通 信 ネ ツ 卜ワ ー ク 荒谷 孝 夫 著
東京電機大学出版局
R 〈日本 複 写 権 セ ン タ ー 委 託 出 版 物 〉 本 書 の 全 部 ま た は 一 部 を 無 断 で 複 写 複 製(コ
ピ ー)す
る こ ...
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通 信 ネ ツ 卜ワ ー ク 荒谷 孝 夫 著
東京電機大学出版局
R 〈日本 複 写 権 セ ン タ ー 委 託 出 版 物 〉 本 書 の 全 部 ま た は 一 部 を 無 断 で 複 写 複 製(コ
ピ ー)す
る こ と は,著
作
権 法 上 で の 例 外 を 除 き,禁 じ ら れ て い ます 。 本 書 か ら の 複 写 を 希 望 さ れ る 場 合 は,日 本 複 写 セ ン タ ー(03-3401-2382)に ご連 絡 くだ さ い。
まえが き 現 在 利 用 され て い る 情 報 通 信 ネ ッ トワー ク の 中 で,最
も規 模 の 大 きな もの は
電話 ネ ッ トワー ク で あ り,電 話 は 指 定 す るユ ー ザ 間 を 1対 1の接 続 形 式 で結 び 付 け,音 声 を リ ア ル タイ ム(即 時)で 伝 え る電 気 通 信 サ ー ビス で あ る。 音 声 信 号 は 電 話 機,交
換 機,伝
送路 か らな る電 話 ネ ッ トワ ー ク を通 して伝 達 され る。
ネ ッ トワ ー ク に お け る信 号 伝 達 の し くみ と構 成 要 素 と な っ て い る 各 種 の 機 器 は,技 術 の 進 歩 と共 に見 直 され,効 率 の よい もの に 置 き換 え られ て きて い るが, 近 年 の 動 向 と し て は デ ィ ジ タ ル技 術,LSI技
術,光
フ ァ イバ 伝 送 技 術 の 急 速 な
進 歩 に よ り,電 話 網 は ア ナ ロ グ網 か らデ ィ ジ タル 網 に変 貌 し,そ 光 化 が 全 面 的 に 進 め られ て い る状 況 にあ る 。 そ の 結 果,電 信 頼 性,通
信 品 質 が 非 常 に向 上 した が,デ
して 伝 送 路 の
話 網 は機 能,性
能,
ィ ジ タル 通 信 と光 通 信 は も と も と非
常 に優 れ た 素 質 を も っ て い る の で 将 来 に 向 けて 更 に 大 き な発 展 が 期 待 され て い る。 近 年 は 電 話 ネ ッ トワ ー ク を基 礎 に更 に 二 つ の 新 しい ネ ッ トワ ー ク,す
なわち
携 帯 電 話 を使 う移 動 通 信 網 と,伝 達 情 報 に電 話 以 外 の 多 様 な 情 報 も対 象 とす る サ ー ビス 総 合 デ ィ ジ タル 網(ISDN)が
出現 し,ユ ー ザ は急 増 し共 に急 成 長 す
る に至 っ て い る。 移 動 通 信 は “い つ で も”,“ど こ で も”,“だ れ とで も” で 表 現 され るパ ー ソ ナ ル 通 信 の要 望 に応 え る無 線 系 の 新 しい サ ー ビス を提 供 す る もの で あ り,ISDNは
“な ん で も” で 表 現 され る マ ル チ メ デ ィア 通 信 の 要 望 に 応 え
る新 しい統 合 化 さ れ た サ ー ビス を提 供 す る もの で あ り,両 者 と も現 在 の情 報 化 社 会 を支 え る イ ン フ ラ ス トラ クチ ャ と して 重 要 な役 割 を もつ ネ ッ トワ ー ク と位 置 づ け られ て い る 。 上 述 の ネ ッ トワ ー ク以 外 の 情 報 通 信 ネ ッ トワー ク と して は デ ー タ通 信 網,フ ァ ク シ ミ リ網 な ど が あ る。 デ ー タ通 信 は主 と して 企 業 内 の 業 務 処 理 に コ ン ピ ュ
ー タ が使 わ れ る よ うに な っ て特 に発 展 を遂 げ た 通 信 で あ り,遠 距 離 の デ ー タ通 信 は低 速 の 場 合 は一 般 の 電 話 網 を使 用 し,多 量 のデ ー タ を高 速 で 伝 送 す る と き に は専 用 線 を使 っ て い た 。 近 年 の コ ン ピュ ー タ の発 展 と低 価 格 化 に よ りデ ー タ 通 信 は 大 き く進 展 し,デ ー タ通 信 の た め の 各 種 の構 内網,公
衆 網,私
設網 が多
数構 築 され て きた 。 一 方 フ ァ ク シ ミ リ網 は 電 話 網 とそ の 上 位 網 に 蓄積 変 換 機 能 を備 え た独 自の デ ィ ジ タ ル ネ ッ トワ ー ク とで 構 成 され て い る ネ ッ トワ ー ク で あ り,広 く普 及 して きた 。 今 後,公 衆 網 と し て の デ ー タ通 信 網 とフ ァ ク シ ミ リ網 の 一 層 の 多 機 能 化,高
度 化 に つ い て はISDNの
計 画 の 中 で推 進 さ れ る状 況 と な
って い る 。 以 上 とは 別 に,最 近,パ
ソ コ ン通 信,イ
ン ター ネ ッ トに よ る コ ン ピ ュ ー タ通
信 が 急 速 に 進 展 して い る 。 これ はパ ソ コ ンの低 価 格 化 とそ れ に伴 う一 般 へ の 普 及,そ
して 多 機 能 化,高 性 能 化 が 進 ん だ こ とに 起 因 して お り,そ の結 果 通 信 端
末 の イ ンテ リ ジ ェ ン ト化 と ネ ッ トワー ク 内 の 分 散 処 理 が 進 む こ と と な り,パ ソ コ ンに よ る イ ン ター ネ ッ ト通 信 が 急 速 に普 及 す る よ うに な っ た。 イ ン タ ー ネ ッ トは ネ ッ トワ ー ク構 築 を分 散 処 理 型 の ネ ッ トワ ー ク と して 考 え て お り,集 中 制 御 と計 画 性,信 頼 性 を重 視 す る 公 衆 通 信 ネ ッ トワ ー ク と は考 え方 が 大 き く異 な っ て い る。 特 徴 と して マ ル チ メ デ ィア情 報 の検 索 や 転 送 が 極 め て 容 易 に実 行 で き る な ど種 々 の す ぐれ た機 能 が 開 発 され て い る 反 面,ト
ラ ヒ ック 制 御,通 信 品
質 お よ び信 頼 性 に若 干 の 問 題 を抱 え て い る。 しか し,こ れ か らの 新 しい コ ン ピ ュー タ通 信 の し くみ を提 供 す る も の と して 非 常 に注 目 さ れ期 待 され て い る研 究 途 上 の コ ン ピ ュー タ ネ ッ トワー ク で あ る。 本 書 は 大 学 の学 部 学 生 と こ れか ら通 信 ネ ッ トワー ク 関係 の 仕 事 に従 事 す る技 術 者 を対 象 と して い る 。 そ の た め,執 筆 方 針 と し て は,変 化 の 激 しい先 端 分 野 を避 け,実 用 性 が 評 価 さ れ て い る 現 行 の 主 要 な公 衆 ネ ッ トワ ー ク を 取 り上 げ, し くみ と技 術 上 の 要 点 を述 べ る こ と と した 。 具 体 的 に は,電 話 系 の ネ ッ トワー ク と して 電 話 ネ ッ トワー ク(3 章),移
動 通 信 ネ ッ トワ ー ク(4 章),お
ー ビス 総 合 デ ィ ジ タ ル ネ ッ トワー ク(ISDN)(6
章)を
取 り上 げ,ま
よび サ た各 種 の
デ ー タ通 信 技 術 をデ ー タ通 信 ネ ッ トワー ク と して ま とめ た(5 章)。 以 上 の 個
別 の ネ ッ トワ ー ク と は別 に各 ネ ッ トワ ー ク に共 通 な 項 目 を 1章 と 2章 に 述 べ る。 す な わ ち,1 章 で は通 信 ネ ッ トワ ー ク の概 要 と して 通 信 ネ ッ トワー クの 発 展 の経 緯,構
成 と種 類 な ど につ い て述 べ,2
と して ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス技 術,伝
章 で は ネ ッ トワー ク構 成 要 素 技 術
送 技 術,交 換 技 術 を取 り上 げ て述 べ た 。
通 信 ネ ッ トワ ー クは ネ ッ トワ ー ク構 成 要 素 を有 機 的 に接 続 し,目 的 とす る サ ー ビス が行 え る よ うに構 築 した情 報 通 信 シ ス テ ム で あ る 。 そ の技 術 内 容 は 個 々 の構 成 要 素 技 術 か らネ ッ トワ ー ク化 技 術,そ
し てサ ー ビス 内 容 に対 応 した応 用
面 の技 術 に 関 す る ま で 非 常 に広 範 囲 にわ た る 。 本 書 で は 技 術 上 の 主 要 点 の み を 述 べ て い る の で,詳
し く知 りた い方 は そ れ ぞ れ の 専 門書 を読 んで 頂 け れ ば幸 い
で ある。 終 わ りに,本 書 の 執 筆 に あ た っ て多 くの 貴 重 な 御 助 言 を頂 い た 大 森 喬 博 士, 電 気 通 信 大 学 の 三 木 哲 也 博 士 に 深 く感 謝 申 し上 げ る 。 ま た,出 版 に際 して お 世 話 に な っ た 東 京 電機 大 学 出 版 局 の植 村 八 潮氏 に感 謝 す る。
1997年8月
著 者記す
目
次
1.通 信 ネ ッ トワ ー ク の 概 要 1.1 通 信 ネ ッ ト ワ ー ク
1.2 通 信 ネ ッ トワー ク の 発 展 1.3 通 信 ネ ッ トワー ク の 構 成 と種 類
1
2 8
2.ネ ッ トワー ク構 成要素技 術 の基礎 2.1
ユー ザインタ フェース枝術
15
2.2 伝 送 技 術
27
2.3 交 換 技 術
45
3.電 話 ネ ッ トワ ー ク 3.1 音 声 通 信 の 特 徴 3.2 電 話 回 線 の基 本 構 成 3.3 2線 − 4線 変 換 と反 響
55 57 60
3.4 信 号 方 式
63
3.5 ネ ッ トワ ー ク の 構 成
66
3.6 通 信 品 質 と技 術 基 準
70
4.移 動 通 信 ネ ッ トワ ー ク 4.1
概
要
4.2 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式
79
81
4.3 簡 易 携 帯 電 話 方 式(PHS)
89
4.4
92
FPLMTS
5.
6.
デー タ通信 ネ ッ トワー ク 5.1
概 要
95
5.2
デ ータ信号
98
5.3
同期 方式
100
5.4
データ伝送
103
5.5
伝送制御
112
5.6
デー タ通信網
130
サー ビス総合 デ ィジタルネ ッ トワー ク(ISDN) あゆみ
149
6.1
ISDNの
6.2
ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス
158
6.3
ISDNの
166
6.4
加入者線伝送方式
175
6.5
網 間接 続
177
6.6
ISDNの
178
6.7
B-ISDN
185
有線 伝線媒体 の種類 と伝送特 性
208
搬送 波伝送 におけるデ ィジタル変調方式
213
プ ロ トコル
利用
付 録 1
2
参考文献
217
演習問題略解
218
索 引
219
1 通 信 ネ ッ トワー ク の 概 要
1.1
通信 ネ ッ トワー ク
通 信(Communication)は,人
間の社 会 活動 に と もな って 必要 と なる意
志 ・情 報 の 伝 達 を 意 味 し て お り,こ れ を具 体 的 に実 現 す る に は種 々 の方 法 が 考 え られ る 。 しか し,科 学 技 術 が 高 度 の発 達 を遂 げ た現 在 で は,効 率 が 高 く,容 易 に 遠 距 離 通 信 が 可 能 な 電 気 通 信(Electrical Telecommunication)が
Communicationも
し くは
広 く普 及 して い る。 こ の た め,“ 通 信 ” と “電 気 通 信 ”
の用 語 は,厳 密 に 区 別 す る必 要 が あ る場 合 を除 き一 般 に 同 じ意 味 の 用 語 と して 使 わ れ て い る。 ネ ッ トワー ク(Network)は,本 と呼 ぶが,道
来,網 状 組 織 を意 味 し 日本 語 で は 単 に “網 ”
路 ネ ッ トワ ー ク,流 通 ネ ッ トワー ク,気 象 情 報 ネ ッ トワ ー ク,人
脈 ネ ッ トワー ク な どの 言 葉 か らわ か る よ う に人 間社 会 に お け る結 び つ き を意 味 して い る 。 以 上 の こ とか ら,電 気 通 信 を情 報 伝 達 の 手 段 とす る ネ ッ トワー ク を 通 信 ネ ッ トワ ー ク も し くは通 信 網 とい う。 通 信 の 流 れ を簡 単 に 説 明す る と,通 信 は まず 伝 達 す る 情 報 を通 信 端 末 と呼 ば れ る機 器 で 電 気 信 号 に変 換 し(こ れ を情 報 信 号 と い う),こ 媒 体(有
の情 報 信 号 を伝 送
線 の 場 合 は ケ ー ブ ル,無 線 の場 合 は 空 間)を 介 して 遠 隔 地 に送 り(こ
れ を伝 送 と い う),相
手 の 通 信 端 末 で 逆 の 変 換 を行 っ て 元 の 情 報 に戻 して 相 手
に届 け る こ と を基 本 と し てお り,こ の よ う に構 築 した し くみ を通 信 シ ス テ ム と 呼 ん で い る 。 通 信 の相 手 を 固 定 せ ず,不 特 定 多 数 の 相 手 を 自 由 に 選 べ る よ う に
す る た め に は伝 送 路 の 途 中 に伝 達 経 路 を変 え る(こ れ を交 換 とい う)機 能 が 必 要 で,こ
の よ う に伝 送 の 機 能 を もつ 伝 送 路 と,交 換 の 機 能 を もつ 交 換 機 とか ら
成 立 つ 通 信 シス テ ム が 通 信 ネ ッ トワー ク で あ る。 人 が 遠 隔 地 の 人 に用 事 で 話 し合 う た め,何
らか の 交 通 手 段 を用 い て 自 身 で 赴
く場 合 を 想 定 した と き,代 わ りに 通 信 ネ ッ トワー ク を利 用 す れ ば き わめ て簡 単 に 目 的 が 達 成 で きる こ と は明 白 で あ る。 この よ う に 通 信 ネ ッ トワ ー ク は情 報 伝 達 の 上 で,距 離 と時 間 の 問 題 を一 挙 に解 決 して お り,情 報 化 社 会 の 中 で 占 め る 役 割 は実 に 大 き い もの が あ る。 ユ ー ザ が 通 信 ネ ッ トワー ク に望 む こ と は,各 種 の 情 報 が 遠 距 離 で も良好 な品 質 で伝 送 で き,し か も安 い 通 信 料 金 で サ ー ビ ス し て 欲 しい こ とで あ る 。 ネ ッ トワ ー ク側 と して これ に応 え る ため に は,従 来 以 上 に 効 率 の 高 い 伝 送 路 と交 換 機 の技 術 開 発 が 重 要 で あ り,ま た,多 彩 なマ ル チ メ デ ィ ア通 信 の 実 現 の た め に新 しい 通 信 端 末 機 器 の 開発 が 重 要 で あ る 。
1.2
通信 ネ ッ トワー クの発展
本 節 で は ネ ッ トワ ー ク に よ り多 くの 興 味 を 持 っ て も ら うた め,ネ
ッ トワ ー ク
と ネ ッ トワ ー ク を構 成 して い る通 信 技 術 の 主 要 な歴 史 的 変 遷 を述 べ る。しか し, 種 々 の技 術 用 語 を使 わ ざ る を得 な い の で読 者 の もつ 予 備 知 識 に よっ て は わ か り に くい こ と も考 え られ る 。 そ の と き は ネ ッ トワー ク の 内容 と直 接 関係 の な い 本 節 を飛 ば して 読 ま れ,後 で 読 ん で 頂 い て も よい 。 電 気 通 信 を歴 史 的 に み る と,サ ー ビ ス の最 初 は電 報 で あ りこ れ を 支 え た技 術 は 電 信 技 術 で あ っ た が,そ の 後 ま もな く生 ま れ た サ ー ビス は電 話 で あ り,こ れ が 大 き く普 及 発 展 し,電 話 時 代 が 非 常 に長 く続 くこ とに な った こ とは 周 知 の こ とで あ る 。 した が っ て,電 気 通 信 技 術 の 歴 史 の 大 部 分 は 電 信 と電 話 に 関 す る こ とで あ り,特 に電 話 に 関 す る通 信 技 術 は電 話 機,伝
送 方 式,交
網 の 分 野 に お い て基 礎 理 論 か ら デバ イ ス,通 信 機 器,シ
換 機 お よ び電 話
ス テ ム に至 る 領 域 で,
多 くの 発 明 ・発 見,改
良 が 行 われ た 。 そ して 近 年 に な っ て か ら電 信 と電 話 以 外
の新 し い サ ー ビス,そ
して新 しい ネ ッ トワ ー ク を本 格 的 に模 索 す る 時代 を迎 え
る よ う に な っ た 。 表1.1は
この よ う な電 気 通 信 技 術 の発 展 の 主 要 な 歴 史 を 表 に
ま と め た もの で あ る。 以 下 に そ の 概 要 を 年代 順 に説 明 す る。 通 信 ネ ッ トワ ー ク を 用 い た 最 初 の電 気 通 信 サ ー ビス は 電 信 で あ る。 こ れ は 1835年 にMorse(ア 年 に はMarconi(イ
メ リ カ)に
よ っ て 発 明 さ れ た 電 信 機 が 端 緒 で あ り,1901
タ リ ア)が 大 西 洋 横 断 無 線 電 信 に成 功 す る な ど発 展 を遂 げ
た 。 わ が 国 で は1869年
に 電 報 の サ ー ビス が 開 始 され,現
トワー ク と して は電 報 網 と テ レ ック ス(加 入 電信)網
在 も公 衆 向 け の ネ ッ
が あ る。
電 信 に次 い で 出 現 した サ ー ビ ス は電 話 で あ る。 こ れ は1876年 リカ)に
よ っ て 発 明 され た 電 話 が 端 緒 で あ る 。 以 後,1889年
メ リ カ)が
自動 交 換 機 を,1900年
1906年 にde Forest(ア
にPupin(ア
メ リ カ)が
メ リ カ)が 三 極 真 空 管 を,1927年
にBell(ア
メ
にStrowger(ア 装 荷 ケ ー ブ ル を,
にBlack(ア
メ リカ)
が 負 帰 還 増 幅 器 を発 明す る な ど電 話 通 信 の た め の 要 素 技 術 の発 展 に よ り,多 重 通 信 と遠 距 離 通 信 を可 能 とす る 電 話 網 が 完 成 した。 電 話 は電 報 と異 な り,相 手 と直 接 対 話 で きる 音 声 通 信 で あ り,比 較 的簡 易 な通 信 端 末(電
話 機)で 豊 富 な
情 報 を送 る こ とが で き る な ど利 便 性 が 高 い た め,急 速 に普 及 発 達 し情 報 通 信 の 世 界 に お い て 長 く主 役 の 座 を 占 め て き て い る 。 わ が 国 で は1890年 話 サ ー ビス が 始 ま り,以 後,第
に最 初 の 電
2次 世 界 大 戦 に よ る一 時 的 停 滞 は あ っ た も の の
国力 と共 に お お む ね 順 調 に発 展 拡 大 し,今
日で は6000万
回 線 を超 え る 巨 大 な
ネ ッ トワ ー ク に成 長 を遂 げ た 。 こ の よ う な 固 定 電 話 網 と は別 に 近年 携 帯 電 話 を 使 う移 動 通 信 が,無 線 に よ る 回線 切 り替 え制 御 技 術 と追 跡 交 換 技 術 の 進 歩 に よ り可 能 と な り,わ が 国 で は 1979年 か ら 自動 車 電 話 と して サ ー ビス が 開 始 され,以
後 携 帯 電 話 と し て発 展
し本 格 的 なパ ー ソナ ル通 信 時 代 に入 る こ と と な っ た 。 ネ ッ トワー ク を構 成 して い る要 素 技 術 と して の 伝 送 技 術 と交 換 技 術 も部 品 や シス テ ム技 術 の 進 歩 に と もな っ て 変 貌 して きた 。 近 年 の 主 な もの につ い て述 べ る と,伝 送 技 術 で は,1937年 方 式 が,1948年
にShockley(ア
にReeves(フ メ リ カ)な
ラ ン ス)に
よ っ て発 明 さ れ たPCM
どに よ る トラ ン ジ ス タの 発 明 に よ
っ て 実 用 性 の 方 向 づ け を確 実 な もの と し,1965年
頃 か ら先 進 各 国 で 相 次 い で
表1.1電 1835
気通信技術の発展
電 信 機 の 発 明(Morse)
1864
電 磁 波 の 存 在 を理 論 的 に 指 摘(Maxwell)
1869
公 衆 電 信 サ ー ビ ス 開 始(日
本)
1876
電 話 機 の 発 明(Bell)
1888
電 磁 波 の 存 在 を実 証(Herz)
1889
自動 交 換 機 の発 明(Strowger)
1890
公 衆 電 話 サ ー ビ ス 開 始(日
1900
装 荷 ケ ー ブ ル の発 明(Pupin)
1901
大 西 洋 横 断無 線 電 信 に成 功(Marconi)
1906
三 極 真 空 管 を 発 明(de Forest)
1925
ラ ジ オ放 送 開 始(日
1927
本)
本,JOAK)
負 帰 還 増 幅 器 を 発 明(Black)
1932
無装荷搬 送方式の提唱(松 前)
1935
FM方
1936
テレビ放 送開始(英)
1937
PCMの
1945
蓄積 プ ロ グ ラム 形 電 子 計 算 機 の提 案(von Neumann)
1948
通信 理 論 の 体 系 化(Shannon),ト
1953
テ レビ放 送 開 始(日
1957
人工 衛 星 ス プ ー トニ ク の打 ち 上 げ 成 功(ソ)
1960
ル ビ ー レー ザ の 発 振 に 成 功(Maiman)
1963
静止形 通信衛星 シンコムの打ち上げ(米)
1965
PCM伝 送方式の実用化(日 本)
1970
半導体 レーザの常温発振,低 損失光 ファイバの試作 に成功(米)
1973
式 の 発 明(Armstrong)
発 明(Reeves)
ラ ンジ ス タの発 明(Shockleyほ
か)
本)
トンネ ル ダ イ オー ドの 発 明(江
崎)
1979
公 衆 デ ー タ通 信 網 サ ー ビス 開 始(日
1980
光フ ァイバ伝送方式 実用化(日 本)
1981
公 衆 フ ァ ク シ ミ リ網 サ ー ビス 開 始(日
1982
デ ィジ タル交換機実 用化(日 本)
1988
ISDNサ
ー ビ ス 開 始(先
進 諸 国)
本),自
本)
動 車 電 話 サ ー ビス 開始(日
本)
デ ィ ジ タル 伝 送 シス テ ム が 誕 生 した 。 そ の 後,IC, LSIと 続 く半 導 体 技 術 の進 歩 に よ り,伝 送 技 術 は長 い伝 統 を 持 つSSB-AMに ロ グ伝 送 か らPCMに
よる周波数 分割多 重 の アナ
よ る時 分 割 多 重 の デ ィ ジ タル 伝 送 へ と大 き く流 れ が 変 わ
っ た 。 また,1970年,伝
送 損 失20dB/kmの
半 導 体 レー ザ の 常 温 発 振 の 成 功(ア
光 フ ァイ バ の 実 現(ア
メ リカ)な
どの成 果 に よ り,光 フ ァイ バ に
よ る伝 送 シ ス テ ム の 実 用 化 研 究 が 推 進 さ れ る と こ ろ と な り,1980年 の 光伝 送 シ ス テ ム が 誕 生 した 。 そ の 後,光
メ リ カ)と
頃 に最 初
フ ァ イバ と半 導 体 レ ーザ の 急 速 な 進
歩 に よ り,非 常 に優 れ た 特 性 を持 つ 種 々 の 光 伝 送 シス テ ムが 相 次 い で 開発 さ れ, 伝 送 技 術 は長 い伝 統 を持 つ 銅 線 ケ ー ブ ル に よ る伝 送 か ら光 フ ァ イバ ケ ー ブ ル に よる伝 送 へ と変 革 し た。 この よ う に して,現 在 の ほ と ん どの 有 線 の伝 送 シ ス テ ム は,PCMに
よ る デ ィ ジ タ ル 信 号 を光 フ ァ イ バ に通 して 伝 送 す る技 術 が 使 わ
れ て い る。 一 方,無
線 に よる伝 送 技 術 も有 限 の 電 波 資 源 の 中 で 要 求 され る厳 し
い技 術 的 制 約 の下 で 周 波 数 利 用 効 率 の 高 い デ ィ ジ タ ル変 調 方 式 が 研 究 開 発 さ れ て デ ィ ジ タ ル マ イ ク ロ波 伝 送 方 式 が 実 用 に供 され,ま
たセ ル ラ ー に よ る 移 動 通
信 技 術 が確 立 さ れ た 。 交 換 技 術 で は,長
く続 い て きた 電 磁 部 品 に よ る 交 換 機 を電 子 化 す る研 究 が 進
め ら れ,交 換 機 内 の 制 御 装 置 に1945年 にvon Neumann(ア 理 方 式 につ い て 新 し く提 案 した 蓄 積 プ ロ グ ラ ム 制 御(SPC)の
メ リカ)が 情 報 処 概 念 を採 用 し,
1971年 に新 しい 電 子 制 御 形 交 換 機 が 実 用 化 さ れ た 。 次 に通 話 路 装 置 にPCM方 式 を 導 入 し た デ ィ ジ タ ル 交 換 機 の 研 究 が 進 め られ,LSI技 1982年 に 実 用 化 さ れ た 。 こ の よ う に,現
術 の 進歩 もあ っ て
在 の交換 システ ムは電子 制御 形式 の
デ ィ ジ タ ル交 換 機 が 主 流 とな っ て い る。 以 上,情 報 通 信 の 歴 史 の 大 部 分 を 占 め る 電 話 網 に つ い て 述 べ た。 最 近 は電 話 以 外 の 新 しい情 報 メ デ ィア の 発 展 が注 目 さ れ て い る。 電 話 に 比 べ る と歴 史 は 比 較 的新 し いが,そ
の 多 様 な 発 展 に は 目 をみ は る もの が あ り,発 展 速 度 も著 しい
面 が あ る。 そ れ ら を大 き く分 け る と,デ ー タ通 信 系 と画 像 通 信 系 が あ り,以 下 に こ れ ら につ い て 述 べ る。 デ ー タ 通信 は コ ン ピ ュ ー タ 関 連 通 信 端 末 間 の 2値 の信 号 の 伝 達 を意 味 す る。
デ ー タ通 信 の技 術 は前 に 述 べ た電 信 技 術 の 流 れ を 受 け る もの とみ る こ と も で き るが,現
状 の技 術 は デ ィ ジ タ ル技 術 と電 子 計 算 機 関 連 技 術 の 進 歩 に よ る影 響 を
大 き く受 け,機 能 面,性
能 面 で飛 躍 的 に変 貌 を遂 げ た 内 容 とな っ て い る。 デ ー
タ通 信 の ユ ー ザ は 過 去 の 長 い 間企 業 が 中 心 で あ り,し たが っ て 通 信 の 相 手 は 固 定 して い る こ とが 多 く,ま た 伝 送 情 報 量 と使 用 頻 度 の 観 点 か ら専 用 線(通 信 業 者 か ら通 信 回線 の 設 備 を専 用 的 に借 用 す る伝 送 路)と
公衆 電話網 のいず れかを
使 っ て 通 信 して きた 。 これ らの伝 送 路 の 設 備 は,膨 大 な需 要 に支 え られ た電 話 サ ー ビス の た め に構 築 され た もの で あ り,高 速 デ ー タ通 信 に 対 して は多 重 伝 送 の レベ ル(ア 応)で
ナ ロ グ伝 送 の 場 合 は広 帯 域 対 応,デ
あ る程 度 対 応 で きた 。 しか し,コ ン ピ ュ ー タが 普 及 し情 報 社 会 が 深 化 す
る に つ れ て,こ の よ うな デ ー タ通 信 で は品 質,速 ず,デ
ィ ジ タ ル伝 送 の場 合 は高 速 対
度 な どの 点 か ら十 分 と は い え
ー タ通 信 の た め の 専 用 の ネ ッ トワー ク を持 つ 意 義 は 日増 しに 大 き くな っ
た 。 そ の た め,わ ト交 換 網)が
が 国 で は1979年
に公 衆 デ ー タ通 信 網(回
実 用 化 さ れ,200bit/sか
線 交 換 網 とパ ケ ッ
ら48kbit/sま で の 速 度 を カバ ー す る高 品
質,高 速 の本 格 的 デ ー タ通 信 の ネ ッ トワー クサ ー ビス が 始 ま っ た。 これ と は 別 に 近 年 は フ レー ム リ レー や セ ル リ レー の 技 術 が 進 歩 し実 用 に な り,サ ー ビ ス の 高 度 化 が 進 み 現 在 に至 っ て い る。 画 像 関 係 で は,公
衆 フ ァ ク シ ミ リ通 信 網(F
ネ ッ ト)が1981年
に,キ
ャプ
テ ンサ ー ビ ス(家 庭 の テ レ ビ と電 話機 を使 っ て 静 止 画 の デ ー タベ ー ス セ ン タに ア ク セ ス して,希
望 の 画 像 情 報 を検 索 で き るサ ー ビ ス)が1984年
にサー ビス
が 始 ま っ た。 フ ァ ク シ ミ リ は そ の 後急 速 に技 術 が 向 上 し,高 速 化 と低 価 格 化 が 進 む につ れ て 広 く普 及 し電 話 に続 くサ ー ビ ス と して の 位 置 を確 立 した 。 以 上 は ネ ッ トワ ー ク に よ る サ ー ビス で あ る が,こ に は 至 っ て い な い が,個
れ以 外 に,ま だ 広 く一 般 に普 及 す る
別 専 用 的 な テ レ ビ会 議 や テ レ ビ電 話 も実 用 化 さ れ て い
る 。 こ の よ う な公 衆 通 信 と は別 に,放 送 形 の 1対 N通 信 と し てCATV(ケ ブ ル テ レ ビ)が 難 視 聴 対 策 か ら都 市 型CATVへ
と変 貌 し各 地 域 で 発 展 を遂 げ
て い る こ と も注 目 さ れ る と こ ろ で あ り,ま た私 設 網 の 普 及,発 が あ る。
ー
展 も著 しい もの
以 上 に述 べ て きた よ う に,従 来 の ネ ッ トワー ク構 築 は情 報 信 号 の 種 別 に 対 応 して 個 別 に専 用 の 通 信 網 を設 計 す る考 え 方 を採 っ て きた 。 この 考 え方 は そ れ ぞ れ の 情 報 信 号 の 伝 達 の 設 計 が 最 適 化 され て お り妥 当 な もの で あ っ た が,近
年の
よ うに,電 話 社 会 か らマ ル チ メ デ ィ ア を扱 う情 報 化 社 会 に 進 め ば,各 種 の ネ ッ トワー クが 多 数 共 存 し,輻 輳 す る こ と に な り,ユ ー ザ に とっ て も不 便 に な る こ とが 新 た な 問題 と な っ て き た。 これ を解 決 す る た め に は,各 種 の情 報 通 信 サ ー ビ ス を 1つ の総 合 化 さ れ た デ ィ ジ タル ネ ッ トワー クで 一 元 的 に 行 う こ とが 考 え られ る 。 そ の た め の 方 法 と して各 種 の 情 報 信 号 を ネ ッ トワ ー ク の入 口 で デ ィ ジ タ ル の 2値 符 号 の 形 式 に 変換 し,伝 達 す る ネ ッ トワー クの 研 究 が 先 進 各 国 で進 め られ た 。 こ の よ う な ネ ッ トワ ー ク をISDN(Integrated Network:サ
ー ビ ス 総 合 デ ィ ジ タル 網)と
い う。ISDNを
Services Digital 推 進す るに当た って
は各 種 の イ ン タ フ ェ ー ス の標 準 化 を 決 め て お くこ とが 重 要 で,通 信 に 関 す る 国 際 標 準 化 機 関 で あ るITU-T*で
標 準 化 の た め の研 究 ・作 業 が 進 め られ て きた 。
そ して そ の 成 果 を も と に し て 世 界 の 先 進 各 国 で 実 用 化 さ れ,1988年 階 の サ ー ビス と して 狭 帯 域 のISDNが
実 用 に供 さ れ た 。 そ の 後,引
広 帯 域 の 側 面 を備 え た 内 容 を持 つISDN(B-ISDN)の
に第一段 き続 き高 速
実 現 に 向 け て研 究 が 進
め られ て い る 。 以 上 述 べ て き た 内容 は 公 衆 通 信 にお け る ネ ッ トワ ー ク の 発 展 で あ るが,こ とは 別 に近 年 い わ ゆ るLAN(Local
Area Network)と
れ
呼 ば れ る構 内 の コ ン ピ
ュー タ ネ ッ トワー ク に端 を発 し,そ れ らを相 互 に 専 用 線 で接 続 し大 き な ネ ッ ト ワー ク に発 展 して き た イ ン タ ー ネ ッ トが あ る 。 広 義 に は デ ー タ通 信 ネ ッ トワー クの 一種 で あ る が,イ
ン ター ネ ッ トは も と も と米 国 の 軍 用 ネ ッ トワ ー ク と して
研 究 され て きた もの で,以
前 は大 学 な どの 研 究 者 が 専 ら電 子 メ ー ル,コ
ン ピュ
ー タの フ ァ イ ル転 送 な どに 利 用 して い た。 しか し,最 近 に な っ て こ れ ら の ほ か
*ITU-T(International sector:国
Telecommunication
Union-Telecommunication
際 電 気 通 信 連 合 ・電 気 通 信 標 準 化 部 門):国
信 に 関す る標 準化 活 動 を行 っ て い る 。 そ の 成 果 は勧 告 と して ま とめ ら れ,事 な っ て い る 。1992年 い た 。
以 前 は 旧 組 織 のCCITT(国
standardization
連 の 一 機 関 で あ るITUの
際 電 信 電 話 諮 問委 員 会)と
下部組織 で通
実 上 の 国 際標 準 と し て 活 動 を行 っ て
に文 字,図
形,動
画,音 声 を加 えた マ ル チ メデ ィア 情 報 の検 索 や 転 送 が極 め て
容 易 に 実 行 で きる し くみWWW(World 発 され,ビ
Wide Web)な
どい ろ い ろ な機 能 が 開
ジ ネ ス や家 庭 で の利 用 の メ リ ッ トが 認 識 され る よ うに な り急 速 に 普
及 し始 め た 。 そ の た め,イ
ンタ ー ネ ッ トプ ロ バ イ ダ ー と呼 ば れ る イ ン タ ー ネ ッ
トをサ ー ビス と して一 般 に 提 供 す る 事 業 者 も多 く出現 し,既 存 の 公 衆 通 信 と し て も イ ン ター ネ ッ トの転 送 機 能 を通 信 サ ー ビス と して提 供 す る ま で に 発 展 して いる。
1.3
通信ネ ッ トワー クの構成 と種 類
[1] ネ ッ トワー ク の構 成 と構 成 要 素 技 術 情 報 を遠 くに 送 る に は,1.1節
で述 べ た よ うに ま ず 情 報 を通 信 端 末 の 中 の 変
換 器 で 情 報 信 号 に変 換 し,伝 送 媒 体 を介 して 情 報 信 号 を相 手 先 の 通 信 端 末 に伝 達 し,通 信 端 末 の 中 の 逆 の 変 換 器 で 電 気 信 号 か ら元 の 情 報 に戻 す こ と を基 本 と して い る。 これ を電 話 に よ る音 声 通 信 を例 に と っ て具 体 的 に 説 明 す る と,通 信 端 末 は 電 話 機 で あ り,音 声 は 電 話 機 内 の 送 話 器 が 変 換 器 の 役 割 を持 ち 情 報 信 号 に変 換 され,通
信 線 路 を経 て 相 手 の 電 話 機 に送 られ 電 話 機 内 の 受 話 器 で 元 の音
声 に再 現 さ れ る こ と に な る わ け で あ る(図1.1(a))。 か な り距 離 が 近 い 場 合 に は 上 述 の 方 法 で 通 信 が で き るが,距 情 報 信 号 は 伝 送 媒体(例
え ば線 路)で 減 衰 す る の で,適
離 が 遠 くな る と
当 な線 路 長 の と こ ろ に
増 幅 器 か ら な る 中継 器 を挿 入 し これ を補 う必 要 が あ る 。 ま た,一 般 に線 路 と 中 継 器 が 交 互 に縦 続 接 続 され た 中継 伝 送 路 は,距 離 が 長 くな る ほ ど設 備 が 高 価 と な り情 報 を 1回線 の み で 使 用 す る の は 不 経 済 に な る の で,多
くの場 合 多 回線 の
情 報 を多 重 に して送 る 方 法 が と られ て い る。 す な わ ち,中 継 伝 送 路 を 多 重 利 用 す る わ け で,そ の 方 法 と して 送 信 側 で は 変 調 と多 重 化 と呼 ば れ る情 報 信 号 の 変 換 を 行 い,受 信 側 で そ の逆 の 分 離 と復 調 の 変 換 を 行 う。 以 上 に述 べ た シス テ ム を伝 送 シ ス テ ム ま た は 伝 送 方 式 と呼 び,図1.1(b)に
示 す よ う に変 調 と 多 重 化
の 機 能 を備 え た 送 信 側 の伝 送 端 局 と 中継 伝 送 路 お よび 分 離 と復 調 の 機 能 を備 え
(a)近距離通信 の基 本形 態
(b)遠距離通信 の基本形態
(c)無線通信 の基本形 態 図1.1 情 報信 号 を 伝 達 す る種 々 の形 態
た受 信 側 の 伝 送 端 局 か ら成 り立 っ て い る。 伝 送 す る際,伝
送 媒 体 を有 線 で な く
ア ン テ ナ に よ り自 由空 間 を電 波 で伝 搬 す る 無 線 を使 う場 合 に は,情 報 信 号 を高 周 波 の 電 波 に の せ る た め の 2次 変 調 が さ らに 必 要 と な る(図1.1(c))。
すなわ
ち,伝 送 方 式 に は有 線 伝 送 方 式 と無 線 伝 送 方 式 の 2種 類 の 方 式 が あ り,変 調 と 多 重 化 の 形 式 は伝 送 媒 体 の 特 性 に よ りそ れ ぞ れ伝 送 効 率 な どか ら最 適 の もの が 選 ば れ て い る。 な お,こ が,通
れ らの 図 は通 信 す る方 向 を 簡 単 の た め 単 方 向 で 示 した
常 の 多 くの 通 信 は双 方 向 通 信 で あ る の で 実 際 に は逆 方 向 に も同 じ よ う な
構 成 で 情 報 信 号 を送 る し くみ が で きて い る。 次 に相 手 を 固 定 せ ず 不 特 定 多 数 の 相 手 と随 時 通 信 で き る よ う にす る た め に は,途 中 に 通 信 経 路 を 変 え る た め の 交 換 機 を挿 入 す る 必 要 が あ り,図1.2の
構
図1.2 通 信 ネ ッ トワ ー ク の 基 本構 成
成 つ ま り通 信 ネ ッ トワ ー ク と な る。 図 で 伝 送 路 と書 い て あ る と こ ろ は 前 に述 べ た有 線 も し くは 無 線 の 伝 送 シス テ ム の こ とで,通 信 ネ ッ トワ ー ク と して 巨 視 的 に 見 る 場 合 に は 簡 単 に伝 送路 と表 現 す る こ とが多 い 。 この よ うに 通 信 ネ ッ トワ ー クは 伝 送 路 と交換 機 を構 成 要 素 と して お り,端 末 は ネ ッ トワー ク の 外 側 に接 続 され て い る。 端 末 は伝 達 の 対 象 とす る情 報 メ デ ィア に よ り選 択 さ れ,例
えば
電 話 の 場 合 は電 話 機 と な り,ネ ッ トワ ー ク は電 話 ネ ッ トワー ク(ま た は電 話 網) とな る。 こ れ まで 通 信 ネ ッ トワ ー ク が伝 送 路 と交 換 機 か ら構 成 され て い る こ と を 述 べ たが,次
に伝 送 路 と交 換 機 の 基 本 機 能 とネ ッ トワー ク構 成 の 考 え方 に つ
い て 述 べ る。 伝 送 路 の基 本 機 能 と して は 情 報 信 号 を効 率 よ く伝 送 す る た め,伝 送 媒 体 に よ く整 合 す る信 号 の 変 換(変
調 ・符 号 化)と
多 重 化 処 理,お
よ び 高 い伝 送 効 率 と
伝 送 品 質 を 目指 す 中 継 伝 送 が 主 な もの で あ る。 ネ ッ トワー ク の 中 に は 多 くの伝 送 路 が あ り,そ れ ぞ れ の伝 送 路 と して 使 わ れ る伝 送 シス テ ム の 回 線 の 多 重 度 が ネ ッ トワ ー ク構 成 上 重 要 で あ る。 当 然 の こ とな が ら基 幹 伝 送 路 で は大 き な多 重 度,枝 葉 の伝 送 路 で は小 さな 多 重 度 の伝 送 シ ス テ ム が 要 求 さ れ る。 多 重 度 を定 量 的 に表 現 す る と き は チ ャネ ル 数(回
線 数)で
表 す の が 一 般 的 で あ る 。 チ ャネ
ル 数 の 量 を伝 送 容 量 と もい い,大 容 量 伝 送 シ ス テ ム,小 容 量 伝 送 シ ス テ ム に 分
類 され る 。 ネ ッ トワ ー ク の構 成 と運 用 の上 で伝 送 容 量 の 異 な る伝 送 シス テ ム 間 の接 続 を有 機 的 にか つ 柔軟 に 行 え る よ う に す る こ とが 望 ま しい た め,一 定 の 整 数倍 の 多 重 化 構 成(こ
れ をハ イア ラ ー キ とい う)が 決 め られ て い る。 伝 送 シ ス
テ ム を設 計 す る と き に重 要 な 技 術 目標 は,① 低 い 伝 送 コス トと② 高 い伝 送 品 質 で あ る。 ① は伝 送 の 高 効 率 化 と大 容 量 化 で 実 現 され るが,そ
の ためには多重伝
送 に お け る 1チ ャ ネ ル 当 た りの 情 報 信 号 の 伝 送 周 波 数 帯 域 を狭 くす る(ア グ伝 送 の 場 合)か,伝
送 速 度 を低 くす る(デ
ィ ジ タ ル伝 送 の 場 合)こ
ナロ
とが 重 要
で あ る。 ② は 主 と して 中継 伝 送 路 で加 わ り長 距 離 に な る に した が っ て増 大 す る 雑 音 の 問 題 で あ る 。 そ の た め に は雑 音 を軽 減 し,信 号 対 雑 音 比 を高 め る 対 策 を 練 る こ とが 重 要 で あ るが,一 般 に は デ ィ ジ タ ル伝 送 が 有 利 とな る。 交 換 機 の 目的 は 情 報 信 号 の伝 達 経 路 の 設 定 で あ り,そ して 交換 機 の機 能 は交 換 の適 用 対 象 に よ り加 入 者 線 交 換 と中継 線 交 換 とに 大 別 さ れ る 。 加 入 者 線 交 換 とは加 入 者 の 端 末 機 器 間 を接 続 す る こ とで あ り,中 継 線 交 換 とは 高 価 な伝 送 路 の 利 用 効 率 を高 め る た め,同
じ方 向 に流 れ る情 報 信 号 を集 束 す る 機 能(こ
れを
集 線 機 能 とい う)を 有 し,伝 送 路 に お け る 空 き 回線 選 択 を行 う機 能 で あ る。 ま た 交 換 機 は 以 上 に述 べ た 機 能 を実 現 す る た め,端 末 機 器 と交 換 機 間,交 換 機 相 互 間 で 制 御 信 号 をや り と りす る必 要 が あ り,そ の た め の信 号 方 式,信
号網 が非常
に重 要 な技 術 とな っ て い る。 交 換 に要 求 され る 品質 は接 続 を速 く確 実 に行 う こ とで あ り,こ れ を達 成 す る こ とが 重 要 な技 術 目標 とな っ て い る。 これ ら に要 求 され る機 能 と性 能 は ネ ッ トワ ー ク構 成 の位 置(局 階 梯)に よ り決 め られ て い る。 ネ ッ トワー ク を構 成 す る 際 に は ネ ッ トワ ー クの 形 状 と階 層 構 成 を どの よ う に す るか が 重 要 で,上 述 した 伝 送 路 と交 換 機 の機 能,性 能,品
質お よび伝送 コス
トと交 換 コス トの 比 率 な どが 重 要 な 要 因 とな っ て い る。 また ネ ッ トワー ク を 設 計 す る上 で は 情 報 の トラ ヒ ッ ク特 性(情 な ど)も 大 き な要 因 とな る の で,予
報 の流 れ る方 向,量,時
間 に よ る変 動
め これ らを 予 測,分 析 して お か な け れ ば な
らな い 。 以 上 の よ う な こ と を検 討 し,ユ ー ザ に と っ て使 い や す く,情 報伝 達 効 率 が 高 く,通 信 品 質 の 高 い ネ ッ トワ ー ク を構 築 す る こ とが大 切 で あ る 。 具 体 的 な ネ ッ トワ ー クの 構 成 法 は サ ー ビ ス対 象 とす る情 報 メデ ィア に よ っ て 大 き く変
わ る の で 後 の情 報 別 ネ ッ トワ ー クの 章 で 述 べ る 。
[2] 通 信 ネ ッ トワー ク の 種 類 と 特徴 通 信 ネ ッ トワ ー ク を 分 類 す る と,①
目的別,②
地 域 別,③
伝 送 形 式 別,④
情
報 別 に 大 別 す る こ とが で き る。 目的 別 と して は 公 衆 網 と私 的 専 用 網 に分 け られ る 。 公 衆 網 は1985年 の 電 気 通 信 制 度 の 改 革 に よ り電 気 通 信 事 業 が 自 由化 され, 民 間 の 複 数 の 通 信 事 業 者 に よ る競 争 サ ー ビス が 開 始 した 。 こ の と き に電 気 通 信 事 業 を 自 ら電 気 通 信 回 線 設 備 を 設 置 して電 気 通信 サ ー ビス を提 供 す る 許認 可 の 必 要 な 第 一 種 電 気 通 信 事 業 と,第 一 種 電 気 通 信 事 業 者 か ら設 備 を借 りて サ ー ビ ス を提 供 す る 登 録 ・届 出 の み 必 要 な 第 二 種 電 気 通 信 事 業 に 区 分 さ れ た 。VAN (付加 価 値 ネ ッ トワー ク)サ
ー ビ ス は 第 二 種 に分 類 さ れ,主
として各種 のデー
タ通信 サ ー ビス を行 っ て い る。 現 在 は第 一種 事 業 者 は 長 距 離 系,地 通 信 系 な どの 分 野 で 数 十 社 が,第
域 系,移
動
二 種 事 業 者 は 数 百 社 が 参 入 し情 報 通 信 サ ー ビ
ス が 競 争 状 況 下 で活 発 に行 わ れ て い る。 私 的 専 用 網 は企 業 や 大 学 な どが利 用 す る プ ラ イベ ー トな ネ ッ トワ ー ク で あ り,全 国 的 な広 域 に わ た る もの か ら構 内 に 限 定 さ れ て い る も の ま で様 々 な もの が あ る。 地 域 別 と して は広 域 網(WAN: Wide Area Network)と
狭 域 網(構
内網 また はLAN:Local
Area Networkと
もい う)が あ る。 最 近 は コ ン ピ ュー タ の ダ ウ ンサ イ ジ ン グが 進 み,パ ワー ク ス テ ー シ ョ ンが 普 及 した ためLANの
ソ コ ンや
進 歩 が め ざ ま し く,ま たLAN間
通
信 も盛 ん に行 わ れ る よ う に な っ て き て い る 。 伝 送 形 式 別 と して は ネ ッ トワ ー ク構 成 要 素 技 術 か らア ナ ロ グ形 式 とデ ィ ジ タ ル 形 式 に分 け ら れ る 。 アナ ロ グ 形 式 は情 報 信 号 が 音 声 や 画 像 の よ う な ア ナ ロ グ 情 報 の 場 合 に 適 し,古
くか ら非 常 に多 く使 わ れ技 術 的 に 完 成 され て い る形 式 で
あ る。 具 体 的 に は情 報 信 号 の もつ 周 波 数 ス ペ ク トルか ら必 要 な伝 送 周 波 数 帯 域 (電 話 信 号 の 場 合 は0.3∼3.4kHz)を
各 装 置 内 に確 保 して ネ ッ トワ ー ク を構 成
して お り,そ の 代 表 的 例 は電 話 ネ ッ トワ ー クで あ る(過 去 の 電 話 ネ ッ トワ ー ク は伝 送 路,交 換 機 の す べ て の装 置 が ア ナ ロ グ 形 式 で あ っ た が,現
在 で はユ ー ザ
の 電 話 機 か ら加 入 者 線 交 換 機 まで の 入 り口 部 分 の み が ア ナ ロ グ 形 式 で そ の 先 の
ネ ッ トワー ク の ほ と ん どが デ ィ ジ タル 網 に変 貌 して い る。 そ の た め,ユ
ーザか
らネ ッ トワー ク側 をみ れ ば アナ ロ グ 形 式 に な っ て い る こ とに 変 わ りは な い)。 デ ィ ジ タル 形 式 は 近 年 発 達 を遂 げ た 形 式 で,新
しい ネ ッ トワー ク は ほ とん ど
デ ィ ジ タル ネ ッ トワ ー ク と な っ て い る。 この 形 式 は 本 来,情 報 信 号 が コ ン ピ ュ ー タ間 通 信 を対 象 とす る デ ー タ通 信 の よ う なデ ィ ジ タル 情 報 の 場 合 に 適 し
,デ
ー タ通 信 網 やISDN(後
述)に
使 わ れ て い る形 式 で あ る
。 ま た 近 年,デ
ィジ タ
ル技 術 の 進 歩 に よ り,音 声 や 画像 な どの ア ナ ロ グ情 報 が技 術 的 に も経 済 的 に も 容 易 に デ ィ ジ タ ル 情 報 に 変 換(A/D変
換)す る こ とが で き る よ う に な っ た の で,
多 くの 利 点 を持 つ デ ィ ジ タル 形 式 の ネ ッ トワ ー クの 方 が ア ナ ロ グ 形 式 の ネ ッ ト ワ ー ク に 対 して 完 全 に優 位 に 立 つ に 至 っ て い る。 一 方,デ ロ グ形 式 の 電 話 ネ ッ トワ ー ク で 伝 達 す る に は,デ
ィ ジ タ ル 情 報 を アナ
ィ ジ タ ル信 号 を電 話 の 伝 送 周
波 数 帯 域 で 送 れ る よ う に ア ナ ロ グ信 号 に 変 換 して や ら な け れ ば な らな い 。 この 変 換 は 広 い 意 味 で 一 種 のD/A変
換 で あ り,古
くか ら確 立 さ れ て い る 。 そ の 代
表 的 例 は ア ナ ロ グ電 話 網 を利 用 す る デ ー タ通 信 で あ る 。 以 上 に述 べ た ア ナ ロ グ とデ ィジ タル の相 互 変 換 に よ る ネ ッ トワ ー ク利 用 を 図 1.3に 示 す 。 通 常,図
のA/D変
換 に は コ ー デ ッ ク(CODEC)と
符 号 化 ・復 号 化 装 置 が,D/A変
換 に は モ デ ム(MODEM)と
呼 ばれ てい る 呼 ばれ てい る変
調 ・復 調 装 置 が 使 わ れ て い る 。 コ ー デ ッ ク につ い て は 2章 で,モ
デ ム につ い て
は 5章 で くわ し く述 べ る。 情 報 別 と して は電 話,画
像,フ
ァク シ ミ リ,デ ー タな どが あ る 。 現 在 サ ー ビ
ス さ れ て い る公 衆 の ネ ッ トワ ー ク に は,独 立 した ネ ッ トワ ー ク と し て 電 話 網 , デ ー タ通 信 網 が あ り,電 話 網 を利 用 す る と共 に 独 立 な ネ ッ トワ ー ク も持 つ ネ ッ トワー ク と して フ ァ ク シ ミ リ網,ビ また1988年 (ISDN)が
デ オ テ ック ス 網,移
動 通 信 網 な ど が あ り,
か ら新 た に サ ー ビ ス が ス タ ー ト し た サ ー ビ ス 総 合 デ ィ ジ タ ル 網 あ る 。 こ れ らの 中 で 電 話 網 は100年 以 上 の 発 展 の 歴 史 が あ り最 も成
熟 した 巨 大 な ネ ッ トワー ク で あ る。 そ して 昔 か ら電 話 と して広 く親 し まれ て い る ネ ッ トワー ク な の で,デ
ー タ通 信,フ
ァ ク シ ミ リ通信 な ど電 話 以 外 の 通 信 に
も多 く利 用 され て い る 。 情 報 別 に つ い て の これ 以 上 の 詳細 な 内容 は 後 の そ れ ぞ
図1.3 ア ナ ロ グ/デ ィ ジ タル 情 報 と ア ナ ロ グ/ デ ィ ジ タ ル ネ ッ トワー クの 接 続 形 態
れ の 章 の 中 で 述 べ る。
演
習
問
題
1.通 信 ネ ッ トワ ー ク は ど の よ う な 構 成 要 素 か ら成 り立 っ て い る か? 2.通 信 ネ ッ トワ ー ク を 使 っ て 現 在 実 施 さ れ て い る 通 信 サ ー ビ ス の 例 を 三 つ 以 上 挙 げ よ。 3.通 信 ネ ッ トワ ー ク に お け る伝 送 路 と交 換 機 の 基 本 機 能 に つ い て 知 る と こ ろ を 述 べ よ。
2 ネ ッ トワー ク構成要素技術 の基礎
2.1
ユ ー ザ イ ン タ フ ェー ス技 術
ユ ー ザ の情 報 信 号 を ネ ッ トワ ー ク を 経 由 して 遠 くへ 送 る に は,情 報 信 号 を ネ ッ トワー ク に 入 力 す る と き にそ の ネ ッ トワー ク の特 性 に合 わ せ て 信 号 を変 換 し て お か な け れ ば な らな い 。 変 換 に必 要 な 技 術 はユ ー ザ ・ネ ッ トワ ー ク イ ン タ フ ェ ー ス 技 術 と呼 ば れ て い るが,こ
こ で は 以 後 こ れ を簡 略 化 して ユ ーザ イ ン タ フ
ェ ー ス 技 術 と呼 ぶ こ と にす る。 ア ナ ロ グ系 の情 報 を ア ナ ロ グ ネ ッ トワ ー クに 入 力 す る 場 合 とデ ィ ジ タル系 の 情 報 を デ ィ ジ タ ル ネ ッ トワ ー ク に入 力 す る場 合 の 変 換 は簡 易 な 形 式 で 済 む が,1.3節
で述 べ た よ う に ア ナ ロ グ系 の 情 報 を デ ィ ジ
タル ネ ッ トワ ー ク に入 力 す る 場 合 に は一 般 にCODECに
よ るA/D変
換 が,デ
ィジ タ ル 系 の 情 報 を ア ナ ロ グ ネ ッ トワ ー ク に 入 力 す る場 合 に はMODEMに るD/A変
よ
換 が 必 要 とな る 。
CODECは
符 号 化 装 置(Coder)と
た 略 称 名 で あ り,符 号 化 装 置 はPCMの
復 号 化 装 置(Decoder)の
両 方 を総 称 し
デ ィ ジ タ ル変 調 形 式 を使 っ て,音 声 や
画 像 な ど の ア ナ ロ グ系 情 報 信 号 を デ ィジ タ ル情 報 信 号 に変 換 す る装 置 で,広 い 意 味 で 捉 えれ ばA/D変
換 器 で あ り送 信 側 に 設 置 され る。 復 号 化 装 置 は 逆 に デ
ィジ タ ル 情 報 信 号 を元 の ア ナ ロ グ情 報 信 号 に 変 換 す る装 置(D/A変 あ り受 信 側 に 設 置 され る。 通 信 は 通 常 双 方 向 で 行 わ れ,同 とDecoderは のLSIに
一 場 所 に あ るCoder
便 宜 上 一 体 とな っ て 使 わ れ る こ とが 多 い の で,両
ま と めCODECと
換 器)で
者 を 1チ ップ
呼 び 機 器 内 に 組 み 込 み 使 用 して い る 。 MODEMは
変
調 器(Modulater)と
復 調 器(Demodulater)の
変 調 器 はAM, FM, PMな
両 方 を総 称 した 略 称 で あ り,
どの ア ナ ロ グ 変 調 形 式 を使 っ て,伝
送周 波数 帯域
が 制 限 さ れ た ア ナ ロ グ 伝 送 路 に 整 合 す る 情 報 信 号 に 変 換 す る 装 置(D/A変 器)で (A/D変
換
あ り送 信 側 に 設 置 さ れ る 。 復 調 器 は逆 に 元 の 情 報 信 号 に変 換 す る 装 置 換 器)で
あ り受 信 側 に設 置 され る 。MODEMはCODECと
方 で 通 常 1チ ップ のLSIに
同様 の考 え
ま と め られ 使 用 され る。
こ こで は近 年 の デ ィ ジ タル伝 送 シ ス テ ムや デ ィジ タル ネ ッ トワー ク の 発 展 と 普 及 が 進 ん で い る 背 景 を重 視 し,ユ ー ザ イ ン タ フェ ー ス 技 術 の 中 で最 も重 要 と 考 え られ るCODECに
つ い て 述 べ る 。 最 初 に 符 号 化 技 術 を取 り上 げ て 原 理 を 説
明 し,次 に音 声 と画 像 の具 体 的 な符 号 化 技 術 を 述べ る。 ア ナ ロ グ信 号 を ア ナ ロ グ ネ ッ トワ ー クへ 入 力 す る技 術 は2.2節 で,デ トワ ー クへ 入 力 す る 技 術(D/D変 す る技 術(D/A変
換,MODEM)は
換,DSU)と
ィ ジ タル 信 号 を デ ィ ジ タ ル ネ ッ ア ナ ロ グ ネ ッ トワ ー ク へ 入 力
5章 で 説 明す る こ と とす る 。
[1] 符 号 化技 術 の 基 礎 ア ナ ロ グ信 号 は音 声 や 画 像 の 信 号 波 形 の よ う に,時 間 と と も に信 号 の振 幅 が 連 続 的 に変 化 す る信 号 で あ り,デ ィ ジ タル 信 号 は コ ン ピ ュー タ で 扱 わ れ て い る
(a)ア ナ ロ グ信 号
(b)デ ィ ジ タ ル信 号
図2.1
アナ ロ グ信 号 とデ ィ ジ タル 信 号
“1” と “0” の信 号 波 形 の よ う に 号 で あ る(図2.1)。
,振 幅 も時 間 も離 散 的 な値 しか と ら な い 信
符 号 化(Coding)と
は ア ナ ロ グ信 号 を デ ィ ジ タル 信 号 に 変
換 す る こ とで あ り,そ の 逆 の デ ィ ジ タル 信 号 か ら元 の ア ナ ロ グ信 号 に 変 換 す る こ と を復 号 化(Decoding)と
い う。 こ れ らの 変 換 を行 う と き に は 当 然 の こ と
なが ら情 報 内 容 が 損 な わ れ な い よ う に し な け れ ば な ら な い。 こ の技 術 はPCM (Pulse Code Modulation:パ
ル ス 符 号 変 調)方
式 と してす で に確 立 し て お り,
デ ィ ジ タ ル 通 信 の 基 礎 とな る もの で あ る 。PCM方 方 式 で あ るが,近
年 はPCMを
式 は現 在 広 く使 わ れ て い る
ベ ー ス に音 声 信 号 向 けや 画 像 信 号 向 け に効 率 を
高 め て 低 ビ ッ トレ ー ト符 号 化 を 図 る 新 しい デ ィ ジ タル の 変 調 方 式 の研 究,実 化 が 盛 ん に な っ て き て い る。 これ らPCM方
用
式 な どの デ ィ ジ タ ル 変 調 方 式 に つ
い て の 詳 細 な 説 明 は専 門書(通
信 方 式,変 調 ま た は符 号 化 方 式 ,デ
ィ ジ タル 伝
送 関 係 を 記 述 して あ る 図 書)に
譲 り,こ
式 につ いて
こで は基 礎 とな るPCM方
簡 単 に 説 明 す る。 PCM方
式 の 説 明 に 入 る ま え に,デ
ィ ジ タ ル通 信 に お い て 非 常 に 重 要 な 基 礎
定 理 とな っ て い る 「標 本化 定 理 」 につ い て 説 明 して お く。 こ の 定 理 は信 号 波 形 を伝 送 し よ う とす る と き,波 形 の す べ て を 送 らず あ る時 間 間 隔 ご との 信 号 の 振 幅 値 の み を送 れ ば 受 信 側 で 元 の 波 形 を 再 現 す る こ とが で き る と い う もの で あ る 。 こ の 概 念 を具 体 的 に 回 路 で 示 せ ば 図2.2の よ う に な る 。 す な わ ち,入
力の
信 号 波 形 を パ ル ス 列 で 一 定 の 時 間 間 隔 ご とに ゲ ー ト回路 で打 ち抜 き(こ れ を 標 本 化 とい う)PAM(パ
ル ス 振 幅 変 調)の
波 形 と して 相 手 側 に 送 り,受 信 側 で
図2.2 標 本 化 定 理 の 概 念 図
この 波 形 を低 域 フ ィル タ に通 し波 形 を な ま らせ れ ば も との 信 号 波 形 が 再 現 で き る。 こ の こ とが 成 り立 つ た め に は入 力 の信 号 波 形 と標 本 化 間 隔 の 間 に 制 限 が あ り,標 本 化 定 理 に よ り示 さ れ て い る。 す な わ ち,「 入 力 の 信 号 波 形 に含 ま れ て い る最 高 の 周 波 数 成 分 がf0で あ る場 合,1/2f0よ
り小 さな 間 隔 で 標 本 化 を 行 え
ば,標 本 化 され た 信 号 の パ ル ス 列 か ら元 の信 号 波 形 を再 現 す る こ とが で きる 」 と い う こ と で あ り,受 信 側 で は 遮 断 周 波 数 がf0の 低 域 フ ィ ル タ を使 用 す る 。 標 本 化 定 理 の 数 学 的 証 明 につ い て は こ こで は省 略 す る。 図2.2の 考 え 方 でPAM通
信 を行 う こ と は で き るが,各
パ ルス振 幅 はアナ ロ
グ量 で あ り,パ ルス 信 号 は周 波 数 ス ペ ク トル が広 くな る の で,こ の 通 信 方 式 に比 べ 何 等 の利 点 もな く実 用 性 は な い 。PAMは にPCMの
原 理 を述 べ る。
図2.3PCMに
お け る信 号 処 理 の 流 れ
お け る信 号 の 処 理 の 流 れ は,ま ず 入 力 信 号 を “標 本 化(Sampling)”
してPAM波
に 変 換 した 後,各
パ ル ス 振 幅 を “量 子 化(Quantizing)”
ィ ジ タ ル 量 に 変 換 し,量 子 化 後 の パ ル ス 振 幅(10進 (Coding)し 2.4(a)に
この後述 べ る よう
処 理 の 一 部 と して 意 味 が あ る と考 え て お くべ きで あ る 。 次 に 図2.3に
した が っ てPCMの
PCMに
の ま まで は他
てPCM信
数)を
して デ
2進 符 号 に符 号 化
号 を得 る 形 式 を と っ て い る 。 量 子 化 と は 入 力 信 号 を 図
示 す 階 段 状 の 特 性 で 出 力 信 号 に変 換 す る こ とで あ り,連 続 的 に振 幅
が 変 化 して い るPAM波
は階 段 の 特 性 に よ っ て と び とび の 離 散 的 値 を もつ 出 力
信 号 に変 換 され る 。 つ ま り図2.4(b)の
よ う に 一 つ の 量 子 化 間 隔(量 子 化 ス テ
ッ プ と もい う)の 中 に あ る 入 力 の aか ら bま で の 連 続 的 な 無 限 の 値 は そ の ス テ ッ プ を代 表 す る 単 一 の 値 cの 出力 に 変 わ る わ けで,四
捨五 入的 な まるめを行 う
こ とに 相 当 す る 。 符 号 化 と は10進 数 で 表 現 さ れ た 量 子 化 信 号 振 幅 を 2進 数 で 表 現 した信 号 振 幅 つ ま り 2進 符 号 に変 換 す る こ とを い う。 2進 符 号 の 単 位 は ビ
(a)量
子化特性
(b)1ス テ ッ プ 内 の 変 換
図2.4 量 子 化
表2.1 量 子化 振 幅 と 2進 符 号
ッ トで あ る。 表2.1に 量 子 化 振 幅 と 2進 符 号 の対 応 関係 の 簡 単 な例 を示 す 。 以 上 は 送 信 側 に つ い て の説 明 で あ る が,受 信 側 は こ の 逆 で 復 号 化 は 2進 符 号 か ら 10進 数 表示 のPAM波
に戻 す こ とで あ り,そ の 後低 域 フ ィル タ を 通 せ ば 元 の 信
号 が 得 られ る 。 今 ま で に 述 べ た機 能 を実 際 の機 器 と して 実 現 す る と きに は量 子 化 と符 号 化 を ま とめ て処 理 して お り,さ
らに標 本 化 の た め の ゲ ー ト回路 を もま
とめ る こ とが 一 般 的 で あ り,こ れ らの 一 連 の処 理 を 総 称 し て単 に符 号 化 と呼 ぶ こ とが 多 く,ま た こ れ を 1チ ッ プ のLSIに 装 置 化 す る と き に は,前
に述 べ た よ
① 入力信号波形
②標 本化 後の波形
③量子化後 の波形
④ 符号化 後の波形 (PCM信 号)
図2.5PCMに
お け る信 号 波 形 の 変化
う に送 信 側 に あ る逆 方 向 の復 号 化 を 一 緒 に してCODECと
して い る 。 符 号 化 に
お け る各 処 理 に よ り信 号 波 形 が 変 化 す る 流 れ を 図2.3の ① ∼④ に対 応 し図2.5に 示 す。 以 上 に 述 べ たPCMの
原 理 に よ り,ア ナ ロ グ信 号 か らデ ィ ジ タル 信 号 へ の 変
換 とそ の逆 の 変 換 の し くみ をお お よそ 理 解 で きた と思 わ れ るが,受 信 側 で 元 の 波 形 に戻 る と述 べ た こ とは 厳 密 に は 正 し くな い こ と に気 づ か れ た と思 う。 こ れ
図2.6 量 子 化 雑 音
は 量 子 化 に よ る ま る め の 処 理 に よ りひ ず み が 発 生 す る か ら で あ る。 す な わ ち, 受 信 側 の 復 号 化 後 のPAM波
は 正 確 に い え ば量 子 化 後 のPAM波
で あ る の で,
送 信 側 の 入 力 が 正 弦 波 の場 合 を例 に述 べ る と,量 子 化 の 処 理 が 行 わ れ た 場 合 の 受 信 側 の 出 力 波 形 は 図2.6に 示 す よ う な 階段 状 に 近 似 し た 波 と な りひず み を発 生 す る 。 正 弦 波 と の 差 の 部 分 が 量 子 化 歪 で あ り量 子 化 雑 音 と い う。PCM方 で は量 子 化 雑 音 は 本 質 的 に 避 け られ な い 雑 音 で あ るが,量
式
子 化 の ス テ ッ プ数 を
多 くす れ ば軽 減 で きる 。量 子 化 ス テ ップ 数 を2Nに と れ ば,N は 2進 符 号 の ビ ッ ト数 と な る の で,N を 大 き く して や れ ば よい 。 実 用 の シ ス テ ムで は符 号 化 ビ ッ ト数 N は 通 信 品 質 上 十 分 な値 を選 び 解 決 して い る。 ま た 多 くの 実 用 の シ ス テ ム で は 図2.4(a)の
よ うに 1ス テ ッ プの 大 き さが す べ て 同 じ とす る均 一 量 子 化
で は な く,対 象 とす る アナ ロ グ信 号 の 振 幅 分 布 を考 慮 して 不 均 一 量 子 化(非
直
線 量 子 化 と もい う)を 採 用 して量 子 化 雑 音 を さ ら に抑 制 す る こ とが 行 わ れ て お り,こ の こ とを圧 伸(圧 縮 と伸 張 を簡 略 に した 用 語,機 器 を コ ンパ ンダ と呼 ぶ) とい う。 こ こ でPCM方
式 の代 表 例 と して重 要 な電 話 音 声 の 場 合 の 方 式 パ ラ メー タ に
つ い て 述 べ て お く。最 初 に 重 要 な の は 電 話 回線 に 必 要 な伝 送 周 波 数 帯 域 で あ る。 これ は音 声 の 周 波 数 ス ペ ク トル の 中 で会 話 の 明 瞭 性 の 上 か ら必 要 と さ れ る 範 囲 を選 ぶ こ とか ら決 め られ て お り,CCITTに が 標 準 帯 域 と な っ て い る 。PCM方 理 で 決 め ら れ るが,機
よ る 国 際 標 準 と し て0.3∼3.4kHz
式 の標 本 化 周 波 数 は これ を も とに 標 本 化 定
器 の実 現 の 容 易 さか ら余 裕 を と っ て8kHzを
国際標 準
に定 め て い る。 また 量 子 化 の ス テ ップ 数 は 音 声 の 品 質 を十 分 な も の に確 保 す る
表2.2電
た め256=28と
話音 声 のPCM
し,符 号 化 の ビ ッ ト数 は 8ビ ッ トを国 際 標 準 に 定 め て い る 。 そ
の た め,デ ィ ジ タ ル 通 信 にお け る音 声 1チ ャ ネ ル 当 た りの 伝 送 速 度(伝 送 容 量) は8×8=64kbit/sと
な っ て い る。 な お,伝 送 速 度 の こ と を ビ ッ トレー トと も
呼 ん で い る 。 こ れ らの パ ラ メ ー タ は 国 際 標 準 で あ り,表2.2に こ の よ うなPCM化
ま と め て お く。
され た 電 話 音 声 信 号 を遠 くに 伝 送 す る と き に は,効
常 は多 くの 信 号 を 多 重 化 して 送 っ て い る 。 す な わ ち,M と きの 線 路 上 の 伝 送 速 度 は,大
略 して64kbit/sの
率上 通
チ ャ ネ ル 多 重 化 した
M 倍 と な る(実
際 に は 同期
な どの 補 助 機 能 の符 号 を 追加 し こ の値 よ りわず か に大 き くな る)。
[2] 音 声 と画 像 の 符 号 化 (a) 音 声 の 符 号 化 音 声 通 信 にお け る符 号 化 で 現 在 電 話 網 で 広 く使 わ れ て い る方 式 は 表2.2に 示 した 方 式 で あ る。 この 方 式 は 厳 密 に は圧 伸 の 機 能 を付 加 し て お り,対 数 圧 伸 非 直 線 量 子 化PCM方 64kbit/sで あ るが,近
式 と 呼 ぶ 。 こ の 方 式 は 伝 送 速 度(ビ
ッ ト レ ー ト)が
年 発 展 して い る携 帯 電 話 に お け る電 波 の周 波 数 帯 域 の有
効 利 用 や 私 設 網 で は これ を少 な くす る こ とが 要 請 され る場 合 が あ る。 他 方,デ ィ ジ タ ル圧 縮 とLSI化 の 技 術 が 進 歩 し高 能 率 音 声 符 号 化 の研 究 が 進 み,低
ビッ
トレー ト音 声 符 号 化 が 順 次 実 用 化 さ れ る よ う に な っ て きた 。 本 来 音 声 信 号 の波 形 は,音 声 の 中 に含 まれ て い る 実 質 的 な 言 語 的 情 報 は 少 な く冗 長 度 が 多 い 内容 と な っ て お り,高 度 な 符 号 化 処 理 を行 え ば 聴 感 上 の 品 質 を ほ とん ど損 な う こ と な く低 ビ ッ ト レー ト化 が 可 能 で あ る。 一 般 に低 ビ ッ トレー ト化 を 大 き くす る ほ ど音 声 品 質 は低 下 し,品 質 低 下 を抑 え る 符 号 化 処 理 を行 え ば遅 延 時 間 が 大 き く
な る 関係 が あ るた め,用 途 に応 じた 高 能 率 符 号 化 方 式 が 選 択 され る。 音 声 波 形 の 冗 長 度 の 削 減 を 目的 とす る高 能 率 符 号 化 の 方 法 と して は,① 波 形 符 号化,② ス ペ ク トル 符 号 化,③
ハ イ ブ リ ッ ド符 号 化 の 3種 の 形 式 が あ り以 下 に これ らを
説明す る。 ①
波 形 符 号 化 この 形 式 は,音 声 の波 形 に 着 目 して低 ビ ッ トレー ト化 を行
う も の で,代 表 的 方 式 のADPCM方
式(適 応 差 分PCM)に
つ い て説 明 す る と,
こ れ は標 本 化 にお い て 過 去 の い くつ か の標 本 値 か ら現 在 の標 本 値 を予 測 し,こ の 予 測 値 と実 際 の 標 本 値 と の差 分(残 差 信 号)を の で,そ
の伝 送 ビ ッ トレ ー トは標 準 のPCMの
量 子 化 ・符 号 化 し伝 送 す る も
場 合 よ り少 な くて 済 む 利 点 が あ
る。 こ れ は 過 去 の い くつ か の標 本値 と の 間 に 音 声 信 号 特 有 の 強 い 相 関 関 係 を も つ こ とに起 因 す る。 この 形 式 は ビ ッ トレー トの 低 下 が わ ず か の と きは 品 質 が よ く処 理 が 比 較 的 簡 単 と な る特 長 を持 っ て い る が,低
ビ ッ トレー ト化 を 強 め る と
急 激 に 品 質 が 低 下 す る 欠 点 もあ る 。 ② ス ペ ク トル 符 号 化 こ の 形 式 は音 声 の 周 波 数 スペ ク トル を符 号 化 し,音 声 生 成 モ デ ル に よ っ て 音 声 を合 成 す る もの で,具 体 的 に は 送 信 側 か らス ペ ク ト ル の包 絡 線 の パ ラ メ ー タ と駆 動 音 源 信 号 パ ラ メ ー タ を伝 送 し,受 信 側 で こ れ ら を も とに 音 声 を合 成 す る。 こ の 形 式 は非 常 に 大 きな圧 縮 率 を得 る こ とが で きる が,処 ③
理 が 複 雑 で音 声 も不 自然 と な る欠 点 を有 して い る 。
ハ イ ブ リ ッ ド符 号化 こ の 形 式 は 両 者 の 長 所 を取 り入 れ た 中 間 的 な方 法
で,圧
縮 率 は 中程 度 で 品 質 もほ とん ど低 下 せ ず に音 声 合 成 が で き る。 代 表 的 方
式 のCELP方
式 につ い て 説 明 す る と,ス ペ ク トル 成 分 は線 形 予 測 パ ラ メ ー タ を
ま た音 源 信 号 は残 差 信 号 波 形 を そ れ ぞ れ用 い,低 信 号 を集 め た符 号 帳(code book)を
ビ ッ トレー ト化 の た め に残 差
用 意 して お き,そ の 中 か ら最 適 な残 差 信
号 を選 び だ し,そ の信 号 につ け られ て い る 番 号 だ け を伝 送 す る も の で あ る。 コ ー ドブ ッ クの 作 成 に は ベ ク トル 量 子 化 と呼 ば れ て い る手 法 を用 い る。 以 上 に 述 べ た 各 種 の 高 能 率 の 低 ビ ッ トレー ト符 号 化 方 式 は,64kbit/sの トレ ー トの 符 号 化 に よ る標 準 のPCM方 32kbit/s,16kbit/s,8kbit/sの
式 の 実 用 化 の 後, ITU-Tに
ビッ よ り,
各 標 準 化 が 順 次 進 め られ た 。 こ れ ら の 符 号 化
表2.3国
際標準の音声符号 化方式
方 式 の 内 容 を勧 告 番 号 もつ け 加 え て 表2.3に 示 す 。 こ の 中 でPCMとADPCM は波 形 符 号 化 形 式 の符 号 化 方 式 で,ADPCMは
過 去 の 6標 本 値 を 用 い て 実 際 値
を予 測 し,予 測 値 と実 際値 の 差 分 を 4 ビ ッ トで量 子 化 ・符 号 化 して い る 。LDCELPとCS-ACELPは
ハ イ ブ リ ッ ド符 号 化 形 式 で あ る 。 以 上 の 符 号 化 方 式 は
64kbit/sか ら低 ビ ッ トレー ト化 が 大 き くな る に し たが っ て 音 声 品 質 は 少 しず つ 低 下 す る。 これ とは 別 に一 般 の 電 話 網 で は 電 話 音 声 以 外 の情 報 信 号(例
えば フ
ァ ク シ ミ リ)も 伝 送 す る こ とが あ るが,上 記 の 高 能 率 符 号 化 は 音 声 信 号 の 冗 長 度 を削 減 す る 目的 な の で,音 声 以外 の 情 報 信 号 に対 して は逆 に 品 質 の劣 化 を招 く こ と に な る 。 公 共 性 を重 視 す る 電 話 網 で は音 声 品 質 と電 話 以 外 の 情 報 信 号 通 信 の 透 明性 な ど に 配 慮 し,64kbit/sの
標 準PCM方
式 を採 用 して お り,低 ビ ッ
トレー ト符 号 化 方 式 は プ ラ イベ ー トな 通 信 な どそ れ 以 外 の 用 途 に 応 じて利 用 さ れ る状 況 に あ る 。 携 帯 電話 な どの 移 動 通 信 分 野 で は,有 限 の 電 波 資 源 を有 効 利 用 す る た め,1 チ ャ ネ ル 当 た りの周 波 数 帯 域 を極 力 狭 くす る技 術 が 求 め られ て い る 。 デ ィ ジ タ ル 移 動 通 信 方 式 で は 低 ビ ッ トレー ト化 が 特 に 要 請 され て お り,表2.4に
示 す音
声 符 号 化 方 式 が 国 際 標 準 と して 定 め られ て い る。11.2kbit/sの 方 式 は最 初 の デ
表2.4携
帯電話用の音声符号化 方式
イ ジ タ ル 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 に 使 用 さ れ て い る 方 式 で,5.6kbit/sの
方式 は
最 近 開発 され た方 式 で,フ ル レー ト方 式 とハ ー フ レ ー ト方 式 と も呼 ばれ て い る。 こ れ らの 符 号 化 は ハ イ ブ リ ッ ド符 号 化 形 式 で あ り,低 ビ ッ トレー ト化 を重 視 し た の で 逆 に遅 延 が 多 い 欠 点 を持 っ て い る。 (b) 画 像 の 符 号 化 画 像 情 報 は静 止 画 と動 画 に大 別 され るが,符 号 化 の 観 点 か ら は処 理 速 度,実 時 間性 な ど要 求 され る 条件 が 大 き く異 な る。 動 画 の 中 で もテ レ ビ電 話,テ
レビ
会 議 の よ う に背 景 が 不 変 な も の と,放 送 テ レ ビの よ う に画 面 全 体 が 激 し く動 き の あ る もの や,HDTV(高
精 細TV:High
Definition TV)の
よ うな 高 い解 像
度 の動 画 が あ り,そ れ らの 特 性 に対 応 して 最 適 の符 号 化 の方 法 は変 わ る。 しか し,動 画 に 関 して は標 本化 定 理 を 満 た し波 形 を 忠 実 に伝 送 す る こ との 基 本 は 音 声 の場 合 と 同様 で あ る 。 画 像 情 報信 号 を伝 送 す る と き最 も厳 し い 条 件 が 要 求 さ れ る の は 動 画 で あ る。 画像 信 号 は 本 来 ア ナ ロ グ 信 号 で,放 送 テ レ ビ を例 に と る と直 流 か ら4.2MHzま
で の 伝 送 周 波 数 帯 域 が 必 要 で あ り,音 声 信 号 と比 較 す る
と帯 域 幅 が 約 3桁 広 く,ま た こ の 信 号 を 通 常 のPCMで ば 約100Mbit/sの
デ ィ ジ タル に 変 換 す れ
ビ ッ トレ ー トに な る。 そ の た め,画 像 信 号 を何 も処 理 せ ず に
蓄積 す る と きや伝 送 す る と き の 設 備 の コ ス トは 非 常 に高 い もの とな る。しか し, 画 像 信 号 は一 般 に非 常 に大 きな 冗 長 度 を持 っ て い る の で,符 号 化 の 際 に 高 能 率 の 符 号 化 を行 っ て こ れ を削 減 し情 報 量 を圧 縮 す る こ とが 可 能 で あ り,長 い 間 多 くの 研 究 が な され て きて い る。 高 能 率 の 符 号 化 に は い ろ い ろ の 形 式 が あ る が, こ こで は代 表 的 な もの と して,① 予 測 符 号 化,②
直 交 変 換 符 号 化,③
ベ ク トル
量 子 化 につ い て 説 明 す る。 ① 予 測 符 号 化 放 送 テ レ ビで は 1画 面(フ
レー ム)を 非 常 に 多 くの 画 素 に
分 解 し,走 査 に よ り 2次 元 の情 報 を 1次 元 に変 換 し伝 送 して い る が,こ らに毎 秒30フ
れ をさ
レ ー ム 送 っ て い る。 この よ う な画 面 で は 近 接 し た 画 素 間 に非 常
に よ く似 た性 質 が あ る こ とが統 計 的 に知 られ て お り,さ ら に 隣接 フ レー ム 間 の 同一 位 置 に あ る画 素 間 に もこ の 性 質 が あ る 。 予 測 とは過 去 の 情 報 の 統 計 的 性 質 か ら次 の値 を求 め る こ と で あ り,予 測 符 号 化 は画 素 の輝 度 値(明
る さ)を 単 に
符 号 化 す る の で は な く,過 去 の 近 接 の 画 素 の 輝 度 値 か ら画 素 の 予 測 値 を 求 め, こ れ と 実 際 の 値 と の差 す な わ ち予 測 誤 差 の み を量 子 化 ・符 号 化(DPCM)し て 伝 送 す る方 法 で あ る。 予 測 誤 差 が 小 さい ほ どわ ず か な ビ ッ ト数 で 済 む 利 点 が あ り,フ レ ー ム 内 予 測 とフ レー ム 間 予 測 が あ る 。 フ レー ム 内 予 測 符 号 化 に は 1 次 元 予 測(1 走 査 ラ イ ン内)と
