 化 す る場 合
これ は普 通 に は あ ま りな い が,車 内で 読
書 して い た りす る場 合 に,窓 の 外 の 樹 木,そ の他 の影 響 で 照 度 が変 化す る。 こ う い う場 合 も目 が疲 れ る。 〔5〕 光 線 に よ る 目 の障 害 光 線 に よ る 目 の障 害 も非 常 に多 い が,こ れ は 注 意 さ えす れ ば,避 け られ る もの で あ る。 紫 外 線 の うち 遠紫 外 線 は角 膜 で ほ とん ど 吸収 され る の で,角 膜 に は損 傷 を与 え る が,内 部 は無 事 で あ る。 可 視光 線 や 赤外 線 は網 膜 に達 す る ので,輝 度 が 高 い光 源 が あ る と,網 膜 の一 部 に強 い刺 激 を与 え る。 赤 外 線 に よ る水 晶体 の混 濁,す な わ ち 白 内障 は一 種 の職 業 病 と して 知 られ て お り,ガ ラ ス,鍛 冶 工 な ど に見 い 出 され る。 す な わ ち,多 年 にわ た って 多 量 の 赤 外
表7・1光
に よ る 目の 損 傷
線 に 接 して い る も の に 起 こ る 。 表7・1は,光
線 に よ る 目の 損傷 を列 記 した もので あ る。
第 7章 問
(1)急 な いが,明 (2)暗
題
に 暗 い と ころ に 入 る と,ど う孔 がす ぐ大 き くな ら な い で,し
ば ら くは よ く見 え
るい と こ ろに 出 た 時 は す ぐど う孔 が縮 む。 これ は ど うい う理 由で あ ろ うか 。 い 部 屋 で 視 力 を 試 験 す る時,視 力表 を特 に照 明 し よ う と し た ら,ど の よ うな 注
意が 必 要 で あ ろ うか 。 (3)勉
強 机 の 照 明 に 卓 上 スタ ン ドを使 うと した ら,ど の よ うな 注 意 が 必 要 で あ ろ うか 。
第 8章 色 彩
8・1色
の
表
示
色 の 種 類 は 非 常 に 多 い 。 昔 か ら 赤,青 色,と
き 色 な ど,色
と 照 明
な ど の 原 色 名 の ほ か に,え
々 な 名 前 が た く さ ん つ け ら れ て い る が,こ
数 多 い 色 の 全 部 は 到 底 表 し き れ な い し,ま
た,人
ん じ色,空
う い う名 前 で は,
に よ っ て 感 覚 も違 うの で 不 正 確
で もあ る。
そ こで,こ れ らた くさん の 色 を 系統 的 に分 類 し,数 字 を もって 示 す とか,あ い は そ の他 の方 法 で 正 確 に示 す こ とが行 わ れ て い る。 そ うで な けれ ば,例
る
えば,
製 品 の 色 を指 定 した りす る時 に,間 違 いが 起 こ った りす る こ と もあ り得 る ので あ る。 これ らの色 の表 示 法 に,次 の よ うな 色 々 の 方式 が あ る。 〔1〕 マ ンセ ル表 色 系 これ は色 を色 相,明 度,彩 度 の 3要 素 に 分類 し,そ れ ら 3要 素 の組 合 せ に よ っ
図8・1色
相
環
て 表 示 す る もの で あ る。 (1)色
相
よ う に,ま
ず10種
しか し,こ さ ら に10等
こ れ は 赤 と か 青 と か い う色 の 種 類 の 区 分 で,こ
れ を 図8・1の
類 に 分 け る。
の10種
の 色 だ け で は ま だ 不 十 分 な の で,こ
分 して,符
意 味 す る が,10Rと
れ らの一 つ ず つ の色 を
号 を も っ て 表 す こ と に す る 。 例 え ば,5Rと
す れ ば真 赤 を
な る と赤 か ら よ ほ ど 黄 赤 に 近 い 色 と な る 。 実 際 に は,こ
字 の う ち,2.5,5,7.5,10の
4種 だ け を と る の が 普 通 で あ る 。 こ れ で40種
の数 類の
色 相 の 区 別 が 得 られ た 。 な お,こ (Neutral
の ほ か に 白 と か 黒 と か い う よ う な 色 彩 の な い 無 彩 色 も あ り,こ Colorの
<注>色
意 味)で
は 2字 で あ るか ら,赤 黄 で な く黄 赤 とす る。 また 英 語 で は,図8・
1に お い て,時 計 式(右
(2)明
示 され る。
相 の名 前 の う ち,2 字 の もの は,カ ナで 書 いた 場 合 に短 い 方 を 前 に す る 。 例
え ば,黄 は 1字,赤
Greenが
れ はN
まわ り)に 考 え た場 合 に先 の色 を前 にす る。 例 え ば,黄 緑 で は
先 で,Yellowが
度
後 だ か らGYと
す る。
同 じ色 相 の 色 で も,薄 い明 る い 色 も あ れ ば,濃 い暗 い 色 もあ
る。 そ こで,光 を全 然反 射 しな い最 も暗 い もの を 0,光 の全 部 を反 射 す る最 も明 る い もの を10と
し,そ の 中間 を19段
階 に分 け て,こ れ を明 度 と い う。 明度 は
当 然反 射 率 に 関係 す る もの で,こ の 数値 関係 は表8・1の と こ ろ で,白
は 明 度10,黒
表8・1反
は 明 度 0で,そ
よ うで あ る。
の 中 間 は 灰 と い う 。 こ の 灰 に も段 階
射 率 と 明度 との 関 係(著
者 修 正)
〔注 〕 マ ンセ ル の原 表 は,酸 化 マ グ ネ シ ウ ムの 反 射 率 を100%と して全 部 の反 射 率 が 示 され て あ る ので,表8・1は これ らに 酸 化 マ グ ネ シ ウ ムの 反 射 率 の0.975を 掛 けて,普 通 の 意 味 の 反射 率 に修 正 し た も ので あ る。
が あ る わ け で,例
え ば,普
で あ る か ら,N6と (3)彩
通 の コ ン ク リ ー ト壁 の 色 は 反 射 率30%ぐ
書 く。
度
同 じ明 度 の 色 で も,く
さ え 方 を 彩 度 と い う 。 同 じ赤 で も,日 い 。 一 般 に,ス し か し,彩
らい の灰 色
す ん だ 色 と さ え た色 とが あ る。 この色 の
の 丸 の 旗 の 赤 は 彩 度 が 高 く,小
豆 の 赤 は低
ペ ク トル の 色 は 非 常 に 彩 度 が 高 い 。
度 は 明 度 の よ う に 段 階 が11と
決 ま っ て お らず,色
に よ って 段 階 の
数 が 違 う。 そ れ は 色 に よ っ て 段 階 が た く さ ん つ け ら れ な い も の が あ る か ら で あ る 。 例 え ば,青
は 1か ら 6 ま で,赤
は 1か ら16ま
で に 区別 され て い る。 こ の う
ち数 字 の 多 い ほ ど彩 度 が 高 い の で あ る。 以 上 述 べ た 色 相,明 で き る が,こ
度,彩
れ を 記 す に は,色
書 く。 例 え ば,日
〔2〕CIE色
際 照 明 委 員 会)で
こ れ は 赤,緑,青
も の で,例
相 だ け で 明 度,彩
ンセル 表 色 系 と と もに広 く
度 は表 せ な い。
を x,緑 を y,青 を z と し,x+y+z
色 の 割 合 を 以 っ て 表 示 す る の で あ る 。 表8・2は
え ば,100W電
表8・2各
あ る か ら,z=1 が非 常
に少 な い ことが 示 され て い る。
こ れ を 図 に よ っ て 示 せ ば 図8・2の れ をCIE色
そ の数 例 を示 した
球 の 光 色 は
.456+0.407)=0.144で,青
う で,こ
に斜 線 を 引 いて 彩 度 を
らいで あ ろ う。
定 め た も の で,マ
の 3原 色 を 仮 定 し,赤
x=0.456,y=0.407で -(0
に 明 度,次
度 に よ る 表色
用 い ら れ て い る 。 た だ し,色
し て ,各
相 を 最 初 に,次
の 丸 の 旗 の 赤 丸 は,5R5/10ぐ
こ れ はCIE(国
=1と
度 の 3種 類 の 分 類 で 多 く の 色 を 数 値 で 決 め る こ と が
よ
度 図 また は 色 の 3
角 形 と い う。
この 3角形 の太 い線 はス ペ ク トル の 色 を示 し,色 は波 長 で 示 さ れ て い る。 ま た,中 央 の点 E を通 って い る太 い線 は, 黒 体 の温 度 と 色 度 と の 関 係 を示 す 。
種光 源 の 色 度
図8・2CIE色
ま た,E
はx=y=z=0.333の
度 図
完 全 な 白 色 で,こ
の 点 を 通 る 直 線 を 引 く と,そ
の 直 線 に よ って 切 られ る 3曲 線 上 の 色 は 互 い に 補 色 と な る 。 例 え ば,490nm(青 緑)と600nm(赤),ま
た450nm(青)と570nm(黄)な
どで あ る。
〔3〕 色 温 度 に よ る表 色 これ は 主 と して 光 源 の 光 色 を 表 す も の で,色 (p.32)の 〔4 〕 赤,緑,青
項 で 説 明 さ れ て い る 。 表8・3は,色 3
原
温 度 に つ い て は,蛍
光 体 と光 色
温 度 の 数 例 を 示 した も の で あ る 。
色
の 3色 光 の 割 合 を 変 え る と,ど
の よ う な 色 も得 られ る 。 ま た こ の 3
色 の割 合 を 適 当 にす る と 白色 光 とな る。 この よ うに色 光 を加 え る こ とを加 法混 色 と い い,そ ま た,フ
の 赤,緑,青
を 3原 色 と い う。
ィル タ や 絵 の 具 も 3色 を 合 わ せ る こ と に よ っ て,す
べ て の色 が 得 られ
表8・3種 表8・3
る が,こ
種 々の光源の色温度 々 の光 源 の 色 温 度
の 場 合 は 割 合 を 適 当 に し て も,白
混 色 と い う。 こ の 場 合 の 3原 色 は,黄,赤
色 は 得 られ ず に 黒 と な る 。 これ を 減 法 紫(マ
ゼ ン タ),青
緑(シ
ア ン)と
な
る。
〔5〕 標
準
光
源
物 体 の色 は,そ れ を照 明 す る光 の ス ペ ク トル に よ って 定 ま る。 従 って,光 色 を 決 めず に物 体 の色 を表 す こと はで きな い わ けで,厳 密 に色 彩 を表 示 す る に は,光 源 の光 色 を は っき り決 め な けれ ば な らな い。 そ の た め にCIEで
は,次 の 3種 の
標 準光 源 を定 め て い る。 (a)A
光源
色 温 度2856Kに
点 灯 し た ガ ス 入 りタ ン グ ス テ ン電 球 で,電
光源
A 光 源 に 規定 の仕 様 の 2種 の 溶 液 フ ィル タ を掛 けて6774Kの
球
光 の代 表 。
(b)C
黒 体 放 射 に近 似 させ た もの 。 曇 天光 の代 用 。 (c)D65光
源
色 温 度 が6504KのCIE昼
光 で,こ れ に近 似 す る色 温 度 の
昼 光 の可 視 お よ び紫 外 波 長 域 の 特性 を 代表 す るが,ま だ 確 定 され て い な い。 普 通,物 体 の色 を 決 め る に は,こ の C光 源 の下 に お け る色 を い う。 8・2色
の
性
質
〔1〕 色 彩 の 効 果 (1)暖
冷感
赤 は火 を,青
赤 や黄 赤 は暖 か く,青 は冷 た い感 じを与 え る 。 恐 ら く赤や 黄
は 水 を 連 想す る ため で あ ろ う。 ま た 白,灰,黒
の 無 彩色 も冷 た い色
図8・3色
と 暖冷 感
で あ り,部 屋 の壁 を 白 く塗 る と冷 た い感 じに な る。 人 の 服 装 も夏 は 白色 が 多 いの は,熱 を受 け に くい と い うよ り も,む しろ心 理 上 の理 由で あ ろ う。 図8・3は, 色 と暖 冷 感 との 関係 を示 した もので あ る。 (2)大
小感
同 じ大 き さの もの で も,明 る い色 の もの は大 き く見 え る。 ま
た 明 度 は 同 じとす る と,黄 や 赤 は青 よ り 大 き く見 え る。 同 じ大 き さの 自動 車 で も,黒 い車 よ り黄 赤 の車 の方 が 大 き く見 え るの で,近 ご ろ は黒 いタ ク シ ー は少 な くな った。 (3)遠
近感
夜 の 火 事 を近 く感 じ,赤 い ネオ ン も近 く見 え る こ と は大 概 の
人 が経 験 して い よ う。 この よ うに赤,黄 赤 な ど波 長 の長 い色 は近 く見 え,波 長 の 短 い 青 は 遠 ざ か って 見 え る。 こ うい うわ け で,前 者 の よ うな 色 を 進 出 色,後 者 を 後 退色 と もい う。 自動 車 事 故 を防 ぐた め に,車 を赤 く塗 る とか,黄 色 の 旗 を もつ とか す るの は, そ れ らを近 く感 じ させ て,遠
くか ら用 心 させ る ため で あ る。
この た め,低 い天 井 を高 く見 せ るに は薄 青 色 に塗 るの もよ い し,壁 を 暖 色系 の 色 で 塗 れ ば暖 か みが あ る代 わ りに部屋 は狭 く感 じ られ よ う。 (4)軽
重感
同 じ重 さ の も の で も,明
る い 色 の も の は 軽 く感 じ,濃
色 の も
の は 重 く感 じ る 。 白 い か ば ん や ハ ン ドバ ッグ が 軽 快 に 見 え る の も こ の た め で あ り,自 動 車 で も,ハ
イ ヤ ー や 自 家 用 車 に 黒 が 多 い の は,重
々 し く立派 に見 え る た
め で あ ろ う。
(5)興
奮 と沈 静
赤 色 は神経 を興 奮 させ,青
は沈 静 させ る と い う こと も よ
く知 られ て い る。 学 校 の教 室 な ど も,壁 は低 学 年 級 で は生 徒 の気 分 を楽 し くす る た め に,ピ
ンクか ク リー ム色 また は黄 色 に近 い緑 と し,高 学 年 級 で は落 ち着 か せ
るた め に青 に近 い 緑 に す る とよ い。 (6)食
欲 増進 と減 退
赤 系 統 の色 は食 欲 を 増 進 させ,青 系 統 の 色 は 減退 さ
せ る。 ま た,彩 度 の高 い色 は低 い色 よ り増 進 させ る。 この た め,食 堂 な どで は な るべ く赤,黄 赤,黄 な どの色 を 巧 み に 利 用 す る と 客 の 食 欲 を 進 め て よ い 。 しか し,こ うい う色 を あ ま り面 積 を大 き く使 うと,落 ち着 きを 失 わ せ た り,興 奮 させ る恐 れ が あ る。 (7)色
の 認識 度
色 の認 識度 は,そ の 色 自身 と その 地 色 との 関 係 に よ って
決 ま る。 多 くの 実 験 の 結果 に よ る と,黒 地 に黄 が 最 も認 識 度 が 高 い と さ れ て い る。 踏 切 のバ ー な どに 黒 地 に黄 色 の しま が画 か れ て い る の は,こ の た め で あ る が,こ の 黄 は明 度 も彩 度 も高 い(例 えば,レ
モ ンイ エ ローの よ うな)も の で な け
れ ば 効 果 は な い。 (8)色 は青 緑,青
の 対比 な ど)と
図8・1に か,黄
お いて 互 い に相 対 す る色,例 え ば 赤 と緑(ま
と 青(ま
た は青 紫,紫
た
な ど)が 補 色 で,ま た 明 度 で
も,そ の値 の差 の多 い場 合,例 え ば 白 と 黒 も補 色 とな る。 この補 色 は互 い に強 め合 う効 果 が あ る。 例 え ば,外 科 の手 術 用 の シ ー ツを 青 色 にす るの は,視 力 を よ くす る効 果 の ほ か に,血 の色 を鮮 か に見 せ るた め で あ り, 黒 衣 の婦 人 が色 白 く見 え るの も補 色 の た めで あ る。 ま た,赤 い ネ クタ イ も茶 色 の 服 で は 引 き 立 た な いが,紺 の 服 の場 合 は鮮 か に 引 き立 って 見 え る。 わ れ わ れ の生 活 の色 々な 面 で,こ の補 色 を うま く利 用 す る と効 果 が 大 い に上 が るで あ ろ う。 〔2〕 色 光 線 と 色 彩 光 線 が物 体 に 当 た る と,そ の 物体 か らは光 線 を反 射 して くる。 物 体 に よ って は 赤 を 多 く反 射 す る もの もあ り,青 を 多 く反 射 す る もの もあ る。前 者 は赤 い 色 に, 後 者 は青 く見 え る。 赤 い物 体 に 赤 い 光 を 当 て れ ば,反 射 率 が 高 い か ら明 る く見 え,青 い光 を 当て れ ば 暗 くみ え る。 緑 の 木 の葉 に水 銀 灯 の光 を 当 て る と明 る く美 し く見 え るの は このた め で あ る。 〔3〕 色
順
応
電 球 の光 は昼 間 の光 線 や蛍 光 灯 の 光 に 比 べ る と,黄 や 赤 の 成分 が多 い。 従 っ て,そ
うい う光 が 白 い紙 を照 す と,そ の 白紙 は黄 赤 色 に な るは ず で あ る。 と こ ろ
が,実 際 は 白い 紙 は依 然 と して 白 く,黄 赤 色 に は感 じな い 。 しか し,こ れ を 天 然 色 フ ィル ムで 写 す と黄 赤 色 に 写 る。 フ ィル ム は正 直 だ が,人 間 の 目 は光 線 の いか ん にか か わ らず,白
い もの は 白 い よ う に 見 え る。 この よ うな 現象 を色 順 応 と い
う。 この現 象 は,あ る光 線 の 下 で は 目は そ の光 に なれ て しま って,感 度 が にぶ る た め で あ る。 つ ま り黄 赤 色 の光 に対 す る感 度 が たぶ る ので,黄 赤 色 の もの を 白 く感 じて しま うの で あ る。 従 って,電 球 の光 の下 で は黄 色 の ものが 淡 黄 色 とな り,白 と 区別 が つ きに く くな る。 昼光 照 明 の 下 で は,快 晴 の 日の 日陰 で は 青 空光 の 青 い光 だ け を受 け る し,ま た 直 射 日光 の 下 や 曇天 の 日で は光 の 色 も違 うの で,顔 色 も違 って見 え る はず で あ る が,実 際 に は,顔 色 の変 化 は認 識 され な い 。 これ も色順 応 の た めで あ る。 〔4〕 演
色
性
あ る光 源 の 光 で 色 彩 の あ る物 体 を照 した 場 合 に,そ の 色彩 が 曇 天 の 日 の昼 光 で 見 た 場 合 と同 じよ うに 見 え る か 否 か と い う こ とを 演 色性 とい い,同
じよ うに見 え
る ほ ど演 色 性 が よい とい う。 と ころが,そ の 光 源 の 演 色性 が どの くらいか と い う こ と は,た だ見 ただ けで は正 確 に は分 か らな い。 これ で は二 つ の光 源 の演 色 性 の 比 較 はで き な い。 そ こで,色 の 種 類 を数 字 で 表 した よ うに,演 色 性 も数 字 で 示 す よ うに した の が 演 色 評 価 数 で あ る。 これ は一 つ の光 源 の エ ネル ギ ー 曲線 を,そ れ と同 一色 温度 の 黒 体 の 熱放 射 の エ ネル ギ ー曲 線 に 比 べ て,ど の く らい似 て い るか を数 値 を も って 表 した もの で あ る。 表8・4は,数
種 類 の光 源 につ い て,こ の平 均演 色 評 価数 を示 した もの で,数
値 の 高 い ほ ど 演 色性 が よ いの で あ る。 〈 注 〉 演色 性 評 価 の基 準 を 曇 天 の 日の昼 光 に しな いで,等 た の は,色 順 応 とい う現 象 が あ るた め で あ る。
しい色 温 度 の 黒体 放射 に し
表8・4演
8・3色
彩
調
色 評 価 数
節
〔1〕 色 彩 調 節 の 効 果 色 彩 調 節 と は,色 彩 の もつ 効 果 を 検 討 し,そ れ を われ われ の生 活 に科 学 的 に利 用 す る こ とで,工 場,事 務 所,学 校,そ の 他 に 広 く実施 され て い る。 こ の色 彩 調 節 を 実行 す る と,次 の よ うな効 果 を あげ る こ とが 明 らか に され て い る。 (a)明
る くて気 分 が よ くな る。
(b)作
業者 の 目の 疲労,ひ
(c)作
業 者 の 注 意 が 仕 事 に 集 中 す る。
(d)作
業 能 率 が 向 上 し,仕 事 の 失敗 が少 な くな る。
(e)安
全 が 保 た れ,事
(f)作
業 場 の 整 理 ・整 と ん が よ くな る。
(g)建
物 ・器 物 の 保 安 が よ く な る 。
い て は身 体 の疲 労 が 減 る。
故 が 減 る。
〔2〕 色 彩 調節 の方 針 色 彩 調節 は,環 境 色 と安全 色 との 2種 につ いて 行 わ れ る。 環 境 色 は天 井 ・壁 ・ 床 か ら機 械 ・戸 棚 ・机,そ の他,わ
れ わ れ の周 囲 にあ る物 体 に施 され る 色 で あ っ
て,そ の 場所 に お け る仕 事 を しや す くす るよ うな色 が 選 ば れ る。 安全 色 は危 険 ・ 注 意 な どを,色 彩 に よ って 警 告 また は注 目 させ る ため に使 わ れ る色 で あ る。 (1)環
境色
天 井 は室 を 明 る くす るた め に は 白色 が よ い が,食 堂 とか ロ ビ
一な どの よ うに,落 ち着 い た 雰 囲 気 の 欲 しい 室 は 幾分 明 度 を落 す 。 また,病 室 な どの よ うに,天 井 を見 て い る時 間 が 長 い と こ ろ も,や は り明 度 を落 す と よい 。 壁 もな るべ く明 る い色 が よ い が,白 で は 冷 た く,ま た刺 激 が 強す ぎ る。 ま た,腰 羽 目 は汚 れ を 目立 た せ な い た め と,上 壁 の色 と は っ き り分 けて 部 屋 に 安定 感 を もたせ る ため に,濃 い 色 に す るの が 普通 で あ る。 (2)安
全色
環 境色 は,一 般 に彩 度 を低 く した方 が 落 ち着 きが あ って よ い
が,安 全 色 は 目立 たせ るた め に も鮮 や か な 色 に す る。 表8・4は,安
全色の種類
と使 用 箇 所 とを示 す 。 表8・5安
第 8章 (1)表8・2に (2)配
全 色 の種 類 と 使 用例
問
題
示 され て い る光 源 の う ち,最 も青(z)の
少 な い もの は何 か 。
電 盤 の ふ た に安 全 色 を塗 るの に,外 面 で な く内面 に 塗 る の は なぜ だ ろ うか。
第 9章
9・1照
照
明
器
具
明器 具 の材 料 と その 性 質
〔1〕 材 料 の 種 類 一般 照 明器 具 の 材料 と して は,次 の よ うな ものが 使 用 され て い る。 (a)金
属(ア
ル
ミ ニ ウ ム,ニ
(b)ガ
ラ ス(乳
(c)プ
ラス チ ック
(d)木
色 ガ ラ ス,透
ッ ケ ル,鉄
明 ガ ラ ス,色
ほ う ろ う 引 き,ク
ロ ム な ど 。)
付 き ガ ラ ス な ど 。)
材
(e)紙(普
通,木
材 の 枠 に 張 る 。)
(f)布 〔2〕 反 射 と 透 過 (1)反
射 光 ・透 過 光 の 配 光
物体 に光 が 当 た る と,表 面 で そ の光 の一 部 は
反 射 し,残 りは物 体 に吸 収 され るが,そ の物 体 が ガ ラ スや 紙 の よ う な も の な ら ば,そ の一 部 は そ の物 体 を透 過 して ゆ く。 鏡 面 に光 が 当 た る と,そ の入 射 角 と等 しい反 射 角 の 方 向 だ け に反 射 して,他 方 向 へ は散 らな い。 これ を正 反 射 とい う。 ま た,透 明 ガ ラス の 場 合 は,表 面 に入 射 す る時4%,裏
側 か ら出 る時4%正
反射 す るが,残
り はそ の ま ま散 らな い で直 進
す る。 これ を正 透 過 と い う。 これ と反 対 に,吸 取 紙,障 子 紙 の よ うな粗 面 で は,反 射 光 は あ らゆ る方 向 へ散 る。 これ を完 全 拡 散 反 射 と い う。 ま た,乳 色 ガ ラスや プ ラ スチ ック な ど は,透 過 光 が あ らゆ る方 向へ 散 る。 これ を完 全拡 散 透 過 と い う。 しか し,普 通 の金 属 面 や ア ー ト紙 の よ うな光 沢 面 は,正 反 射 と完 全 拡 散 反 射 の 中間 の よ うな反 射 に な るの で,こ れ を不 完 全 拡 散 反 射 と い う。 す りガ ラ スや トレ ー ス紙 な ど は,不 完 全 拡 散 透 過 の 例 で あ る。 これ らを表 に ま とめ る と,表9・1
表9・1反
射 ・透 過 の 例
の よ うに な る。 (2)透
明 体 の 反 射 と透 過
普 通 の板 ガ ラ ス に光 が 当 た る と4%反
射 し,あ
と は中 に入 り,出 る時 ま た4%ガ
ラス 内 に反 射 す る。 これ を 細 か く数 値 で 示 せ ば
図9・1の
ラス表 面 の反 射 は入 射 角 に よ って も変 わ り,入
よ うで あ る。 また,ガ
射 角 が 大 き くな る と反 射 率 も大 き くな る。 そ の関 係 は,図9・2の
図9・1板
図9・2入
ガ ラス の 反射
(a)
図9・3粗
(b) 面 ガ ラス の透 過
よ うで あ る。
射 角 と反 射 率 と の 関係
また 片 側 が粗 面 に な って い る もの は,粗 面 か ら入 射 した 場 合 と,滑 面 か ら入 射 した 場 合 とで反 射 も透 過 も違 う。 図9・3(a)は,粗 う が,滑
面 か ら入 射 した 光 は8%の
面 か ら入 射 した 場 合 は,裏
て しま う の で,結
局,透
面 で45度
過 が 減 り,反
〈 注 〉 ガ ラス面 に入 射 角 が45度
反 射 光 以 外 は 全 部 透 過 して し ま 近 く の 所 が あ る と 全 反 射 して 戻 っ
射 光 が 増 え る(表9・3参
以上 で 当 た って も,図9・4(a)の
ガ ラス 内 に入 るが,反 対 に,ガ ラス 内 か ら45度
照)。 よ うに 屈 折 して
以上 の 角 度 で 出 る場 合 は,外 に 出な い
で,表 面 か ら再 び ガ ラ ス 内に 反 射 して 戻 って しま う。 これ を 全反 射 と い う。 こ の全 反 射 を利 用 して 光 を 曲 げ る こ とが で きる。 そ れ は 図(c)の よ うな 曲 が った ガ ラ ス棒 の一 端 か ら光 を入 れ る と,図 に 示 され る よ うに全 反 射 で,ど こ まで も ガ ラ ス棒 の 内 部 を 通 って外 に 出な い か らで あ る。 この 現 象 を 応用 して,極
く細 い無 数 の ガ ラ ス フ ァ イ
バ を束 ね て 自 由 に曲 が る棒 を作 って,胃 や そ の他 体 内 の観 察 や写 真 撮 影 を す る こ と も行 わ れ て い る。 これ を フ ァバ ス コー プ とい う。
(b)
(a)
(c)
図9・4ガ
次 に,透
明 体 の 反 射 率 ρ は,式(9・1)の
ラス の 透 過
よ う に 屈 折 率 nに 関 係 す る 。 (9・1)
数 種 の 物 体 に つ い て,屈 9・2の
折 率 n と 式(9・1)か
ら求 め た 反 射 率 ρ と を 示 す と,表
よ うに な る。
(3)反
射率 ・透 過 率
反 射 光 あ るい は透 過光 の 光束 の,そ の入 射 光 の 光 束
表9・2透
表9・3不
表9・4透
明物 体 の 反 射 率
透明材料の反射率 〔%〕
明 な らび に 半 透 明体 の反 射 率(ρ)お
よ び透 過 率(τ)
に対 す る 比 を,そ れ ぞ れ反 射 率 ・透 過 率 と いい,普 通,百 率,透 過 率 を100%か
分 比 で表 す 。 また 反 射
ら引 い た残 りを 吸収 率 とい う。 表9・3と
表9・4は,反
射 率 と透 過 率 の 値 を 示 した もので あ る。 この 表 の 中 で,つ や消 しガ ラス や型 ガ ラス が表 と裏で 値 が 違 う の は,図9・3 に 示 され て い るよ うな理 由 に よ る。
各種金属 の反射率
図9・5
(4)金
属面 の反 射 と 波 長
金 属 面 の色 が材 料 に よ って異 な るの は,波 長 に
よ って 反 射 率 が異 な る た め で あ る。 そ の 関係 は図9・5の
よ うで あ る。
この図 か ら分 か るよ うに,銀 は最 も反 射率 が高 いが,紫 外線 の 反 射 率 は低 い。 ア ル ミニ ウ ム と ク ロム は,と
もに紫 外線 の反 射 率 が 割 合 に高 い の で,こ の 電 解 研
磨 仕上 げ は殺 菌 灯 の 反 射 が さ に用 い られ,空 気 中で 変 質 も しな い の で 最 近 広 く利 用 され て きた 。
9・2照
明 器具 の配 光 と効 率
〔1〕 照 明 器具 の 目 的 照 明 器 具 の 目的 は色 々あ る が,主 な もの は次 の よ うで あ る。 (a)光
源 の配 光 を 照 明 の 目的 に 合 うよ うに変 え る。
(b)輝
度 の高 い 光 源 の ま ぶ しさ を防 ぐ。
(c)照
明 の効 率 を 高 く して,光 を経 済 的 に利 用 す る。
(d)光
源 を 眺 め た 時 の 感 じを よ くす る。
(e)室
の装飾に役立てる。
〔2〕 照 明 器具 の種 類 と そ の配 光 照 明 器 具 には,次 の よ うな 種 類 が あ る。 (1)反
射が さ
これ は光 を下 方 へ全 部 反 射 す る もの で,金 属 の よ うな 不 透
明 の 材 料 で 作 ら れ,工
