電 気機 器 要 論 工博 磯 部 直 吉 著
東京 電機 大 学 出版 局
ま
え
が
き
電 気機 器 は百 年 に も亘 る長 い歴 史 が あ る。 従 って,機 器 に 関す る図書 も,そ の 時 代 の要 ...
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電 気機 器 要 論 工博 磯 部 直 吉 著
東京 電機 大 学 出版 局
ま
え
が
き
電 気機 器 は百 年 に も亘 る長 い歴 史 が あ る。 従 って,機 器 に 関す る図書 も,そ の 時 代 の要 求 に応 じた ものが,古 今 を 通 じて 数 多 く出版 され てい る。 この 本 は,教 室 にお い て電 気 機 器 の 構 造 や 特 性 の 概 要 を説 明 す る ため に書 かれ た もの で あ る。 教 室 で は機 器 の 実 物 を示 しな が ら説 くこ とは無 理 で,黒 板 に図 を 画 くか,小 形 機 に使 わ れ る コ イル や 部 品 の見 本 に よ って 説 明 す る程 度 しかで き な い の で,こ の本 で はで き るだ け 多 くの図 を 用 い たつ も りで あ る。 最 近 の 図書 に は,電 気機 器 を エネ ル ギ ー変 換 を す る機 器 とい う見 方 に立 って述 べ た ものや,電
圧,速 度 の 制 御法 を 中 心 と した も の,最 新 機 器 に注 目 した もの,
さ らに は多 くの機 器 を統 一 した理 論 式 にの せ て説 い た もの な どが 多い 。 こ のよ うな時 代 に,こ の本 は 古 い感覚 で あ る とい わ れ そ うで あ るが,交 流 の機 器 につ いて は,各 機 に用 い られ て い る巻 線 の イ ンダ ク タ ンスを 前面 に出 して,一 応 基 本 特 性 を求 め てみ たの は一 つ の試 みで あ る。 一 冊 の本 を 一 つ の方 針 に従 って,よ
どみ な くす っ き り と書 き上 げ る こ とは 大変
む ず か しい。 い ままで 2冊 に亘 って 電 気 機器 の 一 通 りを述 べ て い た もの を,こ
こ
で 全 く新 し く 1冊 に ま とめて 書 きか え る に際 し,読 みや す い 内容 を 念 に お き,む ず か しい言 葉 を さけ,ま た例 題 や練 習 問 題 もな るべ く多 くす るよ うに した。 この本 を ま とめ るの に 多 くの 図書 を 参 照 させ て戴 い た こ とを 記 して 深 謝 す る と と もに,筆
者 の独 断 で ふ さわ し くな い 引用 の し方 を した所 が あ るの を 恐 れ る もの
で あ る。 諸 者 の ご叱正 を お願 い した い。 昭和52年 3月
著 者 し るす
目
第 1章
総
次
論
1・1 電 気 機器 の歴 史
1
1・2 電 気 機器 の分 類
2
1・3 起 電力 お よび 電磁 力 の発 生
4
1・4 電 気 機器 の基 本 的構 成
7
1・5 電 気機 器 の主 要 材 料 と して の 銅 と鉄12 1・6 電 気機 器 の温度 上 昇
15
1・7 損失 と効 率
18
1・8 定 格 と銘 板
19
1・9 電 気 機 器 に 関す る規 格
19
第 2章
直
流
機
2・1 直 流 機 の種 類
21
2・2 直 流 機 の構 造
22
2・3 直 流 発 電機 の特性
28
2・4 直 流 電 動機
45
2・5 直 流 機 の試 験 法
75
2・6 直 流 発 電機 の並 列 運 転
80
2・7 特 殊 構造 の直 流機 練 習 問題 2.
第 3章 3・1
変
圧
81 83
器
変 圧 器 の基 本 性 質
87
3・2 三 相 お よ び 並 列 結 線
103
3・3 変 圧 器 の 構 造
108
3・4
電 圧 調 整
116
3・5 単 巻 変 圧 器
120
3・6 三 巻 線 変 圧 器
125
3・7 試 験 用 変 圧 器
128
3・8 試
128
験
法
練 習 問 題 3.
133
第 4章
誘
導
機
4・1 三 相 誘 導 機 の 構 造
135
4・2 三 相 誘 導 機 の 特 性
156
4・3
等 価 回 路 と 特 性 式
166
4・4
L形 円 線 図
175
4・5
T 形 円 線 図
178
4・6
か ご 形 電 動 機
181
4・7 三 相 誘 導 機 の 特 性 算 定
186
4・8
始
動
法
194
4・9 制
動
法
201
4・10 速 度 制 御 法
206
4・11 誘 導 機 と 対 称 分 計 算 法
215
4・12 単 相 誘 導 電 動 機
229
4・13 誘 導 機 の 試 験 法
234
練 習 問 題 4.
第 5章 5・1
同
期
237
機
三 相 同 期 発 電 機
239
5・2 三 相 同 期 電 動 機
276
5・3
290
同 期 発 電 機 の並 列 運 転
5・4 特 殊 同 期 機
295
5・5 試
300
験
法
練 習 問 題 5.
314
第 6章 交流整流子機 6・1 種
類
316
6・2 Kronの
基 本 形 回 転 機
318
6・3 単 相 直 巻 整 流 子 電 動 機
323
6・4 反 発 電 動 機
325
6・5 三 相 分 巻 電 動 機
327
練 習 問 題 の 解 答
331
索 引
353
第 1章
1 ・1
総
論
電 気機 器 の歴 史
実 用 的 な電 気 機 器 等 が発 明 された の は,基 礎 研 究 か ら数 十 年 を経 て か らで,お もな もの は, 1877年 ベ ル(Bell)が
電話 器 を 発明 した。
1866年
ジー メ ンス(Siemens)が
自励 発電 機 を 造 っ た。
1878年
エ ジ ソ ン(Edison)が
1879年
エ ジ ソ ンが直 流 発 電機 を造 った。
1880年
テ ス ラ(Tesla)が 三 相電 流 に よ って 回転 磁 界 を造 る こ とを発 明 し,1887年
白熱 電 球を 造 った。
に は交
流 電 動 機 を造 った 。 1893年
ス タ イ ン メ ッツ(Steinmetz)が
交 流 量 の 計算 に 複 素数 を 取 り入 れ る 方 法 を発 表 し
た。 この よ うに,電 気 機 器 の 発 明 は,日 本 年代 で は 明 治 の初期 〔 明 治 元 年(1868年)〕 で あ る。 日本 で は外 国 で の発 明を 導入 して, 1885年(明
治18年)に
は,15kWの
直流 発電 機 が 造 られ た。 これ を電 源 と して40個
交流 発 電機 が 造 られ た。
の
白 熱電 球 が 点 燈 され た。 1893年(明
治26年)に
は,2000Vの
1895年(明
治28年)に
は,三 相,2000V,30kVAの
変 圧器 が,ま
た1899年(明
治32
年)に は三 相 誘導 電 動 機 が造 られ た。 一方,1887年(明 治20年)に はエ ジ ソ ン式 の 直流 発 電 機 が輸 入 され,こ れ を配 電 線 の電 源 と し た 。す なわ ち,初 期 の 家庭 用 配 電 は直流 で あ って,当 時 の負 荷 は 白熱電 球 が大 部 分 で あ った 。 三相 交 流 を 用 いれ ば,強 力 で一 定 速度 で 回 る回転 磁 界 を生 じさせ る こ とが で き るが,こ れ を 発明 した の は画 期 的 な ことで,こ れ が三 相 誘導 電 動 機 の 開発 を促 し,一 方 その電 源 と して 必 要 な三 相交 流 発 電 機,三 相 送電 線 お よび三相 変 圧 器 が急 速 に 拡充 され る よ うに な った 。 最 近 で は,一 台 で100万kVAの
容 量 の三 相 交 流発 電 機 や,出 力 数 万kWの
電 動 機 が造
られて い るが,こ の よ うな大 形機 も,原 理 で は明 治 の 時代 の もの と同 じで あ る。 電気 機 器 の 誕生 以 来100年 近 くを経 過 す る 間 に,理 論 的 解 明 が ます ま す深 め られ るの と並
行 して,前 述 の よ うに容 量 は増 大 し,使 用 電 圧 が高 め られ た 。 この た め に,機 器 の巻 線 の絶 縁材 料 の進 歩,鉄 心材 料 の 改 良,冷 却 方式 の改 善 な どが行 わ れ た。 例 えば,大 容量 の ター ビ ン発電 機 で は,1940年
ご ろか ら水 素 ガ ス 中で 運転 す る方 式 を 用 いて い る。 これ は,タ ー ビン
発 電機 の よ うに,回 転速 度 の高 い もの は空 気 よ りもは るか に 密度 の 低 い水 素 ガ ス 中で 運 転 す るほ うが,損 失 が 少 な く熱 の 放 散 も よい か らで あ る。 ま た,変 圧器 は,初 期 の もの は空 気 中で使 用 された が,今 で は一 般 に絶 縁 油 中 に本 体 を浸 した状 態 で使 用 す る と,放 熱 が よ く,か つ,絶 縁物 の劣化 を 防 げ るた め,こ の よ うな油入 変 圧 器 は比 較 的早 くに 開 発 され,明 治 末 期 か ら使 わ れ てい る。 電 気 が 生 活,産 業 に広 く普 及 す るに 伴 い,停 電 や電 圧変 動 の ない 電 源が 要 求 され る よ うに な り,こ の た め に多 くの発 電 機 を並 列 に結 ん で,大 きな電 力 系統 を つ くる よ うに な り,こ れ を 運 用す る技術 も著 し く高 度 化 され て い る。 電 動機 と して の用 途 も,は じめ はた だ 回転 す る とい うこ とだ けで 驚 きで あ った ものが,次 第 に,自 由な速 度 制 御 法 また は 完全 な一定 速 度 運転 法 な どの 技 術が 開 発 され て きた。
1・2
電 気機 器 の分 類
本 書 では,“ 電 気 機 器 ”を 「電 磁誘 導 現 象を 応 用 した 機器 に 限 る」 と狭 義に と ら え る こと に し,こ れ に よれ ば,表1・1の 表1.1の
よ うな分 類 が で き る。
中 の各 機 器 につ い て,次 章 以下 で 概要 を 述 べ るが,こ こで表 の 中の用 語 の い く
つ か に つい て,そ の 定 義 を して お く。 “直 流機 ” とは,直 流電 力 を 発生 す る か,ま た は直 流電 力 を 受 け入 れて 機 械 動力 を発生 す る回 転機 を い う。 前 者 は直 流 発 電機,後 者 は直 流電 動 機で あ る。 “交流 機 ” は,交 流電 力(無 効 電 力 も含 む)を 発生 ま た は変 換 す る機器,お
よび交 流電 力
を 受 け入 れ て機 械 動 力 を発 生 す る回 転 機 を い う。 “同期 機 ” とは,定 常 運 転 状 態 に おい て 同期 速 度 で回 転 す る交流 機 を い う。 な お,同 期速 度 とは,そ の交 流 機 の 主 巻 線 の 電 圧,電
流 の 周波 数 をf〔Hz〕,極
数 を P とす る とき,
2f/P〔 回/秒 ま た はrps〕 で 与 え られ る速 度 の こ とで あ る。 “非 同期 機 ” とは,定 常 運 転 速度 が同 期速 度 以 外 の 速度 で あ る交 流 機で,次 に述 べ る誘導 機 お よび交 流 整流 子 機 が これ に属 す 。 “誘 導機 ” は,固 定 子 お よび回 転 子 に互 い に独 立 した巻線 を も ち,一 方 の巻 線 か ら電 磁誘 導 作 用 に よ って エ ネル ギ ー を受 けて動 作 す る機 器 で,こ れ は電 動機 と して 最 も広 く用 い ら れ る。 “ 交 流 整流 子 機 ” は,回 転 子 側 に整 流子 を も ち,そ れ に 属す る ブ ラ シがお い て あ る。
表1・1
電 気 機 器 の分 類
多 くの 機種 が あ る が,ブ ラ シを移 動 で き るよ うに な って い る。 ほ とん どが 電 動機 と して使 わ れ る。 交流 電 源 か ら直 接 運 転 で きて,か つ,ブ ラ シ移 動 に よ って 速 度加 減 が 自由 にで き る電 動機 とい う特 長 が あ る が,構 造 が 複 雑で 高 価 で あ る の で,次 第 に 他 の電 動 機 に代 わ りつ つ あ る。 “回転 機 ” は三 相 機 と単相 機 とに分 け ら れ,前 者 は後 で 述 べ る回 転 磁界 が 機 器 内 に生 じて い て,電 動 機 の場 合 に は,回 転磁 界 が主 役 とな って,小 形 で 強力 な電 動機 とす る こ とが で き る。 単相 の電 動 機 は,大 きい動 力 を得 るに は不 適 当で あるが,家 庭 内 も含 め,単 相 電源 は ど こ に で もあ るの で,小 形 電 動 機 に広 く用い られ る。 “直 線運 動 を す る機 器 ” は電 動 機 に だ け そ の 例 が あ り,こ れ を リニ アモ ー タ とい う。 工 作 機 械 の 一部 に往 復 動作 を す る部分 が あ るが,こ の よ うな所 に も リニ ア モ ー タが適 用 で き る可 能 性 が あ る。 “静 止 器 ” は,静 止誘 導機 器 と も い い,変 圧器 が そ の代 表 的 な もの で あ る。変 圧 器 は 「一 つ の回 路 へ電 源 か ら交 流電 力 を受 け入 れ,こ の電 力 を電 磁 誘 導作 用 に よ り他 の 回路 に供給 す る機 器」 を い う。 そ う して,電 力 を受 け入 れ る側 を 一次 とい い,こ れ を他 の回 路 に供 給 す る
側 を二 次 とい う。 変 圧 器 は,一 次側 に加 え る交流 電 圧 を これ よ り高 い ま たは 低 い二 次電 圧 に変 え る こ とを 目 的 と して,送 電線,配 電 線 に広 く使 わ れ る。 静 止 誘導 機 器 に は,一 次 に 加 え る電 圧 に対 し,任 意 の位 相 差 を もつ 二次 電 圧 を取 り出 す こ とが で き る移 相 器や,一 次 に一 定電 圧 を加 え,二 次 に連続 的 な可変 電 圧 を得 る誘導 電 圧 調整 器,遅 相無 効 電 力 を吸 収 させ る こ とを 目的 と した リア ク トル な どが あ るが,こ れ らにつ い て は後 の 章で 改 め て述 べ る。 以 上 の分 類 の ほか に は,使 用 電 圧 の大 き さに よる分 類,冷 却 方式 に よる分 類 な ど も考 え ら れ るが,こ れ らに つい て は第 2章以 下 で述 べ る こ とにす る。
1・3
起 電 力 お よび電 磁 力 の発 生
電 気 機器 の原 理 は,フ ァラデ ー の電 磁 誘導 の現 象 に あ り,静 止 機器,回 転 機 器 の いず れ の 場 合 に も,機 器 の特 性 を調 べ るに は,機 器 内 にあ る コ イル に生 ず る起 電 力 や電 磁 的 に生 ず る 力 の大 き さ お よび それ らの向 きにつ いて 考 え な けれ ば な らな い。 ま た,磁 極 や 電 流 に よ って 生 ず る磁界 の性 質 につ い て も知 って お く必要 があ る 。 これ らは電磁 気 学 の一 部 で あ るが,簡 単 に復 習 してみ る。 〔1〕 速 度起 電 力 図1・1(a)の
よ うに,磁
極 N,S の間 に磁 束 密 度B〔Wb/m2,T*〕
の磁 界 を つ くり,
この磁 界 内 に磁 界 と直角 に 長 さl〔m〕 の 導 体 を おい た とす る。 この導 体 を 図 の矢 の 向 き に速 度 υ〔m/s〕で 移 動 さ せ る と き,こ の導 体 には 図 の矢 の 向 きに 起電 力 e を生 ず る。 その 大 き さは, e=Blυ 〔V〕
(1・1)
で 与 え られ る。 この起 電 力 は磁 界 と導 体 との相 対 速 度 υに比例 す る ことか ら速度 (a)速
起 電 力(speed
emf)と い う。
度 起 電 力の 発 生(b)B,υ,e 図1・1速 度起電力
発 電 機 や電 動 機 内 に入 れ て あ る コイル に は,運 転 中式(1・1)で
の 向 きの 関 係
表 され る起 電 力 を生 じて い
る。 コイル の形 や 磁界 と コイル との相 対 的 な運 動 の様 子 な どにつ い て は,後 の 章 で 調 べ る
*SI単 位 。 テ〓 ラと読 む。1T=1Wb/m2図1・1速度起電力
が,実
際 の 機 器 で は B は 大 き く と も1Wb/m2,l
に70m/sと
は 大 形 の 同 期 発 電 機 を 考 え2m,υ
を仮
す る と, e=Blυ=1×2×70=140〔V〕
(1・1)
と な る。 しか し,1本 の導線 に この よ うな起電 力 を 生 じる例 は超 大 形 の発 電 機 の場 合 で あ り, 中形 お よび 小 形 の直 流 発 電 機 な どに お いて,設 計 上 か ら決 め られ る導線 1本 当 た りの起 電 力 は 数 V 以 下 で あ る。 従 って,100Vま
た は200Vの
直 流 発電 機 で は,多
くの導 体 を 入 れ て
お き,各 導 体 に 生 ず る起 電 力 を直 列 に加 え るよ うに工夫 しな けれ ば な らな い。 図1・1(b)は,磁
界 の 向 き B と,磁 界 に対 す る導 体 の 運動 の向 き υと,導 体 に生 ず る
起電 力の 向 き eの 三 者 の関 係 を示 す もので,こ れ は右手 三 指 則 と して知 られて い る。 この 図 の 関係 を,導 体 が 静 止 して いて,磁 界 が そ の導 体を 切 って 起電 力 を 生 じ させ る場 合 に適 用 す るに は,磁 界 の運 動 と反 対 向 きに υを と らな けれ ばな らない。 〔2〕 変 圧器 起 電 力 コイル に 鎖交 す る磁 束 が あ って,こ の 磁束 が 時 間 に対 して変 化 す る 場 合 に,そ の コイル に 起 電 力を 生 ず る。 これ を変 圧 器 起電 力(transformer
emf)と
図1・2は
い う。
コイル 1と 2が接 近 してお い て あ る簡単 な 例 を示 し,そ
れ らコイル の巻 数 をn1お
よびn2と
す る。
いま,コ イル 1に電 流i1〔A〕 を流 し,こ の電 流 に よって 両 コイル
図1・2変
圧 器 起電 力
を貫 く磁 束 φ 〔Wb〕 を 生 じた とす る と,コ イル 1お よび 2 に 生 ず る (磁 束)鎖
交 数 は,そ
て い れ ば,λ1お e2と
れ ぞ れn1φ=λ1お
よ びn2φ=λ2で
あ る。i1が
交 流 で 時 間 的 に変 化 し
よ び λ2も 時 間 的 に 変 わ る 。 こ の と き 両 コ イ ル に 生 ず る 起 電 力 をe1お
よび
す る と,
(1・2)
た だ し,e1,e2の
正 の 向 き は 右 ね じ 系 に と り,図1・1のi1の
向 き と 同 じ向 き を 正 と し
て い る。 電 流i1が1Aの
と き の λ1お よ び
λ2を そ れ ぞ れ コ イ ル 1の 自 己 イ ン ダ ク タ ン ス お よ び
コ イ ル 1か ら コ イ ル 2へ の 相 互 イ ン ダ ク タ ン ス と い い,こ 書 け ば,λ1=L1i1,λ2=M21i1と
な る か ら,
れ らを そ れ ぞ れL1お
よ びM21と
(1・3)
とな る。 た だ し,こ の ように書 け るの は,L1,M21が
時 間 に 対 し一 定で あ る場 合 に限 る。
コイル 2に も電 流 が流 れ,こ れが 時 間 的 に変 化 す る場 合 には 図1・2に 束 が あ り,こ れが 変 化 す る こ とにな るか ら,両 コイル で式(1・2)ま
示 した φ以外 の 磁
た は式(1・3)で
示 し
た起 電 力 以 外 の新 た な起 電 力を 生 ず るが,こ の ことに つ いて は後 の 章で 述 べ る。 変 圧 器 起電 力 は,文 字 通 り変 圧 器 の一 次 お よび 二 次 コ イ ル に 生 ず る起 電 力を 考 え る場 合 に,式(1・2)ま
た は式(1・3)に
よ って 求 め るの は もち ろん,回 転機 器 の コ イル に生 ず る
起 電 力 の 鎖交 数 の 変 化か ら求 め る場合 に も用 い る。 図1・2に
さ らに 第 3,第 4の コイル が 接 近 して お い て あ る とき,電 流i1の 変化 が 第 3,
第 4の コ イル の鎖 交 数 に変 化 を及 ぼす とき に,こ れ らコ イル に生 ず る起 電力 で 求 め られ る こ とは もち ろん で あ る。 〔3〕 電
磁
力
図1・2の
よ うに導 体が 磁 界 の 中に おか れ た とき,こ の導 体 に電 流 を流 す と,導 体 は 力を
生ず る。 これ を電 磁 力(electro-magnetic 図1・2の
force)と い う。
場合,導 体に 電流 iを 矢 の向 きに流 す とき,導 体 に生 ず る力 は 磁界 に も電 流 に
も直 角 に左方 に導 体 を 動か そ うとす る 向 きに生 ず る。 図1・3の
Bは 磁界 の 向 き,i は電 流
の向 き,f は生 ず る力 の向 きを示 す もので,こ の 三 者 の向 きの関 係 は左 手 三指 則 に よ って も 判 定 で きる。
図1・3電
磁力
力 の 大 き さ fは,磁 束 密度B〔Wb/m2〕,導 f=Bli〔N〕
図1・4回
体 長 さl〔m〕,電
転 機 に生 ず る トル クの例
流i〔A〕 の と き, (1・4)
で 与 え られ る。 図1・4は,後
で 述 べ る直流 電 動 機 の 回転 子 円筒 の 断 面 を示 す略 図で,外 側 に磁 極 を おい
て 図の 矢 の よ うに 円筒 面 に お いて 一様 な磁 束 密度B〔Wb/㎡ 向 の長 さをl〔m〕,周
辺 に配 置 され た導 線 数 を Z本,各 導 線 に流 す 電 流をi〔A〕
導 線 1本毎 に生 ず る力 はf=Bli〔N〕 とな る。 円筒 の 直径 をD〔m〕 D/
T=
2
〕を つ くった と し,円 筒 の軸 方 とす る と,
で,全 導 線 に よ つ てF=Z×f=Z×Bli〔N〕
の力
とす る とき,
×F〔N・m〕
を回 転 子 に生 ず る トル ク(torque)と
(1・5)
い う。
こ の トル クが回転 子 を 回転 させ る ので あ るが,回 転 中継 続 して一 定 の トル クTを 生 じ させ るこ とが で き,そ の回 転 速度 を 毎 秒 n回 とす れ ば,こ の回 転子 が 軸 を通 して機 械 的 に な した 仕事 の 速 さは,
(1・6) で あ り,2πnは さはW(ワ
回転 の角 速度 〔rad/s〕で,こ れ を ω と書 き,ま たN・m/sと
い う仕 事 の速
ッ ト)で あ るか ら,式(1・6)は, P=T×
ω 〔W〕
と書 け る。 これ が 電動 機 の 出 力(output)で
(1・7) あ る。
交 流 電 動機 で も,回 転 子 は 円筒 構造 で,図1・4の
形 に 相 似 の もの があ る。 しか し,交 流
電動 機 で は周 辺 に おか れ た各 導 線 に生 ず る電磁 力 fが等 し くな いの で,ト ル クを知 るた めの 計算 はや や複 雑 とな る。 この こ とに つ いて は,後 の 章 で述 べ る。 式(1・5)の
トル クは発電 機 で も生 じて い る が,発 電 機 で は 回転方 向 と反対 に トル クを 生
ず る ので,原 動機 が この トル クに反 抗 して 回 転 を続 け させ るだ けの 動力 を 生 じてい な い と発 電 機 と して の 運転 を続 け られ な くな る。 電 動機 に 生 ず る トル クを,電 流 が 流 れて い る二つ の コイル 間 に働 ら く力 や,N,S
両磁 極
間 に生 ず る吸 引 力 な どで考 え る こ と もで き る。
1・4電
気機 器 の基 本 的構 成
電 気 機器 の 主 要部 は 電気 回 路 と磁 気 回路 で あ り,こ れ ら回 路 に使 わ れ る材 料 は,電 気 回路 に は主 と して 銅 で,一 部 に アル ミニ ウ ムや 黄銅 も使 われ る。 磁 気 回路 は鉄 が主 で,交 流 磁 界 や回 転 磁界 が 通 る磁 路 に は けい素 鋼 板 ま た はけ い素 鋼 帯 が 使 われ る。 こ にで,静 止器 お よび回 転 機 の代 表 的 な もの の構 成 につ い て考 え て み る。
(b)外鉄 形変 圧 器
(a)内鉄 形 変 圧 器
(c)変圧 器 の 略 図
図1・5単
図1・5(a)は,内
図1・6電
相変 圧 器
機 子 コイ ル
鉄 形 といわ れ る変 圧 器 の略 図で,後 で述 べ るけ い素 鋼板 ま た は け い
素 鋼 帯 を積 み重 ね て 図 の よ うな閉 じた磁 路 をつ くり,こ れ に一 次 お よび二 次 コ イル を巻 く。 鉄 心 の うち コ イル を巷 く部分 を脚部,左 右両 脚 を 上側 お よび下 側 で つ な ぐ水 平 部 分 を継鉄 部 とい う。 図 で は,一 次 お よび二 次 コイル を それ ぞれ 脚 部 の左 側 お よび 右 側 に完 全 に 分 け て 示 し た が,実 際 に は左 右 両脚 に一 次 お よび二 次 コイル が巻 かれ るので,図(a)の
コ イル配 置 は あ
くま で も略 図で あ る。 図(b)は,外
鉄 形 変圧 器 の略 図 で,こ の形 で は 一次 お よび二 次 コ イ ル を 中 央脚 部 に巻
く。 コ イル 内 を通 る磁 束 は,図 の 破線 の よ うに,コ イル 外 で は左 右 に 分か れ る。 変 圧 器 の略 図は,さ
らに簡 単 に図(c)の
よ うに描 くこ とが多 い 。 こ の場 合は 鉄心 を 省略
し,一 次,二 次 コ イル だ けを示 す 。 図 中 ・印 は,こ の印 の あ る側 か ら電 流 が流 入 す る と き鉄 心 内に 同 じ向 き に磁 束 を生 ず るこ とを示 す 。す なわ ち,コ イル の巻 き方 向 を示 す 記 号で,こ れ は広 く用 い られ て い る。 図1・6は,直
流 機 お よび 交流 機 に 用い られ る電機 子*コ イル の略 図で,図 の よ うに大 体
六 角 形 で,コ イル 辺 の 部分 が 鉄心 に設 けた ス ロ ッ ト内 に入 れ られ る。 コ イル の鉄 心外 にあ る 部分 を コイ ル端 とい う。 この よ うな コイル が一 つ の 機器 内 に 多数 収 め られ,互 い に 直列 ま た は並 列 に結 ば れ る。 コイル の寸 法,導 線 断面 積,一 機 内に必 要 な コイ ル数 などは,そ の機 器 の電 圧,電 流,容 量 な ど に よ って 決 め られ る。 *電 機子(armature)と は
,磁 界 との相対回転運動によって誘導起電力を発生す る部分をいい,こ の巻 線を電機子巻線 とい う。
図1・7(a)は
直 流 機 の 原理 を 示
す もの で,外 側 に磁 極 N,S が あ り, そ の 内 側 に電 機子 が あ る。aa′ が電 機 子 コ イル の断 面 で あ る。 この コイ ル が 電 機 子 鉄心 の ス ロ ッ ト内 に 収 め ら れ る。 電 機子 を外 力 に よって あ る角速 度 ω で 図 の矢 の 向 きに 回転 させ る と,コ イル 辺 に 〓,〓
(a)直
流機 の原理
で示 した起 電 力 を生
ず る。 コ イル の 口 出 し線bb′ を図 に示 した整 流 子(commutator)に
結んでお
け ば,整 流子 上 に お い た +,−
のブ
ラ シにつ け た リー ド線 か ら起 電 力 を取 り出せ ば 直流 起 電 力 が得 られ る。 す な わ ち,直 流 発電 機 は コイル 内 に交 流起 電 力 をつ くり,こ れ を整 流 子 お よび ブ ラ シを通 して取 り出 す こ とに よ り直流 とす る もの で あ る。 ま た,直 流 電 動 機 で は +,−
ブ ラシか ら直 流 を つ くり,
(b)2
極 の 直 流発 電 機 図1・7
ブ ラ シと整流 子 の 作 用で コイル 内 の電 流 を交 流 とす る ので あ る。 実 際 の 直流 機 で は,電 機子 コ イル は数 十 個 な い し数百 個 とい う多数 が 用 い られ,こ れ らが 直 列 お よび 並列 に 組 み合 わ され る。 図(b)は,実
際 の形 に やや 近 い直 流 機 の略 図 で,こ の
図 で は12個 の電 機 子 コ イル を用 い て い る。 図 中破線 で示 し た の は,磁 極 に よ って生 ず る磁 束 の通 路 で電 機 子 鉄心 を 通 った磁束 は,外 側 の継 鉄 を通 って元 へ も どる。 図 には 整流 子 や ブ ラ シを 省 い て あ るが,こ れ らの電機 子 へ の結 線 に つ いて は 後 の章 で述 べ る。 図1・8は
同期 機 の略 図 で,普 通 は電 機子 が固 定子 側,磁 極 が 回転 子 側 に あ る。
こ の逆 の構 成 の もの もあ るが ま れで あ る。 こ こで は,起 電 力を 生ず る原理 だ けを考 え るた め,電 機 子 コイル は 1個 だ けを 示 した。 図1・9(a)は
図1・8を
展 開 した もの で あ る。
こ こで は,理 想 的 な 場合 を考 え,磁 極 に よ って ギ ャ ップ部 分 に 生 ず る 磁 束 密度 分 布 を 同 図 (b)の よ うに正 弦 分布 とす る。 1・10の
この 分布 の 磁 束が コイル 辺aa′ を切 って移 動 す れ ば,図
よ うに時 間 に対 し正弦 的 に変 化 す る起 電 力 を生 ず るこ とは 明 らか で あ る。
同期 機 は 4極以 上 の もの が実 際 に は多 いか ら,一 般 に極 数 を P とす る と,N,S
の一 対 の
(a)展開図
図1・8同
期
機
極 が 通過 す る起 電 力 の 1サ イ クル を 生 ず る か (b)ギ ャ ップ の磁 束分布
ら,回 転 子 が 毎 秒 n回転 す る と き,毎 秒 の 起電
図1・9図1・8の
展 開 図 と磁 束分 布 図
力 の サ イ クル 数,す なわ ち周波 数 f は, P/
f=
×n(Hz)
2
(1・8)
とな る。 一方
,コ
イ ル 辺aa′
か ら な る 巻 数 1回 の コ イ
ル に 生 ず る 起 電 力 の 大 き さ は, 図1・10図1・8の
e=2×blν
コイ ル に生 ず る起 電力
で 与 え ら れ る。 た だ し, π/
x=図l・9で
b=Bmsin
示 され る磁 束 密 度 〔Wb/㎡ 〕
τ
l=コ
イル 辺長 さ
〔m〕
ν=コ
イ ル 辺 と 磁 束 と の 相 対 速 度=Pτ
×n〔m/s〕
π /τ x
∴e=2l×Pτn×Bmsin そ う し て, 2/
π×Bm× τl=φ を毎 極 の磁 束 数 〔Wb〕
と お く と,Pn=2fで e=φ
あ る か ら, ×2πf×sin
π
x(V)
/τ
と な る 。 時 刻t=0に x=νt=Pτ
お い て,N ×n×t〔m〕
極 の 中 心 が 図1・9(a)のPP′
(1・9) に あ っ た とす る と,
と な る か ら,
∴e=φ
×2πf×sin2πft
(1・10)
よ って,起 電 力 の最 大 値 は φ×2πf〔V〕 で あ り,こ の実 効 値 をE0と
す れ ば,
1/√2 × φ ×2πf=4.44φf〔V〕
E0=
(1・11)
と な る。 この 式 は 同期 機(発 電機 お よび電 動 機)の 電 機 子 コイル の巻 数 一 回当 た り生 ず る起 電 力 の実 効 値 を 表 す式 で,後 の章 で述 べ るが,多 数 の コ イルを も った機 械 の一 相 の起 電 力 を 求 め る基 本 と な る。 図1・7,図1・8に
示 す よ うに,磁 極 鉄 心 に は界 磁 コイル が 巻 いて あ り,こ れ に直流if
て 界 磁 電流 とい う)を 流 す。ifを 加 減 すれ ば φが変 え られ,E0の 図1・11は
値 を 変 え る こ とがで きる。
三 相 誘導 機 の構成 を 示 す 略
図 で,固 定 子 内面 に12ス
ロ ッ トをつ くり,
これ に電 機 子 コ イル を収 め る。 図 は 4極 機 で あ り,一 相 ご とに 2コ イル,合 計 6個 の コ イル を入 れて あ る。回 転子 側 も鉄 心 の 外 面 に ス ロ ッ トを つ くり,こ れに 三相 また は 多 相 の巻線 を入 れ る。誘 導 機 は同 期機 の よ うに直流 励磁 され た磁 極 は ない が,三 相電 流 に よ って 同期 速 度 で回 る回転 磁界 を 生 じ 図1・114
て い る。 こ の こ とに つい て は 後 で 述 べ る が,図1・11の
極の 三相 誘 導 機
破 線 は 4極 機 の あ る瞬 時 にお け る磁 束 分布 を 示 し,こ の よ うに 分布 した磁 束
が 同 期速 度 で 回 転 してい るので あ る。 実 際 の誘 導 機 の 固 定子 コイル 数 は 図1・11の
よ うに少 な い もの は な く,1kW程
度 の小 容
量 機 で も24コ イル ま たは36コ イル などが 用 い られ,こ れ らに つ い て も後 の章 で述 べ る。 図1・12は,代
表 的な電 気 機 器 の電気 回 路 を示 す略 図 で,同 図 の(a)は
流 を 別 の電 源 か ら流 す 方式)の 直 流 発電 機 ま た は直 流電 動 機 で,A,B 間 が 界磁 巻 線 を 表 す。 同 図(b)は 電 機 子 巻 線,J,K
他 励磁(界 磁 電
間 が電 機子 を,J,K
三相 同期 発電 機 また は 同期 電 動機 で,U,V,W
が 界磁 巻線 で あ る。 同 図(c)は
三 相 誘導 電 動機 で,U1,V1,W1が
次 三 相 巻線 で,一 般 に一 次が 固定 子 側で あ る。U2,V2,W2は
が三 相 一
二 次 三相 巻線 で あ る。 誘導 機
(b)三相 同期 機
(a )他励 直 流 機
(c)三相 誘導 機 図1・12代
表 的 回 転機 の 電気 回路 略 図
の 二 次 は,か ご形 とい って三 相 よ り相 数 が多 い 回路 も広 く用 い られて い る が,こ れ を一 次 か ら見 る場 合 に か ご形 に 等価 な三 相 回路 を 考 え る こ とが で き るの で,図(c)は
二 次が か ご形
の 誘 導機 の 電気 回 路 を も表 して い る とい うこ とが で き る。 1・5電
気 機 器 の 主 要 材 料 と して の 銅 と 鉄
〔1〕 銅 銅 は巻 線 材料 と して 広 く用い られ る。 そ のお もな性 質 は次 の とお りで あ る。 (1)抵
抗率
銅 の抵 抗 率 は,20℃
軟 銅 と いわ れ る もの は,断 面 積1m㎡,長
に お い て1.69×10-6Ω・cmで さ1m,20℃
あ る。 た だ し,標 準
に お け る電 気 抵 抗 が1/58=0.017241
〔 Ω)の もの をい う。 ま た,抵 抗 率 の逆 数 を導 電率 とい い,断 面 積,長
さお よび 温度 が 等 しい
ときの あ る導 体 の 導電 率 と標 準軟 銅 の 導電 率 の比 を % で 表 し,こ れ を % 導電 率 とい う。 巻 線 に使 わ れ る銅 の導 電 率 は98∼100%で (2)電
気抵 抗
断面 積S〔m㎡
あ る。 〕,長 さl〔m〕,抵 抗 率 ρ 〔Ω・m㎡/m〕 の銅線 の電 気
抵抗 は, R=
ρ・l/S〔 Ω 〕
で あ る。 (3)銅
の 密 度20℃
で8.899/cm3で
銅 線 の 重 量 は,Gc=Sl×8.89×10-3〔kg〕 (4)銅
線 の抵 抗 と温度 の関 係
に お い て 抵 抗Rt〔 き,⊿R/Rt=αtをt〔
あ る 。 従 って,断
〕,長 さl〔m〕
の
で あ る。 銅 線 は 温 度 が高 くな る と抵 抗 が 増 す 。 あ る 温 度t〔 ℃)
Ω 〕 で あ っ た 銅 線 の 抵 抗 がt+1〔 ℃)に
面 積S〔m㎡
℃ 〕に お い てRt+⊿R〔
お け る 抵 抗 温 度 係 数 と い う。 tを0℃
Ω〕に な っ た と
と した と き α0=0.00427
=1/234.5で 0℃
あ る 。 よ っ て ,つ
でR0〔
ぎ の よ う な 関 係 が つ くれ る 。
Ω 〕 で あ っ た 銅 線 はt〔 ℃ 〕 お よ びT〔
℃ 〕で は,つ
ぎ の よ うな抵 抗値 にな る。
Rt=R0(1+α0t) RT=R0(1+α0T)
(1・12)
式(1・12)は,変
形 す れ ば 次 の よ うに も書 け る 。
(1・13) こ の式 は,銅 線 の抵 抗 の変 化 を 知 って 温度 の変 化 を 求 め る式 で,こ れ が 巻線 の 温度 測 定 に 用 い られ る。 これ を 抵 抗 法 に よ る温度 測 定 とい う。 (5)銅
線 の種 類
電気 機 器 に用 い られ る銅 は,か ご形 誘 導機 の 回 転子 の よ うに 裸 の銅
棒 や銅 帯 が 用 い られ る部 分 もあ る が,そ の他 は すべ て 絶縁 され た線 が 用 い られ る。絶 縁方 式 は多 種 類 が あ り,そ れ ぞ れJIS(Japan
Industrial Standard)規 格 に 決 め られ て い るが,大
別 す れ ば 次 の よ うに な る。 エ ナ メル 線
小 形 電 動機 用
ホル マ ー ル線
汎 用 電 動機,油 入 変 圧 器用 な ど
ポ リエ ス テ ル線
E種 絶 縁 の汎 用電 動 機,乾 式 変圧 器 な ど
ポ リウ レ タン線
電 子 機 器用 巻 線
ガ ラス絶 縁 線
中 容 量 以上 の 回転 機 電機 子 巻 線用,乾 式 変圧 器 用
紙巻線
油 入 変 圧器
綿 巻線
油 入 変圧 器
等 が あ る。 これ らは絶 縁材 料 の種 類 に応 じて 許 容最 高 温度 が異 な るので,こ の温 度 限度 を超 え な い よ うに機 器 を 使 用 しな けれ ば な らな い。 〔2〕 鉄 心 材 料 電 気 機器 の磁 気 回 路 に は鉄 が 用 い られ るが,回 転 機 の よ うに 固定 部 と回転 部 とが あ る場合 には,そ の間 にギ ャ ップ(gap)と
い う空 気 の 部分 が あ る。 ギ ャ ップ の部 分 は一 般 に非 常 にせ
ま いが,空 気 の比 透 磁率 が鉄 に比 べ て小 さい ので,機 器 の特 性 に重 要 な 関係 を も ってい る。 磁 気 回路 の うち,交 番磁 束 や 回転 磁 束 の通 る部分 は,う す い 鋼 板を 積 み 重 ね て鉄心 を 造 る。 これ を 成 層鉄 心 と いい,成 層 す る こ とに よ り鉄心 内に生 ず る うず 電 流 損 を 減 ら し,鉄 心 が発
熱 す るの を防 ぐ。 成 層 鉄心 を 造 るた めの 鋼板 には,ご
く小形 機 器 用を 除 い て,け い素 を 少 量
含 ませ た け い素 鋼板 ま た は け い素 鋼帯 が 用 い られ る。 最 近 は後 者 が広 く用 い られ る。 現 在 使 われ る鋼帯 は,大 体 表1・2の 表1・2電
(1)小
よ うに分 類 され る。
気 機 器用 鋼 帯 の種 類(JIS規
形 電 動機 用 磁 性鋼 帯
格 の抜 す い)
これは け い素 を含 まな い鋼 帯 で,鉄 損 は や や多 い が,安
価で,か つ,工 作 が しや す く,家 庭電 器 品 に組 み込 まれ るよ うな小形 電 動 機 用鉄 心 に 広 く用 い られ て い る。 な お,表1・2で 磁 束 密 度B=1〔Wb/㎡ の鉄 心1kg当 図1・13に (2)冷
鉄損
とい うの は,
〕,周 波数f=50〔Hz〕
に お いて
た りの鉄 損 値 〔 W 〕 を 示 す も の で あ る。 鋼 板 の鉄 損 の 例 を示 す 。
間圧 延 け い素 鋼 帯
この 鋼帯 は,主 と して回
転機 に用 い られ,幅 は150∼600mmで
長 尺 の 帯状 で ドラ
ムに巻 いた形 で 供 給 され るの で,連 続 打 ち抜 きに便 利 で あ る。 この鋼 帯 の う ち,S23は
け い素 含 有量 が 少 な く,S12
が 最 も多 い が,そ れ で も3.5%以
下 で あ る。 一 般 に,け い
素 を 多 く含 ませ る と抵抗 率 が 大 き くな り,う ず 電流 損 が減 少 す るが,硬
くな るの で,回 転 機鉄 心 と して のス ロ ッ トの
図1・13鋼
板の鉄損例
よ うな,細 か く,か つ,正 確 な寸法 に打 ち抜 きを しな けれ ば な らな い場 合 に工 作 が難 か し く な る。 なお,S23と
い う よ うな記 号 の Sは シ リコ ンを表 し,23は 厚 さ0.35mmの
の 値 の概 略値 の小 数 点 を と って記 号 化 した もの で あ る。 例 え ば,S18と 0.35mmの
が 約1.8W/kgで
ま た,B1990と
あ り,こ の1.8の
小数 点 を と って18と
は,磁 化力 が1990AT/m=25〔Oe:エ
鋼帯 の
い う鋼帯 は,厚 さ した もの で あ る
。
ール ス テ ッ ド〕 に お け る 磁束 密 度
〔Wb/㎡ 〕 を示 す もの で あ る。 冷間 圧延 け い素 鋼板 の う ち損失 の 少 な いS14,S12な (3)方
向性 け い素 鋼 帯
ど は,変 圧 器 鉄 心 に も用 い られ る。
方 向 性 とい うのは,磁 束 を通 す 向 き に よ って磁 気 特性 の異 な
る こ とを いい,圧 延 の向 きに磁 束 を通 した ときに最 も透磁 率 が高 い。 この 鋼帯 は,主 と して 電 力 用 変圧 器 鉄心 に,ま た大 形 ター ビン発電 機 の 固定 子鉄 心 に 用 い られ る。 これ らの 鋼 帯 に は,表 面 に絶 縁皮 膜 を つ くる処 理 が して あ るので,積 み重 ね た ときに 層 間 は絶 縁 され て い る とみ る ことが で き る。
(a)小
形 同 期発 電 機 の 磁極 鉄 心 の 例 (厚 さ1・6mm)
(b)小
形 直 流 機 の主 磁 極 鉄 心 の例 (厚さ1.6mm)
図1・14
1・6電
気機 器 の温 度上 昇
電 気機 器 の巻 線,鉄 心,軸 受 な ど は,使 用 中,鉄 損 に よ る熱 のた め に温 度 が 高 ま る。 使用 中の 測定 温 度 と冷媒 温 度(空 冷 の場 合 は周 囲 の空気 温 度)と の 差 を 温度 上 昇(temperature rise)と い う。 〔1〕 温 度上 昇 の 限度 温 度 上昇 の 限度 は,日 本 電 気 規格 調 査会(Japan JECと
Electrotechnical
い う)の 規 格 に細 か く決 めて あ る が,そ の一 部 を示 す と表1・3の
Committee,略
して
ように なって い
る。 た だ し,こ の温 度 上昇 限度 は,電 機子 巻 線 につ い て は抵
表1・3交
流 機,直 流 機 の電 機 子 巻 線 お よび 鉄心 の 温度 上 昇 限度
抗 法 で,鉄 心 に つ いて は温 度 計法 に よ って測 定 した場 合 の値 で あ る。 なお,こ の表 の絶 縁 の種 類 に つ いて は 次 の項 で述 べ る。 一 般 に,電 気機 器 は銘板 に 示 され た 電圧,電 流,出 力等 の 範 囲 内 で使 用 す れ ば,温 度 上 昇が 表1・3の
限度 を超 え な い
よ うに造 られ て い る。 〔2〕 冷 媒 温 度 回 転機 の 温 度上 昇 を きめ る ときの 基準 とす る冷 却 媒 体の 温度 を 冷 媒温 度 とい う。 冷却 媒 体 は多 くの場 合 空気 で あ るが,水 素 ガ ス,油,水
の こ と もあ る。
冷 媒 の温度 は季 節 や その 機 器の お か れた 環境 に よる変 動 が あ るが,機 器 の定 格 を決 め るた め に冷 媒 温 度 の限 度 が決 め て あ る。 これは 空気 に対 しては40℃,水 て い る。 す な わ ち,表1・3の
に 対 して は25℃
温度 上昇 限 度 は,冷 媒 温 度 の 限度40℃
とな っ
か ら起 算 して 高 ま る
温度 の限 度 を示 した もので あ る。 しか し,冷 媒 温 度 が決 して30℃
を超 え な い と して設 計 され る機器 や,40℃ を超 え るこ と
を 予期 して 設 計 され る機 器 につ い て は,表1・3の
温 度 上 昇 限度 値 に修 正が 加 え られ る。
〔3〕 絶縁 の種 類 と温 度 限度 回転 機 や 乾式 変 圧 器 には,巻 線 の絶 縁 材 料 の構 成 に応 じて Y,A,E,B,F,H,C
種 の絶 縁 種別 が あ る。 各絶 縁 種別
の温 度 限 度 は,表1・4の
とお りで あ る。 ま た,各 絶 縁 種別
表1・4絶
縁種 別 と温度 限 度
の お もな 構成 材 料 は 次 の とお りで あ る。 Y 種:木 綿,紙,絹
などを 用 い ワニ ス含 浸を しな い絶 縁
A 種:Y 種 と同様 な材料 を 用 い,ワ ニス 含浸 を す るか ま た は油 中に 浸 して使 用 す る巻 線 E 種:A 種 よ り耐熱 性 のす ぐれ た材 料。 例 え ば,マ イ ラ, ポ リエス テル フ ィル ムな どを 用 い ワニ ス含 浸 処理 を した もの B 種:マ イ カ,石 綿,ガ ラス繊 維 な ど を主 と し,接 着材 料 を 用 いて 構成 した絶 縁 F 種:B 種 とほ ぼ同 じ主 要材 料 を 用 い るが,シ
リコ ンアル キ ッ ド樹 脂 な どの接 着材 料 を 用
いて 構成 した もの H種:B 種 とほ ぼ同 じ主材 料 を 用 い,シ
リコン樹 脂 な どの 接着 材 料 を用 い て構成 した もの
C 種:マ イカ,石 綿,磁 器 な どを 単 独で 用 い た もの,お よび ガ ラス,セ メ ン トの よ うな無
機 質 の接 着 剤 と と もに用 い た もの 表1・4に
よ る とB種 絶 縁 の温 度 限度 は130℃,ま
昇 限 度 は80℃
で あ り,冷 媒空 気 温度 の 限 度 は40℃
よ って,ぎ りぎ りの冷 媒 温度40℃ と な り,温 度 限度130℃
の場 所で,80℃
に対 し10℃
た表1・3に
よ る と B種 絶 縁 の温 度 上
で あ る。 の温度 上 昇 を 起 こせ ば 温 度 は120℃
の余 裕 があ るよ うに 見 え るが,こ れ は 温 度 上 昇 が 抵
抗 法 に よ って 測 られ る場 合 に,さ きに述 べ た よ うに,平 均 温度 上 昇 を測 ってい る こと に な る の で,抵 抗 法 で80℃
の温 度上 昇 が 測定 され れ ば,巻 線 の あ る部 分 の 最 高 温度 上 昇 は90℃
に 近 い とみ なけれ ば な らない か ら,10℃
は 余裕 とは い えな い こ とに な る。
〔4〕 機 器 温度 の 測定 電 気機 器 の巻 線 や 鉄心 の 温度 測 定 法 に は,次 の各 種が あ る。 (1)温
度 計法
棒 状 温度 計,抵 抗 温 度計,熱 電対 温 度計 な どを,外 部か ら接近 で き る
場 所 で,温 度 が最 高 と思 わ れ る所 の 温度 を 測 る。 この方 法 で は,巻 線 や 鉄 心 の奥 深 い最 高 温 度 の 所 は測 れ な い。 (2)抵
抗法
は 式(1・13)に
巻線 の 抵抗 の変 化 を測 って,そ れか ら温度 を 逆 算す る方法 で ある。 逆 算 よ って行 うの であ る が,温 度試 験 を終 わ る時 の冷媒 温 度ta〔 ℃ 〕 が,始
の冷 媒 温度t〔 ℃ 〕 に 等 しい とは限 らな いか ら,JEC規
め
格 には,温 度計 算 法 と して,次 の式
が 示 され て いる。
(1・14) ただ し,巻 線 が アル ミニ ウム の場 合 は,式(1・14)の234.5の
代 わ りに230を
用 い る。
この 抵抗 測 定 は温 度 試験 中にで きな い ので,電 源 を切 った後 に行 う ことに な るが,電 源 を 切 れば 巻線 温 度 は急 速 に下 が る ので,抵 抗 測 定 は手 早 く行 わ な けれ ば な らない。 測 定 器 具 は 普 通 は ホイ トス トンブ リッジに よる。 なお,使 用 中の機 器 の巻 線温 度 はす べ て の部 分 が同 じとは な らず,抵 抗 法 に よ って 測 られ る温 度 上 昇 は平 均値 を 測 って い る こ とに な るの で,最 高 温度 上 昇 は,式(1・14)で
得 られ る
値 よ り若 干高 い と見 な け れば な らない 。 (3)埋
入温 度 計法
電 機 子 の ス ロ ッ ト内の よ うに,完 成 後 に は接 近で きな い場 所 に,
機 器 の製 造 工程 の 中で,抵 抗 温 度計 素 子 ま た は熱 電対 温 度 計素 子 を予 め入 れて お き,外 部 に 引 き出 した端 子 を用 いて 温 度 を測 る方 法 で あ る。
1・7
損 失 と効率
〔1〕 損 失 と効率 あ る機 器 の入 力 と出 力 の差 を損 失(loss)と
い う。損 失 は W ま た はkWで
表 す が,そ の
機器 の 容 量 を基 準 と した百 分率 で 表 す こ と もあ る。 また,あ る機 器 の出 力(output)と
入 力(input)の
比を 効 率(efficiency)と いい,普 通 は
百分 率 で 表 し,特 に こ とわ らな い場 合 は その機 器 の 定格 出力 時 の値 が 示 され る。 効 率 を 測 る に は出 力P2お
よび入 力P1を
実 測 して,そ の 比 か ら求 め る方 法 と,あ る出 力
ま たは入 力 時 の損 失 pを測 って,効 率 η を
(1・15) の よ うに して求 め る方 法 とが あ る。 前者 を 実 測効 率(efficiency by 者 を規 約 効 率(efficiency by summation
input-output
test),後
of losses)とい う。一 般 には,規 約効 率 が用 い られ
る。 これ は,入 力,出 力 を直接 測 るこ とが 困難 な こ とが 多 い か らで あ る。 〔2〕 損 失 の種 類 損 失 は,発 生 場 所 や負 荷 の変 化 に対 して ほ ぼ一 定 の もの,変 化 す る ものな どに応 じて,次 の よ うに 分 類 され る。 定 電 圧,定 周 波 数,定 速 度 で運 転 され る発電 機 や電 動 機 に お いて は, ①
固 定損
負荷 が 変 化 して もほ ぼ一 定の 損 失 が これ に属 し,① 無 負 荷鉄 損,② 軸 受 の
摩 擦 損,ブ ラ シの摩 擦 損(friction loss),風 損(windage ②
直接 負 荷 損
loss)な どに 分 け られ る。
負 荷 の変 化 に著 し く変 化 す る損 失 が これ に属 し,① 電 機子 巻線 の 抵抗
損,直 流 機 の 直巻 界 磁 ・補 極 ・補 償 巻 線 の抵 抗損,② ブ ラシ の電気 損,③ 負 荷 に よ り変 化 す る 鉄損 な どが これ に属 す 。 ③
分 巻 お よび 他励 界 磁 巻線 の 抵抗 損
④
漂 遊負 荷 損(stray-load
loss)負
荷 の 変 化 に よ って変 化 す る損 失 で あ るが,導 体 の
中,鉄 心 内,ブ ラ シ内な ど に生 じる損失 で,こ れ ら は測定 も計 算 も困難 で あ る。 漂 遊負 荷 損 は小 容 量 機 で は無 視す る。 これ ら損失 の うち抵 抗 損 は,巻 線 抵 抗 ×(電流)2と な る が,巻 線抵 抗 は 温度 に よって 変化 す るの で,規 約 効 率 を求 め る場 合 に は,巻 線 温 度 が,A,E,B 絶 縁 で は115℃
種 絶 縁 で は75℃,F,H
種
で あ る場 合 の抵抗 損 を 求 め る こ とに な って い る。
なお,ベ ル トや 歯車 な ど伝 動 装 置の 損失,界 磁抵 抗 器 の 損失,冷 却 用 の 送風 機,ポ ンプ な
どの動 力 は損失 に含 め ない 。
1・8定 〔1〕
格 と銘 板 定
格(rating)
電 気 機 器 に は 使 用 上 保 証 さ れ た 限 度 が あ り,出 い,ほ
か に 電 圧,電
格 電 流,定
流,回
格 回 転 速 度,定
転 速 度,周
力 の 限 度 を 定 格 出 力(rated
波 数 な ど に も使 用 限 度 が あ り,そ
格 周 波 数 と い う。 こ れ ら は す べ て 銘 板(name
output)と
い
れ ぞ れ 定 格 電 圧,定 plate,rating plate)
に記 載 す る こ とに な って い る。 定 格 出 力 は,
① 直 流 発 電機 にお い て は,端 子 に お け る定格 出力 を W ま た はkWで
表 す。
② 交 流 発電 機 にお いて は,端 子 に お け る定 格 出 力 を W ま たはkWで
表 す か,VAま
はkVAで
た
表 し,定 格 力率 を並 記 す る。
③ 電 動 機 の定 格 出力 は,直 流,交 流 い ずれ の 場 合 も軸 に生 ず る機 械 的 出力 を W ま た は kWで
表 す。 なお,加 減 速度 電 動機 につ い て は,最 高 お よび 最 低速 度 に 対 し,そ れ ぞれ
定 格 出 力を 決 め る こ とにな ってい る。 電 気 機 器 が連 続 的 かあ るいは 断続 的 に 使 わ れ る べ き 設 計 で あ る か に よ って,連 続定 格 (continuous
rating),短 時 間定 格(short-time
rating),反 復 定格,等
価 定 格 な どの 区別 が
あ る。 ①
連続定格
銘 板 に示 され た定 格 の も とで連 続 に使 用 した と き,JEC規
格 の 温度 上 昇
限度 を 超 え な い定格 を い う。 ②
短 時 間 定格 とき,JEC規 60分,90分
③
冷状 態 か ら使 用 を開 始 し,指 定 され た一定 時 間,指 定 の条 件 で 使用 した 格 の温 度 上昇 限 度 を超 え な い定 格 を い う。 時間 の標 準 値 は10分,30分,
が あ り,そ れ ぞれ10分 定 格,30分
反 復 定 格 お よび等 価 定格
定 格 など とい う。
断続 的 に 使 用す る機器 に つ いて 決 め られ た定 格 で あ るが,
こ こで は詳 細 は 省 く。 〔2〕 銘 板 電 気 機 器 ご とに,そ の 機器 の機 体 の見 や す い所 につ け られ る表示 板 を 銘板 とい い,銘 板 に は定 格 出 力 その他 の定 格事 項 の ほか,製 造 者 名,製 造 年,製 造番 号 などを 記 載す る。 大 容 量 の機 器 に な る と銘板 に記 載 す べ き事 項 は さ らに 多 くなる が,こ れ らに つ いて はJEC 規 格 に 細か く決 め られ て い る。
1・9電
気 機器 に関 す る規格
〔1〕 JEC規 1・6節
格
で 述 べ たJECの
規 格 の う ち 電 気 機 器 に 関 係 す る お も な も の は,次
こ れ ら は 国 際 電 気 標 準 会 議(International 一 され た 規 格 に 近 づ け られ つ つ あ る
Electrotechnical
Commission)に
の各 種 で あ る。 よ り国際 的 に統
。
①JEC-146回
転 電気 機 器 一般
②JEC-147電
気 機 器絶 縁 の種 類
③JEC-54直
流機
④JEC-168変
圧器
⑤JEC-37誘
導機
⑥JEC-114同
期機
⑦JEC-164試
験 電圧 標準
これ らの規 格 に は,機 器 に関 す る用 語 の定 義,損 失 や特 性 の決 定 法,温 度 測定 法,端 子記 号 の 標準,絶 縁試 験 法 な どが 詳 し く規 格化 され,説 明 が加 え られ て い る。 な お,こ れ らの規 格 は技 術 の進 歩 に応 じ,し ば しば改 訂 され るか ら注 意 を 要す る。 〔2〕JIS規
格
これ は国 家規 格 で,電 気 機 器 に関 す る もの として は,標 準 化 され た小 形 お よび中 形交 流電 動機 や変 圧 器 のJIS規 格 の よ うに製 品 と して の規 格 は もち ろん,電 気 鉄 板,絶 縁物,ね じ類 巻 線用 電 線 な どの機 器 を構 成 す る部 品 につ い て も多 くの規 格 が あ る。
第 2章
2・1
直
流
機
直 流機 の種 類
直 流機(DC
machine)は,表1・1に
も示 した よ うに,各 種 の 励磁 方式 が あ り,ま た特 性
上 か らみて もい くとお りか に分 け られ る。 〔1〕 励 磁 方 式 に よ る 分 類(図2・1) (1) 自 励 発 電 機 自 励 発 電 機(self-excited
generator)と
は,そ
の界 磁 電 流が発 電 機
自 身 の 電 機 子 か ら供 給 さ れ る発 電 機 を い う。 (2) 他 励 機 他 励 機(separately
excited
machine)と
は,界
磁 電 流 が 他 の 電 源 か ら供
給 さ れ る 方 式 を い う。
(3)磁
石直 流 機 磁 極 が永 久 磁石 で あ る直 流 機 を い う。 これ は ご く小形 機,特 に電 動
機 に 用 い られ る。
(イ) 分
巻
機
(ロ) 内 分巻 複 巻
(ハ) 外分 巻 複 巻
(a) 自励 直 流機
(b) 他励直流機
(c) 他励 付 き分 巻機
(d) 直
{F… 分巻界 磁 S…
直 巻 界磁
Rf… 界 磁抵 抗 器
図2・1直
流 機 の種 類
巻
機
〔2〕 界磁 巻 線 によ る分類 (1) 分 巻機 分 巻機 とは,界 磁 回路 と電 機子 回 路 とが 並列 に接 続 され た もの を い う。 分 巻機 で さ らに他 励 界磁 巻 線 を もつ 場合 は他 励付 き分巻 機 とい う。 (2)直
巻 機 直 巻機 とは,界 磁 回路 と電 機子 回 路 とが 直列 に接 続 され た もの を い う。
(3)複
巻 機 複 巻(compound)機
とは,分 巻 界磁 巻 線 と直 巻 界磁 巻 線 とを もつ もの を
い う。 分 巻 界磁 と直 巻界 磁 とが 同 じ極 性 の もの を和 動(cumulative)複
巻,逆
の極性 の もの
を差動(defferential)複 巻 とい う。 複巻 機 で は和 動 の ものが 多 く使 用 され,単 に複 巻 といえ ば 和動 を 意 味 して い る。 ま た,複 巻 で は,図2・1(a)に 複 巻 と外 分 巻(long
示 す よう に,分 巻 界 磁 回路 の接 続位 置 に よ り内 分 巻(short
shunt)
shunt)複 巻 とが あ る。 内分 巻 とは,分 巻 界 磁 が電 機子 側 に直 巻 界 磁 が
端子 側 に あ る も のを い い,外 分巻 とは,分 巻 界磁 が端 子 側 に,直 巻界 磁 が 電 機子 側 に あ る も のを い う。 発 電 機 で は 内分 巻 複 巻が,電 動 機 で は外 分巻 複 巻 が それ ぞれ 標 準 に な って い る。 〔3〕 速 度 に よ る分 類 速度 につ い て は,つ ぎの よ うな用 語 が あ る。 (1)定
速 度 発 電機 速 度が 一定 か また は ほぼ 一定 で 運転 す る発 電 機 を い う。 直流 発電
機 は この 類 に入 る もの が大 部 分 で あ る。 (2)変
速 度 発 電機 速 度が 広範 囲 に変 わ る発電 機 を いい,こ れ は特 殊 用途 の もので あ
る。 (3)定
速 度 電 動機 負 荷 にか か わ らず速 度 が一 定 か また は ほ ぼ一 定 の電 動 機 をい う。
定電 圧 で 運転 され る分 巻, 複巻 お よび他 励電 動 機 が この特 性 を も って い る。 (4)多
速 度 電 動機 数段 の速 度 に変 更 で き る電 動 機 を い う。
(5)加
減 速 度電 動 機 速 度 を 広 い範 囲 に連 続的 に変 え られ る電 動 機 を い う。
(6)変
速 度 電動 機 負 荷 が 変化 す ると速 度 が著 し く変 わ る電 動 機 を い う。
2・2
直 流機 の構造
直 流 機 の構 造 に つ いて は,図1・6に
略 図 を示 した が,こ こで再 び 考 え て み る。
〔1〕 固 定 子 直 流 機 の固定 子 は,主 磁極(main
pole),固 定 子継 鉄(yoke),ブ
ト,外 枠,軸 受 な どか らな る。 なお,補 極(interpole),補 を もつ 場 合 には,こ れ らも固定 側 に お かれ る。
ラシ保持 機 構,ブ ラケ ッ
償巻 線(compensating
winding)
主磁 極 鉄 心 は,厚 さ1.0∼1.6mmの 主 磁 極 の 界 磁 コイ ルは,図2・2の
鋼板 を積 み重 ねて つ くる。 例 の よ うに,細
くて巻 数 が 多 い分 巻 界 磁 と,断 面 積 が
大 き く巻 数 が 少 な い直 巻 界 磁 とを お く複 巻 が多 い 。 ご く小 容 量 の直 流 機 を 除 いて,整 流 を よ くす るた め に,図2・2の
例 の よ うに主 磁 極 の間 に
補極 を お く。 補極 の巻 線 は電 機 子 と直 列 に接 続 し,補 極 に 生 ず る磁 束 が電 機 子 電 流 に比例 す る よう にす る。 補 極 鉄 心 は 塊状 鉄 心 でつ く られ る ことが 多 い が,大 容 量 機 で負 荷 が急 変 す る よ う な用 途 の もの で は,主 磁極 と同 様 に積 み重 ね た 鉄 心 と し,電 流 変 化 に 応 じて 補極 磁 束 が時 間 遅 れ な く生 ず る よ うに す る。 継 鉄 は,主 磁 極 お よび補 極 を取 り付 け る外 周 部 の 鉄 心 で,主 磁 束 の帰 路 と して磁 気 的 に も重 要 な部 分 で あ る。 継 鉄 も塊 状 鉄心 でつ くる場 合 が多 い が,厚 鋼 板 を 積 み重 ねてつ くる こと もあ る。 回 転 子側 の整 流 子 が あ る部 分 の外 周部 に は ブ ラシ保 持 機構 を お き,ブ ラシを適 正 位 置 に保 持
図2・2
直流 複 巻 発 電 機の 例
す る よ うに し て あ る。 〔2〕
回 転 子
回 転 子 は,電 機 子 鉄 心,電 機子 巻 線,整 流 子 お よび 軸 な どに分 け られ る。 (1)電
機 子 鉄 心 電 機 子鉄 心(armature
素鋼 帯 が 用 い られ る。 図2・3は,コ
core)に は,0.35ま
た は0.5mm厚
イ
ル を入 れ るた め の ス ロッ トをつ け た素 板 の 例で あ る。 この 形 の もの を必要 な厚 さ だ け積 み 重 ね て成 層 鉄 心 とす る。 この ス ロ ッ トに入 れ る コイル は,絶 縁 種別 に応 じ,エ ナ メル 銅線,ホ ル マ ール 銅線,ポ
リエ ス テル 銅 線 な どの マ グ ネ ッ
トワイ ヤ(絶 縁皮 膜 を施 した電 気機 器 の
図2・3
電 機 子 鉄 心 の例
のけい
図2・4 巻 線 用 電 線 を い う)や,綿,ガ 図2・4は (2)電
コイル 入 れ 中の 電機 子 鉄心
ラス繊 維 な どを巻 いた 銅線 が 用 い られ る。
コイル 入 れ 中の 電機 子 鉄 心 で あ る。 機 子 巻 線 電 機 子 巻 線(armature
イ ル を 図2・4の
winding)は,例
鉄 心 の ス ロ ッ トへ 入 れ て,コ
え ば,図1・6の
よ うな コ
イ ル 相 互 間 を 口 出 し線 を 通 じて 結 び,各
コイ
ル に 生 ず る起 電 力 が 正 負 ブ ラ シ 間 に 効 率 よ く直 列 に 加 わ る よ う に す る 。 電 機 子 コ イ ル 相 互 間 を 結 ぶ の に 重 ね 巻(lap
winding)と
波 巻(wave
winding)の
二つの
方 式 が広 く用 い られ て い る。 重ね 巻 の場 合 の一 部 を略 図 で 示 した のが 図2・5で
あ る。
電 機 子 コイル 間 お よび電 機 子 コ イル と整 流 子片 との つ なが りを 図で示 す と 複 雑 に な る が,大 体 つ ぎの よ うにす る。 (a) コ イル辺 の番号 番
図2・5電
機 子 コ イル と整 流子 片 との つ なが りの一 部(重 ね 巻 の 例)
号 の付 け方 は一通 りでは な いが,任 意 の ス ロ ッ トに あ る コイル 辺 か ら始 め て図2・5の
よう
につ け るの も一 つ の方 法 で あ る。 直 流 機 の電 機 子 は 2層巻 とす るか ら コイル 辺番 号 は少 な く と も ス ロ ッ ト数 の 2倍 ま でで き る。 ス ロ ッ ト入 口 に あ るコ イル辺(に れ を上 口導 体 とい う) には 奇 数,ス ロ ッ ト底 に あ る コイ ル辺(こ れ を下 口導体 と い う)に は偶 数 の番 号 をつ け る。一 つ の コイル の巻 数 が 2 回以 上 あ って も巻 線 図 で は 1回 の よ うに示 す 。 1ス ロ ッ トに 上 口お よび下 口 導体 をそ れ ぞれ 二 つ以 上入 れ る場 合 も多い が,こ の と きは 図2・6の
よ うに番 号 を つ
図2・6
1ス ロ ッ ト内 の コイル 辺 の横 な らび 数u=2 の 場合
け る。
(b) コ イル ピ ッチ 一 つ の コ イル の広 が りは ほ ぼ 1極 分 の 幅 と な って い る こ とが必 要 で あ り,こ の た め には 一 つ の コイ ル の左 右 の コイル 辺 の番 号 の差(こ れ を コ イル ピ ッチ と い う) は,全
コイ ル辺 数 を 極 数 で 割 った 値 に 近 くな けれ ば な らない 。 図2・5の
例 で は,4 極24ス
ロ ッ トで あ り, 全 ス ロ ッ ト数=全
コ イ ル 数=24,全
コ イ ル 辺 数=24×2=48
1極 当 た りの コ イ ル の 辺 数=48/4=12 で あ る。 巻 線 を 図 で 示 す 場 合,整
流 子 が あ る 側 を 前,反
つ な が れ る コ イ ル 辺 番 号 の 差 を 後 ピ ッ チ(back pitch)と
い う 。 図2・5の
対 側 を 後 と い い,後 pitch),前
側 で コ イ ル 端 を 通 じて
側 で の そ れ を 前 ピ ッ チ(front
例 で は,
後 ピ ッ チyb=14-1=13,前
ピ ッ チyf=14-3=11
で あ る。 これ らは 1極 当た りの コイル 辺 数12に 近 い 奇数 に な って い る。 (c)整
流子 片 の番 号 整 流子 片 に も番 号 を付 す が,コ
子 片 をNo.1と
す る。 あ る整流 子 片 か ら一 つ の コ イル を通 じて,つ
片 との番 号 差 を整 流 子 ピ ッチ とい う。 図2・5の (d)重
イル 辺No.1に
ね 巻 の巻 線 図 例 図2・5の
例 で は2‐1=1で
ぎにつ なが れ る整流 子
あ る。
重 ね巻 巻 線 の 全体 は,図2・7(a)の
よ うな 略 図 で示
(b)起電 か群
(a)放 射 式 巻 線 図 図2・7重
つ なが れ る整 流
ね巻 巻線
さ れ る。 この 図 の コイ ル辺 1か ら出発 して つ なが り の 順 に た ど って み ると,最 後 に 1へ戻 る。 す な わ ち,全 コイ ル は環状 に な って い る。 そ う して,こ の図 の場 合,環 内 には 同 図(b)の よ う に 四つ の 起電 力 の 群 が で きて い て,環
内 で の 起 電 力 の 総 和 は零 で あ るが,(全
コイ ル 辺
数/極 数)個 の 起電 力 が 直列 に な るの で,同 図(a)の よ うに整流 子 片 上 に ブ ラ シを お い て, これ ら ブ ラ シを 発電 機 の 十,一 端 子 へ 結べ ば,端 子 間 に極 数 に等 し い並 列 回 路が で きる。 (e)波
巻 の 巻線 図 例
で は,図2・5の
重 ね巻 巻 線
よ うに六 角 形 の コ イ
ル を用 い,こ れ を 改 めて 画 けば図2・8 (a)の よ う に な るの で あ るが,波 巻 巻 線 で は 同 図(b)の よ うに前 側(整 流 子 側)で の 口 出 し線 が足 を開 い た よ うな 形 の コイ ルを 用 い る。
(a)重
ね巻
(b)波
実 線 は 上 ロ コイル 辺
破 線 は下 ロ コイ ル辺
図2・8重 図2・9(a)は,4
数=23の 25-14=11,整
極,全
巻
ね 巻 と波 巻 の コ イル の形 の相 異
ス ロ ッ ト
場 合 の 波 巻 の 例 で あ る 。 こ の 図 の 場 合,後 流 子 ピ ッチyc=13-1=12と
ピ ッ チyb=14-1=13,前
ピ ッチyf=
な って い る 。
波 巻 で も,同 図(b)の よ うに,全 コ イル辺 を通 じて 環状 につ な が れ,環 内 の起 電 力 群 は 二
(b)起電 力群
(a)放射 式 巻 線 図 図2・9波
巻 巻 線
つ し か で き な い 。 す な わ ち,正 図2・10は,4kW,6 ト内 の コ イ ル 辺 数 子 片 数100で 200/6=33.3に と も に33に
負 ブ ラ シ 問 の 並 列 路 の 数 は 極 数 に か か わ らず 常 に 2 で あ る 。
極,110V,600rpmの
直 流 発 電 機 の 例 で,全
4,1 コ イ ル の 巻 数 4,よ
あ る 。 従 っ て,巻
近 い 奇 数 が 選 ば れ な く て は な ら な い。こ
ね巻 と波 巻 と の比 較
で あ り,コ
の 例 で は,前
流 子 ピ ッ チycも33で
図2・10波
(f)重
っ て 巻 線 図 上 で は 全 導 線 数=4×50=200,整
線 図 上 の コ イ ル 辺 番 号 は1∼200ま
な っ て い る 。 ま た,整
ス ロ ッ ト数50,1
ス ロッ 流
イル ピッチ は
ピ ッ チyf,後
ピ ッ チyb
あ る。
巻 の 例
重 ね巻 で は,正 負 ブ ラ シ間 に極 数 に 等 し い並 列 回 路 が で き
る ので,外 部 電 流 が大 で もコイ ル電 流 は 小 とな るの で,電 圧 が 低 く,電 流 が多 い場 合 に 適す 。 この巻 線 は,中 形 機,大 形機 に広 く用 い られ る。 な お,重 ね 巻 で は,各 磁 極 の磁 気 的 な 不 均 一 ,例 えば ギ ャ ップ長 さの不 均 一 な どの原 因 で,各 並 列 回路 の 起電 力 が 等 し くな らな いお そ れ が あ り,こ の とき は並 列 回路 内で 循 環 電流 が流 れ 好 ま し くない の で,電 機 子 内 各導 線 の う ち常 に電 位 が 等 し くな る点 の相 互 間 を結 ぶ均 圧結 線 が 必 要 で あ る。 波巻 で は極 数 に か かわ らず 並列 回路 数 は 2 とな る ので,4 極 以 上 の場 合 は同 じ全 導線 数 で 重 ね 巻 よ りも正 負 ブ ラシ間 の 直 列導 線 数 が 多 くな り,高 い起電 力 が 得 ら れ る。波 巻 は 中形 機,小 形 機 に広 く用 い られ る。 波 巻 で は,N,S
極 を 順 次 ま わ って 各 コイ ル辺 の 起 電 力が 加 わ り,ギ
ャ ップの 不 均 一 が あ
って も,並 列 回路 間 の起 電 力 に不 揃 い を生 じない か ら,均 圧 結線 は不 要 で あ る。 な お,波 巻 で は極 数 にか か わ らず,正 負各 1個 の ブ ラシ だ けで 集電 す る こ と が で き る か
ら,ブ ラシ保 持 機 構 が 簡 単 に な り,保 守上 都 合 が よい。 た だ し,1 個 の ブ ラ シで は集 電 電流 が 多 す ぎ る とか,整 流 の 点 か ら 2個 以上 の ブ ラ シを お く こと も あ る。 (g)そ
の他
電 機 子巻 線 には,こ
こで示 した 例 の ほか,い くつ か の 変 形,例 え ば図2・7
(b)で 示 した 環状 回路 が 二 つ以 上 で きる多 重 巻 線 や,コ イ ルは 入 れ て お くが,結 線 を しな い で遊 び コ イル(dummy (3)整
流子
整 流 子(commutator)は,直
例 を 図2・11に と い う。整
coil)を お く波 巻 な どが あ るが,こ
こでは 省 く。
流 機 を 構 成 す る 重 要 な 部 分 で,大
示 す 。 材 料 は 硬 銅 を 用 い,一 枚 ご と の 銅 片 を 整 流 子 片(commutator 流 子 片 は,同
図 の よ う に テ ー パ が つ け て あ り,図
体 の形 の segment)
の 例 で は 合 計432枚
で 円筒 形 の
整 流 子 を 組 み 立 て い る 。 隣 接 の 整 流 子 片 間 に は 片 間 電 圧 に 応 じ,0.5,0.8,1.Ommの
いず
れ か の 軟 質 マ イカ を は さむ 。
図2・11
100kW,6
極,直 流 発 電 機 の整 流
子 片例,全 整 流 子 面 は,ブ
ら か じ め 図2・12の
ン ダ カ ッ ト(under
流 子 の ア ンダ カ ッ ト
ラ シ と の 摩 擦 の た め に 連 続 運 転 で 年 間0.5∼1.Omm摩
マ イ カ が 整 流 子 面 に 少 し で も 出 る と,ブ の で,あ
図2・12整
整 流 子 片数432
cut)と
ラ シ と の 接 触 が 悪 く な り,火
よ う に 片 間 マ イ カ を1.0∼1.5mm切
耗 す る。 こ の た め 花 を生 ず る原 因 とな る り こん で お く。 こ れ を ア
い う。
整 流 子全 体 の 円 筒形 が,回 転 に よ る遠 心 力 の た め に,変 形 し ない よ うに V形 環 と い わ れ る締 め 付 け環 で機 械 的 に 固定 す る。 高 速 機 で整 流 子 面 の 周辺 速 度 が50m/sを
超 す よ うな場
合,ま た は大 電 流 機 で整 流子 が 軸 方 向 に非 常 に 長 くな る場 合 に は,整 流 子 の外 周 に整 流子 と 絶 縁 を した環 を取 り付 け,遠 心 力 に よ って 整 流子 が ふ く らむ の を 防 ぐ。 これ を シ リンク リン グ(shrink
2・3直
ring)と い う。
流 発 電 機 の特 性
直 流 発電 機 の端 子 に生 ず る起 電 力,負 荷 時 の 電 圧・電 流・出 力 な どの関 係,お よび 負 荷時 に ギ ャ ップ に生 ず る起 磁 力,補 極 の 作用,整 流現 象 な ど につ い て 考 え て み る。
〔1〕 電機 子 起 電 力 直 流機 の電 機 子 導 体 1本 ご との 起電 力 は,式(1・1)で
表 され るが,発 電 機 と して の起 電 力
は正 負端 子 間 に生 ず る起 電 力 を 考 え な けれ ば な らな い。 図2・7お
よ び 図2・9の
例の よう
に,電 機 子 全 体 の 導体 数 をZ〔 本 〕 とし,並 列 回 路 数 を a とす れ ば ,ブ ラ シ間 に直 列 に結 ば れ る導 線 数 はZ/a〔 本 〕で あ る。 導 線 1本 の 起 電 力 eはBlυ 〔V〕で表 され るか ら,ブ ラシ 間 の起 電 力 をEaと
す れ ば, z/
Ea=e×
〔V〕
(2・1)
a
と な る。
こ こで,ギ
ャ ップの 磁束 分 布 を 図2・13の
斜 線 部分 の よ うに 極間 隔 に わ た って 一様 な磁 束
密 度 B で あ る と し,電 機子 直 径 をD〔m〕,軸
方 向 の コイ ル辺 長 さをl〔m〕,極 数 を P,回 転
速 度 をn〔rpm〕,1 極 の磁 束 数 を φ〔Wb〕 とす れ ば,周 辺 速 度 は υ=πDn/60〔m/s〕 で あ り, φ=
πD/
P
×l×B
∴B=φ
P
×
/πDl
と書 け るか ら,
(2・2) とな る。 ギ ャ ップ の 実 際 の磁 束分 布 は,図2・ 13の 破 線 の よ うに な って い る の で あ る が,式(2・2)の
中 の φ は B の分 布状 況
に は 関係 な く,1 極 分 の 磁束 数 が φで あ れば よ い。 電 機 子 の 回 転 角 速 度 を ωγ〔rad/s〕と す れ ば,ω
γ=2πn/60で
Ea=
PZ
あ る か ら,
(実際 には 破線 の よ うな 分 布 に な る) 図2・13ギ
ャ ップ の磁 束 分 布 の 理 想化
× φωγ〔V〕
(2・3)
/2πa
とな る。上 式 で,PZ/2πaは,完 Kaと
成 した 直 流機 で は一 定 で,電
機 子 定 数 と もい う。 これ を
お け ば,
Ea=Kaφ
ωγ=
2πKa/
60
φ・n
(2・4)
と書 け る。 す な わ ち,Eaは
〔例題1〕
図2・10の
主 磁極 の磁 束 φ と電 機 子 角 速 度 ωγとの 積 に比 例 す る。
直 流 発電 機 にお い て,
(1)定
格 電 圧,無
(2)電
機 子 直D=O.25〔m〕,軸
は 極 間 隔 の65%の と す る とき,B
負 荷 時 の 1極 の 磁 束 数 φ〔Wb〕 は い く ら か 。 方 向 の コ イ ル 辺 長 さl=0.13〔m〕
で あ る 。 1極 の 磁 束
幅 内 に あ り,こ の 間 で ギ ャ ップ は一 様 な磁 束 密 度B〔Wb〕
と な って い る
の 値 は い ぐ らか。
〔解 〕 定 格 速 度600rpmに
お い て,ω
全 導 線数Z=200×4=800〔
6×800
/2πa=
よ っ て,式(2・3)よ
=20π
〔rad/s〕
60
本 〕,波 巻 で あ るか らブ ラ シ間 並列 回 路 数a=2,極
PZ
∴Ka=
2π ×600/
γ=
数P=6
1200
/2π×2=
/π
り, 1200
110=
× φ×20π=2400Oφ
/π
と お い て,
φ=
110/
=1.1
×10-2=0.458×10-2(Wb) /2.4
24000
極 間 隔 を τ〔m〕とす る と, τ=
π ×0.25/
=0.131〔m〕,ま
たl=0.13〔m〕
6 1極 の 有 効 面 積=0.131×0,65×0.13=0.0111〔m2〕
ギ ャ ップ 磁束 密 度B= 〔例 題
2〕250V,10kW,4
ロ ッ ト数37,1ス
(1)無 (2)75℃
=0.415〔Wb/m2ま
た はT〕
/0.0111 極,1500rpm,電
ロ ッ ト内 の コ イ ル 辺 数
線 長 さ は0.75m,導
(3)他
0.46×10-2
線 断 面 積 は5.4m㎡
機 子 は 波 巻 の 直 流 発 電 機 が あ る 。電 機 子 ス
6,1 コ イ ル の 巻 数 2 回,ま
た 巻 数 1回 当 た り の 導
で あ る。
負 荷,定 格 速 度 で定 格 電 圧 を生 ず るた め の磁 束 φ〔Wb〕 は い く らか 。 に お いて の正 負 ブ ラ シ間 の電 機子 抵 抗 は 何 Ω か(接 触 抵 抗 を 除 く)。 励 発 電 機 とし て定 格 速 度 で運 転 し,端 子 電 圧250V,電
機 子 電 流40Aと
きの磁 束 φ′ 〔Wb〕 は い くらか 。 た だ し,電 機子 反 作 用 を無 視 し,ブ 電 圧 降 下 を 正 負 合 計 で2Vと
す ると
ラシ の接 触 抵 抗 に よ る
す る。
〔 解 〕 電 機 子 全 導 線 数Z=37×6×2=444〔
本 〕,ま た波 巻 で あ るか ら,ブ
ラ シ間 の並 列 回
路 数a=2で (1)起
あ る。 電 力 の 式(2・2)に 4×444
250=
/60×2
∴
(2)導
φ=
× φ×1500
60×2
×
/4×444
線 全 長 は 444×
電 機 子 巻 線 は,ブ ra=0.021×
よ り,
0.75/ =166.5〔 2
(3)電
m〕
ラシ 間 に166.5/2〔 m〕の導 線 が 2組 並列 に な るか ら, 166.5/ 5.4
Vを
250/ =1.126×10-2〔Wb〕 1500
×
1/=0.162〔
Ω 〕
4
機 子 抵 抗 に よ る 電 圧 降 下 は0.162×40=6.48〔
加 え,8.48Vが
250+8.48=258.48〔
電 機 子 電 圧 降 下 で あ る。 よ って ,電
V 〕,こ れ に ブ ラ シ の 電 圧 降 下2.0 機 子 電 流40Aの
とき に起 電 力 は
V〕を生 ず れ ば よ い。
磁 束 φは,起 電 力 に 比 例す る値 が必 要 で あ る か ら,
磁 束 φ は,界 関 係 は 図2・14の
磁 起 磁 力nfif(nfは
界 磁 コ イ ル の 巻 数)に
よ う に な る。 ωr一 定 な らEaは
す 曲 線 〔ωrが 定 格 回 転 速 度 の と き,こ と い う〕 は,縦
よ っ て 生 ず る が,ifと
φ に 比 例 す る か ら,iaとEaの
の 曲 線 を 無 負 荷 飽 和 曲 線(no-load
軸 の 目 盛 を 適 当 に 選 べ ばif-φ
曲 線 と 同 じ に な る。
図2・15無 図2・14if-φ
曲 線 とif-Ea曲
線
saturation
負荷 飽 和 曲 線
φ との 関 係 を示 curve)
if-Ea曲
線 に お い て,
①if=0に
お い て,図2・15の
よ うに小 さ い起 電力Erを
生 ず るが,こ れは 磁 気 回路 の
残 留 磁気 のた め で あ る。 こ の値 は定 格 速 度 に お いて も定 格 電 圧 の 数%以 下 の 小 さい値 で あ るが,自 励 発 電 機 と し て動 作 させ る には,Erが ②
あ るifに
お い て,ifを
な い と発電 で き な い。
増 す とき と減 らす とき とで は,Eaは
後 者 が僅 か に大 きい。
これ は磁 気 回 路 の 磁 気 ヒス テ リシス のた め で あ る。 ヒス テ リシ スの 影 響 は少 な いの で, 往 路,復 路 のEaの
値 の平 均 を して 1本 の 曲線(図2・14の
破 線)を つ く り,こ れ を一
般 に 無負 荷 飽 和 曲 線 と い う。 ③
図2・15は
無 負 荷 飽 和 曲線 を改 め て画 いた もの で,こ の 曲線 は定 格 電 圧 を超 え る と次
第 に飽 和 し て水 平 に 近 づ く。 これ は 磁気 回路 の 鉄心 の 部 分 が磁 気 飽 和 を お こし,ifが 増 して も φが増 さ な くな るか らで あ る。 ④
飽 和 曲線 は,ifが 分 に接 線0gを
小 さ い間 はifとEaは
ほ ぼ比 例す る とみ る ことが で き る。 この部
つ くる と き,こ れ をギ ャ ップ線(air-gap
部 分 に磁 束 を生 じさせ るた め のifを 示 す 線 で,飽 て考 え れ ば,bcは
line)と い う。 これ が ギ ャ ップ
和せ ず 直線 と な る。 定格 電 圧 にお い
無 負 荷,定 格
電 圧 時 に ギ ャ ップ の部 分 に 磁束 を生 じさせ るた め のifを,cd は 同 じ磁 束 を鉄 心 部 分 に 生 じさ せ るた め のifを て,bd/bcを
(a) 直 流機 の 展開図
示 す 。 そ うし
飽 和 度 ま た は 飽和
率(saturation factor)と い う。
〔2〕 電 機 子 起 磁 力 と電 機 子
(b) 電機子電流による
起磁力Fa 磁束φa野
反作用 直流 発 電 機 に 負荷 を か け る と電 機 子 電 流Iaが 力Faを
流 れ,Iaに
よ って 起磁
生 じ,ギ ャ ップ磁 束 は 無負
(c) 界磁 に よる 磁 束 φfと φa+φf
荷 とは異 な った 分布 と な る。 これ を 電 機 子 反作用(armature とい う。 図2・16(a)は
reaction) 直流機の展
開 図 を示 した もの で,電 機 子 導 線 は ス ロ ッ トを省 い て 周 辺 に密 に並 べ て
(d) 磁 補極による 束 φi 図2・16電
機 子反 作 用(発 電 機 の 場合)
あ る と仮 定 す る。 各導 線 の電流Ic(=Ia/a)に に 多い とす れば,同 図(b)のFaの
よ って生 ず る起 磁 力 の分 布 は,導 線数 が 非 常
よう な三 角形 分 布 と な り,こ の 高 さ はIcに 比例 す る。
このFaに
よ って ギ ャ ップ部 分 に生 ず る磁 束 の分 布 φaは,大 体 図(b)の φa曲線 の よ うに
な る。Faの
三 角形 の頂 部 に対 応 す る磁束 分 布 が か え って少 ない の は,こ
の部 分 は磁 極 と
磁 極 の 中 間 で あ るの で ギ ャ ップが 広 く,磁 気 抵 抗 が 磁 極 中心 の それ に 比べ て 高 いか らで あ る。 同図(c)の φfは,主 磁 極 N,S に よ って生 ず る磁束 分 布 で,無 負 荷時 す なわ ちIc=0の と きは,ギ ャ ップ部 分 の 磁 束 は φfだ けで あ る。 この分 布 は,磁 極 中 心 の あた りでは 大 体一 様 であ るが,極 の 中間 a,b,cの あた りでは 磁束 が な い。 実 際 に は,磁 束 が ない 部分 は あ る 幅 を も って い る と考 え られ,こ れ を無 負 荷 中性 帯 とい う。 負 荷 時 に は φfと φaの両 者 が生 ず るので,こ れ らの合 成 は φf+φa曲 線 の よ うに な る。 こ の よ うに磁 束 分布 が変 形 す るた めに, ①
無 負 荷 中性 帯 に磁 束 を生 じ,こ れ が後 で 述べ る よ うに整 流 に悪 影 響 を与 え る。
②
電 機 子 各導 体 に生 ず る起 電 力が 不均 一 に な り,整 流 子 片 間電 圧 も不 均一 とな る。
③
主磁 極 の 面 で考 えれ ば,面 の 半分 は φaに よ って 弱め られ,他 の 半分 は強 め られ るが, 強 め られ る側 は磁 気 飽 和の た め磁 束増 加 は少 な く,φa+φfの
1極 分 の 磁束 数 は φfの み
の と き よ り減少 し,こ の ため 負荷 時 に は電 機子 起 電 力 が減 少 す る。 ④
主磁 極 の 中 間 に,図2・16(a)の
よ う に小磁 極 す な わ ち補極(interpole)を お き,同
図(d)の よ うに磁 束 を 生 じさせて 無 負荷 中 性帯 に生 じた 磁 束 を消 す よ うに し なけれ ば 良 好 な整 流 が で き な くな る。 なお,こ の こ とにつ い て は後 の 整 流の 項 で 改 めて 述べ る。 直 流電 動 機 に お いて も電 機子 反 作用 を生 ず るが,そ の模 様 は 図2・16の
電機 子 の 回転 方 向
を反 対 に して 考 え れば,各 磁束 分 布 の相 互 関係,補 極 の極 性 の 主 磁極 の 極 性 に対 す る関 係 な ど は,同 図 の関 係 を そ の まま に して考 察 す れば よい。
〔3〕 端 子 電 圧 直 流発 電 機 に負 荷 をか け ると,端 子 に現 れ る電圧 は 一 般 に低 下 す る。 た だ し,こ の場 合, 回 転 子速 度 は 一定,ま た 界 磁 回路 は無 負 荷時 に 調 整 した状 態 をそ の ま まに して お くもの とす る。 電 圧 が低 下 す る原 因 は, ①
電 機 子 巻 線抵 抗Raの
た め にお こ る電圧 降 下 υa=RaIa
②
ブ ラシ接触 抵 抗 に よ る電 圧 降下 υb
③
電 機 子 反作 用 に よ るギ ャ ップ磁 束 の減 少
④
自励 発 電 機 の場 合 は,界 磁 電流 の減 少が 起 電力 の 減 少 と な るた め の電 圧 降下
(a)回路 図
(b)無負 荷 飽 和 曲 線 図2・17他
(c)外部 特 性 曲 線 励 発 電 機 の端 子電 圧
など で あ る。
図2・17は,他
励 発電 機 の場 合 の無 負荷 時 と負荷 時 の端 子 電 圧 の 関係 を示 す 作 図 で あ る。
負 荷時 の端 子電 圧をVtと
す れ ば,
Vt=Ea-RaIa-υb=Ka(φf-φ
γ)ωγ-RaIa-υb
(2・5)
た だ し,φ γは電 機子 反 作 用 に よ る磁 束 の減 少 分 で あ る。 電 機 子 抵 抗Raは
図2・7(b)ま
た は 図2・9(b)の
環状 回路 を一 周 す る抵 抗 の1/a2で
あ
り,正 と負 の ブ ラ シが接 触 す る整流 子 面 か ら測 れ ば実 測 で き る。 ブ ラシの接 触 電 圧 降下 は,電 機 子 電 流値 にか かわ らず一 定 とみ られ,電 気 黒 鉛 ブ ラシで は 正 負 ブ ラシ各 々 につ い て ほぼ1Vず
つ,合 計約2V,金
属 黒鉛 ブ ラシ では正 負 合 計 で約0.5V
で あ る。 電 機 子 反作 用 に よ る磁 束 の 減 少分 φγを計 算 で求 め る ことは 困難 で あ り,発 電 機 の基 本 的 性 質 を考 え る場 合 φγを無 視 して も大 きな誤 に はな らない 。 式(2・5)の
値 のIaに
を 外 部 特 性 曲 線(external
対 す る 変 化 を 画 け ば,図2・17(c)の characteristic
curve)と
同 図(b)は 無 負 荷 飽 和 曲線 で,無 負 荷 時 にif=0aと ら次 第 に増 せ ば,前 記 ①,②,③
太 線 の よ うに な る。 この曲線
い う。
し,起 電力0bを
生 じさせ,Iaを
零か
な どの原 因 に よ り,端 子 電 圧 が低 下 して行 く。 な お,さ き
の外部 特 性 曲線 は特 に ことわ りが な けれ ば,定 格 電 流Iarの
とき に定 格電 圧Vtrと
うな 曲線 をい う。 従 って,定 格 電流 か ら無 電 流 す な わ ち無 負 荷 にす れ ば,端
な るよ
子 電 圧 が ⊿Vt
だ け上昇 す る ことに な る。 そ う して, ε=
⊿Vt
/ Vtr
×100〔%〕
を 電 圧 変 動 率(voltage
(2・6)
regulation)と
い
表2・1直
流発 電 機 の電 圧 変 動 率
う。
電 圧変 動 率 は,励 磁 方式 や 発 電機 容 量 に よ って異 な り,表2・1の
よ うな値 で
あ る。 表 の うち 自励 分巻 お よび 複巻 機 の 端 子 電 圧 の性 質 につ い て は次 項 以下 で述
標 準電 気 機器 講 座 第 3巻 「直 流機 」 田付 修 著p.115
べ る。
東京 電 機 大学 出版 局
〔4 〕
自 励 発 電 機(self-excited
generator)
自励 分巻 発 電 機は,図2・18(a)の
よ うに,電 機 子 端子 に並 列 に分 巻 界 磁 回路 が 結 ん で あ
り,自 己の界 磁電 流 を 自己 の電 機子 起 電 力 か ら供給 す るの で,励 磁電 源 が い らない 。
(a)結 線 図
(c)外部 特 性
(b)無負荷特 性 図2・18自
励発電機
(1)自
励現象
分 巻界 磁 回路 の抵 抗(=界
磁 コ イル の抵 抗+界 磁抵 抗 器 の抵 抗)をRf
とす る と,ifを 流 す に 必要 な電圧 は 図(b)のVfの 線 とい う。 あ る界 磁 電 流0aに
おい,Vf=Rfif=abで
ら,界 磁抵 抗 線 の 正 接 が抵 抗値Rfに ab=bcだ
よ うに 直線 に な り,こ の直 線 を界 磁 抵抗 あ り,tanθ=ab/0a=Rfと
な る。 一 方,if=0aに
け起 電力 の ほ うが 大 き い。 この余 剰 分 はifを
おい てEa=acで
な るか あ り,ac-
さ らに増 す よ うに作 用 し,ifが 時間
と共 に増 加 す る。 い ま,界 磁 コイル の 自己 イ ンダ ク タ ンスをLfと
し,電 機 子 回 路 の抵 抗 お よび 自 己 イ ンダ
クタ ンス を無 視す る と,次 の 式 がつ くれ る。 Lf Ea>Vfで
dif/ +Rfif=Ea dt
あ れ ば,ifは
また は
dif/ dt
=1/ Lf
次 第 に 増 し,EaとVfの
(Ea-Rfif)=1/Lf(Ea-vf)
(2・7)
曲 線 の 交 点 p に 至 ってEa=Vfと
な り,
ifの 増 加 は 止 む 。
界 磁 抵 抗 値 を減 ら し界 磁 抵抗 線 をVf′ の よ う にす れ ば,p′ 点 までifの り高 い電 圧p′ で 落 ちつ く。 逆 に,Rfを
増 加 し界 磁 抵 抗線 がVfcの
増 加が 続 き,p よ
よ うに ギ ャ ップ線 に 重
な る よ うにす る と,電 圧 が落 ちつ くべ き交 点 p が明 らか で な くな り,Rfの
値 が 僅 か で も増
減 す れ ば p点 は大 幅 に 移動 し,安 定 した最 終 電 圧 値 を得 れ な くな る。 この と きのRfの
値を
臨 界界 磁 抵 抗(critical field resistance)と い う。 な お,if=0に
お い て残 留 起電 力Erが
あ れ ば,分 巻 回路 を閉 じた瞬 時 か ら(dif/dt)=Er/
Lfの 速 さでifの 増 加 が始 ま り,放 置 して お い て も電圧 が 上 昇 して 行 く。 す なわ ち,Erが
図2・19自
励発電機の界磁閉路直後か らの電圧上昇を見る実測
あ る ことは 自励 発電 機 と して動 作 させ るた め に絶 対 必 要 で あ る。 図2・19は,3kW,100V,1500rpmの
発 電 機 に つ い て,自 己 励磁 に よ って 電 圧 が 上 昇
して い く時 間 経 過 を 実 測 した もの で あ る。 な お,図 中に 他 励 と あ るの は,同 じ機械 を他 励 式 に し て,そ の界 磁 回路 を閉 じた瞬 時 か らの 電 圧上 昇 時 間 を 測 った もの で,こ の 場合 は,界 磁 回 路 の 時定 数Lf/Rfに
応 じてifが 指 数 的 に 上 昇 し,起 電 力 は ほ ぼifの
変 化 と同様 に増 し
て い き,自 励 の場 合 よ り最 終 電圧 に到 達 す る時 間 が短 か い 。 (2)負
荷時の電圧
自励分 巻 発 電 機 に 負 荷 を か けた 場合,電 機 子抵 抗 や ブ ラシ接 触 抵
抗 の た め に電 圧 降 下 を生 ず る と,ifの
減 少 も伴 うので,Ilが
増加 す る場合 の端 子電 圧 の下
り方 は,他 励機 よ り 自励機 の ほ うが大 き くな る。 こ こでは 電 機子 反 作 用 に よ る磁 束 の 減 少 を 無 視 して考 え る と,図2・18の 端 子 電 圧 が0hに た だ し,Rbは
外 部特 性 曲線 に お い て,無 負 荷 電圧 は0gで
下 った と きif=0aで,電
あ り,Ilが
機 子 電 圧 降下 はbc=(Il+if)(Ra+Rb)で
増し
あ る。
正 負 二 つ の ブ ラ シの 接触 抵 抗 の 和 で あ る。 よ って,Il+if=bc/(Ra+Rb)と
な るか ら,端 子 電 圧ohに
対 す るIl+if≒Il=hh′
この よ うに作 図 して み ると,自
が 決 ま る。
励分 巻 機 で は 最 大 負荷 電 流 とな る点 m が あ り,さ
荷 の抵 抗 値 を 減 らして もIlは か え って 減少 し,短 絡 して も短 絡 電 流 は0nに
らに 負
しか な らな い 。
た だ し,こ れ は負 荷 抵 抗 の変 化 が 緩 や か な場 合 で,急 に短 絡 を した場 合 は 別 で あ る。 m か ら nに 至 る間 の あ る負 荷 電 流Il1を 考 え る と,こ の電 流 に対 して 端 子電 圧 が x点 と y 点 と二 つ で き るが,x 点 は 安定 な点,y 加 す れ ば電 圧 が高 ま り,Ilが
点 は不 安定 な点 で あ る。 y 点 で はIlが 少 しで も増
さ らに 増 し,Ilが
減 少 す れ ば電 圧 も低 くな り,電 流 は さ らに
減 少 し,y 点 に止 って い る ことが で き な い か らで あ る。 つ ぎに,図2・20は
分 巻 発電 機 の負 荷
が変 化す る と きに,端 子 電 圧Vtを
一定
に保 つ た め の界 磁電 流 を求 め る作 図 で, O1Aを
無 負荷 飽 和 曲 線,MN,M′N′
を
外部 特性 曲線 とす る。 無 負 荷 に お いて,端 子 電 圧 をO2B(例 え ば,こ れ を定 格電 圧 とす る)に す るた め の界 磁電 流 はif0,負 荷 電 流Il1に おい てVt=O2Bに
保 つ た め に はif=if1に
す る必 要 が あ り,同 様 に,Il=Il2に
おい
図2・20界
磁 調 整 曲線 の 作 図
てVt=O2Bに なifを
保 つ た め にはif=if2に
す る必 要 が あ る。 このよ うに して,各Ilに
図 の よ う に作 図 して,曲 線GHが
対 し必 要
得 られ る。 これ を界 磁 調整 曲線 とい う。
〔5〕 複 巻 お よ び 直 巻 発 電 機 複 巻 発 電 機 は,図2・21の
よ うに分 巻 界 磁 Fの ほか に 同 じ磁 極 鉄 心 に直 巻 界磁 Sを もつ も
のである。 無 負 荷 に お いて は,S は何 の 寄 与 もし な いの で,自 励 現 象 は 図2・18で
説 明 で き る。
負 荷電 流Ilが
流 れ れ ば,Il
に よ る界 磁 起 磁 力nsIlが 界 磁 起磁 力nfifに こに,ns,nfは
分巻
加 わ る。 こ
それ ぞ れ 直 巻 お
よび 分巻 界 磁 コ イル の 巻 数 で あ
(a)結
線
(b)外
部 特性
る。 よ って,界 磁 起 磁 力 は,
ns/
と書 け る。こ の 式 で,(
)Ilは 分 巻 界 磁 側 に
nf
換 算 し た 負 荷 電 流 と い う こ と が で き る。 負 荷 時 の 端 子 電 圧 は,ifお
よ びIlに
よ る磁
束 を そ れ ぞ れ φfお よ び φsと す れ ば, Vt=Ea-RaIa-υb =Ka(φf+φs)ωr-RaIa-υb =Kaφfωr-(RaIa+υb-Kaφsωr)
(c)励 磁方式 による外部特性 の相異 図2・21複
(2・8)
巻発電機
と書 け る。 この 式 の 右 辺第 1項 は 無負 荷 時 の 起 電力,括 弧 内 は電 圧 降 下 で あ る。φsはIlに 比 例 す る と見 られ るか ら,nsを
適 当 な値 に す れ ば,電
と な る特 性 が つ くれ る。 よ って,複
た は B の よ うに な る。 曲 線 A は式(2・8)の 化 に対 す るVtの
た は負
曲線 A ま
電圧 降下 の 項 が 非 常 に小 さ い場 合 で,Ilの
変
変 化 が 少 な い。
この よ うな特 性 を 平 複 巻(flat compound)と 下 が負 と な る場 合 で,こ の特 性 を 過 複 巻(over 図2・21(c)は,定
圧 降下 が 非常 に少 な い か,ま
巻 発 電機 の 外 部 特 性 曲線 は,図2・21(b)の
い う。 曲線 B は n,が多 くな って い て電 圧 降 compound)と
い う。
格電 流時 に定 格電 圧 とな るよ うに界 磁 回 路 を調 整 した とき の各 励 磁方
式 に つ い ての 外部 特 性 を比 べ た もので あ る。 図2・21(a)で
分巻 界 磁 F を な くした も のが 直 巻 発電 機 で,こ の 場 合 は,起 電 力 はEa=
Kaφsωγで あ り,φ sはIlに 係,す
よ って生 ず るか ら,IlとEaの
関 係 が 分巻 機 のifとEaの
関
な わ ち飽 和 曲線 に な る。
負 荷 時 の 端子 電 圧 は, Vt=Ea-RaIl-υb=Kaφsω
と な るか ら,VtがIlと
γ-RaIl-υb
と もに大 幅 に変 わ る こ とに な り,ほ とん ど実 用性 が ない。