2次 元 予 測(ラ
イ ン 間)が あ る。 フ レー ム 間予
測 符 号 化 は 1画 面 分 の メ モ リが 必 要 に な るが,画
面 内 の動 きが 小 さ い テ レ ビ電
話 や テ レ ビ会 議 の よ う な動 画 に 適 す る方 式 で あ る 。 ま た フ レー ム 間予 測 で 画 面 の 中 に 動 きが あ っ て も,そ の 動 きが 平 行 移 動 的 な もの で あ れ ば 動 きを検 出 し予 測 の効 率 を さ らに 高 め る こ とが で き る。 これ は動 き補 償 フ レー ム 間 予 測 符 号 化 と呼 ば れ,情 報 量 の 圧 縮 効 率 が 高 い の で低 ビ ッ トレー ト化 に有 力 な方 式 と な っ て いる。 (2)直 交 変 換 符 号化 予 測 符 号 化 は時 間 領 域 に お け る符 号 化 で あ る の に 対 し て,直
交 変 換 符 号 化 は周 波 数 領 域 で 冗 長 度 を削 減 す る符 号 化 で あ る。 これ は画
面 を ブ ロ ッ ク に分 割 し,ブ ロ ッ ク ご と に 直 交 変 換 して 周 波 数成 分 に分 解 し変 換 係 数 を量 子 化 して伝 送 す る方 法 で あ る。 一 般 に画 像 信 号 は電 力 が 低 周 波 成 分 に 集 中 す る性 質 を持 っ て い る の で,低 周 波 成 分 に多 くの ビ ッ トを 割 り当 て 高 周 波 成 分 に少 な い ビ ッ トを割 り当 て全 体 と して ビ ッ トレー トを低 下 させ る こ とが で き る。 画像 の 符 号 化 に適 す る直 交 変 換 と して よ く用 い られ て い る の は離 散 コサ イ ン変 換(DCT)で
あ る 。 予 測 符 号 化 や 直 交 変 換 符 号 化 で は,量
子化 の 後の
2進 符 号 化 に効 率 の よい 可 変 長 符 号 化 が 多 く使 わ れ て い る。 す な わ ち,量 子 化 の値 の 出現 頻 度 に よ り符 号 長 を変 え るハ フ マ ン符 号 が 使 わ れ,伝
送の ビ ッ トレ
ー トを低 減 させ て い る 。 これ らの 符 号 化 に よ る ビ ッ トレー トの低 下 率 は 2分 の 1ない し数 分 の 1とい わ れ て い る 。 (3)ベ ク トル 量 子 化 通 常 の量 子 化 は 1個 の 画 素 を 限 られ た 数 の 代 表 値 に 対 応 させ る ス カ ラ ー量 子 化 で あ っ た の に 対 し,複 数 の値 を組 に して 限 られ た 数 の 代 表 パ タ ー ン に 対 応 づ け る の が ベ ク トル 量 子 化 で あ る。 一 例 を示 せ ば,4× 4=16個
の 画 素 か らな る ブ ロ ック を考 え た場 合,1
れ ば28×16=2128通 りの パ タ ー ンが あ る が,こ
画 素 を 8ビ ッ トで 表 現 す
れ を212程 度 の パ タ ー ン で代 表 させ
て も ほ ぼ 元 の ブ ロ ッ ク を再 現 させ る こ とが で き る。 予 め 用 意 して お く代 表 の 標 準 パ タ ー ン を コ ー ドブ ッ ク と い い,伝 送 す るの は そ の イ ン デ ック ス の み で あ り, か な りの低 ビ ッ トレー ト化 が で きる こ と に な る 。 以 上 に述 べ た 3種 の 形 式 は,単 独 で 使 っ て も よい が 効 率 を高 め る た め 通 常 は これ ら を組 み 合 わせ て使 うハ イ ブ リ ッ ド符 号 化 形 式 が 広 く実 用 に な っ て い る。 画 像 信 号 の 符 号 化 も音 声 と同 様 にISOとIECに
よ り標 準 化 が 進 め られ て い
る。 代 表 的 な も の と し て動 画 の圧 縮 技 術 を取 り扱 う MPEG Experts
ビ ッ ト レ ー ト化 し た MPEG ,
Picture
が あ り,家 庭 用 ビデ オ程 度 の 品 質 を 対 象 に1.5Mbit/sま
Group)
∼10Mbit/s
(Moving
30∼70Mbit/s
1 と現 行 の 放 送 テ レ ビや HDTV
で低
の品 質 を対 象 に4
ま で に 低 ビ ッ ト レ ー ト化 し た MPEG
2
が標準化 さ
れ て い る。 これ らに は予 測 符 号 化 と直 交 変 換 符 号 化 か らな る ハ イ ブ リ ッ ド符 号 化 が 使 わ れ て い る 。 こ の ほ か に 静 止 画 を 対 象 と し た JPEG Photographic
Expert
ト レ ー ト のH.261な
Group),
お よ びTV電
話, TV会
(Joint
議 を対 象 と し た低 ビ ッ
どの 標 準 が あ る 。 こ れ らは 画 像 の コ ー デ ッ ク と して 製 品
化 されて いる。
2.2 [1]
伝送技術 概 要
伝 送 シ ス テ ム は1.3節 で 述 べ た よ うに 伝 送 端 局 と中 継 伝 送 路 か ら成 り立 っ て い る。 送 信 側 の伝 送 端 局 の 主 要 機 能 は変 調 と多 重 化 で あ り,受 信 側 の伝 送 端 局 の 主 要 機 能 は送 信 側 と は逆 の分 離 と復 調 で あ る 。 そ して 中 継 伝 送 路 の 主 要 機 能 は高 い伝 送 品 質 に よる 遠 距 離 へ の情 報 信 号 の伝 達 で あ り,そ の 構 成 は伝 送 媒 体 と 中継 器 の 縦 続 接 続 か らな り,具 体 的 に は 有 線 伝 送 と無 線 伝 送 に分 け られ る 。 伝 送 シ ス テ ム の構 成 は アナ ロ グ伝 送 と デ ィ ジ タ ル伝 送 とで 異 な っ た もの と な る が,電 話 の 多 重 通 信 を例 に とれ ば 図2.7の よ う に な る。 (a)
アナ ログ伝 送シス デム
長 距 離 の 電 話 通 信 を対 象 とす る ア ナ ロ グ多 重伝 送 シ ス テ ム は,変 調 方 式 に通
(a)ア ナ ロ グ伝 送 シス テ ム
(b)デ ィ ジ タ ル伝 送 シス テ ム
図2.7 伝 送 シ ス テ ムの 構 成
常,伝
送 帯 域 が 少 な くて 済 む 振 幅 変 調 方 式 の 一 種 で あ る 単 側 波 帯 方 式
(SSB:Single Side Band)を
採 用 して お り,多 重 化 方 式 に は 周 波 数 で チ ャ ネ
ル を分 割 す る 周 波 数 分 割 多 重 方 式(FDM:Frequency
Division Multiplexing)
を使 っ て い る 。 変 調 と多 重 化 の 機 能 を持 つ伝 送 端 局 は有 線伝 送 と無 線 伝 送 に共 通 の装 置 で あ り,中 継 伝 送 路 で 有 線 か無 線 か を選 ぶ 。 有 線 の 場 合 の 中継 伝 送 路 は,線 路 に は 平 衡 ケ ー ブ ル また は 同軸 ケ ー ブル を使 用 し,中 継 器 に は帰 還 増 幅 器 を使 用 す る。 無 線 の 場 合 は伝 送 帯 域 が 十 分 確 保 で きる マ イ ク ロ 波 が 使 わ れ る こ とが 多 く,無 線 の 変 調 方 式 はFM方
式 が一般的 である。
次 に ア ナ ロ グ伝 送 シ ス テ ム の 端 局 機 能 の 要 と な っ て い るSSB信
号 とFDM信
号 の 作 り方 につ い て 簡 単 に述 べ て お く。 これ は 図2.8に示 す よ う に,変
調器 と
帯 域 フ ィ ル タ を縦 続 接 続 した 回路 を チ ャ ネ ル の 数 だ け 並 列 接 続 し た 回 路 に よ り 作 る こ とが で きる 。 い ま,チ
ャ ネ ル 1に情 報 信 号 の例 と して 電 話 信 号 を入 力 し
た 場 合 を考 え る。 電 話 信 号 は 前 に 述 べ た よ う に0.3∼3.4kHzの
範 囲 のスペ ク ト
ル を伝 送 す れ ば よい の で 図 に略 図 で 示 した よ うな周 波 数 スペ ク トル で 表 す こ と
図2.8 周 波 数 分 割 多 重 の原 理
が で きる 。 変 調 器 に は 搬 送 波 抑 圧 形 の 平 衡 変 調 器 を用 いflの 搬 送 周 波 数 で 変 調 す る と,変 調 器 の 出 力 に は 搬 送 波f1が 抑 圧 され たDSB(BSB)信
号 が得 ら
れ る 。 こ れ を帯 域 フ ィ ル タ に よ り上 側 波 帯 の み 通 せ ば 図 の よ う なSSB信 得 られ る 。 す な わ ち,SSB信
号が
号 は 元 の情 報 信 号 の ス ペ ク トル を搬 送 波 の 周 波 数
flだ け移 動 させ た に 過 ぎ な い 。 こ の こ とか ら わ か る よ う に各 チ ャ ネ ル の 変 調 器 の搬 送 周 波 数 を 一 定 間 隔 の 異 な る 周 波 数(電
話 の 場 合 は4kHz間
隔)と
号 を集 め る こ とに よ り図 にみ られ るFDM信
して お け ば,各
号 を得 る こ とが で き る。 多 重 度 が
大 き い と き は,先 ず 或 程 度 の チ ャ ネ ル 数 のFDM信 を一 つ の 広 帯 域 信 号 とみ な し て,図2.8と
チ ャ ネ ル か らの 信
号 の グ ル ー プ を作 り,こ れ
同 様 な形 式 の 変 調 器 と帯 域 フ ィル タ
の 回 路 を 通 し て周 波 数 を所 望 の位 置 に 移 動 さ せ,こ
れ に 他 のFDM信
号 グルー
プ を 重 ね て大 きな グル ー プ を作 り,以 下 同様 な 処 理 を繰 り返 して 多 重 度 の 高 い FDM信
号 を作 る こ とが で きる 。 つ ま り図2.8の 多 重 化 処 理 を多 段 階 に 分 け て 行
うわ け で あ る。 こ の 多 重 化 の段 階 構 成 をハ イ ア ラ ー キ(hierarchy)と
い う。
(b) デ ィ ジ タ ル伝 送 シ ス テ ム 長 距 離 の デ ィジ タル 伝 送 シス テ ム の 構 成 は 図2.7(b)に はPCM方
式 が 使 わ れ る(デ
示 される。変 調方式
ィ ジ タ ル の場 合 に は 変 調 の代 わ りに 符 号 化 の 名 称
を使 う こ とが 一 般 的 に な っ て きて い る)。 符 号 化 は 過 去 の 長 い 間 デ ィ ジ タル 伝 送 シ ス テ ム の 中 で は 多 重 化 ・同期 と並 ん で 非 常 に 重 要 な 位 置 を 占 め て い た 。 LSI化 前 の 符 号 器 は個 別 部 品 か ら構 成 さ れ て い た の で 部 品 に高 精 度 と高 安 定 性 が 要 求 さ れ,複 雑 で 高 価 で あ っ た の でPAM多 っ て い た が,そ
重 に よ る 共 通 符 号 化 の 形 式 を採
の後 1チ ップ のLSI化 が 実 現 し,低 価 格 化 が 進 み 1チ ャネ ル ご
との 符 号 化 形 式 に 変 貌 し た 。 そ して そ の 後 に デ ィ ジ タ ル 交 換 機 が 開 発 され, ISDN時
代 を 迎 え 1チ ャ ネ ルCODECと
して 多 くの 場 で 単 独 に使 用 され 一 般 に
普 及 す る と ころ とな っ た 。 こ の よ うに 符 号 化 は伝 送 シ ス テ ムの 技 術 とい う よ り ユ ー ザ に近 い 一 般 的 な技 術 と な っ て き たの で,本 書 で は符 号 化 の説 明 を前 節 の ユ ー ザ イ ン タ フ ェ ー ス技 術 の と ころ で 取 り上 げ た 。 多 重 化 方 式 はPCM信 (TDM:Time
号 が 時 間領 域 の 信 号 な の で 当 然 な が ら時分 割 多 重 方 式
Division Multiplexing)で
あ る。 多 重 化 はPCM信
い る 1チ ャ ネ ル 8ビ ッ トのパ ル ス を細 く して 集 め,空
号 を構 成 して
いた隙 間に他のチ ャネル
の パ ル ス を挿 入 す る こ と で で き る。 多 重 化 に 整 数 倍 ご との 多 重 化 階 梯(デ タル ハ イ ア ラ ー キ)が
ィジ
あ る こ と は ア ナ ロ グ の 場 合 と同 じで あ る 。 デ ィ ジ タ ル シ
ス テ ム が ア ナ ロ グ シス テ ム と大 き く異 な る の は 同期 関 係 で あ る 。 同 期 は多 重 化 さ れ た デ ィ ジ タル 信 号 内 の信 号 の 時 間位 置 関 係 を受 信 側 に伝 え る機 能 で多 重 化 と密 接 な関 係 が あ り,ま とめ て 処 理 す る と こ ろが 多 い 。 ア ナ ロ グ シ ス テ ム にお け る 同 期 は受 信 側 に お い て 同 期 検 波 の た め に送 信 側 の 搬 送 波 と 同一 の周 波 数 を 必 要 とす る が,デ 多 重 化PCM信
ィジ タ ル シス テ ム で は こ れ に相 当 す る 周 波 数 同 期 の ほ か に,
号 にお け る チ ャ ネ ル パ ル ス や ビ ッ トパ ル ス の 時 間位 置 関 係 を与
え る フ レー ム 同 期 や,互
い に 同期 関係 の ない 低 次 群 シ ス テ ム か ら高 次群 シス テ
ム を多 重 化 す る と きの シス テ ム 間 同 期 が あ り同期 技 術 は広 く深 い 内 容 を持 っ て い る。 多 重 化 と 同期 につ いて は次 項 で くわ し く述 べ る。 中 継 伝 送 路 で 重 要 な技 術 は 中継 器 で あ り,そ の 基 本 機 能 は ア ナ ロ グの 場 合 に は 増 幅 で あ るが デ ィ ジ タ ル の場 合 に は波 形 整 形,識
別 再 生,同 期 で あ り大 き く
異 な る。 また 2進 符 号 を具 体 的 に 表 現 す る伝 送 符 号 形 式 も多 様 で あ る。 伝 送 媒 体 で は デ ィ ジ タ ル の 場 合 は新 し く光 フ ァイバ が 加 わ り,有 線 伝 送 で は光 伝 送 が
主 役 とな っ て い る 。 ま た 無 線 伝 送 で は マ イ ク ロ波 が 中 心 とな るが,デ
ィジタル
信 号 は ア ナ ロ グ信 号 に比 し て広 い伝 送 帯 域 を必 要 とす る欠 点 が あ る の で,有
限
の電 波 資 源 を有 効 に活 用 す る た め伝 送 帯 域 が 少 な くて 済 む デ ィ ジ タル の 位 相 変 調,直
交 変 調 な どの 高 能 率 デ ィ ジ タル 変 調 が 使 わ れ て い る 。
(c) ア ナ ロ グ 伝 送 と デ ィ ジ タル 伝 送 の 比 較 こ れ まで に述 べ た よ うに,ア
ナ ロ グ伝 送 は情 報 信 号 を極 力 忠 実 に そ の ま ま伝
送 す る考 え 方 で あ り,必 要 とす る伝 送 周 波 数 帯 域 幅 は狭 い 方 が 有 利 で あ る が, 多 くの信 号 振 幅 を高 忠 実 度 で 伝 送 しな け れ ば な らな い 問 題 が あ る 。一 方,デ
ィ
ジ タ ル伝 送 は情 報 信 号 を画 一 した 2値 の デ ィ ジ タル 信 号 に変 換 して か ら伝 送 す る考 え 方 で あ り,信 号 をパ ルス の形 とす る た め,必 要 とす る伝 送 周 波 数 帯 域 は 広 大 とな る欠 点 は あ る が,次
に列 挙 す る よ う な多 くの 長 所 を 生 む こ とに な る。
① 優 れ た伝 送 特 性 を も つ 信 号 は “1” と “0” の 2値 の い ず れ か を識 別 で きれ ば よい の で,き
わ め て 雑 音 に 強 い 特 長 を持 っ て い る。 また,多
離 伝 送 で は,各 中 継 区 間 ご との 雑 音 の 累 積 や,レ
ベ ル 変 動(伝
度 変 化 に 起 因 す る 損 失 変 動 に よ る信 号振 幅 変 動)の
中継長距
送媒体 の周囲温
累積 が 殆 ど な く良 好 な伝 送
品 質 を確 保 す る こ とが で き る。 ②
半 導体 技 術 との 親 和 性 が 大 き い デ ィ ジ タル 回 路 は 2値 の 論 理 回路 が 多
くIC, LSIの 技 術 を容 易 に適 用 す る こ と が で き るの で,小 型 化,経
済 化,高
信
頼 化 に 大 き く寄 与 す る 。 ③光 フ ァ イバ 伝 送 と の親 和 性 が 大 き い 光 フ ァイ バ は本 来 広 帯 域 な伝 送 媒 体 で あ り,デ ィ ジ タ ル の短 所 で あ る広 帯 域 性 の 欠 点 を補 う もの で あ る 。 また 半 導 体 レー ザ の 電 気 か ら光へ の 変 換 の 非 直 線 性 や 光 の 波 長 の純 度 な ど の 問 題 か ら み て光 伝 送 は ア ナ ロ グ伝 送 よ りむ しろ デ ィ ジ タ ル伝 送 に適 して い る。 ④マ ル チ メ デ ィア 情 報 の伝 送 に適 す る デ ィジ タル 伝 送 は デ ィ ジ タル 情 報 や 符 号 化 した 各 種 の 波 形 情 報 信 号 を 一 元 的 に統 一 して伝 送 す る こ と に 適 して い る。 以 上 に 述 べ た こ とか ら近 年 の 伝 送 技 術 の 動 向 は ア ナ ロ グ伝 送 か らデ ィ ジ タ ル 伝 送 へ と変 革 しつ つ あ り,さ ら に各 種 の デ ィ ジ タ ル ネ ッ トワ ー クの 構 築 が 進 め
られ る趨 勢 に あ る。 そ こで 以 下 で は デ ィジ タル 伝 送 シ ス テ ム を重 視 し,そ の 中 の 主 要 技 術 と な っ て い る伝 送 端 局 に お け る 多 重 化 ・同期 の 技 術 と中 継 伝 送 路 の 技 術 につ い て 述 べ る こ と とす る 。
[2] 多 重 化 ・同 期 (a) 原
理
時 分 割 多 重 化 の 原 理 と して 図2.9に,8 (channel)多
ビ ッ トのPCM信
号 を Nチ ャ ネル
重 化 す る場 合 を示 した 。フ レー ム と は多 重 化 信 号 の周 期 を 意 味 し,
通 常 は 標 本 化 周 期 で あ る 。 電 話 音 声 の場 合 の フ レー ム は1/8kHz=125μsで る 。 電 話 音 声 を例 に と り説 明 す る と,図 2.2に 示 した よ う にす べ て64kbit/sの
で 各 チ ャ ネ ル の 符 号 器 の 出 力 は,表
伝 送 速 度 を持 っ て い る 。 こ れ らを 速 度 変
換 回 路 に よ り図 の よ う に チ ャ ネ ル 数 分 だ け 高 速 化(細 ル ス を集 め空 き時 間 を つ くるが,そ
あ
い パ ル ス に 変換)し
てパ
の 際 各 チ ャ ネ ル の集 合 高 速 パ ル ス の 時 間 位
置 を図 の よ う に一 定 間 隔 に ず ら して お く。 この よ うに して お け ば 各 チ ャ ネ ル の パ ル スが 衝 突 す る こ とな く多 重 化 す る こ とが で きる。 この よ う に 時 分 割 多 重 は
図2.9 時 分 割 多 重 の原 理
図2.10
フ レー ム と フ レー ム 同 期
フ レー ム 内 を等 間隔 の 時 間 に区 切 り情 報 信 号 の 収 容 さ れ る 位 置 を 固定 的 に定 め た 方 式 で あ る 。 以 上 で多 重化 の 原 理 をわ か りや す く説 明 した が,実
際に はこの
ほ か に フ レー ム 同期 信 号 が 必 要 で あ る 。 つ ま り,時 分 割 多 重 信 号 を伝 送 す る と きに は,各
ビ ッ トパ ル ス が どの チ ャ ネ ル の 何 番 目の ビ ッ トパ ル ス で あ る か を受
信 側 に 知 らせ て お く必 要 が あ る。 そ の た め に は 図2.10の よ うに フ レー ム の 区切 りの と こ ろ に 1ビ ッ トの フ レ ー ム パ ル ス を 挿 入 し,受 信 側 で 毎 秒8000個
のフ
レー ム パ ル ス に特 定 の パ ター ンの 形 で 含 ま れ て い る フ レ ー ム 同期 信 号 を検 出 し,フ
レー ムパ ル ス の 位 置 を特 定 で きれ ば よい 。 これ を フ レ ー ム 同 期 と呼 ぶ 。
以 上 の 結 果,現
在 広 く使 わ れ て い る電 話 音 声24チ
ャ ネ ル 一 次 群 伝 送 シス テ ム
の 場 合 を例 に とる と,伝 送 路 に お け る伝 送 速 度(ビ
ッ ト レー ト)は 次 式 に 示 す
関 係 に な る。 伝 送 速 度=標 本 化 周 波 数 ×(符 号 化 ビ ッ ト数 ×チ ャネ ル数 +フ レ ー ム 同 期 ビ ッ ト数) 標 本 化 周 波 数=8kHz,符 ー ム 同期 ビ ッ ト数=1 総 ビ ッ ト数 は193ビ
号 化 ビ ッ ト数=8ビ
ッ ト,チ ャ ネ ル 数=24,フ
レ
ビ ッ トを代 入 す る と,上 式 の括 弧 内 に示 す フ レー ム 内 の
ッ トで あ り,伝 送 路 に お け る伝 送 速 度 は1.544Mbit/sと
な
る。 (b) 多 重 化 の 形 式 多 重 化 の 形 式 で代 表 的 な もの は,① チ ャ ネ ル 多 重 と② ビ ッ ト多 重 で あ る。 チ ャ ネ ル 多 重 は 1チ ャ ネ ル 分 の 8ビ ッ トを単 位 に ま とめ た多 重 化 で オ ク テ ッ ト多 重 や バ イ ト多 重 とい う こ と もあ る 。 これ を 図2.11に 示 す 。 一般 に多 重 化 は 複 数 の低 次 群 信 号 を高 速 の一 つ の 高 次 群 信 号 に ま とめ る こ とを 指 す が,チ
ャネ ル多
図2.11
多重 化形 式
重 は常 に 8ビ ッ トを一 ま とめ に して 多 重 化 す る形 式 で,ビ
ッ ト多 重 は 8 ビ ッ ト
を ば ら ば ら に して ビ ッ ト単 位 で 多 重 化 す る形 式 で あ る 。 図2.9の 時 分 割 多 重 の 原 理 の 説 明 で は現 在 広 く採 用 さ れ て い るチ ャ ネ ル 多 重 の形 式 の場 合 を取 り上 げ た。 一 般 に ビ ッ ト多 重 は 処 理 に メ モ リ容 量 が 少 な くて 済 む 利 点 が あ り,過 去 の デ ィジ タル 伝 送 方 式 で は 最 も広 く使 わ れ て い た が,比 較 的 新 しい デ ィ ジ タル ネ ッ トワー ク で あ る デ ー タ通 信 網 やISDNな
どで は 伝 送 の 多 重 化 処 理 と デ ィ ジ タ
ル交 換 機 内 の処 理 が 密 接 し一 体 とな った 同期 化 した 並 列 多 重 処 理 を行 う こ とが 多 くな っ た 。 こ の よ うな と きに は チ ャ ネ ル多 重 が 必 要 とな り,現 在 で は デ ィ ジ タ ル 交換 機 との イ ン タ フ ェ ー ス とな って い る 1,2 次 群 の デ ィジ タ ル伝 送 の 多 重 化 は チ ャ ネ ル 多 重 形 式 に変 更 され て い る。 (c) 同 期 の 形 式 同 期 につ い て は前 に 原 理 の と ころ で フ レー ム 同 期 につ い て 述 べ た 。 こ れ は フ レー ム 内 の 各 パ ル ス の 時 間位 置 関 係 に関 す る こ とで あ っ た 。 同期 に は,こ の ほ か に 二 つ の 異 な っ た シス テ ム 間 の ク ロ ック周 波 数(情 報 信 号 の パ ル ス 列 の 繰 り 返 し周 波 数)の
同 期 が あ る。 こ れ は 複 数 の低 次 群 信 号 を 高 次 群 信 号 に多 重 変 換
す る と き に大 切 な 同期 で あ る 。 図2.11の よ う な多 重 化 で は 複 数 の 低 次 群 信 号 の ク ロ ッ ク周 波 数 の 間 の 同 期 関係 が 重 要 で あ る 。 す な わ ち,こ ッ ク周 波 数 が 完 全 に 一 致 して い れ ば(同 期 関係)高
れ らの 信 号 の ク ロ
次群信 号へ の多重化 は比較
的容 易 で あ る。 一 般 に 同 一 場 所 で 多 重 化 す る と き は共 通 の 主 発 振 器 を も と に し て各 種 の 速 度 の パ ル ス を作 成 す る こ とが で きる の で 同期 関 係 に あ り問 題 は ない
が,低 次 群 信 号 を地 理 的 に離 れ た 場 所 か ら伝 送 路 を介 して 集 め て か ら高 次群 信 号 を多 重 化 す る と きに は,複 数 の 独 立 した低 次 群 信 号 の伝 送 シス テ ム とな り各 局 の 独 立 した 発 振 源 が も と に な る た め,各 信 号 の ク ロ ック 周 波 数 間 に は わ ず か の ず れ を生 じ(非 同期 関 係)こ
の ま ま多 重 化 す る こ とは で き な い 。 この よ う に
異 な る シ ス テ ム 間 の ク ロ ッ ク周 波 数 を一 致 させ る こ とを周 波 数 同 期 とい う。 周 波 数 同期 を確 立 す る た め の 方 法 と して は,① 通信 網 同 期 と② ス タ ッ フ同 期 の 2 種 の 形 式 が あ る 。 通 信 網 同期 は 略 して 網 同 期 と も呼 ば れ て い る が,こ
れ は図
2.12の よ う に 同 期 情 報 の供 給 系 を作 り,主 局 に きわ め て 周 波 数 安 定 度 の 高 い 発 振 器 を設 置 し,ネ
ッ トワー ク 内 の す べ て の従 局 に周 波 数 情 報 を送 り従 局 の発 振
器 の 周 波 数 を 同 期 化 させ る形 式 で あ る。 通 常 主 局 の 発 振 器 に は周 波 数 安 定 度 の 高 い 原 子 発 振 器(Csで
は1×10-11程
度)が 使 わ れ て い る 。 ま た,こ
の よ うな
同 期 の と り方 は厳 密 に い え ば網 同 期 の な か の従 属 同 期 方 式 と呼 ば れ て い る もの で,こ の よ うな 完 全 同期 化 を行 っ た 上 で多 重 化 す る方 式 を同 期 多 重 化 方 式 とい う。
図2.12
通信 網同期
これ に対 しス タ ッ フ 同期 は各 低 次 群 信 号 の シ ス テ ム 間 の 非 同期 関 係 を そ の ま まに して 多 重 化 を 行 う方 式 で 非 同期 多 重 化 方 式 の一 種 で あ る。 非 同 期 の 状 態 で 多 重 化 す る た め に は特 別 の 工 夫 が 必 要 で,ス 各 低 次 群 信 号 を い った ん メ モ リ に蓄 え,次
タ ッフ 同 期 を 簡 単 に 説 明 す る と,
に どの低 次群 信 号 よ りも わ ず か に速
い ク ロ ッ クで 読 み 出 す こ と に よ り同 期 を と る方 法 で あ る 。 そ して低 次 群 信 号 の ク ロ ッ ク と読 み 出 し ク ロ ッ ク と の差 は ス タ ッフパ ル ス と呼 ば れ る 余 分 の パ ル ス を,予 め 定 め られ た と こ ろ に と き ど き挿 入 す る こ とで調 整 す る。 この ス タ ッ フ 同期 は 通 常 ビ ッ ト多 重 と併 せ て 使 用 され る。 こ のス タ ッ フ同 期 に よ る非 同 期 多
重 化 は低 次 群(1,2
次 群)の
同 期 ・多 重 化 が 同期 多 重 化 方 式 に変 更 され た 後
も高 次 群 で 使 用 され て い た が,近 年,新
しい 同期 デ ィ ジ タル 網 の 国際 標 準 が 制
定 さ れ て か らは 高 次 群 で も同 期 多 重 化 方 式 に変 更 され つ つ あ り,非 同期 多 重 化 方 式 は 次 第 に 姿 を消 す 状 況 に あ る。 (d) デ ィ ジ タ ル ハ イ ア ラ ー キ 多 重 化 の 階 層構 成 は前 に述 べ た よ う に ハ イ ア ラ ー キ と呼 ば れ て お り,デ ィ ジ タ ル の ハ イ ア ラー キ は ア ナ ロ グ と異 な っ て 国 際 標 準 が 1本 化 され ず 日本,北 米, 欧 州 の 3本 立 て で 今 日に 至 っ た経 緯 が あ る 。 しか し,近 年,ISDN時
代 を迎 え
て 技 術 の 見 直 しが 必 要 に な り,こ の 機 会 を捉 え てハ イ ア ラ ー キ 統 一 の機 運 が 高 ま り,ITUに
お い て 新 しい 同 期 デ ィジ タ ル ハ イ ア ラ ー キ が 制 定 され た 。 そ の
要 点 は,①
国 際 接 続 の ネ ッ トワ ー ク ノ ー ド イ ン タ フ ェ ー ス の 伝 送 速 度 を
155.520Mbit/sお
よび そ の n倍(n=4,16)と
す る こ と と,② 同 期 ・多 重 化 の
方 式 は従 来 の 非 同 期 多 重 を 同 期 多 重 に変 更 す る こ とで あ り,そ の ほ か マ ル チ メ デ ィ ア に整 合 す る た め のATMの 果,新
採 用,フ
レー ム 内 構 造 の 工 夫 が あ る。 そ の 結
しい わ が 国 の デ ィ ジ タ ル ハ イ ア ラ ー キ は表2.5の よ う に変 わ る こ と と な
った 。 デ ィ ジ タ ル 伝 送 方 式 は こ の 表 に対 応 す る 形 で 1次 群 か ら 5次 群 の 方 式 が あ り,伝 送 媒 体 は 1次 群 が 平 衡 ケ ー ブ ル,2 次 群 以 上 は 光 フ ァイ バ が 主 流 で,ほ か に高 次 群 で 同軸 ケ ー ブ ル と無 線 の マ イ ク ロ波 が 使 わ れ て い る 。 そ して最 近 で は超 高 速 光 フ ァ イバ 伝 送 方 式 と して 5次 群 の 4倍 の2.4Gbit/s方 式 や,さ そ の 4倍 の10Gbit/sの
方 式 が 実 用 化 さ れ て い る 。 ま た,情
表2.5デ
ィジ タル ハ イ ア ラ ー キ
らに
報 信 号 は伝 送 速 度
に応 じて 多 重 化 ス テ ッ プ の各 次 群 に入 力 す る こ とが で き る。 す な わ ち,音 声 は 0次 群,デ
ー タ信 号 と画 像 信 号 は 速 度 別 に 対 応 す る次 群 に入 力 され る。
[3] 中継伝 送路 (a) 概 要 情 報 信 号 を中 継 伝 送 路 を経 由 して伝 送 す る と きに は,伝
送 媒 体 と して 有 線 系
(平 衡 ケ ー ブ ル,同
空間 の電波伝搬 によ
軸 ケ ー ブ ル,光
フ ァイ バ ケ ー ブ ル)か
る無 線 系 か の 何 れ か を使 用 す る こ とに な り,各 種 の伝 送 シ ス テ ムが あ る 。 これ ら は平 衡 ・同軸 ケ ー ブ ル を使 用 す る基 底 帯 域 伝 送 系 と,光
フ ァ イバ,無
線 を使
用 す る搬 送 波 伝 送 系 に 大 別 す る こ とが で き る。 そ して こ れ らの 伝 送 系 にお け る 伝 送 を そ れ ぞ れ 基 底 帯 域 伝 送(ま は キ ャ リヤ バ ン ド伝 送,帯
た はベ ー ス バ ン ド伝 送),搬
域 伝 送)と
た
呼 んで い る 。 基 底 帯 域 伝 送 は 一 般 に直 流
を 含 む 低 周 波 の ス ペ ク トル を もつ 信 号(一 PCM信
送 波 伝 送(ま
般 に は 音 声 や 画 像 な ど の 原 信 号,
号 の よ う な情 報 源 符 号 化 信 号)を 伝 送 す る こ と を 意 味 し,こ れ に 対 し
て 搬 送 波 伝 送 は 信 号 を搬 送 波 で 変 調 して 周 波 数 ス ペ ク トル を 高 周 波 に 移 動 さ せ,制
限 さ れ た 伝 送 帯 域 内 で伝 送 す る こ とを 意 味 す る 。 な お,こ
波 に は普 通 は光 で は1.3∼1.5μmが,無
線 で は 数GHzの
の 場 合 の搬 送
マ イ ク ロ波 が 多 く使 わ
れ て い る。 これ とは 別 に,電 話 網 を経 由 して デ ー タ伝 送 を行 う場 合 も情 報 信 号 が0.3∼3.4kHzに
帯 域 制 限 さ れ て い る伝 送 系 に よ る伝 送 で あ り,周 波 数 は低 い
が 分 類 上 は 搬 送 波 伝 送 に該 当 す る。 基 底 帯 域 伝 送 に使 用 さ れ る伝 送 媒 体 は伝 送 線 路 で あ り,こ れ に は平 衡 ケ ー ブ ル と同 軸 ケ ー ブ ル が あ る 。平 衡 ケ ー ブ ル は 2本 の 導 体 を撚 り合 わ せ て 単 位(対) と し,多 数 の 対 を集 合 させ た 構 造 とな っ て い る。 この ケ ー ブ ル は大 地 や他 の 導 体 に対 して 構 造 的 に も電 気 的 に も平 衡 した 状 態 に な っ て い る こ と か ら この 名 称 が あ る が,対
ケ ー ブ ル,ペ
ア ケ ー ブ ル,対 称 ケ ー ブ ル と呼 ば れ る こ と も あ る 。
平 衡 ケ ー ブ ル は構 造 が 簡 単 なの で安 価 で あ るが,外
部 か らの 電 磁 波 雑 音 や 隣 接
対 か らの 電 磁 結 合 お よ び 静 電 結 合 に起 因 す る漏 話 雑 音 の影 響 を受 け易 く,広 い 伝 送 周 波 数 帯 域 を必 要 とす る多 重 度 の 高 い 伝 送 シス テ ム に は 使 え な い 弱 点 が あ
る 。 同 軸 ケ ー ブ ル は 内部 の 導 体 を 円 筒 状 の外 部導 体 で 覆 い,こ れ を接 地 した 不 平 衡 型 の ケ ー ブ ル で あ る 。 この ケ ー ブ ル は上 記 雑 音 が 入 らな い よ うに 工 夫 され た構 造 と な っ て い る の で 高価 と な る が 品 質 の高 い伝 送 が で き,超 多 重,長
距離
の伝 送 シス テ ム用 線 路 と して 基 幹 ル ー トで 広 く使 用 され て きた 。 しか し現 在 は 光 技 術 の 進 歩 に よ り基 幹 ル ー トは 同 軸 か ら光 フ ァイ バ に替 わ る 状 況 に な っ て い る。線 路 と して 使 わ れ て い る有 線 伝 送 媒 体 の種 類 と伝 送 特 性 につ い て の詳 細 は, 付 録 1に記 述 して い る。 搬 送 波 伝 送 に は無 線伝 送 と光 伝 送 が あ る。 無 線 伝 送 は主 と して 大 容 量 伝 送 が 可 能 な2∼10GHz帯
の マ イ ク ロ波 を 使 用 し,ル ー ト上 の約50km間
隔 の見通せ
る 山頂 に中 継 所 を設 置 しパ ラボ ラ ア ンテ ナ に よ り電 波 を伝 送 して い る 。 そ して 電 話 多 重 通 信,TV放
送 の 中継 な どに 広 く使 用 さ れ て い る。 ま たパ ラ ボ ラ ア ン
テ ナ は 放物 面 反 射 鏡 とそ の焦 点 に設 置 され た 電 波 の放 射 器 とか ら な り,放 射 器 か らの球 面 波 を反 射 鏡 で 反 射 し平 面 波 に 変 え収 束 した 電 波 を伝 送 す る こ とが で き る の で,指 向 性 の鋭 い 高 利 得 の ア ンテ ナ と して マ イ ク ロ波 や 準 ミ リ波 で よ く 用 い られ て い る。 無 線 の 搬 送 波 伝 送 で使 わ れ て い る変 調 方 式 は,ア ナ ロ グ 伝 送 方 式 で は 主 と してFMが
使 わ れ るが,デ
ィ ジ タル伝 送 方 式 で は 主 と し て デ ィ ジ
タ ル変 調 形 式 の 中の 位 相 変 調(PSK:Phase 変 調(QAM:Quadrature
Shift Keying)と
Amplitude Modulation)が
多値 の直交 振幅
使 わ れ て い る(付
録2
参 照)。 以 下 にベ ー ス バ ン ド伝 送 を代 表 例 に 取 り上 げ て デ ィ ジ タル 中 継 伝 送 路 の 技 術 の概 要 を説 明 し,次 に光 フ ァ イバ 伝 送 の技 術 の 概 要 を説 明す る。 (b) デ ィジ タ ル 中 継 伝 送 路 の 技 術 の 概 要 ベ ー スバ ン ド伝 送 に お け る デ ィジ タ ル伝 送 は基 本 的 に は “1” と “0” か ら な る 2進 符 号 の伝 送 で あ る 。 “1” は 普 通,方
形 の パ ル ス を使 うが,一
般 にパ
ル ス の 伝 送 に は広 い 伝 送 帯域 を必 要 と し,伝 送系 の 帯 域 制 限 や 伝 送 特 性 の 影 響 を 受 け 波 形 は ひ ず み,ま た 途 中 で 混 入 す る雑 音 が 重 な り受 信 側 で は “1” と “0” と の見 分 け が つ か な くな る 。 そ の た め,線 路 の 途 中 の 適 当 な 間 隔 に 中 継 器 を置 き劣 化 した信 号 を 識 別 し,送 信 の と き と同 じ信 号 に 再 生 す る 必 要 が あ る。 ア ナ ロ グ信 号 の 中継 器 が 線 路 損 失 の周 波 数 特 性 を補 正 す る負 帰 還 増 幅 器 か ら成
図2.13
デ ィジ タル中継 器の 基本構 成
り立 っ て い るの に対 し,デ ィ ジ タル 信 号 の 中 継 器 は独 特 の 特 徴 を もつ 複 雑 な構 成 に な っ て い る。 図2.13に デ ィ ジ タ ル の 中 継 器 の 基 本 構 成 を示 した が,波 形 整 形(Reshaping), 識 別 再 生(Regenerating),整
時(Retiming)の
て い る 。 頭 文 字 が す べ て Rな の で3Rの
3種 の 基 本 機 能 か ら成 り立 っ
機 能 と もい う。 図 で 波 形 は デ ィ ジ タル
信 号 が101の 場 合 につ い て 示 して い る 。 波 形 整 形(等 化 増 幅 と もい う)は 伝 送 媒 体 の損 失 の周 波 数 特 性(銅 線 ケ ー ブ ル で はdB表 示 の 減 衰 量 は√fに比 例 す る) に よ る 波 形 ひず み を生 ず る の で,逆
の周 波 数 特 性 を もつ 等 化 増 幅 器 で 除 去 す る
機 能 で あ る 。 しか し,完 全 に は 除 去 す る こ とが 難 し く符 号 間 干 渉 と して 次 の 識 別 再 生 の と き に後 の 符 号 列 に 若 干 の 影 響 を与 え る こ とに な る 。 識 別 再 生 は 図 2.14に 示 した よ う な ス テ ッ プ状 の 入 出力 特 性 を もつ 識 別 回 路 と高 出 力 パ ル ス 発 生 の 再 生 回 路 か らな る が,識 別 回 路 は ス レ シ ョル ドの 値(し
きい値)を
超 える
入 力 信 号 振 幅 に対 して の み “1” の 出 力 を 生 じ,そ れ 以外 は “0” とす る特 徴
(a)入 出 力 特 性
(b)識 別 時 の 波 形 関 係 と し き い 値
図2.14
識別 回路 の特性
を 持 つ 回路 で あ る 。 整 時 は 受信 信 号 の 中 に含 まれ て い る ク ロ ッ ク情 報 成 分 を抽 出 し,こ れ を も とに ビ ッ ト同期 の た め の鋭 い タ イ ミ ング 波 を つ く り,識 別 の と こ ろで 再 生 パ ルス の 時 間配 列 を整 え る機 能 で あ る。 ア ナ ロ グ伝 送 の場 合 に中 継 器 が 負 帰 還 増 幅 器 か ら成 り立 っ て い る の に対 して デ ィジ タ ル伝 送 の 中 継 器 は ア ナ ロ グ よ り複 雑 で 規 模 も大 き くな るが,大 きな特 長 は識 別 再 生 の と こ ろ で あ り, し きい 値 を 持 つ こ と に よ り信 号 が 雑 音 に 強 く,か つ 中継 毎 の 雑 音 の 累積 も小 さ い な ど デ ィジ タ ル の よ さが 発 揮 で き る わ け で あ る。 中 継 伝 送 路 で は 1と 0か らな る2進 符 号 を どの よ うな伝 送 信 号 形 式 で 線 路 に 送 出 す る か が 重 要 で あ り,こ れ を伝 送 符 号 と呼 んで い る 。 1と 0の 2進 符 号 を 単 純 に正 極 の 方 形 パ ル ス の有 と無 に対 応 さ せ る伝 送 符 号 形 式 をユ ニ ポ ー ラ符 号 とい う。この 形 式 で 作 られ た 2進 符 号 の パ ル ス列 は 正 の 直 流 成 分 を 多 く含 む が, 一 般 の 中 継 器 は 入 出 力 に トラ ンス が あ り,ま た 内部 の 段 間 に もCRに
よる交流
結 合 が 多 く使 われ て い る た め 直 流 と低 周 波 成 分 が 遮 断 され る こ と に な る 。 し た が って 信 号 の ひず み が 大 き くな り,識 別 回路 で は雑 音 余 裕 が 小 さ くな る 欠 点 が あ る。 こ の 問 題 を解 決 す る に は,2 進 符 号 の パ ル ス 列 を 正 極 と負 極 の 方 形 パ ル ス の 数 を平 衡 させ る よ う な伝 送 符 号 形 式 を採 用 す る か,回 路 構 成 の工 夫 に よ り ひ ず み を補 償 す る か の 2通 りの 対 策 が あ る が,現 在 は簡 単 な こ とか ら伝 送 符 号 形 式 に よ る 方 法 で 解 決 して い る 。 現 在 広 く使 わ れ て い る代 表 的伝 送 符 号 はバ イ ポ ー ラ符 号 で あ る 。 こ れ は 2進 符 号 の 1が 出 現 す る た び に 極 性 を+1と-1に
変 え た 方 形 波 を 使 い,0
は方形
波 無 しで対 応 させ る伝 送 符 号 で あ る。 こ の符 号 は直 流 分 が 無 く,低 周 波 成 分 も 少 な い特 長 を もつ が,中 継 器 は+1と-1と
0の 3値 を識 別 しパ ル ス を再 生 す
る こ と に な る の で 多 少 回 路 の規 模 が 大 き くな る 。 バ イ ポ ー ラ符 号 は 2進 3値 形 式 の 符 号 で あ り,国 際 的 に はAMI(Alternate
Mark Inversion)符
号 と呼 ば れ
て い る。 伝 送 符 号 形 式 に望 ま れ る具 備 す べ き条 件 は,直 流 分 の こ と の ほ か に タ イ ミ ン グ情 報 成 分 が 多 く含 まれ て い る こ と,伝 送 必 要 帯 域 が 狭 い こ と,中 継 器 に お け る符 号 誤 り率 の 常 時 監 視 が 容 易 な こ とや 障 害 時 の 障 害 標 定 が 容 易 な こ と が あ る。 伝 送 符 号 形 式 は使 用 す る伝 送 媒 体 の伝 送 特 性 に よ っ て異 な り,光 フ ァ
イ バ伝 送 で は伝 送 帯 域 が 非 常 に広 い の で伝 送 速 度 の 増 加 は 問 題 に な らず タイ ミ ング情 報 を多 く含 む こ とに 重 点 を 置 い た伝 送 符 号 が 採 用 され て い る 。 (c)
光ファイバ伝送 の技術 の概 要
電 気 信 号 に代 わ って 光 信 号 を使 う伝 送 は,光 の もつ 広 大 な伝 送 周 波 数 帯 域 か ら膨 大 な 情 報 量 を 送 る こ とが で きる の で,レ
ー ザ が 発 明 さ れ て 以 来,光 伝 送 の
模 索 的研 究 が 各 方 面 で な され て い た 。 す ぐれ た伝 送 シス テ ム を構 築 す る た め に は,当 然 な が ら伝 送 媒 体 に負 う と こ ろ が 多 い 。1970年
に米 国 の コ ー ニ ン グ社
は ガ ラ ス フ ァ イバ が 光 伝 送 の た め の 伝 送 媒 体 と して 最 適 で あ る こ と を実 証 し た。 ま た,こ の 年 は 通 信 に不 可 欠 な 半 導 体 レー ザ の 連続 発 振 に 成 功 した 年 で も あ る。 そ の 後,光 伝 送 の 研 究 は本 格 的 に 開 始 さ れ,そ 歩 を 遂 げ1980年
して 周 知 の 如 く急 速 な進
以 降 は 各 種 の 光 フ ァイ バ 伝 送 シス テ ム が 次 々 に 実 用 化 さ れ,
光 伝 送 が完 全 に伝 送 シス テ ム の 主 役 の座 を 占め 今 日に至 って い る 。 こ こ で光 フ ァ イバ 伝 送 の 原 理 を述 べ て お く。 ガ ラ ス フ ァ イバ は,不 純 物 を 除 去 し極 度 に 透 明 度 を 高 め た 石 英 ガ ラ ス を用 い,コ ア と呼 ば れ る 中 心 層 とク ラ ッ ドと呼 ば れ る外 層 の 2層構 造 か ら な り,微 量 の 材 料 の混 入 に よ り屈 折 率 を調 整 し,ク ラ ッ ドよ り もコ ア の 屈 折 率 が や や 大 き くな る よ うに作 られ て い る。 光 フ ァイ バ 伝 送 の 原 理 は,図2.15に
示 す よ う に,光 は コ ア内 を ク ラ ッ ドと の境 界 面
で全 反 射 を繰 り返 しな が ら進 む 。 つ ま り,光 は ガ ラス の 中 に 閉 じ こめ ら れ て 遠 くに伝 え られ る わ けで,フ
ァ イ バ が 多 少 曲 が っ て い て も コ ア と ク ラ ッ ドの 間 に
あ る程 度 の 屈 折 率 差 が あ れ ば光 が外 に飛 び 出 す こ と は な い。 使 わ れ る 光 の 波 長 は 図2.16に 示 す よ うに,人
間 が 7色 の 光 と して見 る こ との で き る0.4∼0.8μm
図2.15
ガ ラ ス フ ァ イバ 内 の 光 の 伝 搬
図2.16
(1μmは1mm/1000)の
光 通 信 に使 わ れ る光
可 視 光 よ り長 い0.85∼1.55μm帯
れ て い る 眼 に見 え な い 領 域 の 光 で あ る 。波 長1μmは (THzはTera
Herzで1012Hz)に
で 近 赤 外 線 と呼 ば
周 波 数 で い え ば300THz
当 た る の で,い か に超 高 周 波 で あ る か が 理 解
で き よ う。 この よ うに 光 波 は,図 か ら も わか る よ う に多 量 の 情 報 を送 る こ とが で き るマ イ ク ロ波 よ り もは るか に 高周 波 の 電 磁 波 で あ り,膨 大 な情 報 量 を伝 送 で き る能 力 を備 え て い る の で あ る。 しか しな が ら,現 在 実 際 に 使 わ れ て い る光 伝 送 で は,電 気 信 号 を光 信 号 に変 換 す る 半 導 体 レー ザ が 純 粋 に 単 一 な周 波 数 の 光 の 波 と して 発 生 す る こ とが で きず,あ
る程 度 ス ペ ク トル に広 が りを もつ 雑 音
的性 質 を もつ 光 波 とな っ て い る現 状 に あ り,ま た 光 信 号 を 直接 処 理 す る 光 回 路 も研 究 途 上 で 信 号 の 処 理 は 電 気 信 号 に 変換 して行 っ て い る実 状 にあ る。 そ の た め現 在 は上 に 述 べ た能 力 を十 分 生 か す こ とが で きな い が,そ
れ で も過 去 の 電 気
信 号 に よ る伝 送 の 場 合 に比 べ て 2桁 近 くの 多 くの情 報 量 を送 る こ とが で き るの で,広 帯 域 大 容 量 の 伝 送 シス テ ム を実 現 す る こ とが で きる。 光 フ ァイバ は 光 の 伝 搬 モ ー ドに よ っ て マ ル チ モ ー ドフ ァ イバ とシ ン グル モ ー
ドフ ァ イバ に分 類 され る。 両 者 の 違 い は名 前 の 通 り フ ァ イバ 内 を 光 波 が 伝 搬 で き るモ ー ドの 数 で あ り,こ れ は コア の 直 径 の 差 に起 因 す る。 マ ル チ モ ー ドフ ァ イ バ は更 に ス テ ップ イ ンデ ック ス 型 と グ レー デ ッ ドイ ンデ ッ ク ス型 と に分 類 さ れ る。 両 者 の 違 い は コ ア 内 の屈 折 率 分 布 で,前 者 が 階段 状 に変 化(通 の 屈 折 率 は ク ラ ッ ドの そ れ に比 して1%程
度 高 い)し
緩 や か な 2乗 分 布 と な っ て い る 。 そ の 結 果,グ
常 は コア
て い るの に対 して 後 者 は
レー デ ッ ドイ ンデ ッ クス 型 の伝
送 帯 域 は シ ン グ ル モ ー ドに は 及 ば な い も の の か な り広 くな る利 点 が あ る。 光 フ ァ イバ 伝 送 方 式 に使 用 さ れ る 光 フ ァ イバ は,最 初 は マ ル チ モ ー ド形 式 の 中 の ス テ ップ イ ンデ ック ス フ ァ イバ で あ っ た が ま も な く伝 送 帯 域 の広 い グ レー デ ッ ド イ ンデ ック ス フ ァイ バ に 替 わ り種 々 の 光 伝 送 方 式 が 実 用 化 さ れ た。 そ の 後,シ ン グ ル モ ー ドフ ァイ バ の 技 術 進 歩 と経 済 化 が 進 み,現
在 で は最 も特 性 の よ い シ
ン グ ル モ ー ドフ ァイ バ が 主 流 とな り広 く使 わ れ る に至 って い る 。 な お こ れ 以 上 の 光 フ ァイ バ の 種 類 と伝 送 特 性 に つ い て は付 録 1で 詳 細 に述 べ て い る 。 次 に光 伝 送 の 中継 器 の 考 え 方 に つ い て 述 べ る 。 こ れ は 前 に述 べ た よ う に光 信 号 が 雑 音 的扱 い に な っ て い る こ と と光 回 路 技 術 が ま だ 成 熟 して い な い こ とな ど の 理 由 に よ り,光 信 号 は フ ァイバ の 中 だ け で 中継 器 に お け る波 形 整 形,識 別 再 生,整
時 の 機 能 い わ ゆ る3Rの 機 能 の 処 理 は電 気 信 号 で 行 っ て い る の が 現 状 で
あ る。 光 中 継 器 の基 本構 成 は 図2.17に 示 す よ うに,フ 継 器 の 入 力 で ま ず 受 光 素 子 に よ るO/E変 3Rの 処 理 を行 い,中
ァイ バ か らの 光 信 号 を 中
換 で 電 気 信 号 に 変 換 し,電 気 信 号 で
継 器 の 出 力 で 半 導 体 レー ザ(発
光 素 子)に
よ るE/O変
で 光 信 号 に 変換 し伝 送 す る考 え方 とな っ て い る。 これ とは 別 に最 近,光
図2.17
光伝 送の 中継器
換
ファイ
バ 増 幅 器 が 新 し く登 場 した 。 これ は希 土 類 元 素 の エ ル ビ ウ ム を添 加 した 光 フ ァ イバ を用 い,こ
れ に 別 の 半 導 体 レー ザ を励 起 光 源 とす る 光(波
長1.49μm)を
カ ップ ラー を通 じて 入 射 し,信 号 光 に 重ね て フ ァイ バ 内 を伝 送 させ て 誘 導 放 出 の状 態 を作 り,信 号 光 を増 幅 す る もの で あ る。 これ は 中継 器 と して 使 う こ とが で き,形 式 的 に は 前 に 述 べ た3Rの
中継 器 が 再 生 中 継 器(非
線 形 の 中継 器)で
あ る の に対 して線 形 の 中継 器 とい う こ とが で きる 。 再 生 中継 器 が ビ ッ トレー ト に対 応 して設 計 す るの で,異
な る ビ ッ トレー トの 伝 送 に は使 え な い が,線
継 器 の 場 合 に は ビ ッ トレー トの 制 約 が あ ま りな い の で,伝
形中
送 シ ス テ ム の伝 送 容
量 が 通 信 需 要 の 変 化 で増 大 させ る 必 要 に迫 られ た と き,そ の ま まの 設 備 で 容 易 に 対 応 で きる な ど シ ス テ ム 運 用 上 の 利 点 が あ る。 光 フ ァイバ 伝 送 シ ス テ ム は現 在 各 種 の シス テ ム が 実 用 に 供 さ れ て い る が,殆 どが 再 生 中 継 器 を使 用 した シ ス テ ム で あ る。 表2.6に 最 新 の 技 術 を駆 使 し最 近 実 用 化 さ れ た 陸 上 の10Gbit/s大
容 量 光 伝 送 シス テ ム の 内 容 を示 す 。 こ の シ ス
テ ム は線 形 中 継 器 と再 生 中継 器 と を組 み合 わ せ た シ ス テ ム で あ る。 こ の ほ か に 線 形 中継 器 を多 用 した 海 底 ケ ー ブ ル シ ス テ ム や,一 本 の 光 フ ァイ バ の 上 に波 長 の異 な る 複 数 の 光 を重 ね て伝 送 す る光 波 長 多 重 伝 送 シ ス テ ムが あ る 。 また 最 近 は伝 送路 の 光 化 で最 後 に残 され た加 入 者 系 の 光 伝 送 シ ス テ ム の研 究 開発 が 鋭 意 進 め られ て い る。 光 フ ァ イバ ケ ー ブ ル は 以 前 の銅 線 ケ ー ブ ル に 比 して,細 径 軽
表2.610Gbit/s大
容量光伝送 システム
量,無
雑 音 無 誘 導,低 損 失,広 帯 域 な ど極 め て優 れ た長 所 を もつ 空 前 絶 後 と も
い え る伝 送 媒 体 で あ る。 光 伝 送 の要 と な る技 術 は フ ァ イバ と光 デ バ イ ス で今 後 も進 展 す る もの と考 え られ,ま
た コ ヒ レ ン ト伝 送 の研 究 も進 ん で い る の で,光
の 潜 在 的 能 力 を十 分 発 揮 した 理 想 的 な伝 送 シ ス テ ム の 時 代 の幕 開 け は 意 外 に早 い か も しれ ない 。
交換技術
2.3 [1] (a)
概 要 交換 機の構成 と機能
交 換 の 機 能 を 実 現 す る た め の交 換 機 は,使 用 目的 に よ り加 入 者 線 交 換 機 と中 継 線 交 換 機 に分 類 さ れ る。 加 入 者*を 加 入 者 線 を介 して 直 接 収 容 し加 入 者 間 の 接 続 を行 う加 入 者 線 交 換 機 は 図2.18に 示 す 基 本 構 成 で 成 り立 っ て い る 。 通 話 路 ス イ ッチ 網 は情 報信 号 の 経 路 を作 る もの で,概 念 的 に い え ば入 線 と出 線 の 間 で 任 意 の 接 続 を行 わ せ る た め,図2.19の
よ う な格 子 ス イ ッチ か らで き て い る。 そ
して 各 交 点 に は リ レー 接 点 や トラ ン ジス タ な どの 電 子 ゲ ー トに よ る マ トリ ック
図2.18
交換 機 の 基 本構 成
図2.19格
子 ス イ ッチ
*加 入 者 とい う用 語 につ い て :電 話 ネ ッ トワ ー ク の 利用 者 は この ネ ッ トワー ク を利 用 す る 契 約 を 行 っ て い るの で,従
来 か ら加 入 者 とい う用 語 が 使 わ れ て きた.こ
れ に 対 して 電 話 以 外 の ネ ッ ト
ワ ー クの 利 用 者 は直 接 サ ー ビ ス を 受 け て い る こ とを 意 識 し,ユ ー ザ と呼 ば れ る こ と が 一 般 的 で あ る.本 書 で も この 慣 習 に した が っ て 表 現 す る.
ス ス イ ッチ を配 置 し,こ れ を制 御 装 置 か らの信 号 で 開 閉 し て入 線 と出 線 の 間 を 接 続 す る構 成 と な っ て い る。 制 御 装 置 は送 信 側 加 入 者 か ら ダ イ ア ル され た番 号 に対 応 し通 話 路 ス イ ッチ 網 を制 御 す る装 置 で あ る。 電 話 が 自 局 内 接 続 の場 合 の 信 号 経 路 は,図
の加 入 者 線 側 の 自己 の 端 子 か ら通 話 路 ス イ ッチ 網 に入 り接 続 し
た 後,加 入 者 線 側 の 相 手 端 子 に 出 る こ とに な り,電 話 相 手 が他 局 の 場 合 の 信 号 経 路 は通 話 路 ス イ ッチ 網 か ら中 継 線 に 出 る こ と とな る。 信 号 装 置 は加 入 者 線 側 と中 継 線 側 とに あ り,加 入 者 か らの 発 呼 の 検 出,相 手 番 号 受 信 や,加 入 者 へ の 呼 出信 号,話
中 音 な ど の加 入 者 と交 換 機 の 間 の制 御 信 号 の 送 受 と,交 換 機 間 の
各 種 の 制 御 信 号 の 送 受 を 受 け 持 つ 装 置 で あ る。 以 上 述 べ た 交 換 機 は加 入 者 線 交 換 機 で あ っ た が,中 継 線 交 換 機 の 場 合 の 構 成 は,交 換 機 に 入 出力 して い る線 が す べ て 中 継 線 に 変 わ る だ け で あ り,中 継 線 の 経 路 選 択 と空 き線 選 択 が 交 換 の 目 的 とな る。 (b) 交 換 機 の 変 遷 こ こで 簡 単 に交 換 機 の 発 展 の経 過 を述 べ る 。 わ が 国 に 初 の 自動 交 換 機 が 導 入 され た の は,大
正12年 の 関 東 大 震 災 直 後 の 東 京 で あ っ た 。 こ の 方 式 は ス テ ッ
プ バ イ ス テ ップ と呼 ば れ て い る 通 話 路 ス イ ッチ 網 と制 御 装 置 を一 体 構 造 と した 個 別 制 御 と呼 ば れ る方 式 で あ っ た 。 こ れ は番 号 の 桁 ご と に接 続 を順 次 先 に 伸 ば して ゆ く方 式 で あ るが,効 率 の 悪 さか ら,そ の 後 に 出 現 した ク ロ スバ 交 換 機 に 移 行 した 。 こ の 交 換 機 は ダ イ ア ルパ ル ス を一 度 蓄 積 し,通 話 路 設 定 を 一 度 に行 う方 式 で,通 話 路 ス イ ッチ 網 と制 御 装 置 の 機 能 を 分 け た共 通 制 御 と呼 ば れ る方 式 で効 率 が よ く,ま た通 話 路 ス イ ッチ網 を構 成 して い る ク ロス バ ス イ ッチ の信 頼 性 が 高 い こ と な どに 長所 が あ り,戦 後 の 電話 網 の 復 旧 に大 きな 貢 献 が あ っ た 。 以 上 に述 べ た 交 換 機 は す べ て 電 磁 部 品 と機 械 的 接 点 に よ る もの で あ り,ま も な く研 究 開発 され た電 子 交 換 方 式 に 置 き換 え られ る とこ ろ と な っ た 。 電 子 交換 方 式 は 当初 目標 と して い た 全 電 子 化 は果 たせ な か っ た もの の,通
話 路 ス イ ッチ
網 を除 きす べ て 電 子 化 され た。 そ の と き 同時 に 制 御 装 置 に蓄 積 プ ロ グ ラ ム制 御 (SPC)が
導 入 さ れ 機 能 追 加 が 容 易 と な る な どコ ン ピ ュ ー タ化 さ れ た 意 義 は 大
きい 。 そ の 後,デ
ィ ジ タル 技 術 とLSI技 術 の 発 展 を受 け て 新 しい 通 話 路 ス イ ッ
チ の 電 子 化 の研 究 が 進 め られ た 。 そ の と きに は 格 子 ス イ ッチ を効 率 の 点 か ら時 分 割 多 重 に使 用 す る こ とが 考 え られ,そ
の た め の 変 調 方 式 の 選 定 が 大 きな研 究
課 題 とな っ た 。 そ の と き に は 伝 送 分 野 でPCMの 完 成 して お り,研 究 結 果,最
1チ ャ ネ ルLSI化CODECが
適 変 調 方 式 と し てPCM方
換 機 は デ ィ ジ タ ル 交 換 機 と呼 ば れ,1982年
式 が選 ばれ た。 この交
か ら広 く実 用 に供 さ れ る と こ ろ と
な っ た 。 こ れ に 対 し,そ れ 以 前 の機 械 系 の ス イ ッチ を使 っ た 交 換 機 は正 式 に は 空 間分 割 方 式 と呼 ん で い るが,デ
ィ ジ タ ル交 換 と対 比 しア ナ ロ グ 交換 の 名 前 で
呼 ぶ こ と もあ る 。 (c) 交 換 機 の 種 類 次 に 交 換 方 式 の 機 能 別 の 種 類 に つ い て 述 べ る 。 現 在 実 用 方 式 と して 広 く使 わ れ て い る の は,① 回 線 交 換 方 式,② パ ケ ッ ト交 換 方 式 の二 つ で あ る 。ま た 最 近, マ ル チ メ デ ィ ア 通 信 用 の 交 換 と して研 究 し,上 記 の 2方 式 の 長 所 を 組 み 合 わせ て 最 適 化 し有 望 視 さ れ て い る 交 換 方 式 にATM(Asynchronous Mode;非
同 期 転 送 モ ー ド)が あ る。 ATMは
6章 で述 べ るISDNの
Transfer 研 究過程 で
生 ま れ た もの で あ る の で 6章 で 述 べ る こ と と し,こ こで は上 記 2方 式 に つ い て 説 明す る 。 回線 交 換 方 式 は,発
呼 か ら切 断 ま で 通 信 回線 が ユ ー ザ に 占 有 さ れ て い る方 式
で あ る 。 す な わ ち,ユ
ー ザ が ダ イ ア ル す る と相 手 側 との 間 に 最 短 経 路 で 物 理 的
に伝 送 路 が 設 定 され,切
断 まで の 間 交換 機 は 関与 せ ず た とえ 通 信 時 間 内 に空 き
時 間が 多 く含 ま れ て い て も,距 離 と通信 時 間で 決 ま る料 金 が 課 せ られ る 仕 組 み と な っ て い る方 式 で あ る 。 この 方 式 は 通 常 の 電 話 網 で 広 く使 わ れ て お り,特 に 断 らな い 限 り交 換 機 と い え ば こ の方 式 を指 して い る 。 前 に空 間 分 割 交 換 か ら現 在 広 く使 わ れ て い るデ ィジ タ ル交 換 に 至 る まで の変 遷 を述 べ た が,こ
れ ら はす
べ て 回線 交 換 方 式 で あ る。 パ ケ ッ ト交 換 方 式 は蓄 積 交 換 方 式 の 一種 で,近 年 デ ー タ通 信 用 の交 換 と して 発 展 して きた 方 式 で あ る。 蓄 積 交 換 方 式 は 端 末 か らの情 報 信 号 を交 換 機 で い っ た ん蓄 積 し,相 手 端 末 の ア ドレス を付 加 して 送 信 す る 方 式 で あ る。 交 換 機 をい くつ も経 由 す る場 合 に は,各 交 換 機 で 蓄積 送 信 を繰 り返 す の で 通 信 に 遅 れ を生
(a)回 線 交 換 方 式
(b)パ ケ ッ ト交 換 方 式
図2.20
じ即 時 性 が 失 わ れ るが,情
交換方式の原理
報 信 号 の 誤 り制 御,再 送 な どの 伝 送 制 御 や,同
報通
信 が で きる な どの 利 点 を生 む 。 パ ケ ッ ト交 換 方 式 は 蓄積 交換 方 式 で 扱 っ て い る メ ッ セ ー ジ をパ ケ ッ トと 呼 ば れ て い る 短 い 一 定 の 長 さの 情 報 ブ ロ ッ ク に分 割 し,こ れ に宛 先 情 報 が 入 っ て い るヘ ッ ダ を付 け 網 内 を転 送 す る。 パ ケ ッ ト単 位 で蓄 積,転
送 を行 う蓄 積 交 換 方 式 の 中 の 代 表 的 な方 式 で あ る 。
図2.20に は これ らの 方 式 の原 理 を示 した 。 電 話 の よ う な会 話 型 の通 信 形 態 の 場 合 に は,通 信 に 遅 れ が あ っ て は な らず 即 時 性 が 必 要 と な る の で 専 ら回 線 交 換 方 式 が使 われ て い る 。 デ ー タ通 信 の場 合 に は 回線 交換 方 式 とパ ケ ッ ト交 換 方 式 の 両 方 と も使 わ れ て い るが,パ
ソ コ ン通 信 の よ うに デ ー タ を 間 欠 的 に送 る よ う
なデ ー タ通 信 で はパ ケ ッ ト交 換 方 式 の 方 が 効 率 が よ く,デ ー タ通 信 の世 界 で は 現 在 パ ケ ッ ト交 換 方 式 が 広 く使 わ れ て い る 。 こ の後 は 回 線 交 換 方 式 の 代 表 的 な 交 換 機 と して の デ ィジ タル 交 換 機 と,パ ケ ッ ト交 換 方式 につ い て さ らに 詳 し く 述 べ る。
[2] デ ィ ジ タ ル 交 換 機 前 に 図2.18で 交 換 機 の 基 本 構 成 を述 べ たが,こ 共 通 な構 成 で あ り,ア ナ ロ グ交 換(空 交 換)の
れ はす べ て の 回線 交 換 方 式 に
間 分 割 交 換)と
デ ィジ タ ル 交 換(PCM
違 い は 主 と して通 話 路 ス イ ッチ 網 に あ る。 ア ナ ロ グ交 換 は 機 械 系 の ス
イ ッチ で 構 成 す る の に対 して,デ
ィジ タ ル 交 換 はLSIの
ス イ ッチ で 構 成 す る 。
機 械 系 ス イ ッチ は接 点 を通 る信 号 の 波 形 や 電 圧 な どに何 の 制 限 も ない た め 多 様 な 制 御 信 号 を 自由 に扱 う こ とが で き る 長 所 を有 す る が 大 型 に な る 欠 点 が あ る 。 LSIス イ ッ チ は 小 型,高
信 頼 性,低
価 格 の 長 所 を有 す るが 扱 う信 号 は 画 一 的 な
もの に 統 一 しな け れ ば な ら な い 欠 点 が あ る 。 交 換 機 の 完 全 な 電 子 化,つ
まり
LSI化 を進 め る に は接 点 を通 る 情 報 信 号 と各 種 の 制 御 信 号 の 一 元 化 は 避 け られ ず,必
然 的 に “1” と “0” の 2値 信 号 で 扱 う こ とに な り,情 報 信 号 はPCM
信 号 と な り,こ れ らの こ とか らデ ィ ジ タ ル 交 換 機 が 誕 生 した 。 通 話 路 ス イ ッチ 網 を デ ィ ジ タ ル化 す る に は,ま ず 通 話 路 ス イ ッチ 網 に入 る す べ て の 信 号 を 2値 化 して お か な け れ ば な らな い 。 そ の 中 の 情 報 信 号 に 関 して は CODECに
よ り予 めPCM信
号 に 符 号 化 し多 重 化 し て お く こ とが 重 要 で あ る。
次 に通 話 路 ス イ ッチ 網 の デ ィ ジ タル 化 で あ る が,こ 図2.19に 示 し た格 子 ス イ ッチ を そ の ま まLSI化 と も い う)と,多
重 化PCM信
れ を実 現 す る ス イ ッチ に は
した 空 間 ス イ ッ チ(S ス イ ッチ
号 の 時 間 位 置 の 入 れ 替 え を行 う時 間 ス イ ッ チ
(Tス イ ッチ と も い う)と が あ る。 時 間 ス イ ッチ の 原 理 を図2.21に 示 す 。 予 め デ ィ ジ タル化 され 多 重 化 さ れ た 多 重 化PCM信
号 が 入 ハ イ ウ ェ イ を経 て 時 間 ス イ ッチ に入 る と,時 間 ス イ ッチ は
タ イ ム ス ロ ッ トで 表 現 され た時 間位 置 の 順 序 の 入 れ 替 え 交 換 を行 い,出 ハ イ ウ ェ イ に 出力 す る。 図 で は 入 ハ イ ウ ェ イ上 の タイ ム ス ロ ッ ト 1,2,3
に入 っ て
い る情 報 A,B, Cが 出ハ イ ウ ェ イ上 で は B, A, Cに 変 化 して い る 。す な わ ち, A とB の タ イム ス ロ ッ トが 入 れ 替 え交 換 され た こ と に な り,図 の 両 端 の 端 子 の 情 報 を見 れ ば そ の 確 認 が で き る。 時 間 ス イ ッチ は情 報 メ モ リ と順 序 書 き込 み カ ウ ン タ お よび 読 み 出 し制御 メモ リか ら構 成 され る。 情 報 メモ リはユ ー ザ の情 報 を 記 憶 す る メ モ リ で,順 序 書 き込 み カ ウ ン タは 入 ハ イ ウ ェ イか らの 入 力 を情 報
図2.21 時 間ス イ ッ チ の原 理
メモ リ の番 地 に タイ ム ス ロ ッ トの 順 序 で 書 き込 む。 読 み 出 し制 御 メ モ リ は入 ハ イ ウ ェ イ の タ イ ム ス ロ ッ ト番 号 を 出ハ イ ウ ェ イの どの タ イ ム ス ロ ッ トに入 れ替 え る か を指 定 す る。 す な わ ち,タ
イ ム ス ロ ッ ト番 号 に対 して情 報 メ モ リの 読 み
出 し ア ドレス を指 定 す る。 動 作 は入 ハ イ ウ ェ イか ら入 っ て きた 入 力 信 号 を タ イ ム ス ロ ッ トご と に情 報 メ モ リに 順 次 書 き込 み,読 み 出 しは 読 み 出 し制 御 メモ リ の 内 容 に応 じて ス イ ッチ が 切 り替 わ る こ と とな り,そ の 結 果 信 号 の 時 間 順 序 は 入 れ 替 わ る。 な お,図2.21に
は時 間 ス イ ッチ と等価 な働 き を行 う空 間分 割 型 の
Sス イ ッチ 回路 を併 せ て 示 して お い た。 実 際 の 通 話 路 ス イ ッチ 網 は T ス イ ッチ とSス イ ッチ を組 み 合 わせ て構 成 す る が,現
在 はTSTの
順 に よ る構 成 が 主 流 と な っ て い る。 T ス イ ッチ と Sス イ ッ
チ の ハ イ ウ ェ イ を流 れ る 多 重 化PCM信
号 の 1タ イ ム ス ロ ッ トは チ ャ ネ ル単 位
で あ り,8 ビ ッ トの 信 号 で あ る。 また,実 際 の 交換 機 のハ イ ウ ェ イ の 伝 送速 度 は加 入 者 線 交 換 機 の 場 合 は2.048Mbit/s(32タ 継 線 交 換 機 の 場 合 は8.192Mbit/s(128タ
イ ム ス ロ ッ ト多 重)で
イ ム ス ロ ッ ト多 重)が
あ り,中
使 われ ている。
デ ィジ タル 交 換 機 に は通 話 路 ス イ ッチ 網 の ほ か に 制 御 装 置 と信 号 装 置 が あ る が,制 御 装 置 は基 本 的 に は以 前 か らの 蓄 積 プ ロ グ ラ ム 制 御(SPC)の
考 え方 を
そ の ま ま踏 襲 して お り大 き な 変 化 は な い 。 しか し,信 号 装 置 はLSI化
された通
話 路 ス イ ッチ 網 の 中 を高 圧 の 制 御 信 号 を通 せ な くな っ た こ とな どか ら,個 々 の
加 入 者 線 側 に加 入 者 回路 を 設 け て加 入 者 対 応 の機 能 を処 理 す る な ど,ア ナ ロ グ 交 換 の と き と は異 な っ た配 置 と な っ て い る。
[3] パ ケ ッ ト交 換 方 式 パ ケ ッ ト交 換 方 式 に つ い て は,前
に 原 理 を簡 単 に述 べ た が,こ
理 を よ り詳 し く説 明 す る と共 に 端 末 の 種 類,ネ
こで は動 作 原
ッ トワ ー ク構 成,パ
ケ ッ ト長,
パ ケ ッ ト交 換 の 特 長 な ど に つ い て 述 べ る 。 (a) 動 作 原 理 パ ケ ッ ト交換 は 図2.22に 示 す よ う に,通 信 文 を 一 定 長 に 区切 っ て パ ケ ッ トを 作 り,宛 先(ア け て,パ
ド レス)や パ ケ ッ トの 順 序 番 号 な どの 情 報 か ら な る ヘ ッダ をつ
ケ ッ ト単 位 で 蓄 積 交 換 す る 交 換 方 式 で あ る。 パ ケ ッ ト交 換 機 は端 末 か
ら送 られ て きた パ ケ ッ トデ ー タ をい っ た ん,バ
ッ フ ァ メモ リに 蓄 積 し,通 信 回
線 の 空 き状 況 に応 じて網 内 を転 送 す る。 個 々 のパ ケ ッ トに は宛 先 と順 序 番 号 が つ い て い る の で,ネ
ッ トワ ー ク の混 み ぐあい に応 じて 伝 送 経 路 を任 意 に 選 択 す
れ ば よ く,受 信 側 の 交 換 機 で ば らば ら に到 着 した パ ケ ッ トか ら も と の 通 信 文 に 組 み立 て る わ け で あ る。 す なわ ち,パ ケ ッ ト交 換 は 回 線 交 換 の よ う に通 信 して い る時 間 中,伝
送路 を専 有 す る の で は な く,他 のユ ー ザ と共 有 し,ま た伝 送 経
路 はパ ケ ッ トご とに 空 い て い る とこ ろ を随 時 選 択 す る こ と に な る の で ネ ッ トワ ー ク の混 雑 が 平 準 化 され ,利 用 効 率 が 向 上 す る利 点 を 生 む 。 さ らに パ ケ ッ ト交 換 はX.25プ
ロ トコ ル(「5.6デ ー タ通 信 網 」 で 詳 述 す る)に
図2.22 パ ケ ッ トの 組 立 て
よ りデ ー タ交 換 が
行わ れ,パ ケ ッ トは一 つ 上 の 階 層 で あ る フ レー ム レベ ル に の せ て 転 送 す る の で, 誤 り制 御,再 送 制 御 の機 能 が 付 加 され,非 常 に信 頼 度 の 高 い 通信 が 可 能 と な る 。 (b) 端 末 の 種 類 と ネ ッ トワ ー ク 構 成 パ ケ ッ ト交 換 網 に 収 容 され る端 末 に は,通 信 文 そ の ま ま で送 受信 す る一 般 的 な端 末(非
パ ケ ッ ト端 末:NPT)と
ケ ッ ト端 末:PT)と
が あ る 。 一 般 端 末 は パ ケ ッ トしか 扱 わ な い 交 換 機 に は 直
接 収 容 で き な い の で,パ
ケ ッ トの 組 立 分 解 の 機 能 を 持 つPAD(Packet
Assembly and Disassembly)を とめPAD機
パ ケ ッ トの 組 立 分 解 機 能 を持 つ 端 末(パ
介 し て収 容 す る 。 通 常,一
能 を 有 す る多 重 化 装 置(PMX:Packet
ケ ッ ト交 換 機 に収 容 され る。 図2.23はPT端
般端末 は複数 に ま
Multiplexer)を
末 とNPT端
介 して パ
末 を使 いパ ケ ッ ト多 重
通信 を行 う通 信 形 態 を示 して い る 。
図2.23 NPTとPT間
の パ ケ ッ ト通 信
(c) パ ケ ッ ト長 パ ケ ッ ト交 換 方 式 の 設 計 で は パ ケ ッ ト長 の 選 択 が 重 要 で あ る 。 パ ケ ッ ト長 は 通 信 文 の 平 均 長,許 容 遅 延 時 間,メ モ リ量,パ
ケ ッ ト処 理 量 な どか ら決 め られ
る。 一 般 にパ ケ ッ ト長 を大 き く と る に した が っ て 遅 延 時 間(信 号 を受 信 して か らパ ケ ッ トを組 み 立 て て送 信 終 了 す る ま で の 時 間)は 大 き くな る 。 会 話 型 通 信 で は 遅 延 時 間 を 短 く した い の で 当 然 パ ケ ッ ト長 は 短 く しな け れ ば な ら な い 。 一 方,電
子 メ ー ル,フ
ァク シ ミ リ通 信 な どで は 遅 延 は あ ま り問題 とな ら な い の で
パ ケ ッ ト長 は 長 くて も よい 。ITU-Tで
はパ ケ ッ ト長 の 値 と して16∼4 ,096バ
イ トの 間 の2nバ イ トを標 準 パ ケ ッ ト長 と定 め て い る 。 ま た パ ケ ッ ト交 換 機 の コス トは パ ケ ッ ト数 に比 例 す るパ ケ ッ ト処 理 コス トとパ ケ ッ ト長 に比 例 す る メ モ リコ ス トの和 で 与 え られ る 。 パ ケ ッ ト長 を長 くす る とパ ケ ッ ト数 は減 少 す る が メ モ リ コ ス トは増 大 す る か ら,交 換 機 コス トを 最小 にす る 最 適 パ ケ ッ ト長 が 存 在 す る 。 通 常 は,以 上 の こ と を 考 慮 して256バ イ ト(2048ビ
ッ ト)程 度 と し
て い る。 (d) パ ケ ッ ト交 換 の 特 徴 回 線 交 換 とパ ケ ッ ト交 換 を比 較 す る と,回 線 交 換 機 が 端 末 相 互 間 を結 ぶ物 理 的 経 路 を 設 定 す る の に対 して,パ ケ ッ ト交 換 は端 末 相 互 間 で直 接 デ ー タ信 号 の 送 受 を行 わ ず,常
に 蓄 積 交 換 機 が 介 在 し,論 理 的 経 路 を設 定 す る 点 が 基 本 的 に
異 な る。 そ の た め,パ ケ ッ ト交 換 はデ ー タ通信 を行 う場 合 に主 と して 次 の よ う な す ぐれ た特 長 を有 して い る。 (1)高 信 頼 性 ル ー ト上 の 交 換 機 間 で は 常 に 誤 り制 御 に よ る 再 送 を行 う の で,ビ
ッ ト誤 り率 は 非常 に小 さ く,高 品 質 の デ ー タ伝 送 が で き る。 また,ネ
ッ
トワ ー ク 内 は パ ケ ッ トご と に経 路 を 選 択 す る の で,回 線 交 換 の と きの よ う な 回 線障 害 に よ る 迂 回 の 問題 は な い。 (2)異 速 度 ・異 手 順 端 末 間 通 信 パ ケ ッ ト交 換 は 蓄 積 交 換 の 一 種 で あ る た め,回 線 交 換 の よ う に送 受 端 末 間 を物 理 的 に直 接 接 続 して い な い の で,両 端 末 の速 度 や 伝 送 制 御 手 順 を合 わ せ て お く必 要 が な い 。 した が っ て 交 換 機 で 速 度, 手 順 の変 換 を行 う こ とに よる 通 信 が 可 能 と な る。 (3)パ ケ ッ ト多 重 通 信 図2.23か ら わ か る よ う に,パ ケ ッ ト交換 は 回線 交 換 の よ うに 回 線 を専 有 す る の で は な くパ ケ ッ トに よ り複 数 の ユ ー ザ と共 有 す る の で,回
線 を多 重 利 用 す る こ と に な りネ ッ トワ ー ク の 有 効 利 用 が で き る。 また,
コ ン ピ ュ ー タ セ ン タの よ う な 高 速 大 容 量 端 末 か ら複 数 の 相 手 に 同 時 に通 信 す る こ と も可 能 と な る 。 (4)情 報 量 課 金 回 線 交 換 もパ ケ ッ ト交 換 も従 量 制 の 料 金 体 系 で あ る が,回 線 交 換 が 通 信 時 間 中,物 理 的 な 回 線接 続 状 態 を保 留 して い るた め,実 際 に は情
報 が 転 送 され て い な い 場 合 で も料 金 が か か る 仕 組 み とな っ て い る が,パ
ケ ット
交 換 で は 実 際 に転 送 され たパ ケ ッ ト数 に応 じて 料 金 が 算 定 さ れ る 仕 組 み と な っ て お り,合 理 的 で あ る 。 以 上 は す ぐれ た特 長 を述 べ た が,反 面,多
少 の 欠 点 が あ る。 そ れ は まず,当
然 の こ とで あ るが メ モ リの 設 置 とパ ケ ッ トの 組 立 て ・分 解 の 処 理 機 能 が新 た に 必 要 に な る こ と,受 信 側 に お け るパ ケ ッ トか ら通 信 文 へ の 組 立 て が,最
も遠 回
り したパ ケ ッ トに合 わせ て 完 了 す る た め通 信 に遅 延 を と もな う こ と,お
よびル
ー テ ィ ング 機 能 ,フ ロ ー 制 御,誤
り制 御 な どの 処 理 が 多 くな り高 速 度 通 信 が 不
可 能 な こ とな どで あ る 。 した が って,パ
ケ ッ ト交 換 は遅 延 の 点 で 電 話 の よ う な
会 話 型 通 信 に は 向 か ず,通 信 密 度 の 低 い64kbit/s程 度 ま で の デ ー タ通 信 に適 し た 通 信 形 態 で あ る とい え る。
演 1.PCM方 2.国
式 に お け る 標 本 化,量
際 標 準 と な っ て い るPCM電
本 化 周 波 数,符
号 化 ビ ッ ト数,伝
習
子 化,符
問
題
号 化 の 各 機 能 に つ い て 概 説 せ よ。
話 音 声 信 号 の 諸 パ ラ メ ー タ(伝 送 速 度)を
送 周 波 数 帯 域,標
示 せ。
3.ア
ナ ロ グ 伝 送 と デ ィ ジ タ ル 伝 送 の優 劣 を 種 々 の 面 か ら比 較 し て 説 明 せ よ。
4.デ
ィ ジ タ ル伝 送 に お け る 多 重 化 と同 期 の 形 式 を分 類 し説 明 せ よ 。
5.デ
ィ ジ タ ル ハ イ ア ラ ー キ と は何 か?