場 に 多 く用 い られ る 。 ま た 非 対 称 の も の も あ り,角
照形 と
呼 ばれ て い る。 こ れ ら は配 光 に よ って,図9・6の
図9.6
(2)セ
よ うに分 類 され る。
反射 が さ と そ の配 光
ー ド 乳 色 ガ ラス や紙 な ど の半 透 明 材 料 を も って 作 られ た もので,
大 部 分 の光 は下 方 へ反 射 され るが,一 部 は上 方 へ も出 て,上 下 の明 暗 が 極 端 に な らな い ので,反 射 が さよ り穏 や か な感 じと な り,一 般 に広 く使 われ て い る。 セ ー ドに は色 々な形 を した ものが あ るが,そ の最 も簡 単 なの は,図9・7の うな セ ー ドで あ る。普 通,セ
ー ドは光 を下 方 へ 多 く出 させ る と と もに,光 源 の ま
ぶ し さを防 ぐ目的 も併 せ有 す る ので,視 線 を水 平近 くに した 場 合,な
図9・7セ
よ
ー ドとそ の 配 光
図9.8遮
るべ く光 源
光角
が 目 に入 らな い よ うな形 にす る こ とが 望 ま しい 。 そ こで , 図9・8の
よ うに,光 源 の 下 端 とセ ー ドの下 端 と を結 ぶ 直 線 と水 平線
と の 角を 遮 光 角 と い って,こ れ が25度 以 上 にな るよ うに す る 。P−1セ ー ドは遮 光 角が0度 以下 な の で,目 の保 護 に は全 然 役 立 た な い。 この セ ー ドは以 前,光 源 の 輝 度 が低 くて ま ぶ し さを防 ぐ ことが あ ま り要 求 され なか った 時 に作 られ た もの で あ る。 (3) グ ロー ブ 電 球 の 周 囲 を全 部 覆 ったガ ラ ス球 を グ ロー ブ(glove)と
い
う。 グ ロー ブ は球 の意 味 で あ るが,球 以 外 の形 の もの で もグ ロ ーブ とい わ れ て い る。 しか し,蛍 光 灯 用 の よ うな あ ま りに も細 長 い もの はカ バ ー(cover)と と もあ る。 グ ロ ー ブの 最 も簡 単 な の は,図9・9の
い うこ
よ うな も の で,そ の配 光 は ほ
とん ど 円形 にな るが , 上 下 が 縮 ま り直 径 の大 き い もの ほ ど水 平 方 向 の光 度 が 弱 く,上 下 方 向が 強 くな る。 ま た,グ ロ ーブ が 電 球 の ワ ッ ト数 に比 べ て 小 さす ぎる と,中 の温 度 が 高 くな る ので,電 球 の 大 き さ に対 しグ ロー ブ の大 き さ も,表9・5の
よ うに最 小 限 度 が定
め られ て い る。
表9・5電
図9・9
(4)皿
球 の大 き さ と グ ロ ー ブ の大 き さ と の 関 係
グ ロー ブ と そ の配 光
と反 射 皿 図9・10の
よ う に,光 源 の 光 を い った ん 天 井 へ 当て,
そ の反 射光 で照 明す る た め の器 具 で ,光 の効 率 は低 いが,ま ぶ し さの な い柔 か い 照 明 が得 られ る。
図9・10
(5)ル
皿(b)と
反 射 皿(a)
図9・11
ルーバの配光
ー バ 金 属 また は木 板 を格 子 に組 ん で 電 灯 の下 に お き,斜 め 下 方 か
ら光 源 が直 接 見 え な い よ う に した もの で あ る。 ル ーバ の配 光 は遮 光 角 に よ って 違 い,遮 光 角 が 大 きい ほ ど光 は横 に 広 が らず, か つ,直 下 光 も弱 くな るの で,遮 光 角 は25度
ぐらい に した方 が無 難 で あ る。
(6) シ ャ ンデ リア 多 数 の 電 球 を一 つの 器具 に取 り付 け た もの で,豪 華 な 感 じを求 め た もの で あ る。 配 光 も一定 しな い し,小 電球 を多 数 つ け る の で,効 率 も低 く,価 格 も高 い 。 〔3〕 照 明 器具 の取 付 法 と そ の 名称 照 明 器 具 は,そ の 取付 法 に よ って色 々 の名称 が あ る。
図9・12 照明器具の取付法による名称
(a)コ
ー ドづ り
コ ー ドで 天 井 か らつ り 下 げ た も の(図9・12(a))。
(b)く
さ りづ り
く さ りで つ り 下 げ た も の(図(b))。
(c)パ
イプづ り
パ イ プ で つ り下 げ た も の(図(c))。
(d)天
井灯
(e)天
井 じか 付 け
(f)ブ
ラケ ッ ト
(g)卓
上 スタン ド
(h)フ
ロア ス タ ン ド
天 井 へ 半分 埋 込 む よ うに して 取 り付 けた もの(図(d))。 天 井 に直 接取 り付 け た も の(図(e))。 壁 に 取 り付 け た も の(図(f))。 卓 上 に お く ス タ ン ド(図(g))。 床 の 上 に お くス タ ン ド(図(h))。
〔4〕 照 明器 具 の効 率 照 明 器 具 の 効 率 とは,器 具 か ら外 に出 る光 束 と光 源 の 光束 と の比 を い う。 つ ま り光 源 の 光 束 中,器 具 に吸 収 され な いで 外 に出 る光 束 の 割 合 で あ る。 こ の 器 具 の 効 率 は,器
具 の 形 ・材 料 な ど に よ っ て 異 な る が,大
体 次 の よ うで あ
る。 (a)反
射 が さ60∼70%(遮
光 角30度)
(b)わ
ん 形 セ ー ド(乳 色 ガ ラ ス)85∼90%(同
(c)グ
ロ ー ブ(乳
上)
色 ガ ラ ス)80∼82%
こ の う ち グ ロ ー ブ の 効 率 は,次 τ,反 射 率 を ρ と し,光
の よ うに して求 め られ る。 グ ロ ーブ の 透過 率 を
源 の 光 束 を Φ 〔lm〕 と す る と,第
1回 に グ ロ ー ブ の 内 面
に 当 た る 光 東 中 Φρ だ け 反 射 さ れ,Φ τ だ け 透 過 して 外 へ 出 る 。 反 射 さ れ た 光 束 は 再 び Φρ2だ け 反 射 さ れ,Φ ρτ だ け 外 に 出 る 。 こ れ を 無 限 に 繰 り返 え す と,外 出 る 光 束 Φ0は,
と な る 。 従 っ て,グ
η=
Φ0 / Φ
ローブ の 効 率 ηは =τ /1-ρ
(9・2)
に
とな る。 普 通 の 乳 白 グ ロ ー ブ の 材 質 は ρ=0.45,τ=0.45ぐ
ら い で あ る か ら,こ
れを式
(9・2)に 入 れ る と
と な り,82%の
効 率 とな る。
つ ま り,乳 白 グ ロ ー ブ の 透 過 率 は0.45 で も,実 際 に 外 に 出 る 光 束 の 割 合 は0.82 に な る 。 こ れ は 相 互 反 射 の た め で あ る。 次 に,ル
ー バ の 効 率 は,そ
時 の 下 方 へ の 光 束 と,つ の 比 で あ る が,こ
けな い 時 の光 束
れ は遮 光 角 とル ーバ の
反 射 率 と で,図9・13の 射 率 が 低 く,遮
よ う に な り,反
光 角 が 大 き い と非 常 に 効
率 が 低 く な る の で,効 ろ に は,こ
れをつけた
率 を 重 視 す る とこ
の よ うな もの は避 け た い。
9・3光
の
投
図9・13
ル ーバ の 効 率
射
〔1〕 投 射 の 方 法 光 の 投射 と は,光 束 を小 立 体 角 に 集 中 して,光 度 の 強 い光 と して 投 射す る こと を い う。 この方 法 に は,レ ンズ に よ る もの と,反 射 鏡 によ る もの とが あ り,前 者 は 映 写機,灯
台 な ど に 利用 さ れ,後 者 に は投光
器,探 照 灯 な ど が あ る。 〔2〕 反 射鏡 とそ の配 光 (1)反
射面 反 射鏡 に は球 面 の 一 部 を用 い
た もの もあ る が,普 通 は放 物 鏡 で あ る。反 射 面 は ガ ラス に め っき した もの,金 属 を磨 い た もの な ど が あ る。
図9・14
放 物 鏡 に よ る反 射
(2)反
射 鏡 の 配 光 断 面 が 図9・14の
よ うに放 物 線 にな って い る もの で,
光 源 が点 光 源 で あ るな らば,反 射 光 は完 全 に平 行 光 線 と な るが,実
際 は大 き さが
あ るた め に,図 の よ うに発 散 し,照 射 面 の 照 度 も逆2乗 の法 則 に従 う。 この鏡 面 の焦 点 に光 源 を お き,真 正 面 か ら見 る と,光 源 が鏡 一面 に広 が って 見 え る。 す な わ ち,光 源 が 同 じ輝 度 で そ れ だ け 広 が った もの と同 じに な る。 従 っ て,正 面 の方 向 へ の光 度(中 心 光 度)は,次
式 の よ うに な る。 (9・3)
ここ に,dは
鏡 の直 径 〔m〕,Lは 光 源 の輝 度 〔cd/m2〕,ρは 鏡 の 反 射 率 で あ る。
この式 は焦点 距 離 お よ び光 源 の光 束 に は無 関係 で あ る。 しか し,配 光 は焦 点 距 離 や 光 束 に よ って,次 の よ うに変 わ る。 (a) 焦 点距 離 の影 響 鏡 の直 径 が等 しい場 合 に,焦 点 距 離 が 短 い もの は長 い もの に比 べ て,反 射 面 の有 効 利用 立 体 角 が大 き いか ら(図9・15に
お いてΩ'>
),反 射光 束 も大 き い。 しか し,そ れ と と もに発 散 角 も大 き くな って,結 Ω局,配 光 曲線 の 幅 が広 くな る だ けで 中心 光 度 は変 わ らな い。
図9・15 2種 の焦点距離の反射鏡の配光
(b) 光 束 の 影響 輝 度 が 高 くな れ ば 中心 光 度 が 強 く な る が,輝 度 が 変 わ ら ず,光 源 が 大 き くな った た め に光 束 が 増 え た場 合 は,や は り配 光 曲線 の 幅 が 大 き くな る だ けで 中 心 光 度 は 変 わ らな い。 光 の投 射 の よ うに,ご
く細 長 い配 光 に な る もの は,配 光 曲線 が 書 き に くい 。 そ
こで,こ れ を角 度 まで は っ き り分 か りや す く示 す ため に,図9・16の 方 をす る のが 普 通 で あ る。 この 図 は,図9・15の 2曲 線 は それ ぞれ,図9・15のA,Bと
よ う な描 き
配 光 を 描 い た もの で,A,Bの
同 じ もので あ る。
この 曲 線 か ら分 か る よ うに,一 般 に ビ ー ム光 度 は 中心 が 一 番 強 く,周 辺 に至 る に従 って 次 第 に弱 くな る。 そ こで,光 度 が 中 心光 度 の1/10(反 反 射 形 蛍 光 水 銀 ラ ンプ の場 合 は1/2)に
射形 電球, な る まで を
有 効 な範 囲 と見 な し,そ の 角 度 を左 右 合 わせ て ビー ム の 開 き とい う。 図9・16に は,Aが15度,Bが7度 〔3〕 投
射
示 し た ビー ム の開 き で あ る。
器
(1) 投 光 器 建 物 や 作 業 場 な ど に光 を 強 く照 射 す るた め の もので,開
き は大 き くて も多 数 の光 束
を 利 用 で きる よ うに短 焦 点 の 反 射 鏡 を 使用 す る。 ビ ームの 開 き は,20度
ぐらい か ら100度
ぐらい で あ
り,照 明 す る もの まで の距 離 や 照 射 面 積 な ど に よ っ て 適 当 に選 ぶ 。 図9・17は
図9・16 線反射光 の配光 曲 の書 き方
投光 器 の例 で あ る。
(2) 前照 灯 自動 車 や 電 車 の 前 面 に つ け て, 前 方 を強 く照 射 す る もので,こ の うち,自 動 車 用 は 前 照灯 全 体 が シ ール ドビー ム電 球 に な って い るの が 普通 で あ る(図2・10参 (3)探
照)。
照 灯 主 と して 軍 用 の もの で,非 常 に
強 い ビー ムが 必 要 なの で,直 径100∼150cmぐ
らい
の大 き い反 射 鏡 を 用 い る。焦 点 距 離 を短 くす る と材 料 が 余 計必 要 に な り重 くな る の で,こ れ を極 端 に長 く して,浅 い皿 の よ うな形 の もの を使 用 す る。 その 代 わ り,ビ ー ム の開 き は ご く狭 い。
第9章 (1)魚
図9・17
問
投
光
器
題
眼 カ メ ラは,水 中か ら水 上 の全 部 の 景 色 を写す もの で あ る が,こ れ は ど うい う
理 由 で写 せ る の だ ろ うか。 〔 解 法 〕 光 の全 反 射 の応 用 で あ り,図 を画 い て 考 え る とよ い。 (2)グ だ ろ うか 。
ロー ブ は球 形 よ り も 横 長 の長 円形 の もの の方 が,下 方 の光 度 が 大 きい の は な ぜ
屋 内 照 明 の 設計 と施 工
第10章
10.1 〔1 〕
全般照明の設計 設 計 の 順 序
部 屋 を照 明 す る方 法 と して は,部 屋 全 体 を 一様 の照 度 に照 明 す る方 法 と,作 業 や 読書 な ど に必 要 範 囲 だ けを 照 明 す る方法 とが あ る。前 者 を 全 般 照 明,後 者 を局 部 照 明 とい う。 以 前 は電 力の 経 済 と い う見 地 か ら,工 場 や 事 務 所 な どで も局 部 照 明 が 多 く行 われ て い たが,効 率 の 高 い蛍 光 灯 の 出現 に よ って,現 在 は全 般 照 明 が 一 般 に施 設 され て い る。 全 般 照 明 は部 屋 全 体 が 明 る い ので,気 分 も明 朗 で 目 の疲 労 も少 な く,誠 に快 適 な照 明 で あ り,ま た電 灯 は天 井 に高 く取 り付 け られ て あ るの で,破 損 な ど の故 障 も少 な い 。 全 般 照 明 の設 計 は,次 の よ うな順 序 で 行 う。 (a)
光 源 の 種類(電
球,蛍 光 灯,水 銀 灯 な ど)を 選 ぶ。
(b)
どの よ うな 照 明 にす る か と い う照 明 方 式 を 決 め る。
(c)
照 明 器 具 を 選 ぶ。
(d)
照 度 を 決 め て 所 要光 束 を 計算 す る。
(e)
灯 数 とそ の 配 置 を 決 定 す る。
〔2 〕
光 源 の 選 定
蛍 光 灯 は効 率 が 高 い の で,高 照 度,長 時 間 点 灯 な どの 要求 され る所 に 適 し,電 球 は暖 か い落 ち着 いた ム ー ドの 欲 しい 所 に用 い られ る。 ま た,蛍 光 灯 を低 照 度 で 点灯 す る と,冷 た い寂 しい気 分 にな るの で避 け た方 が よ い 。 現 在 は大 体,次 の よ うに使 用 箇 所 が 分 か れ て い る。 (a)
蛍光灯
工 場,事
ト,百 貨 店 の 一 般 売 場,大
務 所,銀
行,学
衆 食 堂 な ど。
校,料
亭 の 大 広 間,ス
ーパ ー マ ーケ ッ
(b)
電
球
特 殊 商 店,高
(c)
蛍光灯電球併用
〔3〕
照明方式の選定
級 レ ス ト ラ ン,カ
フ ェ ー,バ
ー な ど。
ホ テル,一 般 料飲 店,一 般 商 店,住 宅 な ど。
電灯 を ど の よ うな方 法 で 点 灯 す る か とい うのが 照 明 方 式 で あ る。 これ に は次 の よ うな もの が あ る。 (a)
直接照明
照 明 器 具 を つ り下 げ る と か,天 井 に じか付 けにす る と か して,
電 灯 か らの光 束 の大 部 分 が 光 源 か ら直 接 に,ま た は照 明器 具 を通 して 作業 面 に来 る よ うな照 明 で あ る(図10・1(a),(b))。 (b)
間接照明
この 方 式 は効 率 が 最 も高 い 。
光 源 か ら出 る光 束 を ほ とん ど全 部 天 井 に 当て,そ
(a)直接 照 明(つ り下 げ)
(b)直接 照 明(じ か付 け)
(c)間 接 照 明
(d)天
(e)天 井 半 埋 込 み
(f)ダ
(g)光
天
井
井 埋 込 み
ウ ン ラ イ ト
(h)ル ー バ 天 井 図10・1
各種照明方式
こか らの反
射光 で 照 射 す る もの で,効 率 は最 も低 い(図(c))。 天井埋込 み
(c)
天 井 の数 か 所 に電 灯 を 埋 め込 ん だ もの で,普 通,蛍 光 灯 が
用 い ら れ る(図(d))。
天井半埋込 み
(d)
完 全 な埋 込 み で は効 率 も低 くな り,天 井 面 も暗 くな るの
で,そ れ らを緩 和 す るた め半 分 埋 込 み,半 分 を 下方 へ 出 した もの(図(e))。 ダ ウ ンラ イ ト 天 井 に小 さい 穴 を た くさん あ け,そ の 中 に小 電球 を入 れ
(e)
て,穴 の 口か ら下 方 へ光 を放 射 す る方 式(図(f))。 光天井
(f)
天 井全 部 ま た は 中央 の大 き い部 分 に,プ
ラス チ ック板 を は り,
そ の上 部 に点 灯 す る方 式 で,非 常 に明 朗 な感 じがす る(図(g))。 ル ーバ 天 井
(g) で,汚
れ や す く,掃
光 天 井 の プ ラス チ ック板 の 代 わ り に ル ーバ を用 いた もの 除 し に く い欠 点 が あ る(図(h))。
ま た,光
天 井 と と もに設
備 費 が 最 も高 い 。
以 上 の諸 方 式 の うち,直 接 照 明 は効 率 も高 く設 備 費 も安 くて す む ので,一 般 に 最 も多 く用 い られて い るが,現 在,こ れ らの方 式 の採 用 箇 所 は次 の よ うで ある。 (a)
直接照明
ご く一 般 に普 及 して い る。
(b)
天 井 埋 込 み,天 井 半 埋込 み
(c)
光 天 井,ル
ーバ 天 井
一般 事 務 室,銀 行,病 院 な ど。
銀行,証 券 会 社,電 力 会 社 の 指 令 室,大 建 築 物 の
コ ンコ ース な ど。
(d)
間接照明
特殊な箇所
〔4 〕
照明器具の選定
照 明 器 具 を選 ぶ に は,色 々 の 観点 か ら考 えて 慎 重 に決 め な けれ ば な らな い。 し か し,大 体 の根 本 方 針 と して は,次 の よ うな こ とを 考 慮 す る。 (ⅰ)
配 光 が 適 当 で,な
るべ く効 率 が 高 い こ と。
(ⅱ)
機 械 的 に丈 夫 で,耐 久 的 で あ る こと。 仕 上 げ が 変 色 しな い こ と。
(ⅲ)
破 損 した時,す
(ⅳ)
掃 除 や ラ ンプ の 取替 え が楽 にで き る こ と。
(ⅴ)
そ の意 匠が 建 築 様式 と調和 して い る こ と。
ぐ補 給 の で き る もの で あ る こ と。
以 上 の うち,建 築 様 式 との 調 和 に つ いて は,建 築 様 式 の種 類 や その 根 本精 神 に
つ いて理 解 しな けれ ば な らな い 。 昔 の 洋風 建 築 は,一 言 で いえ ば 見 せ るた め の建 築 で あ った。 従 って,内 装,外 装 と もに 壮麗 で,豪 華 で あ るよ うに,色 々 の 装飾 や彫 刻 な どが た くさん つ け られ て いた 。 建築 が この よ うで あ るか ら,照 明 で も豪 華 な シ ャンデ リア が 必 ず付 き も の で あ った。 と こ ろが,今 世 紀 に な って 建 築 界 に は革 新 運動 が起 こ り,見 るた め の 建 築 よ り も,住 む た め に合 理 的 で 機 能 的 な建 築 が 良 い 建築 とされ る よ う にな った が,こ の 新 しい 建 築 の特 色 は,窓 は広 く,壁 は 白 く明 る く,無 意 味 な 装 飾 は全 然 な い 点 で あ る。 わ が 国 で も,こ の よ うな 新 しい建 築 が 一時 歓迎 され た が,最 近 に な って,白 一 色 が あ ま りに も冷 た く,ま た,合 理性 一 点 ば りで潤 い に欠 けて い る とい うよ うな と ころか ら,色 彩 も豊 富 に な り,ま た,形
に おい て も合 理 性 を 妨 げ な い 範 囲 で,
新 しい感 覚 の もの もで きて きた 。 つ ま り,近 ごろ の建 築 は根 本 精 神 は機 能 主 義 で あ って も,そ い,ま た,新
こ に 暖 か さ と潤
しい感 覚 が加 わ って きた と いえ よ う。
翻 って,わ が 国古 来 の建 築,特
に住 宅,旅 館,料 亭,茶 室 な どを 見 る と,無 意
味 な装 飾 な どは な く,極 めて 単 純 合 理 的 で あ るが,さ
りとて 機 能 本 位 に走 りす ぎ
もせ ず,適 当 に 潤 い もあ り,ち ょ うど近 代 建 築 の 精神 に よ く合 って いた と い う こ とがで き よ う。 建 築 の様 式 が この よ うな精 神 に基 づ いて い る以 上 は,照 明 器 具 を選 ぶ に も,や は り同 じ精 神 で 選 定 す る こと が 肝要 で あ る。 図10・2は,新
しい意 匠 の照 明 器 具
の 例 で あ る。 しか しなが ら,現 在 の建 築 は 古 い様 式 の もの も色 々あ るので,そ
れ らに は そ れ
に ふ さ わ しい器 具 を 選 ば な け れ ば な らな い。 〔5〕
照度の決定 と所要光束 の計算
(1)
所要照度
照 明設 計 に お い て最 も大 切 な こ とは,照 度 を 決 め る こ とで
あ る。照 度 の適 正 な 値 は,作 業 能 率,電 力 や経 済 事 情,心 理 な ど色 々な 条件 に よ って 支 配 され る が,そ の大 体 の 標 準 は,数 年 ご と にJISの
照 度 基 準 が 改訂 発 表
(a)
さ れ て い る 。 こ れ を 見 る と,改 は,昭 (2)
和54年
和風照明器具
新 しい意 匠の照 明器具例(1)
図10・2
訂 の た び ご と に そ の 値 は 向 上 して い る 。 表10・1
に改 訂 発 表 され た 基準 値 の 抜粋 で あ る。
所 要 光 束 の 計算
照度 が 決定 され た ら,そ の照 度 を与 え るた め に必 要
な光 源 の光 束 を求 め る。 照 度 は1㎡
当 た りの入 射 光 束 で あ る か ら,所 要 照 度 の値 に作 業 面 の面 積 を掛
け れ ば必 要 な総 光 束 が 得 られ る。 これ だ けの光 束 を 持 つ光 源 を つ け な けれ ば な ら な い が,光 源 か ら出た 光 束 は,ま ず 照 明 器 具 ま た は照 明 装 置 で一 部 吸 収 さ れ,残 り もま た 壁 や 天 井で 反 射 され る際 に 一 部 吸 収 され て,そ の残 りが 作業 面 に来 る の で,そ の 損失 を補 うだ けの 光 束 が 出 る よ うな 光 源 を つ けな け れ ば な らな い。 そ こ で,次 の よ うな 関係 式 が 得 られ る。 Φ・N・U
=E・A
(10・1)
(b)
図10・2
こ こ に,Φ
は 光 源 の 光 束,N
洋風照明器具
新 しい意 匠の照 明器具例(2)
は 灯 数,E
は 照 度,A
は 床 面 積,U
は照明率で
あ る。
照 明 率 と い うの は,光 源 か ら出 る光束 の う ち,作 業 面 に与 え られ る光 束 の 割 合 を示 す も ので,こ れ は室 の 形,照 明 方式,壁,天
井の 反 射 率 な ど に よ って 決 ま る
値 で あ る。 これ が 壁,天 井 の反 射率 の高 い ほ ど高 い 値 な の は 当 然 で あ るが,図 10・3に 示 す よ う に,電 灯 の 高 さに 対 して部 屋 の 幅 が大 き いほ ど,光 源 か らの 直 射光 の 利 用 立 体 角 が大 きい の で,こ れ ま た高 い値 とな る。 そ こで 照 明 率 は,天 井 ・壁 ・床 の 反射 率 と照 明 方 式 と室 の 形 の 3種 の 条 件 で 決 ま るわ けで あ るが,こ の う ち室 の形 は室 指 数 とい うもの で 表 す 。 こ の室 指 数 は計
(c)工 図10・2新
事 用 照 明 器具
しい意 匠の 照 明 器 具 例(3)
図10・3
算 で 求 め る と,図 で 求 め る の と二 つ の方 法 が あ る。 計 算 で 求 め る に は,次 の式 に よ る。 室指 数=(長
辺 ×短 辺)/{灯 高 ×(長 辺+短 辺)}
(10・2)
この 式 で求 め た もの は,照 明 率 の表 で は数 値 で示 され て い る。 次 に,図
で 求 め る に は 図10・4を
用 い,長
び,そ
れ が 中 央 の 直 線 と 交 わ る 所 を 求 め,そ
は,電
灯 高=3.3〔m〕,長
辺=30〔m〕,短
辺/灯 高 と 短 辺/灯 高 と の 2点 を 結
れ を 数 字 で 示 す 。 図10・4の
辺=20〔m〕
の 場 合 で,室
指 数 は 4と 3
と の中 間 とな る。 こ う して 室 指 数 が 決 ま れ ば,表10・2に
例 で
よ って 照 明 率 が 求 め られ る 。
表10・1照
度基 準(JIS Z 9110-1979よ
り抜 粋)
〔 注 〕 *印 は局 部 照 明 に よ り,こ の 照 度 を 得 て も よ い。 この 場 合 の 全 般 照 明 の 照 度 は,局 よ る 照度 の1/10以 上 で あ るこ とが 望 ま しい 。
部 照明 に
表10・2照
明
率
(官 公庁電 気技術 連絡 協議会 「照明器 具標 準」60年 版 よ り抜粋)
と ころが,こ れ だ けの 光束 で は,点 灯 当 初 だ け は,必 要 の 照 度 が 得 られ る が,日 が た つ に従 って 電 灯 の 光 束 の 減 退 や ごみ の た め に,次 第 に暗 くな るの で,当 初 に相 当明 る く して お いて,い つ も所要 照 度 を下 らな い よ うに して お く。 この た め に,最 初 に あ る係 数 で 割 って,そ れ だ け初 め の照 度 を高 く して お く。 この た め の係 数 を保 守 率 と い う。 そ こ で,こ
の 保 守 率 を 加 え て 式(10・1)
を 書 き 直 す と,
所 要総 光 束=φ・N=
E・A / U・M 図10・4
室
指
数
(10.3) と な る 。 こ こ に,U
は 照 明 率,M
一 般 に ,保 守 率 は 表10・3の
は保守率である。
よ う に と る。 この 表 で 蛍 光灯 の方 が 電 球 よ り保 守
率 が 小 さい の は,寿 命 の終 わ り こ ろの 光 束 維 持 率 が 電 球 よ り小 さ いた めで あ る。 〔6〕
灯 数 とそ の配 置 の 決 定
式(10・3)に
よ って総 光 束 が 求 め られ た が,次
は電 灯 の大 き さ と灯 数 を ど う決
め るか を 考 え る。 この場 合,大 き い電 灯 ほ ど効 率 が 高 い ので,大
き い電 灯 を少 数
つ け るほ ど,設 備 費 に お いて も経 費 に おい て も有 利 で あ るが,照 度 の 均 斉 度 は 悪
図10・5
照明器具の配置
表10・3
標 準 的 保 守 率(照
明 学 会 技 術 指 針JIEG-001(1980)よ
り作 成
くな る。 そ こで,一 般 に は 照度 の均 斉 度 が 作 業 に 差支 え な い範 囲 に お いて , な る べ く灯 数 を 少 な くす る 方 針 を とる。 実験 の 結 果 に よ れ ば,灯 Hと
間 隔 をDと
す る と,次 式 の よ うに とれ ば,大
し,電 灯 と壁 との 間 隔 をW,電
灯高 を
体 照 明 は作 業 に 差支 え な い程 度 に均 一 に
な る。
(10.4)
も とよ り,照 明 器 具 の 配 光 に よ って 多少 違 うわ けで あ るが,こ れ は大 体 の範 囲 を示 した もので あ る。
な お この場 合,照 度 を 考 え る作 業 面 は 床 上85cmを 以 上 の よ う に して 灯 数 が 決 ま っ て も,配 場 合 は,必 は,あ
ず し も式(10・3)で
置が う ま くで き な い こ とが 多 い。 そ の
求 め た 通 り に しな くて も よ い 。 も と も と 保 守 率 に
る 程 度 の 許 容 範 囲 が あ る の で あ る か ら,配
決 め て よ い 。 た だ し,将
とる のが 普 通 で あ る。
来 を 考 え て,な
列 が う ま く納 ま る よ う に 灯 数 を
る べ く式(10・3)の
計 算 値 よ り多 くと っ
た方 が 無 難 で あ る。
〔設
計
例〕
間 口12m,奥 が,壁
行18mで,天
井 の 高 さ が3mの
は 明 度 7程 度 の う す 緑 で,こ
照明方法
(1)
事 務 室 が あ る。天
の 室 を40W蛍
井 は 白色 だ
光 灯 で照 明 しよ うとす る。
室 が広 くな い ので,蛍 光 ラ ンプ を裸 で 点 灯 して も まぶ しさ
を 感 じ る こ と は 少 な い と思 わ れ る の で,裸
ラ ンプ を 天 井 に じか 付 け に して,一
直
線 に並 べ る こ とにす る。 (2)
灯 数 の計 算 と配 置 の 決 定
か ら,ま
ず 一 応500lxに
ま ず,灯
高=3.0(天
距 離)=2.0〔m〕
井 の 高 さ)-0.85(作
3 と の 中 間(た
だ し,少
後 は,灯
は40%ぐ
方 を あ ん ば い し て62ぐ
源 と天 井面 との
辺/灯 高=9.0で,図
し 4 に 近 い)と
明 率 と して0.62を
た 壁 の 反 射 率 が 明 度=7で
と の 中 間 に な る の で,双
業 面 の 高 さ)-0.15(光
れ か ら 短 辺/灯 高=6.0,長
こ れ か ら照 明 率 の 表 を 用 い て,照 の 中 間 で,ま
ある