〔 例 題 3〕100kW,250V,400Aの 回路 の抵 抗0.025Ω,直
外 分 巻複 巻 直 流 発 電 機 が あ り,ブ
ラ シを含 む 電 機 子
巻 界 磁 コ イル の抵 抗0.005Ω,
無 負 荷 飽 和 曲線 は図2・22で
表 され る。 分 巻 界 磁 の巻
数 は 1極 当 た り1000回,直
巻界 磁 の 巻 数 は 1極 当 た
り 3回 で あ る。 分 巻 界 磁 電 流 が4.7A,回
転 速 度1150rpm,定
格負
荷 電 流 の と きの 端 子 電圧 を求 め よ。 た だ し,電 機子 反 作 用 を無 視 す る。 〔解 〕
定 格 電 流 は100×103/250=400〔A〕,定
荷 電 流 の と き 電 機 子 電 流 は400+4.7≒405〔A〕,よ て,等
格負 っ
価 界 磁 電 流 は4.7+3/1000×405=5.92〔A〕,if=
5.92〔A〕
に お け る 起 電 力 は 図2・22よ
て1150rpmで
り274V,よ
図2・22発
っ
はEa=274×(1150/1200)=263〔V〕,端
子 電 圧 をVtと
電 機 の 飽 和 曲線 す る と,
Vt=Ea-(γa+γs)Ia=263-(0.025+0.005)×405=251〔V〕 で あ る 。
〔6〕 直 流発 電機 の損 失 と効 率 再 び 図2・17の すれ
他 励 機 へ も ど って考 え ると,こ の 発 電 機 の端 子 電 圧 は 電 機子 反 作 用 を無 視
ば,式(2・5)は, Vt=Kaφfω
γ-RaIa-υb
とな り,こ の式 の両 辺 にIaを 乗ず る と, VtIa=Kaφfω
γIa-RaIa2-υbIa
と な る 。 上 式 に お い て,VtIa
は 出 力 で あ り,KaφfωrIa=EaIaを
機 械 動 力 が 電 力 に 変 換 さ れ た も の で あ る 。 ま た,RaIa2は 損 で あ る。 そ う し て,
(2・9)
発 生 電 力 と い い,原
電 機 子 の 銅 損,υbIaは
動機 の
ブラ シ電 気
EaIa=KaφfωrIa=(KaφfIa)×
と 書 け ば,Tg=KaφfIaは
ωr=Tg・
ωr
(2・10)
電 機子 に生 ず る トル クで,こ れ は 回 転方 向 に対 して逆 の 向 きに 生
じて い るか ら,原 動 機 には この トル ク に反抗 して 回 転 をつ づ け る動 力 が な けれ ば な らな い。 他 励発 電 機 を 運転 す る には,Tgωrの 電 機子 鉄 心 に生 ず る鉄 損 の パ ワーpiな
動力 の ほか に,機 械 的 損失 と な るパ ワーpm,お
よび
どを供 給 し な けれ ば な らな い 。
よ って,発 電 機 の 入 力 と して は, P1=Tgωr+(pm+pi)=KaφfωrIa+(pm+pi) =VtIa+RaIa2+υbIa+(pm+pi)
(2・11)
が 必 要 で あ る。 この ほ か に,界 磁 巻 線 を励 磁 す るた めの パ ワーpfを
要す る。 従 って,発 電
機 効 率 を η とす ると, (2・12)
と書 け る。
他 励発 電 機 に お い て も図2・20の 路 の損 失 を 仮 にpf=pf0+kIaと
よ うな 界 磁調 整 曲線 が 考 え られ るか ら,こ こで,界 磁 回 お くと,損 失 はつ ぎの よ うに 分 け られ る。
①
負 荷 電流 の 2乗 に比 例 す る損 失RaIa2
②
負 荷 電 流 に 比 例す る損 失(υb+k)Ia
③
負 荷 に無 関 係 な 損失pf0+Pm+pi
そ うして,①+②
を負 荷 損,③
を 固定 損 とみ る こ とが で き る。 た だ し,こ
こで は 回転 速
度 は 常 に一 定 で あ る とす る。 式(2・12)は つ ぎの よ うに変 形 で き る。 (2・13)
こ の効 率 はIaが 変 化 す る と き,
と な る と き最高 に な り,そ の値 は
を元 の式 へ 代 入 して, (2・14)
と な る。 〔例 題 4〕2kW,100V,4
極,1500rpmの
他 励 直 流 発 電 機 が あ る。
電 機子 お よび補 極 コイル の巻 線 抵 抗 は75℃ 械 損pm=85〔W〕
損pi=70〔W〕
お よび機
は 一定 と し,励 磁 損 は定 格 電 圧時 にpf=pf0+kIa=115+2.3Ia〔W〕
であ
らわ され る とす る。 た だ し,Iaは
に お いて0.58Ω,鉄
電機 子 電流 〔 A〕で あ る。 この発 電 機 を定 格 速 度,定 格電
圧 で 運転 す る とき の 出力 〔%〕に対 す る効 率 曲線 を 画 け,ま た効 率 の 最 大値 ηmaxお よび ηmax を生 ず る 出力 〔%〕を求 め よ。 〔 解 〕 他 励 機 で あ る か ら電 機子 電 流=負 荷 電 流 で あ り,端 子電 圧 は100V一 ら,効 率 ηは,問
定 で あ るか
題 の数 値 を入 れ る とつ ぎの ように な る。 なお,ブ ラ シ電 気損 を υb×Ia=
2×Iaと す る。
上 式 のIaを
変 え てIaに
対 す る ηの
変 化 を 求 め ら れ る 。 各Iaに
対 す る出
力 〔%〕 は(100×Ia/2000)×100〔%〕
と
す れ ば よ く,計
よ
算 結 果 は 図2・23の
う に な る 。 ま た,ηmax=77.5〔%〕,そ れ を 生 ず る 出 力 は108%と
な る。
直 流 発 電 機 の 定 格 出 力 時 の 効 率 は, 10kW級 88%,500kW級
で 約80%,100kW級
で85∼
で90∼93%で
あ る。
〔7〕 整 流 と補 極 図
直 流 機 の電 機 子 コ イル の電 流 は,そ
2・23
の コイル が 中性 帯 を通 過 す る こ とに 向 きが変 わ る。 これ を 整流(commutation)と
い い,整 流
が 円滑 に で き な い と きは,ブ ラ シと整 流 子間 に火 花 を生 じ,ブ ラシ も整 流子 もそ の面 が 荒 れ て 消耗 が は げ し くな る。 整流 中の コイ ル電 流 の 変化 を考 え るた め に,図2・7(a)の この 図 は,図2・7の
コ イル 辺番 号 1と14か
一 部 を再 び図2・24に
示 す。
らな る コイ ルの 付 近 を画 いた もの で,こ の コ イ
ル は 同図 の瞬 時 に 中性 帯 付 近 を通 過 中 で整 流 が行 わ れ つ つ あ る。 (1)理
想整流
ここで,整 流 の 現 象を 最 も簡 単 に 考 え るた め に,整 流 子 片+マ イカ の
幅 と ブ ラ シ幅 とが 等 しい 場合 を考 え る。 ブ ラシが 整流 子 片 2の真 上 に あ る瞬 時 に は 整流 子片
図2・24整
流 中 の コイ ル
2だ け を通 って ブ ラシへ 向 か う電 流2Icが 流 れ て い る が,片
1が ブ ラシに接 触 す ると片 1と 2の両 老 か らブ
ラ シへ 向 か う電 流 が流 れ るよ うに な り,こ の 瞬 時 か ら コ イル辺 1 と14か
ら な る コイル の 整 流が は じま る。
す なわ ち,い ま までIcで あ った コイル 電流 が 図2・25 の iの よ うに時 間 の経 過 とと もに 減少 し,減 少開 始 か らTc秒
の 後 に iは 逆 向 きのIcに 変 わ る。このTcを
整 流 時 間(commutating
図2・25コ
イル 電 流 の理 想 的 変化
period)と い い,こ のTcは
電 機 子 の回 転速 度,す な わ ち整 流子 面 の 周辺 速 度 お よび 整流 子 片 や ブ ラシ 幅 な どに よ って き ま る極 めて 短 か い時 間 で あ る。 例 えば,図2・24の 片 数24で
回 転速 度 を1500rpmと
す ると,整 流子
あ るか ら, Tc=
60
1 =1.66×10-3〔s〕=1
/1500× /24
.66〔ms〕
で あ る。
図2・24に
お い て,整 流子 片 1,2 とブ ラシの接 触 抵 抗 を それ ぞれR1お
ば,こ れ らの 抵抗 は 整流 子 片 との接 触 面 積S1,S2に
よ びR2と
反 比例 す る とみ る ことが で きる。
一 枚 の 整流 子片 全 面 と ブ ラシ との接 触 面 積 をS0と し,整 流 開 始瞬 時 をt=0と 意 の 時刻 tにお いて,片 S1=S0×
t /Tc,
1お よび 2と ブ ラ シの接 触 面積S1お S2=S0×
よびS2は,そ
す る と,任
れぞれ
Tc-t/ Tc
すれ
(2・15)
と書 ける。 よ って,片 Rl / R2
= S2/ S1=
1と 2の ブ ラシ との接 触 抵抗 の比 は, Tc-t /t
(2・16)
一 方に整 流 中 の コ イル は ブ ラ シで短 絡 され て いて,こ の短 絡回 路 内で 接 触抵 抗 だ けを考 え, コ イル の抵 抗 お よび ライ ザの 抵 抗 を無 視 す る と,
(2・17)
(Ic-i)R1-(Ic+i)R2=0 と な る。 こ れ よ り
(2・18)
と な る 。 式(2・18)の
電 流 変 化 は tに 対 し 直 線 状 で,図2・25の
l=Tc/2でi=0,t=Tcでi=-Icと
な る 。 式(2・18)の
を 直 線 整 流 ま た は 理 想 整 流 と い う 。 ま た , 式(2・18)の
よ う に な り,t=0でi=Ic,
よ う に,コ
イル電 流 が変 化 す る こと
よ うに接 触 抵 抗の 時 間 的変 化 が 整流
電 流 の 変 化 を 支 配 す る よ う に し て 良 好 な 整 流 を 期 待 す る 方 法 を 抵 抗 整 流(resistance tation)と (2)コ 抗 をRrと
commu
い う。 イル とラ イザ の抵 抗 を考 え た場 合 す る と,ブ
整 流 中 の コ イ ル の 抵 抗 をRc,ラ
イザ の抵
ラ シ で 短 絡 さ れ た 回 路 内 に つ ぎ の 式 が つ くれ る。
Rci+(Ic+i)(Rr+R2)-(1c-i)(Rr+R1)=0
(2・19) (2・20)
この式 は式(2・18)に
比 べ て()内
ラシ全 面 の接 触 抵抗 をR0と (2・15)の
の形 だ け が異 な り,こ れ がRc,Rrの
影 響 で あ る。 ブ
す る と,式
関 係 か ら,
と な る か ら,
(2・21) と な る。 式(2・21)の
値 は,t=0お
よび
図2・26整
流 中の 電 流変 化
t=Tcに
Rc+2Rr
お い て 0,t=Tc/ 2に
お い て最 大 で
(1+
/4R0
は 整 流 中 の iの絶 対 値 を小 さ くす るが,t=0,t=Tcに
)
と な る。 す な わ ち,Rc,Rrの
影響
お い ては 無 関係 で あ り,図2・26の
曲 線 2の よ うにな る。 (3)コ
イル の イ ンダ クタ ン スに よ る起電 力の 影 響
整 流 中の コイル電 流 の変 化 の模 様
を 捉 え る こと は難 しいが,ど の よ うな変 化 を した と して も整 流時 間Tcの
間 に2Icの 電 流変
化 を終 わ る ように 強 制 され る。 こ こで,前 項 まで は無 視 して いた 整 流 中の コイル の 自 己 イ ン ダ ク タ ンスLcの
影 響 を考 え て み る。
整 流 中 の コイ ルの 電 流が 時 間 的 に変化 す るた め に,コ イ ル 自身 にLcの 力はeL=-Lcdi/dtで,こ
れ はiが 減 少す る間 はeL>0で
, iと同 じ向 きに 生ず る。す な わ
ち,i の減 少 を 妨 げ るか ら電 流 変化 を遅 らせ よ う とす る。eLはTcの る こ とが 想像 され るが,こ れ を知 る ことは 難 し いの で,Tcの を考 え,こ れ をetと
た めに生 ず る起 電
間ある変 化 を して い
間 の平 均 の電 流 変 化率2Ic/Tc
す れ ば,
2Ic/Tc
eL=Lc
とな り,こ れ を平 均 リア クタ ン ス電 圧 とい う。 この 値 が大 きい と電 流 変化 が 遅れ,整 流 不 良 を起 こす の で,eLは く しない,Tcを
数 ボル ト以 下 に な る よ うに,Lcの
大 き い コイ ルを使 わ ない,Icを 大 き
短 か くしな い な どの考 慮 が払 われ る。 なお,後
場 合 は,eLは10Vぐ
で述 べ る補 償巻 線 を設 け る
らいま で許 され ると され て い る。
また,さ き に図2・7(a)に
示 した巻 線 図 に お いて,こ
14か ら な る整流 コイル と同 じス ロ ッ ト内 に,そ
の巻 線 は全 節巻 で,コ
イル辺 1と
れぞ れ コイル 辺 2お よび13が あ り,こ れ ら
コ イル 辺 で も整流 が 進行 中で あ り,同 じス ロ ッ ト内 にあ る か ら相互 誘 導 M を介 して起 電 力 Mdi′/dtも生 じる。こ の 起 電力 は コイ ルに 短節 巻 とす れ ば除 くことが で き る。す なわ ち,図 2・7(a)の
よ うな全 節巻 は整 流 の面 か らは好 ま し くない の であ る。
こ こで は,Lcの
み に よ る起 電 力eLを
と きは,式(2・19)にeLを
考 え,そ の 影 響 を調 べ るこ とにす る。eLを 考 えた
加 えれ ば,整 流 中 の コイル 内 で は,
eL+Rci+(Ic+i)(Rr+R2)-(Ic-i)(Rr+R1)=0 と な る。 この式 内のR1,R2は 定 性 的 に考 え る と,さ うして,図2・26の
tと と も変 化 して い るの で,i に つ いて解 くこと は難 しいが,
きに も述 べ た よ うに,eLは
電 流 の変 化 を遅 らせ る よ うに働 ら く。 そ
曲線 3の よ うに な り,整 流 時 間 の終 わ りに な って も電 流 変化 が 完了 しな
い に もか か わ らず,ブ る。
(2・22)
ラシ と整流 子 片が 引 き離 され る こと にな り,火 花 を 生 ず る ことに な
次 の項 に述 べ る補極 は,eLを
消 す た め にeLと
逆 向 き の起電 力eiを
コイル 内 につ くる た
め に設 け られ る もの で,整 流 改 善 に有 効 で あ る。 (4)補
極 と補 償 巻線
さき に電 機 子反 作 用 の項 で,補 極 は電 機 子反 作 用 のた めに無 負
荷 中性 帯 に生 じた磁 束 を 消す た め の逆 向 きの磁 束 をつ くるた めに お くと述 べ た が,実 は消 す だ けで は不 十 分 で,図2・16(d)の
補 極 に よ る磁 束 は同 図(c)の 中性 帯 の磁 束 が逆 に な るほ
どの 磁 束 をつ く らせ る必要 が あ る。 そ うして,こ の磁 束 を整 流 中 の コ イルが 切 る こ とに よ っ てeLと
反対 の起 電 力eiを
コイル 内 に生 じさせ 相 殺 させ る もので あ る。
この よ うに して,適 正 な大 き さ と向 きのeiを (voltage commutation)と
生 じさせ 良 好 な整 流 を行 う方 法 を電圧 整 流
い う。
補 極 の極 性 は,発 電 機に お いて は,図2・16お
よび 図2・24の
よ うに,電 機子 の 回 転方 向
に た ど って,次 にあ る主磁 極 と同 じ極 性 に な って い なけ れば な らない 。 また,補 極 の 強 さは 電 機子 電流 に 比例 して い な ければ な らな いの で,補 極 鉄心 には磁 気 飽 和が 起 こらな い よ う, 主 磁極 鉄心 に 比べ て 遙 かに低 い磁 束 密度 にな るよ うに設 計 して あ る。 さ らに負 荷電 流 の変 化 に 対 し,補 極 磁 束 の変 化 に時間 遅 れ を生 じな い よ う,補 極 鉄 心 を成 層 して つ くる こと もあ る 。 この よ うに,補 極 は 整流 改善 に有 効 な方 法 で,極
く小 形 機 を除 い て ほ とん どの直 流 機 に取
り付 け てあ る。 大 形 の直流 機 で 常 に急 激 な負 荷 電流 変 化 が起 こ る よう な場合 には,補 極 だ け で は 不十 分 で,補 償 巻線(compensating
winding)も
設 け る。 これは,主 磁 極 の極 面 に ス ロ ッ トを つ く
り,こ れ に導 線 を収 容 して電 機 子 電 流 を流 す 。 この電 流 の 向 き は,図2・27の
略 図 の よ うに相
対 す る電機 子 側 の電 流 と反 対 に 流 して 電機 子 反 作用 磁 束 の大 部 分 を 消 す よ うに し た も の で あ る。 この場 合,補 極 の役 割 は大 幅 (a)電 機子 と補償巻線の電流の向き に 緩 和 され る。
2・4直
図2・27補
(b)回
路
図
償 巻 線
流電 動機
直 流 電 動 機 は,直 流発 電 機 の入 力,出
力 が 逆 に な った場 合 で あ る。 図2・1に
示 した 各種
励 磁方 式 が あ り,そ れ ぞれ 特 性 が異 な るの で,用 途 に応 じて適 切 な形 式が 選 ば れ る。
〔1〕 他 励 電動 機 は じめ に 最 も基 本 的 な他 励 式 の 特 性 に つ いて 考 え る。 図2・28に
お い て あ る界磁 電 流if
を 流 し,主 磁 束 φ を生 じさせ て お き,電 機子 端 子 に電 圧Vt を 加 え る と電 機子 電 流Iaが
流 れ,式(1・5)に
示 した トル ク
を 生 じ,あ る回転 角速 度 ωrで 回転 す る。 まず,ト ル ク T に つい て 考 え る と,式(1・5)は,
この式 の各記 号 は,発 電 機 の起 電力Eaに (2・2)で
用 い た も の と 同 じ で,同
と な る が,電
つ い て示 した式
図2・28
式 の 所 で 示 し た よ う にB=Pφ/πDlで
機 子 の 並 列 回 路 数 を a とす れ ば,i=Ia/aで
他 励電 動 機
あ る か ら,
あ る か ら,
(2・23) と な る。 この式 は,電 機 子起 電 力Eaの
式 の 中 の ωrがIaに 変 わ った だ けの 形 を して い る。
この トル クに よ って電 機子 が 角 速度 ωrで定 常運 転 を す れ ば,電 機子 には起 電 力Ea=Kaφ
ωr
を 生 じ,電 機 子 に 加 えた 電 圧 と次 式 の関 係 でつ りあ いを 保つ 。 Vt=Ea+RaIa+υb=Kaφ
こ のEaは,図2・28に で,Eaを
示 し た よ う な 向 き に 生 じ,加
逆 起 電 力(counter
降 下,υbは
(2・24)
ωr+RaIa+υb
emf)と
えた 電 圧 に 対 抗 した形 で生 ず るの
い う こ とが 多 い 。 な お, RaIaは
電 機 子抵 抗 に よる電圧
ブ ラシの 接 触電 圧 降 下 であ る。
つ ぎ に,式(2・24)の vtIa=Kaφ
両 辺 にIaを
乗 ず る と,
(2・25)
ωrIa+RaIa2+υbIa
と な る。 この式 の左 辺 は 電機 子 入力 をあ らわ し,右 辺 第 1項 は電 機子 発 生動 力 とい い,電 動 機 が電 力 を機 械 動 力 に変 換 した パ ワーで あ る。 第 2項 は電 機 子 銅 損,第
3項 は ブ ラシ電 気損
で あ る。 い ま,発 生 動 力 をPaと Pa=Kaφ
と な り,Paは
お け ば,
ωrIa=(KaφIa)×
ωr
(2・26)
トル ク と回 転角 速 度 の積 に な る。
電 動 機 軸 か ら得 られ る動力 はPaか kg・mの
ωr=T×
ら 機 械 的 損 失 を 引 いた もの と な る。 な お,ト ル クは
単位 を用 い る こと も多 いが,こ
の と きの トル クを τ とす れ ば,1〔kg〕=9.8〔N〕 で
あ るか ら, τ=T/9.8〔kg・m〕
(2・27)
とな る。 トル クの 単位 にkg・mを,回
転 速 度 の単 位 にrPmを
用 い,こ れをnrと
お けば,
発 生 動 力Paは, (2・28) と な る。 つ ぎ に,式(2・24)か
ら ωrを 求 め れ ば,
(2・29) とな るが,こ の式 の 第 2項 は 第 1項 に比 べ て小 さい か ら,ωrは ほぼVtに
比 例 し,φ に 反比
例 す る とみ る こ とが で き る。 この こ とは,励 磁方 式 が異 な って もいえ る こと であ る。 な お, ブ ラ シの接 触 電 圧 降下 υbは,正 負 ブ ラシ の合 計 で約2Vで,こ
れを 無 視 して も大 局 に は あ
ま り影 響 しな いか ら,以 下 の式 で は υb=0と す る。 式(2・23)よ
り,Ia=T/(Kaφ)で
あ るか ら,こ れ を 式(2・24)へ
代入 す れ ば,
また は
(2・30)
と な る。 こ の式 の 第 1項 は 無負 荷 速 度 で,ト ル ク T が増 加 す ると第 2項 の値 だ け速 度 が低 下 す るが,Raは 式(2・29)ま
一 般 に小 さいか ら,T が 増 加す る とき の ωrの低 下 は僅 か で あ る。 た は式(2・30)に
よれ ば,速 度 ωrを 制御 す るに は,Vtか
(a)電圧制 御 図2・29
また は φ を制御 す れ
(b)界磁制 御 電 圧制 御 と界 磁制 御(無 負 荷)
(a)電
圧
制
御
(b)界
磁
制
御
図2・30
無 負荷 速 度 と負 荷 時 の速 度
ば よい。 前 者 を 電圧 制 御,後 者 を界 磁 制御 とい う。 図2・29に 図2・30は
これ らの特 性 を示 す 。 ま た,
電 圧 制御 お よび界 磁 制 御 に お け る無 負 荷時 お よび負 荷 時 の速 度 を 示 し た もの で あ
る。 な お,速 度制 御 法 に つ い て は後 で も述 べ る。
〔2〕 分 巻 電 動機 分 巻 電 動 機(shunt
motor)は,図2・31の
よ う に,電
機 子 と界磁 の 電源 が共 通 の結 線 に な
って い る。 この 形式 の もの は,界 磁 磁束 を確保 す るた め に一 般 に定 格 電圧 一定 で運 転 す る。 特 性 式 は,式(2・23)以
下 の各 式 に お いてVtを 一 定 として
考 え れ ば,そ の ま ま使 え る。 例 え ば,電 機子 回 転 速度 ωrは, 式(2・29)に
お い て υbを無 視 すれ ば,
(2・31) とな るの で あ るが,第 2項 の値 は 小 さ く,ωrは 主 と して第 1 項Vt/(Kaφ)に
よ って 決 ま る。Vtを
図2・31分
巻電 動 機
一定 に して使 用 す るか ら,速 度 制 御 は φ の加 減,す な
わ ち界 磁 制 御 に よ るの が普 通 で あ る。
界 磁 回路 を一 定 に保 った場 合 に,電 源電 圧 が 変動 す ると,そ
れ に応 じて φ も変 わ る ので.
速 度は ほぼ一 定 で あ る。 この こ とは,分 巻 電 動 機 の特 長 といえ る。 式(2・31)をVtお
よ び φ一 定 の場 合 につ いて
図 示す れ ば,図2・32の
よ うにIaの
ωrは 僅 か に低 下 して い くが,Iaの
増 加 と共 に 増 加 に伴 い,
電 機子 反 作 用 に よ る減 束 の減 少 が 影 響 して く ると ωrが 上 昇 の 傾 向 を示 す 。 図 の 破 線 で示 した 直 線 は 無 負荷 時 の 磁 束 が そ の まま負 荷 時 に も一定 に保 た れ ると した 場 合 の特 性 であ る。 Iaが 大 き くな る と速 度 が上 る傾 向が あれ ば,こ
図2・32電
機子 反 作 用 の影 響
れ が さ らに負 荷 電 流 を 増 加 させ 減磁 が さ らに進 み,不
安定 な運 転 に な る お それ が あ る。 この現 象 を 防 ぐに は,負
荷 の 増加 と共 に φ を減少
させ な い程 度 の起 磁 力 を もった 直巻 界 磁 をつ ければ よい。 この 目的 の直 巻界 磁 を安 定巻 線 と い う。 〔例 題
5〕100V,3.5kWの
直 流 分 巻 電 動 機 が あ る 。定 格 出 力 時 の 電 機 子 電 流Ia=40〔A〕.
界 磁 電 流if=2.5〔A〕,回 (a)定
転 速 度1200rpmで
抗 を0.18Ω,ブ
ラ シ電 圧 降 下 を(正
(b) こ の 機 械 の1200rpmの % か 。 た だ し,鉄 (c)
あ る。
格 出 力 時 の 発 生 動 力 〔W 〕 と トル ク 〔N・m〕
負 の 合 計 で)2Vと
す る。
と き の 機 械 損 は い く ら か 。 ま た,定
格 出 力時 の 効率 は何
負 荷 に な る と電 源 か ら取 り入 れ る 電 流 は 何 A と な る か 。 た だ し,
無 負 荷 で も 機 械 損,鉄
損 は変 わ らな い とす る。
格 出 力 時 の 逆 起 電 力 をEaと
す る と,
Ea=100-2-0.18×40=90.8〔V〕 よ って,発
生 動 力Pmは,
Pm=90.8×40=3632〔W〕 トル ク を
T と す れ ば,電
T=
3632
機 子巻 線 抵
損 は 無視 す る。
こ の 電 動 機 は,無
〔解 〕 (a)定
は い く ら か 。 た だ し,電
機 子 角 速 度 が2π ×1200/60=40π
=28,9〔N・m〕
/ 40π
(b) 定 格 出 力時 の損 失 は, 電 機 子 銅 損 pa=402×0.18=288〔W〕
〔rad/s〕で あ る か ら
ブ ラ シ 電 気 損pb=40×2=80〔W〕 機
械
損pm=3632-3500=132〔W〕
励
磁
損pf=100×2.5=250〔W〕(界
合
磁 抵 抗 器 の 損 失 も含 む)
計p=750〔W〕
よ って,効 率 を η とす れ ば,
(c)無 毛て,無
負 荷 時 に 電 機 子 電 流 はIa0=220/100=2.2〔A〕,こ 負 荷 電 流In=2.2+2.5=4.7〔A〕
れ に 界 磁 電 流if=2.5〔A〕
を加
とみ る こ とがで き る。
〔3〕 複 巻 電 動機 複 巻 に は和 動 と差 動 とが あ り,分 巻 界 磁 お よび直 巻 界磁 に よ る磁束 を それ ぞ れ φfお よび φsとす る と,φ=φf± φsと書 ける。 複 号 の正 は和 動,負 は差 動 の 場合 で あ る。 そ う して,電 機 子 の電 圧つ りあ い式 は,直 巻 界 磁 の抵 抗 をRsと Vt=Kaφ
ωr+(Ra+Rs)Ia=Ka(φf±
し,外 分 巻 複 巻 の場合 は,
φs)ωr+(Ra+Rs)Ia
(2・32)
で あ る か ら,
ωr=
Vt-(Ra+Rs)Ia / Ka(φf±
φs)
と な り,和 動 で は分 巻 機 に比 べIaの KsIaと お き,Vt/Kaφf=(Ra+Rs)/KaKsな
増 加 に よ る速 度 の低下 が 大 きい。 差動 の場 合 は,φt= ら,Iaが 変 化 して も速 度一 定 と い う式 に な るが,
実際 には電 機 子 反作 用 の影 響 もあ り,分 巻 機 の所 で述 べ た不 安 定 に な る傾 向 を差 動 の直 巻 界 磁が 助 長 す る ことに な るの で,差 動 は ほ と ん ど使 用 され な い。 電 機 子 電流Iaと
トル ク T の 関係 は,和 動 の場 合 に は,
T=KaφIa=Ka(φf+φs)Ia=KaφfIa+KaKsIa2 と な って,こ の特 性 は,分 巻 と,次 に 述 べ る直 巻 と の中 間 の特 性 に な る。 〔4〕 直 巻 電 動 機 直 巻電 動 機(series motor)は,電 りあ い式 は,式(2・32)の
機 子 と 直 巻 界 磁 とが直 列 にな って い る もの で,電 圧 つ
φfを 零 とお い て,ま た 直巻 界 磁 の抵 抗 をRsと
す れ ば,
Vt=Kaφsωr+(Ra+Rs)Ia
(2・33)
φsは直 巻 界 磁 に よ って生 ず る主 磁束 で,磁 路 が未 飽 和 な ら φs㏄Ia,著 しい飽 和 に達 す れ ば, φsはIaに か かわ らず飽 和 磁 束 値一 定 とな る。 い ま,未 飽 和時 を 考 え,φs=KsIaと Vt=KaKsIaωr+(Ra+Rs)Ia
お けば
(a) Ia-ωr特
性
(b)
図2・33直
T-ωr特
性
巻 電動 機 の 特 性
∴ と な っ て,上
(2・34) 式 の 第 2 項 は 比 較 的 小 さ い 一 定 値 で あ る か ら,ωrは
2・33(a)の
ほ ぼIa に 反 比 例 し,図
よ うに な る。
ト ル ク は,φs=KsIaな
ら,
T=KaφsIa=KaKsIa2
と な る か ら,式(2・35)は な る が,Iaの
(2・35)
図2・33(a)のIa-T曲
大 き い 所 で は,φsは
式(2・35)よ
線 の よ う に,T
一 定 値 に 近 づ くの で,T
はIa2に
比 例 す る こと に
は 直 線 に 近 く な る 。 そ う し て,
り,
と 書 け る か ら,こ
れ を 式(2・33)に
代 入 す る と,
∴ 式(2・36)は
(2・36) 図2・33(b)の
飽 和 を起 こす と みれ ば,Ksが
破 線 の よ うに な るが,T
の大 きい所 では 電 流 が大 き く,磁 気
減 少 す るこ と にな るか ら同 じ トル クを生 ず るの に ωrが 増 加
す る こ とに な る。 直 巻 電 動 機 は,図2・33(a)お
よび(b)の
よ うに,電
機 子 電流 ま たは トル クが 少 な い と
き,す な わ ち無 負 荷 に近 い と きは 著 しい高 速 度 とな るか ら,無 負荷 運 転 の 状 態 に 決 して な ら な い よ うに,負 荷 との結 合 を確 実 に して おか な けれ ば な らない 。 〔 例 題 6〕 直 流 直 巻電 動機 が あ る。 電 源電 圧400V,電
機 子電 流100Aの
と き回 転子 速 度
は1200rpmで
あ る。 電 源電 圧 を300V,電
機 子電 流50Aに
らか。 た だ し,電 機 子 お よ び直 巻界 磁 の抵 抗 の和 を0.15Ω
した とき の回 転子 速 度 は い く と し,ブ ラ シ電 庄降 下,電
機子
反作 用,磁 気 飽 和 は い ずれ も無 視す る。 PZ
〔 解〕 電 機 子 定 数 をKa= φ1,n1お
よ び φ2,n2と
/ 2πa
,始 め の 磁 束 と 回 転 速 度 と 電 圧 低 下 後 の それ らを そ れぞ れ
お い て,電
圧 つ り あ い 式 は,
〔 例 題 7〕 直 巻電 動機 が あ り,は じめ に電 機 子 と界磁 の直 列 結 線 を切 り離 し,界 磁 に電 流 I〔A〕 を流 し,電 機 子 に電 圧Vt〔V〕
を加 え,無 負 荷 運転 す る と回 転速 度 はn〔rpm〕
で,こ
の と きの 電 機 子 電 流 は無 視 で きる くらい小 さい。 つ ぎ に,直 巻 電動 機 の結 線 に し負 荷 を か け,電 圧Vt〔V〕 を 加 え,前 と同 じ電 流I〔A〕 を 流 す と き,回 転 速 度n'〔rpm〕 は い く らに な るか。 た だ し,電 機 子 と直 巻界 磁 の抵 抗 の和 を Ra+Rsと
し,電 機子 反 作 用 を無 視 す る。
〔 解 〕 は じめは 電 機子 電 流 を 無視 す るか ら,電 機 子 起 電 力EaはVtに Ea=
2π
等 しい 。 よ って,
Kaφn=Vt
/60 2πKaφ ∴ /60=
Vt/ n
直 巻 の結 線 に した と きは,
〔5〕 励 磁 方 式 と 特 性 総 括 各 励 磁方 式 に対 す るIa-T特
性 お よびIa-ωr特
性 を一 括 して 示 す と,図2・34の
よ うに
な る。 この 図 で は,Iaの 定 格 値 に対 して定 格 トル クお よ び定 格 速 度 が 得 られ る よ う励 磁 回 路 を調 整 した もの と して 比 較 した。
(a) Ia-T特
性
〔Vt一
Iar,Tr,ωrrは
図2・34励
定〕
(b)
定 格 電 流,ト
Ia-ωr特
性
〔Vt一
定〕
ル クお よ び角 速 度
磁方 式 と特 性 の比 較
この 図 に よ る と,
(a) 分 巻 ・他 励 電動 機 分 巻 お よび 他励 電 動 機 は,負 荷 の変 化 に よ る速 度 の 変化 が 少 な く,ま た 必 要 な ら界 磁電 流 の 加減 に よ って,他 励 機 では 界磁 お よび電 機 子電 圧 の加減 に よ っ て速 度 が 自由 に変 え られ,特 に界 磁 電 流 を一 定 と し,電 機子 電 圧 を制 御 す る方 式 は速 度 制 御 範 囲 が最 も広 く,後 で 述べ る よ うに レオ ナ ー ド制 御方 式 として 広 く使 用 されて い る。 (b) 複 巻 電動 機 複巻 電 動機 は,和 動複 巻 にす れ ば,分 巻 と直巻 の中 間 の特 性 を もち, 始動 トル ク も分 巻 機 よ り大 きい。 この電 動機 も広 く用 い られ る。 (c) 直 巻 電 動機 直巻 電 動 機 は,負 荷 の変 化 に 対 し速 度変 化 が大 き い変 速度 特 性 で あ る が,最 大 の 特 長 は,始 動 お よび低 速 時 に 単位 電 流 ま た は単位 入 力 当 た りの トル クが大 き い こ と,加 速 が 速 い ことで あ る。速 度制 御 は 電 機 子 十 直巻 界 磁 の回 路 に加 え る電 圧 を加 減 す る 方 法 と,直 巻 界磁 に タ ップ あ るい は分 路 を設 け る方法 が 併 用 され る。 代表 的 な適 用例 は電 気 鉄道 用 の主 電 動 機 で,日 本 で は電 車 お よび 電気 機 関 車 の電 動 機 には す べ て直 巻 電 動機 を使 用 して い る。 この ほか の 例 で は,ホ イス トな ど の荷 役機 械,ご
く小 形
高 速度 の玩 具 用 に も用 い られ る。 〔6〕 動 特 性 直流 電 動 機 を 始動,加 速 また は 減速 す る場 合 の よ うに速 度 が時 間 的 に変 わ る場合 を 考 えて み る。 (1) 他励 電 動 機 の加 速 定 励磁 の他 励 電 動機 の 電 機 子 が 静 止 して い る所へ 定 電圧Vt を 加 え ると,電 機子 電 流iaが 流 れ,ト ル ク T を生 じて加 速 す る。 この 加速 の速 さ は,負 荷 が 要 求 す る トル クTLと,負
荷 を含 む 回 転部 分 の 慣性 モ ー メ ン トJ に よ って き ま る。
加 速 中 の電 圧 つ りあ い式 は, Vt=Kaφ
ωr+Raia
(2・37)
トル クのつ りあ い 式 は,J を加速 す るた め にJ dωr/
T=Kaφia=J
dωr/ dt
の トル クを要 す るか ら
+TL
dt
(2・38)
と な る。 式(2・38)か
ら,
(2・39) こ れ を 式(2・37)へ
代 入す る と
または
(2・40) と な り,こ の微 分方 程式 の解 は,
(2・41) た だ し,τ は この系 の時定 数 で τ=
JRa
であ る
/ Ka2φ2
。
こ こ で,
と お く。 こ れ は 式(2・41)のt=∞
に お け る速 度 で あ る 。 よ って,
ωr=ωr(∞)(1-e‐t/τ)
と な る か ら,t/τ
(2・42)
と ωrの 関 係 を 画 け ば,図2・35(a)の
と お け ば,ωr=ωr(∞)(1-e‐1)=ωr(∞)×0.632と
よ うに な る。 こ の 図 に お い て, t=τ
な る 。 す な わ ち,τ
は ωrが
ωr(∞)の63・2%
ま で 加 速 す る に 要 す る 時 間 で あ る。 次 に,式(2・41)よ
り,
(2・43) と な り,こ れ は電 機 子 の 角加 速 度 で,t=0に
お いて 最 大 で,次 第 に零 に 近 づ く。 す な わ ち
(a) 加速 曲線(無 次元化)
(b) 加 速曲線 図2・35
定 速 度 に 近 づ く。 そ う して,
(2・44) これ は 始 動 瞬時 の角 加 速 度 であ り,も し,こ の加 速 度 を保 って 時 間 τだ け経 過 し た と す れ ば,そ の と き の速 度 は,
(2・45) と な る。す なわ ち,さ き の時 定数 とは 始 めの 角加 速 度 を保 って ωr(∞)に到達 す るま での 時間 と い う こ とに な る。 なお,ωr(∞)の 第 1項Vt/Kaφ
は,TL=0す
なわ ち無 負 荷 の ときの 最 終速 度 で あ り,ま た
第 2項 は,
と 書 け る 。IL=TL/(Kaφ)はTLの
た め に 流 れ る 最 終 電 流,υL=RaILはlLの
電 機 子 電 圧 降 下,ωL=υL/(Kaφ)は 次 に,式(2・39)へ
式(2・43)を
た めに 生 ず る
υLの た め の 最 終 速 度 の 低 下 分 で あ る。 代 入 す る と,
(2・46) と な っ て,こ
の 式 の 形 は 図2・36の
t=0でia=
Vt/ Ra
よ う に な る 。 こ の 電 流 は,
図2・36加 t→ ∞
で
速 時 の 電流 変 化 TL
励直 流 機 の 等 価 回路
=IL
ia=
/ Kaφ と い う 値 で あ る 。 な お,式(2・39)は て,ωr=ea/Kaφ(eaは
図2・37他
つ ぎ の よ う に も 書 け る 。 す な わ ち,式(2・39)に
電 機 子 起 電 力)で
おい
あ る か ら,
(2・47) と な る。 上 式 に お い て,J/(Kaφ)2は
は 充電 電 流 とみ るこ とが で き,第 2項TL/(Kaφ)は
お け ば, め に 流 れ る電 流 で,そ 係 は 図2・37の
と な っ て,Qcは
静 電 容 量 の デ ィ メ ンシ ョ ンを も ち,そ
れ ぞ れicお
よ びiLと
お け ば,ia=ic+iLと
よ う な 等 価 回 路 に 画 け る 。 そ う し て,Caに
の 値 をCa〔F〕
と
負荷 トル クのた
書 け る。 よ っ て,こ
の関
蓄 え ら れ る エ ネ ル ギ ーQcは,
慣 性 モ ー メ ン トに 蓄 え ら れ る エ ネ ル ギ ー に な る 。
〔 例 題 8〕 定 励 磁 の他 励 直流 電 動 機 に 回転 速 度 に比例 す る トル クを 要求 す る負 荷 を直 結 し て あ る。 は じめ に電 機 子 は 静止 して い た と し,電 機子 に一定 電 圧Vtを
加 えた とき の回 転速
度 ωrお よび電 機 子電 流iaの 時 間 的変 化 を調 べ よ。 た だ し,(電 機 子+負 荷)の 慣 性 モー メ ン トを J,電機 子 定数 をKa,界
磁 磁束 を φ,電 機子 抵 抗 をRaと
し,電 機 子 反 作 用 を無 視 す る。
〔 解〕 電 圧 つ りあ い式 は, Vt=Kaφ ωr+Raia トル クのつ りあ い式 は, た だ し,KLは
よ っ て,
負 荷 トル クの比 例 定 数 で あ る。
iaを 電 圧つ りあい 式 に 代 入 して,
これ を解 い て, た だ し,
JRa/
τ=
(Kaφ)2+KLRa
等 が 得 られ る。 (2)無
負 荷 他 励 電 動 機 の 始 動
無 負 荷 の と きは,前 項 のTL=0お
よびJ=Jm=電
動
機 回 転 子 の み の慣 性 モ ー メ ン トとお けば よ く,
か らiaを
消 去 し て,
た だ し,
JmRa τ= / Ka2φ2
機 で は0.25秒 最 終 速 度
で あ る。 これ を機 械 的 時定 数 とい い,電 動 機 の大 小 にか か わ らず,直 流
程 度 に な る。 ωr0(∞)はVt/Kaφ
角 加 速度 は,
で あ り,式(2・42)の
ωr(∞)よ
TLRa り / Ka2φ2
だ け高 くな る。
そ う し て,
と な って,Jm<Jで
あ るか ら,当 然 負 荷 時 よ り加 速 度 が大 き くな る。
な お,定 格 回 転速 度 で定 格 出力 と な る よ うな トル ク,す なわ ち定 格 トル クで,自 身 の回 転 子 を静 止 か ら定 格 回転 速 度 ま で 加 速 す る に要 す る時 間 を 加速 定 数 とい う。 こ こで,nrを 格 回転 速 度 〔rpm〕,そ の と きの 回 転 角速 度 を ωrr〔rad/s〕 とす れ ば,ωrr=2πnr/60で 定 格 トル クをTr〔N・m〕,定 Tr=
あ り,
速 定数 を τj〔s〕 とす れ ば,
Pr×103
〔N・m〕
/ωrr
で あ り,一
格 出力 をPr〔kW〕,加
定
定 トル ク を 作 用 させ る と き の 角 加 速 度 は 一 定 で,こ
れ を τjを 用 い て 表 せ ば,
ωrr/τj〔rad/S2〕で あ り,
Jm×
ωrr
= Pr×103
/τj
/ωrr
〔N・m〕
(2・48)
と お い て,
τj=
jm・ω2rr/
×10-3〔s〕
(2・49)
Pr
と な る 。 こ れ が 加 速 定 数 で あ る 。 な お,式(2・48)をTrと
Jm×
ωrr
書 く と,
=Tr〔N・m〕
/τj
∴
τj=
jmωrr /Tr 〔s〕=τu
(2・50)
の 形 で表 した もの を単 位 慣性 定数 と い う。 これ は加 速 定 数 と同 じで,直 流 機 で は容 量 の 大 小 に かか わ らず 6秒程 度 とい わ れ る。 〔7〕 始
動
法
静止 して い る電動 機 に電圧 を加 え,加 速 させ定 常 運 転 に 至 る間 を 始動(starting)と い う。 始 動 法 は電 源 の 状況(定 電 圧 か,可 変 電 圧 か)や,励
磁方 式 な どに よ って 異 な るが,始 動 時
の 電 流,入 力,ト ル ク,所 要 時 間 な どが 注 目され る。 一 般 には,電 流,入 力 が少 な く,ト ル クは大 き く,所 要時 間 が 短 い ことが 望 ま れ る。 前 に も述 べ た よう に,電 機 子 電 流 は 一般 に式(2・24)か
ら(νbを 無 視 して),
Ia=
ま た,ト
Vt-Ea
= Va-Kaφ
/ Ra
ωr
/ Ra
ル ク は, T=KaφIa
で あ らわ され る。 始 動 の 始 め の 瞬 時 は ωr=0で,電 小 さい の で,Vtが
流 はIas=Vt/Raで
あ り,Raは
非常に
定 格 電 圧 の と きはIasは
過 大 とな り,電 機 子 に も,電 源 に も許 され な い
値 とな る が,加 速 す る に した が い,Ea=Kaφ
ωrも次 第 に高 ま りIaは 減 少す る の で,定 常 状
態 に 近づ け ば,Raは
小 さ くて もIaは 負荷 の 軽 重 に応 じた あ る電 流 値 に お ちつ く。
よ って,始 動 瞬 時 の過 大 電 流 を 許 容 値 以 内 に 制限 す る こと が必 要 に な る。 電 流 の許 容 値 は,大 体 軽 負 荷 始 動 で は定 格 電 流 の100∼120%,重 一 方,ト ル クはT=KaφIaで され たIaに
お いて,十
負 荷始 動 では150∼200%程
度 で あ る。
表 され るか ら,始 め に十 分 の φ を生 じさ せ て お け ば,許 容
分 の始 動 トル クが得 られ 容 易 に加 速 す る。 始 動 瞬時 の加 速 度 は,式
(2・44)に 示 す よ うに,
で 表 され,Vt/Raは
始 動 電 流,KaφVt/Ra=Tmは
る トル ク,J は回 転 部 の 慣性 モ ー メ ン トで,こ
電 機 子 の始 動 トル ク,TLは
負荷が要求す
こで は J に負 荷 の慣 性 モ ー メ ン トも含 め て
考 え る。 よ って,始 めの 加 速度 はTm-TLに
比例 し,J に反 比 例 す る こと に な り,負 荷 トル クが 大
き い 場 合 お よび Jが 大 きい場 合 には 加 速度 が小 さ く,始 動 時 間が 長 び く, 従 ってTLや
J
の 値 を 制 限 し な けれ ば な らな い こ と もあ る。 始 動 は,つ ぎの よう な方 法 に よ って行 われ る。 (1)じ
か入 れ 法
数 百 W 以 下 の 小 形 電 動 機 に 限 り適 用 で き る方 法 で,は
格 電 圧 を加 え る。 始 動瞬 時 の電 流 は定 格 の10倍 (2)始
動 抵 抗 に よ る法
じめか ら定
ぐ らい まで 許 さ れ る。
電 機子 に直 列 に タ ップ つ きの 始 動抵 抗Rsを
い タ ップ位 置を 移動 し抵 抗 を減 ら し,定 常 運 転 に 入 れ ばRsを
入 れ,加 速 に伴
零 と し無 用 の抵 抗 損 を 防 ぐ。
タ ップ移 動 は,手 動 ま た は 自動 操 作 に よって 行 わ れ る。 (a)手
動始動
分巻,複 巻 お よび 直巻 の いず れ の 励磁 方 式 で も,電 源 電 圧 が定 格 値一 定
の 場 合 に手 動操 作 の 始動 抵 抗 が 用 い られ る こ とが 多 い。 図2・38は
分 巻 お よ び 複巻 電 動機 に用 い られ る 表 面 形 始 動 器 の略 図 で,r1∼r4が
抗 で あ る。 ハ ン ドルを 1の 位 置 に進 め る と界 磁 お よび 電 機子 に電 流 が 流 れ始 動 す る。
始動 抵
は じめ はr1∼r4の
全 部 の抵 抗 が 電 機子 に
直 列 に 入 る が,加 速 す るに した が い,ハ
ン
ドル を進 め て 5の位 置に至 れ ば 始動 抵 抗 が 全 部 除 か れ,運 転 中は 電 磁 石 M に よ って ハ ン ドル は この 位 置 に保 持 され る。 電 動 機 を停 止 させ る と きは 電 源 を 切 れ ば M は保 持 力 を 失 い,ハ
ン ドルは ば ね の力 で 元 の位 図2・38表
面 形 始 動器
置に もど り,次 の始 動 に 備 え る。 円 筒形 始動 器 もあ るが,こ れ は抵 抗 の タ ップ へ の接 触 を ドラム の回 転 に した が い 次第 に移 動 して行 くもの で あ る。 直 巻 電 動 機 の 始 動 に も始 動抵 抗を 用 い る が,電 車 の よ うに 2台 ま た は 4台 の電 動 機 が 常 に 同 時 に運 転 され る場合 には,始
動 時 に 電 動機 全 部 を直 列 に し,さ
らに始 動抵 抗 も加 えて 始
動 し,加 速 後 に電 動 機 を 並列 につ な ぎか え る方 式 が用 い られ る。 (b)自
動 始 動 自動 始動 に は 限流 始 動,限 時 始動 法 が あ る。
限 流始 動 は,加 速 に伴 う電 流 の減 少 を 検 出 し,あ る設 定 値 ま で電 流 が減 少 した とき に継 電 器 の動 作 に よ って 始動 抵 抗 を 除 いて い く方 式 で あ る。 なお,電 流検 出 の代 りに電 機 子 の 電圧 を検 出す る方 法 もあ る。 限 時 始 動 は,タ イ マに よ って 予 め設 定 され た 時 間 間 隔 で始 動 抵 抗 を減 ら して い く方式 で あ る 。
(3)加
減 電 圧 によ る始 動
で き る場 合 には,始
他励 電 動 機 で 電 機子 側 の電圧 を零 か ら次第 に高 め る ことが
動 中 の 電 流 を監視 しなが ら電 圧 を高 め る よ うにす れ ば ,常 に適 正 電流
で,円 滑 な始 動 を す る こ とが で き る。 後 で述 べ る レオ ナー ド方 式 に よる速 度 制 御 をす る場合 は,電 源 電 圧 を零 か ら加 え るこ とが で き る よ うに して あ るの で,始 動 は この方 法 に よ る。 (4)始
動抵抗の区分
始 動 抵 抗 は数 個 の タ ップが つ けて あ り,加 速 とと もに 次 第 に除
去 して い くの で あ るが,等 間 隔 に タ ップが あ るの で は な く,次 の よ うな 考 え方 によ って 区分 され て い る。 図2・39は
始 動抵 抗の 区 分 を示 した 略 図 で,ま た 図2・40は
始 動 中 の電 流 お よび 回転 速 度
の変 化 を 示 した もの で,抵 抗 除去 ご とに電 流 が 一 時 増 し,加 速 す れ ば電 流 が 減 ず る。 この 間 の最 大 電 流 をI1,最
小電 流 をI2と す る と,I1,I2は
接 近 して い るこ とが 好 ま し いが,こ のた
め に は抵 抗 器 の タ ップ 数 を多 くす る必 要 が あ り,抵 抗 器 お よび リレー回 路 が複 雑 にな る。 図2・40は,抵
抗 を一 部 除 去 す る ご との 増 加 す る電 流 値I1と,加
速 に よ って 減 少 した電
図2・39始
流 値I2と
が,各
動 抵抗 の 区 分
動 中 の電 流 ・回転 速 度(起 電 力)の 変 化
ステ ップで 等 し くな る とい う理想 化 した 図 で あ るが,こ
器 の 区 分 を表2・2の 表2・2を
図2・40始
の 図を も とに抵 抗
よ うに計 算 して み る。
つ くって み ると,各 段 に お い て のI1とI2と
は,5 段 目に全 抵 抗 を 除 いてRaの
を 等 し くす る とす れば(こ の 場合
み にす る と して),
(2・51)
表2・2始
動 抵 抗 器 の区 分
こ れ が,始 っ て,n
動 中 の 電 流 変 動 の 比 で あ り,一 を 大 に す れ ば(I1/I2)は
般 に n 段 に 区 分 す れ ば,(I1/I2)=(R1/Ra)1/nと
小 さ く な る 。 な お,R1はI1の
値 を指 定す れ ば決 ま る値 で
あ る。 表2・2よ
り,
(2・52) が 求 め ら れ,各
区 分 内 の 抵 抗
γ1,γ2,…,γ4は,
γ1=R1-R2,γ2=R2-R3,γ3=R3-R4,γ4=R4-Ra と し て 決 め られ る 。
〔例 題
9〕
定 格20kW,220V,100A,800rpmの
電 動 機 を 図2・41の
直流直巻
よ う な 3段 の 始 動 抵 抗 器 で 始 動 す る 。 始 動
中 の 最 大 電 流 は 定 格 電 流 の 2倍 で あ り,電
流 が定 格値 に な った
とき 抵 抗 を短 絡す る。 始 動抵 抗
γ1,γ2お よ び
γ3の 値 を 定 め よ 。 ま た,始
動抵抗全
部 を 短 絡 し 終 わ っ た 瞬 時 の 電 流 を 求 め よ 。 た だ し,電
機子回路
の 抵 抗Ra+Rs=0.15〔 〔解 〕
表2・2に
〔Ω〕,R2=0.55〔
Ω〕とす る。 な ら って 下 の よ う に 表 を つ くれ ば,R1=1.1 Ω〕,R3=0.275〔
各 区 分 内 の 抵 抗 は,
Ω 〕が 求 め ら れ る か ら,
な
図2・41直
巻電動機の 始動抵抗
γ1=R1-R2=1.1-0.55=0.55〔
Ω〕
γ2=R2-R3=0.55-0.275=0.275〔
Ω〕
γ3=R3-(Ra+Rs)=0.275-0.15=0.125〔
Ω〕
と な る。 ま た,始 動 抵 抗 を 除 去 し終 わ った瞬 時 の 電 流 は表 の 中 の よ うに計 算 して183.3Aと な る。 この 問 題 は,直 巻 電 動 機 の 始 動抵 抗 を 決 め る計 算 で あ るが,計 算 手 順 は分 巻電 動 機 の 始 動 抵 抗 区分 の 計 算 と全 く同 じで あ る。 〔8〕 速 度 制 御 法 直 流電 動 機 は,交 流 電動 機 に比 べ て 速 度 制 御 が 自 由 で,こ の点 が 交 流電 動 機 に比 べ 高 価 で,ブ
ラシ の保 守 な どに難 が あ るに もか か わ らず,直 流 機 が広 く用 い られ る理 由 で あ る。
(1)速
度 制 御 法 の 種類
直 流 電動 機 の 速度 は,式(2・29)に
で 与 え られ る。 この式 の第 2項 は,一 きま り,Vtに
示 した よ うに,
般 に第 1項 に比 べ て 小 さい の で,ωrは
比 例 し,φ に反 比 例す る。 よ って,速
度 制御 法 と して は,つ
ほぼ 第 1項 で
ぎ の各 種 が用 い
られ る。 (a)界
磁 制 御Vtを
一定 に保 って φ を変 え る方 法 で,分
巻 お よ び 複 巻 電 動 機 は,主
と して この方 法 が用 い られ る。 す なわ ち,分 巻 界 磁 回 路 の抵 抗器 を 調 整 し て φを変 え る方 法 で あ る。 この 場 合 の電 機 子 入 力 は,式(2・25)に
示 した よ うに,
VtIa=KaφIaωr+RaIa2+υbIa で あ り,こ の 式 で も第 2項 以 下 は比 較 的小 さいか ら,入 力 は 主 と し て第 1項 に よ って きま る。 界 磁 制 御 で は,φ と ωrは ほ ぼ反 比 例す るか ら,発 生 動 力KaφIaωr=T×
ωrは,同
じ電
機 子 電 流 に対 して は ωrにか か わ らず ほぼ 一定 で,定 出 力特 性 と な る。 φ を減 らせ ば高 速 に で き るが,ト ル クが 小 と な り,速 度 の不 安 定 や 整流 不 良 を 起 こす こと もあ る の で,最 高,最 低 の速 度 比 は4:1程
度 で比 較 的 せ ま い。
直 巻 電 動 機 に も界 磁 制御 が 用 い られ るが,こ
の 場 合 に は,界
磁 コイ ル に タ ップを 設 け る
か,ま た は抵 抗 分 路 を 設 け界 磁 ア ンペ ア回 数 を減 らす方 法 が と られ る。 (b)電
圧制御
界 磁 電流 を一定 に保 って電 機 子 に加 え る電 圧 を制 御 す る方 法 で,電 圧 零
か ら加 減 で き る よ うに す れ ば速 度 範 囲 も広 くな る。 この 制 御法 で は磁束 一定 で あ るか ら,同 じ電 機子 電 流 にお い て は 速度 にか か わ らず 同 じ トル クが 得 られ る定 トル ク制御 が で き,従 っ て,出 力 は速 度 に 比 例 す る。
電 動 機 に対 し専 用 の 直 流 発 電 機 を備 え,発 電 機 の 励磁 の 加 減 に よ って 速 度 制御 をす る方 式 を ワ ー ドレオ ナ ー ド(Ward
Leonard)方
式 と い い,古 くか ら広 く用 い られ て きた が,最 近 は
直 流 発電 機 に代 って 交 流 電源 か らサ イ リス タに よ って 整 流 し て得 られ る直 流 電 圧 を 用 い る方 式 が 普 及 し,こ れ を 静止 レオ ナ ー ド方式 とい う。 また,最 近 チ ョ ッパ 方 式 が実 用 化 され て い るが,こ れは 主 回路 に サ イ リス タ をお き,こ れ を断 続 させ て,電 動 機 に加 わ る平均 電 圧 を 加 減 す る電 圧 制 御法 の 一 種 で あ る。 電 車 用電 動 機 で は電 車 線電 圧 が ほ ぼ一 定 で あ るか ら,始 動 時 に は低 速 を得 るた め に,そ の 電 車 が もつ 2台 ま た は 4台 の電 動機 を直 列 に し,か つ,直 列 抵 抗(始 動 抵 抗)も 入 れて 1台 当 た りの電 圧 を 下 げ る方 法 を用 い るが,こ れ も電圧 制 御 と い え る。 なお,ブ ー ス タ とい わ れ る加 減 電圧 電 源 を 主 回路 に直 列 に入 れ て,定 電 圧 源 電 圧 とブ ー ス タ電圧 の和 を 加 減 して速 度 を 制 御す る方 式 もあ り,こ れ は速 度 範 囲 が3:1以
下 の比 較 的 せ
ま い場合 に用 い られ る。 (c)抵
抗制御
これ は定 電 圧電 源 で運 転す る分 巻,複 巻 また直 巻 電 動 機 の電 機子 回 路 に
直 列 に抵 抗 を 入 れ る方 法 で,式(2・29)のRaに
直列 抵 抗Rsを
加 えて,
と し,Rsを
加 減 し ωrを制 御 す る方 式 で,抵 抗 器 内の損 失 電 力 が大 き く,効 率 が悪 くな る こ
と と,Rsを
一定 と して お いた と き,Iaの
変 化 で ωrが 大 幅 に 変 わ り,す なわ ち速 度 変 動 が
大 きい ことが 欠 点 で あ る。 電 車 用電 動 機 に は抵 抗制 御 が広 く用 い られ る。 (2)直
流電源
直 流 電 動 機 の電 源 に は直 流 発電 機が 一 般 に用 い られ た が,最 近 は 半導
体 整流 器 の 発 達 に よ り,回 転 機 に比 べ 小 形,軽 量 で,か つ,交 流電 源 さ え あれ ば 随所 に 直 流 電 源 を得 られ る よう に な った 。 なお,以 前 は電 車 用直 流 電 源 に は水 銀 整 流 器 が盛 ん に用 い ら れ たが,こ れ は シ リコ ン整 流 器 に代 わ りつ つ あ る。 図2・42は,整
流 器 に よ って 交流 電 源 か ら直 流電 圧 を得 る代 表的 な回 路 で あ り,こ れ らの
う ち,単 相 お よ び三 相 ブ リッ ジ回路 は,シ
リコ ン整 流器 を 使 用 す る よ うに な ってか ら急速 に
普 及 した 回 路 で あ る。 交流 側 電 圧Vlと,整
流 され た 直流 平 均電 圧Ed0と
の間 には,図 中 に記 入 した よ うな 関係
が あ る。 図2・42の
例 では,交 流 側電 圧 が 一定 な ら,直 流 側 電 圧 も一 定 で あ るが,こ の 図 の 各 整流
器 を サ イ リス タ に お きか え れ ば,ゲ ー トに加 え るパ ル ス位 相 の加 減 に よ って直 流 電 圧 を零 か ら自由 に 変 え る こ とが で き る。
(a)単相 両 波 整 流 (b)三相 半 波 整 流
図2・42整
(c)単相 ブ リッ ジ
流 器 に よ る直 流電 源
(d)三相 ブ リッ ジ結 線
整 流器 に よ って 得 られ る直流 電 圧 に は脈 動分 を含 み,こ の 脈 動 は電 動 機 の 損 失 を増 し,整 流 に も悪 影 響 を 与 え るが 致命 的 な もの では な く,平 均電 圧 値 を 同 じとす れば,発 電 機 や 電 池 を 用 い る場 合 と ほぼ 同 じ特 性 が 得 られ る。 図2・42(d)の
三 相 ブ リッ ジに サ イ リス タを 用 い
る方 式 は,最 近 大 容 量 の ものが 造 られ るよ うに な り,直 流 出力 数 千kWの
もの も珍 ら し く
な い。 (3)界
磁制御法
界 磁 制 御 法 は一 つ の電 源 が あ れ ば適 用 で き る最 も簡 単 な形 で あ るの
で,数 百 W か ら数 百kWま
で の広 い 範 囲 に用 い られ る。 速 度範 囲 は,前 記 の よ うに3:1
程 度 で あ るが,最 大 幅 に と る と して4:1位
で あ り,こ の間 定 出力 特 性 を得 られ る。 始 動 は
始 動 器 を用 い,電 機子 に直 列 に始 動抵 抗 を入 れ て行 う。 定 常運 転 にお い て界 磁 回路 の 抵 抗器 内で 損失 を伴 うが,こ の 電 力 は少 な く,ど の速 度 に お い て も効 率 が よい 。 電 源 に は,電 池 も,直 流発 電 機 も用 い られ る が,整 流 器 を介 して 交 流電 源 か ら運転 す る方式 で も よい。 最 近,図2・43の
よ うに 整流 器 と分
巻 電 動機 を組 み に して一 体 構 造 と し,交 流 電源 か ら直 接 運 転 で き るよ うに した ものが 市 販 され て い る。
図2・43交
流電源か ら直接 運転す る分巻 電動機
この 場 合,速 度制 御 は界 磁 制 御 に よ っ てい る。 同図 でRfが
速 度制 御 用 抵 抗,Rsは
始動
抵 抗 で あ る。 (4)ワ
ー ドレオ ナ ー ド法
古 くか ら用 い られ て い る電 圧 制 御法 で,図2・44が
その回
路 図 で あ る 。主 電 動機 M に 対 し専 用 の 直流 発 電 機 G を備 え,G
の
励 磁 の 加 減 に よ って M の 速度 制 御 を行 う。IMは
G を運 転す る交
流 電 動 機 で,こ れ は誘導 電 動 機 を 用 い る こと が 多い 。IMに
はGの
ほ か に 小 形 の 直 流発 電 機 E も直 結 し,こ れ を定 電 圧 で発 電 し,M お よび G の励 磁 電源 にす る。 ワー ドレオ ナ ー ド方 式 は,ご 小 容 量 機 か ら数 千kWの
図2・44ワ
く
ー ドレオ ナ ー ド方 式 回路 図
大 形 機 に ま で適 用 され,速 度 の 自動 制 御 も行 われ る。 自動 制 御 を す
る場 合 に は M の 軸 に直 結 した 速 度発 電 機 の 電圧Egと,別
に 用意 した 基 準電 圧Esと
の差 を
検 出 し,G の界 磁電 流 を 加 減 す る指 示 を 出す よ うに す る。 制 御 精度 は良 く,設 定 速 度 との差 0.1%以
内 の定 速 度 運転 も可 能 で あ る。
ワー ドレオ ナー ド方 式 に お いて は,図2・45(a)の
よ う にあ る基 準 速 度 ωr0以下 で は電 圧
制 御 と し定 トル ク運 転 を行 い,ωr0以 上 で は界 磁 制 御 と し定 出力 運 転 を行 うこ とが 多 い。 も っと もこれ は 用途 に も よる の であ るが,全 速 度 範 囲 にわ た って電 圧 制 御,定
(a)定
トル クお よ び定 出力 運 転
図2・45ワ
(b)定
トル ク運 転 を行
電 圧,定 励 磁 にお け る ωr-T特 性
ー ドレオ ナー ド系 の特 性
う とす れ ば,高 速 域 に お い て 出力 が 大 と な り,M
も G も大容 量 の もの を備 え な けれ ば な ら
な い。 同 図(b)は 定電 圧,定 励 磁 の 場合 の トル クと速 度 の 関係 を 示 す もので,こ れ は Tが 増 し て も ωrの低下 が少 な い分 巻 特性 で あ る。 M の負 荷 が 急激 な変 化 を 繰 り返 す よ うな場 合 は,IMに
巻 線 形 機 を用 い,二 次 回路 に速 度
制 御 用 抵 抗 を入 れ,か つ,主 軸 に大 きい はず み車 をつ け,こ れ に 蓄 え た 回転 エ ネル ギ ー を負 荷 増 大 時 に放 出す る よ うに して,G もの をイ ル グ ナ方 式(Ilgner (5)静
お よびIMの
system)と
止 レオ ナ ー ド法
ピー ク負 荷 を 緩 和 させ る。 この よ うに した
い う。
ワ ー ドレオ ナー ド方 式 は,速 度 制 御 が広 く,制 御 精度 も よい
す ぐれ た 方式 で あ るが,専 用 の電 動 発電 機 を備 え る必 要 が あ るた め に,高 価 で据 付 け面 積 を 要 し,騒 音 も大 きい こと が難 点 で あ る。 近 年,半 導体 整 流 器 の発 達 に よ り,ワ ー ド レオ ナ ー ド方 式 の電 動 発電 機 の 代 りに,図2・46の
よ うに 整流
器 を用 いた ものが 急 速 に広 ま りつ つ あ る。 もっ と も, この 整流 器 は,以 前 は 小 規 模 の もの で は サ イ ラ トロ ン,大 形 の もの では 水 銀 整流 器 が 用 い られ,格 子 に加 え る電 圧 位 相 の制 御 に よ って,直 流 電圧 を広 範 囲 に変 え る方 式 が 用 い られ,こ れ を 静止 レオ ナー ドとい った
図2・46静
止 レオ ナ ー ド
の で あ るが,最 近 は,整 流 器 は サ イ リス タにお きか え られ,ゲ ー ト制 御 に よ って 直 流 電 圧 を 変 え る方 式 に な って い る。 サ イ リス タは直 流 出 力 の小 さ い場 合 に は 単相 ブ リッジ結 線 の もの も用 い られ るが,中
・大
出力 の もの で は,ほ とん ど が三 相 ブ リッ ジ結 線 とす る。 速 度 制 御 範 囲 は,ワ ー ドレオ ナ ー ド方 式 と同 様 に広 く,低 速 時 には電 圧 制御 に よ って定 ト ル ク特 性,高 速 で は界 磁 制 御 を行 い定 出 力特 性 に す る。 始 動 は,電 機 子 に加 え る電 圧 を 零 か ら次 第 に上 げ て い く操 作 が で き るの で,極 めて 円滑 で あ る。 (6)ブ
ー スタ に よる 制 御
ブ ー スタ(booster)は 昇 圧 機 と も いい,電
圧 を高 め る もの
と い う意 味 で,図2・47の
よ う に,例 え ば定 電 圧 の 直流 発 電 機 に,ブ ース タと な る別 の 直流
発電 機 を直 列 に入 れ,ブ
ー ス タ の 出力 電 圧 を加 減 して電 動 機 M の速 度 を 制御 す る。 この方
式 は,制 御 範 囲 が比 較 的 せ ま い場 合 に適 用 され る。 例 え ば,定 電 圧 電 源 だ けで は負 荷 の 増 加 に伴 い M の速 度 が低 下 す るの で,そ
の降 下 分 を
ブ ー ス タで 電 機子 電 圧 を 上 げ て補 償 した い よ うな場 合 で あ る。 ブー ス タ によ る速 度制 御 幅 は 界磁 制御 並 みで,広
くして も3:1ぐ
らいで あ る。
(a)ブ
ー ス タ を入 れ た速 度 制 御 回 路
(b)ブ
図2・47ブ
ー ス タ電 圧 と電 動 機速 度
ース タ制御
ブ ー ス タ電 圧 と電 動 機速 度 との 関係 は,図2・47(b)の
よ うに,ブ ー ス タ電 圧 に比 例 して
速 度 が 高 ま るが,ブ ー ス タ の極 性 を反 対 に す れ ば,VBの
増 加 によ り速 度 が下 が る特 性 も得
られ る。 図2・47(a)の
G も B も直流 機 に 限 る こ とは な く,電 池 や 整 流器 に よ って造 った 直流 電
圧 で もよ い。 B に 三相 ブ リッ ジ接 続 と した サ イ リス タを用 い,こ の ゲ ー ト制御 に よ って昇 圧 電 圧 を変 え る方 式 もあ る。 ブ ー ス タの電 圧 は,一
般 に主 電 源 G の電 圧 よ り低 い が,電 流 は
主 機 と同 じで あ るの で,低 電圧,大 電流 で,か つ,可 変 電 圧 の直 流 電 源 が ブ ー ス タと し ての 機 能 を もつ こ とに な る。 (7)チ
ョッパ に よ る制 御
チ ョ ッパ(chopper)と
は,切 り刻む もの と い う こ とで,電
動 機 に加 え る電圧 を高 速 度 で断 続 させ,“ 断 ”と “続 ”の時 間 幅 の比 を 変 え て,平 均電 圧 を変 え て,速 度 制 御 を行 う方 法 で あ る。 図2・48(a)は,チ
ョッパ制 御 の基 本 回 路 を 示す 。 直 流 電 源電 圧Vdを
通 して 電 動 機 M に加 え る。Thの Thを
休止 させ る時 間(off時
よ り,M
サ イ リス タThを
ゲ ー トに 加 え るパ ル スの 制 御 に よ って,同 図(b)の よ うに
間)と 導 通 させ る時 間(on時
間)と の 比tf/tnを 変 え る ことに
に加 わ る平均 電 圧 は,
(2・53)
で 表 され る値 に変 わ り,M の 速 度 を電 圧 制御 に よ って 変 え る ことが で き る。 tn+tf=Tを
チ ョッパ の 周 期 とい い,数ms以
保 ってtf/tnの 比 を変 え る よ うに画 いた が,tfを 図(a)に お いて,時 刻t1にThをonに そ の 模様 は,図(b)のiTの にす る とiTは
な くな るが,M
下 に選 ば れ る。 同図(b)で は,T
を一定に
一定 に保 ってtf/tnを 変 え る方 法 もあ る。
す る と,電 源 か らiTが 電動 機 へ 流入 す る。
よ うに,指 数 的 に上 昇 す る電 流 で あ る。 時 刻t2でThをoff と並列 に入 れ た環 流 ダ イ オー ドを通 してiDが
流 れ る。 これ
(a)基 本 回 路
(b)on時 間 の長 短 とM の 電圧,電 図2・48チ
は,図 のiDの
流 の相 異
ョッパ に よ る速 度 制 御
よ うに指 数的 に 減少 す る。off時 間 が長 い と,M
の電 流 が一 時零 に な る状 態
と,off時 間 が短 か く上 図 の よ うに電 流 が連 続 的 に な る場 合 とを生 ず る。 式(2・53)の
平 均直 流 電圧Vtに
Eb, 電 機子 回路 の抵 抗 をRaと
対 し,図2・48(b)の
電 流 の平 均 をIa,電
機 子起 電 力 を
すれ ば,平 滑 な 直 流電 圧 で 運 転 す る場 合 の式 が そ の ま ま使
え,す で に繰 り返 し示 した式, Vt=Ea+RaIa=Kaφ ωr=
ωr+RaIa
Vt-RaIa / Kaφ
が 成 り立 つ。 チ ョッパ方 式 は,図2・48(a)の
よ うな他 励電 動 機 の ほか に,直 巻 や 複巻 電 動 機 に も適用
で き,直 巻 の 例 に電 車 用主電 動 機 の チ ョッパ 制 御 が あ る。電 動 機 が数kW以
下 な ら,サ イ リ
ス タの 代 りにパ ワー トラ ンジス タを 用 い たチ ョ ッパ とす る ことが で き るが,サ イ リス タチ ョ ッパ で は数 百kW級
の電動 機 の制 御 が で き る。
電 動 機 の始 動 は,tf/tnの
比 を 大 き くして平 均 電 圧 を低 くして 行 う こ とが で き るの で,任
意 の設 定電 流 以 下 の 円滑 な始 動 がで き,始 動 抵抗 は い らない 。 な お,図2・48(a)の
直 流 電源 は,交 流 か ら整流 器 を通 して得 た直 流 で もよい が,こ の場
合 は脈 動 分 を 含 む 直 流 電 圧 で あ るの で,平 滑 フ ィル タを チ ョ ッパ の入 力 端子 に 並 列に 入 れ る。 (8)抵
抗 制御 法
定 電 圧電 源 で運 転 され る直 流電 動 機 で は,電 機 子 に 直列 に加 減 抵抗
Radを 入 れ て,速 度 制御 をす る 方 法 が あ る。 これ を 抵抗 制 御 と い い,Rad内
の損 失電 力 が 大 き
く,効 率 が悪 くな るが,容 易 に 実施 で き る ため,し ば しば 適用 され る。特 に,電 車 用 電 動 機 で は,チ ョ ッパ 制御 を 除 いて ほ と ん どが抵 抗 制 御 を取 り入 れ て い
(a)回 路 図 (b)T-ωr特
る。 (a)分
図2・49分 巻 電勤 機 の 抵抗 制 御
図2・49(a)の
巻 界 磁 は 定 励 磁 に し て お い た とす る と,つ Vt=Kaφ
性
よ う に,電
巻電 動 機 の抵 抗 制 御 機 子 に 直 列 にRadを
入 れ る。 分
ぎの よ うな特 性 に な る。
ωr+(Ra+Rad)Ia
T=KaφIa
(2・54) この特 性 は,同 図(b)の よ うに,T
の増 加 と共 に ωrが大 幅 に低 下 す る特 性 とな る。す な
わ ち,本 来定 速 度特 性 を もつ 分 巻電 動 機が,Radを 抗制 御 で は軽 負 荷 で T が少 ない ときはRadを
入 れ る と変 速度 電 動機 にな る。 ま た,抵
大 き くして も速 度 は あま り低 下 しな い。
電 機 子 の入 力 は, VtIa=Kaφ ωrIa+(Ra+Rad)Ia2 で,右 辺 第 1項 が 出力,第
2項 が抵 抗損 で あ り,こ の式 だ け で効 率 を考 えて み る と,
(2・55)
とな って,効 率 は抵 抗 に よる電 圧 降下(Ra+Rad)Iaと,逆 悪 くな る。
起電 力Kaφ ωrと の比 が増 す ほ ど
(b)直
巻電 動 機 の 抵抗 制 御
列 に抵 抗Radを
Vt=Kaφ
,ト
ぎの よ うに な る。 ω γ+(Rs+Ra+Rad)Ia
(2・56)
飽 和 の 状 態 な ら φ はIaに
Vt=KaKsIaω
一方
よ うに主 回路 に 直
入 れ,こ れ を加 減 す る こ とに よ って速 度 制 御が で きる。 この場 合,ト ル クと
速 度 との 関 係は,つ
直 巻 で は,未
直 巻電 動 機 にお い て も,図2・50(a)の
比 例 す る の で,φ=KsIaと
お く と,
γ+(Rs+Ra+Rad)Ia
ル ク は,
(2・57) こ の 特 性 は ほ ぼ 図2・50(b)の
よ う に な る。 な お,式(2・56)か
ら ωγを 求 め る と,
(2・58) と な って,ω γはIaに 反 比 例す る曲線 か らRadに 図2・51は,電 る。M1,M2が
よ って 変 わ る第 2項 を引 いた 形 と な る。
車用 電 動 機 の直 列,並 列切 り換 え制 御 と抵 抗 制 御 とを 行 う回 路 の略 図 で あ 主電 動 機 で あ るが,M1は
常 に 2台 直 列,M2も
常 に 2台 直列 に して合 計 4台
の 電 動 機 の場 合 も多 い。 多 くの ス イ ッチ が あ るが,こ れ は運 転 台 か ら間 接制 御 に よ って 開閉 され る接 点 であ る。 制 御 用抵 抗R1,R2,R3に
もタ ップが 出て い て,こ の 接点 も開閉 され る
(a)回路 図
(b)T-ω
図2・50直
γ特 性
巻電 動 機 の抵 抗 制 御
の であ るが,図 で は簡 略 に示 した 。 全 電 動 機 を直 列 に し,か つ,制 御 抵 抗 を 入 れて 始 動 し,加 速 に伴 い抵 抗 を減 ら し,電 動 機 を並 列 に切 り換 え る。 この よ うに 直列 接 続 に して始 動 す る ほ うが,初 め か ら全電 動機 を 並 列 に して始 動 す る よ り抵 抗 内 の損 失 電 力が 少 な くな る。 図2・52は,電
図2・51電
車 用 電 動機 の 直 並 列 お よび 抵抗 制 御
車 が 加速 を 終 り定
常 速 度 に な った後,更 に速 度 を 上 げ る際 に 用 い る界磁 制 御 の 略図 で,直 巻 界磁 コ イル に設 けた タ ップ の変 更 また は 直巻 界磁 コイ ル と並 列 に抵抗 分 路 を設 け,界 磁 ア ンペ ァ 回数 を減 図2・52弱
らす。 この よ うな 方 式 を 弱 め 界 (field-weakening)と 〔9〕 制
動
め界 磁制 御
い う。 法
電 動 機 を停 止 させ るか ま た は危 険 な高 速 度 に な ろう とす る際 には 制 動 を か け る必要 が あ る。 その方 法 に は,(a)摩
擦 制 動,(b)発
電 制 動,(c)回
生 制 動,(d)逆
相 制動 な どが あ
る。 (a)摩
擦制動
軸 に取 り付 けた プ ー リ状 の制 動輪 の 外 周 に仕 か けた 摩 擦 ブ レー キシ ュー
を電 磁 石,油 圧,空 気 圧 な ど の力 で お さえ,回 転 体 が保 有 して い るエ ネル ギ ー を摩 擦 熱 にお き か え る方法 で,低 速 時 に 確実 な ブ レー キが か け られ る。 (b)発
電制動
図2・53は,分
巻電 動 機 に 発電 制 動(dynamic
braking)を
行 う場合 の
回路 図 で,制 動 時 に は 回転 部分 の保 有 エ ネル ギ ーを 原動 力 とす る他 励 の発 電 機 と な って発 電 電力 を制 動抵 抗RB内
に消 費 させ る。 この と きの制 動特 性 は,つ ぎの よ う にな る。
回転 子 軸 に速 度 に かか わ らず一 定 の トル クTLを
要求 す る負荷 が 結 合 され て い る と し,他
は 〔6)の 動 特 性 に お いて 用 い た と同 じ記 号 を用 い る ことに す る。 図2・53に
お いて,ス イ ッチ K を 2に入 れ ると他 励磁 の発 電 機 にな り,こ の 瞬時 か ら制動
が か か る。制 動 時 に は軸 に作 用す る トル クの 総 和は 零 で あ り,
(a)回 路
図
(b)減 図2・53発
速 特 性
電 制 御
dω γ
+ KaφIB+TL=0
J=
/ dt
こ こ に,
J
(2・59)
dω γ
は慣 性 モ ー メ ン ト J を 減 速 さ せ る トル ク,KaφIBは
/dt
電 機 子 に 生 ず る トル
クであ る。 制 動 電 流IBは, kaφ ωγ=(Ra+RB)IB Kaφ
と お い て,IB=
ωr
/Ra+RB
よ っ て,式(2・59)は,
(2・60) 式(2・60)を,t=0に
お い て ωγ=ωγ0の 条 件 で 解 く と,
(2・61) と な る。 た だ し,
τ=
J(Ra+RB)
で電 機子 の 機 械的 時定 数 で あ る。
式(2・61)は,つ
/ka2φ2
ぎ の よ うに も書 ける。 τTL
ω γ=ω
回 転 速 度 をrpmで
γ0e-t/τ-
/J
表 し,こ
(2・62)
(1-e-t/τ)
れ をnγ,負
モ ー メ ン トの 代 り に は ず み 車 効 果GD2〔kg・㎡
荷 トル ク をkg・mで 〕=4Jを
表 し,こ
れ をTL′,ま
用 い る と,nγ0=(60/2π)・ω
た 慣性 γ0,TL=
9.8TL′
で あ る か ら,
(2・63) で あ る。
た だ し,
式(2・61)ま
た は 式(2・62)で
る 。 負 荷 トル クTLが
表 さ れ る 減 速 の 状 況 は,図2・53(b)の
あ れ ば,t=tLで
ωγ=0に
な る が,無
た だ し,ω γ0′ は 制 動 開 始 直 前 の 速 度 で,ω γ0′=Vs/Kaφ (c)回
生 制動
お い て,電
動 機 が 負 荷 側 か ら 駆 動 さ れ る 場 合,電
ワ ー ドレ オ ナ ー ド系 や,定
あ る 。 図2・45の
IM=
で,制
braking)と
で あ る。
動 機 の 起電 力 が端 子電 圧 を上 まわ るこ とが
γMと す る と き,Eg<EMな
回 生 制 動(regenerative
負 荷 で は ωr=ωr0′e-t/τと な る 。
電 圧 源 で 運 転 さ れ る分 巻 ま た は 複 巻 電 動 機 に
ワ ー ド レオ ナ ー ド系 に お い て,G
れ をEM=KaMφMω
曲 線 A の よ うに な
の 起 電 力 をEg=Kagφgω ら,M
γ gと し,M
のそ
か ら G へ 電 力 を返 す形 にな るの で
い う 。 こ の と き の M の 電 流IMは,
EM-Eg /Rag+RaM
動 トル クTBは, EM-E
TB=KaMφMIM=KaMφM・
g/Rag+RaM
と な り,ω γMが加 速 す れ ば,TBは (d)逆
相制動
図2・54の
大 と な り加速 が 阻 止 され る。
よ うに結 線 して,電 動 機 として 運 転 中 にス イ ッチ の切 り換 え
に よ って電 機 子 電流 の 向 き を逆 に す る。 制 動時 に は 電 流 が 過大 に な らない よ う電 機子 回 路 に 限流 抵 抗RBを
入 れ る。制動 の は じめは電 源 電 圧Vtと,
電 機 子 起電 力が 同 じ向 きに直 列 に結 ば れ るの で, 電 流 は ほ ぼ2Vt/(Ra+RB)と す れ ば電 流 はVt/(Ra+RB)と
な り,電 機子 が停 止 な る。
界 磁 側 は電 動 機状 態 の ま まに し てお く。磁 束 が 定 格 状 態 に相 当 す る量 とな って いれ ば,制 動 トル クの % は電 機 子電 流 の % に等 し くな る。 な お,
図2・54逆
相 制 動
この 方 式 で は,急 速 に制 動 がか り,停 止 に 至 るが,こ の時 点 で電 流 を切 らな い と再 び元 と反
対 の向 きに加 速 して しま う。 〔10〕 逆
転
法
直 流 電 動 機 の回転 方 向 を変 え るに は,電 機子 か 界 磁 コ イル のい ずれ か の接 続 を逆 にす れ ば よ い。 しか し,補 極 や 直巻 界 磁,補 償 巻 線 の極 性 に つい て考 慮 しな けれ ば な らな い。 (a)界
磁 コイ ル の極 性 を逆 に して逆 転 さ せ る場 合
この場 合 は,電 機子 と補 極,直 巻 界
磁 は元 の ま ま で,逆 転 後 も補 極 の極 性 は 正 し く,正 転の とき和 動 の複 巻 な ら逆 転 後 も和 動 で あ る。 (b)電
機 子 側 の結 線 を逆 にす る場 合
この場 合 は,補 極 も直巻 界 磁 も元 と反対 の電 流 に
な るよ うに しな けれ ば な らな い。 す な わ ち,電 機 子 だ けの 電流 の 向 き を反 対 にす る と逆 転 は す るが,補 極 の向 き は元 の ま まで,整 流 が 悪 くな る。 また,元 和 動複 巻 で あ った 場 合 は,逆 転 に よって差 動 複巻 に な って特 性 が 変 わ って くる。 補償 巻 線 があ れ ば,こ れ も電 機 子 と と も に 電 流 の向 きが元 と反対 にな る よ うに し な けれ ば な らな い。
2・5直
流 機 の試 験 法
据 え付 けに 関す る試験,整 流 に関 す る試 験 な ど につ い ては 省略 し,次 の各 項 につ いて 簡 単 に 述 べ る。
〔1〕 直 流発 電 機 の試 験 (1)巻
線 抵抗 測 定
電 機子 巻 線 の 抵抗 は,正 負 ブ ラシを 通 して 定 格電 流 の15%程
以 下 を流 し,ブ ラ シ抵抗 お よび接 触 抵 抗 を含 め な い よ うに,+,−
度
ブ ラシ下 の整 流 子面 で 1
極 間 隔間 の 抵 抗を 測 る。 補極,直 巻界 磁,補 償 巻 線等 は低 抵抗 で あ るか ら,ダ ブル ブ リ ッジ等 を 用 い て 慎 重 に 測 る 。界 磁 巻 線 は直 流 を流 して電 位 降 下 を測 れ ば よ い。 各 測定 は,巻 線 温 度が 周 囲 温度 に等 し い とみ られ る状 態 で 測 り,周 囲 温 度 も測 って お く。 巻 線の 抵 抗 損計 算 の と き の 抵 抗 値 は,各 測 定 抵抗 を基準 巻 線 温度(A,E,B 75℃,F,H (2)無
絶 縁 で は115℃)に
種 絶縁 では
負 荷飽 和 曲線 の 測 定
換算 した 値 を用 い る。 供試 機 を原 動機 によ り定 格速 度 で運 転 し,他 励 磁 に し て
界 磁 電流 と起 電力 の 関係 を測 る(図2・14)。 定 格 速度 が 得 られ な い場 合 は,実 現 し得 る速 度 で測 り,起 電力 を速 度 に比 例 させ て 換 算す れ は よい。 (3)外
部 特 性 曲線 測 定
定 格 速 度 一定 で 運 転 し,定 格 電 流 で定 格電 圧 とな る よ うな負
荷 をか け,以 後界 磁 の調 整 をせ ず,負 荷電 流 を 零 ま で減 少 させ た と きの端 子 電 圧 の変 化 を 測
れ ば,図2・21(c)の
よ うに励 磁方 式 に応 じた 外部 特 性 曲線 が 得 られ,電 圧 変動 率 も求 め ら
れ る。 (4) 規 約 効 率 の算 定 て,効
規 約 効率 は あ る 出力 を想 定 し,そ
の 出 力 に お ける損 失 を測 っ
率=出 力/(出 力+損 失)と し て求 めた 値 を い い,一 般 に この方 法 で 効率 計算 が 行 われ
る。 損 失 につ いて は,2・3節
〔6〕で 述 べ たが,こ
こで はJEC-54(1965)「
直 流機 」 に 従い,
損 失 の分 類 を示 し,そ れ らの測定 法 を簡 単 に述 べ る。 (a) 損 失 の 種 類 ① 固定 損 無 負荷 鉄 損,軸 受 お よび ブ ラシ摩 擦損,銅 損 の和 を固 定 損 とい う。 ② 直 接 負 荷損 直 巻界 磁,補 極 お よび補 償巻 線 等 の 抵抗 損,ブ
ラシの電 気 損,負 荷 に よ
り増減 す る鉄損 等 の 和 を直接 負 荷 損 と い う。 ③
漂遊 負 荷 損 鉄 心,鉄 材 お よび導 体 中 に生 ず る うず 電流 に よ る損 失 を い う。
④ 励磁 損 分巻 また は他 励 界 磁巻 線 の抵 抗 損 を励 磁損 と い う。 ⑤
次の よ うな損 失 は 損失 計算 に計 上 し ない。 ベ ル トや歯 車 等 の伝 導 装 置 の損 失,界 磁 抵 抗 器 の 損 失,励 磁 装 置 の損失,冷 却用 フ ァ ン,ポ ンプ等 の 動力 。
(b) 損 失 の 測 定 固定 損 は供 試 機 を,電 気動 力 計 ま たは 予 め損 失 の判 って い る電 動機 で 駆 動 し,定 格 速 度,無 負 荷 にお い て界 磁電 流 を加 減 し,起 電 力 を加 減 し,各 電圧 ご との供 試 機 の入 力 を測 る と図2・55の
よ うな 曲線 がで きる。 起 電力 が 定 格電 圧 の と きの供 試 機 の入 力
は,そ の発 電 機 の固 定 損 で あ る。 供 試 機 を 電 動機 と して無 負 荷 で運 転 し,回 転速 度 を定 格 値 に保 ち なが ら,電 機 子 に加 え る 電圧 を変 え,そ の都 度 電機 子 入力 を測 って も同様 の 曲線 が 得 られ る。 た だ し,こ の場 合 は,
図2・55
固 定損 の測定
図2・56
負 荷 に よ り変 化す る鉄損
電 機入 力 に は無 負 荷 電 流 に よ る電 機 子 銅損,ブ
ラシ電 気 損が 含 まれ るか ら,こ れ らを差 引い
た値 を曲 線 につ くる必 要 が あ る。 図2・56は,負
荷 に よ り変化 す る鉄 損 を考 え るた め の 曲線 で,さ きに得 た鉄 損 曲線 にお い
て,定 格電 圧Erに
お け る鉄損 は 無負 荷 鉄 損 がPi0で,発
機 子 の 抵 抗 降下raIaが
あ るか ら,Er+raIaに
電 機 と して負 荷 を か けた場 合 は電
お け る鉄 損PiGを
同 様 に,電 動 機 として 運 転 した場 合 は,起 電 力 はEr-raIaと piMを
負 荷時 の 鉄 損 とみ る。 な るか ら,こ の とき の鉄 損
負荷 時 の鉄 損 と み る。
(c) 効率 計 算 例 例 と して,2kW,100V,4
極,1500rpmの
分 巻発 電 機 の効 率 計算
例*を 示す 。 図2・57は,供
試 機 が 定格 出力 で運 転 され た 場 合 の略 図 で あ る。
① 巻 線 抵 抗(い
ず れ も75℃
電 機 子ra=O.348〔 磁rf=58.3〔 ② 摩 擦 損+風
に お い て)
Ω〕,補 極 巻 線ri=0.154〔
Ω 〕,分 巻 界
Ω) 損=85〔W〕,定
格 出 力 時 の 起 電 力E0=100+
0.348×21.7=107.55〔V〕,E0に
お け る 鉄 損=77〔W〕
③ 界 磁 巻 線 損 失Pf=If2rf=1.72×58.3=168.5〔W〕 ④ 電 機 子 お よび 補 極 巻 線 抵 抗 損
Pa=(0.348+0.154)×21.72=236.4(W)
⑤ ブ ラ シ 電 気 損Pb=2×1×21.7=43.4〔W〕,1 ブ ラ シ の 電 位 降 下1Vで,炭
は 一つ の
図2・57
効 率計 算
素 お よ び 黒 鉛 ブ ラ シ で は,電
機 子 電 流 の 値 に か か わ ら ず1Vと
す る。
⑥ 漂 遊 負 荷 損 は測定 困難 で あ るか ら,定 格 出力 の とき,そ の1%(補 機 では0.5%)を
2kW,100V,1500 rpm分 巻 発電 機 の
償 巻 線つ きの直 流
漂遊 負 荷 損 とみ なす 。 な お,こ の 損失 は 負荷 の 2乗 で 変 わ る もの とみ
なす 。 よ って,本 機 で は2000Wの1%で
あ る20Wを
漂遊 負 荷損 とす る。
⑦ 全 損 失 定 格 出力 時 の全 損 失 P は, P=85+77+168.5+236.4+43.4+20=630.3〔W〕 ⑧ 効 率 η よ って,定 格 出力 時 の効 率 は,
(5) 温 度試 験
直 流 機 の温 度 上昇 限 度 は絶 縁 の 種 類 に応 じ,表2・3の
* 中村 辰 二 「電 気機 械 試 験 法」p .45オ
ーム 社
よ うにJEC-54
表2・3
*全
閉形の場合は
,こ の 値 よ り5℃
直 流機 の 温度 上 昇 限度 〔 ℃〕
高 く定 め る。
(1965)で 決 め られ てい る。 温 度 試 験 は供 試 機 に定 格 負 荷 をか け,巻 線,鉄
心 そ の他 の部 分の 温 度上 昇 が表2・3の
値
を 超 え な い こ とを調 べ る試 験 で,負 荷 を か け る方 法 に は実 負 荷 と返 還 負荷 法 とが あ るが,一 般 に後 者 が 用 い られ る。 これ は試 験 の た めの 電力 量 が少 くて すむ か らで あ る。 図2・58は
返還 負 荷 法 の一 つ の方 式 で,Kapp法
といわ れ る回 路 図 で あ る。
返還 負 荷 法 は ほ ぼ 同 じ定 格 の 機械 が 2 台 用意 で き る場合 に適 用 で き る方 法 で, 試験 のた め の電 源 容 量 は両 機 の損 失 が供 給 で き るだ けあ れ ば足 り る点 に大 き な特 長 が あ る。 図2・58に
お いて,G は供 試発 電 機,
M は ほぼ 同 じ定 格 の 補助 機 で,電 動 機 と
図2・58
Kappの
返還負荷法
して運 転 す る。 G と M は直 結す る。 この回 路 を用 いて G に負 荷 をか け るには,次 の よS うに 操作 す る。 は じめ に M を電 動 機 と して始 動 し,速 度 を定 格速 度 ま で上 げ る。 次 に,Rfgを G の起 電 力 を高 め,M 列 に結 ぶ。Rfgを ま でRfgを
調整 して
の電 圧(定 格電 圧)と 等 し くな った ことを電 圧計 で 確 認 し,両 機 を 並
さ らに 減 らす とIgが M へ 向か って流 れ るか ら,こ の値 が定 格 電 流 に な る
調 整す る。 速度 が 変化 した ら,Rfmの
継 続 して温 度 上 昇 を調 べ る。
調 整 に よ り定 格 速 度 と して,こ
の状 態 を
Kapp法
で は,両 機 の 損失 分 を供 給す る電源 が 必 要 で あ るが,M
お よび G の結 合 軸 に第
三 の電 動 機(両 機 の 損失 を供給 で き る容 量 の もの)を 結 合 し,こ れに よ り両 機 を定 格速 度 で 駆 動 し,Rfm,Rfgの
調 整 に よ り,G を 発電 機 と して,定 格電 圧,定 格電 流 の状 態 を つ くっ
て も よい。 この方 法 をHopkinson法 (6) 絶 縁 耐 力試 験
と い う。
直流 機 の 絶縁 耐
表2・4 一般直流機絶縁耐力試験電圧
力試 験 は,正 弦波 交 流 電 圧 を 1分 間加 え て 行 う。 一 般直 流 機 の試 験 電 圧 は,そ の 機械 の定 格 出力,定
格電 圧 E に 応 じて,表2・4の
よ うに決 め られて い る。 〔2〕 直 流 電 動 機 の 試 験 直 流 電 動機 に お いて も抵 抗 測定,飽 和 曲 線 測 定,損 失 測 定 が 行 わ れ るが,こ れ らは 発 電 機 の場 合 と同 様 に行 えば よい。 電 動 機特 有 の試 験 は負 荷 に対 す る速度 特 性 お よび トル ク の測 定 で あ る。 速度 特性 は実 負荷 また は返 還 負 荷法 で 測 れ る。 トル クは動 力 計 を負 荷 に し て運 転 で き れ ば直 接測 れ るが,入 力 か らそ の とき の損 失 を 引 いて 出 力 を計 算 し て,次 の よ う に して求 めて もよ い。 例 え ば,直 流 分巻 電 動 機 にお いて, 定 格 電圧Vr〔V〕,電
源 か らの流入 電 流Il〔A〕,無
損Pi′(無 負 荷 鉄 損Pi0はpnに
負 荷 損Pn,負
含 まれ る),電 機 子 銅 損Pc,励
荷 に よ って変 化 す る鉄
磁 損Pf,ブ
ラシ電 気 損Pb
(それ ぞ れ 〔 W 〕の 単位 で)な ら,出 力P0〔W〕 は, P0=VrIl-(Pn+Pi′+Pc+Pf+Pb)〔W〕 この 出力 にお け る漂 遊 負 荷 損 をPs〔W〕,速
度 をn〔rpm〕
とすれ ば,ト ル ク T は,
と して 求 め られ る。 温 度 試験,絶 縁 耐 力試 験 等 も,発 電機 で述 べた こ とと 同 じで あ る。
2・6
直 流発 電機 の並 列運 転
2台 以上 の 発電 機 を 同一 母 線 に接 続 して,各 機 の 出力 を母 線 を 通 して 負荷 へ 送 る状 態 を並 列 運 転 とい う。 〔1〕 分 巻 発 電 機 の 並 列 運 転 図2・59は,発
電 機 2台 の 並 列 運転 の 略 図 で,は じめにG1の
給 して い る とす る。 次 に,G2を
並 列 に結 ぶ た め には,G2が
み 運転 され負 荷 に電 力 を供
生 ず る起電 力 の 極性 は も ちろ ん,
そ の値 も母線 側 の それ らと 一 致 した ことを 確 認 した 後 で な けれ ばS2を 投 入 す る ことは 危険 で あ る。 電圧 値 を一 致 させ るに は,界 磁 電 流 の調 整 をす れ ば よ い。
(b) 並列投入時の両機の外 部特性
(a) 並 列 運転 略 図 図2・59
分 巻 発 電機 の並 列 運転(電 圧Vr一
並 列 に投 入 後 に負 荷 分 担 させ るに は,G2の
(c) G1がI1を,G2がI2を 分 担 す る と きの外 部 特 性 定)
界 磁 電 流 を さ らに 増す 必 要 が あ る。 し か し,
負荷 が 一 定 な らG2が 負 荷 を分 担 したた めにG1の 負 荷 は軽 くな り,母 線電 圧 が 高 ま る。 これ を一 定 に保 つ にはG2の 界 磁電 流 を 増す 操 作 と 同時 にG1の 界 磁 電流 を減 らさ な けれ ば な らな い。 図2・59(b)は,G2が
並 列 に 結 ばれ た 直後 の両 機 の外 部特 性 曲線 で,G1は
を供 給 し,端 子 電 圧 は定 格 値Vrと
す る。G2は
電 圧 はVrに
あ る。 同 図(c)は,G2の
励 磁 を増 し(外 部 特性 曲 線 を上 げ る),G1の
性 を下 げ る),電 圧Vr一
定 お よび負 荷 電 流 も一 定 に保 ち,分 担電 流I1お
態 で あ る。 さ らに 励磁 の 調 整 を進 め れ ば,I1=0,I2=ILと
既 に 電流IL
な って い るが 分担 電 流 は零 で 励 磁 を減 ら し(外 部 特 よ びI2と
した状
す るこ と もで き る。 この 間負 荷 の
電圧,電 流 に何 等影 響 を 与 え ない 。 並列 運 転 を行 うG1,G2の
容 量 が異 な る とき は,横 軸 の電 流 を各 機 の定 格 電 流 を100と す
る % 目盛 に し考 察す れ ば よ い。 ま た,%
目盛 で示 した と きの外 部 特 性 曲線 の形 が 相似 して
い る ことが 望 ま し い。す な わ ち,両 機 の電 圧 変 動率 が ほ ぼ等 しい こ とが望 ま しい 。 これ は 負
荷分担 の制御が最 も容易に行えるか らである。 〔2〕 複巻 発 電機 の並 列運 転 複巻 発 電機 で外 部特 性 曲線 が 負荷 増 加 と と もに端 子電 圧 が 上 昇す る特性 の場 合 は,負 荷 分 担 が 安定 に継 続 で き な い。 あ る負荷 分 担 を きめ て も何 らか の 原 因 で,分 担 電 流 の変 化 が 生 ず れ ば,そ の変 化 は止 らず,つ い に一 方 は過 負 荷,一 方 は電 動 機 の状 態 に な る。 分巻 発 電 機 の並 列 運転 では,こ の よ うな不 安定 はな く,負 荷分 担 に 変化 が 生 じて も,そ の 変 化 は元 へ もど され る。 これ は分 巻 機 の外 部 の 性が 負 荷電 流 の 増加 に伴 い低 下 す る特 性 を も って い るか らで あ る。 複巻 機の 並列 運 転 に お い て 負 荷分 担 を 安定 させ るに は,図2・60の
よ う に,均 圧 母 線(equalizing
bus‐bar)Bで両 機 の直 巻 界 磁 コイ ルを 並列 に結 べば よ い。 この よ うにす れ ば,一 方 の直 巻 界磁 の 電 流が 図2・60複
増 加 を は じめ れば 他方 も増 加 す る ので,分 担 電 流が
巻 発 電 機 の並 列 運 転
限 りな く移 動す る不 安定 は除 か れ,分 巻界 磁 電 流 の制 御 に よ って任 意 の負 荷 分 担 を させ る こ とが で き る。
2・7特
殊構 造 の直 流 機
こ こで,特 殊構 造 の 直流 機 の例 につ いて 簡単 に述 べ る。 〔1〕 単 極 発 電 機 普 通 の直 流 発電 機 は電 機子 コ イル に交 流 起電 力 を つ くり,こ れ を 整流 子 と ブ ラシ の作用 に よ って 直流 に して取 り出 す の であ るが,単 極(uni-polar)発
電 機 は 直 流起 電 力 をつ くり,こ
れ をそ の ま ま ブ ラシ を通 して取 り出す ので,整 流 の必 要 が な い直 流 発電 機 で あ る。 図2・61は
単 極発 電 機 の 二つ の 形 式 で,図(a)を
並 軸 形,図(b)を
放 射形 とい う。 しか
し,図(b)は
歴 史 に名 が あ るだ けで,現 在 で も造 られ るの は 図(a)の 形 で あ る。 全 体 は 円 筒
形 を して いて,電 機 子 導 体 も銅 の 円筒 で,こ れが 外 力 で駆 動 され る。界 磁 巻 線 は 固定 側 に あ り,図 の例 では 界磁 の磁 束 は 軸 中心 か ら半 径 方 向 に放 射状 に 生 ず る。 この磁 束 を 銅 の 円筒 が 回転 す ると きは に切 って 起電 力 を生 ず る。 起 電 力 は図 の よ うにお い た +,− の ブ ラシか ら取 り出す 。 円筒 の周辺 速 度 を υ〔m/s〕,軸方 向 の長 さをl〔m〕,円 筒 の 周 辺の 位 置 での 磁 束密 度 をB 〔T〕とすれ ば,+,−
間 に生 ず る起電 力 はe=Blυ
出す だ けで,普 通形 の よ うに,多
〔V〕で,単 極 機 では 単 一 のBlυ
くの導体 に生 ず るBlυ
を取 り
を直列 に加 え る ことが で きな いの
(a)並軸 形
(b)放射 形 図2・61単
極発 電 機
で,低 電圧 の発 電機 しか つ くれ な い。 例 え ば,B=1(T〕,l=0.5〔m〕,υ=50〔m/s〕
とした 場 合,e=25〔V〕
げ,B を高 め るよ うに して も単 極 機 で得 られ る電 圧 は50Vく 電 流 が 得 られ10万
と な る。 速度 を 上
らい とい われ る。 し か し,大
A 以上 と い う例 もあ る。
原理 上,完 全 な直 流 電圧 が 得 られ るはず であ るが,実 際 は ブ ラシ を通 して取 り出す の で, 脈動 が 入 る こ と もあ る。 〔2〕 直 流 電 気 動 力 計 直 流 機 形電 気動 力 計 は,図2・62の
よ うに,普 通 の直 流機 と似 て い るが,異 る のは,固 定
子 が あ る角 度 だ け 自 由に 回転 で き る よ うに 二 重 の 軸受 に な って い る。 固定 子 の横 に は 腕 が 出 して あ り,軸 中心 か らl〔m〕 の所 に は か りが おか れ る。 直 流機 が 発 電 機 と して 動作 す る場 合 は, 固 定 子 は電 機 子 の 回転 と同方 向に,電 動 機 と して 動作 す る場合 は,反 対 の方 向 に力 を うけ るの で,こ の 力G〔kg〕
をは か りで 読 図2・62直
流 霞 気 動力 計
み,腕 の 長 さ lとの 積 を とれ ば,ト ル クを 知 る こ とが で き,一 方 回 転速 度n〔rpm〕 Pm=9.8×Gl×
2πn / 60
か らPmが
求 め ら れ,こ
を 測れ ば,そ の と きの動 力Pmは,
〔W〕
の こ と か ら動 力 計(dynamometer)と
よ ば れ る。
練
習
問
題
2.