現 在 の も の は どの よ う に な っ て い る か?
6.デ
ィ ジ タ ル 中 継 器 の 基 本 機 能(3R)と
伝 送 符 号 形 式 につ い て 説 明 せ よ。
7.光
フ ァイ バ に お け る伝 搬 モ ー ド,伝 送 損 失 に つ い て 概 説 せ よ。
8.加
入 者 線 交 換 機 と中 継 線 交 換 機 の違 い は 何 か?
9.回
線 交 換 方 式 と パ ケ ッ ト交 換 方 式 の 差 異 を 原 理 の 上 か ら比 較 せ よ 。
10.デ
ィ ジ タ ル 交 換 機 に お け る 時 間 ス イ ッチ(T ス イ ッチ)の
11.デ
ー タ通 信 にお い て パ ケ ッ ト交 換 機 が 回 線 交 換 機 よ り優 れ て い る特 徴 を 列 挙 せ よ。
原 理 を 述 べ よ。
3 電 話 ネ ッ トワー ク
3.1 音声 通信 の特徴 音 声 通 信 は古 くか ら電 話 と して親 し まれ て お り,現 在,そ
の ネ ッ トワー ク は
電 話 網 と して き わ め て 多 数 の ユ ー ザ を収 容 す る 巨 大 な もの とな っ て い る 。 音 声 は電 話 機 に よ り電 気 信 号 に変 換 され,伝
送 路 と交 換 機 とか ら構 成 さ れ る伝 達 系
(ネ ッ トワー ク)を 経 て 相 手 側 の 電 話 機 に よ り音 声 に戻 さ れ る 形 態 で 伝 え る わ け で あ る が,こ べ,次
こで は 音 声 通 信 の特 徴 と して まず 音声 と聴 覚 の 特 性 に つ い て述
に 電 話 の 伝 達 系 に要 求 され る伝 送 特 性 につ い て 述 べ る。
人 間 の 音声 は,一 般 に母 音 と子 音 とか らな る。 母 音 は肺 か らの 呼 気 が声 帯 を 振 動 させ,声 せ ず 唇,舌,歯
道 を通 っ て 放 出 され る 際 に 生 ず る もの で あ り,子 音 は声 帯 が 振 動 な ど に よ り声 道 を狭 くした と きに生 ず る空 気 の 乱 流 に よ る摩 擦
音 と,口 内 で 空 気 の圧 力 を高 め た 後 急 激 に放 出 した と き に生 ず る破 裂 音 とが あ る。 こ の よ う な こ とか ら,母 音 を有 声 音,子
音 を 無声 音 と呼 ぶ こ とが あ る。
図3.1に 会 話 音 声 の 統 計 的 性 質 と して 重 要 な音 声 の スペ ク トル の 概 略 的 特 性 を示 す 。 これ か らわ か る よ うに,ス ペ ク トル は広 帯 域 で あ り,低 周 波 成 分 が 大 き く高 周 波 成 分 が 小 さい 特 性 を 有 して い る 。一 方,音 声 の 振 幅 分 布 に つ い て は, 小 振 幅 の確 率 が 高 く大 振 幅 の確 率 が 低 い 指 数 分 布 形 の確 率 密 度 関 数 と な っ て お り,機 器 設 計 基 準 の 対 象 とす る最 大 振 幅 と最 小 振 幅 の比(ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ) は 約40dBと で,3kHz近
広 い 。 人 間 の 聴 覚 は,平 均 す る と可 聴 周 波 数 範 囲 が20Hz∼20kHz 傍 の 周 波 数 が 最 も感 度 が よい とい わ れ て い る。 他 方,位
相 の変
図3.1音
声 の ス ペ ク トル
化 に対 す る 知 覚 は鈍 感 で あ る とい わ れ て い る 。 電 話 音 声 を伝 送 す る場 合 に必 要 な伝 送 周 波 数 帯 域 は,明 瞭 な 通 話 の た め に は 広 い ほ どよ い こ とは 当 然 で あ る が 設備 が 高 価 とな り,多 重 伝 送 の 導 入 を考 え る と経 済 的 に か な り不 利 と な る こ とは 避 け られ な い 。 そ の た めCCITTで 用 的 な電 話 音 声 通 信 と して0.3∼3.4kHzの して伝 送 帯 域 また は単 に帯 域 と呼 ぶ)を 国 の 電 話 網 は,こ の 基 準(図3.2)に
範 囲 の伝 送 周 波 数 帯 域(以
は,実 下で は略
基 準 帯 域 と し て推 奨 して お り,世 界 各
基 づ い て 設 計 して い る。
普 通 の 正 確 な 波 形 伝 送 を必 要 とす る一 般 的 な情 報 通 信 で は,波 形 を形 成 して
図3.2 電 話音声 の基準伝送帯域
図3.3 無 ひ ず み伝 送 系 の 伝 達 関 数
い る ス ペ ク トル と位 相 の 特 性 が 重 要 で あ り,伝 送 系 の 周 波 数 特 性 と し て は 図 3.3に 示 す よ う に,伝
達 関数の絶対 値が 一定 で位相推 移 が周波 数 に比例す るこ
とが 必 要 条 件 と な っ て い る 。 この 条 件 が 崩 れ れ ば振 幅 歪,位 相 歪 を発 生 す る こ と に な る の で 機 器 設 計 の上 で の 留 意 が 必 要 に な る。 しか し,音 声 通 信 で は前 に 述 べ た音 声 の 知 覚 特 性 か ら,位 相 特 性 に つ い て は 配慮 せ ず 振 幅 ス ペ ク トルの み を 図3.2の 損 失 特 性 で伝 送 す れ ば よい の で特 異 な 通 信 形 態 で あ る とい え る 。 し たが っ て,音 声 伝 送 の た め に設 計 さ れ た伝 送 系(電
話 網)を 使 っ て 画像 信 号 の
よ う な波 形伝 送 を必 要 とす る信 号 を伝 送 す る場 合(多 レベ ル で伝 送)に
は,一
くの 場 合 広 帯 域 な 多 重 化
般 に位 相 歪 を 生 ず る こ とに な るの で位 相 等 化 な どの 対
策 が 別 に 必 要 とな る こ とに 注 意 が 必 要 で あ る。
3.2 電話 回線 の基 本構成 こ こで は まず,電
話 に よ る音 声 通 信 の 原 理 を 図3.4に 示 す 電 話 回 線 の 基 本 構
成 図 で説 明 す る 。 音 声 通 信 は電 話 機 に よ り音 声 の エ ネ ル ギ ー を電 気 エ ネ ル ギ ー に変 換 して 線 路(伝
送 路)に
送 出 し,相 手 側 で は そ の 逆 の変 換 を行 っ て 音 声 の
エ ネ ル ギ ー に戻 し通 信 す る も の で 電話 機 が 大 きな役 割 を もっ て い る 。 電 話 機 の 主 な構 成 要 素 は 送 話 器 と受 話 器 で あ る 。 送 話 器 と して 古 くか ら広 く使 わ れ て い
る もの に カ ー ボ ン形 が あ る 。 こ れ は 固定 電極 と可 動 電 極 の 間 に は さ ま れ て い る 炭 素 粉 と可 動 電 極 に な っ て い る振 動 板 か ら構 成 さ れ て い て,音 声 に よ り振 動 板 が 振 動 して 炭 素 粉 に機 械 的 圧 力 を加 え る こ と に よ り電 極 間 の 電 気 抵 抗 を 変 化 さ せ,こ
れ を 電 流 の 変 化 に 対 応 づ け る し くみ と し て い る もの で あ る 。 電 流 は 交 換
機 の 置 か れ て い る電 話 局 の 電 池(直 流48V)か
ら供 給 さ れ て い る の で,変
化を
受 け た電 流 は 直 流 に音 声 に 起 因 す る 交 流 成 分 が 重 畳 した脈 流 の形 で 相 手 側 に送 られ て い る 。 受 話 器 は 電 流 の 変 化 に 対 応 して コ イ ル を使 っ て 電 磁 石 の 吸 引 力 を 変 え,振 動 板 を振 動 させ て 音 声 に 変 換 して い る。 近 年 の 送 話 器 と受 話 器 に は上 記 カー ボ ン形 の ほか に圧 電 セ ラ ミ ッ ク形,マ
イ ク ロ ホ ン形 が 使 わ れ る こ とが 多
くな っ て きて い る。 図3.4で は 上 述 の 原 理 に し た が っ て 電 話 回 線 を構 成 す る 場 合 の 2種 類 の 形 式
(a)4 線 双 方 向通 信
(b)2 線 双 方 向通 信 図3.4 電 話 回線 の 基 本構 成
を示 して い る 。 図3.4(a)は 対)の
送 信 回線 と受 信 回 線 を分 離 し,そ れ ぞ れ 2線(1
計 4線 で 通信 す る形 式 で あ り,図3.4(b)は
分 離 せ ず に 2線 のみ で 通 信
す る形 式 で あ る 。現 在 広 く使 わ れ て い る形 式 は 経 済 的 な 図34(b)の
形式 であ
る 。 2線 の 形 式 で は双 方 向 の 通 信 の 音 声 電 流 が 重 な る こ と に な り,自 分 の声 と 相 手 の 声 が 混 じ りあ っ て 聞 こ え る こ と に な る 。 こ の こ とは 通 信 の形 態 と して 多 少 疑 問 に感 ず る か も知 れ な い が,電
話 の 会 話 は も と も と相 手 と交 互 に 話 す こ と
を基 本 と して お り,同 時 に話 す こ とが あ っ た と し て も聞 き分 け る こ とが で きる の で 通 信 に 支 障 を生 ず る こ とは な い 。 こ の よ う な 2線 通 信 を可 能 とす る の は , 電 話 に よ る音 声 通 信 の み で あ り,音 声 以外 の双 方 向 の 情 報 通 信 は 4線 通 信 を原 則 と して い る。 す な わ ち,音 声 通 信 は情 報 通 信 方式 の 中で は,2 線 通 信 が 可 能 な こ と と,前 に述 べ た よ う に信 号 を波 形 と して 捉 え る の で は な く振 幅 ス ペ ク ト ル の み で 考 えれ ば よ い こ との 2点 で,特 殊 な 位 置 を 占 め て い る。 以 上 述 べ た こ と は電 話音 声 通 信 の 原 理 で あ る が,次
に 実 際 の 電 話 回 線 を構 成
す る た め に 必 要 な二 つ の 考 え 方 を述 べ て お く。 一 つ は電 話 機 回 路 の構 成 に 関 す る こ とで あ る 。 送 話 器 と受 話 器 は独 立 の 機 能 を 持 ち そ れ ぞ れ 2線 の 計 4線 で 構 成 され て お り,線 路 は 図3.4(b)の
2線 で構 成 さ れ て い る の で,線 路 上 の 送 信
信 号 と受 信 信 号 を 電 話 機 の 中 で 振 り分 け ね ば な らな い 。 そ の役 割 を果 た して い るの が 2線-4線 (2線-4線
変換 で,回 路 形 式 と して は 一 種 の ブ リ ッ ジ 回路 と な っ て い る
変換 につ い て は 次 節 で 詳 し く述 べ る)。 こ こで 重 要 な特 性 は,自 分
の 送 話 器 か ら受 話 器 に 回 り込 ん で くる 自分 の音 声 の 量(側
音 と い う)で ,こ の
量 が あ ま り小 さい と相 手 側 へ の 声 の伝 わ り方 に 不 安 を感 じる よ う に な り,逆 に 大 き い と 自分 の声 と周 囲 の 雑 音 が 相 手 か ら の 受 信 音 声 を妨 害 し聞 きづ ら くな る。 電 話 機 回路 設 計 で は,こ の 側 音 を快 適 な会 話 を行 う上 で 適 当 な量 に す る よ う設 計 し な け れ ば な ら な い。 も う一 つ は長 距 離 の 電 話 回線 の構 成 に つ い て で あ る 。 上 で 述 べ た 2線 の 電 話 通 信 が 実 際 に実 現 で き るの は,線 路 損 失 が 問 題 に な らな い 近 距 離 通 信 の 場 合 だ け で あ り,距 離 が 増 大 す れ ば 線 路 損 失 が 大 き く な り信 号 の 減 衰 が 増 す た め,適 当 な間 隔 で 増 幅 器 を設 置 しな け れ ば な ら な い 。 また,線 路 の 距 離 が 長 く な れ ば
線 路 や 増 幅 器 な ど の伝 送 の 設 備 が増 大 し伝 送 の た め の必 要 経 費 が 大 き くな る の で,多
重 伝 送 に よ り経 済 化 を 図 る 必 要 が あ る。 この よ う な こ とか ら現 在 の通 常
の 長距 離 の電 話 回 線 は,各 種 の 多 重 伝 送(同 軸 ケ ー ブ ル,光 フ ァイ バ ケ ー ブ ル, マ イ ク ロ波 な ど を伝 送 媒 体 と して)が 使 用 され て い る。 この よ う な伝 送 シス テ ム は す べ て方 向 性 を も って お り,双 方 向通 信 とす る た め に は上 りと下 り を分 離 した伝 送 シ ス テ ム が 必 要 で あ り,通 常 の 長 距 離 電 話 回線 は 4線 構 成 とな っ て い る 。 なお,こ
こ で の 近 距 離 と は 一 般 に10km程
度 ま で を指 し,そ れ 以 上 は長 距
離 と考 え て い る。 こ れ ま で に 述 べ た電 話 回線 の構 成 を基 本 に して 組 み 立 て た電 話 ネ ッ トワー ク を マ ク ロ に み た 図 を 図3.5に 示 す 。 電 話 網 は 加 入 者(ユ (加 入 者 系)で
は 2線 で 構 成 さ れ,最
ー ザ)に
近 い とこ ろ
初 の 交 換 機 で 2線 か ら 4線 に変 換 され,
そ の 後 は 4線 の 交 換 機 と 4線 の 多 重 伝 送 シ ス テ ム が 交 互 に繰 り返 さ れ,最 後 に 加 入 者 系 で 2線 に再 び 戻 る構 成 と な っ て い る。
図3.5
3.3
2線-
電話 網の加 入者系 と中継系
4線変換と反響
2線 と 4線 と の相 互 変 換 は ハ イ ブ リ ッ ド回路 と呼 ば れ て い る ブ リ ッジ 回路 の
一 種 で行 わ れ て い る 。 ハ イ ブ リ ッ ド回 路 は 図3・6に示 す よ う に ハ イ ブ リ ッ ドコ イ ル と呼 ば れ て い る 3巻 線 変 成 器 と平 衡 結 線 網 に よ り構 成 され て い る。 この 回 路 は 信 号 の流 れ を 図 の 矢 印 で示 す よ う に 2線 の と こ ろ で は 双 方 向,4 線 の と こ ろ で は 2線 2組 に分 離 して そ れ ぞ れ 片 方 向 に変 え る機 能 を有 して い る。 この 機 能 を 達 成 す る た め に は ハ イ ブ リ ッ ド回 路 か ら外 側 を見 た イ ン ピ ー ダ ンス の平 衡 条 件 を守 る こ とが 重 要 で あ る。 こ れ らの イ ン ピー ダ ンス は 2線 の 加 入 者 側 イ ン ピー ダ ンスZL,平 ン ピー ダ ンスZR,4
衡 結 線 網 の イ ン ピー ダ ンスZN,お
よ び 4線 受 信 側 の 線 路 イ
線 送 信 側 の 線 路 イ ン ピ ー ダ ンスZTで あ る 。 ハ イ ブ リ ッ ド
コ イ ル の 各 巻 線 の巻 数 を 同 一 と し,回 路 解 析 に よ り上 記 機 能 を 達 成 す る た め の イ ン ピー ダ ンス の 平 衡 条 件 を 求 め る と, ZN=ZL,
ZR=2ZT
(3・1)
が 得 られ る 。 ま た,通 常 は 電 力 効 率 の 点 か らZN=ZRに 選 ば れ て い る 。 こ れ か ら わ か る よ うに 平衡 結 線 網 の 回路 は,加 入 者 線 に 電 話 機 が 縦 続 接 続 され た と きの イ ン ピー ダ ンス と等 価 と な る よ うに 工 夫 さ れ た疑 似 回 路 が 使 わ れ て い る。
図3・6 ハ イ ブ リ ッ ド回 路
図3.7 長 距 離 電 話 通 信 シ ス テ ム
長 距 離 の 電 話 回 線 は 図3.7に 示 す よ う に 2線 の 加 入 者 系 と 4線 の 中 継 系(交 換 機 と伝 送 シス テ ム を交 互 に 多 数 繰 返 し配 置)と
か ら構 成 され,ハ
イブ リ ッ ド
回 路 H に よ り 2線 −4線 変 換 が 行 わ れ て い る 。 デ ィ ジ タ ル交 換 機 の 場 合 は,情 報 信 号 をPCM符 機 の 入 力(加
号 化 し 4線 方 式 で 交 換 を行 うの で,ハ
入 者 線 側)に
イ ブ リ ッ ト回 路 は 交 換
設 置 さ れ て い る。 一 般 に こ の よ うに 多 数 の伝 送 装 置
が 組 み 込 まれ た 伝 送 系 で は 各 接 続 点 で イ ン ピー ダ ン スが 異 な る と反 射 を 生 じ伝 送 効 率 が 低 下 す る の で,普 通 はす べ て の 各 種 の 伝 送 装 置(線
路 を含 む)の 入 出
力 イ ン ピ ー ダ ンス を特 性 イ ン ピ ー ダ ン ス(通 常 の 有 線 同 軸 伝 送 で はZO=75Ω) と整 合 させ る よ う設 計 して い る。 しか し,ハ イ ブ リ ッ ド回路 の 場合 に は 外 側 状 況 の 変 化 に よ りイ ン ピー ダ ン ス条 件 が 多 少 変 動 す る こ とが あ り(例 え ば 加 入 者 線 の 長 さ の変 動),ま
た 伝 送 帯 域 内 の周 波 数 特 性 な どか ら平 衡 条 件 が 崩 れ る こ
とが あ る 。 こ の よ うな と きは 図 の よ う に信 号 が 漏 れ る こ とに な り,送 信 側 か ら の 信 号 は 反 響(echo)と
な っ て 再 び 送 信 側 に戻 っ て くる現 象 が 起 こ る 。 反 響
現 象 は避 け る こ とが で きず,通 話 品 質 に特 に 悪 影 響 を お よぼ す 長 距 離 回 線 の 場 合(わ
が 国 の 場 合 は 国 際 回 線)に
は抑 圧 対 策 が 必 要 に な る 。 ま た,二 つ の ハ イ
ブ リ ッ ド回 路 と そ の 間 に 存 在 す る複 数 の伝 送 シス テ ム か らな る 閉 ル ー プ が 減 衰 で な く利 得 を持 て ば 通 信 網 と して の 発 振 現 象 を起 こ す こ と に な る。 これ は連 続 的 な 音 で 鳴 音(singing)と め,閉
呼 ば れ て い る 。 通 常 は これ を完 全 に 防 止 さ せ る た
ル ー プ の伝 達 関 数 が 変 動 す る こ と も考 慮 に い れ て 確 実 に減 衰 系 と な る よ
う設 計 して い る。 反 響 を抑 圧 す る装 置 と して は エ コ ー サ プ レ ッサ とエ コ ー キ ャ ンセ ラ が あ る 。 エ コ ー サ プ レ ッサ は 4線 回線 の 送 信 側 に可 変 減 衰 器 を 挿 入 し,正 しい 信 号 の 送
図3.8 エ コ ー キ ャ ンセ ラの 基 本 構 成
信 に 際 して は 減 衰 を な く し,送 信 側 に 回 り込 ん だ 相 手 側 の エ コ ー に 対 して は 減 衰 を 与 え る よ う に した もの で,そ
の た め の 制御 は両 方 の信 号 の 大 き さ を比 較 し
て行 う し くみ と な っ て い る。 そ の た め ス イ ッチ の 切 り替 え時 の通 話 切 断,エ
コ
ー の 漏 洩 が あ り通 話 品 質 に 劣 化 を与 え る 問 題 が あ っ た 。 エ コ ー キ ャ ン セ ラ は LSIの 進 歩 に よ り出 現 した 新 しい 方 法 で,図3.8の
略 図 に示 す よ う に 4線 の 受
信 側 か ら送 信 側 へ の エ コー 経 路 の伝 達 特 性 を推 定 して疑 似 エ コ ー を作 り,こ れ を送 信 側 の信 号(正
しい信 号+エ
コー)か
ら差 し引 く こ と に よ りエ コー を消 去
す る もの で あ る 。 エ コー キ ャ ンセ ラは トラ ンス バ ーサ ル 型 の フ ィル タが 用 い ら れ,各
タ ッ プ の 係 数 はエ コー 経 路 の イ ンパ ル ス 応 答 か ら決 め られ る 。 この 方 法
は通 話 の 切 断 無 しにエ コ ー を抑 圧 で き る点 で優 れ て お り,現 在 広 く使 わ れ て い る。
3.4
信号方式
電 話 通 信 で は 通 話 に先 だ っ て 接 続 経 路 を確 立 して お か な け れ ば な らな い 。 そ の た め に は,電 話 機 と交 換 機 お よ び交 換 機 相 互 間 で 制 御 信 号 の や り と り を行 う 必 要 が あ る。 こ の よ う な制 御 信 号 の 伝 達 方 法 を信 号 方 式 と呼 ん で い る。 信 号 方 式 を大 別 す る と,電 話 機 と交 換 機 の 間 を対 象 とす る加 入 者 線 信 号 方 式 と交 換 機 相 互 間 を 対 象 とす る局 間 信 号 方 式 が あ り,こ れ らは 交 換 機 の 重 要 な機 能 と な っ て い る。 次 に発 呼 か ら切 断 に 至 る まで の信 号 の流 れ を簡 単 に 説 明 す る。
発 呼者 が受 話器 を上 げ る と交換 機 か ら通 話電 流 が流 れ(起 動信 号:直 流),
交 換 機 の加 入 者 回 路 で 発 呼 を検 出 し ダ イ ア ル信 号 受 信 準 備 完 了 の 知 らせ を 返 送 す る(発 信 音:400Hz連 (選択 信 号:後 し起 動 信 号(後
述)と 述)を
続 音)。 発 呼 者 が 被 呼 者 の 電 話 番 号 を ダ イ ア ル す る 交 換 機 は こ の選 択 信 号 に よ り中 継 交 換 機 へ の 経 路 を 選 択 送 り,中 継 交 換 機 か ら の 応 答 を 受 け て 選 択 信 号(後
述)
を 送 る 。 中継 交 換 機 は この 信 号 に よ り次 の交 換 機 の 経 路 を 選 択 し先 へ 進 む 。 こ の よ う な順 序 で被 呼 者 に到 達 し,ベ ル で相 手 を 呼 び 出す(呼
出 信 号:16Hz断
続 音)。 こ の と き 同 時 に 発 呼 者 に 呼 出 中 で あ る こ と を 知 ら せ る(呼 400Hzに16Hz重
出 音:
畳)。 被 呼 者 が 受 話 器 を上 げ る こ と に よ り応 答 信 号 が 返 送 さ れ
課 金 が 開始 さ れ,通 話 に 入 る。 も し も途 中 の 経 路(中 継 線)や 被 呼 者 が 話 中 の と き は発 呼 者 に 話 中 で あ る こ と を知 らせ る(話 中 音:400Hz断
続)。 通 話 が 終
了 し被 呼 者 が 受 話 器 を 下 ろす と,終 話 信 号 が 交 換 機 に 送 られ 課 金 が 停 止 し,発 呼 者 が 受 話 器 を下 ろ す と,切 断 信 号 が 送 られ て 交 換 機 は元 の 状 態 に復 旧す る。 以 上 に述 べ た こ とを ま と め て 図3.9に 示 した 。
図3.9 信 号 方 式
加 入 者 線 信 号 の 中 で技 術 的 に 重 要 な選 択 信 号 と は,ダ イ ア ル操 作 で 作 る数 字 情 報 の 表 現 の こ と で あ り,現 在 ダ イ ア ル パ ル ス方 式(DP)と ア ル 方 式(PB)の
押 しボ タンダ イ
2種 類 の 方 式 が あ る。 DP方 式 は 古 くか ら続 い て い る方 式 で,
直 流 を数 字 の 数 だ け 断 続 した パ ル ス の形 で 送 出 す る もの で,そ
の 速 度 は20PPS
電話機 のPB信 号
図3.10
(パ ルス/秒)で
あ る。PB方
式 は 比 較 的新 しい 方 式 で,3×4に
配 列 した ボ タ
ンを押 す こ と に よ り行 と列 に対 応 す る裏 面 の ス イ ッチ を 閉 じ て 2種 類 の周 波 数 を 送 出 す る も の で あ り,図3.10は
低群
(697,
770,
852,
941Hz),
そ の 原 理 を 示 した もの で あ る。 縦 の 4周 波 は 横 の 3周 波 は 高 群
か ら な り,低 群 と 高 群 の 2種 のCR発
(1209,
振 器(R を可 変)を
1336,
1477Hz)
使 う。 ボ タ ン を押 せ
ば そ れ に対 応 した 低 群 1周 波 と高 群 1周 波 の 波 を混 合 して 送 り,受 信 側 の 交換 機 に あ る 多 くの フ ィル タ に よ り,こ の信 号 を 検 出 し,解 読 す る。 局 間信 号 方 式 の 選 択 信 号 の 伝 送 方 式 は,主 (MF)が
にPB信
号 に類 似 の 多 周 波 信 号
使 わ れ て い る。 こ れ は 音 声 帯 域 内 の 6周 波 の 中 の 2周 波 の 組 み 合 わ
せ を選 び伝 送 す る。 ま た起 動,切
断 の た め の 監視 信 号 は直 流 の オ ンオ フ を,ま
た 伝 送 シ ス テ ム が 介 在 す る と きに は,ア は帯 域 外 の3,850Hzの
オ ン オ フ で,デ
ナ ロ グ伝 送 方 式(周
ィ ジ タル伝 送 方 式(時
波 数 分 割 多 重)で 分 割 多 重)で
は特
定 の ビ ッ トを 使 用 して い る 。 これ ま で に 述 べ て き た信 号 方 式 は,加 入 者 線,局
間 の 両 者 と も制 御 信 号 は通
話 回線 を通 して 送 る方 式 で,通 話 して い る と きは 送 る こ とが で きず そ の 前 か 後 を使 わ な くて は な らな い 制 約 が あ っ た 。 この 信 号 方 式 を個 別 信 号 方 式 と い う。 これ に対 して,通 話 回 線 とは 別 に複 数 の 通 話 の制 御 信 号 を ま とめ て 信 号 専 用 の 回 線 で 送 る 方式 が あ り,こ の 方 式 を 共 通 線 信 号 方 式 と呼 ぶ 。 共 通 線 信 号 方 式 は 蓄 積 プ ロ グ ラ ム 制 御 の 電 子 交 換 シ ス テ ム が 出 現 した 後 に 開 発 さ れ た 方 式 で あ
図3.11 共 通 線 信 号 方 式
り,図3.11に
示 す よ う に 通 話 回 線 と分 離 した信 号 伝 送 路 を持 ち,高 速 の デ ー タ
伝 送 で 信 号 を送 っ て い る。 こ の方 式 は個 別 信 号 方 式 と比 較 す る と,呼 接 続 時 間 の 短 縮,多
種 類 の制 御 信 号 と通 話 中 の 信 号 転 送 に よ る付 加 サ ー ビス の 拡 大 な ど
に 特 長 が あ り,デ
ィ ジ タ ル 網 に 親 和 性 が あ る た め 発 展 しCCITTのNo.7共
通
線 信 号 方 式 と して 幅 広 く導 入 さ れ て い る。
3.5
ネ ッ トワークの構成
電 話 は基 本 的 に二 つ の 電 話 機 を伝 送 路 を介 して 結 ぶ こ とで 通 信 を行 う こ とが で き るが,一
般 の電 話 サ ー ビス は多 数 の 加 入 者 の 中 か ら不 特 定 の相 手 を任 意 に
選 ん で 行 う 1対 1の 通信 で あ り効 率 の よ い ネ ッ トワ ー ク を構 成 す る こ とが 重 要 で,交 換 機 が 大 き な役 割 を も っ て い る 。 図3.12(a)は
す べ て の相 手 との 間 に
伝 送 路 を設 け,電 話 機 内 の ス イ ッチ に よ り相 手 を選 択 し通 信 す る形 状 で あ る。 加 入 者 の数 を N とす れ ば,伝 送 路 の 総 数 は
(3.2)
とな り,N が 大 き く な る に した が っ て急 激 に増 加 す る こ とに な り明 らか に不 経 済 と な る 。 そ こで 同 図(b)の
よ うに 加 入 者 間 の 中 心 に接 続 経 路 を作 る 交 換 機
(b) 星 状 網
(a) 網 状 網
図3.12
を置 き,こ
回線 網 の基 本 形
こ か ら各 加 入 者 に伝 送 路 を ひ け ば伝 送 路 総 数 は N と な り伝 送 路 は
節 減 さ れ る。 こ の 形 状 は 図(a)の
形 状 に比 し新 た に 交 換 機 を 必 要 とす る が,
一 般 に伝 送 路 の 設 備 に は多 額 の 経 費 を要 す る こ とが多 い の で経 済 的 に有 利 とな る。 図(a)の 綱)と
形 状 を 網 状 網(メ
ッシ ュ網),図(b)の
形 状 を星 状 網(ス
ター
呼ぶ。
上 に述 べ た よ う にス ター 網 は優 れ て い る が,加 入 者 の 数 が 多 くな りか つ 地 理 的 に広 範 囲 に な っ て くる と,伝 送 路 の低 い 利 用 効 率 と交 換 機 の処 理 能 力 の 限 界 が 問題 に な っ て くる。 前 者 は伝 送 路 を 1人 だ けが 占有 的 に利 用 し てい る こ と に 起 因す る も の で,特
に長 距 離 の 場 合 の経 済性 が 問 題 と して 大 きい 。 こ れ ら を解
決 す る た め に は,ま ず 散 在 して い る多 数 の 加 入 者 を多 くの比 較 的 狭 い 区域(加 入 区域)に
分 け,そ
の 中心 に交 換 機 を置 い て ス タ ー 網 を作 り,交 換 機 の負 担 を
軽 減 す る。 次 に 交 換 機 間 を伝 送 路 で 接 続 す る際 に は伝 送 路 を 多 数 の 加 入 者 が 共 通 利 用 して 利 用 効 率 を 高 め れ ば よ い。 現 在 の 電 話 ネ ッ トワ ー クは こ の よ う な考 え方 を 基 本 と して 構 成 され て お り,そ の模 様 を 図3.13に 示 す 。図 に示 す よ う に, 加 入 者 の 電 話 機 と交 換 機 の 間 の 伝 送 路 を 加 入 者 線,加
入 者 線 を収 容 す る交 換 機
を加 入 者 線 交 換 機(LS:Local
た交換機 相互 間の伝 送路
を 中 継 線,中 (TS:Transit
Switch)と
呼 び,ま
継 線 の み を収 容 しLS相 互 間 の 接 続 を行 う交 換 機 を 中継 線 交 換 機 Switch)と
呼 ん で い る。
図3.13
電 話 ネ ッ トワ ー クの 構 成
加 入 者 線 と加 入 者 線 交換 機 とか ら な る網 は 多 数 あ り,加 入 者 網(加 もい う)と 呼 ぶ 。 そ の 一 つ 一 つ は半 径7㎞
入者 系 と
の 円 の 区 域(加 入 区 域)の
加 入者
を対 象 と した ス ター 網 で,電 話 網 の 基 本 単 位 網 と な っ て い る 。 加 入 者 線 交 換 機 は 区 域 内加 入 者 間 の 接 続 と,他 の 区 域 へ の経 路 接 続 を行 っ て い る。 加 入 者 線 は 通 常,平 衡 ケ ー ブ ルが 使 用 さ れ,一
対 の 導 線 を加 入 者 が 専 有 して 使 っ て い る 。
一 方 ,中 継 線 と中継 線 交 換 機 とか らな る網 は 中継 網(中 継 系 と も い う)と 呼 ば れ て い る。 中継 線 交 換 機 は経 路(方
路 と も い う)の 選 択 の ほ か,経 路 と な っ て
い る複 数 の 中継 線 の 中 か ら空 き線 の 選択 も行 っ て い る 。 した が っ て 中 継 線 は 加 入 者 線 と異 な り多 くの 加 入 者 が 共 通 に利 用 し伝 送 路 の 利 用 効 率 を高 め て い る 。 同一 経路 の 中 継 線 の 数 は,そ の 経 路 に 流 れ る通 話 量(ト
ラ ヒ ッ ク とい う)に
したが っ て 決 め る こ と に な る が,多 す ぎ る と不 経 済 に な り少 な す ぎ る と通 話 が 塞 が る(話 中)こ
とに な る の で 電 話 の統 計 的 性 質 か ら理 論 的 に決 め て い る。 そ
の 基 礎 とな るの が トラ ヒ ッ ク理 論 で,中 継 線 数 以 外 で も電 話 網 の 多 くの 分 野 で
設 備 数 とサ ー ビス 品 質 の 関 係 を体 系 づ け て い る。 また 中 継 線 は加 入 者 線 に 比 べ 長 距 離 とな る ので,伝
送 経 費 を 軽 減 させ る た め,通 常 多 重 伝 送 シス テ ム を導 入
してお り,長 距 離 回線 ほ ど多 重 度 を 高 め 効 率 の 高 い伝 送 が 行 わ れ て い る 。 伝 送 媒 体 と して は 有 線 の場 合,以 前 は優 れ た 特 性 を持 つ 同 軸 ケ ー ブ ル が 多 く使 わ れ て い た が,近 年 は光 フ ァ イバ ケ ー ブ ル に 置 き換 え られ て お り,無 線 の場 合,マ イ ク ロ波 が 多 用 さ れ て い る。 中継 網 の 網 構 成 は い ろ い ろ な 形 状 が 考 え られ る が,巨 大 な規 模 と な っ て い る 電 話 網 で は,経 済 性 を重 視 し図3.13で 示 した ス ター網 を基 本 に部 分 的 に メ ッ シ ュ 網 を加 え た 複 合 網 構 成 を採 用 し て い る 。 そ の場 合,交
換 機 の信 頼 性 が重 要 と
な る の で,中 央 の 制 御 装 置 な ど を二 重 化 し高 信 頼 化 して い る。 電 話 網 は 過 去 長 く続 い て きた ア ナ ロ グ 網(交 換 機 が ア ナ ロ グ形 式)の ミ ッ ド状 の 多 段 階 の上 下 関 係(局
階 位)に
分 け,網
時 代 に は,交 換 局 を ピ ラ を階 層 化 し,局 階 位 は 都 市
の 規 模 に応 じて 総 括 局(RC:Regional
Center),中
Center),集
局(EO:End
中 局(TC:Toll
Center),端
成 を採 用 して い た 。 こ こ でEOは か はTSの RC-DC-TC
心 局(DC:District Office)の
4階 位 構
末 端 の 局 で あ りLSの 交 換 機 が 設 置 され,ほ
交 換 機 が 設 置 さ れ て い た 。 伝 送 シス テ ム はEO-TC-DC-RC- EOの
経 路 の各 局 間 に 位 置(最
大 7ヶ所)す
音 声 信 号 は 最 大 で 7回 の 変 復 調 を 行 う こ と とな る(こ
る。 し た が っ て
れ を伝 送 7リ ン ク と い
う)。 一 般 に網 構 成 は,通 信 コ ス トをで き る だ け 低 くす る こ と と網 の 運 用 管 理 の 観 点 か ら決 め る の が 普 通 で あ り,こ の コ ス トを形 成 して い る交 換 コス トと伝 送 コ ス トの 相 対 的 比 率 に よっ て 最 適 局 階 位 数 が 決 ま る。 伝 送 シス テ ム は 早 くか ら デ ィ ジ タ ル化 が 進 め られ,さ
らに 近 年 は光 化 も進 ん で お り,ま た交 換 シ ス テ ム も
伝 送 よ りか な り遅 れ た もの の,近 入 が 進 め られ た。 そ の 結 果,電
年 デ ィジ タル 化 に大 きな 進 歩 が あ り急 速 に 導
話 網 はユ ー ザ 宅 内 の 電話 機 と加 入 者 線 部 分 を 除
き アナ ロ グ 網 か ら デ ィ ジ タ ル網 へ と変 革 す る こ と とな っ た 。 この よ うな こ と か ら最 近 局 階位 の 見 直 しが 行 わ れ,従 来 の 4階 位 構 成 か ら 2 階 位 構 成 へ の 変 更 が 行 わ れ た 。 そ の 概 要 を述 べ る と,デ
ィ ジ タ ル 網 はLSを
中
心 とす る加 入 者 系 とTSを
中心 とす る 中 継 系 の 2層 の 網 構 成 で あ る。 加 入 者 系
で は各 種 サ ー ビス 提 供 区域 の 基 本 単 位 をGA(Group 呼 び,GA内
でLSが
設 置 して あ る 交 換 局 をGC(グ
継 系 で は 区 域 の 基 本 単 位 をZA(Zone 内 でTSが
設 置 して あ る交 換 局 をZC(ゾ
Unit Area;群
ル ー プ セ ン タ)と 呼 ぶ 。 中
Center Area;中
継 区 域)と
呼 び, ZA
ー ンセ ン タ)と 呼 ぶ 。 ZAは47の
府 県 の ほ か に トラ ヒ ック の 多 い 地 域 な ど を 追加 し計54ZAと は ス タ ー 網,ZC相
区域)と
都道
す る。 GC-ZC問
互 間 は メ ッ シ ュ 網 を基 本 と し,こ れ に 経 済 的 に有 利 な 区 間
につ い て斜 め 回 線 を設 定 す る複 合 網 と して い る。
3.6 通信 品質 と技術基 準 電 話 ネ ッ トワ ー ク は 非 常 に規 模 が 大 き く,い ろ い ろ な 経 路 を通 して通 話 す る こ とに な る の で,減
衰 や ひず み,雑
音 の 影 響 を受 け,ま た 回線 の 塞 が りや 障 害
に よ る 回 線 断 に 遭 遇 す る こ と も あ る 。こ れ は 電 話 サ ー ビス の 品 質 低 下 を 意 味 し, 一 般 に 長 距 離 に な る ほ ど多 くな るの が 普 通 で あ る
。 電 話 サ ー ビ ス で は,ど
こへ
電 話 す る場 合 で も均 一 で快 適 な 通 話 を維 持 す る こ とが 非 常 に 重 要 で あ り,そ の た め に は通 信 網 を構 築 す る 際 に 一 定 水 準 以 上 の 通 信 品 質 が 確 保 で きる よ う通 信 網 を設 計 して お か な けれ ば な らな い 。 具 体 的 に は通 信 品 質 を 分 類 し,通 信 網 の 構 成 要 素 に 品 質 を 配 分 し,こ れ を も と に設 計 の た め の技 術 基 準 を作 る必 要 が あ る。 この よ う に して体 系 的 に網 を 設 計 ・構 築 し,常 時,ユ
ーザ の 満 足 す る 品 質
が 維 持 で き る よ う保 守 ・運 用 す る こ とが 重 要 で あ る。 電 話 の 通 信 品 質 の 分 類 と,こ れ に対 応 す る技 術 基 準 お よび 具 体 的 な 設 計 対 象 を表3.1に 示 す 。
表3.1 通 信 品 質 と技 術 基 準
[1]
接続基準
電話 機 相 互 間 の 接 続 過 程 にお い て,呼 が 交 換 機 や 中継 線 の塞 が りに遭 遇 して 接 続 が で き な い こ とが あ る 。 こ れ を接 続 損 失 と い い,そ の 確 率 を呼 損 率(接 損 失率)と
呼 ぶ 。 また,加
続
入 者 が 発 呼 して か ら相 手 の 電 話 機 に着 呼 す る まで に
要 す る 時 間 を接 続 遅 延 とい う。 接 続 損 失 と接 続 遅 延 は接 続 品 質 を低 下 させ る 要 因 で あ り,接 続 基 準 に よ り各 設 備 ご とに 定 量 的 に規 定 して い る。 加 入 者 が 電 話 し よ う と して ダ イ ア ル した場 合 に話 中 に 遭 遇 す る こ とが しば し ば あ る が,そ の 原 因 は ① 相 手 が 話 中 に よ る もの か,② 設 備 が 十 分 で な い こ とに よ る塞 が り(前 に述 べ た交 換 機 や 中継 線 の 塞 が り)に よる もの か の い ず れ か で あ り,接 続 基 準 で は② を接 続 損 失 と呼 び,機 器 設 計 の対 象 と して い る。 接 続 損 失 は 0 とす る こ と が 望 ま しい が,設 備 の 規 模 が膨 大 な もの と な っ て き わめ て不 経 済 な も の と な る 。 例 え ば N 個 の 電 話 機 を 交 換 機 に よ り互 い に 接 続 す る た め に は,最
も簡 単 に 考 え れ ばN×Nの
マ ト リ ク ス の 交 点 に ス イ ッチ を 置 け ば よ
い が,実 際 に は ほ とん どの ス イ ッチ が 使 わ れ ず に不 経 済 に な り,ま た,A 都 市 の N個 の電 話 機 を遠 く離 れ た B都 市 に市 外 通 話 で きる よ う に す る た め に N 回線 の 中 継 線 を常 時 設 備 して お くこ と も実 際 に は大 きな 無 駄 とな る 。 す な わ ち,電 気 通 信 シ ス テ ム を経 済 的 に 構 成 す る た め に は通 信 の 量(ト
ラ ヒ ッ ク)に 基 づ い
て 設 備 の 規 模 を 適 正 に 決 め る こ とが 重 要 で あ り,そ の 結 果,電 交 換 機,伝
話網 において は
送 路 を多 数 の 利 用 者 で 設備 共 用 す る の が 普 通 で あ る 。 した が っ て,
あ る程 度 の 接 続 損 失 の 許 容,つ
ま り接 続 品 質 の低 下 が 接 続 基 準 で 容 認 され て い
る。 接 続 基 準 で は接 続 損 失 を 一 般 に接 続 に 失 敗 す る確 率,つ
ま り呼 損 率 と して 規
定 して い る。 呼 損 率 は トラ ヒ ッ ク と設備 の 規 模 か ら決 ま るが,こ に 関係 づ け て い る 理 論 が トラ ヒ ック理 論(交
れ ら を定 量 的
換 以 外 の 分 野 で は待 ち 行 列 理 論 と
もい う)で あ る。 以 下 に トラ ピ ック理 論 を簡 単 に説 明 す る 。 トラ ヒ ッ ク 理 論 で は 個 々 の 通 信 を 呼 と い い,呼
が 通信 設備 を占有す る時 間
(保 留 時 間 と い う)が 問 題 と な る 。 し たが っ て,ト
ラ ヒ ッ ク量 は 設 備 の 延 べ 保
留 時 間 と して 扱 う こ とが 適 当 で あ る。 呼 の生 起 す る時 刻 と回 線 の 保 留 時 間 を予
図3.14
交換機のモ デル
知 す る こ とは で き な い が,確 率 論 の 対 象 と して 捉 え る こ と は可 能 で あ る 。 い ま 単 位 時 間 当 た りに生 起 す る呼 の 数 をCc,平
均 保 留 時 間 をt0と し た と き
ac=Cct0
(3.3)
で 定 義 され る 無 次 元 の 量 を 呼 量 と呼 び,単 位 に ア ー ラ ン(erl:Erlang)を
使
用 して い る。 例 え ば あ る 加 入 者 が 1時 間 に 3回通 話 し,通 話 時 間 の 平 均 値 が 5 分 で あ る とす れ ば そ の 呼 量 は0.25ア ー ラ ン とな り,も し 1時 間す べ て保 留 して 通 話 した と き に は,そ の 呼 量 は最 大 呼 量 の 1ア ー ラ ン とな る。 通 常,一 加 入 者 の 平 均 呼 量 は0.01∼0.02ア
ー ラ ン程 度(1
般の 1
時 間 当 た り 1分 程 度)と
いわ
れて いる。 一 般 に 交換 系 の 設 備 を 簡 単 に 説 明 す る に は図3.14に 示 す よ う な モ デ ル で 表 現 で き る(や や 詳 し く言 え ば,こ
れ は 交 換 機 の 内 部 で 多 段 に 配 置 され た交 換 ス イ
ッチ を リ ンク と呼 ば れ て い る導 線 で 接 続 す る場 合 と,相 互 に離 れ た 交 換 ス イ ッ チ を 中継 線(交 換 機 間 を結 ぶ 線 路)で た 呼 数 を C,呼 量 を aとす れ ば,こ
接 続 す る場 合 とが あ る)。 入 線 に 発 生 し
れ らが す べ て 出 線 に 運 ば れ る と は 限 らず,
運 ば れ な か った 呼 を損 失 呼 と呼 ぶ 。 い ま 運 ば れ た 呼 数 をCc,運 呼 数 をCL,運
ば れ た 呼 量 をac,運
ば れ な か っ た 呼 量 をaL,呼
ばれ なか っ た の平 均保 留 時 間
をt0と す れ ば,a, aL, CLは 次 式 と な る。 a=Ct0 aL=a-ac
CL=C-Cc
}
また,損 失 と な る呼 数 と入 線 に発 生 し た呼 数 との 比
(3.4)
(3.5)
を 呼 損 率 と呼 ぶ 。 呼 損 率 は 接 続 品 質 と網 の 経 済 性 か ら決 め られ る が ,0・01∼ 0.03程 度 と な る こ とが 多 い。 す べ て の 呼 の 生 起 は 互 い に独 立 で,呼
数 は多 くか つ 1個 当 た りの 呼 量 が あ ま
り大 き くな い 場 合 を考 え る と,呼 の 生 起 確 率 は ポ ア ソ ン分 布 に した が う こ とが 導 か れ る。 また,呼 が 生 起 して か ら次 の 呼 が 生 起 す る まで の 時 間 間 隔 の確 率 密 度 関 数 は指 数 分 布 に近 似 で き,保 留 時 間 の確 率 の 分 布 関 数 も指 数 分 布 に近 似 で きる 。 出 線 数 nの 交 換 機 で 入 線 に aの 呼 量 が 入 っ た 場 合 に,入
線 に n以 上 の 呼
が 同 時 に加 わ る と nを超 え る 呼 は接 続 で きず 損 失 呼 とな る。 した が っ て ,呼 損 率 は n個 以 上 の 個 が 同 時 に 発 生 す る確 率 を求 め れ ば よ い 。 n個 の 出 線 の う ち r 個 が 同 時 に 接 続 さ れ る確 Prは
(3.6)
と して 導 くこ とが で き る。 呼 損 率 B は 上 式 に お い てr=nと
お い た と き に相 当
し,
(3.7)
で 与 え られ る。 こ の 式 をア ー ラ ン の 損 失 式 と呼 び,交 換 機 設 計 上 の 重 要 な 式 と な っ て い る 。 図3.15に 上 記 の 式 か ら求 め た 出 線 数 と呼 量 の 関 係 を 呼 損 率 を パ ラ メ ー タ と して示 した。 これ か らわ か る よ うに ,呼 損 率 が与 え られ れ ば 入 線 に加 わ る 呼 量 に よ り出 線 数 nを求 め る こ とが で き る。
図3.15 出 線 数 と呼 量 の 関係
[2]
伝送基準
電 話 で 通 話 の 良 さ を 定 量 的 に表 現 した もの を通 話 品 質 と い う。 通 話 品 質 は送 話 者 の 口 か ら受 話 者 の 耳 に 至 る通 話 系 全 体 の 性 能 に 影 響 さ れ,表3.2の 送 話 品 質,伝
送 品 質,受
ように
話 品 質 に 分類 され る。
表 の 中 で送 話 品 質 と受 話 品 質 は 人 的 要 因 と環 境 条件 を含 む もの で あ り,伝 送 品 質 は送 話 器 か ら受 話 器 に至 る伝 送系 の 特 性 に よっ て 決 ま る もの で あ る。 した が っ て,伝 送 品 質 だ け が 施 設 面 の伝 送 特 性 を制 御 で き,伝 送 設 備 の測 定 や 設 計 に結 びつ け る こ とが で き る の で,良 好 な通 話 品 質 を確 保 で き る よ う伝 送 基 準 と して 規 定 して お く必 要 が あ る。
表3.2通
話 品 質 の分 類 と支 配 要 因
通 話 品 質 の 尺 度 と して は① 単 音 明 瞭 度 と② 平 均 オ ピニ オ ン評 点 が あ る 。 単 音 明 瞭 度 は,音 量,雑 音,伝 る もの で,一
送 周 波 数 帯 域 な ど品 質 の 支 配 要 因 を 総 合 的 に 評 価 す
連 の 無 意 味 な単 音 を試 験 伝 送 系 に 送 り正 し く受 聴 され た割 合 を示
す 尺 度 で あ り,平 均 オ ピニ オ ン評 点 は何 人 か の 人 が 通 話 し,ど れ ほ どの 満 足 を 得 た か を 5段 階 に 分 け て 評 価 し平 均 を とる 方法 に よ る尺 度 で あ る 。 現 在,単
音
明瞭 度 は 測 定 が 複 雑 な の で 了 解 性 が特 に重 視 され る移 動 電 話 で 使 わ れ て い る程 度 で,一
般 的 な 電 話 で は満 足 度 が 的 確 に表 現 で きる平 均 オ ピ ニ オ ン評 点
(MOS;Mean
Opinion Score)が
採用 されて いる。伝送 品質尺 度 は通話 品質
尺 度 を実 際 の 伝 送 系 の 設 計 に 使 え る よ う に した もの で,通 話 品 質 に 最 も影 響 を 与 え る伝 送 品 質 は “音 の 大 き さ” で あ る こ と と測 定 の 容 易 さ か ら,現 在 の評 価 尺 度 と して は ラ ウ ドネ ス 定 格(LR;Loudness
Rating)を
採 用 して い る。 LR
は 標 準 系 と測 定 系 を比 較 測 定 し,通 話 品 質 が 等 し くな る と きの標 準 系 に 含 ま れ て い る挿 入 伝 送 損 失 で 表 す 。 また,LRとMOSの
関 係 は 別 に実 験 で 求 め た 結 果
に よ り対 応 づ け て い る 。 伝 送 基 準 は 表3.2の 伝 送 品 質 に あ る 諸 要 因 を定 量 的 に規 定 した も の で 詳 細 に 規 格 化 され て い る 。 こ こで は重 要 な 伝 送 周 波 数 帯 域 制 限 と伝 送 損 失 につ い て 簡 単 に述 べ る。 伝 送 周 波 数 帯 域 制 限 は0.3∼3.4kHzを 低 周 波 と3.4kHz以
通 過 域 と し,0.3kHz以
下の
上 の 高 周 波 を 阻止 域 とす る帯 域 通 過 特 性 を中 心 に 詳 細 に 決
め られ て い る 。 伝 送 損 失 は電 話 回線 全 体 を25dB以
下 と し,こ れ を 図3 .13で 示
した ネ ッ トワー ク の 中 で 配 分 して い る 。 局 間 中継 線 に導 入 さ れ る伝 送 シ ス テ ム の 伝 送 損 失 は 小 さ い 方 が 望 ま し いが,小 くな い現 象 が 発 生 す る の で,伝
さ く しす ぎる と鳴 音 や 反 響 な ど望 ま し
送 系 の損 失 変 動 も考 慮 し余 裕 の あ る設 計 を しな
け れ ば な ら な い 。 ア ナ ロ グ電 話 網 で はTC-DC-RC-RC 0dB, TC-EO間 た が,デ
を5dB, EO-電
- DC-TC間
話 機 間 を7.5dBで 総 計25dBと
を
配 分 して い
ィ ジ タル 電 話 網 で は伝 送 特 性 が 優 れ て い る の で これ よ り小 さ な 規 格 と
な って い る。 伝 送 シス テ ム が アナ ロ グか らデ ィ ジ タ ル に 置 き換 え られ れ ば,デ
ィ ジ タル 伝
送 の もつ 優 れ た特 性 か ら表3.2の 要 因 の 中 で 伝 送 系 の 雑 音 や ひ ず み,伝
送損 失
の 変 動 の 影 響 は ほ とん ど無 くな り,し た が っ て 鳴 音 の 問 題 も解 決 し伝 送 品 質 は 向 上 す る。 しか し,デ ィ ジ タル伝 送 で は伝 送 系 の 一 部 の 雑 音(き の 確 率 で 混 入 す る 大 振 幅 の 雑 音)に の 符 号 誤 り率(Error Rate)で
わめ てわずか
よ り符 号 誤 りが 起 こ る。 符 号 誤 りは長 時 間
規 定 さ れ る が 通 常 の 設 計 で は伝 送系 総 合 で10-6
以 下 を 基 準 に して お り,実 績 で はそ れ よ りか な り小 さ な値 と な っ て い る の が 普 通 で あ る。 符 号 誤 りに は と き ど き 1ビ ッ トず つ 誤 る ラ ン ダ ム誤 りと一 度 に何 ビ ッ トか 固 ま っ て 誤 るバ ー ス ト誤 りとが あ り,一 般 に バ ー ス ト誤 りの 方 が 問 題 に な る こ とが 多 い 。 符 号 誤 りに よ る伝 送 品 質 へ の影 響 につ い て は,電 話 か デ ー タ 通 信 か な ど伝 送 して い る信 号 の 情 報 の種 類 に よ り大 き く異 な る。 電 話 の場 合 の 符 号 誤 りは 最終 的 に は音 声 に雑 音 が 加 わ っ た形 で 評 価 さ れ る が,符 号 誤 り率 が 10-6以 下 な ら全 く問 題 な い と さ れ て い る。 しか し デ ー タ通 信 の場 合 に 許 容 さ れ る 符 号 誤 りは 厳 し く,1 ビ ッ トだ け の 誤 り とい え ど も文 字 や 数 字 を変 え る こ とに な る の で,あ
って は な らな い こ とで あ り,通 常 はデ ー タ を ブ ロ ック ご と に
分 け て 伝 送 しブ ロ ック ご とに ビ ッ ト誤 りの 有 無 を検 出 し,誤 ロ ッ ク だ け を 再 送 す る こ と に し て い る 。 した が っ て,デ 誤 りや バ ー ス ト誤 りの 区別 を問 わず,誤 と が 大 切 で,こ Seconds: 合)で
りが あ れ ば そ の ブ
ー タ通 信 で は ラ ン ダ ム
りの あ る ブ ロ ック の 数 を少 な くす る こ
の よ う な 目 的 の た め に 符 号 誤 り を%ES
(%
Errored
1秒 ご と に符 号 誤 りを測 定 し全 体 の 時 間 に 占 め る誤 り発 生 秒 数 の 割
評 価 して い る。 電話 で も最 近 は 厳 密 に 評価 方 法 を見 直 し,電 話 に 適 して
い る%DM
(%Degraded
Minutes:
1分 ご とに 測 定 した符 号 誤 り率 が10-6を
超 え る誤 り発 生 分 数 の全 体 の 時 間 に 対 す る割 合)が
使 われる ようになった。
符 号 誤 りを起 こす 原 因 は伝 送 系 に存 在 す る雑 音 で あ り,雑 音 の 中 で 半 導 体 か ら生 ず る シ ョ ッ ト雑 音 や抵 抗 体 か ら生 ず る熱 雑 音 は ラ ンダ ム雑 音 で か な り小 さ い が,伝
送 媒 体 に入 る外 来 雑 音 はバ ー ス ト雑 音 で 一 般 に大 き く符 号 誤 りへ の影
響 が 大 き い。 銅 線 ケ ー ブ ル や 無 線 の 場 合 に は電 磁 界 雑 音 の 形 で 加 わ る 。 近 年, 大 量 に導 入 され 普 及 して い る光 フ ァ イバ ケ ー ブ ル に は電 磁 界 雑 音 の影 響 が 全 く 無 い の で,符 号 誤 りが 激 減 す る長 所 が あ り,特 にデ ー タ通信 の伝 送 品 質 向 上 に 大 き く貢 献 し て い る。
[3] 安 定基準 安 定 基 準 は,前
に述 べ た 接 続 基 準,伝
送 基 準 が 正 常 に通 信 して い る と きの 規
定 で あ る の に 対 して,設 備 の 故 障 や 異 常 トラ ヒ ッ ク な ど に よ り正 常 な通 信 が で きな い 場 合 を想 定 し,ど れ だ け安 定 な通 信 を確 保 して お くべ きか(安
定 品 質)
を定 め る も の で 信 頼 性 に基 づ い た 規 定 で あ る 。 表3.3に 安 定 品 質 の 分 類 と現 在 使 わ れ て い る 目標 値 を 示 す 。 加 入 者 系 の 安 定 品 質 と接 続 系 の平 常 障 害 に 関 す る 安 定 品 質 は,機 器 の 故 障 や 線 路 の 障 害 に よ る こ とが多 く,接 続 系 の 異 常 障 害 に 関 す る安 定 品質 は 自然 災 害 に よ る大 規 模 な 障 害 と異 常 トラ ヒ ッ ク(大 規 模 交 通 事 故,TV番
組 の影 響,パ
ニ ッ ク な ど)な ど予 測 で き な い要 因 に よ る こ とが 多 い 。 安 定 品 質 の尺 度 は通 常 下 記 に 示 す 不 稼 働 率 が 広 く使 わ れ て い るが,加 把 握 しに くい の で 故 障 率(1
入者系 では故障時 間の実態値 が
時 間 当 た りの 故 障 件 数)を
使 って い る 。
(3.8)
不 稼 働 率=T2/(T1+T2)
T1:正
常 な 運 用 時 間, T2:故
障 して か ら修 理 を終 え 復 旧す る まで の 時 間
表 に 示 す 目標 値 を満 た す た め,シ て は 詳細 な信 頼 度(故
障率)の
ス テ ム とそ れ を構 成 して い る各 機 器 に対 し
配 分 が 行 わ れ て い る。
ネ ッ トワ ー クの 信 頼 性 を向 上 させ る た め に は,① 機 器 の 高 信 頼 化,② 設 置 と障 害 時 の即 時 切 替,③ 伝 送 路 の 多 ル ー ト化,④ 検,障
予備 の
保 守 方 法 の充 実(定 期 点
害 の遠 隔 監 視 な ど)が あ る。 そ の ほ か大 規 模 災 害 に 対 し て通 信 を確 保 す
る た め に 孤 立 防止 用 無 線 装 置,非 常 用 移 動 電 話 局 装 置 な どの 配 備,衛 星 通 信 の 活 用 も重 要 で あ る 。
表3.3安
定 品 質 の分 類 と 目標 値
演
習
問
題
1.2 線 双方 向通 信形 式 の電 話 回線 の基本構 成 を図示 し,電 話 通信 の 原理 を説 明せ よ。 2.長 距 離 電 話 通 信 シ ス テ ム を 2線 と 4線 か らな る伝 送 路 と 交 換 機 に よ り構 築 す る に は どの よ う に構 成 す れ ば よい か,図
を用 い て 説 明 せ よ 。
3.電 話 通 信 に お い て 発 生 す る 反 響(エ
コー)は
ど の よ う な 原 因 に よ る も の か?
反
響 を 抑 制 す る た め の 対 策 に つ い て も説 明 せ よ 。 4.電 話 ネ ッ トワー ク で 使 用 さ れ て い る信 号 方 式 を 分 類 し て,そ
れ ら の役 割 を簡 単 に
述 べ よ。 5.信 号 方 式 の 中 で,押
し ボ タ ン ダ イ ア ル 方 式(PB方
式)の
原 理 と共通 線信 号 方 式
の 出 現 の 意 義 につ い て 述 べ よ 。 6.電 話 サ ー ビ ス の 通 信 品 質 と は 何 か?
ま た,こ
れ を 分 類 し ネ ッ トワ ー ク 設 計 の た
め に 規 定 さ れ て い る 3種 の 技 術 基 準 とは どの よ う な もの か? 7.あ る交 換 機 に50erlの 呼 量 を加 え 呼 損 率 を0.1と す る た め に 必 要 な 出 線 数 を 求 め よ。 ま た,サ
ー ビ ス の 向 上 の た め 呼 損 率 を0.001ま で 小 さ く し よ う とす れ ば,出
更 に ど の く ら い増 設 す れ ば よ い か? 8.伝 送 品 質 を 支 配 して い る諸 要 因 と は ど の よ うな も の か?