と って灯 数 を求 め て み る。
と な る の で,こ
か ら室 指 数=4と
事務 室 の照 度 基 準 は300∼1500lxで
な る。
得 る(室
指 数 が 4 と 3と
らい だ か ら,こ
れ も50と30
ら い と な ろ う)。
数 を 次 の よ う に して 計 算 で き る 。
灯 数=
12×18×500
=83〔
灯〕
/ 3000×0.62×0.7
そ こ で 実 際 の 配 置 を 考 え る と,光 源 の 高 さ は2mで 間 隔 は2×1.5=3〔m〕
と な る 。 後 に 述 べ る よ う に,長
あ る か ら,許
方 形 の 部屋 は 蛍光 灯 の 向
き を 部 屋 の 長 軸 に 平 行 に した 方 が ま ぶ し さ が 少 な い の で,結 列 と して,1 しか し,こ
列 に10台
ま た は11台
し得 る 最 大
局,2
灯用器具を 4
取 り付 け れ ば よ い こ と に な る 。
れ で は 蛍 光 灯 が 離 れ て つ な が ら な い 。 し か も500lxは
低 照度 で
あ る か ら,な る べ く連 続 して 取 り付 けて照 度 も少 し上 げ た い。 そ こ で,1 1215mm(市
灯 の 長 さ は ラ ンプ だ け な ら1198mmで 販 の 一 例)で
の 総 計 は,14×8=112〔 =675〔lx〕
あ る か ら,室
あ る が,器
の 全 長 に 対 して は14台
灯 〕と な る 。こ の よ う に 配 置 す る と,照
と な っ て ,ま
ず 適 当 な 設 計 と な ろ う。 図10・6は
具 の 長 さは約 と な り,ラ
ンプ
度=500×(112/83) この配 列 図 で あ る。
(a)
(b)
図10・6電
以 上 述 べ た 設 計 法 は,い 明 施 設 に お い て は,色
灯 の 配 置 と照 明 器具 の 断 面
わ ば 根 本 方 針 と で も い う べ き も の で あ って,実
際の照
々 と 考 慮 す べ き こ と が 多 い 。 こ れ ら に つ い て は,第11章
に譲 る。 〔7 〕
将 来 へ の考慮
照 明設 計 は,そ れが 完 成 した 時点 に お いて だ け評 価 され るべ き で は な く,相 当 長 い将 来 まで,そ
の設 計 が 適 合 し得 る か ど うか とい う こ とま で考 慮 しな けれ ば な
らな い。 この よ うな こと に対 し,設 計 上 留 意 す べ き こ と は次 の よ うで あ る。 (1)
照度向上 に対する対応
れて 以 来,約10年
照 度 基 準 は約70年
前 に大 体 の基 準 が定 め ら
ご とに 2倍 に な って い る。 しか し,最 近 は電 力事 情 や 熱処 理
の 問 題 か ら,よ うや くこの伸 び方 も緩 和 して き た が,そ れで も将 来,次 第 に 向 上 す る こ と は確 実 で あ るか ら,将 来 それ に対 応 で きる よ うに して お くこ とが 望 ま し いo
例 え ば,図10・6の れ を 図(b)の
例 で は,図(a)の
よ う な 3灯 用 と して,う
よ う な 2灯 用 の 器 具14台 ち 1灯 は 点 灯 せ ず に お き,将
で あ る が,こ 来必要にな っ
た 時 に 3灯 と も点 灯 す る よ う に して お け ば 一 層 よ い 。 3灯 点 灯 した 時 の 照 度 は 6751x×(3/2)=1010〔lx〕
(2)保
とな る。
守 に対 す る対 応
照 明 の 保 守 に つ いて 考 慮 す べ き問 題 は,ラ ンプ の
取替 え,器 具 の清 掃 な どで あ る。 電 球 の 寿 命 は1000時 て あ る と こ ろ で は,断
間 で,蛍
光 ラ ン プ の1/10で
線 も 当 然 多 く な り,点
灯 断 線 す る 。 従 っ て,実
灯 後1000灯
際 問 題 と して 毎 日10時
日 平 均 1灯 切 れ る 計 算 に な る。 従 っ て,電 守 を 楽 に す る 方 法 で あ り,ま
あ る か ら,た
電 球 で は,光
ご とに 1
球 は な る べ く数 多 く つ け な い こ と も保
た 大 き い シ ャ ンデ リ ア を 多 数 点 灯 す る と か,高
天井
率 を 多 少 犠 牲 に して
電 球 を 使 用 す る こ と も考 え られ る。 こ の 場 合,105V用
束 は 約18%減
光 束 は 約36%減
につ いて 毎 時 間 平 均 1
間 点 灯 す れ ば,100灯
の 広 間 に ダ ウ ン ラ イ トを 沢 山 つ け る と い う よ うな 場 合 は,効 も,105Vか110V用
くさん 点 灯 し
り,寿
と な る が,寿
命 は 約 2倍 と な り,110V電
球 な らば
命 は 約 4倍 と な る 。
器 具 の 清 掃 も照 度 を 維 持 し,か つ,外 観 を損 わ な い た め に重 要 な事 項 で あ るか ら,照 明 器 具 はな るべ く常 時 清 掃 しに くい場 所 を 避 けた い。 例 え ば,階 段 で は な る べ く踊 り場 の上 につ け,き ゃた つ の立 ちに くい階段 上 は 避 け る。 しか し,高 天 井 の大 シ ャ ンデ リア は最 も清 掃 が 困 難 で,清 掃 費 も多 額 に な るの で,こ の よ うな もの を設 計 す る時 は,あ
らか じめ施 設 の所 有 者 に対 し,清 掃 費 の 承 認 を 得 て お く
必要 が あ る。 10・2局
部 照 明 の設 計
〔1〕 局 部 照 明 の 特 長 局 部 照 明 の長 所 は, (ⅰ)小
電 球 で 高 照 度 が 得 られ る こ と。
(ⅱ)電
球 の取 替 えが 容 易 で あ る こ と。
(ⅲ)心
要 な所 だ け点 灯 で き る こと。
(iv)清
掃 が 楽 な こ と。
な ど で あ る が,一
方 欠 点 と し て は,
(ⅰ)器
具 が 手 近 か に あ る た め 汚 れ やす く,破 損 しや す い こ と。
(ⅱ)作
業 面 と その 周 囲 との明 暗 の 対比 が著 し く,目 が 疲 れ や す い こと。
(ⅲ)空
間 が 暗 いた め 明朗 な気 分 を欠 く こと。
な ど が あ げ られ る 。
以 上 の よ うな得 失 が あ るた め,以 前 は電 力 の経 済 を重 視 して 事 務所,銀 行 そ の 他 に局 部 照 明 が 普 及 して い た が,現 在 で は環 境 衛 生 を 重 視す る よ う に な り,か つ,目 の疲 労 に よ る作業 能率 の低 下 を防 ぐた め,特 に高照 度 を必 要 とす る所 か, そ の 他特 殊 な箇 所 だ け に限 られ るよ うに な った。 な お,部 屋 の 空 間 の 明 暗 の対 比 を小 さ くす る ため,た
とえ局 部 照 明 を設 計 す る
に して も,そ の照 度 の1/10程 度 の 全 般 照 明 を 併 用 す る こ とが 必 要 と され て い る。 〔2〕 照
度
計
算
局 部 照 明 の場 合 は,普 通,反 射が さ を つ け るが,そ の 場 合 の配 光 曲線 は図10・ 7の よ うに な る。 これ は 電球 で も蛍 光 ラ ンプで も大 体 同 様 で,下 方 の光 度 は光 源 の 下方 の光 度 の約 2倍 に な る。 ま た,こ
の 器 具 を 照 明 す る 平 面 の 直 上 hの
高 さ に 取 り付 け た 時 に,面
上 で大 体 均 一 に照
明 さ れ る 範 囲 は,図10・8の
よ う に 径 が1.5h
ぐ ら い に な る。 そ こ で 作 業 の 範 囲 が 決 ま れ ば,そ さ の 最 小 限 が 決 ま り,表10・4に
れ か ら高 よ って所 要
照 度 に 対 応 す る光 源 の 大 き さ が 決 ま る。 な お,蛍
光 ラ ン プ の 場 合 は,2
灯 用 ま た は 3灯
用 の 器 具 を 使 う こ と に よ っ て,こ
の 2倍 ま た
は 3倍 の 照 度 を 得 る こ と が で き る 。 な お,こ る の で,こ
の 表 の 照度 に は保 守 率 が入 って い の ま ま 使 用 して よ い。
図10・7
局部灯 の配光 曲線
図10・8局
表10・4光
次 に,ベ
部 照 明 に お け る 照 明範 囲
源 の高 さ と平 均 照 度 〔lx〕と の 関 係
ル トコ ン ベ ヤ の 照 明 も一 種 の 局 部 照 明 と考 え ら れ る が,こ
普 通 蛍 光 ラ ン プ を 連 続 して 取 り付 け る 。 光 源 の 高 さ をH〔m〕 業 台 の 幅 に と る 。 こ の 場 合 は,無 す な わ ち,I
を1m当
の 場 合 は,
とす れ ば,H〓
作
限 長 光 源 と して 照 度 を 計 算 す れ ば よ い 。
た りの光 度
〔cd〕,M
を 保 守 率 と す る と,式(5・2)よ
り
(10・5) 式(5・21)よ
り
と な る 。 こ れ で 照 度 が 不 足 す れ ば,2
〔3〕 保
灯 用 の 反 射 が さに す る。
守
局 部 灯 は作 業者 の手 近 か に あ り,ご み に よ って 汚 れ た り,ま た反 射 面 の反 射 率 が 落 ち た り しや す い ので,絶
えず 注 意 して,空
ぶ き ま た は 水 で 清 掃 す る。 そ し
て,反 射 面 の 塗 料 が は げ た ら直 ち に修理 して,照 度 が 低 下 しな いよ うに 注意 す る こ とが 肝 要 で あ る。
図10.9屋
内配 線 用 図 記号(JIS
C 0303-1983抜
粋)
10・3照
明 の 施 工
〔1〕 設 計 図 面 の製 作 照 明設 計 が 完 成 した ら,そ れ に よ って 設 計 図 面 を画 く。 これ は,建 築 図 面 上 に 電 灯 の 位 置,種 類 な どを 図10・9の
よ うな 屋 内配 線 用 図 記 号(シ
て 決 め る。 この 記 号 には た く さん の 種 類 が あ る が,図10・9は,照
ンボ ル)を 使 っ 明 関 係 の もの
の う ちか らの抜 粋 で あ る。 次 に,配
電 盤 や 分 電 盤 の 位 置 を 決 め,さ
セ ン トな ど の 配 線 を 画 くの で あ る が,こ で,そ
らに そ こ か ら各 電 灯 や ス イ ッチ,コ れ に は,色
ン
々 と面 倒 な 取 締 規 則 が あ るの
れ を よ く調 べ て 慎 重 に 決 め な い と い け な い 。
図10・9の
よ うな 図 記 号 を 使 って,平 面 図 に 位 置 を書 き込 む 場 合,そ の 書 き方
は次 の よ うで あ る。 (ⅰ)電
灯 の 位 置 を 決 め,そ
の ワ ッ ト数 を そ ば に 書 く。
(ⅱ)ス
イ ッ チ の 位 置 を 決 め,電
(ⅲ)コ
ン セ ン トの 位 置 を 書 き 入 れ る 。
灯 と そ の ス イ ッチ と を 線 で 結 ん で お く。
こ の う ち 3路 ス イ ッ チ と い う の は,図 10・10の
よ う に 配 線 す る の で,普
階 段 の 上 下 に 取 り付 け ら れ る が,こ
通, の ほ
か 大 き い 室 で 2か 所 で 自 由 に 点 滅 した い と い う よ うな 場 合 に も利 用 さ れ る 。 図10・11は,こ
れ ら配 線 図 記 号 を 利
用 した小 住 宅 の 照 明設 計 例 で あ る。 図10.10
3路 ス イ ッ チの 配 線
〔2〕 仕 様 書 の 作 成 図面 が完 成 した ら,そ れ に基 づ いて 仕 様 書 を作 製 す る。 この 仕様 書 で大 切 な こ と は,電 灯 の種 類 を は っ き り明示 す る こ とで,電 球 な らば 透 明 か,白 色 か,ま た は 球形 か の別,ま た 蛍光 ラ ンプ な らば光 色 の別 を必 ず 指 定 して お く。 〔3〕 完 成 後 の 検 査 照 明 が 完 成 した ら,そ
の 検 査 を す る 。 こ の 時,一
番 注 意 を 要 す る の は,電
灯の
〔注 〕 和 室 の 床 は30㎝
図10・0
小住宅の照明設計例
高 く して あ り,そ の 幅 木 に コ ン セ ン トを つ け る。
種 類 が 仕様 書 と合 って い る か 否か と い う点 で あ る。 次 に,照 度 が 標 準 通 りに な って い るか を測 定 検 査 す る。 こ の場 合,設 計 に は保 守 率 が入 って い る の で,測 定 値 に その 保 守 率 を掛 け た値 を も って 照 度 基 準 と照 ら し合 わ せ な けれ ば な らな い。
第10章
問
題
(1)銀
行 営 業 室 の照 度 が,普 通 の事 務 室 よ り照度 を高 くして あ るの は な ぜ だ ろ うか 。
(2)学
校 の教 室 の照 度が,事 務 室 よ り照 度 を 低 く して あ る の はな ぜ だ ろ うか。
(3)次
の各 光 源 と適 応 箇 所 と を直 線 で 結 べ 。
電
(4)蛍
球
庭
園
白色 蛍光灯
美術館
高演色形 蛍光灯
事務室
水 銀灯
高 級 レス トラ ン
光 灯 は 住宅 の 階段 の 照 明 に は不 適 当で あ るが,そ の理 由 を考 え よ。
屋 内照 明 施設
第11章
11・1照
明 の 分 類
前 章 に おい て 照 明設 計 の根 本 方 針 を述 べ た が,こ れ を 実 際 に施 設 す る に は,そ の 部 屋 の 使 用 目的 そ の他 につ いて,色
々 と考 究 しな けれ ば な らな い こ とが 多 い。
屋 内 照 明 に は 色 々な種 類 が あ るが,こ れ を照 明 の 目標 の 似 た よ うな ものを 集 め て 分 類 す る と,次 の よ うにな る。 (a)作
業 の た め の 照 明(工
場 ・事 務 所 ・学 校 の よ う に,読
み 書 き,そ
の他作
業 の た め の 照 明)
(b)展
示 の た め の照 明(商 店 ・美 術 館 ・劇 場 の よ うに,物 を見 せ る ため の 照
明) (c)生
活 娯 楽 の た めの 照 明(住 宅 ・旅 館 ・料 飲 店 の よ うに,生 活 や 娯 楽 の た
め の 照 明) 11・2作
業 の ため の 照 明
これ は工 場 ・事 務 所 ・学 校 の よ うに,細 か い作 業 や 読 み書 き な どを,長 時 間 に わ た って す る場 所 の照 明 で,目 を 疲 らせ な い で仕 事 が よ くで き るよ うな 照 明 で あ る こ とが第 一 の要 件 で あ る。 この 照 明 に は,次 の よ うな ものが あ る。 〔1〕 工
場
照
明
(1)工
場 照 明 の 目標
工 場 照 明 の 目標 は,次 の よ うで あ る。
(ⅰ)作
業 の 対 象 物 を 明 り ょ う に,か
(ⅱ)照
明 の 効 率 が 高 い こ と。
(ⅲ)照
明器 具 は機 械 的 に 丈 夫 で 耐久 的 で あ り,ま た,じ ん あ い の影 響 を受 け
つ,楽
に見 得 る こと。
る ことが 少 な く,掃 除 の しや す い もの で あ る こ と。 工 場 照 明 の 良 否 は,工 場 の経 営 上 に多 大 の 影 響 を 及 ぼ す もので,一 般 に照 明 が
不 適 当で あ る と,次 の よ うな 結 果 を生 じる お それ が あ る。 (ⅰ)生
産 能 率 が 低 下 す る。
(ⅱ)不
良 品 が 増 加 す る。
(ⅲ)負
傷 ・災 害 が 多 く な る 。
(ⅳ)眼
病 や 神 経 病 が 多 くな る。
(ⅴ)工
場 内 の 管 理 が不 行 届 と な る。
(ⅵ)製
品 ・材 料 ・工 具 な ど の 紛 失 が 多 く な る 。
従 って 照 明 の 方 法 は,各 作 業 に対 し最 も適 切 な もの で な くて はな らな い が,設 備 費 や 電 力 費 が あま り多 くな け れ ば経 営 が 苦 し くな る ので,経 済 との 釣 り合 い を 慎 重 に考 慮 して 決 め な けれ ば な らな い。 (2)昼
光照明
人 工 照 明 の進 歩 や 冷 暖 房 の 普 及 につ れ て,照 明 を 昼光 に頼
る傾 向が 次 第 に弱 くな って きた が,ま だ 昼光 照 明 を 重 要視 す る工 場 は多 い。 昼 光 の採 光 に必 要 な の は窓 で あ るが,こ の と り方 に は 図11・1の
(a)
(b)
窓
図11・1(a)の
(d)
(c)
図11・1窓
(a)側
の と り 方
よ う な もの で,窓
際 が 明 る く,離
急 に 暗 く な る 。 一 般 に 窓 の 上 辺 の 高 さ を h と す る と,片 行 は17.5hま
で が 限 度 で,両
(b)天
窓
照 度 分 布 も 均 等 に な る が,太 く,ま
た,夏
(c)越
で はよ い 。
を 屋 根 に 設 け た も の で,効
陽 の 直 射 光 が 当 た る 時 は,1
率 は高 く
日中 の照 度 変 化 が 激 し
は 放 射 熱 に 苦 し め られ る こ と が あ る 。
屋根窓
熱 も少 な く,従 (d)の
よ うに,窓
れ るに従 って
側 の 窓 の場 合 に は室 の奥
側 窓 の 場 合 は 窓 幅 は4.0hま
図11・1(b)の
よ うに,色 々 あ る。
来,良
図11・1(c)の
よ う な も の で,照
度 分 布 も 均 等 に な り,放
射
好 な 採 光 法 と して 例 も 多 か っ た 。
こ ぎ り屋 根 窓
図11・1(d)の
よ う な も の で,実
例 も多 い 。 窓 の 方 向
は,北
向 き の もの が 多 い が,こ
れ を 南 向 き に して,照
度 の 向 上 と,冬
期の暖房費
の 節約 を求 め た もの もあ る。
(3)電
灯照明
わ が 国 で は,大 工 場 は完 備 した照 明設 備 を 有 して い る と こ
ろが 多 い が,中 小工 場 に は照 明 方 法 も照度 も不 十 分 な もの が あ る。 大 工 場 で は,普 通 は全 般 照 明 が 基 礎 とな って い るが,特 に 高 照 度 を 必 要 とす る 精 密作 業 に対 して は局 部 照 明 を 用 い る。 光 源 は,全 般 照 明 は蛍 光 灯 が 普 通 で あ るが,高 天 井の 部屋 で は,大 容 量 の蛍 光 水 銀 灯 や メ タル ハ ラ イ ド灯 が 用 い られ る こ とが多 い。 (4)特
殊工場の照明
工 場 に は,色 々 と特 殊 な事 情 の あ る場 所 もあ り,こ
れ らに 対 して は,そ れ ぞれ の 事 情 に 対 応 して適 切 な処 置を と らね ば な らな い。 そ れ に は 次 の よ うな もの が あ る。 (a)湿
気 の あ る場所
湿 度 の 高 い 所 で は,光 源 は防 湿形 器 具 で 包 み,ス イ ッ
チ は 室外 に お く。 ス イ ッチ を 室 内 に お く とき は,完 全 な 防湿 形 の もの とす る。 配 線 も防湿 とす る。 (b)高
温 度 の場 所
高 温 の場 所 で は,電 球 をグ ロ ーブ に入 れ る と,一 層高 温
にな って,寿 命 が 短 くな るの で露 出 した方 が よ い。 高 温 ・高 湿 の 場所 で は大 型 グ ロー ブ と し,蛍 光 灯 は安 定 器 を 室外 に す る。 (c)腐
食 性 ガ ス の発 生 す る場 所
防湿 器 具 と同 様 な もの で,金 属 部 分 はガ ス
に侵 され な い もの を 使 用 す るか,ま た 防腐 塗 料 を施 す 。 壁 に 電 灯 を埋 め込 ん で, 裏 側 か ら取 り替 え る よ うに す る と最 も簡単 で あ るが,照 明 率 は低 くな る。 (d)爆
発 性 物 質 の あ る場 所
爆 発性 ガ ス また は爆 発性 粉 じん の 満 ちて い る 室
で は,火 花 が 出 る と爆 発 す るお そ れ が あ る。 従 って,ス イ ッチ そ の ほ か火 花 が 出 る もの は室 外 に お く。 ま た,高 温度 の もの がガ スに 触 れ て もい け な い の で,電 球 や 蛍光 灯 もこわ れ た と きフ ィ ラメ ン トが露 出 して危 険 で あ る の で,特 殊 の耐 爆 電 灯 を 使 う とよ い。 電 球 の 上 に ほ こ り が た ま り,そ の で,裸
の熱 で爆 発 す る こ と もあ る
電 球 も危 険 で グ ロ ー ブ に 納 め る が,普
で は 割 れ る お そ れ も あ る の で,図11・2の
通 の グ ロー ブ
よ うな 耐 爆 器 具 を
図11・2耐
爆器具
つ け る。
(5)色
彩 調節
工 場 で は色 彩 調 節 が 生 産 と深 い関 係 が あ る。 色 彩 調節 を完
備 す る こ とに よ り,作 業 能 率 が 上 が って 事 故 が 減 り,従 って製 品 に不 良 品が 少 な くな り,出 来 高 が 向上 す る な ど著 しい効 果 が あ る こ とは一 般 に認 め られ て い る。 色 彩 調 節 の 効果 は,ど こ よ りも工 場 に お いて 最 も高 く評 価 さ れて お り,電 力 料 の よ うな経 費 を必 要 と しな いの で あ るか ら,中 小工 場 で も必 ず 実 施 す る こ とが 望 まれ る。 〔2〕 事 務 所 照 明 (1)事
務 所 照 明 の 目標
事 務 所 照 明 の 目標 は,次 の よ うで あ る。
(ⅰ)細
字 が 楽 に読 め る こ と。
(ⅱ)長
時 間 の 執 務 に 際 し,目
(ⅲ)手
暗 が り が 生 じな い で,読
(ⅳ)ま
ぶ し くな い こ と 。
(ⅴ)効
率 が な るべ く高 い こ と 。
(ⅵ)銀
行 の よ うに,客 か ら眺 め られ る所 で は,照 明器 具 は美 し く意 匠 の よ い
が 疲 れ な い こと。 み 書 き が 楽 に で き る こ と。
こ と。
(2)昼
光照明
工 場 と同 様 に,昔 か ら昼 光 が 利用 され て き たが,こ の た め
に は採光 窓 を必 要 とす る。 しか し,採 光 の た め に ガ ラス窓 を 大 き くと る と,冬 の 暖 房 費,夏 の冷 房 費 な らび に ガ ラス の 清 掃 費 も増 加 し,こ れ らは 窓 に よ る照 明 費 の 節 約 よ り大 き くな るの が 普 通 で あ る。 従 って,経 済 的 見 地 か ら考 え れ ば 窓 を 全 廃 して,照 明 は全 部 電 灯 だ け にす る方 が得 策で あ る とい え よ う。 こ うい うた め に 窓 を全 廃 しな い まで も,な る べ く小 さ く した事 務 所 もあ るが,最 近 の高 層 ビル で は,逆 に ガ ラ ス窓 を大 き くあ け た も の も少 な くない 。 窓 を大 き くと る 目的 は,採 光 よ り も眺 望 の ため で あ る。 つ ま り時 折 り外 部 を 眺 め,開 放 感 を 味 わ う とい っ た気 分 転 換 の た め と いえ よ う。 ま た,ガ ラ ス の方 が コ ンク リー トよ り軽量 で高 層 建 築 に は耐 振 的 で あ る とい う長 所 もあ る。 しか し,窓 を大 き くと る と,直 射 日光 に伴 う放 射 熱 を防 ぐ必 要 が あ り,こ の た あ防 熱 ガ ラス な ど を用 い る こ と もあ り,ま た,直 射 光 に よ るま ぶ しさを防 ぐに は
ブ ライ ン ドを備 え る。 ブ ライ ン ドは また 窓 際 と奥 と の照 度 比 を低 く抑 え る ため に も役立 つ。 いず れ に して も,窓 の 大 きい 事務 室 は,昼 間 は昼 光 と電 灯 との 組 合 わ せ を考 え て 電 灯 の 配 置,点 滅 回 路 を定 め る。 (3)電
灯照 明
た とえ 窓 が大 き く開 いて いて も,夜 間 は役 立 た な いの で あ
るか ら,電 灯照 明 の設 計 は窓 が な い もの と して設 計 す る。 事務 所 の照 度 は次 第 に高 くな りつ つ あ るが,照 明方 式 と して は全 般 照 明 が普 通 で,局 部 照 明 は灯 数 が多 くな りす ぎて 保 守 が厄 介 で あ る。 執 務 中 は 目 を下 に 向 け て い る のが 普 通 で,視 線 を水 平 に して い る時 間 は短 い ので,蛍 光 灯 を裸 の ま ま天 井 に じか付 け に して も大 して 差 支 え な い は ず で あ るが,な
るべ くな らば まぶ しさ
は防 ぎ た い。 まぶ しさ を感 じるの は,蛍 光 灯 露 出形 か 埋 込 み 下 面 開 放 形(カ バ ー の な い埋 込 み 形)で
あ る。100㎡
以 下 の方 形 の部 屋 で は,光 源 が 視 線 か ら離 れ て
い るの で,こ れ で 差 支 え な い が,細 長 い部 屋 で は,露 出形 の 場 合 は図11・3(a) の よ う に,ま た 埋 込 み 開 放 形 の 場 合 は図(b)の よ うに 配 置 す る と,そ の 反 対 に し た場 合 よ り著 し くま ぶ しさを 減 退す る ことが で き る。
(a)
(b) 図11・3
しか し,間 い の で,な
口,奥
行 と も に 長 い 部 屋 で は,ど
う 配 列 して も ま ぶ し さ は 防 ぎ に く
る べ く半 埋 込 み 形 に し た い 。 光 天 井 は 理 想 で あ る が ,設
備 費 や 電 力費
が 最 も高 く つ く。
銀行 営 業 室 の よ うに,客 が 数 分 間 待 つ所 で は,そ の間 に天 井 を眺 め る ので,ま ぶ しさが 少 な い よ うに,ま た照 明 器具 も意 匠 の よ い もの を 選 ぶ 。 光 源 と して は蛍 光 灯 が 普 通 で あ るが,銀 行 の よ うな 高 天 井 の 部 屋 で は,演 色性 の よ いメ タ ル ハ ライ ド灯 を つ け る こ と も行 わ れ る。 これ は 灯 数 が少 な くて す む の で,意 匠 の よ い灯 器 を設 備 して も,費 用 が か え って 安 くつ く。
(4)特
殊 室 の照 明
事 務所 に は,一 般 事 務 室 以 外 に 役 員 室,応 接 室 そ の 他
特 殊 な部 屋 が た くさん あ るが,こ の よ うな所 で は,製 品 を 客 に 見 せ た りす る こ と も多 い ので,演 色性 が 重 要 で あ る か ら,3 波 長 形 の 蛍光 灯 に す る こ とが 望 ま し い。 洗 面 所 の鏡 の 照 明 も同様 で あ る。 また,電 力会 社 の配 電指 令 室 の よ うに,計 器 が た くさ ん あ る 所 で は,そ の ガ ラ ス面 が光 らな い よ うにル ーバ 天 井 が最 近 多 く採 用 され て い る。 (5)色
彩調節
事 務 所 も工 場 に次 いで 色 彩 調 節 が重 要 で あ る。 天 井 は 一般
に明度 を高 くと るが,壁
の明 度 はや や 低 目に,彩 度 も低 く しな い と刺 激 が 強 く,
落 ち着 き を失 う恐 れ が あ る。 しか し,あ ま り低 くと る と陰 うつ な気 分 と な って 活 気 を失 う。 洗 面 所 や 便 所 は白 色 で は汚 れ や す い の で,淡 い青 色 に す る と清 潔 感 が で るが, 下 部 は濃 色 に しな い と汚 れ が 目立 つ 。 (6)電
灯 に よ る熱 の処 理
事 務室 の照 度 が 向上 す る に つ れ て,電 灯 か ら発
生 す る熱 も多 くな って き て,例 え ば,蛍 光 灯 で1000lxに 熱 量 は約50kcal/h/㎡
照 明 した 場 合 に は,発
に 及 ぶ 。冬 期 は これ が 暖 房 を 助 け る が,夏 期 に は 冷房 用 電
力 の増 加 を 促 す。 この た め,こ の熱 を い か に除 去 す る か と い う研 究 も行 われ,空 調 と照 明 とを併 せ 考 え た空 調 照 明器 具 も考 案 され て い る。 〔3〕 学 (1)教
校 室照明
照
明 教 室 照 明 の要 件 は,照 度 が十 分 で手 暗 が りが な く,か つ,
学 生 が黒 板 を見 た時,天 井 の 光 源 で まぶ しさを感 じな い こ と,黒 板 の 文 字 が は っ き り見 え る こ とな どで あ る。 (2)昼
光照明
学 校 は一 般 に 昼光 採 光 が主 で,夜 間 開講 しな い教 室 で は,
電灯 設 備 のな い教 室 さえ あ った が,今 後 の学 校 は,た とえ 昼間 だ け の教 室 で も十 分 な 電灯 照 明 を設 備 す る こ とが 普通 に な って い る。 教 室 は東 西 に細 長 く並 び,北 側 に廊 下 を設 け るの が普 通 で あ る。 この よ うな教 室 で は,晴 天 の 日 は,大 体 昼光 だ け で所 要 照 度 が 得 られ るが,曇 天 や雨 天 ま た は 冬 期 の午 後 遅 くな る と,晴 天 の 日で も奥 の 方 は照 度 が 非 常 に落 ち る ので,こ うな時 は,電 灯 を補 助 と して 点 灯 しな い とい けな い。
のよ
特 に,裁 縫 教 室 の よ うに,ご
く細 か い作 業 の必 要 な教 室 は,こ の 点 に特 に 注 意
す る必 要 が あ る。 (3)電
灯照明
教 室 の 光 源 は,蛍 光 灯 を黒 板 に直 角 の方 向 に点 灯 す るの が