1.ブ ラ シを無 負 荷 中性帯 に おい た補 極 つ き和 動 複巻 発電 機 が あ り,こ れ を複 巻電 動 機 と し て使 い たい 。 内部 接続 を変 え な い と して,こ の 電 動 機 は 和 動,差 動 の い ずれ に な る か。 補 極 の極 性 は正 しいか 。 回転 方 向 は発 電 機 の と きと同 じ,ま た は反 対 の いず れ にす べ き か。 2.補 極 つ き の和 動 内分 巻複 巻 発電 機 が あ る。 この発 電 機 を停 め て分 巻 界 磁 を 逆 に つ な ぎ,元 と反 対 の方 向 に回転 させ た場 合,定 格 電 圧 ま で 自己励 磁 に よ って電 圧 が 上昇 した 。 (a)発
電 機 端子 の 極性 は前 と同 じか 。
(b)元
の よ うに和 動複 巻 に な るか。
(c)補
極 の 極性 は 正 し い とい え るか 。
3.200V,1500rpmの
直流 分 巻 発電 機 が あ る。 電 機子 巻 線 の抵 抗 は0.1Ω,ブ
触電 圧 降 下 は電 流 に関 らず正 負 合 計 で2Vと 発電 機 と して200V,1500rpm,電
ラ シの接
す る。
機 子電 流100Aの
状 態 が 得 られ るよ うに界 磁 回路
を 調 整 し,界 磁 を この ま ま と して電 動 機 と して運 転 し,電 機子 の電圧200V,電
流100A
に した場 合,回 転 速 度は い く らにな るか 。 た だ し,電 機 子 反作 用 を無 視 す る。 4.10kW,200Vの
直流 分巻 電 動 機 が あ る。 電 機 子抵 抗 は0.18Ω,界
100Ω で あ る。200V無
負 荷 で,回 転 速 度1200rpm,電
定 格 出力 時 に電 源 か ら取 り入れ る電 流 は60Aで 磁 束 が,無
負 荷時 に比 べ て4%減
機子 電 流3.2Aで
磁 回路 の 抵 抗 は あ る200V,
あ り,電 機 子反 作 用 のた め に ギ ャ ップ
少 す る とい う。 定 格 出力 時 の速 度 はい くらか 。 た だ
し,ブ ラシ の接触 電 圧 降下 を無 視 す る。 5.220V,80Aの
と き750rpmと
コ イル の抵 抗 は0.10Ω して,220V,20Aの
な る直巻 電 動機 が あ る。 電 機子 抵 抗 は0.14Ω,界
で あ る。電 流20Aの
とき の磁束 が80Aの40%に
磁
な る もの と
と き の回転 速 度 を 求 め よ。
6.定 格 値 が それ ぞ れ37kW,220V,190A,600rpmの
直 巻電 動 機 が あ る。定 格 運転 時
の損 失 は入 力 に対 す る % で表 す と,電 機 子 およ び 直 巻 界 磁 の 銅 損 が それ ぞれ3.7%お よび3.2%,機
械 損 と鉄 損 の和 は4.6%,電
機子 反 作 用 を無 視 し,主 磁束 は電 機 子 電 流
に比 例 し,ま た機 械 損 と鉄 損 の和 は速 度 に比 例す る もの とす る。220V,95Aで
運転す
ると きの 回転 速 度 お よび 出力 は そ れぞ れ い くらに な るか 。 7.直 流 分 巻電 動 機 と直 流 直巻 電 動 機が 全 負 荷 で 運 転 してい ると きい ずれ も電 流 が50A, 回転 速 度 が1000rpmで
あ る とす る。 負 荷 トル クが半 減 した場 合,電 流 お よび 回転 速 度
は そ れ ぞれ お よ そ い くらに な るか 。 8.一 定 トル ク の負荷 を もつ直 流分 巻 電 動機 が あ る。 電 源電 圧E1〔V〕
の と き,電 機子 電
流 はI1〔A〕,ま た 回転 速 度 はN1〔rpm〕 で あ った 。 い ま,電 源 電 圧 をE2〔V〕
に変 化 した とす れ ば,電 機 子 電 流I2〔A〕 お よび 回転 速 度
N2〔rpm〕 はい くらに な るか。 た だ し,電 機 子 と直 列 に あ る全 内 部抵 抗 をR〔 Ω〕と し, 磁 気 飽 和 お よび 電 機子 反 作 用 は無 視 す る もの とす る。 9.10kW,200Vの
直 流分 巻 電 動機 が あ り,定 格 出 力時 の 電 機子 電 流 は60Aで
の電 動 機 の始 動 時 の電 機 子電 流 の最 大 を定 格 出力時 の180%,最
小100%の
あ る。 こ 電 流変 化 で
始 動 で きる よ うに 始 動抵 抗 を きめ た い。抵 抗 器 の 区分 段 数 と,各 区分 内の抵 抗 値 を何 Ω とす れ ば よ い か。 た だ し,電 機子 回路 の抵 抗 を0.16Ω 10.ワ
とす る。
ー ドレオ ナ ー ド装 置が あ って,一 定 トル クの 負荷 を運転 し てい る。 端子 電 圧210V,
電 流 は100A,回
転 速度 は1000rpmで
あ る。 この とき発 電 機 の界 磁 磁 束を75%に
減
じる と電 動 機 の 回転 速度 はい く らに な るか を計 算 せ よ。 た だ し,発 電機 お よび電 動 機 の 内 部抵 抗 は い ずれ も0.1Ω,電
動 機 の界 磁電 流 は 一定 と し,無 負 荷 損 お よび 接続 導 体 の
損失 は無 視 す る もの とす る。 11.可
変速 度 運 転 を す る他 励直 流電 動 機 A と Bが あ る。 速 度 範 囲 は最 高1200rpm,最
400rpmで
低
あ り,A は 全速 度 範囲 で定 出力 を要 す る負荷 に,B は常 に定 トル クを要 す る
負 荷 に結 合 され て い る。 すべ て の損 失 お よび 電機 子 反作 用 を無 視 す る もの と し,下 記 に 答 え よ。 界
磁 制
御
の 堀 合
電
(1)1200rpmに
お い て両 機 とも電 機 子
電 流50Aで 400rpmで
出力 が等 しか った。 は A 機 お よ び B 機 の電 機
子 電 流Iaお
圧 制
(1)左
と同文
(2)左
と同 文
御
の 場 合
よ びIbは それ ぞ れ い く ら
か。 (2)400rpmに
お いて 両 機 と も電 機子 電
流50Aで 出力 が 等 しか った 。1200rpm にお い てIaお よ びIbは それ ぞ れ い く らか 。
12.2
台 の同 じの 性 の直 流機 が あ り,両 機 と も定 格 電 圧230V,定
格 電 流 は17A,励
磁方
式 は 他励 で あ る。 この一方 を発 電機 とし,他 方 を電 動 機 と し ワー ドレオ ナー ド系 をつ く った 。発 電 機 は定 速 度1200rpmで 抵 抗 は0.48Ω,ま
同 期電 動 機 に よ り駆 動 され る。各 機 の電 機 子 回路 の
た両 機 の磁 化 曲線 は1200rpmに
お い て 問図2・ 1の 形 を して い る。
電 機 子 反作 用 を無 視 して, (1)電
動 機 の 界磁 電 流 を0.9A,電
電 流 を17Aそ
機子
れ ぞれ 一定 に保 つ と き,
電 動 機 の速 度 を300∼1200rpmの
範
囲 に変 え る ため の発 電 機 の界 磁電 流 の 最 小 値 お よび 最 大値 を求 めよ。 (2)(1)の
条 件 で,最 低 お よび最 高 速 度
に おい て の速 度変 動 率 はそ れ ぞれ 何% か。 (3)発
13.定
電 機 の界 磁 を1.1Aま
で 増 し,電 問 図2・1
動 機 の 界磁 は0.2Aま
で 減 らす と し
て,電 機 子 電 流17Aに
お い て得 られ る最 高 速度 は い く らか 。
格 出力5kW,定
格 電 圧100V,定
格 速度1500rpmの
他 励 直流 発 電機 があ る。 こ
の発 電 機 を定 格 状 態 で運 転 して い る と き,界 磁 電流 お よび負 荷 の抵抗 値 を変 え な い で, 回 転 速度 を1200rpmに
した場 合,発 電 機 の端 子 電 圧 お よび 負荷 電 流 は それ ぞれ い くら
にな るか 。 た だ し,電 機 子 回路 の抵 抗 はブ ラ シの抵 抗 を 含 め0.15Ω
と し,電 機 子反 作 用 の影 響
を無 視 す る もの とす る。 14.電
機 子 回 路 の抵 抗0.40Ω,界
格 電 圧110Vを
磁 回路 の抵 抗55Ω
の直 流 分 巻電 動機 があ る。 これ に定
加 え た と き始 動 電流 はい く らにな る か。 また,始 動電 流 を 定 格 電 流 の
1.5倍 に制 限す るに は電機 子 回 路 にい くらの始 動抵 抗 を入 れれ ば よい か。 ただ し,定 格 状 態 で 運転 して い る と きの逆 起電 力 を100Vと 15.直
流 分 巻 電動 機 が あ る。端 子 電 圧 が215V,電
が0.1Ω,回
転 速度 が1500rpmで
す る。 機 子電 流 が50A,電
機 子 回路 の抵 抗
あ る と き,発 生 トル ク 〔kg・m〕 はい くらか 。
また,界 磁 電 流 を変 えず に負 荷が 減少 して 電 機子 電 流 が25Aに
な った と き,回 転 速
度 〔rpm〕お よび発 生 トル ク 〔kg・m〕 は い くらにな るか。 16.定
格 出力Pr〔kW〕
転 速 度 をnr〔rpm)と τj=2.741×
の直 流電 動 機 の電 機 子 の はず み 車効 果 をGD2〔kg・m2〕,定 す る とき,式(2・49)の GD×nr2
格回
加 速定 数 τjは,
×10-6(s〕
/ Pr
で表 され る こ とを 証明 せ よ。 た だ し,は ず み 車効 果GD2は
実際 面 で し ば し ば 用 い ら〔A〕
れ,慣
17.一
性 モ ー メ ン トjm=
GD2 /4
で あ る。
定 励 磁 の他 励 直 流 電 動機 が あ る。 電機 子 が 静止 して い る とき に,直 流 電 圧100Vを
電 機 子端 子 へ 加 え る と き,電 機 子 の角 速 度 は,
で表 され る とい う。電 機 子 の抵 抗 を1.25Ω
一 定,ま た ブ ラシ の接触 抵 抗 を無 視 す る と
して, (1)電
機 子 の過 渡 電流ia〔A〕 を 表す 式 をつ くれ。
(2)電
機子 軸 の慣性 モ ーメ ン トをJ〔kg・ ㎡ 〕 とす る とき,J
(3)電
機 子 が定 常 速 度 にな った後 に,J に蓄 え られ る回 転 エ ネ ルギ ー 〔J〕を求 め よ。
(4)始
動 電流 を制 限 す るた め に,電 機子 に 直列 に一 定 抵 抗Rs=3.75〔
の値 はい く らか 。
き,始 動 過渡 電 流ia′,お よび 角 速度 ω′,〔rad/s〕 を 表す 式 を つ くれ 。
Ω〕を 加 えた と
第 3章
変
圧
器
変 圧器 は,送 電 網,配 電 網 の中 の至 る所 に あ って電 力 系統 の運用 に重 要 な役 割 を果 して い る。 主 要 送電 線 路 を見 ると,発 電 機 に よ って 得 られ た 三相 電 圧 は3∼20kV(線 が,こ れ を変 圧 器 を通 して60∼500kVに
間 電 圧)で あ る
昇 圧 して,送 電 線 路 の電 圧 にす る。 この よ うに 高
電 圧 に す る こ とに よ り,同 じ送電 電 力 に対 して送電 線 の電 流 を減 らす ことが で き,線 路用 導 体 お よび送 電 損 失 を 減少 させ る。 受 電 端 で は再 び 変 圧 器 に よ り60∼30kVに
下 げ,需 要 地域 に近 い変 電 所 へ 送 る。 さ らに,
第 二,第 三 の変 電 所 を経 る ご とに電 圧 を下 げ,最 終段 階 で は200Vの
動 力 回路 また は100V
の電 燈 回路 と な って 需 要家 に至 る。 変 圧 器 の発 達 は 送 電 線路 の発 達 を促 し,一 方 には 線路 を拡 充 させ るた め に信 頼 され る変圧 器が 要 求 され る とい うよ うに,電 力 系 統 の中 に変 圧 器 は欠 か せ な い。 3・1変
圧 器 の基 本性 質
〔1〕 主 要 な用 語 図3・1は,二
巻 線 変 圧 器 の略 図で,電 源 に結 ばれ る側 を一 次(primary),負
側 を二 次(secondary)と る と き,n1/n2=aを a>1は
い う。 一 次 お よび二 次 コイ ルの巻 数 をそ れ ぞ れn1お 巻 数 比(turn
電 圧 を 下 げ る 変 圧 器,a<1は
ratio)と
荷 に 結ば れ る よびn2と
す
い う。
電 圧 を上 げ る
変 圧 器 で あ る。 二 次 が 無 負 荷 の と き,一
次 に 加 え た 電 圧V1と,
二 次 に 得 られ た 電 圧V2と
の 比 を 変 圧 比(transfor-
mation
ratio)と
い い,こ
れ は ほ ぼ巻 数比 に等 しい 。
図3・1二
巻 線変 圧 器
変 圧 器 に お いて も回転 機 と同様 に指定 され た条 件 の もとで の使 用 限 度 が あ り,こ れ を 定格 (rating)と い う。 使 用 限 度 は 二 次 端子 に得 られ る皮 相 電 力 を いい,こ out-put)ま
たは 容 量(capacity)と
ア)ま た はMVA(メ
い い,VA(ボ
れ を 定格 出力(rated
ル トア ンペ ア),kVA(キ
ロボ ル トア ンペ
グ ボル トア ンペア)で 表す 。 な お,指 定 され た 条件 とは,定 格 出力 時
の 電 圧,電 流,周 波 数,力 率 な どの使 用 限 度 を いい,そ れ ぞれ 定格 電 圧 ,定 格 電 流,定 格 周 波 数 お よび定 格 力率 とい う。 定 格二 次 電 圧 と は,定 格 出力 が 得 られ る二次 電圧 で,こ れは 銘 板に 記 載 され る。定 格 二 次 電 流 は,定 格 二次 電 圧 に お いて定 格 出 力 が得 られ るよ うな二 次電 流 を い う。 定格 一 次 電圧 は,定 格 二 次 電 圧 に巻 数 比 を乗 じた値 を い い,こ れは 定格 出力 時 に一 次 に加 え る電 圧 とは若 干 異 な る。 定格 一 次 電 流 と は,こ の値 と定 格 一 次電 圧 で定 格 出 力 に等 しい 皮 相 電力 とな るよ うな電 流 値 を い う。 変 圧 器 に 関す る主 要 な用 語 は さ らに 多 く定 義 され て い るが,他 の 用語 は後 の項 でそ の 都 度 述 べ る こ とにす る。 〔2〕 等価 回 路(鉄 損 を 無視 す る場合) 図3・1に
おい て,一
お よびL1,L2,一
次 お よび 二 次 コイル の抵 抗 お よび イ ンダ ク タ ンスを それ ぞれR1,R2
次,二 次間 の相互 イ ンダ クタ ンス を M とす る。二 次 端 子 に イ ン ピー ダ ン
ス Z を 結 び,一 次 に角 周 波数 ω=2πfの れI1,I2と
電 圧V1を
加 え た と き,一 次,二 次 電 流 を それ ぞ
す ると,一 次 お よび二 次 閉 回 路 につ い て,そ れ ぞれ式(3・1)お
よび 式(3・2)が
つ
くれ る。 V1=(R1+jωL1)I1-jωMI2
(3・1)
0=(R2+jωL2+Z)I2-jωMI1 た だ し,I1,I2の
正 の 向 き は 図3・2の
(3・2) よ うに き め る も
の とす る。 式(3・1),式(3・2)か が,こ
こ で,L1お
ら等 価 回 路 が つ くれ る の で あ る よ びL2の
一 次 コ イ ル に あ る 電 流i1(交 を 流 し た と き,i1に
内容 を考 えて み る。 流 の 瞬 時 値 ま た は 直 流)
よ る 起 磁 力 はn1i1で,こ
て 生 ず る磁 束 は 相 互 磁束
れによっ
φ1mと 漏 れ 磁 束 φ1lに 分 け ら
図3・2二 巻 線 変 圧 器 の電 圧,電 流 の 正 の 向 きの取 り方(第 1の方 法)
れ る。 相 互 磁 束 は 鉄 心 の 磁 路 を 一 巡 し て 二 次 コ イ ル と も鎖 交 す る 磁 束 で ク タ ン スL1m=n1φ1m/i1を
,φ1mに
よ る イ ンダ
一 次 有 効 イ ンダ クタ ン ス とよぶ こと にす る
。 漏 れ 磁束 は 一 次 コイ
ル の み と 鎖 交 す る磁 束 で
,一
次 コ イ ル の 全 巻 数 と 鎖 交 す る 磁 束 だ け と は 限 ら な い が,φ1lに
よ って 生 ず る 鎖 交 数 を λ1lと す る と き,λ1l/i1=l1を
一 次 漏 れ イ ンダ ク タ ン スと い う
。
同様 に,二次 に あ る電 流i2を 流 した と きの起 磁 力n2i2に よ り生 ず る磁 束 も,相 互 磁束 φ2m と漏 れ 磁束
φ2lと に 分 け ら れ る 。 そ う し て,π2φ2m/i2=L2mを
二 次 有 効 イ ンダ ク タ ン スと よ
ぶ こ と に す る 。 φ2lも 二 次 コ イ ル の 全 巻 数 と 鎖 交 す る と は 限 ら な い が
,φ2lに
よ る二 次 コイ
ル と の 鎖 交 数 を λ2lと し て,λ2l/i2=l2を この よ う に 一 次,二
二 次 漏 れ イ ンダ ク タ ンス と い う。
次 コ イ ル の イ ン ダ ク タ ン ス を 別 け る と,
L1=l1+L1m, と な る 。 そ う し て,こ
L2=l2+L2m
また
れ ら の イ ンダ ク タ ン ス を 用 い る と,式(3・1),式(3・2)は
次 の よ うに
書 き か え ら れ る。 V1=(R1+jωl1)I1+jωL1mI1-jωMI2
}
0=(R2+jωl2+Z)I2+jωL2mI2-jωMI1 こ こ で,I2/a=I1′,I1-I1=I0と
お く と,式(3・3)の
中 で,
jωL1mI1-jωMI2=jωL1mI0+jω(L1mI1′-MI2)
ま た またjωL2mI2-jωMI1=jω(L2mI2-MI1′)-jωMI0 と な る。式(3・4)に お い て,図3・1の
(3・3)
}
鉄 心 を 1周 す る磁 路 の 磁気 抵 抗 を R とす る と, お よび
で あ る か ら,式(3・4)の
(3・4)
(3・5)
う ち で,
(3・6)
と な る 。 式(3・6)の
関 係 は 一 次 お よ び 二 次 の 起 磁 力 η1I1′と η2I2と が 相 殺 し て 零 に な る こ
とを示 す 。 よ っ て,式(3・3)は
次の よ うに な る。
V1=(R1+jx1)I1+jωL1mI0お
よ び0=(R2+jx2+Z)I2-jωMI0
た だ し,x1=ωl1,x2=ωl2で,そ こ こ で,E1=jωL1mI0=一
E2=jωMI0=二 と お く と,V1=(R1+jx1)I1+E1お と 書 け る。 こ こ で,E1とE2の
U(3・7)
れ ぞ れ 一 次 お よ び 二 次 の 漏 れ リア ク タ ンス で あ る。 次逆 起 電 力
次 起電 力
}
よ び0=(R2+jx2+Z)I2-E2
(3・8)
(3・9)
比 を つ く る。
E1=V1-(R1+jx1)I1,E2=(R2+jx2+Z)I2
または
(3・10)
式(3・10)か
らI1′
を消 去す る。
と な る 。 こ れ を 整 理 して,
(3・11)
を 得 る。 式(3・11)は,図3・3(a)の 3・1の
等 価 回 路 で あ らわ せ る こ とは 明 らか で あ る。 す な わ ち,図
二 巻 線変 圧 器 は,一
次 か らみ れ ば 図3・3(a)の
よ うな回 路 にお きかえ る ことが で き
る。 この図 で は,相 互 イ ンダ ク タ ンスM が な い直並 列 回 路 に な って い るか ら,計 算 が や や簡 単 に な る。 なお,図3・3(a)の ー ダ ンスを1/a2に
回路 の す べ ての 部分 の電 圧 を1/aに,電
すると
,図3・3(b)に
同図(a)と(b)は,電
流 を a倍 に,イ ン ピ
な る。 この 回路 を二次 か ら見た 等価 回 路 とい う。
圧,電 流 は 異 な るが,対 応 部 分 の有 効 電力,無 効電 力,皮 相 電 力は 両
者 全 く同 じで あ る。
(a)一
次か ら見 た回 路(b)二 図3・3変
次 か ら見 た回 路 圧 器 の 等価 回路(鉄
損 を無 視)
〔3〕 ベ ク トル 図 変 圧 器 の ベ ク トル 図 は,起
電 力 や 電流 の正 の
向 き の 取 り方 に よ っ て 異 な っ た 形 に な る が,図 3・2の
よ う にV1,V2,E1,E2,I1,I2の
き を 選 ぶ と き は,一 式(3・9)が
正の向
次 お よび二 次 回路 につ い て
成 立 す る。 そ う し て,E1=jωL1mI0,
E2=jωMI0と
し た か ら,E1,E2はI0よ
り90゜ 図3・4変
位 相が 進 む 。
圧 器 の ベ ク トル 図(図3・2 の正 の 向 き参 照)
ま た,I0に
よ って 生 ず る 主 磁 束 を φ0と す れ ば,I0
と φ0と は 同 相 で あ り,ベ
ク トル 図 は 図3・4の
よ うに な
正 の 向 き を 図3・5の
よ うに と
る。 こ れ に 対 し,E1,E2,I2の
る方 法 も あ る 。 こ れ は,I1もI2も
鉄 心 に 対 し 同 じ向 き の
磁 束 を つ く る よ う に 正 の 向 き を き め,E1,E2の I1,I2の
正 の 向 きを
図3・5各
量 の正 の 向 きの 取 り方 (第 2の方 法)
そ れ と 同 じ 向 き に 決 め る方 法 で あ る 。
図3・5の
場 合 は,式(3・1)以
下 が 少 し 異 な っ た 形 に な る 。 式(3・1),式(3・2)は,
V1=(R1+jωL1)I1+jωMI2(3・1′)
0=(R2+jωL2+Z)I2+jωMI1(3・2′) 式(3・3)は, V1=(R1+jx1)I1+jωL1mI1+jωMI2
そ う し て,-I2/a=I1′,
(3・3′)
}
0=(R2+jx2+Z)I2+jωL2mI2+jωMI1 I1-I1′=I0
とお く と, jωL1mI1+jωMI2=jωL1mI0+jω(L1mI1′+MI2) jωL2mI2+jωMI1=jω(L2mI2+MI1′)+jωMI0 と な る が,L1mI1′+MI2=0お
よ びL2mI2+MI1′=0で
}
(3・4′)
あ る か ら,式(3・3′)は,
V1=(Ri+jx1)I1+jωL1mI0
}
0=(R2+jx2+Z)I2+jωMI0
(3・7′)
そ う し て, E1=-jωL1mI0,E2=-jωMI0
(3・8′)
と お けば,
V1+E1=(R1+jx1)I1 E2=(R2+jx2+Z)I2
}
(3・9′)
と な る。 よ っ て
(3・10′)
と な る 。 こ れ は 式(3・10)に 3・3(a)と
等 し く,以
下 は 式(3・10)以
降 と 同 じよ う に 書 き 換 え れ ば,図
同 じ等 価 回 路 が つ くれ る 。
しか し,ベ
ク トル図 は,I0
の ベ ク トル を 図3・4と
同 じ
向 き に と れ ば,図3・6の うに な る。 図3・4と
よ
図3・6
の二 つ の ベ ク トル 図 の いず れ が便 利 か を比 べ る と,変 圧 器 単独 使 用 時 の 問題 を 考 え るに は大 差 は な い が,何 台 も組 み
図3・6変
圧 器 のベ ク トル 図(図3・5の
正 の 向 きの取 り方 参 照)
合 わせ て 多相 結 線 を した り,並 列結 線 をす る場合 の 扱 い には 図3・4が 〔4〕 鉄
損
鉄 損 に は,ヒ 前 者 は,鉄
考 えや す い。
ス テ リ シ ス 損(hysteresis
心 が 磁 気 ヒス テ リシ ス(磁
loss)と う ず 電 流 損(eddy 気 履 歴 現 象)を
current
loss)と が あ る。
呈 す る 磁 化 特 性 に よ り,後
者 は 鉄心 内
に 生 ず る う ず 電 流 に よ る ジ ュー ル 熱 と な る 損 失 で あ る 。
(1) ヒ ステ リ シス損 図3・7 (a)の よ うに,鉄 心 に コ イル を巻 い た モ デ ル を考 え る。 この コイル に電 流 iを流 し,こ れ を次 第 に増 す とす れ ば,起 磁 力niに
よ って鉄 心 内 に
磁 束 φ を生 じ,i を増 加 す れば 鎖交 数 πφ も増 し,起 電 力e=dnφ/dtが
(a)磁 化
iと逆 の 向 きに生 ず る。 この eに 抗 して さ らに iを 流 し続 け る と き, e×iの
パ ワ ー が 必 要 で,こ
(b)ヒ ス テ リ シ ス ル ー プ 図3・7
れ は 電 源 か ら コ イ ル へ 送 られ る 。 そ う し て,時
れ た エ ネ ル ギ ー は,
で あ る。 図3・7の
ヒス テ リシス損
磁 化 特 性 に お い て,φ
を 0か ら0cま
で 増 す に は,
間dtの
間 に送 ら
〓nidφ=面
積0abc
の エ ネ ル ギー が 必 要 で あ る。 次 に,b か ら逆 に 磁束 を減 らし d点 に も ど った と きは,面 dbcだ
積
けが電 源 へ 返 さ れ,結 局 aか らbを経 て dに至 る間 に電 源 か ら鉄 心 へ送 られた エ ネル
ギ ー は0abdで
往 と復 の磁 化特 性 曲線 内 の面 積 で あ る。 磁化 がniの
逆 の 向 きの 破線 部 分 ま
で行 わ れ 1サ イ クルを した とす れ ば,こ の間 に磁 化特 性 曲線 内 の面 積 に相 当す る エネ ル ギー が電 源 へ も ど らな い。す なわ ち,鉄 心 内 に消 費 され る。 これ が ヒステ リ シス損 で あ る。 しか し,こ の 磁 化 の変 化 の 周 波数 が高 くな る と鉄 心 内 に うず 電 流 を生 じ,ヒ ス テ リシ スル ー プ内 の面 積 は ヒステ リシ ス損 とうず 電流 損 の和 に な る。 一方,コ
イル に商 用 周波 の 電 圧 を加 えた 場 合 を考 え ると,図3・8(a)の
よ うに,正 弦 波
電 圧 に対 し,ひ ず み波 の電 流 が 流 れ る。 図(a)は 仮 定 した ヒステ リシス ル ープ で あ るが,こ の よ うな特 性 を もつ 鉄 心 に コ イル を巻 き,同 図(b)の υの よ うな 正弦 波電 圧 を 加 え る と,υ
(b)励磁 電流 の ひず み
(a)磁化 特性
(c)
図3・8鉄
心 の 磁化 特 性 と励 磁 電流 の ひず み
に等 しい 波 形 の逆 起電 力 eを生 じな けれ ば な らず,こ のた め には eよ り90゚遅 れ た正 弦波 磁 束φを生 じな けれ ば な らない 。 この φを生 ず るた めの電 流 iは,図 の よ うに作 図 す る ことに よって,ひ ず み波 電 流 で な けれ ば な らな い。 この作 図 で は,υ,e,φ,iの ピー ク値 を 1と してい るが,i の波 形 か ら基 本波 分 を求 め,さ らに電 流 の υと 同相 の成 分 を 求 め る と,そ の ピー ク値 は0.166と
な る。 これ が ヒステ リシ ス
損に な る有 効電 流 であ る。 も し 磁 化 特 性 が 飽和 して い るだ けで ヒス テ リシス が ない場 合 に は,電 流 波 形 は ひず み 波 と な るが,i の υに対 す る同相 の成 分 を生 じな い。 同 図(c)は,小 形変圧 器 の 励磁 電 流 を シ ンク ロス コ ープ の画 面 か ら トレース した もの で あ る。 P.スタイ ンメ ッ ツ(Steinmetz)に
よれ ば,単 位 重 量 当た りの ヒス テ リシス 損は,
(3・12)
pη=ηfBm1.6 で 与 え ら れ る と い う。 こ こ に,f (テ ス ラ)〕,η 1.0∼1.4と
は 周波 数
〔Hz〕,Bmは
最 大 磁束 密 度
は 鉄 心 材 料 に よ っ て き ま る係 数 で あ る 。 し か し,変
い う 値 に な る と,ほ
ぼph∞Bm2に
指 数 が 変 わ り,ヒ
〔Wb/㎡
圧 器 鉄 心 の よ う にBmが ス テ リ シ ス 損 は,
(3・13)
ph0=σhfB2m×10-2〔W/kg〕
で 与 え られ,σhは
また は T
変圧 器 用 鋼板 では 2∼ 3程 度 の値 とな る。
(2) うず電 流 損 変 圧 器 鉄心 は厚 さ0.30∼0.35mmの して(積 み 重 ねて)つ
うす い鋼 板 ま た は鋼帯 を成 層
くるが,そ の うす い板 内 に生 じた 起電 力 の た め に う ず 電 流 を 生 じ,
ジ ュール 熱 と な り,う ず電 流 損 とな る。 い ま、 図3・9の
よ うな 厚 さd〔m〕,幅b〔m〕,奥
行1mの
薄鋼
板 を考 え,こ れ に紙 面 の手 前 に 向か う磁束(〓 印)が 通 され,こ の 磁 束 が 増加 中で あ る とす ると き,厚 厚 さdxで
さdの 中心 か らx〔m〕
の所 に微 小
つ く られ る破 線 のよ うなル ー プを考 え る。
この ル ー プ内 で,最 〔Hz〕の速 さで+Bmか
大 磁 束 密 度Bm〔Wb/㎡ ら-Bmま
の内 側 の磁 束 は,1/2f〔s〕
〕 の磁 束 が 周波 数f
で変 化 す るとす れ ば,破 線 の回 路
の 間 に2Bm×(2x×b)〔Wb〕
だ け変 化 す
るの で,破 線 ル ー プに生 ず る起電 力 の 実効 値 は, 4Bmkf×(2bx)〔V〕 と な る。 こ こ に,k 一 方 ,こ
は 波形 率 で あ る。
の ル ー プ の 抵 抗 は 抵 抗 率 を ρ 〔Ω・m〕
ル ー プ 内 の ジ ュ ー ル 熱 に よ る パ ワ ー は, {4Bmkf×(2bx)}2/(2bρ/dx)〔W〕
図3・9 と す る と,ρ
×2b/(1×dx)〔
うず電 流
Ω 〕 で あ り,
で あ る。 よ っ て,厚
さ d,幅
b,奥
行1m内
の ジ ュ 一 ル 熱 に よ るパ ワ ー(う
ず 電 流 損)は,
で あ る。 これ を 単位 体 積 当 た りの 値 にす れ ば,
さ ら に,鋼
板1kg当
た り の うず 電 流 損 に し て,こ
た だ し,γ は 鋼 板 の 密 度 〔g/cm3〕,d´
はmmで
れ をpe0〔W/kg〕
とす れ ば,
あ ら わ し た 鋼 板 の 厚 さ,σeは
で,う ず 電流 損 係 数 で あ る。 この値 は,変 圧 器用 鋼 板 で は 5∼15で あ る。 (3)鉄 い い,こ
損
前 記 の ヒ ス テ リシ ス 損ph0と
れ をPi0と
う ず 電 流 損pe0の
和 を 鉄 損(iron
loss)と
す れ ば,
(3・14) よ っ て,あ
る変 圧 器 にGi〔kg〕
の 鉄 心 が 用 い て あ れ ば,そ
の 変 圧 器 の 鉄 損Piは,
pi=pi0×Gi〔W〕 と な る 。 一 方,式(3・8)のE1
は,
E1=ωL1mI0
で あ り,励 磁 電流I0の n12/〓
波 形 ひず みを無 視 すれ ば,√2I0=励
磁 電 流 の最 大 値 で,ま たL1m=
で あ る か ら,
(3・15) と書 け る。 こ こ に,k=π/(2√2)は 〔㎡ 〕 と す れ ば,φmax=Si×Bm〔Wb〕
で あ り,
正 弦 波 の 波 形 率 で あ る。 そ う し て,鉄 で あ る か ら,
心 の 断 面 積 をS〓
(3・16) と な る 。 式(3・16)のE12以
外 の 項 を 一 括 し て1/Riと
お け ば,
E12 /Ri
pi=
(3・17)
とな るか ら,こ のRiを
等 価 回路 へ 加 え て鉄 損 を 考慮 した回 路 を つ くる ことが で き る。
〔5〕 鉄 損 を考 慮 した等 価 回路 鉄 損 は,1kg当 比 例 し,う E12に
た り で は 式(3・14)の
ず 電 流 損 はf2に
比 例 し,ヒ
比 例 す る。 ま た,全
に 比 例 し,ま
た ヒ ス テ リシ ス 損 は f に
鉄 損 を 与 え る 式(3・16)に
よ れ ば,Piは
ス テ リシ ス 損 は f に 反 比 例 す る 形 に な っ て い る 。 変 圧 器 は 一 般 に f とV1
を 一 定 と し て 使 用 し,E1はV1に か ら,一
よ う にB㎡
ほぼ等 しい
般 に は鉄 損 は一 定 とみ る こ とが で き
る 。 よ っ て,図3・10の ン ス ωL1m=Xmと
よ う に 励 磁 リア ク タ 並 列 にRi=E12/Piを
入 図3・10鉄
れ て鉄 損 を 代 表 させ る ことが で き る。 Ri,Xmの
電 流 を そ れ ぞ れI0w=E1/Ri,I0m=E1/jXmと
損 を 考慮 した等 価 回路
お き,
(3・18) と し て,こ
の Y を 励 磁 ア ドミ タ ン ス と い い,g
ス と い う 。 た だ し,g=1/Ri,b=1/Xmで
を励 磁 サ セ プ タ ン
あ る。
g,b は 一 般 に 小 さ く,│I0│は│I1′│に 子 へ 移 し て も大 き な 誤 差 に な ら ず,計
図3・11の
を 励 磁 コ ン ダ ク タ ン ス,b
比 べ て 小 さ い の で,図3・11の
ように Y を 電 源端
算 は 著 し く簡 単 に な る 。
回路 お よ び これ を 二 次 に換 算 した 図3・12の
回 路 は,い ず れ も特 性計 算 に広 く
用 い られ る。
図3・11簡
易化 等 価 回路(一
次換 算)
図3・12簡
易 化 等価 回路(二 次 換 算)
〔6〕 無 負 荷損 と負 荷 損 変 圧 器 の損 失 は,無 負 荷 で も生 ず る無負 荷 損(no-load る負 荷損(load
loss)と に分 け られ,さ
loss)と,負
らに負 荷 損 は,コ
荷 の 変 化 に応 じて変 わ
イル の直 流 抵 抗 に よる抵 抗 損 と,
導 線 内や 鉄 心 お さ え板 や そ れ を締 め る ボル ト等 の部 分 を通 る漏 れ磁 束 が 交 番 す る こと に よ っ て生 ず る起 電 力 のた めに,そ れ らの 中 に流 れ る うず 電 流 に よ る ジ ュー ル熱 とな る漂遊 負 荷 損 (stray-load loss)と に分 け られ る。 (1)無
負 荷損
無 負 荷 損 の大 部 分 は 鉄 損 で あ り,こ れ に無 負荷 電 流 に よ る一 次 コ イル
の抵 抗 損 や,絶 縁 物 中 の 誘 電体 損 な どが 加 わ った もの で あ る。 一 次 に加 え る電 圧 の 値 や,そ の周 波数 な どに よ って 変 わ るが,定 格 電 圧,定 格 周 波 数一 定 の もと で使 用 す る場合 は,無 負 荷 損 は一 定 とみ る こ とが で き る。 また,こ の 損失 は 負 荷 時 に も無負 荷 時 の 値 が そ の ま ま生 じ て い る と み られ る。 無 負 荷 損 の測 定 は,一 方 の巻 線 の端子 を開 放 して無 負 荷 と し,他 方 の巻 線 端子 か ら定 格 周 波 数 の定 格 電圧 を加 え て 測 る。 この試 験 を無 負 荷 試験 と い う。 (2)負
荷損
す る 値 は,巻
負 荷 損 の う ち 抵 抗 損 は,pc=I12R1+I22R2で
線 材 料(ほ
と ん ど の 変 圧 器 は 銅 で あ る)の
れ ぞ れ ρ 〔Ω ・cm〕,S〔m㎡ 1・5節 が20℃
で 述 べ た よ う に,銅 に お い て0.00393で
〕,lc〔m〕
表 さ れ,抵
抵 抗 率,導
線 断 面 積,導
と す る と き, R=ρlc×104/S〔
の ρ は20℃ あ る か ら,巻
に お い て1.72×10-6で
抗 の直 流 に 対 線 長 さを そ
Ω〕 で 表 され る。 あ り,銅
の 抵 抗 温 度係 数
線 温 度t〔 ℃ 〕 に お け る直 流 抵 抗 は,
Rt=1.72×10-2×{1+0.00393(t-20)}×
lc/ S
〔Ω 〕
で表 され る。 交 流 に 対 す る抵 抗 は,鋼 線 内 に生 ず る うず 電 流,交 流 に よ る電 流 の 偏 よ り(表 皮 効 果)な ど に よ り,直 流 に 対 す る抵 抗 よ り10∼25%増
す 。 この増 加 の程 度 は,交 流 の周 波 数,導 線
断 面 積,巻 線配 置な ど に よ って 異 な り,断 面 積 の 大 き い ほ ど増 加 は 大 き くな り,細 い線 を 並 列 に用 い た り,導 線 の鉄 心 に対 す る位 置 の転 位 な ど に よ って 増加 を 防 ぐよ うに して い る。 負 荷 損 の 測定 は,一 方 の巻 線 端 子 を 短 絡 し,他 方 の巻 線 か ら定 格 周 波 数 の低 電 圧 を加 え, 電 流 が定 格 値 に な った とき の入 力 を測 る。 これ が 負 荷 損 で,イ
ン ピ ーダ ンス ワ ッ トと もい
い,加 え て いた 電 圧 を,そ の側 での イ ン ピーダ ン ス電 圧 とい う。 な お,こ の試 験 を短 絡 試 験 と い う。 負 荷 損 を 測 る と と き の 巻 線 温 度 をt〔 ℃ 〕,イ ン ピ ー ダ ンス ワ ッ トをPlrと plγ=Iγ2Rtを
漂 遊 負 荷 損 と い う。 た だ し,Iγ
す る と き,Ps=
は 電 圧 を 加 え た 側 の 巻 線 の 定 格 電 流,Rtは
そ の側 に換 算 した 一 次,二 次 巻 線 の直 流 抵抗 の 和で あ る。 規 約 効 率 の 計 算 に は,基 温 度 を115℃
準巻 線 温 度75℃(た
だ し,F,H
種 絶縁 変 圧 器 で は,基
準巻 線
とす る。)に お け る 抵 抗 損 お よび 漂 遊負 荷 損 を 用 い る ことに な って い るの で,
つ ぎの式 で,75℃
に お け る負荷 損 を 求 め る。
(3・19) この式 の 第 1項 が75℃
に お け る抵 抗 損,第
2項 は75℃
にお け る漂 遊 負 荷 損 で あ る。 第 2
項 の 温度 換 算 の 形 が,第
1項 の 形 と逆 に な って い るの は,漂 遊 負荷 損 が そ れ を生 ず る部分 の
抵 抗 に反 比 例 す る と見 られ るか らで あ る。 (3)無
負 荷 損 お よび負 荷 損 測 定 例
kV,60Hzの (a)一
次 お よ び 巻 線 抵 抗R1=2.99〔
(b)無
負荷 試 験
入 力pn=2520〔 (c)短 格 電 流),イ
単 相,500kVA,一
次 電 圧20kV,二
次 電圧3.45
変 圧 器 を温 度8℃ の と き測 って,つ ぎの 値 を得 た 。 Ω 〕,R2=0.0705〔
二 次 側 か ら3.45kV,60Hzの
Ω〕
電 圧 を 加 え た と き の 電 流I0=4.32〔
A〕,
W 〕
絡試験
一 次 側 か ら 電 圧1190Vを
ン ピー ダ ン ス ワ ッ ト3630〔
加 え た と き の 短 絡 電 流Is=25〔
A 〕=Ir(定
W〕
これ らの 測定 値 か ら75℃ に お け る負荷 損 を次 の よ うに して求 め る。 一 次 に 換 算 した巻 線 抵 抗 は
,8℃
に お いて,
75℃ に お け る巻 線 抵 抗 は,
よ って,75℃
に お け る抵 抗 損 は,
Iγ2×Rt(75℃)=252×6.84=4275(W)
で あ る。 一 方,8℃
の と き の漂 遊負 荷 損 は,
plγ-Iγ2Rt=3630-252×5.36=280(W)
これ を75℃ に 換 算 す ると,
よ って,こ の 変圧 器 の効 率 計算 に用 い る抵 抗 損 は4275〔 W 〕,漂 遊 負荷 損 は220〔 W 〕 で あ る。
なお,無 負 荷 損 は温 度 換 算 を しな い。 〔7〕 効
率
変 圧 器 の 効 率 は,つ ぎの条 件 の下 で決 め られ る。 ①
電 圧,電 流 お よび 周波 数 は,そ れ ぞ れ の定 格 値
②
出力 は,特 に 指 定 され ない 限 り定 格 出 力
③
負 荷 の力 率 は,特 に指 定 され ない 限 り100%
④
温 度75℃
にお け る損 失 に よ って効 率 を求 め る。 部分 負荷(定 格 出力 以 下 の負 荷)に お
け る効 率 を求 め ると き に も,基 準 巻 線 温 度 に お け る損失 値 を 用 い る。 ⑤
電 圧,電 流 波 形 は正 弦 波
これ らの条 件 は,JEC規 ま た は 図3・12の
格 〔JEC-168(1966)〕 に示 された もの で あ るが,効 率 を図3・11
等価 回路 か ら考 え る と きは,無 負 荷 損 はRiに
よ って 代 表 され,負 荷 損 は
漂 遊 負 荷 損 も含 め て基 準巻 線 温度 にお け る抵 抗 Rに よ って代 表 させ る と思 え ば よ い。 こ こで は,出 力 が変 わ る場 合 お よ び負 荷 の力 率cosψ
も任 意 の 値 の場 合 につ いて 効 率 を 階
えて み る。 図3・12に で あ る か ら,効
お い て,出
力 はV2I2cosψ,無
負 荷 損 はpn=(V1/a)2/R1′,負
荷 損 はpl=I22R′
率 η は,
(3・20)
で 表 され る。電 力用 変 圧 器 は,一
次 に加 え る電 圧 の値 は 常 に一 定 に保 たれ,I2は
需要 家側
か ら きめ られ る値 に な るの で,常 に変 化 して い るか ら,I2の 変 化 と効 率 の 変化 との 関係 を考 え て み る。 式(3・20)の
形 を 見 る と,pn/I2=I2R′
ま た はpn=I22R′,す
な わ ち 無 負 荷 損=負
な る よ うな 負 荷 に お いて 効 率 は最 高 に な る。 そ の最 高 値 は, れ を 式(3・20)へ
荷損 と
と お き,こ
代 入 し て,
(3・21) とな る。 図3・13に
定 格 出力,力 率100%に
電 力 用 変 圧 器 で は 無負 荷 損pnと
おい て の効 率 の値 を示 す 。
定 格 出 力 時 の 負 荷 損plγ
と の比 は0.3∼0.5で
従 って 効 率 が最 高 に な る負 荷 は定 格 出 力 の √0.3∼ √0.5≒0.55∼0.7で
あ り,
あ る。 これ は,さ
きに も述 べ た よ うに,負 荷 が常 に 変 化 して い るか ら,定 格 出力 で効 率 が 最高 に な るよ うな損 失 配 分 に して お くと,あ る使 用 期 間 を 通 じて の平 均 の効 率 が 悪 くな るか らで あ る。
こ の た め に 全 日効 率(all て,一
(a)変
圧 器 の効 率(単
相油 入 自冷 式50Hz)
(b)変
圧 器 の効 率(三
相油 入 自冷 式50Hz)
図3・13
率
day
efficiency)と
効
の
値
い う 考 え 方 が あ る 。 こ れ は,あ
る変 圧器 につ い
日を 通 じ て の 出 力 電 力 量 と入 力 電 力 量 の 比 を と っ た も の で あ る。 こ こ で,二 次 定 格 電 流
をI2rと =mProosψ
し,I2/I2r=mと ,ま
お く と,あ
た 負 荷 損 はPl=I22R′=(mI2γ)2R′=m2I2γ2R′=m2plγ
は, mPγcosψ/
η=
る任 意 負 荷 電 流 に お け る 出 力 はV2I2cosψ=mV2I2γcosψ
mPγcosψ+pn+m2plγ
と 書 け る か ら,効
率
と書 け る。 た だ し,Prは 全 日効 率 は,一
変 圧 器 の定 格 容 量,plrは
日の うち あ る負 荷 割 合m1の
定 格 出力 時 の負 荷 損 であ る。
状 態 がt1時
間,m2の
状 態 がt2時 間 … … 続
い た とす る と,一 日24時 間 につ いて,
全 日効率
(3・22)
とな る。 〔8〕 電圧 変動 率 変 圧 器 の 電 圧 変 動 率(voltage 状 態,す
な わ ち 定 格 出力Prが
regulation)と は,二
得 られ るよ うな 一 次 電 圧 を加 え,こ
で,二 次 負 荷 を 零 に した と きの 二 次電 圧 がV2nに v2n-v2r
ε=
次 に定 格 電 圧V2r,定
格 電 流I2rの
の 一 次電 圧 を 変 え ない
な った とす る と き,
×100〔%〕
/ V2r
(3・23)
で与 え られ る値 を い う。負 荷 の 力 率cosψ は,指 定 値 が あ れ ば そ の力 率 にお け る値 を,な け れ ばcosψ=1.0お
よびcosψ=0.8(遅
相)に お け る
値 を求 め る。 また,温 度 は基 準 巻 線温 度 とす る。 電 圧 変 動 率 は 実 測 に よ って 求 め るこ とは 困難 で あ り,等 価 回 路 か ら計 算 で求 め る。 図3・12の 路 に お いて は,励
磁 ア ドミタ ンス Y を電 源端 子 に
移 して あ るか ら,Y る 。 図3・12の
と な る が,こ
等価回
図3・14電
は 電 圧変 動 率 に は 無 関 係 で あ
ベ ク トル 図 は,図3・14の
圧 変 動 率 の算 定
よ う に な る か ら,
こ で, R′I2r/
=qr=抵
抗 電 圧 率,
V2r
と お くと(こ のqr,qxを100倍 電 圧 と い う。)
x′I2r/
=qx=漏
れ リア ク タ ン ス 電 圧 率
(3・24)
V2r
した値 をそ れ ぞ れ%抵 抗 電 圧,お
よ び%漏 れ リア ク タ ンス
(3・25) と な る が,こ
こ で, qrcosψ+qxsinψ=G,qxcosψ-qrsinψ=H
とお くと,G,H
は いず れ も 1に 比べ て非 常 に小 さ いか ら,式(3・25)は
つ ぎ の よ う な近 似式
に つ くれ る。
(3・26) 式(3・26)は
εの 計 算 に広 く用 い られ,さ
ε
らに近 似 し た形 と して,な
=qrcosψ+qxsinψ
ら
(3・27)
/100
を用 いて も よい{JEC-168(1966)}。 qr,qxの
決定 は,つ
ぎの よ うに して 行 う。
短 絡 試験 にお いて,電
圧 を加 え た 側 で の イ ン ピーダ ンス電 圧 を νr,そ の 側 の定 格 電 流 を
Ir,入 力 をplrと
し,こ こで は一 次 か ら電 圧 を加 え ,二 次 を 短 絡 して 短 絡 試験 を行 った とす
れ ば,図3・11に
お い て励 磁 ア ドミタ ンス を無 視 して, 試 験 時 の温 度t〔 ℃ 〕 にお い て の イ ン ピー ダ ンス電 圧 漏 れ リア ク タ ンス電 圧
つ ぎ に,plrを
式(3・19)に
一 次 の 定 格 電 圧 をVrと
qr=
よ っ て75℃ して
,75℃
に お け る 値plr(75℃)に
換 算 す る。
に お け る 抵 抗 電 圧 率qrは,
plr(75℃)
/ VrIr
お よ び,漏 れ リア ク タ ンス電 圧 率qxは,
(3・28)
qx=x
Ir
と して決 あ る。 な お,qr,qxは
3・2三
(3・29)
/ Vr 上 式 を100倍 して 百分 率 で表 す こと も多い 。
相 お よび並 列 結線
変 圧器 に よ って 三 相 電 圧 を変 え るに は,単
相変 圧 器 を 組 み 合 わ せ て 三 相 結 線 を行 う。 な
お,三 相 分 を一 台 に 収容 し た三 相 変圧 器 も広 く用 い られ る。 また,変 圧器 は並 列 に 結線 して 使 用 す る こ と もあ る。 これ らは い ず れ も変 圧器 を組 み合 わせ て 使 用 す るの で,単 独使 用 で は 多 くの場 合 問題 に しな い で済 む 極 性 につ いて まず 承 知 し て お く必 要 が あ る。 〔1〕 極
性
変 圧 器 の極 性(polarity)と は,一 次 に加 え た電 圧 の位 相 に対 し て 二 次 に生 ず る電 圧 の位 相 の関 係 を示 す 区別 で あ る。 図3・15の 周 期)に,二
よ うに,一 次 に加 え た電 圧 が 上 向 き であ る期間(1/2 次 上 向 き,下 向 き のい ず れ の電 圧 を生 ず るか は,巻
図
線 の 鉄 心 に 対 す る 巻 き 方 お よ び 端 子 の 出 し 方 に よ っ て き ま る が,二 向 き に な る よ う に な っ て い る の が 標 準 で,こ
図3・16極
性
記
polarity)と
(c)減極 性 の 記 号
(d)三 相変圧器の極性記号 号
性
次電 圧 が 一 次 電 圧 と同 じ
れ を 減 極 性(subtractive
(b)減極 性 の記 号
(a)減極 性 の記号
3 ・15極
い い,変
圧 器 ごと に極 性 記 号 がつ けて あ る。 極 性 記 号 は,単 相 変圧 器 では 図3・16(a)の 低 い 側 の巻 線 端 子 にu,vを
よ うに,電 圧 が高 い側 の巻 線 端 子 にU,V,
用 い,U の 位 置 は高 電 圧 側 か らみて 右 と決 め られ て い る。 減 極
性 の 場 合 は,U と uお よびV と vを 同 じ側 につ け る。 な お,U,Vを (b),(c)の
よ うに,+,-の
記 号 を用 いた もの もあ る。 三 相変 圧 器 で は,同 図(d)の よ うに
高 電 圧 側 に右 か らU,V,W,低
電 圧側 にu,v,wの
減 極 とい う意 味 は,図3・17の え,二 次 にV2を
用 い る代 わ りに,同 図
記 号 を つ け る。
よ うに,一 次 に 電 圧V1を
加
生 じさせ,図 の よ うに導 線 で一 次,二 次 の 片
側 を結 ぶ とき,他 側 の 一 次,二 次 端 子 間 に生 ず る電 圧 がV1,V2 の 差 とな るよ うな極 性 と い う こ とで あ り,二 次 電 圧 の一 次 に 対 す る向 きが逆 な らV1,V2の
和 と な り,こ れ を加 極 性(additive
polarity)と い うが,加 極 性 の変 圧 器 は ほ とん ど造 られ な い。 以 下,三 相 結 線 や 並 列結 線 を考 え るが,各 変 圧 器 はす べ て 減 図3・17極
性 試験
極 性 とす る。 〔2〕 三 相 結 線 電 力 系統 に は至 る所 に三 相 に 結線 され た 変 圧 器群 が あ るが,三 相 結 線法 に は星 形 結線(〓) と三 角 結 線(△)と が あ り,各 相 に は一 次 と二 次 とが あ るか ら,つ ぎの よ うな各 種 組 み合 わせ が で き る。 表3・1三
相
結
線
な お,三 相 結 線 をす る三 台 の変 圧 器 の 定格 お よ び イ ン ピー ダ ンス等 は,す べ て等 しい こ と が 望 ま しい。 (1)△-△
結線
巻 数 比 が い ずれ も aの 変圧 器 三 台 を 図3・18の
よ うに結 ぶ方 式 で あ
る。結 線 図の 表 し方 は一 通 りで は な いが,こ の 図の よ うに画 く場 合 は,各 変 圧器 の一 次,二 次 巻線 は離 れ て 図 示 され て も並行 の もの が 一つ の対 を なす よ うに 画 く。 一 次 に加 え た三 相 電 圧 と二 次 に 得 られ る三 相 電圧 の ベ ク トル 関係 は 同図(b)の よ うに な り,二 次 電圧 は大 き さは 一 次電 圧 の1/aに
な るが
,位 相 は一 次,二
次 同 じに な る。 この ことを 角変 位 0 とい う。 な
(a)結
線
(b)ベク トル 図
図
図3・18△-△
お,こ の 結 線 を 略号 ではDd0と
結 線(V1>V2の
場 合)
書 く。
大 文 字 Dは 高 電圧 側 が△ 結 線,小 文 字 dは低 電 圧 側 が△ 結 線 で あ り,0 は角 変 位 が 0゚であ る こと を示 す 。 Dd0結
線 にお け る一 次,二
次 の 電 圧,電
流 の 大 き さの 関 係 は,図
る。 そ うして,変 圧 器 群 と して の容 量 √3V1I1=t√3V2I2は
中 に記 入 した よ う に な
変 圧 器 1台 の容 量 の 3倍 に な
る。 (2)△-〓
結線
図3・19(a)は
に得 られ る電圧V2はV1/a×
√3と
量 の 3倍 とな る こと は,△-△
この結 線 図 を示 す もの で,巻 数 比 が aの 場 合,二 次 な る。 群 容 量 は √3V1I1=√3V2I2で,各
変 圧 器 の容
結線
の場 合 と同 じで あ る。 同 図(b)は 一 次 お よび 二 次電 圧の ベ ク トル 図で, この 結 線 で は 二 次電 圧 が一 次 電 圧 よ り30゚位 相 が進 む。 この こと を角 変 位30゚と
(a)結
線
図
い った が,JEC-168(1966)
の規 格 か ら,つ ぎの よ うな表 し方 が 定 め られ た。 角 変 位 は,電 圧 の 高 い ほ うの巻 線 の電 圧 ベ ク トル を時 計 の分 針(長 針) と み な し,電 圧 の低 い ほ うの巻 線 の
(c)角変 位 の 判 定 (b)ベク トル 図 図3・19△-〓
電 圧 ベ ク トル を時 針(短 針)と み な した 場 合,長 針 が12時
結 線(V1>v2の
場 合)
の位 置 に な る よ うに した場 合 の短
針 の 示 す 数 字 を角 変 位 時 数 と い う。 同 図(c)の よ うに時 計 を 画 い て,一 次 の U と中点 お よび 二 次 の uと 中点 とを結 ぶ電 圧 ベ ク トル を そ れぞ れ 時 計 の長 針 お よ び短 針 に合 ね せ,長 針 を12 時 に す る と短 針 は11を 指 す ので,角 され る。
変 位 時 数 は11,よ
って この結 線 の略 号 はDy11と
表
(3)〓-△
結線
図3・16が
〓-△ 結 線 で,こ の結 線 で は一 次 電圧V1,巻
き,二 次 に 得 られ る 三相 電圧V2はV1/(√3a)で ル 図 か ら 1(時)で あ り,略 号 ではYd1と (4)V-V結
線
数 比 aの と
あ る。 角変 位 時 数 は,同 図(b)の ベ ク ト
な る。
この 結線 は単 に V結 線 と もい い,△-△
結 線 の 一 台が 故 障 した場 合,
十 分 な 空 間 が な い所 で 二 台 だ けで 三相 変 圧 を 行 う場 合 に用 い られ る。 結 線 図 お よび ベ ク トル 図 を 図3・20に
示 す 。 この結 線 で は,ベ ク トル 図 で わか る よ うに 角変 位 は 0で あ る。
(a)結
線
(b)ベク トル 図
図 図3・20
V
ま た,変 圧 器 巻 線,外 部線 路 と もに 同 じ電 流,電 =√3V2I2と
な るの に 対 し,変
で は な く,元
の
線
圧 と な るの で,負 荷 の 容 量が √3V1I1
圧器 容 量 の 和 は2V1I1と
量/(変 圧 器 2台 の容 量)=√3/2=0.866と す な わ ち,△-△
結
な り,利 用 率が 悪 くな り,群 容
な る。
結 線 の一 台 が 故 障 して V結 線 に し た場 合 は,群
√3VI/=l/√3に
容 量 は 元 の2/3に な る の
減 る。
3VI
〔3〕 ス コ ッ ト(Scott)結 線 ス コ ッ ト結 線 は,三 相 電圧 か ら二相 電 圧 を得 るた め に用 い られ る方 式 で,図3・21の
よう
に 二 台 の変 圧器 X,Y を用 い る。 三相 回路 で は容 量 の大 きい 単 相負 荷 が 2線 の間 に か か る と 著 しい不 平 衡 を生 じ好 ま し くない 。 ス コ ッ ト結線 にす る と,二 次二 相 側 の 各相 に等 しい単 相 負 荷 をか け た場 合,三 相 側 は平 衡 状態 と な るの で,交 流 電 気 鉄 道用 変 電 所 や 大容 量 の 電気 炉 を設 置す る所 な ど に この結 線 が 用 い られ る。
(a)結
線
(b)ベク トル 図
図 図3・21
ス コ ッ ト結 線
図3・21の
結 線 図 にお い て,UW間
に結 ぶ 変 圧 器 X を主 座 変 圧器,VM間
Y を T座 変圧 器 とい う。 二次 に電 圧 値 の等 しい 二 相電 圧 を 得 るた め には,X に 対 し,Y の巻 数比 を0.866a:1と
に結 ぶ変 圧 器 の巻 数比a:1
し な けれ ば な らな い。
電 圧 ベ ク トル 図 は同 図(b)の よ うに な り,三 相 の 線 間電 圧Vuv,Vvw,Vwuに 圧 器 の起 電 力EX,EYお EX
Vuv=
よびEx,Eyは -EY
/2
つ ぎの 関係 に な る。 EX/
Vvw=EY+
,
対 し,各 変
VWU=-EX
2,
そ うし て,二 次 起 電 力 は, EX=
EX
EY /O.866a
, Ey=
/a
と な り,│EX│=│Ey│,Ey=-jExで 一次 22の
,二
二 相 電 圧 とな る。
次 の 電 流 関 係 は,図3・
よ う に な る。
負 荷 二 つ の 相 と も 等 し く,力 遅 相 でcosψ Iyが
(3・30)
率は
と す る と,二 次 電 流Ix,
き ま り,一
次 電 流 は,
IX=Ix/a IY=Iy/(0.866a)
}
(3・31)
図3・22ス
そ う して,線 路 側 の 電 流 は, Iu=IX-
IY / 2,
IV=IY,
IW=-IX+
コ ッ ト結 線 の 電 流 ベ ク トル 図
IY/ 2
(3・32)
とな って,こ れ らは対 称 三相 電 流 で あ る。 〔4〕 並 列 結 線 (1)単
相 変圧 器 の並 列 結線
図3・23(a)の
よ うに,二 台 の 変圧 器A,Bの
一次 およ
び 二 次 をそ れ ぞ れ並 列 に結 ん で,一 つ の負 荷 に電 力 を供 給 す る状 態 を並 列 結線(pallarel con nection)と
い う。
この場 合,A
と Bは極 性 が 等 し い こ との ほ か に,
①
一次 お よび 二 次定 格 電 圧 が それ ぞ れ等 し い。
②
各変 圧 器 の イ ンピー ダ ンス電 圧 が 等 しい。
③
イ ン ピー ダ ンスの位 相 角 が等 し い。
こ とが,2 台 の変 圧 器 容 量 の和 に 等 し い負 荷 を か け得 るた め の条 件 で あ る。
(a)結
線 図
(b)等 図3・23並
列
結
価 回路
線
な お,A と Bは容 量 は異 な って もよ く,上 記 の 条 件が 整 えば 負 荷 分担 が 容 量 の 比 に な る。 ① は,並 列 に した ときに 両 変 圧器 間 を循 環 す る電 流 を生 じさせ な いた め の条 件 で あ る。 例 え ば,変 圧 器 に タ ップが あ って,A,B
が異 な った タ ップを 用 い た と し,タ
ップ電 圧 の差 が,
両 変 圧 器 の イ ンピー ダ ンス電 圧 の 和 に等 し くな る と,循 環 電 流 だ けで定 格 電 流 に 達 す る の で,こ の よ うな こ とは さ け な けれ ば な らな い。 ② は,負
荷 分 担 を 容 量 の 比 に 行 わ せ る た め に 必 要 で,並
よ う に な り,IA,IBの
比 はIA/IB=zB/zAと
る た め に はIArzA=IBrzB,す ③ は,IA,IBの な る が,等
担 し たkVAの (2)三
な る か ら,IA,IBが
同 時 に 定 格 電 流IAr,IBrと
な
な わ ち イ ン ピー ダ ンス 電 圧 が 等 し くな け れ ば な ら な い 。
位 相 を 等 し くす るた め に 必 要 で,位
し くな い と{│IA│+│IB│}>│IL│と
比 に な っ て い て,IA,IBが
列 時 の 等 価 回 路 は 図3・23(b)の
相 が 等 し け れ ば,│IA│+│IB│=│IL│と
な っ て,③
の 条 件 が 整 い,負
同 時 に 定 格 電 流 に な っ た と き,ILはIA,IBの
和 が 負 荷 のkVAよ
り大 き く な る か ら,利
相 変 圧 器群 の並 列 結線
荷分 担 が 容 量 の 和 よ り小 さ く,分
用 率 が低 下す る。
三 相 変 圧 器 群 に お い て も,つ
ぎ の条 件 が 整 えば 並 列 に
結 ぶ こ と が で き る。
① 変 圧 比 が 等 しい。 ② 角 変 位 が等 し い。 ③ イ ン ピーダ ンス電 圧 〔%〕 が等 しい か,異 な って も差 異 が平 均 値 の1/10以 ④ 容 量 の 比 が1:3以
内で あ る 。
内で あ る。
な お,角 変 位 が 異 な って も,二 次 の 三つ の端 子 を 順 次づ らせ て 結 ぶ こ と に よ り,並 列 に で き る場 合 が あ る。 この こと に つ いて は,JEC-168(1966)付
3・3変
録 に詳 し く説 明 され て い る。
圧 器 の 構造
変 圧 器 の構 造 に つ い て は,1・4節
お よ び1・5節
で僅 か に ふ れ た だ けで あ るの で,こ こで
(a)単相 内 鉄 形 積 み 鉄心
(b)単 相 内鉄形巻鉄 心
(d)三相 内 鉄 形 積 み鉄 心
(c)単相 外 鉄 形 積 み鉄 心
(e)三相 外鉄 形 積 み 鉄 心 図3・24
変圧 器 の 鉄心 構 成 の 例
改 め て述 べ る。 〔1〕 鉄
心
変 圧 器 鉄心 の材 料 は,表1・1に
示 した材 料 の うち,方
素 鋼 帯 お よ び冷 間 圧 延 け い素 鋼 板(S14, S12等)が 鉄 心 の 形 の お も な例 は,図3・24の
向性 けい
用 い られ る。
よ うに別 け られ る。 鋼 板 を 組 み
立 て るには,予 め 短 冊形 に切 って,こ れ を 交 互に 積 み重 ねて,同 図 (a)ま た は(c)の 3・25の
よ う な形 につ くる方 法 と,額 縁 形 と い って,図
よ うに 隅 を斜 めに切 って,交
互 に 重 ね接 合 して 隙 間 を生 じ 図3・25
な い よ うに 組 む方 法 が あ る。 巻 鉄 心 は,図3・24(b)の
額 縁 形 鉄心 組 み
よ うに,長 尺 の鋼 帯 を,必 要 な厚 み に な る まで テ ー プを巻 くよ
う に巻 い て い く。 形 を 決 めた 後,接 着 固定 して か ら左 右 の足 の 中 央部 で切 断 して 上 下二 つ に 割 る。 予め 造 った コ イル を収 めた 後,鉄 心 を 元の 形 に す る。 切 断 の所 に隙 間 を生 じない よ う に,切 kVAま
断 面 は 完 全 な平 面 に な る よ うにす る。 こ の鉄心 は 配 電 用変 圧 器 に 広 く用 い られ,50 での 容 量 の ものがJISに
規 格 化 されて い る。
巻 鉄 心 の特 長 は,鋼 帯 の透 磁 率 が高 いの で励 磁電 流 が 少 な く,ま た 鉄損 が 少 な いの で効 率 が良 い こ とで あ る。JISC4304(1969)「 を取 り出 し,表3・2の それ の 約2/3,無
小形6kV油
入変 圧 器」 に示 され た 特 性 表 の一 部
ように作 って み ると,巻 鉄 心 変 圧器 の無 負 荷 損は 積 み鉄 心 変圧 器 の
負荷 電 流 は前 者 が 後者 の約1/2で あ る。 効 率 は前 者 が 僅 か に よい程 度 で あ
るが,配 電 用 の よ うに 台数 が 非 常 に多 く,か つ,連 続 的 に使 用 す る場 合 は,無 負 荷 損 の減少
表3・2巻
鉄 心,積 み 鉄心 変 圧 器 の 特性 比 較(50Hz,単
相 変圧 器)
の た め に節 約 で き る電 力 量 は 非常 に大 き い。 図3・26は,中
容 量 の外 鉄 形単 相 変圧
器 の 鉄心 脚 部 の断 面 で,コ イル を 円筒形 につ く り,鉄 心は,こ の 円筒 形 内面 に接 す る段形 と し,大 体 円 に近 い 断面 に な る よ うに,幾 通 りもの短 冊 幅 の 鋼板 を用 い て組 み立 て て あ る。 〔2〕 巻 (1)巻
線 線 構成
変 圧 器 の巻 線 には
銅線 が用 い られ,一 部 に アル ミニ ウ ム線
図3・26単
相変 圧 器 の 脚 部 断面
が用 い られ るこ とが あ る。巻 線 の 素 線 は,低 圧で は ホル マル被 覆 線 な どが 用 い られ る ことが あ るが,一 般 には厚 さ0.1mm前
後 の ク ラ フ ト紙 を巻 いた紙 巻 線 が用 い られ る。
導 線 の電 流 密 度 は,小 容量 器 で2∼3〔A/mm2〕,大
容 量器 で は3∼4〔A/mm2〕
に 選 ばれ,電
流 密 度 と,容 量 と電 圧 で き ま る定 格電 流 とか ら導線 断面 積 が きめ られ る。導 線 直 径 が3mm 位 ま では 丸線 が用 い られ るが,断 面 積が 大 き くなれ ば,長 方 形 断 面 の平 角線 を用 い,こ れ を 電 流 値 に応 じて 多数 並 列 に し て大 電 流用 の 巻線 にす る。 図3・27は,小
容 量,積 み鉄 心 内 鉄形 の 場合 の コイル 配 置 を示 し,図3・28は
形 の コ イル配 置を示 した もの であ る。 大 容 量 にな ると,図3・29の
中 容量 外 鉄
よ うな 円板 状 や,多 重 同
心巻 な どが用 い られ る。 多 数 の素 線 を並 列 に 束 ねて 大 電 流 用の コ イルを造 る場合 は,交 流 抵 抗 が 増 さな い よ うに 鉄
図3・27内
図3・28外
鉄 形(250kVA)の コイ ル配 置
鉄形 の コイル 配 置
(a)円 板 状巻 線 (b)多 重 同 心 巻線 図3・29大 容量 変 圧 器 の巻 線 例
心 に対す る素線 の 位 置 を交 代 させ なが ら巻 いて行 くよ うにす る。 これを 転位 とい う。 コ イル と鉄心 間,コ イル 相互 間 は,巻 線電 圧 に応 じた絶 縁 をす る こと は も ち ろ ん で あ る が,外 部 か ら侵 入 す る異 常 電圧 に対 し,巻 線 長 さに沿 う電 位分 布 が一 様 に な る よ うな工 夫 が 加 え られ る。 油入変 圧 器 では,コ
イルが 完成 した後,完 全 に 乾燥 し絶 縁油 が 入 れ られ,絶 縁 物 が空 気 に
触 れな い よ うに して 使用 され る。 乾 式変 圧 器で は,乾 燥 の後 ワニ ス処理 して,空 気 中 の水 分 お よび 塵 に よ って絶 縁耐 力 が低 下 しな い よ うに固定 した コイル にす る。 絶縁 に は,表1・3に (2)抵
示 した 種別 が あ り,種 別 に応 じ最高 温 度が お さえ られ る。
抗 と漏 れ リア ク タ ンス
積q〔 ㎡ 〕,長 さlmT(lmは r=ρ・
/q lmT 〔
巻 線 の 直流 抵 抗 は,導 線 材料 の抵 抗 率 ρ 〔 Ω・m〕,断 面
巻 数 1回の 平均 長 さ 〔 m〕,T は巻 数)か Ω〕
ら,
(3・33)
か ら計 算 さ れ る 。 交 流 抵 抗 は,転
位 な ど 導 線 配 置 に 工 夫 を 加 え て も,直
〔%〕 増 す も の と み な け れ ば な ら な い 。 ρ は,銅 115℃
に お い て 約0.0237×10-6で
漏 れ リア ク タ ン ス は,つ
線 の 場 合,75℃
流 抵 抗 よ り10∼20
に お い て 約0.021×10-6,
あ る。
ぎ の よ う に し て 計 算 さ れ る 。 図3・30は
単相 内鉄 形 変圧 器 の脚 の
部 分 を 示す もの で あ る。 い ま 二次 を短 絡 し,一 次 か らあ る電 圧 を加 え,一 次,二 次 の電 流 が それ ぞれi1お よびi2 に な って い る とす る。i1,i2の 向 きを〓,〓 で あ らわ せば, i2に よる起 磁 力 は下 向 きに,i1に よ る起 磁 力 は上 向 き に 働 き,鉄 心 の部 分 で は両 者が 相殺 され,磁 束 は な い と見 る ことが で きるが,両 コイル に厚 さ δ1およ び δ2があ るため に,図 の よう な台 形 の起 磁力 が残 り,漏 れ 磁 束 を生 ず る。 い ま,一 次,二 次 の 漏れ イ ンダ クタ ンス を それ ぞれl1 お よ びl2と す る と,図 の 状 態 で 蓄積 され て い る エ ネル ギ ー Qは,
(3・34) 図3・30短 と な る。 た だ し,a=巻
数 比,l=l1+a2l2=一
れ た 全 漏 れ イ ン ダ ク タ ンス で あ る。 よ っ て,Q 次 か ら み た 漏 れ リア ク タ ンス は,x=2πfl〔 図3・30の 図3・27で
を 知 れ ばl=2Q/il2と
はm=4で
に 亘 る 空 間 に 働 く と み られ る か ら,一
し て 求 め られ,ま
た一
Ω〕 と して求 め られ る。
台 形 の 起 磁 力 の 最 高 はi1×(T1/m)〔AT〕(m はm=2,図3・28で
絡 され た 内 鉄形 変 圧 器 の起 磁 力
次 に換 算 さ
は,一
あ る 。)で あ り,台
相 の 巻 線 が 分 割 され る数 で, 形 起 磁 力 は コ イ ル 高 さh〔m〕
次 コ イ ル の 外 周 か らx〔m〕
の と こ ろ で は,磁
界 の強
さは,
(3・35) で表 され る。 このHxは に厚 さdx〔m〕 Qx= で あ り,厚
鉄 心 を と りま く漏 れ磁 路(長 さlm1〔m〕)に 生 じて いて,x の位 置
を考 え,こ の微 小厚 さ 内に 蓄え られ るエ ネル ギ ーQxは, μ/ 2×Hx2×hlm1dx〔J〕
さ δ1〔m〕 内 に は,
(3・36)
(3・37) 同 様 に,一
次,二
次 間 の 厚 さ δ0内 に は,
厚 さ δ2内 に は,
の エネ ル ギー が蓄 え られ る。 これ らの和 を Q とす ると,
(3・38) lm0,lm1,lm2は,そ
れ ぞれ
の で 平 均 値 をlmと
し,ま
δ0,δ1,δ2の部 分 を 一 周 す る 長 さ で あ る が,こ
た 空 気 の 透 磁 率 μ を4π
×10-7と
れ らは大 体 等 しい
み る と,
(3・39) (3・40) よ っ て,一
相 の 漏 れ リア ク タ ン ス x は,
(3・41) と な る。 な お,こ
の 値 は コ イ ル 厚 さ δ1+δ0+δ2と
数k=1-δ1+δ0+δ2/πhを
コ イ ル 高 さ と の 比 に 応 じ,つ
ぎの 修 正係
乗 ず る 必 要 が あ る と い わ れ る。
(3・42) この kをRogowskiの
係 数 と い う。
〔3〕 油 入 変圧 器 電 力用 変 圧 器 の大 部 分 は 油入 式 で,鉄
心 と 巻 線 と が 組 み立 て られ た本 体 を タ ンク 内に入
れ,絶 縁油 を入 れ,本 体 は 常 に 油 に あ る よ うに して 用 い る。 これ を油 入 変圧 器(oil immersed transformer)と い う。 これ に対 し油 を 用 い な い で本 体 を 空気 に さ らした状 態 で使 用 す る もの
を 乾 式 変圧 器(dry
type transformer)と
い う。
本 体 を 油 中 に お くこ とに よ り,絶 縁 物 が 長 期 間良 好 な状 態 に保 たれ,一 方 タ ンク内 を油 が 流 動 す る こと に よ り,鉄 損 お よび 銅損 のた め に生 じた 熱 を移 動 させ 冷 却 効果 をあ げ る。 絶 縁 油 は そ れ 自体 良 好 な絶 縁 物 で な けれ ば な らず,実 際 使 わ れ る油 は,油 中 に お いた2.5mm間 隙 の 球電 極 間 で の絶 縁 破 壊電 圧 が30kV以
上 もあ る。 絶 縁 油 はJIS
C23201(1966)に
化 され て いて,1,2,3号 油 の区 別 が あ るが,変 圧 器 は 2号 油 で,比 重0.92以 ℃ 以 上,流
動 点-27.5℃
以下,抵
抗率10×10-14〔 Ω・cm〕 以 上,そ
規格
下,引 火 点130
の他 の数値 が示 され
て い る。 小 容 量 の 配 電 用 変 圧器 では,タ
ンクは 単 に蓋 を して あ る だ けで,タ
ン ク内の本 体 上 部 に 空
気 の部 分 が あ るが,変 圧 器 は 負 荷変 化 に よ る温 度 変 化 に応 じ,空 気 の膨 張,収 縮 が 起 こ り, タ ンク と蓋 の 間 を通 して空 気 の 出入 が お こる。 これ を呼 吸 作 用 とい い,外 部 空気 を吸 入す る 際 に湿 気 や 塵 を 取 り入 れ るお そ れが あ る。 これ を 防 ぐ た め 蓋 の 下 面 に パ ッキ ング が お い て あ る。 中 容 量 以 上 の変 圧 器 では,図3・ 31の よ うに タ ン ク内は 油 を 満 し,主 タ ン クの上 部 にお いた 補 助 タ ンクの 上 部 に だ け空 気 が あ る よ うに し,空 気 の 出入 は その 通 路 に お いた 乾 燥 剤 を通 った 空 気 だ けが 出 入す る よ うに
図3・31
コ ンサベ ー タ
す る。 この 補 助 タ ンクを 油保 存 槽 ま た は コ ンサ ベ ー タ(conservator)と 最 近 は,コ
い う。
ン サベ ー タ の空 気 部分 を 窒 素 ガ ス に した 窒 素封 入 式 の もの が広 く用 い られて い
る。 〔4〕 ブ ッ シ ング 変 圧 器 本 体 の 巻線 端 子 は タ ンク外 へ 引 き出 さな けれ ば な らない が,高 電 圧 の場合 は高 電 位 の リー ド線 とタ ン クの間 の 絶 縁が 重 大 な 問題 で大 形 のが い しが 使 わ れ る。 これ を ブ ッシ ング (bushing)と 3kV,6kV級
い う。 な らブ ッシ ングの寸 法 は 目立 つ ほ どの 大 き さ で な く済 む が,100kV級
以上
に な ると非 常 に大 き な もの に な る。 ブ ッシ ング は磁 器 で つ く られ,高 電 圧 の リー ド線 と タ ン ク との間 の距 離 が 短 か い の で,ブ ッシ ング内 の電 位 傾 度 を 均 一 にす るた め,ブ
ッシ ング本 体
の 絶 縁構 成 を多 層 の絶 縁 層 に わ け,リ ー ド線 と タ ンク との 間 に コ ンデ ンサ が直 列 に な る形 に
図3・32ブ
ッシ ング各 種
し,各 層 の コ ンデ ンサ容 量 の配 分 を工 夫 した 構 造 の もの もあ る。 図3・32は
ブ ッシ ング の例
を示 した もの で あ る。 ブ ッシ ング は,次 の よ うに分 類 され る。 (1)単
一 形30kV以
(2)油
入形
下 の 電圧 の低 い 所 に用 い られ,最
も構 造 が 簡 単 な もの で あ る。
内部 に筒 形 の 成 層絶 縁 物 を お き,こ の 間 に絶 縁 油 を 入 れた もの で,こ の
油 が 空 気 に触 れ な い よ うに 窒素 ガス を入 れ 密 封 した もの が 多 く使 われ る。 (3)コ
ンデ ンサ 形
前 記 の よ うに コ ンデ ンサ を なす 層 をつ くり,電 位 傾 度 を 均等 化 す
るよ うに し た もので,乾 式 コ ンデ ンサ形 と,絶 縁 油 を入 れ 密 封 し た湿 式 の ものが あ り,後 者 は 超 高 圧 の変 圧 器 に も使 わ れ る。 な お,変 圧 器 が直 接 ケ ー ブ ルに結 ばれ る場 合 に,タ い,タ
ン ク内 で,ケ ー ブル と巻 線 端子 とを 結 び,ブ
ンク 内ま で ケ ー ブル を 引 き入 れ て し ま
ッシ ングを省 く場 合 が あ る。 これ は,タ
ン クの 横 か らケ ー ブル が 出 る ので,象 の姿 に 似て い るた め エ レフ ァン ト形 変 圧 器 とい う。 〔5〕 温 度 上 昇 と冷 却方 式 変 圧 器 も運 転 中は 損 失 の ため に巻 線,鉄 心 お よ び油 の 温 度 が高 ま る が,油 入 式 の場 合 の 温 度上 昇 の 限 度 は,巻 線 につ いて は 抵 抗 法 で測 っ て 自冷 式 で は55℃,油
を強 制 循環 させ る変圧 器 では60℃,油
て は温 度 計 で 計 って50℃(油
につ い
が 外部 空 気 と接 触 し ない 場 合 は55℃)
と 決 め られ て い る。 乾 式 変圧 器 では 絶 縁 の種 別 に応 じて,抵 抗 法 で測 った 温 度 上昇 限 度 が 表3・3の
よ うに 決 め られ て い る。
表3・3 乾式変圧器の 温度上昇限度
変 圧 器 の 温度 上 昇 を上 記 の 限度 内 にす るた め に放 熱が 積 極 的 に行 われ な けれ ば な らな い。 も っと も同 じ容 量,同
じ発熱 で も本 体 の 寸法 を 大 き くし,油 量 を多 くす る よ うな設 計 が され
れ ば 温 度上 昇 は少 な くな るが,こ れ は変 圧 器 価 格 を高 め る こと に な るの で,経 済 的 な 設 計 で, か つ 温度 上 昇 をお さえ るた め に種 々 の冷 却 方 式 が採 用 され る。 小 容量 の変 圧 器 で は,タ
ンク壁 を通 して 放 熱 を行 うだ け で十 分 で あ るが,中 容 量 以 上 に な
る とタ ンク側 面 に 冷却 管 や放 熱 器 を取 り付 けた り,さ らに放 熱 器 に 風 を送 って冷 す 方式 が 用 い られ,冷 却方 式 の油 入 式 の 場合 表3・4の 表3・4変
これ らの冷 却 方 式 を表 す の に,JEC-168で
よ うに 分 け られ る。 圧 器 の 冷却 方 式
は次 の よ うな記 号 を 決 め て い る。
鉱 油を 冷 却 油 に 用 い る ものに O,空 気 を冷 却 媒体 とす るも の にA,水 を冷 却 媒 体 とす る も の にW,冷 却 媒 体 を 自然 循 環 させ るも の にN,強 制 循 環 させ る もの に Fを付 す こ とに し,前 の表 の中 に 記 号化 した 冷 却 方 式 の 区別 も示 し た。 乾 式 で は 自冷 と風 冷 とが あ り,記 号 で はANとAFに
3・4電
な る。
圧 調 整
変 圧 器 の大 部 分 は,定 電 圧 で運 用 す る ことを 原 則 とす る送 配電 系統 に結 ば れ るの で,線 路 の 電 圧 降下 に よ り,受 電 端電 圧 が 変 動 した 場 合 は そ の変 動 を修 正 し,一 定 値 に し,次 の線 路 へ 送 られ る。 この た め に変 圧 器 の 一 次 また は二 次 に タ ップ を つ け て
,そ の 位 置変 更 に よ って
電 圧調 整 が 行 わ れ る。 〔1〕 タ ップ 電圧 タ ップ とは,変 圧 器 一 次 また は 二 次巻 線 の途 中か ら引 き 出 され る端 子(全 巻 数 の 所 か ら引 出す 端 子 も含 む)で,タ
ップ数 は 5以 内 とされ て い る。 表3・5は
標 準 タ ップ電 圧 を示 す 。
こ の表 に お い て, ① 分 類 A,B,C,Dの 区 別 は,変 圧 器 の機 能 に よ って,次 の よ うに分 け られ た もの で あ る。 A は,発 電 機 電 圧 か ら高 圧 ま た は特 別高 圧 に昇 圧す る変 圧 器
表3・5標
準 タ ップ電 圧
Bは,特 別 高圧 か ら他 の特 別 高圧 に降圧 す る変 圧 器 C は,特 別 高圧 か ら高 圧 に,ま た は高圧 か ら高 圧 に降圧 す る変 圧 器 D は,高 圧 か ら低 圧 に 降圧 す る変 圧器 な お,特 別 高圧 と は7000Vを 交 流600V以
超 え る電 圧,高
下(直 流 で は750V以
線 路 で は,140kVが
な お,公
称 電 圧 と は,送
タ ップ に は,銘
あ る。)と,全 tap)が
圧 とは
し て 表 し た もの で あ る 。 例 え ば,公
称電 圧
こ の 表 の100に
当 る。
配 電 路 の標 準 電 圧 の こ と で,日
77,110,154,187,220,275,500kVが ③
下 の 電 圧,低
下)の 電 圧 を い う。
② この 表 の 電 圧 は 公 称 電 圧 の1/1.1を100と 154kVの
圧 とは7000V以
本 の 送 電 線 で は11,22,33,66,
決 め られ て い る。
板 に 記 載 さ れ た 定 格 電 圧 に 対 応 す る 基 準 タ ッ プ(表3・5は
容 量 タ ッ プ(full
capacity
tap)お
R と付 して
よ び 低 減 容 量 タ ッ プ(reduced
capacity
あ る。
全容 量 タ ップ は,指 定 の 温 度上 昇(3・3節 で き る タ ップ電 圧 を い い,表3・5に は,定 格 容 量 以下 のkVA出
〔5〕参 照)を 超 え る こと な く定 格容 量 で 使用
は タ ップ電 圧 に Fと付 して あ る。 ま た,低 減 容 量 タ ップ
力で な けれ ば 指定 の 温 度上 昇 を 超 え る こ とな く運 転 で きな い タ
ップ電 圧 を い う。 〔2〕 タ ップ切 り換 え (1) 無 電 圧 タ ップ切 り換 え
これは変 圧 器 が無 電 圧 の と き にだ け タ ップ切 り換 え が で
き る方 式 の もの で,配 電 用 変圧 器 の 場合 の例 を図3・33に 本体 上 面 に タ ップ盤 が あ り,こ れ に1∼6の
示 す 。 これ は,タ
ンク内の 変圧 器
タ ップ端 子 が 出 して あ る。 この うち の二 つ の端
図3・33配
電 用 変圧 器 タ ップ
子 を 金 属片 で つ な ぐ こと に よ り,一 次 電圧 の一 つ が決 ま る。 この方 式 は,変 圧 器 の蓋 を と らな い とタ ップ切 り換え が で きな いが,タ
ップ切 換器 を外 部
にお き,手 動 ま たは 電 動操 作 で容 易 に切 り換 えが で き るよ うに な って い る もの もあ る。 (2)負
荷 時 タ ップ 切 り換 え
変 圧 器 を 通 電 の ま ま,す
プ切 り 換 え が で き る よ う に し た も の で,こ (on-load
tap-changing
こ の 場 合,巻
transformer)と
線 は 図3・34の
れ る 。 図3・35は,タ プ の リー ド線 端 子
な わ ち 停 電 させ る こ と な く タ ッ
の機 能 を備 え た変 圧 器 を負 荷時 タ ップ切 換 変 圧 器 い う。
よ う に 主 巻 線 と タ ッ プ 巻 線 と に分 け,後
ッ プ巻 線 と タ ッ プ 切 換 機 構 を 示 す 略 図 で,K1,K2が a,b が そ れ ぞ れ3,3′
へ 結 ば れ て い れ ば,一
者 か ら タ ップが 出 さ 閉 じ られ,タ
つ の 定 常 の 状 態 で あ る。 こ
の タ ップ を4,4′ へ 移 す に は, ①K1を
開 き,a
を 4へ 移 す 。
図3・34タ
ップ巻 線
図3・35負
ッ
荷 時 タ ップ切 り換 え
②K1を
閉 じる。
③K2を
開 き,b
④K2を
閉 じる。
を4′ へ 移 す 。
の よ うに進 め られ る。 この 順序 の うち② か ら③ へ の 間 は タ ップ 3と 4の間 の電 圧 に よ って リ ア ク トル を通 る循環 電 流 が 流れ るが,そ の値 は リア ク トル の リア ク タ ンス値 の選 定 に よ って 適 正 値 に お さえ られ る。① か ら④ ま で の間,瞬 時 の 停電 も起 こらな い。 な お,図3・35は
リア ク トル式 で あ るが,リ ア ク トル の代 りに抵 抗 を用 い た 抵抗 式 もあ る。
〔3〕 負 荷 時 電圧 調 整 器 負 荷 時 電圧 調 整 器(regulating 直 列 変 圧 器(ST)お
transformer)は,図3・36の
よび負 荷 時 タ ップ切 換 器(TC)と
る電 圧 νを 線路 の電 圧V1に
よ うに,調 整変 圧 器(RT),
か らな り,直 列変 圧 器 の二 次 に 得 られ
加 え また は差 引 きして 出力 側 の電 圧 をV1±
あ る。 νの正 負 の変 更 は,同 図(a)の よ うに,RTの
ν に変 え る もの で
二 次 の極 性 を 反転 す る こと に よ って行
われ る。 図3・36で
は直 列 変圧 器 が 出力 側 に あ るが,こ の接 続 は入 力電 圧V1が
一 定 で,出 力 側 に
可変 電 圧 を得 た い 場合 の 接 続 で あ る。 もし入 力電 圧 が変 動 し,こ の変 動 を負 荷 時電 圧 調 整器 で定 電 圧 に修 正 す るよ う な場合 は,調 整変 圧 器 を 出力 側端 子 間 に結 ぶ。こ れ を 逆接 続 とい う。 図3・36(a)お 位 相 はV1と
よび(b)の 構 成 では νの大 き さ は タ ップ切 り換 え に よ って 加 減 で き るが,
同相 か,逆 位 相 に しか で き な い。 従 って,出 力 側電 圧 の大 き さをV1を
上 下 させ るだ けで あ るが,V1と
中心に
直 角 の電 圧 も直 列 変圧 器 の 一次 に加 え,出 力 電 圧の 位 相 を
加減 で き る ように した もの を負 荷 時 電圧 位 相 調整 器 とい う。 これ によ れ ば電 力 系統 の有 効 お よび無 効 電 力の 流 れ の制 御 が で き る。
(a)二
鉄 心 四巻 線 形 図3・36負
(b)二 鉄心三巻線形 荷 時電 圧 調整 器
3・5単
巻 変 圧器
単 巻 変 圧 器(autotransformer)は,図3・37の 通 が あ り,直
列 巻 線abと
分 路 巻 線bcか
よ う に,入
力 側 と 出 力 側 が 絶 縁 さ れ ず,導
ら な る 変 圧 器 を い う。
単巻 変 圧 器 を二 巻 線 変圧 器 と 比 べ た 場 合,同
じ負 荷 容量 に 対
し単 巻 の ほ うが小 形 に で き る と い う特 長 が あ るが,入 力,出 力 の 電 圧 比 が大 きい(図(a))お よび 小 さい(同 図(b))場 合 は あ ま り小形 に な らな い。
従来は,単 巻変圧器 は配電線
(a)降
圧用 ab… 直 列巻 線bc…
の昇圧器や交流電動機の始動用
図3・37単
(b)昇 分路 巻 線
圧用
巻変圧器
な どに 使 われ,電 力 系統 で主 要 な 役割 をす る形 で は 使 われ な か った の で あ るが,近 年 中性 点 を 直 接 接地 す る送電 方 式 が 採用 され る よ うに な って,高 電 圧,大 容 量 の もの が造 られ て い る。 〔l〕 自己 容 量 と負 荷 容量 図3・37に
おい て,直 列巻 線 お よび分路 巻 線 の 巻 数 を それ ぞれ ηsお よび ηcと す る と,
両 者 同 じ巻 き方 向 な ら,
(3・43)
で あ り,arは
単巻 変 圧 器 の巻 数 分比 とい われ る。
ま た,励 磁 電 流 を無 視す れ ば,直 列 巻線 と分 路巻 線 の ア ンペ ア回 数 の相 殺 は,つ ぎの よ う に行 われ る。 ηsIh=(Il-Ih)ηc
(3・44)
よ っ て,
ま たはVhlh=VlIl と な って,入 力 側 と出力 側 の ボ ル トア ンペ ア が等 しい 。 そ う して,
(3・45)
と書 け る。
式(3・45)に
お い て, VlIl=VhIh=QLを
負 荷 容 量,
(Vh-Vl)Ih=Qsを
自 己 容 量(self-capacity)
とい う。 そ う して,自 己容 量 と負荷 容 量 の 比 は,
(3・46) と な り,自 己容 量 は負 荷 容 量 に巻 数分 比 を 乗 じた もの に な る。 〔2〕 二 巻 線 変圧 器 の 単 巻変 圧 器化 い ま,一 V1,I1お
次 お よ び 二 次 の 定 格 電 圧,電 よ びV2,I2の
流 が,そ
れぞれ
二 巻 線 変 圧 器 を 図3・38の
よう
に 結 ぶ 場 合 を 考 え る。 こ の 変 圧 器 の 容 量 を4kVA,V1=200〔V〕,I1=20 〔A〕,V2=25〔V〕,I2=160〔A〕
と 仮 定 す る と,
Vh=200+25=225〔V〕, 図3・38二 Vl=200〔V〕
巻 線変 圧 器 の 単 巻 変圧 器 化
Ih=160〔A〕,
nc+ns
Il=Ih×
V1+V2
=Ih×
/ nc
/ V1
=160×
225 /200
=180〔A〕