線数 を
4 移 動 通 信 ネ ッ トワー ク
4.1
概 要
“い つ で も”,“誰 と で も ”,“ど こ で も”,“何 で も” 自由 に 通 信 で き る こ とが 通 信 サ ー ビス の 理 想 像 で あ る と思 わ れ る。 こ れ らの なか で “い つ で も” と “誰 とで も ” に対 応 す る通 信 は,周 知 の 如 く従 来 か らあ る 固定 の ネ ッ トワ ー ク で既 に 実 現 され て い る。"何 で もMに 対 応 す る通 信 は,マ ル チ メ デ ィ ア 通 信 と して 現 在 盛 ん に研 究 開 発 さ れ 多 くの期 待 を集 め な が ら順 次 実 用 化 され つ つ あ る。 し か し,以 上 に述 べ た 通 信 の 形 態 は,端 末 機 器 が 予 め 決 め られ た場 所 に 固 定 して 設 置 され て お り,ユ ーザ は 通 信 を 行 う都 度 そ こ に 出 向 か な け れ ば な らな い 不 便 さが あ る。 “ど こ で も” で 問 わ れ て い る こ と は端 末 機 器 の移 動 性 の 問 題 で あ り, そ の た め に は電 波 の 利 用 が 必 須 とな り,多 くのユ ー ザ が 同 じ空 間 を共 同 で 利 用 し よ う とす れ ば,混 信 を避 け る た め 電 波 の 使 用 周 波 数 を多 数 準 備 しユ ー ザ へ の 割 当 を 円滑 に行 う制 御 が 必 要 に な る 。 移 動 体 の 通 信 に は 端 末 機 器,無
線 通 信,
交換 シス テ ム の 分 野 で 多 くの 新 しい技 術 を必 要 とす る と共 に,既 存 の ネ ッ トワ ー ク と の網 間接 続 が 重 要 に な っ て く る。 “ど こ で も” に対 応 す る 通 信 の ネ ッ ト ワ ー クが 移 動 通 信 ネ ッ トワ ー クで あ り,近 年 め ざ ま し く発 展 して い る ネ ッ トワ ー クで あ る。 移 動 通 信 は無 線 通 信 が 主 要 な 分 野 とな っ て お り,衛 星 通 信 と共 に 無 線 の特 質 を最 も活 用 した通 信 で あ る。 移 動 通 信 は 古 くか ら タ ク シ ー 無 線,列 舶 電 話 な どで 利 用 され て きた。 ま た近 年 は 一 般 公 衆 用 と して,ア
車 無 線,船
ラ ー ム に よる
特 定 相 手 の 無 線 に よ る呼 出 しサ ー ビ ス,コ
ー ドレス 電 話,自
話 な どが 次 々 に 出 現 した。 こ れ らの な か で 機 能,性
動 車 電 話,携
帯電
能 に優 れ 広 範 囲 に 利 用 さ れ
て い る本 格 的 な移 動 通 信 シ ス テ ム は 自動 車 電 話 と携 帯 電 話 で あ る。 本 格 的 な移 動 通 信 とい う 意 味 は移 動 体 か ら固 定 電 話 網 お よ び他 の 移 動 体 に途 切 れ る こ と な く通 話 が で きる こ と と,固 定 網 か ら移 動 体 の 位 置 を探 し通信 の ため の ア クセ ス が 容 易 に で きる こ とで あ り,こ の よ う な シス テ ム を構 築 す る た め に そ の し くみ を作 らね ば な らな い 。 自動 車 電 話 と携 帯 電 話 の うち,早
くか ら研 究 され 実 用 化
され た の は 自動 車 電 話 で,サ ー ビス が 開 始 され た 当 初 の 端 末 機 と して の 電 話 機 は 車 載 型 で あ っ た 。 そ して,そ の 後 の 小 型 軽 量 化 の研 究 開発 の 進 展 に と も な っ て 車 外 利 用 型 とな り携 帯 電 話 の 誕 生 につ な が る こ と と な っ た 。 した が っ て,自 動 車 電 話 も携 帯 電 話 も使 い方 に 違 い が あ る だ け で技 術 的 内容 もサ ー ビ ス 内 容 も 同 一 で あ る。 そ の た め,両 者 を ま とめ て 表 現 す る と き は 自動 車 ・携 帯 電 話 あ る い は 単 に携 帯 電 話 と呼 んで い る 。 以 後 こ の 章 で は 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 と,そ の 後 コ ー ド レス電 話 の 発 展 形 と して 登 場 した 簡 易 携 帯 電 話(PHS)に
つ いて述
べ る こ と とす る。 移 動 通 信 は他 の 通信 シス テ ム と比 べ る と,厳
しい 電 波 環 境,小
型 軽 量 の携 帯
性,ネ ッ トワ ー ク内 の 経 路 の 制 御 な ど多 くの 異 質 な 面 を有 す る シ ス テ ム で あ る 。 そ の 主 な もの を列 挙 す る と以 下 の よ う に な る 。 ①無 線 周 波 数 資 源 の 有 効 利 用 一 般 に 無線 の 場 合 は 有 線 と異 な り空 間 を多 くの 電 波 が 共 同利 用 す る こ と に な る の で,利 用 に 当 た っ て は郵 政 省 に よ る規 制 が あ り,伝 送 周 波 数帯 域 が 厳 し く制 約 さ れ,有 限 の 無 線 の 周 波 数 資 源 を有 効 利 用 す る こ とが 求 め られ て い る。 移 動 通 信 で は,一 つ の 無 線 基 地 局 か らの 電 波 が 到 達 す る範 囲(サ
ー ビス エ リ ア)内 の 移 動 機 数 に対 応 して 無 線 チ ャ ネル を準 備
して お か な け れ ば な らな い の で,サ
ー ビス エ リ ア内 で利 用 す る加 入 者 の 数 が 多
くな れ ば必 要 な周 波 数 帯域 は非 常 に 広 い もの と な り,人 口 密 度 の 高 い 都 市 ほ ど 電 波 資 源 の不 足 が 深 刻 な 問 題 と な る 。 したが っ て,移 動 通 信 は無 線 の 中 で も最 も周 波 数 資源 の 有 効 利 用 が 要 求 さ れ て い る分 野 で あ る。 そ の た め の 方 法 と して は,新 周 波 数 帯 の 開拓,同
一 周 波 数 の 距 離 的繰 り返 し利 用,デ
ィジ タル 方 式 の
場 合 の 高 能 率 変 調 に よ る狭 帯 域 伝 送/時
分 割 多 重 利 用/高
能率情報源符 号化 な
どい ろ い ろ な こ とが 考 え られ て い る。 (2)最 悪 の 電 波 伝 搬 条 件 下 の 通 信 移 動 に と も な っ て 受 信 電 界 が 変動 し,都 市 内 で は 建 物,ト
ン ネ ル な ど に よ り電 波 経 路 が 見 通 し外 と な り,か つ 多 重 の 反
射 波 が 到 来 す る な ど電 波伝 搬 が 悪 条件 と な る。 この 結 果,伝
送 品 質 が 劣 化 し変
動 す る こ とに な る。 そ の た め に は デ ィ ジ タ ル変 調 方 式 の 採 用,ダ 受 信 が 有 効 で あ り,電 波 の 届 き難 い トン ネ ル,地 下 駐 車 場,ビ
イバー シテ ィ
ル の 谷 間 な どで
は必 要 に応 じ不 感 知 対 策 を施 さ な け れ ば な らな い 。 (3)移 動 端 末 機 器 の 小 型 軽 量 移 動 に と も な う必 要 条 件 で,電 子 回路 のLSI 化,電
池 や フ ィ ル タの 改 良 な どで対 応 す る こ と に な る 。
(4)移 動 機 の位 置 管 理,追
跡 交 換 移 動 機 を呼 び 出 す た め に 必 要 な位 置 登 録
機 能,移 動 に よ り無 線 エ リ アが 変 わ る と きの周 波 数 切 り替 え と固 定 ネ ッ トワー ク側 の 交 換 の 切 り替 え な どの 制 御 が 必 要 で あ る 。 (5)秘
話
一 般 に 無 線 通 信 は 共 通 の電 波 空 間 を使 っ て い る の で,電 波 の 周
波 数 を合 わせ れ ば他 人 の 通 話 内容 を傍 受 す る こ とが で き る大 きな 欠 点 を持 っ て い る 。 そ の た め 通 信 シス テ ム に秘 話 機 能 を持 た せ る こ とが 重 要 で あ る。 通 信 シ ス テ ム に ア ナ ロ グ 方 式 を用 い る と,簡 単 な こ と しか で きず 不 完 全 で あ る。 しか し,デ ィ ジ タ ル 方 式 を採 用 す る と変 調 方 式 を高 度 化 す る こ とで も効 果 が あ るが, 比 較 的 容 易 に デ ィジ タル 信 号 に 暗 号 化 を施 す処 理 が 可 能 で あ り,秘 話 が 完 全 に な る。
4.2
自 動 車 ・携 帯 電 話 方 式
[1] 技 術 の 変 遷 わ が 国 の 場 合 は1979年,最
初 の 自動 車 電 話 方 式 がNTTに
ー ビ スが 開 始 さ れ た 。 こ の 方 式 は800MHz帯
よ り実 用 化 され サ
の 電 波 を使 用 した セ ル 方 式(距
の 離 れ た 無 線 基 地 局 間 で の 同 一 周 波 数 の 繰 り返 し使 用),追 術 を駆 使 した 画 期 的 な方 式 で あ っ た。 しか し,ま
離
跡 交 換 な ど の新 技
もな く急 増 す る需 要 に 電 波 資
源 が 不 足 す る と こ ろ と な り,決 め られ た 周 波 数 帯 域 の 下 で 無 線 チ ャ ネ ル 当 た り の 加 入 者 容 量 増 大 の た め の 技 術 開 発 に 追 わ れ,1987年
には周波 数利 用効 率 を
大 幅 に 改 良 した 大 容 量 シ ス テ ム(6.25kHz間
ク タ構 成 ・制 御)が
隔FM,セ
実
現 した 。1985年 に電 気 通 信 事 業 法 が 新 し く試 行 され て新 規 通 信 業 者 が 誕 生 し, 1988年,移
動 通 信 分 野 もNTT以
外 の 方 式(TACS方
式)に
よ るサ ー ビ ス が 開
始 され 現 在 に至 っ て い る 。 以 上 に述 べ た 二 つ の シス テ ム は ア ナ ロ グ 方 式 で あ り移 動 通 信 の 第 一 世 代 に位 置 づ け られ る シス テ ム で あ り,そ れ らの 変 調 方 式 に はFMが
使 われて いた。 そ
の 後 の 研 究 の流 れ は,雑 音 に 強 く,マ ル チ メ デ ィ ア通 信 に 有 利 で,秘 話 も可 能 な デ ィ ジ タル 変 調 方 式 に 向 け られ,1993年 動 通 信 方 式PDC(Personal
に はNTTに
よ り初 の デ ィ ジ タル 移
Digital Cellular System)が
実 用 化 を終 え サ ー ビス
を 開 始 した 。 こ れ は 将 来 性 あ る デ ィ ジ タ ル方 式 の 最 初 の シ ス テ ム で あ り,移 動 通 信 の 第 二 世 代 の 幕 開 け と な っ た 。 こ の 方 式 は800MHz帯 使 用 し,低
ビ ッ トレ ー ト符 号 化,狭
に 加 え1.5GHz帯
帯 域 デ ィジ タ ル変 調,TDMAな
を
どの 新 技
術 を駆 使 して い る。 この 最 初 の デ ィ ジ タ ル方 式 が 実 用 化 さ れ る に際 して は移 動 機 が 複 数 の 事 業 者 の提 供 して い る どの 自動 車 電 話 ・携 帯 電 話 網 に対 して も使 用 可 能(ロ
ー ミ ン グ と い う)と
と電 信 電 話 技 術 委 員 会(TTC)と
す る た め,電
波 シ ス テ ム 開 発 セ ン タ ー(RCR)
に よ りエ ア イ ン タ フ ェ ー ス の 統 一 規 格 が 制
定 さ れ,ロ ー ミ ング技 術 が 確 立 さ れ た こ とは ユ ー ザ に とっ て 大 変 有 意 義 な こ と で あ っ た 。 一 方,自 動 車 電 話 方 式 の端 末 は 最 初,車 載 機 で ス タ ー ト した が,そ の 後 小 型 化 が 進 み 車 内外 用 の肩 掛 け型 を経 て ハ ン ドセ ッ トだ け の携 帯 型 が 登 場 し,自 動 車 か ら離 れ て使 え る携 帯 電 話 と して 普 及 発 展 を遂 げ る に至 っ た 。 今 日 で は 自動 車 電 話 と して よ り携 帯 電 話 と して の 需 要 が 非 常 に 大 き くな っ て きて い る。 そ して1995年
7月 に は 携 帯 電 話 の 機 能 ・性 能 を簡 略 化 し低 価 格 低 料 金 に
よ り一 層 の普 及 を狙 っ た新 しい “簡 易 携 帯 電 話 ”PHS(Personal System)が
Handyphone
誕 生 し,本 格 的 なパ ー ソ ナ ル通 信 の 時 代 を迎 え る に至 っ た 。
[2] 構 成 と 特 徴 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 の通 信 の 形 態 は,一 般 的 に は移 動 機 の 電 話 機 と 固 定 の 既 存 の 電 話 網 内 の電 話 機 と を結 ん だ 音 声 通 信 で あ る。 そ の た め の ネ ッ トワ ー ク は移 動 機 と無 線 基 地 局 との 間 で 交 わ され る無 線 に よ る通 信 系 と,無 線 基 地 局 か ら既 存 の 電 話 網 に接 続 さ れ相 手 の 電 話 機 に至 る まで の 有 線 に よ る通 信 系 か ら成 り立 っ て い る。 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 の ネ ッ トワ ー クの 基 本 構 成 を 図4.1に 示 す 。 サ ー ビ ス エ リ ア は 図 の よ う に 複 数 の セ ル(無 線 ゾ ー ン)で 形 成 し,セ
ルの
中 心 に無 線 基 地 局 が あ る。 隣 接 す る セ ル で は 当 然 異 な る周 波 数 を使 用 す る が, 周 波 数 資 源 の有 効 利 用 の た め,距
離 の離 れ た セ ル 間 で は 同 一 周 波 数 を繰 り返 し
て 利 用 す る “周 波 数 再 利 用 ”の 技 術 が 基 本 と な っ て お り,そ の 結 果 高 い 周 波 数 利 用 効 率 を得 る こ とが で き る。 セ ル の 半 径 は 数 キ ロ 以 下 で,半 径 を 小 さ くす れ ば (マ イ ク ロ セ ル,ピ
コセ ル)効 率 は さ らに 高 ま る。 また,小
送 信 電 力 が 節 減 さ れ,特
セ ル化 に と もな っ て
に移 動 機 の 場 合 に携 帯 機 と して 必 要 な小 型 化 が 容 易 に
な る利 点 が あ る。 こ の よ う に 周 波 数 再 利 用 を 目的 と した セ ル構 成 に よ る 方 式 を セ ル 方 式(セ ル ラ ー と も呼 ぶ)と 呼 び,移 動 通 信 技 術 の特 徴 の 一 つ とな っ て い る。
図4.1
自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 の構 成
自動 車 電 話 で は通 話 に 先 立 っ て 回 線 の 設 定 を行 う た め,空
き無 線 チ ャ ネ ル の
指 定 を行 う必 要 が あ り,ま た 自動 車 が 通 話 中 に 隣 の セ ル に 移 動 した と きに は い ま まで の無 線 基 地 局 の チ ャ ネ ル か ら 隣 の 基 地 局 の無 線 チ ャ ネ ル に 使 用 周 波 数 を 切 り替 え な け れ ば な らな い(こ
の 機 能 を ハ ン ドオ ーバ とい う)が,こ
れ ら の制
御 を行 うの が 無 線 回線 制 御 局 で あ る。隣 接 セ ル へ の 移 動 に と も な う切 り替 え は,
両 無 線 基 地 局 か らの 電 波 の強 さを 比 較 して行 うが,通
話が途切 れ ることのない
よ う に 自動 切 り替 え す る こ とが 大 切 で あ る。 また サ ー ビス エ リア が 変 わ る こ と が あ るの で,ネ
ッ トワー クの 自動 切 り替 え の 制 御 を行 う必 要 が あ り,そ の制 御
を行 うの が 自動 車 電 話 交 換 局 で あ る。 この 自動 切 り替 え を 追 跡 交 換 と呼 び移 動 通 信 技 術 の も う一 つ の特 徴 と な っ て い る 。 なお,場
合 に よ り無 線 回線 制 御 局 と
自動 車 電 話 交 換 局 を一 つ に ま とめ 簡 易 化 す る こ と もあ る。 以 上 に述 べ た 部 分 が 移 動 通 信 独 自 の ネ ッ トワ ー ク で あ り,そ の 先 は既 存 の 電 話 網 を利 用 す る こ と と な る。 自動 車 が ど の地 域 に移 動 して い て も一 般 の 電 話 か ら効 率 よ く呼 び 出 せ る よ う に す る た め,移 動 機 か ら常 に そ の所 在 を 自動 的 に登 録 し,そ の登 録 され た地 域 内 だ け で 移 動 機 を 呼 び 出 す こ とが で き る こ とが 望 ま しい 。 これ を位 置登 録 機 能 と呼 び 移 動 通 信 の 重 要 な 機 能 とな っ て い る。 位 置登 録 は 予 め 定 め て い る ホー ム 局 の デ ー タベ ー ス に共 通 線 信 号 網 を介 して 書 き込 み,セ
ル を移 動 す る た び に書
き換 え る 。 一 般 の 電 話 か らは まず ホ ー ム 局 を呼 び だ し,移 動 場 所 を確 か め て か ら自動 的 に移 動 先 の セ ル で 呼 び 出 す 手 順 を と っ て い る。
[3] ア ナ ログ 方 式 ア ナ ロ グ 方 式 は 前 に述 べ た よ うに 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 と して の 最 初 の方 式 で,前
に 述 べ た よ う にNTT方
あ る が,こ
こ で はNTTの
式 と後 で 新 規 参 入 した 複 数 の 通 信 業 者 の 方 式 が
導 入 初 期 の 方 式 とそ の 後 に 改 良 した大 容 量 方 式 の 2
種 類 の 方 式 に つ い て 説 明 す る 。 こ れ ら の 方 式 の 主 要 な 技 術 的 要 点 を表4.1に 示 した。 大 容 量 方 式 は初 期 の 方 式 に比 ベ チ ャ ネ ル の キ ャ リヤ 周 波 数 間 隔 を25kHz か ら12.5kHzに
縮 小 し,さ
らに イ ン タ ー リ ー ブ方 式(通
常 の ノ ー マ ル チ ャネ ル
の 周 波 数 配 置 の ほ か に 非 隣 接 セ ル で 使 用 可 能 な イ ン タ ー リー ブ チ ャ ネ ル の 採 用)を 採 用 す る こ とに よ り6.25kHzま で 縮 小 す る な ど周 波 数 利 用 効 率 を非 常 に 高 め た こ とが 注 目 され る。 チ ャネ ル の 周 波 数 配 置 の 変 遷 を図4.2に 示 す 。
表4.1
アナ ロ グ方 式 の主 要 諸 元
*:6.25kHzイ
ン タ ー リ ー ブ も可 能
SCPC:Single
Carrier Per Channel
(a)初 期 の 方 式 15MHz帯 域 幅 で600ch
(b)チ ャネ ル 間 隔1/2の 方 式 1200th
(c)イ
ン ター リ ー ブ 方 式
図4.2 ア ナ ロ グ 方 式 に お け る チ ャネ ル 配 置
[4] デ ィ ジ タ ル 方 式 アナ ロ グ 方 式 で 本 格 的 に ス ター ト した 移 動 通 信 は ま もな く急 速 に利 用 が 普 及 す る に至 っ た が,改 善 を要 す る 問 題 も顕 在 化 して き た。 す な わ ち,① 大 容 量 化 つ ま り周 波 数 利 用 効 率 の 一 層 の 向 上,② ③ 移 動 機 の 小 型 軽 量 化,④
音 声 品 質 の 改 善 つ ま りS/Nの
通 信 の秘 密 確 保,⑤
向上 ,
マ ル チ メ デ ィ アサ ー ビ ス対 応 な
ど で あ る。 こ れ らの 問題 を解 決 す る た め に は,急 速 な進 歩 を 遂 げ て い るデ ィジ タ ル技 術 の 導 入 が 有 力 と考 え られ,デ ィ ジ タル 方 式 の研 究 が 盛 ん に行 わ れ る よ う に な り, 前 に述 べ た デ ィ ジ タル 移 動 通 信 方 式PDCと
して デ ィ ジ タ ル 自動 車 ・携 帯 電 話
方 式 が 実 用 化 さ れ た。 表4.2に 主 要 な方 式 諸 元 を示 す 。 表4-2デ
TDMA:時
ィ ジ タル 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 の 主 要 諸 元
分割多重ア クセス
こ の 表 か らわ か る よ う に大 容 量 化 を 図 る た め に種 々 の 工 夫 が な さ れ て お り, 以 下 に技 術 上 の 要 点 を述 べ る 。 無 線 周 波 数 帯 につ い て は新 周 波 数 帯 の 開拓 と し て新 た に1・5GHz帯 が 加 わ り電 波 の 使 え る 枠 は 増 大 した 。 ま た,無 スエ リ ア を構 成 す る 無 線 ゾ ー ン(セ ル)の 縮 小 化(マ
線 のサ ー ビ
イ ク ロセ ル化)に
よ り同
一 周 波 数 が 繰 り返 して 多 数 使 用 す る こ とが で き
,周 波 数 資 源 の 面 的 な 有 効 利 用
が 向上 した 。 しか し,デ ィ ジ タル 化 の 最 大 の 問題 は必 要伝 送 周 波 数 帯 域 の 拡 大 で あ る 。 通 常 のPCMで
は 音 声 1チ ャ ネ ル 当 た り64kbit/sの 伝 送 速 度 と な る た
め ア ナ ロ グ 方 式 に 比 して 必 要 な伝 送 帯 域 は20倍 近 くに 広 が る こ と に な る 。 そ の た め,高
能 率 の 符 号 化 方 式 で あ るVSELPを
採 用 し て11 .2kbit/sに 圧 縮 し,
こ の信 号 に 同期 と制 御 の た め の 符 号 を付 加 して14kbit/sに 低 減 して い る 。 こ の 符 号 化 は64kbit/sの 音 声 の 標 準 符 号 化 に比 して 音 声 の 品 質 をあ ま り損 な うこ と な く大 幅 に圧 縮 で き る符 号 化 方 式 と して 携 帯 電 話 専 用 に 開 発 さ れ た も の で あ る 。 こ れ を無 線 搬 送 周 波 に の せ る と き にTDMA技 ネ ル の動 的 割 当)に フ トQPSKと
術(時
分 割 分 割 多 重 とチ ャ
よ り 3チ ャ ネ ル多 重 して 伝 送 効 率 を 上 げ,さ
ら に π/4シ
呼 ば れ て い る 高 能 率 の デ ィ ジ タル 無 線 変 調 方 式 を採 用 して い る
(付録 2参 照)。 伝 送 効 率 の 高 い 変 調 方 式 と して はQPSK(Quadrature Shift Keying)が
知 られ て い る が,そ
Phase
の 中 で フ ェー ジ ング に 強 く,線 形 電 力 増
幅 器 の効 率 の 面 か ら振 幅 変 化 の 少 な い π/4シ
フ トQPSKが
選 ばれ たわ けであ
る 。 時 間 軸 上 と周 波 数 軸 上 に お け る チ ャ ネ ル 配 置 を 図4.3に 示 す 。 以 上 に述 べ た こ と を総 合 す る と,周 波 数 利 用 効 率 は著 し く改 善 され た こ と に な るが ア ナ ロ グ方 式 に比 して ま だ 十 分 と は い い 難 い 。 しか し,最 近 実 用 化 さ れ た ハ ー フ レ ー トの 高 能 率 の 符 号 化 方 式PSI-CELP(5.6kbit/s)の
導入 に よ り周 波 数 利 用 効 率
の 面 で もデ ィ ジ タ ル 方 式 が 優 位 に な る に至 っ た。 また 将 来 方 式 と して 有 望 と思 わ れ る ス ペ ク トル 拡 散 技 術 を 用 い たCDMA(符
号 分 割 多 重 多 元 接 続)方
つ い て も現在 研 究 が 進 め られ て い る。
図4.3 デ ィ ジ タ ル方 式 に お け るチ ャ ネ ル配 置
式に
周 波 数利 用 効 率 を除 け ば デ ィ ジ タ ル化 は ア ナ ロ グ方 式 よ り有 利 に な る 点 が 多 数 あ る。 す な わ ち,① 雑 音 に 強 い こ と,② デ ー タ通 信 や フ ァク シ ミ リな どマ ル チ メ デ ィ ア通 信 が 容 易 な こ と,③ 通 信 の 秘 密 確 保,認 と,④LSIの
導 入 が 容 易 と な り設備 の 小 型 化,高
証 機 能 の導 入 が 可 能 な こ
信 頼 化,経
済化 が推進 で きる
こ とな どが あ り,ま た 将 来 に 向 け て の 高 度 な ネ ッ トワー ク サ ー ビス も可 能 とな る。 次 に こ れ ら を簡 単 に 説 明 す る。 ① の 雑 音 に 強 い こ とは デ ィ ジ タ ル の大 き な特 長 で あ る。 移 動 機 に お け る受 信 電 波 の 強 さ は基 地 局 か ら遠 くな る に した が っ て 当然 小 さ くな り,信 号 対 雑 音 比 は 劣 化 し音 声 品 質 が 下 が る こ と と な る。 ア ナ ロ グ方 式 で は距 離 に完 全 に比 例 し て 品 質 は劣 化 す る が,デ
ィ ジ タル 方 式 の場 合 に は雑 音 に 強 い特 徴 を持 って い る
の で 図4.4に 示 す よ う に あ る程 度 の 距 離 ま で は 品 質 が ほ と ん ど劣 化 し な い 特 性 を 持 っ て い る 。 した が っ て,セ ル 半 径 を こ の特 性 を考 慮 して 決 め て や れ ば 品 質 改 善 に貢 献 す る こ とに な る。
図4.4 音 声 品 質 の比 較
② の マ ル チ メ デ ィア の 通 信 に対 応 可 能 とす る た め に は,ま ず マ ル チ メ デ ィア 通 信 に 共 通 な デ ィ ジ タル 方 式 に して お くこ と が必 須 で あ る 。 例 え ば,デ
ー タを
伝 送 す る場 合 に ア ナ ロ グ 方 式 で は モ デ ム を介 して 行 う た め4,800bit/sが 限 界 と な っ て い た が,デ
ィ ジ タル 方 式 で は9,600bit/sに 高 速 化 さ れ,さ
らに 網 と端 末
の 間 で 誤 り検 出 や デ ー タ再 送 制 御 を 行 うた め信 頼 性 の 高 い伝 送 が 可 能 と な っ た。 ③ の通 信 の 秘 密 を確 保 す る に は十 分 な秘 話 機 能 を持 た せ る必 要 が あ り,デ ィ
ジ タル 方 式 に して お け ば 暗 号 化 や 認 証 の技 術 を導 入 す る こ とが 容 易 とな り,無 線 通 信 の 長 い 間 の 懸 案 問 題 が 解 決 され る 。 ④ は移 動 機 の 小 型 軽 量 化 に役 立 っ て い る 。 小 型 軽 量 化 は 電 池 と電 子 回 路 が 大 きな 要 素 と な っ て い る 。 電 池 は小 型 化 が進 み 現 在 多 く使 用 さ れ て い る の は ニ ッ ケ ル カ ドミウ ム 電 池 で あ り,さ らに新 しい 材 料 を 求 め て模 索 が 続 け られ て い る 。 電 池 の 消 費 電 力 は無 線 の 送 信 電 力 の大 き さに 大 き く影 響 され る の で,マ セ ル 化 は こ の 観 点 か ら も都 合 が よ い。 電子 回 路 は無 線 変復 調 器,周 サ イザ,各 種 フ ィ ル タ,音 声 コー デ ック(デ
波 数 シ ンセ
ィ ジ タル 方 式 の 場 合)な
って い る が,こ れ らは デ ィジ タル 方 式 に な る と,デ
イ クロ
どか らな
ィ ジ タ ル信 号 処 理 の 導 入 と
LSI化 が 容 易 な た め 小 型 軽 量 化 に 役 立 つ ばか りで な く,高 精 度 化,高
信 頼 化,
経 済 化 に も貢 献 す る 。 こ の メ リ ッ トは移 動 機 ばか りで な く基 地 局 に対 して も当 て は ま る こ とで あ り,小 セ ル 化 や セ ク タ化 に よ り実 質 的 に基 地 局 が 増 加 す る こ と に対 す る 経 済 化 と して も意 義 が あ る 。
4.3
簡易携帯電話方式(PHS)
自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 が 実 用 化 さ れ る の と並 行 し,電 話 網 の 端 末 で あ る電 話 機 に無 線 に よ る移 動 性 を付 与 し た コ ー ドレス 電 話 が実 用 化 さ れ た 。 こ れ は端 末 の 移 動 性 と して は非 常 に狭 い 範 囲 に 限 られ た サ ー ビス で あ っ た 。 しか し,デ ジ タル 移 動 通 信 方 式(PDC)の
ィ
技 術 が 確 立 され る に した が っ て コ ー ドレス 電
話 方 式 も見 直 さ れ高 度 化 さ れ た 。 す な わ ち,移 動 範 囲 は拡 大 され,家 庭 の 外 で も発 信 と着 信 が で き る よ うに な り,家 庭 ・事 業 所 ・屋 外(駅 集 ま る公 共 の 地 域)に
や 地 下 街 な ど人 の
無 線 基 地 局 を設 置 し,歩 行 程 度 の 移 動 速 度 を前 提 と した
携 帯 電 話 と 同様 の サ ー ビス が 提 供 で き る よ う に な っ た 。PHSを
実現 す る上 で
重 要 な技 術 的 特 徴 は 上 述 の サ ー ビ ス エ リ ア を半 径 が 数 百 m 以 下 の マ イ ク ロ セ ル で構 成 す る こ と で あ る。 この こ とは 限 られ た 周 波 数 で 多 くのユ ー ザ に サ ー ビス を提 供 で き る ば か りで な く,無 線 機 の 送 信 電 力 を低 減 で きる の で 基 地 局 と移 動 機 の小 型 化,低 消 費 電 力 化 に寄 与 す る こ と に な る 。
ネ ッ トワ ー ク構 成 はPDCが
無 線 回 線 制 御 局 を 中 心 と した 無 線 独 自 の ネ ッ ト
ワ ー ク を 持 っ て い る の に対 して,PHSで
は既 存 の 電 話 網 を最 大 限 活 用 し,小
型 化 さ れ た 無 線 基 地 局 は 公 衆 電 話 や ビ ル に簡 単 に取 り付 け る方 法 を採 用 す る な ど経 済 化 を 図 っ て い る 。 ま た,PHSで
は立 ち止 ま っての通話 か歩 行程 度 の低
速 移 動 の 通 話 を 前 提 と して い る の で,PDCに
具備 されて いる高速 移動 中 のハ
ン ドオ ー バ 機 能 が 不 要 と な り制 御 機 能 が 簡 易 化 で き る 。 こ れ ら の こ と か ら PHSは
低 料 金 をね らっ た 普 及 型 の 携 帯 電 話 シ ス テ ム と位 置 づ け ら れ て い る。
セ ル 内 で 無 線 チ ャ ネ ル の 中 か ら空 きチ ャ ネ ル を選 択 して 端 末 に割 り当 て る 無 線 回 線 制 御 方 式 に は,集 中 制 御 方 式 と 自律 分 散 制 御 方 式 とが あ る 。PDCで 集 中 制 御 方 式 が 使 わ れ て い るが,PHSで
は
は マ イ ク ロ セ ル化 に よ りサ ー ビス エ
リア が 拡 大 す る と き に は きわ め て 多 数 の 基 地 局 が 必 要 に な り,か つ 地 理 的 な 配 置 が ラ ンダ ム と な ら ざ る を得 ない た め,こ れ を解 決 す る た め に 制 御 機 能 を基 地 局 と移 動 機 に分 散 して 自律 的 に制 御 を 行 う 自律 分 散 制 御 方 式 が 有 効 と な る 。 こ の方 式 は,呼 の発 生 ご と に利 用 可 能 な 空 きチ ャ ネ ル の 検 索 を行 い,チ
ャネ ル を
自律 的 に選 択 して 通 信 を行 う。 しか し,セ ル 間 の移 動 の 場 合 に は 新 しい 基 地 局 と の 間 で 新 た な チ ャ ネル の設 定 を行 う必 要 が あ り,高 速 移 動 に対 し て は 制 御 が 追 い つ か な い場 合 が 生 ず る。PHSで
は こ の 自律 分 散 制 御 方 式 が 使 わ れ て い る 。
こ れ まで に述 べ た 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 とPHSの し た。 またPHSの
方 式 諸 元 を表4.4に 示 した 。
表4.3
VSELP:ベ
特 徴 を対 比 して 表4.3に 示
自動 車 ・携 帯 電 話 とPHSの
ク トル和 線 形 予 測 符 号 化 ADPCM:適
特徴
応差分 予測符号化
表4.4 PHSの
TDMA:時
表4.4のPHSの
分割多重 アクセス TDD:時
諸 元 で 表4.2のPDCの
方式諸元
分割双 方向伝送
諸 元 と異 な る い くつ か の要 点 につ い て
説 明す る 。 伝 送 方 式 の 多 重 化 で はPDCと
同 様 にTDMAを
採 用 し て い る が,4
チ ャ ネ ル の 中 で 1チ ャ ネ ル は制 御 専 用 チ ャ ネ ル と し て い る 点 がPDCの 異 な る 。 そ の 他TDD(Time 特 徴 で あ る 。TDDは
Division Duplex)を
上 り (移 動 機 → 基 地 局)と
場合 と
採 用 して い る こ とが 新 しい 下 り (基地 局 → 移 動 機)の
電
波 を周 波 数 を分 け ず に,同 一 の 周 波 数 を 使 い 時 間 を2分 割 し交 互 に使 い 分 け る 技 術 で あ り,周
波 数利 用 効 率 を 向上 す る利 点 が あ る。 音 声 符 号 化 方 式 は
32kbit/sの 汎 用 のADPCMを
採 用 して お り,音 声 品 質 はPDCよ
り優 れ,か
つ
ネ ッ トワー ク に 電 話 網 を利 用 す る と きに,現 在 の 電 話 網 が64kbit/s単 位 で 多 種 の 速 度 階 層 構 成 の デ ィ ジ タ ル ネ ッ トワ ー ク に変 貌 して い る現 在 で は イ ン タ フ ェ ー ス に お け る変 換 が 容 易 と な る利 点 が あ る 。 ま た,マ ビス に対 し て もPDCに PHSの NTTの
ルチ メ デ ィ ア対 応 の サ ー
比 して有 利 と な る。
ネ ッ トワ ー ク構 成 例 を 図4.5に 示 す 。 図 はPHSの
ネ ッ トワー ク と して
既 存 の デ ィジ タル ネ ッ トワー ク を利 用 す る 場 合 を 示 した も の で,こ
以 外 に 通 信 事 業 者 に よ っ て は あ る 程 度 自社 の ネ ッ トワ ー ク を 使 い,不 NTTネ
足分 を
ッ トワー ク を利 用 す る や り方 が あ る。 そ の 場 合 に は網 間 接 続 の 形 態 と
な る 。 デ ィ ジ タ ル ネ ッ トワ ー ク はPHSが ADPCMを
れ
音 声 符 号 化 方 式 に32kbit/sの
採 用 し て い る の で親 和 性 が あ り,簡 単 な 変 換 装 置(PHS用
置)で 接 続 で き る(具 体 的 に はISDNの
Bチ ャネ ル との接 続)。
接続 装
図4.5 PHSの
ネ ッ トワー ク構 成 例
ネ ッ トワ ー クの 基 本 機 能 と して は,端 末 の移 動 に と も な い 所 在 位 置 を常 に ネ ッ トワー クが 把 握 す る た め に必 要 な 位 置 登 録 機 能,電
話 網 の 加 入 電 話 か ら携 帯
機 の 番 号 が ダイ ア ル さ れ た と きに所 在 エ リア を検 出 ・追 跡 し 回線 を接 続 す る追 跡 接 続 機 能 や 一 斉 呼 出機 能,チ
ャネ ル 割 当機 能,ハ
ン ドオ ー バ 機 能 な どは基 本
的 に 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式 と 同 じで あ る。 しか し,自 動 車 ・携 帯 電 話 方 式 が サ ー ビス エ リア を マ ク ロ セ ル で す べ て 覆 うや り方 に 対 し て ,人 の 集 ま る地 域 に マ イ ク ロセ ル を適 当 に配 置 す る ラ ン ダム 的 なサ ー ビ ス エ リ ア と な る の で,制 御 関 係 で チ ャ ネ ル割 当 に 自律 分 散 型 ダイ ナ ミ ック チ ャネ ル 割 当 方 式 が 使 わ れ る な ど 異 な る点 が あ る 。 わ が 国 のPHSの
標 準 規 格 はRCRに
よ り制 定 され,ロ
ー ミ ング が 可 能 とな り,
1995年 7月 か ら商 用 サ ー ビ スが 開 始 され た。
4.4
FPLMTS
自 動 車 ・携 帯 電 話 とPHSの
サ ー ビ ス の 開 始 に よ り,“ ど こ で も ” の 長 か っ た
電 話 通 信 の夢 は 実 現 し,本 格 的 な 移 動 通 信 の 時 代 が 到 来 した 。 今 後 も携 帯 機 の よ り一 層 の小 型 軽 量 化 が 進 め られ,ま
た マ ル チ メデ ィ ア対 応 の 技 術 も進 展 す る
こ と は 間 違 い な い と思 わ れ る 。 シ ス テ ム 面 で は現 在 先 進 各 国 が 協 力 してITU で研 究 を進 め て い るFPLMTS(Future System)と
Public Land Mobile Telecommunication
呼 ば れ て い る 方 式 が あ り注 目 さ れ て い る。
FPLMTSはITUが
中心 と な っ て研 究 が 進 め ら れ て い る グ ロー バ ル な 将 来 の
公 衆 陸 上 移 動 通 信 シ ス テ ム で あ る 。 移 動 通 信 は 表4.5に み られ る よ う に,セ
ル
ラー系 と コ ー ドレス 系 に 分 けて 考 え る こ とが で きる 。 表4.5FPLMTSの
そ の 第 一 世 代 と して,ま
位置づけ
ず ア ナ ロ グ の 自動 車 ・携 帯 電 話 と狭 い 区 域 で 親 機 と
子 機 の 間 を無 線 で結 ぶ ア ナ ロ グの コ ー ドレス 電 話 が ス ター ト した 。 そ して 第 二 世 代 に入 っ て そ れ ぞ れ が デ ィ ジ タ ル化 と多 機 能 化 が進 め られ,自 話 とPHSと
動 車 ・携 帯 電
して サ ー ビス が 定 着 し普 及 す る と ころ と な っ た 。 移 動 通 信 は本 来,
移 動 機 を小 型 軽 量 に して 携 帯 性 を重 視 して い るの で,世 界 の ど こへ で も持 ち歩 きで きる 通 信 端 末 に 大 き な特 徴 が あ る。 そ の ため,行
く先 の シ ス テ ムが 技 術 の
違 い で ロ ー ミ ン グ で き ない よ うで は移 動 通信 と して の価 値 が 当 然 低 い もの に な る。 第 一 世 代 の ア ナ ロ グ 自動 車 ・携 帯 電 話 で は各 シ ス テ ム の技 術 が 不 統 一 で あ り問題 と な っ て い たが,第
二 世 代 の デ ィ ジ タ ル 自動 車 ・携 帯 電 話 とPHSで
日
本 の標 準 規 格 が 制 定 され ユ ーザ に 利 便 を与 え た 。 しか し,世 界 的 に は 日本,米 国,欧
州 の 地域 ご と に標 準 が 異 な っ て い る 点 が 不 便 で あ る 。FPLMTSは
先進
性 の 技 術 を 導入 す る こ とは 勿 論,衛 星 利 用 も視 野 に入 れ た グ ロ ー バ ル移 動 通 信, そ して 世 界 統 一 の標 準 規 格 の 確 立 を 目的 に して い る。 これ は2000年
頃のサ ー
ビス 開 始 を 目標 と して い る 方 式 で あ り,実 現 され れ ば世 界 のユ ー ザ に と っ て 理
想 的 なパ ー ソ ナ ル 通信 を利 用 す る こ とが で き,そ の 期 待 は大 きい。 最 後 に 通 信 衛 星 を利 用 して 世 界 規模 で行 う携 帯 電 話 サ ー ビ ス に つ い て 最 近 の 動 向 を 紹 介 し て お く 。 す で に サ ー ビ ス が 開 始 さ れ て い る の は,赤 36,000kmの 機 構)な
道上
高 度 に 打 ち 上 げ られ た 静 止 衛 星 の イ ンマ ル サ ッ ト(国 際 移 動 衛 星
ど を使 う衛 星 利 用 通 信 サ ー ビ ス で あ る。 しか し,衛 星 と地 上 の端 末 が
遠 く離 れ て い る た め,受 信 電 波 が微 弱 とな りか つ 端 末 の 電 波 の 出 力 を大 き くす る必 要 が あ り端 末 の 小 型 化 が 困 難 で あ る 。 この 問 題 を解 決 す る た め,衛 度 を1,000km以
星の高
下 に低 く し多 数 の 周 回 衛 星 を使 う こ とが 考 え られ て い る 。 こ の
方 式 で 実 現 を推 進 して い る もの に 米 国 の イ リジ ウ ム 計 画 が あ り注 目 され て い る。 こ れ は 南 北 両 極 を通 る 高 度780kmの
6つ の低 軌 道 を周 回 す る66個 の衛 星
で 全 世 界 を カ バ ー す る もの で あ る。 衛 星 の 移 動 に よ り電 波 が届 か な くな る こ と に対 して は,衛 星 通 信 間 のハ ン ドオ ー バ で 処 理 し,通 話 が 途切 れ な い よ う な し くみ と な っ て い る。 こ の ほ か に も い ろ い ろ な研 究 が あ り,衛 星 を利 用 す る携 帯 電 話 方 式 は グ ロ ー バ ル な パ ー ソナ ル通 信 を実 現 す るた め の 有 力 な手 段 を 提 供 す る もの と考 え られ て い る 。
演
習
問
題
移 動通 信 シス テムが 固定 の通信 システ ム と異 なる特徴 と,シ ステ ム を支 える主 要
1.
技 術 に つ い て 要 約 し て 説 明せ よ 。 2.
移 動通 信 にお け るアナ ログ方 式 とデ ィ ジタル方 式 の長所 と短所 を比 較せ よ。
3.
移 動通 信 で は周 波 数の有効 利 用が 重視 され て いるが,そ の対 策 と して デ ィジ タル 方式 で取 り上 げ られ てい る技 術 に は どの ような ものが あ るか?
4.
デ ィ ジ タ ル 移 動 通 信 の 変 調 方 式 と して 使 わ れ て い る π/4シ フ トQPSKの 利 点 につ い て 知 る と こ ろ を 述 べ よ。
5.
自動 車 ・携 帯 電 話 とPHSの
特 徴 を比 較 せ よ 。
原理 と
5 デ ー タ 通 信 ネ ッ トワ ー ク
5.1概
要
周 知 の 如 く近 年 の コ ン ピ ュ ー タの 発 展 は め ざ ま し く,現 代 で は社 会 の あ らゆ る 分 野 で 利 用 さ れ て い る状 況 に あ る。 ハ ー ドウ ェ ア面 で はLSIの 急 速 な 進 歩 に よ り高 機 能化,高
性 能 化,小 型 化,高
信 頼 化 が 進 み,そ
の 結 果 コ ス ト/パ フ ォ
ー マ ンス に優 れ た コ ン ピ ュ ー タが 実 現 で きる よ う に な り,一 方,ソ
フ トウ ェ ア
面 の研 究 も進 み,新 た な利 用 分 野 の 開拓 と相 俟 っ て 広 く普 及 す る よ う に な っ た 。 コ ン ピ ュ ー タ に よ る各 種 情 報 処 理 は,今 や 高 度 情 報 社 会 の 企 業 活 動 に 不 可 欠 の もの と な りつ つ あ り,ま た 個 人 生 活 に もパ ソ コ ンや ワ ー プ ロ な どで な じみ 深 い もの と な っ て きて い る 。 コ ン ピ ュ ー タ に よる 情 報 処 理(デ 処 理 と呼 ば れ る利 用形 態(コ が,ま
ー タ処 理 と も い う)は,初
期 の頃はバ ッチ
ン ピュ ー タの 設 置 場 所 で処 理 す る形 態)で
あ った
もな くオ ン ラ イ ン即 時 処 理 に 変 わ り,計 算 機 の大 型 化,処 理 の 高 速 化 が
進 む こ と に よ りTSS(タ
イ ム シ ェ ア リ ング シ ス テ ム:時
分 割 多 重 利 用)の
考
え 方 が 生 まれ て 利 用 形 態 が 進 展 した 。 そ の結 果,① 大 型 電 子 計 算 機 の 共 同 利 用 や 遠 隔 利 用,②
情 報 資 源 の 共 同利 用 が 可 能 とな りコ ン ピ ュー タ通 信 は 大 き く進
歩 した 。 そ し て コ ン ピ ュー タ 間 通信 は,単
に端 末 機 器 と コ ンピ ュ ー タ と を結 ぶ
だ け で な くコ ン ピュ ー タ相 互 間 を 結 ん だ通 信 へ と発 展 し,そ の後 の ダ ウ ンサ イ ジ ン グ(コ
ン ピ ュ ー タ の小 型 化,高
機 能 化,高 性 能 化,低
価 格 化,機
能 分 散)
の 傾 向 に よ り一 層 の 普 及 と分 散 処 理 が 進 む と共 に各 種 の ネ ッ トワ ー ク化 が 推 進
さ れ る こ と と な り今 日 に至 っ て い る。 コ ン ピ ュ ー タ で は 情 報 を “0” と “1” の 2値 デ ー タの 組 み 合 わ せ で 表 現 す る こ と を基 本 と し,文 字,記
号,数
字 な どに対 応 させ 情 報 処 理 を行 っ て お り,
こ の よ うに して 作 られ た デ ー タ信 号 は デ ー タ通 信 に よ り遠 くに 送 られ る。 デ ー タ通 信 は 本 来,文 字 と数 字 を符 号 化 し遠 くへ 伝 達 す る 電 気 通 信 シス テ ム と して 位 置 づ け られ,人
が 直 接 操 作 す る端 末装 置 と セ ン タ間 で 行 わ れ て きた が,上 述
した よ うに 現 在 の コ ン ピ ュ ー タ全 盛 の 時 代 で は文 字 と数 字 以 外 に コ ン ピ ュ ー タ で 処 理 され た 画 像 な どの 超 高 速 デ ー タ を も扱 う コ ン ピ ュー タ 間 通 信 の シス テ ム に変 貌 して い る。 デ ー タ通 信 は通 信 の た め の デ ー タ処 理 と,デ ー タ伝 送 と二 つ の 要 素 か ら成 り 立 っ て い る 。 デ ー タ通 信 の 基 本 構 成 は 図5.1に 示 す よ う に 端 末 装 置(DTE; Data Terminal
Equipment),回
Terminating Equipment),伝
線 終 端 装 置(DCE;Data
送 路,通 信 制 御 装 置,お
Circuit
よび中央処 理装 置 か ら
成 り立 っ て い る。
図5.1 デ ー タ通 信 の 基 本 構 成
DTEは
人 間 と機 械 の 問 の イ ン タ フ ェ ー ス で,対 象 とす る 情 報 に対 応 して キ
ー ボ ー ド,OCR,プ
リ ン タ, CRTデ
ィ ス プ レ イ な ど種 々 の も の が あ る。 そ し
て そ の 中 に は,情 報 を 2値 デ ー タの 形 に また はそ の逆 に変 換 す る 入 出力 処 理 機 能 と,回 線 の 接 続
相 手 の確 認,デ
ー タの 誤 りの チ ェ ッ ク な どを 行 う伝 送 制 御
機能が ある。 DCEは
伝 送 路 とデ ー タ処 理 系 と を結 ぶ イ ン タ フ ェ ー ス で,円
滑 な デ ー タ伝
送 を行 うた め デ ー タ信 号 を伝 送 路 の 特 性 に 整 合 させ る よ う変 調 や 符 号 変 換 を行
う もの で あ る。DCEは,対
象 とす る伝 送 系 が 電 話 網 の よ う に 帯 域 制 限(電
1回線 の と きは0.3∼3.4kHz)の
あ る ア ナ ロ グ伝 送 路 を使 う と き に は 変 復 調 器
(MODEM;Modulater+Demodulater)が 信 網,ISDN)の
話
使 用 さ れ,デ
ィ ジ タル 網(デ
ー タ通
よ う に す で に デ ィ ジ タル 信 号 を伝 送 で きる よ う に 作 られ て い
る デ ィ ジ タル 伝 送 路 を使 う と き に はデ ィ ジ タ ル 回 線 終 端 装 置(DSU;DigitaI Service Unit)が
対 応 して使 用 さ れ て い る。 MODEMは
ル信 号 を ア ナ ロ グ信 号 に 変 換 す る機 器 で あ り,DSUは
2値 デ ー タの デ ィ ジ タ 2値 デ ー タの デ ィ ジ タ
ル信 号 を伝 送 路 の デ ィ ジ タル 信 号 に 整 合 させ る た め 速 度 変換 と 同期 を と る 機 器 で あ る 。 こ れ らの 詳 細 は後 の デ ー タ伝 送 の と こ ろで 述 べ る 。 こ こで 述 べ た デ ー タ通 信 の 基 本 構 成 は,多 数 を 占 め る端 末 に処 理 機 能 の 少 な い簡 易 な型 式 を選 び,逆
に セ ン ター に端 末 か らの 多 数 の デ ー タ を 集 中 処 理 す る
高 度 な コ ンピ ュ ー タ を設 置 す る考 え 方 で あ る 。 しか し最 近 は,パ な低 価 格 化 か らわ か る よ うに,端
ソコンの急速
末 の イ ンテ リ ジ ェ ン ト化 に よ り分 散 処 理 に進
む傾 向 と な っ て い る。 また,伝
送 路 はNTTな
ど通 信 業 者 が や っ て い る 通 信 サ ー ビ ス の 面 か ら分 類
す る と,通 信 業 者 か ら専 用 と して借 りる専 用 線(両 端 に 設 置 す る機 器 は レ ン タ ル とユ ー ザ の 自己 設 置 とが あ る)と,電
話 網 も し くは デ ィ ジ タ ル網 の い ず れ か
を利 用 し不 特 定 多 数 の ユ ー ザ と通 信 で きる公 衆 網 とが あ る 。 公 衆 網 に は デ ー タ 交 換 機(回 線 交換 機 か パ ケ ッ ト交 換 機)が
設 置 され て い る 。 これ らの 詳 細 は 後
の デ ー タ通 信 網 の と こ ろ で 述 べ る 。 以 上 に 述 べ た 種 々 の デ ー タ伝 送 形 式 を 図 5.2に 示 す 。 上 述 の 各 種 シス テ ム で デ ー タ通 信 を行 う に 当 た っ て,予 め 決 め て お か な け れ ば な ら な い もの に プ ロ トコ ル(通 信 規 約)が
あ る。 こ れ は 通 信 相 手 と の 約 束 事
で あ り,電 話 と異 な っ て 人 間 が 介 在 し な い機 械 対 機 械 通 信 で は必 要 不 可 欠 の 概 念 で あ る。 例 をあ げ る と,イ
ン タ フ ェ ー ス に お け る物 理 的 ・電 気 的 条 件,伝
速 度,接 続 方 法,デ ー タの 受 け渡 し方 法,経
路 選 択,誤
りチ ェ ッ ク,デ ー タ の
表 現 形 式 等 で あ る 。 こ れ らの こ と は,ISOとITU-T(旧CCITT)と 系 的 に標 準 化 が な され て い る。
送
に よ り体
(a)ア ナ ロ グ伝 送 系
(b)デ ィジ タル 伝 送 系
(c)専 用 線 と公 衆 網(そ
れ ぞ れ ア ナ ロ グ とデ ィ ジ タ ル)
図5.2 種 々 の デ ー タ伝 送 形 式
5.2
デー タ信号
デ ー タ通 信 で 取 り扱 う信 号 は,通 常 “1” と “0” の組 み合 わ せ に よる 2値 の デ ー タで あ り,対 象 とす る情 報 は簡 単 な低 速 の デ ー タ か ら高 精 細 画 像 を 符 号 化 した 高 速 デ ー タ に至 る まで 様 々 で あ る 。 こ こ で はデ ー タ伝 送 で 知 っ て お くべ き こ と と して,文 字,数
字,記 号 を 2値 の デ ー タ信 号 で表 現 す る と きに 国 際 的
な 取 り決 め と な っ て い る 標 準 符 号 と,デ ー タ信 号 の 伝 送 速 度 と変 調 速 度 に つ い て 述 べ て お く。
[1]
標準符号
デ ィ ジ タル 情 報 に は,文 字,数 字,記 も い う)に CCITTで
号 が あ り,こ れ らを 符 号 列(コ
い か に 対 応 づ け る か に つ い て は,ISO(国
ー ドと
際 標 準 化 機 構)と
決 め ら れ た 標 準 符 号 の 勧 告 が あ る。 わ が 国 で も これ を も と に 7単 位
と 8単 位 の 標 準 符 号(標
準 コ ー ド)を 制 定 して い る。
表5.1に 現 在 広 く使 わ れ て い る 7単 位 の 標 準 符 号 を示 す 。JIS 7単 位 符 号 は 7
表5-1 JIS 7単 位 標 準 符 号
〔注 〕SHIFT IN, SHIFT OUTの
切 替 え は, SIコ ー ド,ま た はSOコ ー ドに よ っ て 指 定 す る 。
ビ ッ トで 表 示 す る の で,27=128種
の 文 字,数
る 。 こ の 表 か ら 送 る 文 字,数
号 を 見 つ け,そ
の 符 号b7∼b1を
知 り,こ
字,記
れ ら をb7b6b5b4b3b2blの
情 報 を 表 示 す る 。 例 え ば,"A"は1000001と
字,記
号 が 表 現 で き る こ とに な の 位 置 か ら対 応 す る行 と列 順 に 並 べ て デ ィジ タ ル
な る。 この よ う な文 字 な どの 符
号 化 を キ ャ ラ ク タ 符 号 化 と も い う。 実 際 に 送 る デ ー タ 信 号 は,情
報 7 ビ ッ トに
パ リ テ ィ チ ェ ッ ク 用 の 1 ビ ッ トを 加 え て 1バ イ ト(byte:8ビ
ッ ト)を
と し て い る(た
基本
だ し 漢 字 は 2バ イ ト)。 パ リ テ ィ チ ェ ッ ク と は 後 の 誤 り 制 御 の
と こ ろ で 述 べ る が,符
号 誤 り を 検 出 す る た め の 符 号 で あ る 。 な お,表
の中 には
文 字,数
字,記 号 の ほ か に多 くの 機 能 キ ャ ラ ク タが含 まれ て い るが,こ
れ らに
つ い て は 後 の 伝 送 制 御 の 節 で 詳 述 す る 。 ま た,0 列14行 と15行 に あ るSO(シ フ トア ウ ト)とSI(シ
フ トイ ン)の 制 御 符 号 は こ の 後 に 続 く各 符 号 が 表 の シ
フ トア ウ ト,シ フ トイ ン側 の文 字 に対 応 させ て,拡 張 して 使 用 す る た め の もの で あ る。
[2]
伝送速度 と変調速 度
デ ー タ信 号 の伝 送 速 度 を 表 す に は,デ 立 っ て い る の で,通
常,ビ
ー タ信 号 が0と
ッ ト/秒(bit/s)が
1の 2値 符 号 か ら成 り
使 用 さ れ て い る。 こ の ほ か,
伝 送 帯 域 の制 限 さ れ た デ ー タ伝 送 系 で は,搬 送 波 を使 用 しASK, FSK, PSK, APSKな
ど の 高 能 率 変 調(付
速 度 ボ ー(Baud),ま
録 2お よ び5.4節[4]参
た は シ ンボ ル(Symbol)が
照)を
行 うた め,変
調
用 い られ て い る 。 こ れ は 搬
送 波 が 変 調 に よ り変 化 を受 け る と き,情 報 を表 す の に 必 要 な最 小 時 間 の 逆 数 を 示 した もの で あ る。 伝 送 距 離 が 非 常 に 短 い た め変 調 をか け な い伝 送(こ ー ス バ ン ド伝 送 とい う)や ,ASK, 致 す る が,高
FSKの
れ をベ
場 合 に は伝 送 速 度 と変 調 速 度 は 一
能 率 変 調 を用 い る場 合 に は 一 致 しな い 。 例 え ば,4
相PSK変
調
で は変 調 速 度 が1,200ボ ー で 伝 送 速 度 は2,400bit/sと な る 。
5.3
同期方式
デ ー タ 信 号 を 伝 送 す る 場 合 に は,通
常 直 列 伝 送 の 形 態 を と る の で,送
受 信 側 と の 間 で タ イ ミ ン グ を 合 わ せ る た め の 同 期(synchronization)が に な る 。 同 期 を 大 別 す る と , 図5.3の
ビ ッ ト同 期
ブ ロ ック 同 期
ようになる。 同期方 式 非 同期 方式(調 歩同期方式) 調歩 同期方式 キ ャ ラ ク タ 同期 方 式 フ ラ ッ グ 同期 方 式
図5.3
同期 の種類
信 側 と 必要
ビ ッ ト同 期 は ビ ッ トご と に 同期 を と る こ と を意 味 し,ブ ロ ッ ク同 期 は 文 字 や 数 字 な ど を表 す ビ ッ トの か た ま り を ビ ッ ト列 か ら見 出す た め,か
た ま りの 区 切
りを受 信 側 に 知 らせ る こ と を意 味 す る。
[1]
ビッ ト同期
デ ー タ信 号 は 1と 0の符 号 列 で,具 体 的 に は 1は 通 常 矩 形 の パ ル ス を使 うが, 伝 送 路 の 特 性(損
失,ひ ず み,雑 音)に
よ り受 信 波 形 は 一般 にか な り崩 れ た 波
形 と な る。 そ の た め,受 信 側 で 符 号 列 を 0と 1に正 し く識 別 す る に は,波 形 を 伝 送 速 度 に合 わせ た 識 別 時 点 で し きい 値 に よ り識 別 す る こ と に な るが,ビ 同 期 はデ ー タ信 号 と は 別 の 識 別 時 点 を示 す タ イ ミ ング情 報(ク
ット
ロ ック 信 号)を
送 る 方 法 を指 す もの で あ る 。 ビ ッ ト同期 は 同 期 方 式 と非 同 期 方 式 に分 類 され る。 同期 方 式 は送 受 で デ ー タ 信 号 の タ イ ミ ング を完 全 に 一 致 させ る 方 式 で あ り,タ イ ミ ン グ情 報 をデ ー タ 信 号 とは 別 の線 で 送 る方 法(外
部 同期)と,タ
イ ミン グ情 報 は 特 に送 らず 受 信 側
で デ ー タ信 号 の 中 か ら タ イ ミ ン グ情 報 成 分 を抽 出す る方 法(自 己 同期,内 期)の
部同
2種 に 分 け る こ とが で き る。 普 通 多 く使 わ れ て い る の は 自己 同期 に よ る
方 法 で あ り,こ れ はデ ィジ タ ル伝 送 に お け る 中 継 器 にお け る リ タ イ ミ ン グ,伝 送 端 局 間 の ビ ッ ト同 期 とす べ て 原 理 的 に は 同一 の もの で あ る。 非 同 期 方 式 は,送 信 側 と受 信 側 の 間 で デ ー タ信 号 の タ イ ミ ン グ を厳 密 に合 わ せ る こ と を考 え な い 方 式 で あ り,そ れ ぞ れ の装 置 が もつ ほ ぼ 同 一 の ク ロ ック で タ イ ミ ン グ を とる もの で あ る 。 した が っ て,装
置 は 経 済 的 に な るが 多 少 正 確 さ
に 欠 け る欠 点 が あ る。 具 体 的 に は,送 信 側 か らデ ー タ信 号 が 到 達 し て か ら,受 信 側 の ク ロ ック に よ りタ イ ミ ン グ を と り符 号 列 を識 別 す る。 そ の 代 表 的 な 方 式 は古 くか ら広 く使 わ れ て い る調 歩 同 期 方 式 で あ る。 こ れ は 図5.4に 示 す よ う に, 文 字 コー ドの 前 後 に ス タ ー ト ビ ッ ト(基 準 信 号),ス
トッ プ ビ ッ トを付 加 し,
無 通 信 時 は ス トップ 状 態 が 続 く形 態 とす る もの で あ る。 受 信 側 で ス タ ー トビ ッ トを 受 信 す る と,そ の 時 点 か ら 自局 の ク ロ ック で タ イ ミ ング を と り始 め 0か 1 か の識 別 を行 う。 した が っ て,送 信 側 と受 信 側 の ク ロ ッ ク周 波 数 は 完 全 に は 一
調歩同期
図5.4
致 して い な い が,比 較 的 低 速 なデ ー タ通 信 で は簡 便 な 方 式 で あ る 。
ブ ロック同期
[2]
ブ ロ ッ ク 同期 の 方 式 に は,調 歩 同 期 方 式,キ
ャ ラ ク タ同 期 方 式,フ
期 方 式 が あ る。 調 歩 同 期 方 式 に つ い て は前 に述 べ た が,ス
ラッグ同
タ ー トビ ッ トと ス ト
ッ プ ビ ッ トの 間が 一 つ の 文 字 コ ー ドを示 して お り,こ の方 式 は ビ ッ ト同 期 と ブ ロ ッ ク 同期 の 両 方 の機 能 を備 え て い る こ と に な る 。 キ ャ ラ ク タ同 期 は,特 定 の 同期 用 の 符 号 を デ ー タの 前 に先 行 させ る方 式 で あ る 。 こ の 同 期 符 号 と して は,表5.1に SYN符
示 したSYN符
号(0010110)を
用 い る。
号 は 同期 を確 実 にす る た め 二 つ 以 上 つ け,受 信 側 で は このSYN符
号を
常 時 監 視 して こ れ が 到 着 した ら次 に続 く もの が デ ー タだ と判 断 す る 。 こ の方 式 は調 歩 同 期 の よ うに 文 字 ご との 同 期 を と らな い の で,多 量 の 文 字 デ ー タ を送 信 す る 場 合 に は効 率 が よ い。 この 方 式 を 図5.5(a)に
示 す 。 こ の 方 式 はSYN同
期 と も呼 ば れ,後 述 の ベ ー シ ック 手 順 で 採 用 さ れ て い る。 フ ラ ッグ 同 期 方 式 は,キ (文 字)で
ャ ラ ク タ同 期 方 式 が デ ー タ伝 送 の 単 位 を キ ャ ラ ク タ
考 え て い る の に 対 して,高 速 の 長 い デ ー タ(例
も扱 い や す くす る た め に 考 え られ た も の で,任 (フ レ ー ム と い う)の
え ば 画 像 デ ー タ)を
意 の 長 さの デ ー タの ビ ッ ト列
前 後 に 同 期 用 の パ タ ー ン(フ
ラ ッ グ シ ー ケ ンス と呼 ぶ)
を 配 置 し,受 信 側 で こ れ を検 出 し同期 を とる 方 式 で あ る 。 フ ラ ッ グ シー ケ ンス の ビ ッ トパ タ ー ンは"01111110"が
使 わ れ,伝 送 す る デ ー タが な い と きで も常
キ ャ ラ ク タ 同期
(a)
(b)
図5.5
フ ラ ッ グ同 期
キ ャ ラ ク タ同期 とフ ラ ッ グ同 期
時 送 出 して お く。 こ の 方 式 を 図5.5(b)に
示 す 。 この 方 式 の 場 合,フ
ラ ッグシ
ー ケ ンス 以 外 の デ ー タ のす べ て の ビ ッ ト列 で この パ ター ンが 現 れ な い よ うに す る た め,デ ー タ 中 に 1が 5個 連 続 した と きに は送 信 側 で そ の 直 後 に 強 制 的 に 0 を挿 入 し,受 信 側 で こ れ を 除 去 す る方 法 が と られ て い る 。 こ の方 式 は後 述 の ハ イ レベ ル デ ー タ リ ン ク制 御 手 順 で 採 用 され て い る。
5.4 [1]
デー夕伝 送 データ伝送 の分類
デ ー タ信 号 を伝 送 路 で伝 送 す る に は,有 線 つ ま り線 路 に よ る方 法 と無 線 に よ る 方法 とが あ る 。 一 般 に狭 い 範 囲の ネ ッ トワー ク で は 有 線 が 多 く使 わ れ,広 域 の ネ ッ トワ ー ク で は有 線 と無 線 の両 方 が使 わ れ て い る 。 使 用 さ れ る線 路 の種 類 は 近距 離 の 場 合 は ペ ア ケ ー ブ ル,遠 距 離 の場 合 は 同軸 ケ ー ブ ル か 光 ケ ー ブ ル が 一 般 的 で あ り,無 線 は マ イ ク ロ波 が 一般 的 で あ る。 線 路 の 場 合 に は 伝 送 距 離 が 長 くな る につ れ て 伝 送 コス トが 高 くな る の で,線 路 導 体 の 使 用 数 の 削 減 や線 路 の 交 互 使 用 な ど伝 送 効 率 を高 め る こ とが 重 要 に な っ て くる 。 こ の よ う な伝 送 の や り方 を通 信 モ ー ドと い う。 線路 に よ り比 較 的 低 速 の デ ー タ信 号 を 近 距 離 に送 る場 合 に は,符 号 の 1と 0 を パ ル ス 波 形 の 有 無 に対 応 させ て伝 送 す る方 式(ベ
ー ス バ ン ド伝 送 方 式 また は
基 底 帯 域 伝 送 方 式 とい う)が 多 く使 わ れ て い る 。 パ ル ス波 形 は広 い 周 波 数 成 分 (周波 数 ス ペ ク トル)を 有 す る の で,伝
送 す る と きに は広 い 周 波 数 帯 域 を持 つ
伝 送 路 が 必 要 に な る 。 ペ ア ケ ー ブ ル は 周 波 数 帯 域 が 狭 い の で デ ー タ信 号 が低 速 の場 合 しか 使 え な い 。 高 速 デ ー タ の場 合 に は 同 軸 ケ ー ブ ル や 光 ケ ー ブ ル を使 用 しな け れ ば な らな い 。 ま た,遠 距 離 の 場 合 に は伝 送 途 中 に 中継 器 を 挿 入 して や らな け れ ば な らず伝 送 に特 別 の 工 夫 が 必 要 に な る 。 そ の た め,遠 距 離 に送 る と きに はNTTな
ど通 信 業 者 が 持 っ て い る 施 設(専
用 線,ネ
ッ トワ ー ク)を 利 用
す る の が 普 通 で あ る 。 そ の施 設 と して は 広 域 に わ た る公 衆 ネ ッ トワ ー ク と して の電 話 網 とデ ー タ網 お よ び 近 年 導 入 さ れ て い るISDN(総 ル網)が
合 サ ー ビスデ ィジ タ
あ る。
電 話 網 は網 を構 成 して い る伝 送 方 式 と交 換 機 が ア ナ ロ グ か らデ ィ ジ タ ル に 変 貌 し,線 路 も光 ケ ー ブ ル に変 遷 して い る が,ユ
ー ザ との イ ン タ フ ェ ー ス は ア ナ
ロ グ で そ の伝 送 周 波 数帯 域 は音 声 通 信 と の整 合 を考 え0.3∼3.4kHzと
不 変 であ
る。 電 話 網 に よ る デ ー タ伝 送 は 搬 送 波 伝 送 と な る た め 端 末 機 器 か らMODEM を通 して 接 続 す る が,上 記 の帯 域 で の伝 送 と な る た め デ ー タの伝 送 速 度 は低 速 に抑 え られ る。 しか し,電 話 網 に よ る デ ー タ伝 送 は 広 域 に普 及 して い る こ とに よ る 利便 性 か ら非 常 に多 く使 わ れ て い る 。 デ ー タ網 は デ ー タ通 信 専 用 の デ ィジ タル ネ ッ トワ ー ク で あ り,各 種 の 伝 送 速 度 に 対 応 で き る よ う に な っ て い る 。 ISDNは
マ ル チ メ デ ィ ア の 発 展 を視 野 に 入 れ て 新 し く構 築 され た デ ィ ジ タ ル ネ
ッ トワー ク な の で デ ー タ網 よ り高 機 能,高
性 能 で あ る 。 専 用 線 は ネ ッ トワ ー ク
と異 な っ て 交 換 機 を含 まず 相 手 が 固定 して い る 回線 で あ る。 専 用 線 の構 築 は ネ ッ トワー ク内 の各 種 伝 送 方 式 に含 ま れ て い る伝 送 帯 域 の 階 層 構 成(ア 送 の場 合)か
伝 送 速 度 の 階 層 構 成(デ
続 す る の で,ユ
ナ ロ グ伝
ィ ジ タ ル伝 送 の場 合)に 対 応 して 直 接 接
ー ザ の 各 種 の 伝 送 速 度 の 要 求 に応 じる こ とが で き る。
以 上 に 述 べ た遠 距 離 に デ ー タ伝 送 す る 方 式 を技 術 的 な 面 か ら集 約 す る と,伝 送 路 を伝 送 周 波 数 帯 域 が 規 制 され て い る ア ナ ロ グ伝 送系 と,速 度 整 合 と同 期 が 必 要 な デ ィ ジ タ ル伝 送 系 の 二 つ に ま とめ て 考 え る こ とが で き る。 前 に示 し た 図 5.2は こ の こ と を示 して い る 。 以 下 にベ ー ス バ ン ド伝 送 方 式,ア
ナ ロ グ伝 送 方
式,デ
[2]
ィ ジ タル 伝 送 方 式 に つ い て 詳 し く述 べ る。
通信 モー ド
通 信 回線 を使 っ て デ ー タ を伝 送 す る に は並 列 伝 送 と直列 伝 送 の 2種 の 方 法 が あ る 。 一 般 に コ ンピ ュ ー タ内 や 同 一 建 物 内 の よ う に非 常 に 短 い 距 離 で は 1バ イ トの 8 ビ ッ トを ビ ッ トご と に 1本 の 伝 送 路,す
な わ ち 8本 の 伝 送 路 で 送 る並 列
伝 送 が 行 わ れ て い る。 しか し,距 離 の あ る多 くの デ ー タ伝 送 で は 多 少 時 間 が か か って も伝 送 路 を節 約 し,1 本 の伝 送 路 で 8ビ ッ トを 直 列 に変 換 し送 る直 列 伝 送 が 使 わ れ て い る。 す な わ ち,並 列 伝 送 は 8ビ ッ トの 同 時 伝 送 で あ るの に 対 し て 直 列 伝 送 は 8 ビ ッ トの 順 次 伝 送 と な る 。 そ の 原 理 を 図5.6に 示 す 。
(b)直 列 伝 送
(a)並 列伝 送
図5.6
通常,デ
並 列伝 送 と直列伝送
ー タ信 号 を伝 送路 に送 る と き は,信 号 電 流 を ル ー プ 状 に流 す た め線
路 の 導 体 は 2本 必 要 とな る(2 線 式)。 しか し,こ の 場 合 の デ ー タ信 号 は 一 方 向 の み の 伝 送 と な る。 こ の よ う な形 態 の 通 信 を単 方 向 通 信 と呼 ぶ 。 相 手 側 か ら もデ ー タを 送 っ て も ら う と き に は ス イ ッチ に よ り時 間 を分 け て 伝 送 路 を交 互 に 使 えば 双 方 向 通 信 が で きる 。 こ の よ う な形 態 の 通 信 を半 二 重 通 信 と呼 ぶ 。 常 時 双 方 向 通 信 を し た け れ ば 4線 が 必 要 に な る。 この よ うな形 態 の 通 信 を 全 二 重 通 信 と呼 ぶ 。 そ の 原 理 を 図5.7に 示 す 。
図5.7
[3]
(a)
単方向通信
(b)
半二重通信
(c)
全二重 通信
単 方 向 ・半 二 重 ・全 二 重 通 信 の 原 理
べ ースバ ン ド伝送方式
デ ー タ信 号 の 1と 0を具 体 的 に ど の よ うな パ ル ス 波 形 で 対 応 させ るか につ い て は い ろ い ろ な 方 法 が あ る 。 この よ う に伝 送 路 に 送 出す る パ ル ス 波 形 を伝 送 符 号 とい い,各
種 の 伝 送 符 号 を 図5.8に 示 す 。 図 の 説 明 に入 る 前 に 知 っ て お くべ
き基 礎 知 識 を述 べ る 。 パ ル ス 幅 が タ イ ム ス ロ ッ ト幅(ビ る割 合 をduty ratio(占 有 比 と もい う)と 呼 び,%表 一 般 に 送 信 パ ル ス波 はduty factor50%か100%の RZ(Return
to Zero)符
ッ ト間 隔)の
中で占め
示 をduty factorと 呼 ぶ 。
方 形 波 が 使 わ れ る。
号 は パ ルス 幅 が タイ ムス ロ ッ ト幅 よ り狭 い場 合 に,
次 の ビ ッ トの 前 で必 ず 0電 位 に戻 る符 号 を意 味 し,通 常duty factor50%の 形 波 が使 わ れ て い る。 そ れ に 対 してNRZ(Non
Return to Zero)符
方
号 はパ ル
ス 幅 が タ イ ム ス ロ ッ ト幅 と 同 一 と な っ て い る 符 号 を 意 味 し,duty factorは 100%で