普 通 で あ る が,天 井 が低 くて まぶ しさを感 じる よ うな部 屋 で は,黒 板 に 平行 に埋 込 み開 放 形 で数 列 に点 灯 して もよ い。 図11・4は7.5m×9.0mの
普 通 の 教 室 に,40W蛍
光 ラ ンプ を15灯
配 列 し
た 例 で あ る。 教 室 の 基 準 照 度 は200∼750lxで
あ る が,図11・4の
い る 。 しか し,最 近 建 て られ る 教 室 は300∼750lx程 の 例 は,図11・5(a)の 同 図(b)の
例 は200lxに
度 の も の が 多 い 。 図11・4
よ う に 1本 を 直 線 状 に 取 り付 け た も の で あ る が,こ
よ う な 逆 富 士 形 の 器 具 に 2本 取 り付 け れ ば,照
200lxと400lxと
設 計 され て
の 間 は,こ
度 は400lxと
れを な る。
の 逆 富 士 形 の もの を 間 引 い て 取 り付 け れ ば,任
の 照度 を 得 る こ とがで き る。
図11・4教
室照明の一例
意
(b)
(a)
図11・5逆
富士形蛍光灯器具
絵 画 教 室 や 服 飾,調 理 な ど の特 別 教 室 で は 演色 性 が 重要 で あ るか ら,必 ず 高 演 色形 の 蛍光 灯 にす る。 黒 板照 明 は,黒 板 面 の反 射 が 学 生 の 目に まぶ しさ を感 じさせ な い こと,黒 板 の 上下 の照 度 比 が大 き くな い こと な どの条 件 が あ る。 このた めの 方 法 と して,光 源 を な るべ く黒 板 か ら遠 く離 して 点 灯 す る よ うにす る。 図11・6は,そ
の 数例 で あ
る。
(b)
(a)
図11・6黒
(4)色
彩調 節
(c)
板 照 明法 の例
大 体 事 務 室 に準 じるが,教 室 の色 彩 は高 学 年 は落 ち着 い た
色,低 学 年 は楽 しい 色 を主 とす る。 従 って,高 学 年 ほ ど彩 度 を低 く し,低 学 年 ほ ど高 くと る。 天 井 は 白 か,う す い ク リー ム色(天 井 が 低 い と き は,う す青 で もよ し))と す るが,正 面 の壁 は黒 板 との対 比 が 強 くな る よ う に,他 の 壁 よ り も明 度 を 落 す。 色 相 は,青 か ら黄 赤 まで の範 囲で,土 地 の 寒 暖,教 室 の 向 きな ど に よ って 適 当 に選 ぶ が,低 学 年 は暖 色 系 と し,高 学 年 に な るに従 って 寒色 系 とす る。 黒 板 は黒 よ り暗 緑 色 が よ い。 一 般 に,明 度 は 2(黒 色 の場 合)か 場 合)ぐ
らいが 従 来 原則 と さ れ て い た が,4
3(暗 緑 色 の
ぐ らい まで 明 る くす る と感 じが よ
い。 特 に低 学 年 には この 方 が よ い。
ま た,服 飾 や 絵 画 の 教 室 で は,壁 の 色 の 反 射 の影 響 を受 けて は困 るの で,壁
は
灰 色 に す る のが 無 難 で あ る。 (5)教
室以外の室の照明
教 室 と同 様 に200∼500lxと
教 職 員室,図 書 室,事 務 室 な ど は,照 度 基 準 は な って い るが,実 際 に は,長 時 間 に わ た って 細 字 の
読 み書 き をす る こ とが 多 い ので,照 度 も事 務 所 の 基 準 に近 づ け た方 が よ い。 (6)体
育館照明
学校 の体 育 館 で は,色 々の 運 動 競 技 が行 わ れ て い る の
で,そ の い ずれ に も適 応 す る照 明 に す べ きで あ るが,館
内に 灯柱 を 立 て る こ と は
で きな い ので,天 井 に反 射 形 電 球 と,反 射 形蛍 光 水 銀 灯 とを 適 当 の 割 合 に 取 り付 け る。 蛍光 水銀 灯 は効 率 を 高 め るた め で あ るが,必 ず フ リ ッカ レ ス回 路 にす る。 また,電 球 を 併用 す るの は混 光 に よ り冷 た さを 柔 らげ る ため で あ る。 11・3展
示 の た め の照 明
こ れ は 商 店 ・博 物 館 ・美 術 館 の よ う に 陳 列 品 が あ っ て,そ め の 照 明 で,陳
列 品 の 形 ・色 ・光 沢 な ど を 正 確 に 観 察 で き る よ う な 照 明 で あ る こ
と が 第 一 の 要 件 で あ る 。 こ の 照 明 に は,次
〔1〕 商
店
(1)商
れ を客 に展 示 す る た
照
の よ うな も の が あ る。
明
店 照 明 の 目標
商 店 照 明 の 目標 は,通 行 客 を 吸 引 し,更 に 店 内 に 誘
導 し,商 品 を 見せ て 購 買 意 欲 を 起 こ させ る こ とに あ る。 この た め に は,客 の 心 理 に よ く合 う こ とが肝 要で,い
た ず らに華 麗 な 照 明 を して か え って 逆 効 果 にな る こ
と もあ る。 こ の よ うに,照
明 は あ く ま で 商 品 を 引 き 立 て,そ
の 形 ・色 ・光 沢 ・品 質 な ど を
正 確 に表 現 す る もの で あ りた い。
(2)店
頭照明
店 頭 の構 成 は,客 を吸 引 す る た め に 最 も大 切 な もの で あ
る。 一般 に高 級店 で は,落 ち着 い た 重 厚 な感 じの もの と し,大 衆 店 で は,派 手 で 人 目を 引 く ものが 効 果 を あ げ る。 従 って,電 灯 も全 般 照 明 の ほ か に,人
目を 引 く
た め に裸 点 灯 とす る こと も あ る。 この た め に は,ボ ール 電 球 や 装 飾 用 電 球 な ど も 用 い られ る。
(3)飾
窓 照明 と色 彩
飾 窓 は店 の 顔 と もい わ れ て い る所 で,こ の 印 象 は店
舗 に対 す る印 象 を 左右 す る。 従 って,明
る さ も店 内 の2∼3倍
だ けで それ だ けの 照度 を得 る こと は困 難 なの で,な
欲 しいが,蛍 光 灯
るべ くス ポ ッ トラ イ トを活 用
して 商 品 を明 る く照 明 す る。 特 に,貴 金 属 の 装 身 具 や 宝石 な ど は,こ れ に強 い ス ポ ッ トラ イ トを か ける とよ く輝 いて,展 示 の た め に有 効 で あ る。 飾 窓 の色 彩 は陳 列 され る商 品 に よ って 考 え るべ きで あ るが,色 物 を 引 き立 て る に は,背 景 に そ の 対比 色 を使 え ば よ い。 例 え ば,赤 い 品 に は青 と か緑 が よ いが, 反 対 に青 い品 物 を 赤 い背 景 の前 に 置 くと,背 景 が 進 出 して奥 行 が 浅 くな る と と も に,刺 激 的 な 赤 に 商 品 が負 けて しま う。 この よ う に青 い 商 品 の背 景 は,な かな か む つ か しいが,灰 色 を利 用 す る の も よ い。 ま た,一 般 に背景 は 商品 の 引 き立 て 役 で あ るか ら,背 景 が 商 品 よ り 目立 って は い け な い ので,そ の た め に は彩 度 を商 品 よ り低 くと る こ とを原 則 とす る。 宝 石 や 宝石 入 りの時 計,ま た は貴 金 属 の 装 身 具 の よ うな もの に は,黒 が 有 効 に 働 く。 こ の よ うな商 品 にス ポ ッ トを か け た場 合,そ の 周 囲 ま で 同 様 に明 る くな って 効果 が 薄 い が,黒 にす る と周 囲 は暗 く,そ の 中 に さん 然 と商 品 が光 り輝 くの で,非 常 に 魅 力 的 に な る。 ま た 白 い商 品,例 え ば,レ ー ス とか,大 理 石 の 時 計 な ど を 引 き立 て るに も黒 い 背 景 が 有 効 で,な お,そ の上 に昼 光 色 蛍光 灯 か,ご
く うす い青 の ス ポ ッ トを か け
る と一 層 美 し く見 え る。 (4)店
内照 明 と色 彩
店 内 の 照 明 は,店 内 の構 成 や 陳 列 に よ って異 な る は
ず で あ るが,一 般 に は次 の よ うな 方針 で考 え る。 (a)客
を 店 内 に誘 導 す るた め に,店 頭 よ り店 内 を明 る くす る。 しか も,奥 に
行 くほ ど次 第 に明 る く し,突 当 た りを 一層 明 る くす る。 更 に,突 当 た りに赤 系 統 の派 手 な 陳 列 をす る。 これ は赤 の 進 出性 を利 用 して,突 当 た りを近 く見 せ るた め で あ る。 (b)普
通 の商 店 で は,全 般照 明 は蛍 光 灯 と し,こ れ を通 路 に添 って 一 直 線 に
配 置 す る 。 これ は誘 導性 と両 側 の 陳列 品 に対 す る照 明 の た めで あ る。 (c)蛍
光 灯 だ けで は平 た ん な感 じに な る ので,活 気 を つ け るた め にス ポ ッ ト
ラ イ トを適 当 に か け て ア ク セ ン トをつ け る。 (d)色
彩 が 重要 な 商 品 に 対 して は,演 色性 の よ い光 源 を使 用 す る。 た だ し,
普 通 の 蛍光 ラ ンプで も電 球 の光 と混 光 す る こ とに よ って,演 色 性 を よ くす る こ と が で きる。 図11・7は,普
通 の店 舗 に お け る蛍 光 灯 と電 球 と
の配 列 を示 した もので あ る。 大 衆 店 の 場 合 は,客 は 陳列 品 だ け に注 意 し,光 源 は ほ とん ど 見 な い の で,裸 点 灯 が 最 も経 済 的 で良 い。 しか し,高 級 店 に な る と落 ち着 いて 商 品 を観 賞 し た り,天 井 を見 上 げ た りす る ので,照 明 の 方 法 や器 具 の デザ イ ンに 注 意 す る。 貴 金 属 店 な どで は,豪 華 な雰 囲 気 を 出す た め に シ ャ ンデ リア な ど も利用 され る。 ま た,和 菓子 ・呉 服 ・げ た ・茶 な ど の 日本 的 な高 級店 で は,和 風 照 明 器具 も特 殊 な効 果 を出 す の で, 図11・7
店内照明の例
広 く使 わ れ て い る。 店 内の 色 彩 は,一 般 に 天 井 は 白 く,壁 は陳 列 品 に もよ るの で,普 通 は灰 色 にす れ ば 無 難 で あ る 。 陳 列 品 と背 景 との色 彩 関 係 は,飾 窓 と 同様 で あ る。 〔2〕 百 貨 店 照 明 (1)百
貨店 照 明 の要 点
百貨 店 が 一 般 商 店 と異 な る点 は,売 場 が 広 く,か
つ,時 々場 所 変 え が行 わ れ る こ とで あ る。 従 って,照 度 は商 品 の 種類 に捉 われ な い で,1 階 以 外 の 売 場 は 全 店 同 一 照度 で よ く,商 品 の違 い に よ る所 要 照 度 の差 は,ス ポ ッ トラ イ トそ の 他 の 臨 時 灯 で 調節 す れ ば よい。 (2)売
場の照明
百 貨 店 の 1階 売場 は,明 るい屋 外 か ら急 に 客 が入 って来
るの で,他 の階 よ り照 度 を 高 くと る。 ま た,1 階 はそ の 店全 体 の 印 象 を 左 右 す る ので,そ の店 の性 格 や 客 層 によ って,柔
らか な落 ち着 い た照 明 に した り,あ るい
は また豪 華 な シ ャ ンデ リア をつ る した り,裸 ラ ンプ によ り刺 激 的 な 雰 囲 気 を作 っ
た りす る こ とが行 わ れて い る。 1階 以 外 の 売場 は 天 井 も 低 い の で,蛍 光 灯 の じか付 けか 埋 込 み が 普通 で あ る が,1 階 が 高 天 井 の 場 合 は,演 色 性 の よ い メタ ル ハ ライ ド灯 を利 用 す る こ と もあ る。 (3)色
彩
天 井 は 白 色 とす る も,店 内の大 柱 は な る べ く 目立 た せ な い た
め 濃色 とす るか,ま た 鏡 を 4面 に 張 って柱 を消 して しま う こ と も行 わ れ て い る。 壁 は 陳列 を色 々 と変 え る点 か ら,灰 色 にす る の が無 難 で あ る。 〔3〕 美 術館,博 (1)照
物館の照明
明 の 目標
美 術 館 も博 物 館 も,そ
の 陳 列 品 の 形 ・色 彩 ・光 沢 を正
確 に見 せ る と い う こ とが 必 要 条 件 で あ るが,こ れ に対 す る照 明 の 考 え 方 に は二 様 あ る。 第 1は陳 列 品 は本 来,そ れ が 置 か れ る べ き 環 境 と同 じ照 明 にす べ きで あ り,例 え ば,仏 像 は うす 暗 い寺 院 の 内 部 に 置 か れ る ことを 予 想 して 作 られ て い る か ら,観 賞 す る に も,そ の よ うな照 明 に しな けれ ば な らな い とす る もので あ る。 第 2は,そ の よ うな こ とは問 題 に しな いで,あ
くま で もあ りの ま ま の 姿 を正 確 に
展 示 しよ う とす る もの で あ る。 現 在 一 般 の美 術 館 ・博物 館 で は,こ の 第 2の 考 え 方 の下 に計 画 され て い る。 そ して 照 明 の条 件 と して,次 の よ うな こ とが 要 求 され る。 (ⅰ)照
度 が 十 分 で あ る こと。
(ⅱ)表
面 の 照度 が 均 一 で あ る こ と。
(ⅲ)光
色 は 曇 天 の 日の 昼光 と似て い る こ と。
(ⅳ)光
線 に よ って 陳 列 品 が 損傷 しな い こ と。
(ⅴ)ケ
ース の あ る場 合 は,ガ ラス 面 の反 射 が 邪 魔 に な らな い こ と。
(2)昼
光照明
従 来 の 館 で は,昼 光 を主 と した もの が 多 い 。 この 方 法 と し
て は,次 の よ うな もの が あ る。 (a)側
窓
これ は最 も多 いが,窓 の正 面 に 置か れ るケ ース は前 面 ガ ラス の
反 射 の た め 内部 が 見 に くい 。 (b)天
窓
これ は中 央 の 部 分 が 明 る く,そ こに展 示 品 に は よ いが,壁
に陳
列 され る絵画 な ど の照 度 が 中央 部 分 よ り低 い 。 そ の た め,特 に壁 面 を 明 る く した
建 築構 造 の もの もあ る。 しか しな が ら,照 明 を昼 光 だ けに頼 る こと は,天 候 や 季 節 また は時 刻 な どで 照 度 不足 に な る こ とが多 く,ま た ガ ラス窓 が多 い と,外 部 の 火 災 によ る類 焼 や 盗難 の 危 険 に も さ ら されて い る こ とに な るの で,近 来 は な るべ く窓 を 小 さ くす る か, また は全 廃 した 例 も次 第 に多 くな りつ つ あ る。 (3)電
灯 照明
電灯 に よ る照 明 で は,次 の よ うな こ とが 必 要 で あ る。
(a)光
源 は 放 射 熱 が少 な く,演 色性 が最 もよ い こ と。 これ に対 して は,普 通
3波 長 形 以 上 に演 色性 の よ い蛍 光 ランプ を つ け る 。 (b)陳
列 品 の 退 色 を防 ぐた め,紫 外 線 の 出 な い退 色 防 止 用 蛍 光 ラ ンプ を つ け
る。 (c)中 て,ガ
央 に 陳 列 品 が な く,壁 の ケ ース だ け の 場 合 は,全 体 の照 度 を落 と し
ラス 面 の 反 射 を 防 ぐ。 中央 に陳 列 品 が あ る場 合 は,十 分 な照 度 にす る と と
もに,ケ ース 内 もそ れ 以上 明 る くす る。 (4)色
彩
展 示 物 の 色 彩 は色 々 あ るの で,壁
は灰 色 に す る のが 無 難 で あ
るが,展 示 物 を 引 き立 て る に は,明 度 は高 くな い 方 が よ い が,あ ま り低 い と場 内 全 体 が陰 うつ に な る ので,明 度 は4.0∼6.0に
と り,ま た 彩 度 も低 目 に と る と落
ち着 い た雰 囲気 を作 る。 場 内 に いす が あれ ば,そ の い す も目 の疲 れ を休 め るた め に,明 度 ・彩 度 の低 い 色 とす る。 〔4〕 舞 (1)舞
台
照
明
台照 明 の 目標
舞 台 照 明 は,劇 場 の 舞台 を照 明 して 演 技 を 助 け,美
しい雰 囲 気 を作 り,ま た舞 台 の諸 装 置 の 実感 を 出 す と い うよ うに,色 々 の 目的 を もつ もので あ るが,照 明 は あ くまで ワ キ役 で,あ ま り照 明 が 目 立 ちす ぎて は 俳 優 の演 技 に対 して,か え って邪 魔 に な るの で,な る べ く目 立 た な い よ う にす る こ と が根 本 精 神 で あ る。 しか し,時 と して はダ ンス,レ
ビ ュー の よ うな場 合 に,照 明
を大 い に活 躍 させ て,特 殊 の 効果 を盛 り上 げ る こ と もあ る。 (2)照 る。
明器具
舞 台照 明器 具 と して は,一 般 に 次 の よ うな ものが 用 い られ
(a)ボ
ー ダライ ト
長 い と い の 中 に 電 球 を 並 べ て,こ
す 。 最 も 舞 台 の 前 端 に 近 い の が 第 1ボ ー ダ で,次 図11・8に
れ を舞 台 の天 井 につ る
に 第 2 ボ ー ダ,第
3 ボ ー ダ と,
示 す よ うに数 列 つ るす 。
取 付 け 電 球 は100∼200Wが
普 通 で,3
色 も し く は 4色 に 分 け られ,各
色 ごと
に 回 路 を 別 に して あ る 。
図11・8
(b)プ き,顔
ロセ ニ ア ム ライ ト
舞台照明装置
ボ ー ダ ラ イ トだ け で は 俳 優 が 舞 台 の 前 方 に き た と
の 照 明 が 不 十 分 に な る の で,そ
れ を 補 うた め に,プ
ロセ ニ アム の前 端 に も
ボ ー ダ ラ イ ト と 同 様 な も の を 取 り付 け る こ と が あ る 。 こ れ が プ ロ セ ニ ア ム ラ イ ト で あ る。 (c)フ は,俳
ッ トラ イ ト(脚 光)ボ
ー ダ ラ イ トの よ う に,上
優 の 顔 の 影 が 強 く出 す ぎ る の で,こ
方 か らだ け の光 線 で
れ を 柔 らげ る た め に,舞
台 前端 の床 に
点 灯 す る もの が フ ッ トラ イ トで あ る 。 電 球 は ボ ー ダ ラ イ トよ り容 量 が 小 さ く,間 隔 も小 さ くす る が,色 (d)サ
はボ ーダ ライ トと同様 の 回路 にす る。
ス ペ ン シ ョン ライ ト
す る もの で,普
通,大
き い 深 形 照 明 器 具 に1000W電
(サ ス ペ ン シ ョ ン フ ラ ッ ド),レ あ る(サ
舞 台 の 天 井 か らつ り 下 げ,舞
台 の 床 を 強 く照 明
球 を つ けた もの を用 い るが
ン ズ を つ け て 一 層 強 い 光 を 出 す よ う に した も の も
ス ペ ン シ ョ ン ス ポ ッ ト)。 こ れ は あ く ま で 床 だ け の 照 明 で,位
置 に注 意
して 客 席 や 背 景 に光 が か か らな い よ う にす る。 (e) ス ポ ッ トラ イ ト レ ンズ を用 い て,遠 距 離 か ら強 い 光 を 舞 台(主 演 技 者)に 投光 す る もので,色 この うち500W用
と して
々の 形 の もの が あ る。 電 球 は500∼3000Wで,
の小 型 の もの は,俗 に ベ ビー ス ポ ッ トと 呼 ばれ て い る。
また,大 劇 場 で は キセ ノ ンア ー ク灯 を 用 い た 大 型 のス ポ ッ トライ トも使 わ れ る。 ス ポ ッ トライ トは,舞 台 の手 前 の 客席 の 側方 か ら投 光 す るの が 普通 で あ る が, この ほ か に客 席 の 後 方 か ら舞 台 に 向 か って 正 面 か ら投 光 す る もの が あ り,フ ロ ン トラ イ トと呼 ばれ て い る。 (3) 調
光 舞 台照 明で は,照 度 や 色 彩 を 自由 に 変 え る こと が要 求 され る
の で,そ の ため に特 殊 な 装 置 を用 い る。 これ が 調 光 機 で,こ れ を用 い て照 度 や色 彩 を変 化 させ る こ とを調 光 とい う。 色 彩 光 はす べ て 電球 の前 に色 プ ラ スチ ック フ ィル タ を取 り付 け る こ と に よ って 得 られ るが,こ
う して 得 られ た色 光 を色 々 と溶 明,溶 暗 して,希 望通 りの色 を 出
す ので あ るが,そ の 溶 明,溶 暗 は電 球 の電 圧 を変 化 す る こ とに よ って 得 られ る の で,そ れ を つか さ ど るの が 調光 器 で あ る。
図11・9
NHKホ
ー ル の 照 明操 作卓
(主 調 光 操 作 ・フ ェ ー ダ ・パ ッ チ ン グ操 作 ・回 路 制御)
この調 光 器 に は,従 来,変 圧 器 を 利用 した もの が 一般 に用 い られ た が,最 近 は サ イ リス タ調 光 装 置 が 大 い に 普 及 して きた 。 これ は 変 圧器 な ど の調 光 装 置 に比 べ て 非 常 に小 さ く,従 って,調 光 室 が狭 くて よ く,1∼2人
で 全 部 の操 作 が で き る
の で,建 築 費や 人 件 費 が 節 約 に な る点 が 長所 で あ る。 図11・9は,サ 11・4生
イ リス タ 調光 装 置 の 一 例 で あ る。
活 娯 楽 の た め の照 明
これ は住 宅 や 飲 食 店 な どの よ うに,生 活 を 快 適 に す る た め の照 明 で あ り,そ の 手 法 は住 む人 の 自 由で あ るべ きで は あ る が,そ れ で も大 体 の原 則 は あ る。 また, 集 合住 宅 の よ うに,住 む人 が 不 特 定 の 部 屋 で は個 人 の 趣 味 で設 計 す べ きで は な く, 料 飲 店 な ど で は風 紀 衛 生 上 か ら,照 度 そ の他 に 制 限 が あ る こ と も当 然 で あ る。 こ れ らの照 明 に は,次 の よ うな もの が あ る。 〔1〕 住 (1)照
宅
照
明 の 目標
明 住 宅 は 憩 い の 場 所 で あ る か ら,照 明 は あ くまで も安 らか
な落 ち着 い た気 分 の もので あ る こ とが 肝 要 で あ る。 しか し,勉 強 室 や 台 所 な ど は 作 業 の た め の照 明 に準 じる。 (2)光 の他,色
源
光 源 と して 電 球 と 蛍 光灯 と の 優劣 につ いて は,経 済,光 色 そ
々 な見 地 か ら比 較 す べ きで あ る。
経 済 上 か ら考 え る と,蛍 光 灯 を求 め る時 は 高 価 で あ る が,電 力 が 少 な くて す む か ら,結 局,経 済 的 で あ る と一 般 に 考 え られ て い る。 しか し,経 費 と い う もの は,設 備 費 の利 子,償 却 を 考 え な けれ ば い け な い。 平 均点 灯 時 間 が 長 い場 合 は, 電 力 費 の 節 減 が最 初 の設 備 費 の 利 子 償 却 を 上 回 るの で,こ の た め に蛍 光 灯 は経 済 で あ る とい わ れて い るの で あ るが,平 均 点 灯 時 間 が 短 い場 合 は必 ず しも そ うで は な く,玄 関,洗 面 所,便 所 の よ うに,1
日の 平 均点 灯 時 間 が ご く短 い所 で は,電
力 費 の 節約 が利 子,償 却 費 よ り少 な い の で,蛍 光 灯 の 方 が不 経 済 と な る。 次 に光 色 の点 で は,応 接 間 や 玄 関 な どは,暖 か い 雰 囲気 で 客 を もて な す と い う 点 か らも電 球 の方 が 好 ま しい し,食 卓 の 照 明 も料 理 の 色 を美 し く見 せ るた め に は 電 球 が よ い 。 ま た鏡 の照 明 につ い て 考 え る と,鏡 の ガ ラス は赤 色 光 を多 少 吸 収 す
るの で,こ の厚 い ガ ラス を光 が 往 復 す る う ちに,赤 が 少 し欠 け た光 と な る。 従 っ て,鏡 に顔 を写 して 見 た時 は,本 当の 顔 色(す な わ ち,他 人 が 自分 の顔 を眺 め た 時 の顔 色)よ り も少 し血 色 が 悪 く見 え る と い うこ とに な る。 これ を 救 うに は,赤 色 光 の 多 い光 源 が よ い ので,こ の 意 味 で も鏡 の 照明 に は電 球 の 方 が よ い。 一 般 に, 鏡 の 上 に蛍 光 灯 が つ いて い る家 が 多 い が,こ れ は顔 色 を正 し く見 る こ と はで きな い。 結 論 と して,電
球 と 蛍 光 灯 の 適 所 を 部 屋 別 に す れ ば,表11・1の 表11・1電
(3)照
明方式
よ う に な ろ う。
球 と蛍 光 灯 の適 所
一般 に 天 井 つ り下 げ式 が 無 難 で,事 実 これ が最 も多 い。 光
天 井や 天 井 埋 込 み形 な ど は,ご み が た ま った 場 合 の清 掃 が 厄 介 な だ けで な く,後 の 変 更 も困難 で あ る。 (4)照
明器具
照 明 器 具 の様 式 に つ い て は,照 明 設 計 の 項 で 解 説 して あ る
が,原 則 と して 照 明器 具 は装 飾 で はな く,あ くまで 灯 器 と して の 合 理性 を もた な け れ ば な らな いが,こ れ も また 家 具 の 一 種で あ るか ら,部 屋 の 様式 と調 和 しな け れ ば な らな い。 わ が 国 の住 宅 建 築 も,和 室 は 従 来 の書 院 造 りの 精 神 に の っと りな が ら も,色 は 明 る く,木 部 も細 くな り,全 体 と して明 朗 軽 快 な 調子 に な って い る 。 ま た,洋 室 も この精 神 に合 わ せ て,無 意 味 な装 飾 な ど は少 な くな って き た し,家 具 も新 様 式 の ものが 多 い 。 色 彩 も和 室 と同様 で,白 壁,白 天 井 も少 な い。 照 明 器 具 の デ ザ イ ンは,以 上 の よ うな室 の 様式 と調 和 す る もので な け れ ば な ら な い。 調 和 す る とい う こ とは,デ ザ イ ンの 根本 精 神 が 同 じで あ り,照 明 器 具 だ け が 目立 た な い で,部 屋 の 中 に と け こん で しま う ことで あ る。 こ うい う見 地 か ら考 えれ ば,住 宅 の 照 明器 具 は,原 則 と して な るべ く,単 純 か
つ 機 能 的 で,無 意 味 な装 飾 な ど は な い もの が 無難 で あ る。 〔2〕 旅 館 ・料 亭 の 照 明 (1)照
明 の 目標
和 風 旅 館 や 料 亭 の建 築 が住 宅 と同 様 な 様 式 で あ る限 り,
そ の照 明 の考 え 方 も同 じで よ いが,住 宅 と違 って 不 特 定 多 数 の 客 を 迎 え る と い う 点 で多 少 異 な る点 もあ る。 (2)光
源
光 源 は電 球 か 蛍 光 灯 か の問 題 で あ るが,次 の よ うに 考 え れ ば
よ い。 一 般 に客 室 は 住 宅 に 準 じる。 しか し,大 体 に お いて,大 衆 向 きの旅 館 や 料 亭 で は蛍 光 灯,高 級旅 館 や料 亭 で は 電球 が 喜 ばれ る。大 広 間 は 一般 に蛍 光 灯 で 明 る く 照 明 す る。 便 所,洗 面 所 は,個 室 付 き の もの は使 用 ご とに点 滅 す る ので 電 球 が よ く,共 用 の もの は,つ け放 しが 多 い ので 蛍 光 灯 の方 が 経 済 的 で あ る。 な お,庭 園 は一 般 に 水 銀 灯 が 推 奨 さ れ る。 (3)照
明器 具
和 室 は住 宅 の 和 室 に準 じれ ば よ いが,大 広 間 だ け は蛍 光 灯
の連 続 列 照 明(ラ イ ンラ イ ト)が 好 ま しい。 〔3〕 ホ テ ル ・レス トラ ンの 照 明 (1)照 (2)光
明 の 目標 源
旅 館 ・料 亭 と同 じで,た だ部 屋 が 違 う だ けで あ る。 大 衆 向 きの 店 で は,蛍 光 灯 で 明 る く,高 級 店 で は電 球 で 落 ち
着 いた 雰 囲 気 を作 る ことが 普 通 で あ る。 しか し,ホ テル フ ロ ン トは細 字 を読 む こ とが 多 いの で,蛍 光 灯 で 明 る くす る。 (3)照
明器具
器 具 の 様 式 は建 築 と調和 す る こ とが 肝 要 で あ るが,客 間 で
は新 聞 や雑 誌 が楽 に読 め る よ うな 配 光 の 器具 が必 要 で あ り,ま た 食 堂 で は,食 卓 上 は相 当 明 る く,し か も空 間 はあ ま り明 る くな らな いよ うな もの が好 ま れ る。 また 客間 の卓 上 で は,ス タ ン ドに よ る十分 な照 度 が 必 要 で あ り,寝 台用 の 照 明 は調 光器 に よ って 明 る さが 自由 に 調 節 す る ことが で き るよ うに した い。 〔4〕 病 (1)照
院
照
明 の 目標
明 病 院 は 清 潔 感 が大 切 で あ るが,寂
しい気 持 の患 者 が た く
さん い る所 で あ るか ら,暖 か 味 を失 って は い けな い。 ま た,診 察や 手 術 が完 全 に
行 われ る照 明 で あ る こ と は最 も肝要 で あ る。 (2)光 す るが,こ
源
一 般 に は,演 色 性 の よ い蛍 光 灯 で 明 る く照 明 す るの を 原 則 と