とな って,負 荷 容 量 は, VlIl=200×180=36×103=36〔kVA〕 VhIh=225×160=36×103=36(kVA)
分 路 巻 線(二 巻線 変 圧 器 の と き の 一 次 巻 線)の 電 流 は,Il-Ih=180-160=20〔A〕
とな
る。 これ らの数 値 を見 る と,ど の 巻線 に も過 電 圧,過 36kVAの
負 荷 が か け られ る。 この4kVAが
量,36kVAが 46)で 1/9で
電流 が な く,4kVAの
変圧 器 を 通 して
自 己容
負 荷 容 量 で あ る 。 両 者 の 関 係 は 式(3・
あ り,巻 数 分 比ar=ns/(nc+ns)=25/(200+25)= あ る か ら, i
負荷容量= /ar × 自己容 量=9×4 =36(kVA) と な って い る。
〔3〕 タ ップ を もつ単 巻 変圧 器
図3・39タ
ップ を もつ単 巻 変 圧 器
図3・39の
よ う に,降
圧 用 の 単 巻 変 圧 器 が 入 力 側,出
入 力 側 の 最 高 タ ップ 電 圧 をVhmax,出 の 最 高 電 圧 はVhmax-Vlminで
力 側 に と も に タ ッ プ を も つ と き は,
力 側 の 最 低 タ ッ プ 電 圧 をVlminと
あ り,自
己 容 量 の 最 大Qsmaxと,負
す る と,直 荷 容 量QLと
列巻 線 の 関係
は,
QSmax=QL×
と な り,タ
Vhmax-Vlmin / Vhmax
(3・47)
ッ プ 範 囲 が 広 い と,QSmaxとQLと
が 接 近 し て く る。
定 電 圧 か ら可 変 電 圧 を 得 る の に 便 利 な 摺 動 変 圧 器(商 品 名:ス 定 タ ッ プ で,出 =QLと
ラ イ ダ ッ ク)は,入
力 側 タ ッ プ が ほ ぼ 連 続 的 に 変 え られ る も の で,Vl min=0で
力 側 が固
あ る か ら,QSmax
な る。
〔4〕 単相誘導電圧調整器(分 路巻線が回転できる単巻変圧器) 単 巻 変 圧 器 に お いて,図3・40の
よ うに分 路巻 線 軸 の 直列 巻 線 軸 に対 す る角 度 θを 任 意 に
変 え られ る よ うに して お くと,一定 の入 力電 圧V1に る(また は,V1が
対 し,出 力 電圧V2が
連 続 的 に変 え られ
変 動 す ると
きθの 変 化 に よ ってV2を
一
定値 に 直 せ る)。 この 構成 は, 単相誘 導 電 圧 調 整 器(single phase induction
regulator)
といい,構 造 は 回転 機 の よう こ円筒 形 の 固定 子 お よび 回転 子鉄 心 が あ り,固 定 子 側 に直 (a)巻
町巻 線,回 転子 側 に分 路 巻線
線配置
図3・40分
をお く,た て軸 構 造 で θを手
(b)電
流関係
路 巻 線 が 回 転す る単 巻変 圧 器
(単相誘導電圧調整器)
動 また は 電 動機 操 作 で0°∼180° の 範囲 に変 え られ るよ うに な って い る。 回 転 子 側 に は第 3の巻 線 が,分 路 巻 線 軸 と90° ず れ た位 置に お いて あ る。 これ を短 絡 巻線 (short-circuit winding)と (1)入
い う。
力,出 力電 圧 関係
図3・40(b)の
よ うに,点 Oか ら外 に向 か う電 流 を各 巻線
の正 の電 流 とす る と き,θ=0° で分 路 巻線 と直列 巻 線 間 の結 合 が正 であ るとす る と,θ=0° で V2>V1,θ=180°
でV2<V1に
な る。
θ=0° に お いて の 結合 リア ク タ ンス をXMと Xm=XMcosθ
す る と,任 意 の θ で は 結合 リア クタ ンスは
で 表 され る。 分路 巻 線 め リア クタ ンスをXcと
し,漏 れ 磁束 を無 視す る と,
直 列 巻 線 の 電圧Vsは, XMcosθ
Vs=V1×
=V1×
nscosθ
/xc
/n c
とな り,出 力 電 圧V2は, ns
1(1+
V2=V1+Vs=V
cosθ)
(3・48)
/ nc
と な って,V2は(ns/nc)とcosθ よ って 変 わ り,図3・41の る。ns/nc=1に 2V1の
に よ うに な
す れ ば,V2は0∼
範 囲 に 変 わ る が ,θ
に対す る
変 化 は 余 弦 変 化 で,θ=0° お よ び180° 付 近 で はdV2/dθ (2)電
流 関係
荷 を 結 び 電 流I2を 直 列,分
が 小 さ くな る。 出力 端子 に負 流 し た とす れ ば,
路 お よび 短 絡巻 線 に それ ぞ
れI2,(I2-I1)お
よ びItが
流 れ,
固 定 子 お よ び 回 転 子 に 生 ず る起 磁 力 の 相 殺 は,つ
ぎの式 の関 係 で行 わ れ
る。
図3・41単
相 誘導 電 圧 調 整器 の 出 力電 圧
nsI2+nc(I2-I1)cosθ+ntItcos(θ+90°)=0
また は
(nccosθ+ns)I2=ncI1cosθ+ntItsinθ
θ=0°
で は(nc+ns)I2=ncI1
θ=90°
で はnsl2=ntIt
短 絡巻 線 は,式(3・49)の
(3・49)
関 係 を満 す電 流Itを
流 す た め に お くもの で,Itが
流 れ る こと
に よ り任 意 の θに お いて 常 に起 磁 力 の相 殺 が行 わ れ る。 短 絡巻 線 が ない と,θ=0° お よ び180° 以 外 で は起 磁 力 の相 殺 が で きず,特 に θ=90° に お い て は,固 定 子 起磁 力nsI2お
よび 回転 子 起磁 力nc(I2-I1)の
両 者 は,互 い に直角 に働 ら く
か ら,相 殺 が 全 くで きず,そ れ ぞ れ の起 磁力 に よ って生 ず る磁束 は漏 れ磁 束 にな り,漏 れ リ プ ク タ ンス 降 下が 著 し く,I2の 変 化 に対 す る電圧 変 動 が 激 しい特 性 とな る。 (3)自
己 容 量 と負 荷 容 量
単 相誘 導 電圧 調 整 器 の負 荷 容 量 は θ=0° で最大 と なる。 直
列 お よ び分 路 巻 線 の定 格 電 圧,電 流 を それ ぞ れVs,Isお お いて 負 荷 電 圧 が最 大 値Vh=Vl+Vsに
よ びVc,Icと
な り,負 荷 電 流 の限 度 はIh=Isで
すれば
θ=0° に
あ るか ら,
負 荷容 量=VhIh Vc+Vs/ vs
=(Vc+Vs)Is= =vc+vs/ Vs
×VsIs
×自 己容 量
(3・50)
と い う関係 にな る。 〔5〕 三 相 誘導 電 圧 調 整 器 三 相 誘導 電 圧調 整器 は,定 電 圧 の 三相 電 源 か ら可変 電 圧 を得 た い場 合,ま たは 変 動す る三 相 電 圧 を定 電 圧 に修 正 した い場 合 に 便利 な装 置で,図3・42に この 回路 は,三 相 巻 線形 誘導 電 動 機(第 4章1・4節 で き る。UVWは
回転 子 三 相巻 線,uvwは
略 図 を示 す。
参 照)の 変則 的 な使 い方 とみ るこ とが
固定 子 三相 巻線 で,両 巻 線 は 図 の よ うに三 相 単
巻 変 圧器 の よ うに結 ばれ る。 θ は可 変 角で,手 動 ま たは 電 動操 作 で0°∼180° の 範 囲 に変 え られ る。 極 数 は 2極,か つ 立 て 軸構 造 で あ る。 回 転子 一 相 の巻 数 と固 定子 一 相 の巻 数 との 割合 は 電 圧 調 整 範囲 に応 じて 選 ば れ,巻 数 比 が1:1な の変 化 に応 じて0∼2V1の 図3・42(c)は,定
ら電 源 電 圧V1に
対 し,二 次 出力 側電 圧 は θ
範 囲 に連 続 的 に変 え る ことが で きる。
相 の ベ ク トル 図 を示 し,U相
の印 加 電圧Vuoを
基 準 に と ると,固 定
(b)銘板 に示 され る 結線図 (a)結
線
図
(c)u 相 の ベ ク トル図 図3・42三
相 誘導 電 圧 調 整器
子 u相 の 起 電 力Vuxは,図
の よ う にVuoよ
り θ だ け位 相 が 進 む 。 従 っ て,出
力側 の 相電
圧 は,
た だ し,ae=Vux/Vuoで,こ
れ を 有 効 巻 数 比 と よ べ ば, ae=1な
囲 に 変 え ら れ,ae=0.5な
ら0.5Vuo∼1.5Vuoの
三 相 誘 導 電 圧 調 整 器 で は,ベ れ が θ と と も に 変 わ る が,二
らVuoは0∼2Vuoの
範
範 囲 に変 え る ことが で き る。
ク トル 図 に 示 す よ う に,入
出 力 側 電 圧 に 位 相 差 ρを 生 じ,こ
次 に 結 ぶ 負 荷 が 電 動 機 ま た は 変 圧 器 で,そ
れ らが一 次 側 回路 と
関 連 が な け れ ば 問 題 は 起 こ らな い 。
vc+Vs/ vs
最 大 負 荷 容 量QL=(Vc+Vs)Is=VsIs×
∴QL=Qs× こ こ に,Qsは
nc+ns/
Qs
ns=
/ ar
自 己 容 量,arは
巻 数 分 比 で あ る。 ま た は,
Qs=ar×QL
(3・51)
これ は,さ きに 示 し た式(3・46)の
関 係 で あ る。 す な わ ち,負 荷 容 量 が大 き くて も巻 数分 比
が 小 さけれ ば(電 圧 調 整 範 囲 がせ ま けれ ば),自 己容 量が 小 さ く,調 整器 の 容 積,重 量 な ど も 少 な くな る。
3・6 図 3・43の
三 巻線 変 圧器 よ う に,同
じ鉄 心 に 一 次,二
を か け る 変 圧 器 を 三 巻 線 変 圧 器(three
図3・43三
次 お よ び 三 次 巻 線 を 巻 き,二 次,三
winding
transformer)と
次 に別 個 に負 荷
い う。 大 容 量 の 三 巻 線 変 圧
巻 線 変 圧器
図3・44大
容 量三 巻 線 変圧 器 の 例
器 の例 に,図3・44の
よ うに主 要送 電 線 の受 電 端 に お く三相 三 巻線 変 圧 器が あ る。 この場合
は,三 次巻 線(tertiary winding)に (1) 電流 関係 図3・43の
は進 相 コ ンデ ンサや 変電 所 内電 力 が負 荷 とし て結 ば れ る。 変 圧 器を 減 極性 と し,各 巻 数 をn1,n2お
よびn3と
すれ
ば,ア ンペ ア回数 の相殺 は,次 の 式 の よ うに行 われ る(ただ し,一 次 の 励 磁電 流 を無 視 して)。
(3・52) た だ し,I2′,I3′
は 一 次 か ら み た 二 次 お よ び 三 次 電 流 で,I2′=(n2/n1)I2,I3′=(n3/n1)I3で
あ
る。
三次 側 に は90° 進 相 の コ ンデ ンサ負 荷,二 次 側 に は 力 率cosψ2の と,一
次電 流 のベ ク トル は 図3・45の
い うこ とか ら,|I1│はI3が 次 巻 線 のkVAが
遅 相負 荷 が あ る とす る
よ うに 作 図 して求 め られ る。I3が90°
進相 で あ ると
ない場 合 に比 べ小 さ くな って い る。 二 巻線 変圧 器 で は一 次,二
等 しい が,三 巻 線 変圧 器 で は,二 次,三 次 のkVAの
和 が一 次 のkVAに
等 し くな ると は限 らない 。
図4・45 三巻線変圧器の電流関係
図3・46 三巻線変圧器の等価回路
(2) 等 価 回 路 と電 圧変 動 率 三巻 線 変圧 器 の等 価 回 路 は,二巻 線 変 圧 器の それ に,第 三 の 巻 線 の 回路 を追 加 し,図3・46の
よ うに表 され る。 た だ し,こ の 図 の r,x お よ び電 圧,
電 流 は,す べ て 一次 に 換 算 した 値 で あ る。 これ らを求 め るに は,つ ぎの ように 進 め る。 (a) 負 荷 損 の決 定 一 次,二 次 間,一 次,三 次 間 お よび 二次,三 次 間 で短 絡 試 験 を行 い, これ ら試 験 に お け る負荷 損 を 基 準のkVA(例 式(3・19)に
え ば,一 次 のkVA容
量)に 換 算 し,さ らに
よ って 基 準巻 線 温 度 に換 算 した値 を そ れぞ れp12T,p13Tお
た だ し,こ れ らはkWの
よびp23Tと
単位 に して お く。
一 次 ,二 次 お よび 三 次巻 線 の 負荷 損 を それ ぞ れp1T, p2Tお よびp3Tと
す れ ば,
す る。
p1T=p123T-p23T,
p2T=p123T-p13T,
p3T=p123T-p12T
1/
た だ し,p123T=
(p12T+p23T+p13T)で
2
あ る 。
(b) 抵抗 電圧 率 の決 定 基準 容 量 をP〔kVA〕
とす れ ば,一 次,二 次 お よび三 次 の抵
抗電 圧 率 は, qr1=
p1T/ P,
p2T
qr2=
/ P,
p3T/
qr3=
P
か ら求 め られ る。 (c) 漏 れ リア ク タ ンス電 圧 率 の決 定 さ きの 各短 絡 試験 時 の イ ン ピーダ ンス電 圧 を基 準 kVAに
換算 して,そ れ ぞれV12,V13,V23〔
V〕 とす る。
ま た,測 定 時 の 温 度 に お け る負 荷 損 を そ れ ぞ れP12t,p13t,P23tと 一 次 三 次 間 お よ び 二 次 三 次 間 の 漏 れ リア ク タ ンス 電 圧 率 を そ れ ぞ れq
す る と,一
次 二 次 間,
x12,qx13,qx23と
すれ
ば,
各 巻 線 の 漏 れ リア ク タ ン ス電 圧 率 をqx1,qx2,qx3と qx1=qx123-q23,
す れ ば,
qx2=qx123-qx13,qx3=qx123-q12
と し て 求 ま る。 た だ し,qx123=
1/ 2
(qx12+qx13+qx23)で
あ る 。
(d) 各 巻線 の イ ン ピーダ ン ス電 圧 基 準 巻 線温 度,基 準kVAに
お け る イ ンピーダ ンス
電圧 の% は,
と して求 め られ る。 (e) 電 圧 変 動 率 の 計 算 各 巻 線 の 力 率 をcosψ1, cosψ2,cosψ3と 基 準kVAの
そ れ ぞ れn1,n2,n3倍
の と き,各
巻線 ご との電 圧 変 動率
し,各
巻 線 のkVAが
ε1,ε2,ε3は,
で あ り,一
次 二 次 間,一
次 三 次 間,二
ε12=ε1+ε2,
ε13=ε1+ε3,
次 三 次 間 の 電 圧 変 動 率 ε12,ε13,ε23は,そ れ ぞ れ, ε23=ε3-ε2
と して 求 め られ る。
3・7 試 験 用 変 圧器 絶 縁 物,巻 線 な ど の交流 絶 縁 耐力 試 験 や コ ロ ナな どの 高電 圧 現 象 研究 の た めの 電源 とす る 変圧 器 で,電 圧 は高 いが容 量が 小 さいの が特 長 で あ る。 一 般 に,高 電圧 側 巻 線の 一 端 は接 地 して 用 い る。 油入 構 造 と し,30分
ま た は 1時 間の 短 時 間定 格 で あ り,単 器で500kVく
ら
い まで つ くられ る。 さ らに,高 い 電圧 とす る場 合 に は 2台,3 台 と縦 続 接続 し,2 段 目,3 段 目の変 圧 器 は台 座 を絶 縁 構造 と し,巻 線 の 絶縁 が ぼ う大 に な る のを 防 ぐ,こ の方 式 で2000kV ぐ らい まで つ くられ る。 図3・47は,100kV程
図3・47
度 の試 験 用変 圧 器 と
その 付 属 器 の略 図 で,一 次 側 に電 圧 調 整用 に誘導 電 圧調 整器IRが
3・8
試
験
試 験用 変 圧 器
お かれ る。
法
二巻 線 変 圧 器 の試 験 法 に つい て概 要 を 述べ る。 試 験 項 目 につ い て は,JEC-168に
明記 して あ り,つ ぎ の各 項 が あ る。
(1) 巻 線 抵抗 測定 油 入 変 圧器 で は 油 と巻 線 の温 度 が等 し い とみ られ る状 態 で,そ の 温 度 と各 巻 線 の抵 抗 を測 る。 タ ップ が あ る場 合 には 各 タ ップに お け る抵 抗 を測 る。 (2) 変 圧 比 測 定 変 圧比 とは定 格 電 圧 の低 い ほ うの巻 線 の電 圧 を基 準 として 表 した 無 負 荷 端子 電 圧 の 比 を い い,こ の値 を各 巻 線 につ いて,タ
ップが あれ ば す べて の タ ップ につ い
て 測 る。 (3) イ ン ピーダ ンス試 験(短 絡試 験)
一 方 の 巻線 を短 絡 し,他 の巻 線 か ら定 格 周波 数
の電 圧 を加 え,定 格 電流 とな る と きの電 圧(イ
ン ピー ダ ンス電 圧)と 負 荷 損 とを測 る。
定 格電 流 を流 す こ とが で きな い場 合 は,定 格 の25%以
上 の電 流 が 流 せれ ば,こ の電 流 に
お け る測 定 で代 用 して よ く,こ の場 合 は イ ン ピーダ ンス電 圧 は電 流 に 比例 し,負 荷 損 は電 流 の 2乗 に 比 例す る と して定 格電 流 時 の値 に 換算 す る。
(4) 無負 荷 試 験 一方 の巻 線 を 開路 し,他 の巻 線 に定 格 周波 数 の定 格 電 圧 を加 え,無 負 荷 電 流 と入 力 を 測 る。 (5) 温度 試 験 各 巻 線 が定 格 電圧,定 格電 流 で あ る状 態 を つ く り,温 度 が一 定 にな っ た と見 られ る まで 続 け る。 (a) 試験 項 目 油 の温 度 上昇 お よ び巻 線 の温 度 上 昇 を測 る。 前者 は温 度計 に よ り,後 者 は抵 抗 法 に よ り測 る。 (b) 試験 時 間 つ ぎのい ず れか で決 め る。 ① 1時 間 当た りの 油 の温 度上 昇 が1℃ 以 内 の状 態 が 3時 間 続 いた ら終了 とす る。 ② 巻 線 の温 度 上 昇 の 増加 が 1時 間 当 た り3℃ 以 内 にな った ら終 了 とす る。 (c) 負荷 方 法 (ⅰ) 実 負 荷 法 実 負 荷 を か け,定 格 電 圧,定 格 電 流 の状 態 とす る方 法 で あ るが,試 験 の た め の電 源,負 荷 の準 備 お よび 試験 時 間 中 の所 要 電 力量 が 大 き くな るの で,こ の方 法 は 工 場 試 験 に お いて は ほ とん ど行 わ れ な い。 (ⅱ) 返 還 負 荷 法 同 じ定 格 の 変圧 器 が 2台以 上 あ る場 合,そ れ らを並 列 に して定 格 電 圧 を 加 え鉄 損 を供 給 し,一 次二 次何 れか の 側 か ら並 列 にす る回路 を開 い て,そ の端 子 か ら イ ン ピーダ ンス電 圧 を加 え 銅 損を供 給 す る。 図3・48は,返
還 負 荷 法(loading-back
同 図(a)は,変
圧器
配 電 用 変 圧 器 で あ る と す れ ば,無 下,イ
ン ピー ダ ン ス 電 圧3%前
無 負 荷 損 源 は210V側 圧 は210Vあ
よ る温 度 試 験 の 回 路 を 示 す 。
A,B 2台 を 試 験 す る 回 路 で,例
6.3kV/210V,50Hzの 損 は 各150W以
method)に
と し,そ
れ ば 足 り,負
380×3.2=1200〔VA〕
負 荷 電 流 は 各3%以
後 と み る と,次
量 は,定
下,無
負荷
の よ うな 電 源 で 足 り る。
の 電 源 容 量 は20×0.03×2=1.2〔kVA〕
荷 損 は6300V側
6300×0.03×2≒380〔V〕,容
え ば, A,B が い ず れ も20kVA,
か ら 供 給 す る と し て,必
格 電 流 が20×103/6300≒3.2〔A〕
程 度,そ
の電
要 な 電 圧Vcは, で あ る か ら,
あれ ば足 りる。
この よ うに,返 還負 荷 法 に よれ ば極 めて 小 さい電 源 容 量 で試 験 を行 う こ とがで き,実 負 荷 法 に比べ て電 力 量 が著 し く節 約 で きる。 同 図(b)は,無 kVA2
負 荷損 お よ び負 荷 損 を 同 じ側 か ら供 給 す る方 法 で,A
台 で あ る と し,210V側
13〔V〕,し か し,電 流 容 量 は20×103/210≒95〔A〕 同図(c)は,A,B
とBが 前記 の20
か ら無 負 荷 損 を供 給 し,負 荷 損 源 はVc≒210×0.03×2≒
の タ ップ に差 を つ け,そ
を 要 す る。
の電 圧 差 が 2台 分 の イ ン ピー ダ ンス電 圧 に
近 い 値 で あ る場 合 に適 用 で き る方 法 で,電 源 一つ で 足 り る。
(a) Vi,Vcを
両 側 か ら供 給す る方 法
(b) Vi,Vcを 法
同 じ側 か ら供 給 す る方
(c) タ ップ 電圧 差 によ っ て 循 環 電流 を 流 す方 法
(d) 三相変圧器の返還負荷法 図3・48
同 図(d)は,三
返 還負 荷 法 に よ る温 度試 験
相 〓-△ 結線 の変 圧器 A,B を返 還負 荷 法 で試 験 す る回 路で,両
次,二 次 を それ ぞ れ並 列 に結 び,〓 結 線 側 か ら無 負荷 損 を 供給 す る とすれ ば,Viは 電 圧 に し,△ 結 線 側 に負 荷 損源 を結 ぶ。Vcの
者 の一 定格
大 き さ は,△ 側 か らみ た 1台 の イ ン ピー ダ
ンス電 圧 の 2倍 だ け あれ ば足 りる。 (d) 温 度 測 定 法
抵 抗 法 に よ って測 る。抵 抗 測 定 は試 験 中 の電 源 を一 旦 切 って手 早 く測
る。 温度 上 昇 は 抵抗 値 の 変 化か ら,式(1・13)で
求 め られ るが,同 式 に お いて,ta=tな
ら,
巻 線 温度T〔 ℃ 〕 は, T=
Rr /Rt
(234.5+t)-234.5〔
℃ 〕
で求 め られ る。 この抵 抗 測定 は,電 源 を切 った 後直 ちに行 うの で あ るが,こ の 間 温度 が 下 が るので,電 源 を切 った 瞬 時 の抵 抗 値 を 求 め る方 法(例 え ば,抵 抗値 と し ゃ断 後 の 経過 時 間 の 関係 曲 線 を求
め,時 間 零 の点 へ 延 長 す る)を 講 じる必 要 が あ る。 (6)耐
電圧試験
耐 電 圧試 験 は,(a)加 圧 試験,(b)誘
導 試 験,(c)衝
撃電 圧試 験 に
わ け られ る。 (a)加 70Hz)を
圧試験
この試 験 は,各 巻 線 と大 地 との間 に表3・6の
交 流電 圧(周 波 数 は40∼
1分 間 加 え る試 験 で あ る。 被 試 験巻 線 以 外 の 巻 線 端 子 はす べ て タ ンクと と も に接
地 して お く。 試 験 は表3・6の
試 験 電圧 の1/3以 下 の電 圧 を まず 加 え,そ
の後 電 圧計 が 確 実
に 読 め る範 囲 の で き るだ け早 い速 度 で試 験電 圧 値 まで 上 げ,1 分 間継 続 す る。 試 験後 は 手早 く試験 電 圧 の1/3以 下 に下 げ,回 路 を切 る。 表3・6(a)
表3・6(b)
乾式変圧器および衝撃電圧 に耐 え る設計としない油入変圧器の 交流試験電圧
衝撃電圧試験に耐える設計の油入変圧器巻線の 交流試験電圧
*B を付 した 階 級 は ,雷 の ひ ん度 が 少 な い場 所 に 設 置 され る変 圧器 に適 用 す る。
(b)誘
導試験
この 試 験 は,コ イル の タ ー ン間,タ
ップ間 な どに常 規 の ほ ぼ 2倍 の電 圧
を 誘 起 させ て 耐 電圧 を調 べ るた あに行 う もので,電 圧 は 試 験 され る巻 線 の端子 間 に加 え る。 定 格周 波 数 で は 励磁 電 流 が 過大 にな るの で,周 波 数の 高 い電 圧 を加 え る。 試験 時 間 は,定 格 周波 数 の 2倍以 下 の場 合 は 1分 間 とし,2 倍 以 上 の周 波 数 を用 い る場 合 の 試験 時 間 は, 試験 時 間(秒)=120×
定格周波数/ 試験周波数
と す る。 (c)衝
撃電 圧 試 験
巻 線が 雷 の よ うな衝 撃 性 の電 圧 を加 え られ た場 合 の絶 縁 強 度 を調 べ
る試 験 で,接 地 試 験 と非 接 地試験 にわ け られ,前 者 は さ らに さい 断波 試験 と全 波 試験 に別 け られ る。
表3・7衝
(ⅰ)接
地 試験
図3・49の
撃 試 験 電圧
よう に,供 試巻 線 の一 端 を接 地 し,他端 か らさ い断波 お よび
全波 衝 撃電 圧 を加 え る試 験 で あ る。非 供 試巻 線 端 子 は数 百 Ω の抵 抗 を通 して接 地 してお く。 試 験 電 圧の 波 形は,図3・50に に,波
頭長Tf=1〔
〔 μs〕で,電 表3・7の
示す よう
μs〕,波 尾 長Tt=40
圧波 高 値 は絶 縁 階 級 に応 じて
値 とす る。 さ い 断波 とは,同
の破 線 の よ うに波 尾 長 以 内 のTcの
図
瞬時に
突然 零 に な る よ うな電 圧 を い う。 さい 断波 試 験 は,変 圧器 入 口端子 付 近, 図3・49接
地試験
例 えば が い し,ブ ッシ ング な どで フ ラ ッシ オ ーバ を起 こ した場 合 の よ うに,衝 撃 性 で かつ 波 尾 が急 に零 に な るよ うな 電圧 に対 す る巻 線 の絶 縁 強度 を 調 べ るた め に行 う。
図3・50衝
撃 電 圧 波形
図3・51非
接地試験
接地 試 験 は,は じめ に さい 断 波試 験 を,次 に 全波 試 験 を行 う。 (ⅱ)非
接地 試 験 図3・51の
よ う に,供 試 巻線 の 一 端 に全 波 の衝 撃 電圧 を加 え る試 験
で あ る。 巻 線 の他 端 は 開放,ま た,非 供試 巻 線 端子 は 完全 に接 地 して お く。 電 圧 波形 お よ び波高 値 は 接地 試 験 と同 じで あ り,全 波試 験 だ け を行 う。 (ⅲ) 電 気設 備 技 術 基準 に よ る絶縁 耐 力試 験 変圧 器 が現 地 に据 え付 け完 了 した と き に 行 わ れ る試 験 で,同 省 令第16条
に詳 し く記 され て い る。 にの試験 は10分 間 加 圧 され る。
練
1.出 力2kWお
よび8kW(い
習
問
題
3.
ず れ も力 率100%)の
と き,同 じ効 率96%と
な る単相
柱 上変 圧 器 が あ る。 (a)出
力8kWに
(b)最
大 効 率は い く らの 出力 で得 られ るか 。
(c)最
大 効 率 の値 は い く らか。
2.あ
お け る銅 損 お よび鉄 損 は い くらか。
る変 圧 器 の 効率 が85%の
負荷 で最 大 に な ると い う。 全 負 荷 お よ び1/2負 荷 にお け
る銅 損 と鉄 損 の 比 を求 め よ。 3.あ
る変 圧 器 の 一定 力 率 負 荷 にお け る効 率 は3/4の 負 荷 に お いて 最大 とな り,力 率80%
の とき の最 大 効 率 は97.5%で
あ ると い う。 この変 圧 器 は力 率100%,全
負 荷 に おい て
効率 は何%に な るか 。 4.定 格 出力3000kVA,電 の負 荷 で2.0%,力 圧,%漏
圧 比20kV/3kVの
率80%(遅
単相 変 圧 器 の電 圧 変動 率 が,力 率100%
れ)の 負 荷 で5.0%で
あ ると き,に の変 圧 器 の%抵 抗 電
れ リア クタ ンス電圧 お よび にれ らを二 次 に 換算 した値 は そ れ ぞれ 何 Ωか。
5.遅 れ 力率75%の
定 格 負 荷 にお い て,電 圧変 動 率 が5%と
変 圧 器 が あ る。 この変 圧 器 に60Hzの らにな るか 。 た だ し,定
な る定格 周 波 数50Hzの
同 じ条件 の 負 荷 を か けた と き 電 圧 変 動率 は い く
格状 態 に お け る漏 れ リア クタ ンス電 圧 は 抵 抗電 圧 の10倍
とす
る。 6.容 量15000kVA,電
圧66kV/11kVの
単相 変 圧 器 の イ ン ピーダ ンス試 験 を行 い,低
電 圧 側 か ら定 格 電流 を流 した と き, イ ン ピーダ ンス電 圧 V2s=600〔V〕, で あ った 。 この変 圧 器 の遅 れ 力 率80%に
イ ン ピー ダ ンス ワ ッ ト=100〔kW〕
お け る電 圧 変動 率 を求 め よ。
7. 一 次,二 次 の定 格電 圧 の等 しい 2台 の変 圧 器が あ る。 一 台 は容 量10kVA,イ ダ ンス電 圧5%,他
は容 量30kVA,イ
ンピー ダ ンス電 圧3%で
ンピー
あ る。 また,実 効 抵 抗
と漏 れ リア ク タ ンス の比 は等 しい。 この 変圧 器 を並 列 に接 続 して,二 次 側 に30kVAの 負 荷 を か けた と きの各 変 圧器 の 負荷 分 担 を求 め よ。 8. 一 次 に換 算 し た漏 れ イ ン ピー ダ ンス が3+j2〔
Ω 〕 であ る等 しい定 格 の変 圧 器 に並 列
に運 転 され て い る。 そ の うち 1台 を漏 れ イ ン ピー ダ ンスが2+j3〔
Ω〕 で あ る同 じ定 格
の変 圧 器 に取 り換 えた とき,負 荷電 流 を 同 じとす れ ば,各 変圧 器 の電 流 は ど う変 化す る か 。 9.
問 図3・1の
よ う に 変 圧 器 2台 を 並 行 運 転
し て い る。 こ の う ち 1台 は 定 格 出 力10000 kVA,イ
ン ピー ダ ン ス6%,他
20000kVA,イ
ン ピ ー ダ ン ス8%で
荷 電 流 を200Aと
す れ ばI1,I2は
は 定 格 出力 あ る。 負 各 い く らか 問 図3・1
を 計 算 せ よ。
10. 一 次 お よび 二 次 の定 格電 圧 が相 等 しい A,B 2台 の単 相変 圧 器が あ る。 A変 圧器 は, 定 格 出 力30kVA,イ
ン ピー ダ ンス 電圧3%,B
変 圧 器 は,定 格 出 力50kVA,
イン
ピーダ ンス電 圧5%で
あ る。 にの 両 変圧 器 を並 列 に接 続 して,二 次 に70kVAを
負荷
す る場合,A 変圧 器 は何%の 過負 荷 とな るか 。 た だ し,両 変 圧 器 の実 効 抵抗 と漏れ リア ク タ ンス の比 は それ ぞ れ相 等 しい もの とす る。
第 4章
誘 導 機(induction
machine)の
誘
導
機
うち三相 誘 導 電 動機 は,第 1章 で も述 べ た よ うに,最 も広
く用 い られ て い る電 動 機 で あ る。三 相 誘 導電 動 機 に は,回 転子 の構 造 に巻 線形(wound-rotor type)と か ご形(squirrel-cage
rotor type)が あ り,後 者 は 構 造簡 単,頑 丈 で,効 率,力 率
も よ く,定 周 波 電源 で 運転 し,速 度 制 御 を しない 場合 は最 もよい電 動 機 とされ て い た。 しか し,最 近 は,可 変周 波 電源 が 比 較的 容 易 に作 れ るよ うにな り,可 変 速 度 運転 を す る場 合 に も か ご形 の良 さが 発揮 で きる よ うに な って きて い る。 一方
,巻 線 形 機 は,大 き い始 動 トル クを得 る こ とが で き,か つ,速 度制 御 が で き るた め,
大 容 量 の誘 導 電 動機 に広 く用 い られ て い る。 この章 で は,は
じめ に三 相 誘 導電 動 機 の構 造,特 性,始 動,速 度制 御 な ど の問題 を考 え,
後 で単 相 誘 導 機 につ いて述 べ る。
4・1三
相誘 導 機 の構 造
三 相誘 導 機 の主 要 部 は,電 気 的に は 一次 巻 線 と二 次 巻線 とで 構成 され,一 般 に一 次 巻 線 は 固定 子 側 に,二 次 巻 線 は回 転 子側 に お かれ る。 それ ぞ れ が成 層 鉄心 に 設 け た ス ロ ッ ト内 に収 め られ る。 二 次巻 線 の構 造 は前 記 の よ うに巻 線 形 とか ご形 に分 け られ る。 〔1〕 固 定子 鉄 心 固定 子 鉄心 は,小 形 機 の 例 で は図4・1の
よ うに,け い素 鋼板 ま たは け い素鋼 帯(総 称 して
電気 鉄 板 と もい う)を 打 ちぬ いて積 み重 ね て つ く る。 これ を成 層 鉄 心 とい う。 素 板 の厚 さは0.35 ㎜
ま た は0.5㎜
S23∼S18な
で,表1・2の
けい素 鋼 帯 の
どが よ く用 い られ る。 図4・1の
よ
うに 固定 子 鉄 心 の 内側 に ス ロ ッ トを つ くり,こ れ に一 次 三 相 巻線 を入 れ る。 ス ロ ッ ト断 面 の形 は 電 動機 の電 圧 に よ って異 な り,図 の例 は 低圧 用 で, 半 閉 ス ロ ッ トといい,ス て い る。 図4・2は
ロッ ト入 口が せ ま くな っ
高圧 電 動 機 の ス ロ ッ トの例 で,
図4・1小
形 三 相 誘 導機 の 鉄 心例
(b)1コ イ ル の 形
(a)軸方 向 か ら み た 固 定 子 断面 略 図 図4・2100kW,6
極,3000Vか
ご
図4・3三
相,4
極,24ス
ロ ッ ト(q=2)
の 一 相 分 の 巻線
形 機 の 固定 子 鉄 心 例(全 ス ロ ッ ト数54)
こ れ は開 放 ス ロ ッ トで あ る。高 圧 で は電 機子 コ イル の絶 縁 を 終 わ って 固 く型 造 った コ イル を スロ ッ トに入 れ るた め に開 放 ス ロ ッ トを 用 い る。 固定 子 鉄 心 全 体 の ス ロ ッ ト数 は(3× 極 数)の 整 数倍 の もの が多 い。 す な わ ち,全 ス ロッ ト 数 を(3× 極 数)で 割 った値 qは整 数 で,こ れ を毎 極毎 相 の ス ロ ッ ト数 とい う。 qは大 容 量 で 2極機 の場 合 は7∼10な
ど も用 い られ るが,中,小
容 量 の もの で は 3ない し 4が 多 く用 い ら
れ る。
〔2〕 固 定 子 巻線 固 定 子 に 設 け ら れ る 三 相 巻 線 に は,二 の コ イ ル 辺 を 入 れ る 巻 き 方,後
層 巻 と単 層 巻 と が あ り,前
単 な 二 層 巻 三 相 巻 線 の 例 を 図 4 ・3に 示 す 。 図 は 全 ス ロ ッ ト数24,4 ッ ト
qは 2で あ る。
図4・3の
1 コ イ ル の 形 は,同
図(b)の
例 で は 1極 当 た り の ス ロ ッ ト数 は 6で,コ
で 電 気 的 に180° う 。 な お,180°
で あ る が,一
極 で,毎
よ うで あ る こ と は 図1・6で
例 の よ う にq〓2を
pitch)巻
極毎 相 のス ロ も示 した 。
イ ル の 広 が り 幅 b は 6 ス ロ ッ ト分 の 幅
般 に 幅 b は180° 以 下 に す る 。 こ れ を 短 節(short
に 等 し い 場 合 を 全 節(full
ま た,図4・3の
者 は 1ス ロ ッ ト内 に 二 つ
者 は 1ス ロ ッ トに 一 つ の コ イ ル 辺 を 入 れ る 巻 き 方 で あ る 。 簡
pitch)巻
とい
と い う。
分 布(distributed)巻
と い い,q=1を
集 中(concentra-
ted)巻 と い う。 短 節 巻 も 分 布 巻 も 巻 線 に 流 れ る 三 相 電 流 に よ っ て 生 ず る ギ ャ ップ の 起 磁 力 分 布を正 弦 波 に近 づ け るた め に用 い るので あ る。 図4・3で
は,三
る 。 す な わ ち,三
相 の う ち 一 相 だ け を 示 し,他
の 二 つ の 相 は 巻 き始 め の 位 置 だ け が 示 して あ
相 巻 線 と は 三 つ の 巻 線 を 空 間 的 に120°
ず つ ず ら して 配 置 した 巻 線 で あ る 。
図4・4は
図4・3の
図4・5は,最
略 図 を別 の形 で 示 した もの で,こ れ を 展 開 図 とい う。
近 広 く用 い られ てい る機 械巻 の三 相 巻線 の例 で,ド
ラムか ら引 き出 され た
電 線 が巻 線 機 を経 て 固定 子 鉄心 の ス ロ ッ ト内へ 入 り,人 手 を 経 ない で 三相 巻 線 が 巻 き込 ま れ る 。 機 械巻 で は単 層 巻 が 用 い られ,図 の 例 は,4 極,全
ス ロ ッ ト数36,q=3,か
つ,全 節
巻 で あ る。 各 相巻 線 の巻 き始 め にはUVW の記 号 を,巻 き終 わ りに はxyzの 記 号 を 用 い て あ り,こ れ らの端 子 間 の 結 び方 に よ り,図4・5(b)に 示 す よ うに,〓 ま た は△ 結 線 に で き る。 実 際 の巻 線 に は〓 お よび△ の 両 結線 が 用 い られ,ど ち らを 選 ぶ か は,電 動機 の定 格 出力,定 格 電 圧 等 に よ って 決 め られ る。 例 え 図4・4図4・3の
(a)4
(b)図(a)の
極36ス
ロ ッ ト,単 層,三
巻 線 の 展 開図(一
巻線構成
相巻線の例
図4・5三
相 単層 巻 巻 線
相 分 の み示 す)
表4・1固
ば,低 圧 で数 十kWと
定 子 〓 ま た は△ 結 線 の例
い うよ うな場 合 は線 路 電 流 が大 き くな るの で,巻 線 電 流 を 少 な くす
るた め に △結 線 と し,か つ,極 数 に 応 じて多 重 △ とす る。 表4・1は
人 ま た は△ 結 線 の 例 で
あ る。 な お,図4・3(図4・4も
同 じ)の よ うに,六 角形 の コ イル が 1ス ロ ッ トずつ ず れて 次 々 に
重 ね られ る形 の 巻線 を 重 ね巻 とい い,図4・5の
よ うに,広
が り幅 の 異 な るい くつ か の コイ
ル で一 相 分 とす る巻 き方 を くさ り巻 と い う。 ただ し,図4・5の
例はUか ら
xへ通 る電 流 は等 しいか ら,図 の 幅 b を コ イル 幅 とみれ ば,全 節 巻 で あ る。 〔3〕 巻 線 の起 磁 力 こ こで,固 定 子 三 相 巻 線 に 三相 電 流 が流 れ る とき は に生 ず る起 磁 力 に つ いて
(a)分布 の原 形 と基 本 波 分
考 え て み る。 (1)単
ー コ イル に よ る起 磁 力
図4・6は,巻
数 n回 の全 節 の コ イル
ー つ が あ り,こ
れ に 電流i〔A〕
を流
した 場 合 の起 磁 力 を考 え た もの で,固
(b)第3高調 波 分
定 子 お よび回 転 子 鉄心 の磁 気 抵 抗 を 無 視 し,起 磁 力 の す べ て が ギ ャ ップ に 費 や され る と し,か つ,ギ ャ ップ 長 さを 一 様 とす れば ,起 磁 力分 布 は,高 さni 〔AT〕 の矩 形 波状 と な る。
(c)第5高 調 波 分 図4・6全
節 の単 一 コイ ル に よ る起 磁 力 分 布
この矩 形 波 を フー リェ級数 は につ くる と,
(4・1) とな り,こ の級 数 は 奇 数 高 調波 だ けで 表 され る。 そ う して,4/πnisinθ を 起 磁力 の 基 本 波 とい い,第
2項 以 下 を 高調 波 とい う。 高 調 波 の 振
幅 は,そ の次 数 に反 比 例 して小 さ くな って い る。 図4・6の
矩 形 波 の高 さは 電 流 iに比 例 す るの で,i が 正 弦 波交 流 で, i=Imsinωt
で 表 され るな らば,起 磁 力 の 高 さniは F1=
4/
時 間 に対 し正 弦状 に変 化 し,そ の 基 本 波 分 は,
πnImsinωtsinθ=F0sinωtsinθ
た だ し, F0=
4/
(4・2)
πnIm
と な って,時 間 的 に も空 間的 に も正 弦状 に変 化 す る。 (2) 各 相 1コイ ル の 三相 巻 線 に よ る起 磁 力
図4・7は,各
相 に 全 節 巻 の コ イルー つ
だ けを もつ 2極 の 三 相巻 線 の略 図 で,こ の よ うに コ イル 数 の少 ない 電 動 機 は 実際 には 使 われ な い が,起 磁 力 の 分 布 を 考 え る一 段 階 と して 仮 定 した もの で あ る。 図4・8の
よ うな 対 称 三 相 電流 を 図4・7の
の合成 は時 刻 に よ って 異 な り,図4・8の
iu=Im,
図4・7各
- Im iv=
iw=
/ 2'
三 相 巻線 に流 した 場合,各 相 に よる起 磁 力 分 布 ωt=α=π/2の 瞬 時 を考 え る と,
-Im /2
相に全節巻のコイ ル 1個 だ け を お い た 2極,三
相巻線
図4・8対
称 三相 電 流
で あ り,u,v,w各
相 に よ って つ くられ る 図4・6の
よ うな矩 形 波起 磁 力 分布 を合 成 して み る
と,図4・9(a)の
よ う に な る 。 つ ぎ に ωt=β=2π/3の
瞬 時 に は,
(a) ωt=a=π/2 の瞬 時
で あ り,こ の 瞬 時 の合 成 起 磁 力 の分 布 は,図4・9(b)の
よ うに な る。
図4・9(a)と(b)を
比 べ る と起 磁
力 分 布 波 形 が異 な る だ けで な く,分 布
(b) ωt=β=2π3
波 形 の 中心 が 図(b)は 図(a)よ り π/6 の瞬 時
だ け移 動 して い る。 この 移 動 は,ωtを さ ら に5π/6,π,… … な ど に と って 合 成 起 磁 力 分 布 を つ くって み る と,時 間 と と もに θの増 大 す る側 へ 移 り,電 流 が 1サ イ クル す る 間 に θ=2π だ け 移 動 す る こ とが わ か る。 い ま,図4・9の
図4・9
図4・7の
電 動 機 の ギ ャ ップ 合 成 起 磁 力
起 磁 力 を各 相 の 基 本波 分 だ けを とっ て考 え る と,つ ぎの よ うに なる 。
u相 に よる起 磁 力 の 基本 波 分
た だ し,
一相の起磁力の基本波分最大値
v相 に よ る起 磁 力 の基 本 波 分
(4・3)
w相 に よ る起 磁 力 の基 本 波分
式(4・3)の 各 起 磁力 の 合成 をF1と
す る と,
(4・4) π/2
と な る。 この起 磁 力 分布 は,
ωt=α=
の瞬 時 に は,
(4・5)
基 本 波 分 で あ る 。 ま た,
ωt=β=
2π/
3
と な る 。 こ れ は 図4・9(a)の
の 瞬時 に は,
(4・6) これ は,図4・9(b)の 図4・9(a)と(b)は
起 磁 力 の 基 本 波分 で あ る。 最 高 高 さの 比 は2:√3と
を と って 合成 してみ る と,式(4・5)お (3)回
転起磁力
式(4・4)は
の 振 幅 はF0×3/2で,こ
な って い るが,各 相 の起 磁 力 の 基 本 波分
よ び式(4・6)と
同 じよ うに な る。
回 転起 磁 力 を 表 す式 で,空 間 に対 す る分布 は正 弦 波,そ
れ をFm1と
す れ ば,このFm1を
振 幅 とす る正弦 分 布 の 起 磁 力 が時
間 tと とも に θの増 加 す る方 向へ 移 動 して い る。 F1=Fm1と
な る よ う な 位 置 は ωt-θ=0,す
の 移 動 す る 速 度 はdθ/dt=ω=2πf〔rad/s〕
な わ ち θ=ωtの
所 で あ り,こ
2f
こ こ で,v
相 の コ イ ル にiwを,w
磁 力 はつ ぎの よ うに な る。 Fu1=F0sinωtsinθ
〔rad〕
な る。 これ が
表せ ば,
Ns=120f/P〔rpm〕 と な る 。 こ れ を 同 期 速 度(synchronous
×2π=Pπ
〔s〕 で あ る 。
あ り,毎 分 で は60×(2f/P)=120f/Pと
基本 波 回転 起 磁 力 の回 転 速度 で,Nsで
P/ 2
で あ る か ら,一 周 に要 す る時 間 はPπ/2πf=
P/
電 動機 の極 数 が P の場 合 は,ギ ャ ップ を 一周 す る長 さを 電気 角 で 表 せ ば
よ って,毎 秒 の回 転 数 は2f/Pで
の よ うな位 置 θ
で あ る。
(4・7)
speed)と
い う。
相 の コ イ ル にiuを
流 し た 場 合 を 考 え る と,基
本波起
F1=Fu1+Fv1+Fw1 =3F0/
cos(ωt+θ)
2
(4・8)
とな って,こ の 起 磁 力 は,式(4・4)と 転 の向 きは 式(4・4)と
反 対 で あ る。
三 相 誘 導 機 の 回 転子 は,後 が,式(4・8)の
同 じ大 き さ,同 じ速 度 で,同 期 速 度 で 回転 す るが,回
で も述 べ る よ うに,回
転起 磁 力 の 回 転 方 向 へ 回わ るので あ る
よ うに.三 相 電 流 の うち,二 つ を 入 れ かえ る こ とに よ り逆 転 す る起 磁力 が つ
くれ る。 この こ とか ら,実 際 の電 動 機 の運 転 にお い て は,三 相 の 3線 の う ち任 意 の 2線 を 入 れ か え て,動 機 へ結 ぶ こ とに よ り,電 動 機 の回 転 方 向 を変 え る こ とがで き る。 (4)単
層 全 節 三 相 巻線 に よる起 磁 力
図4・5に
示 した 三 相巻 線 に三 相電 流 を 流 した
π
図4・10(a)は,図4・8の
三相 電 流 の
ωt=α=
/2
の瞬 時, す な わ ちiu=Im,iv=iw=
Im / 2
場合の起磁力を考え る。
と な って い る 場 合 の電 流 分 布 を示 し,同図(b)は この瞬 時 の起 磁 力分 希 を 示 した もの で あ る。 この 図 の(b)の 起 磁 力 の基 本 波分F1は,次
の よ うに して 求 め られ る。
(a) iu-Imの 瞬 時 の電 流分布
(b) iu=Imの 瞬 時 の起 磁力分布
(c) iu=√3/2Im
i ω
√3 I / 2 m
iυ=0
の瞬時の 起磁 力分布
図4・10三
相 くさ り巻 単層 巻 線 に 三相 電 流 を 流 した と きの起 磁 力
(4・9)
ま た,同 図(c)の 起 磁 力 の基 本 波分F1は,
(4・10)
と な る。
ま た は,図4・10(a)の 央 の 所 を θ=0に
電流 分 布 か ら直 接 求 め る と,ま ず u相 の三 つ の コ イル の うちの 中
と る と,iu=Imの
瞬時 に u相 の 三つ の コイ ル が作 る起磁 力 の 基本 波 分 は,
Fu2=F0sinθ
よ っ て,こ
れ ら の 和 は,
Fu=Fu1+Fu2+Fu3
(4・11)
ま た,同
じ時 刻 に v相 が つ くる起 磁力 の 基本 波 分 は,
(4・12)
同 様 に して,w 相 が つ くる起 磁 力 の基本 波分 の和 は,
/
(4・13)
よ っ て,u,v,w相
の 起 磁 力 の 基 本 波 分 の 和 は,
(4・14)
と な り,式(4・14)は
式(4・9)と
な お,式(4・11)に
同 じで あ る 。
お い て,2.879と
い う係 数 が あ る が,こ
れ は 同 じ相 に 属 す る コ イ ル が 三
つ の ス ロ ッ トに 別 け て お か れ た た め に 生 じ た も の で あ る 。 こ れ は,三
コ イル が 一 箇所 に 集 中
して お か れ れ ば 3 と な る べ き も の で あ る。 そ う して, 2.8794/3=0.9598 を 分 布 係 数(distribution (5)二
層,短
factor)と
い う。
節三 相 巻 線 の 起 磁力
図4・3お
よ び 図4・4に
(a) ωt=π 2の
瞬時の電 流分布
(b) ωt=
π /2
の
瞬時の起 磁力分布
(c) ωt=2
π/ 3
の
瞬時 の起 磁 力分布
図4・11二
層,短 節 三 相 巻線 の 起 磁力 分 布
示 し た,二
層,短
節,q=2
の三 相 巻 線 の 起 磁 力 の 基本 波 は,つ ぎ の よ うに な る。
ωt=
π/2
図4・11(a)は,図4・3の
巻 線 に流 れ る三 相巻 線 の 電 流 がiu=Imと
な る瞬 時,す な わ ち
の 瞬 時 の 電 流分 布 を示 し,同 図(b)は 同 じ瞬 時 の起 磁 力 分 布 を示 す。 この 分布 の基
本 波 分 は,
(4・15) また,同 図(c)の 起 磁 力 の基 本 波 分 は,
(4・16) π/ 6
と お き,こ
π / 2=
factor)と
だ け時 間 が経 過 す る間 に,そ の 分 布
だ け移 動,す な わ ち同期 速 度 で移 動 して い る。
な お,式(4・15)お ding
2 π/3-
位 置 が θ=
π/ 6
とな って,基 本 波 分 の大 き さは一 定 のま ま ωt=
よ び 式(4・16)に
含 ま れ る 係 数0.933を
基 本 波 に 対 す る 巻 線 係 数(win-
い う。 そ う して,
こ に,neはne=0.933×4nで ne=巻
あ る 。 一 般 的 に は,
線 係 数 ×実 際 の 直 列 巻 数
を 有 効 巻 数 ま た は 実 効 巻 数 と いい,分 布 巻 お よび短 節 巻 とな って い る巻 線 の代 りに,巻 数ne の 単 一 コ イル に お きか え,考 察 を 簡単 にす る こ とがで き る。 さ き の係 数0.933は,次
の 項 で 述 べ る分 布 係数kdと
係 数 は基 本 波 に 対 して はkd1=0.9659で ト分 だ けせ ま くした短 節巻 で,q=2の
短 節 係数kpの
あ る。 ま た,図4・11の
積 で,q=2の
分布
巻 線 は コ イル 幅 を 1ス ロ ッ
と きは 1極 当 た りのス ロ ッ ト数 は 6で,コ イル 幅 は 5
ス ロ ッ ト分 で あ り,こ の 場 合5/6の 短 節巻 とい う。 この場 合 の 短 節係 数 は,基 本波 に対 して
はkp1=sin(5/6)×(π/2)=0.9659で
あ り,基
本 波 に 対 す る巻 線 係 数kw1は,
kw1=0.9659×0.9659=0.9330 と して得 られ た もので あ る。 (6)分
布 係 数 と 短 節 係 数 分 布 係 数 は,同
じ 相 に 属 す る コ イ ル が q個 の ス ロ ッ トに 別
け て 配 置 さ れ る こ と に よ っ て 生 ず る 起 磁 力 の 和 が,q=1す
なわ ち 集 中巻 に した 場 合 に比 べ
て 減少 す る こ とを表 す 係 数 で あ る。 1ス ロ ッ トご と の 幅(こ 対 して は π/(3q)〔rad〕 た も の と,q
れ を ス ロ ッ トピ ッ チ と い う)を
で あ り,分
布係数は
π/(3q)だ
電 気 角 で 表 せ ば,基
本波起磁力に
け 位 相 の 異 な る 起 磁 力 波 を q個 加 え
個 が す べ て 同 じ位 相 の と き の 総 和 と の 比 で,図4・12の
よ う に ベ ク トル で 考 え
るこ とが で きる。 三 相 機 で は 一 相 に 属 す る ス ロ ッ トは π/3の 範 囲 に 割 り 当 て られ る 。こ れ を 相 帯(phase と い う 。 図4・12はq=4の で,一
場 合 で,四
つ の 起 磁 力 はAB=2sinπ/(2×3×q)で
つ の 起 磁 力AB,BC,CD,DEの あ る か ら,分
belt)
ベ ク トル 和 はAE
布 係 数kdは,
(4・17)
とな る。 これ が基 本 波 に対 す る分 布 係 数で,q の 値 の変 化 に 対す るkdの 4・2の
値 を 求 め る と,表
よ うに な る。
qが 非 常 に大 き くな ると,kdは
弧 の 長 さAEと
弦 の 長 さACEと
の比 に 近 づ き,q=∞
で は,
とな る。 表4・2基
図4・12分
布 係 数 を求 め る作 図
本 波 に対 す る 分布係数
短 節 係 数(short と に よ り,コ
pitch
factor)は,一
つ の コ イ ル の 幅 b(図4・13)を180゜
イ ル 辺 a,a′に 生 ず る起 電 力ea,ea′
に 生 ず る 起 電 力e0=ea+ea′
が2│ea│=2│ea′│よ
が 同 相 と な ら な い た め に,コ
以 下 にす る こ イ ル 端 子 t,t′
り小 さ くな る こ と を 表 す 係 数 で,図4・13
よ り,
∴
短 節係 数kp
(4・18)
た だ し, α=1-
b /τ
図4・13
この値 のb/τ の 変 化 に対 す る変 化 は,表4・3の を 小 さ くす る とkpが
短節 係 数
よ うに な る。 こ の表 で み る よ うに,b/τ
小 さ くな るので,コ イ ル巻 数 を 減 ら した こ とと等 価 に な り,無 駄 の よ
うで あ る が,後 で述 べ る よ うに,高 調 波 磁 界 に対 す る短 節係 数 は あ るb/τ に お いて 非 常 に 小 さ くな り,高 調 波 起 磁力 を除 くの に有 効 で あ る。 図4・14は,種
々 の コイル ピッチ に対 す る
各 調 波 の短 節 係 数 を示 す 。
図4・14
(7)高
調 波起 磁 力
図4・5の
短 節 係数
矩 形 波 起磁 力 は,式(4・1)の
よ うに 基 本 波の ほか に す
べ て の 奇数 次 の 空 間高 調 波 を 含 ん で い る。 た だ し,そ の 振 幅 は高 調 波 次数 に反 比 例 して小 さ
表4・3
基本 波 に対 す る短 節係 数
くな って い る。 三 相 の各 相 コイ ル が この よ うな高 調 波 を 含 む と き,三 相 分 の 合成 起 磁 力 が ど うな るか を 考 え て み る。 第 3高 調波 につ い て は,u,v,w各 相 の 第 3高 調 波 起 磁力 を,そ れ ぞ れFu3,Fv3,Fw3と 書 け ば,
で あ る か ら,
(4・19) と な って,第 3高 調波 起 磁 力 は u,v,wの三 相 分 を 合成 す る と消 滅 す る。 この こ と は,3 の倍 数 の 奇 数 高 調 波 につ いて も同 じで,す な わ ち第 9,第15,第21,… 第 5高 調 波起 磁 力 の合成 は,つ ぎの よ うに な る。 Fu5=1/
5F0sinωtsin5θ
… 等 の す べ てが 消 滅 す る。
(4・20)
とな って,F5は
回 転起 磁 力 とな るが,振 幅 は基 本 波 の そ れ の1/5,そ の速 度 はdθ/dt=-ω/5
で,基 本波 の1/5の 速 度 で あ り,t の経 過 と と もに 基本 波 起 磁 力 と反 対 の 方 向へ 回 転 す る。 同様 に して,第
7高 調波 を 合 成 す る と,
(4・21)
と な っ て,F7の
振 幅 は 基 本 波 の1/7,そ
の 速 度 も1/7で
あ り,回
転方 向 は基 本 波 のそ れ と同
じで あ る。 高 調 波 の 次 数 を h と し,h=2g+1と g=0は
して 表 す と,
基本波
g=1,4,7,10…
…
g=2,5,8,11…
で は,3
… で は,逆 波 の1/hで
g=3,6,9,12…
…
で は,正
の 倍 数 の調 波 で 合成 起 磁 力 は 零 転 す る 回 転 起 磁 力 と な り,そ ある 方 向 に 回 転 す る 起 磁 力 と な り,そ
基 本 波 の1/hで よ っ て,図4・9の
F7=
1 /5 1 /7
3
ある
の大 き さの基 本 波
/2
F0×
F0×
3 /2 3 /2
の大 き さの 第 5高 調 波
の大 き さの 第 7高調 波
一 般 に は,
の 第2g+1次
高 調 波(た
だ し,g=1,4,7,10…
を含 ん で い る。 図4・10の
の振 幅 お よび速 度 は
起 磁 力 は,
F1=F0×
F5=
の 振 幅 お よび 速度 は基 本
起 磁 力 に は, F1=3F0×
F5=3F0×
3
×0.9598
/2 3 /2
×
1 /5
×0.2175の
の大 き さ の基 本 波
大 き さ の 第 5高 調 波
…
を 除 く)
3
F7=3F0×
/2
×1/ 7
×0.1773の
大 き さ の 第 7高 調 波
を そ れ ぞれ 含 ん で い る。 な お,F5お
よびF7に
含 まれ る数 値0.2175お
よび0.1773は,後
で 述 べ る よ うに,そ
れ ぞ れ第 5高 調 波 お よび第 7高 調 波 に対 す る分 布 係 数 で あ る。 ま た,F1に は,表4・2に
示 した よ うにq=3の
つ ぎに,図3・11の
含 ま れ る0.9598
場 合 の 基本 波 に 対 す る分 布 係 数 で あ る。
起 磁 力 の大 き さは,
等 を それ ぞ れ 含 ん で い る。 な お,F1に
含 ま れ る0.9330は,q=2の
の 短 節 係 数0.9659と るkdhとkphの
(8)高
場 合 の 分 布 係 数0.9659と,b/τ=5/6の
の 積 で あ る 。 な お,F5,F7に
含 ま れ る0.06698は,次
場合 の 項 で も述 べ
積 で あ る。
調 波 起 磁 力 に対 す る分 布 係 数 と短 節 係 数 h次 の 空間 高 調 波 に 対 す る空 間角 は
基 本 波 の そ れ の h倍 に な るか ら,h 次 の 高 調波 に対 して は,図4・11の π/3qはhπ/3qと
な る ので,式(4・17)の
π/3はhπ/3に,
分布 係 数 は,h 次 の 高 調波 に対 して は,
(4・22)
で 表 され,こ
の 値 は 表4・4の
よ う に な る。 ま た,図4・13の
表4・4高
調波に対する分布係数
角 α
π/2
は,h 次 の高 調 波 に 対
π/
して はhα
2
と な るか ら h次 の高 調 波 に対 す る短 節係 数 は,
kph=cos( hα
π/
2
)
(4・23)
とな る 。 〔4〕 回転 子 の 構 成 回 転 子 に はか ご形 と巻 線 形 とが あ るこ と は前 に も述 べ た が,ど の形 で も回 転子 鉄 心 は 固定 子 と同 様 に,素 板 の厚 さ0.35ま (1)か
ご形 回転 子
(a)か
たは0.5mmの
か ご形 回 転 子 は,図4・15(a)の
ご形回転子の鉄心素板 図4・15か
(a)深
電 気 鉄 板 が 用 い られ る。
み ぞ か ご形 の ス ロ ッ トお よ び 導体例 図4・16特
(b)200V,8
よ うに鉄 心 外 周 に 沿 って 設 けた
極,3.7kWの
例
ご形 回 転 子
(b)二 重か ご形 回転子の 鉄心素板 殊 か ご形 回転 子
(c)
ス ロ ッ ト内 に,裸 の導 体 を 入 れ,図4・15(b)の
よ うに 導 体 の端 部 を 端絡 環(end
ring)で 短
絡 して 電気 回 路 を つ くる。 この 形 が か ご の形 を して い るので か ご形 とよ ばれ る。 導 体 は,図4・15(b)の
よ うな 丸棒 の ほか に角 棒 も用 い られ るが,図4・16(a)の
よ うに
帯 状 の も の も用 い られ,半 径 方 向 に 深 い ス ロ ッ ト内に入 れ る方 式 もあ り,こ れ を 深 み ぞか ご 形 とい い,ま た 同 図(b)の よ うに,外 側 お よび 内側 の 二重 にか ご形 を お く方 式 もあ る。 これ を 二 重 か ご形 とい う。 小 お よび 中容 量 のか ご形 機 に,ア ル ミニ ウム を導 体 と した もの が 広 く用 い られ て い る。 こ れ は成 層鉄 心 を つ くり,ス
ロ ッ ト内 へ 高 温 で 溶 か した アル ミニ ウムを 流 し込 ん で,端
絡環
も同 時 に鋳 物 と して つ くり上 げ る もので,ア ル ミダイ カ ス ト回 転 子 と い う。 従 って,か ご形 はつ ぎの よ うに分 類 で き る。 {普通か ご形 … …… …
かご形回転子
小容量機 のみ
深 み ぞ(deep-slot)か
特殊か ご形
{
二 重 か ご 形(double
ご形 … …5kW程 squirrel-cage
type)…
度以上 〃
か ご形 回 転 子 に は,一 次 巻線 の回 転 起 磁 力 に よ って生 じた回 転磁 界 が,回 転 子 各導 体 に起 電 力 を生 じ,こ れ に よ って ほぼ正 弦 状 に 分 布す る電 流 が流 れ て,こ の電 流 と回転 磁 界 の 間 に トル クを生 ず る。 誘 導 機 とい う名 は同 期 速度 で回 転 す る基 本波 回 転 磁界 の 中に お かれ た 回 転 子 に電 磁 誘 導 に よ って 起 電 力 お よ び電 流 を生 じ トル クを 生 ず る こ とか ら名 づ け られ た もの で,回 転子 の 速度 Nrは,一
般 に 同期 速 度Nsよ
s=
り数 % 低 い速 度 で 回 転 す る。 そ う して,
Ns-Nγ/
Ns
を す べ り(slip)と い い,こ の値 が 特 性 を左 右 す る重 要 な因 子 で あ る。 一 次 電 流 の周 波 数 は もち ろ ん電 源 周 波数 で あ るが,回 転 子電 流 のそ れ は 電源 周 波 数 に sを 乗 じた値 に な り,こ れ を す べ り周 波 数 とい う。 普 通 の 運転 状 態 で は sは小 さい の で,す べ り周 波数 は 数Hz以
下 で 直 流 に近 い。
か ご形 の全 周 の 棒 の数 は,ギ ャ ップ の磁 束 分 布 が完 全 な 正弦 波 形 で あ れ ば,何 本 で も よい ので あ るが,空 間 高 調 波起 磁 力 が あ るた め に,あ る棒 数 に お い て異 常 な トル クや 騒 音,振 動 を生 ず る ことが あ る。 従 って,棒 の 数 は 自 由に は選 べな い 。何 本 が 適 切 で あ るか を 解 析 的 に 求 め る に とは非 常 に 困難 で あ る。 異 常 な特 性 を 生ず るの は,固 定 子 と回 転子 の ス ロ ッ ト数 の 組 み 合 わ せ に大 きな 関係 が あ り,例 え ば 棒 数 が 固 定 子 ス ロ ッ ト数 と同 じ組 み 合 わ せは必 ず とい って よい ほ ど悪 い特 性 と な る。 表4・5は,実
際 に 造 られ特 に 異 常 が な い例 で あ る。
表4・5か
ご形 回転 子 の 棒数N2と
固 定子 ス ロ ッ ト数N1
特 殊 か ご形 機 は,誘 導 機 の二 次 回路 の 周波 数 がす べ りに比 例 す る こ とを 利 用 し,周 波数 が 高 い始 動 時 に,表 皮 作 用 に よる 二 次抵 抗 の 増 加 を起 こ させ,運 動 時 に は極 く低 周 波 とな る の で 表 皮 作 用 が な くな り,低 い 抵抗 と な る よ うに工 夫 され た もの で,始 動 時 の特 性 が 普 通 か ご に 比 べ て 若 千良 い 。 (2)巻
線形 回転 子 巻 線 形 回 転子(wound-rotor)は,絶
縁 した コイル を 用 い た 三相 巻
線 を ス ロ ッ トに収 め る。 普 通 は波 巻 巻 線 が 用 い られ,星 形 結 線 と し,そ の 三 つ の 端 子 は主 軸 の端 に設 け られ た三 個 の ス リップ リン グに結 んで あ る。 ス リ ップ リング は ブ ラシを 通 して 回 転 子回 路 を外 部 へ 導 び くた め の装 置で,外 部 に可 変 抵 抗 器を つ な ぐと か,ス
リ ップ リングを
通 して外 部 か ら三 相 電 圧 を 加 え る こと もで き る。 図4・17は,巻
線 形 回 転 子 の鉄 心 の例 を,図4・18は
電 気 回 路 を示 す。 こ の回 路 図 の表 し
方 は特 性 解 析 に しば しば 用 い られ る。 図 の θは u,u′ の 巻 線 軸 間 のず れ の 角 で,電 動 機 が 定 速度 で 回 転 して い る 場合 を 考 え る と,θ=0゜ に な った 瞬 時 をt=0と e=P/2×(2πNγ/60
して,任 意 時 刻t に お いて θは,
)t(rad)
(4・24)
で 表 され る。 図4・19は,3000V,6
極,37.5kWの
巻 線 形 回 転 子 の 例 を 示 す も の で,全
ス ロ ッ ト数
図4・17巻
線形 回転子の 鉄心素板例 図4・18巻
図4・19巻 72(毎 極,毎 相 で はq2=4),巻 数 は2×6×4=48本
線形電動機の電気回路
線形 回転子の巻線例
線 は波 巻,1 ス ロ ッ ト内の 導 線数 は 2本 で,一 相 の直 列導 線
で あ る。
これ に対 し,一 次 の一 相 の 有 効直 列 導 線 数 は1188本
で,1188/48=24.8を
導 線 数比 また
は 巻数 比 とい う。 〔5〕 ギ ャ ッ プ 固定 子 と回 転 子 の 間 の隙 間 を 空隙 また は ギ ャ ップ(gap)と
い い,誘 導機 は直 流機 や同 期 機
に 比 べ 著 し くせ ま い。 ギ ャ ップを 広 くす る と機 械 工 作 上 は好 都 合 で あ る が,回 転磁 界 を つ く るた め の電 流す な わ ち励磁 電 流 が 多 くな り,電 動 機 の 主要 特 性 の う ち力率 が 悪 くな る。
ま た,ギ
ャ ップは 全 周 に わた って 一様 で あ るべ きで,不 平 等 が あ る と磁気 的 な力 の不 平 衡
を 生 じ振 動 や 騒音 の原 因 とな る。 一 方,ギ ャ ップ が不 当 にせ ま い と後 で 述べ る漏 れ リア クタ ン スが 大 き くな り,最 大 出力 や 最大 トル クを 低 下 させ,鉄 損 も増 すの で,ギ ャ ップ 長 の 決定 は 設 計 上重 要 な問 題 で あ る。
図4・20
ギ ャ ップ 長 さ(中 村 辰 二 博 士 に よ る)
実 際 の 電 動機 のギ ャ ップ長 は お よそ 図4・20の
4・2
よ うな値 で あ る。
三 相誘 導 機 の特 性
三 相 誘 導 機 が1880年
代 に発 明 され て以 来,構
造 の進 歩 と と もに,動
作理 論 の解 析 に つ い
て も早 くか ら急 速 に進 め られ た 。 は じめ は対 称 三 相電 圧 が 加 え られ,定 常運 転 され る場 合 の 特 性 追 究 が主 で あ った が,電 源 電 圧 の不 平 衡 や,電 動機 側の 巻 線定 数 の 不平 衡 が あ る場 合 の 特 性,さ
らに始 動 時 の よ うに電 圧 を 急 に加 え た 場 合 の電 気 的 お よび機 械 的 な過 渡 現 象,電 圧
や 負 荷 が 急 に変 化 した 場合 の過 渡現 象 の解 析 も行 われ た。 巻 線 の 起 磁力 に含 まれ る高 調 波 分 の影 響 や,ギ
ャ ップ に面 して ス ロ ッ トが あ る こ とに よ る
磁 気 抵 抗 の 不平 等 な どを考 慮 に入 れ た解 析 は,古
くか ら行 わ れ た が,困 難 な 問題 の 一 つ で あ
る。 近 年 に な って 印加 電 圧 に著 し くひず み が あ る場 合 や,従 来 ほ とん どが 定 周波 数 の 電 源 を用 い た ので あ る が,可 変 周 波数 で,か つ,ひ ず み波 電 圧 を加 え る例 が多 くな り,こ の よ うな場 合 の特 性 検 討 が 行 わ れて い る。
誘 導 機 は,変 圧 器 の よ うに一 次 と二 次 の 回路 が あ って,二 次 は 一 次 か らの誘導 に よ って 電 流 が流 れ て 動 作 す るの で あ るが,変 圧 器 と異 な るの は,二 次 回 路 が 回転 す る こ とで あ り,ま た二 次 回 路 の 周 波 数 が さき に も述 べ た よ うにす べ り周 波数 とな って い る ことで あ る。 この こ とを計 算 上 どの よ うに 扱 うか に よ って,解 析 の と りか か り方 は一 通 りで は ない 。 〔1〕 巻線 の イ ン ダ クタ ン ス (1)有
効 イ ン ダ ク タ ンス
さき に巻 線 係数 の所 で述 べ た よ うに,誘 導 機 の 一相 の 巻線
は 一極 分 だ けを 見 て もい くつ かの ス ロ ッ トに 分布 して 入 れ られ るの で あ る が,こ れ を集 中 し た 一 つ の巻 線 にお きか え,実 際 の 巻 数 の代 わ りに 有 効巻 数 を考 え る こ とがで き る。 図4・21は
この 仮 想 集 中巻 巻 線 で,こ の 巻
線 に 電 流i1〔A〕 は,ギ
を 流 す とき に生 ず る起 磁 力
ャ ップ部 分 で は図4・4(a)の
よ うに
図4・21一
相を代表す る仮想集中巻巻線
な り,有 効 巻 数 をne1と す ると起 磁 力 の基 本 波分 の最 大 値 は,4ne1i1/π とな る こ とは さ きに 述 べ た 。 こ の起 磁 力 の す べ てが 長 さ δ〔m〕の ギ ャ ップ 部 分 に働 ら くと し,す な わ ち固 定 子 お よび 回 転 子鉄 心 の磁 気 抵 抗 を無 視 す ると,起 磁 力 の平 均 値Favは
最 大 値 の2/π 倍 で,
(4・25) であ る。 この起 磁 力 が 面 積 τli〔 ㎡ 〕,長 さ2δ 〔m〕の磁 路 に 働 ら く(た だ し,τ は一 極 間 隔 〔m〕,liは 鉄 心 の軸 方 向 の 有効 長 さ 〔 m〕)と きに生 ず る磁 束 を φ 〔Wb〕 とす る と,
(4・26)
で表 され る。 た だ し,μ0=4π ×10-7は 真 空 の透 磁 率 で,空 気 の 比透 磁 率 を 1とす る。 図4・21の
巻 線 の 基 本 波磁 束 か ら求 めた 有効 イ ン ダ ク タ ン スL1は,式(4・26)のi1=1
〔A〕当 た りの磁 束 に よ って生 ず る鎖 交 数 で あ るか ら,
(4・27) とな る 。す な わ ち,L1はne12に (2)一
比 例 し,δ に反 比 例 す る。
次 二次 間 の相 互 イ ンダ ク タ ンス
図4・22は
一次 お よび 二 次 巻線 の 一 相 ずつ を
示 し,二 次 の 中心 が 一 次 の 中 心 と θ〔rad〕だ けず れ て い る瞬 時 を 画 い た もの で あ る。 一 次 に 電 流i1が 流 れ る とき に ギ ャ ップ に生 ず る磁 束 数 は,式(4・26)で
表 され,平 均 磁 束
密 度 をbavと
す る と,
この 分布 の 最 大 値 をbmと
す る と,
図4・22一
次,二 次 間 の相 互 イ ンダ ク タ ンス
とな る。 こ の値 を 最 大 とす る磁束 密 度 分 布 を 図4・22の
正 弦 曲線 で示 す 。 この磁 束 が二 次 巻線 との間 に生 ず る鎮 交数 を 求 め るた め
に,コ イル 辺 の位 置 か ら任 意 の距 離x〔m〕 あ り,二 次 と鎖 交 す る磁 束 φ21は,x=
の 所 に幅dx〔m〕
τ/ π θ
から
を 考 え る と,dφ=blidxで
τ/
θ+τ ま で積 分 す れ ば 求 め られ る。
π
(4・28) よ っ て,図4・22の
瞬 時 の 一 次,二
次 間 の 相 互 イ ン ダ ク タ ン ス をM21と
す る と, (4・29)
(4・30)
た だ し,
で,θ=0の 図4・22の
とき の一 次,二 次 間 の 相互 イ ンダ クタ ンスで あ る。 よ うに,一 次,二 次 と も全 節巻 の コ イル を考 え れ ば,相 互 イ ンダ ク タンス は両
コイル の 中心 軸 間 の余 弦 に比 例 す る と い う関係 は 重 要で あ る。 図4・18の
よ うに,一 次,二 次 とも に三相 巻 線 を もつ場 合 を考 え る と,各 相の 相互 イ ンダ
クタ ン スは,式(4・29)か
ら考 え て つ ぎの ように 表 す こ とが で き る。
(4・31)
(3)一
次 各相 間 の 相互 イ ンダ ク タ ン ス
三相 巻 線 は 各 相 の 巻 線軸 が2π/3ず つ ず ら し
た配 置 にな って い るか ら,図4・18のuv間,vw間,wu間
の相互 イ ンダ クタ ン スは,つ
ぎの よ うに な る。
(4・32)
(4)二 27)の
次 各 相 の有 効 イ ン ダ クタ ンス
巻 数ne1の
二 次 各 相 の 有 効 イ ン ダ ク タ ン スL2は,式(4・
代 り に 二 次 の 巻 数ne2と
お け ば よ く,
(4・33) (5)二
次 各 相 間の 相亙 イ ン ダ クタ ン ス
式(4・32)と
同様 に考 え て,次 の よ うに な る。
(4・34)
(6)漏
れ イ ン ダ ク タ ンス
に 示 し た よ う に,ギ
回 転 機 の 巻 線 に 電 流 を 流 す と き に 生 ず る磁 束 は,図4・21
ャ ッ プ を 通 して 一 次,二
次 の 両 巻 線 に 鎮 交 す る 磁 束 の ほ か に,ス
内 だ け お よ び コ イ ル 端 部 だ け に 生 ず る磁 束 が あ り,こ 漏 れ 磁 束 の お も な も の は,つ (a)ス
ロ ッ ト漏 れ(slot
(b)ジ
れ は 図4・21の
flux)と
い う。
ぎ の よ う に 別 け られ る 。 leakage)磁
流 に よ って 生 ず る 磁 束 の う ち,ギ φsで,こ
れ を 漏 れ 磁 束(leakage
ロッ ト
束
図4・23(a)の
ャ ッ プ ま で 出 な い で,巻
よ う に,ス
ロ ッ ト内 の 巻 線 の 電
線 を 取 り巻 く小 範 囲 に 生 ず る 磁 束
磁 束 と は 別 で あ る。
グ ザ グ 漏 れ(zig-zag
leakage)磁
通 っ て 相 手 側 の 鉄 心 に は 到 着 す る が,歯
束
図4・23(a)の
端 を 渡 っ て 生 じ,相
φzの
よ う に,ギ
ャ ップを
手 側 の巻 線 に は鎖 交 しない磁 束
が あ る 。 こ れ を 千 鳥 漏 れ 磁 束 と も い う。 (c)コ
イ ル 端 漏 れ(coil-end
分 に 生 ず る 磁 束 で,こ
leakage)磁
れ も 図4・21の
束
図4・23(b)の
磁 束 とは別 の もので あ る。
φeの よ う に,コ
イル端 部
(a)ス
ロ ッ ト漏 れ 磁 束 φsと 千 鳥 漏 れ 磁束 φz
(b)コ
図4・23漏
(d)ベ
イル 端 漏 れ磁 束 φsと ス ロ ッ ト漏 れ磁 粛 φs
れ 磁束 の 例
ル ト磁 気 漏 れ(belt leakage)磁 束
これ は 巻線 形 機 にの み 生 ず る 漏 れ磁束 であ
る。三相 巻 線 の各 相 は π/3の相 帯 幅 内 にあ る ス ロ ッ トに 収 め られ るが,一 次 と二次 の 相帯 は, 回 転子 位 置 の変 化 に応 じ,両 者 が 一致 した り,ず れた りを繰 り返 して い る。両 相帯 が 一致 し た とき は両 巻線 の電 流 に よって 生 ず る磁 束 は相 殺 す るが,ず れ て い る と きは相 殺で きず 漏 れ 磁 束 と な る。 これ らの 漏 れ磁 束 は,一 次 お よび二 次 巻線 の それ ぞれ に生 じ,そ れ ぞれ 一 次 漏 れ磁 束 お よ び 二 次漏 れ 磁 束 とい う。 一 次 の一 相 に電 流i1を
流 す とき,i1に
よ って生 ず る漏 れ磁 束 の 合 計 φl1に よ る一 次 巻 線
の鎖 交数 をnelφl1と お くと き, l1=
ne1φl1
(4・35) /i1
を 一 次 の 漏 れ イ ン ダ ク タ ン ス と い い,ま 同 様 に,二
次 の 一 相 に 電 流i2を
た ωl1=x1を
一 次 漏 れ リア ク タ ン ス と い う。
流 す と き 漏 れ 磁 束 φ12に よ る鎖 交 数 をne2φl2と
お く と き,
ne2φ12
l2=
(4・36) /i2
を 二 次 の 漏 れ イ ン ダ ク タ ン ス と い う 。 ま た,ωl2=x2を l1は,式(4・27)のL1に 程 度 の 小 さ い 値 で あ る が,誘
比 べ,ま
たl2は
二 次 漏 れ リ ア ク タ ン ス と い う。
式(4・33)のL2に
導 機 に お い て は,こ
れ らl1,l2の
比 べ,そ 大 小 が,最
れ ぞ れ1/20∼1/30 大 出 力や 最大 ト
ル クの 値 に 直 接 影 響 す る 重 要 な 値 で あ る 。
〔2〕 二 次 開 放 時の 電 流 と起 電 力 図4・18の
よ うな一 次,二 次 ともに 三相 の 誘導 電 動機 の 二 次 を開 放 し,一 次 か ら対 称 三相
電圧 を 加 え た場 合 を考 え る(図4・24)。 一 次 に加 え る電 圧 を
た だ し,鉄 損 は こ こで は無 視 し,後 で 考 慮す る。
(4・37) と お き,こ iwoと
の 電 圧 に よ っ て 一 次 各 相 に 流 れ る電 流 をiuo,ivo,
お く と,u
相 に つ い て は,つ
ぎ の 式 が 成 り立 つ 。
(4・38) 図4・24の
回 路 で は,ivo+iwo=-iuoの
関 係 が あ るか ら,
上 式 は つ ぎ の よ うに簡 単 に な る。
(4・39) こ こ で,電 びIuoと
圧,電
流 を ベ ク トル で 表 し,そ
お き,d/dt=jω
れ ぞ れVuお
と お くと,式(4・39)は
よ 図4・24一
つぎのよ
次,二 次 と も に 三相 の 誘導 機
うに な る。
(4・40)
で,さ
た だ し, ス で あ り,x1′
き に 述 べ た よ う にx1は
漏 れ リア ク タン
は 励 磁 リ ア ク タ ン ス と い う。 上 式 か ら,
(4・41)
と な り,他
の 相 の 電 流Ivoお
お よ びVwと
よ びIwoは,υvお
よ び υwを
ベ ク トル で 表 し,そ れ ぞ れVv
お く と,
と書 け る。 二 次 は開 放 して あ るか ら電流 は流 れず トル ク も生 じな い が,回 転 子 を外 力 で 同期 速 度Ns よ り低 い あ る速度Nrで t=0に
相 順 の方 向に 駆 動 して や った とす る。
お い て,図4・18の
u相 と u′相 の軸 が一 致 して い た とす ると。
と書 け る 。 た だ し,こ こ の と き,二
こ で は 2極 の 電 動 機 を 考 え る こ と に す る 。
次 の u′相 に 生 ず る 起 電 力 をeu′
eu′=-d
/dt
とす る と,
{Mu′uiuo+Mu′vivo+Mu′wiwo}
(4・42)
で表 され る。
こ こ で,
と お き,式(4・41)のIuoお
よ びIvo,Iwoを
瞬 時値 の形 へ もどせ ば,
(4・43)
と書 け る 。 こ の 関 係 と 式(4・31)と
を 用 い て 式(4・42)を
簡 単 に す る と,
(4・44) と な る 。 た だ
し,s=(ω-ω
γ)/ω=(Ns-Nγ)/Nsで,す
こ こ で,3ωM/2=Xm,V1/Z1=Io,XmIo=Eu′oと eu′o=S×
べ りで あ る。 お
く と,
√2Eu′osin(Sωt-ψ0)
と書 け,他 の 相 につ い ては,
(4・45)
と な る 。 た だ し,Ev′o=Ew′o=XmI0で
あ る 。
これ ら二 次 各 相 の起 電 力 は対 称三 相 で あ るが,そ の角 周 波数 はsω で,一 次 の電 圧,電 流 の角 周 淀数 ωのs倍 で あ る。 二 次 回路 が 閉 じ られ,あ るす べ り sで 運 転 され て い る場 合 も,二 次 には す べ り周 波 数 の起 電 力 を 生 ず るか ら,二 次 電流 もす べ り周 波 数 とな る。 ま た,式(4・40)は
つ ぎ の よ う に も書 け る 。
Vu=(γ1+jX1)Iuo=(r1+jx1)Iuo+jX1′Iuo=(γ1+jx1)Iuo+Euo
と お く と,Euoは
u相 の 逆 起 電 力,(γ1+jx1)Iuoは
(4・46)
漏 れ イ ン ピー ダ ン ス 降 下 で あ る 。そ う し
て,EuoとEu′oと
の 関 係 は,次
の よ う に な る。
(4・47)
〔3〕 定 常運 転 中 の 電圧,電 流,電 力 関係 図4・24の
二 次 回 路 が閉 じられ,一 次 に対 称三 相 電 圧 が加 え られ,あ るす べ り sで定 常 運
転 して い る場 合 を 考 え る。 この場 合,二 次 各 相 には す べ り周 波 数 の起 電 力 を生 じ,二 次電 流 の周 波数 もす べ り周 波 数 と な って い る。 (1)電
圧 っ りあ いの 式
一 次,二
次 の 電 流 は 対 称 三 相 と な る か ら,そ
れ ぞれ の 電流 を
つ ぎ の よ う に お く。 こ の よ う な 電 流 が 流 れ る た め の 電 圧 の 式 を 導 び くこ と に す る 。 図4・24に
お い て,一
次 の 各 電 流 をiu,iv,iw,二
次 の 各 電 流 をiu′,iv′,iw′ と お き,
iu=√2I1sinωt
(4・48)
とお く。 ただ し,β は未 知 の角 で あ る が,こ れは 後 で 決定 で き る。 一次 u相 に つ い て は
,つ ぎ の式 が つ くれ る。
(4・49)
二 次 は 短 絡 して あ るか ら印 加 電圧 を 零 と し,u′ 相 に つ いて は,
(4・50)
と な る 。 た だ
(2)ベ
し,式(4・49),(4・50)に
ク トル 図
お い て,θ=(1-s)ωtで
式(4・49)は,つ
あ る 。
ぎの よ うに も書 け る。
(4・51)
ま た,式(4・50)は
つ ぎの よ うに書 け る。
(4・52)
は,二
た だ し,
次 全 自 己 リア ク タ ン ス で あ る。
式(4・52)は,√2I2sin(sωt-β)=iu′
を 基 準 ベ ク トル に と っ て,図4・25(a)の
よ うな
ベ ク トル 図 が つ くれ る 。 ま た,式(4・51)は
√2I1sinωt=iuを
基 準 ベ ク トル に 取 り,図4・25(b)の
よ うなベ ク
トル 図 が つ くれ る 。 式(4・52)の
第 3項 は 一 次 電 流 に 関 す る 量 で あ る が,そ
ま た 式(4・51)の
の 周 波 数 は す べ り周 波 数 で あ り,
右 辺 第 3項 は 二 次 電 流 に 関 す る 量 で あ る が,周
そ う して,図4・25(a)よ
β=
π /2
+ψ2
波数 は 電 源 周波 数 で あ る。
り,
∴sinβ=cosψ2,
cosβ=-sinψ2
で あ る 。 た だ し,ψ2=tan-1(sX2/γ2) よ っ て,未 4・25(a)の
知 の 角 β は 二 次 回 路 の 定 数 とす べ り s と か ら な る 。 そ う して,β ベ ク トル 図 中 のI1お
よ び 同 図(b)のI2の
位 相 が きま る。
に よ って図
(a)二
次 回路 の ベ ク トル 図 。 た だ し,I1は 二 次 か らみ た ベ ク トル 図4・25一
(3)一
式(4・53)か
次 回 路 の ベ ク トル 図 。 た だ し,I2は 一 次 か らみ た ベ ク トル
次 お よび二 次 回路 の ベ ク トル 図
次 か ら見 た一 相 の イ ン ピーダ ンス
お よ び 同 図(b)よ
(b)一
図4・25(a)よ
り,
らI2を
り,
(4・53)
消 去 す れ ば,
(4・54)
Z1tは,電
源 か らみ た一 相 の イ ン ピーダ ンスで あ る。
ま た,I2とI1の
関 係 は,式(4・53)よ
り
(4・55)
で 表 され る。 (4)入
力 と銅 損
し て,同
図4・25(b)に
お い て,ψ1はI1がV1よ
り遅れ る角 で あ る。 そ う
図 よ り, V1cosψ1=γ1I1+XmI2sinβ
で あ り,両
辺 に3I1を
乗 ず る と,
3V1I1cosψ1=3γ1I12+3XmI1I2sinβ と な る が,上
式 の 左 辺 は 明 らか に 三 相 分 の 入 力,右
(4・56) 辺 第 1項 は 一 次 の 銅 損 で あ り,第
2項 は
二 次 入 力 と い い,一 る と,式(4・55)を
次 か ら二 次 へ 伝 え ら れ る パ ワ ー で あ る 。 つ ぎ に,二
次 銅 損 をpc2と
す
用 い て,
(4・57) で あ り,ま た,二 次 入 力 は つ ぎの よ うに書 きか え られ る。
(4・58) 二 次入 力 か ら二 次 銅 損 を 引 い た もの は 機 械的 出 力 で,こ れ をP0と
す れ ば,
(4・59) と な る。
2 (5)ト
ルク
トル ク T は,出
力P0と
回転 子 角 速 度
ωr=
/P
×ω(1-s)と
の 比 で あ り,
つ ぎの よ うに な る。 た だ し,P は極 数 で あ る。
(4・60) と な る。 入 力 以下,出 力,ト ル ク等 の式 の 検討 は後 で 改 め て行 う。
〔4〕 漏れ係数 と主要特性式 式(4・40)以
降 の 式 の 中 で,
お よび
を,そ
れ ぞれ 一 次 の 全 自 己 リア ク タン ス,二 次 の 全 自己 リア ク タン ス お よび 一 次二 次 間 の 全相 互 リ ア ク タン ス とい う こ とは 前 に述 べ た 。 そ うして,
(4・61)
を,そ れ ぞ れ一 次 お よび 二 次 の漏 れ係 数 とい う。 ま た,
を 漏 れ 係 数 とい う。 こ の σは,電 動 機 の特 性 に重 要 な影 響 を 及 ぼ す係 数 で あ る。 ま た,σ1,σ2と σの 関係 は, M2=L1L2で
あ るか ら,
(4・62)
と な る 。 こ の σ は,後 σ2は
で 述 べ る よ う に 実 測 で き る 値 で あ り,一
σ の ほ ぼ1/2前
後 と 想 像 で き る か ら,σ1×
σ2は
般 に0.06∼0.1で
あ る 。 σ1,
σ1お よ び σ2に 比 べ て 非 常 に 小 さ く,
σ≒ σ1+σ2
と お くこ と が で き る 。 こ の 漏 れ 係 数 σ を 用 い る と,式(4・54)の
イ ン ピー ダ ン スZ1tは,つ
ぎ の よ うに 書 け る。
(4・63) よ っ て,
(4・64) 式(4・59)に│I1│2を
代 入 す れ ば,
(4・65) ま た,ト
ル ク の 式(4・60)は
つ ぎの よ うに な る。
(4・66) これ ら出 力P0や
トル クTが す べ り sに よ って どの よ うに変 化 す るか は,次
の項 で等 価 回
路 を 求 め た 後で 検 討 す る。
4・3等
価回 路 と特 性 式
三 相 誘 導 機 の 銅損 以 外 の 損失 を無 視 した 場 合 の 等 価 回 路 は,式(4・54)の Z1tか
イ ン ピー ダ ン ス
らつ くる こ とが で き る。 この 回 路 に鉄 損 や機 械 損 を考 慮 した修 正 を 加 え れ ば,実 用 的
な等 価 回路 を つ くれ る。 〔1〕 等 価 回 路 の原 形 とベ ク トル図 式(4・54)のZ1tと
は,つ
ぎ の形 の イ ン ピー ダ ンス で あ る。
(4・67) こ こ で,さ
き に も式(4・40)以
降 で 使 用 した よ う に,X1,X2を
漏 れ リア ク タ ン ス と全 有 効
リア ク タ ン ス と に 別 け る 。 X1=x1+X1′,X2=x2+X2′,X1′X2′=Xm2
よ っ て,式(4・67)は,つ
(4・68)
ぎ の よ うに変 形 で き る。
(4・69)
と な る 。 上 式 で,
(有 効 巻 数 比)2 で あ り,ae2γ2=γ2′
お よ びae2x2=x2′
は,一 次 に換 算 した(ま た は一 次 側 か ら見 た)二 次 抵 抗 お よび 二 次 漏れ リア ク タ ンスで あ る。 式(4・69)は
図4・26(a)の
よ うに画 くことが で き る。 これ を 等 価回 路 の 原 形 と称 してお く。
原 形 の回 路 に お いて,
と書 け るか ら,原 形 の 回路 は 同 図(b)の よ うに 画 け る。 図4・26(b)の
回 路 を み る と,こ
の形 は変 圧 器 の 等 価 回路 〔 図3・3(a)〕
て,誘 導 機 の 等価 回 路 は,変 圧器 の等 価 回 路 の負 荷 イ ン ピー ダ ン スの所 に抵 抗
に相 似 して い 1-s /s
(a)原
(b)二
形 図4・26三
相 誘 導 機 の 等 価 回路
次抵抗を分離
γ2′を お
図4・27三
相 誘 導 機 の等 価 負 荷 抵 抗
図4・28T
形 等 価 回 路 の べ ク トル 図