あ る 。RZ符
とす るが,受
号 は パ ル ス 幅 が 狭 い の でNRZ符
号 の 2倍 の 帯 域 幅 を必 要
信 側 で微 分 回路 に よ り容 易 に 同期 波 を作 る こ とが で きる利 点 を有
して い る。 単 流 と複 流 の 差 異 は,単 流 が 1を正 か負 の 電 位 に対 応 させ 0を 0電 位 に対 応 させ る符 号 で あ るの に対 して,複 流 は 1と 0を正 電 位 と負 電位 に対 応
図5.8
ベースバ ン ド伝送方式で使用 され ている伝 送符 号
させ る符 号 で あ り雑 音 に よ る符 号 誤 りの 改 善 に効 果 が あ る。 バ イポ ー ラ符 号 は 1が 現 れ る都 度,正
と負 の 電 位 の パ ル ス に交 互 に 対 応 させ
0は 0電 位 に対 応 させ る符 号 で,直 流 分 を含 ま な い特 徴 が あ る。 そ の た め,伝 送 路 の 途 中 に挿 入 され る 中継 器 や 受 信 側 の機 器 が 交 流 の み の 設 計 で 済 み,か
つ
雑 音 に 強 くな る長 所 を 有 して い る。 さ らにバ イ ポ ー ラ の符 号 規 則 性 を 利 用 して 符 号 誤 り率 の 簡 単 な チ ェ ッ ク が で き る な ど優 れ た 符 号 で あ る 。 し たが って,バ イ ポ ー ラ符 号 は光 フ ァイ バ ケ ー ブ ル 以 外 の高 速 で 長 距 離 の デ ー タ伝 送 に は多 く 使 用 さ れ て い る。 CMI符
号 は 1が 現 れ る都 度,11と00に
複 流 のNRZに
交 互 に 変換 し,0 は01に 変 換 した 後,
符 号 化 す る 符 号 で あ る 。 こ れ は 1ビ ッ トの 表 現 に 2ビ ッ トを使
うの で 伝 送 速 度 が バ イ ポ ー ラの 2倍 に な る欠 点 を もつ が,直 流 分 を含 ま ず,ま た も との デ ー タ信 号 に含 まれ て い る 0の 連 続 に対 して も 1を豊 富 に 含 む符 号 に
変 換 され て い る の で タ イ ミ ン グ情 報 成 分 が 多 く含 ま れ,中 継 器 や 受 信 側 で タイ ミ ング を と る と き に有 利 とな る利 点 が あ る。 この 符 号 は広 い 帯 域 幅 を 有 す る 光 フ ァイ バ 伝 送 で 有 用 な符 号 と され て い る。 マ ン チ ェ ス タ符 号 は 1を01,0 を10に そ れ ぞ れ 2 ビ ッ ト符 号 に変 換 した 後, 複 流 のNRZに
符 号 化 す る符 号 で あ る 。 伝 送 速 度 が 2倍 に な る 欠 点 を もつ が,
直 流 分 を含 ま ず タ イ ミ ン グ情 報 成 分 が 多 く含 まれ て い る利 点 はCMI符 様 で あ る。 伝 送 距 離 の短 いLANな
[4]
号 と同
ど に使 わ れ て い る。
ア ナログ伝送方式
ア ナ ロ グ 電 話 網 や 無 線 で デ ー タ伝 送 す る と き に は伝 送 路 に帯 域 制 限(電 で は0.3∼3.4kHzの
周 波 数 帯 域 制 限)が
話網
あ る た め,ベ ー スバ ン ド伝 送 の と きの
デ ー タ信 号 に含 ま れ て い る 直 流 や低 周 波 の 成 分 を伝 送 す る こ とが で き な い 。 し た が っ て,帯 域 内 の周 波 数 を搬 送 波 と して何 らか の 変 調 をか け,帯 域 内 で伝 送 し な け れ ば な ら な い。 こ の よ う な伝 送 方 式 を キ ャ リヤ バ ン ド伝 送 方 式 と呼 ぶ 。 使 用 さ れ る 変 調 方 式 は 通 信 で 広 く使 用 され て い る 振 幅 変 調(AM),周 調(FM),位
相 変 調(PM)な
波数 変
どで あ る。 こ の 後 は ア ナ ロ グ電 話 網 に よ る デ ー
タ伝 送 の場 合 につ い て 述 べ る。 AMで
は デ ー タ 信 号 の 1 と 0 を 搬 送 波 の オ ン と オ フ に, FMで
種 の 搬 送 周 波 数(1 対 しPMで
を 低 周 波,0
変 化 で 対 応 させ て い る。 これ に
は デ ー タ信 号 を搬 送 波 の 位 相 の 変 化 に 対 応 さ せ て い る 。 こ れ ら を
ASK(Amplitude
Shift Keying),
(Phase Shift Keying)と
FSK(Frequency
Shift Keying),
も 呼 ん で い る 。 こ れ ら の 中 でASKは
る こ と が あ る の でFSKとPSKが MODEMは
を 高 周 波)の
は 1と 0 を 2
PSK
回 線 の 瞬 断 と誤
よ く使 わ れ る 。
端 末 機 器 と ア ナ ロ グ 電 話 網 と の イ ン タ フ ェ ー ス に 設 置 さ れ,デ
ー タ 信 号 を 変 調 さ れ た ア ナ ロ グ 信 号 に 変 換 す る 。MODEMに
は 多 くの 種 類 が
あ り,ITU-T(旧CCITT)で
ア ナ ロ グ網 と の
接 続 に 関 す る 勧 告)で 1,200bit/sの
は V シ リ ー ズ の 勧 告(DTEと 通 信 速 度,変
範 囲 で はFSK(300bit/s全
調 形 式 な ど を 規 定 し て い る 。 低 速 の300∼ 二 重:V.21,1,200bit/s半
二 重:V.23)
(a)
4PSK
SPSK
(b)
(c)
APSK(16値)
各種位相変調
図5.9
が 使 用 さ れ て い る。 これ よ り高 速 で はPSKが
使 用 され て い る。 PSKの
場合に
は 図5.9に 示 す よ う に,位 相 の変 化 を 0度 と180度 だ け で 使 うば か りで な く, 4相 を 2 ビ ッ トに対 応 させ る4PSK,8
相 を 3ビ ッ トに対 応 させ る8PSKが
多 く使 わ れ て い る 。4PSK,8PSKは2PSKに 量 が 2倍,4
倍 に大 き くな り効 率 的 で あ る の で2,400bit/s(4PSK:V.26な
ど),4,800bit/s(8PSK:V.27な PSKで
比 して 送 る こ との で き る情 報
ど)の 高 速 伝 送 に 使 用 され て い る 。 な お,
全 二 重 通 信 を行 う と き は 搬 送 波 の周 波 数 を 方 向 別 に分 け て 2波 使 う こ
と に して い る。 さ ら に伝 送効 率 を 高 め た 高 速 伝 送 と して は,図5.9(c)に
示す
よ う に振 幅 と位 相 を使 っ て 4ビ ッ トに 対 応 さ せ た 振 幅 位 相 変 調 方 式APSK(多 値PSKとASKの
組 み 合 わせ)が
あ る 。 こ の 方 式 は9,600bit/s(V.29)で
使用
され て い る 。 近 年 は さ らに 超 高 速 化 の研 究 が 進 展 し,14.4kbit/s(V.32bis), 28.8kbit/s(V.34)の
超 高 速 モデ ム が 出 現 して い る。
特 定 の ユ ー ザ が 必 要 とす る 超 高 速 デ ー タ伝 送 は 従 来 か ら専 用 線 に よ っ て実 用 に な って い る 。 この 場 合 に は アナ ロ グ 電 話 網 の 網 内 に あ る多 重 化 レベ ル(多 線 を 一 括 収 容 して い る広 帯 域 伝 送 路)を
回
直 接 利 用 し,効 率 の高 い振 幅 位 相 変 調
方 式 が 使 わ れ て い る。 しか し,近 年 は デ ィ ジ タ ル網 の 発 展,普 及 に よ り高速 デ ィジ タル 回線 の 利 用 に移 行 して い る。
[5]
デ ィジタル伝送方式
デ ィ ジ タル 網 で デ ー タ信 号 を伝 送 す る と きは,同
じデ ィ ジ タ ル な の で 整 合 性
が よ く,変 換 効 率 が 高 く,装 置 も比 較 的 簡 易 とな る 長 所 が あ る。 デ ー タ信 号 を デ ィ ジ タル 網 へ 入 力 す る 際 のD/D変
換 装 置 は 前 に述 べ たDSUで
あ り,同 期 と
速 度 変 換 が 主 要 機 能 で あ る。 一 般 に デ ー タ端 末 に は デ ィ ジ タル 網 との 間 に 同 期 関 係 の な い非 同 期 端 末 と,網 か ら の 同期 信 号 に よ り同期 を と る 同 期 端 末 が あ り, また 端 末 の 速 度 は ほ とん どが200bit/s∼48kbit/sの の よ うな 多 種 類 に わ た るDSUを の がCCITTの
範 囲 に あ り多 様 で あ る。 こ
デ ィ ジ タル 網 に接 続 す る た め に規 定 して い る
X シ リー ズ の 勧 告 で あ る。 以 下 にDSUの
主 な機 能 に つ い て述 べ
る。 多 種 の 端 末 速 度 を 有 す る デ ー タ信 号 をDSUで
変換 す る と きの 考 え方 と して
重 要 な こ とは,電 話 音 声 の デ ィ ジ タ ル信 号 の伝 送 速 度64kbit/sと る。 こ の こ と は 一 般 の 電 話 網 で伝 送 す る と き に,伝
の整合性 であ
送 帯 域 と して0.3∼3.4
kHzの 制 約 条 件 が あ る の と同 様 で あ る 。 す な わ ち,伝 送 す る信 号 の 長 さの 単 位 と して は電 話 の 場 合 と同 様 8 ビ ッ トに す る こ と と,伝 送 速 度 と して は低 速 の デ ー タ信 号 の場 合64kbit/sの 図5.10に2,400bit/sの ク(同
期 情 報)を
整 数 分 の 1に して お くこ とが 重 要 で あ る。
同 期 デ ー タ伝 送 の例 を示 す 。 同 期 端 末 は 網 か ら ク ロ ッ
も ら い,こ
れ に よ り 同 期 を と り,1
そ の 後 デ ー タ を 6 ビ ッ トご と に ま と め,そ
図5.10
点 サ ン プ リ ン グ を行 う。
の 前 後 に 同 期 の た め の F ビ ッ ト(フ
同 期 デ ー タ伝 送 にお け る信 号 の 変 換
図5.11
レ ー ム ビ ッ ト)(フ
レ ー ム ご と に 1 と 0 を 交 互 に 送 る)と,通
別 を す る S ビ ッ ト(ス 1オ ク テ ッ ト(8
エ ンベ ロ ー プ 形式
テ ー タ ス ビ ッ ト)(通
ビ ッ ト)と
トを 加 え た も の で,エ
信 は 1,非
す る 。 こ の 形 式 は,デ
信 ・非 通 信 の 区
通 信 は 0)を
ー タ 6 ビ ッ トに 制 御 2 ビ ッ
ン ベ ロ ー プ 形 式 と も 呼 ば れ て お り,そ
示 す 。 こ の よ う に,2,400bit/sの
付 加 して
デ ー タ 信 号 は3.2kbit/sに
の 模 様 を 図5.11に
変 換 さ れ,実
際 に伝
送 路 に送 出 す る と き に は さ ら にバ イ ポ ー ラ符 号 に変 換 され る。 伝 送 路 上 を伝 送 す る と き の 伝 送 速 度(上
の 例 で は3.2kbit/s)を
こ れ か ら わ か る よ う に,ベ /6倍
ベ ア ラ(bearer)速
ア ラ 速 度 は 同 期 伝 送 の 場 合,端
度 と呼 ぶ 。
末 に お け る 速 度 の8
とな って い る。
非 同期 デ ー タ伝 送 は,網 か らの ク ロ ック を使 わ ず に デ ー タ伝 送 す るや り方 で, 調 歩 同期 端 末 の よ う な1,200bit/s以 下 の 伝 送 で 使 わ れ る。 この よ う な低 速 の端 末 につ い て は,網 内 の ク ロ ッ クか ら作 っ た サ ン プ リ ン グパ ル ス に よ り多 点 サ ン プ リ ン グ を 行 い,そ
の 後 で 先 ほ ど と同 様 に,6
ビ ッ トに ま と め て F ビ ッ トと S
ビ ッ トを付 加 して 1オ ク テ ッ トと し,同 期 伝 送 の と き と 同様 の ベ ア ラ速 度 で 伝 送路 に送 出す る。 こ の 方 式 は デ ー タ 1ビ ッ トを 送 る の にか な りの ビ ッ トを使 う の で伝 送 効 率 は悪 い が,装 置 が 簡 単 に な る た め 広 く用 い ら れ て い る。 表5.2に 端 末 に お け る デ ー タ信 号 速 度 と伝 送 路 上 のベ ア ラ速 度 と の 対 応 を示 す 。こ の 表 か らわ か る よ う に,デ ィ ジ タル 網 に よ るデ ー タ伝 送 の ベ ア ラ速 度 は, 同期 と非 同期 の 種 類 とは 無 関 係 に64÷nkbit/s
(n=1,
5, 10, 20)
の 4種
に系 列 化 され て い る。 デ ー タ 信 号 の 多 重 化 は,ま に,3.2kbit/sベ か,ま
ず 電 話 音 声 の デ ィ ジ タ ル 信 号 0次 群(64kbit/s)
ア ラ 信 号 を20チ
た は12.8kbit/sベ
ャ ネ ル か,6.4kbit/sベ
ア ラ 信 号 を10チ
ャネル
ア ラ 信 号 を 5 チ ャ ネ ル か の い ず れ か を 多 重 化 し伝 送 す
表5.2 デ ー タ信 号 速 度 とべ ァ ラ速 度 との 対 応
る こ と が で きる 。 こ れ 以 上 の多 重 化 も し くは 超 高 速 の デ ー タ伝 送 に 対 して は, デ ィジ タ ル伝 送 方 式 の ハ イ ア ラ ー キ の 中 の 適 当 な速 度 で 伝 送 す る こ と に な る。
5.5 [1]
伝送制御 概 要
端 末 とセ ン ター 間,ま た は端 末 相 互 間 で デ ー タ伝 送 を 行 う と きに は,送 信 相 手 に確 実 に接 続 す る こ とと情 報 を正 確 に伝 送 す る こ とが 重 要 で あ る 。 電 話 に よ る会 話 と異 な り多様 な 機 械 対 機 械 通 信 の 場 合 に は,送 ア とソ フ トウ ェ ア に つ い て 詳 細 な 取 り決 め(プ
受信 装 置 間 でハ ー ドウ ェ
ロ トコ ル)を 厳 密 に行 って お く
必 要 が あ る 。 また 伝 送 の 途 中 で 混入 す る 雑 音 に よ り符 号 誤 りが 生 じた と き に, チ ェ ッ ク符 号 を用 い て これ を検 出 し送 信 側 か らデ ー タを 再 送 して も ら う仕 組 み を作 っ て お く こ と も不 可 欠 で あ る。 これ らの 各 種 の制 御 を総 称 して伝 送 制 御 と 呼 び,プ
ロ トコ ル を伝 送 制 御 手 順 とい う。
伝 送 制 御 は 図5.12に 示 す よ う に 時 間 的 に 5つ の フ ェ ー ズ か ら成 り立 ち,こ
れ
ら は 電 話 で 会 話 す る と きの 手 順 と類 似 した もの で あ る。 最 初 の回 線 の接 続 は ダ イ ア ル に よ る相 手 の 呼 出 に相 当す る 。 デ ー タ リン ク(デ ー タ伝 送 の 経 路)の 立 は,多
確
くの 局 が デ ー タの 発 信 要 求 が あ る と き に ど の よ う に調 整 し どの 局 に送
信 権 を 与 え るか の手 順 を決 め て い る もの で あ る 。 そ の 方法 に は コ ン テ ン シ ョン
図5.12
方 式 とポ ー リ ン グ/セ
伝 送 制御 の フ ェー ズ
レ ク テ ィン グ 方 式 の 2種 類 が あ る 。 コ ンテ ン シ ョ ン方 式
は ネ ッ トワ ー ク内 の セ ン タ と端 末 が対 等 の 立 場 を と り,早
く送 信 要 求 を 出 し た
もの に 送 信 権 を与 え る 早 い もの 勝 ち の 方 式 で あ る 。 も し同 時 に送 信 要 求 が あ り 衝 突 した 場 合 に は,予 め 決 め られ た 時 間 差 を設 定 し衝 突 を 回 避 す る。 通 常 は ネ ッ トワ ー ク 内 の 1対 1の 回 線 に使 用 す る が,LANの
よ う な マ ル チ ポ イ ン トの
回 線 で 使 用 す る と きに は 2つ の 端 末 か らの 同時 送 信 に よ る衝 突 が しば しば 起 こ る 可 能 性 が あ る の で 特 別 の 制 御 が 必 要 に な る(後 グ/セ
のLANで
詳 述)。 ポ ー リ ン
レ ク テ ィ ン グ方 式 は ネ ッ トワ ー ク内 で た だ一 つ 存 在 す る 制 御 局 に よ りす
べ て の 従 属 局(端
末)を 制 御 す る方 式 で あ る。 ポ ー リ ン グ とは 制 御 局 が 制 御 権
を有 し従 属 局 の 端 末 に 送 りた い デ ー タ の 有 無 を順 次 問 い 合 わせ,有
りの と きは
そ の従 属 局 に 送信 権 を与 え,従 属 局 か ら肯 定 応 答 の フ レー ム を 送 った 後 デ ー タ を転 送 す る よ うに した もの をい う。 セ レク テ ィ ング とは 逆 に制 御 局 か ら従 属 局 に デ ー タ を送 りた い と きに 従属 局 の 端 末 を 指 定 し,従 属 局 の 受 信 準 備 完 了 を待 っ て デ ー タ を送 る こ と を い う。 ポ ー リ ング とセ レク テ ィ ン グ は必 ず ペ アで 用 い られ る こ とか らポ ー リ ング/セ
レ ク テ ィ ン グ方 式 と 呼 ば れ て い る 。 この 方 式 は
通 常 マ ル チ ポ イ ン トの 回線 で 使 用 さ れ て い る。 こ れ らの 方 式 の 例 を 図5.13に 示 す。
(a)コ ンテ ン シ ョン方 式
(b)ポ ー リ ング/セ レク テ ィ ン グ方 式
図5.13
デ ー タ リ ンク確 立 の種 類
デ ー タ リ ン クが 確 立 され る とデ ー タ の転 送 が 始 ま る が,そ
の 際 に は前 に述 べ
た 同 期 や 後 に述 べ る符 号 誤 りの検 出 ・訂 正 を行 う誤 り制御 が 重 要 と な る 。 終 結 は デ ー タ伝 送 が 終 わ っ た こ とを 相 互 に確 認 しデ ー タ リ ン ク を解 放 す る こ と で あ る 。 回 線 の切 断 は 回線 の 接 続 を 断 ち最 初 の状 態 に戻 る こ と を指 して い る。 フ ェ ー ズ 1 と 5は 交 換 機 が 介 在 す る と き の み 必 要 で ,常 時 接 続 さ れ て い る よ う な場 合 は不 要 で あ る。 伝 送 制 御 手 順 は 図5.14に 示 す よ う な種 類 が あ る。 無 手 順 は ス ター ト/ス
トッ
プ ビ ッ トを つ け た だ け で ほ か に 何 も取 り決 め の な い簡 単 な も の をい う。 基 本 形 デ ー タ伝 送 制 御 手 順 は 低 速 か ら高 速 に至 る まで 幅 広 く使 用 さ れ て い る もの で基
無 手順 基本モ ー ド ベ ー シ ック 手順
伝送 制御 手順
拡張モ ー ド
有 手順 正規応答 モー ド HDLC手
順
非同期応 答モー ド
非 同期平衡 モー ド 図5.14 伝 送 制 御 手 順 の 種 類
本 モ ー ドの ほ か に拡 張 モ ー ドが あ り,ベ ー シ ック 手 順 と略 称 され て い る 。 ハ イ レベ ル デ ー タ リ ン ク 制 御 手 順 は 比 較 的 新 し く高 速 で 高 度 の 機 能 を もつ もの で 種 々 の動 作 モ ー ドが あ り,HDLC手 ッ ク手 順 とHDLC手
順 と略 称 され て い る。 以 下 に重 要 な ベ ー シ
順 お よ び誤 り制 御 に つ い て述 べ る。
ベ ー シ ッ ク手 順
[2]
これ はIBMが
考 案 し たBSC手
順 を も と に してISOで
標 準 化 した 手 順 で,わ
が 国 で は1975年 にJIS規 格 と して 最 初 に 制 定 され た制 御 手 順 で あ り,現 在 で も 広 く使 用 さ れ て い る デ ー タ伝 送 の 基 本 的 な制 御 手 順 で あ る。
特 徴
(a)
この 手 順 は最 初 に制 定 され た基 本 モ ー ドと,そ の 後 の 技 術 の 進 歩 に合 わ せ て 追 加 制 定 され た 拡 張 モ ー ドとか ら成 り立 っ て い る 。 次 に基 本 モ ー ドの特 徴 を列 挙 す る。 ①
伝 送 す るデ ー タに はJIS 7単 位 符 号 を使 う。
②
伝 送 制 御 の機 能 はJISで 定 め て い る10種 の 伝 送 制 御 キ ャ ラ ク タ を使 う。
③
デ ー タ伝 送 の形 式 は直 列,並
列 の い ず れ で もよ く,デ ー タ信 号 の 速 度 に
制 限 は な い。 ま た,キ ャ ラ ク タの 同期 は 調 歩 式,同 期 式 の い ず れ で も よ い。
④
伝 送方 向は交 互監視 を前提 と した片方向伝送(単 方向通信)お よび両方 向非 同時伝 送(半 二重通 信)と す る。
次 に 拡 張 モ ー ドの 特 徴 を列 挙 す る。 ①
会 話 モ ー ド :会 話 的 に 情 報 を 交換 し合 うモ ー ドで,片 方 向 交 互 伝 送 の 形 式 に よ りデ ー タ リ ンク 内 で 主 局 と従 局 が 交 互 に 反 転 す る。
②
両 方 向 同 時 伝 送 モ ー ド:両 方 向 同 時 伝 送 を 可 能 とす る モ ー ドで,全
二重
通 信 回 線 を用 い る。 ③
複 数 従 属 局 セ レ ク シ ョ ン :主 局 か ら一 度 に 複 数 の 従 局 に 同 一 デ ー タ を伝 送 す る モ ー ドで,同 報 通 信 を 可 能 とす る 。
④
コ ー ドイ ンデ ィペ ンデ ン トモ ー ド:JIS 7単 位 符 号 以 外 の デ ー タ伝 送 モ ー ドで ,画 像 デ ー タの よ うな 場 合 で も 自由 に送 れ る。 情 報 メ ッセ ー ジ の フ
レ ー ム の 構 成 が 基 本 モ ー ドと本 質 的 に異 な る 。 (b)
デー タ リ ン ク の 確 立
ベ ー シ ッ ク手 順 は 図5.12で 示 した 伝 送 制 御 の フ ェ ー ズ の 中 の フ ェ ー ズ 2か ら フ ェ ー ズ 4 まで を規 定 して お り,フ ェ ー ズ 1と フ ェ ー ズ 5は 電 気 通 信 の分 野 で あ る とみ な さ れ て い る 。 フ ェ ー ズ 2の デ ー タ リ ンク の 確 立 は,① 相 手 の 呼 出, ② 相 手 の 確 認,③
相 手 の送 信 ・受 信 準 備 状 態 の 確 認,④
相 手 入 出 力 機 器 の指 定
な ど を順 次 確 認 して い くこ とに な る。 送 信 権 確 立 の た め の 手 順 と して は前 に述 べ た ポ ー リ ン グ/セ
レ ク テ ィ ング 方 式 と コ ン テ ン シ ョ ン方 式 の 2方 式 が あ る
が,ベ
ー シ ック 手 順 で は両 者 と も適用 で きる。
(c)
伝送 制御 キ ャラ クタとブロ ック伝送
前 に 表5.1でJIS
7単 位 標 準 符 号 を 示 し た が,こ
報 処 理 の 上 で 必 要 な キ ャ ラ ク タ で あ り,伝 置 制 御(DC),情
報 分 離(IS)な
機 能 は 伝 送 制 御 で,表5.3に Transmission
送 制 御(TC),書
式 制 御(FE),装
ど か ら成 り立 っ て い る 。 デ ー タ 伝 送 上 重 要 な 示 す10種
Control Character)が
の 伝 送 制 御 キ ャ ラ ク タ(TCC:
定 義 さ れ て お り,こ
の基 本 要 素 とな っ て い る。
表5.3
の中で機 能 キ ャラク タは情
伝送制御キ ャラクタ
れ が ベ ー シ ック手 順
図5.15 情 報 メ ッセ ー ジ の構 成
ベ ー シ ッ ク手 順 に よ る デ ー タ伝 送 は,基 本 的 に は送 信 す べ きデ ー タ(情 報 メ ッ セ ー ジ と呼 ぶ)を TCCを
つ け,送
い くつ か の か た ま り(ブ
ロ ッ ク)に
分 け,そ
の 前後 に
信 側 と 受 信 側 の 間 で 交 互 に や り と りす る 文 字 コー ドの 伝 送 方
式 で あ る。 情 報 メ ッセ ー ジ は ヘ ッデ ィ ング とテ キ ス ト(文 書)の ら成 り立 っ て い る。 ヘ ッデ ィ ン グ は伝 送 経 路,メ どの 補 助 情 報 に 用 い る が,使
2つ の 部 分 か
ッセ ー ジ番 号 お よ び優 先 度 な
用 しな い 場 合 もあ る。 テ キ ス トは伝 送 した い デ ー
タの 本 文 で あ る。 情 報 メ ッセ ー ジの 構 成 を 図5.15に 示 す 。 情 報 メ ッセ ー ジ は 誤 り制 御 と回 線 使 用 効 率 の 観 点 か ら ブ ロ ック と呼 ば れ る 適 当 な デ ー タの 長 さ に 分 割 さ れ る 。 そ して,図 の伝 送 デ ー タ に示 した よ うに 各 ブ ロ ック にTCCや
誤 り制 御 用 の 符 号(BCC:Block
Check Character)を
つけ
て 伝 送 す る 。 ベ ー シ ッ ク 手 順 で は こ の よ う に デ ー タ を ブ ロ ッ ク 単 位 で伝 送 し, ブ ロ ッ ク単 位 で 誤 りの チ ェ ッ ク と受 信 の確 認 を行 い,も か ら送 信 側 に再 送 を 要 求 す る 。TCCの つ け 後 にETBを 後 にETBとBCCを とBCCを
つ け,そ
使 い 方 は,ヘ
し誤 りが あ れ ば 受 信 側
ッ デ ィ ン グの 前 にSOHを
の 後 に続 くテ キ ス トの 各 ブ ロ ッ ク は 前 にSTXを
つ け る 。 た だ し,最 後 の ブ ロ ック は 前 にSTXを
つ け る 。 ま た,こ
つけ
後 にETX
の 図 で は 省 略 して い る が,「5.3 同期 方 式 の ブ ロ ッ
ク 同期 」 で 述 べ た よ う に,実 際 に は 各 ブ ロ ック の 先 頭 に 同 期 の た め のSYNコ ー ドを 二 つ つ け る こ と に な っ て い る。BCCは
通 常 水 平 パ リテ ィチ ェ ッ クが 使
用 さ れ て い る が,こ
の 詳細 は後 の 誤 り制 御 の 項 で 述 べ る 。
以 上 に述 べ た ブ ロ ック の 分 割 に よ る デ ー タの伝 送 で は,ブ 限 は な く 自由 に 分 割 す る こ とが で き る。 した が っ て,図
ロ ック 長 に特 に 制
と異 な りヘ ッデ ィ ン グ
を 2分 割 した り,逆 にヘ ッデ ィ ング とテ キ ス トの 一 部 か 全 部 を 1ブ ロ ッ ク とす る こ と も可 能 で あ り種 々 の 分 割 形 態 が あ る。 一 般 に ブ ロ ック の デ ー タ の 長 さ は 回線 の 品 質 と伝 送効 率 に密 接 に 関 係 し,長 い ほ うが伝 送 効 率 が 高 くな る が,長 す ぎる と回 線 雑 音 に よ るデ ー タの 誤 りの確 率 が 高 くな り再 送 の頻 度 が 増 大 す る 難 点 もあ る。 通 常 は100キ ャ ラ ク タ前 後 の 固定 長 で 使 われ る こ とが 多 い 。 (d)
実 際の伝送例
ベ ー シ ッ ク手 順 に よ る 実 際 の デ ー タ伝 送 の例 と して 簡 単 な コ ンテ ン シ ョ ン方 式 の場 合 を 取 り上 げ,時
間 の 流 れ に沿 っ て デ ー タの や り と りを示 した の が 図
5.16で あ る。 最 初 に 送信 側 か らENQを 信 準備 が で きて い れ ばACK(そ
送 っ て 応 答 を求 め,正
う で な け れ ばNAK)が
し く接 続 さ れ 受
返 送 さ れ,デ
ー タ リン
ク が確 立 さ れ る。 次 にヘ ッデ ィ ン グ,テ キ ス トの 順 に情 報 を送 る が,そ ロ ッ ク ご と に 区 切 っ て 誤 りの チ ェ ッ ク を 行 い ,正
図5.16
の際 ブ
し く送 ら れ て い れ ばACK
ベ ー シ ッ ク制 御 手 順 の流 れ
(そ うで な け れ ばNAK)を
返 送 し, EOTを
送)。 な お 表5.3のDLEは
送 り終 結 す る(NAKの
コ ー ドイ ンデ ィペ ンデ ン トモ ー ドを適 用 す る と き に
使 用 す る キ ャ ラ ク タで あ り,テ キ ス トにTCCと が あ る 場 合 にTCCと
場合 には再
同 じ キ ャ ラ ク タ を含 む デ ー タ
み な さ れ な い よ う に す る た め, DLEを
挿 入 した 後 の 文 字
を デ ー タ と み な す よ う にす る も の で あ る。
手順
HDLC
[3]
ベ ー シ ッ ク 手 順 は コ ン ピ ュ ー タ と端 末 装 置 間 の デ ー タ伝 送 を前 提 と して お り,コ ン ピ ュ ー タ 間 の 高 速 デ ー タ伝 送 に対 して は伝 送 効 率 が 悪 く不 十 分 な 面 が 多 か っ た。 そ こで,そ 手 順 がHDLC手
の 後ISOが
中 心 と な っ て 検 討 され新 し く考 え ら れ た 制 御
順 で あ り,わ が 国 で は1978年
にJISの 規 格 が 制 定 され た。 こ の
手 順 の 考 え 方 は後 述 す るパ ケ ッ ト交 換,ISDN,
LANな
どの 制 御 手 順 の基 本 と
な る も の で もあ り,非 常 に 重 要 な 制 御 手 順 で あ る。 (a)
特 徴
HDLC手
順 は ベ ー シ ッ ク手 順 に比 べ る と高 度 の機 能 を備 え て お り,そ の 主 要
点 は以 下 の 通 りで あ る 。 ①
ベ ー シ ック 手順 は ブ ロ ッ ク単 位 の 送 信 とそ れ に対 す る肯 定 応 答 の 受 信 の 繰 り返 し とい う交 互 監 視 方 式 を とっ て い る た め,伝 送 効 率 が 上 が らず 高 速 伝 送 に 適 さ な い 。 これ を改 良 す る た め,任 連 続 応 答 に よ る 同 時 監 視 方 式(全
②
意 の 長 さ の デ ー タの 連 続 送 信 と
二 重)を 採 用 して い る。
ベ ー シ ック 手 順 は基 本 的 に文 字 コー ドの伝 送 で あ り,画 像 の よ う な文 字 形 式 と異 な る 高 速 の デ ー タ伝 送 に対 して は 拡 張 モ ー ドで あ る程 度 自由 度 を 保 証 して い る が 不 十 分 で あ る。HDLC手
順 で は 情 報 内容 に 関 係 な く ビ ッ ト
単 位 で 伝 送 で き る よ うに な っ て い る 。 ③
ベ ー シ ッ ク手 順 は デ ー タ リ ンク確 立 の 際 の 制 御 形 式 を種 々用 意 して い る (入 出 力 機 器,ポ ド)が,一 HDLC手
ー リ ン グ/セ
レ ク テ ィ ン グか コ ン テ ン シ ョ ン,拡 張 モ ー
度 決 め る と 途 中 で 変 更 す る こ とが で き な い 。 こ れ に対 し て 順 で は 変 更 が 比 較 的 自 由 で あ る。
④
ベ ー シ ック 手 順 で は 伝 送 制 御 符 号 は誤 り制 御 の対 象 外 で あ る が,HDLC 手 順 で は これ ら も対 象 とす る ほ か 誤 り制 御 が 高 度 化 し信 頼 性 が 高 くな っ て い る。 フ レー ム 構 成
(b)
HDLC手
順 を 特 徴 づ け る もの が ブ ロ ッ ク に代 わ る フ レー ム で あ る。 フ レー ム
は転 送 の 単 位 で 情 報 メ ッセ ー ジ も監 視 制 御 情 報 もす べ て フ レ ー ム の 形 で 送 受 信 さ れ る 。フ レー ムの 構 成 を図5.17に 示 す 。次 に各 フ ィー ル ドに つ い て 説 明 す る 。 ①
フ ラ ッ グ シ ー ケ ン ス こ れ は フ レ ー ム の 始 め と終 わ りに つ け られ る 8ビ
ッ トの 特 定 パ ター ン “01111110” で あ り,受 信 側 に フ レー ム の 開 始 と終 了 を 知 らせ る と と も に 同 期(フ
ラ ッグ 同期)の
役 割 を持 っ て い る 。 も し も こ れ と同 じ
ビ ッ トパ タ ー ンが ほか の と こ ろ で現 れ る と受 信 側 で フ レー ム 終 了 と誤 っ て 判 断 す る こ と に な る の で,送 信 側 で 1が 5個 連 続 した ら強 制 的 に “0” を 6 ビ ッ ト 目 に挿 入 し受 信 側 で こ れ を 除 去 す る 方 法 が と られ て い る。 ② ア ド レ ス フ ィー ル ド これ は フ レー ム の宛 先 また は 送 信 元(レ の 場 合)の るが,そ ③
ア ドレ ス を示 す 。 8ビ ッ ト使 っ て表 現 す る の で256局
ス ポ ンス
まで指定 で き
れ 以 上 の と き は16ビ ッ トまで 拡 張 す る こ とが で き る。
制 御 フ ィ ー ル ド 相 手 局 に対 す る 動 作 の指 令 や 応 答 を 示 す 部 分 で 最 も複
雑 な取 り決 め が あ る。 これ は ベ ー シ ッ ク手 順 の 伝 送 制 御 キ ャ ラ ク タの 役 割 を, よ り高 度 に して 8 ビ ッ トで 対 応 させ る わ け で あ る か らや む を得 な い こ とで あ る 。 そ の概 要 は 後 で 述 べ る。 ④
情 報 フ ィ ール ド 利 用 者 に と っ て 実 際 に必 要 な 情 報 メ ッセ ー ジ と制 御 情
報 な ど転 送 す べ きデ ー タが 入 っ て い る部 分 で あ る。 ユ ー ザ 情 報 の 長 さ に は特 に
図5.17
HDLCの
フ レー ム 構 成
制 限 は な く,任 ⑤
意 の ビ ッ トパ タ ー ン で 伝 送 で き る 。
フ レ ー ム チ ェ ッ ク シ ー ケ ン ス こ れ は フ ラ ッ グ を 除 くす べ て の フ ィ ー ル
ドの 内 容 が 正 確 に 転 送 さ れ た か ど う か を チ ェ ッ ク す る 誤 り制 御 の た め の フ ィ ー ル ドで あ り,ベ CRC(Cycric
ー シ ッ ク 手 順 のBCCに Redundancy
Check)方
相 当す る 。 HDLCで 式(誤
は16ビ
ッ ト を 使 い,
り制 御 の 項 で 述 べ る)が
使 わ れ
て い る。
(c) コ マ ン ドと レス ポ ン ス コマ ン ド(指 令)は タ リ ンク の確 立,デ (応 答)は HDLC手
相 手 局 に対 し情 報 を転 送 す る た め の 準 備,す
なわ ちデー
ー タ の 転 送 と終 了 な ど を指 令 す る もの で あ り,レ ス ポ ン ス
コ マ ン ドに対 す る応 答 で 実 行 した動 作 や 状 態 を 報 告 す る もの で あ る。 順 で は 1次 局,2
次 局,複 合 局 の 3種 類 の 局 を定 義 して い る 。 こ れ ら
は 図5.18に 示 す よ うに,1 次 局 は シ ス テ ム 内 で デ ー タ リ ン ク の 設 定 や 障 害 の 回 復 に責 任 を持 つ 制 御 局 で あ り,2 次 局 は 1次 局 の コマ ン ドに よ り動 作 す る従 属 局 で あ り,そ して 複 合 局 は デ ー タ リ ン クの 制 御 に つ い て 対 等 の 立 場 で 両 者 の 機
(a)不 平衡 形 手順 ク ラ ス
(b)平 衡 形 手順 ク ラ ス
図5.18
局構 成 と コマ ン ド/レ ス ポ ンス
能 を 併 せ 持 つ 局 で あ る。 す なわ ち,制 御 に 関 して は 1次 局 の み が コマ ン ドフ レ ー ム を送 信 し,2 次 局 は レス ポ ンス フ レ ー ム の み を送 信 す る。 こ れ を不 平 衡 形 手 順 ク ラ ス とい う。 なお 2次 局 は一 つ の 場 合 と複 数 の場 合 が あ る。 1対 1の 複 合 局 で構 成 され る場 合 を平 衡 形 手 順 ク ラ ス とい い,両
局 は お 互 い に コマ ン ドと
レ ス ポ ンス を送 信 す る こ とが で き る。 一 般 に不 平 衡 形 手 順 ク ラス は ホ ス トコ ン ピ ュ ー タ と端 末 の 間 の デ ー タ通 信 に適 し,平 衡 形 手 順 ク ラ ス は大 型 コ ン ピ ュ ー タ 間 の デ ー タ通 信 に 適 して い る 。 (d) 伝 送 制 御 モ ー ド デ ー タ リ ンク制 御 手順 のモ ー ドと して は 動 作 モ ー ドと非 動 作 モ ー ドの 2種 類 が あ る。 これ らの概 要 を表5.4に 前 に述 べ た 手 順 ク ラス と と もに 示 す 。 表5.4HDLC手
順の クラスとモー ド
デ ー タ リ ンク の動 作 モ ー ドは デ ー タ リ ン ク確 立 に先 立 っ て動 作 設 定 コマ ン ド で 決 め る こ と に な っ て い る。 この コマ ン ドと して は 6種 類 準 備 され て い て,デ ー タ リ ン ク を設 定 す る に は
,こ れ ら の コマ ン ドの一 つ を 1次 局 か ら 2次 局 に,
また は複 合 局 か ら相 手 の 複 合 局 に 送 り,コ マ ン ドを受 け 取 っ た 2次 局(ま 複 合 局)が
たは
指 定 さ れ た モ ー ドで よけ れ ば肯 定 の レ ス ポ ンス を,受 け 入 れ る こ と
が で き な け れ ば 否 定 の レス ポ ンス を送 る こ と に な る。 (e) 制 御 フ ィー ル ド 制 御 フ ィ ール ドは コ マ ン ドと レス ポ ンス の 種 類 を規 定 す る フ ィ ー ル ドで あ
り,表5.5に ム),非
示 す よ う に 情 報 フ レ ー ム(I フ レ ー ム),監
番 号 制 フ レ ー ム(U 表5.5制
フ レ ー ム)の
視 フ レ ー ム(S
フ レー
3種 の 形 式 が あ る 。
御 部 の フ レー ム の 種 類 と ビ ッ ト構 成
情 報 フ レ ー ム は 第 一 ビ ッ トのb1=“
0 ” で 示 し,情
報 フ ィ ー ル ドに 情 報 メ
ッ セ ー ジ を 有 す る フ レ ー ム で あ る こ と を 表 す 。b2∼b4ビ ム の 送 信 順 序 番 号 を 表 し,b6∼b8ビ
ッ ト のN(R)は
ッ トのN(S)は
フレー
受信番 号 を表す 。順序 番
号 は 3 ビ ッ トな の で 0か ら 7 ま で を 示 す こ と が で き,必
要 に よ り127ま
で き る 。 順 序 番 号 の こ と を シ ー ケ ン ス 番 号 と も い う。P/Fビ
で拡 張
ッ トに つ い て は 後
で述 べ る。 監 視 フ レ ー ム はb1b2=“10” 表 し,b3∼b4ビ
で 示 し,上
ッ トの S ビ ッ ト(2
述 の 情 報 フ レー ム に 対 す る 返 事 を
ビ ッ ト)で
監 視 の 種 類 を 表 す(表5.6)。
監 視 フ レ ー ム は デ ー タ リ ン ク の 監 視 制 御 に 関 す る フ レ ー ム で あ り,情
報 メ ッ
セ ー ジ を もた な い 。
表5.6監
非 番 号 制 フ レ ー ム はb1b2=“11” ー ド設 定 と b3∼b8に
,通
視 フ レー ム の 種 類
で 示 し,通
信 開始 時の デー タ リンクのモ
信 終 了 時 の 解 放 を 行 う コ マ ン ドを 表 し,順
は 多 く の 種 類 が あ り,モ
序 番 号 は つ か な い。
ー ド設 定 の 要 求 や そ の 応 答,異
常状 態 の通
報 な どが あ る が,こ
れ 以 上 の 説 明 は か な り複 雑 と な る の で こ こ で は省 略 す る。
b5ビ ッ トのP/Fの
意 味 は コマ ン ドの 場 合 はP(Poll)ビ
場 合 はF(Final)ビ
ッ トに な る。 P=1の
の 送 信 要 求 を意 味 し,F=1の
と きポ ー リ ング す な わ ち レス ポ ンス
と き送信 終 了 す な わ ち送 信 権 放 棄 を意 味 す る 。
前 に述 べ た正 規 応 答 モ ー ド(NRM)は を行 う と きの モ ー ドで,2
ッ ト,レ ス ポ ンス の
1次 局 と 2次 局 が 通 常 の デ ー タ送 受 信
次 局 は P ビ ッ トが “1” と な っ た コ マ ン ドを受 信 し
た と きに 直 ち に レス ポ ンス フ レー ム を 1次 局 に送 信 す る。 2次 局 は フ レー ム の 連 続 送 信 が で きる が,最 い 。 こ のP/Fビ HDLCで
後 の フ レー ム の F ビ ッ トは “1” に しな け れ ば な らな
ッ トの使 い 分 け に よ って 会 話 型 通 信 が 可 能 に な る 。
は この よ う に各 フ レー ム に順 序 番 号 をつ け る こ と に よ り連 続 送 信 が
で きる 。 受 信 側 は 自局 が 送 出 す る レス ポ ンス の 監 視 フ レー ム の 中 に,そ の 時 点 ま で に正 確 に受 信 した コ マ ン ドの送 信 順 序 番 号 に+1し
た 番 号 を受 信 順 序 番 号
と して 送 出 す る。 これ に よ って 送 信 側 が 次 に送 るべ き フ レー ム の 送 信 順 序 番 号 が わ か り,情 報 の 抜 け や 重 複 を 防 ぐ こ とが で きる 。 こ れ がHDLCの
大 き な特
長 で あ り,高 速 伝 送 を可 能 と して い る わ け で あ る。
[4] (a)
誤 り制御 概
要
デ ー タ伝 送 で は,伝 送 路 で 入 る雑 音 な どの 原 因 に よ って 送 信 側 か ら送 っ た デ ー タが 受 信 側 で 正 し く受 信 され ず デ ー タ誤 りを生 ず る こ とが あ る。 す な わ ち, 伝 送 途 中 で
“1” が
“0 ” に,
も し くは
“0 ” が
“1” に ビ ッ ト誤 り を 起 こ す
か らで あ る。 こ の よ う な 誤 りを定 量 的 に 表 す 尺 度 と して ビ ッ ト誤 り率(受 た全 ビ ッ ト数 に対 す る誤 りビ ッ ト数 の 割 合)が
あ り,通 常 の 多 くの 回 線 の 実態
は大 よそ10-5以 下 で あ る 。 こ の値 は 情 報 がPCMの が,デ
信し
音 声 の 場 合 に は許 容 で きる
ー タの 場 合 に は 情 報 の 正 確 性 が 厳 し く要 求 され る こ とか ら問 題 に な る。
そ の た め デ ー タ伝 送 で は き わ め て わ ず か の 誤 りに対 して も誤 りの 検 出 と訂 正 を 行 う特 別 の 機 能 が 必 要 不 可 欠 と な っ て い る。この 機 能 を誤 り制 御 と呼 ん で い る。 誤 りの 検 出 は,通 常,送
信 側 で送 信 デ ー タ に検 出 用 の チ ェ ッ ク コー ドを付 加
して伝 送 し,受 信 側 で チ ェ ック コー ドを検 査 し誤 りの有 無 を判 定 す る 。 チ ェ ッ ク コー ドは後 で 詳 し く述 べ る が,パ
リテ ィチ ェ ッ ク の よ う に 7 ビ ッ ト毎 に 1ビ
ッ トを付 加 す る簡 単 な も の か らCRC符
号 の よ う に 2バ イ トす な わ ち16ビ
ット
を使 う高 性 能 の も の ま で あ る。 雑 音 に よっ て 生 ず る ビ ッ ト誤 りの性 質 は,雑 音 の性 質 に依 存 す る確 率 的 現 象 で あ り,誤 ム 誤 り(random
error)と,②
りの 連 続 性 か ら分 類 す る と,①
バ ー ス ト誤 り(burst error)が
ランダ
あ る。 ラ ンダ
ム 誤 りは個 々 に独 立 に発 生 す る誤 りで そ の 多 くが 1ビ ッ トの み の 単 一 の 誤 り と な る の に対 して,バ
ー ス ト誤 りは 2ビ ッ ト以 上 か た ま っ て 誤 り とな る もの で あ
る。 誤 りの 訂 正 で 一 般 に広 く用 い られ て い る 方 式 は,受 信 側 で の チ ェ ック コー ド を用 い た 検 査 に よ り誤 りが あ る と判 定 され た と き に,送 信 側 に そ の 旨 を 通 知 し て 再 送 して も ら う再 送 訂 正 方 式 で あ る 。 そ の ほ か に再 送 要 求 せ ず 受 信 側 で 自 己 訂 正 す る 自 己 訂 正 方 式 が あ る。 こ こで は誤 り制 御 方 式 の 中 で再 送 訂 正 方 式 を取 り上 げ,誤
り検 出 符 号 と して
広 く使 用 さ れ て い る① 垂 直 パ リテ ィチ ェ ッ ク方 式,② 水 平 パ リ テ ィチ ェ ッ ク方 式,③ 群 計 数 チ ェ ッ ク方 式,④CRC方
式 に つ い て 説 明 す る。
(b) 垂 直 パ リテ ィ チ ェ ッ ク 方 式 こ の方 式 は 図5.19(a)に
示 す よ う に,伝 送 す る キ ャ ラ ク タ(文 字 な ど)ご
と に 1 ビ ッ トを付 加 し,付 加 ビ ッ ト(パ リ テ ィ ビ ッ トとい う)を 含 め た “1” の合 計 数 が 偶 数(ま
た は 奇 数)と
し,受 信 側 で 偶 数(ま
た は 奇 数)に
る か ど うか を調 べ 誤 りを判 定 す る もの で あ る。 した が っ て,予 数 か 奇 数 か を 決 め て お く必 要 が あ り,通 常,非
同期(調
なって い
め送 受 信 間 で 偶
歩 同 期)で
は偶 数,同
期 で は奇 数 と決 め られ て い る。 こ の 方 式 は 容 易 に誤 りを検 出 す る こ とが で き る 利 点 が あ るが,反 面,偶 数 個 の ビ ッ ト誤 りに対 して は検 出 で きな い 欠 点 が あ る 。 (c) 水 平 パ リテ ィ チ ェ ッ ク方 式 この 方 式 は 図5.19(b)に
示 す よ うに 基 本 形 デ ー タ伝 送 制 御 手 順 に よ る デ ー
タ伝 送 の 伝 送 単 位 と な る ブ ロ ック ご と に水 平 方 向 にそ れ ぞ れ パ リテ ィ ビ ッ トを 1ビ ッ ト付 加,換
言 す る とデ ー タの ブ ロ ッ クの 最 後 に 1文 字 分 の チ ェ ック ビ ッ
(a)垂 直 パ リテ ィチ ェ ック 方 式
(b)水 平 パ リテ ィチ ェ ッ ク方 式 図5.19 パ リテ ィチ ェ ッ ク方 式
トを付 加 して 送 信 し,受 信 側 で 垂 直 パ リ テ ィチ ェ ッ ク の場 合 と同 様 に偶 奇 を調 べ 誤 りを判 定 す る もの で あ る。 こ の方 式 の 場 合,水 平 方 向 の “1”の 合 計 数 は, パ リテ ィ ビ ッ トを含 め偶 数 と決 め られ て い る。 この 付 加 ビ ッ トの 集 ま りは 8ビ ッ トで,こ
れ をブ ロ ッ ク チ ェ ッ ク キ ャ ラ ク タ(BCC)と
い う。 ラ ン ダ ム 誤 り
に対 す る誤 りの 見 逃 し率 は 垂 直 パ リテ ィ と同様 で あ る が,1 キ ャ ラ ク タ以 下 の バ ー ス ト誤 りにつ い て は 誤 りを検 出 で き る点 が優 れ て い る とい え る。 通 常,こ の 方 式 は垂 直 パ リ テ ィ と併 用 して使 わ れ る こ とが 多 い。 (d) 群 計 数 チ ェ ック 方 式 こ の 方 式 は水 平 パ リ テ ィチ ェ ッ ク方 式 に似 た方 式 で,1
ブロ ック内の 各列
(文字 の 桁 7ビ ッ トと垂 直 パ リテ ィチ ェ ッ ク ビ ッ ト)に あ る “1” の 数 を 水 平 方 向 に 2進 計 数 し,計 数 結 果 の 下 2桁 をチ ェ ッ ク符 号 と して ブ ロ ック の 最 後 に 付 加 し送 信 す る。 受 信 側 で は送 信 側 と同 様 に計 数 しチ ェ ッ ク符 号 と照 合 し誤 り を判 定 す る もの で あ る 。 以 上 に垂 直 パ リ テ ィ,水 平 パ リ テ ィ,群 計 数 の 各 チ ェ ッ ク方 式 を述 べ た が,
これ ら は比 較 的 簡 単 に誤 りチ ェ ッ クで きる の で,現 在 広 く各 種 の デ ー タ伝 送 方 式 で 実 用 に 供 さ れ て い る。 一 般 的 に は,垂 直 パ リ テ ィチ ェ ッ ク方 式 は デ ー タ端 末 装 置 内や セ ン ター 側 装 置 内 で発 生 す る誤 りに対 す る 制 御 に用 い られ,水
平パ
リテ ィチ ェ ッ ク方 式 と群 計 数 チ ェ ッ ク方 式 は デ ー タ伝 送 路 で発 生 す る誤 り に対 す る 制 御 に 用 い られ て い る。 (e) CRC方
式
上 述 の垂 直,水 平 の パ リテ ィチ ェ ック 方式 は ラ ン ダ ム誤 りに 対 して は有 効 な 方 式 で あ る が,バ
ー ス ト誤 り に対 して は検 出 が 不 十 分 で あ る。CRC方
れ ら の 誤 り を厳 密 に 検 出 で きる 高 度 な 性 能 を もつ 方 式 で,CRC符 Redundancy
Check cord)を
号(Cyclic
作 っ て 情 報 デ ー タに 付 加 し て伝 送 し,受 信 側 で
計 算 を 行 っ て 誤 りを 検 出 す る もの で あ る 。 こ の 方 式 はHDLC制 れ て お り,フ レ ー ム チ ェ ッ ク シ ー ケ ン ス(FCS)にCRC方
御 手順 で使 わ
式 に よ る16ビ ッ ト
の誤 り検 出符 号 を挿 入 す る こ とに な って い る。
図5.20
CRC方
式の原理
この 方 式 の基 本 的 手順 は次 の通 りで あ り,図5.20に ① 送 信 デ ー タをCRC方
要 点 を ま とめ た。
式 の ル ー ル に した が って 変 形 す る
② 変 形 され た デ ー タ に対 す るCRC符 ③ 変 形 デ ー タにCRC符
式はこ
号 を作 成 す る
号 を付 加 して 送信 す る
④ 受 信 側 で は 受 信 デ ー タ をチ ェ ッ ク し誤 りを 検 出 す る 送 信 デ ー タは キ ャ ラ ク タ を意 識 せ ず ビ ッ ト列 と して取 り扱 う。 今 伝 送 す る ビ ッ ト列 をb1b2b3…
た だ し,bi=1ま
… …bn-1bnと
た は0(i=1∼n)で
項 式 と 呼 ば れ て い る)を
た だ しai=1ま
に示 す 多 項 式 で 表 現 す る 。
あ る 。 次 に 多 項 式G(X)(こ
れ は生 成 多
考 える。
た は0(i=1∼m+1)
こ こ で,P(X)にG(X)の これ をG(X)で
し,次
最 高 次 の 項Xmを 乗 じて変 形 デ ー タXmR(X)を
除 し た と きの 余 りをR(X)と
す る とR(X)は
作 り,
次 の よ う に表 す こ と
が で き る。
た だ し,Ci=1ま
た は0(i=1∼m)
こ の と き ビ ッ ト列C1C2…
… …Cmが
チ ェ ッ ク シ ー ケ ン ス(CRC符
こ れ を 変 形 デ ー タ の 後 に 付 加 し て 送 信 す る 。 こ れ をF(X)と
号)で
あ り,
す る とF(X)は
次
式 と な る。
F(X)=XmP(X)+R(X) 受 信 側 で は 受 信 し た デ ー タ(誤
りが な け れ ばF(X))をG(X)で
が 0の場 合 に 限 り正 常 に 受 信 した もの とす る 。 こ のG(X)を ス の 生 成 多 項 式 と呼 び,CCITTの
除 し,余
り
チ ェ ック シ ー ケ ン
勧告 では
G(X)=X16+X12+X5+1 が 示 さ れ て い る(CRC-16符
号)。
次 に 簡 単 な 具 体 例 を 取 り上 げ,図5.21に
基づ いて説明す る。図 で入力 デー タ
8 ビ ッ ト は 伝 送 方 向 順 に み て10010101で
あ る 。 こ の ビ ッ ト列 に 伝 送 方 向 と は
逆 順 で 各 ビ ッ トに0,1,2,3,…
… … と 番 号 を 付 け,“
1” の あ る と こ ろ だ
け そ の 番 号 を Xの 指 数 と し た多 項 式 を作 る と
P(x)=1+X2+X4+X7 と な る。 い ま生 成 多 項 式G(X)を
次 の よ う に簡 単 な もの と す る 。
図5.21
CRC方 式 の簡 単な具体 例
G(x)=1+X2+X4+X6 入 力 デ ー タP(X)をCRC方 にG(X)の
式 の ル ー ル に した が って 変 形 す る 。す な わ ち, P(X)
最 高 次 の項X6を
求 め る。 この 余 りはX4+X5と
乗 ず る 。 次 に こ の 変 形 デ ー タ をG(X)で
除 し余 りを
な り,ビ ッ ト列 で 示 せ ば伝 送 方 向 順 に110000の
6ビ ッ トの ビ ッ ト列 とな る。 こ れ がCRC符
号 で あ り,送 信 デ ー タ に付 加 して
伝 送 す る こ と に な る 。 た だ し,上 述 の 除 算 の 際 の加 算,減 算 で は モ ジ ュ ロ 2と
呼 ばれる特殊 な演算 1=1)
(0+0=0,
0+1=1,
を 用 い る。 受 信 側 で はF(X)をG(X)で
1+0=1,
除 し,余
1+1=0,
-
りが で な け れ ば 誤 り
が な か っ た こ と に な る。 も し誤 りが あ る と判 定 され れ ば送 信 側 に 再 送 要 求 を 出 し,送 信 側 か ら 同 じデ ー タ を再 送 して も ら う こ とに な る 。 な お,CRC符
号を
使 っ て 自己 訂 正 す る こ と も可 能 で あ る が,伝 送 効 率 が 著 し く低 下 す る の で一 般 に は 誤 り検 出用 と して 使 わ れ て い る。
CRC方
式 を実 際 に 実 現 す る に は通 常,巡
を用 い た ハ ー ドウ ェ ア で構 成 す るが,す
回形 シ フ トレ ジス タ回 路 とEX-OR で にCRC機
能 を 持 つLSIが
市 販 され
デ ー タ通 信 網 で は デ ー タ通 信 の 発 展 に よ り多 種 類 の デ ー タ端 末,デ
ー タ処 理
て い るの で 通 常 は これ を組 み 込 ん で 実 現 して い る 。
5.6 デー タ通信 網 [1] 通 信 プ ロ トコ ル
装 置 が 使 わ れ る よ う に な り,ま た デ ー タ処 理 の 適 用 業 務 が 増 加 す る の に と も な っ て 異 な る メ ー カ の 装 置 を組 み合 わ せ て シ ス テ ム を構 築 す る こ と も多 くな って い る 。 そ の た め,前
節 まで に述 べ た デ ー タ 通 信 の 取 り決 め(CCITT勧
告)だ
け で は 十 分 な 対 応 が とれ な くな り,ネ ッ トワー ク に 関 す る新 しい 通 信 規 約(プ ロ トコ ル)の 必 要 性 が 論 議 さ れ る よ う に な っ て き た。 プ ロ トコル は通 信 を 行 う 際 に 取 り決 め て お か な け れ ば な ら ない 種 々 の 約 束 事 で あ り,前 に述 べ た伝 送 方 式 の 中 の 変 調 方 式,同 期 方 式 な どや 交 換 方 式 の 中 の発 呼 信 号,応
答 信 号 お よび
デ ー タ端 末 間 の 文 字 を表 す コ ー ド体系 な どは 送 信 と受 信 の 間 で 取 り決 め られ た プ ロ トコ ル の 一 種 で あ る。 プ ロ トコル の言 葉 が 使 わ れ る よ うに な っ た時 期 は コ ン ピ ュ ー タ と通 信 ネ ッ トワ ー クが 融 合 し始 め た1970年 HDLCと
代 か らで あ る。 そ して
パ ケ ッ ト交 換 の 出 現 の 影 響 も受 け,デ ー タ通 信 の 今 後 の発 展 を見 通 し
た新 しい プ ロ トコ ル の体 系 化 を本 格 的 に検 討 す る 時 期 に 入 っ た 。 ネ ッ トワ ー クの 論 理 的 な構 造 とプ ロ トコ ル の 関 係 を結 ぶ 総 合 的 な 構 成 概 念 を ネ ッ トワ ー ク ア ー キ テ ク チ ュ ア(Network 1974年 にIBMが Architecture)を
Architecture)と
自社 の プ ロ トコ ル の 標 準 体 系 と してSNA(Systems
呼 ん でい る。 Network
発 表 す る と,こ れ を契 機 に 各 コ ン ピ ュ ー タ メ ー カ が 相 次 い で
自社 の ネ ッ トワー ク ア ー キ テ ク チ ュ ア を発 表 す る と こ ろ と な っ た 。 この ま まで は異 な る メ ー カ に よ る異 機 種 コ ン ピュ ー タ 間通 信 が 困 難 と な る た め,ネ
ッ トワ
ー ク ア ー キ テ ク チ ュ ア に つ い て 国 際 的 標 準 化 を 要 求 す る声 が 高 ま り ,情 報 処 理 の 立 場 か らISO(国
際 標 準 化 機 構:International
Standardization
図5.22
Organization)が,通
OSI参 照 モ デ ル
信 の 立 場 か らCCITTが
協 力 して 検 討 す る こ と と な っ た 。
この 標 準 化 作 業 は 将 来 の新 しい 通 信 と情 報 処 理 を視 野 に入 れ,ま ず プ ロ トコ ル 体 系 の 基 礎 と な るOSI(開 Interconnection)の
放 型 シ ス テ ム 間 相 互 接 続:Open
Systems
参 照 モ デ ル の作 成 か ら始 め られ た 。 こ れ は 図5.22に 示 す
よ う に物 理 層 か ら応 用 層 ま で 7つ の レイ ヤ(階 層)に
分 け られ,各
レイ ヤ につ
い て プ ロ トコ ル を 規 定 して い る。下 位 の 3階層 は 通 信 機 能 の プ ロ トコ ル で あ り, 上 位 の 4階 層 はサ ー ビス の 内容 に関 わ る デ ー タ処 理 に 関 す る プ ロ トコ ル と な っ て い る。 標 準 化 は 下 位 層 か ら始 め られ,順 次 上 位 層 へ 移 っ て きて お り,勧 告 の 形 に取 りま とめ られ て い る。 物 理 層 は伝 送 媒 体 と端 末 との 接 続 に 関 す る物 理 的,電 気 的 イ ン タ フ ェー ス 条 件(例
え ば コ ネ ク タの 形 状 ・ピ ン配 置,イ
い る。 具 体 的 に はDTEとDCEを
ン ピー ダ ンス,信 号 電 圧)を
決めて
接 続 す る と き に よ く使 わ れ て い るRS-232C
や モ デ ムが あ る。 デ ー タ リ ンク 層 は隣 接 す る ノー ド間 ま た は ノ ー ド と端 末 間 の 物 理 的 通 信 リ ン ク の 上 に論 理 的 な リ ンク を設 定 し,信 頼性 の 高 い デ ー タ転 送 路 を 実現 す る た め の層 で あ る。 具 体 的 に は デ ー タ リ ン ク の確 立 と解 放,同 期,情
図5.23
デ ー タ リ ンク と ネ ッ トワ ー ク の 定 義 の範 囲
図5.24
報 の フ レー ム化,誤
り制 御,フ
伝 送 制 御 手 順,LANで
各 層 に 対 応 す る伝 送 ブ ロ ッ ク構 成
ロ ー制 御 な ど の機 能 を持 っ て い る。 前 に 述 べ た
使 わ れ る 制 御 手 順 は これ に含 ま れ て い る 。 ネ ッ トワ ー
ク層 は通 信 網 を経 由 して 端 末 間 で 通 信 路 を確 立 しデ ー タの や り と りを行 う た め の 層 で あ る 。 そ の 中 に は 相 互 に独 立 し た複 数 の 通 信 情 報 を転 送 す る論 理 パ ス (メ モ リな ど を介 した 間接 的 な 結 合 を 含 む 広 義 の 通 信 回線)が は 通 信 路 の経 路 選 択,リ
ン ク の多 重 化,フ
ロ ー 制 御,誤
あ る。 具 体 的 に
り制 御,端
末の 通信相
手 を選 択 す る 交換 制 御 の機 能 を持 って い る 。 図5.23に デ ー タ リ ンク 層 と ネ ッ ト ワ ー ク層 の定 義 の 範 囲 を示 す 。 図5.24に 各 層 に対 応 す る伝 送 ブ ロ ッ ク構 成 間 の 相 互 関 係 を示 す 。 フ レー ム レベ ル は そ の 中 に含 ま れ る パ ケ ッ トレベ ル や 上 位 の レベ ル の 制 御 に は 一切 関 与 せ ず,す べ て フ レー ム の デ ー タ とみ な す 。 同 様 に パ ケ ッ トレベ ル は上 位 レベ ルの 制 御 に は 一切 関 与 しな い構 成 とな っ て い る 。 参 考 まで に,第 一 層 の 物 理 層 は転 送 す るデ ー タの 原 形 を対 象 とす る もの で 伝 送 デ ー タの 単 位 は ビ ッ トレベ ル で あ る。 上 位 層 の プ ロ トコ ル は論 理 パ ス が 設 定 され た 後 の 端 末 間 通 信 の サ ー ビ ス に 関 わ る プ ロ トコ ル で あ り,情 報 処 理 内 容 に 応 じて 4つ の層 に階 層 化 され て い る 。
トラ ンス ポ ー ト層 は 7階 層 の 中 間 に位 置 し,ネ
ッ トワー クの 端 末 間 で 確 実 に デ
ー タが 転 送 され る こ とを 保 証 す る た め に 設 け られ た レ イヤ で あ る 。 デ ー タ通 信 の た め の ネ ッ トワー ク に は 電 話 網,回
線 交 換 網,パ
ケ ッ ト交 換 網 な どが あ り,
また リ ンク を形 成 して い る伝 送 媒 体 に は 遅 延 を と もな う衛 星 通 信 や 符 号 誤 りが 少 な い 光 フ ァイ バ な どが あ り網 の 通 信 品 質 が 多 様 で あ る。 こ の層 で は網 の 異 常 に と も な うデ ー タの 紛 失,二
重 受 信,順 序 逆 転 な どの 発 生 に対 し端 末 間 の 回 復
機 能 を有 し,経 済 的 で 高 信 頼 の通 信 路 を提 供 す る こ と を 目 的 と して い る 。 セ ッ シ ョ ン層 は ア プ リケ ー シ ョ ンプ ロセ ス 間 で の 会 話 型 通 信 制 御 を行 う。す な わ ち, 受 信 の 確 認,次
の 情 報 の 送 信,異
常 時 の再 送 な ど を行 って い る 。 プ レ ゼ ンテ ー
シ ョ ン層 は情 報 を相 手 に 伝 え る た め の デ ー タの 表 現 形 式 の 送 受 間 の 取 り決 め を 扱 う。 情 報 に は 文 字,フ 符 号 化 や,デ
ー タ圧 縮,暗
ァ ク シ ミ リ,画 像 な ど種 々 の メデ ィア が あ りそ れ らの 号 な ど を取 り決 め て お か な け れ ば な らな い 。 ア プ リ
ケ ー シ ョ ン層 は 実 際 の ユ ー ザ の業 務 に 関 連 し た シ ス テ ムの 運 用 管 理 の た め の プ ロ トコ ル で あ る 。 具 体 的 に は フ ァイ ル 転 送 とデ ー タベ ー ス ア ク セ ス に 関 す る取 り決 め が あ る 。 例 え ばバ ン キ ング や座 席 予 約 な ど で あ る。 次 に実 際 の 通 信 網 に よ り上 述 した プ ロ トコ ルが どの よ う に 関与 して い る か の 例 を 述 べ て み る 。 まず,専 イ ヤ 1の み で,レ
用 回線 に よ る通 信 シス テ ム の 場 合 は プ ロ トコ ル は レ
イ ヤ 2以 上 の プ ロ トコ ル は 端 末 間 で 取 り決 め られ る こ と に な
る 。 回 線 交 換 網 を使 っ た 通 信 シ ス テ ム の場 合 は,ま ず 呼 制 御 に よ り回線 の 設 定 を行 い,そ
の 後 は専 用 回 線 と 同様 に端 末 間 の 情 報 転 送 の プ ロ トコル に よっ て 通
信 が 可 能 とな り,通 信 が 終 わ れ ば 回 線 を解 放 す る。 呼 制 御 の た め の 信 号 の や り と りが レイ ヤ 3の プ ロ トコ ル で あ り,そ の 信 号 を転 送 す る制 御 が レ イ ヤ 2の プ ロ トコ ル で あ る。 回線 設 定 の た め の 端 末 と交 換 機 の 間 の プ ロ トコル を加 入 者 線 信 号 方 式,交
換 機 間 の プ ロ トコ ル を局 間信 号 方 式 と呼 ん で い る。 パ ケ ッ ト交 換
網 の 場 合 は,デ ー タ転 送 の と き も交 換 ノ ー ドが プ ロ トコル に 関与 す る点 が 回線 交 換 網 と異 な る 。 パ ケ ッ ト交 換 網 は 回 線 交 換 網 と 同様 に 呼 制 御 フ ェー ズ とデ ー タ転 送 フ ェ ー ズ に分 け られ るが,両
フ ェ ー ズ と もパ ケ ッ ト形 式 で 制 御 信 号 と デ
ー タ信 号 の 送 受 を行 う。 レ イ ヤ 2はHDLCに
基 づ くデ ー タ リ ン ク レベ ル で あ
り,制 御 信 号 とデ ー タ信 号 の 区 別 は な い 。 レ イ ヤ 3は 呼 制 御 を含 む パ ケ ッ トレ ベ ルで あ る 。 パ ケ ッ ト交 換 は 回 線 交 換 に 比べ 数 多 くの 特 徴 を 有 し,デ ー タ通 信 の ネ ッ トワー ク の 中 で は広 く利 用 さ れ る趨 勢 にあ る の で 次 の項 で さ ら に詳 し く 述べ る。 以 上 に 述 べ た プ ロ トコ ル と は 別 に 最 近 一 層 注 目 さ れ て い る 通 信 プ ロ ト コ ル に TCP/IP(Transmission
Control Protocol/Internet
Protocol)が
あ る 。1969年
に
米 国 の 国 防 総 省 が 大 学 や研 究 機 関 の 協 力 を得 て 異 機 種 コ ン ピ ュー タを 相 互 接 続 し て 資 源 の 共 有 化 を 図 る コ ン ピ ュ ー タ ネ ッ ト ワ ー クARPA(Advanced Research
Project Agency)を
大 き く な り,一
実 現 した が,ま
も な くネ ッ トワー クが だ ん だ ん
つ の ネ ッ ト ワ ー ク で は 処 理 し き れ な く な り ネ ッ トワ ー ク と ネ ッ
トワ ー ク を 結 ぶ ネ ッ トワ ー ク と して イ ン タ ー ネ ッ ト と い う 概 念 が 生 ま れ,そ 中 で 標 準 化 さ れ 採 用 さ れ た 通 信 プ ロ ト コ ル がTCP/IPで な り,必
ず し も 階 層 化 が 体 系 的 に な さ れ て い る わ け で は な い が,OSIモ
対 応 づ け る とIPが TCP/IPは
あ る 。 こ れ はOSIと
ネ ッ ト ワ ー ク 層 にTCPが
デ ル と
イ ン タ ー ネ ッ ト に 採 用 さ れ て い る こ と で 有 名 に な っ て い る が,こ
広 域 ネ ッ ト ワ ー ク のWAN(Wide
異
ト ラ ン ス ポ ー ト層 に 相 当 す る 。
は 特 に イ ン タ ー ネ ッ ト ワ ー キ ン グ を 考 慮 し た プ ロ ト コ ル で あ り,LAN間 LANと
の
Area Network)と
れ や
の接 続 な ど に対
応 で き る と こ ろ に 特 徴 を 持 つ プ ロ トコ ル で あ る 。
[2] パ ケ ッ ト交 換 パ ケ ッ ト交 換 の 通 信 形 態 に は デ ー タ グ ラ ム(Datagram)と ル(Virtual Call)の
バ ー チ ャル コー
二 つ の 方 式 が あ る。 パ ケ ッ ト交 換 は パ ケ ッ ト単 位 で デ ー
タ を交 換 す る と必 要 な と きの み 交換 網 を利 用 す るの で,合 理 的 で 効 率 が よい と 前 に述 べ た 。この パ ケ ッ ト交 換 の原 形 の ま まの 方 式 をデ ー タ グ ラ ム 方 式 と い う。 こ の方 式 は パ ケ ッ ト形 態 端 末 の ア ドレス に よ って リ ンク バ イ リ ン ク に パ ケ ッ ト 転 送 す る方 式 で あ り,網 は論 理 パ ス の 設 定 に 関 与 しな い 。 パ ケ ッ トヘ ッ ダの デ ー タ は着 端 末 ア ドレス ,発 端 末 ア ドレス,パ 際 通 信 の場 合 に は20オ
ケ ッ ト順 序 番 号 な どか らな り,国
ク テ ッ ト程 度 必 要 とな る の で,転
送す るデ ー タの量が
少 な い と きは 効 率 が 悪 くな る 。 これ に対 して バ ーチ ャル コー ル 方 式 は デ ー タパ ケ ッ トの 転 送 に先 立 っ て送 受信 パ ケ ッ ト端 末 間 に呼 設 定 の パ ケ ッ トを 送 っ て網 が 仮 想 的 通 信 路(論
理 パ ス)を 設 定 し,次 に こ の上 に デ ー タ パ ケ ッ トを転 送 す
る方 式 で あ る 。 そ の た め デ ー タパ ケ ッ トの ヘ ッダ に 着端 末 ア ドレス と発 端 末 ア ドレス を含 め る必 要 が な く,ヘ ッ ダ の デ ー タ量 は少 な くな り高 い 効 率 を得 る こ とが で き る。 バ ー チ ャル コ ー ル方 式 の パ ケ ッ ト交 換 は,プ
ロ ト コ ルがCCITT
のX.25で 規 定 され て お り,公 衆 網 で は広 く採 用 さ れ て い る 。 一 方,デ ラ ム 方 式 の パ ケ ッ ト交 換 は,よ
り効 率 化 し た プ ロ トコ ルTCP/IPに
ー タグ
よ りLAN
や イ ン ター ネ ッ トで 採 用 され て い る。 こ こ で ネ ッ トワ ー ク に お け るデ ー タの 流 れ の 上 で 重 要 な接 続(コ ネ ク シ ョン) の 考 え方 を述 べ て お く。 コ ネ ク シ ョン とは 発 端 末 か ら着 端 末 に 至 る各 レ イ ヤ に お け る デ ー タ の伝 達 路 を指 し,複 数 の デ ー タ リ ンク か ら成 り立 っ て い る。 そ し て こ れ は コ ネ ク シ ョ ン 型(CO型)と
コネ ク シ ョ ン レ ス 型(CL型)の
2種 に
分 類 され る。 コ ネ ク シ ョ ン型 の 通 信 は デ ー タ の 送 出 に先 立 っ て 発 端 末 と着 端 末 の 間 に コ ネ ク シ ョ ン を設 定 して お き,デ ー タ の授 受 が 終 わ っ た らコ ネ ク シ ョ ン を解 放 す る方 式 で あ る。 これ は論 理 的 な経 路 を 設 定 す るバ ー チ ャ ル コー ル方 式 のパ ケ ッ ト交 換 や 物 理 的 な 経 路 を 設 定 す る 回路 交換 が 該 当す る 。 一 方,コ
ネク
シ ョ ン レス 型 の通 信 は前 も っ て コ ネ ク シ ョ ンを 設 定 す る こ とな く,発 端 末 の み の判 断 で デ ー タを 送 出 す る 方 式 で あ る 。 こ れ は デ ー タ グ ラ ム 方 式 の パ ケ ッ ト交 換 お よび イ ン ター ネ ッ トが こ れ に 該 当 す る。 パ ケ ッ ト交 換 網 を 利 用 す る端 末 はPT(パ 端 末)の
ケ ッ ト端 末)とNPT(非
パケット
2種 あ り,こ れ に 対 応 す る 通 信 プ ロ トコ ル は異 な り,前 者 はX.25,
後 者 はX.28で
規 定 され て い る。X.25に
つ い て 説 明 す る と,こ の プ ロ トコ ル は
レイ ヤ 1か ら レ イヤ 3ま で の 3 レベ ル で構 成 され て い る 。 レ イ ヤ 1は 物 理 的, 電 気 的 条 件 の イ ン タ フ ェ ー ス で 専 用 回 線,回 21,x.21bis)と
線 交 換 網 の 場 合 と 同 じ条 件(X.