の ほか に暖 か 味 を 出 す た め に,電 球 に よ る ブ ラケ ッ トな どを 併用 した
い。 (3)照
明器具
照 明 器具 は,な る べ くご み の た ま らな い よ うな もの が 望 ま
し く,つ り下 げ 形 よ りも天 井 埋 込 み形 が好 ま しい。 (4)病
室
病 室 に お け る 患者 は,上 を 向 いて 寝 て い る時 間 が 多 いの で,
天 井灯 に よ る まぶ しさを 防 ぐよ うに しな い とい け な い。 ま た,寝 なが ら読 書 す る こ と も多 い の で,枕 元 の あ か り も必 要 で あ るが,枕 元 の ブ ラケ ッ トは 電 球 だ と多 少 放 射 熱 を 感 じるの で,な る べ く蛍 光 灯 が良 い。 次 に 色 彩 で は,冷 た い 感 じを 防 ぐた め に,壁 天 井 は 白色 を避 け,ク
リー ム そ の
他,暖 味 系 の色 にす る。 た だ し,赤 ・ピ ンク な ど は興 奮 を誘 うので 避 け な け れ ば な らず,青 系 統 の 色 は食 欲 を 減 退す る ので,こ れ また 良 くな い。 (5)廊
下
病 院 の廊 下 は,外 来 患者 の 待 合 所 に も兼 用 され る ので,新
聞
や雑 誌 類 が 楽 に 読 め る た め と,患 者 の気 分 を 明 る くす るた め に も,照 度 は十 分 高 くと る。 壁 も楽 しい 気 分 を誘 うよ うに明 る い黄 緑 色 な ど にす る こ とが好 ま しい。 (6)診
察室
診 察室 で は患 者 の顔,そ の 他,皮 膚 の 色 が 正確 に観 察で き る
こ とが 肝 要 で あ る。 診 察 は病 室 と同 様 に昼 間 行 わ れ るの が 普通 で あ るが,万 一 の 場 合 を 予 想 して 蛍 光 灯 も演 色性 の よ い もの とす る。 電 球 は黄 色 と白色 と の別 を見 に く くす るの で 避 け た い。 ま た,昼 間 は壁 か らの 反 射 光 の 影 響 を受 け る ので,壁 の 色 は 無 彩 色(例 え ば,明 る い灰 色)が (7)手
術室
よい 。
手 術 室 は全 般 的 に明 るい 照 明 が 望 まれ るが,特 に手 術 す べ き
患者 は 高 照 度 が 要 求 され る。 しか も その 他,演 色性 が よ い こ と,放 射 熱 が 少 な い こ と,患 部 に 医 師 の 頭部 な ど の影 が 落 ちな い こ とな ど の条 件 が要 求 され る。 この た め,従 来 は 図11・10の
よ うな無 影 灯 が 一般 に 使用 されて いた が,最 近
の大 病 院 で は,手 術室 全 体 を大 ドー ム形 に して,そ の ドー ム の壁 面 の 各 方 向 よ り 光 を 投 射 す る方 法 が と られ て い る。 この 方 法 に よ る と,壁 面 か らカ ラー テ レ ビを 撮 像 した り,ま た窓 をつ けて手 術 の様 子 を観 察 す る こ と も 出来 る。
図11・10手
術無影灯
な お,患 部 は普 通,明 度 も彩 度 も低 い ので,そ の 周 囲 に 反 射 率 の 高 い 白 布 が あ る と患部 に対 す る視 力 が 落 ち るの で,最 近 で は,青 また は緑 の 布 を 使用 す る こと が行 わ れ て い る。
第11章
(1)図11・3の た方 が,図(b)の
問
題
よ うな細 長 い事 務 室 に おい て,裸 点 灯 の 場 合 は 図(a)の よ うに点 灯 し よ うに した 場 合 よ りま ぶ しさが 少 な い の は な ぜ だ ろ うか 。 (ヒ ン ト,立 面 図 を画 い て 考 え る とよ い)
(2)図11・6の ろ うか。
黒 板 照 明 で,蛍 光 灯 を 黒板 か ら大 き く離 して 点灯 して あ る の は なぜ だ
第12章
12・1道
路
照
屋
外
照
明
明
〔1〕 道 路 照 明 の 目標 道 路照 明 の 目標 と して は,交 通 安 全,事 故犯 罪 の防 止,商 店 街 の 繁 栄 な ど色 々 あ る が,光 源 の 種 類,灯 器 の 意 匠,照 度 そ の他 の こ と は,道 路 の 種 類 に よ る照 明 の 目標 に よ って,そ れ ぞ れ 適 当 な もの を選 ぶ 。 〔2〕 住 宅 街 の 照 明 これ は事 故 や犯 罪 の防 止 が主 な 目標 で,一 般 に 蛍光 灯 を灯 柱 か ら道 路 に 向 か っ て斜 め に突 き出 して点 灯 す る も のが 多 く,こ れ を 防犯 灯 と も呼 んで い る。 所 要 照 度 は1.0∼101x程 灯 を 高 さ4∼6m,間
度 で よ い と さ れ て お り,こ
隔15∼50mぐ
れ に 対 して は20W蛍
光
ら い に 点 灯 す る。
〔3〕 商 店 街 の 照 明 車 もあ ま り通 ら な い よ う な 商 店街 の照 明 は,そ の 商 店 街 の 繁 栄 を主 な 目標 と し,次 の よ う な点 を考 慮 す る。 (a)通
行 人 を 引 き つ け,楽
し い 。 そ の た め,図12・1の
し さ と に ぎ や か さ を 感 じ させ る よ う な 灯 器 が 好 ま よ うな多
灯 式 灯 器 も用 い られ る。 (b)そ
の 商店 街 へ 客 を 誘 致 す るた
め,商 店 街 の 両端 に吸 引力 の あ る街 門 を 設 ける。 照 度 の 基 準 は20∼200lxで
あ る が,
両 側 の 商 店 が 明 る い と こ ろ で は70∼ 200lx,暗
い 街 路 で は20∼50lxぐ
い に とる。
ら 図12・1多
灯 式 灯 器 の例
(a)懸
垂形
(b)柱 図12・2道
頭形
路照明用灯器の例
次 に,中 央 に車 道 の あ る商 店 街 で は,歩 道 と 車 道 と で 照 明 の 要求 が異 な る た め,歩 道 と車道 との 中間 に灯 柱 を 建 て,車 道 側 に は水 銀 灯 を,歩 道 側 に は 電球 か 蛍 光 灯 を つ け れ ば 合理 的 で あ るが,一 般 に は大 型 の 演 色性 の 良 い水 銀 灯 を点 灯 す る こ とが 多 い。 灯 器 の 形 と し て は 多 灯 式 も あ る が,一 と,図(b)の
般 に は 図12・2(a)の
よ う な下 向 き形
よ うな上 向 き形 とが あ る。
こ の う ち 図(a)は,道 ん で い る 道 路 で は,建 ヨ ー ロ ッパ に は,こ 図(b)は,道
路 面 に 対 し て は 最 も効 率 が 高 い が,両 物 の 上 部 が 暗 く な り,寂
側 に高 い建 物 が 並
しい 感 じを与 え る。 電 力 費 の 高 い
の 形 の もの が 多 い。
路 面 の 照 明 率 は 低 い が,電
して こ の 形 の も の が 用 い ら れ,わ
力 の 豊 富 な ア メ リカ 合 衆 国 で は,主
が 国 で も この 方 が 一 般 に 喜 ば れ て,各
と
地 に普 及
して い る 。 国12・1の
よ う な 多 灯 式 の もの は,照
明 率 が 低 く,価
格 も高 く,し
か も灯 数 が
済 的 に は 有 利 で な い が,に
ぎや か な感
多 くな る と,球
の 取 替 費 も多 額 に な り,経
じが 喜 ば れ,次
第 に各 地 に普 及 す る傾 向 が あ る。
〔4〕
ア ー ケ ー ドの 照 明
わ が 国 の 商 店 街 に は,ア
ー ケ ー ドの あ る と こ ろ が 多 い。こ
道 だ け で 中 央 の 車 道 に は な い も の と,道
の ア ー ケ ー ドに は 歩
路全 面 を 覆 った高 天 井式 の もの とが あ
る。
前 者 は普 通 片 流 れ式 で,一 般 に屋 根 が低 い の で,照 明 器 具 は天 井 に じか付 け に す るの が 普通 で あ る。 図12・3は
そ の数 例 で,こ の うち図(c)は 器 具 の 表 面 に 店
(a)
(b) 図12・3片
(c)
流 れ 式 ア ー ケ ー ドの照 明 例
(a)
図12・4高
(b)
天 井式 ア ー ケ ー ドの 照 明 例
名 な ど を 書 い て 広 告 に 利 用 して い る 店 が 多 い 。 ま た 後 者 の 高 天 井 式 は,車
の 通 行 を 禁 止 して い る 繁 華 街 に 多 く,雨
く り 買 物 を 楽 し ま せ よ う と す る 目 標 を も って い る 。 従 っ て,照 の よ う な 天 井 じか 付 け だ け で な く,図(b)の つ り下 げ て,歩
よ う に,中
天 で もゆ っ
明 も 図12・4(a)
央 か ら華 麗 な 照 明 器 具 を
行 者 の ム ー ドを 盛 り 立 て た も の が 多 い 。
ア ー ケ ー ド 内 の 照 度 は,そ 小 都 会 で は100∼3001x程
の 商 店 街 の 繁 華 度 に よ り,大
度 に と る が,あ
都 会 で は300∼7001x,
ま り明 るす ぎる と両 側 の 商 店 が 引 き立
た な くな る お そ れ が あ る。
〔5〕 地 下 商 店 街 の照 明 わが 国 に は,諸 外 国 に比 べ て 明 る く大 きい 地 下 商 店街 が非 常 に 多 い。 こ こは高 天 井 アー ケ ー ドと似 た性 格 の もので あ るが,天 井 が 一般 に低 い の で,照 明 も天 井 じか 付 け か,ま た は 天 井埋 込 み ま た は光 天 井 に す る の が普 通 で あ る。 地 下 商 店街
は 客 が 多 く,か
つ 足 早 で 歩 くの で,ゆ
し,照 度 は 十 分 高 く200∼500lxぐ
った り した気 分 を 誘 う こ と は 無 駄 で あ る らい に と る。
〔6〕 交 通 道 路 の 照明 店 舗 も 少 な く,車
の 交 通 を 主 とす る 道 路 の 照 明 は,交
る 。 一 般 に は,図12・5の
通 安 全 を第 一 の 目標 とす
よ う な 形 の ハ イ ウ ェ イ灯 が 最 も多 い こ と は,各
国共通
の 現 状 で あ る。
図12・5交
通 道 路 の ハ イ ウ ェ イ灯
光 源 の演 色性 は あ ま り重 要 で な く,効 率 の 点 か ら蛍光 水 銀 灯 が 多 く用 い られ て い るが,霧 の 多 い 地方 で は低 圧 ナ トリ ウム灯 が用 い られ て い る。 これ は ナ ト リウ ムの D線(黄 色 の 単 色 光)が 霧 に 対 す る透 過 率が 高 いた め で あ る。 照 度 は車 の速 度 の大 きい道 路 ほ ど 高 くす る ことが 望 ま しいが,車
の運 転 に は道
路 面 の輝 度 が 問題 に な り,輝 度 が高 い と まぶ しさを感 じる。 従 って,道 路 照 明 は 路 面 の輝 度 を 基 に して 決定 す べ きで あ り,一 般 に 路 面 の平 均輝 度 は,表12・1の 値 が 適 当 で あ る と され て い る。 1cd/㎡
の 輝 度 を 得 る た め の 照 度 は,コ
ン ク リー ト舗 装 で 大 体101x,ア
スフ ァ
表12・1交
通道 路面の基準輝度
〔 単 位cd/㎡
〕
(注)外 部条件 A:道 路交通 に影 響を及 ぼす光が連続 的にある道路 沿線の状態をい う。 外部条 件B:道 路交通に影響を及ぼす光が断続的にあ る道路 沿線の状態をい う。 外部 条件C:道 路交通に影響を及ぼす光がほ とん どない道路 沿線の状態 をいう。 ル ト舗 装 で15lx程 な お,道
度 で あ る。
路 以 外 の 場 所 の 照 度 と して,料
の 判 別 を 行 う場 所 は30lx以 次 に,上 ま ず,灯
金 所 周 辺 は 平 均20lx以
上,車
種な ど
上 と 定 め られ て い る 。
記 の よ う な 条 件 を 満 た す た め の 照 明 の 設 計 は,次
柱 の 配 列 を 決 め る 。 これ に は 図12・6の
(a)の 片 側 配 列 は狭 い 道 路 か,中
の よ う に して 行 う。
よ う な 種 類 が あ り,こ
の うち図
央 分 離 帯 の な い 道 路 に設 置 さ れ る。 これ を 図
(b)の 千 鳥 配 列 す る と,照 度 の均 斉 度 は高 く
表12・2灯
器 の高 さ と間 隔 制 限
な るが,配 線 に 費用 がか か り,か つ,曲 線 の 多 い道 路 で は道 路 の 曲 が る方 向を 見 誤 るお そ れ が あ る。 次 に,表12・2か
ら灯 器 の高 さ を決 め る。
〔注 〕 W は車 道 幅
そ こで,次 式 か ら 1灯 当 た り光 束 と灯 間 隔
(a)片
側配列
(b)千 図12・6交
鳥 配列 通道路の灯柱配列法
(c)向
き合 せ 配 列
との 比 が求 め られ る。 φ = EW / S / NUM こ こ に,φ 度
〔lx〕,N
(12・1)
は 1灯 当 た り光 束
〔lm〕,E は 照
は 灯 数(た
側,千
だ し,片
鳥の場
合 は 1,向 き 合 せ の 場 合 は 2),U は 照 明 率, M は 保守 率 とす る。 こ の う ち,照
明 率 は 図12・7の
よ う に,灯
器
の 高 さ に 対 して 車 道 幅 の 広 い ほ ど大 き く な る 。 こ う し て,φ/Sが
決 ま れ ば,φ
当 に 選 ぶ こ と に よ り,光
と S とを適
源 の 大 き さが決 定 す
る。 わ が 国 で の 交 通 道 路,特
に高 速道 路 の照 明 は 図12・7照
ほ と ん ど 全 部,図12・5の の で あ る が,最
近,外
た 。 こ れ は 図12・8の 間 隔 に 柱 を 建 て,そ
明
率
よ うな灯柱 に よ る も 国 特 に ヨ ー ロ ッパ に お い て カ テ ナ リー 方 式 が 行 わ れ て き よ う に 本 線 の 中 央 分 離 帯 上 に,道
の 間 に 架 線 を 張 り,懸
垂 線(カ
路 軸 に 添 っ て60∼100m
テ ナ リ ー)を
下 げ て,こ
れに
照 明 器具 を つ け る方 式 で あ る。
図12・8カ
テ ナ リー方 式
この 方 式 の特 徴 は, (a)照
明 器具 の間 隔 を狭 くとれ るの で,照 明 分 布 が 均 一 に な る。
(b)光
の ビー ム が鉛 直 に近 い もの が 多 い ので,雨 天 の 時 で も強 い 反 射光 に よ
る まぶ しさが な い。 (c)道
路 以 外 へ の光 の 漏 れ る の を制 御 しやす いの で,周 辺 の 畑 や 民 家 に対 す
る光 害 を少 な くす る こ とが で き る。 (d)照
明 器 具 に よ る まぶ しさが 少 な い。
(e)将
来,必 要 に 応 じて増 灯 す る こ とが 可 能 で あ る。
(f)柱
の 間 隔 を 広 く とれ る ので,そ れ だ け建 築 費 も少 な くてす み,邪 魔 な柱
が少 な くな る。 〔7〕
トン ネ ル 照 明
最 近,高 速 道 路 の普 及 に伴 い,ト
ンネ ル照 明が 重 要 視 さ れ て き た。 トンネ ル
は,明 る い屋 外 か ら急 に暗 い と ころ に入 る の で あ るか ら,内 部 を よ ほ ど明 る く し な い と運 転 者 の 目が 暗 さに慣 れ て い な い ので 障 害 を起 こ しや す い が,長 い トンネ ル 内 を一 様 に明 る くす る こ とは経 済 上 困 難 な ので,入
口を 明 る く,内 部 に入 る に
従 って漸 次 照 度 を落 とす よ うに設 計 す る。 この よ うな照 明 を 入 口増 灯 部 照明 とい う。 しか しなが ら,こ の程 度 を ど の よ うに と るか は,運 転者 の 目 と心 理,な
らび に
電 力経 済 の 3者 の立 場 か ら慎 重 に研 究 され,現 在 わが 国の 高 速 道 路 トンネ ル の大 部 分 は,そ の よ うな研 究 結 果 に基 づ い て設 計 されて い る。 現 在 の トンネル 照 明 は,普 通 入 口付 近 で800∼1000lx程
度 で,入 口増 灯 部照
明 の 終 わ りか ら内部 全 体 にか け て30∼40lxに
とる。 この 緩 和 照 明 の 区 間 は お よ
そ200∼250mで,こ
前 後 で あ る。
の間 の 走行 時 間 は10秒
高 速 道 路 トンネル 照 明 の 光 源 は,蛍 光 灯,蛍 光 水 銀 灯 な ど も用 い ら れ て い る が,最
も多 い の は排 気 ガ ス に 対 して 透 過 率 の高 い低 圧 ナ ト リウム灯 で あ る。
12・2広
場 ・公 園 ・庭 園 の 照 明
〔1〕 広
場
広 場,特
照
明
に 駅 前 広 場 は 駅 か ら出 て 来 た 人 に 対 し,そ
の で あ り,か
つ,人
や 車 の 往 来 も 激 し い の で,感
の都 市 の 印 象 を左 右す る も
じ よ く,か
つ 明 るい こ とを必 要
条 件 とす る。 照 度 基 準 は20∼200lxで た に 設 計 す る 場 合 も,そ
あ る が,実
際 に は20∼50lxぐ
の 程 度 に な って い る。
らい の も の が 多 く,新
光 源 は 電 球,水 銀 灯,メ タ ル ハ ラ イ ドラ ンプ か ら広 い 場 所 で は キ セ ノ ンア ー ク 灯 ま で用 い られ る。 これ らに対 す る照 明 器 具 も,下 向 き形,上 向 き形 か ら多 灯 形 の もの な ど,色 々な形 の ものが 設 置 され て い る。 要 はそ の都 市 の イ メ ー ジ にふ さ わ し く,ま た あ ま り不 経 済 で な い もの が 良 い 。 しか し,一 般 に 上 向 き形 の もの は照 明 の 効 果 が 低 い が,灯 柱 の そ ば か ら相 当離 れ た点 ま で 照 度 は 割 合 に均 一 で あ り,下 向 き形 は効 率 はよ い が,そ の直 下 が 最 も 明 る く,離 れ るに 従 い 急激 に照 度 は低 下 す る。 多 灯 形 は に ぎや か な感 じを与 え る が,あ ま り灯 数 が 多 く な る と ラ ンプ の 交 換 が 面 倒 に な る。 灯 器 の形 を決 め る に は,こ の よ うに 色 々 の点 を よ く考 えて 決 定 しな けれ ば い けな い 。 一 般 に ,広 場 とか道 路 の よ うに不 特 定 多 数 の 人 に見 られ る もの は,設 計 者 個 人 の趣 味 で 決 め る こ とは 禁物 で あ る。 ま た,こ れ らの 灯 器 は夜 間 よ り も昼間 の方 が 眺 め られ る時 間 が 長 い とい う こ と も忘 れ て は な らない 。 〔2〕 公
園
照
明
公 園 に は 自然公 園 と人 工 公 園 とが あ るが,照 明 設 計 の 対 象 とな る の は人 工 公 園 で あ る。 こ こに は 遊 歩道 の ほ か に,樹 木,噴 水,記 念 建 造 物,橋 そ の他 色 々 の も の が あ るが,原 則 と して,歩 道 に は通 行 に不 便 で な い だ け の 照 明 を施 し,観 賞 の 対 象 物 に は投 光 照 明 が 推奨 され る。 この 場 合,注 意 を 要 す る こ とは, (a)灯
器 はな るべ く目立 た な い もの で あ りた く,で き るな ら投 光 器 な ど は昼
間 地下 に 隠す よ うに した い。 (b)光
源 は,樹 木 な ど は水 銀 ラ ンプ の光 が緑 の木 の葉 が美 し く 映 え て よ い
が,冬 期 に は水 銀 灯 だ けで は冷 た い の で,建 物 そ の他 の建 造 物 に は,ハ ロゲ ン電 球 や高 圧 ナ ト リウム灯 の よ うな 暖 か 味 の あ る光 を利 用 す る ことが 考 え られ る。 冬 と夏 とで光 源 を変 え れ ば最 も良 い。 (c)噴
水 に色 彩 照 明 を 応 用 す る こ とは よ く行 われ るが,都 会 の 中 央 の 公 園 な
どは とに か く,落 ち着 いた 名 園 な どに は,多 色 の色 彩 照 明 を施 した り,色 を変 化 させ た りす る こと は逆 効 果 の おそ れ が あ る。 〔3〕 庭
園
照
明
料 亭 ま た は 個人 の庭 園 に は,広 い 芝生 が あ って,そ
こで 客が 食 事 そ の他 を楽 し
む よ うな もの と,単 に観 賞 の対 象 物 で あ る も の と が あ る。 前 者 に対 す る照 明 で は,演 色性 の よ い光 源 を使 った 上 向 き形 の 灯柱 を適 当 に配 置す るの が 普 通 で あ る が,後 者 の 場 合 は 灯器 は視 界 に おか ず,観 賞者 が座 敷 か ら眺 め る とす れ ば,家 屋 の 屋 根 上 も し くは 側方 の灯 柱 か ら投 光 照 明 を 施す のが 定 石 で あ る。 この 場 合,真 正 面 か ら投光 す れ ば,陰 影 が な くな って 平 面 的 に な りが ちで あ るか ら,や や 側 方 か ら投光 して 立 体 感 が 出 る よ うにす る。 光 源 は樹 木 だ け な ら水 銀 ラ ンプ で よ いが,花 そ の他 の もの まで 観 賞 の 対 象 物 と な る場 合 は,演 色 性 を考 慮 す る。 12・3建
造 物 の 照 明
〔1〕 照 明 の 方 法 建 築 ま た は記 念 碑,銅 像 な どの建 造 物 を,夜 間 明 る く照 明 して 観 賞 の 対 象 にす る こと は広 く行 わ れ て きた 。 この た め の 照明 の方 法 と して,最
も古 いの は建 造 物
の輪 郭 に添 って,点 々 と小 電 球 を 多 数点 灯す る方 法 で,こ れ を俗 に イ ル ミネ ー シ ョ ン(電 飾)と 称 した 。 この 方 法 は,一 時 全 然行 わ れ な くな った が,最 近 一 部 に 復 活 しつ つ あ る。 次 は,こ の 小 電 球 の代 わ りに ネ オ ン管 を もって した もの もあ る 。現 在,最
も多
く行 われ て い る方 法 は投 光 照 明 で あ る。 〔2〕 光
源
投光 照 明 は投光 器 を 使 用 す る た め に,蛍 光 ラ ンプ の よ うな細 長 い もの は 使 え ず,対 象 物 に よ って,電 球,ハ
ロゲ ン電 球,水 銀 ラ ンプ,メ タ ル ハ ライ ドラ ンプ,
高圧 ナ トリウ ム ラ ンプ な ど,色 々 な 種 類 の ものが 使 わ れ て い る が,2 種 も し くは 3種 の光 を混 光 した りす る こ と も行 わ れ て い る。 〔3〕 設
計
法
ま ず光 源 の種 類 を決 定 し,次 に 照 度 を 決 め る。 照 度 は 表12・3に
よればよい。
投光 器 の取 付 け場 所 は,な るべ く 目立 た な い所 を選 ぶ 。特 に 昼 間邪 魔 にな らな い よ うに留 意 し,で きれ ば 地下 に 隠 す よ うに した い。 投光 器 は,光 源 の 種 類 に よ り,ま た 照 明対 象 物 の 大 き さ,そ れ ま で の 距 離 に よ
表12・3建
造物の照度基準
って 適 当な もの を選 ぶ。 置 き場 が 近 けれ ば ビー ム の 開 き の大 き い の を と り,遠 けれ ば狭 い の を選 ぶ 。大 き い もの を少 数 にす るか,小
さい の を 多数 つ け る か も慎 重 に 決 め る。 小 さい ワ ッ
ト数 の もの を多 数 つ けれ ば照 度 は 均一 に な るが,効 率 は低 い 。 色 々な 利 害 得 失 を 考 えて 決 め る。 投 光 照 明 に よ る照 明 範 囲 は 長 円形 に な る の で,は み 出 る無 駄 の 部 分 が 出て く る。 従 って,よ ほ ど上 手 に設 計 して も,投 光 器 の有 効光 束 の50∼75%が
有効 に
利 用 され るに す ぎ な い。 一 つ の投 光 器 に よ って 照 射 され る面 積 は,図12・9の 表(黒 沢 博 士 創 案)に よ って 決 定 され る。 この 図 表 の 使 用 法 は,D て,β
とA0(有
効照 明面 積)と
図
と Z を決め
の 関係 を求 め る もので あ る。 この 図 表 の 例 で は,
図12・9投
光 照 明用 図 表
D=10〔m〕,Z=20〔m〕
の 時 に は,β=20°
の 投 光 器 な ら ば,A0=75〔
㎡ 〕に な る
こ とが 示 され て い る。 こ れ か ら建 物 の 図 面 に 照 射 さ れ る 長 円 を 次 々 に 描 き,照 ら な い よ う に 適 当 に 重 畳 さ せ て,ま
た,照
度 が あ ま り不 均 一 に な
度 が 所 要 値 に 合 う よ う に して 灯 数 を 決
定 す る。
12・4運
動競 技場の照明
〔1〕 照 明 の 目 的 と条 件 (1)照
明 の 目標
運 動 競 技 場 の照 明 の 目的 は,次 の よ うで あ る。
(a)昼
間 競 技 を行 え な い人 た ちが 夜間 競 技 や 練 習 を す るた め 。
(b)夜
間 の方 が 見 物 人 が 多 く集 ま るの で,夜 間 試 合 を す るた め 。 夏 に お け る
プ ロ野球 の試 合 や 水 泳競 技 な どは この例 で あ る。 (c)屋
内で も特 に高 照 度 を 欲 す る競 技 のた め 。 相 撲 や ボ ク シ ング,レ ス リン
グ な ど は こ の例 で あ る。 運 動 競 技 の 照 明 を 考 え る上 に 重要 な こと は,普 通 の室 内照 明 で は照 明 が 不 完 全 で も,そ れ は作 業 能 率 を低 下 させ る とか,気 分 が あ ま りよ くな い と い うよ うな こ と に と ど ま るが,運 動 競 技 で は それ が 正 し く行 え な い か,ま た場 合 に よ って は 不公 平 にな る とい うよ うな こ とに な る ので,練 習場 な ら と もか く,公 式 試 合 場 で は, 照 明 は完 全 で な い と い け な い。 投光 器 に よ る照 明 は,昼 光 に比 べ て光 源 が低 い所 にあ るた め,ま ぶ しさを 感 じ や す い こ とが欠 点 で,こ れ を防 ぐこ とが設 計上 重 要 な点 で あ るが,た だ 投光 器 に よ る照 明が 昼光 照 明 よ り優 れ て い る点 は,光 の方 向が 一 定 して い る とい う ことで あ る。 例 え ば,テ ニ ス コ ー トで は コー トの方 向 を ど う向 けて も,晴 天 の 日 は不公 平 に な るの を免 れ な いが,投 光 器 な ら両 側 を公 平 に照 明 で き る。 (2)照
明 の 条 件
競 技 場 の 照 明 の条 件 は,屋 内 照 明 よ りや か ま しい。 球 を
使 う競 技 と,使 わ な い競 技 とで 多少 異 な る。 球 を使 う競 技 の た め の 照 明 の条 件 と して は,
(a)球
の 運動 が は っき り見 え,か つ,球 の 速 さが 変 わ って 見 え ない こ と。 球
は白 い とは限 らな い。 ま た,球 の よ うに動 くもの は照 度 が低 い と こ ろで は速 く動 くよ うに見 え る。 従 っ て,照 度 が不 足 だ と球 が 実 際以 上 に速 く見 え る し,ま た明 る くて も照 度 の均 斉 度 が 悪 い と,違 う照 度 の と こ ろを通 る た び に 速 度 が 違 って 見 える。 この よ うな わ けで,照 度 を十 分 高 くと る と と もに,な るべ く照 度 が均 一 で あ る よ うにす る。 (b)ま
ぶ し くな い こ と。 輝 度 の 高 い光 源 を直 視 す る とま ぶ しさの た め競 技 が
で き に くい。 従 って,球 の 方 へ 向 か った と き に,そ の 方 向 に 輝 度 の 高 い光 源 を お か な いよ うに配 置 す る。 (c)効
率 が高 い こ と。 一般 に競 技 場 は広 く,照 度 は 高 い の で 総 電 力 はか な り
多 くな る 。従 って,で
き る だ け効 率 の高 い もの で あ りた い。 反 射 が さの 反 射 面 は
で き るだ け反 射 率 の高 い もの を使 用 す る。 (d)球
が ち らつ か な い こと。 蛍 光 灯 や 水 銀 灯 で は,動
く球 が ち らつ くの で,
必 ず ち らつ き防 止 の 処 置 をす る。 特 に,ピ ンポ ンで は これ が 必 要 で あ る。 次 に,球 を 使 わ な い 競 技 の た め の 照 明 の条 件 と して は, (a)競
技者 の動 きが は っ き り分 か る こと。 しか も審 判 の た め,細 か い点 まで
よ く見 え な けれ ば な らな い 。 この た め ボ ク シ ングや 相 撲 な ど は,特 別 に高 照 度 と す る。 (b)ち
らつ き が な い こ と。 蛍光 灯 の場 合 は,ち らつ き防 止 形 回 路 を 使 用 す
る。 (c)ま
ぶ し くな い こと。 な るべ く高 所 か ら下方 へ照 射す る。 この た め 鉛 直 面
照 度 が 減 る の もや む を得 な い。 な お,見 物 人 に 対 して もな る べ く遮 光 す る。 (d)光
色 が 悪 くな い こ と。 球 を扱 う場 合 と違 って,見 物 人 は競 技 者 を常 に 見
て い るので あ るか ら,競 技 者 の身 体 や 顔 色 が 不 快 に 見 え る よ うな光 色 の もの を 使 わ な い ことが 肝 要 で,こ の ため 電 球 が 適 当 で,水 銀 灯 単 独 は避 け た方 が よ い。 蛍 光 灯 な ら必 ず 高 演 色 形 とす る こ と。 (e)放