い た も の と同 じで あ る。 こ の抵 抗 は,す べ り sに よ って 図4・27の に,s=0∼0・05の
よ うに変 化 す る 。特 に,実 際 の定 常 運 転 の よ う
あ た りで は sの 変 化 に 対 す る
1-s/
γ2′ の変 化 が大 き く, sの わず か な変
s
化 が,一 次 端 子 にお け る電 流 や入 力に 大 幅 な変 化 を 生 ず る。 原 形 の 回路 か ら図4・28の
よ うな ベ ク トル 図 が画 け る。 この図 は一相 の 印加 電圧V1を
準 と して 画 いた もの で,V1に
対 す るI1の 位 相 差 ψ は 図4・25(b)の
図4・26(a)の
回 路 に お いて,I1は
励 磁 電 流I0と
一 次 負 荷電 流I1と
ψ1と同 じで あ る。 に別 け られ る。
基
(4・70)
(4・71)
そ う して,式(4・55)の
関 係 か ら,
(4・72) とな るか ら,I1′ はI2を
有 効 巻 数比 で 除 した値 にな る。 こ の点 は,変 圧器 に おけ る一 次 負
荷 電 流 と同様 の性 質 を もつ こ とに なる。 こ こ で,
図4・28参
照
図4・25(a)参 と お ケ ば,I0はI1よ 図4・28の
ベ ク トル 図 か ら,入
果 は 式(4・56)以 な お,さ
り(ψ2-ρ2)位
照
椙 が 遅 れ,I1′
力,出
力,ト
はI1よ
示 したI0は,つ
相 が准 む 。
ル ク等 を 求 め る こ とが で き る が,そ
下 と 同 じ 形 に な る だ け で あ る か ら,こ
き に 式(4・70)に
り(90゜-ψ2)位
れ らの 結
こ で は 繰 り返 さ な い 。
ぎ の よ うに 変 形 で き る 。
(4・73)
と な る か ら,乙
のI0はs=0に
お い て つ み 式(4・41)に
上 式 の 分 母 第 2項 に は 一 欠 漏 れ イ ン ピ ー ダ ン ス γl+jx1が
って,I0が
示 したI0と あ る の で,こ
一 致 す る。
の値 は小 さい 。従
sの変 化 に 応 じて大 き さお よび位 相 が 変 化 す る程度 は僅 か で,I0は
次 全 自己 リア ク タ ンスX1で
決 ま る。
ま た,ベ
定 常 運転 中の 一 次逆 起 電 力 とい うべ き もの で,
ク トル 図 のE1は
しか し,
主 と して一
(4・74)
と な る が,こ
のE1も
式(4・46)に
示 し たE1と
は 僅 か に 異 な り,s=0の
場 合 だ け一 致 す る。
〔2〕 鉄 損 等 を考 慮 した等 価 回 路 さき に式(4・46)に
示 したEuoは,
で あ る。 そ う して,式(4・26)に φmはs≒0で
お い て,i1=√2Iuoの
ときの 磁束 の3/2倍 を φmと お くと,
運 転 中の 電 動機 内に生 ず る基 本 波 回転 磁 束 の一 極 分 の磁 束 量 で,こ
れ は時 間
に対 して 一定 で あ り,ま た負 荷 時 にお い て も ほぼ この 値 が保 たれ る。
式(4・27)よ
り,i1=√2Iuoの
で表 され,
と き は,
(4・75) で あ っ て,こ
∴
の 値 は 負 荷 の 軽 重 に よ っ てEuoは
φm≒
多 少 変 化 す る が,ほ
ぼV1に
近 い。
V1/
4.44ne1f
す な わ ち,電 動機 の ギ ャ ップ お よび鉄 心 内 に生 ず る磁 束 は,V1/f一 に かか わ らず ほぼ一 定 値 φmに な る。 従 って,鉄
定 な ら,負 荷 の軽 重
心 内の 最大 磁 束 密度Bmも
一定 とみ る こ
とがで き る。 一方,一
般 に回 転 機 の 鉄 損 は,ヒ
B㎡ に 比 例 し,後 者 は 理論 上B㎡
ス テ リシス損 と うず電 流 損 とに別 け られ,前
者 は ほぼ
に比 例 す るか ら,鉄 損 を つ ぎの よ うに 表 す こ とがで き る。
pi=Bm2{σh×f+σe×d2×f2}×Gi〔
W 〕
(4・76)
ただ し,f は周 波 数 〔Hz〕,d は鉄心 素 板 の厚 さ 〔mm〕,Giは
鉄 心 重量 〔kg〕で あ り,
σh,σeはそれ ぞ れ ヒス テ リ シス損係 数 お よび うず電 流 損係 数 で,鉄 心 材 料 に よ って 大体 きま る。 小 中容 量 の 電 動機 に用 い られ る けい素 鋼 帯S23,S20で 継 鉄 部 に お い て,σh=0.04∼0.05,σe=(3∼4)×10-3 歯 部 に お い て,σh=O.07∼0.08,σe=(6∼7)×10-3
は,
程 度 で あ る。 す な わ ち,同 じ材 料 で も継 鉄部,歯 部 にお い て係 数 が 異 な る と され る。 これ は 歯 部 に お け る磁束 の状 態 が複 雑 で,鉄 損 が増 す か らで あ る。 Giは
鉄 心 重 量 〔kg〕で,こ れ は一 次側 で あ る固 定子 鉄 心 重 量 で あ る。 二次 鉄 心 に おい て
は,そ こを 通 る磁 束 の周 波数 が,す べ り周波 数 で非 常 に低 い ので,鉄 損 は無 視 す るの が普 通 で あ る。 この よ うに考 え る と,定 電圧,定 周波 で 運転 され る電 動 機 はBmが
ほ ぼ一 定 で あ るか ら,
鉄 損 は固 定 損 の一 部 とみ なせ る。 ま た,機 械 損 に は,風 損 と軸 受,ブ ラ シ等 の摩 擦 損が あ るが,か ご形機 で は 後者 は な く, 一般 に誘 導 機 は
,無 負 荷 時 と定 格 出 力時 の 速度 の 相 違 は数%以 下で あ るか ら,機 械 損pmも
固 定 損 の 一 部 とみ なせ る。 そ こで,図4・26の
等 価 回路 に おい て,負 荷 に か かわ らず ほ ぼ一 定 の 電 流 が 流 れ るX1′ の
回 路 に直 列 に抵 抗Rmを Rm=
入 れ,そ の値 を
pi+pm /3I02
に 選 ん で,図4・29(a)の
よ うにRmを
加 え る ことに よ り鉄 損 お よ び機 械損 を考 え た回 路
を つ くる こ とがで き る。 この回 路 を T形 等価 回路 とい う。 T形 回路 のRm,X1′
を電 源端 子 に 移 し,図4・29(b)の
よ うに すれ ば,計 算 が 著 し く簡単
に な る。 た だ し,近 似 回路 とな る ので,T 形 回路 よ り誤 差 が 若 干多 い と予想 され るが,そ の 程 度 は 僅 かで あ るか ら,特 性 計算 には この 回路 が 広 く用 い られ る。 図4・29(b)の
回 路 を L形等 価 回 路 とい う。
〔3〕 L形 等 価 回 路 に よ る特 性 算 式 (1)基
本特性
図4・29(b)か
ら電 流,入 力,出 力等 を 求 め る と,次 の よ うに なる。
た だ し,こ こ に示 す 式 は さ きの(4・64)以
(a)T
降 の 各式 とは一 致 しない。
(b)L
形 等 価 回路 図4・29
鉄 損等 を 考慮 した 等 価 回路
形 等 価 回路
無 負
荷 電 流
一 次 負 荷 電 流
一
次 全 電
た だ し,
流
三 相 分 の入 力
(4・77)
鉄
損+機
械 損
一次 お よび 二 次銅 損
二
次
入
力
的 出
力
ル
ク
機 械
ト
等 が得 られ る。 以 上 の各 式 の うち重 要 な量 に つ い て検 討 を加 え る。 (2)出
力
(4・78)
と な る 。 こ こ で,
と お く と,
上 式 は,
1-s
=Zs′
/s
/ r2′'
または
r2′
s=
=spに
お い て 最 大 と な り,そ
/r2′+Zs′
の 値Pomは,
(4・79) を 得 る。 よ って,任 意 のす べ りに お け る出力 は,
(4・80)
と な る 。 図4・30は,上
r2′
式 の 中 のcosψs′=0.4,
=0.2を
/Zs′
仮 定 し, Po / Pom
を 計 算 した もの
で あ る。
図4・30出
(3)ト
ル ク
次 に,ト
力
曲
線
ル クを 調 べ る。
(4・81)
こ の トル ク は,
に おい て最 大 値Tmに
な り,そ の値 は,
(4・82) とな る 。この値 が 二 次抵 抗 に無 関係 で あ る ことは 興 味 あ るこ とで,ま た 重要 な性 質 で も ある。 Tmの
式 に お いて,一 次 抵 抗r1を
無視 す れ ば,
とい う簡 単 な形 に な る。そ う して,こ れが 漏 れ リア ク タン スに 反比 例 す る こ とも重要 な性 質 で あ る。 次 に,Tmを
生 ず るす べ りSmを
用 いて 式(4・81)を
変 形 す れ ば,
(4・83)
と な る が,こ
こで
と お く と,
(4・84)
とい う形 もつ くれ る。 図4・31は,式(4・84)に
つ い てSm=0.16,h=0.20を
仮 定 し,s
T の値を計 / Tm
に対 す る
算 した もので あ る。 つ ぎに,式(4・81)の
と な る 。 す な わ ち,ト に T の 代 り にP2を ク と い う。P2を
両 辺 に 同期 角速 度
2ω
/ P
を乗 ず れ ば,
ル ク は 二 次 入 力 に 比 例 す る。 こ の こ とか ら 誘 導 機 で は トル クを 表 す の
用 い る こ と が 多 い 。 こ れ を 同 期 ワ ッ ト(synchronous 知 って T を 求 め た い と き は,P2に
図4・31ト
P
watt)で
を乗 ず れ ば よい。
/ 2ω
ル ク 曲線
表 した トル
つ ぎ に,二
次 入 力P2,機
械 的 出 力P0お
よ び 二 次 銅 損pc2と
の 間 に は,式(4・77)よ
P2:P0:pc2=1:1-s:s
り,
(4・85)
とい う簡 単 な関 係 が あ る。 ま た は,つ ぎの よ うに も書 け る。 P0 =1-s, / P2 P0 / P2
=s pc2 / P0 /1-s
pc2 =s, / P2
(4・86)
を二 次 効 率 とい う ことが あ る。
(4)ト
ル クの比 例推 移
式(4・81)に
合 を 考 え る。 その 一次 換 算 値 をae2R2=R2′
お いて,二 次 回 路 の各 相 に 抵抗R2を
追 加 した場
とお け ば,ト ル クは,
と な り,二 次回 路 全 体 の抵 抗 が元 の m倍 に な った とき,す べ り sもm 倍 に なれ ば Tは 元 と 同 じで あ る。 この こ とを トル クの比 例 推 移 とい う。 この 性 質 が始 動 時の 特 性改 善 や速 度 制 御 に利 用 され る。 図4・32は,ト
ル クの比 例 推移 の 関係 を
示 した もの で,二 次 抵抗 が m 倍 にな れば, 同一 トル クを生 ず るす べ りが す べ て m 倍 に な っ てい る。
4・4
図4・32ト
ル クの比 例 推移
L 形 円線 図
L形 等 価 回路 に お い て,一 次 電 流I1は,
(4・87)
で表 され るこ とは,式(4・77)の
中に示 した 。
誘 導 電 動機 が一 定 電圧,一 定周 波数 の電 源 に結 ば れ て定 常 運転 して い る と し,す べ り sだ けが 変 化 す る場 合 を考 え る と,I0は
定 ベ ク トル とな る が,I1′ は半 径V1/2xの円軌 跡 を 画 くの
で,I1の 軌 跡 も円 に な る。 この 円 は L形 等 価 回路 につ いて 得 られ る軌 跡 円で あ るか らL形 円
線図 とい う。 L形 円線 図 の性 質 を 調 べ る と電 動機 の特 性 を 求 め る こ とがで き る。 す なわ ち,与 え られ た 電動 機 につ い て L形 円線 図 を画 け ば実 負 荷試 験 に よ る こ とな く必 要 な特 性 が 求 め られ る。 〔1〕 L形 円線 図 の性 質 式(4・87)は,図4・33の ばI1の
よ うに 作 図 す れ
軌 跡 が 定 円 C と なる こ とが わか る。
(1)L
形 円線 図
同 図 に おい て,ま ず
原点 をOと す る直 角 座 標 を つ くり,ri+r2′/s+ jxの
sに対 す る変 化 を画 けば,実 軸 に平 行
な 直線mnで
あ る 〔た だ し,s の値 をs<0,
1>s>0,s>1の
す べて の 範 囲 に広 げ て考 え
る と して〕。mnの
逆 図形 を つ く りV1倍
した
もの がI1′ の sに対 す る変 化 で,C を 中心 と す る円 に な り,そ の半 径 はV1/2 xZあ つ ぎ に,I1′
にI0を
る。
加 え る 作 図 はI0が
定
ベ ク トルで あ るか ら,図 の よ うにI0=o′oだ これ がI1の
図4・33L
形 等 価 回路 か ら得 られ るI1の 軌跡
け原 点 を 移 動 し,新 原 点o'か
ら円 を見 れ ば
軌 跡 を表 す 。
図4・34は,図4・33の
軌跡 円を 再び 画 い た もの で,作
図 の都 合 で 基 準 ベ ク トルV1を
y
軸 の方 向 に と って あ る。 o′oは 無 負 荷 電 流I0を,o′oお る一次 電 流I1を
表 す 。I1=O′Pの
よびo′Pは
それ ぞ れs=1お
と きの力 率 はcosψ,hPはO′Pの
図4・34L
形 円 線 図
よび 任 意 のす べ りにお け 有 効 分で,入
力 はhP
に 比 例 す る。 O と Qを結 び,ま た Qか らOAに
に な る よ う に T 点 を 決 め,O hPがOQ,OT,OAと 3V1・hg=pi+pmで
垂線 を下 し,そ の足 を U とす る。 そ う して,
と Tを結 ぶ 。 交 わ る点 を そ れ ぞ れ a,b お よ び g と す る 。 ま た,3V1I0cosψ0=
あ る。
で あ る こ と が 証 明 で き る か ら,gaは
電 流OPに
対 す る全 銅 損 に比 例
で あ る こ と も明 らか で あ る。
す る。 ま た
よ って,aP=hP-(hg+gb+ba) は 出 力 に比 例 す る。 以 上 の 関係 か ら,つ ぎの よ うに 図上 か ら特 性 が 求 め られ る。 出
力P0=3V1×aP入
力P1=3V1×hP
}二 次 入 力P2=3V1×bp に れ は 同 期 ワ ッ ト トル クで あ り,ト 一 次 銅 損Pc1=3V1×gb二
ル クに比 例 す る。
次 銅 損Pc2=3V1×ba
(4・88)
す べ り
効
一次 力 率
率
よ って,P
点 を 円上 に 数 点 選ん で,各
点 に お ける式(4・88)の 各値 を 求 め れ ば,図4・35
の よ うに特 性 曲 線 が得 られ る。 (2)最 Pmamお
大 出 力 ・最 大 トル ク ・最 大 力 率 よびPTbmを
つ ぎに,図4・34の
中 に 図の よ うに作 図 して,
き めれ ば,に れ らは それ ぞ れ 最大 出力 お よび 最大 トル クに比 例 す る。 V1/
作 図 よ り(円 の半 径 が
2x
で あ る か ら),
(V1/2x)sinψs′-Pmamcosψs′=Pmam
と な る 。 こ れ は 式(4・79)に
等 し い 。 同 様 に,
図4・35出
力 に対 す る特性 曲線
(Vi/2x)sinψt-Prbmcosψt=Prbm
とな る。 これ は式(4・82)の 図4・36は
図4・34の
最 大 トル クを 同 期 ワ ッ トで表 した もの で あ る。 L 形 円 線 図 に おい てPi+Pmを
無 視 して画 い た も ので あ るが,L
形 円線 図 で,原 点 O か ら円 に接 線 を 引 き,そ の接 点 を P と し,そ の と き の力率 をcosψmと す れ ば,こ れ が最 大 力 率 で あ る(355ペ
4・5
ー ジ練 習 問題4.の 問 1参 照)。
T 形 円線 図
T形 円線 図 は T形 等 価 回 路 に 基 づ いて 作 図 す る もの で,L 形 円線 図 よ り誤 差 が 少 な いが, や や複 雑 で あ る の で,無 負 荷電 流 や無 負 荷 損失 の割 合 が大 きい 電 動機 に,こ の 作 図 が 用 い ら れ る。 図4・29(a)の
T形 等 価 回 路 に お いて,
r1+jxi=Z1,
r2′/
+jx2′=Z2,Rm+jx1′=Zm s
と お くと,
(4・89)
Zm
た だ し,M=
ま た,
=Mejμ
(4・90)
/ Zm+Z1
V1/
=I00は
無 負 荷 電 流 で あ る。
Zm+z1
M は,図4・37の
よ うに作 図 す る と,│M│は
1よ り僅 か に小 さ く,μ は小 さい 正 の 角で
あ る に とが わ か る。 しか し,実 際 の T形 円線 図 の作 図 に お いて は,つ ぎ の性 質 を 利 用 して μ を 決 め る。 Zm
=1-
/ Zm+Z1 で あ る か ら,V1(相
Z1
/ Zm+Z1
電 圧)を
基 準 ベ ク トル に と る と,
(4・91) と書 け るの で,M
の 位 相 角 μ は,図4・38の
よ うに, V1か
らZ1I00(無
負 荷時 の一 次 漏 れ
イ ン ピーダ ンス 降下)を 引 い た ベ ク トル の位 相 角 に等 しい 。 図4・39は,式(4・89)の
第 2項 を 作 図 した もの で,こ
の 円 は中 心 位 置 C′が 虚 軸 よ り2μ
だ け正 方 向 に 回転 した 所 に あ る。 I1の 軌 跡 は,図4・39の
図4・36最
図4・38M
円 C′にV1を
乗 じた もの に無 負 荷電 流I00=
V1 / zm+Z1
を加えた
大 力 率 の 作図
の 位 相 角 μ を求 め る作 図
図4・37M=Mejμ
の 作 図
図4・39T
形 円 線 図 の作 図 過 程
図4・40T
もの で あ り,図4・40の にの 図 でO′Pは
形 円 線 図
よ うに な る。
任意 のす べ りに お け る一 次 電流 で あ り,出 力 はaPに
お よび最 大 トル クは そ れぞ れPmamお
よびPrbmに
比 例 す る こと は,L
比 例 し,最 大 出 力 形 円線 図 と同 じで あ
る。 こ こで は,T 形 円線 図が L形 と比 べ2μ だ け傾 くに とに なる理 由を 述 べ,詳 細 は 省 く。
4・6
か ご形 電 動 機
か ご形 回 転 子 は,裸 の導 体 を ス ロ ッ ト内 に埋 め,こ れ らを エ ン ド リン グで短 絡 した形 で 造 られ て い るの で,一 次巻 線 や 巻線 形 機 の 回転 子 巻線 とは 非 常 に異 な るが,図4・41の
よ うに
展 開 して み る と,か ご形 の回 路 は 1極 対 の範 囲 に あ る棒 数 に等 しい 相数 を もち,各 相 の巻 数 が1/2回 の 多相 巻 線 とみ る こ とがで き る。 〔1〕 か ご形機 の イ ン ピーダ ン ス か ご形 電 動 機 の一 次 お よび 二次 の回 路 を 図4・42の 二 次 はm 相 で,形 式 的扱 い方 で あ るが,エ
ン ド リングの 影 響 も含 め 各相 の 抵抗,漏 れ イ ン ダ
ク タ ンス お よび有 効 イ ンダ クタ ンス をそ れ ぞれr2,l2お ク タン スをL2cos2π/m'ま
よ うに表 す 。 す なわ ち,一 次 は三 相,
よびL2と
し,各 相 間 の相 互 イ ンダ
た一 次 一相 と二 次 一 相 間 の 最 大 相互 イ ン ダ ク タ ン スを Mとお
く。 さきに 一 次,二 次 と もに 三 相 の 場合 につ い て得 た 式(4・49)以 降 と同 じ扱 い方 を して み る と,次 の よ うに な る。 一 次 u相 に つ いて は,図4・42に
図4・41
お いて,θ=0° の ときをt=0と
か ご形 回転 子 の 展 開 図
図4・42
お き,
一 次 三 相,二 次 m相 の か ご形 電動 機
(4・92) と書 け る。 こ こで,一 次 に対 称 三相 電 圧 が加 え られ定 常 運 転 して い る場 合 を 考 え る。 一次 電 流 は対 称 三相,二 次電 流 は対 称 m 相 で,周 波 数 は 一次 は電 源周 波 数,二 次 はす べ り周 波数 とな る はず で あ るか ら,一 次,二 次 電流 を つ ぎの よ うにお く。
よ っ て,式(4・92)の
右 辺{}内
はつ ぎの よ うに な る。
よ っ て,式(4・92)は
つ ぎ の よ うに 縮 小 で き る。
(4・93) こ こ で, 改 め,υu→V1,iu→I1と
とお き,上式 の電圧,電 流 を実 効 値 ベ ク トル に 書 き,二
次 第 一 相 の 電 流 を 一 次 か ら見 て,i1→I2と
書 け ば 〔図4・
25(b)参
照 〕,
(4・94) と な る が,こ
れ は 式(4・53)の
つ ぎ に,二
次 に つ い て は,そ
第 2式 と 同 じ形 で あ る 。 の 第 一 相 で は,
(4・95) と な る 。 こ こ で, I1,二
ω(l2+mL2/2)=X2と
お き,こ こで は u相 の電
次 第 一 相 の 電 流 の ベ ク トル をI2と
書 く と,上
を 二 次 か ら見 た ベ ク トル を
式 は 図4・25(a)を
描 い た と 同 様 に,
(4・96) と書 け る。 式(4・96)か
らI2を
求 め,式(4・94)に
代 入 す れ ば,
(4・97) (4・98) と な って,こ れ は式(4・54)と
同 じで あ る。 す な わ ち,か
ご形 機 で も一 次 か ら見 る限 り,巻
線 形 と同 じ形 の イ ン ピー ダ ン スで表 され る。 従 っ て,等 価 回 路 も図4・26の 定 損 を 考 慮 す れ ば,図4・29の お よび4・5節
よ うに な り,固
よ うは にな る。 ま た,L 形 お よ び T形 円線 図 に つい て,4・4節
に述 べ た ことが そ のま ま 適用 で きる。
しか し,深 み ぞか ご形 や二 重 か ご形 で は,二 次 回路 の 抵抗 や イ ンダ クタ ンスが 二次 の 周波 数 に応 じて 変 わ る ので,特 別 の 扱 いを 要 す る。 この こ とに つ い ては,次 の 項で 簡 単 に述 べ る 。 〔2〕 特 殊 か ご形 電 動機 特 殊 か ご形 機 に は深 み ぞ 形 と二 重 か ご形 とが あ るこ とは 前 に も述 べ た。 これ らの か ご形 は 誘導 機 の二 次 側 が す べ り周 波数 とな る こ とを利 用 し,始 動 時 に二 次 回路 の 抵 抗 を高 く し,始 動 トル クを 増 し,始 動電 流 を減 らす ことを 目的 と してつ くられ た もの で,特 殊 とい う名 はあ るが,か ご形 電 動 機で 出 力5kW以
上 の もの はす べ て特 殊 か ご形 で あ る。
(1)深
みぞ か ご形 電 動 機
図4・43の
よ うは にス ロ ッ トの深 さを深 くしたか ご形 導体 で
は,導 体電 流 によ って生 ず る漏 れ 磁 束 は,図 の破 線 の よ うに な り,み ぞの 底部 に近 い 導体 素 子 ほ ど,多 くの 磁 束 に と りまか れ,漏 れ イ ンダ クタ ンス が大 き くな り,従 って始 動 時 の よ うに 周波 数 が高 い と きは底 部 は入 口部 に比 べ漏 れ リ ア クタン スが 大 き く,電 流 は入 口に 近 い側 に集 中 し,有 効 断 面積 が 減 る。 従 って,実 効 抵抗 が 高 くな る。 この現 象 を 表 皮 効果 とい う。 H.Hetz氏
は,深 みぞ か ご形 の 導 体 の抵 抗 が
増 加 す る程 度 お よび イ ンダ ク タン スが 減少 す る (b)
(a)
程度 を与 え る式 を 求 め た。 その 式 はつ ぎの よ う
図4・43深
み ぞ か ご形 導 体 の漏 れ 磁 束(a)
な もので あ る。
と電 流 密度 分 布(b)
ス ロ ッ トの 幅 をS〔m〕,導 導 体 の抵 抗 率
体 の 幅 をb〔m〕,導
体 深 さ をh〔m〕,f
を 周 波 数 〔Hz〕,ρ
を
〔Ω ・m〕 と し,
(4・99)
と お く と き, (4・100)
(4・101)
で 与 え られ る と い う。 こ こ で,b≒S,f=50〔Hz〕,導
体 を 銅 と し,温
度 が50℃
の 場 合 考 え る と ρ≒2.0×10-8
(Ω ・m〕 で あ る か ら,
よ っ て,h=10,20,30,… y>2(h=20mm以
… 〔mm〕 上)で
に お い て, y≒1,2,3,…
は,式(4・100)お
…
と な る 。
よ び(4・101)は,
お よび
(4・102)
で 表 され る。 ま た,Kr∞h×f1/2,Kl∞h-1×f-1/2と 図4・44お
よ び 図4・45は,そ
もい え る。
れ ぞ れ抵 抗 増加 率 お よび イン ダ ク タン ス減 少率 を 示 した も
図4・44
抵抗増加率
図4・45
の で あ る 。 図 に よ る とf=50〔Hz〕,h=50〔mm〕 イ ン ダ ク タ ン ス は 約1/3に 以 上 の よ う に,深 図4・28の
に お い て は,抵
イ ンダ ク タ ンス減 少 率 抗 は 直 流 抵 抗 の 約 5倍,
な る こ とが わ か る。
み ぞ か ご形 で は 周 波 数 が 変 わ る と抵 抗 も イ ン ダ ク タ ン ス も 変 わ る の で,
よ う に 等 価 回 路 で 表 し た 場 合,r2'お
よ びx2'は
す べ りに応 じて 変 化 す る か ら,一 次 電 流 軌跡 も図4・33の
一 定 で な く,
よ うな 作 図 は
適 用 で き な い。 (2)二
重 か ご形 電動 機
二 重 か ご形 機 は,例 え ば 図4・16(b)の
よ うに,外 側 か ご形 回路 の 内側 に さ らに第 二 の か ご形 回 路 を お い た もの で,深 みぞ か ご形 の よ うに表 皮 効 果 に よ って 二 次周 波 数 が 高 い始 動 時 に は 内側 のか ご形(三 次 側 と い う)は,図4・46の
よ うに 漏 れ リア ク タ ン
スが 大 き く,外 側 のか ご形(二 次 側 と い う)は 抵 抗 が 大 き く して あ る。 二 次 お よ び三 次 のか ご形 回 路 は,い ず れ も一 次 か らの誘 導 に よ って起 電 力 お よび電 流 を 生 ず るの で あ る か ら,二 重 か ご形 機 の等 価 回 路 は,図 4・29の
回路 に三 次 回 路 を 加 え た形 に な り,図4・47の
よ うに な る。 同
図4・46 二 重 か ご形 機 の 回 転 子 漏 れ磁 束
図でx23は 二 次 お よ び三 次 に は 鎖交 す るが,一 次 に は鎖 交 しな い 磁束 φ23の ため に生 ず る漏 れ リア クタ ン スで あ る。 図4・47の
回転 子 側 を 一 つ の イン ピーダ ンスZr
で 表 す と, 図4・47
二重 か ご形 機 の T形 等 価 回 路
Zr=Jx23+
Z2Z3 (4・・103)
/Z2+Z3 r2
r3′
+jx2′
と な る 。 た だ し,Z2=
+jx3′ で あ り, x2′ は 小 さ い の で 無 視 す る と,
,Z3=
′/s
/S
(4・104) こ こで,Zrを
つ ぎ の よ う に お く,
Zr=
r′
+jx′
(4・105)
/S
た だ し,
で あ り,こ のr′,x′ は巻 線 形 機 や 普 通か ご形 機 の よ うに 一定 で は な く,s に 応 じて変 わ る。 従 って,図4・33の
よ うな作 図 は で き ない 点 は深 み ぞ か ご形 と同 様で あ る。
4・7 三 相 誘 導機 の 特 性算 定 三 相誘 導 電 動 機 の特 性 を 知 る に は,実 際 に負 荷 を か け て試 験 を す れ ば よい ので あ るが,負 荷 試 験 を行 うに は,そ の 電 動機 の定 格 出 力 に応 じた 電 源 や負 荷 を 用意 しな け れ ば な らな いか ら 多 くの場 合 実施 困難 で あ る。 実 負荷 試 験 に 代 わ る特 性 算定 法 には,さ き に述 べ た 円線 図 法 が広 く用 い られ て い る 。 円線 図 法 に よれ ば,T 形 ま た は L形 の いず れ の等 価 回 路 を用 い るに して も,す べ りs=0お S=1に
おい て 定格 電 圧 を加 え た場 合 の 一次 電 流 お よび その 位 相 を 知 り,か つ,一
よび
次一 相 の
抵 抗 を知 れ ば,こ れ らの数 値 を 基 に して作 図 し,特 性 を 求 め る ことが で き る。 〔1〕 円線 図 を描 くた め の試 験 円線 図 を作 図す るた め に は,次 の各 試 験 を 行 う必 要 が あ る。 (1) 一 次 抵抗 測 定 任 意 の 周 囲温 度t〔 ℃〕に お いて,一 次 2端 子 間 の抵 抗Ruv, Rvw, Rwuを
測 る。 これ らの抵 抗 は 大 体等 しい はず で あ り,平 均値 をRuvと
(2) 無 負荷 試 験 軸 負 荷 を すべ て な くし,一 次 に 定格 電 圧V0(こ 間 値 で 表 す),定 格 周 波数 の対 称 三相 電 圧 を 加 え た と きの 電 流I0と
す る。 の項 で は,電 圧 は線
入 力W0を
測 る。 こ の
試 験 は,実 際 に は可 変電 圧 の 電 源 を用 意 し,定 格 電 圧 の 上,下 の 電圧 につ い て も,電 流 と入
(a)無負 荷 試
(b)拘
験の例 図4・48 無負荷試験 と拘束 試
力 を 測 る。 図4・48(a)は,11kW巻 (3)拘
束試験の例
験
線 形機 の無 負 荷 試 験 の例 で あ る。
束試 験 回転 子 を 回 らな い よ うに機 械 的 に拘 束 し,定 格 周 波数 の 三 相 低 電 圧 を
加 え,一 次電 流 が定 格 電 流 ま た は そ れ に近 い 値 とな る と きの電 流Is′,電 圧Vs′,入 を測 る。 図4・48(b)は(a)と
同 じ11kW機
力Ws′
の 拘束 試 験 の例 で あ る。
な お,特 殊 か ご形 機 の場 合 は,電 源 の周 波 数 が定 格 の1/2の 場 合 に つ い て も拘 束 試 験 を行 う。 これ たつ いて は後 で 例 を 示 す。 〔2〕 L形 円線 図 の作 製 手 順 前 記 の 各試 験 か ら,つ ぎの よ うな手 順 で 円線 図 を画 くた め の数 値 を得 る。 ①
基 準巻 線 温度T〔 Ruv r1=
×
/2
℃ 〕 に お け る一 次 一 相 の巻 線 抵 抗r1を,次
234.5+T/ 234.5+t
の 式 か ら求 め る。
〔Ω 〕
(4・106)
基 準巻 線 温度 は,A,E,B 種 絶 縁 の 電 動機 につ い て は75℃,F,H ℃ と約 束 され て い る(JEC-114「 ②
種 絶縁 の場 合 は115
回 転電 気 機 械 定 般 」お よびJEC-37「
定 格電 圧 無 負荷 時の 一 次 電流I0の
有 効 分Ioω お よび 無効 分Iolを
誘導 機 」 参 照)。 求 め る。
(4・107) ③ 拘 束 試 験 の記 録 か ら,つ ぎの よ うに して定 格 電 圧V0を そ の有 効 分Ismお
よび 無効 分Islを
拘 束 時 の イ ン ピー ダ ン ス
求 め る。
加 え た場 合 の 拘束 電 流Isと
Ws′
Zs′ の 抵 抗 分 Rs′=
,
Zs′ の リア ク タ ン ス 分
/ 3Is′2
基 準 巻 線 温 度 に お いて の 拘束 イ ン ピー ダ ン ス Z とそ の抵 抗 分 R,リ ア ク タン ス分 X を つ ぎの よ うに 決 め る。 A,E,B 種 の場 合
F,H 種 の場 合
R=Rs′
R=1.13Rs′*
X=Xs′
X=Xs′
*電 気学 会 技 術 報 告 第110号
,P.6 Xs′
な お,T
形 円 線 図 を 画 く場 合 は,x1≒x2′=
/2
とい う仮 定 も用 い る。上 表 か ら,
(4・108) を求 め,定 格 電 圧 時 の 拘束 電 流Isと
その 有効 分Isω お よび無 効 分Islを,
(4・109)
の よ うに決 め る。 ④
以 上 の数 値 を 用 意 し,図4・49(a)の
直 角 座標 上 に,
に と って,O 点 お よび Q点 を求 め, O とQ を 結 ぶ。OQの NAと
交 わ る点 を C と し,COを
Qか らNAに
垂直 二 等 分 線 が, NOの
延長
半 径 とす る円 を 画 け ば,こ れ が L形 円線 図 の 円 で あ る。
垂線 を下 し,そ の足 を U とす る。 そ う して,
(4・110) に な る よ うに T点 を 決 め る。 《数 値 例 》 図 4・48(a),(b)に
示 した11kWの
巻 線 形 機 につ い て の 数 値 は,つ
よ うにな る 。 この 電 動 機 は A種 絶 縁 で あ るか ら,T=75〔
℃ 〕 と し,
ぎの
(a) L形 円線 図作製手順
(b) L形円線図から求めた特性曲線 図4・49
Rs′=
960
=0.1580〔
Ω 〕
/3×452
Isω=229.6×
0.1580
=72.12〔A〕
/ 0.503
lsl=229.6×
0.4775 /0.503
=217.9〔A〕
定 格 出 力 の と き の 動 作 点 は,図4・49(a)上
に と り, Hか らOQに
に,
平 行 に 引 い た線 が 円 と交 わ らせ た点 Pで あ る。
これ らの数 値 か ら図4・34の
よ うに作 図 して,動 作 点 を数 点 選 び,各 出 力 に お け る特 性 を
求 め る こ とが で き る。 図4・49(b)は,L
形 円線 図 か ら求 め た特 性 曲線 で あ る。
〔3〕 特 殊 か ご形 機 の 円線 図 特殊 か ご形 機 で は,4・6節
で 述 べ た よ うに,二 次 回 路 の抵 抗 お よび イ ンダ クタ ンス がす べ
りに よっ て変 わ るの で,一 次 電 流 軌 跡 は 円 にな らない が,実 測 に よ る と無 負 荷 か ら最大 出 力 あた りまで の 間 で は 大 体 円 に近 い 軌 跡 を画 くの で,こ の近 似 円を 画 い て特 性 を 求 め る方 法 が JECの
規 格 に な っ て い る。
特殊 か ご形 機 にの み 適 用 す る 円線 図 を特 殊 L形 円線 図 お よび 特 殊 T形 円線 図 とい う。 (1) 特 殊 L形 お よび 特殊 T形 円 線 図 を画 くた めの 定 数決 定 手 順 定 数 決 定 に は,さ き に述 べ た一 次 抵 抗 測 定,無 負荷 試 験 お よび定 格 周波 数 にお け る拘 束 試 験 の ほ か に,定 格 の1/2 の周 波数 にお け る拘 束 試験 を加 え る。 この拘 束 試 験 にお い て 定格 ま たは定 格 に近 い 一 次電 流Is″ に お ける 印加 電 圧Vs″ び 入 力Ws″
およ
を 測 る。 そ う して,1/2周 波 数 に
おいての 拘 束 イ ン ピーダ ンス
Zs″
の抵 抗 分
Zs″ の リ ァ ク タ ン ス 分
(4・111)
図4・50特
殊 か ご形 機 の定 数 決 定
を求 め る。 さ きの定 格 周 波 数 拘 束 試 験 時 の計 算 値Rs′ 数 に 対 し て,Rs′,Rs″,
Xs′ / f
お よび
Xs″
お よびXs′
とを 図4・50の
の 値 を プ ロ ッ トす る と,Rsは
よ うに,拘 束周 波
周 波 数 と と も に 増 し,
/ f/2
Xs/ f
は 周 波 数 が 減少 す る と増 す 。 これ らが 直線 に近 い 変 化 を す るも の と仮定 す れ ば,定 格 の1/5の Xs′″
Rs′″お よび イン ダ クタ ン スに 比 例 す る量 を
周 波 数 にお け る 抵 抗 を
と お い て,図4・48か
ら,次
の式 が つ く
/ f/5 れ る。
ま た は0.3(Rs′-Rs′
∴Rs′
″)=0.8(Rs″-Rs′
″=1.6Rs″-0.6Rs′
″)
(4・112)
お よび
ま た は0.5(5Xs′
∴Xs′
″-Xs′)=0.8(2Xs″-Xs′)
″=0.64Xs″-0.12Xs′
(4・113)
これ らのRs′ ″ お よびXs′ ″ は無 負荷 か ら 最 大 出 力 あ た りま で の 間 ほ ぼ一 定 に 保 た れ る も の と して,こ の 定数(た
だ し,リ ア クタ ンス は 5倍 して定 格 周 波 数 にお け る値 にす る)を
もつ電 動 機 の 特 性 を L形 ま た は T形 円線 図か ら求 め る とい うので あ る。 す なわ ち, A,E,B 種 絶縁 の電 動 機 で は,
(4・114) F,H種 絶 縁 の 電 動機 で は,
(4・115) と して抵 抗 お よび リア ク タ ンス を決 め,仮
想 の 始 動電 流Isと
そ の有 効 分Isw,
無 効 分Isl
を,
(4・116) と して,円 線 図 上 の Q点(S=1の
点)を 決 め,こ の後 は前 節 に 述 べ た と同 じ手 順 で 作図 し,
特 性 を 算 出 す る。 ≪ 数 値例 ≫
定 数 決 定 例 と し て,
120kW,3000V,50Hz,6P,深 の 場 合 を 示 す と,つ
み ぞ か ご形
ぎの よ うであ る。
①
一 次 抵 抗 測 定Ruv=1.130〔
②
無 負 荷 試 験V0=3000〔V〕,
Ω〕
,22℃
に お い て,
I0=9.27〔A〕,
③50Hz拘
束 試 験Vs′=460〔V〕
1、'=28.5〔A〕,1 ・・
④25Hz拘
束 試 験V・"=262〔V〕
, Is″=28.5〔A〕,
W0=9495〔W〕 7ノ=5695〔W〕 Ws″=4375〔W〕
よ っ て,
〔75℃,A種
Rs′
″=1.6Rs″-0.6Rs′=1.469〔
Xs′ ″=3.2Xs″-0.6Xs′=10.56〔
絶縁〕
Ω 〕 Ω 〕
これ らの 数値 か ら L 形 円線 図 を 画 くに は,前 の 例 の11kW機
の 場 合 の よ う に 作 図 すれ ば
よい 。 〔4〕 損 失 分 離 法 三 相 誘導 機 に負 荷 をか け る こ とが で き る場 合 に は,無 負 荷 か ら過 負 荷 ま で実 負 荷 を か け, この 間 一次 電 圧 の大 き さお よび 周 波数 を定 格 値 に保 ち,各 負 荷 にお ける電 流 と入 力 お よび 回
転 速 度 を測 定 して出 力,ト ル ク,効 率,力 率 など を求 め る こ とがで き る。 な お,こ の 方法 に お いて も,一 次 抵 抗測 定 お よび 無 負荷 試験 が 必 要で あ る。 この 二 つ の試 験 につ い て は,円 線 図の 項(3・7節 あ る負荷 時 の 入力 をP1,一
〔2〕)で 述 べ た。
次 電 流 をI1,す
べ りを sとす る とき の 出力P0は,
(4・117) で 求 め られ る。 上 式 は,つ ぎの よ うに して 求 め た もの で あ る。 鉄 損 をpi,無
負 荷 時 の機 械 損 をpmと
す る と,
Ruv pi+pm=W0-3I02×
ま た,負
/2
荷 時 の 一 次 お よ び 二 次 銅 損 をpc1お
よ びpc2と
す る と,
pc1=3I12γ1 pc2=s×
二 次 入 力=s×{P1-3I12γ1-pi}
上式 で,無 負荷 時 の一 次 銅損 の計 算 に 冷状 態(巻 線 の 温度t〔℃ 〕)の 抵 抗 を 用 い,負 荷 時 の 一 次 銅 損の 計 算 には 基準 巻 線 温度(75℃
また は115℃)に
お け る抵抗 を用 い る こ とに して い
る こ とに注 意 を要 す る。 負 荷時 の 機 械損 が速 度 に 比 例す る仮 定 を用 い る と,出 力 は 次 の よ うに な る。
一 次 力率 は,入 力P1と
効
率
一 次電 流I1を
測 るか ら,
η=P0/P1×100〔%〕
トル ク
で 求 め られ る。 ただ し,上 式 の P は極 数 で あ る。
4・8始
動
法
三 相 誘 導機 の 始 動 法 は,か ご形 機 と巻 線形 機 とを 別 けて 考 え る必 要 が あ る。か ご形 は二 次 に何 等 手 を加 え る こ とがで きな いが,巻 線形 機 で は 二 次回 路 に任 意 の 抵抗 を追 加 す る こ とが で き,始 動特 性 を 変 え る こ とがで きるか らで あ る。 始 動 に 関 して注 目 しな けれ ば な らな いの は,始 動 電流,従
って始 動 時 のkVA入
力,始 動
トル ク,始 動 時 間 等 で あ る。 〔1〕 か ご形 機 の 始動 法 (1)始
動 時 の 印 加電 圧
か ご形 機 の始 動 法 は,大 別 して 次 の方 法が あ る。
①
全 電圧 始 動(full voltage starting)(直 入 れ 始 動(line-starting)と もい う。)
②
低 減電 圧 始 動
① は,停 止 して い る電 動 機 に始 め か ら定格 電 圧 を 加 え る方 法 で,定 格 の数 倍 の電 流 が流 れ るの で,こ の大 電 流 を許 せ るか ど うかで 直 入 れ を採 用 で き るか ど うか 決 ま る。 始動 時 の過 大 電 流 は,一 般 にそ の 継続 時 間 が短 か い ので,巻 線 を 焼 損す るお それ はな いが,電 源 や線 路 に シ ョッ クを与 え るの で,電 源 の容 量 や,同 じ線 路 に 結 ばれ て い る他 の電動 機 へ の影 響 な どが 問題 に な る。 一 般 に,小 容 量 機 で は直 入 れを 用 い るが,電 源 や 線 路 に十 分 の容 量 が あ り,特 殊 か ご形 機 を 用 い る場合 に は中 容 量以 上 で も直入 れ とす る こ とが あ る。 過 大 な始 動 電 流 が 許せ ない場 合 に は,始 動時 だ け何 等 か の 方 法で 電 圧 を下 げ て始 動 す る。 これ が 低 減電 圧 始 動 法 で あ る。 (2)直 て,JIS規
入 れ始 動 特性
直入 れ始 動 を行 う場 合 の始 動 電 流 と始 動 トル クの大 き さに応 じ
格 で はか ご形機 を 表4・6の
よ うに別 け てい る(JIS
実 際 の 電動 機 の始 動 トル クは,表4・6の
値 よ りは るか に大 き く,200∼250%で 表4・6
〔 備考〕()内
C-4210)。
は全閉形の場合
あ る。
始動 電 流 は つ ぎの よ うに して決 定 され る。 L形 お よび T形 等 価 回路 に おい て,回 路 中 の抵 抗 お よ び漏 れ リア ク タ ンスが始 動 時 の よ うな過 電 流 に対 して も一 定 で あれ ば,拘 束 試験 時 の 電 圧Vs′,電
流Is′ か ら,定 格電 圧V0で
始 動 す る場合 の 電 流を,
V0 Is=Is′
×
/ Vs′
で 求 め られ る。 この求 め方 を 正比 例法 と い う。 一 般 に は,正 比例 法 が 大体 適 用 で きるが,漏 れ磁 路 の 飽 和 が顕 著 な場 合 は, Is=Is′
×
a
() V0
/Vs′
α>1
(4・118)
と して 求 め な け れば な らない。 これ を対 数 比 例法 とい う。 特殊 か ご形機 は対 数比 例 法 に よ っ た ほ うが 実 際 に近 い始 動電 流 を求 め る こ とが で き る。 式(4・118)で,α
は つ ぎの よ うに して決 め る。
定格 電 流 付近 の電 流Is′ に お ける拘 束 電圧 をVs′,定 格 の 2倍 付 近 の電 流Is2に お け る拘 束 電圧 をVs2と
す る と,
(4・119)
(4・120)
始動 トル クは,次 お よびTrを
の式 に よれ ば,普 通 か ご形,特 殊か ご形 の いず れ に も適 用で き る。Ts
始 動 トル クお よび定 格 トル ク と して,
(4・121) た だ し,Ws′
は 電 流Is′ で 拘 束試 験 を した と きの入 力,Ruvは
測 った端 子 間 の 一次 抵 抗,Isは
式(4・118)で
任 意温 度t〔 ℃ 〕 に お いて
求 め た始 動電 流,s は実 測 また は 円線 図法 で 求
め た定 格 出力 時 のす べ りであ る。 上式 に おい て,Ws′-3Is′2・Ruv/2は 拘束 試 験 時 の二 次 入力 で あ り,こ れ は拘束 試 験時 に生 じて い る トル クに比 例 す る。Ws′ 2乗 に比 例 す るか ら,電 流Isで
で あ り,こ
れ は 始 動 トル クTsに
もIs′2に 比 例 す るの で,始 動 時の 二次 入 力 は一 次電 流 の 始 動 す る と きの二 次 入 力 は,
比 例 す る。
一方 ,定 格 出力Prの
ときの 二 次入 力 はPr/1 -sで
(3) 低 減 電圧 始 動
あ り,こ れは 定 格 トル クに比 例 す る。
電 源 や 線路 の 状況 か ら始動 電 流 を減 ら さな くて は な ら ない場 合 に
は,始 動 時 だ け低 い電 圧 を加 え るよ うに す る。 電圧 を 下 げ て始 動 す れ ば,始 動 電流 は ほ ぼ電 圧 に比 例 して 減 少 す るが,始 動 トル ク も始 動 電 流 の 2乗 に比 例 して 減 るので,重 負 荷 の まま 始 動 しな けれ ば な らな い よ うな場 合 に は低 減 電 圧 始 動 は 適用 で きな い。 電 圧 を 下 げ る方 法 に 応 じて,つ ぎの よ うな始 動法 の よび方 が あ る。 ① 〓-△ 始 動 法 ② 直 列 リア クタ始 動法 ③ 始 動 補償 器 法 (a)〓-△
始 動 法 こ の方 法 は,図4・51の
よ うに 運 転 時 に は 一 次 巻線 を △ 結線 にす る
電 動機 を 始 動 時 だ け〓 結 線 にす る方法 で,簡 単 に 〓-△ 切 り換 え スイ ッチ を 用 い る だ けでで き る。 〓結 線 に す る こ とに よ り,△ 結 線 の ま ま 始 動 す る場 合 に比 べ 巻線 電 流 は1/√3に
減 り,
電 源 か ら流入 す る電流 は1/3に 減 る。 ま た,ト ル ク も1/3に 減 る。 (b)直
列 リア クタ 始動 法 電 源 回 路 の各線 に直 列 に リア ク タを入 れ て始 動 電 流 を制 限す
る方 法 で,リ ア ク タン ス の値 は始 動 の初 めに電 動 機 へ加 わ る電 圧 が,定 格 の50∼80%は
にな
る よ うに 選 ばれ る。 リア クタに は タ ップ を付 けて あ り,始 動電 流 の選 択 もで き る。 電 動 機 が加 速 す る と 電流 が 減 るので,電
図4・51
〓-△ 始 動法
動 機 へ加 わ る 電 圧 が 次 第 に 高 くな る。 この点 は
図4・52
始 動補 償 器
〓-△ 始動 と異 な る。 定 常 運転 は に入 れ ば リア クタは短 絡 し,無 用 の電 圧 降下 を 生 ず るの を 防 ぐ。 (c) 始動 補 償 器 始 動補 償 器(starting compensator)と
は,図4・52の
よ うに,三 相 単
巻 変 圧 器 と切 り換 え ス イ ッチ とを組 み に した 始動 装 置 で,単 巻変 圧 器 の タ ップ か ら50∼80% の 電 圧 を得 て,始 動 時 だ け低 い電 圧 を加 え,加 速 後 に切 り換 え ス イ ッチの操 作 に よ り定格 電 圧 を 加 え る。 タ ップ か ら得 る電 圧 を定 格 のu(<1)倍
に す れば,電 動 機 の 始動 電 流 は定 格 電 圧で 始 動す
る場 合 の u倍 に,補 償 器 の一 次 側 の電 流 はu2倍
にな る。 ま た,始 動 トル クもu2倍 に 減 る。
〔2〕 巻線 形 機 の 始 動 巻 線 形 機 は二 次 回 路 に抵 抗 を 追加 す るこ とが で き るので,始 動特 性 の 制御 が で き る。 (1)二
次 回路 の 抵 抗値 と始 動特 性
始 動 抵 抗 は,図4・53の
よ うに,ス リップ リング を
通 して 外 部 に追 加 され る。 各 相 の抵 抗 は一 般 に は等 し くして あ り,〓 結 線 にす る。 各抵 抗 に は タ ップ が付 け て あ り,回 転 子 の 加 速 に 応 じて タ ップ を移 動 し,定 常 運転 に入 れ ば 抵抗 を 零 にす る。 しか し,単 に 始 動抵 抗 を零 に した だ けで は ブ ラ シ自体 の抵 抗 お よび ブ ラ シと ス リップ
図4・53
巻 線形 機 の 始 動 抵抗
リン グの 接 触抵 抗 が 残 るか ら,二 次 巻線 端子 か らス リップ リン グに 至 る前 で 3線 を短 絡で き るよ うに した 電 動機 も あ る。 二 次 抵 抗 は,多
くの場 合 金属 抵 抗 が用 い られ るが,液 体 抵 抗を 用 い る こ と もあ る。 この場
合 は,電 解 液 中 に三 つ の電 極 を入 れ,極 を 液 中 に浸 す 深 さを 変 えて 抵 抗 を連 続 的 に変 え る こ とがで き る。 誘導 機 の トル クは,式(4・84)で
こ こ に,Tmは
最 大 トル ク,smはTmを
与 え られ,こ れ を 再 び示 す と,
生 ず るす べ り で,二
次 に 追 加 抵 抗Rsを
入 れ た場
合 は,
で あ る 。 た だ し,Rs'=ae2Rs,r2'=ae2r2,ae=有
効 巻 数 比,r2=二
次 巻 線 抵 抗,x=x1+x2',
図4・54
二 次抵 抗 の変 化 と トル ク特 性 の 変 化
また Rsを
図4・55
Rsの
変 化 と始 動 トル クの 変化
で あ る。 変 え た と き の トル ク 曲 線 の 変 化 は,図4・54の
と 始 動 トル クTsが Rs′=0の
図4・55の
と き に,Tmを
よ う に な る。 す な わ ち,Rsを
変える
よ うに変 わ る。
生 ず る す べ り をSm0と
お く と,始
動 トル ク がTmに
な る よ うな
Rs′ の 値 は,
と お い て,
(4・122)
ま た は, で 表 さ れ,sm0は0.1∼0.2で 動 時 にTmを
あ る か ら,Rsをr2の
数 倍 か ら10倍
く ら い 追 加 す る と,始
生 じさせ る ことが で き る。
図4・55は,Rsの し て あ る が,smを
変 化 と 始 動 トル クの 変 化 を 示 し た も の で あ る 。 こ の 図 の 横 軸 はsmに つ ぎ の よ う に 書 き か え て も よ い。
(4・123)
ま た は,
式(4・123)のsm=1と 次 に,始
お い た も の が,式(4・122)で
あ る。
動電 流 に つ いて 考 えて み る。
図4・56は,始
動 電 流 の 変 化 を 考 え る た め に 画 い た L 形 円 線 図 で,Rs′=0の
点(s=1の
Q と す る と き,こ
点)を
の点では
で あ る 。 次 に,二
と きの 静止
次 に 抵 抗Rs′
を追
加 すれ ば,静 止 点 は あ る よ うな点Q'に O′Qか
で
移 動 し,始 動 電 流 は
らO′Q′ に減 る。
静 止 点 が Q で あ る と き,sm=sm0= で あ り,Q'に き は,
移 動 させ た と
で あ る。
よ っ て,図
のQ′
図4・57は,こ
を 数 点 選 ん で,各
点 に お け るSmと
は 減 少 し,Sm=1で
始動 抵 抗 と始動 電 流
始 動 電 流Isと
の 作 図 に よ っ て 画 い たSmとIs/Ir(Irは
電 動 機 はSm0=0.208で,Rs=0で
Is/Ir=3.3で
図4・56
の 関係 が得 られ る。
定 格 電 流)の
始 動 電 流 は137A,Is/Irは4.7で
関係 で あ る。 この
あ る 。Smを
増 す とIs
は97A,
あ る。
始 動 抵 抗 の 値 の 選 定 は,始
動
トル ク の 値 よ り も始 動 電 流 を 定 格 の何 倍 まで 許 すか に よ って決 め ら れ,こ
の 例 で,Is/Ir=1に
す る に はSm=5.2に あ り,こ
の 値 はTsを
す る 必要 が 最 大 トル
ク に 等 し くす るRs′ よ り は る か
図4・57
始 動 抵 抗 と始 動 電 流
に大 きいRs′ を 入 れ な けれ ば な らない こ とを示 す。 始 動 抵抗 は,回 転 子 が 加速 す るに したが い タ ップ位 置を 移動 して次 第 に抵抗 値 を 減 らす。 タ ップ位 置の 選定 す なわ ち始 動 抵 抗 の 区分 の方 法 は,2・4節
〔7〕で 述 べ た直 流 電 動 機 の始
動 抵 抗 の 区分 の方 法 と大 体 同 じに考 え る こ とがで きる。 これ は,始 動 時 に は巻 線 抵 抗 に 比べ 10倍 以 上 の始 動 抵抗 が 加 え られ るので あ るか ら,二 次 の漏 れ リア クタ ン スは無 視 して よ く, 直 流 と同 じよ うに 計算 で きるか らで あ る。 (2) 加 速 特 性
三 相誘 導 機 が 始動 時 に 時間 と もに速 度 が上 昇 す る様 子 を 調べ るた め に
無 負 荷 で始 動 す る場 合 を 考 え る。 回転 部 の慣 性 モ ー メ ン トをJ〔kg・ ㎡ 〕 とす る と,こ の Jを加 速 す る ため に要 す る トル ク は,ωrを 加 速 中 の任 意 の 回転 子 角 速度 とす るとJdωr/dtであ り,電 動 機 の トル クが す べ て J
を 加 速 す る ため に 使 われ る とす る と,
(4・124)
と な る 。 そ う し て,
(4・125) で あ る か ら,式(4・124)は,つ
右 辺 をs=1か
ぎの よ うにな る 。
らs=sま
で 積 分 す る と,
(4・126) と な る 。 た だ し, ωsJ tK= / Tm
で,こ
れ は 式(4・124)の
と し た 場 合 に,s=1か
右 辺 をTm一 らs=0ま
定
で加速
す る に要 す る時間 で ある。 式(4・126)に t/tKと
お い て,smの
値を 変 えて
s と の 関 係 を 求 め る と,図4・58
の よ うに な る。 同 図 に よ る と,smが は,始
動 直 後,す
小 さ く0.1の
な わ ちs=1付
場合
近の ト
ル ク が 小 さ い の で 加 速 が お そ く,sm=1 の 場 合 に,初
期 加 速 が 最 も 速 い が sが 小
さ く な る と トル ク が 減 り 加 速 が 鈍 く な る 。sm=2で
は 加 速 と と も に トル クは 減
図4・58
始 動 時 の 加速 特性
少 す る一方 で あ るか ら,s が小 さ くな る ほ どや は り加 速が 鈍 くな る。 この 図 の性 質 は か ご形 機 につ い て も いえ る ことで,特 殊 か ご形 の 場 合 には,始 動 瞬 時 に は Smが 大 きい が,加 速 す る に したが い 表皮 効 果 の 減少 に よ ってSmの 小 さい 曲線 の特 性 に移 行 す る。
負荷 を直 結 して始 動 す る場 合 は,負 荷 の慣 性 モ ー メ ン トをJl,負 をTlと
荷 が 要求 す る トル ク
す る と, (4・127)
とお いて,軸 の角 加 速度 は,
(4・128)
と な るか ら,図4・59の ωγ=0か
よ う に 作 図 して,
ら ωγ=aま で 加 速 させ るに 要 す る
時 間 は,斜 線 を 施 した部 分 の 面積 に 比例 す る。
4・9制
動
法
誘 導電 動機 を 急 に停 止 させ たい 場合 お よび 過 速 度 に な るの を 防止 す るに,機 械的 な摩 擦 ブ レー キ の ほか に 電気 的 な 方 法 も 用 い ら れ
図4・59負
荷 を もつ 電 動機 の 加 速
る。 こ こで は 電気 的 な各種 の ブ レーキ 法 に つ いて 考 え て み る。 〔1〕
直 流 制 動(発
電 制 動:dynamic
braking)
制 動 を か けた い場 合,三 相 電 源 を 切 った後,直
ちに 図4・60の
よ うに
一 次巻 線 端子 を直 流 電 源へ結 ぶ
。一
次 には 直流 が 流 れ,巻 線 に対 し静止 した磁 界 を生 ず るか ら,二次 側 に は, 回転 速 度Nγ,に 応 じた周波 数f2 =PNγ/120の
三 相 起 電力 を 誘 起 す
図
4・
60
電
気 制
動
る 。電 気 制 動 は,二 次 が か ご形,巻 線 形 の いず れ の場 合 に も用 い られ,こ こで は二 次 側 を図 4・60の
よ うに三 相 〓 結線 で あ ると して 考え る こと にす る。
直流 励 磁 に よっ て 1極 当 た り φの正 弦 分布 の 静止 磁 束 を生 ず れ ば,二 次各 相 に生 ず る起電 力(実 効 値)は,
(4・129) で あ る。 二 次 一 相 の 抵抗 を l2お
よ びL2と
γ2,漏
す れ ば,二
れ イ ン ダ ク タンス お よび 有効 イ ンダ クタ ンス を それ ぞれ
次 一 相 の イ ン ピー ダ ン スZ2は
,
で あ り,二 次 を短 絡 す れ ば, I2=
E2/ Z2
の電 流 が 流 れ,二 次 回 路 に消 費 され るパ ワー は, Pb=3I22γ2=
3E22γ2
(4・130)
/ Z22
で あ る か ら,制
動 トル ク をTbと
す れ ば,Pbを
ωr=
2/ P
ω2で 割 っ て,
(4・131)
と な る 。 こ の 制 動 トル ク は
3L
γ2=ω2(l2+
2/ 2 )に
お いて 最 大 に な り,そ の値 は,
(4・132) と な る。
二次抵抗が巻線抵抗のみの場合は,定 3L2/
格 速 度 付近 で は γ2《ω2(l2+ 上式 のTbは
2 )で あ る。 非 常 に 低速 度 の 所 で大 き く
な り,図4・61の
よ うな特 性 に な る。二
次 抵 抗 を増 せ ば,図 の よ うに高速 の所 で
図4・61電
気 制動 トル ク
(a) u か ら vへ Idを 流 し た 場 合
(b) uか ら v,w へIdを 流 し た 場 合
図4・62電
気 制 動 時 の磁 束分 布
大 きい トル クが 得 られ る。 こ の間 の特 性 は,電 動機 と して の トル クの比 例 推 移 に似 て いて, γ2を m倍 に す れ ば ω2が m 倍 に な った所 で元 と同 じ トル クが 得 られ る。 図4・60の
v,w を 一括 し,u との 間 に直 流 を流 した場 合,u 相 の電 流 をIdと
電 動 機 と して の 励磁 電 流(≒ 無 負荷 電 流)をI0と
した と き √2I0=Idに
ギ ャ ップ磁 束 数 が 電動 機 の 場合 と同 じに な る こ とは,図4・62(b)の 図 を 調 べれ ば 判 定 で き る。 ま た,w 端子 を 外 して u,v間 にIdを よ うな 磁束 分 布 に な り,同 じIdに 制 動 トル クの 最 大値Tbmは こ して φ はIdに
〔2 〕
回
生
極の
流 した とき は,同 図(a)の 多 くな る。
過大 に流 して も鉄 心 に磁 気飽 和 を起
比 例 しな くな る。
Idを 電 動機 と して の定 格 電流 に 等 し くした と きに得 られ るTbmは,電 トル クの60%前
す れば,毎
よ うに磁 束 の空 間 分布
対 し毎 極 の磁 束量 が √3/(3/2)≒1.15倍
φ2に比例 す るが,Idを
す る と,
動 機 と して の定格
後 で あ る。 制
動(regenerative
braking)
この 制 動 は,過 速 度 に な るの を防 ぐた めに 用い られ る方 式 で,電 動 機 が負 荷側 か ら駆 動 さ れ る場 合,例 え ば,負 荷 が 重 量物 で電 動 機 に結 合 され た巻 き胴 を 介 して巻 き下 げ過程 にあ る よ うな場 合で あ る。 この と きは 電 動機 の回転 子 は 負荷 に よ って 加 速 され,同 期速 度 を 超 え てす べ りが 負 に な
る 。 こ の 状 態 を 誘 導 発 電 機(induction ル ギ ー の 変 化 の 速 さ で,こ
generator)と
い う。 発 電 機 の 入 力 は 負 荷 の 位 置 エ ネ
れ が 誘 導 機 内 で 電 力 に 変 換 さ れ ,三
相電 源 へ 戻 され る。 こ の こ と
を 電 力 の 回 生 と い う。
回生 制 動時 の特 性 を L形 円線 図に よって 考 え てみ る。 図4・63は,L
形 円線 図 をs<0お
よびs>1
の 領 域 まで 延 長 して画 い た も ので(無 負 荷 損失 を 無 視 して),発 電 機 と して の 動 作 は 横 軸 よ り 下 の部 分 で あ る。 電動 機 の状 態 か ら延 長 して 考 え る と,一 次 電 流 の ベ ク トルがO′Pで
あ る とき は,電 動 機 と
しての 力率 角 ψは90° を 超 え て い るか ら,基 準 ベ ク トルV1に
対 す る有 効電 流 は 負 で あ る
。 す
なわ ち, 図4・63誘 3V1×O′P×cosψ=3V1×Ph<0
導発 電 機(s<0)お
よび
誘 導制 動 機(s>1)
で あ り,こ の こ とは 誘導 機 か ら三 相 電 源 へ電 力 が もど され てい る こ とを示 す
。
電 流OP(O′Pで
な く)に
pc1=3V1×hbお
対 す る 一 次 お よ び 二 次 銅 損Pc1お
よ びPc2は,
よ びpc2=3V1×ba
で あ り,機 械 的入 力 は, Pmech=3V1×Pa
で あ る。 す べ り は 負 で,
ba/ s=-
Pa
電 気 的 出力 は,前 記 の よ うに, Pelec=3V1×Ph
制 動 トル クTbは,機
械 的入 力 と回 転 子角 速 度 との比 で,
(4・133)
こ の トル ク を 同 期 ワ ッ トで 表 せ ば,次
の よ うにな る。
(4・134) 制 動 時の 同 期 ワ ッ トトル クを 曲線 で 示 す と図4・64の
よ うに な る(比 較 の た め
,電 動 機 の
トル ク曲 線 の延 長 と して画 い た)。発 電 機 と して の 制動 トル ク,電 動 機 と しての トル ク両 者 の 最 大 値 を 比 べ る と前 者 が大 き い。 計 算 お よ び作 図 で は,負 の すべ りの絶 対値 の 大 きい所 まで トル クを 求 め られ るが,最 大 トル クを 超 え た破 線 部 分 で は,速 度 が 上 る と制 動 トル クが 減 る ので ま す ま す加 速 して危 険 な状 態 に な り実 用 に な らない 。 一 方,電 動 機 にお い て も最 大 トル クを超 え た 破線 部 分 で は,速 度 が 下 る と トル クが 減 るので 失 速 の状 態 で あ り,破 線 の 部 分 へ入 れば 直 ちに 停止 に至 る こ とに な る。 巻 線 形機 で,二 次 抵 抗 を大 き くしてs<0の 機 状 態 に す る こ とは 不 利で,同
発電
じ制 動 トル クを得 る
のに | s|を よ り大 き くしな けれ ば な らな い。 〔3〕 逆 相 制 動 図4・64誘
あ る す べ りs1で
運 転 中 の 電 動機 の入 力 側 3線 の
導 電 動 機 お よ び誘 導 発 電 機 の トル ク
うち任 意 の 2線 を入 れか え る と,相 回 転 が 反対 に な り,す べ りは急 に2-s1に
変 わ り,回 転
子 は新 しい相 回 転 と反 対 の 方 向 に 回転 して い る こ とに な る。 図4・65は,こ
の 間 の関 係 を 示 す 曲線 で,す べ りS1で
す る と 同時 に す べ り2-s1に
な り,制 動 トル クTpを
運 転 してい る と きに,相 順 が 反転
生 ず る。 これ は新 しい相 順 の 向 き の ト
ル クで あ るの で,回 転 子 は 急 に 減速 し,停 止 に至 る。 この 制 動法 を 逆 相 制動 ま たは プ ラ ッギ ング(Plugging)と 図4・66の
い う。
円線 図 で み れ ば,逆 相 制 動 は電 動 機 と しての 小 さいす べ りか ら急 にs≒2に
え られ,そ の後 はs=1に
図4・65逆
変
向 か う。 二 次 抵抗 が 小 さけ れば,減 速 と と もに トル クが 増 す ので
相制動
図4・66逆
相 制 動 時 の トル ク
減 速 は 一 層 急 で あ る。 逆 相 制 動 時 は,一 次,二 次 と もに電 流 が 大 き く銅 損 も大 き い ので,繰
り返 し逆相 制 動 を か
け る よ うな場 合 に は,一 次 も二 次 も過熱 す るお そ れが あ る。 な お,巻 線形 機 で二 次 に抵 抗 が 追加 されsmが
1付 近 に な ってい る状態 で,逆 相制 動 を か
け れ ば制 動 トル クが大 き く,か つ,電 流 は小 さ くな る。 逆相 制 動 は 回 転子 が 停 止 した時 点 で電 源 を 切 らな い と,逆 方 向 に加 速 を は じめ る ので,停 止 した瞬 時 を と らえて 必 ず無 電 圧 に す る よ うに工 夫 しな けれ ば な ら ない。
4・10速
度制 御 法
誘 導 機 は 頑 丈 で,効 率 もよ く,保 守 に手 数 が か か らない な どの特 長 が あ り,定 速 度 運 転 用 に は理 想 に近 い電 動機 で あ る が,多
くの 用途 の 中 に は速 度 制 御 を要 す る場 合 が あ る 。速 度 制
御 は直 流 電 動 機 の よ うに 自由 と い うわ けに は いか ず,効 率 の 低 下や コス ト高 とな る欠 点 を 伴 う ことが 多 い 。 制御 方 式 は 回 転子 の形 式 に よ って 異 な り,巻 線 形機 で は古 くか ら二 次抵 抗 制 御 が 行 わ れ て い る が,最 近 半 導 体整 流 器 に よ り,二 次 に整 流 器 を 介 して直 流 機 や イ ンバ ー タを 結 ぶ 方式 が 大 容量 機 に用 い られ て い る。 か ご形 機 の 場 合 は,一 次 巻線 の構 成 に 工夫 を 加 え極 数 の切 り換 え を行 う方 式 や,一 次 に加 え る電 圧 を加 減 す る方 式 は 古 くか ら用 い られ て い るが,最 近 は 可変 周 波 数 の電 源 に結 ぶ方 式 が 注 目さ れて い る。 これ は可 変周 波 電 源 が 回転 機 に よ らず サ イ リス タ回 路 に よ って 容 易 に造 れ る よ うに な った た めで あ る。 また,定 周波,定 電 圧 の電 源 を 用 い,一 次 回路 にサ イ リス タ を 入 れ,各 サ イ クル ご との 通電 時間 幅 を 変 え,電 動 機 へ加 わ る電 圧 の実 効 値 を加 減 す る方 法 も試 み られて い る。 よ って,速 度 制 御方 式 を 大別 す る と,つ ぎ の よ うに な る。
巻線形機
{二次抵抗制御
{ {
二次 回路 のパ ワー を 回収 す る方 式
速度制御法
極数切 り換え法
かご形機 可変周波電源 による方式 一次電圧制御方式
〔1〕 二 次 抵 抗 制御 速 度 制御 の た め の 二次 抵 抗 は,始 動 抵 抗 と同様 に,図4・53の
よ うに二 次 各相 が等 しい抵
院値 で変 え られ る加 減抵 抗 を入 れ る。 しか し,始 動 抵 抗 の よ うに短 時 間 だ けの使 用 で は な い
ので 熱 容 量 の大 きい 抵抗 器 で なけ れ ば な ら ない 。 二 次 抵抗 を大 き く して い くと,比 例推 移 の原 理 に よ り,ト ル ク曲線 が 図4・67の
曲線 A,
B,C の よ うに変 わ る こ とに つい て は 前 に も述 べ た。 負 荷 が要 求 す る トル クが 速 度 に か か わ らず ほぼ一 定 で,Tlの
よ うな場 合
は,ト ル ク曲線 が A,B,Cに 変 わ る と 定 常 運転 時 の す べ りはs1,s2,s3に
変
わ り速 度 が 変 わ る。 しか し,負 荷 の ト ル ク曲線 がTl′ の よ うに変 わ る と,す べ りはs1′s2′,s3′ に な る。 この よ うに 二 次 抵抗 制 御 で は,二 次 抵 抗 値 が同 じで も負荷 の軽 重 や,負 荷
図4・37二
欠 臓 眈加 賊 こよ る速度 制 御(Tl, Tl′ は負荷 の トル ク曲 線)
の トル ク曲線 の 形 に応 じて す べ りが 異
な る。 特 に,無 負荷 に近 い場 合 は 二 次 抵抗 を変 え て もす べ りは 常 に小 さ く,速 度 はほ とん ど 変 わ らない 。 これ は二 次 抵抗 制 御 の 欠 点 とい え る。 ま た,前 に も述べ た よ うに,二 次 入 力P2,軸 の損 失 も含 む)と の間 には,1:(1-s):sの
出力P0お
よび二 次 抵 抗損Pc2(追
加抵 抗 内
関係 が あ り,s を大 き くす れ ばPc2が
増 し,
効 率 が 悪 くな る。 この性質 も二 次 抵 抗 制御 の欠 点 で あ り,す べ りは大 き くと も0.4ぐ らい ま で で,こ れ 以 上 のす べ りにす る と効 率 が悪 くな り過 ぎる。
〔例題 1〕30kW,4
極,巻 線 形 三 相誘 導 電 動 機 が あ る。 二次 端 子 を 短絡 の 状 態 に して,
定 格 出力 で 運 転 す る ときの す べ りは3.2%で
あ る。 こ の電 動機 を す べ り20%で
運 転す るた
め には,二 次各 相 に二 次巻 線 の 抵 抗 の何 倍 の抵 抗 を追 加 す れ ば よ いか 。 た だ し,二 次巻 線 は 〓 結 線 で,負 荷 トル クは速 度 にか か わ らず 一 定 とす る。 ま た,す べ り20%に
した と きの 電動 機 出力 は 何kWか
〔 解 〕 二 次巻 線 の 抵 抗 を γ2,追 加 抵 抗 をRsと
。
す れ ば,す べ り3.2%お
トル クを 生 ず る ため に は,比 例 推 移 の原 理 に よ り,
で な け れ ば な ら ない 。 〔 倍〕
よび20%で
同じ
トル クが 一定 な ら出力 は 回 転速 度 に比 例 す る。 よ ってs=20%の
〔 例題 2〕200kW,6
極,50Hzの
と きの 出力 は,
三 相巻 線 形 誘導 電 動 機 が あ り,速 度 に比 例 す る トル ク
を 要求 す る負 荷 に 結 合 されて い る。二 次 を短 絡 して定 格 出力 で 運転 す る と きの すべ りは2.4 %で あ る。 この電 動機 の速 度 を750rpmに
下 げ るた め の,二 次 各 相 に 追 加 す べ き抵 抗 は何 Ωか 。 た
だ し,二 次 は 〓結 線 と し,一 相 の巻線 抵 抗 は0.06Ω
で あ り,電 動 機 が生 ず る トル クはす べ
りに比 例 す る もの とす る。 また,750rpmに
お ける電 動機 の 出 力 は何kWか
。 であ り,は じめ の回 転
〔 解 〕 この 動 機 の 同期 速 度 は, 子 速 度 はNγ=1000×(1-0.024)=976〔rpm〕
で あ った 。 750 =0.768倍 下 げれ ば,負 荷 の トル クは元 の /976
速度 を750rpmに
トル ク は す べ り に 比 例 す る と い う 仮 定 で あ る か ら,二
す べ り で 表 せ ば0.25で
動機 が 生 ず る
次 を 短 絡 した 状 態 で 元 の0.768倍
ル ク を 生 ず る と き の す べ り は,2.4×0.768=1.843〔%〕 速 度750rpmを
で あ り,電
あ る か ら,各
の ト
で あ る。 相 に 追 加 す べ き 抵 抗 をRsと
すれ
ば,
と お い て,
ま た,750rpmに =118〔kW〕
お け る 出 力 は,ト
ル ク も速 度 も 元 の0・768倍
で あ る か ら,200×(0・768)2
と な る。
〔2〕 静 止 ク レー マ(Kramer)方 この方 式 は,図4・68の
式
よ うに,巻 線 形機 の
二 次 に ブ リッ ジ結 線 に した シ リコ ン整 流 器 を結 び,一 方,主 軸 に直 流 電 動機 を 直 結 して お き, 電 動 機 の 正 負 端子 に,整 流 器 の 出力 端子 を 結 ん だ も ので,直 流電 動 機の 励 磁 は別 箇 に調整 で き る よ うに して お く。 誘 導 機 の ス リップ リン グ間 に現 れ る 電 圧V2
図4・68静
止 ク レー マ方 式
は,Vl1を
一 次 電 圧,aeを
有効 巻 数 比,s を す べ り とす れ ば,一 次 電 圧 降下 を無 視 す る と き,
で あ り,一 方,直 流 電 動 機 の電 機 子 起電 力Eaは,式(2・3)で Ea=Kaφ
与 え られ,
ωr
で 表 され る 。 た だ し,Kaは
電 機 子 定数,φ
は 電 動 機 の主 磁束,ωrは 電 機 子 の回 転 角速 度 で,誘 導機 と直 流 機 と直 結 されて い るか ら, 誘 導 機 の 同 期 角 速 度 を ωsと す る と,ωr= ωs(1-s)で あ る。 ス リップ リング 間 の交 流 電圧V2を,ブ
リ
ッ ジ結 線 に した整 流 器 を 通 して直 流 電 圧 にす る と,そ の 平 均値 は,
で 表 され る 。 図4・69に,こ
れ らの 電 圧 お よ び 起 電 力 の
す べ りに 対 す る変 化 を 示 す 。Vdは し,Eaは1-sに ら,直
比 例 し,φ
sに 比 例
に も比 例 す る か
流 機 の 励 磁 を 変 え れ ばEa1,Ea2,Ea3等 図4・69静
の特 性 が 得 られ る。
止 ク レー マ方 式
直 流 機 の 磁 束 を φ=φ1に した場 合 は,両 特 性 曲線 の 交 点 はs=s1で,こ の 二 次 回路 は 無電 流 す なわ ち無負 荷 状 態 で あ る。 直 流 電 動 機 の電 機 子 電 流Idは,
で 表 され,Id=0で
と お い て,
無 負 荷 とな る か ら,無 負 荷 時 のす べ りをs0と す る と,
の とき,誘 導 機
とな る。 よ って,直 流 機 を 無 励 磁 に して φ=0と
す れ ば,す なわ ち二 次 を短 絡 した 普 通 の誘
導機 の運 転 状 態 に な るわ けで あ るが,実 際 に は,整 流 器,直 流 機 の 内 部抵 抗 の影 響 で,無 励 磁で もs0=0に
は な らない 。
励 磁 を変 え て,φ1,φ2,φ3に 増 加 させ る と,無 負 荷 に な るす べ りはs1,S2,S3に
変 わ って い
く,すな わ ち静 止 クレー マ 方式 で は直 流 電 動機 の励 磁 の加 減 に よ って無 負 荷 速 度 が 加減 で き, 負 荷 トル クが増 せ ば,図4・69の
トル ク曲線 の よ うに,s1,s2,s3の
点 か ら速 度 が 若干 下 が る
こ と に よ り,ト ル クが 大 き くな って い く。 この 方 式 で,誘 導 機 の入 力 をP1と が誘 導 機 か ら直 接 負 荷 へ,sP1は 制 御 の よ うに,sP1が
した場 合,す べて の 部分 の損 失 を 無 視 す れ ば,(1-s)P1
整 流器,直 流 機 を通 って 負荷 へ 伝 え られ るの で,二 次 抵 抗
無 用 の 熱 に 変 わ る ので な く,直 流 機 に よ って 回 収 され る 。従 って,系
全 体 の 効率 が よい 。 従 って,誘 導 機 の入 力を 一 定 に して考 え れば,s の値 にか か わ らず,負 荷 へ伝 え られ る動 力 は 一 定で,定 出 力 特 性 と な る。 静止 ク レーマ 方式 は,整 流 器 の 発 達 に よ り,近 年 急 速 に 適用 例 が 増 加 して お り,系 の 出力 は 数kWか
ら数 千kWま
で 広 い範 囲 に 実例 が あ る。
この方 式 の 特 長 を整 理 して み る と,次 の 点 が あ げ られ る。 ①
速 度 制 御 は,直 流 機 の 界 磁電 流 の制 御 に よ って 行 うの で,制 御 の た めパ ワー が 小 さい 。
②
二 次 の パ ワ ーが 直 流 機 に よ って主 軸 へ 返 還 され るの で,s を 大 き くして も効 率 が低 下 しない 。
③
定 励磁 で負 荷 が 変 化 す る場 合 は,ほ ぼ 定速 度 特 性 で あ る。
④
速 度 制 御範 囲 が せ ま い 場合 に は,整 流 器 お よ び直 流機 の 容 量 は小 さ くて よ く,一 般 に はs′ ×(定格 出力)で 足 りる。 た だ し,s′ は最 高 必 要 す べ りで あ る。
〔3〕 セ ル ビウ ス(Scherbius)方
式
この 方 式 も大 容 量 の 巻線 形 電 動 機 の 速 度 制御 に用 い られ る もの で,図4・70(a)に 成 の 略 図 を示 す 。 主 電 動機IMの 電 動 機DMに
ス リップ リン グに 生ず る電 圧 を シ リコ ン整 流 器 を経 て直 流
加 え る ま で は ク レーマ 方 式 と同 じ回路 で あ る。 しか し,DMは
ず,別 の か ご形 誘導 機IGに
直 結 す る。IGの
側 の直 線 い ま,主
機 の す べ り s に 比 例 す る 。Vdが
1,2,3の よ うにDMの 機 の す べ りs3の
界 磁 電 流ifに
主 機 と直 結 せ
一 次 端 子 は主 機 と同 じ三相 電 源 へ 結 ぶ 。
整流 器 の出 力 電圧 は,ク レ ーマ 方 式 の場 合 と同 様 に, の よ う に,主
回路 構
加 え られ るDMの
で 表 され,同 速 度 特 性 は,図(b)の
図(b) 右
よ って きま る。
場 合 を 考 え る と,Vd=abで,if=if3に
す る と,DMの
速度
(a)回 路構 成
(b) DMへ 送 られ る 電圧
(C) トル ク 特性
図4・70セ
ωdは,IGの
ル ビ ウス方 式
同 期速 度 ωsIGに 等 し くな り,こ こで はDMもIGも
遊 び の状 態 で 無負 荷 で
あ る。 if3の 値 を 減 ら し,if2に
す れ ば,ωd=ωsIGと
す なわ ち,主 機 の 無 負 荷 速度 がifの
な るよ うな主機 の すべ りはs2に
変 わ る。
加減 に よ って変 え られ る。
if一 定 に した とき の トル ク特 性 は 同 図(c)の よ うに な り,定 速 度 特 牲 とな る。 セル ビ ウス方 式 で は,あ るす べ り sで主 機 が 運転 され,こ 機 械 的 出 力 は(1-s)P1,DMへ IGを
の入 力 はsP1(す
経 て電 源 へ も ど され る。 す な わ ち,一 定 の入 力P1に
比 例 す る こ とに な る ので,定
の と きの入 力 をP1と
べ ての 損 失 を無 視 して)で,に
す る と, のsP1は
対 し,機 械 的 出力 は 速 度 ωIに
トル ク特性 で あ る。
この方 式 の 特 長 と して,す べ りを大 き く して 運転 して も,二 次 抵 抗 制御 の よ うに 効率 が 低
下 しな い点 は,ク レ ーマ 方式 と同様 で あ る。 ま た,主 電 動 機 と直 流 電 動機 とは 別 の 場所 に設 置す る こ とが で き るの で,主 機 の 周 辺 の所 要 面積 が少 な く,抵 抗 制 御 を してい た もの を セル ビウ ス式 に 変 え る こ と もで き る。 な お,始 動 時 に は二 次 に始 動 抵 抗 を入 れ る こ とが で き るので,最 大 トル ク以下 の任 意 の始 動 トル クを得 る こ とがで き る。 図4・71は
静 止 セ ル ビ ウス といわ わ れ る
方 式 で,図4・68のDMお
よびIGの
所ヘ
サ イ リス タ イ ンバ ー タをお い た もの で,速
図4・71静
止 セル ビウ ス方 式
度制 御 は イ ンバ ー タの ゲー ト信号 の 位 相 を変 えて 行 う。 こ の方 式 で は,速 度 制 御 の た めの 回 路 は す べて 静 止 器 で成 り立 ってい るの で,据 付 け面 積 が 少 な くて済 む 。 定 トル ク特 性 とな る点 な どは,図4・70の
方 式 と同 じで あ る。
〔4〕 か ご形 機 の 速 度制 御 か ご形電 動 機 は,二 次 回路 に は何 等 手 を 加 え る ことが で きな いの で,速 度 制 御 は一 次 側 で 工 夫 す るほ か な い。 か ご形 の速 度 制 御 法 と して,前 に示 した 方 法 の うち極 数 を切 り換 え る法 お よび 一次 周 波 数 を 変 え る法 は,同 期 速 度 を変 え る方 法で あ り,ま た,一 次 電 圧 の実 効 値 を変 え るの は,同 期 速 度 は 一 定 で,す べ りを変 え る法 で あ る。 後 者 は低 速 にす る と二 次 損 失 が多 く過 熱 しやす い ので,放 熱 を 有効 に行 う必 要 が あ る。 (1)一
次 周 波数 制 御
誘 導 機 の電 源 周 波 数 を 連続 的 に変 え れば,回 転子 速 度 を連 続 的
に制 御 で き る こと は明 らかで あ り,以 前 は多 数 の 電 動機 の速 度 を 同時 に 上 下 させ る よ うな場 合 に の み同 期 発電 機 を 電源 と して この方 式 が 用 い られ てい た 。電 動 機 一台 ご とに 発電 機 を お くこ と は経 済 的 に成 り立 た な いか らで あ る。 最 近 に な って,サ イ リス タに よ る イ ンバ ー タが 普 及 し,静 止 器 で,小 形,軽 量 の可 変 周波 電源 が容 易 に 得 られ る よ うに な り,電 動機 ご とに イ ンバ ー タを 備 え る こ と もで き る状 勢 に あ る。 イ ンバ ー タか ら得 られ る三 相 電 圧 は ひず み波 で,従
って,電 流 もひず み 波形 に な って,高
調 波 分 に よ る損 失 が増 し,効 率 が 若 干 悪 くな る。 可 変 周波 運 転 時 の特 性 を 考 え る のに ひ ずみ 波 の 中 の基 本 波 電 圧 だ けを考 えて も大体 の特 性 を つ か む こ とが で き る。 周 波 数 の 変 化範 囲 は数Hzか
ら100Hzぐ
らい まで とす る こ とが多 く,最 高,最 低 の 速度
比 は10以
上 とい う広 範 囲 に とれ る。 速 度 比 を さ らに大 き く20:1と
囲 に制 御 す る場合 は,特 に 低 速度(周 波数 数Hz以
か30:1と
い う超 広 範
下)に おい て,安 定 な運 転 をす る ため に
は 特 殊 の イ ンバ ー タ,例 え ば パ ル ス幅 制御 形 の もの が用 い られ る。 電 動機 内の 基本 波 回転 磁 束 は,式(4 ・75)よ り, Eu φm=
/4.44ne1f
で 与 え られ,一 次起 電 力 は その 相 の 印加 電 圧V1に
ほ ぼ等 しい ので,
と書 け る。 従 って,f を可 変 に して 運 転 す る場 合 に は, V1も f に比 例 して 変 え な い と φmを 一 定 に保 て な い。 す なわ ち,V1一
定 で fだ けを変 え る と,f が低 い とき に φmが 過 大 に な
ろ う と して,磁 気 飽 和 を起 こ し,励 磁 電 流 が著 し く大 き くな って 満足 な運 転 がで きな くな る。 (2)極
数 切 り換 え 法
か ご形 機 に の み一 般 に適 用 され る方 法 で,三 相 誘導 機 は極 数 を
変 え れ ば 同期 速度 が 極 数 に反 比例 して変 わ る か ら,回 転 子 速度 を 変 え る こ とがで き る。 しか し,極 数 は連 続 的 に は変 え られ な いか ら,連 続 的 な 速度 制 御 は望 め ないが 、 速度 切 り換 え な らで きる。 極 数 を変 え るに は,次 の よ うな方 法が あ る。 ①
固 定子 に極 数 の異 な る 2組 の一 次 巻 線 を入 れ て お く。
②
一 次巻 線 を 1組 だ け入 れて お き,結 線 の変 更 に よ り極 数 を変 え る。
③
極 数 の異 な る 2台 の電 動機 を 直結 して セ ッ トに して お き切 り換 え 運転 す る。
① は,速 度 比を 任意 に 選 べ るが,同
じス ロッ トに 2組 の巻 線 を入 れ るか ら,電 動 機 の寸 法
が 大 き くな る。② の 結線 変 更 に よ る方 法 は,極 数 を2:1の
切 り換 え しか で き ない が,切 り
換 え前 後 に 定 トル クを得 る方 法,定 出 力 を得 る方 法 が あ る。 また,① と② を 同 じ電 動機 に適 用 す れば 4段 速度 も得 られ る。 極 数切 り換 え方 式 は,1kW以
下 の小 形 機 か ら数 百kW級
の電 動 機 に も適用 され,エ
レベ
ー タ,ク レー ン,ウ イ ンチ,工 作 機 械 な どに応 用 され る。 か ご形 回転 子 の極 数 は,一 次 の 極数 に順 応 して 自動 的 に変 わ るか ら, 極 数 切 り換 え 法 を か ご形 機 に適 用 す る の は容 易で あ るが,巻 線 形機 で は回 転子 側 の極 数 も変 え な けれ ば な らな い の で,適 用 困難 で あ る。 (3)サ
イ リス タに よ る速度 制 御
き,一 次 電 圧 を変 え ると,図4・72の
か ご形 三相 誘 導 機 は,二 次抵 抗 を や や 高 く し て お よ うに電 源電 圧 を 下 げれ ば,そ の 実効 値 の 2乗 に比 例
して トル クが減 少 し,図 の よ うな トル ク曲 線 群 がで き る。 サ イ リス タに よ る速 度 制 御 は,図4・73 (a),(b),(c)の
よ うに,サ イ リス タを お
く位 置 に は各種 の方 式 が あ るが,い ず れ の 場 合 も,各 ゲ ー トに与 え るパル スの位 相 を 制 御 す る こ とに よ り,交 流 の 1サ イ クル の 間 の 通電 区 間 を 制 御 し,電 動機 の 巻線 に加 え る電圧 の実 効 値 を変 え るこ と に なる。
図4・72高
抵抗 か ご形 機 の 電 圧-ト ル ク特牲
電 源 周波 数 は 一 定で あ るか ら,に の速 度 制御 はす べ り制 御で,低 速度 にす る と,二 次 の 抵 抗 損 が 増 し,回 転 子 が過 熱 す る お それが あ り,積 極 的 に冷 却 を行 う必 要 が あ り,効 率 も悪 く な る。 ま た,電 流 波形 もひず み波 とな り,力 率 も悪 くな る等 の 問題 が あ るが,速 度 を 0か ら 無 制 御 の 状 態 まで 変 え る こ とが で き る。
(a)一次 線 路 たそ う入 す る方 法
(c)〓結 線 の中 性 点 に そ う入 す る方 法 図4・73サ
(b)△結 線 の 各相 に そ う入 す る 方法
イ リス タに よ るか ご形電 動 機 の速 度 制 御
単 相 誘 導 機 に も同様 に サ イ リス タを 主 回路 に入 れ る こ とに よ って 速度 制 御が で きる。 サ イ リス タに よ る速度 制 御 は,小 容 量 機 にの み適 用 され,三 相 機 で20kWぐ
4・11誘
らい まで で あ る。
導 機 と対称 分 計算 法