な っ て い る 。 レイ ヤ 2は デ ー タ リ ン ク レベ ル(フ
レー ム レベ
ル)の イ ン タ フ ェ ー ス で 隣接 す る ノ ー ド間 の 伝 送 制 御 手順 に 関 す る も の で あ り, この 場 合 に はHDLC-LAPB手
順(HDLC手
順 の 中 の非 同 期 平 衡 モ ー ド(ABM)
に よる 通 信)を
用 い て い る 。 レ イ ヤ 3は パ ケ ッ トレベ ル の イ ン タ フ ェ ー ス で あ
り,パ ケ ッ ト交 換 網 を介 して 接 続 され る 端 末 相 互 間 の 呼 制 御(呼 の 設 定 ・解 放) や デ ー タ転 送 制 御 な どの プ ロ トコ ル が規 定 さ れ て お り,パ ケ ッ トの ヘ ッ ダ に よ り制 御 が 行 わ れ る 。 こ の プ ロ トコ ル は レ イ ヤ 2のHDLCフ
レー ムの情報 フ ィ
ー ル ド(I)に 乗 せ て 相 手 に 送 る。 フ レー ム レベ ル とパ ケ ッ トレベ ル の 関 係 は 前 の 図5.24に 示 した が,こ
れをさ
ら に具 体 的 に示 した 図 が 図5.25で あ る。 この パ ケ ッ トレベ ル の プ ロ トコル を 大 別 す る と 呼 制 御 手 順 と デ ー タ転 送 手 順 と な る 。 呼 制 御 手 順 関 連 の パ ケ ッ トを 表5.7に,呼 レス,着 がCRパ
制 御 シ ー ケ ン ス を 図5.26に 示 す 。CRパ
ケ ッ トに は,発
端末 ア ド
端 末 ア ドレス お よ び設 定 す べ き論 理 チ ャネ ル 番 号 が 含 まれ て い る。 網 ケ ッ トを 受 信 す る と,着 端 末 ア ドレス で 指 定 され た端 末 に網 が 設 定 し
た い 論 理 チ ャ ネ ル 番 号 を持 つCNパ
ケ ッ トを 送 る。 着 端 末 は 同 じ論 理 番 号 を持
図5.25パ
ケ ッ トとフ レー ム の 階 層 化
表5.7 呼 制 御 パ ケ ッ トの 種 類
図5.26
つCAパ
呼 制 御 の シ ー ケ ンス
ケ ッ トを 返 送 し,網 は 発 端 末 にCCパ
ケ ッ トを 返 送 す る。 この 一 連 の
シー ケ ンス に よっ て 論 理 パ ス が 設 定 さ れ る。 こ れ ら のパ ケ ッ トの 具 体 的 な 内 部 の 構 成 は 詳 細 に な るの で,こ
こで は省 略 す る。
一 方,デ
ー タ転 送 手 順 関 連 の パ ケ ッ トは デ ー タパ ケ ッ トの ほ か,パ
ケ ッ ト誤
り制 御,フ
ロ ー 制 御 の 種 類 が あ る。 こ こで は デ ー タ転 送 用 に用 い られ る 最 も重
要 な デ ー タパ ケ ッ トにつ い て の み 述 べ る。 これ は 図5.27の よ う な構 成 に な っ て い て,ユ ー ザ デ ー タの ほ か に 論 理 チ ャネ ル 番 号,送
信 お よび 受 信 シ ー ケ ンス番
号 が 含 ま れ て い る 。 こ こ で ゼ ネ ラ ル フ ォー マ ッ ト識 別 子 は,パ
ケ ッ ト形 式 や
X.25の バ ー ジ ョ ン を示 す 識 別 子 で あ り,論 理 チ ャ ネ ル グ ル ー プ 番 号 と 論 理 チ ャ ネ ル番 号 はパ ケ ッ ト多 重 や パ ケ ッ トタ イ プ識 別 を行 うた め の もの で あ る。 端 末 が 同 時 に複 数 個 の 論 理 パ ス を設 定 で き る よ う に,論 理 チ ャ ネ ル番 号 に よ っ て そ の デ ー タ の転 送 す べ き論 理 パ ス を識 別 す る。 第 3オ ク テ ッ トの 第 1ビ ッ トは パ ケ ッ トタ イ プ 識 別 子 で あ り,“ 0” で デ ー タ転 送 用 パ ケ ッ トを,“ 1” で制 御 用 パ ケ ッ トを 識 別 す る。 また,第 トと呼 び,一
4オ ク テ ッ トの 第 1ビ ッ トはモ ア デ ー タ ビ ッ
つ の メ ッセ ー ジ をい くつ か の パ ケ ッ トに分 け て 送 る と き,後 に 続
くパ ケ ッ トが 一 連 の メ ッセ ー ジ で あ れ ば M を “1” と し,最 後 の パ ケ ッ トの み M を “0” とす る。
図5.27
デ ー タパ ケ ッ トの構 成
[3] 公 衆 デ ー タ通 信 網 こ こで は 第 一 種 通 信 業 者(NTTな
ど)に
よ る各 種 の デ ー タ通 信 サ ー ビ ス の
現 状 に つ い て 述 べ る 。 実 際 に広 く使 わ れ て い るデ ー タ通 信 シ ス テ ム は 次 の 6種 に 分 類 す る こ とが で き る。 ① 専用線 ② 公衆電 話網 ③ 回線交換 網 ④ パ ケ ッ ト交 換 網 ⑤ フ レー ム リ レー ⑥ISDN網 ① は 通 信 の相 手 が 常 に 固 定 して い る場 合 に,通 信 業 者 か ら通 信 路 を借 りて 直 通 回 線 を構 築 し,ユ ー ザ が 通 信 路 を 占用 して 利 用 す る形 式 の シ ス テ ム で あ る。 した が って ネ ッ トワ ー ク と はい え な い が,企 業 内 デ ー タ通 信 と して 多 く使 用 さ れ て い る も の で あ る。 ② か ら⑥ ま で の シス テ ム は 交換 機 を介 して 不 特 定 多 数 の
相 手 と通 信 す る こ とが で きる ネ ッ トワ ー ク形 式 の シ ス テ ム で あ る。 以 下 に これ らの 内 容 を順 次 述 べ る 。 (a) 専 用 線 通 信 業 者 か ら借 用 す る 回線 に は ア ナ ロ グ 回線 と デ ィ ジ タ ル 回 線 の 2種 類 あ り,ア ナ ロ グ 回線 の 場 合 に はMODEMが,デ 必 要 に な る。NTTの
ィ ジ タル 回 線 の 場 合 に はDSUが
場 合 を例 に と る と,ア ナ ロ グ 回 線 は伝 送 周 波 数 帯 域 に よ
り音 声 帯 域(0.3∼3.4kHz)お ャ ネ ル分)と240kHz(電
よ び 周 波 数 分 割 多 重 レベ ル の48kHz(電 話60チ
話12チ
ャ ネ ル 分)の 各 帯 域 が 用 意 さ れ て お り,そ の
帯 域 を使 っ た 各種 信 号 速 度 の デ ー タ通 信 が 可 能 で あ る 。 例 え ば 音 声 帯 域 を利 用 す るデ ー タ伝 送 で は一 般 に4,800bit/sま で の伝 送 が 広 く利 用 され て お り,回 線 の 伝 送 特 性 が よい 場 合 に は9,600bit/sで 使 うこ と も で き る。 ま た,最 近 開 発 さ れ た 高 性 能 のMODEMを
使 え ば28.8kbit/sま で の 超 高 速 デ ー タ伝 送 も可 能 な状
況 となっ て い る。 デ ィ ジ タル 回線 につ いて は デ ィジ タル化 音 声 の 伝 送 速 度 (64kbit/s)お
よ び 時 分 割 多 重 レベ ル の192kbit/s(3
(6 チ ャ ネ ル 分),768kbit/s(12チ 6.144Mbit/s(96チ 150Mbit/sの
ャ ネ ル 分)の
チ ャ ネ ル 分),384kbit/s
ャネ ル分),1.536Mbit/s(24チ 各 速 度 の ほ か,最
ャ ネ ル 分),
近 で は さ ら に50Mbit/s,
超 高 速 回 線 も用 意 さ れ て お り,各 種 速 度 の デ ー タ通 信 が 可 能 と な
っ て い る。 デ ー タ通 信 の 回 線 と して は ア ナ ロ グ 回線 よ りデ ィ ジ タル 回線 を使 用 す る 方 が 当然 効 率 よ くか つ 高 速 性 に も優 れ て お り,ま た 近 年 は電 話 網 が ほ と ん どデ ィ ジ タ ル化 され て きて い る の で,デ
ィ ジ タ ル 回線 を使 用 す る 傾 向が 強 くな
っ て い る。 専 用 線 は料 金 面 か らみ る と使 用 量 に 無 関 係 な 定 額 制 とな っ て い る の で 利 用 度 の 高 い デ ー タ通 信 に適 して い る シ ス テ ムで あ る 。
(b) 公衆 電話網 これ は 一 般 の 電 話 加 入 者 が 電 話 回 線 を使 っ て 相 手 を 自由 に 選 択 しデ ー タ通 信 を 行 う もの で あ る 。 電 話 網 は本 来 電 話 に よ る音 声 通 信 を 目的 と して 最 適 設 計 さ れ た 通 信 網 で あ る の で,デ
ー タ通 信 に使 用 す る に は不 十 分 な 点 が あ る の は 致 し
方 な い 。す な わ ち,音 声 帯 域 に 制 限 さ れ て い る た め 高 速 の デ ー タ通 信 は 望 め ず, また 回 線 雑 音 に よ る符 号 誤 り率 は厳 しい デ ー タ伝 送 の 基 準 を 下 回 る こ と が 多 く
な る た め,端
末 側 で 誤 り制 御 の 対 策 が 必 要 と な る 。 シス テ ム の構 成 は前 述 の 専
用 線 の 場 合 と 同様 にDCEにMODEMを
使 い 信 号 を変 調 し伝 送 して お り,普 通
は お お む ね4,800bit/s以 下 の 低 速 デ ー タ通 信 に 利 用 し て い る が,近 の と き と同 様 に高 性 能 のMODEMの
開発 が 進 み,高
年 は専 用 線
速 伝 送 も可 能 と な っ て き
て いる。
(c) 回線 交換網 とパ ケ ッ ト交換 網 ③ の 回 線 交 換 網 と④ の パ ケ ッ ト交 換 網 はNTTが1979年
と1980年
に相 次 い
で サ ー ビ ス を 開 始 し た 二 つ の 新 しい デ ー タ 通 信 専 用 の ネ ッ トワ ー ク で あ り, DDX-C packet)と
(digital data exchange-circuit), DDX-P
(digital data exchange-
略 称 され て い る 。 こ れ は デ ー タ通 信 の発 展 に と もな い デ ー タ通 信 専
用 の ネ ッ トワー ク を提 供 す る 目 的 で構 築 され た。 そ れ らの 共 通 の 特 徴 は広 範 囲 な 通 信 速 度(200bit/sか
ら48kbit/sま で の 7種),高
い伝 送 品 質,豊
富 な機能
で あ る 。 こ れ らの 網 を構 成 す る交 換 機 と伝 送 路 の 方 式 はデ ィ ジ タル 方 式 で,網 の ノ ー ドに は そ れ ぞ れ 回 線 交 換 機 とパ ケ ッ ト交 換 機 が 設 置 さ れ て い る。 パ ケ ッ ト交 換 網 は 高信 頼 性,異 通 信,距
速 度 端 末 間 と異 手 順 端 末 間 の 通 信 可 能,パ
ケ ッ ト多 重
離 に 無 関 係 な情 報 量 課 金 な どの 長 所 を有 しデ ー タ通 信 の 中 で 最 も有 用
な ネ ッ トワ ー クで あ る。 パ ケ ッ ト交 換 網 へ の ア ク セ ス が 地 域 的 に 不 便 な場 合 の た め に は,一 般 電 話 網 を経 由 して 接 続 す る こ と が 可 能 な サ ー ビス(DDX-TP) が あ る 。 た だ し,こ
の 場 合 に はMODEMを
使 う こ と に な り,伝
送速度 は
4,800bit/sま で に制 限 され る。 これ ま で に 専 用 線,公
衆 電 話 網,回
線 交 換 網,パ
ケ ッ ト交 換 網 の 諸 形 式 につ
い て 述 べ た が,利 用 者 の 立 場 か らみ る と低 額 の 通 信 料 金 と な る の は どの形 式 か を 知 る こ とが 重 要 で あ る 。 そ の 答 え は伝 送 す る デ ー タ通 信 の 内容 に よ っ て 有 利 とな る形 式 が 変 わ っ て くる とい う こ とで,つ
ま り,デ ー タ通 信 の 業 務 内容 に よ
りそ れ ぞ れ の 形 式 が 有 利 と な る領 域 が 異 な る 。 専 用 線 は 利 用 料 金 が 定 額 制 で あ り,常 時 大 量 の デ ー タを 送 るの に最 も適 す る 形 式 で あ る こ と は 当 然 で あ る 。 回 線 交換 網 は,伝 送 路 な どの 通 信 設 備 を通 信 中 占有 す る こ と と な り,そ れ に 対 応 す る料 金(距
離 と通 信 時 間 に比 例)が
か かるので比較 的通信密 度の高 いデー タ
通 信 に 向 い て い る。 ま た,設 備 が ハ ー ドウ ェ ア対 応 で で き るの で高 速化 へ の対 応 が 容 易 と い う長所 もあ る。 これ に対 して,パ
ケ ッ ト交 換 網 にお け る伝 送 路 の
使 用 時 間 は 通 信 中 で もデ ー タ を送 る と きだ け で あ り,自 分 が使 用 して な い と き は他 人 が 使 用 して い る伝 送 路 共用 方 式 で あ る 。 そ の た め,利 用 料 金 は距 離 に ほ とん ど無 関 係 で 情 報 量 に比 例 して 決 ま る の で,デ
ー タ通 信 の 内 容 が 通 信 密 度 の
低 い 散 発 的 な デ ー タの場 合 や 長 距 離 通 信 に 適 して い る とい え る 。 デ ー タ通 信 で は,パ
ソ コ ン通 信 を は じめ 散 発 的 デ ー タ を取 り扱 うこ とが 多 い の で パ ケ ッ ト交
換 網 は 有 用 で あ るoし か し,設 備 上 は ソ フ トウ ェ ア に よ る処 理 が 多 くな る の で, 一般 に高速化へ の対応 は困難であ る
。 公 衆 電 話 網 を利 用 す る形 式 は 元 来 電 話 を
目的 と し た ネ ッ トワ ー ク な の で,速 度 は低 く制 限 され,雑 りが 多 くデ ー タ伝 送 の 品 質 は 劣 るが,こ
音が多 いため符号誤
の こ とを 別 とす れ ば 通 信 量 の少 ない 簡
単 な デ ー タ通 信 の 場 合 に は最 も安 価 な形 式 とい え る 。 (d) フ レー ム リ レー とISDN ⑤ の フ レー ム リ レー は 高 速 パ ケ ッ ト交 換 方 式 と して 最 近 サ ー ビス を 開始 した 新 しい 方 式 で あ る。 最 近 の デ ー タ通 信 はLAN間
接 続 に よ る分 散 処 理 型 の シ ス
テ ム が 重 要 視 され て お り,そ れ に と も な っ て 高 速 化 の ニ ー ズ が 高 ま りつ つ あ る。 しか し,パ ケ ッ ト通 信 の伝 送 速 度 の現 状 は64kbit/s以 下 で あ り,要 求 を 満 足 す る こ とは で きな い 。 フ レー ム リ レ ー は これ を解 決 す る た め,従 来 パ ケ ッ ト交 換 で 行 わ れ て い た 隣 接 ノ ー ド間 の 誤 り制 御 と再 送 制御 を省 略 し高 速 化 を 図 っ た も の で,約1.5Mbit/sま
で の パ ケ ッ ト交 換 が 可 能 と な っ た 。 これ を 可 能 とす る 背
景 に は近 年 の 伝 送 路 の 設 備 が光 フ ァ イバ ー ケ ー ブ ル化 と デ ィジ タル 化 に よ り雑 音 に よ る 符 号 誤 りが 減 少 し著 しい伝 送 品 質 の 向 上 が あ っ た こ と に 基 づ い て い る。 ISDN網
は,1988年
に世 界 の 主 要 先 進 国 で 一 斉 に サ ー ビ ス が 開 始 さ れ た マ ル
チ メ デ ィ ア対 応 の 新 しい デ ィ ジ タ ル ネ ッ トワ ー クで あ り,今 後 の発 展 が 大 き く 期 待 さ れ て い る ネ ッ トワ ー ク で あ る 。 現 在 行 わ れ て い る サ ー ビ ス はN-ISDN (狭 帯 域ISDN)と 64kbit/sか
呼 ば れ て い る 比 較 的 簡 易 な 形 式 の も の で,伝
ら1.5Mbit/sを
カ バ ー し,専 用 線,回
線 交 換,パ
送速度 は
ケ ッ ト交 換 の 機 能
を 具 備 した サ ー ビ ス で あ る 。 次 の 段 階 と し て 現 在 計 画 が 進 め ら れ て い るBISDN(広
帯 域ISDN)は
(Asynchronous
回線 交 換 とパ ケ ッ ト交換 の 両 者 の 特 長 を備 えたATM
Transfer Mode:非
同期 転 送 モ ー ド)と 呼 ば れ て い る 形 式 を
交換 方 式 と伝 送 方 式 に取 り入 れ た 革 新 的 シス テ ム で あ る 。ATMは
マルチ メデ
ィア 情 報 を48バ イ トの 固 定 長 デ ー タ に 分 割 し 5バ イ トの 宛 先 情 報 を付 加 した 53バ イ トの セ ル を基 本 単 位 と し網 内 を転 送 す る も の で,多
種類 のマ ルチ メデ
ィ アへ の 対 応 と高 速 性 に 対 す る要 求 に 十 分 応 え る こ とが で き る 方 式 で あ る 。 ATMは
フ レー ム リ レ ー の 発 展 型 で セ ル リ レ ー と も呼 ば れ,最
も超 高 速 マ ル チ メ デ ィ アLANやLAN間 ISDNの
ISDNに
通 信 に も採 用 され る 傾 向 が あ る。 B-
伝 送 速 度 は155Mbit/sと622Mbit/sの
ス が 開 始 さ れ れ ば 本 格 的ISDNの
近公衆 網以外 に
2種 が 用 意 され て お り,サ ー ビ
時 代 を 迎 え る こ と に な り期 待 が 大 き い 。
つ い て の 詳 細 は 6章 で 述 べ る。
以 上 に述 べ て きた各 種 の デ ー タ通 信 シ ス テ ム の 中 で 現 在 サ ー ビ ス され て い る もの の 伝 送 速 度 の 一 覧(NTTの
表5.8各
例)を
参 考 まで に表5.8に 示 した 。
種 デ ー タ通 信 サ ー ビス の 伝 送 速 度(NTTの
例)
[4] LAN (a)
概
LAN
要
(Local Area Network)は
ビ ル 内 や 構 内 な ど比 較 的 狭 く 限 ら れ た 地 域
内 に設 置 され た コ ン ピ ュ ー タ,ワ ー ク ス テ ー シ ョ ン,パ ソ コ ン な ど を結 ぶ 情 報 通 信 ネ ッ トワ ー ク で あ り,現 在,大 学,企
業 な ど で広 く利 用 さ れ て い る 。 過 去
の コ ン ピ ュー タ に よ る 情 報 処 理 形 態 は,セ
ン タ ー に設 置 され て い る 大 型 コ ン ピ
ュ ー タで 集 中処 理 す るや り方 で あ っ た が,現 在 で はLSIな
どの 進 歩 に よ り コ ン
ピ ュ ー タの 低 価 格 化 と高 性 能 化,小 型 化 が 急 速 に進 み,分 散 処 理 す るや り方 に 変 わ っ て きて い る。 近 年 の 企 業 に お け るOA化
の 進 展 は 各 種 情 報 機 器 を 高 速 伝 送 路 で 結 合 し,
LANと
して の 情 報 シ ス テ ム 構 築 が 進 め られ る状 況 とな っ て い る 。 こ の よ う な
LANを
導 入 す る こ と に よ り,ネ
ッ トワ ー ク を 介 して 資 源 の 共 有 化 と機 能 分 散
が 図 れ,業 務 の 効 率 化 に 資 す る と こ ろ は大 き な も の とな る 。 LANは
私 的 な ネ ッ トワー ク で あ り制 度 上 の 制 約 が な い の で 自 由 に構 成 す る
こ とが で き,多 様 なLANが
出 現 して い る。 扱 う情 報 と して は デ ー タ の ほ か に
音 声,静 止 画 像,動 画 像 な ど も対 象 と され,各 種 情 報 を統 合 し たマ ル チ メ デ ィ ア通 信 ネ ッ トワ ー ク も実 現 して い る。 現 在 のLANの の もの が 多 く,速 度 は 数Mbit/sか
ら100Mbit/s程
規 模 は 数kmの
範 囲 まで
度 までであ る。 LANは
外部
の ネ ッ トワー ク と接 続 す る こ と もあ り,内 部 に 異 な る メ ー カ の 機 種 が接 続 され る こ と もあ るの で 標 準 化 は重 要 で あ る 。LANの 会)内
標 準 はIEEE(米
に設 置 さ れ て い る802委 員 会 で 検 討 して い るLANに
国電気 電子 学
関す る一連 の イ ン
タ フ ェ ー ス と プ ロ トコ ル の 規 約 を 事 実 上 の標 準 と して い る。 商 品化 さ れ て い るLANで
有 名 な の は 米 国 のXerox社
た イ ー サ ネ ッ ト(Ethernet)と
が 中心 と な っ て 開 発 し
呼 ば れ て い る もの で,1980年
にDEC, Intel社
と共 同 開発 した もの で あ る 。 こ れ は 特 殊 な 同軸 ケ ー ブ ル を用 い た バ ス 型 ネ ッ ト ワ ー クで ア クセ ス 制 御 方 式 にCSMA/CDと し て い る。 そ の 後IBMに
呼 ば れ て い る 方 式(後
述)を
使用
よ り リ ン グ型 とバ ス 型 ネ ッ トワ ー ク で ア ク セ ス 制 御
方 式 に トー ク ンパ ッ シ ン グ方 式 と呼 ば れ て い る 方 式(後 述)を 採 用 した 方 式 が
発 表 さ れ た 。 以 上 の 2方 式 がLAN方
式 の 中 心 的 存 在 と な り発 展 し現 在 に 至 っ
て いる。 (b) LANの
LANは
分類
網 形 態(ト
ポ ロ ジ ー),伝
送 媒 体,伝
送 方 式,ア
クセ ス 方 式 に よ り分
類 す る こ と が で き,以 下 順 に 説 明 す る 。 (1) 網 形 態
LANの
網 形 態 と して 代 表 的 な もの は,① バ ス 型,②
リ ン グ型,
③ ス ター 型 で あ り,そ の 形 状 を 図5.28に 示 す 。 バ ス 型 は 1本 の 共 通 伝 送 路(バ ス)に パ ソ コ ン な どの各 端 末 を接 続 す る も の で,伝 送 路 が 経 済 的 とな る利 点 が あ る が 各 端 末 か らの 信 号 が 衝 突 す る場 合 が あ る た め,通 信 頻 度 が 多 い 場 合 に は 同時 発 信 を避 け る対 策 が 必 要 と な る 欠 点 が あ る 。 リ ン グ型 は ル ー プ 型 と も呼 ば れ各 端 末 を環 状 に接 続 しデ ー タ情 報 をル ー プ状 に 巡 回 させ る形 式 で あ る。 こ の 場 合 に は トー ク ン(Token)と
呼 ばれ て い る送 信 権 を各 端 末 間 に巡 回 させ て お
き,送 信 権 を得 た端 末 の み が デ ー タの 送 信 を 行 う方 法 を使 っ て い る の で,多 端 末 か らの デ ー タ の衝 突 は 避 け ら れ る利 点 が あ る 。 ス ター 型 は ネ ッ トワ ー ク の 中 心 に 交 換 機 な ど の集 中 制 御 機 能 を もつ 装 置 を 置 き,複 数 の 端 末 を放 射 状 に接 続 す る 形 式 で あ る。 電 話 の構 内 交 換 網 と して 広 く使 わ れ て い る形 状 で あ り,制 御 は容 易 で あ るが セ ン タ障 害 時 の影 響 は 大 きい 。
(a)バ ス 型
(b)リ ン グ型
図5.28 LANの
(2)
伝 送媒 体
り対 線),②
LANで
(c)ス
タ ー型
網形態
使 用 さ れ る 代 表 的 伝 送 媒 体 は,① ペ ア ケ ー ブ ル(よ
同軸 ケ ー ブ ル,③ 光 フ ァ イバ ケ ー ブ ル,④
無 線 で あ る。 ペ ア ケ ー
ブ ル は構 内 の 電 話 線 と して使 わ れ て い る もの と 同 じで 安 価 で あ る が 伝 送 速 度 は
せ い ぜ い 数Mbit/s以 10Mbit/sま
下で低 速伝 送 であ る。 これ に対 して 同軸 ケー ブ ル は数
で の 高 速 伝 送 が で き,外 部 か らの 電 磁 雑 音 を 防 ぐ こ と も で き る 利
点 が あ る。 光 フ ァイ バ ケ ー ブ ル は 最 も優 れ た 伝 送 媒 体 で あ り,細 径 か つ 軽 量 で 雑 音 に強 く伝 送 帯 域 が 広 い の で超 高 速 大 容 量 の デ ー タ伝 送 が 可 能 で あ る 。 無 線 は 配 線 が 不 要 で 端 末 を 自 由 に移 動 す る こ とが で きる 利 点 が あ り近 年 注 目 され て いる。 ③
伝 送 方 式 伝 送 方 式 に は,ベ ー スバ ン ド伝 送 方 式 とブ ロ ー ドバ ン ド伝 送
方 式(帯
域 伝 送 方 式)が
あ る。 ベ ー ス バ ン ド伝 送 方 式 は端 末 か らの デ ィ ジ タ ル
信 号 をそ の ま ま伝 送 す る方 式 で モ デ ム は不 要 で 経 済 的 で あ る が,伝
送 で き る距
離 が 短 い 欠 点 が あ る 。 ブ ロ ー ドバ ン ド伝 送 方 式 は周 波 数 分 割 多 重 に よ り複 数 の チ ャ ネ ル を 同 時 に伝 送 す る こ とが で き,長 距 離 伝 送 に 適 した 方 式 で あ る 。 ④
ア ク セ ス 方 式 各 端 末 間 の 通 信 を 制 御 す る方 式 と して 代 表 的 な もの は,
TDMA方
式(時
分 割 交 換 方 式), CSMA/CD方
式,ト
ー ク ンパ ッ シ ン グ方 式 で
あ る。 TDMA方
式 は 伝 送 路 を時 分 割 多 重 に よ り複 数 の チ ャ ネ ル に 分 割 し,集 中 制
御 局 が 各 端 末 に 割 り当 て る回 線 交 換 方 式 で あ る 。 チ ャ ネ ル の割 当 に は予 め各 端 末 の チ ャ ネ ル を決 め て お くプ リア サ イ ン方 式 とチ ャ ネ ル を 固定 的 に決 め ず 空 き チ ャ ネ ル を 動 的 に割 り当 て る デ マ ン ドア サ イ ン方 式 とが あ る 。TDMA方 デ ー タ リ ン ク の確 立 方 法 は ポ ー リ ング/セ
式の
レク テ ィ ング 方 式 に よ る。 な お,時
分 割 を 空 問分 割 に 変 え た場 合 が 構 内 電 話 交 換 用 のPBXに
当た る。 TDMA方
式
は 網 形 態 と して ス タ ー型 の ほ か バ ス型 リ ン グ型 に も適 用 で き,低 速 デ ー タ通 信 や,デ
ー タ通 信 と電 話 とを 統 合 す る と き な どに 適 し たLANで
CSMA/CD(Carrier
ある。
Sense Multiple Access with Collision Detection)方
式
とは 衝 突 検 出 付 き搬 送 波 感 知 多 重 ア ク セ ス の 意 味 で,各 通 信 端 末 が 通信 中で あ る か 否 か を監 視 す るた め搬 送 波 を検 出 す る 方 法 を用 い て い る こ とか ら この 名 が つ け られ た。 こ の 方 式 は バ ス 型LANで
使 用 さ れ,分 散 制 御 方 式 な の で デ ー タ
リ ン クの 確 立 方 法 は コ ンテ ン シ ョ ン方 式 で あ り,伝 送 制 御 方 式 は前 に述 べ た べ ー シ ック 方 式 ,HDLCと
は多 少 異 な る伝 送 制 御 が 必 要 に な る 。 TDMA方
式が
回 線 交 換 方 式 で あ る の に対 しCSMA/CD方
式 と トー ク ンパ ッ シ ン グ 方 式 は フ
レー ム交 換 方 式 で あ る 。 各 端 末 は常 時 フ レー ム を監 視 し,自 局 宛 の フ レー ム が あ れ ば そ れ を取 り込 む 。 そ の た め,フ
レー ム に は宛 先 ア ドレ ス と発 信 元 ア ドレ
ス を含 む構 成 と な っ て い る。 フ レー ム構 成 と各 部 の 内 容 は省 略 す るが,デ リ ンク層 を さ らにMAC層 タ を送 信 して い る 間,常
とLLC層
ータ
に分 け詳 細 な規 定 が あ る。 送 信 端 末 は デ ー
に伝 送 路 を 監視 しデ ー タの衝 突 が 発 生 し た か ど う か を
チ ェ ック す る。 デ ー タが 衝 突 し た と きに は ジ ャ ム信 号 を送 出 して 送 信 をい っ た ん 中 断 し,乱 数 で決 ま る一 定 時 間 だ け待 った 後 再 度 デ ー タ を 送 信 す る 。 CSMA/CD方
式 は バ ス 型LANと
し て広 く使 用 さ れ て い るが,長
所 は ①LAN
の 拡 張 が 容 易 な こ と,② 伝 送 路 が 少 な くて 済 み 経 済 的 で あ る こ と な ど で あ り, 短 所 は ネ ッ トワ ー ク の トラ ヒ ッ クが 増 大 す る とバ ス 上 で 衝 突 が 発 生 す る こ とで あ る。 トー ク ンパ ッシ ン グ方 式 に は リ ン グ型 を対 象 と した トー ク ンパ ッ シ ン グ リ ン グ方 式 とバ ス 型 を対 象 と した トー ク ンパ ッシ ング バ ス 方 式 とが あ る 。 トー ク ン パ ッシ ン グ リ ング 方 式 が 主 流 な の で そ の 動 作 原 理 に つ い て以 下 に述 べ る。 リ ン グ の構 成 は各 ノ ー ドを環 状 に 伝 送 路 で 結 び,ノ ー ドの 下 に各 端 末 を 設 置 す る 形 状 とす る。 送 信 端 末 は まず ノ ー ドを 介 し て リ ング 内 を高 速 巡 回 して い る トー ク ンを補 捉 す る。 次 に 宛 先 ア ドレ ス,発 信 元 ア ドレス,デ
ー タ な ど を書 き込 ん だ
フ レー ム を作 り次 の ノ ー ドに 送 信 す る。 次 の ノ ー ドで は 自 局 宛 の フ レ ー ム か ど うか をチ ェ ック し,自 局 宛 で な け れ ば 再 生 中継 し次 の ノ ー ドへ 転 送 す る。 自局 宛 で あ る こ とが 確 認 で きた ノー ドで フ レー ム を取 り込 み 端 末 の バ ッ フ ァメ モ リ に コ ピー す る。 同 時 に確 か に受 信 した こ とを示 す 応 答 フ レー ム を次 の ノ ー ドに 送 信 す る。 こ の 後 の ノ ー ドは こ の フ レー ム を再 生 中 継 す る 。 そ して 元 の発 信 元 の ノー ドに応 答 フ レ ー ム が戻 っ て発 信 元 は相 手 方 が 正 し く受 信 した こ とを確 認 し,こ の フ レー ム を消 去 す る と と も に新 た な トー ク ンを 次 の ノ ー ドに 送 信 す る 。 以 上 が 動 作 原 理 で あ るが,ト
ー ク ン リ ング方 式 で は受 信 ノ ー ドが フ レ ー ム 受 信
後 に トー ク ンに 変 え る こ と はせ ず,あ
くま で も発 信 元 の ノ ー ドで す べ て の 情 報
を 消 去 して か ら トー ク ンに 変 え る こ とに して い る。 フ レ ー ム の 構 成 は詳 細 を省
略 す る が,ト
ー ク ン信 号 と デ ー タ フ レ ー ム 信 号 の 2種 類 と な っ て お り,
CSMA/CD方
式 の 場 合 と同 様 なMAC層
とLLC層
ンパ ッ シ ン グバ ス 方 式 の 場 合 は 省 略 す る が,リ
の 詳細 な 規 定 が あ る。 トー ク ング方 式 の 場 合 と同 様 の考 え方
で 実 現 で きる 。 以 上 に述 べ た トー ク ンパ ッシ ン グ方 式 の 長 所 は,① デ ー タ の衝 突 が な く高 信 頼 デ ー タ通 信 が で きる こ と,②
リ ン グ を 二重 と し伝 送 方 向 を互 い に 逆 回 り とす
れ ば 障 害 対 策 に使 え る こ と な ど で あ る。 (c)
LANの
LANは
動向
最 近 急 速 に 進 歩 して い る 分 野 で あ り,マ ル チ メ デ ィ ア通 信 の 発 展 と
共 に機 能 の 拡 大,高
速 化 が 図 られ て い る 。 最 近 の新 し いLANと
て い る の がFDDIとATM‐LANで
あ る。 FDDI(Fiber
Interface)は 光 フ ァイ バ を使 っ た トー ク ン リ ン グ型LANで 100Mbit/sの
光 高 速LANで
-LANはB-ISDNで
Distributed Data あ り,伝 送 速 度 が 約
あ る。 これ は現 在 標 準 化 も確 立 され て い る。 ATM
使 用 さ れ て い るATM技
速 の マ ルチ メ デ ィ アLANと
して 注 目 され
術 をLANに
適 用 した も の で
,高
して の期 待 が 大 きい 。
この ほか に最 近 大 きな話 題 と な っ て い る イ ン タ ー ネ ッ トが あ る。 も と も と イ ン ター ネ ッ トの 言 葉 は ネ ッ トワ ー ク の ネ ッ トワー ク を意 味 して い る が,現 在 親 し まれ て い る イ ン ター ネ ッ トは前 に述 べ たARPAネ
ッ トを発 祥 と し世 界 に 広
が っ た デ ー タ通 信 ネ ッ トワ ー ク を指 して お り,数 多 くの ネ ッ トワ ー ク を相 互 に 接 続 した ボ ー ダ レス の ネ ッ トワー ク で あ る。 従 来 の デ ー タ通 信 が 多 数 の 簡 易 な 端 末 と高 度 な機 能 と性 能 を もつ コ ン ピ ュ ー タ を備 え た セ ン タ との 間 の 通 信 と し て発 展 して きた の に 対 して,端 末 に低 価 格 化 とイ ンテ リジ ェ ン ト化 し急 速 に 普 及 した パ ソ コ ンを用 い,セ
ン タ を置 か な い グ ロー バ ル な コ ン ピ ュ ー タ ネ ッ トワ
ー ク を め ざ して い る の が ,イ ン タ ー ネ ッ トで あ る 。 イ ンタ ー ネ ッ トへ の 接 続 は TCP/IPの
プ ロ トコル を備 え た コ ン ピ ュ ー タ か ら行 う。 実 際 の 接 続 方 法 は 多 様
で あ る が,一
般 的 に は ネ ッ トワ ー ク サ ー ビ ス プ ロ バ イ ダ(NSP:接
に依 頼 し て 接 続 す る 。 ネ ッ トワ ー ク の 運 用 と相 互 接 続 は 各 々 のNSPが
続 業 者) 行 い,
そ の 上 の 応 用 サ ー ビス は 誰 もが提 供 で き る 自律 的 な機 構 と な っ て い る。 イ ン タ
ー ネ ッ トの 主 な機 能 は電 子 メ ー ル ,情 報 検 索,フ
ァイ ル 転 送,遠
隔地 のコ ンピ
ュ ー タへ の ア ク セ ス な ど で あ る 。 イ ン タ ー ネ ッ トは ネ ッ トワ ー ク全 体 の 運 営 管 理 者 が 存 在 せ ず,お
互 い に利 用 規 定 を遵 守 す る こ と を 前 提 と して 利 用 者 の 自主
性 の 下 で 運 用 さ れ て い る こ とが大 き な特 徴 とな っ て い る 。 こ の よ う な オ ー プ ン 性 が ネ ッ トワー ク の 発 展 に寄 与 して い る事 実 も見 逃 せ な い が,一 不 在 に よ る通 信 品 質 の 保 証,セ
方 で は管 理 者
キ ュ リ テ ィ の確 保 な どに 問 題 も抱 え て い る。
演 習
問
題
1.デ ー タ信 号 の 伝 送 で重 要 な 同 期 方 式 を分 類 し,そ れ ぞ れ を 簡 単 に 説 明 せ よ。 2.デ ー タ伝 送 に お け る MODEMと
DSU
の 違 い につ い て 述 べ よ 。
3.次 の 用 語 に つ い て 説 明 せ よ 。 (a)半 二 重 通 信, (e)ベ
(b)マ ン チ ェ ス タ 符 号,
(c)APSK,
(d)エ
ン ベ ロ ー プ 形 式,
ア ラ速 度
4.デ ー タ リ ン ク の 確 立 に お け る コ ン テ ン シ ョ ン 方 式 とポ ー リ ン グ/セ
レクテ ィング
方 式 に つ い て 説 明 せ よ。 5.伝 送 制 御 手 順 と して 代 表 さ れ る ベ ー シ ッ ク 手 順 とHDLC手
順 の 特 徴 を 比 較 せ よ。
6.HDLCの
フ レ ー ム 構 成 を 示 し,各
フ ィ ー ル ドの 機 能 を 述 べ よ 。
7.HDLCの
フ レー ム チ ェ ッ ク シ ー ケ ン ス と し て 使 わ れ て い るCRC方
式 につ い て説
明 せ よ。 8.パ ケ ッ ト交 換 に お け る デ ー タ グ ラ ム と バ ー チ ャ ル コ ー ル の 二 つ の 方 式 の 相 違 を 述 べ よ。 9.LANの
ア ク セ ス 方 式 と し て重 要 な CSMA/CD
つ いて説 明せ よ。
と トー ク ンパ ッ シ ン グ の 両 方 式 に
6 サー ビス総合ディジタルネッ トワーク(ISDN)
6.1
ISDNの
あ ゆみ
電 話 サ ー ビス が 開 始 さ れ て か ら100年 以 上 を経 過 し,電 話 ネ ッ トワー ク は す っ か り成 熟 し,今
日で は 社 会 活 動 に欠 か せ な い もの とな っ て い る 。 こ の 間,著
し く進 歩 した 通 信 技 術 は ネ ッ トワー ク設 備 に取 り入 れ られ,通 信 品 質 の 改 善 と 通 信 コス トの低 下 に 寄 与 して きた 。 近 年 の 注 目 され る技 術 の革 新 に通 信 の デ ィ ジ タル 化 が あ る。 電 話 網 の デ ィ ジ タ ル化 を 契 機 と して,複 数 の 情 報 通 信 サ ー ビ ス を一 つ の ネ ッ トワ ー ク で行 う構 想 が 生 まれ,こ
れを情報化社 会 のための イ ン
フ ラス トラ クチ ュ ア(基 盤 設 備)と す る計 画 が 固 ま り,各 国 で こ の研 究 が 推 進 され た 。 この よ うな 各 種 情 報 サ ー ビ ス の た め に一 元 化 され た デ ィ ジ タル ネ ッ ト ワー ク をISDN(Integrated タル 網)と
呼 ぶ 。ISDNは
Services Digital Network:サ
ー ビ ス総 合 デ ィジ
新 し い機 能 を具 備 す る ネ ッ トワ ー ク で あ り,ユ ー ザ
に多 様 な サ ー ビ ス を提 供 す る もの で あ り,標 準 化 の た め の研 究 はCCITT(現 はITU-T)を
在
中 心 に し て 国 際 的 な協 力 の も と に幅 広 く進 め られ た 。そ して標 準
化 を順 次 進 め,1988年 か ら先 進 各 国 で 一 部 の サ ー ビ ス が 開 始 さ れ る に 至 っ た 。 現 在 も よ り高 速,広 帯 域 化 の研 究 が 続 け られ て お り,本 格 的 な マ ル チ メ デ ィア 時代 に向 け て の 準 備 が 着 々 と進 め ら れ て い る。 こ こで は,ま ずISDNの に つ い て 概 説 す る。
あゆみ
[1] 通 信のデ ィジタル化 近 年 の 通 信 技 術 の 急 速 な進 歩 は実 に め ざ ま し く,部 品,素 子 の レベ ル か ら装 置,シ ス テ ム の レベ ル まで す べ て の 分 野 で 技 術 の 変 革 が 進 ん で い る状 況 に あ る。 これ らの技 術 の変 革 は,① デ ィ ジ タ ル化,②LSI化,③
光 化 の 三 つ の 大 き な流
れ で 説 明す る こ とが で き る。 ① の デ ィ ジ タ ル化 は通 信 シス テ ム 全 体 の デ ィ ジ タ ル化 を 意 味 し,そ の源 流 と な る技 術 はPCM方
式 で あ る。 これ は コ ンピ ュー タで 扱 う演 算 と記 憶 が 中 心 の
デ ィ ジ タ ル技 術 の概 念 とは全 く異 質 の も の で あ り,ア ナ ロ グ信 号 を デ ィ ジ タル 信 号 に 変 換 す る た め の 変 調 方 式(符 号 化 方 式)と 式 の技 術 が 中心 で あ る 。PCM方
デ ィ ジ タ ル信 号 の 中 継 伝 送 方
式 の 原 理 の 発 明 は 古 い が,ト
明 を最 初 とす る半 導 体 技 術 の 進 歩 や 各 種 パ ル ス 回路,デ
ラ ンジ ス タ の発
ィ ジ タル 回 路 の 進 歩 に
よ り,実 用 の デ ィジ タル 伝 送 シ ス テ ム と して 電 話 多 重 通信 に初 め て 登 場 し た の は1960年 代 に 入 っ て か らで あ る。 そ の 後,デ
ィ ジ タ ル 伝 送 の 持 つ 多 くの 特 長
に よ り,ア ナ ロ グ伝 送 シ ス テ ム に代 わ っ て デ ィ ジ タ ル伝 送 シス テ ム の 導 入 の 拡 大 が 進 め られ た 。 一 方,そ
の 後 ま もな く してLSIの 進 展 に よ りデ ィ ジ タ ル 交 換
機 も実 現 し導 入 が 進 め られ た。 そ の ほ か,CDな れ る な どPCMは ② のLSI化
どの オー デ ィ オ機 器 に も使 わ
一 般 に も広 く普 及 す る と こ ろ とな っ た 。
は通 信 機 器 を構 成 して い る重 要 部 品 で あ る 能 動 素 子 が 電 子 管 か ら
トラ ン ジス タ に,そ
して 回路 の 高 集 積 化 へ と変 わ る技 術 革 新 で あ り,通 信 シ ス
テ ム の 中 枢 部 分 を 占 め て い る こ とか らそ の 経 済 効 果 は も と よ り,小 型 化,高
信
頼 化 へ の 寄 与 は きわ め て 大 きい もの が あ っ た 。 ③ の光 化 は,伝 送 媒 体 と して 長 い 間 主 役 を 占め て い た メ タ ル ケ ー ブ ル(銅 の 平 衡 ケ ー ブ ル ・同 軸 ケ ー ブ ル)を え る こ と で あ り,1970年
多 くの長 所 を有 す る光 フ ァ イバ ケ ー ブ ル に 代
以 降 の 急 速 な 光 エ レ ク トロニ ク ス の進 歩 に よ っ て 可
能 と な っ た もの で あ る 。 光 フ ァ イバ ケ ー ブ ル は,細 径 軽 量,低 損 失,広
帯 域,
無 誘 導 雑 音 な どの き わ め て優 れ た 特 性 を持 ち,中 長 距 離 の 伝 送 シス テ ム はす で に実 用 に な り,現 在 は残 さ れ た 加 入 者 線 の 光 化 の研 究 が 進 め られ て い る 。 ① ② ③ が 開発 され た 年 代 は,最 初 が ① の デ ィ ジ タル化 の 推 進 で あ り,次 に②
のLSI化,そ
して ③ の 光 化 で あ る。 LSIと 光 フ ァイ バ伝 送 の技 術 は ア ナ ロ グ伝
送 よ りむ し ろ デ ィ ジ タ ル伝 送 に 親 和 性 が あ り,デ ィ ジ タ ル化 推 進 の 初 期 にお け る 多 量 の 能 動 素 子 を使 用 す る こ と に よ る経 済 性,信
頼 性 や広 い 伝 送 帯 域 を必 要
とす る こ と な どか ら生 ず る 問 題 点 を克 服 す る の に多 大 の 貢 献 が あ っ た 。 そ の 結 果 と して デ ィ ジ タル 通 信 の 時代 を切 り開 い た 意 義 は大 きい もの が あ る 。 現 在 の 電 気 通信 サ ー ビ ス の 中 で 最 大 の もの は 利 用 者 数,ネ ど か らみ る と電 話 で あ り,現 在 で は6000万
ッ トワ ー ク規 模 な
を超 え る加 入 者 数 を有 す る 巨 大 な
ネ ッ トワ ー ク とな っ て い る 。 ユ ー ザ か らみ る と電 話 機 の 先 の ネ ッ トワー ク は 見 え な い が,ネ
ッ トワ ー ク 内 の 諸 設 備 は 常 に低 コ ス ト,高 効 率 を 目指 して そ の 時
代 の トッ プ レベ ル の技 術 の 導 入 に よ り置 き換 え られ 変 貌 を遂 げ て きた 。 これ を 全 体 的 な変 革 の 大 き な流 れ と して捉 え る と通 信 の デ ィ ジ タ ル化 とい う こ とが で きる 。 通 信 の デ ィ ジ タル 化 は個 々 の 伝 送 シス テ ム や 交換 機 が,機 済 性,信
能,性
能,経
頼 性 な ど の面 か ら ア ナ ロ グ シ ス テ ム と比 較 し,優 位 に あ る こ と を確 認
の 上 導 入 され た もの で あ り,デ ィ ジ タ ル 網構 築 の視 点 で 計 画 的 に 導 入 さ れ た わ け で は な か っ た 。 つ ま り,ISDNの
構 想 は デ ィ ジ タル 化 の過 程 の 中 か ら後 で 生
まれ た わ け で あ る 。 実 際 の 電 話 網 の デ ィ ジ タ ル 化 は デ ィ ジ タ ル伝 送 シ ス テ ム の 導 入 か ら始 め ら れ,次
に デ ィ ジ タル 交 換 機 の 導 入 に移 り,電 話 網 は次 第 に デ ィ ジ タ ル網 に代 わ
り,現 在 は 加 入 者 系 を 除 き デ ィ ジ タル 網 と な っ て い る状 況 に あ る 。 図6.1は 電 話 網 の デ ィ ジ タ ル化 の 進 展 の 模 様 を 示 した もの で,図
中の A とDは アナ ログ
形 式 とデ ィ ジ タル 形 式 を表 して い る。 図6.1(a)は
以 前 の ア ナ ロ グ電 話 網 で あ り,交 換 機 が ア ナ ロ グ交 換 機 と な っ
て い て,交 換 機 内 を流 れ て い る情 報 信 号 は電 話 音 声 の信 号 そ の もの で あ る。 つ ま り,伝 送 シ ス テ ム が ア ナ ロ グ多 重 伝 送 シ ス テ ム か デ ィ ジ タ ル多 重 伝 送 シ ス テ ム の い ず れ で あ って も,伝 送 と交 換 の イ ン タ フ ェ ー ス に お け る情 報 信 号 の授 受 は何 も変 調 され て い な い 元 の 音 声 信 号 で行 う点 に特 徴 が あ る。 図6.1(b)は
電 話 網 が 端 末 と加 入 者 線 の 部 分 を残 し,す べ て デ ィ ジ タ ル 網 に
な っ た 場 合 を示 して お り,伝 送 と交 換 の イ ン タ フ ェ ー ス にお け る情 報 信 号 の 授
(a)アナ ログ電話網
(b)デ ィジ タル網
(c)端末 までの 完全デ ィジタル網
図6.1通
受 は 図(a)と
信 網 の デ ィ ジ タ ル化
(a)と 図(b)と
は 大 き く異 な り多 重 化 さ れ た デ ィ ジ タ ル信 号 で 行 っ て い る 。 図 を比 べ て み れ ば わ か る よ う に,図(a)で
は 各 伝 送 シス テ ム
が 交 換 機 間 で独 立 した 形 と な っ て お り,ア ナ ロ グ形 式 か デ ィ ジ タル 形 式 か は 問 わ ず,両 端 末 間 は最 大 伝 送 7 リ ン ク(リ
ンク は変 調 か ら復 調 ま で の 一 つ の伝 送
シ ス テ ム の 意 味 で リ ンク 数 が 多 くな るほ ど雑 音 や ひず み が 増 加 し伝 送 品質 は悪 くな る)で 結 ば れ て い る(3.5参 照)。 こ れ に 対 して 図(b)の
場 合 の電話音声
信 号 は加 入 者 線 か ら ネ ッ トワー ク に入 る と こ ろ の最 初 の デ ィ ジ タ ル 交 換 機 の入 力 でCODECに 進 み,相
よ りデ ィ ジ タ ル化 され た あ と は 網 内 を デ ィ ジ タ ル信 号 の 形 式 で
手 側 加 入 者 線 に 入 る前 の ネ ッ トワー ク最 後 の 交 換 機 出力 でCODECに
よ り電 話 音声 信 号 に 戻 さ れ る 。 つ ま り,両 端 末 間 を結 ぶ伝 送 系 の 中,ネ ー ク 内 は す べ て デ ィ ジ タル に よ る伝 送 1リ ンク と な っ て お り
,図(a)に
ッ トワ 比し
て伝 送 品 質 は か な り良 好 とな る利 点 が あ る 。 図(c)は
端 末 お よ び 端 末 と ネ ッ トワー ク の 間 もす べ て デ ィ ジ タ ル 化 し両 端
末 間 が 完 全 に デ ィ ジ タ ル で 接 続 さ れ た 形 態 を示 して い る。 そ の 結 果,図(c) はユ ー ザ 間 に 高 速,高
品 質 の デ ィ ジ タ ル通 信 の サ ー ビス を 行 う こ とが で きる の
で,電 話 以 外 の 新 しい様 々 なサ ー ビス へ の 道 を 開 くこ と に な る。
わ が 国 の 現 在 の 電 話 網 は 図(a)か
ら 図(b)へ
の 移 行 を終 え た 段 階 に あ り,
全 国 的 な デ ィ ジ タ ル 網 は完 成 して い る と考 え られ る 。 デ ィ ジ タ ル網 が で きて い れ ば,ユ
ーザ の 要 望 に応 じて 行 う 図(c)の
と加 入 者 線,お
形 態 へ の変 更 は,基
本 的 に は端 末
よ び 最 初 の デ ィ ジ タル 交換 機 の 加 入 者 対 応 部 分 の 変 更 で 済 み 非
常 に簡 単 で あ る。 デ ィジ タ ル技 術 の進 歩 お よ びLSI,光
伝 送 な どの 関 連 技 術 の進 歩 に よ っ て デ
ィ ジ タ ル伝 送 シス テ ム と デ ィ ジ タ ル交 換 機 が 実 用 に 供 さ れ,デ
ィ ジ タ ル伝 送技
術 と デ ィジ タ ル交 換 技 術 の技 術 統 合 に よっ て コ ス トと効 率 に優 れ た デ ィ ジ タ ル 統 合 網(IDN:Integrated
Digital Network)の
ネ ッ トワ ー ク を技 術 面 か らみ た 場 合,デ
実現が 可能 とな った。 これ は
ィ ジ タ ル とい う共 通 の 新 技 術 の 種(シ
ー ズ)か ら生 み 出 さ れ た 意 味 づ け で あ る。こ の ネ ッ トワ ー ク に よ り何 が で きて , どの よ う な メ リ ッ トを生 ず る か?は
ユ ー ザ の 新 た な サ ー ビス の 要 求(ニ
に密 接 に 関係 す る。 ニ ー ズ 面 の こ とは後 で 述 べ る こ と と し,こ
ー ズ)
こで 通 信 網 の デ
ィ ジ タ ル化 の 意 義 に つ い て技 術 面 か らの メ リ ッ トを 次 に ま とめ て お く。 ①
通 信 網 の 経 済 化:伝
送 交 換 イ ン タ フ ェ ー ス 装 置 の 簡 易 化,各
種機 器 の
LSI化 ②
伝 送 品 質 の 向 上:デ 特 性,お
ィ ジ タ ル伝 送 と光 フ ァイ バ伝 送 とに よ る優 れ た伝 送
よ び デ ィ ジ タル伝 送 1リ ン ク接 続 に よ る伝 送 品 質 劣 化 要 因 の 累積
の減 少 ③
高 性 能 化,多 機 能 化:情
報 の蓄 積,処
理,圧
縮 の 容 易 化,制
御 と保 守 の
充実 ④
各 種 サ ー ビ ス の 総 合 化:単
[2] ISDNの
一 網 に よ る多 目的 各種 情 報 伝 達 網 の 実 現
概 念 と ね らい
情 報 社 会 の 中 で 中心 的 役 割 を果 た して きた 電 話 網 は,今 期 に入 っ た と見 ら れ,次
は需 要 を満 た し成 熟
の新 しい 型 の サ ー ビス の 開花 に 向 け て 期 待 が 高 ま っ て
い る情 勢 に あ る。 周 知 の 如 く近 年 の情 報 関 係 分 野 の技 術 の 進 歩 に よ り コ ン ピュ ー タ 関連 の機 器 の 発 展 は著 し く,デ ー タ通 信 の 重 要 性 が ま す ます 高 ま っ て お り,
一 方 ,画 像 通 信 分 野 で は従 来 か らの テ レ ビ会 議,フ
ァ ク シ ミ リ な ど に加 え て,
高 度 の 画 像 信 号 処 理 技 術 の 進 歩 に よ り,動 画 や 高 精 細 画像 な どの 高 能 率 画 像 伝 送 も可 能 に な りつ つ あ り,利 用 技 術 が 進 み シス テ ム化 が 図 られ れ ば 大 きな 需 要 の 出 る こ とが 期 待 で きる 状 況 に あ る 。 こ れ か らの 高 度 情 報 化 社 会 に 向 け て の イ ン フ ラ ス トラ クチ ュ ア と して は電 話 に上 述 の新 しい サ ー ビス を加 え た 形 の マ ル チ メデ ィア ネ ッ トワ ー クの 構 築 が 必 要 と考 え られ て い る 。 従 来 の ネ ッ トワ ー ク 構 築 の 考 え 方 は,対 象 とす る情 報 信 号 の 特 性 や サ ー ビス形 態 に合 致 した 最 適 の 個 別 の 専 用 網 とす る こ とで あ り,ユ ー ザ はサ ー ビ ス ご とに 個 別 に ネ ッ トワ ー ク 会 社 と加 入 契 約 を結 び専 用 の 端 末 を 設 置 して 利 用 して きた 。 サ ー ビス す る情 報 の種 類 が 多 くな る とこ の よ う な考 え 方 で は ネ ッ トワ ー ク の構 築 は複 雑 と な り利 用 者 に とっ て も不 便 を 強 い られ る こ と に な る 。 情 報 サ ー ビス 別 に複 数 の 個 別 網 を作 る代 わ りに あ らゆ る 情 報 サ ー ビス を,統 一 した一 元 的 ネ ッ トワ ー ク を構 築 し て 対 応 さ せ る 考 え 方 の 網 を サ ー ビ ス 総 合 網(ISN:Integrated Network)と ISDNは
Services
呼 ぶ。 図6.2に 示 した よ う に,デ
ィ ジ タル 統 合 網IDNと
サ ー ビス 総 合 網ISN
の 二 つ の 考 え方 を併 せ もつ ネ ッ トワー ク と し て構 想 され た ネ ッ トワ ー ク で あ る 。 図6・3は現 在 サ ー ビス を 行 っ て い る 情 報 別 個 別 専 用 網 とISDNの 示 し た もの で あ る 。ISDNの 能 を包 含 しつ つ,さ
機 能,性
違 い を図
能 は こ れ ま で の 情 報 別 個 別 網 の 機 能,性
らに 幅 を広 げ 高 度 化 し た もの で あ るが,ISDNは
前 に述べ
た よ う に何 もな い と こ ろ に全 く新 し く構 築 す る の で は な く,デ ィ ジ タル 化 を進 め て き た 電 話 網 にISDNの
能 力 を 付 加 して マ ル チ メ デ ィア に対 応 し た ネ ッ トワ
図6.2 ISDNの
構想
(a)現 在 の個 別 専 用 網
(b)ISDN 図6.3 現 在 の 個 別 専 用 網 とISDN
ー ク の 発 展 を図 っ た も の で あ る。 実 際 に は ユ ー ザ のISDNへ で は 図6.1の(b)か
ら(c)へ
の 形 態 の切 り替 え で あ り,ネ ッ トワー ク と し て
は デ ィ ジ タ ル 交 換 機 の 加 入 者 線 側 にISDN固 る こ とでISDNサ ISDNの
の加 入 は,設 備 上
有 の イ ンタ フ ェ ー ス機 能 を付 加 す
ー ビス の対 応 が 可 能 と な る。
ね らい は,基 本 的 に は ユ ー ザ が 端 末 間 で電 話 1回 線 分 の通 信 を 行 う
上 で 必 要 な デ ィジ タル 伝 送 速 度64kbit/sを ベ ー ス と して,複
数 の 多 目的 デ ィ ジ
タ ル 同 時 通 信(最
よ び高 速 デ ィジ タ
も簡 易 なISDNで
は64kbit/s 2回 線 分)お
ル 通 信 を 可 能 とす る こ とに あ り,ア ナ ロ グ 電 話 網 の 時 代 の0.3∼3.4kHzの
電話
帯 域 だ け の 通 信 と比 べ る とそ の違 い は非 常 に 大 きい もの が あ る。 特 に 違 い が大 きい の は 高 速 性 が 要 求 され る各 種 の デ ー タ通 信,画 速 性,高
品 質 性 の ほ か に も多 重 ア ク セ ス,パ
像 通 信 で あ る。ISDNは
高
ケ ッ ト通 信 な ど利 用 者 の 要 望(ニ
ー ズ)に 対 応 して 種 々 の特 色 を もたせ る こ とを 考 え て お り ,こ れ らを ま と め る と次 の よ う に な る。
ISDNの
ね らい
① 各 種 情 報 信 号 をデ ィ ジ タ ル形 式 に統 一 し,こ れ らを 同 一 の ネ ッ トワ ー クで 伝 達 す るサ ー ビス 総 合 網 ② 伝 達 速 度 は 電 話 音 声 と の親 和 性 を重 視(64kbit/s×n) ③ 接 続 形 式 は 回 線 交 換,パ
ケ ッ ト交 換 お よび 固 定 接 続
④ 高 度 の サ ー ビス の提 供 や 保 守 運 用 の た め に 高 度 の制 御 機 能 を具 備
[3] ISDNの
標準化活 動
電 気 通 信 に 関 す る 標 準 化 活 動 はCCITT(国 ITU:国
際 電 気 通 信 連 合 の 下 部 組 織)に
勧 告 と して ま とめ られ て い るが,こ
際電 信 電 話諮 問委 員 会 の 略 で
お い て 古 くか ら行 わ れ,研
究結 果 は
れ は 実 質 上 の 国際 標 準 規 格 と な っ て い る。
国 際 間 の 電 気 通 信 を対 象 とす る新 技 術 は,こ
れ まで す べ てCCITTに
よ り勧 告
化 さ れ,こ れ を も と に機 器 を製 造 し,通 信 シ ス テ ム を構 築 し,運 用 して い る。 ISDNの
よ うに ネ ッ トワ ー ク を 改 革 す る 影 響 の 大 き な新 技 術 につ い て は 早 くか
ら国 際 的 に討 議 を重 ね て お く必 要 が あ り,1970年 取 り扱 っ て い る委 員 会(Sp. D)で 委 員 会(SG X Ⅷ)が
取 り上 げ ら れ,1976年
基 本勧 告 が,1988年
先 進 国 で 一 斉 にISDNの ISDNの
にISDNを
式を
研 究す る
発 足 し標 準 化 に 向 け て の 本 格 的 な活 動 が 行 わ れ る よ う に
な っ た。1980年 の 総 会 で は 最 初 のISDNの に はISDNの
代 に 入 っ て か らPCM方
基 本概 念 の 勧 告 が 制 定 され,1984年
に は詳 細 勧 告 が 制 定 さ れ,1988年
か ら世 界 の
サ ー ビ ス が 開 始 さ れ た 。 そ の 後 のCCITTに
おける
研 究 は 高 速 広 帯 域 に拡 張 し本 格 的 な もの を 目指 した も の に重 点 が 置 か
れ,1991年
に はB-ISDNの
別 にITUの
組 織 は1993年
基 本 勧 告 が 制 定 さ れ 今 日 に至 っ て い る 。 こ れ と は に効 率 を 上 げ る た め 大 幅 に改 革 さ れ,標
準化 活動 は
新 し くで きた 電 気 通 信 標 準 化 セ ク タ(略 称 はITU-T:Telecommunication Standardization Sector)がCCITTに 告 はI.XXXの
代 わって行 うこ ととな った。 ISDNの
勧
よ う に Iと 3桁 の 番 号 で系 列 化 して 表 す の で Iシ リー ズ勧 告 と
呼 ば れ て い る。 一 方,わ
が 国 で は1985年
に通 信 事 業 の 民 営 化 とい う通 信 制 度 の 大 き な改 革
が 行 わ れ,新
し く通 信 事 業 法 が 制 定 さ れ 通 信 が 自 由化 され た 。 こ れ を契 機 と し
て 新 し く社 団 法 人 電 信 電 話 技 術 委 員 会(TTC)が ITU-T勧
設 立 さ れ, CCITT並
告 に準 拠 し て 国 内 の 電 気 通 信 の 接 続 に 関 す る標 準(TTC標
びに
準)を
作
成 す る こ と を 目的 と した 活 動 が 行 わ れ て い る 。 ISDNに
関 す る標 準 化 活 動 は基 本 的 枠 組 み 作 りか ら始 め られ,順
次 詳細 部分
の 規 定 作 り を進 め て きた 。 図6.4に Iシ リー ズ勧 告 の体 系 を示 し た 。 こ の 図 の 中 で はISDNの
大 き な特 徴 と な っ て い るユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェー ス(I.400シ
リー ズ)と 網 間 イ ン タ フ ェ ー ス(I.500シ
リ ー ズ)の 研 究 に 重 点 が 置 か れ た 。
ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス はユ ー ザ の 通 信 機 器 を ネ ッ トワ ー ク に直 接 接 続 す る イ ン タ フ ェ ー ス で あ るが,従
来 の標 準 化 の よ うに 個 々 のサ ー ビス ご と に規 定 す
る の で は な く,多 彩 なサ ー ビ ス を 同 一 な イ ン タ フ ェー ス で 提 供 す る た め,多
目
的 イ ン タ フ ェ ー ス と して の 機 能 と性 能 を具 備 しな け れ ば な らな い 。 こ の よ うに 重 要 な ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェー ス を 略 してUNIま で い る 。 網 間 イ ン タ フ ェ ー ス はISDNと
た は Iイ ン タ フ ェ ー ス と呼 ん
各 種 の既 存 網(電
た め の 回線 交 換 網 とパ ケ ッ ト交 換 網 な ど)や 他 のISDNと
図6.4
Iシ リー ズ 勧 告 の 体 系
話 網 や デ ー タ通 信 の の 間 で網 間接 続 を行
う上 で必 要 な こ とで あ る。 こ れ らの イ ン タ フ ェー ス は接 続 条 件 の 規 定 を 7レ イ ヤ か ら な るOSI階
層モデ
ル に で き る だ け準 拠 し記 述 す る こ と と した 。 Iシ リ ー ズ勧 告 で は 7レ イヤ の 中, ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェー ス ま た は 網 間 イ ン タ フ ェ ー ス を通 して 端 末 と端 末 の 間 で 通 信 路 を 設 定 す る た め に 必 要 な レ イ ヤ 1か ら レイ ヤ 3まで を規 定 して い る 。 端 末 間 で 情 報 通 信 サ ー ビ ス を 行 う た め に 必 要 な レイ ヤ4∼7に ISDN専
つ い て は,特
に
用 の プ ロ トコ ル で な くて も よ く,ま た ネ ッ トワ ー クが ア ナ ロ グ か デ ィ
ジ タ ル か と い う特 性 を問 わ な い の で Iシ リ ー ズ勧 告 と して は規 定 して い な い 。
6.2 ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス [1] イ ンタ フ ェ ー ス の 具 備 す べ き 条 件 ISDNの
基 本 的 な特 徴 は,ユ
ー ザ 間 で デ ィ ジ タ ル 1 リ ン クの 接 続 が で きて 各
種 の 広 範 な情 報 通信 サ ー ビス が で き る こ とで あ る 。 こ れ を 可 能 と しさ らに ユ ー ザ の 利 便 を 考 え る と,I イ ン タ フ ェ ー ス は 次 の 条 件 を 満 た して い る こ と が 望 ま しい。 ① 各 種 情 報 通 信 サ ー ビ ス の 自由 な選 択 電 話,フ タ通 信,各
ァク シ ミ リ,各 種 の デ ー
種 の 画 像 通 信 を 自由 に選 択 で き る こ とで あ り,そ の た め に は種 々の
伝 送 速 度 を系 列 的 に定 め,円
滑 に対 応 で き る よ うに して お く こ とが 望 ま しい 。
② 接 続 形 式 の 自由 な選 択 回 線 交 換,パ
ケ ッ ト交 換,固
定 接 続 な どの 接 続
形 式 を 自 由 に選 択 で きる よ う に して お か な け れ ば な ら な い 。 ③ 同 時 に複 数 の端 末 の 通 信 異 な る 情 報 メ デ ィ ア を組 み 合 わ せ て使 う よ う なマ ル チ メ デ ィ ア通 信 で は重 要 な こ とで あ り,そ の た め に は 1対 nの 宅 内 バ ス 配 線,多
重伝 送が必要で ある。
④ 端 末 機 器 の移 動 性 端 末 機 器 の小 型 軽 量 化 の 傾 向 と,通 信 の 途 中 で 他 室 に移 動 し作 業 を 継 続 す る場 合 な ど を想 定 し,ソ ケ ッ ト脱 着 に よ る移 動 と接 続 を 可 能 とす る こ とが 望 ま しい 。 以 上 の こ と を実 現 させ る た め のISDNの
ネ ッ トワ ー ク は 図6.5に 示 す よ う な
図6.5
ネ ッ トワ‐ ク の 機 能構 成
宅 内 系 と伝 達 系 の 機 能 か ら構 成 され る。 宅 内系 の装 置 は 端 末 機 器 と,ネ
ッ トワ
ー ク 末 端 の 装 置 で あ る こ と を 意 味 す る 網 終 端 装 置(NT:Network Termination)と 能 か ら な り,デ
か ら な る。 伝 達 系 の最 初 は デ ィ ジ タル 加 入 者 線 と振 り分 け機 ィジ タル 加 入 者 線 とは 伝 送 媒 体(ペ
ア線 また は光 フ ァ イバ)の
両側 にデ ィジ タ ル信 号 の 送 受 信 機 を具 備 した伝 送 路 の こ と を意 味 し,振 機 能 と は デ ィ ジ タ ル 交 換 機 にISDNの
り分 け
機 能 を付 加 した 交 換 機 の こ と を意 味 す
る。 次 の 伝 達 系 は以 下 に 示 す い くつ か の 網 機 能 か ら成 り立 って い る 。 ①64kbit/s回
線交換系
② 高 速 回線 交換 系 ③ パ ケ ッ ト交換 系 ④専用 線系 こ の ほ か に,こ れ らを 制 御 す る た め の 共 通 線 信 号 網 が 必 要 で,信 号 方 式 に は デ ィ ジ タ ル 電 話 ネ ッ トワー ク 用 に標 準 化 さ れ て い るNO.7共 ISDNの
[2]
通線信 号 方式 を
た め に 機 能 拡 張 した も の を導 入 して い る 。
Iイ ン タ フ ェ ー ス の 構 成
図6・6は Iイ ン タ フ ェ ー ス と し て 考 え ら れ る 宅 内 系 の 各 種 の 配 線 の 構 成 を 示 し た も の で あ る 。NT 1(網
終 端 装 置 1:Network
Termination
1)は 網 側 の
(a)1対 1配 線
(b)1対 nバ ス 配線
(c)1 対 nス タ ー 配 線
図6.6 宅 内系 配線
終 端 す な わ ち 加 入 者 伝 送 路 の 終 端 と して の 機 能(時 分 割 多 重,同 守 ・試 験,複
数 端 末 の 競 合 制 御 な ど)を
信 の と ころ で 述 べ たDSUが Termination 2)は
期,給
電,保
もつ 装 置 で あ り,具 体 的 に は デ ー タ通
これ に 該 当 す る。 NT 2(網
終端 装 置2:Network
レイ ヤ 2,3 に お け る プ ロ トコ ル処 理 と多 重 化 の 機 能 を も
ち,具 体 的 に は 企 業 な どの 大 口 ユ ー ザ が 使 うPBX(構 宅 内 制 御 装 置 が これ に 該 当 す る 。TE(端 種 々 の もの が あ る が,TEとNT
内 私 設 交 換 機), LAN,
末 機 器:Terminal
Equipment)は
1も し くはNT 2と の 間 の Iイ ン タ フ ェ ー ス に
お け る接 続 に は上 に 述 べ た ソ ケ ッ トに よ る接 続 が 使 わ れ て い る 。 図6.6(a)の 1対 1配 線 の 場 合 に は ソ ケ ッ トの 脱 着 に よ り端 末 機 器 を取 り替 え れ ば異 な っ た サ ー ビ ス が 受 け られ る。 図6.6(b)は
1対 nの バ ス 配 線 で あ る が,こ
の方式 で
は多 種 類 の 端 末 に よ り複 数 の 同 時 通 信 が で き る。 図6.6(c)はPBXか
ら各 内
線 に接 続 す る よ うな場 合 を示 して い る 。 Iイ ン タ フ ェ ー ス の標 準 化 は,ま
ず イ ン タ フ ェー ス の 規 定 点 を 明確 に して お
くこ とが 必 要 で,図6.7にCCITTで
定 め た 標 準 構 成(参
照 モ デ ル)を 示 す 。 図
中 の R,S, T の 各 点 は標 準 化 の対 象 とす る イ ン タ フ ェ ー ス 規 定 点 で あ る。 NT1は
網 側 の 終 端 装 置 で あ り,か つ 加 入 者 線 伝 送 路 の 終 端 装 置 で もあ る 。
そ してNT1の
左 側 は 宅 内 側 と な る 。 した が っ て, T点 はユ ー ザ と網 と の 境 界
線 に あ た り,最 NT2を
も重 要 な 標 準 の Iイ ン タ フ ェ ー ス 規 定 点 で あ る 。 前 に 述 べ た
使 う と き に はNT2と
端 末 機 器 の 間 に S点 の イ ン タ フ ェ ー ス が 必 要 に
な る 。 S点 に は T 点 と 同 一 のISDNプ な い場 合 が 多 く考 え られ る が,そ るの でS/T点
存在 し
の 場 合 に は T 点 と S点 とが 一 致 す る こ と に な
と ま とめ て 表 示 す る 。
端 末 機 器TEはISDN標 る。TE1は
ロ トコ ル が 適 用 され る 。 NT2が
標 準 端 末TE2と
に大別 され
Iイ ン タ フ ェ ー ス に 準 拠 した デ ィ ジ タ ル 電 話 やG4フ
ァク シ ミ リ
な どのISDNの が,TE2はISDNの
準 端 末TE1とISDN非
機 能 を もつ 端 末 で あ り T 点 で も S点 で もそ の ま ま接 続 で き る 機 能 を持 た な い既 存 の 端 末 で あ る の で, T点, S点 に接 続
す る と き に は ター ミナ ル ア ダ プ タTAで
図6.7ISDNユ
プ ロ トコル を変 換 す る必 要 が あ る 。 タ
ーザ ・網 イ ン タフ ェ ー ス の 標 準 構 成
ー ミナ ル ア ダ プ タ と既 存 端 末 機 器 の 間 の イ ン タ フ ェ ー ス を R点 と して 規 定 して お り,既 存 端 末 と して は ア ナ ロ グ 電 話 網 用 の端 末(V タル 網 用 の 端 末(X シ リー ズ 端 末)な
シ リ ー ズ 端 末),デ
ど種 々 の も の が あ る の で,そ
ィジ
れ ぞ れ に対
応 して Iイ ン タ フ ェ ー ス へ の プ ロ トコ ル変 換 を定 め て い る。
[3]
Iイ ン タ フ ェー ス の 種 類 と 構 造
ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス で は低 速 か ら高 速 に 至 る多 様 な デ ィジ タル 情 報 を 扱 うの で,イ
ン タ フ ェ ー ス の構 造 を考 え る と きに い くつ か の 形 に系 列 化 を 図 る
こ とが 重 要 で あ る。 そ の た め に チ ャ ネル タ イ プ と呼 ぶ デ ィジ タ ル信 号 の種 類 と 速 度 を 表6.1の よ う に 分 類 して お く。 チ ャ ネ ル タ イ プ は 換 言 す る と,デ
ィジ タ
ル 信 号 化 さ れ た情 報 を伝 送 す る と きに 必 要 な パ イ プ の太 さ の種 類 に 相 当 す る 。 チ ャ ネ ル タ イ プ は ユ ー ザ 情 報 を運 ぶ 情 報 信 号 チ ャ ネ ル と,ユ ー ザ とネ ッ トワ ー ク の間 の制御 の ため に必要 な制 御信 号 を運ぶ 制御信 号 チ ャネル とに大別 され る。 表6.1チ
ャ ネ ル タイ プ
情 報 信 号 チ ャ ネ ル は伝 送 速 度 の 面 か ら系 列 化 す る こ とが 適 切 で,電 話 1チ ャ ネ ル 分 に 相 当 す る64kbit/sの 伝 送 速 度 を持 つ Bチ ャ ネ ル を 基 本 チ ャ ネ ル と し, こ れ に高 速 デ ー タ通 信 や 画 像 通信 の サ ー ビス をサ ポ ー トす る た め に よ り高 速 の 伝 送 速 度 を持 つ Hチ ャ ネ ル が 規 定 され て い る 。 H チ ャ ネ ル は Bチ ャ ネ ル の 6倍 の 速 度 と な るH0と,デ
ィ ジ タル ハ イ ア ラ ー キ の 1次 群 速 度 に ほ ぼ相 当 す る 速
度 のH1と
の 2種 類 が あ る 。 デ ィ ジ タル ハ イ ア ラー キ の 1次 群 は 現 在,日
北 米 の1.5Mbit/s系 で,H1は
と欧 州 の2Mbit/s系
の 2種 類 の もの が 標 準 化 さ れ て い る の
こ れ に対 応 してH11とH12に 細 分 化 され て 2本 立 て と な っ て い る 。 H11
は 日本 と北 米 の 1次 群 伝 送 方 式(24チ が,実
本と
ャ ネ ル)(伝
送 情 報 量 は1.536Mbit/sだ
際 の線 路 上 の 伝 送 速 度 は これ に 同期 な どの 情 報 を加 え て1.544Mbit/sと
な っ て い る)(2.2節[2]参
照)に
対 応 し,H12は
欧 州 の 方 式(30チ
(伝送 情 報 量 は1.920Mbit/sだ
が,実
際 の伝 送 路 の 伝 送 速 度 は こ れ に 同 期 そ の
他 の 情 報 2 タイ ム ス ロ ッ ト16ビ ッ トを加 え て2.048Mbit/sと
ャ ネ ル)
な っ て い る)に 対
応 して い る。 これ ま で の 説 明 で わ か る よ うに,H チ ャ ネ ル は電 話 網 の デ ィ ジ タ ル化 が 進 み,現 在 数 多 く導 入 され て い る 1次 群 伝 送 シ ス テ ム を利 用 す る こ とを 考 え たチ ャ ネ ル タ イ プ で あ る 。 こ こで チ ャ ネ ル タ イ プ と して ア ル フ ァベ ッ トの Bが 取 り上 げ られ た 理 由 につ い て 触 れ て お く と,CCITTに で は分 類 上,一 時 期 A(ア ナ ロ グ音 声)と
おけ る過去 の研究
C(ア ナ ロ グ と デ ィジ タ ル との 混 合)
の タ イ プ が 取 り上 げ られ た経 緯 が あ る こ とに よ る も の で あ る。 Bチ ャ ネ ル は 以 下 に示 す よ う な通 信 モ ー ドへ の ア クセ ス に用 い ら れ る 。 ① 回線 交 換 ② パ ケ ッ ト交 換 ③専 用線 回 線 交 換 の場 合 に は端 末 間 で64kbit/sの か た よ らな い無 色 透 明 の 意 味)な 交 換 の 場 合 はCCITT勧
告X.25に
トラ ンス ペ ア レ ン ト(特 定 の 情 報 に
チ ャネ ル を設 定 す る こ とが で き る。 パ ケ ッ ト した が っ た パ ケ ッ ト情 報 を運 ぶ こ と が で き
る 。 ま た,B チ ャ ネ ル 内 で64kbit/s以 下 の信 号 を取 り扱 う こ と もで きる が,複 数 の 低 速 チ ャ ネ ル を 多 重 化 しそ れ ぞ れ 独 立 した形 で 異 な っ た 対 地 へ 接 続 す る な ど のサ ー ビス に つ い て は 今 後 の検 討 課 題 とな っ て い る 。H チ ャ ネ ル は Bチ ャ ネ ル よ り高 速 なユ ー ザ 通 信 チ ャ ネ ル と して,B チ ャ ネ ル と 同様 に 回線 交 換,パ ッ ト交 換,専
ケ
用 線 の 通 信 モ ー ドへ の ア ク セ ス に用 い られ る 。
制 御 信 号 チ ャ ネ ル は Dチ ャ ネ ル と呼 び,16kbit/sあ
る い は64kbit/sの 速 度 で
回線 交 換 用 の制 御 信 号 を 運 ぶ チ ャ ネ ル で あ る。 制 御 信 号 はパ ケ ッ ト形 式 で 運 ば
れ る の で,制 御 信 号 を運 ん で い な い と き に は ユ ー ザ の パ ケ ッ ト情 報 チ ャ ネ ル と して 使 用 す る こ とが で き る。 パ ケ ッ ト交 換 は 上 で述 べ た よ う に,B チ ャ ネ ル と D チ ャ ネ ル の 2種 あ り,共 に一 つ の 端 末 か ら複 数 の 異 な る 相 手 端 末 に多 くの 論 理 チ ャ ネ ル を設 定 す る こ と が で き る。 Bチ ャ ネ ル パ ケ ッ トと D チ ャ ネ ルパ ケ ッ トの大 き な違 い は,論 理 リ ン ク の多 重 化 方 法,伝
送 速 度,最
大 パ ケ ッ ト長 で あ る 。
ユ ー ザ が ネ ッ トワ ー ク に ア ク セ ス す る と き,サ
ー ビス 面 か らは ど う い う種 類
の チ ャ ネ ル を ど の よ う に 組 み 合 わ せ て 使 う か が 重 要 で な る 。 ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス は イ ン タ フ ェ ー ス 速 度 とア ク セ ス の た め の イ ン タ フ ェ ー ス構 造 の 面 か ら系 列 化 さ れ て い る 。 イ ン タ フ ェ ー ス の 種 類 と そ れ に 対 応 す る イ ン タ フ ェ ー ス 構 造 を ま と め て 表6.2に
示 す 。 イ ンタフ ェース の種 類 は基 本 イ ン タフ ェー ス
(ベ ー シ ッ ク イ ン タ フ ェ ー ス と も い う)と
1次 群 イ ン タ フ ェ ー ス の 2種 類 で あ
る。 表6.2ユ
()は
ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス の種 類 と構 造
欧 州 標 準 D16:D=16kbps,
D64:D=64kbps
基 本 イ ン タ フ ェ ー ス は 最 も 基 本 的 な サ ー ビ ス を 提 供 す る イ ン タ フ ェ ー ス で, そ の 構 造 は 二 つ の B チ ャ ネ ル と 一 つ の D チ ャ ネ ル(16kbps)か イ ン タ フ ェ ー ス の 構 造 は2B+D16(D16は16kbpsの