射 熱 が 少 な い こ と。 電 球 で 高 照 度 に す る場 合 は,熱 線 カ ッ ト形 シ ー ル
ドビー ム 電球 な ど を使 用 す る と よい 。 〔2〕 照 明 の 設 計 以 上 の よ うな照 明 の条 件 を完 全 に 満 足 さ せ る 照 明 の 設 計 は,非 常 に む ず か し い。 特 に,野 球場 の場 合 は地 上 ば か りで な く,高 い フ ラ イを 打 ち上 げ た場 合 に対 処 して,高 い 所 ま で空 間 を一 様 の照 度 に しな けれ ば な らな い(照 度 に む らが あ る と,野 手 が 目測 を誤 ま る お それ が あ る)。 従 って,相
当 の経 験 者 で な けれ ば,こ れ ら競 技 場 の 照 明設 計 は行 わ な い のが 普
通 で あ る か ら,こ こに は単 に大 体 の 設 置 方 法 だ け を 表 示 す る に止 め る。 表12・4運
第12章
(1)わ
動競技場の照明施設
問
題
が 国 の商 店 街 で は,建 設 費 も経 費 も多 い 多灯 式 灯 器 が 喜 ば れ る の は な ぜ だ ろ う
か。 (2)交
通 量 が 1日 に20000台
以 上 で,制 限速 度 が80km/hの
高 速 道 路(コ
ンク リー
ト舗 装)の 照 度 は どの くらい が 適 当 か。 (3)道
路 幅10mの
交 通 道 路 に,蛍 光 水 銀 灯 の 向 き合 せ 配 列 で20lxの
照 明 を得 るよ
うに す る た め に は,ど の く らい の大 き さの 蛍 光水 銀 ラ ンプ を使 用 した らよ い か。 (4)夜
間 の野 球 場 照 明 は,バ
す る。 これ は なぜ だ ろ うか。
ッテ リー間 の 直 線 の延 長 上 に投 光 器 を 設 置 し な い よ う に
第13章
13・1光
度
測
光
測
定
〔1〕 測 光 標 準 器 (1)光
度 の 定義
基 本 単 位 で あ る光 度 の定 義 は,次 の よ うに抽 象 化 され た
形 で 表 現 され る こ と とな った。 カ ンデ ラ(candela;cd)は
周 波 数540×1012Hz(波
出 し,所 定 の方 向 の放 射 強度 が1/683〔W/sr〕
長555nm)の
単色放 射を放
で あ る光 源 の,そ
の 方 向に お け る
光 度 で あ る。 従 って,以 前 の定 義 に従 っ た 白金 の 凝 固点 温 度 の完 全 放 射(測 光 一 次 標 準 器 と い った)は 過 去 の もの と な り,光 度 の 単 位 を 具 体 的 に表 す原 器 と い う もの は今 や 存 在 しな い 。 わが 国 に お け る測 光 単 位 は,電 子 技術 総合 研 究 所 に お いて 標 準 電 球 に よ って 維 持 されて お り,そ の値 はか つ て の 測 光 一 次標 準 器 か ら導 か れ た もので あ るが,こ れ は上記 の新 しい定 義 に よ る光 度 の単 位 と完 全 に 一致 して い る こ とが, 最 大 視 感 度 の測 定 に よ り実 証 され て い る。 (2)標
準 電 球
光 源 の光 度 を 測定 す る時 は,こ の標 準 原 器 の 光 度 と比 較 す
れ ば よ い わ け で あ る が,こ
の よ うな 原 器 は現 在,存 在 しな いの で,こ れ を基 と
して,光 度 を正 確 に測 っ た電 球 で 二 次 標準 器 を 作 り,こ れ を標 準 器 と して 使 用 す る ので あ る。 しか し実 際 に度 々使 用 す れ ば,光 度 が次 第 に減 退 して 誤 差 を生 じる の で,更 に常 用 の標 準 電 球 を 作 って,こ れ を 平 素 使用 す る。 そ して 絶 え ず その 値 を 二 次 標 準 電球 と比 較 して,値 を 校 正 して 使用 す る。 〔2〕 視 (1)測
感
測
光原 理
光 試 験 電 球 の 光 度 を 求 め るに は,こ れ と標 準 電 球 の 光 度 と を
比 較 す る。 そ の比 較法 の簡 単 な もの は,図13・1の るL1とL2の
両 電 球 を お き,A 面 をL1で,B
よ うな 3角 柱 の 両 面 に比 較 す 面 をL2で
照 ら し,A と Bの 両
面 の 明 る さ を 前 方 か ら眺 め て,そ とd2と
の 明 る さ が 等 し く な る よ う に 両 光 源 の 距 離d1
を調 節 す る。
I1,I2を り,B
そ れ ぞ れL1,L2の
光 度 と す れ ば,A
な
あ る か ら,I1cosθ1/d12=I2cosθ2/d22と
お
面 の 照 度 はE2=I2cosθ2/d22で
面 の 照 度 はEA=I1cosθ1/d12と
く。 θ1=θ2の
よ う に して お け ばI1/d12=I2/d22と
な り,L1を
標 準 電 球,L2を
す べ き 試 験 電 球 と す る と,
I2=I1d22/d12 と な っ て,I2が
測 定 で き る。
こ れ は 光 度 測 定 の 原 理 で あ る 。 こ の 比 較 装 置 は 簡 単 で あ る が,θ1と に 等 し く す る こ と,AB両
θ2を 正 確
面の反射率を
正 確 に 等 し くす る こ と な ど の 困 難 が あ る 上 に,両 て,そ
面 が た だ 1本 の線 で 境 さ れ て い の 明 る さ の等 しい こ との 判定 が 正
確 に し に く い な ど の欠 点 が あ る の で,実
図13・1簡
単 な比較法
際 の測 光 に は使 用 され な い。 (2)光
度 計
う た め に,実 13・2に
この 比 較 を 正確 に行
際 に使 用 さ れ た も の は 図
示 す よ うな,ル
ー ン(Lummer
Brodhun)頭
ンマ ー ブ ロ ジュ 部 と 称 せ られ
る も の で あ る 。 P は プ リズ ム で,こ A の 方 向 か ら 眺 め る と,L1に 照 された W
れを
よ っ て
の 面 の 明 る さ が 中 心 に 、L2
の 方 が そ の 周 囲 に 同 心 に 円 を 形 づ く って 見 え る 。 こ う す る と,同
心 2円 の明 る さ
を 円 形 の 境 界 で 判 定 す る の で,こ 確 度 が 高 い 。 こ の 装 置 に よ っ て,白
の方が 色板
W の両 面 の 明 る さが比 較判 定 で き る。
図13・2ル
ン マ ー ブ ロ ジ ュー ン頭 部
測光
実 際 の 光 度 計 は,図13・3の 頭 部 を の せ,そ る と こ ろ,す
よ う に,長
い ベ ンチ の上 にル ンマ ー ブ ロ ジ ュー ン
れ を の ぞ き な が ら左 右 に ス ラ イ ドさ せ て,左
右 か らの光 の平 衡す
な わ ち 同心 円 の 内外 の明 る さが等 し くな って 境 の丸 い線 が消 え る と
こ ろを求 め る。
図13・3光
度
計
この 光 度 計 は,以 前 は 広 く使用 され て いた が,明
る さの判 定 に 多少 の 個人 差 も
あ り,特 に 光 色 に少 しで も差 が あ る と,明 る さの等 しい こと の判 定 が 困難 で あ る と い う よ うな こ と もあ る の で,現 在 は照 明 実 験 室 な ど の他 に は ほ とん ど 使 わ れて い ない 。 〔3〕 物
理
測
光
光 の 明 る さは人 間 の視 覚 に よ って 決 ま る の で あ るか ら,測 光 も あ くまで 視 覚 に よ るの が原 則 と して は正 しい。 しか し,実 際 に は個 人 差 や 判定 の 巧 拙 な ど に よ る 誤 差 が あ る ので,こ
こ に それ らの欠 点 の な い物 理 測 光 が行 わ れ るよ うに な った。
これ に は,例 え ば 写 真 フ ィル ムに 感 光 させ て,そ の 濃 度 を 測 る と い う 方 法 もあ り,星 の光 の測 定 な どに も用 い られ て い るが,一 般 の 光度 測 定 に用 い られ て い る の は光 電 管 で あ る。 光 電 管 は,ガ ラス の 真 空 管 の 内面 に一 部 分 を残 して,セ
シ ウム ・カ リウム な ど
の アル カ リ金 属 を 塗 布 して これ を陰 極 と し,真 空管 の 中央 に陽 極 を お い た もので あ る。 陽 極 に 直流 電圧 を 加 え て お い て,塗 布 が残 さ れて い る穴 か ら光 を入 れ る と,陰 極 か ら電子 が放 出 されて 陽極 に行 き,そ の 回路 に電 流 が 流 れ る。 そ して, そ の電 流 は 照度 に ほ ぼ比 例 す る ので,こ れ を測 光 に利 用 す る。 図13・4は
光 電管
図13・4光
の 一例,図13・5は
図13・5光
電管
電 管の 回路
これ を 用 い た 回 路 で あ る。 しか し,こ れ で は 電 流 が 微 弱 で 検
流 計 を用 い な けれ ば な らな い が,そ れ で は測 定 に時 間 が か か るの で,こ れ を 増 幅 して 電流 計 を使 用 す る のが 普 通 で あ る。 な お,光 の明 る さ は一 定 で も,光 電 管 に 加 わ る 電圧 が 高 い ほ ど光 電 々流 は大 き くな るの で,電 圧 は測 定 中一 定 に保 た な けれ ば な らな い。 この光 電 管 と試 験 電球 と を暗 室 に お いて 一 定 の 距離 に お き,ま ず 標 準 電球 を点 灯 して光 電 々 流 を 読 み,次 に試 験 電 球 に取 り替 え て,そ の電 流 を読 め ば,そ の電 流 が 光 度 比 とな る。 この方 法 で は,最 初 に一 度 標 準 電 球 の読 み を とれ ば,あ
とは
次 々 と何 個 で も連続 して試 験 電 球 の光 度 が 測 れ るの で,簡 単 に 短 時 間 に 測光 で き る点 が 長 所 で あ る。 しか しな が ら,光 電 管 の よ うな物 理 測 光 で は,そ の 分光 感 度 が 人 間 の 目の比 視 感 度 と完 全 に一 致 して い る とい う条 件 が 必 要 で,も
し一 致 して い な け れ
ば,光 色 の異 な る光 源 の 比 較 はで きな い 。 実 際 に は,光 電 管 の感 度 は これ が 一 致 して い な い ので,適 当 な フ ィル タ を当 て て 感 度 を 補 正 し,入 間 の 目の 比 視 感度 とほ ぼ一 致 す る よ う に し て 使用 す る。 図13・6は,こ
う して 感 度 を一 致 させ た 光 電 管
の一 例 で あ る。 〔4〕 配
光
測
定 図13・6光
光 源 の配 光 を 測定 す る に は,そ れ を 回転 して,各
電管の分光 感 度 曲線
図13・7配
方 向 の 光 度 を 測 定 す れ ば よ い が,照 もの を 測 る に は,光
明 器 具 の よ う な 大 き い も の で,回
源 の 方 を 固 定 して お い て,図13・7の
鏡 を 回 転 さ せ て 測 定 す る。 図13・7は,丸 合 で あ る が,ハ
光 測定装 置
転 しに くい
よ う な 装 置 で,2
枚 の
グ ロ ー ブ の 直 下 の 方 向 を 測 って い る 場
ン ドル H を も って 鏡 M を 回 転 さ せ る こ と に な り,紙
面 に直 角 な鉛
直 面 内 の 配光 を測 る こ とが で き る。
13・2輝 〔1〕 視
度 感
測 測
定
光
輝 度 測 定 に は,蛍 光 ラ ンプ や電 球 入 りグ ロ ーブ の よ うな 光 源 の 輝度 を測 る場 合 と,壁 面 や 机 上 面 な どの 反 射 面 の輝 度 を測 る場 合 とが あ り,後 者 の 場 合 は視 感 測 光 の 方 が 便 利 で あ り,確 度 も高 い。 これ には,マ ク ベ ス 照 度 計 を 輝度 計 と して 利 用 す るの が 最 も便 利 で あ る。 マ ク ベ ス照 度 計 は,図13・8に
示 す よ うに,円 筒 の
頭 部 にル ンマ ーブ ロ ジ ュー ンの 頭部 と同 じプ リズ ム Pを 納 め,こ れ に よ って 半 透 明 ス ク リー ンGの 輝 度(後 方 の小 型 電 球 に よ って 照 され て い る)と,測
定すべ き
面 Sの輝 度 とを 接 眼 点 E か らの ぞ いて 比 較 す る。 小 型 電 球 L は 歯 車 B と歯 ど め に よ って,ス
ク リー ンG との距 離が 変 え られ るの で,こ れ によ って 両 面 の輝 度 が
平 衡 す る よ う に調 節 して,そ の時 の値 を歯 どめ の 下 端 に刻 まれ た 目盛 りで 読む 。
図13・8マ
し か し,こ 験 板 S(反
ク ベ ス照 度 計
の 目 盛 り は 輝 度 で は な く照 度 で 示 さ れ て い る 。 そ れ は,測
射 率0.8)を
置 い た 時 の 輝 度 を,そ
あ る か らで あ る 。 従 っ て,こ
定 面 に試
の 場 所 の 照 度 に 換 算 して 目 盛 っ て
れ で 輝 度 の 値 を 知 る に は,逆
の 換 算 を しな け れ ば な
らな い 。 輝 度 を 測 ろ う と す る 面 の 照 度 を E とす る と,そ は0・8E/π
〔cd/㎡〕 と な る 。 従 っ て,輝
か ら換 算 す れ が よ い 。 た だ し,現 〔2〕 物
理
測
こ に 前 記 白 色 板 を お い た 時 の 輝度
度=0・25E〔cd/㎡
〕 と な る の で,こ
れ
在 は ほ とん ど 用 い られ て い な い 。
光
蛍 光 ラ ンプ や 電 球 入 りグ ロ ー ブ の よ う な 輝 度 の 高 い も の は,そ
の光 度 を光 電 管
ま た は光 電 池 で 測 っ て 輝 度 を 求 め れ ば よ い 。
13・3光
束
測
定
〔1〕 光 束 計 の 原 理 光 源 の 光 束 を 測 定 す る に は,そ も よ い が,測
の 配 光 を 測 っ て,p.62の
る べ き 光 源 が た く さ ん あ る 場 合 は,一
式(5・1)で
つ 一 つ 配 光 を 測 る,と
計 算 して は面 倒
図13・9球
形 光 束 計
な の で,光 束 計 を用 いて 直 接 に 測 定 す る。 光 束 計 は普 通,図13・9の
よ うな大 き い球 形 で,こ の 内面 は反 射 率 の 高 い 拡 散
性 塗 料 で 塗 られ,そ の 中央 に光 束 を 測定 す る光 源 が点 灯 され る よ うに して あ る。 球 の 一 部 には 穴 が 明 いて いて,そ
こに 光 電 管 が 置 か れ,そ の小 窓 の 照 度 が 測 れ る
よ うに な って い る。 光 度 か ら出 た光 は球 の 内面 を直 射 し,そ の 反 射 光 が 再 び球 内面 を照 明 し,こ う して 無 限 に 相互 反 射 を繰 り返 え す。 と ころ が,直 射 光 はそ の配 光 や光 度 の位 置 に よ って,球 内 面 の照 度 が必 ず しも一 様 で な い が,反 射 光 に よ る 照度 は球 内面 全 部 が一様になる。 そ こで 図 の Sの よ うな小 さ い遮 光 板 を 置 い て,窓 へ の直 射 光 だ け を遮 光 して, 反 射 光 に よ る照度 だ け が照 度 計 で 読 め る よ う にす る と,窓 の 照 度 は 光 源 の光 束 に 比 例 す るよ うに な る。 これ を 用 い て光 束 を測 定 す る に は,ま ず,光 束 の標 準 電 球 を入 れ て 照 度 を計 り,次 に,測 定 す べ き電灯 を入 れて 照 度 を計 れ ば,そ の 照度 比 が 直 ち に光 束 の比 と な る。 〔2〕 球 形 光 東 計 この よ うな球 を用 いた光 束計 を球 形 光 束 計 と い う。 この 球 の直 径 は大 き い ほ ど
誤 差 が 少 な い が,一 で,適
方,窓
の 照 度 が あ ま り低 く な る と 誤 差 が 大 き く な りや す い の
当 な 大 き さ に す る こ と が 望 ま し い 。 一 般 に,電
1.5m,蛍
光 灯 用 の も の は2.0∼2.5m程
ま た,大
球 用 の も の は 直 径 を1.0∼
度 の も の が 用 い られ る 。
き い 球 は 製 作 に 費 用 も高 く か か る の で,正
面 体 そ の 他 の もの が 代 用 さ れ る,と
13・4照
度
〔1〕 視
感
測 測
照度 測定 に は,古
が あ る が,確
立 方 体 の 角 を 落 と し た14
度 は球 よ り劣 る。
定
光 くか らマ クベ ス 照度 計(p.170参
照)が 用 い られ た 。 しか し,
現 在 で は光 電 池 が普 通 に利 用 され て お り,マ ク ベ ス照 度 計 は,ご
く低 照度 の測 定
の 場 合 ぐ らい だ け に用 い られ る。 しか し,こ れ は普 通 の光 電 池 よ り確 度 が高 い の で,光 電 管 に よ る測 定 の 代 わ りに 用 い る と,装 置 も簡 単 で 便 利 で あ る。 マ クベ ス 照 度 計 は図13・8の
よ うに,測 定す べ き点 に 白色 板(反 射 率0.8)を
置 い て,そ の 面 の輝 度 と ス ク リー ン S との 明 る さの平 衡点 を見 い 出せ ば,目 盛 C で 照 度 が 求 め られ る。 〔2〕 物 (1)光
理
測
光
電 管 照度 計
物 理 測 光 に は光 電 管 か光 電池 を用 い る。
光 電 池 は光 度測 定 に用 いた もの と原理 は 同 じで あ るが,受 光 面 は照 度 測 定 に適 する よ うに 改 め られ て い る。 光 電 管 照 度計 は確 度 も高 く,低 照 度 も測 れ るが,装 量が重 く携 帯 に不 便 なの で,特 殊 な場 合 以 外 は用 い られ ない。 (2)光
電池 照 度 計
あ る金 属 と半 導 体 と の間 の接 触 面 に光 が 当 た る と,光
電効果 を生 じる。 この 現 象 を 測光 に利 用 した のが 光 電 池 で あ る。 この光 電池 の うち,最 も一 般 に利 用 され て い るの が セ レ ン光 電 池 で あ る 。 こ れ は,図13・10に し た よ う に,鉄
断面を示
板 1の 一 面 を 不 透 明 の セ レ ン 結 晶 2で
覆 い,そ
の 上 に 金 ・白 金 な ど の 特 殊 金 属 半 透 膜 3を か
ぶ せ,1
お よ び 3 を 電 流 計 5に 接 続 し,3
ば,1・3間
を照 射 す れ
の 積 層 4を 経 て 2 を 刺 激 し,光
電効果を
図13.10セ
レ ン光 電 池
起 こ して 光 電子 が生 じ,電 流 が 流 れ る。 この 電 流 は,そ の 値 が 大 体 照 度 に比 例 す るか ら,電 流 を計 れ ば 照 度 が 分 る はず で ある が,正 確 には 比 例 しな いの で,そ の 点 を補正 して照 度 で 電 流 計 を 目盛 って あ る。 しか し,こ れ も光 電 管 と同 様 に,そ の 分 光感 度 が 人 間 の 比 視 感 度 と一 致 しな い の で,光 源 の光 色 に よ って は誤 差 を 生 じる。 この 誤 差 を少 な くす る た め に,次 の よ うな 方法 が と られ て い る。 (a)精
密 形 照 度 計 図13・11(a)の
よ うな もの で,受 光 板 に 色 補 正 用 フ ィ
ル タ を入 れ て,分 光 感 度 を比 視 感 度 に合 わ せ る。 (b)簡
易形(携 帯 用)照 度 計
図13・11(b)の
よ うな もの で,色 補 正 用 フ
ィル タを入 れ た も の と,光 源 に よ って特 定 の補 正 係 数 を 掛 ける よ うに した もの な どが あ る。 光 電池 は 日時 を 経 る に従 って 感 度 も衰 え る し,あ ま り高 い 照 度 に 長 く さ らす と 狂 って くる こ と もあ る。 また 高 湿 度,高 温 の影 響 も受 け るの で,時
々校 正 し直 す
,と が必 要 で あ る。 光 電 池 照 度 計 は持 ち運 び も使 用 法 も簡単 で あ る が,確 度 も低 く,特 に11x以
(a)精
(b)簡
密形(法 定 照度計) 図13・11光
電 池照度計
易形
下 で は不 正 確 で あ る が,普 通 の照 度 測 定 で は あ ま り確度 の高 い こ とは 要求 され な いの で,一 般 に最 も多 く利 用 され て い る。 〔3〕 照 度測 定 の 目標 と測 定 法 照 度 を 測 る場 合 に は,色 々 の 目標 が あ る ので,そ れ ぞ れ の 目標 に対 して 適 切 な 処 置 を と らな け れ ば な らな い。 (a)現
状 を 測 る場 合 この場 合 は,単 に その ま ま測 れ ば よ い。
(b)正
規 の 常態 を測 る場 合 この場 合 は,電 灯 の 電圧 を正 常 にす る か,も
くは電 圧 を 正 し く記 録 して お いて,後 明 器 具 は清 掃 して お く。 な お,ラ
し
に特 性 か ら正 常値 に補 正 す る。 ラ ンプ や 照
ンプ を新 しい もの と取 り替 え られ れ ば,な お よ
い。 昼 光 照 度 の 場 合 は,必 ず昼 光 率 を求 めて おか な けれ ば 無 意 味 で あ る。 次 に室 内 の照 度 を測 定 す る に は,一 般 に床 上85cmの
高 さの 面 を作 業 面 と仮
定 して,そ の面 上 の照 度 を測 る。 こ の た め に は,85cmか
ら光 電 池 の 厚 さを 差 し
引 いた だ けの高 さ の台 を作 って,そ れ を測 定 点 に移 動 させ て測 る と便 利 で あ る。 また,座 業 で は床 上40cmの
高 さ,廊 下 は 床 面(実 際 は 床面 上15cm以
内 の水 平
面)で 測 る。 照度 を測 る時 は,そ の 測 定 点 に 自分 の 影 が来 な い よ うに注 意 し,な るべ く離 れ た と こう か ら測 る よ う にす る。 電 流 計 は 目盛 り以 上 の 電 流 を流 す と損 傷 す る 恐 れ が あ るの で,測
る時 は まず 大
体 の 照 度 の値 を想 像 し,目 盛 り以 上 の 値 ら しい 時 は,当 初 灰 色 フ ィル タ を 挿 入 す るな り,感 度 を1/10に
落 とす な り して,受 光 面 に光 を 当て るよ うに す る こ とが
肝 要 で あ る。 〔4〕 平 均 照 度 の 求 め 方 室 内 の平 均 照 度 を 求 め るに は,そ の 室 内 の作 業 面 を数 等 分 し,そ の 各 区 分 の 中 心 点の 照度 を測 って 平 均 値 を 求 め て もよ い が,最 近 で は,中 心点 だ け を求 め な い で,図13・12の
よ うに 測定 値 を 定 め,各 点 に それ ぞれ 異 な る荷 重 を つ けて 平 均
す る方 法 が一 般 に行 わ れ て い る。 そ の 一 つ は,5 点 法 と呼 ば れ て い る もの で,全 作 業 面 を数 等 分 し,そ の 各 区
分 に つ い て,図13・12の
よ うに測 定 点 を と っ
て 平 均 値 を 出 す もの で あ る。 他 の 一 つ の 方 法 は,4 点 法 と 呼 ば れ,図13・ 13の
よ う に,4 隅 の 照 度 の 平 均 を 求 め る も の で
あ り,た
だ 一 区 画 だ け で は 誤 差 が 大 き い が,広 図13・12
い 室 を た く さ ん に 区 分 す る 場 合 は,計
図13・13
図13・14
算が楽に
4点 法 の 測定 点 と計 算 法
等 照 度 曲 線 の描 き方
5点 法 の 測 定 点 と計 算法
で き る長 所 が あ る。
〔5〕 等 照 度 曲 線 の 画 き方 室 内 の等 照 度 曲線 を画 くに は,ま ず 図13・14の
よ うに縦 横 に 直線 を 引 き,そ
の各 線 上 に 数個 の 測定 点(普 通,縦 横 の線 の 交 差 点)を
と って 照 度 を 求 め,そ れ
に よ って 照度 曲線 を 描 く。 次 に,そ の 照 度 曲線 上 に等 照 度 曲線 の採 用 しよ うとす る照 度 の 値(図 で は20, 40,60lx…
…)を 有 す る諸 点 を と り,そ れ ら の 点 か ら縦 横 の 同 じ照 度 の点 を求
め,そ の 値 の 等 しい各 点 を 曲線 で 結 べ ば,そ れが 等 照 度 曲線 と な る。
第13章
(1)図13・6の
問
題
よ うな 感 度 を も った光 電 管 に フ ィル タ を挿 入 しな いで,等 光 度 の電 球
と水 銀灯 と を比 較 した ら,ど ち らの光 度 が 大 き くで る か 。 (2)室
内 の昼 光 照 度 を求 め る時 は,必 ず 昼 光 率 を 求 め て お か な けれ ば な らな い の は な
ぜ だ ろ うか。 (3)正
方 形 の室 の 4隅 の照 度 が10lx,4
辺 の 中央 の点 が20lx,中
央 の 点 が30lxで
あ った 場 合,そ の平 均 照 度 を 2種 類 の 5点 法 な ら び に 4点 法(部 屋 を 4等 分 して 計 算す る) で 求 め よ。 (答
5点 法 で は23lx,4
点 法 で は20lx)
第14章 放 射
の 応 用
電灯 を点 灯 す る本 来 の 目的 は,照 明 す な わ ち物 を明 る く照 して用 を弁 ず る た め で あ る。 しか し,こ の ほ か に も,電 灯 は色 々の 目的 の た め に利用 されて い る。 例 え ば,電 気 広 告 や信 号 な ど も これ で あ り,こ れ は入 間 の 目を 対象 と した もの で あ るが,こ の ほか,動 物 を対 象 と した 誘 が 灯,植 物 を 対 象 と した点 灯 栽 培 か ら,写 真 の 撮 影 な どに 至 る まで,そ の 範 囲 は広 い。 14・1商
業 に お け る応 用
商 業 方 面 へ の 放 射 の 応 用 は,ほ 板,箱
とん ど 広 告 だ け で あ る 。 ネ オ ン サ イ ン,電
形 看 板 な ど か ら,電 光 ニ ュ ー ス な ど 色 々 あ る が,そ
球看
の う ち最 も 多 い の は,
ネ オ ンサ イ ンと箱 形 看 板 で あ る。 〔1〕 ネ オ ン サ イ ン ネ オ ンサ イ ン は,ネ る もの で,そ
オ ン管 を 広 告 しよ う と す る 文 字 や 絵 画 の 形 に 曲 げ て 点 灯 す
の 色 と形 の 華 か さ に お い て,電
ネ オ ン サ イ ン の 色 に は,ネ 蛍 光 利 用 の 白,青,青 見 歩 き く の で,屋
気広 告 の 花形 と い え る。
オ ン の ま ま の 橙 赤 色(普
白,緑,橙,桃,黄
通,赤
な ど 色 々 あ る が,こ
上 の 大 き い サ イ ン な ど や,効
と い う)の
の う ち橙 赤 色 は 遠
外 な ど に は よ い が,あ
刺 激 が 強 く感 じ が 悪 い 。 日 本 と ア メ リカ は 橙 赤 色 が 多 い が,欧
ほ か に,
ま り多 い と
州 で は他 の色 が多
く用 い ら れ て い る 。 そ の 看 板 の 性 格 に よ っ て 適 当 な 色 を 選 ぶ こ と が 肝 要 で あ る 。 ネ オ ン サ イ ン の 文 字 の 大 き さ は,そ き す ぎ れ ば 不 経 済 で あ り,小
れ を 見 せ る 人 ま で の 距 離 に よ っ て 決 り,大
さ け れ ば 広 告 効 果 が な い 。 従 っ て,文
字の 大 き さ は
慎 重 に決 め る必 要 が あ る。 図14・1の
よ う に,昼
間 に 間 隔d〔m〕
の 2本 の 線 を 眺 め た 時,そ
の 2本 の 線
が 2本 に 分 か れ て 見 え る た め の 視 角 は 約 1分 で あ る 。 こ の た め の 視 距 離 の 限 界 は,L≒3000d〔m〕
と な る 。 こ れ 以 上 の 距 離 か ら は 2本 の 線 は 1本 と な って,2
図14・1
本 に分 か れ て 見 え な い 。 しか し こ れ は 昼 間 の こ と で,夜
ネ オ ン の よ う に 光 っ て い る も の は,光
出 て 太 く見 え る の で,L=1500d〔m〕 見 え る の はL=1000d〔m〕
ぐ ら い に な る 。 し か し,は
ぐ ら い で あ る 。 従 っ て,ネ
き り読 み 取 っ て も ら う た め に は,と の 間 隔 は,見
が 安 全 で あ る 。 例 え ば,図14・2の
「照 」 と い う字 を
距 離 か ら見 せ る に は,a,b,c,d…
…
よ り大 き く し
っ き り見 え な い 。 こ の た め,ネ
ン は 字 画 の 多 い 漢 字 は 不 利 で,な
オ ンサ イ ンの文 字 を は っ
上 に とる こと
の い ず れ の 間 隔 も500/1000=0.5〔m〕 な け れ ば,は
っ き り分 か れ て
な り 同 士 の 2線 間
て も ら う距 離 の1/1000以
書 い て500mの
が に じみ
オ ンサ イ
る べ く簡 単 な 文 字 ま
図14・2
た は カ ナ で書 く とよ い。 ネ オ ン サ イ ン の 電 流,電
圧 そ の 他 の こ と は 第 3章 に 示 さ れ て い る が,実