対 称 分 計 算 法 とは,多 相 の交 流 回路 や 電気 機 器 な どの 計 算 の た めに,元 の回路 の電 圧,電 流 か ら導 か れ る仮 想 の電 圧,電 流 を定 義 して,こ の 仮想 電 圧,電 流 に つ い て解 き,後 で 元 の 姿 へ もどす 計 算 法 で あ る。 対 称分 計 算 法 に よる と,元 の式 に は変 数 が多 くと も,対 称 分 の式 で は 変数 が 少 な くな り, 解 きや す くな る場 合 が多 い。 対 称分 の定 義 に は,電 圧,電 流 の 瞬時 値 につ いて の定 義 お よび 実効 値 ベ ク トル につ い て の 定 義 が あ り,両 者 は 形式 的 に は 同 じ形で あ るが,そ の意 味 は著 し く異 な る。 この章 以 降で,多 相 お よび単 相 誘 導機 の 特性 を 考 え よ うとす るので あ るが,単 相機 の 二次 側 の よ うに,二 つ の 異 な った周 波 数 の電 流 が混 合 して流 れ てい る よ うな場 合の 扱 い には,瞬 時 値 につ い て定 義 した対 称 分電 圧,電 流 につ い て解 い て い けば そ れ らを 求 め る こ とがで きる 。 も ちろ ん 三相 誘 導 機 に つ いて も,対 称分 計 算 法 は有 力 な 計算 法 で あ るが,電 圧,電 流 が す べて 対 称 三 相,巻 線 構 造 も対 称 三相 で あ れ ば,一 相 だ けの電 圧,電 流 に注 目 し,そ れ を求 め て,他 の 相 は位 相 は異 な るが,ベ ク トル 図 と して は各 相 同 じ とい う こ とか ら,一 相 だ け を表 す L形 や T形 の等 価 回 路 を 用い て計 算 で き るの で あ る。 しか し,三 相 機 で も電 源電 圧 が非 対 称 で あ る よ うな場 合 に つ いて は,対 称 分 計算 法 に よ る 必要 が あ る。 〔1〕 一 次 二 相,二 次 三 相 の誘 導機 こ こで対 称 分 計 算法 の例 と して,図4・74の
よ うな 一次 二 相,
二 次 三 相 の誘 導 機 を考 えて み る。 (1)二
相 お よ び三 相 電圧,電
流 の対 称 分 の 定義
図4・
74の 一 次 u相 お よび v相 に 加 え る電圧 の 瞬 時値 を そ れ ぞれ νu お よび νvと し,対 称 分 をつ ぎの よ うに定 義 す る。
正相分 逆相分 電 流iu,ivの
正 相 分i1お
} よび 逆 相 分i2に
(4・135)
つ い て も,上
図4・74一 式
次二 相,二 次 三 相誘 導機
と同 じ形 式 で定 義す る。 二 次の 電 圧,電 流 につ い て は,回 路 が三 相 で あ るか ら,次 の よ うに定 義 す る。 例 えば,電 流 につ い て は,
零相分 正相分
(4・136)
逆相分
た だ し,
実 効 値 ベ ク トル で 表 した 電 圧,電 υu,υvの ベ ク トル 表 示 をVuお 逆 相 分(negative-phase-sequence
流 の 対 称 分 は,つ
よ びVvと
ぎ の よ うに 定 義 す る 。
し,正 相 分(positive-phase-sequence
component)の
電 圧 を そ れ ぞ れV1お
component), よ びV2と
す れ ば,
(4・137)
ま た,式(4・136)の
各 電 流 が ベ ク トル で 表 さ れ,Iu′,Iv′,Iw′
び 逆 相 分 を そ れ ぞ れI0′,I1′
お よ びI2′
な ら,零
相 分,正
相分およ
を,
(4・138)
の よ うに定 義 す る。 (2)電
圧 つ りあい 式
一 次 u相 に つ いて は,さ きに 式(4・49)を
つ くった よ うに 考 え
て,
(4・139)
v相 に つ い て は,つ
ぎ の よ うに な る 。
(4・140) 上 の二 式 を 対 称分 の 電 圧,電 流 を用 い た形 に書 きか え る と,
(4・141)
回転 子 のu′ 相 に つ いて は,電 圧 つ りあい 式 はつ ぎの よ うに な る。
(4・142) v′相,w′ 相 に つ いて も 同 様 に考 え て つ りあ い式 を つ く り,そ れ らを対 称 分 の量 を 用 い た 形に に書 き かえ れ ば,
零相分 正相分
(4・143)
逆相分 上 の 三式 の うち,i0′ は流 れ られ ない ので 零 で あ るか ら,零 相 分 の式 は 不要 で ある。 式(4・141)お
よび式(4・143)を
み る と,正 相 分電 圧 の 式 は,一 次,二 次 の 正 相分 電 流 のみ
で,逆 相 分 電 圧 の式 は逆 相分 電 流 の みで 表 されて い る。 にの よ うに,正 相 分,逆 相 分 が分 離 され る こ とが 対 称分 計 算 法 のつ ご うの良 い点 で ある。 た だ し,回 路 の状 況 に よ って は,常 に 正,逆 相 に分 離 で き る とは 限 らない。 (3)二
相 電動 機 の イ ン ピー ダ ンス
相 電流 を消 去 す る と,
式(4・141)と(4・143)か
ら,二 次 の 正相 お よび 逆
(4・144)
た だ し,P=d/dt’
ま た ωr=Pθ=d/dtθ=回
転 子 の 回 転 角 速 度 で あ る 。 ま た,*
は共 役 を表
す。 こ こ で,一
次 u相,v
相 に 加 え る 電 圧 を 二 相 電 圧 と し,
(4・145) と仮 定 す る と(α は 任意 の位 相角),
(4・146)
た だ し,
(4・147)
で,そ
れ ぞ れ 実 効 値 ベ ク トル の 対 称 分 の 正 相 分 お よ び
逆 相 分 で あ り,図4・75の
よ うに な る。
ま た,Vu=Vuejαu,Vv=-jVvejαv(4・148) で,そ
れ ぞ れ υuお よ び υvの 実 効 値 ベ ク トル で あ る 。
よ っ て,(4・144)よ
り,
図4・75二
相 電圧 の対 称分
(4・149) た だ し,
ま た,
そ う して,
正 相 電流,
逆 相電 流 で あ る。
(4・150)
(4・151)
こ の はZ1および はZ2をそれ ぞ れ 正相 イ ン ピー ダ ンス お よび逆 相 イ ン ピーダ ン スと い う。 た だ し,X1=ω(l1+L1),
ω-ω
s=
γ
2-s=
/ω=す べ り,
ω+ω γ /ω
で あ る。 (4)入
力,損
失,出
力 と トル ク
入 力 の 瞬 時 値 をPiと
す る と,
Pi=υuiu+υviv=υv1i2+v2i1 で 表 され る 。 以 下 は,簡
単 に な る 場 合 を 考 え る た め,一
=Vv=Vs,ま
た位相 角
αu=αv=α
次 に加 え る電 圧
と 仮 定 す れ ば ,V2=0,i2=0と
υu,υvの 実 効 値 が 等 し く,Vu な る か ら,
と な るか ら,
(4・152) そ う して,
の実数部
よ っ て,入
力 は,
(4・153) 式(4・149)お
よ び(4・147)よ
り,
で あ り,Ptは
二 相 分 の入 力 に な って い る。 これ は一 定 値で 時 間 とと もに変 化 しな い。
一次銅損は
,
(4・154)
pc1=(iu2+iv2)γ1=2i1i2γ1=I12γ1
二 次 銅 損 は,
(4・155)
pc2=(iu′2+iv′2+iw′2)γ2=2i1′i2′r2
で あ る が,i1′,i2′ は 式(4・143)へ
も ど っ て み る と,同
式 の 中で
と な る か ら,
の共役 で あ り,
よ っ て,出
力 をP0と
す る と,
(4・156) トル クを T とす れ ば,
(4・157)
そ う し て,式(4・149)よ
た だ し,
り,
=漏 れ係 数
で あ る か ら,ト
ル クは つ ぎの よ うにな る。
(4・158) この形 は,三 相 機 の トル クの式(4・66)と
同 じで あ る。 す なわ ち,一
次二 相,二 次 三相 機 の
一 次 に,大 き さが 同 じで 位相 が90° 異 な る二 相電 圧 を加 えた とき の特 性 は,一 次,二 次 と も に 三 相 の電 動 機 と全 く同 じで あ る。 〔2〕 純 単 相 誘 導電 動 機 図4・76の
よ うに,一 次 に た だ一 つ の単 相巻 線,二 次 に多 相(図
で は三 相)巻 線 を もつ 誘 導 機 を純 単 相誘 導 機 とい い,単 相 誘導 電 動 機 の 基 本形 で あ る。 この 電 動機 の特 性 を 調 べ るた め に,二 次 の量 だ け を 対 称 分 に し て,一 次 の 量 νu,iuは そ のま まを 用 いて 計算 を進 め る。 そ う して, そ の式 は さき の一 次 二 相,二 次 三相 機 の一 次 u相 だ けを 残 し,v 相 を な く した もの と思 え ば よい。 (1)電
圧 っ りあ い式 とイ ン ピー ダ ンス
あ い式 は,さ き の u相 の 式(4・139)が 二 次 各 相 に つ い て は,式(4・142)の
一 次 巻線 の電 圧 つ り
そ のま ま使 え る。 形 か らivを
図4・76 純 単相 誘 導機
な くせ ば よ い 。 す な わ ち,一
次 側 で は,
(4・159) 二 次側 で は,
(4・160)
二 次 の電 圧,電 流 を 対 称分 の量 に お きかえ る と,
一 次側 の式 は
,
(4・161) 二 次 側 は零相 分 を除 いて,
正相分 (4・162) 逆相分 式(4・161)お
よ び 式(4・162)か
ら,二
次 側 の 電 流i1´, i2´を 消 去 す る と,
(4・163) た だ し,
で あ る 。 よ って,一
次 電 流iuは,
νu iu=
/ Zt
で 求 め られ る。 こ こで,一 次 に 加 え る電 圧 を,
と仮 定 す ると, (4・164)
た だ し,
(4・165)
であ る
そ う して, また,Ztは
つ ぎ の よ うに も書 ける。
。
(4・166) ここ に,Z1tお
よびZ2tは
そ れ ぞれ 上式 の第 1項 お よび第 2項 で,そ
れ ぞれ 正 相 お よび
逆相 イ ン ピーダ ン スの 性 質 を も って い る。 (2)
等 価 回 路 と特 性
式(4・166)のz1tは,三
相 誘 導 機 の イ ン ピ ー ダ ン ス の 形 と し て,さ 式(4・54)と
き に示 した
定 性 的 に 同 じ で あ る 。 ま た,z2tはZ1t
の sの 代 り に2-sを Zt=Z1t+Z2tを
入 れ た だ け の 相 違 で あ る か ら,
等 価 回 路 に 画 くと,図4・77の
に な る 。 こ の た め の 式 の 変 形 は,さ て 等 価 回 路 を つ く っ た 式(4・69)と
よう
きに三 相 機 につ い 同 じよ うな 手 順 で
行 えば よい。 図4・77の
等 価 回 路 か ら,つ
ぎの よ うな こ とが判 断
で き る。
①
図4・77純
単相 誘 導 機 の 等価 回路
純単 相 機 の イ ン ピー ダ ン スが三 相 機 の一 相 を表 す イ ン ピー ダ ン ス と異 な る点 は,前 者
が す べ り sと2-sと
を 含 む こ とで あ る。 例 え ば,s=0.2とs=1.8と
じに な る。 す なわ ち,回 転 子 が同 期速 度 の80%で
で はZtは
同
右 方 向 また は左 方 向 の い ずれ に回転
して もイ ン ピー ダ ン スは 同 じに な り,従 って入 力 も,電 流 も,出 力 も回 転速 度 が 同 じな ら,回 転 方 向 に 関係 な く同 じ値 に な る。 この こ とか ら,純 単相 機 は特定 の回 転方 向を もた ない と い うこ とに な る。 ② Zt=Z1t+Z2tのZ1tとZ2tはs=1の ③
場 含 に限 り等 し くな る。
等 価回 路 の 中のIs´ お よびI2-s´ は,そ れぞ れ 回転 子 回路 の 周 波数sfお の 電流 に 対応 して 流 れ る一 次 電 流で,例 え ばs=0に
④
この 等価 回 路 か ら電 動 機入 力P1を P1=VuIucosψ=(Vuoosψ)×Iu=(Ztの
求 め る と, 実 数 部 ×Iu)×Iu
とな る。 そ う して,一 Ztの
次 銅 損 をpc1と
実 数 部 は,式(4・165)か
よび(2-s)f
な る とIs´ は 零 に な る。
す る と,pc1=Iu2r1で らつ ぎ の よ うに な る 。
あ る。
(4・167)
Ztの 実 数 部
(4・168)
よ っ て,出
力P0と
二 次 銅 損pc2と
の 和 は,上
式 の 第 2項 にIu2を
乗 じた も の で あ る 。
二 次 銅 損 は, Pc2=Is´2r2+I2-s´2r2
(4・169) よ っ て,出
力P0は,
P0=P1-pc1-pc2
(4・170) よ っ て , トル ク を T と す る と,
(4・171) と な っ て,こ
の トル クはs=1に
お い て 零 と な る 。 す な わ ち始 動 トル ク が な い 。 この こ
とは純 単 相誘 導 機 の致 命 的 な欠 点 で,こ の ま まで は 実用 に な らない。 二次 抵 抗 が 三相 か ご形 誘 導 機程 度 に低 い純 単 相誘 導 機 の トル クを式(4・171)に 算 す る と,図4・78の ち,s=1に
つ いて 計
よ う に な る。 す な わ
お いて はT=0で
あ るが,s
の
小 さ い所 お よび 2に 近 い所 で 最大 トル クを 生 じ,始 動 を して やれ ば実 用 に な る特性 を も っ て い る。
図4・78純
単 相 誘導 機 の トル ク曲線
単 相 誘 導 電 動 機 に は,コ ンデ ンサ を 付属 させ た 各種 の 形 式 が あ るが,い ず れ も始 動 トル ク を 生 じさせ るた め に工 夫 を 加 えた もの で あ る。 〔3〕 三 相 誘 導機 と対 称 分計 算 法 三 相 誘 導 機 に 対称 三 相 電 圧 が加 え られ,定 常 運 転 して い る ときの 特性 は その 中 の一 相 だ け に注 目 し,L 形 ま た は T形等 価 回 路 に よ って 計 算 を進 め る こ とがで きる が,印 加 電圧 が 不 平 衡 で あ る場 合 は,三 つ の 相 全体 を 同 時 に注 目 して 計算 しな けれ ば な らな い ので,対 称分 計 算 法 に よ るの が 便 利で あ る。 (1) 三 相 電 圧,電 流 の 実 効値 対 称 分 相,正 相 お よび 逆 相分)をV0,V1,V2と
三 相 電 圧Vu,Vv,Vwを
考 え,そ の 対 称分(零
す る と き,こ れ らを つ ぎの よ うに定 義 す る。
(4・172)
この 対 称 分電 圧を 用 い て各 相 の 電 圧 を表 す と,つ ぎ の よ うに な る。
(4・173)
式(4・173)に
よ る と,電 動機 に不 平衡 電 圧 が 加 わ る とい う こ とを,対 称 分 の電 圧 で 考 え れ ば
① 各相に同相の電圧 が それ ぞ れ u,
② 相 順 が 元 の u,v,w の相 順 と同 じで あ る正 相電 圧 v,w 相 に加 わ る。 これ は 対 称三 相 電 圧 で あ る。 ③
が それ ぞれ
相 順 が 元 の u,v,wの相 順 と反対 の逆 相 電 圧
u,v,w
相 に加 わ る。 これ も対 称 三相 電 圧 で あ る。 電 流 に つ い て も 同 様 で,不 I0,I1,I2を
平 衡 三 相 電 流Iu,Iv,Iwか
定 義 す る 。 そ う し て,I0,I1,I2を
ら 式(4・172)と
用 い てIu,Iv,Iwを
同 じ形 に 対 称 分 電 流
表 す と 式(4・173)の
V の
代 わ り Iを お い た形 にな る。
零 相 電 流I0は
各 相 同 相 に流 れ る電 流で あ るか ら,各 相 共 通 の帰 路 が ない 回路 には 流 れ る
ことが で き ない 。三 相 誘導 電 動機 で は一 次巻 線 の 結線 が △ ま た は 〓 の いず れ で あ って も,非 接 地 の 状 態 な ら零 相電 流 は 流 れ られ ない。 正 相 電 流 は u,v,wと同 じ相順 の対 称 三 相電 流
で あ り,逆 相 電 流 は相
順が u,v,w と反対 の対 称 三 相電 流 で あ る。 Iu,Iv,Iwが
(2)線
対 称 三 相 な ら,I0=0,I1=√3Iu,I2=0と
間 電 圧 の対 称 分
な る 。
一 般 に,三 相 誘 導 電 動機 は三 本 の 一 次端 子 だけ が 出て い て,
一次 巻 線 の 結 線 が 〓 ま た は△ の い ず れで あ る か わ か ら な い 。 △ 結線 な ら各 相 に加 わ る電圧 は,電 源 の 線 間 電 圧Vuv,Vvw,Vwuが
そ の ま ま加 わ るが,〓
結 線 の 場合 は各 相 電圧 の 対 称分
と線 間電 圧 の対 称 分 の 間 に つ ぎの 関係 が つ くれ る。
(4・174)
と書 け る か ら,線
間 電 圧 の 対 称 分 をVl0,Vl1,Vl2と
す れ ば,
(4・175)
とな る。 な お,線 間 電 圧 の零 相 分 は 常 に零 で あ る。 (3)対
称 分 イ ン ピー ダ ン ス
三 相 誘 導 電 動機 に正 相 電圧 の みが 加 わ った と きの 相電 圧
と相 電 流 の 比 を 正 相 イ ン ピー ダ ン ス とい い,ま た逆 相 電 圧 の み が加 わ った とき の相 電 圧 と相 電流 の比 を 逆 相 イ ン ピー ダ ン ス とい う。 い ま,こ れ らをZ1お
よ びZ2で
表 す と,Z1は
式
(4・54)で 与 え られ るイ ン ピー ダ ンス で,
(4・176) で あ る 。 た だ し,こ の イ ン ピー ダ ン スは,銅 損 以 外 の損 失 を 無 視 した場 合 で あ り,全 損 失 を
考 慮 した場 合 に は,図3・28に
示 した L形 ま た は T形 等 価 回 路 で 表 され る イ ン ピー ダ ンス が
正相 イ ン ピー ダ ン スで あ る。 Z2は,相
順 が 正 相電 圧 と反 対 の電 圧 を加 え た とき の イ ン ピーダ ン スで あ る か ら,正 相 電
圧 に 対 す るす べ りを sとす れ ば逆 相電 圧 に 対 す る す べ りは2-sと 54)の
sを2-sと
な るの で,Z2は
式(4・
お い た もので,
(4・177) とな る。 L形 ま た は T形 等 価 回 路 に お いて も,s の代 りに2-sと
お い た 回路 で 与 え られ る イ ン ピ
ー ダ ンス が損 失 を 考 慮 した ときの 逆相 イ ン ピー ダ ンス で あ る。 電 動機 が 無 負 荷 ま た は 軽負 荷 で 運転 され て い る とき のす べ りは1%ま 相電 圧 に対 す るす べ りは ほ とん ど 2 とみて よい。 そ う して,
たは そ れ以 下で,逆 程度 とな り,逆相
イ ン ピー ダ ン スは 正 相 イ ン ピー ダ ンス に比 べ非 常 に小 さいか ら,一 次 に加 え る三相 電 圧 に僅 か な 不平 衡 が あ って も電 流 の不 平 衡 はか な り大 き くな る。 零 相 イ ン ピー ダ ンスZ0は,u,v,w
の各 相 に 同相 の 電 圧 を加 えた とき の,そ
の電 圧 と各
相電 流 との比 で,電 流 も各 相 同相 とな るか ら回 転 起磁 力 を生 じない。 従 って,二 次 回 路 の状 況 は無 関 係 で, Z0=γ 1+jx1 で 与 え られ る。 た だ し,x1は
(4・178) 一 次一 相 の漏 れ イ ン ピー ダ ン スで あ るか ら,│Z0│は│Z2│よ
り さ らに小 さい 。 (4)三
相 回 路 の 電 力 と対 称 分 計算 法
い ま,三 相 回路 の 有 効電 力 を P,無 効 電 力 を Q
(遅相 の場 合 を 正 とす る)と す る とき,各 相 の電 圧 がVu,Vv,Vw,電
流 がIu,Iv,Iwで
れ る三 相 不 平 衡 回 路 の電 力 は,
P+jQ=VuIu*+VvIv*+VwIw*
(4・179)
で与 え られ る。 い ま,こ れ を対 称 分 の電 圧,電 流 で 表 せ ば,
P+jQ=1/3{(V0+V1+V2)(I0*+I1*+I2*) +(V0+a2V1+aV2)(I0*+aI1*+a2I2*) +(V0+aV1+a2V2)(I0*+a2I1*+aI2*)} =V0I0*+V1I1*+V2I2*
と な る。
(4・180)
表さ
電 動 機 に 加 え る電 圧 が 不 平 衡 で あ っ て も,各 I0=0で
相 共 通 の 帰 路 が な い(非
接 地 の 状 態)な
ら,
あ る か ら, P+jQ=V1I1*+V2I2*
で あ り,一
方, V1=Z1I1お
よ びV2=Z2I2
で あ る か ら, P+jQ=Z1I1I1*+Z2I2I2*=Z1I12+Z2I22
(4・181)
と な り,不 平 衡 電 圧 で 運転 され て い る と きの 入 力 は,上 式 の実 数 部 を とれ ば よい か ら, P=(Z1の
実数 部)×I12+(Z2の
実 数 部)×I22
(4・182)
とす れ ば よい。 式(4・182)に
よ る と,不 平 衡 の状 態 で も,対 称分 計 算 法 に よれ ば,正 相 分 入 力,逆 相 分 入
力 を 別 々 に計 算 して 加 えれ ば よい の で好 つ ご うで あ る。 以 下,一 次,二 次 と もに三 相 の 誘導 電 動 機 の 場合 につ い て,出 力,ト ル ク等 を 求 め て み る。 式(4・182)に
おい て,
Z1の 実 数 部 で あ るか ら,入 力P1は
,Z2の
実数 部
つ ぎの よ うに書 け る。
(4・183) 一 次 銅 損 をPc1と
すれ ば ,
(4・184) 二 次 電 流 と一 次 電 流 の 関係 は,式(4・55)で を そ れ ぞれl21お
よびI22と
与 え られ るか ら,二 次 電 流 の正 相 分,逆
相分
す れ ば,
(4・185) で 表 され る。 よ っ て,二
次 銅 損 をpc2と
す れ ば,
pc2=(1u′2+1v′2+lw′2)γ2=(l212+l222)γ2
(4・186) 出 力をP0と
す れ ば,
(4・187) トル クを Tとす れ ば,
(4・188) と な る。 以 上 の各 式 に よ る と,逆 相 分 入 力 は正 相分 入 力 に加 わ った形 で取 り入 れ られ るが,逆 相 分 トル クは,正 相分 トル クか ら差 し引 いた 形 に な る。 すな わ ち,逆 相 分 電 流 が流 れ る場合 に は 入力 は増 し,ト ル クは減 少 し極 め て不 都 合 で あ り,不 平衡 電 圧 で誘 導 電 動機 を 運 転 すべ きで な い。 4・12単
相 誘導 電 動機
一 次 に単 相 巻線,二 次 に 多相 巻 線 を もつ 純単 相 誘 導電 動 機 は4・11節
〔2〕 で 述 べ た よ う
に始 動 トル クが な く,こ の ま まで は 実用 にな らない ので,始 動 トル クを 得 るた め に各種 の工 夫 が加 え られ る。 そ の代表 的 な もの は,一 次 に主 巻 線 の ほか に空 間 的 に90゚の 位 置 に始 動 巻線 を お き,こ れ に 直列 に コンデ ンサ を入 れ,両 巻 線 回路 を 並 列 に して単 相 電圧 を 加 え る コ ンデ ンサ モ ータで あ る が,こ れ もい くつか の 形式 が ある。 回転子 はい ずれ もか ご形 で あ る。 出力 が 数十 W 以 下 の小 形 機 で は,一 次 に主 巻線 の ほか に,空 間 的 に90゚以 内 の位 置 で あ る が,く ま 取 りコ イル と称 す る短絡 コ イル を おい て始 動 トル クを発 生 させ る方 式 が あ る。 これ を くま取 りコ イル 式 とい う。 そ の他,始 動 時 だ け他 の機 種 にす る方式 も用 い られ たが,構 造 が 複 雑 な ので,最 近 は あ ま り用 い られ な くな った。 〔1〕 コ ンデ ンサ モ ー タ コンデ ンサ モ ータ(condenser
motor,capacitor motor)は,図4・79の
よ うに,主 巻 線 M
に 対 し空 間 的 に90゚ず れ た位 置 に始 動 巻線 Aを お き,A に 直列 に コ ンデ ンサ C を入 れ,両 巻 線 回路 に 共 通 の電 圧 V を加 え る よ うに した もので あ る。 これ に はつ ぎの三 つ の形 式 が ある。 始 動 巻 線 は補 助巻 線 と もい う。 (1)形
式
(a)コ
ンデ ンサ ラ ン(condenser
図4・79の
よ うに コ ンデ ンサ を始 動 時 お よび運 転時 に結
ん だま ま とす る形 で,200W以 (b)コ
ンデ ンサ 始動 形
run)形
これ は,
下 の電 動機 に 用 い られ る 。 図4・80の
よ うに,コ ンデ 図4・79コ
ンデ ン サ ラ ン形
ン サ に更 に直 列 に 遠 心力 スイ ッチK を入 れ た もので,K は回 転 子 に連 動 させ て あ り,回 転 子速 度 が 同期 速 度 の70%前
後 に な る と遠 心 力 で 開路 す る
よ うに な って い て,始 動 後加 速 す れ ば始 動巻 線 回 路 は 開路 され,定 常 運 転 は主 巻線 のみ,す な わ ち純 単相 誘 導 機 と して動 作 す る もの で あ る。 この形 は100∼400Wの
電 動 機 に用 い られ
る。 (c)2
コ ンデ ンサ 形
を もつ もので,Csに
図4・81の
よ うに,始 動用 コ ンデ ンサCsと
運転 用 コンデ ンサ C
は遠 心力 ス イ ッチ が 直列 に入 れて あ り,加 速 後 はCsは
だ けで定 常 運 転 をす る。 この 形 で はCsを り,こ の形 式 も100∼400Wの
開路 され,C
大 き く選 び 大 き い始 動 トル クを得 るよ うに してあ
電 動 機 に用 い られ る。
(2)コ
ンデ ンサの 大 き さ と トル ク特 性
図4・82に
示す 。 これ は市 販 の400W電
コ ンデ ンサの 大 き さ と トル ク特 性 の 計算 例 を
動 機 につ いて定 数 を 測 り,C を変 え た と きの トル ク
を 求 め た もので あ る。 こ の電 動機 は30μFの
運 転 用 コンデ ンサ と,250μF
の始 動 用 コ ンデ
ンサを 内蔵 して い る。
図4・80コ
ンデ ンサ始 動 形
図4・812
コ ンデ ンサ 形
Cの 容 量300μFぐ
らい まで は C の
増 加 と と もに始 動 トル クが増 加 し,定 格 の300%ぐ
らい を得 られ る。 定常 運
転 時 にはC=30μFが
適 当で あ るが,
この容 量 だ けで は 始動 トル クが 小 さ い。 単 相 誘 導機 に共通 の 性質 に 振 動 トル クを 生 ず る とい う問題 が あ る。振 動 ト ル クは 出 力 には 役 立た ず,騒 音 や機 械 的 振 動 を伴 い 不 快 な 音 を 生 ず る。 図 4・83は,さ
き の400W電
動 機 に つい
て,C の大 き さ と振 動 トル クの 関係 を 計 算 した もの で,C=30μFの
ときは
図4・82
コ ンデ ンサ モ ー タの C と容 量 と トル ク曲線
小 さい す べ りの ときに 振動 トル クが非 常 に小 さ くな って い る。C=0で
は定
常 運 転 時 に相 当 の振 動 トル クを生 じて い て,E=30μFを
入 れ る と直 ち に静
か な電 動機 に な る。 す な わ ち,振 動音 を な くす ため に は適 正 な容 量 を 用 いた コ ンデ ンサ ラ ン形 が好 ま しい 。 図4・84は
コ ンデ ンサ電 動 機 の トル
ク特 性 を示 す もので,遠 心 力 ス イ ッチ を もつ もので は,そ の 開 閉に よ って ト
図4・83
コ ン デ ン サ モ ー タ の 振 動 トル ク
ル ク曲線 に段 差 を生 ず る。 〔2〕 分 相(split-phase)始
動形
主 巻 線 と補 助 巻線 とを お くこ とは コ ンデ ン サモ ー タと同 じで あ る が,コ ンデ ンサを 用 い な い で始 動 時 に 両 巻線 の電 流 に 位相 差 を つ くるた め に,巻 線の(自
己 リア クタ ン ス/抵抗)の
値 を,補 助巻 線 側 が主 巻 線側 よ り小 に な るよ うに,巻 線 導 体 の断 面積 比 お よび 巻 数比 が 選 ば れ る。 回 路 図 は コンデ ンサ始 動 形 の コ ンデ ン サを 短絡 した形 で,補 助 巻 線 に直 列 に遠 心 力 ス イ ッチを お く。 従 って,加 速 後 は純単 相 機 に な る。 この形 も400Wま
で 造 られ るが,始 動 トル クが小 さ く,始 動電 流 は大 きい。
図4・84コ
〔3〕
ンデ ン サ モ ー タ の トル ク 曲 線
く ま 取 り コ イ ル(shading
図4・85に
coil)形
くま 取 り コイル 形 の略 図 を示 す。 回転 子 は か ご形 で,固 定 子 鉄心 は図 の よ うに
四角 形 に 近 い形 に した ものが 多 く。 これ に集 中巻 の主 巻線 を巻 く。 くま取 り コイル とは,固 定 子鉄 心 の ギ ャ ップ に面 した位 置 に 切 り欠 きを つ くっ て,こ れ に別 図 の よ うな銅 の 短絡 環 を 入 れ た もの で あ る。 くま取 り コイル は常 に短 絡 され て い る ので,主 巻 線 に よ って生 ず る磁 束 の うち,く ま取 りコ イル 内を 経 て 回転 子 に 至 る磁 束 φsは,短
絡 電流
の影 響で,中 央 を通 る磁 束 φM よ り
図4・85く
ま取 り コイ ル形
位 相 が遅 れ 移 動磁 界 が で きる。 しか し,こ の移 動磁 界 は 弱 く,始 動 トル クは 小 さ い。 ま た, 常時 くま 取 り コイル 内 に短 絡 電 流 に よ る損失 を 伴 うの で,効 率 も悪 い ので,数 十 W 以下 の ご く小 形 機 に か ぎ られ て い る。 〔4〕 反 発(repulsion)始
動形
この形 で は,固 定 子 は主 巻線 だ けで あ り,回 転 子 は直 流機 の 電 機子 の よ うに整 流 子 を も っ た電 機 子 に な って い る。 整流 子 面 にお い た二 つ の ブ ラ シは,図4・86の あ る 角度(電 気 角 で10° 程度)ず
よ うに主 巻線 軸 よ り
ら した所 にお い てあ り,か つ これ らが 短 絡 してあ る。 この
形 を 単相 反 発 電動 機 とい い,直 巻電 動 機 の特 性 を もつ の で始 動 トル クが 非 常 に大 き く,放 置 す れ ば同 期 速度 以 上 ま で 加速 す る。 反 発 始動 形 で は整 流 子面 近 くに おい た 短絡 環 を遠 心 力 の
作 用 で 移 動 し,回 転 子 が 同期速 度 の70%前
後 に な った時 に 全 整流
子 片 を 短 絡 す る。 この後 は,二 次 は 各 コイル毎 に短 絡 された 多 相回 路 に な り,純 単 相 誘 導機 の特 性 に な る。 この 方 式 は,始 動 トル クは大 き いが,回 転 子 の構 造 が複 雑 な ので, 最 近 需 要 が減 って い る。 〔5〕 速度 制 御 法 単 相 誘 導電 動 機 は,主 巻 線 に 加え る電 圧 の 大 き さお よび周 波 数 を 変 え る こ とに よ り速 度制 御 が で き る。 しか し,遠 心 力 ス イ ッチを持 つ もの は そ れ が 開路 す る速 度 以 上で の み制 御 が可 能 で あ る。 電 圧 を 変 え る方 法 に は,① 直列 抵 抗,② 直 列 リア ク タ,③ 主 回路
図4・86 反発 始 動 形(加 速 後 は 整 流子 片全 部 を 短 絡 す る)
に入 れ た 逆並 列 サ イ リス タの 位相 制 御,④ 単巻 変 圧 器 な どが あ る。 直 列 リア クタ を用 い,か つ,こ れ に タ ップ を付 し,こ れを 加 減 すれ ば何段 か の速 度 変 化が で き る。 サ イ リス タに よる制 御 は半 サ イ クル 毎 の導 通 期 間 幅 を変 え る方 法 に よ るので,電 圧 の実 効 値 を変 え る制 御 に 当 る。 この場 合 は,巻 線 に加 え られ る電 圧 波形 が 悪 くな るの で騒 音 を 生 ず るお そ れが あ る。 サ イ リス タを用 い た可 変 周 波 イ ンバ ー タを 備え,こ の 出力 電 圧 と周 波数 の比 を ほ ぼ一定 に 保 つ よ うな 制御 を 行 え ば,低 周波 時 に 磁気 飽 和 を起 こす こ と な く,周 波 数 に ほぼ比 例 した 回 転 子 速 度 が得 られ る。 た だ し,コ ンデ ンサ ラ ン形 で は周 波 数範 囲 が広 い と,高 速 時 に Cの影 響 が 大 き くな る の で,あ
らか じめ特 性 の 検討 が 必要 で あ る。
〔6〕 逆
転
法
純 単 相 誘導 機 は特 定 の 回転 方 向が な く,左 右何 れ の回 転方 向で も同 じす べ りな ら同 じ特性 が得 られ る。 分 相 始 動,コ ンデ ンサ始 動 の いず れ で も,主 巻 線 また は始 動巷 線 の いず れ か の接続 を 逆 に す る と逆転 させ る こ とがで き る。 また,い ず れ の 回転 方 向 で も 同 じ特性 と なる。 しか し,定 常 運 転 に 入 って い れ ば,補 助巻 線 の 回路 は開 路 さ れて い るか ら,運 転 中 に接 続 を逆 に して も何 の効 果 もな い。 コ ンデ ンサ ランの 場 合で も,主 また は補 助 巻線 の いず れ か の接 続 を逆 にす れ ば よい。 反 発 始 動 形 で は,主 巻線 軸 に対 す るブ ラ シ軸 の 傾斜 角 ρを逆 にす る。 これ も停 止 時 に ブ ラ シを移 動 す る こ とが 必 要 で,定 常 運転 中は ブ ラ シは無 能 力 に な ってい るか ら,こ れを 移 動 し て も何 の 効 果 もな い。
4・13 誘導 機 の試験 法 三 相誘 導 機 に 対 して行 わ れ る 試 験 の う特 性 算定 法 につ いて は,L 形 円線 図を 中 心 に4・4 節 で述 べ たが,こ こで 他 の試 験 項 目を あげ て整 理 して み る。 〔1〕 試 験 項 目 誘導 機 に つ い て,一 般 に次 の 試験 が 行 われ る。 ① 抵 抗 測 定,② 算 定,⑥
二 次電 圧 測 定(巻 線 形機 の み),③
温度 試 験,⑦
無負 荷 試験,④
拘束 試 験,⑤
特性
耐 電 圧 試験
これ らの ほか 特 殊 な場 合 に は,⑧
振 動 お よび 騒音 試験,⑨
過 負 荷 試験,⑩
耐湿試験な
ど も行 わ れ る。 以 下,一 般 に行 わ れ る試 験 に つ いて 簡単 に 述 べ る。 (1)前
記 試 験 項 目 の う ち,①,③,④
〔2〕 で 述 べ た の で,こ
に つ い て は,4・7節
〔1〕で,⑤
に つ い て は4・7節
こ で は 省 く。
(2) 二 次 電 圧 測定 巻 線 形 機 の二 次 を 開放 し,一 次 に三 相 の定 格 電 圧 を加 え,一 次 電 流 と二次 ス リップ リン グ間 に生 ず る電圧 を 測 る。 一 次電 流 は,無 負 荷 電 流 とほ ぼ同 じ大 きさ の電 流が 流 れ る。 二 次 は静 止 して い るの で,二 次 に生 ず る電圧 が 一 次 電圧 に有 効 巻数 比 を乗 じた値 にな って い る こと,お よび各 ス リップ リ ング間 の 電 圧が 平 衡 して い る こ とを確 か め る。 (3) 温 度試 験 誘 導電 動 機 の 温度 上 昇 限度 は 表4・7の
よ うに 決 め られ て い る(JEC-
37「 誘 導 機」)。温 度試 験 は,こ の表 の 温度 上 昇 以 内に あ る こ とを 確か め る試 験 で あ る。 表4・7誘
導 機 の温 度 上昇 限 度 〔 ℃〕
温とは温度計法,抵 は抵抗法,埋 は埋入温度計法の略。
温 度 試 験 の た めの 負荷 法 には,①
実負 荷 法,②
返 還負 荷 法,③
等価 負 荷 法等 が あ る。
(a) 実負 荷 法 小容 量機 に 適用 され る方 法 で,供 試 機 に 電気 動 力 計,直 流 機 な どを 負荷 と して 結 び,定 格 電 圧,定 格 周 波数 にお いて 定 格 出力 とな る よ うに負 荷 を調 整 し,こ の 状態 を 継続 して各 部 の温 度 が 一定 に な るま で 試験 を続 け る。 この方 法 で は,電 動 機 の定 格 出 力が 大 き くな る と試 験 の ため の所 要 電 力 量 が莫 大 とな り, 不 経済 で あ る。 (b) 返 還 負 荷法 ほぼ 同一 定格,同
じ極 数 の誘 導 機 が 2台 あ る場 合 に は,図4・87の
よ
うに両 機 を ベ ル トで 結 合 し,供 試 機 の プー リ外 径 よ り,補 助 機 の プ ー リ外 径 を小 さ くし,供 試 機 が 定格 速 度 の と き,補 助機 を 同期 速 度 以上 に し,誘 導発 電 機 と して動作 させ,出 力を 電 源 へ もど す方 法 で あ る。 この 方法 に よれ ば,電 源 か ら取 り入 れ る正 味 の電力 は,両 機 の 損 失 だ けで 足 りるか ら長 時 間 を 要 す る温 度 試験 に は極 め て有 利 で あ る。 (c) 等価 負 荷 法 供 試 機 は無 負 荷 で運 転 す るが,図4・88の ほか に 相 回転 が 同 じで,周 波 数 がf2の
よ うに周 波 数f1の
f1を 供 試 機 の 定格 周 波 数(例 え ば50Hz)に
選 び,は
じめ にf1の
電 源 の み を加 え る と,
電動 機 は無負 荷 運 転 の 状態 にな る か ら,電 圧 を 定格 値 に合 わ せ る。 次 にf2(例 の 電 源 を 生 か し,そ の電 圧 を 次第 に 上 げ る と,f2=60〔Hz〕 に お け る無負 荷 速 度 は すべ りで は1/6=0.167で た イ ン ピー ダ ンス は小 さ く,SGか な る よ うに す れ ば,IMは
電源の
電 源 も変 圧 器 を通 して一 次 に 加え る方 法で あ る。
約16.7%の
ら電流 が 流 れIMへ
えば60Hz)
の 電源 か らみ れ ば,f1=50〔Hz〕 す べ りに な るの で,f2か
らみ
入 る か ら,電 流計 の指 示 が定 格値 に
ほ ぼ定格 負 荷 時 と同 じ損 失 とな り,温 度 試 験が で きる。
電 動機 が特 殊 か ご形 機 の場 合 は 回転 子 の実 効 抵抗 が 周波 数 に よ り大 き く変 わ るか ら,電 動
図4・87
三 相 誘 導機 の 返 還 負荷 法
図4・88 三相誘導機の等価負荷法 によ る温度試験
機端 子 に結 ん だ電 力計 の よみを,円 線 図法 か ら求 め られ る全負 荷 時 の損 失 に合 わ せ る よ うに した ほ うが実 際 に近 い温 度試 験 が で き る。 これを 損 失基 準 法 とい い,一 次電 流 を定 格 電 流 に f 1/ 2)
合 わ せ る方 法 を 電流 基 準法 とい う。 なお,こ の よ うな負 荷法 を一 次 重 握等 価負 荷 法 ともい う。 巻線 形 機 の 場合 は,二 次側 か ら周 波 数f2
の三 相 電圧 を 加 え る方法 もあ る。 これ を
二 次 重畳 等 価負 荷 法 と い う(JEC-37)。 (d)耐
電 圧試 験
(JEC-37(1961)「
誘 導 機 の 耐 電 圧試 験 は 表4・8の
値 を 1分 間 加 え る こ とに な って い る
誘導 機 」)。
電 圧 はで き るだ け正 弦 波 で あ る こ とが 望 ま れ るが,ひ ず み波 電 圧で あ る場 合 に は,そ の波 高 値 を 表4・8の
値 の1.41倍
に 等 し くす る 。
試 験 はは じめに 試験 電 圧 の約1/3を 加 え,以 後 は電 圧 計 が よみ得 る範 囲で で き る だ け速 く 試 験電 圧 ま で上 げ て,1 分 間継 続 す る。
表4・8誘
導 機耐 電 圧 試験 電 圧
〔備 考〕 E は一 次 定 格電 圧,E2は
二 次 静 止 誘 起電 圧
練
習
問
題
4.
1.三 相誘 導電 動 機 の 円線 図 を 画 いて,こ れ か ら最 大 力率 を 求 め よ。 ただ し,全 漏 れ リア クタ ンスをa〔%〕(単
位 法),励
磁電 流 をb〔%〕(単
位 法)と し,機 械 損 お よび 鉄 損 は
無 視 す る もの とす る。 2.あ るか ご形三 相 誘導 電 動 機 が定 格 電圧,定 格周 波 数で 運 転 され,最 大 トル クを生 ず る と きの二 次 の銅 損 は 定格 出 力 時の 9倍,ま た定格 出力時 の す べ りは0.03で
あ る。 一次
抵 抗,無 負 荷 損を 無視 し,二 次抵 抗 は一 定 と仮定 す ると き,(a)最 大 トル クを生 ず る と きの すべ りsm,(b)最 3.か
大 トル ク 〔%〕,(c)始 動 トル ク 〔%〕を 求 め よ。
で形 三 相誘 導 電 動機 が あ り,定 格 出力 時 のす べ りは5%で
あ る。 ま た,始 動 時 の二
次 電流 は定 格 出力 時 の二 次電 流 の 5倍で あ る。二 次 抵抗 は 二 次周 波数 に無 関 係 と し,ま た 機 械損 お よび 一 次巻 線 抵抗 を無 視 す る もの と して,始 動 トル クTs,最 大 トル クTmax, お よび最 大 トル クを生 ず るす べ りSmを
% で 求 め よ。
4.あ る三 相 か ご形 誘導 電 動 機 を全 電 圧始 動 す る場 合 の トル クお よび始 動 電 流 は,そ れ ぞ れ 全 負荷 にお け る値 の1.8倍 お よび4.5倍 で あ る。 い ま,始 動 補 償器 を 使 用 して 電 圧を 2/3と して始 動 す る もの とす れば,ト ル クお よび始 動電 流 は全 負 荷 にお け る値 の 幾 倍 と な るか。 5.37.5kW,480V,4
極,60Hzの
か ご 形 三 相 誘 導 電 動 機 が あ る 。 最 大 トル ク は300%,
始 動 トル ク は150%で
あ る 。 一 次 抵 抗 を 無 視 し,二
ず る と き の す べ り,定
格 出 力 時 の す べ り,ト
6.37.5kW,440V,三 き に,す べ り16%に
相,4 極,60Hzの お いて250%の
次 抵 抗 を 一 定 と し,最
ル ク,二
大 トル ク を 生
次 銅 損 を求 め よ。
巻 線形 誘 導電 動 機 が あ り,二 次 を短 絡 した と
最大 トル クを生 ず る。 一次 抵 抗,機
械 損 いず れ も
無 視 す る と して,定 格 出力 時 のす べ り,二 次 銅損 を求 め よ。 ま た,始 動 トル ク 〔N・m〕 はい くらか 。 つ ぎに,二 次 回 路 の抵 抗 を 2倍 に した ら,一 次 電流 が 定格 値 の ときの トル ク 〔N・m〕お よびす べ りは い くらか。 7.375kW,8
極,60Hzの
巻線 形 誘 導電 動 機 が あ り,定 格 出力 時 のす べ りは1.8%で
あ る。 回転 子 は 〓結 線 で,一 相 の抵 抗 は0.25Ω
で あ る。 二 次各 相 に1.0Ω
の抵 抗 を入
れ,定 格 トル クで 運 転 した とき のす べ り,機 械 的 出力 お よび 追加 抵抗 内の 全 損失 も求 め よ。 8.定 格 出力200kW,4
極,50Hzの
巻 線 形 三相 誘 導電 動 機 があ る。二 次 巻線 は〓 結線
で,一 相 の抵 抗 値 は0.032Ω で あ り,静 止 時 の誘 導 電 圧 は端 子 間 で460Vで
あ る。
この電 動 機 の二 次 巻 線 を短 絡 し,送 風機 を 運 転す る とき の二 次電 流 は270Aで この送 風 機 を1200rpmで
あ る。
運 転 す るた め に は 二 次 回路 に何 Ωの 抵 抗 を そ う入 す れ ば よ
い か 。 ま た,こ の ときの二 次 銅 損 は定 格 出力 の何 % とな るか。 た だ し,送 風 機 が 要求 す る トル クは回 転 速度 の 2乗 に比 例 して変 化す る もの とす る。 9.220kW,16極,60Hzの
三 相巻 線 形 誘導 電 動 機が あ り,ス
リップ リン グ間 の抵 抗 は
0.035Ω で あ る。ス リ ップ リン グを短 絡 した と きの定 格 出力時 のす べ りは0.025で あ る。 す べ り-ト ル ク 曲線 を 直 線 と み なす もの と し,定 格速 度 で220kWを 300rpmで
要 す る フ ァンを
運 転す るた め に二 次各 相 に追 加 す べ き抵 抗 は何 Ωか 。 た だ し,フ ァ ンの トル
クは 速 度 の 2乗 に比 例 す る も の とす る。 10. 定 格 出力350kW,極
数 8,60Hzの
三 相 巻線 形 誘 導電 動 機 が あ る。 こ れの ス リ ップ
リン グ 間で 測 った回 転 子 の抵 抗 は0.5Ω で あ る。 ま た,ス 荷 時 に測 った すべ りは1.8%で
リップ リング を短 絡 して 全 負
あ る。 さ らに ス リップ リング を開 き,こ れ の各 相 に1Ω
の抵 抗 を〓 接 続 と して そ う入 して運 転 し,入 力 電 流 が全 負 荷電 流 に等 し くな った とき, 電動 機 の回 転 速 度 〔rpm〕 と 出力 〔kW〕 を 求 め よ。 11. 巻 線 形 三 相 誘導 電 動 機が あ る。 定 電圧,定 周 波数 の もと に,回 転 速 度 の 2乗 に比 例 す る トル クを 要 求 す る負 荷 を負 い,す べ りs1で を増 加 して す べ りs2で
運 転 して い る。 い ま,こ の回 転子 の 抵抗
運 転 しよ う とす るに は,回 転子 回 路 の 抵抗 を 元 の幾 倍 とす れ ば
よい か。 た だ し,す べ りと トル クの関 係 は直線 で表 し得 る もの とす る。
第 5章
同
同期 機(synchronous machine)は,第
期
機
1章 で述 べ た よ うに,定 常 運転 時 に 同期 速 度 で回
転 す る交 流機 で,発 電 機 と電 動機 に別 け られ る。 相 数別 で は多 相 と単 相 とが あ る が,多 相 は ほ とん どが三 相 で あ る。 単 相 は特 殊用 途 の 発電 機 が あ る が,こ れ は極 くまれ で,単 相電 動機 は 数 百 ワ ッ ト以 下 の もの に 限 られ,こ の 例 は多 い 。
5・1三
相 同期 発 電機
三 相 同期 発電 機 の 代 表 的 な もの は発電 所 に据 え付 け られ,電 力 系統 の 電 源 とな って,エ ネ ル ギ ー源 と して重 要 な役 割 を なす もので あ る。 こ の ほか 予備 電 源 と して,大 工 場 や ビル デ ン グ 内 にお か れ る もの,船 舶 内 の電 源 と して お か れ る もの が あ る。 〔1〕 同期 発 電 機 の種 類 発 電機 を原 動 機 の種 類 に よって別 け る と,タ ー ビン発 電 機,水
車 発 電 機,エ
ン ジン発 電
機,電 動 発 電 機 が あ る。 (1)タ
ー ビ ン発 電 機
汽 力発 電所 に据 え 付 け られ,蒸 気 ター ビンを 原動 機 とす る発電
機 を 夕 一 ビ ン発電 機(turbo-generator)と
い う。 蒸 気 ター ビンは,高 速度 にお い て効 率 よ く
働 くの で,発 電 機 の 定格 速 度 も高 く選 ばれ,多 場 合 は3000rpm,60Hzの
くは 2極 機 とす る ので,同 期 速 度 は50Hzの
場 合3600rpmで
ある。
ま た,タ ー ビ ン発 電 機 は大 容 量 の もの が多 く,100万kVAの
もの も造 られ る時 代 に な
って い る。現 在 運 転 されて い るもの は数 十 万 kVAの
もの が多 い。
高 速 度 で運 転 す る た め発 電機 構 造 は軸 方 向 に 長 く,直 径 が 小 さいの も特 長 の一 つ で,磁 極構 造 も図5・1の
よ うに して,高 速 度 に お
け る遠 心 力 に耐 え る よ うにす る。 この よ うな 磁 極 を 円筒 形 磁 極 とい う。
図5・1円
筒 形 磁極 と固 定子 鉄 心
(2)水
車 発 電機
ペ ル トン,フ ラ ン シスま たは プ ロペ ラ水車 な どを 原 動機 とす る もの
を水 車 発電 機(water-wheel generator)と い う。 一般 に,水 車 発電 機 は定 格 速度 が 低 く,極 く低 速 の もの は毎 分100回 転 以 下 の もの もあ る。 これ は,水 車 の効 率 の よい 回転 速度 は水 の 流 速 に よ って きま り,流 速 は有 効落 差 に よ って 決 め られ る ので,低 落 差 で 運 転 され る水 車 の 定 格速 度 に 低 速 が選 ば れ るか らで あ る。 ま た,水 車 の 出力 は有効 落 差 と毎 秒 の 流量 に よ って決 ま り,こ れ らは発 電所 が 設 置 され る 地 点 に よ って ほぼ決 め られ る ので,日 本 の よ うに大 河 川 が な く,高 落差,大 流 量 が得 難 い 場 合 に は,発 電 機 容量 も ター ビン発電 機 の よ うに大 容量 に はで きず,記 録 的 な容 量 を 見 て も20 万kVA台
で あ る。
水 車発 電 機 に は,立 て軸 と横 軸 とが あ り,大 容 量 の もの は 立て 軸 が 多 い。 磁極 構 造 は 図5・2の
よ うな構造 とす る。 これ を突
極 形磁 極 とい う。 ま た,最 近 の水 力 発 電所 は揚 水 発電 を行 うもの が あ り,こ の場 合 に は発 電 機 と電 動 機 の両 者 の 動作 を させ る。 (3)エ
ン ジ ン発 電 機
デ ィゼル エ ンジ ンを 動力
源 とす る よ うな 発電 機 を エ ン ジ ン発 電 機(engine generator)と い う。高 層 ビル,病 院,飛 行場,劇 場 な ど で,非 常 用 電 源 と して,ま た離 島 や,建 設工 事 現場, 船 舶 内 な どで,独 自の 電源 と して エ ン ジン発 電 機が 広
図5・2突
極 形 磁極 と固 定子 鉄 心
く用 い られ る。 定 格 速 度 は毎 分 数 百 な い し二 千回 転 くらい で,極 数 で は10∼4極,軸 数十 ∼2000kVA,磁
は横 軸 と し,容 量 は
極 は突 極 で あ る。
(4) そ の 他 の発 電 機
特殊 用 途 の もの に単 相 同期 発 電 機,正 弦 波 発 電 機 な どが あ る
が,こ れ らは小 容 量 機 に限 られ る。 さ らに 小 形 の もの に永 久磁 石 を 磁 極 に した 永久 磁 石発 電 機 もあ る。 〔2〕 電機 子 お よ び励 磁 回路 三 相 同期 発 電 機 の大 部 分 は 固定 子 側 に電機 子 三相 巻 線 を お き,回 転 子側 に 直流 励 磁 をす る 磁 極 を備 えた 回 転界 磁 形 構造 で,こ の逆 の 回転 電機 子 形 は 直流 機 の よ うに 固定 子 側 に磁 極 を お く形 で あ るが,こ れ は極 く小 容 量 の もの に限 られ る。
三 相 同期 発電 機 の 電 気 回路 を 簡 単 に画 け ば,図5・3の
よ うに
な る。 u,v,w は電 機 子 三 相巻 線,j,k は界 磁巻 線 で あ る。 (1) 電 機 子巻 線 同期 発 電機 の電機 子 巻線 は,基 本 的 には 三相 誘 導 電 動機 の 一 次 巻線 と同 じとみ て よ い。 しか し,大 容 量 機 で は定 格 電 圧 が高 く,15∼18kVの 3300,6600,11000V,小
も の が あ る。 中容 量 機 で は
形機 で は200Vの
もの もあ る。
電 機 子 は すべ て 〓 結線 にす る。 これ は〓 結線 の 中性 点 を直 接 ま たは 抵 抗 を通 じて 接 地 す る こ とに よ り,故 障 検 出回 路 や保 護 回 路 を つ くるた め に好 都 合 で あ る こ と,絶 縁が △ 結線 よ り ら くに なる こ と,端 子 間 に生 ず る起 電 力 波形 に第 三高 調 波を 生 じな い な どの
図5・3
理 由 に よる も ので あ る 。
同期発 電 機 の 回路 図
(2) 界 磁 巻 線 と励 磁 電 源 回 転子 磁極 には 円筒 形 と突 極形 とが あ り,前 者 は ター ビン 発 電 機 の よ うな 高 速 度 機 に,後 者 は水 車 お よび エ ンジ ン発電 機 の よ うな 低 速 度機 に用 い られ る こ とは前 に述 べ た 。 界 磁 巻線 に は直 流 を 流 す ので あ るが,そ の 電源 には つ ぎ の よ うな各 種 の 方式 が あ る。 (a) 直流 発 電 機 方 式 主 発電 機 の 軸を 延 長 して 直 流発 電 機 を 直結 し,そ の出 力 電流 を ス リップ リング を通 して 界磁 巻 線 へ送 る方式 で あ る。 この方 式 は,従 来 の ター ビン発 電機 お よ び水 車 発電 機 の励 磁 源 の代 表 的 な形 式 で あ り,こ の ため の 直流 発 電 機 を励 磁 機(exciter)と い い,図5・4に
略 図 を示 す 。 さ らに第二 の
小 形 直 流 発電 機 も直 結 し,そ の出 力電 流 を励 磁 機 の 界 磁 巻 線 に 送 る よ うにす る場 合 もあ る。 この小 形 直流 機 を副 励 磁機(subexciter) とい う。 発 電 機容 量kVAに
対 す る励 磁機 容 量kW 図5・4
直 流 機 を励 磁 機 とす る方 式
は,極 数 に よ って大 き く異 な り,極 数 の少 な い機 械 は励 磁 機 容量 が小 さい,図5・5は (b) ブ ラ シな し方 式 図5・6の
両者 の 大 体 の関 係 を示 す もの で あ る。 よ うに,主 発 電機 軸 に回転 電 機 子形 同期 発 電機 を 直 結
し,こ の発 電 機 の 出力 を シ リコン整 流器 を 通 して 界 磁巻 線 に 結 ぶ方 式 で あ る。 この方 式 は, 比較 的 新 しい もので,ス
リップ リング もブ ラ シもな く,ブ ラ シな し発 電 機 ともい う。
しか し,シ リコ ン整 流 器 は 回転 子側 へ 取 り付 けな くて は な らな い。 励 磁 機 とな る 交流 発 電 機 の 界磁 は 固定 子 側 にあ るので,主 発電 機 の 電 圧制 御 は 励磁 機 の界
図5・5
図5・6 ブラシな し三相同期発電機 磁 電 流 の調 整 に よ って行 う。 この方 式 は,大 容 量 の発 電 機 に適 用 例が 増 え て い る。 (c)サ
イ リス タ式 直 流 励磁 機 に代 っ
て交 流電 源 か らサ イ リス タで 整 流 され た 直 流 を ス リップ リン グを 経 て 供 給 す る 方 式 で,界 磁電 流 の 調整 は サ イ リス タのゲ ー ト 位 相 制御 に よ って行 う(図5・7(a))。 交 流電 源 は主 発 電 機 か ら取 れ る(こ の 場 合,自 励 の 形 に な る)が,別
図5・7(a)サ
イ リス タを 経て 行 う励 磁方 式
の所 内用 電源 や,主 軸 に装 置 した 励磁 用交 流 発 電 機 か ら と るに
ともで きる。 (d) 別 置 直流 励 磁 機 式 主 軸 とは別 に して,交 流 電 動機 で 励 磁 用直 流 発電 機 を 運転 し,そ の出 力 を ス リップ リング を経 て 界 磁 巻線 へ 送 る方 式 で あ る。 (e)整
流 子 な し方 式 図
5・7(b)の
よ うに,主 軸 に交 流
励 磁 機 の 回 転 子 も 直 結 して お き,交 流 励磁 機 の電 機 子 は固定
図5・7(b)整
流子 な し方 式
側 に お く,励 磁 機 の 出力 を シ リコ ン整 流器 で整 流 し,主 機 の界 磁 へ 送 る。 励 磁 機 の界 磁 も, 図の よ うに,励 磁 機 の出 力端 子 か ら変圧 器,シ
リコン整 流 器 を経 て 励磁 され る。 なお,こ の
界 磁 回路 には 応答 の 速 い ブー ス タを お き界 磁電 流 を 制御 す る。 (f) 自励 式 図5・8は
自励 式 の 回路 略 図
で,出 力端 子 か ら リア ク トル お よび 整流 器 を通 し,主 機 の界 磁巻 線 を 励 磁 す る。 この回 路 で端 子 電 圧 が確 立 され る際 の特 性 は 自励直 流 発電 機 の そ れ と似 て い る。 変 流器CTを
介 して負 荷 電 図5・8
流 に 比例 す る項 も加 え れ ば複 巻 特牲 にな る。
自励 同 期発 電 機
〔3〕 起 電力 と端子 電 圧 三 相 同期 発 電機 の電 機 子 巻線 は,前 に も述 べ た よ うに三 相 誘導 電 動機 の そ れ と同 じ構成 と み て よ く,最 も簡単 に考 え れ ば,図5・9(a)お
(a)三
よび(b)の
相 同期 発 電 機 の モ デル 図5・9
よ うに 各相 1コイ ルで 表 す に と
(b)展 発電機の略図
開図
がで き る。 回転 子 の 磁極 は 2極 機 で は 円筒極 の こ とが 多 いが,図 で は 見 やす い よ うに 突極 の 形 で 示 した。 しか し,こ こで は突 極 で あ るた め に生 ず るギ ャ ップの 周 辺 に沿 う磁 気 抵抗 の不 均 一 は 考 え な い。 この こ とにつ いて は後 の 項 で述 べ る。 (1)直
流 励 磁 に よ る起 電 力 図5・3は,図5・9(a),(b)の
モ デル を 回路 図 の形 で 示
した もの で,u,v,w が 固定 子三 相 巻線,j,k が界 磁 巻線 で あ る。 い ま,界 磁巻 線 に 電流ifを
流 した と し,図5・9(a)の
よ うに u相 軸 と界磁 巻 線 の 軸 が一
致 して い る場 合 を 考 え,こ の ときの u相 と界 磁 との 相 互 イ ン ダ クタ ンス を M とす る と, ne×
M=
φ
/if
で 表 せ る 。 た だ し,neは す る 磁 束 で,こ
(4・29)の
はifに
よ っ て 生 じた 磁 束 の う ち 電 機 子 と鎮 交
れ は 空 間 に正 弦 分 布 に な っ て い る も の と す る 。
回 転子 が 同期 角 速度 し θ=ωtだ
u 相 の 有 効 巻 数,φ
ω で 時 計 式 に 回 転 す る と,時
間
tの 後 に は 界 磁 の 軸 は u 相 の 軸 に 対
け 傾 く。 こ の と き の u と f と の 間 の 相 互 イ ン ダ ク タ ン ス をMufと
お くと,式
よ うに, Muf=Mcosθ
と な る 。 図5・9(b)は,θ=π/2の よ っ て,u
瞬 時 の 展 開 図 で あ る。
相 に 生 ず る 起 電 力 をeuと
お け ば,
(5・1)
と な る 。 v,w の 各 相 の 軸 は u 相 の 軸 よ り そ れ ぞ れ2π/3お w 相 の 起 電 力ev,ewは
よ び4π/3ず
ら して あ る か ら,v,
つ ぎ の よ うに な る 。
そ う し て,
(5・2)
と お く。 こ れ は 一 相 の 起 電 力 の 実 効 値 で あ る 。 い ま,eu,ev,ewを に と れ ば,
実 効 値 ベ ク トル に 表 した も の をEu,Ev,Ewと
お き,Euを
基 準 ベ ク トル
と い う形 に も書 け る。 こ こ に,
であ る 。
(2) 電 機 子反 作 用 発電 機 に負 荷 が か か り,電 機子 巻 線 に対 称 三相 電 流 が流 れ た場 合 を考 え る。 巻 線が 三 相 で,そ れに 流 れ る電 流 も三 相 で あ る と きは,同 期 角速 度 で相 順 の方 向 に 回 る回転 起 磁力 を 生 ず る こ とは,三 相誘 導 機 の所 で 述 べ た。 こ の起 磁 力 は,理 想 的 に考 えれ ば 空 間 に対 し正 弦 分 布 で,そ の 中心(正 弦 分 布 の最 大値 と な る位 置)は,あ
る相 の電 流 が最 大 値 で あ る瞬 時 を考 え れ ば,そ の相 が つ くる起 磁力 の 中 心
と,三 相 分 の 合成 起 磁 力の 中 心 とが 一 致 し,合 成 起 磁 力 の最 大 値 は あ る相 の電 流 が最 大 値 の と きに,そ の 相 だ けが つ くる起磁 力 の3/2倍
とな る に と も誘 導 機 の所 で述 べ た。
この 回転 起 磁力 の た め にギ ャ ップに 回転 磁 束 φaを生 じ,磁 極 に よ って生 じて い る磁 束 φf に 直 接 影響 を 及 ぼ し,ギ ャ ップの 磁 束 分布 を 変 え,電 機子 起 電 力 を変 化 させ る。 これ を 電機 子 反 作 用 と い う。 な お,電 機 子電 流 に よ って生 ず る磁 束 の う ちス ロ ッ ト内 や コイル 端 部 の磁 束 を漏 れ 磁 束 と い い,漏 れ磁 束 は電 機 子 反作 用 に は加 わ らな い。 ま た,ギ ャ ップ部 分 に生 ず る磁 束 も,そ の 基 本 波分 布 の もの だ けが 反 作 用 に 加 わ
(a) iuとeuと
同相
(偏 磁 作 用)
り,空 間高 調 波 磁束 は,磁 極 に よる磁 束 と 回 転 速 度 が異 なる ので,こ れ も電 機 子 反 作 用 に加 わ らない 。 つ ぎに,電 機 子 反作 用 磁束 φaと 磁 極 に
(b )iuがぜeuよ り π/2遅 相 (減 磁 作 用)
よ る磁 束 φfの 位 置 関係 を 調べ る と,に れ は 電 流 の起 電 力 に対 す る位 相 の ち が いに よ っ て,図5・10に
示 す よ うな三 つ の代 表 的
な 場 合 が 考 え られ る。
(c) iuがeuよ π/2相
り
(磁 化 作 用)
同 図(a)は,起 電 流iuと
電 力euと
それ に流 れ る
が 同相 の場 合 で,φaは
φfよ り
空 間 的 に π/2遅れ て,両 者 が 同期 速度 で 相 順 の方 向 に 回転 す る。 この場 合 は,φaは φfの 分 布 を偏 らせ る ので 偏 磁作 用 とい う。
図5・10電
機 子電 流iuの 起 電 力euに 相 と φfと φaの位 置関 係
対 す る位
同図(b)は,電 流 が 起電 力 よ り π/2遅 れ る場合 で,φaは
φfと 全 く逆 の向 きに生 ず るので
減 磁作 用 を す る。 同 図(c)は,電 流 が 起 電力 よ り π/2進む 場 合で,φaは
φfと 同 じ向 きに重 なる ので 磁化 作
用 をす る。 図(a),(b),(c)い
ず れ の場 合 に も,電 機 子 反作 用 磁束φaが 同 期速 度 で 回転 す る ことに
よ って 電機 子 巻 線 自身 は に生 ず る起 電 力 は,電 流 よ り90° 遅 れ位 相 とな る。 この こ とは,次 の よ うに も考 え る こ とが で き る。 電 機子 巻 線 の 一 相 の有 効 イン ダ ク タン スを,誘 導機 の 場 合 の よ うにL1と 電 流 が最 大 値Imで
あ る とき,こ の電 流 によ って生 ず る磁 束 はL1Im/neで,こ
部 鎖 交す る。 同 じ瞬時 に v相,w
書 けば,u 相 の れ は u相 に 全
相 の電 流 によ って u相 に生 ず る鎖 交 はL1Im/2neと
なる
か ら,
(5・3) とな る。 時 間 が経 過 す れ ば φaの u相 に対 す る鎖 交 は変 わ るが,φaそ の もの は一 定値 を 保 ち 同期 速 度 で 回転 す る。 いま,u 相 の電 流 を iu=Imsin(ωt-β) と 仮 定 す る 。 た だ し,β で あ る 。 式(5・3)よ
はiuのeuに
り,iu=Imの
対 す る 位 相 角 で,こ
れ は 負 荷 の 力 率 に 応 じて 変 わ る 角
瞬 時 の u 相 の 鎖交 数 は,λu=λm=3/2L1Imで
あ り,任
意 の
時 刻 で は, λu=λmsin(ωt-β) と 書 け る 。 よ っ て,λuの
変 化 に よ っ て u 相 に 生 ず る 起 電 力 をerと
す れ ば,
(5・4) と な って,こ れ はiuの 位相 よ り π/2遅 れ る。 このerを 電機 子 反 作 用 に よ る起 電 力 とい う。 式(5・4)を
実 効 値 ベ ク トル で 表 せ ば,
(5・5) と書 け る。 こ こに,Xa=3ωL1/2で,電 (3)同
機 子 反作 用 リア ク タ ンス とい う。
期 イ ン ピー ダ ン スとベ ク トル 図
電 機 子 に は巻 線 の 抵抗 γ1お よび 漏れ リア ク
タ ン スx1が
あ る 。X1の
内 容 は,誘
導 機 の 所 で 述 べ た よ う に ス ロ ッ ト漏 れ 磁 束,コ
イル 端 漏
れ 磁 束 等 に よ っ て 生 ず る リア ク タ ン ス で あ る 。 電 機 子 反 作 用 の 影 響 も 考 え,u 相 の 電 圧 つ り あ い 式 を ベ ク トル で 表 す と, Eu+Er=(r1+jxl)Iu+V と 書 け る 。 こ に に,Vは
(5・6)
u 相 の 端 子 電 圧 で あ る 。Erは
式(5・5)で
表 され る か ら,
または
(5・7)
と 書 け る 。 上 式 の う ち で,Xs=x1+Xaを たZs=γ1+jXsを 式(5・7)で
同 期 リア ク タ ン ス(synchronous
同 期 イ ン ピ ー ダ ン ス(synchronous は,電
て い る。 これ はEγ
機 子 反 作 用 に よ る 起 電 力Erの
impedance)と
reactance),ま
い う。
符 号 を 変 え て,Vγ=-Eγ=jXaIuと
を 電 圧 降 下 と して 扱 っ て い る こ と に な り,jXaIuを
扱 っ
電 機子 反 作 用 によ る
リア ク タ ン ス降 下 とい う。 図5・11は,式(5・7)を
ベ
ク トル 図 に 画 いた もの で,図で は直 流 励磁 に よ る起電 力を 一 般 的 に 表 す た めEfと
し,
電 流 は単 に I と表 した 。同図 (a)は I がEfと 合,図(b)は
同 相 の場
IがEfよ
りβ
だ け遅 れ る場合 で,い ず れ も 式(5・7)の
関係 に な って い る (a)I
こ とは明 らか で あ る。 この 図で,φfお よび φaは,
がEfと
図5・11円
同相 の 場合
(b)I
がEfよ る場合
り B だ け遅 れ
筒 磁極 を もつ三 相 同 期発 電 機 の 一相 のベ ク トル 図
そ の 相 に鎖 交 す る直流 励 磁 磁束 お よび 電 機子 反 作 用 磁束 を 示 す もの で,φfはEfよ 進 み,φaはEγ=-jXaIよ
り π/2進む(Vγ=jXaIよ
り π/2
り π/2遅 れ る)。
φf+φa=φiは 合 成 磁 束 とも い うべ き もので,負 荷 時 に ギ ャ ップ に存 在 す る磁 束 は φiであ る と考 え る ことが で き,φiよ り π/2遅 れ た起 電 力Eiは,負
荷 時 に巻 線 に生 ず る起電 力 と考
え る こ とが で き る。Eiを 内部 電圧 と い うこ とが あ る。 た だ し,に こ に示 した ベ ク トル図 は,円 筒 磁極 を もつ発 電 機,す な わ ちギ ャ ップ長 さがー
様 で,電
機 子の 一 相 の有 効 リア ク タン スが磁 極 位 置 にか か わ らず ωL1一 定 で あ る場合 で,
突 極機 で は この よ うに 扱え な いので,後 の項 で 改 め て述 べ る。 (4)無
負 荷飽 和 曲 線 と三 相 短絡 曲線
る と きの界 磁電 流ifと,起
同期 発電 機 が定 格 速度,無 負 荷 で運 転 され て い
電 力 の実 効 値Efと
の 関 係を 示 す と,図5・12の0Eの
よ うに
な る(ifを 増 す と き と減 らす と き とでは,磁 路 の ヒス テ リ シス現 象 の た め に,同 じifに 対 しEfが
僅かに
異 な るこ とは 直流 機 の 場 合 と同 じで あ るが,こ こで は この 相 違 を 無 視 す る)。 この 曲 線 を 無負 荷 飽 和曲 線 と い い,同 期 発電 機 の 重 要 な特 性 曲線 の一 つ で あ る。 な お,無 負 荷 飽 和 曲線 の 縦 軸 で あ る起 電力 は,一 相 の 値 で 示 され る場 合 と,〓 結 線 の線 間 電圧 で 示 され る場 合 とが あ るか ら注 意 を 要 す る。 後 者 は 前者 の √3倍 の 値 と な る。 無 負 荷飽 和 曲 線 は 定格 電 圧 の2/3程 度 か ら下で は ほ ぼ原 点 を通 る直線 で 示 され る。 こ の 直 線 を 延 長 して
図5・12無
0gの よ うに 画 くと き,こ れ を ギ ャ ップ 線 とい う。 そ の 意 味 は,あ る無 負 荷 電圧0hを の た め に界 磁電 流hgを
負荷飽和曲線 と三相短 絡曲線
生 ず るに 必 要 な磁 束 をつ くる た めに,ギ ャ ップ の 磁気 抵 抗
要 し,鉄 心 部 分 の磁 気 抵抗 のた め にgkを
要す る。 前者 は起 電 力 に
正 比 例 し,後 者 は E が 大 とな り磁 束 が多 くな ると,必 要 な界 磁電 流 が 著 し く多 くな る。 次 に,発 電 機 の三 つ の端 子 を短 絡 した場 合 を考 え ると,式(5・7)のV=0と 流 をIsと
お き,短 絡電
お けば, Ls=
Ef/Zs
ま た は Is=Ef/Zs
と な るが,界 磁 電流ifに
(5・8)
対 す るIsの 関係 を 画 け ば,同 図 の0Isの
よ うな直 線 とな る。 この
曲 線 を 三 相短 絡特 性 曲線 とい う。 同 図 に お いて,Ohを
定 格 電 圧Vrに
と る とき,無 負 荷 時 に この 電圧 を 生 ず るに必 要 な 界
磁 電 流 はif0で あ り,一 方0′sを 定 格 電流 とす れ ば,三 相短 絡 時 に定 格 電 流 を 流 す に必 要 な 界磁 電 流 はifsで あ る。 この 二 つの 界磁 電 流 の 比 を短 絡 比(short-circuit ratio)と い う。 す なわ ち,
短絡比Ks
=if0 /if2
(5・9)
で あ る。 一方,三 相 短 絡 時 に 界磁 電 流 をif0に すれ ば,短 絡 電 流 はdeと 力 は0h=ekを
生 ず るの で あ るが,短 絡電 流deが
な る。if0に お け る起 電
流 れ,起 電 力 の す べて が 同期 イ ン ピー ダ
ンス 降下 に 費 され,端 子 電圧 が 零 とな った ので あ るか ら,ek/ed=Zsで
あ る。
そ う して,さ き の短 絡 比 の逆 数 を考 えて み る と,
(5・10) と な る。 こ こに,Irは
定 格電 流 で あ る。IrZsは 定 格 電流 にお け る同 期 イ ン ピーダ ン ス降 下,
Vγは定 格 電 圧 で あ る。 式(5・10)を を100倍
単 位 法(per-unit system)で 表 した 同期 イ ン ピーダ ンス とい う。 ま た,こ の 値
した もの は,定 格 電 流 に対 す る同期 イ ン ピーダ ンス降下 の定 格 電 圧 に対 す る百 分 率
を 示 す こ とに な り,% 法 で 表 した 同期 イ ン ピーダ ンス とい う。 短 絡比 Ksは 一 般 に 1付 近 にな るが,同 期 イ ン ピーダ ンスの小 さい発 電 機 で は 2以上 に な る こ とも あ る。 同期 イ ン ピー ダ ンス が小 さい機 械 は,運 転 時 に電 圧 変動 が 少 な く,電 圧制 御 が しや す く,ま た最 大 出力 も大 き い。す なわ ち,短 絡比 の 大 き さを 知 る こ とは そ の発 電機 の 特 性 を 判定 す る重 要 な資 料 を 得 た こ とに な る。
〔例 題 1〕
容 量10000kVA,電
圧6600V,同
期 イ ン ピー ダ ン ス3.6Ω
の三 相 同期 発電 機
が あ る。 こ の発 電 機 の短 絡 比 を求 め よ。 〔解 〕
容 量Pa〔kVA〕,定
格 電 圧Vlr〔V〕,定
格 電 流Iγ 〔A〕 の 間 の 関 係 は,
で あ る か ら,
無色 荷 時 に定 格 電 圧 を生 ず る よ うな界 磁電 流 を 流 した ときの 三 相短 絡 電 流 は,
短 絡 比 は,こ のIsと
定 格電 流 との比 にな るか ら,
〔 例 題 2〕 定格 電 圧12000V,容
量60000kVAの
Aに お け る無 負荷 端 子 電 圧 は12000V,三
三相 同期 発電 機 が あ る 。界 磁 電流1000
相 短絡 電 流 は4000Aで
あ る。 この発 電 機 の短絡
比 お よび 同期 リア クタ ンス を求 め よ。 た だ し,短 絡 特性 は直線 とす る。 〔 解〕 定格電流
同 期 リア クタン ス
Xsを 単位法で表せば ∴ 短絡比
(5)突
極 を もっ発 電機 の電 機子 反作 用
筒 磁 極(cylindrical
pole)で
いま まで に考 えた 電機 子 反 作 用は,界 磁 が 円
誘 導機
の よ うに ギ ャ ップ 長 さが一 様 で あ る と し て 扱 っ た の で あ る が,界 極(salient
pole)の
(a)の よ う に,あ の 軸 と,磁 (direct
場 合 は,図5・13 る 相,例
極 中心 軸
axis)と
磁 が突
え ば u相
図5・13磁
(b)Lu小 極 位 置 と電 機 子 自 己イ ンダ ク タ ンス
い う〕 とが 一 致 した 場 合 に,
相 の 自 己 イ ン ダ ク タ ン ス が 大 き く,u 極 間(こ
(a)Lu大
〔こ れ を 直 軸
れ を 横 軸(quadrature
相軸と
axis)と
い う)
と が 一 致 す る と u相 の 自 己 イ ン ダ ク タ ン ス が 小 さ くな る 。 こ の 間 の 自 己 イ ン ダ ク タ ン ス の 変 化 は,(a)の
位 置 か らの 磁 極 が 移 動 した 角
を θ とす る と き,近
似的に
Lu=l1+L1+L0cos2θ
(5・11)
(a)自
己イ ンダ ク タ ンスの 変化
(b)相
互 イ ンダ ク タ ンスの 変 化
で 表 さ れ る 。 こ れ を 図 示 す る と,図5・14 (a)のLuの
よ うに な る 。 こ こ に,l1は
イ ン ダ ク タ ン ス,L1は 式(5・3)で
漏れ
円 筒磁 極 機 に つ い て
用 い た 有 効 イ ン ダ ク タ ン ス,L0
は突 極 の影 響 を 受 け て変 動 す る イ ンダ クタ ン ス の変 化 分 で あ る。 v 相,w
相 の 自 己 イ ン ダ ク タ ン ス は,巻
中 心 位 置 が u 相 よ り そ れ ぞ れ2π/3お
線 よび
図5・14回
転 子位 置 の 変 化 に対 す る電機 子 自 己イ ンダ ク タ ンス お よび相 互 イ ンダ ク タ ンス の変 化
4π/3ず れ て い る か ら,
(5・12)
とな り,そ れ ぞれ 図5・14(a)のLv,Lwの
曲線 の よ うに 変 化す る。
uv間 の相 互 イ ンダ クタ ンス も磁 極 位 置の 影 響 を受 けて,
(5・13)
の よ うに 変 化 し,図5・14(b)のLuvの と し て 扱 う 。 同 様 に,vw間,wu間
よ う に な る 。L0′ はL0に
近 い の で,以
後 は 等 しい
の 相 互 イ ン ダ ク タ ン ス も,
(5・14)
の よ うに 変 化す る とみ る に とがで きる。 以 上 の よ うに,イ ンダ ク タンス が 変化 す る電 機 子 巻線 に対 称三 相 電 流が 流 れ た場 合 を 考 え る。 いま,各 巻 線 の電 流 を,
(5・15)
と お く と,こ
れ ら の 電 流 に よ っ て u相 に 生 ず る 鎗 交 数 は,
λu=Luiu+Luviv+Luwiw
(5・16)
い ま,t=0に
お い て θ=0と
す れ ば,磁
極 は 同 期 角 速 度 ω で 回 転 す る か ら ,θ=ωtで
あ り,
(5・17)
λuが時 間 的 に変 化 す る際 に生 ず る起電 力 を電 圧 降下 と して扱 え ば
,
こ こ で, と お き,u
相 の 起 電 力 をeuと
し,u
相 の 電 圧 つ り あ い 式 を つ くれ ば ,
(5.18) と な る 。 た だ し,v (5・18)の
は 端 子 電 圧 で あ る 。 そ う し て,eu=Emsinωtを
第 1項 はeuよ
り β だ け 遅 れ,第
で あ る 。 よ っ て,式(5・18)を
2項 はeuよ
基 準 に 考 え れ ば ,式
り π/2進 み,第
3項 はeuと
ベ ク トル で 表 せ ば,
Eu=γ1(Iq-jId)+jXqIq+XdId+V(5・19)
(5・19)
た だ し, π/2遅
で あ り,IqはEuと
れ た 電 流 で,そ
ま た,Xqお
よ びXdを
theorem)と
synchronous
同 相 の 電 流 に 対 す る 同 期 リア ク タ ン ス と,Euと
す る 同 期 リ ア ク タ ン ス とで は,前 式(5・19)を
り
synchronous
reactance)と
いい
,突
π/2位 相 が 異 な る 電 流 に 対
者 の ほ う が 小 さ い 。 円 筒 磁 極 機 で は 両 者 ほ ぼ 等 し くな る 。
ベ ク トル 図 に 画 く と 図5・15の
図5・16は,図5・15と
分
い う。
そ れ ぞ れ 横 軸 同 期 リ ア ク タ ン ス(quadrature-axis
よ び 直 軸 同 期 リア ク タ ン ス(direct-axis
極 機 で は,Euと
同 相 の 電 流,IdはEuよ
れ ぞ れ 横 軸 電 流 お よ び 直 軸 電 流 と い う。 こ の よ う に I をIq,Idに
け て 扱 う方 法 を 二 反 作 用 法(two-reaction
reactance)お
同相 ,
よ うに な る。
同 じ 内 容 で あ るが,作
図 が 異 な り,Id,Iqを
用 い ず Iの みを 用 い
て 表 した も の で あ る 。 こ の 図 で, Vi=(γ1+jxl)I+V を 内 部 電 圧 と い う こ と は 円 筒 磁 極 機 と 同 じで あ る 。 ま た,両 I の 位 相 差 で 力 率 角 で あ り,δ 電 力 角(power
angle)と
はEfと
V の 位 相 差 で ,こ
ベ ク トル 図 に お い て ,ψ れ を 負 荷 角(load
は V と
angle)ま
たは
い う。
突 極 を も つ 三 相 発 電 機 を 三 相 短 絡 し た 場 合 を 考 え る と,つ
ぎ の よ う に な る 。 式(5・19)に
図5・15突
極 同 期発 電 機 の 一相 の ベ ク トル 図
図5・16突
極 同期 発 電 機 の一 相 の ベ ク トル図 (Id,Iqを 用 い ず Iのみ を 用 い た 場合)
お い て,V=0と
お く と, Eu=Ef=r1(Iq-jId)+jXqIq+XdId=(1+jXq)Iq-j(r1+jXd)Id
と な る 。 に こ でEfを
基 準 ベ ク トル に と れ ばEf=Efで
(5・20) あ り,上
式 の 右 辺 を 実 部 と 虚 部 にわ
け て,
Ef=rlIq+XdId (5・21)
}0=XqIq-riId 上 式 よ り,Iq,Idを
求 め れ ば,
(5・22) よ って,短 絡 電流 I がEfよ
り遅 れ る位 相 角 を βsと お けば,
と な り,こ
れ は π/2に 近 い 角 で,ベ
図5・17の
よ う に な る 。 γ1を 無 視 す れ ば βs=
π/2と な る 。 そ う して,Idを
ク トル 図 は
つ ぎ の よ うに変 形
す る。
図5・17三
相 短 絡 した 場合 の ベ ク トル図
γ1は非 常 に小 さい か ら,三 相 短 絡電 流 は ほ とん どが 直 軸電 流Idで,横
軸 電 流Iqは
非常に
小 さ く γ1を 無 視 す れ ば零 で ある。 よ って,図5・12の
無負 荷飽 和 曲線 と三 相 短絡 曲線 か ら求 め られ る イ ン ピー ダ ンス は,直
軸 同期 イ ン ピー ダ ンス│Zd│=│γ1+JXd│に (6)負
荷 飽和 曲線
非常に近い。
負 荷 飽 和 曲線(load
saturation curve)と は,発 電 機 の力 率 お よ
び負 荷 電 流 を一 定 に保 ち,界 磁電 流ifを
変 え た と きのifと
端 子 電 圧 V との 関 係 を示 す 曲
線 を いい,負 荷 電 流 が 定 格 値 の と きの 曲線 を 全 負荷 飽 和 曲線 とい う。 (a)励
磁 起 電 力 と力 率
と,励 磁 起電 力Efの
あ る力 率cosψ の 負荷 をか けた場 合 の発 電 機 一 相 の端 子電 圧 V
大 き さの関 係 を 調べ るた め に,図5・11の
ベ ク トル 図 を再 び図5・18
に示 す 。 た だ し,に にで は電 機 子 抵 抗 を無 視 して作 図 して い る。 図 か らわか る よ うに,同 対 し,励 磁起 電 力Efは
じ端 子 電 圧,負 荷 電流 に
力率 が 遅 れ 側 に悪 くな る ほ
ど大 き くな る。 図5・19は200V,9.38kVAの
発電 機 の 無負 荷
飽 和 曲線,三 相 短 絡 曲 線 お よ び全 負 荷飽 和 曲線 を示 した もの で あ る。 全 負 荷 飽和 曲線 は 曲線 上 す べ ての 点 が 定格 電 流 時 につ い て画 か れた 曲線 であ るか ら, 端 子電 圧 零 の所 も定 格 電 流 で あ り,従 って,全 負 荷 飽 和 曲線 は ど の力 率 に お い て も三 相 短絡 曲線 の定 格
図5・18電
電 流 に な る界 磁 電 流if2の 所 か ら出発 す る。
図5・19全
負荷 飽 和 曲 線 の例
圧 ベ ク トル と必 要 な磁 束
こ の発 電 機 は,if1=3.5〔A〕,if2=1.35〔A〕 Ksが
で,短 絡 比 はKs=3.5/1.35=2
.59と な り,
非 常 に大 きい特 殊 な機 械 に属 す る。
(b)電
圧変動率
三 相 発 電機 に おい て,電 圧 変 動率 と は定 格 周波 数,定 格負 荷(定 格電
圧,定 格 電 流 で か つ 定 格 力 率)で 運 転 して い る発 電機 の 速 度 と励磁 を 一 定 に保 って無 負 荷 に した と き に起 こ る端 子 電圧 の変 動 の 定格 電 圧 に対 す る百 分 率 を,そ の 力 率 の負 荷 にお け る電 圧 変 動 率 とい う。 同 じ発電 機 で も力 率が 遅 相 側 に悪 くな る と電 圧 変 動 率 は 大 き くな る。 図5・19の
例 で は,全 負 荷 にお け る界 磁 電流 と,そ の 界磁 電 流 に お け る無 負 荷 電圧 は,
負 荷 力 率cosψ=1.0で
はif=3.85〔A〕
〃0.80で
はif=4
〃0で
はif=5.75〔A〕
無 負 荷 電 圧Ef=208〔V〕
.95〔A〕
〃Ef=231〔V〕 〃Ef=243〔V〕
で あ るか ら,電 圧 変 動 率 εは つ ぎの よ うに な る。 cosψ=1.0で
は ε=(208-200/200)×100=4〔
%〕
cosψ=0.8で
は ε=(231-200/200)×100=15.5〔
%〕
cosψ=0で
は ε=(243-200/200)×100=21.5〔
%〕
同期 発 電機 は,一 般 に負 荷 の 軽重 や,力 率 の変 化 に かか わ らず,つ ね に定 格 電 圧一 定 で 運 転 す る の が原 則 で あ るか ら,電 圧 変 動 率 が大 きい機 械 は負 荷 お よび 力率 の 変 化 に応 じて,常 時 界 磁 電 流 を 大 幅 に 変 え な け れ ば定 格 電圧 に保 て な い。 電 圧 変 動率 を知 る とい う ことは,あ る力率 の負 荷 に お け る 界磁 電 流 の必 要 値 お よび 負荷 変 化 に応 じて行 われ るべ き界 磁 電 流 の 調 整 幅 を 知 るた め に 重要 で あ る。 しか し,全 負 荷 飽 和 曲線 ま た は そ の 中の 1点 であ る定格 電 圧 時 の 界 磁電 流 を実 測 で求 め る こ とは,極
く小 容 量 の発 電 機 以 外 で は 困難
で あ る 。 比 較 的簡 単 に実 測 で き る無負 荷 飽 和 曲線 と三 相短 絡 曲線 とを 基 に して,こ れ らの 曲線 か ら計 算 ま た は作 図 を 行 って,任 意 力率 の定 格 負 荷 時 に 必 要 な界 磁 電 流 を 求 め る方 法 につ い て は,次 頁(d)の 項 で 述 べ る。 (c)零
力 率 全 負荷 飽 和 曲線 とポ ー シ ェ
リア ク タ ン ス
全 負 荷 飽 和 曲線 の うち力 率
が 遅 れ で 零 の場 合 は,図5・19に
示 した よ
うに他 の 力 率 の 曲 線 に 比 べ 最 も下 側 に な
図5・20ポ
ー シ ェの 三 角形
る。 この 曲線 を再 び 図5・20の
曲線O′cc′ に示 す 。
この 曲 線 を実 測 か ら求 め る に は,そ の発 電 機 とほ ぼ 同容 量 の 同期 機 が あ れ ば,そ れを 補 助 機 に して,電 動機 と して 無負 荷 運 転 させ れ ば よい 。 電 動 機 の 励 磁 を発 電 機 の 励磁 に比 べ 少 な くし,そ の 程度 を 加 減 す れば,ほ ぼ 零 力率 で,定 格 電 流 の 状 態 が つ くれ る。 この よ うな操 作 を種 々 の端 子電 圧 につ い て繰 り返 せ ば 飽 和 曲線 が 得 られ る。 も し,零 力 率 飽和 曲線 上 の 1点,例 え ば 定 格電 圧 の点 しか測 れ な い場 合 は,次 の よ うに作 図 を 加 え て曲 線 全体 を求 め る こ とが で き る。 無負 荷 飽 和 曲線 お よび三 相 短 絡特 性 は既 に求 め て あ る と し,測 定 で きた 零力 率(遅 れ),全 負 荷,定 格 電 圧 の点 を cとす る。 三相 短 絡 特 性 か ら,定 格,流 に お け る境 磁 電 流OO′=if2で に等 し くdcを
既 知 で あ るか ら,c点 よ りOO′
水 平 に とる。 d点 よ りギ ャ ップ線 に 平行 にdaを
点で 交 わ らせ る。 a か ら 売 に 垂線abを
下 せ ば,abは
引 き,無 負 荷 飽 和 曲線 と a
漏 れ リア ク タン ス降 下,bcは
零力率
全負 荷 電 流 に よ る減 磁 ア ン ペ ア回 数 の 境磁 電 流 へ の 換 算値 で あ る。 他 の 電 圧 に お け る 零 力 率 飽 和 曲 線 上 の 点c′ は,acの よ う に 移 動 さ せ れ ばc′ が 求 め ら れ,こ こ の 作 図 に お い て,abcを
reactance)と
ン ス よ り若 干 大 き く な る の が 普 通 で,こ
(d)電
圧 変 動率 の計 算
の よ う な 操 作 を 繰 り 返 せ ば,曲
ポ ー シ ェ(Potier)の
を ポ ー シ ェ リ ア ク タ ン ス(Potier
傾 斜 と 長 さ を 一 定 に 保 っ て,a′c′ の 線O′cc′ が 得 られ る 。
三 角 形 と い い,abを
定 格 電 流 で 割 った値
い う。 ポ ー シ ェ リ ア ク タ ン ス は 漏 れ リ ア ク タ
れ は境磁 側 の漏 れ の影 響 と され て い る。
あ る負 荷 力 率 にお け る電 圧 変 動率 を求 め る とい う ことは,そ の
力 率 の 定格 負 荷 を か ける の に必 要 な 界磁 電 流 を 求 め る こ と にな る。そ の 手順 につ いて はJEC 規 格 に示 して あ り,次 の よ うに な って い る。 (i)飽