ら 成 り立 ち,
D チ ャ ネ ル の 意 味)と
表
現 され る 。 この 場 合 の 実 質 の 速 度 は144kbpsと 期,直
な る が,実 際 に は この ほ か に 同
流 平 衡, D チ ャ ネ ル ア クセ ス の 競 合 制御 な どの補 助 機 能 ビ ッ トを付 加 し
イ ン タ フ ェ ー ス 速 度 は192kbpsと らみ れ ば,二
つ の64kbpsの
な っ て い る 。 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス をユ ー ザ か
デ ィ ジ タル チ ャ ネ ル を独 立 して 自 由 に使 う こ とが
で き(D チ ャ ネ ル で の パ ケ ッ ト通 信 も可 能),例
え ば電 話 を使 い なが ら も う一
つ の Bチ ャ ネ ル で フ ァク シ ミリが 受 け られ る と い う よ う な使 い方 が で き る こ と に な る。 基 本 イ ンタ フェ ー ス に よ る ア ク セ ス をベ ー シ ッ クア ク セ ス と い う。 1次 群 イ ン タ フ ェ ー ス は前 に述 べ た よ うに 1次 群 を 利 用 す る もの で イ ン タ フ ェ ー ス 構 造 に よ っ て 4種 類 に細 分 化 さ れ る 。 1次 群 の イ ン タ フ ェ ー ス 速 度 は 伝 送 路 の伝 送 速 度 と 同 じで あ るが,前
に述 べ た よ う に 日米 と欧 州 の 1次 群 が 異 な
り標 準 が 2本 立 て とな っ て お り,こ こ で は欧 州 標 準 を括 弧 付 きの 表 示 で 記 した 。 Bチ ャネ ル イ ン タ フ ェ ー ス は23B+D64の ア ク セ ス で き,PBXを
構 造 を持 ちDチ ャ ネルを使 って多 重
持 つ 大 口 ユ ー ザ に適 用 さ れ る 。 H0チ
ャ ネ ル とH1チ
ャ
ネ ル の イ ン タ フ ェ ー ス は 高 速 ア ク セ ス の た め の イ ン タ フ ェー ス で 1次 群 の イ ン タ フ ェ ー ス 速 度 に合 わ せ た構 造 を持 っ て い る 。 こ こでH0チ ー ス の4H
0の 構 造 とH1チ
ャネル イ ンタ フェ
ャ ネ ル イ ン タ フ ェ ー ス のH11の 構 造 の 場 合 に は D チ
ャ ネ ル を収 容 す る余 裕 が な い の で,こ の と きに は並 行 す る 別 の イ ン タ フ ェ ー ス の D チ ャ ネ ル を使 う こ と に な る。 混 合 イ ン タ フ ェ ー ス は Bチ ャ ネ ル と H チ ャ ネ ル の 組 み 合 わ せ で あ り柔 軟 な使 い方 が 可 能 とな る。 現 在 行 わ れ て い るISDNの
サ ー ビス は,こ
れ ま で に述 べ て きた Iイ ン タ フ ェ
ー ス で ,す な わ ち基 本 イ ン タ フ ェ ー ス と 1次 群 イ ン タ フェ ー ス で あ る 。 こ れ ら の サ ー ビ ス は 先 進 各 国 で1988年
か ら提 供 され て い る 。ISDNで
扱 う情 報 通 信 サ
ー ビス は速 度 制 限 を設 け ず ,今 後 の発 展 を考 え れ ば電 話 音声 と低 速 デ ー タ通 信 ば か りで な くテ レビ 画像,高
精 細 画像 な ど の 画 像 関 係 情 報 と超 高 速 デ ー タ通 信
関係 情 報 へ の 対 応 を研 究 して お く必 要 が あ る 。この こ と か ら現 在 は,よ り高 速, 広 帯 域 な情 報 信 号 を伝 達 す る 第 二 期 のISDN(B-ISDNと 協 力 の も とITU-Tの
場 で 進 め られ て い る。
呼 ぶ)の
研究 が 国際
6.3
のプ ロ トロル
ISDN
ISDNの
プ ロ トロル はユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス の プ ロ トコ ル と網 の 中 の プ
ロ トコ ル と に 大 別 され る。 電 話 ネ ッ トワ ー ク に例 え れ ば ,前 者 は 加 入 者 線 信 号 方 式 に相 当 し,後 者 は 局 間 信 号 方 式 に相 当 す る(3.4参 ロ トコル はISDN交
照)。ISDNの
網 内の プ
換 機 間 の 局 間 信 号 方 式 を規 定 して い るが ,そ の 内 容 は 回 線
交 換 の 場 合 に は デ ィ ジ タル 電 話 網 で す で に 導 入 され て い るNo .7共 通 線 信 号 方 式 をベ ー ス にISDNの
機 能 を追 加 した 形 で 制 御 し,パ ケ ッ ト交 換 の場 合 はす で
に パ ケ ッ ト交 換 網 と し て規 定 され て い るX .25,X.75の
プ ロ トコ ル に した が っ
て 制 御 す る。 こ こ で は,網 内 の プ ロ トコ ル の これ 以 上 の 説 明 は 専 門 的 に な る の で省 略 し,ユ ー ザ に と っ て 重 要 な ユ ーザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス(I イ ン タ フ ェー ス)の プ ロ トコル に つ い て 以 下 に述 べ る 。 Iイ ン タ フ ェ ー ス の 具 体 的 な 規 定 はOSIの 1(物
理 レ イ ヤ),レ
イ ヤ 2(デ
7 レ イ ヤ モ デ ル に準 拠 し,レ イ ヤ
ー タ リ ン ク レ イ ヤ) ,レ
イ ヤ 3(ネ
ッ トワ ー ク
レ イ ヤ)に 関 す る プ ロ トコ ル が 規 定 され て い る 。以 下 に こ れ ら を 詳 し く述 べ る 。
[1]
Iイ ン タ フ ェー ス の レイ ヤ 1
レ イ ヤ 1は端 末 をNTに 配 線 の構 成,コ
接 続 す る と き の 電 気 的 物 理 的 条 件 を 定 め た もの で,
ネ ク タ,給 電 方 法,フ
レー ム構 成,伝
送 符 号 形 式,フ
レー ム 同
期,D チ ャ ネ ル ア ク セ ス の 競 合 制 御 な どが あ る 。 レイ ヤ 1に は 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス の もの と 1次 群 イ ン タ フ ェー ス の もの との 2種 類 あ る
。 この 中 で 1次 群 イ
ン タ フ ェ ー ス の レイ ヤ 1は,過 去 に規 定 さ れ て い る 1次 群 伝 送 方 式 の勧 告(G. 703)を
踏 襲 しわ ず か の 項 目 (例 え ば伝 送 符 号 に入 力 の 情 報 信 号 に何 の 制 約 も
課 さ な いB8ZS符
号 の 使 用)を
追 加 した程 度 とな っ て い る の で ,こ
こでは説
明 を省 略 す る。 そ れ に 比べ 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス の レ イヤ 1は 全 く新 しい規 定 で あ り,ISDNの て説明す る。
特 徴 を 豊 富 に もつ 内容 と な っ て い る の で,こ
こ で は こ れ につ い
(a) 基 本 イ ン タ フ ェー ス の 宅 内配 線 構 成 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス は一 般 家 庭 や オ フ ィス な どで多 様 に使 わ れ る こ とが 想 定 さ れ る 。 そ の た め,複
数 の 端 末 を簡 易 に 接 続 す る こ とが で き る よ う に,図6.8
に示 す バ ス 状 配 線 に ソ ケ ッ トを 配 置 した バ ス 方 式 が 標 準 的 で あ る。NTの 者 線 側 は 電 話 網 と同 じ 2線 で あ り,T 点 か らの 端 末 側 はTE→NT方 →TE方
向 が そ れ ぞ れ 一 対 で 合 計 4線 とな っ て い る 。 そ して,そ
上 を2B+Dの
加入
向 とNT れぞ れの対 の
信 号 が 流 れ て い る。 こ の 4線 部 分 は バ ス 状 配 線 と な っ て 任 意 の
場 所 で コネ ク タ を介 して最 大 8台 の 範 囲 で 端 末 機 器 と接 続 され る。 つ ま り,電 力 線 に お け る コ ンセ ン トと同 じ形 態 で あ る。 配 線 の 長 さ は ケ ー ブ ル の 種 類 に よ っ て 異 な る が 最 大 で100m∼200mの 構 成 と して は 図6.6の(a),(c)が
範 囲 で あ る。 この ほ か に 考 え ら れ る 配 線 あ り,1 対 1配 線 はNTに
1台 だ け の 場 合 で 最 大 配線 長 は1000mで 所 な どでNTか で,NTか
接 続 す る端 末 が
あ り,1 対 nス タ ー 配 線 は大 き な事 務
ら離 れ た 場 所 に 端 末 を ま と め て設 置 す る と き な ど に 向 くや り方
らの 最 大 配 線 長 は500mで
端 末 は20∼50mの
配線 長 の 範 囲 に 設 置 す
る。 コネ ク タ は端 末 機 器 を 宅 内 配線 に 接 続 す る もの で プ ラ ッ グ と ジ ャ ッ ク か ら 構 成 され,8
ピ ンか ら成 っ て い る 。
図6.8 宅 内 配線 の構 成
次 に端 末 機 器 へ の 給 電 で あ る が,従
来 は 電 話 機 は局 の48Vの
デ ー タ端 末 な ど は 商用 電 源 を使 用 して い た 。 わ が 国 のISDNで 停 電 の こ と も考 え て電 話 機 だ け は 局 か らNTを
電 池 で 給 電 し, は 従 来 と同 様 に
介 し給 電 して い る 。 電 話 機 以 外
の 端 末 機 器 へ の給 電 の 一 般 的 方 法 は,電 力 を宅 内 で 商 用 電 源 か ら受 電 し給 電 に 使 う線 に信 号 伝 送 の 二 対 を用 い,重 信 回 線 構 成 で 給 電 を行 っ て い る(図6.9)。
図6.9 給 電 方 法
(b)
フ レ ー ム 構 成,伝
送 符 号,フ
レー ム 同期
基 本 イ ン タ フ ェ ー ス で は バ ス 上 を 流 れ る 信 号 の フ レ ー ム 構 成 は 図6.10の
よ う
に な っ て い る 。 図 に 示 す よ う に,一 つ の フ レ ー ム は 8 ビ ッ トの B チ ャ ネ ル(B1, B2)と 計48ビ
1 ビ ッ トの D チ ャ ネ ル の ほ か 多 数 の 補 助 機 能 ビ ッ ト(各 ッ トか ら な り,250μsの
1 ビ ッ ト)の
周 期 で 繰 り返 さ れ 伝 送 速 度 は192kbpsと
こ の フ レ ー ム の 中 の 補 助 機 能 ビ ッ トに は,フ
な る。
レー ム の 区切 り を示 す フ レ ー ミン
図6.10 基 本 イ ン タ フ ェー ス の フ レ ー ム構 成
グ ビ ッ ト(F),直 NT→TE方
流 成 分 を 除去 す る た め の 直 流 平 衡 ビ ッ ト(L)な
向 の 場 合 に含 ま れ て い る エ コ ー ビ ッ ト(E)は
どが あ り,
後 で述べ るDチ ャ
ネ ル ア ク セ ス の と きの競 合 制 御 に使 う ビ ッ トで あ る。 信 号 を伝 送 す る と きの 符 号 の形 式 は,① 一 般 の 伝 送 系 は直 流 を伝 送 で き な い の で 直 流 成 分 の 無 い 送信 信 号 波 形 に してや ら な け れ ば な ら ない 。 つ ま り,正 負 の 直 流 平 衡 を と っ た符 号 構 成 が必 要,②
ビ ッ ト同 期 の た め の タ イ ミ ン グ情 報 が
豊 富 な こ と,③ 所 要 伝 送 周 波 数帯 域 が で きる だ け狭 い こ と な どの条 件 を満 足 す る よ う に 決 め な け れ ば な ら な い 。 以 上 の こ と か ら伝 送 符 号 の 形 式 と して は duty factor100%のAMI符 も呼 ば れ,す
号 を選 定 して い る。 AMI符
で に2.2節 で 述 べ た よ う に 伝 送 で は広 く使 用 され て い る符 号 で あ
る。 た だ し,こ
こで 使 う場 合 に は “1” をパ ル ス な し と し “0” を正 極 性 の パ
ル ス か 負 極 性 の パ ル ス に対 応 させ,2.2節
と逆 の 使 い方 を して い る。
フ レー ム 同期 の た め の フ レー ミ ン グ ビ ッ ト(F)は AMIの
号 はバ イ ポ ー ラ 符 号 と
フ レー ム の 先 頭 に あ り,
符 号 構 成 の規 則 性 を破 る(隣 接 “0” に 同 一 極 性 パ ル ス を使 用)バ
イポ
ー ラバ イ オ レ ー シ ョ ンの 方 法 に よ って 識 別 して い る。 (c) D チ ャ ネ ル 競 合 制 御 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス で はバ ス 状 配 線 で2B+Dの
チ ャネ ルが 多 重 され,こ
を最 大 8端 末 で 共 同 利 用 す る こ と に な る。 下 り方 向(NT→TE)で
はNTが
導 権 を 持 っ て お り複 数 の 端 末 と の 通 信 が 競 合 す る こ と は な い が,上 (TE→NT)で
れ 主
り方 向
は 競 合 が 起 こ る。 す な わ ち,制 御 信 号 の た め の チ ャ ネ ル で あ る
Dチ ャ ネ ル は バ ス 上 の複 数 の 端 末 で 共 用 して い る の で,複
数の端末 が同時 に D
チ ャ ネ ル を使 お う とす る と衝 突 が 起 こ る。 この よ うに チ ャ ネ ル に ア クセ スす る と きに 競 合 が 生 ず る こ とは バ ス状 の 形 態 を と るLANで
は通常起 こる ことであ
る。 こ の ア ク セ ス競 合 が 生 じた と き に,一 つ の 端 末 の 信 号 だ けが 送 出 で きる よ う に定 め た の が Dチ ャネ ル 競 合 制 御 方 式 で あ る。 こ の方 式 で は各 端 末 か ら送 られ て くる 上 り方 向 の D チ ャ ネ ル の情 報 を,NT1 で 加 入 者 線 側 に 送 出 す る と同 時 に 下 り方 向 の フ レー ム に設 け た エ コー チ ャ ネ ル (E)を 使 っ て ビ ッ トご とに 端 末 に 送 り返 して い る 。 D チ ャ ネ ル に ア ク セ ス し
て い る各 端 末 は こ の Eチ ャ ネ ル を 監 視 し,自 己 の 端 末 が 送 っ た ビ ッ トパ タ ー ン と比 較 し,異 な れ ば 競 合 が あ っ た と判 断 す る。 そ の状 況 を 図6.11に 示 す 。 図 で は 各 端 末 で Dチ ャ ネ ル に 送 っ て い る ビ ッ トパ タ ー ン とNTか
ら エ コー チ ャ ネ ル
を使 っ て送 られ て きた ビ ッ トパ ター ンを比 較 照 合 す る た め 一 緒 に 図 示 した 。 な お 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス で は す べ て の 端 末 か ら送 出 す る Dチ ャ ネ ル の “0” に対 して は負 極 性 パ ル ス を送 出 して い る。 そ の 理 由 は複 数 の 端 末 が 同 時 に “0” を 送 出 した と きの み “0” がNTで
受 信 で きる よ うに す る た め で あ る。 図 で ×印
は 比 較 照 合 した 結 果,不 一 致 を検 出 し以 後 の 送 出 を停 止 した こ と を示 し て お り, 図 の 端 末 3が競 合 に勝 っ た こ と を示 す 。 この よ う に異 な る 端 末 が 同 時 に 同 じビ ッ トパ タ ー ン を D チ ャ ネ ル に 送 出 し続 け る こ とが な け れ ば,最
終 的 に一 つ の
端 末 が 生 き残 り,そ の ま ま信 号 の 送 信 を続 け る こ と とな る 。 一 方,競 合 を検 出
図6.11 Dチ ャ ネ ル競 合 制 御
した端 末 は D チ ャ ネ ルへ の 送 信 を停 止 し,E チ ャ ネ ル を 監 視 し D チ ャ ネ ル の 空 きを待 っ て 再 送 す る こ とに な る。 以 上 に述 べ た こ とか らわ か る よ う に,こ の 方 式 は競 合 中 で も送 っ た 情 報 が そ の ま ま有 効 とな り,競 合 制 御 に よ る 遅 延 が 生 じ な い長 所 を有 す る 。 D チ ャネ ルが 空 い て い る か ど うか は,以 下 の よ う にす る こ とで わ か る。 ①
バス上 では “ 0” をパ ル ス あ りに対 応 させ,“ 1” を パ ル ス な しに対 応 さ
せ る 。 したが っ て “0” と “1” が衝 突 した と きに は 必 ず “ 0” が 残 る 。 ②
各 端 末 が D チ ャ ネ ル に 送 出 す る情 報 を持 た な い と き は,常
に “1”(パ
ル ス な し)を 上 り方 向 の D チ ャ ネ ル に 送 出 す る。 ③
あ る端 末 が 情 報 を送 出 して い る と き は,D チ ャ ネ ル の レ イ ヤ 2の プ ロ ト
コ ル は フ レー ム の 最 初 が01111110の
フ ラ ッグパ ター ンで 開始 す る の で
“1” の 連 続 は最 大 6ビ ッ トと な る。 し た が っ て “1” が 7 ビ ッ ト以 上 連 続 す る と き は D チ ャ ネ ル が 空 き で あ る と判 定 で き る。
[2] Iイ ン タ フ ェー ス の レイ ヤ 2,レ イ ヤ 3 レ イヤ 2の機 能 は端 末 と網 の 間 で 上 位 レイ ヤ の 情 報 を効 率 よ く,高 品 質 で 転 送 す る機 能 で あ る 。 Iイ ン タ フ ェー ス で は ネ ッ トワ ー ク と端 末 の 間 に 設 定 さ れ る レ イヤ 2の接 続 関 係 を リ ンク と呼 ぶ 。 レ イヤ 1の 規 定 範 囲 は 図6.7に 示 した I イ ン タ フ ェ ー ス の 標 準 構 成 に お け る 端 末 と網 終 端 装 置NTの イ ヤ 2の リ ン ク はNTが
間 で あ っ た が,レ
レイ ヤ 1の 機 能 しか 持 っ て い な い の で 端 末 か ら網 内 の
交 換 機 の 範 囲 とな る 。 レ イ ヤ 2で は Dチ ャ ネ ル 上 の 論 理 的 な リ ン ク の 上 で レ イ ヤ 3の 情 報 あ るい は レイ ヤ 2の 制 御 情 報 を転 送 し,転 送 に あ た っ て は順 序 制 御,誤
り制 御,フ
ロ ー 制 御 な ど を 行 う。 レ イ ヤ 2は Dチ ャ ネ ル 上 の リ ン ク ア
クセ ス プ ロ トコル(LAP:Link ば れ て い る。LAPDは
Access Protocol)で
あ る こ と か らLAPDと
上 記 の 機 能 を効 率 よ く実 現 す る た め に,パ
呼
ケ ッ ト網 の ユ
ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス の勧 告X .25で 用 い られ て い る信 頼 性 が 高 く高 速 伝 送 が 可 能 な伝 送 制 御 手 順 で あ るHDLCの
平 衡 モ ー ド(LAPB:Link
Access
Procedure-Balanced)を たLAPDの
基 本 にISDN特
有 の機 能 を 追 加 した もの で あ る。 ま
機 能 は ほ とん どが 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス と 1次 群 イ ン タ フ ェ ー ス に
共 通 に 適 用 され る。 LAPDがLAPBと
大 き く異 な っ て い る の は, LAPBが
つ の 論 理 リ ン ク しか 設 定 で きな い の に対 して,LAPDで の論 理 リ ン クが 設 定 さ れ,各
(a)従
一つの物理 回線上 に一 は D チ ャ ネル 上 に複 数
リ ン クで の 情 報 転 送 を独 立 に行 え る よ う に な っ て
来 のLAPB(1:1接
続 、 1リ ン ク)
(b)LAPD(1:1接
続 、 複 数 リ ン ク)
(c)LAPD(1:n接
続 、 複 数 リ ン ク)
図6.12 多 重LAP
い る こ とで あ る 。 こ の こ と を多 重LAPと
い い, LAPDの
大 き な特 徴 と な っ て
い る 。 こ の こ とか ら一 つ の D チ ャ ネ ル 上 で 呼 制 御 信 号 や ユ ー ザ の パ ケ ッ トデ ー タの 転 送 が 可 能 とな り,ま たバ ス 上 に接 続 され た複 数 の 端 末 と網 との 間 で 情 報 の転 送 が 可 能 と な る 。 そ の 模 様 を図6.12に 示 す 。 も う一 つ の特 徴 はバ ス 型 イ ン タ フ ェー ス の特 徴 を生 か し た放 送 型 リ ンク の 導 入 が あ る 。 従 来 のLAPBで
は 1対 1で あ る の に 対 し,マ
ル チ ポ イ ン ト接 続 が
で きる の で 同 一 情 報 を 同 時 に転 送 す る こ と が容 易 に で き る。 多 重LAP方
式 で 必 要 と な る 複 数 の 論 理 リ ン クの 識 別 に は,従 来 か らHDLC
にお け る情 報 の 送 受 信 で 用 い て い た ア ド レス フ ィー ル ドの 機 能 を拡 張 して対 応 して い る。 す な わ ち,現 在 のX.25LAPBのHDLCに
お け る ア ドレス フ ィー
ル ドは 1オ ク テ ッ ト(8 ビ ッ ト)で 構 成 さ れ て い るが,LAPDで
は上位 レイヤ
に提 供 す る情 報 転 送 の種 別 へ の対 応 と,複 数 端 末 の 中 の 一 つ の識 別 の た め に ア ド レ ス フ ィ ー ル ドを 2オ ク テ ッ ト(16ビ LAPDはLAPBの
ッ ト)に 拡 張 して 対 応 し て い る 。
フ レー ム構 成 と比 較 す る と大 きな 違 い は ア ドレス フ ィ ー ル ド
で あ り,こ れ を 除 け ば そ の 他 は ほ とん ど同 じで あ る(厳 密 に は フ ィー ル ドの 長 さ が 同 じ で,制 LAPBの
御 フ ィ ー ル ドの 内 容 に は 若 干 の 違 い が あ る)。 図6.13に
フ レー ム 構 成 とLAPDの
ア ドレス フ ィ ー ル ドの 内 容 を示 す 。 図 に示 し
た よ う に ア ド レス フ ィー ル ドは,サ ー ビ ス ア ク セ ス ポ イ ン ト識 別 子(SAPI: Service Access Point Identifier)と
図6.13LAPDの
は
端 末 終 端 点 識 別 子(TEI:Terminal
ア ド レス フ ィー ル ド
Endpoint Identifier)と 呼 ば れ て い る 2種 類 の サ ブ フ ィ ー ル ドに大 別 さ れ る 。 SAPIは
レ イ ヤ 3に提 供 す る サ ー ビ ス の 種 別 と し て交 換 機 が 処 理 に使 う呼 制
御 信 号 か,D チ ャ ネ ル を利 用 す る ユ ー ザ の パ ケ ッ ト情 報 か,あ 情 報 か を識 別 す る もの で あ り(具 体 的 に はSAPIの 16が パ ケ ッ ト通 信,63が EAは
るい は 網 管 理 の
値 の 割 当 は,0 が 呼 制 御,
管 理 の 各 手 順 と な っ て い る),6
ビ ッ トか ら な る 。
ア ド レス フ ィ ー ル ドを 1オ ク テ ッ ト以 上 に拡 張 す る た め, HDLCの
で規 定 さ れ て い る も の でEA=0は
次 の オ ク テ ッ トが ア ドレス フ ィ ー ル ドと し
て続 くこ と を意 味 し,EA=1は し た が っ て,LAPDで EA=1と
手順
そ の オ クテ ッ トが 最 終 で あ る こ と を 意 味 す る 。
は 最 初 の オ ク テ ッ トがEA=0,次
な って い る 。 C/Rは
の オ ク テ ッ トが
コマ ン ドか レ ス ポ ンス か を識 別 す る た め の 表 示
ビ ッ トで,具 体 的 に は 端 末 が コ マ ン ドを送 る と き に は “0” に レス ポ ンス を 送 る と き に は “1” と し,逆 に網 が コマ ン ドや レス ポ ンス を送 る と き は この 逆 の 設 定 を行 う。 TEIは 複 数 の 各 端 末 を 識 別 す る た め の もの で,7
ビ ッ トか らな り128の 端 末
が 識 別 で き る。 複 数 の 端 末 を 放 送 リ ン ク と し て使 う場 合 に は,す べ て の 端 末 が 受 信 の 対 応 とな りTEIの て お り,残 SAPIとTEIを
りのTEI値
ビ ッ トパ ター ンは “1111111”(127)が を1:1の
割 り当 て られ
場 合 の 各 端 末 に 割 り当 て る 。 以 上 に述 べ た
合 わせ て デ ー タ リン ク コ ネ ク シ ョ ン識 別 子(DLCI:Data
Link
Connection Identifier) と い う。 レ イ ヤ 1や レイ ヤ 2が ユ ー ザ 情 報 や 制 御 情 報 の 転 送 手 段 で あ っ た の に対 し て,レ
イ ヤ 3はISDNに
お け る 端 末 と ネ ッ トワー ク の 間 の 呼 制 御 信 号 す な わ ち
加 入 者 線 信 号 方 式 を規 定 し た もの で,通 信 相 手 の 選 択 信 号,呼
出信 号,応
号 な どの種 々 の信 号 を デ ィ ジ タ ル信 号 と して 定 め て い る。ISDNで
答信
は従 来個別
の 通 信 網 で提 供 さ れ て きた 回線 交 換 サ ー ビス とパ ケ ッ ト交 換 サ ー ビ ス を一 つ の イ ン タフ ェ ー ス で 提 供 す る こ とか ら,回 線 交 換 の 呼 制 御 もパ ケ ッ ト交 換 の 呼 制 御 も統 一 した プ ロ トコル で 実 現 で きる よ う に な っ て い る 。 レイ ヤ 3は 具 体 的 に はLAPDの
情 報 フ ィー ル ド(I)の内 容 と して 表 現 され る 。 す な わ ち,レ
の 信 号 は す べ て,呼
番 号,メ
イヤ 3
ッ セ ー ジ種 別 な どか らな る共 通 部 と,情 報 要 素 群
か らな る個 別 部 か ら構 成 さ れ て い る 。
6.4 加入 者線伝 送方式 ISDNに
お け る加 入 者 系 の信 号 伝 送 は網 終 端 装 置(NT)と
局 のISDN交
換機
の 間 が そ の 対 象 とな る。 こ こで は加 入 者 線 伝 送 方 式 につ い て述 べ る。 前 に述 べ た よ うに 現 在 は 電 話 網 の デ ィジ タ ル化 が 完 成 して い る 状 況 に あ る。 こ の こ と は 中継 系 が 4線 の デ ィ ジ タ ル伝 送 系 とデ ィ ジ タ ル交 換 機 か ら成 り立 っ て い る こ と を 意 味 す る が,加 ISDNを
入 者 系 は 未 だ 2線 式 と な っ て お り こ の こ と が
構 築 す る と きの 大 きな 障 害 と な る 。 加 入 者 線 の 新 た な 4線 化 は,電 話
網 が す で に膨 大 な ネ ッ トワ ー ク に な っ て い る 現 在 で は 非 常 に 困 難 な 問 題 で あ る。 そ の た め光 フ ァ イバ が 導 入 され る まで の 間,既 存 の 2線 の 加 入 者 線 をそ の ま ま活 用 し,2 線 を実 質 的 に 4線 と して 独 立 に双 方 向 伝 送 で きる伝 送 技 術 の研 究 が 各 国 で 推 進 され た 。 研 究 結 果,2 線 双 方 向伝 送 の 特 徴 を持 つ デ ィ ジ タル 加 入 者 線 伝 送 方 式 が新 し く実 用 化 され た 。 この 方式 には 以 下 に述 べ る時 分 割 方 向 制 御 伝 送 方 式 とエ コ ー キ ャ ン セ ラ方 式 が あ り,わ が 国 で は前 者 の 方 式 が使 わ れ て い る 。 なお,こ
の 加 入 者 線 伝 送 方 式 は 各 国 で様 々 の 線種 の ケ ー ブ ル が 使 用 さ
れ て い る な どの 国 内 事 情 が あ り,国 際標 準 の 対 象 とせ ず 任 意 に 決 め て よい こ と に な っ て い る。
[1] 時分 割 方 向 制 御 伝 送 方 式 こ の 方 式 は 図6.14に 示 す よ う に,ま ず 連 続 して い る情 報 の 2値 信 号 の パ ル ス 列 を約 2倍 の 速 度 の バ ー ス ト状 パ ル ス列(パ
ル ス列 の か た ま り)に 時 間圧 縮 変
換 して相 手 側 に送 出 し,受 信 側 で は受 信 後 の 約 半 分 の 空 き時 間 を利 用 して 反 対 方 向 に 前 に述 べ た もの と 同様 の バ ー ス ト状 パ ル ス列 を 送 出 す る方 式 で あ る 。 図 で メ モ リ とバ ー ス ト同 期 か らな る 回 路 は,送 信 の 際 の 連 続 し た信 号 パ ル ス 列 を バ ー ス ト状 に約1/2に 圧 縮 変 換 す る機 能 と受 信 の 際 の バ ー ス ト状 パ ル ス 列 を元 の 連 続 した 信 号 パ ル ス 列 に伸 張 変 換 す る機 能 を実 現 す る た め の 回路 で あ る 。 こ
図6.14
時分 割 方 向 制 御 伝 送 方 式
の 方 式 は加 入 者 側 と局側 との 間 の 一対 の 加 入 者 線 を使 っ て 両 側 か らの 送 受 信 を 交 互 に時 分 割 的 に切 り替 えて 行 うが,こ れ は 時 間 圧 縮 と時 分 割 とを使 っ て い る の でTCM(Time
Compression Multiplexing)方
式 と も呼 ば れ た り,ま た あ た
か も ピ ン ポ ンの ラ リー に 似 て い る こ とか ら ピ ン ポ ン伝 送 と も俗 称 され て い る。 この 方 式 は 元 の 信 号 速 度 の 2倍 強(送 信 と受 信 の バ ー ス トの 間 に多 少 の ガ ー ドタ イ ム を設 け る)に 変 換 して送 信 す る こ と に な る の で,基 の場 合 の 線 路 上 の伝 送 速 度 は2B+Dの144kbit/sの
本 イ ン タ フ ェー ス
2倍 強 の320kbit/sに 定 め
て い る。 速 度 が 上 が る こ とは 好 ま しい こ とで は な い が,局
と全 加 入 者 の 間 の 信
号 の 送 受 信 を 同 一 の タイ ミン グで 行 う よ う制 御 す れ ば,安 価 で 漏 話 の大 きい 低 品 質 な 加 入 者 ケ ー ブ ル 内 の 心 線 間漏 話 障 害(特
に影 響 の 大 きい 近 端 漏 話)を
避
け る こ とが で き,良 好 な信 号 対 雑 音 比 が確 保 で きる 利 点 が あ る 。
[2] エ コー キ ャ ンセ ラ方 式 こ の 方 式 はハ イ ブ リ ッ ド回 路 を使 っ た 2線 伝 送 と 4線 伝 送 の 間 の 相 互 変 換 技 術(3.3節,図3.6∼3.8参
照)を
利 用 す る も の で 図6.15に そ の構 成 を示 す 。 ハ
イ ブ リ ッ ド回路 の 平 衡 条 件 を十 分 満 足 させ る こ とが で き な い と図 の 点 線 の よ う に信 号 の 回 り込 み に よ る エ コー 妨 害 が 起 こ る。 従 来 の ア ナ ロ グ 電 話 網 で 使 わ れ て い るハ イ ブ リ ッ ド回路 に よ る 2線 − 4線 変換 で は狭 い 音 声 周 波 数 の 範 囲 な の
図6.15
エ コー キ ャ ン セ ラ 方 式
で 平 衡 条 件 の 確 保 は そ う 困 難 で は な い が,ISDNで
は所 要 周 波 数 帯 域 が 広 くな
る た め 平 衡 条 件 の 確 保 は 厳 し くな り一 般 に は エ コ ー キ ャ ン セ ラ が 必 要 と な る 。 この こ と か ら本 方 式 をエ コ ー キ ャ ン セ ラ方 式 と呼 ん で い る。 エ コ ー キ ャ ン セ ラ は信 号 が す べ て 2値 の 規 格 化 され た デ ィ ジ タ ル 信 号 で あ り,ハ イ ブ リ ッ ド回 路 に お け る 廻 り込 み の エ コー 妨 害 波 を原 信 号 か ら予 測 し, 妨 害 波 を打 ち 消 す よ う な信 号 を発 生 させ,受 除 去 す る もの で あ る 。ISDNで 広 く な る の で,ハ
信 波 に重 ね て エ コー 妨 害 波 の み を
は 通 常 ハ イ ブ リ ッ ド回路 の 周 波 数 帯 域 が か な り
イ ブ リ ッ ド回 路 に入 力 す る 前 に予 め 2値 信 号 を何 らか の 多 値
符 号 に変 換 して 所 要 帯 域 を減 少 させ て平 衡 条 件 を あ る 程 度 確 保 す る た め の 努 力 を行 って い る の が 普 通 の や り方 と な っ て い る 。
6.5 網間接 続 ISDNと
他 の 網 との 間 の 相 互 接 続 の な か で 重 要 な の もの は,今 後 と も並 存 す
る既 存 網 で あ る 。既 存 網 に は 電 話 網 とデ ー タ通 信 網(回 線 交 換,パ ケ ッ ト交換) が あ るが,こ ISDNは
こで は規 模 の大 きい 電 話 網 との 網 間 相 互 接 続 につ い て 述 べ る。
デ ィ ジ タル 電 話 網 を ベ ー ス と し て構 築 さ れ る の で,異 種 網 間 の 相 互
接 続 とい う よ り もむ しろ 同 じ網 の 中 の機 能 の 異 な る 2種 の 部 分 が 混 在 して い る よ う に扱 わ れ る 。 ま た現 在 の 電 話 網 利 用 者 がISDN利 は そ の 一 部 で あ り,ISDNと
用者 に移行 す るのは当面
電 話 網 は密 接 な 関係 を保 ち つ つ 永 く共 存 す る もの
と考 え られ る 。 図6.16に この 二 つ の ネ ッ トワ ー ク の 相 互 接 続 を示 す 。
図6.16ISDNと
音 声 通 信 の 場 合 に はISDNで
電 話 網 と の 間 の相 互接 続
も電 話 網 で もそ の 内 部 の 伝 達 系 は64kbpsの
同
じデ ィ ジ タル伝 送 系 で あ り,ど の 経 路 を と る こ と も 自由 で 制 限 は な い。 す な わ ち,ISDNに
収 容 さ れ て い る 端 末 と電 話 網 の 端 末 の 間 で は 自 由 に音 声 通 信 が で
き る。 また,ISDNに
収 容 され て い る 二 つ の 端 末 の 間 で 音 声 通 信 を行 う場 合 に
中継 の パ ス と して 電 話 網 を使 用 す る こ と もで き る。 次 に 非 音 声 通 信 の場 合(例
え ば64kbps非
え る と,既 存 の 電 話 網 は64kbpsの い の で 伝 送 はISDNの
制 限 デ ィ ジ タル 伝 送)に
つ いて考
非 制 限 デ ィ ジ タル 伝 送 の 能 力 を持 っ て い な
中 だ け に 限 られ,電
この よ う に音 声 通 信 に 関 して はISDNと
話網へ の網間接続 はで きない。 電 話 網 の 間 で 自 由 に 網 間接 続 が で き
る が,そ の 他 の場 合 に は網 間 接 続 は で き な い 。
6.6
ISDNの
[1]
ISDNに
ISDNの
利用 サー ビス
お い て は多 種 多 様 な通 信 サ ー ビ ス を一 つ の ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー
ス を通 して 提 供 し て い る 。 こ こ で はISDNで
提 供 す るサ ー ビス の 分 類 方 法 と具
体的 な個 々 の サ ー ビス 内 容 に つ い て 標 準 化 動 向 を 中心 に述 べ,最
後 にわが 国の
サー ビ ス の 実 施 状 況 を述 べ る。 CCITTで
はISDNが
利 用 者 に提 供 す るす べ て の サ ー ビス を テ レ コ ミ ュ ニ ケ
ー シ ョン サ ー ビ ス と呼 び ビ ス(Teleservices),③
,①
ベ ア ラ サ ー ビ ス(Bearer
付 加 サ ー ビ ス(Supplementary
Services),② Services)の
テ レサ ー 3種 に
図6.17 サ ー ビス の 範 囲
分 類 して い る。 ベ ア ラサ ー ビス とテ レサ ー ビス の サ ー ビス ア ク セ ス 点 とサ ー ビ ス の 範 囲 を図6.17に 示 す 。 ベ ア ラサ ー ビ ス と は Iイ ン タ フ ェ ー ス の S点 と T点 を ア クセ ス 点 と して 提 供 す る サ ー ビ ス の こ とで,I イ ン タ フ ェ ー ス のS/T点
相 互 間 で レイ ヤ 1か ら レ イ
ヤ 3ま で の 機 能 を提 供 す る サ ー ビ ス で あ る 。 具 体 的 に は 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス (2B+D)や
1次 群 イ ン タ フ ェ ー ス を使 い,ト
ラ ンス ペ ア レ ン トな デ ィ ジ タ
ル 信 号 レベ ル の伝 達 サ ー ビ ス の こ と を指 し,端 末 の機 能 と は 関係 が な い 。 ベ ア ラサ ー ビス を利 用 す る一 例 と して はパ ソ コ ン通 信 が あ る。 テ レサ ー ビス とは 端 末 の 入 力 側 を ア ク セ ス 点 と し,ISDNに
端 末 の 機 能 を併
せ て提 供 す るサ ー ビス の こ とを い う。 つ ま り,実 際 に端 末 を操 作 して 通 信 を行 う利 用 者 か らみ た 通 信 サ ー ビス で あ り,一 般 社 会 で 通 常 使 わ れ て い る電 話 や フ ァク シ ミリ,電 子 メ ー ル な どが これ に あ た る。 そ の た め 原 則 と して レ イ ヤ 1∼ 7の機 能 を提 供 す る。 付 加 サ ー ビス は 単 独 で は サ ー ビス とは な らず,基 シ ョ ンサ ー ビス(ベ
ア ラ サ ー ビス,テ
本 と な る テ レ コ ミュ ニ ケ ー
レサ ー ビス)に 付 随 して サ ー ビ ス の 利 便
性 を 高 め る役 割 を持 つ もの で あ る。 電 話 に例 を と る と,着 信 者 に 対 す る発 信 者 番 号 の 通 知,3
者 通 話 な どが これ に相 当 す る。 以 上 サ ー ビ ス の 分 類 方 法 に つ い
て述 べ たが,次
に個 々 の サ ー ビス に つ い て 主 要 な もの を述 べ る 。
(a) ベ ア ラ サ ー ビ ス ベ ア ラ サ ー ビス は 多 くの や り方 が 考 え ら れ る の で,CCITTで
は サ ー ビス 属
性 に よ り分 類 し定 義 し規 定 を定 め て い る。 こ れ は まず ア ク セ ス 点 にお け る チ ャ
ネ ル種 別,転 送 速 度 な どか ら な る ア ク セ ス 属 性 と,ア ク セ ス 点 通 過 後 の 交 換 モ ー ド,転 送 速 度,ユ
ーザ 情 報 種 別,通 信 接 続 形 態 な どか らな る 情 報 転 送 属 性 な
どか らサ ー ビス 属 性 を分 類 し,そ の 上 で個 別 に詳 細 な 規 定 を 定 め て い る。 利 用 度 が 高 い と思 わ れ る サ ー ビス を拾 っ て以 下 に 簡 単 に紹 介 す る。 ① 64kbps非
制 限 ベ ア ラ サ ー ビ ス こ の サ ー ビ ス はS/T点
信 号 の転 送 を提 供 す る もの で,ISDNベ る 。 これ に は 電 話(た と は な い),G4フ
間 で デ ィジ タ ル
ア ラサ ー ビス の 基 本 と い え る もの で あ
だ し伝 送 品 質 改 善 の た め の 圧 伸 機 能 は網 で提 供 され る こ
ァ ク シ ミ リ,テ
レ ビ電 話 な ど多 くの ユ ー ザ が 準 備 し た端 末
に よっ て 通 信 が で きる 。 ② 64kbps音
声 ベ ア ラサ ー ビ ス この サ ー ビ ス は 端 末 に対 して 音 声 通 信 に
適 した 伝 達 機 能 を提 供 す る もの で,圧 伸 機 能 な どの 機 能 は網 内 に挿 入 さ れ る。 た だ し,こ の ベ ア ラサ ー ビス は情 報 の 透 過 性 が 保 証 され な い の で 電 話 以 外 の通 信 に は 適 さ な い こ と に な る。 ③ 2×64kbps非
制 限 ベ ア ラ サ ー ビ ス この サ ー ビ ス は 基 本 イ ン タ フ ェ ー
ス 上 の 二 つ の Bチ ャ ネ ル を 同時 に使 用 して2×64kbpsの
ユ ーザ情 報の伝 達 を
提 供 す る も の で あ る 。 こ れ は バ ル ク伝 送 と も呼 ば れ,128kbps(2B分)を
音
声 信 号 と画像 信 号 に 適 宜 分 割 しテ レ ビ電 話 と して 使 う場 合 な どに 適 用 され る。 ④ 384kbpsお H0チ
よび1,536kbps非
制 限 ベ ア ラサ ー ビス 384kbpsの
ャ ネ ル を用 い た テ レ ビ会 議 通 信 が,1,536kbpsの
用 い た 高 速 デ ー タ通 信,超
高 速 フ ァ ク シ ミリ,テ
場合 には
場 合 に はH11チ ャ ネ ル を
レ ビ画 像 伝 送 が 考 え られ る 。
⑤ パ ケ ッ ト交 換 モ ー ドと フ レー ム モ ー ドの ベ ア ラ サ ー ビ ス パ ケ ッ ト交 換 モ ー ドベ ア ラ サ ー ビ ス は Bチ ャ ネ ル あ る い は Dチ ャ ネ ル を使 用 して そ の 中 に バ ー チ ャル サ ー キ ッ トを設 定 し,パ ケ ッ トモ ー ドでユ ー ザ 情 報 の 非 制 限 情 報 転 送 を行 う もの で あ る 。 フ レー ム モ ー ドベ ア ラサ ー ビ ス は,パ
ケ ッ ト交 換 に お け る
交 換 処 理 が 複 雑 で 処 理 に 時 間 が か か りデ ー タの 転 送 効 率 が 下 が る欠 点 を 改 良 し た もの で,光
フ ァイ バ な ど伝 送 品 質 の よい デ ィ ジ タ ル 回 線 が 使 用 で きる場 合 に
適 用 で き るサ ー ビス で あ る。
(b)
テ レサ ー ビ ス
テ レサ ー ビ ス は低 位 レ イ ヤ は 勿 論 高 位 レ イヤ まで が 標 準化 さ れ た サ ー ビス で あ る。 テ レサ ー ビ ス の 規 定 は 主 に端 末 相 互 間 で の情 報 の や りと りに 関 す る 規 定 で あ るが,ネ
ッ トワー ク 内 に お い て も蓄積 や 変 換 を行 う場 合 に は 高 位 レイ ヤ 機
能 が 関 わ る こ と に な る。 現 在 標 準 化 され て い る テ レサ ー ビス は,電 話,テ ック ス,G4フ
レテ
ァ ク シ ミ リ,ミ ク ス ト ・モ ー ド,ビ デ オ テ ック ス な どで あ る。
わが 国 のISDNの
サ ー ビ ス は,国
内がNTT,国
際 がKDDで1988年
て い るの で,加 入 契 約 を結 べ ば そ の サ ー ビス が 受 け られ る 。NTTは
か ら行 っ 基本 イ ン
タフ ェー ス の サ ー ビ ス を 「INSネ ッ ト64」,1 次 群 イ ン タ フ ェ ー ス の サ ー ビ ス を 「INSネ ッ ト1500」 の 商 品名 で サ ー ビス を行 っ て い る 。 これ らの サ ー ビス 内 容 は 3種 の 通 信 モ ー ド(① 通 話 モ ー ド,② デ ィ ジ タル通 信 モ ー ド,③ パ ケ ッ ト 通 信 モ ー ド)に
分 類 さ れ て い る 。 通 話 モ ー ドは B チ ャ ネ ル を 使 い 通 話 や
3.1kHz帯 域 の ア ナ ロ グ伝 送 を 行 う た め の モ ー ドで あ り,電 話 網 と の 相 互 通 信 が で き る。 デ ィ ジ タ ル 通 信 モ ー ドは,INSネ タル 通 信 を行 う モ ー ドで,基
ッ ト加 入 者 同志 の 1対 1の デ ィ ジ
本 通 信 モ ー ドの64kbpsと
2種 の 高 速 通 信 モ ー ド
か ら な る。 パ ケ ッ ト通 信 モ ー ドは パ ケ ッ ト通 信 を利 用 す る た め の モ ー ドで Bチ ャネ ル あ る い は Dチ ャネ ル を使 う こ とが で きる 。② と③ の 内 容 を表6.3に 示 す 。 ② と③ は ベ ア ラサ ー ビ ス で あ り,I イ ン タ フ ェ ー ス にISDN標 続 す れ ば(非 標 準 端 末 機 器 の場 合 に はTAを
表6.3INSネ
通 して 接 続)端
ッ トの サ ー ビ ス
準 端 末 機 器 を接 末 間通信 を行 うこ
とが で き る。 またISDNで 送 して い るの で,多
は 情 報 チ ャ ネ ル と制 御 信 号 チ ャネ ル と を分 離 して 転
くの 新 しい 電 話 サ ー ビス が 出現 して い る。 主 な もの と し て
は,発 信 者 番 号 通 知,サ
ブ ア ドレス 通 知,料
金 情 報 通 知,通 信 中 着 信 通 知,通
信 中機 器 移 動,三 者 通 話 な どが あ る 。
ISDN
[2]
ISDNは
の利用
情 報 通 信 の 内 容 に 応 じて伝 送 速 度 や 接 続 形 式 な どが 同 じネ ッ トワ ー
ク で 自 由 に 選 択 で きる特 徴 を持 っ て い る。 した が っ て利 用 者 は ネ ッ トワー ク の 使 い 方 を 自由 に決 め る こ とが で き,こ の こ とが利 用 法 が 固定 して い る 従 来 の ネ ッ トワ ー ク と大 き く異 な っ て い る点 で あ る 。 こ こ で は ま ずISDNの トとそ れ に対 応 す る一 般 的 利 用 法 に つ い て 述 べ,次
利用 メ リ ッ
に高 付 加 価 値 ア プ リケ ー シ
ョ ンに つ い て述 べ る。 (a)
利用 メ リッ トと一般 的利用法
ISDNを
利 用 す る メ リ ッ トは,① 高 速 性,②
パ ケ ッ ト通 信,⑤ ①
高 品 質 性,③ 多 重 ア クセ ス,④
付 加 サ ー ビス が 主 要 な もの で あ り,以 下 に個 別 に説 明す る。
高 速 性:簡 高 速 で あ り,電
易 な 基 本 イ ン タ フ ェ ー ス の 場 合 で も Bチ ャ ネ ル は64kbpsの 話 と し て 使 う場 合 に は 電 話 網 と 変 わ ら な い が,デ
に 使 う 場 合 に は 電 話 網 で は 通 常 は モ デ ム を 使 い9600bpsま は28.8kbpsが
可 能 と な っ て き た)で64kbpsと
高 速 が 必 要 な ら,1
②
高 品 質 性:デ 伝 達,光
ャ ネ ル の384kbps,
高速 アクセスが ある。
ィジ タル 網 と して の 特 長 とな るが,デ
フ ァ イバ 伝 送,誤
だ し最 近
は大 き な差 が あ る 。 さ らに
次 群 イ ン タ フ ェ ー ス に よ りH0チ
H11チ ャ ネ ル の1.536kbpsの
で(た
ー タ通 信
ィ ジ タ ル 1リ ン ク の
り制 御 の 導 入 は雑 音 と ひず み に 起 因 す る 符 号 誤
りを非 常 に 少 な く して い る。 ③
多 重 ア クセ ス:基
本 イ ン タ フ ェー ス に お い て は2Bを
活用 す る同時並行
通 信 が で き る。 こ れ は両 チ ャ ネ ル を そ れ ぞ れ独 立 させ て使 う こ と も,ま た 関 連 させ て(例 え ば 電 話 しな が ら フ ァ ク シ ミ リを 送 る)使 う こ とが で き る 。 1次 群 イ ン タ フ ェー ス に お い て は多 重 ア ク セ ス の 幅 は拡 大 し,例 え ば,企
業 の 構 内 交 換 機 に入 る局 線 の 一 対 に23回 線 分 収 容 で きる 音 声 の 多 重 ア ク セ ス や,テ め のH0チ ④
レ ビ会 議 に お け る音 声 通 信 の た め の Bチ ャ ネ ル と画像 通 信 の た ャ ネ ル との ハ イブ リ ッ ド多 重 ア ク セ ス が 可 能 とな る。
パ ケ ッ ト通 信:デ
ー タ通 信 にお い て は 距 離 に ほ と ん ど関係 な く情 報 量 に
応 じて 課 金 され るパ ケ ッ ト通 信 は伝 送 品 質 もよ く魅 力 的 で あ り広 く普 及 し て い る。ISDNで ⑤
は Bチ ャネ ル と Dチ ャネ ル で パ ケ ッ ト通 信 が で き る。
付 加 サ ー ビ ス :D チ ャ ネ ル に よ り制 御 信 号 を 専 用 的 に 送 る こ とが で き る の で 通 信 中 で も種 々 の 付 加 サ ー ビス を行 うこ とが で き,き め 細 か なサ ー ビス の 向 上 が 図 れ る 。
次 に わ が 国 に お け るISDNサ
ー ビ ス 開 始 以 後 の 実 際 の利 用 動 向 に つ い て述 べ
る。INSネ
ッ トはサ ー ビス 開始 当初 は ユ ー ザ の ほ と ん どが 企 業 で あ り,利 用 形
態 はINSネ
ッ ト64で は 各 種 の デ ー タ通 信 とG4フ
ト1500で はPBX,デ
ー タ 通 信 と映 像 利 用(監
ァク シ ミ リが 多 く,INSネ 視,テ
しか し最 近 は 機 器 の 低 価 格 化 とパ ソ コ ン通 信,イ
レ ビ会 議)が
ッ
多か っ た。
ン タ ー ネ ッ トの 普 及 に よ り,
これ らを利 用 す る 一 般 ユ ー ザ が 急 速 に 増 加 して い る。 ISDN対
応 の 通 信 端 末 機 器 につ い て は,開 発 に取 り組 む メ ー カ が 増 加 し,商
品 の 種 類 は増 え,低 価 格 化 が 進 み 利 用 環 境 は ます ます 拡 充 整 備 さ れ つ つ あ る 。 具 体 的 に は,デ ー タ通 信 に お け るLAN間
接 続 機 器, PCイ
ン タ フ ェー ス ボ ー ド,
お よ び従 来 か らあ る 各 種 デ ー タ端 末 接 続 の た め の タ ー ミナ ル ア ダ プ タな ど各 種 の も の が 製 造 販 売 さ れ て い る 。 画 像 と音 声 で はG4フ シ ス テ ム,静
止 画 伝 送 装 置,デ
ィ ジ タ ルPBX,高
ァ ク シ ミ リ,テ レ ビ会 議 音 質 音 声 コー デ ッ ク な ど で
あ る。 (b)
ア プ リケ ー シ ョン
企 業 に お け るISDNの こ とが 多 か っ た が,端
利 用 は,最 初,企
業 内 の ネ ッ トワ ー ク構 築 に 利 用 す る
末機 器 の 開 発 と低 廉 化 が 進 み 利 用 環 境 が 充 実 す る につ れ
て様 々 の 企 業 間 ネ ッ トワー クの 構 築 が 進 め られ 多 角 的 に利 用 され る よ う に な り つ つ あ る 。 こ れ ま で の 利 用 が 多 か っ た 業 種 は,金
融,製 造,サ
ー ビス,流
通,
公 共,建 設 ・不 動 産,印 刷 ・出版 で あ るが,今 後 は さ らに大 き く広 が りなが ら
普 及 発 展 し て ゆ く もの と考 え られ る。 ア プ リケ ー シ ョ ンは デ ー タ系,音 の,共
声 系,画
像 系 と に大 別 され,開
発 済み の も
同 実験 中 の もの,研 究 開 発 中 の もの と種 々 あ る が,以 下 に そ の い くつ か
の 例 を示 す 。 デ ー タ系:POSシ
ス テ ム,受
発 注 シス テ ム,在 庫 管 理 シ ス テ ム,財
シ ス テ ム,CAD/CAMデ 送 シ ス テ ム,予
ー タ伝 送 シ ス テ ム,印
約 ・発 券 シ ス テ ム,電
管 理 シ ス テ ム,遠
隔 教 育 シ ス テ ム,フ
ト ・パ ソ コ ン の ア ク セ ス,通
音 声 系 :同 報 通 信,電
刷 製 版 デ ー タ伝
子 出 願 シ ス テ ム,顧 ァ イ ル 転 送,イ
信 カ ラ オ ケ,電
客情 報
ン ター ネ ッ
子 音 楽 伝 送 シス テ ム
話 会 議 シ ス テ ム,放 送 中 継 シス テ ム,PBX,高
質 音 声(7kHz)通
務 会計
品
信
画 像 系 :遠 隔 モ ニ タ監 視(ATM,交
通,店
舗),住
民 票 ・戸 籍 抄 本 の 遠
隔 交 付 シス テ ム,商 品 情 報 伝 送,不 動 産 情 報 伝 送 シ ス テ ム,中 古 車 情 報 シス テ ム,新 聞 写 真 伝 送,カ ラ ー 印刷 物 遠 隔 校 正 シス テ ム, 設 計 図面 伝 送,X線
写 真 伝 送,テ
レ ビ会 議 シ ス テ ム,遠 隔 講 義 シ
ステ ム ISDNは
企 業 に とっ て は情 報 の 収 集 と伝 達 の 手 段 と して,今
後 の企 業活動 に
欠 くこ との で きな い もの と考 え られ る 。 そ れ は企 業 内 部 の 業 務 の 効 率 向 上 は も と よ り,社 内 の 会 議 や 顧 客 の 対 応 に つ い て も わ ざ わ ざ 出 向 くこ と な くテ レ ビ会 議 と高 速 フ ァク シ ミリで 済 む こ と に な る な ど利 便 が 大 きい 。 ま た ネ ッ トワ ー ク を フル に活 用 す れ ば 在 宅 勤 務 が 可 能 とな る の で 就 業 形 態 も先 々 は 変 化 す る 可 能 性が ある。 公 共 分 野 に お け るISDNの が,こ
導 入 は す で に 窓 口 サ ー ビス の 一 部 で 始 ま っ て い る
れ か らの 本 格 的 導 入 が 期 待 され る分 野 で あ る。 国民 生 活 に深 く関 わ って
い る 公 共 サ ー ビス は 「医 療 」 「保 健 ・福 祉 」 「教 育 」 「行 政 」 の 4分 野 で あ り, 現 在 種 々 の シス テ ム の共 同 研 究,共 一 般 の 家 庭 へ のISDNの
同 実 験 ・試 行 が 進 め られ て い る 。
普 及 は最 近 急 速 に な っ て お り
,す で に イ ン ター ネ ッ
トや パ ソ コ ン通 信 の た め の 高 速 ア クセ ス用 と して 導 入 され 始 め て い る 。 いず れ
ホ ー ム シ ョ ッ ピ ン グ,ホ ー ム カ ル チ ャ ス クー ル な どの 応 用 シ ス テ ム が で き る も の と思 わ れ,さ
ら に は各 種 の エ ン タ ー テ イ メ ン トが 出 現 す る もの と思 わ れ る 。
以 上 に 述 べ たISDNの の 進 歩 がISDNの
利 用 法 とは 別 に,関 連 技 術 分 野 に お け るハ ー ドウ ェ ア
発 展 に とっ て 非 常 に重 要 で あ る 。 そ の キ ー テ ク ノ ロ ジ ー は デ
ィ ジ タル技 術 で あ り,そ れ は 将 来 に 向 け て発 展 の 可 能 性 を 多 く持 つ 技 術 で あ る。 デ ィ ジ タル 信 号 は伝 送 す る と き に広 い伝 送 帯 域 を 必 要 とす る欠 点 が あ り,そ の ま ま送 る の で は あ ま りメ リ ッ トは 出 て こ な いが,音
声や画像 の情報 をデ ィジ タ
ル化 す る い わ ゆ る符 号 化 の 段 階 で 帯 域 圧 縮 の 技 法 が あ り欠 点 を カバ ー で き る 。 そ の他,多
種 類 の 情 報 を 扱 うマ ル チ メ デ ィ ア信 号 の 伝 達 で 有 利 なATM技
あ る な ど多 くの メ リ ッ トが あ る。 こ の よ うな 新 技 術 の 進 歩 に よ っ てISDNの
術が 利
用 に は さ ら に新 しい 分 野 が 開 拓 さ れ る も の と期 待 され る。 利 用 技 術 の 研 究 開 発 は,通
信 業 者,製
造 業 者 とい う従 来 の 枠 に と ら わ れ ず,
利 用 者 を含 め た 幅 広 い 分 野 の 人 々 の協 力 で潜 在 して い る新 しい ニ ー ズ を掘 り起 こ し,ユ ニ ー ク な 発 想 を 開発 グ ル ー プ 全 員 の 英 知 を結 集 して 生 み 出 す こ とが 大 切 で あ る 。 コ ン ピ ュ ー タが 普 及 し始 め た 頃,“ コ ン ピ ュ ー タ,ソ
フ ト無 け れ ば
た だ の箱 ” と比 喩 す る川 柳 が あ っ た が,そ
“ISDN,利
れ に倣 え ばISDNは
技 術 無 け れ ば た だ の 線 ” と い う こ と に な る 。ISDNの
用
普 及発展 は利用技 術 の進
歩 次 第 と言 え る で あ ろ う。
6.7
B-ISDN
[1] B-lSDNの
概念 とね らい
こ れ ま で に述 べ て きたISDNは,普 易 型 のISDNで
及 を ね ら い64kbpsを
あ っ た。 こ の64kbps系ISDNの
年 代 後 半 か ら次 の 本 格 的ISDNの
大 容 量 フ ァ イ ル転 送,CAD/CAM通 像 通 信(TV放
送, HDTV,3D映
標 準 化 が 完 成 に 近 づ い た1980
研 究 がCCITTで
た 。 そ の ね らい は 高 速 デ ー タ通 信(LAN間 信,高
ベ ース に考 えた簡
通 信,コ
活 発 に行 わ れ る よ う に な っ ン ピ ュ ー タ ネ ッ トワ ー ク,
速 高 精 細 フ ァ ク シ ミ リ な ど)と 画
像 通 信 な ど)な ど を対 象 と しユ ー ザ ニ ー ズ
の 高 度 化 に応 え る た め の も の で あ る。 こ のISDNを Broadband ISDNを
aspects of ISDN)と
呼 んで い る。 そ して これ に対 して以 前 の
狭 帯 域ISDN(N-ISDN:Narrowband
が あ る 。 研 究 の 当初 はISDNサ て い た が,研
広 帯 域ISDN(B-ISDN:
aspects of ISDN)と
呼ぶ こ と
ー ビス を 高 速 広 帯 域 に拡 張 す る こ と を 主 眼 に し
究 が 進 む につ れ てB-ISDNの
実 現 に 障 害 と な る い くつ か の 技 術
的 問 題 が 明 らか と な っ て きた 。 そ の 中 の 主 要 点 は① 大 容 量 伝 送,② 多 様 な 情 報 信 号 の伝 達 処 理,③
伝 送 シ ス テ ム間 の多 重 化 同期 方 式 で あ る 。
① は 高 速 広 帯 域 を 目指 す の で 当 然 必 要 な こ とで あ り中継 系 の 超 大 容 量 伝 送 と 加 入 者 系 の 光 化 が 重 要 で あ る 。 音 声 通 信 中心 の 時 代 と異 な り高 精 細 の 画像 まで 対 象 とす るB-ISDNで
は,1
チ ャ ネ ル 当 た り数 百Mbit/sの
信 号 を伝 送 す る の
で,多 重 度 の 高 い 中 継 系 で は 超 多 重 伝 送 方式 が 必 要 と な る。 幸 い に も近 年 の 光 フ ァイ バ 伝 送 技 術 の 進 歩 は め ざ ま し く10Gbit/sを
超 え る光伝 送方式 がす で に
実 用 に供 され る な ど将 来 は 明 る い 。 問 題 は む し ろ加 入 者 系 の 光 化 で あ り,厳
し
い 経 済 性 と柔 軟 性 に優 れ た配 線 技 術 の 確 立 が 望 ま れ現 在 研 究 が 鋭 意 進 め られ て い るところであ る。 ② は網 内 の 情 報 信 号 を多 重 化 した り交 換 した りす る伝 達 処 理 をい か に して 効 率 を上 げ,伝 達 処 理 の た め の コス トを下 げ る か の 問題 で あ る 。B-ISDNで ザ の 利 用 す る情 報 信 号 は,伝 送 速 度 につ い て い え ば 数kbit/sか
ユー
ら数 百Mbit/s
に まで 広 が り,か つ 時 間 上 で連 続 的 な も のや バ ー ス ト的 な も の な どの 違 い が あ り,ト ラ ヒ ッ ク特 性,要
求 通 信 品 質 も様 々で あ る 。 こ の よ う な 多様 な 性 質 を持
つ 情 報 信 号 の 伝 達 処 理 は 従 来 使 わ れ て い た周 期 的 な フ レー ム構 造 を持 つ 時 分 割 技 術 で 行 うに は 問題 が あ る。 す な わ ち,従 来 の伝 送 と交 換 で 使 わ れ て きた 同 期 転 送 モ ー ド(STM:Synchronous 達 成 で きず,パ
Transfer Mode)で
は多 元 処 理 が経 済 的 に
ケ ッ ト技 術 で も連 続 情 報 の 処 理 と高 速 性 に 難 点 が あ る 。
③ は 従 来 各 国 で デ ィ ジ タ ル伝 送 の 階 層 化,系 列 化 の た め に定 め て い た い わ ゆ る デ ィ ジ タル ハ イ ア ラー キ(伝 送 速 度 の 階 層 構 成)と,こ 同 期 多 重 化 の 技 術 がB-ISDNに
れ を構 成 して い る非
適 合 し な い こ とが 明 ら か と な っ た の で,再
構
築 す る た め に は い か に対 処 す る か とい う問 題 で あ る 。 従 来低 次 群 か ら高 次 群 へ
の 多 重 化 と 同期 の 方 式 は 各 国 とも ス タ ッ フ同 期 に よ る 非 同 期 多 重 方 式 を採 用 し て い るが,伝
送 と交 換 が デ ィ ジ タ ル技 術 で 統 合 して新 しい デ ィ ジ タ ル網 を構 築
す る現 在 で は,こ の 方 式 は効 率 が 悪 い の で 同 期 多 重 方式 へ の 変 更 が 望 ま れ る よ う に な っ て きた 。 そ の た め,わ が 国 で は 電 話 網 の デ ィ ジ タ ル化 に 際 しす で に 2 次 群 まで の 同 期 多 重 方 式 の 導 入 は終 え て い るが,そ た。 ま たハ イ ア ラ ー キ は 世 界 で 日,米,欧 同一)と
な っ て い る の で,こ
の 上 はそ の ま ま残 さ れ て い
州 の 3本 立 て(日 米 は 2次 群 まで は
の ま まに して 標 準 化 を 進 め る こ とに は大 きな 障 害
と な る認 識 が あ っ た 。 特 に大 きな 問 題 は② と③ で あ り,こ れ ら に積 極 的 に 取 り組 ん だ 結 果,② い て は非 同 期 転 送 モ ー ド (ATM:
Asynchronous
Transfer
Mode)
につ
の新技 術
の採 用 で解 決 の 道 を 見 い だ し,③ に つ い て は各 国 ば らば らの従 来 の デ ィ ジ タ ル ハ イ ア ラ ー キ を新 し く制 定 す る こ と に よ っ て統 一 し,同 時 に従 来 の ス タ ッ フ同 期 に よ る 非 同 期 多 重 をデ ィジ タル 網 に有 利 な 同 期 多 重 に改 め る こ と と し,こ れ らを 併 せ た 新 しい 同 期 デ ィ ジ タ ル ハ イア ラ ー キ (SDH:
Synchronous
Digital
Hierarchy) の 再 構 築 で解 決 を 図 る こ と とな っ た。 これ は 将 来 を見 据 え た 英 知 の 大 い な る 進 展 につ な が っ た 。ATMと
あ る決 断 で あ り,そ の 後 の B-ISDN SDHに
つ い て は 後 で 詳 し く述 べ る。
以 上 に述 べ た よ う にB-ISDNは れ て研 究 が 進 み,①
光 伝 送, ATM,
SDHな
どの 新 技 術 に 支 え ら
高 速 デ ー タ伝 送 や 各 種 の 画 像 伝 送 を対 象 とす る 高 速 広 帯 域
サ ー ビス,② 単 一 の ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス に よ るマ ル チ メ デ ィア 通 信 サ ー ビス,③
固 定 速 度 や 可 変 速 度 の 自 由 な 選 択 お よ び 1対 1,1 対 n,n 対 nに よ
る 対 話 型,分 配 型 な ど の接 続 機 能 を もつ 多 彩 で 柔 軟 なサ ー ビス な ど をね ら い と す る こ とが 固 ま り,早 期 実 現 に向 け て研 究 が 進 め られ て い る 。 B-ISDNと
N-ISDN
との 関 係 は, B=ISDNが
N-ISDN
専 用 の ネ ッ ト ワ ー ク を 目 指 し て い る の で は な く, B-ISDNと
の 側 面 で 補 完 しな が ら一 つ のISDNの
とは別 の高速 広帯域 N-ISDN
実 現 を 目指 して い るの で あ る。
は二つ
[2] ATMの (a) ATMの
概要 出現
現 在 の デ ィ ジ タ ル 網 を 構 成 し て い る 伝 送 と 交 換 の 技 術 は,電 64kbpsの
話 音声 の
信 号 をベ ー ス と し た 周 期 的 な位 置 を 使 う時 分 割 多 重 技 術 で あ る 。 こ
の よ う な技 術 を前 に も述 べ た よ うに 新 し く出 現 したATMに 同 期 転 送 モ ー ドSTMと
対 す る 用 語 と して
呼 ん で い る 。 ま た パ ケ ッ トモ ー ドに対 す る用 語 と して
は 回 線 モ ー ドとい う用 語 が 使 わ れ て い る 。 こ のSTMは とす る 電 話 網 の場 合 に は優 れ た 方 式 で あ るが,多
情 報 に電話 だ けを対象
様 な情 報 を 扱 うB-ISDNの
場 合 に は不 適 当 な方 式 で あ る とい う こ とが で き る 。 む し ろパ ケ ッ トモ ー ドの 方 が マ ルチ メ デ ィ ア通 信 向 き にみ え るが,高
速 通 信 は不 可 能 で あ り遅 延 の 点 で音
声 通 信 に は 向 か な い な どの 問 題 が あ る。 こ こ で従 来技 術 の 回線 モ ー ドとパ ケ ッ トモ ー ドに つ い てB-ISDNの
観 点 か ら比 較 整 理 す る と次 の よ うに な る。
(1)マ ル チ メ デ ィ ア通 信 へ の 対 応 回 線 モ ー ドは チ ャ ネ ル の伝 送 速 度 が 固 定 され て お り,バ ー ス ト性 の 変 化 の あ る情 報 信 号 や 広 範 囲 の 情 報 伝 送 速 度 へ の 柔 軟 な対 応 は 困 難 で あ る 。 そ の点 で はパ ケ ッ トモ ー ドで は 論 理 的 な 回線 の 上 を発 生 す る情 報 に応 じてパ ケ ッ トを 転 送 す る の で 非 連 続 バ ー ス ト性 通 信 や 多 様 な伝 送 速 度 の 通 信 に は有 利 と な る。 ( 2) 高 速 化 へ の 対 応 回 線 モ ー ドはハ ー ドウ ェ ア の み で 構 成 され て い る の で 高 速 化 に向 くLSIや 部 品 を用 い れ ば 高 速 化 は 容 易 で あ る 。 しか し,パ ケ ッ トモ ー ドの場 合 に は プ ロ トコ ル処 理 が 複 雑 な た め 通 常 ソ フ トウ ェ ア 制 御 を 行 っ て お り,そ の 高 速 化 は 困 難 で あ る。 (3)高 信 頼 化 へ の 対 応 パ ケ ッ トモ ー ドは,ノ ー ドご と に蓄 積 交 換 を行 い, 誤 り制 御 や 再 送 制 御 に よ り高信 頼 通 信 が 特 色 とな っ て い る。 た だ し,遅 延 が 大 き くな り電 話 の よ うな 会 話 型 通 信 で は 問 題 とな る 。 (4)ネ ッ トワ ー ク の 利 用 効 率 回線 モ ー ドの場 合,情 報 の 有 無 に か か わ らず 通 信 中 は端 末 間 の 回 線 を専 有 す る こ と に な る が,パ ケ ッ トモ ー ドで は 有 意 な 情 報 の み を転 送 し回 線 は空 きル ー トを 選 び か つ 共 有 す る こ とに な る。 した が っ て パ ケ ッ トモ ー ドの場 合 は ネ ッ トワ ー クの 利 用 効 率 は 高 くな り,ま た利 用 料 金 は
情 報 量 に 応 じた もの と な り(回 線 モ ー ドで は 通 信 距 離 と通 信 時 間 の積 に比 例), 合 理 的 で あ る。 (b)
ATMの
原理
以 上 に 述 べ た こ とか らわ か る よ う に両 技 術 の い ず れ で もB-ISDNの
伝 達処
理 に適 用 す る に は不 十 分 と思 わ れ る 。 そ の た め 両 技 術 の 長 所 を組 み 合 わ せ 新 し く創 出 さ れ た の が 非 同期 転 送 モ ー ドのATMで
あ る。 ATMは
情 報 を48バ イ ト
ご との 固 定 長 に 区切 り,5 バ イ トのヘ ッ ダ と呼 ば れ て い る制 御 情 報(宛 先 な ど) を 付 加 して 転 送 す る方 式 で あ る 。 合 計53バ と呼 ぶ 。 セ ル はパ ケ ッ トと似 て い る が,パ
イ トの 情 報 の ブ ロ ッ ク を 「セ ル 」
ケ ッ トが 可 変 長 で か つ 比 較 的 長 い の
に 対 し て セ ル は 固定 長 で 短 い 点 が 異 な る 。 高 速 情 報 信 号 と低 速 情 報 信 号 に 対 し て は 情 報 量 に 比 例 した セ ル の 数 で 対 応 して い る。 す な わ ち 高速 信 号 に対 して は 連続 し て セ ル を送 り,低 速 信 号 に対 して は空 きセ ル と有 効 情 報 の セ ル とを組 み 合 わ せ て 送 る 。 セ ル の長 さを 固 定 長 に した こ とは 一 つ の セ ル の 先頭 位 置 を 見 つ け れ ば,順
に後 続 の セ ル の 位 置 が わ か る こ と に な る。 こ の こ と はATMが
ハー
ドウ ェ ア を容 易 に 構 成 す る こ とが で き高 速 化 が 可 能 に な る こ と を 示 して い る。 従 来 のSTMと
の違 い を図6.18に 示 す 。 図 か らわ か る よ う にSTMで
はデ ィジ タ
ル の情 報 信 号 を 時 間 分 割 し,そ れ ぞ れ を予 め 多 重 化 の チ ャ ネ ル数 に 応 じて定 め ら れ て い る 時 間 位 置 に 周 期 的 に 分 割 配 置 し,多 重 化 す る の に 対 し,ATMで 情 報 の発 生 に応 じて 非 周 期 的(セ 間位 置 で 多 重 化 す る 。ATMの (c)
ATMの
ATMはB-ISDNで
は
ル 単 位 で)に 配 置 し,他 の セ ル と も任 意 の 時
多 重 化 をセ ル多 重 と い う。
特徴 対 象 とな っ て い る多 様 な 情 報 信 号 を効 率 よ く伝 達 処 理 す
る方 式 と して 新 し く考 え 出 され た もの で あ り,従 来 の 回線 モ ー ドとパ ケ ッ トモ ー ドの両 方 の 長 所 を備 え た 方 式 と見 る こ と も で き る。 そ の特 徴 は 以 下 の よ う に ま とめ る こ とが で きる。 ①
情 報 信 号 を48バ イ トご との 固 定 長 で 分 割 し,こ れ に 宛 先 な どを 含 む ヘ ッ ダ を付 加 して セ ル を作 り転 送 す る 。
②
こ の こ とか ら多 様 な通 信 速 度(種
々 の 速 度 の 固 定 速 度 通 信,可
変速 度通
図6.18
信)に ③
(a)
STM方
式
(b)
ATM方
式
STMとATM
対 応 で き,マ ル チ メ デ ィア サ ー ビ スが 可 能 と な る 。
パ ケ ッ トモ ー ドで 従 来 行 っ て い た ノー ド問 の 誤 り制 御,再 ソ フ トウ ェ ア 処 理 を省 略(端
末 間 の み で 制 御)し,ハ
送処 理 などの
ー ドウ ェ ア の み で構
成 す る こ と に よ り高 速 化 が 可 能 と な る。 こ の 背 景 と して は伝 送 路 の 光 化 に よ る伝 送 品 質 の 向 上,高 速 ス イ ッチ ング 素子 の 進 歩 な どが あ る 。 ATMす
な わ ち 非 同期 転 送 モ ー ドの “非 同 期 ” の 意 味 は,セ
ル とセ ル との 位
置 関 係 あ る い は ネ ッ トワ ー ク の フ レー ム 位 相 とセ ル の 位 置 との 関 係 の こ とで, 何 も制 約 す る 条 件 が な く自 由 な 位 相 で ビ ッ ト単 位 で 多 重 ・分 離 が で きる とい う こ とで あ る 。こ こ で は ネ ッ トワ ー ク全 体 の ビ ッ ト列 の 周 波 数 同期(ビ ッ ト同期) の 確 立 を前 提 と し て い る。 ま た,同 期 デ ィ ジ タル ハ イ ア ラ ー キSDHと で あ るが,SDHの
の関係
“同期 ” の 意 味 は セ ル を 運 ぶ 物 理 レ イ ヤ の 伝 送 の 同 期 ・多
重 化 の 方 式 が “同期 多 重 ” を採 用 して い る とい う意 味 で あ り,ATMの
“非 同
期"の 意 味 はそ の物 理 レ イ ヤ の 上 に位 置 す るATMレ
イヤ に お け る セ ル の 同期
関 係 を指 した もの で あ り,別 の レベ ル の こ とで あ る。 ATMで
は 情 報 の 発 生 量 に 応 じて セ ル を 送 る が,情 報 の 発 生 量 は 常 に 一 定 で
は な い の で 時 間 と共 に 変 動 す る。 こ の よ うな セ ル を多 重 化 す る と情 報 の 変 動 を 少 な め に抑 え る こ とが で き平 滑 化 さ れ る 効 果 が あ り,こ れ を統 計 多 重 化 と呼 び ATMの
一 つ の 利 点 と も考 え られ て い る 。 しか し, ATMの
交換 機 で入力 の情
報 量 が 急 に 過 大 に な る と ス イ ッチ 内 の バ ッ フ ァメ モ リが オ ー バ フ ロ ー しセ ルが 紛 失 す る 。 これ は きわ め て少 な くな る よ うに バ ッフ ァメ モ リの 容 量 を大 き く設 計 して お くこ とで ほ とん ど 防 ぐ こ とが で き る。ATMで べ た よ うに 誤 り制 御,再 な る。 そ の た め,セ
は セルの紛 失が③ で述
送 を行 わないので情報の伝達 品質劣化 の重要 な要 因 と
ル 紛 失 を 極 力 小 さ くす る よ う設 計 しな けれ ば な らな い 。 バ
ッ フ ァメ モ リの 過 負 荷 時 に は マ ル チ メ デ ィア の 廃 棄 を 行 うが,通
常 はデー タセ
ル を優 遇 し,音 声 セ ル か ら廃 棄 す る優 先 制 御 が 行 わ れ て い る。
SDH
[3]
SDH
(a)
の概要 の必 要性
前 に述 べ た よ う に デ ィ ジ タル 統 合 に よ り伝 達 処 理 効 率 に優 れ た 電 話 網 の デ ィ ジ タ ル 化 を 目指 す 時 代 を迎 え,ま ら に新 技 術 のATMを
た これ と関 連 してISDNの
駆 使 し たB-ISDNの
構 想 が 生 ま れ,さ
計画 が推進 される こ ととなった。 そ
の た め に 非 同 期 多 重 方 式 を 同 期 多 重 方 式 に改 め る こ とが 必 要 とな り,ま た こ れ と は 別 に 世 界 各 国 が デ ィ ジ タ ル ハ イ ア ラ ー キ の 違 い を そ の ま ま に して,BISDNの
計 画 を進 め る こ と は今 後 に大 き な 問題 を残 す と認 識 さ れ た 。 こ れ ら の
こ とか らデ ィジ タ ル ハ イ ア ラ ー キ と構 成 技 術 の 見 直 しがCCITTで 1988年 に 統 一 さ れ た 新 しい 同 期 デ ィ ジ タ ルハ イ ア ラ ー キSDHが SDHの
研 究 さ れ,
標 準 化 され た 。
研 究 を進 め る 上 で 配慮 して お くべ き要 件 を 以 下 に 示 す 。
①B-ISDNで
取 扱 わ れ る信 号 お よ び従 来 の 非 同期 多 重 方 式 で使 わ れ て い る
信号 が伝 送で きる こ と ②
同期化 した多 重化技術 によ り各種 速度の信号 を柔軟 に多重 ・分離 で きる
(b)同 期 デ ィ ジ タ ルハ イ ア ラ ー キ
(a)従 来 の ハ イ ア ラー キ
図6.19
新 しい デ ィ ジ タ ルハ イ ア ラ ー キ (SDH)
こ と ③
2Mbit/s
既 存 の1.5Mbit/s系(日,米)と
系(欧
州)の
デ ィジタルハ イ
ア ラ ー キ が 支 障 な く伝 送 で きる こ と ④
高 度 な網 管 理 ・保 守 監 視 機 能(OAM機
SDHは
図6.19に 示 す よ うに,従
を統 一 し,155.52Mbpsを
能)を
具備す るこ と
来 世 界 に 3系 列 存 在 して い た ハ イ ア ラ ー キ
基 本 速 度 と し,そ れ 以 上 の 高 速 に は 基 本 速 度 の 4の
整 数 倍 で 構 成 す る こ と と し た 。 基 本 速 度 の 信 号 を 同 期 伝 達 モ ジ ュ ー ル ー1
(STM-1:
と 呼 ぶ 。[1]で
STM-N Transfer
(b)
Synchronous
Mode)
SDHの
Transport
Module-1),
基 本速度 の N倍 の信 号 を
説 明 し た 同 期 転 送 モ ー ド (STM:
Synchronous