オ ン サ イ ン を 点 灯 す る に は,最
高15000Vま
用 い る 。 長 さ と 電 圧 と の 関 係 は,表14・1の 表14・1電
〔2〕 箱
形
看
際 にネ
で 5種 類 の 変 圧 器 を 長 さ に 応 じて よ う で あ る。
圧 と管 長 との 関 係
板
ガ ラス も し くはプ ラス チ ック板 で 箱 を作 り,そ の表 面 に広 告 を描 き,内 部 に 電
球 また は 蛍光 灯 を入 れ た もの で,俗
に あん どん看 板 と もい う。
この看 板 は感 じが 柔 らか く,文 字 を いつ で も書 き替 え られ,光 源 を変 え る こ と に よ って 色 を変 え られ る な ど の長 所 が あ り,わ が 国 に は非 常 に多 いが,風 圧 の 関 係 で あま り大 き い も の は作 りに くい。 〔3〕 そ の 他 の 看 板 広 告看 板 に は,以 上 の ほか に,電 球 を並 べ て ネ オ ンサ イ ンの よ うに文 字 を画 く もの,水 銀 ラ ンプ を ネ オ ンサ イ ンと組 み 合 わ せ た もの,そ の 他 色 々 と変 わ った も の が あ る。 〔4〕 電 光 ニ ュ ー ス これ は大 き い板 面 を文 字 が 横 また は上 下 に流 れ る よ うに走 り動 く もので,ニ ース や広 告 に用 い られ て い る。 この 構 造 は,横 の場 合 を とる と,縦1.5∼2.0m, 横10∼15mぐ
らい の 板 面 に,小 型 電球 を縦 に18個,横
に120∼160個
ュ
ぐ らい配
置 し,そ れ らの電 球 の 一 方 の 端 子 は直 接 電 力線 に接 続 され るが,他 方 の 端 子 は互 い に絶 縁 され た ま ま,別 の 小 さ い板(タ
ップ 板)の 上 の端 子 へ と接 続 され る。 こ
の 板 上 の端 子 は,電 球 と同 じ配 列 と な って い る(図14・3(a))。
また,こ
のタ
ップ 板 と 同 じもの が あ って,相 い互 い に 向 か い合 って 接 触 して い る。 この 第2の 板 の タ ップ か らは電線 が 出 て,も
とにつ なが って い る。 こ う して 電
源 を入 れ れ ば,電 流 はタ ップ 盤 を通 って 電 球 は全 部 点 灯 す るが,広 告 を 流 そ うと 思 う時 に は,こ の2個 の タ ップ板 の間 に文 字 を切 り抜 い た紙 を入 れ る。 す る とそ
図14
3 タ ップ 盤 の 機 構
の文 字 の 所 だ け両 方 の タ ップ が接 触 す る ので,そ れ に通 じる電 球 だ け点 灯 す る 。 そ して,紙 を 右 か ら左 に動 か せ ば,そ れ に従 って 文 字 も左 へ 流 れ て行 く。 こ の タ ップ 盤 も 紙 の す べ りが よ い よ う に,そ っ て い る 。 しか し な が ら,最
近 で は,半
の 断 面 は 図14・3(b)の
よ うに な
導 体 そ の 他 を 利 用 した エ レ ク ト ロ ニ ク ス
の 技 術 を 利 用 した も の も次 第 に 多 く な りつ つ あ る 。
〔5〕 大 型 映像 表 示 装 置 情 報 化 社 会 とい わ れて 久 しい今 日,情 報 は ます ます 多 様化,複 雑 化 の一 途 を た ど り,そ の 進展 に は 目覚 ま しい もの が あ る。 従 来 は小 型 サ イ ン電 球 群 に よ る電 光 表 示 装 置 が,競 技 成 績 や 道 路 情 報 の 表 示 に使 わ れ,ま た シネ サ イ ン(cine
sign)
とい って,小 型 光 電 管 群 の 頭 部 に 白黒 映画(影 絵)を 映 写す る と,白 い部 分 に 当 た る光 電管 に は 電流 が 流 れ,こ れ で 継 電 器 を 働 か せ て,そ れ に対 す る電 球 群 の 表 示 装 置 を点 灯 させ る もの で,こ れ は い ず れ も,色 彩 が な いの と,昼 間 は明 る く表 示 で き な い欠 点 が あ った 。 最 近 は,多
くの 人 々に 的 確 な情 報 を提 供 す る メ デ ィア と して,大 型 カ ラー映 像
装 置 の各 種 が 開 発 され,屋 外 据 置式 の大 型 カ ラー映 像 表 示 装 置 を初 め,屋 内用 の 液 晶 カ ラ ー映 像 表 示 装 置,発 光 ダ イ オ ー ド(LED)表
示 装 置 な ど が 実用 化 され て
い る。 据 置 式 大 型 カ ラ ー 映 像 表 示 装 置 で は,表 ness dischaxge ッ ト し,例 り,フ
tube,カ
ラ ー 高 輝 度 放 電 管)を
え ば 縦 に176,横
に240配
ル カ ラ ー の ビ デ オ 画 像,デ
度 は3350cd/㎡
示 素 子 にCHD管(colored 採 用 して,赤
high-bright-
・緑 ・青 の 3色 を ユ ニ
列 し,画 面 寸 法 は 縦7.9m,横10.6mと
ジ タ ル 画 像,そ
の 合 成 な ど が 表 示 さ れ,画
以 上 が 得 ら れ る 。 図14・4は,東
な 面輝
京 ・大 井 競 馬 場 で の 実 用 例 で
あ る。 液 晶 カ ラ ー 映 像 表 示 装 置 は,ス
ク リー ン にマ ト リ ックス状 に配 列 され た 透 過 形
液 晶 と 色 純 度 の 高 い カ ラ ー フ ィ ル タ お よ び 背 面 に 白 色 蛍 光 ラ ンプ を 組 み 込 ん で, 明 る く鮮 明 な フ ル カ ラ ー 表 示 が で き る 。 表 示 素 子 は,例 配 列 し,画 て,画
面 寸 法 は 縦1.7m,横2.8mと
面 輝 度 は300cd/㎡
以 上 が 得 られ る。
な り,こ
え ば 縦 に192,横
に320
れ ま た 各 種 画 像 が 表 示 され
図14・4
発 光 ダ イオー ド(LED)表
大 型 カ ラー 映像 表 示 装 置(東
る デ ィ スプ レ イを,マ
示 装 置 は,赤
京 ・大 井 競 馬 場)
・黄 ・緑 の 高 輝度 発光 ダ イ オ ー ドに よ
イ ク ロ コ ン ピュ ー タで 制 御 し,様 々 な 情 報 を 多 色表 示 し
て,各 種 文 字,記 号 か ら図形 や グ ラフ まで 表 示 で き る。 画 面 寸法 は縦0.46m, 横1.44mな
ど任 意 に 選 べ る。
14・2 産 業 に お け る 応 用 電 灯 は ま た産 業 方 面 へ の応 用 も広 く,使 用 され る電 灯 もま た 種 類 が 多 い 。 これ に は,次 の よ うな もの が あ る。 〔1〕 点
灯
栽
培
植 物 に 夜 間 に 電 灯 の光 を あ てて,そ の 生 育 を促 進 させ る こ とを 点 灯 栽 培 あ る い は電 照栽 培 とい う。 植 物 に は照 射 時 間 が 長 い と早 く開 花 す る長 日性 の もの と,照 射 時 間 が 短 くな ら ない と開 花 しな い短 日性 の もの とが あ る。 多 くの もの は前者 で あ る が,後 者 の 代 表 的 な もの に菊 が あ る。 こ の性 質 を 利用 して,菊 を 夜 間 照 射 して 開 花 を正 月 に さ せ る こと も行 われ て い る。 照 度 は昼 間 の 照 度 を 考 え れ ば,明 る い ほ ど効 果 も大 き い は ず で あ る が,あ ま り 高照 度 にす る と電 力 費 が 多 くな りす ぎ る。 そ こ で 色 々 と 実験 の結 果,401xぐ
ら
い が採 算 上 最 も有 利 で あ る と され て い る。 電 灯 は 以前 は電 球 で あ っ たが,最 近 は 蛍光 灯 が多 い。 ま た,植 物 の生 育 に必 要 な 波 長 を出 す 蛍 光 灯 が で き,こ れ を利 用 す る と,全 然 光 の な い 場 所で 野菜 の栽 培 な ど を行 う ことが で き,こ れ は 南極 越 冬 隊 な どで も利 用 され た。 この 蛍光 ラ ンプ は,光 色 が 赤紫 で,熱 帯 魚 の 観 賞 に も広 く利 用 され て い る。 〔2〕 点
灯
養
鶏
冬 期 日 の短 い 時,夜 間 鶏 舎 に点 灯 して 食 物 を与 えて 産 卵 を 増 加 され る こ と を点 灯 養鶏 とい う。 しか し終 夜 点 灯 す る こ と は鶏 が 疲 れ る ので,点 灯 時 間 を よ く研 究 す る こ とが 肝要 で あ る。 〔3〕 誘
が
灯
生 物 が光 に 集 ま る性 質 を利 用 して,害 虫 を誘 殺 し,稲 や果 物 の被 害 を 減少 す る た めの あか りが誘 が灯 で あ る。 昔 は石 油 灯 が,次 い で 白 熱電 球 が 用 い られ た が, そ の後20Wの
青 色 蛍光 灯 が利 用 さ れ,一 時 は非 常 に普 及 した。 しか し,農 薬 の
使 用 が 一 般 化 す るに つ れ て水 稲 田 で は現 在 は 少 な く な り,果 樹 園 に 使 われ て い る。 〔4〕 集
魚
灯
海 上 ま た は海 水 中 に電 灯 を 点 灯 して,魚 を 集 め て 捕獲 す るた め の もので,大 型 の電 球 を用 い る。 電 源 は蓄 電 池 で,昼 間 陸 上 で 充 電 す る。 これ は現 在 盛 ん に用 い られ て い る。 〔5〕 赤 外 線 乾 燥 これ は赤 外線 を特 に 多 く放 射 す る 電 球 の放 射 熱 に よ って,塗 料 な どの 乾 燥 を 行 う もので.こ の 特 長 は 次 の よ うで あ る。 (a)直
接 に被 熱 物 の 表 面 を 加 熱 す るの で,熱 効 率 が 高 く,電 力 費 も少 な くて
す む。 (b)構
造 が 簡 単 で,設
備 費 も安 い。
(c)乾
燥 に要 す る時 間 が,他 の 方 法 に 比 べ て著 し く早 い。
(d)操
作 が 簡 単 で,始
動 や 停 止 に タ イ ム ラ グ が な く,熱
の無 駄 が 少 な い。
(e)監
視 が 楽 で 清 潔,か
つ,操
これ に 使 用 さ れ る 電 球 は,反 2200℃
程 度 で,寿
作 も安全 で あ る。
射 形 の250Wが
命 は5000時
間 で あ り,普
普 通 で,フ 通,電
ィ ラ メ ン トの 温 度 は
球 の 約 5倍 に と っ て あ る 。
加 熱 の方 法 は,通 路 の 両 側 に 赤外 線 電球 を 向 き合 わせ に並 べ,そ の 中間 を被 熱 物 が ゆ るや か に通 過 す る もの と,ト ンネ ル形 に した もの とが あ り,自 動 車 の車 体 塗 装 乾 燥 な ど に は後 者 が 用 い られ て い る。 赤 外 線 乾 燥 の 電力 な らび に所 要 時間 の数 例 を あ げ る と,表14・2の
よ うで あ
る。 表14・2
14・3交
赤 外線乾燥 の所要電力 ならび に時 間例
通 に お け る応 用
電 灯 は信 号,そ の 他 交 通 安 全 の た め に も用 い られ て い る。 〔1〕 交 通 整 理 灯 交 通 量 の 多 い街 路 の 交 差 点 に お いて,昼 夜 と もに信 号 灯 の 光 色 に よ って縦 横 の 交 通 整 理 を 行 う もの が 交 通 整 理 灯 で あ る。 一 般 に人 手 を用 い ず,自 動 車 に制御 す る よ うに して あ る。 構 造 は 図14・5の つ り下 げ,そ
よ う に,箱
の 前 面 に は,赤
を柱 の腕 木 に ・黄 ・青 緑 の 3
色 の 信 号 灯 を 備 え て い る 。 各 信 号 灯 は,そ ぞ れ70W電
球 の レ ン ズ 側 の バ ル ブ 内 面 に,
ア ル ミ ニ ウ ム の 蒸 着 反 射 鏡 を 設 け,ビ 左 右20°,下 150mを
れ
方15゜
ームは
に 広 が り,確
認距離 は
標 準 と して い る 。 ま た,昼
間 日光 の
図14・5
交通整理灯
反 射 に よ って 色 ガ ラス 面 が光 って 間 違 いを 生 じな い よ うに ひ さ しが つ い て い る。 信 号 の 色分 けは,赤 は 停止,青 緑 は通 行,黄 は 赤 あ る い は 青 緑 に 対 す る用 意 の時 間 を 示 す 。 この 色光 の順 序 お よ び周 期 は,通 行 人 の心 理 と微 妙 な関 係 が あ るの で, そ この交 通 量,縦 横 の 交 通 量 の 差,そ の他 種 々 の条 件 を慎 重 に考 慮 して 決 定 す る。 信 号 灯 は 1箇 所 で は な く,一 つ の道 路 に沿 って た くさん つ い て い るが,そ れ の 全 部 を 一 斉 に赤 に した り,青 緑 に した りす る こ とは 簡単 で あ るが,こ
うい う方 法
で あ る と,一 つ の 車 が 1箇 所 を 青緑 で通 過 して も,次 の 交 差 点 に つ くと,赤 に な って 止 め られ る。 こ う い う こ とを繰 返 して いて,な か な か 早 く進 め な い 。 この よ うな欠 陥 を救 うた め に は系 統 式 整理 法 が あ る。 これ は 1箇 所 の 信 号 灯 が 青 緑 に な る と,そ こを 通 過 した 自動 車 が 標 準 速 度 を維 持 して 行 けば,次 の 交 差 点 の 信 号 灯 が ち ょ うど青 緑 に な るよ う に して お くの で あ る。 こ う して お けば,標 準 速 度 さえ 維持 して いれ ば,各 交 差 点 を 無 停 車 で 通過 す こ とるが で き る わ けで あ る。
図14・6
図14・6は,こ
系統式整理ダイヤ
の 方 法 に よ る ダ イ ヤ で,こ
る 。 こ の 整 理 方 法 は,わ
れ を進 行 式 ま た は系 統 式 と呼 ん で い
が 国 で は 多 く用 い ら れ て い る が,ア
メ リカ そ の 他 の 国 で
はむ しろ少 な い。 〔2〕 灯
台
灯 台 は一 般 に高 い塔 にな って お り,頂 部 に 灯 器 を入 れ る灯 室 が あ り,そ の 下 に 電源 室 や 階 段 な どが あ る。 灯 台 は木 造,石 造,あ
る い はれ ん が造 りと色 々 に変遷 した もの の,堅 固で 耐 振
・耐 火 ・耐 久 性 の 点 か ら
,現
て い る。 高 い も の は30m以 回 り 階 段 が 設 け られ,頂
在 で は ほ と ん ど 全 部 が 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト造 り と な っ 上 の も の が あ り,内
の 内壁 に沿 って
部 に あ る 灯 室 に 通 じて い る。
灯 室 の 中 心 に は 電 灯 が あ り,1∼1.5kWの 引 け な い 所 で は,自
部 は 中 空 で,そ
電 球 が 用 い られ て い る 。 電 灯 線 の
家 発 電 に よ って い る。
灯 台 の光 は一 般 に明 滅 して い るが,各 灯 台 に は,そ れ ぞれ 個 有 の 明 滅 の 仕 方 が 決 め られ て あ り,光 をみ て ど この 灯 台 か 識別 で きる よ うにな って い る。光 を 明 滅 させ るに は二 つ の方 法 が あ り,一 つ は光 源 自 体 を 決 ま った 周 期 で 点 滅 させ る方 式 で,レ
ンズ は動 か さず,従
って,光
は レ ンズ の面 の 向 いた 方 向 の み に 一 定 の 時 間
ご とに 強 力 な ビー ム光 とな って 発せ られ る。 第 二 の方 法 は,光 源 は点 灯 した ま ま と し,こ の装 置全 体 を 台 上 で水 平 に 回転 さ せ る方 式 で,ビ
ー ム光 は装 置 の 回転 に した が って,ぐ
る ぐる回転 す る の で,遠
く
か ら これ を見 て い る と,光 が観 測 者 の方 へ 向 い た時 にせ ん 光 を発 した よ うに見 え る。 も し点 灯 中 に電 球 が 断線 して も,継 電 器 に よ って 予 備 の 電 球 が 自動 的 に正 規 の 焦 点 に正 し く代 え られ る電 球 交 換 装 置が あ る ので,消 灯 の事 故 は未 然 に防 止 さ れ る。 〔3 〕
航
空 標
識
航 空 関 係 で は,電 灯 に よ る標 識 が 非 常 に 多 く使 用 され て い る。 飛 行 場 内で は, まず 滑 走 路 の 位 置,方 向な どを 示 す 標 識 が 多 数 滑 走 路 の上 に点 々 と して 点 灯 され て い る。 この ほ か,駐 機 場 内全 体 を 照 す た め メ タ ル ハ ライ ド灯 お よび 高 圧 ナ トリ ウ ム灯 を 数 灯 ず つ 納 め た照 明 塔 が 適 当 に 配 置 され て い る。 航 空 路 の付 近 に高 い障 害 物 が あ る時 は,そ の頂 上 と中間 部 に赤 色 の 電 球 また は キ セ ノ ンせ ん光 放 電 灯 を設 置 して 所 在 を 示 す こ とに な って い る。
14.4 〔1〕
保 健 医療 にお け る応 用 光
浴
日光 浴 の効 果 が 一 般 に認 識 され る に つ れ て,人 工 浴 も また 次 第 に要 求 が高 ま っ
て き た。 人 類 は昔 か ら 自然 の 日光 の下 に生 育 して きた の で あ るか ら,入 工 光 浴 の 場 合 も,そ の分 光 組 成 が 日光 と同様 で あ る こ とが 望 ま しい。 しか し,近 来,都 会 地 に おい て は 空 気 中 の ほ こ りの影 響 で,320nmよ 波 長 の紫 外 線 は到 達 せ ず,従 nm以
って,都
会人 は紫 外 線 不 足 に陥 って い る の で,320
下 の紫 外 線 が 含 ま れ て い る こと が特 に必 要 で あ る。 また270nm以
紫 外 線 は,ほ
り短 い
下の遠
こ りの 少 な い 日光 中 に もほ とん ど含 まれ て お らず,従 って,人 類 は
な ら され て い な いの で,こ の よ うな紫 外 線 は刺 激 が 強す ぎて 有 害 で あ る。 ゆ え に人 工 光 浴 用 の光 線 と して は,270∼320nmの
紫 外 線 を必 ず 含 み,そ れ よ
り長 波 長 の光 線 か ら赤 外線 に至 る放 射 が,な るべ く日光 に近 い もので あ る ことが 必 要 条 件 で あ る。 この270∼320nmの
紫 外 線 を 特 に健 康 線 また は ドル ノ線 と も
い うが,こ の 健 康線 を特 に 多 く出す よ うな 蛍 光 体 を 用 いた 白 色 蛍 光 ランプ が で き,こ れ は光 束 も普通 の 蛍光 ラ ンプの 約9%減
にす ぎな いの で,日 光 の 入 る こ と
の 少 な い 地 下 室 な どに照 明兼 用 と して 利 用 され る。 た だ し,こ れ にガ ラス や プ ラ ス チ ックの カ バ ーを掛 け て は効 果 が な くな る。 〔2 〕
殺 菌
消 毒
波 長 が270nm以
下 の 遠紫 外線 は人 間 もな れ て い な い が,各 種 の菌 も また な れ
て い な い の で,こ の よ うな遠 紫 外線 に 当て る と,人 間 の 皮 膚 や 目 も冒 され るが, 菌 の増 殖 が抑 制 さ れ る。 この た め 紫 外 線 を出 す 殺 菌 灯 が で き て広 く 使 わ れ て い る。 これ は蛍 光 灯 と同 じ形 で,始 動 も 同 様 に し て 行 う。 異 な る所 は蛍光 体 を用 い ず,か つ,ガ
ラス管 を紫 外線 透 過 ガ ラス で作 って,内 部 で発 生 す る253.7nmの
遠紫 外 線 を そ の ま ま外 に 出 す 点 で あ る。 この 殺 菌灯 の用 途 は空 気 殺 菌 が主 で,病 院 の手 術 室,調 理 室 な どか ら証 券 会 社 や貨 幣 を取 り扱 う銀 行 な どに も普 及 して き た。 ま た,食 品や 薬 品 製造 会社 の無 菌 室 に も欠 くべ か らざ る もの で あ る。 この ほか,水 の 殺 菌 や 物 品 の表 面 の 殺 菌 に も使用 され るが,肉 の 内部 の 殺 菌 な ど はで きな い。 〔3 〕
光
線
治
療
放 射 線 を 利用 して病 気 の 治療 を す る もの に は紫 外線,赤 外 線
エ ック ス線 な ど
が あ るが,こ の うち 電灯 を利 用 す る もの は,紫 外線 と赤外 線 で あ る。 紫 外 線 に よ る 治療 は,前 記 の殺 菌 灯 を用 い,水 虫 の よ うな細 菌 に よ る疾 患 の 治 療 をす る もの で,赤 外 線 は主 と して体 内 を暖 め るた め に用 い られ る。 普 通 の 電 球 の光 を身 体 に 当 て る と,赤 外 線 は体 内 に入 るが,波 皮 膚 に止 ま って,暑
長 が 短 い光 線 は
さを 感 じ させ る。 そ こで,医 療 用 赤外 線 電球 は,紫 外 線 や光
線 をな るべ く少 な くす る た め に,赤 い ガ ラ ス球 を 用 い る。 従 って,大 部 分 が 赤外 線 で,光 線 は ご くわ ず か 赤 い光 が 出 る にす ぎな い。 こ の 赤 外 線 の 利 用 は,胃 い が,炎
腸 病,鼻
ュ ー マ チ,神
経 痛,そ
症 性 の も の や 結 核 な ど に は 用 い られ な い 。 な お,こ
行 を よ く し,美
の他 範 囲が 広
の 赤 外 線 電 球 は,血
容 の 目 的 に も用 い られ て い る 。
将 来 の灯 火 と そ の応 用
14・5
現 在 の 電 灯 は,熱
放 射 と エ レ ク ト ロル ミ ネ セ ン ス,ホ
を 利 用 した も の で あ る が,そ し,こ
か ぜ,リ
トル ミ ネ セ ン ス と の 現 象
の 他 の 現 象 に よ る 灯 火 も現 在 研 究 さ れ て い る 。 し か
れ ら は 効 率 が 低 い こ と,価
て は 当 分 利 用 の 途 は な い が,特
格 が 高 い こ と,そ
の 他 の 点 で,一
般照明用 と し
殊 の 用 途 に は現 在 で も用 い られ て お り,将
来 の発
達 も期 待 され て い る。 〔1〕
ELラ
電 球 は 点,蛍
ン
プ
光 ラ ン プ は 線,次
の 灯 火 は 面 で あ る と は よ く い わ れ る 言 葉 で,こ
の 面 光 源 の 一 つ と して 研 究 さ れ て い る も の がELラ lamp)で
ン プ(electroluminescence
あ る。
これ は,一 方 が透 明 な 2板 の電 極 間 に,蛍 光 体 を誘 電 体 に埋 め た層 に は さん だ
図14・7ELラ
ンプ の 例
もの で,こ の 両極 間 に交 流 電 圧 を加 え る と,コ ンデ ンサ の誘 電 体 損失 の一 部 が 光 の エ ネル ギー と して放 射 され る。 効 率 は 周 波 数 と 共 に 増 す が,現 で0.1W,光
束1lm程
在 は10lm/W程
度 で あ り,輝
され て い な い 。 た だ,計
度 で,18cm×36cmの
度 も 効 率 も ご く低 く,普
器 そ の 他 の 標 示 用 の パ ネ ル,常
大 きさ
通 の 照 明 に は利 用
夜灯 な ど に利 用 され て い
る だ けで あ る。 〔2 〕
発 光 ダ イ オ ー ド(LED)
半 導 体 のP-N接
合 部 に順 方 向電 流 を流 して少 数 キ ャ リア を注 入 した 時,接 合
部 に お いて,電 子 と正 孔 が再 結 合 す る時 に発 す る光 を利 用 した ものが 発 光 ダ イ オ ー ドで あ る。 こ の 発 光 ダ イ オ ー ドの 特 色 は,1.5∼3Vの ラ ン プ よ り高 い こ と な ど で,現 〔3 〕
レ
ー
低 電 圧 で 動 作 す る こ と,輝
度 がEL
在 は 測 定 器 の 表 示 な ど に 利 用 され て い る 。
ザ
レーザ の 発光 原理 や機 構 は極 め て 複 雑 で あ るた め,こ
こで は その 特 色 だ け を記
す と, 第 1は 指 向 性 が 強 く,ビ に 見 え る(立
体 角 は10-4ラ
ー ム の 開 き が 極 め て 小 さ く,ほ
と ん ど 1本 の 棒 の よ う
ジ ア ン程 度 に ま で 小 さ く で き る)。
第 2は単 色光 で あ る こ と。 第 3 は 極 め て 高 い エ ネ ル ギ ー 密 度 を も つ こ と で,ご ネ ル ギ ー を 集 中 す る こ と が で き る 。 従 っ て,レ
く小 さ い 点 に 非 常 に 強 い エ
ーザ を生 物 に 当て る こ と は危 険 で
あ る。
第14章
(1)ネ
問
オ ンサ イ ンで 日と い う字 を画 き,そ
題 れ を1kmの
距 離 か らは っ き り読 め る よ う
にす るに は,字 の高 さ と幅 は どの く らい に しな けれ ば な らない か 。 (2)広
い 室 の天 井 全 体 をELラ
ン プで 張 りつ め て 照 明 した ら,床 の 平 均 照 度 は ど の く
らい に な る だ ろ うか 。 (ヒ ン ト 床 の 照度 は,天 井 面 の 光 束 発 散 度 と値 が 等 し くな る こ と か ら計 算 す れ ば よ い 。)
索
引 …ELラ
ア ア ー ケ ー
行
ン プ(electroluminescent
electroluminescent
ド の 照 明(arcade
lighting)
minescent
153
HIDラ
ア ポ ス チ ル ブ(asb)(apostilb)
LED(1ight
ア ン カ(anchor)
安 全 色(safety
colo(u)r)
59 14
LED表
97
type
安 定 器(ballast)
26
安 定 抵 抗(steady
resistance)
24
あ ん ど ん 看 板(1uminous sign)
エ レ ク
panel)
ン プ(HID
diode)
示 装 置(light
トロ ル
elrctrolu-
188 lamp)
emitting
display
lamp,
source,
emitting
equipment)
diode 182
ミネ セ ン ス
(electroluminescence)
type
....................................180
189
液 晶 カ ラ ー 映 像 表 示 装 置(1iquid
element
53
colo(u)rvision
25
crystal
display
equipment..............................181 イ ル ミ ネ ー シ ョ ン(illumination)…160 入 口 増 灯 部 照 明(entrance
遠 視 眼(longsighted
lighting
of
temperature)・.32,91
色 順 応(colo(u)r
adaptation)
色 の3角
形(triangle
演 色 評 価 数(col(u)r
94
of colo(u)r)…90
色 の 性 質(colo(u)r
properties)・
色 の 対 比(colo(u)r
contrast)
色 の 認 識 度(recognition
94
specifcation)・
色 物 蛍 光 ラ ン プ(colo(u)r
・ ….88
fluorescent
lamp).......................................40
ウ ィ ー ン の 変 位 則(wien's
displacement
law).........................................10 売 場 の 照 明(sales
counter
84
rendering
index)
curve
distribution
of luminous
鉛 直 面 照 度(vertical
intensity)…
・.・59
i11uminance)
63,67
of
colo(u)r)....................................94 色 の 表 示(colo(u)r
properties)
95 鉛 直 配 光 曲 線(vertical
・….92
grade
eye) rendering
95
tunnel)....................................158 色 温 度(colo(u)r
演 色 性(co1(u)r
lighting)
円 等 光 度 図(isointensity the circle
source)
by
.............................68
大 型 映 像 表 示 装 置(large-sized
display
equipment)..............................181 大 き さ の あ る 光 源 に よ る 照 度 の 計 算 (illuminance
運 動 競 枝 場 の 照 明(sports
source)
140,162
on
61
円 板 光 源 に よ る 照 度(illuminance disk
142 lighting)
diagram
projection)
calculation
by large
....................................67
屋 外 照 明(exterior
lighting,
outdoor
lighting).................................152 A光
源(standard
light source
A)…92
屋 内 照 明 施 設(interior
lighting
insti.