和 が 著 し くな い発 電 機 の 負荷 力率 が 遅 相 の場 合 の 界磁 電 流 計 算 法
定 格 出力 時 に
必 要 な 境磁 電 流 は,定 格 電 圧 に 等 しい起 電 力 を 生ず る境 磁 電流if0の
ほか に,同 期 イ ン
ピーダ ンス 降下 を償 うた め の界 磁 電 流if2が 必 要で あ る。 図5・18に
示 す よ うに,V に
対 す るjXsIの
位 相 は負 荷 力率 に よ って 変 るの で,単 にif0とif2の
和 が 定格 出力 時
に必 要 な 界磁 電 流 とい う こと に な らな い 。 ま た,遅 相 力率 の負 荷 に お いて はif2を 割 り 増 し して お か な い と主 磁 路 の 飽 和 の た めに 定 格電 圧 を保 て な くな る。 い ま,Vγ
を定 格 電 圧
Iγを 定格 電 流 cosψ を 負 荷 力 率
ifを 力 率cosψ(遅
相)定 格 出 力 時 に必要 な境 磁電 流
if0を 無 負 荷 時 に定 格 電 圧を 生 ず るに必 要 な界 磁 電流 if1をVγ+γ1Iγ の 電 圧 を無 負荷 時 に生 ず るに必 要 な境 磁 電 流 if2を 三 相 短絡 時 に定 格,流 を 流す の に必 要 な境 磁 電流 とす る と きifは,
(5・23) に よ って求 め られ,ifに ε=
V0-Vγ/
よる無 負 荷電 圧 をV0と
す れば,,圧
変 動 率 εは,
(5・24)
×100(%)
Vγ
を 得 るこ とが で き る。 上 式 の うちで,k は負 荷 力 率 が遅 れ 側 に悪 くな るに従 い,定 格 電 流 に お け る同 期 リア クタ ンス降 下 を償 うた め の境 磁 電流 が,力 率1.0の 係 数 で,JEC-114で
は表5・1の
と きに比 べk(>1)倍
に増 す と した
値 を示 して いる 。
こ の係 数 kは,つ ぎの よ うに 考 え て
表5・1kの
値
つ くられ た もので あ る。 図5・18は,電
機 子 抵 抗 を無 視 した
場 合 の電圧(端 子 電 圧,同 期 リア クタ ンス 降下 お よび無 負荷 電 圧)の ベ ク トル 図 で,そ れ らの 電 圧を 生 ず る に要 す る磁 束 の 関 係 を電 圧 ベ ク トル よ り π/2進み 位相 に した ベ ク トルで示 した もので あ る。 端 子 電 圧 が一 定 な ら,そ れ に等 しい 無 負荷 電 圧 を生 ず るに 要 す る 磁 束 は φγは一 定で あ るが,力 率 角 ψ が 大 き くな る と同期 リア ク タン ス降下 を償 う に 要 す る磁束 の 位 相 お よび 大 き さが 増 す とみて,図5・21の
よ うに磁 束 を 生
ず るた めの 界磁,流 に お きか え,if19 kif2お よ びifを 画 く。 kif2は
ρ が 増 す と き,図 の よ う に 短
径 がif2,長
径 が(1fσ)kif2の
だ 円上
を 移 動 す る と仮 定 して,if1と
kif2の
和ifを
な る。
求 め る と式(5・23)に
図5・21全
負荷 時 に必 要 な 界 磁電 流
図5・21で,σ
は 同図 に 画い た よ うに 定 格電 圧 の1.2倍
の と きの飽 和率 で,こ れは 発電
機 ご とに 異 な る。 図 で,kif2が
を つ く り,こ
だ 円 上1移 動 す る とき は,だ 円 の式
れ よ り kを 求 め る と,
(5・25) と な る が,多
く の 発 電 機 に お い て の σ の 値 が 大 体0.5∼0.7と
み て,種
々 のcosψ
に対
す る kの 値 を 求 め て み る と,表 5・1の
値 よ り小 さ い 。
表5・1の
値 は,一
応,式(5・
25)を 根 拠 に し て は い る が,多 くの 発 電 機 に お け る 実 測 値 を 参 照 し て,実
情 に 合 う よ う に kの
値 を 決 め た もの と思 わ れ る。 図5・22は,8000kVAの
水
車 発 電 機 に つ い て,式(5・23) に よ っ てifを お よ び0.85(遅
求 め,cosψ=1.0 れ)に
お け る電
圧 変 動 率を 計 算 した例 で あ る。
(ii)進
み力 率負 荷 お よび飽 和 が
著 しい(σ 〓0.8)発 電 機の 電 圧 変 動率 計 算
この方 法 もJEC-
114に 示 され て い る もので,つ ぎの よ うに して 求 め る。 あ る負 荷 力 率cosψ の全 負 荷 にお い て必 要 な 界磁 電 流ifは, 図5・22電
つ ぎの式 で 求 め られ る。
圧変 動 率 の計 算 例
(5・26) こ の 式 に 用 い て い る 記 号 は,図5・23に ifa=if2-ifx=電
示 す よ う に,
機 子 反作 用 を償 うた めの 界 磁電 流
(a)
(b)
図5・23電
圧 変 動率 の 計 算
if2=三 相 短 絡時 に定 格,流 を流 す に必 要 な境 磁電 流 ifx=漏 れ リア ク タン ス降 下xIγ 漏 れ リア ク タ ンスxlは,つ
を 償 うに 必 要 な界 磁電 流
極数P〓20の
ぎ の実 験 式 か ら求 め る。 場合
P〓22の
場合
た だ し, Ks=短
絡比
Vγ,Iγ は そ れ ぞ れ 一 相 の 定 格 電 圧 お よ び 定 格 電 流 Vγ,Iγ,γ1,x1お
よ び 指 定 力 率cosψ
降 下 の ベ ク トル 和 の 絶 対 値)Viを
と か ら内 部 電 圧(定
格 電 圧 と漏 れ イ ン ピー ダ ン ス
ベ ク トル 図 を 参 照 して つ ぎ の 式 か ら求 め る 。 (5・27)
無 負 荷 飽 和 曲 線 か らViに 力 率cosψ
対 す る 境 磁 電 流ifiを
求 め,式(5・26)のifを
の 全 負 荷 時 に 必 要 な 境 磁 電 流 を 求 め られ る 。 な お,式(5・26)の
図5・23(b)よ sinθ=
計 算 す れ ば, 中 のsinθ
は
り Vγsinψ+xlIγ/
Vi
(5・28)
か ら求 め る。 《 計 算 例 》 以 上 計 算手 順 を 図5・22の 発 電 機 につ い て行 って み る。 こ の発 電機 の120%電 圧 に お け る飽 和 率 は σ≒0,49で,0.8よ
り小 さい が,上 記 の方 法 を 適 用 して み る。 図5・19
11000/ よ り,if2=150〔A〕,K=1.09,P=20,vγ=
√3xlIγ=√3×3.389×420=2465〔V〕,飽 33.8〔A〕
〔V〕,Iγ=420〔A〕
√3
で あ る 。 ま たγ1=0.0813〔
和 曲 線 よ り2465Vに Ω〕 で あ る か ら,cosψ=0.85の
で あ る か ら,
対 す る 界 磁 電 流ifx= と き,
=7225〔V〕 7225×
√3=12515〔V〕
飽 和 曲線 上12515Vに
お ける界 磁,流ifi=225〔A〕
ま たifa=150-33.8=116.2〔A〕
飽 和 曲 線 よ り,if=314.0Aに
ε0.85=
13800-11000/
お け る 無 負 荷,圧
×100=25.45〔
は13800Vで
あ る か ら,
% 〕
11000
とな る。 この値 は前 記 の方 法 で 求 めた24.1%よ
り大 きい が,そ
の理 由に つ いて は い ろい ろ
の 因子 が 混 在 して い るの で,何 と もいえ な い。 〔4〕 出
力
三 相 同期 発,機 の 出力 をP0と
す る と,図5・15よ
り次 の 式 が つ くれ る。 こ こで は,突 極
機 につ いて ま ず考 え,円 筒磁 極 機 は その 特別 の場 合 と して扱 う こ とにす る。 P0=3VIcosψ =3VIcos{(ψ+δ)-δ} =3vIcos(ψ+δ)cosδ+3vIsin(ψ+δ)・sinδ 一 方
,ベ
(5・29)
ク トル 図 よ り, E=Vcosδ+XdId+γ1Iq}
(5・30)
O=Vsinδ+γiId-XqIq
で あ り,こ
の 2式 よ りId,Iqを
求 め る と,つ
ぎの よ うに な る。
(5・31)
そ う し て,Id=Isin(ψ+δ),Iq=Icos(ψ+δ)で
あ る か ら,Id,Iqを
式(5・29)へ
代 入
し て,
(5・32) と な る が,xd=Xq=Xs=同
期 リア ク タ ン ス と お け ば,円
筒 磁 極 機 の 出 力 の 式 が,つ
ぎの よ
う に つ くれ る 。
(5・33) こ こ で,
と お くと,式(5・33)は
つ ぎの よ うに な る。
(5・34) 電 機 子 抵 抗r1を
無 視 す れ ば,a≒0,Zs=Xsで
あ る か ら,
(5・35) とな る。 これ は円 筒 磁極 機 の 出力 を 表 す近 似 式 で あ るが,P0が 例 し,Xsに
V,E お よびsinδ の 積 に比
反 比例 す る とい うこ とは重 要 な ことで あ る。 ま た,E
と V の位 相差 δが負 荷
角 ま た は電 力 角 とい われ るの は,出 力 が δの 正弦 に比 例 す るた めで あ る。 次 に,突 極 の場 合 の式(5・32)に
お い て,r1を 無 視 す れ ば,
(5・36) この式 の 第 1項 は 円筒 磁 極機 の 出力 の式(5・35)と 項 で,こ の 項 はV2,(Xd-Xq)お 機 で はXd=Xqで
同 じで あ るが,第
よびsin2δ の積 に比 例 し.XdXqに
2項 は 突 極 機特 有 の 反 比 例 す る。 円筒 磁 極
あ るか ら,第 2項 は消 え る。 ま た,第 2項 は直 流 励 磁 に よ る起電 力 E を
含 ま な いの で,定 電 圧母 線 に 結 ばれ て運 転 され る 発 電 機 で は,無 励 磁 で も第 2項 の出 力 が 出 る。 い ま,
と お くと,
(5・37) と な り,こ
の 値 は 図5・24の
よ うに なる。
Pm1は 励 磁 起電 力 E に 比 例 し,Pm2は 無 関 係で,Xd-Xqに
E には
比 例 す るの で,直 軸 お よび
横 軸 同期 リア クタ ンス の差 が 大 きい と き,す なわ ち突極 性 が 著 しい と きPm2が
大 き くな る。
図5・25(a)は,Pm2/Pm1の
変 化 に対 す る出力 の
相 対値P0/Pm1の (b)はPm2を
変 化 を画 いた もので あ り,同 図 一定 に考 え,E
の 大小 に応 じ出力
の 変 化す る様子 を 示 した もので あ る。 〔5〕 同 期発 電 機 の リア ク タ ン ス 同期 発 電機 の端 子 電圧,出 力,短 絡 電 流 な ど に
(a)Pm2が
変 化す る場合 図5・25
図5・24
(b)E
電 力 角 と 出力(そ
の 1)
が変 化 す る場 合
電 力 角 と 出力(そ の 2)
内 部 イ ン ピー ダ ンス の値 が 影 響 す る こ とは 当然 で あ るが,電
機 子 の 抵 抗 は 一般 に小 さいの
で,リ ア ク タン ス分 が イ ン ピー ダ ンスの 大 部分 を 占め る。 これ ら リア クタ ンスが 発 電 機 の 動作 状 態 を左 右 す る もの で あ り,そ の い くつ か はす で に前 項 まで の 式 に あ らわ れ て い るが,こ こで 改 め て整 理 して み る。 (1)定
常特 性 に影 響 す る リア クタ ン ス
(a)円
筒磁 極 機 の イ ン ピーダ ンス 同 期 イ ン ピ ー ダ ン ス Zs=r1+jXs=r1+j(xl+Xa) r1=電 Xs=同
機 子 抵 抗(こ
れ は 無 視 で き る 場 合 が 多 い 。)
期 リア ク タン ス
xl=漏
れ リア ク タ ン ス
Xa=電
機 子 反作 用 リア ク タンス
(b)突
極 機 の リア クタ ンス 直 軸 同 期 リ ア ク タ ン スXd=xl+Xda 横 軸 同 期 リ ア ク タ ン スXq=xl+Xqa 直 軸 反 作 用 リ ア ク タ ン ス=Xda 横 軸 反 作 用 リ ア ク タ ン ス=Xqa
Xdは,突
極機 にお い て,電 機 子 起電 力 と電 機 子電 流 とが90゚位
相 が異 な る と きの同 期 リ
ア クタン スで,漏 れ リア クタ ンス と直 軸反 作 用 リア ク ンタ スの和 で あ る。 また,Xqは
起電
力 と電 流 が 同相 の とき の 同期 リア クタン スで,漏 れ リア クタ ンス と横 軸 反作 用 リア クタ ン ス との和 で あ る。 一 般 に
,Xd>Xqで,大
体Xq=(0.6∼0.8)Xdで
あ る 。
(2)不
平 衡 運 転 時 の特 性 を左 右 す るイ ン ピー ダ ン ス
(a)零
相 イ ン ピー ダ ン スZ0=r0+jX0こ
とき のイ ン ピー ダ ンス で,r0は │ Z0│は│Zs│よ
れ は,電 機 子 巻線 各相 に 同 相 の電 流 が流 れ る
電機 子 抵 抗 に,X0は
漏 れ リア ク タンス に 等 しい。 従 って,
りは る か に小 さ く,単 位法 で0.1内 外 で あ る。
(b) 正 相 イ ン ピー ダ ンスZ1=r1+jX1
Z1は 発 電 機 が定 格 速 度 で,起 電 力 と相順 が同
じの対称 三 相 電流 が流 れ る ときの一 相 当た りの イ ン ピーダ ンスで,円 筒 磁 極 機 で は同期 イ ン ピーダ ン スZs=ri+jXsに
等 し く,突 極 機 で は電流 が 起電 力 と同 相の と きは横 軸 同期 イ ン
ピーダ ン スZq=r1+jXqに,ま ー ダ ンスZd=ri+jXdと
た電 流 が起 電 力 と位 相差 π/2で あ る と きは直 軸 同期 イ ン ピ なる。
ただ し,過 渡 時 の電 流 に対 す る イ ン ピー ダ ンス,特 に リア クタ ンス につ いて は別 に扱 う。 (c)逆
相 イ ン ピー ダ ン スZ2=r2+jX2
Z2は,発
電 機が 定 格 速度 で 運 転 されて い ると
き,回 転子 と逆 の 方 向 に 同期 速度 で 回 る回 転 磁界 を生 ず る よ うな対 称 三相 電 流,す なわ ち逆 相 電 流 を 流 す と きの一 相 当た りの イ ン ピー ダ ンスで,こ の値 は 回転 子 構 造 の影 響 を受 け る。 磁極 表 面 に低 抵 抗 の 制 動巻 線 を もつ 場 合,界 磁 巻線 回路 が閉 じ られ て い る場 合 は│Z2│は さ くな り,正 相 イ ン ピー ダ ンス│Z1│が
小
単 位 法 で約 1で あ るの に対 し,│Z2│は0.2∼0.25程
度 で あ る。 これ らZ0,Z1,Z2が
発 電機 を 不 平衡 短 絡 した と きに どの よ うに 影響 す るか につ いて は,後
の 項 で計 算 例で 示 す 。 (3)過
渡電 流 に対 す る リア ク タ ンス
発 電 機 に短 絡 な どの 過 渡現 象 を 生 じた場 合 に流
れ る過 渡 電 流を 左 右 す る リア クタ ンス を 過渡 リア ク タ ンス とい い,つ ぎの よ うにわ け ら れ る。 (a) 直 軸過 渡 リア ク タ ン スXd′
発 電 機 が無 負 荷(定
格 速 度 に お いて),定 格電 圧 で 運 転 され て い る と き,突 然三
図5・26三
相 短 絡 電流 の 振 幅 の時 間 的変 化(直 流 分 を除 い た 値)
相 短 絡 を した場 合 に 流れ る電流 の うち か ら直 流分 お よび数 サ イ クル 以 下 で消 滅 す る電 流 を除 い て考 え,残 りの交 流 分 を短 絡 瞬 時 にお ける 包絡 線 の高 さの1/√2で
故 障前 の相 電 圧 を過 渡
電 流(初 期 値)で 除 した値 を い う。 図5・26は,三
相短 絡 時 の交 流 分 電流 につ い て包 絡線 を画 い た もの で,
(5・38)
直軸 同 期 リア ク タン ス た だ し,Emは
故 障 前 の一 相 の起 電 力 の最 大 値 で あ る。
(5・39)
直 軸 過 渡 リア ク タン ス であ る 。
(b)直 5・26に
軸初 期 過 渡 リア クタ ン スXd″ お いて, t=Oに
三 相 短 絡 直後 の電流 を決 め る リア クタ ンス で,図
お ける交 流 分電 流 の包 絡線 の 高 さは0cで
あ り,
直軸 初 期 過渡 リア クタ ンス
(5・40)
で あ る。 なお,Xd′ は 単 に過 渡 リア ク タ ンス(transient reactance),Xd″ タ ン ス(sub-transient
は初 期過 渡 リア ク
reactance)と よん で も よい。
この ほか,横 軸 に関 す る過渡 リア ク タン ス も定 義 され て い るが,こ こで は省 く。 〔6〕 三 相短 絡 過 渡電 流 発 電 機 が定 格 速 度,無 負 荷で 運 転 されて いる と き,突 然 三相 短絡 を 生 じた場合 の短 絡電 流 を求 め る手順 は複 雑 で あ るので,こ こで はそ の結 果 だ けを 示 す。 短 絡 後 の任 意 の 時 刻 tにお け る短 絡電 流 は近似 的に 式(5・41)の
よ うに表 され る。
た だ し,こ こ で は短絡 前 か ら界 磁 電 流if0が 流 され て い た もの と し,無 負 荷 時 の u相 の起 電 力 が,
eu=Emsinθ=ωMif0sin(ωt+α)
で表 され る もの とす る 〔 式(5・1)参
照〕 。 ま た,α は短 絡 発生 時 に 回転 子 の直 軸 が,電
機子
の u相 の軸 よ り進 む角(電 気 角)で あ る。
(5・41) ただ し,Td′=電
機 子 を 閉路 した とき の界 磁 時定 数
Td″=電 機 子 回路 を 閉 じた と きの回 転 子制 動 巻線 回 路 の時定 数
図5・27
三 相短 絡 過 渡電 流 の 分離
Ta=電 ま た,iuは
機 子 回 路の 時 定数
中 性 点 か ら端 子 に 向 か う電 流 を 正 と す る 。
図5・27は,式(5・41)を 式(4・41)に
で,こ
項別 に分 け て示 した もの で あ る。
お い て,
れ は 定 常 電 流 で あ り,持
続 短 絡 電 流 と も い い,eu=Emsin(ωt+α)よ
り π/2位 相 が 遅
れ る。
第 2項 は,時 定 数Td′ で 減 衰 す る過 渡交 流 分 で あ る。 第 3項 は,時 定数Td″(
|
減 衰 す る過 渡交 流 分で あ る。
第 4項 は,直 流 分 で,時 定 数Taで
減 衰 し,短 絡発 生 時 の磁 極 位 置 に よ って異 な り,α=0 ,す な わ
ち u相 の 巻 線 軸 に直 軸 が一 致 した瞬 時 に短 絡 が生 ず る とiuに
含 ま れ る直流 分 が最 も大 き く
な る。 式(5・41)は,u
相 の 短 絡 過 渡 電 流 で あ り,v
相,w
相 は α の 代 りに そ れ ぞ れ α-2π/3お
よ び α+2π/3を 代 入 し た 値 と な る 。 ま た,t=0に
お い て,iu=iv=iw=0あ
る,iu,iv,iwの
る こ と は も ち ろ ん で あ る が,任
交 流 分 を そ れ ぞ れiua,iva,iwaと
直 流 分 をiud,ivd,iwdと
す る と,iua+iva+iwa=0で
す る と,iud+ivd+iwd=0で
意 の 時刻 t にお け あ り,ま
た各 相の
あ る。
〔7 〕 持 続 短 絡 電 流 持 続 短 絡 に は,三 の 計 算 に は,対 (1)対
相 短 絡 の ほ か,線
称 分(symmetrical
称 分 の量 の 定義
間 短 絡,一
component)計
相 短 絡 等 が あ り,こ
対 称 分 計 算 法 は,u,v,w
ベ ク トル ま た は 瞬 時 値 を 対 称 分(零
相 分 ,正
れ らの電 流 や端 子電 位
算 法 が便 利 で あ る。 各 相 の 電 圧,電
相 分 お よ び 逆 相 分)の
流,起
電 力 な どの
量 に 置 換 し て 考 察 す る方
法 で あ る。
(a)起 Eu,Ev,Ewを
電 力 の 対称 分
図5・28を
三 相発 電 機 の電 機 子巻 線 と し,u,v,w 各 相 に起 電力
生 じ て い る と す る 。 これ ら か らつ ぎ の よ う に 定 義 して 得 られ るE0,E1,E2を
起
電 力の 零 相 分,正 相 分 お よび逆 相 分 とい う。
(5・42)
た だ し,
で あ り,a
図5・28三
は 1の 立 方 根 で あ る 。 そ う し て,
相 発 電機 の 起電 力 と電 流
1+a+a2=0,a3=1,a4=a 等 の性 質 が あ る。 一 般 に,三
相 発 電 機 の 起 電 力 は 対 称 三 相 で あ るか ら,三
つ の 起 電 力 の 間 に は,
Ev=a2Eu,Ew=aEu の 関 係 が あ る か ら,
(5・43) とな る。 (b)電
流 の対称 分
次 に,発 電 機 に一般 的 な不 平 衡 電 流Iu,Iv,Iwが
え る。 この電 流 の対 称 分 を そ れぞ れI0,I1お
よびI2と
流 れ る場 合 を考
す る とき,こ れ らは起電 力 と同様
に つ ぎの よ うに 定義 す る。
(5・44)
こ れ ら 対 称 分 電 流I0,I1,I2を
用 い て 各 相 電 流 を 表 せ ば,
(5・45)
とな る。 よ って,各 相 に不 平衝 電 流 が流 れ る と い うこ とは,
各 相 に 同 相 の 電 流I0/√ 3u,v,w お よび
u,v,w
各 相 に そ れ ぞ れI1√3,a2I1√3,aI1/√3の
対 称 三 相電 流
各 相 に 相 順 が 反 対 の 対 称 三 相 電 流I2/√3,aI2/√3,a2I2/√3が
流れ
る と考 え る こ と が で き る 。 (c)端
子電 圧 の対 称 分
相 分 をV0,V1お
よ びV2と
端 子 電 圧Vu,Vv,Vwの
対 称 分 も 同 様 に,零
相 分,正
相 分,逆
す る と,
(5・46)
と定義 す る。 一方,各 相 の端 子 電 圧 は,そ れ ぞれ の 相 の起 電 力か ら電圧 降 下 を 引 い た もの で あ り,電 圧 降 下 を それ ぞ れ υu,υvお よび υwと す れ ば,
(5・47)
で あ り,発
電 機 の 零 相,正
相 お よ び 逆 相 イ ン ピー ダ ン ス を そ れ ぞ れZ0,Z1お
よ びZ2と
れ ば,
(5・48)
と な る 。 よ っ て,端
子 電 圧 の 対 称 分 は,つ
ぎの よ うに な る。
(5・49)
す
とな る。 こ の式 を三 相 同期 発 電機 の端 子 電 圧 に関 す る基 本 式 と い う。 (2)端
子条 件
図5・29の
よ うに,
二,三 の 短絡 状 態 を 考 え,こ れ らの 短 絡 が 起 こ った 場合 の短 絡 電 流,端 子電 位 など を 考 え て み る。
(a)三 相 短 絡
各短 絡 の状 況 に応 じ,式(5・49)の
(b)線 聞 短 絡
基本
式 に代 入 して求 め るの で あ る が,開 放 され た 相 に は電 流 が 流 れ な い 。 ま た,接 地 され た端 子 電 位 は零 とい う よ うに,短 絡 状 況 に 応 じた条 件 が 生 ず る 。 これ を端 子 条 件 と い (c)一 相 短 絡
い,表5・2の
よ うに 整理 で き る。
表5・2の
端 子 条件 の下 に,式(5・49)の
(d)線間 短 絡 接 地 図5・29各
種 短絡
基 本 式 を 解 け ば,各 短 絡 電 流Iu,Iv,Iwお よ び各 相 端子 の 中性 点 に対 す る電 圧Vu,Vv,Vw等
を 表5・2の
表5・2
端 子条 件
表5・3
短 絡 電 流解
よ うに求 め る こ とがで き る。
〔8〕 線 路 充 電 同期 発 電 機 を送 電 線路 に結 ぶ こ とを線 路 充 電 とい う。 線 路 が 無負 荷 で 充 電 時 の電 流 が線 路 の コ ンデ ン サの 充電 電 流 の みで あ る とす れ ば90° の 進 相 電 流 で あ る。 一 方,発 電 機 に お い て は,進 相 電流 によ る電 機 子反 作 用 は磁 化 作 用 で あ り, 直流 励 磁 が 零 で あ って も充 電 時 に端 子 電 圧 が 定格 電 圧 を超 す よ うな 値 に な る こ とが あ る。 こ の現 象 を 発 電 機 の 自己 励磁 といい,危 険 な高 電 圧 を生 じな い よ うに しな けれ ば な らな い。 (1)自
己 励磁 の 成 否
図5・30は,横
軸
に発 電 機 の 進 相電 流 Iを と り,縦 軸 に一 相 の端 子 電 圧 Vを とっ た もの で,線 路 の充 電 特 性 は, 1線 当た りの線 路 の 静電 容 量 を C,周 波数 を f とす れ ば,充 電 電 流 I は,I=2πfCV=ωCV で 表 され る。 これ は 図 の0C1,0C2の
よ うな直
線 で 表 され る。 発 電 機 の充 電 特 性 曲線 は,残 留 磁気 に よ る電 圧E0か
ら出発 す る飽 和 曲線 とな り,線 路 の静
電 容 量 がC1の
とき は,飽 和 曲線 と充 電 特 性曲
線 との 交 点 は Pで あ り,発 電 機 を線 路 に結 べ ば
図5・30自
己励 磁 に よ る電圧 上 昇
自 己励 磁 に よ って P点 まで 端 子 電圧 が 上 昇 す る。 この 間 の状 況 は,自 励 直 流 発 電機 の電 圧 上 昇 と,最 終電 圧 を 求 あ る 図2・18と
似てい
る。 送 電 線 路 が短 か く,C が小 さ けれ ば充 電 特 性 は0C2の
よ うにな り,飽 和 曲線 との交 点 は
低 い 電 圧 の所 に生 じ,この 場 合 は 自己励 磁 に よっ て危 険 な高 電 圧 に至 る こ とは な い。 従 って, 自 己励 磁 が起 こるか 否 か を 見 る に は,飽 和 曲線 の 接線0aと,充
電特 性 曲線 との 傾斜 を 比 べ,
前者 の 傾 斜が 小 さけ れ ば 自 己励 磁が 起 こ らな い こ とに な る。 (2)充
電 特 性 の作 図
る。 あ る進相 電 流 ①
図5・31は
あ る発 電 機 の充 電 時 の 飽 和 曲線 を 求 め る 作 図 で あ
の と きの 発電 機 端 子 電 圧pqを
三 相短 絡 曲線 上O′pに
求 め る には,次 の 手 順 に よ る。
お ける界 磁 電 流 はifで,ifは
め の界 磁 電 流if′ と,漏 れ リア ク タン ス降 下xlI′
電 機 子 反作 用起 磁 力 を 償 うた
を 償 うた め の 界磁 電 流ifxと
に別
け られ る。 ②I′
が90° 進 相 電流 で あれ ば,if′ に 相 当す る起 磁 力 に よ って起 電 力prを
電 圧 はprにxlI′=rqを
加 え たpqで
あ る。
生 じ,端 子
③
I′の値 を い くつ か 選 ん で 同 じ作 図を 繰 り返 せ ば,飽 和 曲 線O″Ecが
(3)充
電容 量 と短 絡 比
図5・31に
得 られ る。
お いて,O′V′ は充 電 電流 に よ る飽 和 曲線 の 接線
で,こ の 接線 上 で 考 え れ ば充 電電 流I′ に おい て 端子 電 圧 V′=p
v′
一 方,同
であ る
。
じI′ に対 す る コ
ン デ ンサ の充 電 電 圧 をV″ と す れ ば,I′=ωCV″
で あ り,
V″>V′ な ら 自己 励磁 は起 こ らな い。 次 に,無 負 荷 飽 和 曲線 と定 格 電 圧Vγ に お ける 飽 和率 を ac /a b
σ とす れ ば,1+σ=
であ
if1
り,ま た 短絡 比 はKs=
で
/i f2
図5・31充
あ る。
電 特性 の 作 図
三 相短 絡 曲 線上 あ る電 機 子 電流I′ に お け る界 磁電 流 はifで,こ 線 上 の 電圧 をV′
とす る と, if
V′=Vγ
×
/if0
ま た,
一方 ,電 流I′ にお け る所 要充 電 電 圧 をV″ /ω V″=I′ C
∴V″>V′
は,次
の よ うに 書 け る 。
とす れ ば,
のifに 対 す るギ ャ ップ
電 圧V″ ら,こ
に お け る 所 要 充 電 容 量 はQc=ωCV″2,ま
た 一 相 の 発 電 機 容 量 はVrIrで
あ るか
れ を Q とお く と,
ま た は,
なお,定 格 電 圧 にお ける充 電 容 量 をQcrと
お けば,
とな る。 す な わ ち,充 電 容量 を 大 とす るに は,短 絡 比 の 大 き い機 械 とす る必 要 が あ る。 〔9〕 構
造
同期 発 電 機 の構 造 は5・1節
で も述 べた よ うに,簡 単 に い え ば,固 定子 側 に 電 機子(鉄 心
お よ び巻 線)が あ り,回 転 子 側 に直 流 励磁 され た 磁 極 が あ る とい うこ とに な るが,こ こで も う少 し同期 機 の 構成 につ い て 調べ る。 な お,直 流 機 の よ うに 固定 子 側 に磁 極,回 転子 側 に電 機子 とい う構 成 もあ るが,こ の形 は ご く小 形 の 同 期 機 に 限 られ る 特殊 の もので あ る。 (1)タ kVAに
ー ビ ン発 電機
及 び,百 万kVAの
3600rpmと
ター ビ ン発電 機 は,一 般 に容 量 が 大 き く数 万kVAか
ら数十 万
もの も造 られ よ うと してい る。 ま た,原 動 機側 の 要求 で3000∼
い う高 速度 で 運 転 され るた め 軸方 向 に 長 く,直 径 が 比較 的 小 さい構 造 で あ るの
が 特 長 で あ る。 ま た,回 転 子 磁 極 は 円筒 磁 極 とす るの が 普 通で あ る。 (a)電
機子
電 機 子鉄 心 は,他 の交 流 機 と同様 に 厚 さ0.35mmま
た は0.5mmの
けい
素 鋼 板(方 向性 鋼 板 を用 い る こ とも あ る)を 成 層 して つ くる。 巻 線 は基 本 的 に は三 相 誘 導機 の 巻線 と同 じで,短 節,二 層,分 布巻 が 用 い られ,個 々 の コ イル は巻 数 一 回 の ものが 多 い。 コ イル 用導 線 は二 重 ガ ラス繊 維 被覆 の もの を用 い,多 数 の素 線 を束 ね て一 コ イル を造 るの で, 交 流 抵 抗 を増 さ な い よ うに素 線 位 置を 交 代 させ る転 位 が 行 わ れ る。 相 間 の結 線 は〓 ま たは多 重 〓 とす る。 (b)回
転子
転 子 は外 径 が 小 さい の で,軸
と鉄 心 とが一 体 構 造 とな って い る もの が あ
り,単 一 鋼 塊 に加 工 して ス ロッ トを つ くり,こ れ に界 磁 コイル を 入 れ る。 小 容 量 の もの で は 軸 は別 に 造 り,150∼200mm厚
の鋼 材 を 重 ね て 界 磁 鉄 心 とす る方 式 もあ る。 界 磁巻 線 は帯
状 導 体 を 用 い,同 心 巻 とす る。 (c)冷
却 方式
冷 却方 式 は間 接冷 却 と直接 冷却 と に分 け られ る。
(ⅰ)間
接冷却
間 接 冷却 は,鉄 心 お よび コ イル に生 ず る熱 を 冷却 媒 体(冷 媒 と もい う)
を 循環 させ る こ とに よ り放 熱 させ る方式 で,冷 媒 に 空気 を用 い るの は小 容 量 機で,タ ー ビン発 電 機 の多 くが,機 内を外 気 と し ゃ断 して,内 部 に水 素 ガ スを 循環 させ る水 素 冷 却 方 式を 用 い る。 水 素 は,そ の密 度が 空 気 の1/10以
下 で,熱 伝 導 率 は空 気 の数 倍 もあ り,冷 媒 と して
優 れ た特 性 を もつ ので,日 本 で は1950年
ごろか ら急速 に水素 冷 却方 式 が 普及 す る よ う
に な った 。水 素 冷却 にす る こ とに よ り,次 の よ うな 利点 が あ る。 ①
高速 度 で 回転 す る回転 子 の風 損 が 空気 冷 却 の場 合 の1/10に
減 り,発 電 機 の効 率
が良 くな る。 ②
冷却 効 果 が大 きい ので,単 位 重 量 当 た りの 出力 が 増加 で きる。
③
気 密 構 造 と し,水 素 だ け を循 環 させ るか ら,塵 や 湿気 な どが入 らず,絶 縁 の劣 化 が少 な く,ま た騒 音 も少 な い な どの利 点 が あ る。
(ⅱ)直
接冷却
電 機子 や界 磁巻 線 の 導体 を 中 空 に して,こ れ に 冷媒 と して水 素 あ る いは
水 を 通 す方 式 を直 接 冷 却 とい う。 間接 冷 却 で は,導 体 に生 じた熱 が 絶 縁物 の 温 度 を上 げ,そ の 表面 を 冷 媒 に よ って冷 す の で あ るが,直 接 冷 却で は導 体 に 生 じた熱 を 直接 冷 媒 に よ って奪 い 去 る ので,冷 却 効 果 が著 し くよ くな り,こ の 方式 を 採 用す る こ とに よ り百万kVA以
上
の発 電 機 の 製作 も可能 とい われ る。 ま た,同 じ容量 の 発電 機 につ い て,間 接 冷 却 と直 接冷 却 とを比 較 す る と,後 者 は発 電 機 を小 形 に で きて,kVA当
た りの 価格 が 低 下 し,発 電所 建
物 まで 小 さ くで きる な ど多 くの 特 長が 発 揮 され る。 図5・32は,直
図5・32直 接 冷 却電 子 コ イル の 断面
接 冷却 機 の電 機 子 コイル の断 面で,素 線 が 中空 に して あ り,こ の部 分
に水 素 ガ ス また は水 を通 す 。 (2)水
車発電機
水 車発 電 機 もタ ー ビ ン発電 機 も電 気 的 な回 路 図で は同 じで あ るが,
前者 は 一 般 に低 速 度で,か つ,立 て 軸で あ るの で構 造 は著 し く異 な る。 (a)回
転速度
水 車 発電 機 の速 度 は,水 車側 に有効 落 差 で 決ま る最適 速 度 があ り,そ の
速 度 に 近 い 同期 速度 が得 られ る よ うに極 数 が 選 ばれ る。 極 数 と同期 速 度 の関 係 は表5・4の よ うに な る。 な お,こ の 表 の極 数 はJIS規 (b)立
て 軸 と横 軸
で あ る。 図5・33は
格 化 され て い る。
水車 発 電機 の 多 くは立 て 軸 で あ り,記 録 な大 容量 機 はす べ て 立 て軸
代 表 的配 置 を示 す 図 で,下 か ら水 車,発 電 機,ス ラス ト軸 受,励 磁機 の
図5・33水
車発 電 機 の構 成(23000kVA,11000V,20極,50Hz)
順 に な って い る。 図 中 で 固定 子鉄 心 の 内径 D,鉄 心 の積 み厚 lは,発 電 機全 体 の大 き さを左 右 す る寸 法 で,い
くつ か の例 を示 せ ば,表5・5の
通 りで あ る。 一般 に,極 数 の多 い もの は
Dが 大 き く,l が 小 さい。 表5・4同
期 速 度
表5・5同
期 発 電 機 の定 格 と寸 法の 例 (*3だ けが ター ビ ン発電 機)
ス ラス ト軸 受 は,発 電 機 の 回 転子,水 車 の ラ ンナお よび主 軸 の全 重量 を 支え なが ら回 転 す る重 要 な 軸受 けで あ る。近 年 ス ラス ト軸 受 の下 部 に お くか さ形 の もの が造 られ るが,こ れ は発 電 機全 体 の高 さ,従 って 建物 の高 さを低 くで き る特 長が あ る。 冷 却 方式 は,固 定 子 鉄心 の 外周 に風 道 をつ くり,風 道 内の 数箇 所 に冷 水 を通 した空気 冷 却 器 をお く全 閉 形 が多 い 。 横 軸 形 は中 容量 以 下 で や や高 速 の発 電 機 に適 用 され る。 電 気的 には基 本 的 に同 じで あ る。 (c)固
定子
固 定子 は,前 記 の よ うに一 般 に 直径 が 大 き く,軸 方 向 長 さが短 い,こ れ は
低 速 度 の も のが 多 い か らで あ って,タ ー ビ ン発 電 機 の よ うに高 速 度 の も のは 直径 が 小 さ く軸 方 向 長 さ が長 い。 鉄 心 はS12,S14等 い え るが,多
の けい素 鋼 板を 成 層 して つ くる。 巻 線 は三 相誘 導 機 の巻 線 と同 じと
くは 1コイル の 巻数 1回で つ くられ る。ま た,発 電 機 で は起 電 力波 形 を よ くす
る た めに 1極一 相 当た りの ス ロ ッ ト数が 整 数で な い 分数 ス ロ ッ トが 多 く採 用 され る。 (d)回
転子
あ る。 図5・34は
水車発 電 機 の ター ビン発 電機 と異 な る点 の 一つ に 回転 子 磁 極構 造 の相 違 が 水 車発 電 機 の磁 極 の例 で,素 板 の 厚 さ1.6∼3.2mmの
鋼板 を 積 み重 ね て
磁 極 鉄 心 と し,こ れ に 図の よ うに界磁 コ イル を巻 く,磁 極 表 面 には か ご形 巻線 が 設 け られ る。 これ を 制 動 巻線(damper
winding,amortisseur
winding)と
い う。 この巻 線 を お くこと に
よ り,同 期 速 度 を 中心 に 速度 が 動 揺す る現象 〔これ を乱 調(hunting)と
い う〕を お さえ るの
で制 動 とい う名 が生 じた もので あ る。 安 定に 同期 速 度で 回 転 して い る間 は制 動巻 線 は何 の 役 目も しな い。 (e)励
磁 機 励磁 機 は立 て 軸 で は主 機 の上 部 に
お き,主 軸 に直結 され た 直流 発 電 機が 従 来の 典 型 的 な方 式 で あ った が,最 近 は,図5・6の 発電 機 と して,シ
よ うに 交流
リコ ン整流 器 も回転 子 上 にお く形
式 が次 第 に大 容 量機 に も採用 され る よ うに な って い る。 (3) 揚 水 発電 所 用 同期 発 電 機 近年,揚 水 発 電 の方式 で 大規 模 の もの が建 設 され るが,揚 水時 と 発 電 時 とで は 回転 方 向 を変 え な くては な らず,ま た 揚 水 時 には 主機 を 同期 電 動 機 と して運 転す る ので あ
図5・34
水車 発 電 機 の 磁極 例
るか ら,始 動法 が 問題 に なる。 前 記 の制 動 巻線 を か ご形二 次 とす る誘 導 電 動機 と して 始 動す る場合 が 多 いが,始 動 トル クを大 にす る にはか ご形 導 体 の抵 抗 が あ る程 度大 きい ほ うが よい (トル クの比 例 推移 の原 理 に よ る)。 しか し,高 抵 抗 か ご形 は 同期 運 転時 の 制 動巻 線 と して の効 果 は 減少 す る 。 揚水 時 に速 度 を上 げ る と揚水 ポ ンプの 効 率が よ くな るので,二 速 度 同期 機 とす る こ とが あ る。例 え ば,発 電 機 と して は14極,電
動 機運 転 の と きは12極 の よ うに 極数 を 切 り換 え る の
で あ るが,突 極 構造 の極 数 を切 り換 え るた めの 磁極 構 造 は不 規則,複 雑 な もの に な る。 5・2
三 相 同期 電 動機
三相 同期 電 動 機 は,三 相 同期 発 電機 の 入 力,出 力 の関係 が逆 に な った状 態 で あ り,こ の点 は 直流 電 動機 と直流 発 電 機 の関 係 に似 て い る。 三相 同期 発 電 機 を定 電圧 の母 線 に結 ん だ ま ま機 械的 入力 を零 にす る と,回 転子 速 度 は 同期 速 度 のま ま で無 負荷 運 転 を つづ け る。 さ らに,軸 に機 械 的負 荷 をか け ると 回転子 磁 極 の 同期 位 置は 遅 れ るが,同 期 速 度 は保 た れ,三 相 母線 か ら電 力 を取 り入 れ 電動 機 と して動 作 す るよ うに な る。 これ が三 相 同期 電 動 機 の状 態 で あ る。 三相 誘導 電 動機 も三 相電 源 に 結 んで 運転 され るが,誘 導 機 に は数 千kWま
たは それ以上
の大 形 機 もあ る。 多 くは 中形,小 形 機 で あ る。 これ に対 し,三 相 同 期電 動 機 は小 形 機 は少 な く,中 形,大 形 機 の もの が多 い 。 これ は 次 の項 に述 べ る理 由に よ る もの で あ る。
〔1〕 回路 と特 長 この電 動 機 の 回路 は,図5・35の
よ うに表 され,こ れ は 三相 同 期 発電 機 の 回路 と同 じで あ
る。電 機 子 回 路 を 三 相電 源 に,界 磁 回路 を 直 流電 源 に結 ぶ。 この 回 路構 成 で は,後 で 述べ る よ うに始 動 トル クが な い の で,一 般 に磁 極 表 面 に ス ロッ ト を つ く り,こ れ にか ご形 導 体 を入 れ,始 動 時 に は誘 導 電 動 機 と して 動 作 させ,加 速後 に界 磁 電流 を流 し同期 速 度 に入 れ る。 これ を 同 期化 と い う。 同期 化 後 は,速 度 は 完全 に同 期速 度 に保 た れ,負 荷 が変 化 し て も速 度 は 変 わ らな い。 しか し,負 荷 が重 す ぎ ると 同 期 速 度 を保 て な くな り,突 然 停 止す る。 これ を同 期 外 れ と い う。 定 常 運 転 の状 態 で界 磁 電 流 を 変 えれ ば 出力 は変 わ らな い が,電 動 機 の力 率 が変 わ り,電 機 子 電 流 が大 幅 に変 化す る。 界 磁 電 流 を適 切 な値 にす れ ば 力率 は100%と
図5・35三
相 同 期 電 動 機 の回 路
な り,そ の 出力 に お け る電 機 子 電 流 は 最小 に
な る。 力 率100%の
状 態 か ら界 磁電 流 を増 せ ば力 率 は進 み側 に,減
らせ ば 遅 れ 側 に変 わ る。
従 って,三 相 同期 電 動 機 は 三相 誘 導 電動 機 に比 べ る と, ①
回転 子 速 度 が 負 荷 の 軽 重 にか か わ らず 一 定 で,常 に 同期 速 度 であ る。 誘導 機 では,負 荷 が 増す とす べ りが 増 し,速 度 が 低下 して く る。
②
直流 励 磁 の加 減 に よ り力 率 を 自由 に変 え られ る。 この点 は,誘 導 機 で は常 に遅 れ 力率 で あ り,特 に軽 負 荷 に お い て低 力 率 に な るの に比 べ る と大 き な相 違 で あ る。
③
同 期機 は ギ ャ ップが 広 い ので,据 え付 けや保 守が 容 易 で あ る。
等 の 特 長 が あ るが,一 方 つ ぎの よ うな欠 点 も あ る。 ①
直流 励 磁 を要 す るの で,回 転 子(一 般 に磁 極 は 回転 子 側 に あ る)の 構 造 が複 雑 で,電 動 機 の価 格 は誘 導 機 よ り高 価 で あ る。 また,励 磁 のた め の直 流 電 源 を 必 要 とす る。
②
始 動特 性 が 悪 い。 前 記 の よ うに始 動 は,回 転子 に設 けた か ご形 巻 線 に よ り誘 導 電 動 機 と して動 作 させ,加 速 す るの で あ るが,こ の 間 始動 電 流 は定 格 電 流 の数 倍 も流 れ るの に 始 動 トル クは定 格 トル ク程 度 で比 較 的小 さい 。 始 動電 流 を減 らす た め に,電 源 電 圧 を下 げ て 始動 す る場合 は,始 動 トル クは ます ます 小 さ くな り,無 負 荷 に 近 い状 態 で なけ れ ば始 動 で き ない 。
〔2〕 特
性
三 相 同期電 動 機 を最 も簡 単 に画 けば,図5・36の ば,図5・37の
よ う にな る。
(1) 円 筒 磁 極機 のベ ク トル図
図5・36
よ うに な る。 ま た,こ れ を展 開 して示 せ
ま ず,突 極 の 影 響 を無 視 し,円 筒 磁 極 とし て考 え る こ
図5・37
最 も簡 単 に表 した 三 相 同期 電 動 機
と にす る。 図5・37に
同 期 電 動 機の 展 開 図
お い て,電 機 子 u相 の電 流 が 最 大 で あ る瞬 時 を考 え る と,v 相,w 相
の 電流 に よ る磁 束 も総合 して,電 機 子 電 流 に よ って生 ず る回 転 磁束 φa(電 機 子 反 作 用 磁束) は,u 相 の巻 線 軸 上 に あ る。 この磁 束 が 相 順 の 向 き に 同期 速 度 で 回転 す る こと に よ って生 ず る起電 力Ea=-jXaIは
I よ り π/2遅 れ,こ れ を 電 圧 降下 の 扱 い にす れ ば,符 号が 変 わ
り,I よ り π/2進 む こ とに な る。 電 機子 漏 れ リア ク タ ンスに よ る電 圧 降 下jxlIも 下 の 和j(Xa+xl)I=jXsI=同
I よ り π/2進 む か ら,二
つ の 電圧降
期 リア ク タ ンス 降下 も I よ り π/2進 む 。
u相 の電 流 最 大 の 瞬 時 に磁 極 中 心 が,図5・37の
よ うに u相 の巻 線 軸 よ り ζだ け遅 れ た位
置 に あ る とす る と,磁 極 に よ る磁 束 φfが 同期 速 度 で 相 順 の 向 き に回転 す る と きに u相 に生 ず る起 電力Ef(I EfとjxsIの
と逆 の 向 き を正 とす る)は,jXsIよ
り ζ だ け位 相 が遅 れ る。
ベ ク トル和 が u相 に 加 わ る電 源 電 圧 V で な けれ ば な らない か ら,図5・38
の よ うな ベ ク トル 図 が で き る。 た だ し,こ こで は 電 機子 抵 抗 を 無 視 して い る。 (2) 出 力 と トル ク
図5・38の
ベ ク トル 図 よ り,
三 相 分 の 入 力P1は,
(5・50)
図5・38
一 相 の ベ ク トル 図
と な り,一
方, Vcosδ=Ef+XsIcosζ,Vsinδ=XsIsinζ
で あ り,
(5・51) と な る。 電機 子 抵 抗 も損失 も無 視 す れ ば,入 力=出 力 で あ り,同 期 電 動 機 の 出 力P0は,近 似的に
(5・52) で表 され,ト ル クは 出力 と回 転 子 角 速 度 ωsの 比 で あ り,同 期電 動 機 で は,回 転 子 角 速 度 は 同 期 角 速 度 で一 定 で あ り,極 数 を P,周 波 数 を f とす れ ば,
で 表 さ れ る か ら,ト
ル ク T は,
(5・53) とな る。 この 式 で δ は 図5・38に
示 す よ うにEfが
負 荷 角 とい う(発 電 機 の 場合 は,Efが
V よ り遅 れ る角 で,ト ル ク角 ま た は
V よ り進 む 角 δ を負 荷 角 ま た は電 力 角 とい う こと
は前 に述 べ た)。
(a) ζ=0°,Efと (V>Ef)の 力 率)
Iが 同 相
場合(遅
れ
(3) ベ ク トル 図 の変 化 ちEfを
(b) V と Iが 同相(V<Ef) と な る場 合(力 率100%) 図5・39
(c) I が V よ り進 む(V<Ef) 場 合(進 み 力 率)
ベ ク トル 図 の変 化
同期 電 動 機 は,出 力 一定 の と き界 磁電 流 を 変 え れ ば,す な わ
変 えれ ば 力率 が変 わ る こ とは 前 に述 べ た。 図5・39はEfの
て I の位 相 が 変 わ る様 子 を示 した も の で,Efが 変 わ って い く。
大 き さの変 化 に 応 じ
大 き くな るに従 い,力 率角 ψ は進 み 側 に
つ ぎ に,こ
れ ら の ベ ク トル 図 に お け る V,Ef,I
直 し て 書 け ば,つ
等 の 関 係 は,V
を 基 準 ベ ク トル に と り
ぎ の よ う に な る。
V=Ef+jXsI=Efe-jδ+jXsI
(5・54)
(5・55) と な る 。 上 式 の 右 辺 第 1項 は,電 関 係 で あ る。 第 2項 は,そ
圧 と 同 期 リ ア ク タ ン ス だ け で き ま り,出
の 大 き さ がEf/Xs,位
同 相 の 成 分 を 見 る と(Ef/Xs)sinδ
で,こ
トル ク が 一 定 な ら 同 相 成 分 は 一 定 で,こ 図5・40の
相 は δ に 応 じ て 変 わ る が,第
2項 の V と
れ は 出 力 お よ び トル ク に 比 例 す る 。 従 っ て,出 力, の 間Efを
変 え れ ば(ifを
破 線 上 を 移 動 す る 軌 跡 を つ く る 。 そ う し て,ψ=0°(力
図5・40
力 に も励 磁 に も無
l の ベ ク トル の 分解
図5・41
変 え て) ,I の ベ ク トル は 率100%)と
V 曲
な る と き は,
線
(5・56) で あ る か ら,あ い てI=0と
る 出 力P0に
お い て の 最 小 電 流 と な る 。 無 負 荷(P0=O)な
な る 。 ま た,式(5・55)よ
ら , Ef=Vに
お
り,
(5・57) と 書 け る 。 上 式 の 有 効 分 は,定 Efに
出 力 の 場 合,Efを
変 え て もEfsinδ
応 じて δ が 変 化 す る。 第 2項 の 無 効 分 は ,Efcosδ
<Vな
が一定にな る よ うに ら遅 れ 力 率,Efcosδ=V
に お いて 力 率 1,Efcosδ>Vな (4)V曲 5・41の
線
ら進 み 力率 に な る。
定 出力 で励 磁 を変 え る場 合Efの
大 き さとI=oaの
関係 を画 くと,図
よ うに な る。 す な わ ち,あ る出 力一 定 で 運転 し,界 磁電 流 を 次 第 に大 き くす ると I
は い った ん 減少 し,最 低 点 を経 て 再 び大 き くな る。 最 小 電 流 とな る所 は 力 率 1で,こ れ よ りEfが 相 力 率 とな る。 負 荷 が 重 い(P0が
少 な い と き遅 相力 率,Efが
大 きい とき進
大)と き も同 様 な 変化 をす るが,最 小電 流 が軽 負 荷 時 の そ
れ よ り大 き くな る。 こ の曲 線 を 同期 電 動 機 の位 相 特性 曲 線 また は V 曲線(V-curve)と で あ る。 な お,界 磁 電 流ifを
い い,重 要 な 特 性 曲線
横軸 に と って も同様 な曲 線 が 得 られ,こ れ もV曲 線 と い うが,
ifの 大 きい所 で は磁 気 飽和 の影 響 で進 相 側 で は 曲線 の傾 斜 が小 さ くな る。 (5)ブ
ロン デル 線 図
い ま ま で の ベ ク トル 図 や特 性
式 で は 電 機子 抵 抗 を無 視 してい た が,こ れ を 考 慮 し て改 め て ベ ク トル 図 を画 くと,図5・42の
よ う に な る。 この図
か ら入 力 を求 め る と,
図5・42γ1を 無 視 しな い場 合 の ベ ク トル 図
(5・58) 一方
,ベ
ク トル 図 か ら,つ
ぎ の 関 係 も つ く られ る 。
(5・59) 上 式 をIcosζ
お よ びIsinζ
た だ し,
同期 イ ンピー ダ ンスで あ る。
Icosζ,Isinζ
P1= また,銅
に つ い て 解 く と,
を 式(5・58)へ 3V/ Zs
損 をPcと
入 れ て 整 理 す れ ば,
{Efsin(δ-a)+V・sinα}
す れ ば,
(5・60)
(5・61) よ っ て,出
力 は,
(5・62) と な る。 つ ぎ に,図5・43の
よ うに V を基 準 に と
っ て 再 び ベ ク トル 図 を つ く り,ま た V を 底 辺 と し,頂 る。
角2α
の 2等 辺 三 角 形oacを
こ の と きoc=ac=V/(2sina)と
い ま,Efの 下 し,そ
つ く
ベ ク トル 端 か らocに
な る。 垂線を
の 足 を d と す る と,
図5・43ブ
ロ ンデ ル の 作図
(5・63) と な る。 よ って,V
お よびP0一
定 な らcp一
定 で,Efの
変化 に応 じ P点 は式(5・63)
を 半 径 とす る円周 上 を移 動 す る。 この 円 を ブ ロ ンデル(Blondel)の
出 力 円 とい う。
この作 図 は 基 に な っ て い る二等 辺 主 角 形 の斜 辺 の長 さが 電 機 子 抵抗 に反 比 例 す る ので,実 際 の 数 値 を 代 入 して み る と非 常 に細 長 い 三 角形 とな り,実 用 的 で な い。 また,巻 線 温 度 が高 ま り抵 抗 が 増 せ ば,三 角 形 の形 も変 わ ると い う問題 もあ る。 さ らに,cpを も,分 母 にsinα
表す 式(5・63)
す な わ ち電 機子 抵 抗 に 比例 す る項 が あ るの で,わ ず か な抵 抗 の 変 化 がcp
の長 さを 大 き く変 化 させ る とい う点 も問題 であ る。
この よ うに,ブ ロ ンデ ル の 出力 円 は実 際に適 用 して 作 図 し よ う とす ると不 便 な面 が あ るが, 宣性 的 に次 の よ う な事 柄 を 考 え るに は役 に立つ 。 ①
半 径cpは,無
②
∠cap=ψ
負 荷 ではcaに
と な るか ら,P0一
等 し くな り,負 荷 が 増 す に伴 いcpは 定 でEfを
は は じめ大 き く,力 率 が悪 い が,ap線 %,さ
らにEfを
短 くな る。
小 さい 値 か ら次 第 に 増加 させ た場 合,∠cap
がac線
に 重 な る と き ψ=0゜,す な わ ち力 率100
増加 させ れ ば ψ は 進 み側 に変 わ る。
この よ う な変 化 の 間 のap=ZsIの
変 化 を見 れ ば,Efに
対 す る Iの変 化,す
なわち
V 曲線 の 特 性 を ブ ロ ンデ ル の 図 か ら調 べ る こ とが で き る。 ③Efの
ベ ク トル 端 p点 の移 動 で き る範 囲 の限 界 は,
ⅰ)Efの
大 き い側 は,界 磁 電流 を最 大 に した と きに 生ず るEfの
高 々oaの ⅱ)出
値 まで で,こ れ は,
〓1.5倍程 度 で あ る。
力 一 定 のま まEf轍
らす と,ト
2
ルク δが ます ます 大 き くな るが,δ は(π/
-a)
まで が 限 度 で,そ れ以 上 の δ では 運転 で き ない 。 と い う のは 出 力 の式(5・62)に い て, dP0
=3VEf
/ dδ
/ Zs
cos(δ+a)
これ は,δ の 増 分 に対 す る出力 の増 分 を表 す 値 で,同
期 化力 と い う。 この 値 は δ=
(π/2)-α に お い て零 とな り,そ れ 以上 の δに お いて は δ が 増 して もPaの
増加がな
く,同 期 外 れ を起 こす か らで あ る。 ⅲ)pa=ZsIは,I
が定 格 電 流 に お さえ られ れ ば,お よ そZsI 〓V程
らな い(短 絡 比K,≒1と (6)突
度 で な けれ ば な
仮 定 して)。
極 を もつ 同期 電 動 機 の特 性
三相 同期 電 動 機 の多 くは突 極形 磁 極 で あ り,い ま
まで 述 べ た 円 筒磁 極 につ いて の計 算 で は,近 似 的 な 解 し か得 られ な い。 突 極 機 で はEfと
同相 の 電 流Iq(横
軸
電 流)に 対 して は,同 期 リア ク タ ンスが 小 さ く,Efと
位 相 が π12異 な る電 流Id(直
軸 電 流)に 対 して は,同 期 リア クタ ンスが 大 き い ので,そ れ ぞ れ横 軸 お よび 直軸 同 期 リア ク タ ンス(Xqお
よびXd)と
区別 し
て扱 う必 要 が あ る こ とは発 電 機 の 項 で も述
図5・44突
極 機 の 場合 の ペ ク トル図
べ た。 突 極 を もつ同 期 電 動 機 に お いて も,こ の 区別 が 必要 で,ベ ク トル 図 で 示 す と図5・44の うに な る。 この 作 図 で は,I の で,Efを
をEfと
よ
同 相 の成 分,90゜ 異 な る成 分 に 別 け な け れば な らな い
基 準 とし て作 図 して あ る。 この ベ ク トルの 関係 は 下 式 で も表 せ る。 V=(Ef+γ1Iq+XdId)+j(-γ1Id+XqIq)
=Vcosδ+jVsinδ(5・64)
(5・64)
と な るが,簡 単 にす る た め電 機 子 抵 抗 γ1を無 視 す れ ば,上 式 の 実 数部,虚 数 部 を そ れぞ れ 等 しい と お いて , Ef+XdId=VCOSδ
= Voosδ-Ef
∴Id
/ Xd
XqIq=Vsinδ
Vsinδ ∴Iq= / Xq
ベ ク トル 図 よ り パ ワ ー を 求 め る と ,
P0=EfIq+(XdId)xIq-(XqIq)xId
(5・65) 三 相分 のパ ワー は上 式 の 3倍 で,γ1を
無 視 したか ら,上 式 は 入 力 で あ り,ま た 出 力 を も
表 す。 す な わ ち,突 極 を もつ 同期 電 動 機 の 出力 は,円 筒極 機 の 出力 と同 じ式(5・52)の 第 2項 の 出力 が あ る。 第 2項 はV2に
比 例 し,Efに
は無 関係 で あ る。 従 って,第 2項 だ け
で も電 動 機 として 動 作 させ る ことが で き る。 これ を 反作 用 電 動 機(reaction reluctance motor)と
ほか に,
motorま
たは
い う。 反 作 用 電 動 機 は 界 磁巻 線 が な く,突 極構 造 で あれ ば よ く,構 造
は簡 単 で あ るが,大 出力 は 期待 で きず,小 形 機 に のみ この形 が 実 用化 され て い る。 ま た,式(5・65)は,突
極 を もつ 発 電 機 の 出力 の 式(5・36)と
トル ク角 δ の変 化 に 対 す る出 力 の変 化 も,図5・24の
同 じ形 を して い るか ら,
横 軸(電 力角)を
トル ク角 に読 み換
え れ ば,同 図 が そ の ま ま突 極 を もつ 同 期 電 動 機 の 出力 特性 曲線 お よび トル ク特 性 曲 線 と な る。 〔3〕 始
動
法
この章 の は じめ に も述 べ た よ うに,同 期 電動 機 は同 期速 度 に お いて の み トル クを生 ず る機 械 で,始 動 トル クが な い。 この た め に,普 通 は磁 極 表 面 にか ご形巻 線 を 入 れ て お き,始 動 時 は か ご形 誘 導 電 動機 と して 加 速 させ,同 期 速 度 に近 づ い た時 に直 流 励磁 を与 え て 同期 速 度 に入
れ る。 これ を前 記 の よ う に同 期化,ま た は同期 引 き入 れ(pull into synchronism)と
もい う。
同期 引 き入 れ が 成功 す るか ど うか は,直 流 励磁 を 与 え る瞬 時 のす べ り,回 転子 位 置,お よ び 回転 部 分 の慣 性 モ ー メ ン トの大 き さ等 によ って きま るの で,同 期電 動 機 の 始動 は 誘 導電 動 機 の それ よ り煩 わ し い。 (1)始
動 時 の トル ク特 性
同期電 動 機 の始 動 トル クは,か ご形 巻 線 に よ る トル ク,閉
路 され た界 磁 巻 線 回路 に よ る トル クお よ び界磁 鉄 心 内 に生ず る うず電 流 に よ る トル ク等 の総 合 で決 ま る。 (a)か
ご形 巻線 に よ る トル ク
磁極 面 に導 体 数本 ない し10本
程 度 を 入 れ てつ くられた
か ご形 回路 は,磁 極 間 に導 体 が欠 けて い る部 分 が あ る特 殊 なか ご形 回路 で あ るが,大 体 か ご 形 誘 導 電動 機 の トル ク特 性 と同 じと考 え る ことが で き る。黄 銅,け い銅 など の高 抵 抗 か ご形 にす れ ば,ト ル クの比 例 推 移 の原 理 に よ って始 動 トル クは 増す が,加 速 後 のす べ りが大 き く, 同期 引 き入 れ に不 利 とな る。 なお,同 期 化 の後 は,か ご形巻 線 は 乱調(回 転 子 速 度 が 同期 速 度 を 中心 に動 揺 す る現 象)に ブ レー キ をか け る制 動巻 線 として 役立 つ が,こ の 場 合 は,低 抵 抗 か ご形 ほど有 利 であ る。 (b)閉
路 さ れ た界 磁 巻線 に よる トル ク
始 動 時 に界 磁巻 線 は 図5・45の
よ うに放 電 抵抗
を通 じて 閉路 され るが,こ れ は単 相 回路 で,一 次 三相 回路 との 組 み合 わ せ を考 え ると,一 次 三 相,二 次 単相 の電 動 機 とな り,こ の特 性 は非 常 に悪 く,ト ル ク曲線 は 図5・46の 期 速 度 の約1/2で
トル ク零,s<0.5で
よ う に同
い った ん負 の トル ク とな るの で,始 動 時 に不 利 に作
用 す る。 界 磁 を閉 路す る理 由 は,回 転 子 静止 時 に界 磁 端子 を 開放 した ま ま電 機 子 に三 相 電圧 を 加 え る と,界 磁 巻線 端 子 に電 機子 側 の定 格 電 圧 の数 倍 に達 す る高電 圧 を生 じ,界 磁 巻 線 お よび ス リップ リング の絶 縁 を 脅 かす ので,抵 抗 を通 して界 磁 を 閉回 路 につ くれ ば,流 れ る電 流 の た め に高 電 圧 が界 磁 巻 線 の イ ン ピー ダ ンス 降下 の た めに 低下 す る。 放 電 抵抗 とは,高 電 圧 を抑 え るた めの 電流 を流 す抵 抗 と い う 意 味 で あ る。放 電 抵 抗 の値 は 界 磁巻 線 抵 抗 の数 倍 に選 ば れ るが,こ れ を小 に し過 ぎれ ば,高 電 圧は 抑 え られ るが,図5・46(a)の
トル ク Ⅲが大
き くな り,始 動 時 の加 速 を悪 くす る。 (c)う
ず電 流 に よ る トル ク
界 磁 鉄 心は
厚 鋼板 を 積 み重 ね て組 み立 て られ るの で,始 動 時 には そ の 中 に うず電 流 が 流 れ トル クを生
図5・45放
電 抵抗
(a)168kW,60Hz,8
極 同期 電 動 機 の非 同期
(ⅰ)かご形 導体 を抜 い た場 合
トル ク
(ⅱ)かご形 導 体 を入 れ た場 合
(b)3kVA,4P,200V,8.7A,50Hz同 期発 電 機 を電 動 機 と した ときの トル ク (70V,50Hz)(γfは 界 磁 巻 線端 子 に結 ん だ抵 抗) 図5・46同
期 電 動機 の 始動 トル ク
ず るが,こ の トル クは比 較 的小 さ い。 しか し,最 近 塊状 鉄 心 を磁 極 に用 いた電 勤 磯 が つ くら れ るが,こ の 場合 は うず電 流 が 自 由に流 れ 大 き な始 動 トル クを得 られ る。 この特 性 は,高 抵 抗 か ご形 回路 を お いた と きの特 性 に似 て い る。 図5・46(a)は
古 い 文献 に 示 され た もの で,上 述 の 図(a),(b),(c)の
トル クを区
別 して 示 され た 数 少 ない 特性 曲 線 で あ る。 しか し,こ の 曲線 が どの よ うな方 法 で求 め られた
か詳 か で な い。 同図(b)は,小
形 同期 発 電 機 を電 動機 と した場 合 に つ いて 実測 した 曲線 で あ る。 この 機
械 は 特 殊構 造 で,磁 極 面 に 配 置 した か ご形 導 体 を取 り外す こ とが で き る。 図5・46(b)の (i)は か ご形 を抜 い た場 合 の トル ク曲線 で,閉 路 され た界 磁 巻線 と,う ず 電 流 に よ る トル ク (γf=∞ の 曲線)の 二 つ を生 じて い る場 合 で あ る。界 磁 端 子 に結 ん だ抵 抗 値 が 曲線 の 形 に大 き く影 響 して い る。 同 図(b)の(ⅱ)は =∞
か ご形 導 体 を入 れ た場 合 で,こ の か ご形 は高 抵 抗 か ご形 に 属 し,γf
に お け る トル ク曲線 がす べ りの増 加 とと もに 大 き くな る一 方 の特 性 で あ る
。
これ らの各 トル クを 総合 して,始 動 トル クは 定格 の100∼150%程 度 の 場 合 は100%以
度 で,極 数 が 多 く低 速
下 の場 合 もあ る。高 抵 抗 か ご形 を備 えた 場合 に200%程
始 動電 流 は,高 抵 抗 か ご形 で は300%,銅
棒 のか ご形 では500∼600%に
度 で あ る。 もな り,大 形機
で は電 圧 を下 げ て始 動 し なけ れ ばな らな い。 (2)始
動法
始動 法 と しては,か ご形 誘 導電 動 機 の始 動 法 の よ うに,次 の よ う な各種
が あ る。 (a)全
電圧 始 動
は じめか ら定 格電 圧 を加 え る方 式 で,始 動 の た め の付 属装 置が 不 要 で
あ り,最 近 数百kW級
ま での もの では,全 電 圧 始動 を す る場 合 が多 くな って い る。 始 動電
流 に従 って始 動kVAが (b)リ
大 き くな る ので,十 分 な電 源 容量 を備 えて お く必 要 が あ る。
ア ク トルお よ び始 動 補 償器 によ る始 動
これ は 始動 時 に電 機 子 に加 え る電 圧 を下
げ る方 法 で あ り,最 近 は リア ク トル始 動 が 多 く用 い られ る。 (c)〓-△
始動
電 機 子巻 線 の結 線 を始 動 時 に〓 結線 に 運 転時 に △結 線 に す る方 法 で あ
るが,適 用 例 は ほ とん どな い 。 (d)低
周 波始 動
これ は 特殊 な例 で,最 近 揚水 発電 所 が 建 設 され るが,揚 水 発 電 で は 同
じ同期 機 が 発電 機 お よ び電 動機 の両様 の 運転 を行 う もの が あ る。 この場 合,同
じ発 電 所 内 の
他 の 同期 機 を発 電 機 と し,こ れ と揚水 をす る ポ ンプを 駆動 す る同期電 動機 とを両 者 が 停止 し て い る うちに電 気 的 に三 相 端子 相 互 間 を結 ぶ,両 者 と も励 磁 を して お き原 動機(水 車)に よ って発 電 機 側 を始動 させ れ ば,低 速 度(す な わ ち低周 波)時 か ら両 機 は同期 化 し,水 車 速 度 上 昇 と同 じ歩調 で ポ ンプ側 の同 期 電動 機 も加速 し,定 格 速 度,定 格電 圧 に な った 所 で,両 機 を電 力 系統 に結 ぶ,そ の後 に発電 機側 を 系統 か ら切 り離 す 。 この手 順 に よ れば,系 統 へ の両 機 の接 続 は 三相 の電 圧,位 相 を 系統 側 の そ れ ら と一致 した 瞬時 に行 う よ うにす るか ら,投 入 時 の過 電流 のお そ れは な く安 全 に始 動 を 完了 す る。 (3)同
期 引 き入 れ
始 動時 に回 転子 が 加速 し,す べ り sが小 さ くな った状 態 で直 流 励
磁 を 与 え同 期 速 度 に 引 き入 れ る ことは,前 に も述べ たが,こ の場合 重 負 荷 で あ った り,回 転 部 分 の慣 性 モ ー メ ン トが 大 きい 場合 は,同 期 化 は難 し くな る。 同期 化 で き る最 大負 荷 トル ク を同 期 引 き入 れ トル ク とい う。 ま た,定 格周 波 数,定 格 電 圧 でにか っ,す べ り5%に
お いて 生 ず る トル クを公 称 引 き入 れ ト
ル ク とい う。 文 献*に よれ ば,同 期 化 で き るた め には,す べ り sは次 の 値 よ り小 さ くな って い な けれ ば な らな い と い う。
(5・66) =3VEf
こ こ に,Pm
×10-3〔kW〕
/ Xd
GD2=回
転 部 分 の は ず み車 効 果
f=周
波数
Ns=同 同 じ文 献 に,次
… … 反 作 用 出 力 の 項 を 除 く最 大 出 力
〔kg・m2〕
〔Hz〕
期 速度
〔rpm〕
の 数 値 が 紹 介 さ れ て い る。
電 動 機 定 格2300V,10極,60Hz,120kW,720rpm Xd=21.4〔
Ω〕
GD2=465.7〔kg・m2〕 こ の 電 動 機 を 定 格 の1/2の1150Vで
始 動 し,か
つ,直
流 励 磁 もEf=1150/√/3〔V〕
を
生 ず る よ う な 電 流 を 流 す と し て,
この とき 同期 引 き入 れ可 能 な最大 の すべ りは,
す な わ ち,s=1.58〔 (4)脱
% 〕 ま で 加 速 し な い と 同 期 引 き入 れ が で き な い と い う こ と に な る。
出 トル ク
脱 出 トル ク と は,定
き る 最 大 負 荷 トル ク を い い,負 脱 出 トル ク と な る トル ク角 *The
Pulling
Transactions
into Step June 1931
常運 転 して い る同期 電 動 機 が同 期速 度 を維 持 で
荷 が これ よ り増 す と 回 転 子 は 同 期 は ず れ を 起 こ し 停 止 す る 。
δmは,円
筒 磁 極 機 で は ほ ぼ90°(電
of a Salient-Pole Synchronous
Motor
気 角)で
あ る が,突
H .E.Edgerton
極機で
et al IEEE
は50∼70°
と な る。
突 極 機 の トル ク T は,式(5・65)の
出 力 を 同 期 角 速 度4πf/Pで
割 っ た 値 で あ り,
(5・67)
た だ し, Pml=
3VE
3(Xd-Xq)Vz /ZXdXq
,Pm2=
/ Xd
で 与 え られ るか ら,こ の Tの 最大 は,
と お い て, Pm1cosδ+2Pm2(2cos2δ-1)=4Pm2cos2δ+Pmlcosδ-2Pm2=0 こ れ よ りcosδ
を 求 め る と,
(5・68) と な る よ う な δ=δmで
T は 最 大,す
なわ ち
脱 出 トル ク と な る 。 δmの 値 を 種 々 なPm2/Pm1の
値 に つ いて 求
め て み る と,図5・47(a)の
よ うに な る。 (a)
そ う し て,
(5・69) で あ り,E/Vに なXd/Xqの (b)の
対 す るPm2/Pm1の
値 に つ い て 計 算 す れ ば,同
約66°
図
よ うに な る。
同 図 よ り,Xd/Xq=1.6の V=1と
値を種々
電 動 機 で はE/
(b)
な る よ う な 直 流 励 磁 に お い て,δmは と な る。 図5・47脱
出 トル クを 生ず る トル ク角
5・3同
期 発 電機 の 並 列運転
三相 同 期発 電 機 は 単 独 で運 転 され る ことは 少 な く,電 力 系 統 に並 列 に結 ばれ,各 発 電機 は 系統 に 向 か って 有 効 お よび無 効電 力 を供 給 して い る。 しか し,必 要 に応 じ系統 に並 列 に接 続す る操作 また は系 統 か ら切 り離す 操 作 は常 に行 われ る。 これ らの指 令 は 系統 の中 枢 か ら発 せ られ,所 定 の時 間 帯 に所 定 の 有効 お よび無 効 電力 を 差る。 これ らの操 作 に は,単 独 運転 とは異 な る多 くの 問題 を 含 んで い る。 多 くの発 電 機 が既 に並 列 に 結 ばれ た状 態 は,各 発電 機 の 容 量 を総 合 した 大 発電 機 とみ る こ とが で き,そ の 端子(母 線)の 電 圧 も周波 数 も確 定 してい て,新 た に 発電 機 が 並列 に 結 ばれ 嚢統 に 向か って 電 流 を流 して も,母 線 電 圧 の大 き さや周 波 数が 変 動 す る こ とは ない 。 この よ うな母 線 を無 限 大 母 線(infinity bus-bar)と い う。 並 列 運転 の問 題 を 考 え るに は,無 限大 母 線 へ新 た に あ る発 電 機 を並 列 に加 え ると い う場 合 が 考 えや す い の で,ま ず この 問題 に つ いて 検討 す る。 〔1〕 並 列 投 入
並列運転の最初の問題は安全 に並列 に結 ぶ 方 法 で あ る。 単 に主 回路 を 閉 じる と過電 流
過 トル クを生 じて危 険 で あ る。
図5・48に
お い て,R,S,T
を無 限大 母
線 と し,u, V,W を並 列 に投 入 しよ うとす る発電 機 端 子 とす る。 Kを 閉 じれ ば並 列 に 結 ばれ るが,こ の際 には 母線 側,発 電 機 側 の ①
電 圧 の 大 き さ の一 致
②
周 波 数 の一 致
③
電 圧位 相 の一 致
図5・48同
期 検 定燈
を 確認 す る必 要 が あ る。 相 回転 も両 側 が同 じで な けれ ば な らないが,こ れ は発電 機 据 え付 け時 に 確定 して い るか ら, 投入 ご とに確 認 す る必 要 は ない 。 上記 の 条 件 の うち,①
は電 圧 計 に め って,②,③
同期 検定 装 置の 最 も簡 単 な ものは,図5・48に
は 同期 検 定装 置に よ って 調 べ る。 記入 した 3個 の電 球L1,L2,L3で
この電 球 群 は両 側 の 電 圧 の差 で 点燈 し,電 圧 の 大 き さが等 しい とき,
あ る。
①
両 側 の周 波 数 が異 なれ ば,差 の 周波 数 で点 滅す る。 発電 機 側 の 周波 数 が母 線 側 よ り高 い か,低 いか に よ って点 滅 の順序 が 逆 に な る。
②
周 波数 が 一 致 す れ ば,各 電 球 は点 滅 せず 一定 の明 るさ を続 け る。
③
位 相 も一 致 すれ ば,L1が
消 え,L2,L3は
同 じ明 るさ にな る。
この と き に Kを投 入 す れ ば,電 流が 流 れず, 従 って,電 力 の 移 動 も起 こる こ とは な く,最 も安全 に並 列 に投 入 す る ことが で き る。 この よ うに,両 側 の 電 圧位 相,周 波 数 が一致 した こと を調 べ る操 作 を 同期 検 定 とい う。 現在 広 く用 い られて い る同期 検 定装 置は指 針形 の もの で,こ れ は周 波 数 の差 に比 例 した速 度 で指 針 が 回転 し,そ の 回転 方 向 はSG側
の 周波 数 が母 線 側 よ り高 い か低 いか で異 な る。 指
針 が上 向 きに な った瞬 時 が位 相 が合 った と きで,こ の と き にK を 閉 じれ ば よい 。 〔2〕 無 効横 流 と有 効横 流 同期 検 定 を行 い K を投 入 した だ け では,SGは
母 線 へ 電 力 を送 る こと は ない の で,次 の よ
うな操 作 を行 った場 合 を考 え る。 (1)SGの
直流 励 磁 を 増 した 場 合
並列 投 入時 には,両 側 の対 応 す る相 の電 圧 の 位相,
大 き さが 等 しいが,励 磁 を増 す ことに よ りSG側
の起 電 力 が大 に な り,図
ル 図 の よ うに な る(ここ で は,母 線 側 の R相 とSG側 差Eu-VRの
5・49の
ベク ト
の u相 に注 目す る)。 電 圧 ベ ク トル の
た め に,u 相 に は
で表 され る電 流 が 母 線 へ 向か って流 れ る。 た だ し,XsはSGの
同 期 リア ク タ ンスで,電 機
子 抵 抗 を 無視 す る。 このIuは,ベ
ク トル 図 に示 す よ うに,Euよ
り90゜ 遅 相 の電 流 で,無 効 電 流 であ るか らう
母 線 へ有 効電 力 を 送 る こと には な らな い ので無 効 横 流 と い う。 そ う して,Euの
過 剰 分 を リア クタ ンス 降下 で消 費 して,SGの
端 子 電 圧 が 母 線電 圧 と 等
し くな る こと を強 制 され る。
図 5.49無
効横流
図 5・50有
効横流
(2)SGの
原 動 機入 力 を 増 した場 合
並 列投 入 後直 流 励磁 は そ の ま まに し,SGの
動 機入 力 を 増 して やれ ば,既 に並 列 に入 って い るか らSGの が,回 転 子 の 同期位 置が 進 み,図5・50の じ,こ れ よ り90゜ お くれ たIuが Euの 位 相 がVRよ
VREu
位 相 が進 み,Eu-VRの
電 圧差 を生
流 れ る。
り δ だ け進 ん だ とす ると,SGの
機 と して 考 えた 場 合 は,式(5・35)に P=
よ うにEuの
原
回転 速 度 は同 期 速度 に保 たれ る
出 力(有 効電 力)Peは,円
筒磁 極
よ り,一 相 当 た り
sinδ
/ xs
の 電 力が 母線 へ 向 か って 送 られ る。 この と きの電 流Iuは (3)SGの
主 と し て有 効電 力 を 出す こ とにな るの で,有 効 横流 と い う。
り,SGが
励磁 も入 力 も増 した場 合
この場合 は,図5・51の
よ うな ベ ク トル 図 に な
母 線 へ送 る有 効 お よび無 効 電 力 は,そ れぞ れPe=VRIucosψ
お よPi=VRIu
sinψ で,こ れ らの値 を中央 か らの 指令 に 応 じた 値 に合 わ せ る には,励 磁 お よび入 力 の加 減 に よ り指 定 のPeお
図5・51励
よびPlに
す る ことが で き る。
磁 と入 力 とを 増 した場 合
図5・522
機 の 並列 運 転
〔3〕 2機 の並 列運 転 図5・52の
よ うに,略 同容 量 の 発電 機G1,G2が
あ り,初 め にG1の
み運 転 され,電 圧,
電 流,力 率 が いず れ も定 格 値 に な って いた とす る。 この母 線 は無 限大 母 線 で は な く,電 圧, 周 波 数 は確定 せ ず,両 機 の 励 磁 お よび入 力 の 制御 状 況 に よ って,電 圧 も周波 数 も変 化す る。 G2をG1に
並 列 に結 ぶ に は,5・3節
〔1〕 で述 べ た 同期検 定 が 行 われ な け れば な らな い。
並 列投 入 後 に, (a)G2の
励 磁 を増 した場 合G2の
荷 の無 効電 力 が 変 らな けれ ば,G1の
励磁 増 に よ ってG2か
無 効電 流 が 減 り,力 率 が よ くな り,電 流 も減 る か ら 母
線 電 圧が 上 る。 母線 電 圧 を 一定 に保 つ ため に は,G2の らす 操作 が必 要 で あ る。
ら無効 電流 が流 れ 出 るが,負
励磁 を 増す と と もに,G1の
励 磁を 減
(b)G2の
入 力 を 増 した 場 合
この 場合 は,G1の
有効 電 力 が 減少 し,原 動 機 の速 度 特性
に よ り速度 が 上が り,周 波 数 が 高 くな る。 図5・53は
原 動機 の速 度特 性 を 示す もの で,こ の特 性 は負 荷 増加 と と もに速 度 が下 が る特
性 を もたせ て あ り,図(a)はG2を の で,G1が
有 効電 力P1を
並 列 に入 れ た直 後 の両 機 の原 動 機 の 速度 特 性 を示 す も
負 担 し, G2の 負担P2は
(a)G2を 並 列 に 入 れ た直 後 の両 機 の 速 度特 性 図5・53並
零 であ る。
(b)両 機 の 負 荷分 担 がP1′,P2′ と きの 速度 特 性
の
列 運 転 と原 動 機 の速 度 特性
G2に 負 荷 を分 担 させ るた め に は,そ の原 動機 の速 度特 性 を図 の よ うに上 げ る操 作 と 同 時 に,G1側
は特 性 を下 げ る よ うな操 作 が行 わ れ な けれ ば な らな い。
図 で は速 度 特性 の勾 配 を 同 じに画 いて あ るが,同 異 なれ ば制 御 が煩 わ し くな る。 な お,G1,G2の
じで あ る ことが 望 ま し い こ とで,勾 配 が
容 量 が異 な る とき は,横 軸 は 各機 の % 出力
で画 か れ た とき に,勾 配 が 同 じで あ る こ とが望 ま しい。 〔4〕 安
定
度
同期 発電 機 ま た は 同期電 動 機 が 同期 外 れ を起 こす こ とな く運転 を続 け られ るか どうか の程 度 を安 定度 とい う。 (1)定
態安定度
発 電機 も電 動機 も,定 常 運転 中 に負 荷 が ゆ るや か に増 せ ば,負 荷 角
ま た は トル ク角 が 次第 に増 し て,新 し い負 荷 に対応 した 負荷 に応 じた負 荷 角 に おい て運 転 を 続 け る。 突 極 の影 響 を 無視 す れ ば,出 力 は 負荷 角 δ の正 弦 に比例 す るか ら,δ=90゚ま 加 に よ って増 加 した負 荷 に 対応 で き るが,δ=90゚と
で は δの増
な る と,出 力 が 限 界 に達 し,こ れ以 上 の
出 力が 要 求 され ると,発 電 機 の場 合 は,機 械 的入 力 が過 剰 に な り,同 期 外 れ を起 こ し,回 転 子 が逸 走 し,電 動 機 で は電 気 的入 力 不足 と な り,や は り同 期外 れ を 起 こし,回 転 子 は 減 速 し, 停止 す るに 至 る。 ゆ るや か な負 荷 増 加 に対 し,同 期 外 れ を起 こす こ とな く安定 に運 転 を続 け られ る出力 の 限
度 を定 態 安定 極 限 出 力 とい い,こ れ は 円筒 磁極 機 では,い ま述 べ た よ うに,δ=90゚に
おける
出力 で あ り,突 極 機 では δ=60゚∼70゚に お け る出力 で あ る。 極 限 出 力近 くま で 負荷 を か け る と同期 外 れ 一歩 手 前 で危 険 で あ る。 普通 は,定 格 出 力 に お け る δ は15゜∼20゚で あ り,出 力 に余 裕 を も って 運 転 され るか ら,何 等 かの 原 因 で一 時 的 に 負 荷 が 増 して も同 期 外れ を 起 こす こと は な い。 (2)過
渡安 定 度
負 荷が 急 に 変化 した 場合 に,変 化 前 の 負荷 角 か ら新 しい負 荷 に 対す
る負 荷角 に移 って 同期 外 れ を起 こす こ と な く運 転 を続 け られ るか ど うか の程 度 を過 渡 安定 度 と い う。 円筒 磁 極 の 同期 電 動機 にお いて,負 荷 角(ト ル ク角) δ と出 力 ま たは トル クの 関係 は図5・54の
正 弦 曲線 で
表 され る。 い ま,δ=δ1,出 急 にP2に
力P1で
運転 して い た と し,負 荷 が
増 した とす る と,δ=δ2に 変 らなけ れ ば な
らな いが,こ の間 次 の よ うな振 動 が 起 こる。 ①
負 荷 急変 の直 後 は新 しい負 荷 に 対 し て 出力 が P2-P1だ
け不足 す るか ら,磁 極位 置が 遅 れ て,δ
は次 第 に増 し,δ2の 方 向 に向 か う。 す な わ ち,速 度 が 一 時的 に低 下 し,回 転 部 に 蓄 え られ て い た エ ネル ギ ーが 放 出 され,こ れが 負 荷 へ供 給 され る。 ②
δ=δ2に な った とき,減 速 度 が大 き くな って い るの で,δ の増 加 は更 に進 み,図 の面 積abc=面 積cdeに
な るよ うな δ3まで達 る。 ここで は,新
しい 負 荷 に対 して入 力 過 剰 に な って い るか ら,回 転 子 は 加速 し δ が減 少 す る方 向 へ 向か う。 図5・54過
③
渡 安 定度 の判 定
δ=δ1へ もど ると,再 び入 力 不足 で,δ が 増 し は じめ,結 局 図 のghの
よ うに δ2を 中心 に振 動 し,次 第 に一 定 値 δ2に な る。 この場
合 は,同 期 外 れ に至 らない の で あ るが,負 荷 が 過 度 に増 大 す る と δが一 方 的 に増 えgk 曲線 の よ うに な る と同期 外 れ に至 る。 この よ うな状 態 にな るか ど うか の判定 は,さ き に 述べ た面 積abcと
等 しい面 積cdeの
うか で決 め られ る。
よ うな作 図 が,増 加負 荷 点 に対 し作 図 で き るか ど
5・4特
殊 同期機
こ こで は,特 殊 構 造 の 同期 電動 機 お よび発 電 機 につ い て 簡単 に 述べ る。 〔1〕 誘 導 同期 電 動 機(synchronous
induction motor)
巻 線 形誘 導 機 の よ うに,回 転子 磁 極 は 円 筒形 で,図5・55の
よ うに回 転子 に三 相 巻線 をお
き,始 動 時 に は外 部 に始 動抵 抗 を 入 れ,大 き い始 動 トル クで 始動 す るこ とが で き る。運 転 時 には,同 図(b)の よ うに,励 磁機Exを
入 れ,三 相巻 線 に 直流 励 磁 を入 れ 同期 化 させ る。 普
通 構 造 の 界磁 巻 線 の よ うに巻 数 を 多 くで きな いか ら,低 電 圧,大 電 流 の励 磁源 が必 要 に な る。
(a)始 動 時 (b)運 転 時 図5・65誘
導 同期 電動 機
誘 導 同期 電 動 機 は大 きい始 動 トル クを 要 し,高 速 度 かつ 大 容量 機 が 多 く,例 え ば大 形送 風 機 駆 動用,セ メ ン トミル駆 動用 な どに用 い られ る。 〔2〕 超 同期 電 動機(supersynchronous
motor)
同 期電 動 機 の始 動 トル クは,磁 極 表 面 に お くか ご形 巻 線 に よ って誘 導 電動 機 と しての トル クを生 じさせ るの で あ るが,十 分 な トル ク を期待 で きな い。 超 同期 電 動 機 は,固 定 子 も回転 で き る よ うに二 重 軸受 に して お き,始 動時 には 固定 子 を 自 由 に して お けば,電 源 を入 れ るとか ご形 巻 線 に よ る トル クで,固 定 子 は 回転 子 の 正規 の 回 転 方 向 と反 対 に加速 をは じめ る(回転 子 には負 荷 が 結合 され て い るの で始 動 しな い)。 この と き に必 要 な トル クは,固 定 子 を 駆動 させ るに足 るだ けあれ ば よ く,負 荷 トル クの 大 小 に は無 関 係 で あ る。 固定子 が 同期 速度 近 くま で加 速 した と き直流 励 磁 を与 え 同期 化 させ る。 次 に,固 定 子 に制 動 を か け減速 させ る と,既 に同期 化 して い るか ら,回 転 子 は 同 期電 動 機 と して の トル クに よ って 始動 す る。 この と き生 じ得 る トル クは,同 期電 動 機 と して の最 大 ト ル クまで 出 せ るの で非 常 に大 きい 。 固定 子 を 停止 に至 らせ れ ば,回 転 子 は同 期 速度 にな って 始 動操 作 を終 わ る。 この方 式 は,固 定子 が 回転 で き る構造 に す るこ と,お よび 固定 子 の制 動 機構 も必 要 で あ る
の で高 価 で あ り,ま た 高速 度 機 には 不適 当で あ る。 〔3〕 塊状 磁 極 鉄 心 を もつ 同期 電 動機 磁 極 鉄 心 を鋳 鋼 また は鍛 鋼 の 塊状 材 料 に加 工 して つ く り,か ご形 巻線 を 設 け ない 構造 と し た もの で あ る。 始 動 時 に は塊 状 鉄心 内に流 れ る うず 電 流 に よ って トル クを 生 ず る。特 性 は 高 抵 抗 か ご形 に近 い゜ 塊 状鉄 心 で あ るた め熱 容 量 が大 きい の で,負 荷 の慣 性 が 大 き く始 動時 間 が 長 び くよ うな用 途 に 適 し,製
鉄所 の主 電 動 機 の よ うに 出 力数 万kWと
い う超 大 形 に も,
この 形 式 が採 用 され る。 〔4〕 反作 用 電 動 機 この 電 動機 につ いて は,5・2節
〔2〕で も述 べた が,原 理 的に は 突 極 を もつ三 相 同 期電 動
機 の 界 磁巻 線 を な くし,か ご形 巻線 を 残 した もの と思 えば よい。 直 流 励磁 が い らず,ス
リッ
プ リ ング もな い ので 回 転子 構 造 は簡 単 で あ る。 励 磁 は 三相 電 源 か ら行 われ るの で,三 相 誘 導 機 の よ うに 励磁 の た め に無 効 電力 を 要 し,運 転 時 の 力率 が 悪 く,大 形機 に は適 さな いの で,数kW以 同 期 速 度時 の トル クは,式(5・65)の
下 の小 形 に 限 られ る。
第 2項 に よ って生 ず るの で,直 軸 と横軸 の 同期 リア