と 同 一 の 略 語 を使 うの で 注 意 が 必 要 で あ る 。 フ レー ム構 造 の 基 本 フ レー ム の構 造 を図6.20に 示 す 。 こ れ は 9行 ×270列
SDHのSTM-1
の マ ス 目で 表 さ れ る 。 一 つ の マ ス 目 は 8 ビ ッ ト(1 バ イ ト)の 情 報 を 表 す 。 9×270個
の マ ス 目 を フ レ ー ム と呼 び,こ
す る際 の標 本 化 周 期)ご 9×270×8ビ
れ を125μs(音
声 をデ ィジ タル化
とに 送 る の で,基 本 速 度 は ッ ト/125μs=155.52Mbps
と な る 。 な お 一 つ の マ ス 目 の 速 度 は64kbpsで
こ の フ レー ム の 中 に は 図 の よ うにSOHと
あ る。
ポ イ ン タ か ら な る 9行 × 9列 の オ
図6.20
ーバ ヘ ッ ドが 定 義 さ れ
STM-1の
フ レー ム 構 造
,ネ ッ トワー ク の運 用 管 理 に必 要 な情 報 を収 容 して い る。
残 りの ペ イ ロ ー ド(pay load)(料 の 情 報 を 収 容 し て い る。9×270バ
金 を も らっ て 運 ぶ 積 み荷 の意 味)に イ ト=2,430バ
か ら点 線 の 矢 印 の 右 方 向 に順 に 送 られ,次
ユーザ
イ トの 情 報 は 図 の 左 上 の 端
に 2行 目の 情 報 が 同 様 に送 られ て ゆ
く。 こ れ を 1行 で 表 す と270バ イ トご と に 9バ イ トの オ ー バ ヘ ッ ドが 入 っ て い るが,こ
れ は 高 速 で 動 作 す る メ モ リの 量 を 減 じ比 較 的 簡 単 な 回路 で 実 現 で き る
メ リ ッ トを も っ て い る。 B-ISDNで
は ネ ッ トワー クの 中 に 二 つ の 重 要 な イ ン タ フ ェ ー ス が 定 義 さ れ て
い る 。 す な わ ち,ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス(UNI)と ン タ フ ェ ー ス(NNI)で
ネ ッ トワ ー ク ノー ドイ
あ る。 ネ ッ トワ ー クの 中 を 大 別 す る と,信 号 を 伝 送 す
る機 能 と信 号 を 多 重 化 ・分 離,ク
ロ ス コ ネ ク ト(多 重 化 され た 伝 送 回 線 束 の ル
ー チ ン グ) ,交 換 す る信 号 処 理 の 機 能 との 二 つ の 機 能 か ら成 り立 って い る 。 前 者 の 機 能 を リ ン ク 機 能,後
者 の機 能 を ノ ー ド機 能 と呼 ぶ 。NNIは
この よ うな
ノー ドと光 伝 送 装 置 や 無 線 伝 送 装 置 な どの リ ン ク装 置 と の 間 の イ ン タ フ ェ ー ス で あ る。SDHのSTM-NはNNIに
お け る伝 送 信 号 と して イ ン タ フ ェ ー ス 速 度 ,
イ ン タ フ ェ ー ス 構 造 を規 定 した もの で あ る が,UNIで
も同一の信 号 で規 定 さ
れ て い る。
STM-1
の ペ イ ロ ー ドに はユ ー ザ 情 報 が 収 容 され 転 送 され る が,そ
同 期 転 送 モ ー ドSTMの
形 式 の 情 報 か非 同 期 転 送 モ ー ドATMの
の い ず れ か で あ る 。STM形
の情報 は
形 式 の情報 か
式 の 場 合 は従 来 の 電 話 信 号 の64kbpsを
ベ ー スに周
期 多 重 した 固 定 速 度 の 信 号 伝 送 を対 象 と した もの で あ り,従 来 の デ ィ ジ タル 電 話 網 の設 備 へ の整 合 に 配 慮 した も の で あ る。 またATM形 の 導 入 に 際 し不 可 欠 な新 し いATMセ SDHはB-ISDNの
ル の 転 送 に 備 え る た め の もの で あ り,
た め の イ ン フ ラ ス トラ クチ ュ ア と位 置 づ け る こ とが で きる 。
転 送 す る情 報 の 中 身 はSTMの ら最 高149.76Mbps(こ
場 合 に は低 速 の低 次 群 情 報 を 多 重 化 した も の か
れ は基 本 速 度155.52Mbpsか
ど オ ー バ ヘ ッ ドを 除 い た 実 質 伝 送 速 度)ま ATMの
式 の場 合 はB-ISDN
ら保 守 監 視,網
管 理情報 な
で の 速 度 を もつ 情 報 を 対 象 とす る 。
場 合 に はセ ル で 多 重 化 され た情 報 と な る。
図 のSOHは
セ ク シ ョ ン オ ー バ ヘ ッ ドと 呼 ば れ,符
号 誤 り検 出,監
視 制 御,
打 ち合 わせ な ど網 の管 理 運 用 の 役 目を もっ て い る。 伝 送 分 野 に お い て は 運 用 保 守 につ い て 保 守 区 間 を回 線,セ
ク シ ョ ン,パ ス と階 層 化 す る 考 え 方 が あ り,図
6.21に 示 した よ う に セ ク シ ョ ン は 中継 伝 送 路 に相 当 しパ ス は 多 重 化 装 置 間 に相 当す る。SOHは
上 3行 と下 5行 に 分 か れ て い る が,こ
器 間 の 中 継 セ ク シ ョ ン(上
れ は中継 伝 送路 を中継
3行 た だ し第 1行 は 同 期 用),中
継 伝 送 路 全 体(下
5行)に 分 け て 詳 細 な 保 守 を行 う た め で あ る。 ポ イ ン タは 多 重 化 さ れ る デ ィジ タル 情 報 の先 頭 位 置 を 表 示 す る 機 能 を もつ もの で,低 速 信 号 で も多 段 階 の 多 重 化 装 置 を 介 す る こ と な く直 接150Mbpsに
図6.21伝
多 重 化 す る こ とが で きる 長 所 が あ り,
送 パ ス と デ ィジ タ ル セ ク シ ョ ン
また 周 波 数 同 期 の 機 能 を もち,も
しハ イ ア ラ ー キ が 非 同 期 多 重 化 に な っ て い る
と き に は 1バ イ トず つ の ス タ ッフ に よ り周 波 数 を調 整 す る こ とが で きる 。 ポ イ ン タ はSDHの
特 徴 の一 つ と な っ て い る。
多重 化の方法
(c)
SDHに
お け る多 重 化 の 方 法 は低 次 群 の 情 報 に オ ー バ ヘ ッ ド情 報 を つ け加 え
て “ 箱 ” に入 れ,さ
ら に い くつ か の “箱 ” を集 め て よ り大 き な箱 に 入 れ る と い
う方 法 を とっ て い る。 い わ ば 重 箱 方 式 で あ る。 この 方 式 で は箱 の 中 に どの よ う な速 度 の 情 報 が どの 程 度 多 重 化 され て入 っ て い る か を意 識 す る こ とが な い特 徴 が あ り,同 一 イ ン タ フ ェ ー ス で 様 々 な 装 置 の 間 を接 続 す る こ とが で き る利 点 が あ る 。 こ こ で は情 報 を収 容 す る も の と し て “箱 ” で 説 明 した がCCITTで Container(コ
は
ン テ ナ)と 呼 び,“ C” の 略 語 で 表 現 して い る。 例 え ば ハ イ ア ラ
ー キ の 1次 群 ,2 次群 の 情 報 をそ れ ぞ れC-1,C-2で
表 す(1
日米 と欧 州 の 2本 立 て と な っ て い る と き はC-11, C-12で
次群 の よ うに
表 す)。 こ の よ う に
コ ンテ ナ の速 度 は そ れ に収 容 し送 りた い情 報 速 度 と 同一 で あ る。 図6.22は 多 重 化 の構 造 を示 した もの で,伝 送 す る 情 報 は コ ンテ ナ C に収 容 さ れ,こ
れ に伝 送 パ ス用 の 誤 り検 出,監
視 ・保 守 情 報 の パ ス オ ー バ ヘ ッ ドPOH
(パ ス は伝 送 媒 体 の 中 の 超 多 重 化 され て い る超 高 速 信 号 を 分 割 した 一 定 の 回 線 群 の 束 を 意 味 す る)を Container)と
付 加 し た も の を バ ー チ ャ ル ・コ ン テ ナ(Virtual
呼 び, VCで
表 現 し て い る(ATMで
図6.22
SDHの
多 重化 構 造
使 うバ ー チ ャル ・チ ャ ネ ル
VCと
異 な る の で 注 意 を 要 す る)。 バ ー チ ャ ル ・コ ン テ ナ は 仮 想 的 な “箱 ” で
あ り,フ
レ ー ム の ど こ に あ っ て も よ く,POHは
を 転 送 さ れ る 。VC-11やVC-2は るVC-3と
低 次 のVCと
呼 ば れ,こ
の フ レ ー ム 内 の 位 置 関 係 を 示 すTUポ
先 頭 位 置 を 指 示)を
低 次VCに
ー タ リ ・ユ ニ ッ ト)と TUG(Tributary -1フ
多 重 化 情 報 と常 に一 緒 に 網 内
3個 束 ねAUGを
155.52Mbpsか
らSOHとPOHの
Unit:ト
リビュ ま とめ て
多 重 化 す る。 VC-3にSTM
イ ン タ を 付 け る と 管 理 ユ ニ ッ ト(AU)
作 り, STM-1に
収 容 す る 。 以 上 が 1次 群
速 信 号 で あ るC-3レ
直 接 多 重 化 も 可 能 で あ る 。C-4の
あ
体 的 に はPOHの
は 支 流 の 意 味) 。 こ のTUを
作 り, VC-3へ
レ ー ム と の 位 置 関 係 を 示 すAUポ
か ら の 逐 次 多 重 化 で あ る が,高
イ ン タ(具
付 け た も の をTU(Tributary
呼 ぶ(“tributary”
Unit Group)を
に な る 。AU-3を
れ ら と 高 次VCで
ベ ル やC-4レ
ベ ル か らの
場 合 に 転 送 す る こ との で き る 伝 送 速 度 は オ ー バ ヘ ッ ド分 を 差 し 引 い た149.76Mbpsと
な
る。
次 に 具 体 的 に 1次 群 の 場 合 の例 を 説 明 す る と,1.544Mbpsの ト+1 ビ ッ ト)/125μsの POHを
付 加 して27バ イ ト/125μsと
り,STM-1フ
信 号 は(24バ
イ
構 成 とな っ て い る が,こ れ に 固 定 ス タ ッフバ イ トと す れ ば,こ
れ は す な わ ち 9行 × 3列 と な
レー ム の ペ イ ロ ー ドと整 合 す る 。 欧 州 の 1次 群(2.048Mbps)
は 同 様 に して 9行 × 4列 とな り,STM-1フ 在 も可 能 で あ る 。 こ の よ う にSTM-1を
レー ム に 整 合 す る。 ま た両 者 の 混 9行 と した こ と は 日米 と欧 州 の 1次 群
速 度 の 違 い を最 大 公 約 数 的 な解 決 方 法 と して 生 み 出 され た 側 面 が あ る(こ れ は CCITTに
日本(NTT)が
提 案 した もの で, B-ISDNの
こ の よ うな 方 法 で 電 話 信 号 を 多 重 化 す る とSTM-1で 情 報 量129.024Mbps)と
前 進 に 大 き く貢献 した)。 は2,016チ ャ ネ ル(実
な る 。 図6.23は 以 上 に 述 べ た 1次 群 の 多 重 化 を 図示 し
た もの で あ る。 ま たSTM-1か
らSTM-4へ
の 多 重 化 方 法 は バ イ ト多 重(バ
トイ ン タ リ ー ブ)で 多 重 化 す る こ と に して い る。 図6.24はB-ISDNで 用 い られ るATMセ STM-Nの 元 もCCITTで
質
イ
新 しく
ル を転 送 す る場 合 を示 した もの で あ る。
レベ ル の信 号 は 光 フ ァイ バ で 伝 送 す る が,そ
の と きの 伝 送 方 式 諸
規 定 され て い る 。 わ が 国 で はす で にN=1,4,16,64ま
での
図6.23
バ ー チ ャル コ ンテ ナ に よる 1次 群 の 多 重 化
図6.24
光 伝 送 方 式,す
SDHフ
な わ ち 約10Gbpsま
レー ム へ の セ ルマ ッ ピ ング
で の 速 度 の 光 伝 送 方 式 が 実 用 に供 さ れ て い
る。
B-ISDNの
[4]
網構 成
網 構 成 とVC, VP
(a)
B-ISDNはATMに
よ っ て情 報 を転 送 す る 。 ATMの
基 本 原 理 は① セ ル を単
位 と した情 報 転 送,②
セ ル の ヘ ッダ に よる 通 信 の 識 別,ラ
ベ ル 多 重,③
ハー ド
ウ ェ ア に よ るス イ ッチ ン グで あ る。 ラ ベ ル ア ドレス は 階 層 化 され て い て,セ を転 送 す る 仮 想 チ ャ ネ ル(VC)と
仮 想 パ ス(VP)を
ル
識 別 す る仕 組 み に な って
い る。 ATMに
よ る 通 信 で は従 来 の よ うに 一 つ の 物 理 的 回 線 を 一 つ の 通 信 に 固 定 し
占有 す る の で は な く,一 つ の 回線 に複 数 の 通 信 の セ ル を多 重 し て送 る の で,ど の セ ル が ど の通 信 に対 応 す るか は セ ル の ヘ ッダ 内 を見 な け れ ば わ か ら ない 。 つ
ま り,個 々 の 通 信 の た め に専 用 の 回線 が 用 意 さ れ て い る わ け で は な く “仮 想 的 な ” 回線 が で き て い る と考 え られ る。 そ の た め こ の よ う な回 線 を 仮 想 チ ャ ネル (VC:Virtual 64kbpsで
Channel)と
呼 ぶ 。 従 来 の デ ィ ジ タル網 で は 回 線 の単 位 は
ATMで
あ り,送 信 情 報 の 有 無 に拘 らず 回線 を保 留 して信 号 を 送 っ て い た が, は情 報 が 発 生 した と きだ け送 る こ と に な り速 度 が 可 変 で あ る 点 が 大 き
く異 な る。 具 体 的 に はVCを
設 定 す る 際, ATMの
セ ル のVCの
番 号 と宛 先 を
網 内 に登 録 し,こ の セ ル が 網 内 に きた らそ の 都 度 宛 先 に振 り分 け る 。VCの 続 を行 う装 置 をバ ー チ ャル ・チ ャ ネ ル ・ハ ン ドラ(VCH:Virtual Handler)ま
た はATM交
接
Channel
換 機 と い う。
ま た,従 来 の デ ィ ジ タ ル網 で は い ろ い ろ な速 度(1 次 群 速 度 の1.5Mbpsの 数 倍)の
整
デ ィジ タル パ ス(回 線 の 集 ま り)を 各 対 地 間 の トラ ヒ ッ ク容 量 に 応 じ
て 固 定 的 に設 定 し,回 線 束 の 分 岐 ・挿 入(ク
ロス コ ネ ク ト),大 容 量 伝 送 シ ス
テ ム に対 す る多 重 化 ・分 離 に柔 軟 な 運 用 を して い る が,ATMの 区 間 のVCを
ま とめ パ ス を設 定 す る 。 ATMで
場 合 で も同 一
は セ ル を 単 位 と して 任 意 の 容 量
の パ ス を設 定 す る こ とが で き る。 こ の パ ス を仮 想 パ ス(VP:Virtual と 呼 ぶ 。VPは
対 地 間 の トラ ヒ ッ クが どれ だ け の 容 量(伝
Path)
達 可 能 な 速 度)が
あ
る か を示 す い わ ば水 道 管 の パ イ プ の よ う な もの で あ る。VPを
設 定 し た り容 量
を制 御 す る装 置 をバ ー チ ャル ・パ ス ・ハ ン ドラ(VPH:Virtual
Path Handler)
と い う。 この 装 置 は ク ロ ス コ ネ ク ト,多 重 化 装 置 な どの伝 送 装 置 で あ る 。 以 上 に述 べ た よ う にVCも
こ れ を集 め たVPも
速 度 が 固 定 的 で は な くセ ル を
転 送 で きる 能 力 を 表 す こ と に な る 。 従 来 の デ ィ ジ タル 網 の 場 合 に は 1次 群 の 1.5Mbpsで
は24回 線 しか 多 重 で き なか っ た が,こ
理 的 に非 常 に多 くのVCが
れ に対 して 一 つ のVPに
収 容 で き,そ の 上 限 はセ ル の 最 大 転 送 数/時
まる と い う違 い が あ る。 す な わ ち,ATMで
は論 間で決
は 回 線 と速 度 を独 立 して扱 う こ と
が で き る特 徴 が あ る 。 B-ISDNの ク,伝
伝 達 網 は 図6.25に
示 す よ う に, VCネ
ッ トワ ー ク, VPネ
ッ トワー
送 媒 体 ネ ッ トワー ク に 階 層 化 す る こ とが で きる 。 ま た 階 層 相 互 間 の 関係
を 図6.26に
示 す 。VC網
は ユ ー ザ に サ ー ビ ス を 提 供 す る 網 で あ り, VCは
従 来
図6.25
B-ISDNの
図6.26
アーキテクチ ュア
VPとVCの
関係
の 回 線 と同 様 に 発 信 端 末 と着 信 端 末 の 間 を 結 ぶ 役 割 を もっ て い る 。VPは 区 間 のVCを
束 ね た もの で ク ロ ス コ ネ ク トな ど の 伝 送 単 位 とな る もの で あ る 。
原 理 的 に は ユ ー ザへ の サ ー ビス と結 びつ い たVC網 す る こ と もで きる が,大
だ け で ネ ッ トワー ク を 構 成
規 模 ネ ッ トワ ー ク で はVP網
を 導 入 す る こ と で,ネ
トワー ク 内 に 呼 処 理 を必 要 と し な い ノー ド(ク ロス コ ネ ク ト機 能)を ネ ッ トワー ク の 経 済性,運 過 負 荷(過
同一
用 性 を 高 め る こ とが で きる 。VCH, VPHは
大 な トラ ヒ ッ クが 入 力 さ れ た 場 合,セ
ッ
設 置 して 障害 や
ルが バ ッフ ァ メモ リか らオ ー
バ フ ロ ー す る こ と)に 対 してVC/VPの て い る 。 伝 送 媒 体 網 はSTM系
容 量 や 経 路 を適 応 制 御 す る機 能 を も っ
と設 備 を共 用 して お り,伝 送 速 度 は 固 定 さ れ て
い る。 以 上 の ほ か の 特 徴 と して,B-ISDNの に お け るパ ス のVP化
伝 達 網 は ノ ー ドの 種 別 は 少 な く,伝 送
に よ りハ イ ア ラー キ の 階 層 は少 な くて 済 み,ネ
ッ トワ ー
ク の構 造 は単 純 化 され 運 用 ・管 理 は容 易 と な る。 ま た トラ ヒ ッ ク の変 動 や 障 害 状 況 に応 じてVC/VPの
容 量 や 経 路 を臨 機 応 変 に 変 更 す る こ とが で き る の で,
ネ ッ トワー ク を 柔 軟 に運 用 す る こ とが で き,高 信 頼 化 が 実 現 で き る 長 所 が あ る。 ATMの
ネ ッ トワ ー ク で は セ ル の形 態 で 情 報 転 送 を行 うが,そ
末 との イ ン タ フ ェー ス,ま
た は 非ATM網
しセ ル に組 み 立 て る 処 理,あ
のため には端
との 網 間接 続 の と ころ で情 報 を 分 割
る い は セ ル か ら元 の 情 報 に復 元 す る処 理 が 必 要 で
あ る。 セ ル の 組 立 ・分 解 を行 う機 能 をCLAD(Cell
Assembly/Disassembly)
とい う。 セ ル の 組 立 に 際 し て は,セ ル の 紛 失 や セ ル の 遅 延 な どへ の 対 処 が 必 要 に な る 。 こ の 対 処 方 法 は メ デ ィ ア に よ っ て 異 な る た め,CLADは っ た も の と な り,固 CLADな
定 速 度 音 声 用CLAD,可
どが考 え られ る。 CLADの
(Terminal Adapter),
NA(Network
合)な
どで あ る。
(b)
ユ ー ザ ・網 イ ン タ フ ェー ス
B-ISDNの
メデ ィアご とに異 な
変 速 度 画 像 用CLAD,デ
ー タ用
配 置 さ れ る 場 所 は 端 末(B-TE), Adapter:非ATM網
ユ ーザ ・網 イ ン タ フェ ー ス(B-UNI)はISDNの
TA
との 網 間接 続 の 場
基本 概念 を踏襲
し,高 速 デ ー タや 広 帯 域 映 像 な ど の広 帯 域 サ ー ビス の 実 現,ATMのVC/VP の 概 念 に よ る多 種 類 の 速 度,サ
ー ビス へ の 対 応 な ど を考 慮 し標 準 化 を行 っ て い
る。 端 末 と ネ ッ トワ ー ク との 接 続 形 態 をモ デ ル 化 した 参 照 構 成 はN-ISDNと 同 じで あ り,規 定 点 は添 え文 字 Bを 付 して い る 。B-UNIの 度 はNNIと
イ ンタ フェース速
の 整 合 性 を 考 慮 して155.52Mbit/sと622.08Mbit/sの
され て い る 。B-UNIで
重 要 な イ ン タ フ ェ ー ス の 基 本 構 造 はSDHベ
ベ ー ス の 2種 類 が 規 定 され て い る。 次 に 主 要 点 につ い て述 べ る 。
2種 類 が 規 定 ー ス とセ ル
SDHベ
ー ス イ ン タ フ ェ ー ス はSDHの
ピ ン グす る 方 法 で あ り,図6.24の をVC-4の
中 のC-4領
イ ト)と セ ル長(53バ
ペ イ ロ ー ド部 分 にATMの
よ うにSTM-1フ
レー ム を使 い, ATMセ
域 に マ ッ ピ ン グ す る。 この と きC-4の
定 と整 合 して い る 。 ATMの
ル
容 量(2,340バ
イ ト)は 整 数 関係 に な っ て い な い の で 次 のC-4領
また が っ て マ ッ ピ ン グ さ れ る こ と も あ る。SOH,ポ NNI規
セル をマ ッ
域に
イ ン タ, POHはSDHの
セ ル 流 に対 して は ヘ ッ ダ の 誤 り制 御(HEC)
とセ ルの 先 頭 位 置 を識 別 す る セ ル 同 期 が あ る 。伝 送 路 で ヘ ッ ダ に伝 送 誤 りが 発 生 す る と セ ル の 損 失 や 誤 配 送 が 生 ず る の で ヘ ッ ダ誤 り制 御 の 機 能 が あ り,1 ビ ッ トま で の 誤 りの訂 正 と複 数 ビ ッ トの誤 りの 検 出 を行 う。 検 出 方 法 にCRC符 号 が 用 い られ て い る。 ま た,セ
ル 同 期 の方 法 と して はヘ ッ ダ誤 り制 御 機 構 を流
用 す る方 法 が 採 られ て い る。 一 方,セ
ル ベ ー ス イ ン タ フ ェ ー ス は イ ン タ フ ェ ー ス 構 造(OAMセ
を す べ て セ ル で 構 成 す る こ と に し て お り,27セ
ル に 1 セ ル の オ ー バ ヘ ッ ド情
報 を 挿 入 す る 。 オ ー バ ヘ ッ ドセ ル はSDHのSOH相 果,セ
SDHベ
当 の機 能 を有 す る 。 こ の 結
ル ベ ー ス イ ン タ フ ェ ー ス の 伝 送 容 量 はSDHベ
じ 容 量(149.76Mbit/s)と
ー ス イ ン タ フ ェ ー ス と同
な る 。 ヘ ッ ダ の 誤 り制 御 と セ ル の 先 頭 位 置 の 識 別 は
ー ス の と き と 同 様 のHECを
そ の ほ かB-UNIの
ル と い う)
用 い て い る。
物 理 レイ ヤ は 高 速 広 帯 域 信 号 を扱 うの でN-ISDNのUNI
の 場 合 と は か な り異 な っ た も の と な っ て い る 。伝 送 媒 体 に は 2本 の シ ン グ ル モ ー ドの 光 フ ァイ バ ま た は 同 軸 ケ ー ブ ルが 対 象 とな る。 光 伝 送 の 場 合 の 物 理 的 条 件,電 気 的条 件 が 細 か く規 定 さ れ て い るが,こ
[5] ATMの B-ISDNの ATMア
プ ロ トコル プ ロ トコ ル は 図6.27に 示 す よ う に 物 理 レ イ ヤ, ATMレ
ダ プ テ ー シ ョ ン ・レイ ヤ(AAL)お
る。 物 理 レイ ヤ は 物 理 的 条 件,伝 の 誤 り制 御,セ ATMレ
こで は省 略 す る 。
イ ヤ,
よ び上 位 レ イ ヤ か ら成 り立 っ て い
送 ペ イ ロ ー ドへ の セ ル の マ ッ ピ ン グ,ヘ
ッダ
ル 同期 な ど が 含 まれ て お り,そ の 内 容 は す で に概 要 を述 べ た 。
イ ヤ は通 信 サ ー ビス の種 類 に依 存 しな い 共 通 に必 要 と され る セ ル の 転
図6.27B-ISDNの
送 機 能 を提 供 す る 。AALは
伝 達 プ ロ トコ ル
各 サ ー ビス に 依 存 す る機 能 を扱 い,各
サ ー ビス に
対 して 複 数 の プ ロ トコル が 規 定 さ れ て い る。 この よ うに 各種 サ ー ビ ス に 依 存 す る 上 位 レ イ ヤ の 機 能 追 加,変
更 をAALで
吸 収 し, B-ISDN網
の基本機 能で あ
る セ ル の転 送 機 能 に影 響 を与 え な い よ う に して い る こ とが 特 徴 で あ る 。 ユ ー ザ の 情 報 に つ い て は 図 に 示 す よ う に,サ
ー ビス に 関 係 す るAAL以
ル は す べ て 端 末 側 で 扱 う(呼 設 定,解
放 な どの 制 御 は別)。 以 下 にATMレ
ヤ お よ びATMア
ダ プ テ ー シ ョ ン ・レ イヤ(AAL)に
上 の プ ロ トコ イ
つ い て詳 し く述 べ る。
(a) セルの構造 と機能 B-ISDNで
は,高 速 化 と網 内 処 理 遅 延 時 間 の 短 縮 の た め に,ネ
部 の 伝 達 プ ロ トコ ル を 極 力 簡 略 に して い る 。 す な わ ち,ネ
ッ トワー ク 内
ッ トワ ー クが 具 備 す
る 機 能 は セ ル転 送 機 能 の み に 限 定 し,フ ロ ー 制 御 や 誤 り制 御 等 の サ ー ビス に 関 係 す る 機 能 は ユ ー ザ 側 端 末 に 置 か れ る上 位 レイ ヤ で 実 現 す る こ と と し て い る。 した が っ て,ユ
ー ザ 情 報 の 転 送 に 関 し て ネ ッ トワ ー クが 関与 す るの はATMレ
イ ヤ ま で で あ る。 セ ル の 構 造 はUNIとNNIの と な っ て い る 。 す な わ ち,5
す べ て の 参 照 点 で 同 一 で あ り図6.28に バ イ トの ヘ ッ ダ と48バ
示 す構 造
イ トの 情 報 フ ィ ー ル ドか
図6.28セ
ル とセ ルヘ ッダ の構 造
ら 成 り立 っ て い る 。 5 バ イ トの ヘ ッ ダ 部 分 に 関 し て はUNIとNNIで
異 な る定
義 が な さ れ て い る 。ATMに
Path)と
VC(Virtual
よ るB-ISDNで
Channel)の
来 の 回 線 に 相 当 し,VPは
VCを VCIは
従
各 回線 が 行 き先 別 に 多 重 化 され た パ ス に 相 当 す る。 Path Identifier:仮
Identifier:仮
想 パ ス 識 別 子)お
想 チ ャ ネ ル 識 別 子)は
区 別 す る た め の 番 号 で, VPIは150Mbpsな 各VPご
にVP(Virtual
概 念 が あ る こ と を 述 べ た 。 簡 単 に い え ば, VCは
セ ル ヘ ッ ダ 内 のVPI(Virtual (Virtual Channel
は,前
よ びVCI
そ れ ぞ れ 個 々 のVP,
ど の イ ン タ フ ェ ー ス ご と に,
と に 決 め られ る。 こ の 両 者 を併 せ て ル ー チ ング ビ ッ トと呼 ん で
い る 。 ま た 同 一 呼 で 使 用 す るVPIとVCIの
値 は 上 り 方 向 と 下 り方 向 で 同 じ値
となる。 ル ー チ ン グ ビ ッ トの 中VCIに ら れ て お り,各VPご NNIで
はVPIにUNIよ
対 し て はUNI,
と に65,000以
NNIと
も16ビ
ッ トが 割 り 当 て
上 の 仮 想 チ ャ ネ ル を 多 重 す る こ とが で き る。
り 4 ビ ッ ト多 い12ビ
ッ トが 割 り 当 て ら れ て い る 。 こ れ
は 網 内 で バ ー チ ャ ル パ ス の 数 を 多 く使 用 す る 必 要 が あ る こ と,お るGFC(Generic
Flow Control:一
般 的 フ ロ ー 制 御)が
よび 後 で 述 べ
不 要 な た め で あ る。
以 上 の 基 本 機 能 に 加 え て 性 能 を 向 上 さ せ る た め,HEC(Header Control:ヘ
ッ ダ 誤 り制 御)に
8 ビ ッ ト,情
か 制 御 情 報 か を 識 別 す る た め のPT(Payload
Error
報 フ ィ ー ル ドの 内 容 が ユ ー ザ 情 報 Type:ペ
イ ロ ー ド種 別)に
3ビ
ッ ト,サ
ー ビ ス 品 質 か ら セ ル 損 失 優 先 度 を 指 定 す るCLP(Cell
Priority:セ
ル 損 失 優 先)に
て い る 。 な お,UNIに 御 す るGFCの
1 ビ ッ トの 領 域(“
限 っ て,複
1 ” は 低 優 先 度)が
VPI, VCI, PT, CLP,
VCI, PT, CLP, HECの
(b) ATMア
定 義 され
数 端 末 か らの ア ク セ ス を衝 突 防 止 の た め 制
4 ビ ッ トが 定 義 さ れ て い る 。 な お,ヘ
場 合 に はGFC,
Loss
HECの
ッ ダ の 送 出 順 序 はUNIの
順 で, NNIの
場 合 に はVPI,
順で ある。
ダ プ テ ー シ ョ ン レイ ヤ(AAL)
ATM網
で はす べ て の 情 報 をセ ル の 単 位 で 転 送 す る た め,セ
るATMレ
イ ヤ 以 下 で は音 声,デ
ルの転 送 に関わ
ー タ,画 像 な どの メ デ ィア や サ ー ビ ス を意 識
した 処 理 は行 わ れ な い 。 し か し,各 サ ー ビス の 情 報 の セ ル 化 に あ た っ て は,品 質 条 件 の 違 い を 吸 収 す る こ とが 必 要 に な る。 この 機 能 を果 た す の がAALで
あ
る 。ATMレ
機
イ ヤ の 機 能 が 各 種 サ ー ビス に共 通 で あ る の に対 して, AALの
能 は上 位 レイ ヤ か らの 要 求 に応 じて 多 様 で あ る。 AALの
基 本 的 機 能 は,①
原 情 報 を セ ル に 分 割 ・組 立 す る た め の 処 理,②
ル の 損 失 や 伝 送 誤 り に 起 因 す る 誤 配 送 に 対 す る 処 理,③ ④ フ ロ ー 制 御,⑤
タ イ ミ ン グ 制 御 な ど で あ る 。AALの
で は 二 つ の サ ブ レ イ ヤ す な わ ち,セ Segmentation
and Reassembly
(CS:Convergence
Sublayer)に
ト を 複 数 の セ ル に 分 割 し た り,そ
セ ル 遅 延 変 動 の 補 償, 機 能 は プ ロ トコ ル の 上
ル 分 割 ・組 立 サ ブ レ イ ヤ(SAR:
sublayer)と
コ ンバ ー ジ ェ ン ス サ ブ レ イ ヤ
分 け られ る 。 SARは
ユ ー ザ の デ ー タユ ニ ッ
の 逆 に複 数 の セ ル を一 つ の デ ー タユ ニ ッ トに
組 立 て る こ と を 主 な 機 能 と し て い る 。CSは
正 し く分 割 ・組 立 さ れ た か 否 か を
検 証 し て 上 位 レ イ ヤ に 渡 す 機 能 を も っ て い る 。 上 位 レ イ ヤ,AAL, ヤ の 関 係 を 図6.29に
示 す 。 図 か ら わ か る よ う に,SARで
ー ル ドをつ な げ られ る よ う に り 出 す と き に はCSに
ATMレ
に 対 す る サ ー ビ ス は,①
,ト
ッ ダ と トレー ラ を挿 入 して い る。 デ ー タ を送
レ ー ラ で 末 尾 を 示 し て い る 。AALの
変 速 度 の 区 別),③
ッダでデ
上 位 レイ ヤ
発 着 間 で タ イ ミ ン グ 関 係 を 維 持 す る 必 要 性,② 定 速 度,可
イ
は各 セ ル の 情 報 フ ィ
見 ら れ る よ う に ヘ ッ ダ と ト レ ー ラ を 付 加 し,ヘ
ー タユ ニ ッ トの 始 ま り を
う情 報 の 伝 送 速 度(固
,ヘ
セ
取 り扱
通信 に先立 つ コネ ク シ ョ
図6.29
ンモ ー ド(コ ネ ク シ ョ ン型,コ
情報の収容方法
ネ ク シ ョ ン レス 型 の 区 別)の
3種 の 観 点 か ら分
類 され る。 そ の組 み 合 わせ は 8種 あ り,そ れ ぞ れ につ いて 規 定 され て い る。
[6]
B-ISDNの
N-ISDNは
利 用
従 来 の 電 話 網 や パ ケ ッ ト網 が 提 供 して い た 通 信 サ ー ビ ス をす べ
て提 供 す る と共 に,さ
らに64∼1,536kbpsの
あ っ た 。 同様 にB-ISDNで
はN-ISDNが
デ ィ ジ タ ル通 信 を提 供 す る もの で 提 供す る通信 サー ビスの すべ て に加
えて,高 速 ・広 帯 域 の通 信 サ ー ビス を提 供 す る こ とが 予 定 され て い る 。 そ して さ ら に様 々 な形 態 の 通 信 サ ー ビ ス の 提 供 が 考 え られ て い る。CCITTで よ う な観 点 か らB-ISDNサ
は この
ー ビ ス を分 類 整 理 して い る 。 そ の 主 要 点 は 以 下 の
通 りで あ る。 対 話 型 サ ー ビス メ ッセ ー ジ型 サ ー ビス
相互通信 型サー ビス (例:メ
ー ル ボ ッ ク ス,同
報 通 信)
検索型 サー ビス
分 配 型 サ ー ビス これ と音 声,動
{ ユ ー ザ コ ン ト ロ ー ル 無 し(例:TV放
送,音
響 放 送)
ユ ー ザ コ ン トロ ー ル有 り(情 報 の 開始,順 序 の制 御) 画,静 止 画,図
形,文
書 ,デ ー タな どの 情 報 タ イ プ との 組 み 合
わせ を考 え る と非 常 に 多 くの サ ー ビス,ア
プ リ ケ ー シ ョ ンが あ る。
以 上 と は 別 に 通 信 プ ロ トコ ル か らの 分 類 が あ る 。 そ れ はN-ISDNで
も述 べ
た ベ ア ラサ ー ビ ス とテ レサ ー ビス で あ る。 テ レサ ー ビス は端 末 間 で 高 位 レイ ヤ の プ ロ トコル を提 供 す る こ とに よる 音声,画 あ る。B-ISDNで
像,デ
ー タ な どの 通 信 サ ー ビ ス で
は高 速 広 帯 域 サ ー ビス と し て, LAN相
信 や 高 精 細 テ レ ビ ジ ョ ン(HDTV),
CATVな
互 間 の 高 速 デ ー タ通
ど の 映 像 通 信 サ ー ビス が 可 能 と
な る。 ベ ア ラ サ ー ビ ス は ユ ーザ ・網 イ ン タ フ ェ ー ス(S ま た は T の 参 照 点)の 間 の伝 達 レイ ヤ(レ
イ ヤ 1∼ レイ ヤ 3)に お け るサ ー ビス で あ る。B-ISDNの
ベ ア ラサ ー ビス の特 徴 と して は,接 続 す る方 法 と して コ ネ ク シ ョ ン型(通 信 経 路 を設 定 して か らデ ー タ を送 る)と
コ ネ ク シ ョ ン レ ス 型(通 信 経 路 を予 め設 定
しな い で デ ー タ ご とに 宛 先 を つ け て送 る)の
2種 類 あ る こ と と,ATMに
より
可 変 速 度 の 情 報 を セ ル 間 隔 の粗 密 で 送 る こ とが で き,効 率 の よい 統 計 的 多 重 が で き る こ とで あ る。 図6.30に は 可 変 速 度 通 信 が 画 質 一 定 の 通 信 を 行 う こ とが で き る こ とを 示 した。 た だ し,可 変 速 度 通 信 の場 合 に は前 提 と して,情 報 の 遅 れ,
(a)固 定 速 度 通 信(従
(b)可 変 速 度 通 信(画
来 の 通 信)
質 一 定)
図6.30 可 変 速 度 通 信 の特 長
切 捨 て が 起 こ らな い よ う十 分 大 きな伝 送 容 量 を準 備 して お く必 要 が あ る。
演 1.通
習
問
題
信 ネ ッ トワ ー ク を デ ィ ジ タ ル化 す る メ リ ッ トは何 か?
2.ISDNの
概 念 とね らい につ いて述 べ よ。
3.I イ ン タ フ ェ ー ス の 種 類 と構 造 に つ い て 知 る と こ ろ を 述 べ よ 。 4.基
本 イ ン タ フ ェ ー ス に お け る D チ ャ ネ ル 競 合 制 御 に つ い て 説 明 せ よ。
5.多
重LAP方
式 の 特 徴 を 述 べ よ。
6.時 分 割方 向制 御 の加 入者線 伝 送方式(ピ ンポ ン伝 送方 式)の ね らい と原理 につ い て説 明 せ よ。 7.B-ISDNの 8.ATMの 9.SDHの 10.次
概 念 と ね らい に つ い て 知 る と こ ろ を 述 べ よ。 原 理 と特 徴 に つ い て述 べ よ。 考 え方 に つ い て 要 約 し説 明 せ よ 。
の 用 語 を 説 明 せ よ。 (a)I シ リ ー ズ 勧 告,(b)タ (d)ベ
ア ラ サ ー ビ ス,(e)ペ
ー ミ ナ ル ア ダ プ タ,(c)チ イ ロー ドとポイ ンタ
ャ ネ ル タ イ プ,
付
録
1 有線伝送媒体の種類と伝送特性 有 線 の伝 送 媒 体 は 大 別 す る と,材 料 面 か ら銅 線 系 と グ ラス フ ァイ バ 系 と に分 け る こ とが で き,線 路 と して は 前 者 は 更 に 平 衡 ケ ー ブ ル と 同軸 ケ ー ブ ル に な り 後 者 は光 フ ァ イバ ケ ー ブ ル とな る 。 本 文 で 述 べ た よ うに平 衡 ケ ー ブ ル は 2本 の 導 体 を撚 り合 わ せ て対 と し,こ れ を多 数 集 合 した構 造 とな っ て お り,同 軸 ケ ー ブ ル は導 線 の 外 部 を 同心 の 円筒 状 の 導 体 で 覆 い,外 部 導体 を接 地 し た不 平 衡 型 の ケ ー ブ ル構 造 とな っ て い る。 平 衡 ケ ー ブ ル は音 声 回線 お よ び小 容 量 多 重 伝 送 用 と して 近 距 離 で 使 わ れ,同 軸 ケ ー ブ ル は 広 い 伝 送 周 波 数 帯 域 を有 し,外 部 か らの 妨 害 雑 音(主
と して 漏 話 雑 音)が
非 常 に 少 な い の で,伝 送 品 質 が 厳 し く要
求 さ れ る 遠 距 離 超 多 重 伝 送 用 に使 わ れ て い た 。 近 年,出 現 した光 フ ァ イバ は 極 め て 広 い伝 送 帯 域 を有 し,外 部 か らの 電 磁 界 雑 音 が 全 く存 在 しな い な ど,非 常 にす ぐれ た伝 送 特 性 を もつ伝 送 媒 体 で あ る 。 そ して最 近 は 光 フ ァイ バ ケ ー ブ ル の低 価 格 化 が 進 み,同 軸 ケ ー ブ ル は 勿 論,平
衡 ケ ー ブ ル の 一 部 も光 フ ァイ バ に
置 き換 え られ る 状 況 とな っ て い る 。 以 下 に これ らの 銅 線 ケ ー ブ ル と光 フ ァイ バ ケ ー ブ ル の 主 要 な伝 送 特 性 につ い て 述 べ る 。
(1)平 衡 ケー ブル と同軸 ケー ブルの伝 送特性 線 路 で重 要 な伝 送 特 性 は損 失 の周 波 数 特 性 と漏 話 特 性 で あ る。 銅 線 の 損 失 は 基 本 的 に は構 成 材 料 で あ る軟 銅 線 の 抵 抗 率 と心 線 径 に依 存 す る 。 平 衡 ケ ー ブ ル は 多 くの種 類 が あ るが,特
に 市 内 ケ ー ブ ル の場 合 に は加 入 者 端 末 と交換 機 を 結
ぶ加 入 者 線 の 損 失 を規 格 値 に 合 わせ る た め,布 設 の 際 に選 択 可 能 な多 くの心 線 径 が 用 意 さ れ て い る。 こ れ に 対 して 同 軸 ケ ー ブ ル は国 際 的 に 1種 に標 準 化 され
て い る 。 す な わ ち,内 造 で,内
部 導 体 の 外 径 が2.6mm,外
部 導 体 の 内径 が9.5mmの
構
部 導 体 は ポ リエ チ レ ン円 板 で支 え られ て い る。 この構 造 の た め 外 部 か
らの 高 周 波 妨 害 雑 音 を防 ぐ こ とが で きる が,更
に 低 周 波 の 電磁 誘 導 妨 害 を 防 ぐ
た め 同軸 の 外 側 に鉄 テ ー プ を 巻 い て い る 。 こ の標 準 化 さ れ た 同 軸 を標 準 同軸 と 呼 び,こ
れ を 単 位 と し て最 大18心 の 範 囲 内 で 円形 に配 置 し外 被 を 施 した もの
が標準 同軸 ケーブルで ある。 銅 線 ケ ー ブ ル の 減 衰 量(dB)の
周 波 数 特 性 は 一 般 に 次 式 の よ うに 表 す こ と
が で き る。 減 衰 量(dB/km)=a√f+bf こ こ で a,b は 定 数 で あ り,第
1項 は 抵 抗 減 衰 量,第
2項 は 漏 れ 減 衰 量 を 示
して い る。 第 1項 は導 体 内 を流 れ る 電 流 が 高 周 波 に な る ほ ど外 側 の 表 層 部 に 集 中 して 流 れ る,い
わ ゆ る表 皮 効 果(skin effect)に 起 因す る もの で あ り,第
2
項 は漏 れ コ ン ダ ク タ ンス と な る絶 縁 材 料 の損 失 分 に起 因 す る もの で あ る。 この 減 衰 量 の 周 波 数 特 性 は 高 周 波 を 除 く通 常 の多 くの場 合 は,a≫bで
あり
近 似 的 に は 第 2項 を無 視 し第 1項 の み と して 扱 っ て い る の で 俗 に線 路 の √ 特 性 と呼 ん で い る 。 この 特 性 は 平 衡 ケ ー ブ ル と同 軸 ケ ー ブ ル に共 通 な もの で,大
略
的 に は 低 域 瀘 波 型 フ ィ ル タ に近 い特 性 で あ る 。 線 路 の漏 話特 性 は,同 軸 の 場 合 は 漏 話 が 殆 ど存 在 しな い の で,平 衡 ケ ー ブ ル の み を対 象 とす る こ とに な る。漏 話 は ケ ー ブ ル 内 の 多 くの 心 線 対 間(導 体 対 間) の 電 気 信 号 の 漏 れ に よ る 妨 害 を意 味 し,こ の 現 象 は心 線 対 間 の電 磁 的,静 結 合 に よ り生 ず る電 磁 ・静 電 誘 導 に 起 因 す る の で,漏
電的
話 の 伝 送 特 性 は 一 般 に非
常 に 複 雑 で あ る。 そ の た め こ こ で は 簡 単 に要 点 の み を述 べ る。 漏 話 妨 害 は,① 心 線 対 間 隔 が 小 さ い ほ ど大 きい 。 つ ま り隣接 対 か らが 最 大 で あ る 。② 情 報 信 号 の 進 行 方 向へ の 漏 話(遠
端 漏 話 とい う)よ
話 とい う 。 信 号 の U タ ー ン漏 話)の
り進 行 方 向 と逆 方 向 の 漏 話(近
端漏
方 が 妨 害 度 が 大 きい 。 ③ 信 号 の 周 波 数 が
高 い ほ ど妨 害 度 は大 きい 。 漏 話 妨 害 を軽 減 す る た め の 方 法 と して は,① 心 線 対 を よ く撚 る 。 更 に近 傍 の 心 線 対 同志 の 撚 り ピ ッチ を 変 え れ ば効 果 的 で あ る 。 ② 同 一 ケ ー ブ ル 内 の 心 線 の 情 報 信 号 の 方 向 を一 方 向 に 揃 え て 近 端 漏 話 を 防 止 す
る。 した が っ て 上 り と下 りが 必 要 な 通 常 の 場 合 に は ケ ー ブ ル 2条 の設 置 が 必 要 とな る 。 ③ 高 周 波 ま で使 用 す る広 帯 域 情 報 信 号 や 多 重 化 信 号 に 対 して は同 軸 ケ ー ブ ル に切 り替 え る こ とが 望 ま しい 。
(2)
光ファイバの種類と伝送特性
光 フ ァイ バ は伝 搬 モ ー ドに よ っ て 付 図1.1に 示 す よ うに 3種 に分 け る こ とが で き る 。 ス テ ップ イ ン デ ック ス(SI)フ (GI)フ
ァ イ バ と グ レー デ ッ ドイ ンデ ッ クス
ァイ バ は マ ル チ モ ー ドフ ァイ バ と呼 ば れ,多
くの 伝 搬 モ ー ドが 存 在 す
る 。SIフ ァイ バ とGIフ ァ イ バ の 違 い は コ ア 内 の屈 折 率 分 布 の 違 い で,前
者は
一 様 で 後 者 は緩 や か に変 化 して い る。 マ ル チ モ ー ドフ ァ イバ に 多 くの伝 搬 モ ー ドが あ る と い う こ と は,図
に示 す よ うに 光 フ ァイバ の コ ア とク ラ ッ ドの境 界 で
全 反 射 す る と き種 々 の角 度 を と り,多 くの 経 路 が あ る こ と を 意 味 す る。 この た め,モ
ー ドに よ っ て 実 際 に伝 搬 す る長 さ(光 路 長)は
変 化 す る 。 この マ ル チ モ
(a)ス テ ッ プ イ ン デ ッ ク ス フ ァ イ バ (b)グ レ ー デ ッ ド イ ン デ ッ ク ス フ ァ イバ (c)シ ン グ ル モ ー ドフ ァ イ バ
付 図1.1
光 フ ァ イ バ の構 造 と屈 折 率 分 布
ー ドの伝 搬 は最 初 に光 が フ ァイバ に 入 射 す る と き,最 大 受 光 角 度(こ 数:NAと
呼 ぶ)以
れ を開口
内 で あ れ ば種 々の 角 度 で 入 射 す る こ とが で き る こ と に起 因
して い る。 送 信 側 か ら送 られ た光 信 号 は多 数 の モ ー ドに分 か れ て 伝 搬 し,光 路 長 の 差 は 受 信 側 で の 合 流 の 時 に遅 延 時 間 の 差 とな り,マ ル チ モ ー ド光 フ ァイバ を伝 搬 した 光 パ ル ス 信 号 は な ま り広 が っ て し ま う 。GIフ ァ イ バ は こ れ を改 良 した も の で,フ
ァ イ バ 断 面 の 屈 折 率 分 布 をSIフ ァイ バ の場 合 の 階 段 状 の 変 化
か ら,図 の よ う に コ ア の 中 心 部 で 大 き く周 辺 部 で小 さ くな る よ う緩 や か な変 化 に変 え て い る。 光 の 伝 搬 速 度 は屈 折 率 に逆 比 例 す る 性 質 が あ る の で 光路 長 の違 い に よ る影 響 を 少 な くす る こ と が で き る。 理 論 的 に は屈 折 率 を 半 径 方 向 の 2乗 に 比 例 して 小 さ く な る よ う に 変 え て や る の が よ い と さ れ て い る 。 この 結 果, GIフ ァ イバ はSIフ ァ イバ に比 し て伝 送 帯 域 が 広 く な る た め,マ
ル チ モ ー ドの
中 で多 く使 われ て い る フ ァイ バ で あ る 。マ ル チ モ ー ドフ ァイ バ の標 準 的 寸 法 は, コ ア径 が50μm,ク 1%程
ラ ッ ド径 が125μmで,コ
ア とク ラ ッ ドとの屈 折 率 差 は
度 で あ る。 シ ン グ ル モ ー ドフ ァイ バ は コ ア径 が 細 い た め 文 字 どお り 1つ
の モ ー ドしか 伝 搬 しな い フ ァ イ バ で,コ
ア径 が8μm程
度(ク
ラ ッ ド径 は マ ル
チ モ ー ドと同 じ)と 非 常 に細 くな っ て い る。 シ ング ル モ ー ドフ ァ イバ は 光 パ ル ス の広 が りが 非 常 に 少 な い た め,長
距 離 大 容 量 伝 送 に使 わ れ て い る。
光 フ ァ イバ は 通 常 透 明 度 の 高 い 石 英 ガ ラス(SiO2)を
材 料 と して い る が,そ
の 中 に は 通 常 遷 移 金 属 な どの 不 純 物 が 含 まれ て お り,こ れ らが 吸 収 損 失 と な る の で こ れ ら を除 去 し な け れ ば な らな い 。 不 純 物 で最 後 まで 残 る もの は ガ ラス に 含 まれ て い る水 分(OH基:水
酸 基)で
レベ ル まで 除 去 され て,3dB/km程
あ る。 現 在 で は 努 力 の 結 果,数ppbの
度 の フ ァイ バ を作 る こ とが 可 能 と な っ て い
る。 最 初 の 光 伝 送 で は 使 い や す い レ ーザ の 事 情 か ら近 赤 外 線 の 中 で0.85μmの 短 波 長帯 が 使 わ れ て い た が,そ
の 後 不 純 物 除 去 と と もに研 究 が 進 め られ た 石 英
光 フ ァイ バ の 本 質 的 な損 失-波 長 特 性 の 解 明 に よ り,1.3∼1.55μmの
長 波長帯
が 損 失 が 少 な い こ とが わ か り,長 波 長 帯 光 伝 送 が 主 流 に な っ た 。 付 図1.2に 波 長 に よ る損 失 特 性 を示 す 。 図 の 実 線 が 不 純 物 を完 全 に 除去 した と きの 理 論 的 な 限界 値 を示 し,実 際 の 損 失 は これ に そ の と き に残 っ て い る 不 純 物 に起 因 す る損
付 図1.2
波 長 に よる損失特 性
失 を付 加 し た もの と な る。 右 下 が りの 実 線 は ガ ラ ス が 固化 した と き に生 ず る密 度 ゆ ら ぎに よ る散 乱 に よ る もの で レー リ ー散 乱 と 呼 ば れ て い る 。 これ は波 長 の 4乗 に逆 比 例 す る。 右 上 が りの 実 線 は石 英 材 料 特 有 の 分 子 吸 収 で あ る。 こ の 図 か ら わ か る よ う に,不 純 物 を徹 底 的 に取 り除 け ば,1.55μmに
おい て最低 の損
失 が 得 られ る。 こ れ とは 別 に光 フ ァイ バ の広 い 伝 送 帯 域 は,ま ず シ ン グ ル モ ー ドフ ァ イバ に よ り得 られ るが,更
に使 用 波 長 を最 適 の値 に 選 ば な け れ ば な らな
い。 光 フ ァイ バ は波 長 に よ っ て分 散(材
料 分 散 と構 造 分 散)と 呼 ば れ て い る広
帯 域 性 の 決 め 手 と な る値 が 変 化 す る 。SiO2で な る波 長 は1.3μmで
は最 も広 帯 域 と な る 分 散 が 零 と
あ る。 こ れ らの こ と か ら,大 容 量 伝 送 を 目的 とす る と き
の使 用 波 長 は1.3μm帯 が 最 適 で あ り,海 底 ケ ー ブ ル 方 式 の よ う に 中 継 間 隔 を 長 く確 保 した い 場 合 は 使 用 波 長 は 最 も低 損 失 とな る1.55μm帯
が 最適 となる。
最 近 は 分 散 値 が 零 と な る 波 長 を屈 折 率 の 分 布 形 を 変 え る こ とに よ り移 動 させ る こ とが 可 能 に な り,分 散 値 零 を1.3μmか
ら損 失 最 小 の 波 長 で あ る1.55μmに
フ トさせ た フ ァ イバ が 実 現 さ れ て い て,1.55μm帯
シ
光伝 送 システ ムの価値 が大
き くな っ て きた 。 光 フ ァ イバ は細 径 軽 量,無 雑 音 無 漏 話,低
損 失,広
帯 域 な ど極 め てす ぐれ た
長 所 を持 つ 革 命 的 な 伝 送 媒 体 で あ る。 細 径 軽 量 は光 フ ァイバ の 本体 は も と も と 直 径125μmつ
ま り約0.1mmと
非 常 に細 く,こ れ に保 護 の 被 覆 を 施 し0.9mmの
光 フ ァ イ バ 心 線 をつ く り,こ れ を 多 数 集 合 し(テ ー プ状),抗
張力体 な どを加
え ケ ー ブ ル に し て い る。 細 い の で 当 然 軽 く,ケ ー ブ ル の 運 搬,布
設 工 事 は従 来
の銅 線 ケ ー ブ ル に比 べ 飛 躍 的 に容 易 で あ る 。 無 雑 音 無 漏 話 は伝 送 媒 体 が 銅 か ら ガ ラ ス に変 わ っ た こ と に よ り,電 磁 界 雑 音(雷
も含 む)が 混 入 せ ず 完 全 な無 雑
音 状 態(厳 密 に い え ば 光 素 子 か ら生 ず る極 め て 微 量 な雑 音 は存 在 す る)に あ る こ と に起 因 し,そ の た め デ ィジ タ ル伝 送 に お け る符 号 誤 りは非 常 に少 な くな っ て い る。 低 損 失 と広 帯 域 につ い て の 特 長 を従 来 の 銅 線 ケ ー ブ ル に よ る伝 送 シス テ ム と比 較 す る と,低 損 失 に つ い て は 中継 間 隔 で 数 十 倍 長 くな り,広 帯 域 に つ い て は伝 送 速 度 で20倍 以 上 高 速 に な っ て い る 。 光 技 術 の 進 歩 は 更 に 進 む もの と思 わ れ る の で,こ
れ らの値 の 増 大 が 更 に 期 待 で きる 。
2 搬送波伝 送 にお けるデ ィジタル変調 方式 無 線 伝 送 の よ う に情 報 信 号 を高 周 波 の 搬 送 波 に の せ て伝 送 す る場 合 に は,搬 送 波 を信 号 で変 調 す る こ と に な る が,信 号 が ア ナ ロ グ の と き に は通 常搬 送 波 の 正 弦 波 の 振 幅 を 変 え る振 幅 変 調(AM),周 位 相 を変 え る位 相 変 調(PM)な 係 の 図 書 参 照)の
波 数 を 変 え る周 波 数 変 調(FM),
どの アナ ロ グ変 調 方 式(詳
し く は通 信 方 式 関
何 れ か が 使 用 さ れ る が,信 号 が 2進 符 号 か らな る デ ィ ジ タ ル
信 号 の と き に は 次 に述 べ るデ ィ ジ タル 変 調 方 式 が 使 用 さ れ る。 デ ィ ジ タ ル 変 調 方 式 は,1
と 0の 2値 の信 号 を搬 送 波 の 振 幅,周
波 数,位 相
の変 化 に対 応 させ て 主 と して 次 の よ う に分 類 す る こ とが で き る。 ① デ ィ ジ タ ル 振 幅 変 調ASK(Amplitude
Shift Keying):振
② デ ィ ジ タ ル 周 波 数 変 調FSK(Frequency
Shift Keying):周
幅 の 変 化 に対 応 波 数 の 変 化 に対
応 ③ デ ィ ジ タ ル 位 相 変 調PSK(Phase
Shift Keying):位
④ デ ィ ジ タ ル 直 交 振 幅 変 調QAM(Quadrature
相 の変化 に対応
Amplitude
modulation):振
幅
と位 相 の 変 化 に対 応
これ らの 変 調 方 式 は 2値 の信 号 に対 して 2値 の 変 調 波 で 対 応 され るが,必
要
付 図2.1ASK,
PSKお
よ びFSKの
波形例
伝 送 周 波 数 帯 域 が 少 な い 多 値 の 変 調 波 で 対 応 す る こ と もで きる 。 こ こで は簡 単 な 2値 の 変 調 の場 合 のASK, FSK, PSKの
各 変 調 波 形 の 例 を付 図2.1に 示 す 。
ASK, FSK, PSKを
比 較 す る と,レ ベ ル 変 動 やS/Nに
対 す る 符 号 誤 り率 特 性
な ど の 点 か らPSKが
有 利 と さ れ て い る。 デ ィ ジ タ ル信 号 は ア ナ ロ グ 信 号 に 比
し一 般 に広 い 伝 送 帯 域 が 必 要 と な る 欠 点 が あ り(例 え ば,音 声 は ア ナ ロ グ の ま ま 送 れ ば4kHz程
度 で 済 む の に 対 し てPCMに
よ りデ ィ ジ タ ル に し て 送 れ ば
64kbit/sの 速 度 と な り十 数 倍 の 広 い 帯 域 を必 要 とす る),無
線 で は と くに 周 波
数 利 用 効 率 の 高 い 変 調 方 式 が 求 め られ て い る。 そ の た め雑 音 に対 し て は 多 少 弱 くな る も の の 伝 送 帯 域 が 狭 くて 済 む多 値 のPSKが 究 開 発 さ れ たQAMは
有 用 で あ る。 ま た そ の 後 研
搬 送 波 の 直 交 性 を利 用 し,振 幅 と位 相 を組 み 合 わ せ て 多
値 化 す る こ と に よ り更 に効 率 を 高 め た 方 式 で あ る 。 こ れ らの M 値 化 に よ る周 波 数 利 用 効 率 の 向 上 は 2値 の場 合 のlog2M倍 QAMの
に な る。 付 図2.2に多 値 のPSKと
搬 送 波 の振 幅− 位 相 空 間 に お け るベ ク トル表 示 の 例 を 示 す 。 こ の よ う
な 図 を信 号 空 間 ダ イ ヤ グ ラ ム ま た は信 号 点 配 置 図 と も呼 ぶ 。 図 の2PSKで ィ ジ タ ル信 号 の1ビ
はデ
ッ トが 搬 送 波 の 二 つ の 位 相 に対 応 す る が,4PSK,4QAM
で は 2 ビ ッ トが 4位 相 に対 応 し,8PSKで
は 3 ビ ッ トが 8位 相 に16QAMで
4 ビ ッ トが16の 信 号 点 に 対 応 す る。 こ れ か ら わ か る よ うに2PSKを と,同 一 帯 域 で 伝 送 で きる 情 報 量 は4PSKと4QAMで
は
基準 に とる
は 2倍 に,8PSKで
は3
付 図2.2 デ ィ ジ タ ル変 調 の信 号 空 間 ダ イヤ グ ラム
倍 に,16QAMで
は 4倍 に増 大 さ せ る こ とが で き,ま た 同 一 情 報 量 を送 る場 合
に 必 要 な 帯 域 は4PKSと4QAMで
は1/2,8PSKで
は1/3,16QAMで
は1/4で
済 む利点 を生む。 4PSKは
簡 単 な の で 広 く使 わ れ る こ とが 多 くQPSK(Quadrature
ば れ る こ と も多 い 。4PSKと4QAMは な 方 式 で あ る。4PSKの で は,し
PSK)と
呼
互 い に π/4回 転 す れ ば 他 方 が 得 られ 等 価
変 調 器 の 回 路 構 成 を付 図2.3に 示 す 。 受 信 側 の 復 調 器
きい 値 と な る 4種 の基 準 位 相(π/4,3π/4,5π/4,7π/4)を
準備
して お き,こ れ と受 信 した 搬 送 波 の 位 相 を比 較 し識 別 す る。 した が っ て 雑 音 余 裕 は 隣接 信 号 点 の位 相 差 の1/2で あ り,8PSK,16QAMと ば 雑 音 に 弱 くな る こ と に な る。
付 図2.34PSKの
変調器の構成
更 に多 値 化 を進 め れ
周 波 数 有 効 利 用 が 強 く要 求 さ れ て い る無 線 伝 送 の 分 野 で は か な りの 多 値 数 を もつ シ ス テ ムが 実 現 して い る。 一 部 の マ イ ク ロ波 デ ィ ジ タル 伝 送 シス テ ム で は 256QAM変
調 方 式 が 採 用 され,16×16の
信 号 空 間 を用 い て2PSKの1/8の
伝送
帯 域 に よ る伝 送 が行 わ れ て い る 。 他 方,発 展 の 著 しい 移 動 通 信 の 分 野 で も極 度 の 周 波 数 有 効 利 用 が 求 め られ て お り,π/4シ
フ トQPSKと
呼 ば れ て い る 変 調 方 式 が 使 わ れ て い る。 これ は 信
号 点 を付 図2.4に 示 す よ う に ○ 印 で 示 した4PSKの 示 した π/4シ フ トした4PSKの
信 号 点 セ ッ トA と,□ 印 で
信 号 点 セ ッ トB を もつ もの で あ る 。 あ る デ ィ ジ
タ ル信 号 の ビ ッ トを セ ッ トA の信 号 点 の 何 れ か で 送 信 した と き,次
のビット
の 送 信 に は セ ッ トBの 信 号 点 の何 れ か で 送信 す る。 この よ う に A セ ッ トと Bセ ッ トと交 互 に繰 り返 して 送信 す る こ とが特 徴 とな っ て い る 。 こ の よ う にす れ ば 信 号 の 遷 移 パ ス が 原 点 を通 らな い の で包 絡 線 が くび れ ず ス ペ ク トル が 広 が らな い利 点 が あ る。
付 図2.4
π/4シ フ トQPSKの
信号遷移
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原 崎,前
田,山
崎:わ
か り や す いB-ISDN
演習問題略解 1章
5章
1.1.3節[1]参
1.5.3節
2.1.2節
照
参 照
2.5.4節[4]お
参 照
3.1.3節[1]参
よ び[5]参
3.(a)5.4節[2]参
照
(b)5.4節[3]参
2章 1.2.1節[1]参
2.表2.2参
照
照 照
4.2.2節[2]参
よ び 図5.9参
(d)5.4節[5]参
照,
照
5.5.5節[3](a)参
照
5.2.2節[2](d)参
照
6.5.5節[3](b)お
よ び 図5.17参
6.2.2節[3](b)参
照
7.5.5節[4](e)参
照
7.2.2節[3](c)お
よ び 付 録 2参 照
8.5.6節[2]参
8.2.3節[1](a)参
照
9.5.6節[4](b)(3)参
9.2.3節[1](c)参
照
10.2.3節[2]参
照
3章
照
1.6.1節[1]参
照 照
3.6.2節[3]お
よ び 表6.2参 照
参 照
4.6.3節[1](c)お
2.3.3節
参照
5.6.3節[2]お
3.3.3節
参照
6.6.4節[1]お
4.3.4節
参照
7.6.7節[1
5.3.4節
参照
7.図3.15か
設 数20
よ び 表3.2参 照
4章 1.4.1節
照
よ び 図6.14参
照
照
10.(a)6.1節[3]参
照,
(b)6.2節[2]お
よ び 図6.7参
照,
(c)6.2節[3]お
よ び 表6.1参
照,
(e)6.7節[3](b)お 参照
照
3.4.2節[4]参
照
4.4.2節[4]お
よ び 付 録 1参 照
お よ び 表4.3参
照
照
照
9.6.7節[3](a)参
(d)6.6節[1](a)参 参 照
2.4.2節[4]参
5.4.3節
よ び 図6.11参 よ び 図6.12参
] 参 照
8.6.7節[2]参 照
ら 出 線 数50,増
8.3.6節[2]お
照
2.6.1節[2]参
1.3.2節
6.3.6節,表3.1参
照
6章
照
11.2.3節[3](d)参
照,
参照
4.5.5節[1]参
照
照,
(c)5.4節[4]お
(e)5.4節
3.2.2節[1](c)参
照
照,
照, よ び 図6.20
索
引
■英字 A/D変
換
13
ADPCM
23,91
DSU
97,110
DTE
96
duty factor
106
AM
108
duty ratio
AMI
40
Dチ ャネル競合制御方式
APSK
106
109
ARPA
134
FDDI
ASK
108,213
FDM
ATM
187,189
ATM-LAN
ATM交
FM 147
換機
147 28 108
FPLMTS
198
93
FSK
108,213
Fネ ッ ト B-ISDN
6
186
BCC
117
GA
70
B チ ャ ネ ル 162
GC
70
CATV
H0
162
H1
163
H11
163
H12
163
6
CDMA
87
CELP
23
CLAD
200
CL型
135
CMI符号
HDLC手
107
CODEC
13,15
Coder
115 25
hierarchy
Hチ
15
Coding
順
HDTV
29
ャネル
162
17,18
CO型
135
IDN
153
CRC-16符 CRC方 式
号 128 121,125
ISDN
7,149
ISDNの
ね らい
CSMA/CD方
式
ISDNの
プ ロ トコ ル
ISN ISO
154 130
D/A変
換
DCE
96
145
13
ITU-T
140
Iイ ン タ フ ェ ー ス
DDX-P
140
Iシ リー ズ 勧 告
Decoder
15
Iフ レー ム
DLCI DP
123
17
Demodulater
16
JPEG
27
174 64
LAN
166
7
DDX-C
Decoding
156
7,12,143
157 156
169
LAPB
171
Sス イ ッチ
49
LAPD LR
171
Sフ レー ム
123
75 TA
MODEM
13,15,97,108
Modulater
16
MPEG
161
TCC
116
TCM方
式
TCP/IP
27
N-ISDN
186
176 134
TDD
91
TDM
30
NNI
193
TDMA
NPT
52
TDMA技
術
NRZ符
号
TDMA方
式
NT
159
106
TE
91 87
NTI
159
TEI
173
NT2
160
TSS
95
TTC OSIの 参 照 モ デ ル PAD PAM PB
52
UNI
49
157,193
17
U フ レー ム
17
VC
換
PDC PHS PM
VCI
49
82,86
VP
80,82
VPH VPI
108
PMX
123
PSK
195,198
203 198 198 203
VSELP
52
PSI-CELP
PT
157
T ス イ ッチ
64
PCM
PCM交
131
145
160
86
V シ リ ー ズ の勧 告
87
52
QAM
WAN
12
WWW
8
38,213
Quantizing
X.25
18
135
X シ リー ズ の勧 告 RZ符 号
18
SAPI
ZA
70
ZC
70
173 π/4シ フ トQPSK
187,192
SOH SPC
192 46
SSB
28
STM
%DM %ES
■ア行
186 192
アー ラン
STM-N
192
ア ー ラ ンの 損 失 式
synchronization
号
87
76 76
STM-1
SYN符
110
106
Sampling
SDH
108
38,108,213
100
102
72 73
ア ドレス フ ィー ル ド ア ナ ロ グ交 換
49
120
ア プ リケ ー シ ョ ン層
133
加 入電信 網
3
圧伸
21
簡 易 携帯 電 話
80,82
網状 網
67
監 視 フ レー ム
123
誤 り制 御
115,124
安定基 準
77
キ ャプ テ ンサ ー ビス
6
キ ャ ラ ク タ同 期 1次 群 イ ン タ フ ェー ス イ ー サ ネ ッ ト
164
イ ンタ ー ネ ッ ト
94
技術基準 70 基底帯域伝送 37 基底帯域伝送 方式
7,147
イ ン タ ー リー ブ 方 式
8
84
インタフェース規定点 イ ン タ フ ェ ー ス構 造
機 能 キ ャ ラ ク タ 161
84
177
エ コー キ ャ ンセ ラ 方 式 エ コー ビ ツ ト
175,177
169
111
オ クテ ッ ト多 重
33
オ ン ラ イ ン即 時 処 理
95
押 しボ タ ン ダ イ ア ル方 式
64
55
音声 の ス ペ ク トル
26
114
65
局 間信 号 方 式
63,133
ク ラ ッ ド 41 グル ー プセ ン タ
70
グ レー デ ッ ドイ ン デ ッ ク ス型
エ ンベ ロー ブ形 式
音声 の振幅分布
164
186
共通制御 46 共通線信号方式 局階位 69
エ コー キ ャ ンセ ラ
104
基本形 データ伝送 制御手順 狭 帯 域ISDN
動 き補償 フ レーム間予測符号化
108
116
基 本 イ ン タ フ ェ ー ス
162,164
38,108
位置登録機 能 移動機 83
37
キ ャ リヤバ ン ド伝 送 方 式
イ ン タ ー ネ ッ トプ ロバ イ ダー
位相変調
キ ャ リヤバ ン ド伝 送
143
イリジウム計画
102
ク ロス コ ネ ク ト
198
ク ロス バ 交 換 機
46
ク ロ ッ ク周 波 数
34
空 間 ス イ ッチ
49
空間分割交換
49
群 計 数 チ ェ ッ ク方 式
43
125
55
携 帯電話
80
■力行 ガ ラ ス フ ァ イバ
41
コア
41
回線 交換方式 47 回線 交換網 6 回線 終端装置 96
コ ー デ ック
会 話 モ ー ド
115
コ ネ ク シ ョ ン
仮 想 チ ャネ ル
198
コ ネ ク シ ョ ン型 135 コ ネ ク シ ョ ン レス 型 135
コ ー ド レス 電 話
仮想 チ ャネル識別子 仮 想 パ ス
203
198
仮想パ ス識別子 203 加入者系 68 加入者線 67 加入者線 交換 11 加入者線 交換機 45,67 加入者線信号 方式
加入者網
68
13
コ ー ドイ ンデ ィペ ンデ ン トモ ー ド
63,133
コマ ン ド コンテナ
89 135
121 195
コ ン テ ン シ ョン方 式 コ ンパ ン ダ
交換 交換機
112
21
2 9,11
公衆 データ通信網
6
公 衆 フ ァ ク シ ミリ通 信 網
6
115
高精細TV
25
水 平 パ リテ ィチ ェ ッ ク 方 式
広 帯 域ISDN
セ ッシ ョ ン層
高能率音声 符号化 22 高能率 の符号化 25 故 障率 77 呼制御手順 136 呼損率 71 個別制御 46 呼量 72
セル
機能
133
83,189
セ ル方 式
81
セ ル リ レー
6
制 御 フ ィー ル ド
120
整時 39 接続基準 71 接続遅延 71 全二重通信 105
■サ行 3Rの
39
サ ー ビ ス ア ク セ ス ポ イ ン ト識 別 子 サ ー ビ ス総 合 デ ィ ジ タ ル網 サ ー ビ ス総 合 網 154
再送訂正方 式
7,149
125
173
ゾー ン セ ン タ
送話 品質
70
74
■ タ行 ター ミナ ル ア ダ プ タTA
シ ン グ ル モ ー ドフ ァ イバ 時 間ス イ ッチ し きい 値
42
49 39
識別再生 39 自動車 ・携帯 電話方式 80 自動車電話 80 自動車電話 交換 局 84 時分割多重 方式 30 時分割方 向制 御伝送方式 175 周波数同期 35 周波数分割多 重方式 28 周波数変調 108 受話品質 74 情報信号 1
ダ イ ア ルパ ル ス 方 式
64
ダ イナ ミ ック レ ンジ
55
帯域伝送 37 第一種電気通信事 業
12
対称ケー ブル
対数圧伸非直線量子化PCM方 第二種電気通信事業 12 多 重LAP 多重化
173 8,30
多重化構成 多重化装置
11 198
多点サ ンプリング
単側波帯方式 単方向通信
120
端末機器
123
端末終端点識別子 端末装置 96
90
信号方式 11,63 信号網 11
チャネル数
振幅位相変調方 式APSK 振幅変調 108
109
144 67
ス タ ッ フ同 期
35
ス テ ップ バ イ ス テ ップ ス ペ ク トル 符 号 化
43 46
162
チャネル多重
33
蓄積 交換 方式
47
中継 線
23 39
垂 直 パ リテ ィチ ェ ック 方 式
125
173
10
蓄積 プ ロ グ ラム 制 御
ス テ ップ イ ン デ ック ス 型
ス レシ ョル ド
159,160
チ ャ ネ ル タイ プ
中央処 理装置 中継器 8 中継系 68
111
28 105
情 報 フ レー ム
自律分散制御 方式
161
37
情 報 フ ィー ル ド
ス ター 型 ス ター 網
125
186
46
96
67
中継線 交換
11
中継 線 交換 機
45,46,67
中継伝 送路
8
式
22
中継網
68
伝送端局
8,9
伝送媒体 伝送品質
1 74
直 流 平 衡 ビ ッ ト 169
伝送符号
40,106
直列伝 送 105 直交振幅変調 38 直交変換符号化 25,26
伝送方式 8
超 高 速 モ デ ム
109
調歩同期方式
101
伝送容量 10 伝送路 10 伝搬モ ー ド
通信規約
97
通 信 シス テ ム
42
電報網 3 電話機 57 電話の通信 品質
対 ケ ー ブ ル 37 追 跡 交 換 81,84
70
1
通信制御装置 96 通信端末 1
トー ク ン
144
トー ク ンパ ッ シ ング 方 式
通 信 ネ ッ トワ ー ク
1
通信網 1 通信網同期 35 通話品質 74
トラ ヒ ック特 性
11
トラ ヒ ック理 論
68
トラ ン ス ポ ー ト層 同期 82,86
同期転送 モー ド
デ ィ ジ タ ル交 換 49 デ ィ ジ タ ル交 換 機 47
同軸 ケーブル
同期方式
86
35
同 期 デ ィ ジ タ ルハ イ ア ラー キ
デ ィジタル回線終端 装置 97 デ ィジタル加入者線伝 送方式 175
デ ィ ジ タ ル 自動 車 ・携 帯 電 話 方 式
133
30,100
同期多重化 方式 デ ィ ジ タ ル移 動 通 信 方 式PDC
146
36,187
186
101 37
■ナ行
デ ィ ジ タ ル統 合 網
153
ネ ッ トワ ー ク ア ー キ テ クチ ュ ア
デ ィ ジ タ ル の 中継 器
39
ネ ッ トワ ー ク層
デ ィ ジ タ ルハ イ ア ラ ー キ デ ィ ジ タ ルパ ス
30
ネ ッ ト ワ ー ク ノ ー ドイ ン タ フ ェ ー ス
193
198
デ ー タ転 送 手 順
■ハ行
136
デ ー タ グ ラ ム
134
バ ー ス ト誤 り
デ ー タ リ ン ク
112
バ ー チ ャ ル コ ー ル
デ ー タ リ ン ク コ ネ ク シ ョ ン識 別 子 デ ー タ リ ン ク層
178
テ レ ッ ク ス網
3
ハ イ ア ラ ー キ
23
22
バ イ ポ ー ラ符 号
伝 送 シス テ ム
パ ケ ッ ト交 換 網
パ ケ ッ ト
22,33
112
23 40,107
48
パ ケ ッ ト交 換 方 式
パ ケ ッ ト端 末 パ ケ ッ ト長 バ ス型
52 144
47 6
パ ケ ッ ト多 重通 信 116
198
198
ハ イ レベ ル デ ー タ リ ン ク制 御 手 順
8
伝送制御手順
195
11,29
バ イ ト多 重 33 ハ イ ブ リ ッ ド符 号 化
電子交換方式 46 電信 3 伝送 1 伝送基準 75 伝送制御 112 伝 送 制 御 キ ャ ラ ク タ
134
バ ー チ ャ ル ・コ ン テ ナ
バ ー チ ャ ル ・パ ス ・ハ ン ド ラ
低 ビ ッ トレ ー ト音 声 符 号 化 適 応 差 分PCM
174
76,125
バ ー チ ャ ル ・チ ャ ネ ル ・ハ ン ド ラ
131
テ レサ ー ビ ス
伝送 速 度
130
132
52
52,135
115
バ ッチ 処 理
95
バ ル ク伝 送
復調器 16 符号誤 り率 76
180
パ ルス振幅変調
17
ハ ン ドオ ー バ
符号化
83
波形 整形 39 波形 符号化 23 搬 送波伝送 37 半二 重通信 105 ビ ッ ト誤 り率 ビ ッ ト多 重
17,18
符号化 装置
15
符 号 化 の ビ ッ ト数
符号 間干渉 物理層
22
39
131
不平衡 形手順 ク ラス 分離 8
122
124 33
ビ ッ ト同 期
ペ アケーブル
101
37
ビ ッ トレー ト
22,33
ベ ア ラ サ ー ビス 178 ベ アラ速度 111
ピ ンポ ン伝 送
176
ペ イ ロ ー ド
光 フ ァイ バ 増 幅 器
193
ベ ーシック手順
43
115
非 直線量子化 21 非 同期 多重化方式 35
ベ ー ス バ ン ド伝 送
非 同期 転 送 モ ー ド
ベ ク トル量 子 化
非 同期方式
187
ヘ ツダ
101
非 パ ケ ッ ト端 末
48
平 衡 形 手順 ク ラ ス
52,135 123
平衡 ケーブル
標準 同軸ケーブ ル
209
並列伝 送 105 変調 8 変調器 16 変調速 度 100 変復調器 97
標本化
98 17,18
標本化 周波数 21 標本化 定理 17 フ ラ ッ グ シー ケ ンス
102,120
フ ラ ッ グ同 期 方 式 フ レー ミ ング ビ ッ ト フ レー ム
192
ポ ー リン グ/セ
星状網
168
122
37
レク テ ィ ン グ方 式
67
32,120
フ レー ム 間 予 測 フ レー ム 構 成
26
■マ行
168
マ ルチ モ ー ドフ ァイ バ
フ レー ム チ ェ ッ ク シー ケ ンス
フ レー ム 同 期
26
フ レー ム リ レー
6
プ レゼ ンテ ー シ ョ ン層 ブ ロ ッ ク同 期 プ ロ トコル
付 加 サ ー ビス
マ ンチ ェ ス タ符 号
42
108
無線 回線制御 局 83 無線基地局 83 133
101
メ ッ シ ュ網
67
97,112
モ デ ム
178
不稼働 率 77 不均 一量子化 21 復号化 17 復号化 装置 15 複 数従 属 局 セ レ ク シ ョ ン
8
121
33
フ レー ム 内 予 測
復調
ポ イ ンタ
102
103
25,26
非 番 号 制 フ レー ム
標準符 号
37
ベ ー ス バ ン ド伝 送 方 式
13
網 間インタフェース
網終端装置 網終端装置 1 網 終 端 装 置 2 115
網同期
35
159 159 160
157
113
■ヤ行 ユーザイ ンタフェース
15
ユ ー ザ
・ネ ッ ト ワ ー ク イ ン タ フ ェ ー ス
ユ ー ザ
・網 イ ン タ フ ェ ー ス
ユ ニ ポ ー ラ符 号
157,193
40
予測符号化 25 ■ラ行 ラ ウ ドネ ス 定 格 ラ ン ダ ム誤 り リ ン グ型
75 76,125
144
離 散 コサ イ ン変 換
26
量子化 18 量子化雑音 21 量子化歪 21 両 方 向 同 時伝 送 モ ー ド レス ポ ンス ロ ー ミ ン グ
121 82
115
15
〈著 者 紹 介 〉
荒 谷 孝 夫 学
歴
職
歴
東 北 大 学 工 学 部通 信 工 学科 卒 業(1953) 工 学 博 士(1968) 日本 電 信 電 話公 社 電気 通 信研 究 所(1953) 東 京 電 機 大学 工 学 部 教授(1980)
理工学講座 通 信 ネ ッ トワ ー ク 1997年
9 月10日
第 1版 1刷 発 行
著 者
荒谷 孝 夫
発行者
学校法人 東 京 電 機 大 学 代 表 者 廣 川 利 男
発行所
東京電機大学 出版局 〒101
東京 都 千 代 田 区神 田錦 町2-2 振 替 口座 00160-5-71715
電話
(03)5280-3433(営 (03)5280-3422
印刷 三立工芸㈱ 製本 ㈱徳住製本所
C Aratani
Printed
Takao
in Japan
*無 断 で転 載 す る こ と を禁 じます。 *落 丁 ・乱 丁 本 はお 取 替 え いた します 。 ISBN 4-501-31910-0C3055
R 〈日本 複 写権 セ ン ター委 託 出版 物 〉
1997
業) (編 集)