tution)
132
屋 内 照 明 の 設 計 と 施 工(interior
design and enforcement) 屋 内 配 線 用 図 記 号(symbol
脚
interior
逆
128,129
arc
ガ ス 入 り電 球(gas-filled
lamp)
lamp)
リ ー 方 式(catenary
system)
172 101
factor
luminous
intensi
教 室 照 明(classroom 狭 照 形(narrow
61
104
58
カ ンデ ラ毎 平 方 メ ー トル(cd/㎡)
lighting) range
lighted
type)
103
lighted
飾 窓 照 明(show-window
111
lighting) lighting
design) 125
58
type)
103
lighting) 140
学 校 照 明(educational
局 部 照 明(local
局 部 照 明 の 設 計(local
(candela per square meter)
近 視 眼(shortsighted
84
eye)
金 属 面 の 反 射(reflection
of
metal
surface)
facilities
lighting)
102
137 mixture
of
ク リプ ト ン電 球(krypoton-filled
colo(u)rs)
lamp) 18
91
簡 易 形 照 度 計(simplicity
type
illumi
nometer)
グ ロ ー ス タ ー タ(glow
switch
starter)
174
環 境 色(environment
colo(u)r)
環 形 蛍 光 ラ ン プ(circular
transmitting
35
口
104,106
く さ りづ り(chain
dif
fuse) 完 全 拡 散 反 射(perfect
グ ロ ー ブ(globe)
106
pendant)
14
金(base(米);cap(英))
112,113
lighting)
完 全 拡 散 透 過(perfect
28
96
fluorescent
lamp)
98 reflecting
ケ ー ン ガ ラ ス(cane
蛍
98
14
glass)
25
光(fluorescence)
蛍 光 水 銀 灯(high
diffuse)
pressure
mercury
fluorescentlamp)
46
蛍 光 体(phosphor,fluorescent キ セ ノ ン ア ー ク 灯(xenon
arc
キ ル ヒ ホ ッ フ の 法 則(Kirchhoff′s
lamp)
material)
55
law) 10
度(luminance)
137
13
カ ン デ ラ(cd)(candela)
輝
62
method)
ty)
157
bulb)
間 接 照 明(indirect
photometer,inte
球 面 光 度(spherical
13
cover)
加 法 混 色(additive
by 70
球 形 光 束 計(sphere
球 帯 係 数 法(zonal 43
角 照 形(diagonally
66
law)
吸 収 率(absoptance)
カ ー ボ ン ア ー ク 灯(carbon
ガ ラ ス 球(glass
2 乗 の 法 則(inverse-square
gration photometer)
行
カ バ ー(translucent
145
光(footlight)
global source) 32
カ テ ナ
luminance)
球 形 光 源 に よ る 照 度(illuminance
white(米);white(英))
カ
of
170
111
for
wiring) 温 白 色(warm
輝 度 測 定(measurement
lighting
58
25,46
蛍 光 灯(fluorescent 蛍 光 ラ ン プ(fluorescent
23
lamp) lamp)
系 統 式 整 理 法(systematically
28 regulation
method) 健 康 線(erythemal
radiation)
建 造 物 の 照 明(building
光 電 管(phototube)
187
光 電 管 照 度 計(phototube
160 mixture
illuminome
ter)
floodlighting)
減 法 混 色(subtractive
168
185
173
光 電 池(photoelement,photovoltaic
cell)
of
colo(u)rs)
92
173
光 電 池 照 度 計(photovoltaic
cell
illumi
nometer) コ ー
ドづ り(cord
pendant)
106
コ ンパ ク ト形 蛍 光 ラ ン プ(compact rescent
fluo 41
lamp)
高 圧 水 銀 灯(high
pressureme
so
dium(vapo(u)r) lamp) 公 園 照 明(public
park
高 演 色 形(high
colo(u)r
159
高 輝 度 放 電 ラ ン プ(high
光
intensity
浴(ligh
166
186
sign)
高 周 波 点 灯(high
ton-filledlamp)
frequency
高 出 力 蛍 光 ラ ン プ(high
36
体(blackbody,Planckian
output
10 黒 板 照 明(chalkboard
サ
fluo
lighted
工 場 照 明(industrial
lighting)
光
colo(u)r)
source
type)
交 通 整 理 灯(traffic
度(chromaticness,chroma,satura
by
7
171
170
regulaticn
93 light) 183
交 通 道 路 の 照 明(traffic
road
tion)
90
作 業 面(work
plane(米);working 123
plane(英))
187
殺 菌 消 毒(sterization) 殺 菌 灯(germicidal
lamp,bactericidal
lamp)
187 104
3 原 色(three
elementary
colo(u)r)
65
extance) colo(u)r)
81
皿(bowl)
luminous
flux) 後 退 色(receding
彩
flux)
of
145
132
86
photometer)
ト(suspension
light) 光(daylighting)
of eye
light)
光 束 発 散 度(luminous
139
行
採
32
光 線 に よ る 目 の 障 害(disoder
光 束 測 定(mesurement
lighting)
103
187
光 線 治 療(phototherapy)
光 束 計(integrating
サ ス ペ ン シ ョ ン ラ イ
35
range
束(luminous
radiator)
burning)
rescent lamp)
光
18 fluorescent
lamp)
31
色(light
186 kryp
53
航 空 標 識(aeronautical
広 照 形(wide
luminous
tbath)
小 型 蛍 光 ラ ン プ(smallsized
黒
discharge lamp)
of
小 型 ク リ プ ト ン電 球(small-sized
35
rendering
167
光 度 測 定(measurement
51
lighting)
58
intensity)
intensity)
45 pressure
173
度(luminous
光 度 計(photometer)
rcury
(vapo(u)r)lamp) 高 圧 ナ ト リ ウ ム 灯(high
光
91,92
3波 長 形 蛍 光 ラ ン プ(three
band
fluo
switch)
129
rescent lamp) 3 路 ス イ
ッ チ(three
40 way
lighting) 155
CHD管(colo(u)r
high-brightness
discharge CIE色
tube)
度 図(CIE
181
chromaticity
diagram)
照
度(illuminance)
63
照 度 基 準(illuminance
standard)…118
90
照 度 曲 線(illuminance
line(米);illumi・
CIE色
nance curve(英))
度 に よ る 表 色(colo(u)r
cation C光
by CIE
chromaticity)・.…
源(standard
・90
light source
シ ネ サ イ ン(cine。sign) シ ャ ンデ
specifi
181
105
ジ ュ メ ッ ト 線(dumet
wire)
シ ョ ー ト ア ー ク ラ ン プ(short
14
照 度 の 均 斉 度(uniformity illuminance)
ratio of
122
照 度 の 計 算(illuminance
calculation)
66
arc lamp)
55
照 明 器 具(luminaire)
視
照 明 器 具 の 効 率(1ight output
覚(vision)
視 感 測 光(visual
64
of illuminance)
173
C)…92
リ ァ(chandelier)
照 度 測 定(measurement
84
photometry)
luminaire)
98
ratio of
106
ユ66,170,173
照 明 器 具 の 材 料(material
視 感 度(luminous
98
efficacy
of radiation)
15
照 明 器 具 の 取 付 法(fitting
色 彩 調 節(colo(u)r
luminaire)
colo(u)r
conditioning,
dynamics)
and
色 彩 の 効 果(coIo(u)r
effect)
色
相(hue)
室 指 数(room
index,
distribution
lighting)88
92
89
installation
method
index)
intensity
of luminaire)
照 明 計 算(1ighting
照 明 と 作 業 能 率(lighting
and working
照 明 と 疲 労(lighting
照 明 の 生 理 と 心 理(physiology
beam
lamp
chology
for automobile
102 …58
efficiency).................................85
自 動 車 前 照 灯 用 シ ー ル (sealed
calculation)…
1ユ6 ド ビ ー ム 電 球
of
105
照 明 器 具 の 配 光(luminous
96,135,139
色 彩 と 照 明(colo(u)r
of luminaire)
and fatigue)・.・85 and psy・
of lighting 84
headlight).................................21
照 明 の 施 工(enforcement
始 動 特 性(starting
129
characteristic)…46
事 務 所 照 明(office
lighting)
遮 光 角(shielding
angle)
集 魚 灯(fishing
135
照 明 率(coefficient
of utilization(米);
104
utilization(英))
116,120
視
lamp,fishing light)…183
住 宅 街 の 照 明(residential
of lighting)
street
ligh・
力(visual
acuity)
進 出 色(advancing
colo(u)r)
85
g3
ting).......................................152 住 宅 照 明(residential
lighting)…
商 店 街 の 照 明(shopping
street
…147 ligh・
ting).......................................152 焦 点 距 離(focal
distance,
focal length)
ス チ ル ブ(sb)(stilb)
59
ス テ フ ァ ン ・ボ ル ツ マ ン の 法 則(Stefan. Boltzmann
law)
ス トー ク ス の 法 則(Stokes
law)…
......................108
ス ポ ッ トラ イ ト(spotlight)
商 店 照 明(store
ス リム ラ イ ン形 蛍 光 ラ ン プ(instant-
lighting(英))
lighting(米);shop
・ …140
stat fluorescent
10 …25
146
lamp(米);cold・
startfluorescentlamp)
37
水 銀 灯(mercury(vapo(U)r)1amp)
45
水 平 配 光 曲 線(horizontaldistribution
耐 振 電 球(vibrationservicelamp(米); roughservicelamp(英))
21
耐 爆 器 具(explosionproofluminaire
curveofluminousintensity)
59
(米);flameproofluminaire(英)) 134
水 平 面 照 度(horizontalilluminance) 63,66
79
太 陽 の 運 行(revolutionofsun)
据 置式 大 型 カ ラ ー映 像 表 示装 置(丘xed typelarge-sizedcolo(u)rvisiondis一
卓 上 ス タ ン ド(tablelamp)
106
探 照 灯(searchlight)
Los
181
playequipment)
26
チ ョ ー ク コ イ ル(chokecoil) セ,ド(shade)
103
地 下 商 店 街 の 照 明(undergroundstreet
lighting)
正 弦 等 光 度 図(isointensitydiagramon
thesinusodialprojection)
61
正 透 過(regulartransmission)
98
正 反 射(regularreflection)
98
79,133,135,137,143 昼 光 色(daylight(米);tropicalday・ light(英))
精 密 形 照 度 計(precisiontypeillumino-
meter)
174
赤 外 線 乾 燥(infrareddrying)
109 ii
全 反 射(totalreflection)
100
全 般 照 明(generallighting)
111
81 32
昼 白 色(neutralwhite) 調
146
光(dimming)
超 高 圧 水 銀 灯(extra・highpressure
mercury(vapo(u)r)lamp)
45
超 高 演 色 形(extra-highrendering
type)
全 般 照 明 の 設 計(generallightingde・
sign)
80 昼 光 率(daylightfactor)
7
選 択 放 射(selectiveradiation)
32
昼 光 の 照 度(illuminanceofdaylight)
183
絶 対 屈 折 率(absoluterefractiveindex)
前 照 灯(headlamp,headlight)
154
昼 光 照 明(daylighting)
111
35 146
調 光 機(dimmer) 調 光 装 置(1ightcontrolequipment)147 長 方 形 光 源 に よ る 照 度(illuminanceby
相 互 反 射(interflection(米)│nterreflection(英))
74
装 飾 用 電 球(decorationlamp) 測
21 166
光(photometry)・
側
窓(sidewindow)
夕
71
直 流 点 灯(directcurrentburning)
31
143
ち ら つ き(flicker)
30
D65光
源(standardlightsourceD65)
92
113 低 圧 ナ ト リ ウ ム 灯(10wpressuresodi・
退 色 防 止 用 蛍 光 ラ ン プ(non・ultraviolet
fluorescentlamp)
直 線 光 源 に よ る 照 度(illuminanceby
166
行
ダ ウ ン ラ イ ト(downlight)
72 112,113
straightsource)
測 光 標 準 器(photometricstandard
source)
rectangularsource) 直 接 照 明(directlighting)
39
um(vapo(u)r)lamp)
54
庭 園 照 明(garden
lighting)
159
低 温 用 蛍 光 ラ ン プ(fluorescent temperature
30
characteristic)
14
lamp)
10
球(incandescent
電 球 形 蛍 光 ラ ン プ(compact sted
fluorescent
white)
点 光 源 に よ る 照 度(illuminance source)
66 sign
news) wave)
電 照 栽 培(photoperiodic
lighting
6
185
台(lighthouse) factor
curve)
recessed)
113
surface
81 程(life
15,31
performance)
透 明 体 の 透 過(transmission
of
trans 76,99
透 明 体 の 反 射(refraction
of
trans-
98
道 路 照 明(roadway road
in 182
天 井 じ か 付 け(ceiling
64,177
parent body)
180
greenhouse)
天 井 埋 込 み(ceiling
line(米);
curve(英))
parent body)
by
電 磁 波(electromagnetic
the
灯
動 32
point
等 照 度 曲 線(isoilluminance isoilluminance
69
40
warm
電 光 ニ ュ ー ス(talking
109 sphere)
等 昼 光 率 曲 線(isodaylight
self-balla
lamp)
電 球 色(incandescent
投 射 器(projector) 等 照 度 球(isoilluminance
use)
電 圧 特 性(voltage 電
iamp
mounted)
lighting(米);
lighting(英))
152
特 殊 蛍 光 ラ ン プ(special
fluorescent
lamp)
35
特 殊 電 球(special
incandescent
lamp)
106 天 井 灯(ceiling
luminaire)
天 井 半 埋 込 み(ceiling
ナ
semi-recessed) 113
点 灯 管(glow
switch
starter)
点 灯 栽 培(photoperiodic the
lighting
efficacy
lamp)
lighting
of
poultry
店 内 照 明(shop
poultry
farm)
inside
lighting)
窓(skylight)
standard
source)
166
filament)
13
140 of
ネ オ ン管(neon 15
点 灯 養 鶏(lighting
天
in
lighting)
電 灯 の 効 率(luminous
二 次 標 準 器(secondary
2 重 コ イ ル フ ィ ラ メ ン ト(coiled-coil
182 front
行
28
greenhouse)
店 頭 照 明(shop
17
106
yard, 183 140
25,178
tube)
ネ オ ン サ イ ン(neon 熱 陰 極 形(hot
25,178
sign)
cathode
26
type)
熱 線 カ ッ ト形 シ ー ル ド ビ ー ム 電 球(infra
red cutoff type sealed beam
lamp) 20
143
熱 線 カ ッ ト形 ビ ー ム 電 球(infrared ド ル ノ 線(Domo
ray)
ト ン ネ ル 照 明(tunnel 透
187 lighting)
過(transmission)
158
cutoff
type
lamp)
20
radiation)
10
beam
熱 放 射(thermal
98
ハ
行
透 過 率(transmittance)
101
投 光 器(foodlight)
109
パ イ プ づ り(pipe
投 光 照 明(floodlighting)
160
ハ ロゲ ン サ イ ク ル(halogen
等 光 度 図(isointensity
diagram)
60
pendant)
ハ ロ ゲ ン 電 球(tungsten
106 cycle)
halogen
18 lamp)
18
配
光 (luminous bution)
intensity distri
美 術 館 の 照 明(art
curve
of
of
169
標 準 光 源(CIE
coated
白 色 ボ ー ル 電 球(white
standard
light
source) 92
標 準 電 球(photometric
standard
lamp)
166
13
lamp)
coated
広 場 照 明(plaza
ball
lamp)
158
lighting)
18
博 物 館 の 照 明(museum
143
lighting)
箱 形 看 板(luminous
element
発 光 ダ イ オ ー ド(light
179
sign)
emitting
diode) 189
発 光 ダ イ オ ー ド表 示 装 置(light
pressure
mercury
145
フ ッ ト ラ イ ト(footlight) ト(ft-L)
59
(foot-lambelt) ブ ラ ケ ッ ト(wall luminaire(英))
bracket(米);wall 106
ブ ラ ッ ク ラ イ ト蛍 光 ラ ンプ(blacklight 39
fluorescent lamp)
type
fluorescent
lamp)
12
フ ィ ラ メ ン ト(filament)
98 103,106
反 射 形 蛍 光 水 銀 ラ ン プ(reflector
100
fbrescope(英))
182 射(reflection)
反 射 が さ(refector)
フ ァ イ バ ス コ ー プ(fiberscope(米);
フ ッ ト ・ ラ ンベ ル
emitt
ing diode type display equipment)
フ リ ッ カ レ ス 回 路(flickerless
circuit)
30
47
反 射 形 蛍 光 ラ ン プ(reflector
type
fuo 35
rescent lamp) 反 射 形 電 球(reflectorized
19
lamp)
反 射 型 投 光 電 球(reflectrized
20
107
反 射 鏡(reflector) 反 射 皿(reflecting
bowl)
反 射 率(reflectance)
プ ル キ ン エ 現 象(Purkinje
phenome
non)
7
フ レ ー ム ア ー ク(name
standard
lamp(米);
lamp(英))
106
プ ロ セ ニ ア ラ イ ト(prosenium
lamp)
145
101
146
20
ビ ー ム の 開 き(spread(米);divergence, spread
フ ロ ン ト ラ イ ト(front
light)
光 天 井(luminous
ceiling)
光 の 投 射(projection 比 視 感 度 曲 線(spectral
of light) luminous
ting
98 reflecting
diffuse)
113
負 グ ロ ー(negative
107
舞 台 照 明(stage
effi
transmit
diffuse)
不 完 全 拡 散 反 射(imperfect 109
(英))
light)
104
不 完 全 拡 散 透 過(imperfect ビ ー ム 電 球(beam
44
arc)
フ ロ ア ス タ ン ド(floor
lamp
for floodlighting)
beam
149
lighting)
white(米);daylight(英)) 32
high
lighting)
140 病 院 照 明(hospital
luminous
distribution)
白 色 塗 装 電 球(white
反
store
59
配 光 測 定(measurement
色(cool
lighting) 143
百 貨 店 照 明(department
lumi
nous intensity) intensity
gallery
59
配 光 曲 線(distribution
白
7
ciency curve)
物 理 測 光(physical
98 glow)
lighting) photometry)
23 143
168,171,173 分 光 分 布(spectral
メ タ ル ハ ラ イ ド灯(metal
lamp)
48
11,33,47,49,52,56
明
度(lightness)
89
目 の 機 能(faculty ベ ビ ー ス ポ ッ ト(baby
spotlight)
平 均 演 色 評 価 数(general
colo(u)r
illuminometer)
平 均 照 度 の 計 算(average
illuminance
light)
145
lamp)
ホ テ ル の 照 明(hotel
山 内 式(Yamanouchi's
17
lighting)
trapping
有 心 炭 素 棒(cored
7 flux,radiant
power) 7
heat)
7 of
43
23
column)
よ う 素 電 球(quartz
iondine
ラ
射(radiation)
放 射 の 応 用(application
rod)
lamp)
19
149
25
放 射 熱(radiant
183
lamp)
carbon
陽 光 柱(positive
ホ トル ミネ セ ン ス(photoluminescence)
放 射 束(radiant
62
equation)
誘 が 灯(insect
74
ボ ー ダ ラ イ ト(border
84
175
calculation)
ボ ー ル 電 球(ball
eye)
ヤ 行
ren 95
平 均 照 度(avarage
of
146
dering index)
放
halide
distribution)
radiation)
ラ ジ オ 障 害(radio
行 31
interference)
ラ ピ ッ ド ス タ ー ト蛍 光 ラ ン プ(rapid-start flourescent
lamp(米);starterless
fluorescent
lamp(英))
38
ラ ン ベ ル ト(L)(lambelt) ラ ン ドル
59
ト環(Landolt's
85
ring)
178 法 線 照 度(normal
illuminance)
放 電 現 象(discharge 放 電 灯(discharge
色(additive
43
factor)
121,122
complementary
94
料 亭 の 照 明(Japane
sestyle
restaurant
lighting)
149 style
inn
lighting)
149 25
り ん 光(phosphorescence)
行
マ ク ベ ス 照 度 計(Macbeth
illumino
meter)
ル ー ソ ー 線 図(Rousseau
170
マ ン セ ル 表 色 系(Munsell
method) 67
旅 館 の 照 明(Japanese
colo(u)rs) マ
立 体 角 投 射 の 法 則(unit-sphere
23
lamp)
保 守 率(maintenance 補
66
phenomenon)
system)
窓(window)
88 81
62
diagram)
ル ー バ(louver(米);louvre,spill
shield(英)) ル ー バ 天 井(louvered
105 ceiling,louverall
ceiling) 無 影 灯(shadowless
luminaire
operation) 無 彩 色(achromatic
colo(u)r)
for
ル ー バ の 効 率(light
150
louvre(米);light
89
louvre(英)) ル ー メ ン(lm)(lumen)
114 output output
ratio
of
ratio
of
107 8
ル ー メ ン毎 平 方 メ ー トル(lm/㎡)
レ ス
(lumen per square meter) ル ク ス(lx)(lux)
63
ル ミ ネ セ ン ス(luminescence)
24
レンマ ー ブ ロ ジ ュ ー ン 頭 部(Lummer
Brodhun
head)
lighting)
149 冷 陰 極 形(cold
cathode
ロ ン グ ア ー ク ラ ン プ(long
26
type)
arc
lamp)
167
55
老 レ ー ザ(laser,light
ト ラ ン の 照 明(restaurant
65
amplifcation
84
眼(longsightedness)
by
Stimulated emission of radiation) 189
ワ わ ん 形 セ ー ド(bowl
行 type
shade)
106
―<著 者紹 介>―
関
重 広
学
歴
東 京帝 国大学 工 学 部電 気 工 学 科卒 業(1920) 工学 博 士(1950)
職
歴
東京電気株式会社(現 照明研究室長
株式会社東芝)入 社
同 社 マ ツ ダ照 明学 校 長(1927∼1944) 関 東 学 院大 学 教授(1949∼1978) 日本 電子 工 学 院学 院 長(1963∼1976) この 間 に,東 京 電機 大,早 大,法 大,東 北 大,工 学 院 大,日 大 の 講 師 を歴 任 逝
去
1982年
主 な著書 照 明 学,電 灯 照 明,家 庭電 気 読 本,灯 火 の 変還,そ の 他33種
照 明工 学講義 新訂版 1960年
5 月20日
第 1版 1刷 発 行
1973年
3 月10日
第 2版 1刷 発 行
1977年
3 月30日
第 3版 1刷 発 行
1982年 1987年
1月20日 4月10日
第 4版 1刷 発 行 第 5版 1刷 発 行
2001年
4月20日
第 5版 7刷 発 行
著 者
関
重 広
発行者 学校法人 東 京 電 機 大 学 代 表 者 丸 山 孝 一,郎 発行所 東 京 電 機 大 学 出 版 局 〒101-8457 東 京 都 千 代 田 区 神 田 錦 町2−2 振 替 口 座00160-5-71715
電話
印刷 三美印刷㈱ 製本 渡辺製本㈱
〓Seki Itoh
(03)5280-3433(営
業)
(03)5280-3422(編
集)
Masahiro Takashi
1960,1987
Printed in Japan *無 断 で 転載 す る こ とを禁 じ ます。 *落 丁 ・乱丁 本 はお取 替 えい た し ます 。 ISBN4-501-10230-6C3054
R<日 本複 写 権 セ ン ター委 託 出 版物 ・特 別 扱 い>
電気工学図書 理 工 学講座
理工学 講座
基礎
改訂
電 気 ・電子工 学
交流回路
宮入庄太/磯部直吉 監修 前 田明志 他著
宇野辛一/磯部直吉 共著
A5判308頁
電気 ・電 子技術全般 を理解 できる よ うに編集 した。 大学理 工学部の 基礎課程 のテキス トに最適。2色刷
交流現象の理論的な解説 と計算法を詳述 した名著 「 交 流回路」 を,時 代 の要求 に沿 って いて親 しみや す く, かつ理解 しや すいよ うに全面的に見直 した改訂 版。
新 テキ ス ト
新テ キス ト
電 気回路 I
電気 回路II
直流回路 ・交流回路
四端 子 回路 ・波 形応 答 ・過 渡 現 象
専門教育研究会 編
専門教育研究会 編
A5判198頁
A5判188頁
電 気工学 の基礎 理 論 をや さ し く,正 確 に 解 説 した 「 新 テ キ ス ト」 シ リー ズの 1冊 。 回 路理 論 の 基 礎 につ い て,身 にっ き使 い こ なせ る よ うに 解 説 。
電気 回路の うち四端子 回路,波 形応答,過 渡 現象 を 豊富な例題に よってや さしく解説 した。短大,高 専, 専修 学校 のテキス トに最適。
理工学講座
新テ キス ト
電磁気学
電磁気学
2色 刷
A5判318頁
東京電機大学 編 A5判266頁
専門教育研究会 編
理 工系大学の 基礎課程の ための教科 書 として編集 。 講 義 と学生 の演 習の便宜を考 えて,豊 富に例題や演 習 問題 を用意 した。
A5判224頁
理工学講座
電磁気学の基礎
高周波電磁気学
短大,高 専,専 修学校の学生を対象 に,電 磁現象の理 解に重点 をおいてや さしく,し かも正確 に解説 した。
P.ハ モ ン ド 著
秋月影雄 他訳 三輪 進 著
A5判192頁
A5判228頁
電磁 気学を基礎に,ア ンテナ,電 波伝搬,高 周波 回 路 等を理解 するのに必要な理論 を簡潔 に解説。
高度 な数 式演算に終始 している従来の電磁気学 を改 め,ベ ク トル を用 いず に物理現象の理解に重 点をお いて解説 した良書 の翻 訳書。
理工学講座
理工 学講座
照明工学講義 新訂版
電気機器要論 磯部直吉 著
関 重広 著
A5判370頁
A5判210頁
大学 におけ る著者の20年 余の電気機器の講義 と研究 か ら得 た経験 を基 に して執筆 した。大学専 門学科の 教科書 として最適 である。
長年 読者か ら愛 用 され信頼 を得 てい る前著 を最新 ・ 最 良の資料 を とり入れて全面的に見直 した。
*定 価,図 書 目録のお問い合 わせ ・ご要望は出版 局までお願 い致 します.
A-54