ク タ ンスの相 違 が 大 きい ほ ど大 き い トル クを得 られ る。 始 動 時 は,か ご形 巻 線 に よ って誘 導 機 と して の トル クに よ って 加 速す る。 始動 電 流 が大 き く定 格電 流 の 数 倍 な い し十 倍 に も達 す る。 電 源 周波 数 を変 え れ ば,周 波 数 に正 確 に比 例 した 速 度 で回 転 し,ま た多 数 の電 動 機 を完 全 に 同 じ速 度 とす る制 御 もで き る。 電源 を 単相 に し,コ ンデ ンサ ラン形 単相 誘導 電 動 機 の よ う に,主 巻線 と始動 巻 線 と をお き, コ ンデ ンサ分 相 式 にす れば 単相 反 作 用電 動 機 に な る。 単相 機 は100W以
下 に多 く ,同 期速
度 で 回転 す る こ とを要 す る所 に使 わ れ る。 〔5〕 永 外 磁 石 同期 電 動 機 反作 用 電 動 機 の 回転 子 内 部 に永 久磁 石 を入 れ た もの で,始 動 はか ご形巻 線 に よる トル クで 加速 し,自 ら同期 化 し,同 期 速 度 で 回転 を 続 け る電 動機 で,永 久 磁 石 が あ る ため反 作 用電 動 機 よ り力 率 が よ く,90%に 数kW以
達す る もの もあ る。
下 の 小形 機 に限 られ るが,周 波 数一 定 な ら速 度 も完 全 に一 定 で,電
圧 の 変動 は
脱 出 トル クに は影 響 す るが,速 度 に は無 関係 であ る。 電 源 周波 数 f を変 えれ ば,速 度 は fに 完 全 に比 例 し,グ ル ープ 運転 に適 し,紡 織 機 械 や,定 速 度 を要 す る一般 用 途 に用 い られ る。 〔6〕 ヒス テ リシ ス竃 動 機(hysteresis 高 々20W程
motor)
度 の 小 出 力 の電 動機 に用 い られ,ト ル クに脈 動 分 が な い,従 って騒 音 がな い
こ とを特 長 とす る電動 機 であ る。 単 相 機 も三 相 機 もあ るが,小 形 な ので 単 相 が多 く,コ ンデ ンサ ラン形単 相 誘導 機 の よ うに, 主 巻線 と補 助 巻 線 と コ ンデ ンサで 回転 磁 界 をつ くる方 式 が 多 い。 一方,く ま取 りコイ ル式 の もの もあ る。 回転 子 の外 周 は ス ロ ッ トが 全 くな い平 滑 に仕 上 げ た ヒステ リシ ス リング(円 筒)を お く。 一 次 に電 圧 が 加 え られ れ ば,リ ングの ヒス テ リシス損 失 に よる トル クで始 動 し,ほ ぼ一 定 ト ル クを生 じな が ら同期 速 度 に達 して これ を維 持 す る。 この電 動 機 は テ ー プ レコ ーダ,フ ォノ モ ー タ,電 気時 計,計 測 機器 な ど に用 い られ る。 〔7〕 同 期 調 相機(synchronous
phase modifier)
同期 電 動 機 を無 負 荷 で運 転 し,電 力系 統 の 無 効電 力 の 制御 を す るた め に設 け られ る もの で あ る。 主 要 送電 線 の受 電 端 変電 所 にお く例 が 多 か った が,最 近 は製 鉄 所 内 に もお かれ る。 受 電 端 変 電所 の場 合 は,変 電 所 主変 圧 器 の 三 次側 に結 び,線 路 の力 率 を制 御 し,二 次 側 の 負 荷 の 変化 に伴 う送電 線 路 の電 圧 降下 を制 御 し,受 電 端電 圧 を 一定 に保つ 。 製 鉄所 の 場合 は, 最 近 所 内 に 静止 レオ ナ ー ドの電 源 など に大 規模 な サ イ リス タ回 路 がお か れ,大 き な無 効電 力 を 必 要 とす るた め に,そ の 供給 源 として,ま た 大 形 ア ー ク炉 に並 列 に調 相 機 を お き,ア ー ク 電 流 の 変動 に伴 う電 圧 フ リッカを抑 制 す るた め の無 効電 力 源 とす る もの もあ る。 同期 調 相 機 は一 般 に 容量 が 大 き く,数 万kVA以
上 が普 通 で あ る。 軸 は横 軸 で,水 素冷 却
方 式 が用 い られ る。 始 動 方 式 は,誘 導 同 期電 動 機方 式,始 動 巻 線 に よ る方 式,始 動 用電 動 機 を 直結 す る方 式 な ど が用 い られ る。 〔8〕 同 期変 流 機(synchronous
converter)
回転 変 流機 と もいい,交 流 側か らみれ ば回 転電 機 子 形 の 同期 電 動機 で,こ の電 機子 は直流 発 電 機 の 電 機子 で もあ り,出 力 側 は直 流発 電 機 で あ る。 回転 機 で あ るが,軸 負 荷 は な い。 目 的 は交 流電 力 を直 流 電 力 に変 え る もの で,直 流電 気 鉄 道 の電 源 ま たは 電 気化 学 工場 の電 源 と し て用 い られ たが,新 設 され た の は1940年
頃 ま でで,以 後 水 銀 整流 器 に,さ らに最 近 シ リ
コ ン整 流 器 に代 わ って い る。 しか し,過 去 に設 置 され た 鉄道 用 の 同期 変 流機 が 現在 で も運転 され て い る。 〔9〕 無 整 流 子 電 動機(commutatorless
motor)
直 流電 動 機 は 自由 に速 度 制御 が で き る点 は交 流 電 動 機 よ りす ぐれて い るが,整 流 子 と ブラ シを も って い るた め に保 守上 難 点 が あ る。 無整 流 子 電動 機 は 交流 電 動 機 の速 度 を 自由 に変 え るた め に考 え られ た もの で,本 体 は 三相 同 期電 動 機 で あ る゜ 図5・56は
直 流 無 整流 子電 動機
の 回路 図 で,三 相 同期 電 動 機 と ブ リッ ジ 結 線 に され た サ イ リス タお よび回 転 子軸 端 に取 り付 け られ た分 配 器 とか ら な る。 サ イ リス タ回 路 の直 流 端子+,-に
直
流 電 圧 を加 え,こ れ を サ イ リス タ 1,2, … …6 を通 して 電 機 子巻 線 に 端子 u,v, w へ交 互 に加 え る よ うにす る。界 磁 巻線 に は別 に直 流 励 磁 を して お く。 サ イ リス タが 点 弧 さ れ る 順 序 は,図 5・57の
よ うに分 配 器 に よ ってつ くられ 図5・56直
流 無 整 流子 電 動 機
る信号 電圧 vg1, vg2,… … が 各 サ イ リス タ 1,2,…… に加 え られ る こ と に よ っ て 決 め られ,電 機子 巻 線 の 電 流 は,同 図 のiu,iv,iwの
よ うな方 形 波 に近 い 形 で
流 れ る。 このよ うな動 作 は,三 枚 の 整流 子 片 と 二 つ の ブ ラシを もつ 直流 機 の 電機 子 に 類 似 し,直 流 端 子 に 加 え る電 圧 の加 減 ま た は直 流 励磁 の加 減 に よって 直 流電 動 機 の よ うな特性 が 得 られ る。 普 通 構造 の 三 相 同期 電 動 機 で は,直 流 励 磁 を す るた め に ス リップ リング と これ
図5・57直
流 無 整 流子 電 動 機 の 電機 子 電 流
に接 触す る ブ ラシ とが 必 要 で あ るが,こ れ ら もな くす た め に無 整 流 子 電動 機 で は 図5・58の
よ うな ク ロー(claw… 爪)ポ
ール 形 を用 いた もの が あ る。 こ の 場合 は,界 磁巻 線 も図5・59の
よ う に固定 側
に お くことが で き,整 流 子,ス
リップ リ
ング,ブ ラシの い ず れ も用 い な い構 造 に す る こと が で き,保 守が 容 易 に な る。 図5・56の
形 で は直 流 電 源 を必 要 とす
図5・58ク
ロー形 磁 極
図5・59ク
ロ ーポ ール 形 構造 略 図
る が,こ れ を交 流 電 源 か らサ イ リス タを通 して 整流 して くる よ うにす れ ば,定 電 圧交 流 か ら 可変 直流 電 圧 を得 られ るの で,直 流電 源 が必 要 で あ る こ とが障 害 に な る こ とはな い。 一 方,交 流 無 整流 子 電 動 機 と い うの もあ るが,こ れ は 交 流電 源 か ら直 流 電圧 をつ く るこ と な く,サ イ ク ロ コ ンバ ー タ とい う回路 を つ く り,こ れ を 通 して 電 機子 に交 互 に電 圧 を加 え る よ うに した もの で あ り,直 流 式 よ り数 多 くのサ イ リス タを要 し,回 路 も複 雑 に な るが,得
ら
れ る特性 は直 流式 と相 似 して い る゜ 無 整流 子 電 動 機 は サ イ リス タ素 子 の発 達 に よ り考案 され た もの で,直 流 機 の よ うに火 花 を 生 ず る おそ れ が な い ので,環 境 の 悪 い場 所 にお い て も使 用 で き る可 変 速 度 電動 機 とし て脚 光 を 浴 びて お り,小 は数kWの
ものか ら1000kW以
上 の大 形 機 もつ く られ て い る。
〔10〕 高 周 波 発 電機 150Hzな
い し20000Hzの
正 弦 波交 流
電 圧 を 回転 機 に よ って発 生 させ る発電 機 と して は,回 転 子 に誘 導 子(inductor)と い う特殊 構 造 の 鉄 心 を お き,こ れ を高 速 度 で 原動 機 で駆 動 す る誘 導 子形 といわ れ る方 式 が用 い られ る。 この発 電 機 の 略 図 を 図5・60(a)に
(a)誘
導 子形 発 電 機
示 す 。 固定 子 側 に電 機 子 お よ び界 磁巻 線 が おか れ,主 磁 束 は 図 中 の破線 の よ うに 通 る。 回転 子 側 の 誘導 子 は同 図(b)の よ うに鉄 心 の表 面 に ス ロ ッ トを切 った も の で,巻 線 は な い。 電 機子 コ イル軸 と誘
(b)誘 図5・60誘
導
子
導 子形 発 電 機
導 子 の歯 の 中心 とが一 致 した と き,そ の コ イル の鎖 交磁 束 が 増 し,コ イル 軸 と,ス ロ ッ トの 中心 とが 一致 した と き鎖 交磁 束 が 減 る。 この よ うな 鎖交 磁 束 の変 化 に よ って電 機 子 コイル に 起 電 力 を生 ず る。 回 転 子速 度N〔rpm〕
と起 電力 の周 波 数f〔Hz〕
との 関係 は,誘 導子 の歯 部 一 つ が 1極
対 に 相 当す るか ら,全 周 の 歯 数 を m とす れ ば, N/ f=m×
60
〔Hz〕
とな る。
この よ うな高 周 波発 電 機 は,次 の よ うな もの に用 い られ る。 ①200Hz以
下 の ものは紡 績 工 場 の糸 つむ ぎ用錘(spindle)を
駆動 す る 誘 導電 動 機 の 電
源用 ②500Hz前
後 の もの は高 速 電 動機,誘 導加 熱 な ど の電源 用
③1000Hz以
上 の もの は高 周波 焼 き入 れ,溶 接,溶 解,ろ う付 けな ど の電 源 用
こ の発電 機 は 高周 波 交流 を得 るの が 目的 で あ り,高 速 度 で運 転 され るの で騒 音 が大 き くな る。 最 近 は,サ イ リス タに よ るイ ンバ ー タでkHz級
の交流 をつ くる ことが で き るよ うに な
り,静 止 化 され る例 が 増 して い る。 5・5試
験
法
こ こで,三 相 同期 発電 機 お よび同 期 電動 機 試 験法 の 概要 を述 べ る。 〔1〕 同 期 発電 機 の試験 項 目 三相 同期 発電 機 が完 成 した と き,工 場 内で 次 の よ うな各 試 験 が行 わ れ る。 (1)一
般試験
①
電 機子 お よび界 磁 巻線 の抵 抗測 定
②
無 負荷 飽 和 曲線 の 測定
③
無 負荷 損 の測 定
④
三 相短 絡 特性 試 験
⑤
電 圧 変 動率 の 計 算
⑥
効率の計算
⑦
温 度 試験
⑧
絶 縁抵 抗 測 定
⑨
絶 縁 耐 力試 験
(2) 特殊 試験
これ に属 す る試 験 項 目に, 次 のよ うな試験 が あ る。
①
はず み車効 果GD2の
測定
②
各種 リアク タ ンス お よ び時定 数 の 測定 ( 突発 短 絡試 験 )
③
波形 狂 い率 の測 定
④
そ の他 の試 験
〔2〕 同期 発電 機 の試 験 (1) 一 般 試験 (a) 抵抗 測 定
第 1章 参 照
(b) 無 負荷 飽 和 曲線 の 測 定
図5・12に
示 した飽 和 曲線 を 実 測す る試 験 で あ る。 原 動
機 ( 例 え ば直 流電 動 機 ) に よ り定 格速 度 で 運転 し,界 磁 電流i〓 を零 か ら次第 に 増 加 させ 最 高 値 に達 した後 次第 に減 少 さ せ零 に す る。 この間 , 各i〓 にお け る無負 荷 電 圧 を測 る。i〓を 増 加 させ る場 合 と減 少 させ る場 合 とでは , 同 じi〓に対 して後 者 の電 圧 が僅 か に高 くな るが , 飽 和 曲線 として はi〓 の 増加 時 と減 少時 の平 均 を と る。 図5・61は20000kVAの
水 車 発電 機 に つ いて の実 測例 で あ る*。
この試 験 に おい て は,u,v,w各
端子 間 の電 圧 が平 衡 して い る ことを 確認 す る 必 要 が あ
る。 ま た,i〓 を減 少 させ 零 に した と き の 残 留 電 圧 が定 格 電 圧の1∼2%生
ず るが , この値 も
確 実 に読 み とるべ きで あ る。 原 動機 に よ って 駆 動 で き ない が, 可 変 三相 電 圧 を 得 られ る場合 は ,供 試 機 を 同期 電 動機 と し て 無 負荷 運 転 し, 印 加電 圧 を変 えて , 各電 圧 ご とに 電機 子 電 流が 最 小 に な るよ うにi〓 を加 減 し, そ のi〓 と印 加 電圧 の関 係 を作 図 して も飽 和 曲 線が 得 られ る。 (c) 無負 荷損 の測 定
無 負 荷損 は 無負 荷
鉄 損 と機械 損 の和 で , これ を測 るに は原 動機 に よ り定 格速 度 で運 転 し,飽 和 曲 線測 定 の 場合 の よ うにi〓 を変 えて , 各電 圧 時 の 原動 機 出力 す な わ ち無 負荷 時 の発 電 機入 力を 計 算 に よ って求 *松 田
図5・61無
勲 著 「同期 機 ,水 銀整 流 器 の現 場 試験 」 オ ー ム社
負荷 飽 和 曲 線 と三 相 短 絡特 性 曲線
め ると図5・62の
よ うな 曲線 が得 られ, こ の曲 線 を電 圧 零 まで 延長 し, a点 を求 めれ ばa0
=a′cが 機 械 損 で,ba′ が 定格 電 圧時 の 無負 荷 鉄 損 で あ る。 な お, この曲線 の測定 は供試 機 を電 動 機 と して無 負 荷 運転 し, 印加 電 圧 を変 え, そ の つ ど界 磁 電 流 も変 え て電 機子 電 流 Iが 最 小 とな ると きの 入 力W0を
測 って,W0か
ら電 機子 銅 損 (=3I2r1)を 引い た値 を各 電 圧 に つ い て求 め れ ば, 図5・62の
よ うな 曲
線 を 求 め る こ とが で き る。 (d) 三 相 短 絡 特性 試験
供 試 機 を原 図5・62無
動 機 に よ り定 格 速 度 で駆動 し,界 磁電 流i〓 を 次 第 に増 し, 各i〓 に対 す る三 相 短 絡電 流Isを
負荷 損 の 測定
測 れ ば, 図5・61の0Sの
よ うな三相 短
絡 特 性 曲線 が得 られ る。 これは ほ ぼ直 線 とな る。 三 相 短 絡 特性 と, さ きの 無負 荷 飽和 曲 線 とか ら, つ ぎの 各値 が 求 め られ る。 (5・70)
同期 イ ンピー ダ ンス な お , 未 飽 和 の 同 期 イ ン ピー ダ ンス は ギ ャ ッ プ 線obか
ら,
(5・71)
同 期 イ ン ピ ー ダ ン ス は , 特 に こ とわ ら な い 限 り式 法 で 表 し , こ れ をZsと
(5・70)
書 け ば , 定 格 電 流 をIγ=jeと
のZsで
表 さ れ る 。Zsを
単位
す る とき,
(5・72)
で あ り, こ れ は 短 絡 比Ksの 図5・61の
逆 数 に な る。
例 で は ,cg=11000〔V〕
,dg=1700〔A〕
よ っ て , こ の 発 電 機 の 同 期 イ ン ピ ー ダ ン ス は3.736〔 1.621で
,hf=1520〔A〕
で あるか ら,
Ω 〕, 単 位 法 で は0.617,
短絡 比 は
あ る。
な お , こ の 発 電 機 の 電 機 子 巻 線 抵 抗 は ,75℃
に お い て0.0263〔
Ω〕 で ,Zsに
比 べ て非 常
に 小 さい の で, Zs=同 期 リア クタ ンスXs=直
軸 同 期 リア ク タ ンスXds
とみ て 差支 え な い。 ご く小 容 量機 を 除 いて 電 機子 抵 抗 を無 視 す るこ とが で き る。 た だ し, 損 失 計 算 に お いて電 機 子 銅損 を無視 す る こ とはで きな い。 (e) 電 圧 変 動 率 の計 算5・1節
〔3〕 (6) 参 照
(f) 効率 の計 算 i) 規 約効 率 計 算 にお い て求 め るべ き損 失
規 約 効率 の計 算 には, つ ぎの諸 損失 の値 を 求
め な けれ ば な らな い。 ①
固定 損 … … 鉄損 , 機械 損 (=軸受 摩 擦損 +ブ ラシ摩 擦損 +風損 )
②
直 接 負荷 損 … …電 機子 巻 線 の抵 抗 損
③
励 磁 損 …… 界 磁巻 線 の抵 抗 損 と ブ ラ シ電 気 損 の和
④
漂 遊 負荷 損 … …負 荷 時 に導 体 内お よび鉄 心, 鉄 材 中 に生 ず る損 失 で, ② に含 まれ な い もの 。
ⅱ)温 度 につ いて の規 約
効率 計 算 に おい て は, 巻線 温 度 は基 準 巻線 温 度 にお け る抵 抗 損
を計 算 す る。 ⅲ ) 電圧 , 周 波数
定 格 電 圧, 定 格周 波 数 に お いて の 損失 を求 め る。ⅳ
)損 失 の 測 定 お よび計 算 ①
固定 損 の測 定 … … この 項 の (c) に よ るか, 後 で述 べ る減 速 試験 に よ って も求 め られ る。
②
直 接 負 荷損 …… 基準 巻 線温 度 に お け る電 機 子 巻 線一 相 の抵 抗 を γ1〔Ω〕, 定 格電 流 を Ir〔A〕 とす る とき, 直 接負 荷 損pcは pc=3Iγ2γ1×10-3〔kW〕
③
(5・73)
定 格負 荷 時 の界 磁電 流 をif〔A〕 ,基 準 巻線 温 度 に お け る界磁 巻線 抵 抗 をRf〔 Ω〕 と す ると き, 励磁 損pfは
,
pf=if2Rf×10-3〔kW〕 ④
(5・74)
ブ ラシ電 気損 … … ス リップ リング とブ ラシ の接 触 電 圧 を υcと す る とき,炭 素 ま た は 黒 鉛 ブ ラシで は, υcは 1 リング にっ き1V 金 属黒 鉛 ブ ラシ では,υcは とし,界 磁電 流if〔A〕 pb=2ifυ c 〔W〕 として 求 め る。
1 リング にっ き0.5V
の と きの ブ ラ シ電 気 損pbを
, (5.75)
⑤
漂 遊負 荷 損 … …発 電 機 を定 格速 度 で 運転 して三 相 短 絡 し定 格電 流 を流 した と きの, そ の機 械 の損 失 は, ( イ) 機械 損 , (ロ) 直 接負 荷 損, (ハ) 漂遊 負 荷 損 の和 で あ るか ら, 全 損失 か ら (イ) お よび (ロ)の 損 失 を 引け ば漂 遊 負荷 損 が 求 め られ る。
V) 減速 試 験
慣性 モ ーメ ン トがJ〔kg・㎡
〕 で あ る回転 体 が 角速 度 ω 〔rad/s〕で 回転 し
て い る とき の回 転 エ ネル ギー は,Q=(1/2)Jω2〔J〕で あ る。 回 転 に伴 う損失 がp〔W〕
であ
る とき, この pを 供給 して いれ ば ,ω は一 定 に保 た れ るが ,供 給 が絶 たれ れ ば減速 を は じめ, 回 転 エ ネル ギ ーは 損 失 のた め に消 費 され , 次第 に速度 が 下 る。 減 速 の 速 さ は, エネ ル ギ ー消費 の速 さ (=損失 ) に よ って 決 り, (5・76)
とな る。 い ま , J の 代 り に は ず み 車 効 果GD2=4Jを
用 い , ま た ω の 代 りにN〔rpm〕
を用 い て
表 せば ,
(5・77)
とな るか ら,GD2が
既 知 な ら, あ る速 度N(rpm〕
に お け る減 速 度 dN/dt〔rpm/s〕を 知 れ
ば 損失 pが 求 め られ る。 原動 機 に よ り同期 速 度 ま で加 速 し,定 常状 態 に達 した後t=0に す ると, 直 ちに損 失 値 に応 じ減 速 が始 ま り, 図5・63の
お い て急 に 原動 力 を零 に
よ うな減 速 曲線 が 得 られ る。
曲線 (1)は ,定 格速 度 ,無 励 磁 に して お き, 急 に 入 力 を零 に した 場合 で , 固定 損pconに る。t=0に
応 じ減 速が お こ
お い て,減 速 曲 線 に接 線
を 引 き, その 延 長 が横 軸 と交わ る点 をt1〔s〕
とす れ ば,
[d
N/ dt ]t=0=N/ t1
で あ り,
N2 pcon=2.741×GD2× /t1×
10-6〔kW〕
(5・78)
図5・63減
速 試験
と な る。 次 に,定 格速 度 で ,無 負 荷, 定 格 電圧 とな る よ うに励 磁 を して , 励磁 は その ま ま と して, 急 に 入 力 を 零 に す れ ば , 固 定 損 +無 負 荷 鉄 損 け る 接 線 か ら, 減 速 度N/t2を
(pcon+pi) に 応 じた 減 速 が 起 こ り,t=0に
お
求 め れば ,
pcon+pi=2.741×GD2×N2/t2×10-6〔kW〕
(5・79)
さ ら に , 定 格 速 度 , 三 相 短 絡 と し, 短 絡 電 流 が 定 格 値 に な る よ うに 励 磁 を し,t=0で 入 力 を 零 に す れ ば , 固 定 損 と直 接 負 荷 損 お よび 漂 遊 負 荷 損 (pcon+pc+ps) 起 こ り ,t=0に
お け る減 速 度N/t3を
急に
に 応 じた 減 速 が
求 め れば ,
pcon+pc+ps=2.741×GD2N2/t3×10-6〔kW〕
(5・80)
が 求 め られ る。 ⅵ)効 率 計 算 例
表5・6は
小容 量 三相 同 期発 電 機 の 効率 計 算表 を示す 。 この例 では漂 遊
負 荷 損 を無 視 して い る。 ま た, 図5・64は kVA水
この例 の 効 率 曲線 で あ り, 比較 の た め に8000
車 発 電 機 の 効率 曲線 も示 した。 表5・6効
〔注 〕PO:出 P:全
率 計 算 例(9.375kVA,200V,8極,750rpm,50Hz,27.1A,cosψ=1.0)
力,Il:負
荷 電 流,if:界
損 失,Pi:入
(g) 温 度試験
力,η:効
磁 電 流,pm:機
械 損,Pi:鉄
損,Pc:抵
抗 損,Pf=励
磁 損,
率
同期 機 の温 度 上昇 限 度 は,JEC-114(1964) 「同期 機 」 に表5・7の
よ
う に定 め られ て い る。 また , 温度 試験 の方 法 は, つ ぎの三 法 の いず れ か に よ るこ とにな って い る。 ⅰ ) 実 負 荷法
供 試 機 に定 格負 荷 を実 際 に か け る方法 で あ るが, 小 容量 機 で も実 負荷 をか
け るこ とは 困難 な場 合 が 多 い。 ⅱ )零力率法
供 試 機 を発 電 機 また は電 動 機 と して 運転 し,定 格 周 波数 にお いて 力率 が ほ
ぼ 零 の電 流 を流 し, 温 度 上昇 を推定 す る方 法 で あ る。 この場 合 ,界 磁 電 流 を十 分 に流 せ な い た め に定 格 電 流 に で き ない ことが あ るが , 定 格 電 流 に近 い あ る電 機 子電 流 で試 験 し,定 格 電流
時 の温 度 上昇 を 推定 す る方 法 につ い て は,上 記 規格 に 詳 し く述 べ られ て い る。 iii)等価 温 度 試験 法 実 負 荷 ま た は 零力 率 法 に よ らず,例 え ば発 電 機 と し て定 格 電圧,定 格速 度,無 負 荷 で運 転 した 場 合 の温 度 上昇 と,三 相 短 絡 して 定 格電 流 を流 し た場 合 の温 度 上 昇 を求 め,こ れ ら 2回 の温 度 上昇 測 定 値 の和 を定格 負 荷 時 の温 度 上昇 とす る方 法 が あ る。 な お,温 度試 験 法 お よび そ の 際の 温
図5・64効
率 曲 線 例
度 測定 法 につ いて は,電 気学 会 技 術報 告第83号
「同 期機 試 験 法要 項(そ の Ⅱ)」 に詳 し く述 べ られて い るか ら,こ こで は省 く。 表5・7空
*温 … … 温度 計 法,抵
(h)絶
縁抵 抗 測 定
また は1000Vの
気 冷却 式 同 期 機の 温度 上 昇 限度 〔℃〕
… …抵 抗 法,埋 … …埋 入 温度 計 法
次 に 述 べ る絶 縁耐 力試 験 の 前 お よび後 に 行 う の が 普通 で,500V
メ ガで測 る。絶 縁 抵抗 値 に つ いて の規 定 値 は ないが,次 の式 で与 え られ る
値 以上 あれ ば よ い と され てい る 〔JEC-146〕。
(5・81)
1
定 格電 圧 〔V〕+
/3
(定格 速 度 〔rpm〕) +0.5〔MΩ
〕
(5・82)
/定格 出力 〔kWま たはkVA〕+2000 (ⅰ)絶
縁 耐 力試 験
この試 験 は加圧 試 験 と もい い,組 み 立 て を完了 した 新 し い同期 機
に 対 し,温 度 試験 終 了 後 直 ち に行 う。 試 験電 圧 は商 用周 波 数 の な るべ く正 弦 波 に近 い交 流電 圧 で,表5・8の
実 効 値 の電 圧 を 1分 間 加 え る。 表5・8同
期機 の 絶縁 耐 力 試験 電 圧
〔 注〕*Eは 定格電圧 **Exは 励磁機の定格電圧 ***Eiは 回転子 を静止 させた状態で電機子に始動電圧を加えた場合に界 磁 巻 線 に生 ず る誘起電 圧。界 磁を高抵抗によって閉路 して始動する場合は,そ の状態における端子電圧をEiと する。 (2)特
殊試験
(a)は
ず み 車 効 果 の測 定
発 電 機 が無 励磁,有 励磁,無 負 荷 な どいず れ の状 態 に あ る dN として も,そ の と きの損 失p〔kW〕 を 測 れば,そ の 速度 N お よ び その 速度 時 の 減速 率 / dt を測 る減 速試 験 を 行 えば,式(5・77)か
ら (5・83)
と して求 め る ことが で き る。 (b)各
種 イ ン ピー ダ ンスお よび リア クタ ン スの測 定
i)同 期 イ ン ピー ダ ン スZs式(5・70)で
示 した よ うに,同 期 イ ン ピーダ ンスZsは
無 負荷
飽 和 曲線 と三 相短 絡 曲線 か ら求 め られ,こ の う ちの電 機 子抵 抗 は一 般 に小 さい ので,同 期 リ ア ク タ ンスXsはZsの タ ンスXdに
大 き さに等 し い とみて 差 支 え な い。 ま た,こ れ は 直軸 同期 リア ク
等 しい と み るこ とが で き る。
ii)横 軸 同 期 リア ク タ ンスXqXqの
測 定 法 にす べ り法 が あ る。 これ は供試 機 の電 機子
に 三 相 の低 電 圧 を加 え,回 転 子 を 他 の原 動 機 で相 回 転 の方 向 に駆 動 し,そ の速 度 を 同期 速 度 近 くにす る(界 磁巻 線 端子 は 開 放 して お く)。 この と き の 電 機 子電 流 の 実 効値 は すべ り周波 数 の 2倍 の 周 波数 で変 動 し,図5・65の
よ うに な る。 これ
は 電機 子電 流 に よ って生 じた 回転 起磁 力 の 中心 が 回転 子 の直 軸 お よび横 軸 を交 互 に通 過 す るた めに生 ず る電流 変 動 で,回 転 子 が 同期 速 度 に な る と この電 流変 動 は 図5・65す
な くな り,一 定 電流 とな る。
べ り法 に お け る電 圧,電
流 の変 化
電 流 の変 動 に伴 い図 の よ うに 電圧 も変動 す るが,こ れ は三 相電 源 の 内部 イ ン ピー ダ ンス 降 下 のた め で,電 源容 量 が十 分 大 き けれ ば電 圧 変 動 幅 は小 さ くなる。 変 動 す る電 流(実 効 値)の 最大 をImax,そ
の瞬 時 の その相 の印 加電 圧(実 効 値)をVmin
とす れ ば,横 軸 同期 リア クタ ンスXqは, Xq=
で あ り,ま
Vmin
(5・84)
/Imax
た 電 流 の 最 小 値 をImin,そ
Xd=
の 瞬 時 の 相 電 圧 をVmaxと
Vmax
す れ ば,
(5・85)
/ Imin
も求 め られ る。 この試 験 に よ って 得 られ るXq,Xdの 値 は,す べ りの大 き さの影 響 を う け るの で,で き るだ け小 さいす べ りで試 験 を行 うべ きで あ る。 さ らに,正
確 を 期 すに
は,電 圧,電 流の 変 化 をオ シ ログ ラ ムに 撮 って,こ れ か らImax,Vm1nな
どを 読
図5・66零
相 イ ンピ ーダ ン ス測 定
み とれ ば よい。
iii)零相 イ ン ピー ダ ンス の測 定
図5・66の
よ うに電 機 子 端子 を一 括 し,こ れ と中 性 点 と
の 間 に 単相 電圧 を加 え る。 回 転子 は静 止 の ま ま で よ い。 界 磁端 子 は 安全 のた め に閉 じて お く。 電 機子 各 相 には 同 相 す なわ ち零相 の電 流 が 流 れ,電 源 端 子 か らみ た イ ン ピー ダ ンスは零 相 イ ン ピーダ ンスZ0の1/3で
あ り,図 の よ うに電 圧,電 流 の ほ か に電 力 も測 る よ うに し,
一 括 した端 子 に お け る電 圧
,電 流,電 力 を それ ぞ れ V,I,W
とす れ ば,
(5・86) (5・87) (5・88) 等 を求 め るこ とが で き る。
(b)電力 計 へ 与 え られ る 電 圧 と電 流
(a)回路 図 図5・67逆
iv)逆 相 イ ン ピー ダ ンスの 測 定
相 イ ンピ ーダ ンスの 測定
供 試 機 を原 動機 によ り同 期 速度 で 駆動 し,図5・67の
う に v,w 端子 を 短 絡 し,界 磁電 流 を流 せ ば,さ き に5・1節 流 れ る短 絡 電 流Ivは,表5・2の
ま た,u,v
間 の 電 圧 は,同
よ
〔7〕で 述 べ た よ うに,v 相 に
よ うに,
表より
と な る。 よって
(5・89)
た だ し,
ま た, よ っ て,Vuvと-Ivの
ベ ク トル 関 係 は,図5・67(b)の
と お く。 よ う に な り,電
力 計 の指 示
は, VuvIvcos(90°-ψ2)=VuvIvsinψ2=W
(5・90)
で あ り,
(5・91) (5・92) を 求 め る ことが で きる。 ⅴ)過 定
渡 リア クタ ンスお よ び時 定数 測
過 渡 リア ク タ ンス は三 相突 発 短 絡試
験 を 行 い,図5・68の
よ うに三 つ の相 の
短 絡 電流 の時 間 的変 化 を オ シ ログ ラムに 撮 る こと に よ って求 め られ る。 これ らの 波 形 か ら交 流 分 の ピー ク値 の包 絡線 を三 つ の相 につ いて平 均 して 画 いた ものが 図 5・26で t=0に
あ り,こ の 図か ら定 常電 流 I, お け る過 渡 電流 の ピー ク値 I″ お
よ び次 過 渡 分 を 除 く ピー ク値 I′が 求 め られ る。 (a) 各 相 短絡 電 流
短 絡 発 生 前 の一 相 の起 電 力 の実 効 値 を E とす れ ば, 直 軸 過渡 リア ク タ ンス
(5・93) 直 軸 次過 渡 リア クタ ンス
(5・94) (⊿i′)0,(⊿i″)0は,図5・68(b)の に,縦
よう
軸 を 対 数 目盛 に し た 曲 線 を 画 い て
求 め て も よ い。
(b) 短絡電流交流分 図5・68
三 相 短 絡電 流
W
(5・95)
直 軸 同期 リア ク タ ンス が 求 め ら れ る。 ま た,図5・24の に よ り,こ ば,短
よ う に 過 渡 交 流 分,次
れ ら の 値 が,t=0に
絡 過 渡 時 定 数Td′,短
お け る 値 の0.368=1/e倍 絡 初 期 過 渡 時 定 数Td″
過 渡 交 流 分,直
流分にわけること
に 減少 す るま での 時 間 を 求 め れ お よ び 電 機 子 時 定 数Ta等
を求 め る こ
と が で き る。 直 軸 次 過 渡 リ ア ク タ ン スXd″ 図5・68の
は,つ
ぎ の よ う に し て も求 め ら れ る 。
各 相 の 直 流 分 のt=0に
お け る 値 をiud0,ivd0お
よ びiwd0と
す れ ば,
(5・96)
とな る。 この 三式 よ り α を消 去 して,
(5・97) よ って,
た だ し,式(5・97)に
お い て,iud0,ivd0お
よ びiwd0の
い ず れ か一 つ また は二 つ が 負 の値
を と る。 式(5・97)に
関 し て,図5・69の
よ う な 作 図 法 が あ る(JEC-114同
期 機 付 録)。
図5・69
に おい て,原 点 O を と り,こ れ よ り互 い に60° の角 を なす 直 線Ou,Ov,Owを
引 き,そ れ ぞ
れ の線 上 に過 渡 短 絡電 流 の直 流 分初 期 値iud0, ivd0,iwd0に 比 例 す る長 さを と り,そ れ らの先 端 か ら,そ れ ぞ れ 垂線 を 立て,三 つ の垂 線 の 交 点 M を求 め れば,OMの 値Id0に
長 さは 直流 分 の最大
な り,直 軸次 過 渡 リア ク タ ンスXd″
図5・69
Xd″ 算 定の た め の作 図
で 求 め ら れ る と い う の で あ る。 OMが
直 流 分 の 最 大 値Id0に
こ こ で,簡
な る こ と は,次
の よ う に 証 明 で き る。
単 の た め にiud0=u,ivd0=υ,0M=Mと cos(θu+θv)=cosθucosθv-sinθusinθv
書 け ば,
(5・98)
であ
で あ り,θu+θv=60°,
る か ら,こ
れ ら を 式(5・98)へ
代 入 し て 整 理 れ す ば,
(5・99) とな る。 この 式 が式(5・97)に
比 べ√
内の符 号 が異 な るの は,iud0,ivd0と
もに正 と し
て 扱 って い るか らで あ る。 なお,Xd″,Xq″ (c)波
の測 定 法 に ダル トン・カ メ ロ ン法 が あ る。
形 狂 い率 の 測 定 発 電機 の誘 起 電 圧 の波 形 狂 い率 とは,そ の波 形 と実 効 値 aが 等
し い正 弦 波形 と を,瞬 時値 の相 違 の最大 値 dが 最小 に な る よ うに 重ね 合 わせ た と き,
(5・100) と定 義 され て い る。 ε を 求 め る に は,発 電機 の 無 負荷 端子 電 圧 波形 A を オ シ ログ ラム に と り,図5・70の に,A
の1/2サ
イ ク ル の 間 を n等 分 し,
等 分 幅 の 中 央 に お け る 値 をa1,a2,a3, …,anと
す ると き,
(5・101) か ら実効 値 を 求 め る。 これ は実 効値 の定 義 が 「2乗 の平 均 の平 方 根」で あ るので, 定 義 に基 づ く計 算 を近 似 的 に行 って い る の で あ る。 nを 多 くす れ ば実 効 値 が真 に 近 づ くが,分 割 の 便 宜 上n=12,18と
図5・70
波 形 狂 い 率の 算 出
よう
す る こ とが 多 い。 次 に,√2aを
最大 値 とす る等 価正 弦 波 と供 試 波 と を瞬時 値 の 差の 最 大値
dが 最 小 に な る よ うに重 ね合 わ せ る。 この と き両波 形 の 零点 は 図 の よ うに左 右 いず れ か にづ れ る こ と もあ る。 d と aが求 め られ た ら,式(5・100)に
よ って波 形 狂 い率 を 決定 す る。
この 波形 狂 い率 は発 電 機仕 様 書 に指 定 され,3∼5%以
下 と され る ことが 多 い。
(d) そ の他 の 試験 さ らに,過 速度 試 験,絶 縁特 性 試 験(交 流 法,直 流 法),衝 撃電 圧試 験 など が行 われ る こと もあ る。 〔3〕 三 相 同 期 電動 機 の試 験 同期 電 動 機 の 試 験 も同 期発 電 機 の試 験 の よ うに発 電 機 として 運 転 し,無 負 荷 飽和 曲線,三 相 短 絡 特性 曲線 の 測定 や,損 失 の測 定 お よび 効率 の算定,温 度試 験,絶 縁 特性 試 験 な どが 行 わ れ る。 電 動 機 の試 験 は,始 動 特性 の試 験 の ほか V 曲 線 の実 測,ブ ロ ンデル の作 図 も行 わ れ る こ と が あ る。 (1) 始 動 特性 を求 め る試 験
これ は三 相誘 導電 動機 に 対 して 行 わ れ る拘 束 試験 と同 様
な試 験 か ら求 め る。 た だ し,突 極 回転 子 の 場合 は拘束 位 置に よ っ て同一 印 加電 圧 に対 す る拘 束 電 流 お よび入 力 が 若 干 異な るか ら,拘 束 位 置 を変 え て 電 流 を しらべ平 均 電流 とな る よ うな 拘 束位 置 にお い て測 る。 (a) 始 動 電 流 界 磁 巻線 は放電 抵 抗 を通 して 閉路 し,電 機 子 へ 三相 の 低電 圧 を加 え る。 拘 束電 流Isが
定 格電 流 また は それ に近 い 値 に な る よ うな電 圧Vs′ を加 え た と きの入 力Ws′
を 測 る。 なお,試 験 時 の 入力 か ら電 機 子 巻線 の抵 抗 損 を 除 く必 要が あ るの で,抵 抗r1を
拘 束試 験
前 に測 って お く。 電 圧Vstで
始 動す る とき の始動 電 流Isは,
で 求 め ら れ る 。Vstは
小 形 機 で は 定 格 値 とす る こ と も あ る が,定
格 の50∼70%に
す る こと
が多い。 (b) 始 動 トル ク 拘 束 試 験 時 の 入 力 の う ち の 鉄 損 を 無 視 す れ ば,拘 Ws′-3Is′2r1で,こ
れ は 拘 束 時 の トル ク に 比 例 す る 。
定 格 出 力 をPr〔kW〕,同 は,
束時 の 二 次入 力 は
期 角 速 度 ωs=4πf/P〔rad/s〕
と お け ば,定
格 トル クTr〔N・m)
電 圧Vstで
よ っ て,始
始動 す る とき の トル クをTstと
動 トル ク を %
す れ ば,
で 表 せ ば,
を求 め る ことが で き る。 (2)V
曲線 の実 測 無 負荷 にお け る V 曲線 は 実 測で 求 め られ る。負 荷 時 の それ は任 意
出力 とな し得 る可変 負 荷 を 結 合 し ない と実 測 で きな い。 これ は,一 般 には 実 施 困難 で あ るの で,ブ ロ ンデ ル の作 図 か ら求 め る。
練 習 問 題 5. 1. 60kVA,200Vの
三 相 同期 発 電 機 が あ り,こ の発 電 機 の短 絡 比 は1.4で
あ る とい う。
同期 イ ン ピーダ ンス は何 Ωか。 また,無 負 荷 で定 格電 圧 を生 じさせ る界 磁 電 流 を流 した ときの 三相 短 絡電 流 は何 A か。 2. 突 極 を もつ 同期 発 電 機 が あ り,一 相 の 直軸 同期 リア ク タ ンスXdお ク タ ンスXqは
単位 法 で それ ぞ れ0.96お
よび0.64で
よび 横軸 同期 リア
あ る。 この発 電 機 に力 率角30°
(遅れ)の 定 格負 荷 を か け た と きの励 磁起 電 力 の大 き さお よび 端子 電 圧 に対 す る 位 相 を 求 め よ。 た だ し,電 機子 抵 抗 を無 視 す る。 3. 300kW,3000V,12極,60Hz,定
格力 率1.0の
子 は〓 結線 で、 一 相 の 同期 リア ク タ ンス は18Ω
三 相 同期 電 動 機 が あ り,そ の電 機
で あ る。 突極 の影 響 お よ びす べて の損
失 を無 視 して, (a) この電 動機 の定 格 トル クTr〔kg・m〕
を 求 め よ。
(b) こ の電 動機 を定 格 電圧,定 格 周 波 数 の無 限大 母線 に結 ん で運 転 し,か つ,そ の励 磁 を,電 動機 と して の定 格 出力 時 に力 率 が1.0に な る よ うに 調整 し,こ れ を 一定 に保 った とき の最 大 トル クTm〔kg・m〕
を求 め よ。
(c) 無 限大 母 線 の代 りに500kVA,3000V,2 い た と き の 最 大 トル クTm'〔kg・m〕
を 求 め よ。
極,3600rpmの
ター ビ ン発 電機 を用
た だ し,発 電 機 は〓 結 線,一 相 の 同期 リア ク タ ンス は15Ω
で,両 機 の励 磁 は電 動
機 が定 格 電 圧,定 格 出力 の と き力率 が1.0に な るよ うに 調整 し,こ れ を 一定 に保 つ も の と し,発 電 機 の損 失 もすべ て 無視 す る。 4. 単 位法 で表 した 同期 リア ク タ ンスが0.8の で,励 磁 起 電 力 が定 格 電 圧 の1.3倍
三相 同期 電動 機 があ る。 定 格電 圧 の もと
にな るよ うに 直流 励磁 を し 電機 子 入 力0.5(単
位
法)で 運 転 して い る。 す べ て の損 失を 無 視 し,突 極 の影 響 も無 視 す ると して, (a) トル ク角,電 機 子 電流(単 位法)お よび 力率 を 求 め よ。 (b) 元 と同 じ電 圧,同 じ入 力,同
じ電 機子 電 流 とな る よ うな も う 一 つ の 励 磁 起電 力
E′ と,そ の と き の トル ク角 δ′を求 め よ。 5. 300kW,3000V,力 Xq=13.6〔
率1.0,8
極,60Hzの
三 相 同 期電 動 機 が あ り, Xd=20.0〔 Ω〕,
Ω〕,電 機 子 は 〓結 線 で,巻 線抵 抗 およ びす べ て の損 失 を 無 視す る と して,
この 電動 機 が定 格電 圧,定 格 周 波 数 の無 限大 母 線 か ら電 力 を と って 運転 され る と き, (a) 定 格 出力 時 の電力 角(ト ル ク角)を 求 め よ。 た だ し,定 格 出力 に お いて 定 格力 率 に な る よ うに 直流 励 磁 を して,こ れ を一 定 に保 つ もの とす る。 (b) 励 磁 は元 の ま ま一定 に保 った と し,最 大 出力 と,そ れ を生 ず る トル ク角 を求 め よ。 6. 定 電 圧3000Vの め力 率100%,電
三 相母 線 に並 列 に 結 ばれ定 常運 転 して い る同 期発 電 機 が あ る。 は じ 流120Aで
(a) 力 率 は何%に
運転 して いた 。 次 に励 磁 を増 して電 流 を130Aに
変 った か。
(b) 力 率 は遅 れ,進 み の いず れ にな ったか 。 (c) 発 電機 の無 効 出力 は何 キ ロバ ー ル にな るか。
した。
第 6章
交流 整流 子機
直 流 機 の よ うな整流 子 を も ち,交 流電 源 で 運転 さ れ る 電 動機 を 交流 整流 子電 動機(AC commutator
motor)と
い う。 単 相 お よび 三相 電 源 を用 い る もの が あ るが,い ず れ も適 用 例
は減 少 の傾 向 に あ る。 これ は整 流 子 お よ びブ ラ シを もつ こ とか ら複雑 な構造 で あ り,保 守上 の 難が あ り,高 価 で あ るな どの 欠 点を もつ か らで あ る。 しか し,整 流 子 機を 用 い れば,誘 導 電 動 機で は得 られ な い高 速度,例 え ば50Hz電 転 し数 千rpmと
源で運
い う 高速 度 が 得 られ る こ と,お よび運 転 中に ブ ラ シ位 置を移 動 させ れ ば可
変 速 度 とな るな ど の特 長 もある 。 この 章 で は,こ れ らの整 流 子電 動機 に つ いて 簡単 に述 べ る。 6・1
種
類
〔1〕 単 相整 流 子 機 単 相 機 は,直 巻形,分 巻 形 に わ け られ るが,実 用 に なる の は前者 だけで ある。 歴 史 的 に は 非常 に多 くの形 に分 け られ るが,現 在 も実 用 され て いる の は直巻 特 性 を もつ 図6・1の
形式
く らい で あ る。
(b)補 償 直巻 形
(a)直巻 形
(c)誘 導補償直巻形
F:界 磁 巻 線,C:補 図6・1単
(1)
直 巻形
これ は1kW以
(d)反発 形
償巻線
相 整 流 子電 動 機 の種 類
下 の家 庭 用電 気 掃除 機 や電 気 ドリル,映 写 機 な どの 電
動機 と して 用 い られ る。 直流 直 巻 電 動機 と回路 図 で は 同 じで あ る。 す なわ ち,直 流 直 巻 機 に 交流 を 加 え た もの と思 え ば よい 。従 って,こ の形 は,直 流,交 流 両 用で 万 能電 動 機(universal motor)と
もいわ れ る。
しか し,直 流専 用 の もの とちが い,交 流 直 巻機 は 固定 子 磁極 は突 極 で は な く誘導 機 の よ う な固 定子 鉄 心 に界 磁 巻線 を 分 布巻 に して入 れ て あ り,鉄 心 は 回転子 は もち ろん 固定 子 側 も成 層 鉄 心 と して うず電 流 損 の増 大 を 防 ぐよ うに して ある。 (2)補
償 直巻 形
これ は(1)の 直 巻 形 に補 償巻 線 を直 列 に加 え た もの で あ り,ヨ ー ロ
ッパ で は,こ の形 が交 流 電 気鉄 道 の主 電 動 機 と して 用い られ,200V,50 200∼300kWの
Hz電
源 で,出 力
もの が あ る。
(3)誘
導補 償 形
(4)反
発形
これ は(2)の 補 償 巻線 を 別 回路 と した もので あ る。 固定 子側 は主 巻線 のみ で,回 転子 側 の ブ ラ シ軸 を 界磁 巻線 軸 に対 し β だ
けず ら し,か つ,ブ ラ シ間 を短 絡 した もの で,β の値 に 応 じて 特牲 が 変わ る。 単相 誘 導電 動 機 の始 動 法 に反 発 形 とい うの があ るこ とは,4・12節
〔4〕 で述 べた が,こ
れ は 始動 時 に この 電動 機 と して動 作 させ,加 速 後 は全 整 流子 セグ メ ン トを 単 一 リン グで短 絡 し,各 コ イル ご とに短 絡 され た多 相 回路 とす る もので あ る。 〔2〕 三 相整 流子 電 動 機 三 相機 に は,分 巻 形 と直巻 形 とが あ り,い ずれ もブ ラ シを移 動す る こと に よ り広 範 囲 に速 度 加 減が で き る。 (1)三
相分 巻 電動 機
形 式 が あ るが,広
これ に もい くつ かの
く用 い られ る も の は,図6・2
の シ ュラ ーゲ(Schrage)形
で あ る。 図 の よ うに回
転 子 が一 次,固 定 子 が二 次 に な って いて,ほ かに 回 転 子側 に 調整 巻線 が あ り,こ れ が 整流 子 に結 ば れ,整 流 子 面か ら各相 2個 の ブ ラ シを通 して二 次 巻線 に結 ば れ てい る。 図 の ブ ラ シの広 が り角2ρ を加 減 す る と 速 度 を 変 え る こ とが で き る。 速度 範 囲 は,同 120f/P〔rpm〕 稀れ に0∼2倍
の0.5∼1.5倍
期 速度
の ものが 多 く,
とい うの もあ り,こ れ は超 分 巻 電動
機 と よばれ る ことが あ る。
図6・2シ ュ ラー ゲ電 動 機 (三 相 分巻 電 動 機 の一 形 式)
この電 動 機 は誘 導電 動 機 の変 形 とみ る こ とがで きる。 す なわ ち, ① ρ=0° の場 合 は,調 整 巻線 は何 の役 目 もせ ず,回 転 子側 が 一 次,固 定 子 側 の二 次 を各 相 ごと に短絡 した三 相 誘 導電 動 機 とな って,同 期速 度 よ り す べ り だ け 低 い速 度 で 回転 す る。
②
ρ〓0°の場 合 は,ブ ラ シ間に 現 われ るす べ り周 波数 の調 整巻 線 の電 圧 が,同
じ くす べ
り周 波 数 の 固定 子 二 次巻 線 の電 圧 と加わ り,無 負 荷 速度 が 同期 速 度 よ り低 く,あ る い は 高 くな る。 この電 動 機 は ス リップ リングを 通 して 回 転子 側に一 次 電 圧 を加 え る ので,高 圧 に は使 え ず,電 源 電 圧 は三 相200Vま
た は400Vで,出
力 は1kWな
い し数 百kWま
でつ
くられ る。 ブ ラ シ移 動 は手 動 ま たは電 動操 作 に よ って行 い,速 度加 減 は連 続 的 に行 え る の で,三 相 電 源 か ら直 接運 転 で きて 直 流機 並 み の加 減 速度 電 動 機で あ るこ とが特 長 で あ るが,構 造 が 複 雑で あ る。 (2)三
相直 巻 電 動機
図6・3の
よ うに,固 定 子 に 三
相巻 線 u,v,wが あ り,こ れ らを 直 列変 圧 器 を経 てそ れ ぞれ の 相 の ブ ラ シb1,b2,b3へ
直列 に結 ぶ。 直 列変 圧 器 は 整流 子
へ 加 え る電 圧 を下 げる のが 目的で ある ので,基 本 的 な特性 は 変 圧 器 を省 い て 固定 子 巻線 各 相 を直 接 各 ブ ラ シへ結 ん だ 場合 に つ い て考 え る こ とが で き る。 固 定子 の u相 に注 目す る と,u 相 の 固 定子 巻線 軸 と,こ れ に 直 列 に結 ば れ ブ ラシb1の
巻 線 軸 と のな す 角 βを加 減 して
速 度 を変 え る。 この電 動 機 は 直巻 特 性 で始 動 トル クが大 き く,速 度 範 囲 も 広 い 。 ポ ン プ,印 刷 機 械,工 作 機械 な どに用 い られ,出 力 も 100kWを
6・2Kronの
相直 巻 電 動機
基 本 形 回転機
ア メ リカのGE社 は,1930年
図6・3三
超 え る もの もあ る。
の 技術 者G.Kron(1901∼1968)
代 に す べ て の電 気 機械 を統 一 した理 論 に
よ り説 明 した 。 同 氏は 図6・4の
よ うに固 定子 側 に二
つ の 巻線 を 空 間 に90° ず ら せ て お き,そ れ ぞ れ d軸 (直軸)お よ び q軸(横 軸)巻 線 と名 づ け,回 転 子 の 整 流子 上 に d軸 お よび q軸上 に それ ぞ れ ブ ラ シを お いた 回 転機 を 考 え,こ れ を基 本 形 回転 機 と名 づ けた。 この 図の ま ま の機 械 は ほ と ん ど 実 用 されて い な い が,qr軸
の ブ ラ シを 除 い た形 は 補 償巻 線 つ き の直 流
図6・4Kronの
基本 形 回転 機
お よび単 相 整 流子 電 動 機 にな る。 三 相誘 導 機 や三 相 同期 機 も基本 形 回転 機 に 書 きか え られ る が,三 相 機 か らの書 き換 え は 複雑 で あ る。 こ こで,基 本形 回転機 の性質 を 考 え,そ の 特別 な場 合 と して の直 流電 動 機 や単 相 直巻 電 動 機 な どの特 性 式 をつ くって み る。 〔1〕 基 本 形 回転 機 の電 圧 っ りあ い式 図6・4の
固 定子 お よび回 転 子 の d,q軸 の電 流 の 正 の向 きを 図に示 した 矢 の 向 きに 決め,
そ れ ぞ れids,iqsお
よびidr,iqrと す る。 矢 の 向 き に電 流が 流 れ る とき,同 じ向 き に磁束 を
生 ず る もの とす る。 また,各 巻線 の抵 抗 お よび 自己 イ ンダ クタ ンス,相 互 イ ンダ クタ ンスを 図 に 記入 した よ うに名 づ け る。 回 転子 は 図 中の ωrの よ うに 時計 式 の向 き に回 転 して い る もの とす るが,こ の 角速 度 ωrは 一 定 で な くて も よい
。 しか し,以 下 の 式で は ωr一 定 の 場合 す な わ ち定常 状 態 につ いて考 え
る。 固 定子 お よび 回転 子 d,q軸 巻 線 の磁 束 鎖交 数 は つ ぎ の よ うに表 され る。 ds軸
λds=Ldsids+Mdidr,qs軸
λqs=Lqsiqs+Mqiqr
dr軸
λdr=Ldridr+Mdids,qr軸
λqr=Lqriqr+Mqiqs
よ っ て,固
定 子 各 巻 線 の 電 圧 つ り合 い 式 は,印
}
(6・1)
加 電 圧 を そ れ ぞ れ νds,νqsと
し て,
ds軸 (6・2)
qs軸
回 転 子 側 で は,図6・5の は
λqrを
よ う にdr巻
ωrの 速 度 で 切 って λqrωrの起 電 力 を
idrと 逆 の 向 き に 速 度 起 電 力 を 生 じ,ま 線 に は λdrを 度 起 電 力 をiqrと
たqr巻
ωrの 速 度 で 切 っ て λdrωrの 速 同 じ向 き に 生 ず る か ら,回
子 各 軸 ブ ラ シ 間 の 電 圧 を νdrお す る と,電
線に
転
よ び νqrと
圧 つ りあ い 式は つ ぎの よ うに な
図6・5dr,qr巻
線 の起 電 力
る。
(6・3)
式(6・2)お
よ び 式(6・3)は,四
つ の 電 流 が 介 在 して い て ま ぎ らわ しい が,つ
に 行 列 形 式 で 書 くと す っ き りす る 。 た だ し,d/dt=pと
ぎの よ う
書 くことに す る。
(6・4)
この 式 で の電 圧,電 流 は瞬 時値 であ る が,電 圧,電 流 がす べ て 正弦 波 で,そ の 角周 波 数 が ω な ら,つ ぎの よう にな る。 電 圧,電 流 を ベ ク トル表 示 に 改 め,V,I と し, P はjω
にお きか え,ま た,
ωLds=Xds,ωLqs=Xqs,ωLdr=Xdr,ωLqr=Xqrお
よ び
ωMd=Xmd,ωMq=Xmq た だ し,s
ωr=(1-s)ω
の よ う に 記 号 を 改 め れ ば,式(6・4)は
は す べ り で,こ
こ で は 2極 機 と考 え る。
つ ぎの よ うにな る。
(6・5)
さら に,電 圧,電 流 が す べて 一 定の 直流 の場 合 を考 え ると,こ の 場合 はp=0と い か ら,式(6・4)は
お けば よ
つ ぎの よ うに な る。
(6・6)
とな る。 〔2〕
基 本 形 回 転 機 の 入 力 と トル ク
式(6・5)に
お い て,各
巻 線 へ の 入 力 の 総 和P1は,つ
P1=Ids*Vds+Iqs*Vqs+Idr*Vdr+Iqr*Vqrの た だ し,*は 式(6・7)は
共 役 ベ ク トル を 示 す 記 号 と す る 。 つ ぎ の よ う に な る。 P1=(Ids2Rds+Iqs2Rqs+Idr2Rdr+Iqr2Rqr)
ぎの よ うに なる。 実 数部
(6・7)
+(1-s)(-Iqγ*IdsXmd+Idγ*IqsXmq-Iqγ*IdγXdγ+Idγ*IqγXqγ)の
実 数 部 (6・8)
式(6・8)の よ っ て,ト
第
1項 は 全 銅 損 で あ り,第
ル ク
T
2項 は 機 械 的 出 力 を 表 す 。
は 出 力 を 回 転 子 角 速 度
ωγ=(1-s)ω
で 割 っ て,
T=-Iqγ*IdsMd+Idγ*IqsMq-Iqγ*IdrLdγ+Idγ*IqγLqγ
の 実 数 部
=Idγ*(IqsMq+IqγLqγ)-Iqγ*(IdsMd+IdγLdγ)の
実 数 部(6・9)
(6・9)
と な る。 式(6・9)の
第 1項 は,図6・6に
示 す よ う に,λqγ で,こ
とidγ
に よ る トル ク
れ は 回 転 子 の 回 転 方 向(時
の 向 き)に
生 ず る ト ル ク,第
λdγ とiqγ に よ る トル クで,こ
計式
2項 は れ は回 図6・6
転 と逆 の 向 き で 負 の トル クで あ る 。 式(6・9)は
dγ,qγ 巻 線 の
トル ク
つ ぎ の よ うに も 書 け る 。 T=(Idγ*IqsMq-Iqγ*IdsMd)+(Idγ*IqγLqγ-Iqγ*IdγLdγ)の
実 数 部(6・10)
上 式 の 第 1項 は 固 定 子 電 流 と 回 転 子 電 流 と に よ っ て 生 ず る トル ク,第
み に よ って 生 ず る トル クで
2項 は 回 転 子 電 流 の
リア ク シ ョン トル ク とい う。
基 本 形 回転 機 の 固 定 子 が 円筒 構造 な らLdγ=Lqγ
で,Idγ*lqγ
の 実 数部=Iqγ*Idγ の実 数 部 で あ るか ら,第 2項 は零 とな る 。 〔3〕 直 流 電 動 機 ここで,基 本 形 回 転 機 の特 別 な 場合 と して 直流 電 動 機 を 考 え て み る。 図6・7は
直 流 他 励電 動 機 を示 す もの で,基 本 形 回 転 機 の
qs巻 線 とdγ 軸 を 除 いた もので あ り,ds巻
線 が界 磁 巻 線 に,qγ
巻 線 が電 機 子 回路 にな る。 よ って,式(6・6)のIqs,Idγ Vds=RdsIds… Vqγ=-Mdω
を零 とす れ ば,残
図6・7直
りの式 は,
…界 磁 巻線 の電 圧 つ りあ い式
}
γIds+RqγIqγ … … 電 機 子 の 電 圧 つ りあ い 式
流他 励 電 動機
(6・11)
とな る。 式(6・11)で,-Mdω
γIdsは電 機 子起 電 力 で,負 号 が つ い てい るの は 起電 力 の 正 の 向 き
をIqγ と同 じ向 き に と って い るか らで あ る。 第 2章 で 述 べ た よ うに,電 機 子 電流 と逆 の 向 き に 起 電 力 の 正 の 向 きを と り,逆 起 電 力 と して 扱 い,こ れをEaと
お けば,
(6・12) た だ し,〓dは =nqγ
直 軸 の 主 磁 路 の 磁 気 抵 抗,ま
と お い て い る 。 そ う して ,第
(6・12)の
た 電 機 子 は d,q 軸 が 対 称 構 造 で あ る か ら,ndγ
2章 で 述 べ た 電 機 子 起 電 力Ea=(PZ/2πa)×
大 き さ を 等 しい と お く と,極
数P=2の
φ× ωγ と式
場 合 は,
(6・13) とな るが,Z
は電 機子 全 導 線 数,a
で あ り,2/π はZ/2aをqγ 逆 起 電 力Eaを
は ブ ラ シ間並 列 路数(Z/2a)は
ブ ラ シ間 の電 機 子 巻 数
軸 に集 中 して 考 え たた め に生 じた 係 数で あ る。
用 いて 式(6・11)を
再 び書 けば,
Vds=RdsIds Vqγ=Ea+RqγIqγ
で あ り,こ
れ は 第 2章 で 用 い た 式 で あ る 。
次 に,ト
ル ク は 式(6・9)に
お い て,Iqs=0,Idγ=Oと
お き,Ids,Iqγ
を 直 流 に して 考 え
れ ば, T=-MdIdsIqγ(6・14) で 表 さ れ,こ
れ は 図6・7の
次 に,図6・8は 除 き,qs巻
(6・14)
T
の よ うに反 時計 方 向 に生 ず る。
補 償 巻 線 つ き他 励 直 流 電 動 機 で,こ
線 を 補 償 巻 線 と し,Iqs=-Iqγ
の 場 合 は 基 本 形 回 転 機 か らdγ
と な る よ う に 直 列 に 結 ぶ,そ
軸を
う してds巻
線を界
たIqs=-Iqγ
とな
磁 とす れ ば よ い。 よ っ て,式(6・6)か
らdγ
軸 を 除 い て,
Vds=RdsIds Vqs=RqsIqs Vqγ=-Mdω と な る が,電
γIds+RqγIqγ
機 子 回 路 へ の 印 加 電 圧 をVtと
お け ば,Vt=Vqγ-Vqs,ま
る よ う に 直 列 に 結 ぶ か ら, Vt=Vqγ-Vqs=(-Mdω
γIds+RqγIqγ)-RfqsIqs
=Ea+(Rqγ+Rqs)Iqγ と な る 。 た だ し,Ea=-Mdω 電 機 子 のqr軸
γIdsで 前 に 述 べ た 逆 起 電 力 で あ る 。
の 磁 束 鎖 交 数 は,式(6・1)よ
り,
λq,=LqγIqγ+MqIqs=(Lqγ-Mq)Iqγ で 表 さ れ,補
償 巻 線 が な い と き の 鎖 交 数MqγIqγ
よ り少 な くな る 。 す な わ ち,電
機子反作用
が 少 な くな る。 トル クはIdsとIqγ
と に よ って 生 ず る ので,補 償 巻
線 の 電流Iqsが
あ る こ とは無 関 係 で,式(6・14)が
ま ま 図6・8の
場 合 の トル クの式 に な る。
6・3単
その
相 直 巻 整流 子 電 動機
図6・1(a)に
示 した補 償 巻 線 つ き単 相 直巻 整 流 子電
動 機 を再 び図6・9に
示 す。 この 電 動機 は 基本 形 回 転機 図6・8補
か らdr軸
を除 い た も ので,か つ,ds,qs,qrの
路 が 直 列 に な って い る。 た だ し,qs巻
三つの回
償 巻 線 つ き他 励直 流電動機
線 は補 償巻 線 と
して の役 目を させ る た め に逆 の 接続 とす る。 式(6・5)か
らdr軸
を 除 けば,
Vds=(Rds+jXds)Ids} Vqs=(Rqs+jXqs)Iqs+jXmqIqγ Vqr=-(1一s)XmdIds+jXmqIqs +(Rqγ+jXqγ)Iqγ
(6・15)の三 つ の 式 が残 る。 そ う して,電 源 電 圧 をVt,電
流を
図6・9単
Itと す れ ば, Vt=Vds-Vqs+Vqγ
相 補償直巻整流子電 動機
}
It=Ids=-Iqs=Iqγ
(6・16)
で あ る か ら, Vt=(Rds+jXds)It+(Rqs+jXqs)It-jXmqIt -(1-s)XmdIt-jXmqIt+(Rqγ+jXqγ)It ={Rt+jXt-(1-s)Xmd}It(6・17)
(6・17)
た だ し,Rt=Rds+Rqs+Rqγ Xt=Xds+Xqs+Xqγ-2Xmq 式(6・17)は,式(6・5)を
そ の ま ま 引 用 した の で あ る が,図6・9の
で 示 した よ う に 生 ず る トル クは 反 時 計 式 で あ る 。 速 度 起 電 力-(1-s)XmdItの な る か ら,図6・9の
ωγ で 示 し た よ うな 回 転 方 向 に つ い て の 式 は,
結 線 で は 図6・6 向 きが 逆 に
Vt={Rt+jXt+(1-s)Xmd}It よ っ て,電
(6・18)
流Itは,
Vt
It= / Rt+jXt+(1-s)Xmd と な り,こ
の│It│は
速 度(1-Sに
トル ク は 式(6・9)のIdγ=0と 式(6・9)第
1項 だ け が 残 り,そ
(6・19)
比 例 す る)が し,か
つ,反
増 す に したが い 減 る一 方 で あ る。 時 計 式 の 向 き を トル クの 正 の 値 とす れ ば,
の 符 号 1 変 え て,
T=Iqγ*IdsMd=It2Md
た だ し,極 数P=2の
場 合(6・20)
(6・20)
とな る。 この トル クも速度 が増 す と と もに減 る一 方 で直 巻 特性 で あ る。 そ う して,最 高 の ト ル クを生 ず るの は上 式 の 分母 第 1項 が 零 に な る よ うな速 度 で,1-s=-(Rt/xmd)で Rtは
あ り,
小 さ いか ら,こ れ は逆 転 の 向 きに ご く低 速 度 で 回転 して い る と き であ る。
な お,こ
れ ら の 式 で, Xt=Xds+(Xqs+Xqγ=2Xmq)
で あ り,第
2項()内
形 で あ る が,回
は理 想 的 な結 合 な ら零 に な る
転 機で あ るか ら漏 れ リア ク タ ンスが 相
当 残 る 。 補 償 巻 線 が な い 場 合 に はXt=Xds+Xqγ
とな
る の に 比 べ れ ば リ ア ク タ ン ス が 小 さ くな り,電
機子 反
作 用が 減 少 す る。 こ の 電 動 機 の ベ ク トル 図 は,式(6・18)か の よ う に な り,力
ら図6・10
図6・10補
率 は
償 巻線 つ き単 相 整 流子 電 動 機 の ベ ク トル図
(6・21)
で 表 さ れ,高
速 に な る ほ ど 力 率 が よ くな る 。
図6・1(a)の
補 償 巻 線 な し の 直 巻 整 流 子 電 動 機 の 特 性 は,式(6・17)以
て,Rqs=0,Xqs=0,Xmq=0と
お け ば,
Rt′=Rds+Rqγ Xt′=Xds+Xqγ と お く こ と に よ り,電
流 や トル ク の 式 を つ くる こ と が で き る 。
降の 各 式 に お い
6・4反
発 電 動機
図6・1(d)は
単 相 反発(整 流 子)電 動 機 で,こ れ を再 び図6・11(a)に
示 す 。 反発 形 で
は ブ ラ シ間 が短 絡 され,か つ ブ ラ シ軸 は固 定子 巻 線 軸 に対 しず らせ て あ り,こ の ず れ の角 を β とす る。 固定 子巻 線 を 二 つ に わ け て考 え, ブ ラ シ軸 上 に補 償 巻 線,こ れ と直 角 の 位 置 に界 磁 巻 線 が あ る もの と考 え る。 元 の 固定 子 巻線 の抵 抗 お よび 自 己 リア クタ ン スRsを
お よ びXsと
す れ ば,い ま仮 想 した補 償 巻 線 お よ び 界 磁 巻線 の抵 抗 お よび リア ク タ ン
(a)反
発 電動 機
(b)(a)を 図6・11反
書 き換 え た 反発 電 動 機 発 電動 機
ス は,つ ぎの よ うに お け る。 補償巻線
抵 抗Rqs=Rscos2β,リ
ア ク タ ン スXqs=Xscos2β
界 磁 巻線
抵 抗Rds=Rssin2β,リ
ア ク タ ン スXds=Xssin2β
そ うして,こ れ らを 図6・11(b)の
よ うに 直列 に結 び,電 機 子 ブ ラ シはqr軸
に あ り,こ
れ が 図 の よ うに短 絡 されて い る もの とみ なす 。 界 磁 巻線 と電 機子 と間 の速 度 起 電 力 に関 す る相 互 リア クタ ン スはXmd=Xmsinβ,ま 償 巻 線 と電 機 子 の変 圧器 起 電 力 に 関 す る相 互 リア クタ ンス はXmq=Xmcosβ し,Xmは
β=0° の ときqs,qrの
を除 い て,
Vds=(Rs+jXs)sin2β・Ids
}
Vqs=(Rs+jXs)cos2βIds+jXmcosβIqγ Vqγ=-(1-s)XmsinβIds+jXmcosβIqs+(Ra+jXa)Iqγ
電 源 の電 圧 お よび 電流 を,そ れ ぞ れVtお
It=Ids=Iqs
で あ る。 ただ
間 の相 互 リア クタ ンス で あ る。
よ って,基 本 形 回 転 機 の式(6・5)のdr軸
Vt=Vds+Vq
た補
よびItと
(6・22)
す れ ば,
s}
(6・23)
で あ る か ら,
Vt=Vds+Vqs =(Rs+jXs)sin2β・It+(Rs+jXs)cos2β・It+jXmcosβ・Iqr(6・24) =(Rs+jXs)It+jXmcosβ・Iqr
(6・24)
ま た,電 機 子qr軸
は短 絡 され て い るか ら,
Vqr=0={-(1-s)Xmsinβ+jXmcosβ}It+(Ra+jXa)Iqr
(6・25)
(6・26) (6・26)を
式(6・24)へ
代 入 し て,
(6・27)
(6・28)
(6・29) トル ク は,式(6・9)のIdr=0と T=-Iqr*IdsMdの
お い て, 実 数 部
の実数部
(6・30) と な る 。 始 動 トル ク は,上
式 のs=1と
お い て,
(6・31) こ こで,Rs/Xs=ks,Ra/Xa=kr,1-X㎡/XsXa=σ
と お い て,上
式 を 変 形 す る と,
(6・32)
と な り,β
に 対 す るTsの
ks=0.1,σ=0.1を
変 化 を し ら べ る と 図6・12の
仮 定 し,kr=0.1お
よ び0.2の
よ うに な る 。 た だ し,こ
の作図は
場合 に つ い て計 算 して画 いた もので あ
る 。
6・5三
相分 巻 電 動機
前 に も述 べ た よ うに,三 相 分 巻 電 動 機 の一 つ 形 式 で あ る シュ ラ ーゲ 形 は三 相 誘導 電 動 機 の 変形 とみ る こ と がで き る。 す な わ ち,ブ ラ シ間に 生 ず る す べ り周 波 数 の電 圧 を固 定 子 二 次巻 線 の電 圧に ベ ク トル 的 に加 え, 無 負 荷速 度 を 同 期速 度 以 外 の任 意 の 値 に す る も ので あ る。 無 負 荷速 度(ま た は無 負 荷 す べ りs0)は ブ ラ シ開 角 2ρ の 値 に応 じて つ ぎの よ うに変 わ る。 (1)ρ=0゚の
場 合
ρ=0゚な
ら調 整 巻 線 は何 の
図6・12反
発 電 動 機 の 始 動 トル ク
効 果 も な く,回 転 子 が 一次,固 定 子二 次 は各 相 ご とに短 絡 され た誘 導 電 動 機 に な る。 この と きの 回 転 子 の 回転 方 向 は相 順 と逆 の 方 向,す なわ ち図6・2で
は 反時 計 式 で,回 転 子 一 次 巻
線 に流 れ る励 磁電 流 に よっ て生 ず る回 転磁 界 は相 順 の 向 き に一 次 巻線 に対 して 同期 速 度 で ま わ る。 従 っ て,回 転子 が あ る正 の すべ りで 回転 すれ ば 回 転 磁 界 は二 次 巻線 に対 して は 時計 式 の 方 向へ す べ り速 度 で 回転 し,固 定 子 巻 線 に す べ り周 波 数 の起 電 力 を 生 じ,二 次 電 流 が流 れ,誘 導機 と して の トル クを生 ず る。無 負 荷 な トル クも零 に 近 く,す べ りs0も
零 に 近 い。
負 荷 がか かれ ば す べ りが 若 干増 し トル クが増 加 す る こ とも誘 導 機 と同 じで あ る。 (2)ρ=±90゚の
場 合
ブ ラ シ開角2ρ
が 零 で な けれ
ば ブ ラ シ間 に もす べ り周 波 数 の 電 圧 を生 じ,こ れ と二 次 巻 線 内 に 生 ず る す べ り周 波数 の電 圧 との ベ ク トル 和 で 二 次各 相 の 閉 ル ープ 内 の電 圧 が きま る。 図6・13の
よ うに,ρ=-90゚の
とき は ブ ラ シ間 に生 ず る
電 圧 は,二 次 巻線 の電 圧 と同相 で あ り,い ま一 次,二 次 お よ び 調 整 巻線 の 電圧 を そ れ ぞ れE1(た E2お
よびEcと
だ し 〓 換 算 一 相 分),
す れ ば,
図6・13シ と な る 。 た だ し,ne1,ne2お
よ びnecは,そ
れ ぞ れ 一 次,二
ュ ラー ゲ電 動 機 の 一 相分
(た だ し2ρ=180゚の
場 合)
次 お よ び調 整 巻 線 の 有 効 巻数 で ある。 二 次 に生 ず る電 圧 の大 き さ は sに比 例 す る が,ブ ラ シ 間 に生 ず る電 圧 は sに は無 関 係 で あ る。 ま た,周 波 数 は しず れ もす べ り周 波 数で あ る。 図6・13に +Ec0≒0で
お い て,無 負 荷 な ら トル クは ほぼ 零,従 ってI2≒0で な けれ ば な らな い。 この とき のす べ りをs0と
な け れ ば な らず,E2
す れ ば,
nec
s0ne2+nec≒0
s0=/ ne2
と な り,負
の す べ り に な る。
な お,図6・13に はE2に
お い て ブ ラ シb1を
下 に,b2を
上 に して
ρ=90゚に
す る と,Ecの
位相
対 し逆 に な り,E2+Ec0=0は, s0ne2-nec=0
に お い て 生 じ, nec S0= / ne2
と な り,s0は
正 に な り,無
負 荷速 度 は 同期 速 度 以 下 に な る。
一 般 に 使 用 さ れ る シ ュ ラ ー ゲ 電 動 機 は(nec/ne2)≒0.5に s0は+0.5,ρ=-90゜
でs0は-0.5す
造 ら れ た も の が 多 く,ρ=90゚で
な わ ち 無 負 荷 速 度 を 同 期 速 度 の0.5倍
か ら1.5倍
ま で 加 減 で き る よ う に な って い る 。 (3)ρ
が 任 意 の 開 き の 場 合
こ の 場 合 は,
Ec=Ec0sinρ と な り,無
負 荷 す べ り は ρ〓0に
応 じs0ne2〓necsinρ
≒0と
な り,
nec/
s0=±
sinρ ne2
とな る。 (4)ブ
ラ シ開 角 と無 負 荷速 度
以 上 の よ うに ブ ラ シ開 角 の変 更 で 無 負 荷 速度N0が
わ る。 同期 速 度 をNs,(nec/ne2)=ae=調
変
整巻 線 と二 次 巻線 の有 効 巻 数 比 とす る と,
N0=Ns(1-s0)=Ns(1-aesinρ) で表 され,ρ の 変 化 に 対 す るN0の
変 化 は 図6・14(a)の
す な わ ち,ρ の 変 化 に対 しN0の
変 化 は三 角 関 数的 で あ る の で,ρ
N0の
よ うに な る。 の単 位変 化 角 に対 し
変 化 は ρ=0゚に お い て最 大 で,最 低 お よび最 高 速 度 付 近 で は ρ の変 化 に対 しN0の
変 化 は少 な くな る 。 (5)負
荷時の速度
あ る無 負荷 速 度N0に
な る よ うに ブ ラ シ開 角2ρ を設 定 し,こ れ
を 一 定 に保 って,負 荷 を次 第 に 増 す と,回 転子 速 度 N はN0よ
り僅 か に低 下 し,図6・14
(b)の よ うな 定速 度 特 性 とな る。 この 特 性 は,他 励 直流 電 動 機 の 励 磁 を一 定 に保 ち, 電 機 子 に加 え る電 圧 を 変 え た と きの各 電 圧 に お いて の トル ク 速 度 特 性 に 似 て い る。 (6)ブ
ラ シ位 置 と力率
シュ ラ ーゲ 形 電 動 機 は, 図6・2の
よ うに 二 次巻 線
軸 と,開 角2ρ の 中心 との (a)無 (ε〕 無負満漣度 負 荷 速 度(b)ト
間 の 角 を90゚と す る場 合 が 多 い が,90゚±
図6・14シ
α とす るこ
(b)
トル ルク速 ク速度 度特 特性 性
ュ ラ ーゲ 電 動 機 の無 負 荷 速 度 と トル ク速 度特 性
とが あ る。 こ の α を ブ ラ シの偏 角 とい い,α
を変 え る と力 率 が変 化 し,進 み力 率 に もで き
る。 α の値 が 特 性 に 与 え る影 響 が大 きい の で,電 気 角 で10゚以 下 で運 転 す る。 α〓0゚と す る こ と は二 次 回 路 へ そ う入 され る調整 巻 線 の ブ ラ シ間 の 電 圧 位相 を変 え る ことに な り,進 み位 相 に して そ う入 す れ ば二 次 電 流 の位 相 も進 み一 次 の 力 率 が よ くな る。 (7)シ
ュ ラー ゲ電 動 機 の 適用
前 に も述 べ た よ うに シュ ラ ーゲ 電 動機 は 回 転子 側 が 一
次 とな って い る た め に高 圧 を 加え る こ とは無 理 で,三 て も600V位
相,200V,400Vな
どが 多 く,高 く
ま で の電 源 に よ り運転 され る。
出 力 は1kW程
度 の小 形 か ら300kWま
で 位 つ く られ,速 度 加 減範 囲 は3:1位
の もの
が多い。 実 例 に は,製 紙,紡 績,セ メ ン ト工業,工 作 機 械,船 舶 内動 力 な ど に み られ,特 殊 な例 と して は 加 減速 度 電 動 機 で あ る こ とを 利 用 して 電 気 動 力計 もつ くられ る。 この項 で は,特 性 式 の誘 導 につ い て省 い た が,下 記 に詳 しい 理 論 が述 べ られ て い る。 (1)電
気学会
電気 工 学 ハ ン ドブ ック(昭42年
(2)オ
ー ム社
電気 機 器 便 覧(昭33年)p.441∼448.
(3)竹
内 寿 太郎Matrix
(4)Adkins
The
Theory
General Theory
版)p.624∼628.
of Electrical Machinery of Electrical Machines
p.86∼94オ p.216∼223.
ー ム社.
練
習
問
題
の
解
第 2章
直
流
機
答
1.発 電機の とき和動 であれば,電 動機の状態に なれば分巻界磁電流 の 向 きは元 の ま ま で,直 巻界磁の電 流の向きが反対になるので電動機の ときは差動 になる。 元 と回転方向を同 じにして運転すれば補極の極性は正しい。従 って,回 転方向は元 と同 じ に し て運 転 す べ きで あ る。 電 動機 の と き も和 動 に す る に は,直 巻 界 磁 の つ な ぎ方 を 入 れ か え れ ば よい 。 2.は
じめ の 状 態 で の 回転 方 向 と,端 子
の 極 性 が 解 図2・1(a)で
示 され る とす る。
分 巻 界 磁 を 逆 に つ な ぎ,電 機 子 を元 と反 対 方 向 に 回 転 させ ると,磁 極 鉄 心 の残 留 磁
に な るが,分
(b)
(a)
気 に よ る電 機子 の 起電 力 の極 性 は 元 と反 対
解 図2・1
巻 界 磁 が 元 と反 対 に結 ん で あ る か ら,解
図2・1(b)の
よ うに界 磁電 流 は元 と
同 じ向 きで あ り,自 己 励磁 に よ って電 圧 は上 昇 す る。 (a)発
電機 端 子 の極 性 は 元 と反対 に な る。
(b)界
磁電 流 は元 と 同 じ向 き で,負 荷電 流 の向 きが 反対 に な るか ら差 動 複 巻 に な る。
(c)回
転方 向 が変 わ り,補 極 の極 性 も変 わ るか ら,補 極 の極 牲 は 正 当 で あ る。
3.発 電 機 で は端 子 電 圧Vt,電
機 子 起 電力Ea,内
部 降 下 νとの 間 に
Vt=Ea-ν PZ
の 関 係 が あ り,Ea= 200=Ka′
/60a
と お い て,Ka′
で あ り,電
×φ×n=Ka′
φ×n(た
× φ×1500-(100×0.1+2) 200+12
φ=
/1500
= 212 /1500
動 機 の 場 合 は, Vt=Ea+ν
と な る か ら,求
め る 速 度 をn′
と す る と,
だ し,n
は 毎 分 の 回 転 速 度)で
表 せ る か ら,
212
200=
188 =1330〔rpm〕
と お い て,n′=1500×
4.問
×n′+12
/1500 と な る 。
/212
3.と 同 じ記 号 を 用 い れ ば, Vt=Ea+ν ∴200=Ka′
と お い て,Ka′
φ ×1200+3.2×O.18
199.4 φ=
/1200
負 荷 時 に は 磁 束 が4%減
る と い うの で あ る か ら,Ka′ φ の 代 り にKa′ ×0.96× φ を 用 い, 200 =58〔A〕 で あ る か ら,求 め る 速 度 をn′ と す れ ば, ま た定 格 出力 時 の電 機 子 電 流 は60/100
200=Ka′
×0.96φ
5.電
189.56/
×
∴n′=1200
199.4
×n′ +58×0.18=0.96×
×n′+10.44
/1200
=1188〔rpm〕
0.96×199.4
流80Aの
と き の 磁 束 を φ と す れ ば,
220=Ka′
φ ×750+80×(0.14+0.10) 200.8
∴Ka′
電 流20Aの
φ=
/750
と き の 磁 束 は0.4φ 220=Ka′
に な る と い う の で あ る か ら,求
め る 速 度 をn′
とす る と
×0.4φ ×n′+20×0.24 750/
n′=215.2×
=2010〔rpm〕
200.8×0.4
6.定 和 をpcと
格 運 転 時 の 入 力 は220×190=41800〔W〕
で あ り,電
機 子 お よび 直 巻 界 磁 の 銅 損 の
す れ ば, pc=41800×(0.037+0.032)=2884〔W〕
機 械 損 と 鉄 損 の 和 をp′
と す れ ば,
p′=41800×0.046=1923〔W〕 で あ る。 一 方,定
格 運 転 時 の 電 機 子 電 圧 つ り あ い 式 を つ くれ ば, 220=Ka′
φ ×600+
2884 /190
∴Ka
′φ=
220-15.18 /600=
204.8 /600
電 流95Aの
と きの電 圧 つ りあい 式 は,こ の と きの速 度 をn′ とす る と, φ ×n′ + 1 × 2884 /190 /2 /2
220=Ka′
600
∴n′=
×2×212.41=1245〔rpm〕
/204.8
電 流95Aの 2884
×
と き の 入 力 は220×95=20900〔W〕
=721〔W〕,機
で あ り,銅
損 は 前 の1/4と
械 損 と鉄 損 の 和 は速 度 に比 例 す る とい う仮 定 か ら,1923×
/4
な る か ら, 1245
=3990
/600
〔W〕
とな る。
よ っ て,出
力 をP′
と す る と,
P′=220×95-721-3990=16190〔W)
とな る。 7.電
機 子 抵抗 を無 視 す れ ば,分 巻電 動 機 の電 流 は トル クに比 例 し,速 度 は トル クに 無 関
係 で あ り,直 巻電 動 機 で は電 流 は トル クの平 方根 に比例 し,速 度 は トル クの平方 根 に反 比例 す る{式(2・35)お よ っ て,ト
よ び 式(2・36)参
照}。
ル ク が 半 減 し た 場 合,
分 巻 電 動 機 で は,電 直 巻 電 動 機 で は,電
流 は50Aの1/2,す
な わ ち25Aに,速
流 は50/√2=35.3〔A〕,ト
度 は 一 定 で1000rpm
ル ク は1000√2=1414〔rpm〕
に な る。 8.は
=2π
じ め 電 機 子 起 電 力Ec=E1‐R1I1
/60
φ はは じめ の磁 束 で あ る。 電 圧 がE2に あ るか ら,電 機子 電 流 はI2=I1× 起 電 力Ec′
E1/ E2
だ し,Ka= E2
な れ ば,磁 束 は φ×
/ E1
PZ
=電 機 子 定 数,
/2πa に 変 わ る が,ト
ル ク一 定 で
に な る。 す なわ ち,φ ×Iが 一定 で あ る。 後 の電 機子
は, Ec′=E2-Rl2=
2π/
Kaφ ×
60
9.最
KaφN1た
E2
/ E1
N2
大,最 小 の電 流 の 比 は1.8で あ るか ら,段 数 を n,第 1段 にお い ての全 始動 抵 抗 を
R1(電 機 子抵 抗 も含 む)と す れ ば, Ri=
200 /60×1.8
式(2・51)に
よ り,
=1.85(Ω)
よ っ て,n=5と
す る。
抵 抗R1を
直 列 に 入 れ,加
速 さ せ,電
流 が60Aに
減 少 し た と き の 起 電 力 は,
E1=200-60×1.85=89〔V〕 よ っ て,E1=89Vに R2=
R2=1.03〔
な っ た と き にR1をR2に 200-89
=1.03〔
減 ら す 。 そ のR2の
値 は,
Ω〕
/60×1.8
Ω 〕 を 直 列 に も ち,60Aに
減 少 し た と き の 起 電 力 は,
E2=200-60×1.03=138.2〔V〕 E2=138.2〔V〕
に な っ た と き にR2をR3に
R3= R3=0.57を
200-138.2/
=0.57〔
減 らす 。
Ω 〕
60×1.8
直 列 に も ち,60Aに
減 少 し た と き の 起 電 力 は,
E3=200-60×0.57=165.8〔V〕 E3=165.8〔V〕 R4=
に な っ た と き にR3をR4に 200-165.8
=0.317〔
減 ら す。
Ω 〕
/60×1.8
R4=0.317〔
Ω 〕 を 直 列 に も ち,60Aに
減 少 し た と き の 起 電 力 は,
E4=200-60×0.317=190〔V〕 E=190〔V〕
に な っ た と き に,始
動 抵 抗 全 部 を 除 きRa=0.16〔
電 流 は, 200-190
=62.5〔A〕
/0.16 よ っ て,各
区 分 の 抵 抗 は, r1=R1-R2=1.85-1.03=0.82〔
Ω 〕
r2=R2-R3=1.03-0.57=0.46〔
Ω〕
r3=R3-R4=0.57-0.317=0.253(Ω) r4=R4-Ra=0.253-0.16=0.093(Ω)
と な る。
Ω〕 にす る。 この と きの
10.は
じ め の 状 態 で の 発 電 機 お よ び 電 動 機 の 起 電 力 を そ れ ぞ れEgお
よ びEmと
する
と, Eg=210+0.1×100=220〔V〕,Em=210-0.1×100=200〔V〕 で あ り,励
磁 を 変 え た 後 の そ れ ら をEg′
電 動 機 の 界 磁 は 一 定,か
つ,ト
お よ びEm′
と す れ ば,Eg′=0.75×220=165〔V〕,
ル ク一 定 で あ るか ら 電 流 も前 と 同 じ100Aで
あ る。 よ っ て,
Em′=165-0.1×2×100=145〔V) 電 動 機 速 度 は,磁
束 一 定 な ら 電 機 子 起 電 力 に 比 例 す る か ら,求
め る速 度 は
145 =725〔rpm〕
1000×
/200 で あ る。 11.
界磁制御(電 機子電圧一定)電 400rpmで
(1)
A 機(定
B機(定
出 力)
トル ク)
は1200rpmの
とき
トル クは 元 の 3倍 。 よ って,電
は元 と 同 じ ∴Ia=50〔A〕
は元 の 3倍
トル クは 元 と同 じ。 よ っ て,電 流 ∴Ib=50〔A〕
は400rpmの
とき
磁 束 に す る
1200rpmで
は400rpmの
とき
の 3倍 の 電 機子 電 圧 に す る
よ って,電
流
は元 の ま ま
トル クは 元 の1/3。
よ って,電 流
も元 の1/3
∴Ia=50〔A〕
∴Ia=50/3〔A〕
トル ク は元 と同 じ。 よ って,電 流
トル ク は元 と同 じ。 よ って,電 流
は元 の 3倍
も元 と同 じ Ib=50〔A〕
∴Ib=150〔A〕 12.(1)端
流
も元 と同 じ
トル ク は元 の1/3。
トル ク)
電 機子 電 圧 にす る
∴Ia=3×50=150(A)
トル ク は元 と同 じ。 よ って,電 流
の1/3の
B機(定
とき
トル ク は元 の 3倍。 よ って,電 流
1200rpmで
出 力)
は1200rpmの
の1/3の
∴Ib=50/3〔A〕
A 機(定
制 御(磁 束一定)
の 3倍 の磁 束 に す る
は元 の1/3
(2)
圧 400rpmで
,',Eo,=Eam1-2R,7,
子 電 圧Vt=Eag-RaIa=Eam+RaIa∴Eag=Eam+2RaIa Eag=Kaφgωrg,Eam=Kaφmωrm 2π
で あ り,飽
和 曲 線 よ りif=0.9〔A〕,ωrm=
か ら,if=0.9〔A〕 300rpmに
×1200=40π
に お い て,Kaφm×40π=260と
お い て はEam
= 6.5 /π
0.15〔A〕,1200rpm
/ 60
2π
〔rad/s〕 に お い て260Vで 260
お い てKaφm=
で あ る か ら,
/ 40π
/π
×300=65〔V〕,∴Eag=65+16.3=81.3〔V〕,∴if=
× /60
に お い て はEam=
6.5 /π
× 2π / 60
ある
= 6.5
×1200=260〔V〕,∴Eag=276.3〔V〕,
∴if=1.2〔A〕
。
(2)if=0.15〔A〕
で1a=Oに
∴ 変動率= 2π
= 6.5
×
/300
に お い てIa=Oに
30 =1320,∴ /6.5
×n′ と お い てn′=276.3×
(3)ifg=1.1〔A〕
変 動 率=
1320-1200
す れ ば,276.3 =10〔%〕
で260V,if=0.2〔A〕
で110V, 6.5
で あ る か ら,if=0.2〔A〕
で はKaφ
/π
60×260
と お い て,n′=255.7×
′=
×
/π
。
/1200
でEag=272〔V〕,∴Eam=272-2×17×0.48=255.7〔V〕
1200rpm,if=0.9〔A〕 6.5
=25〔%〕,if=1.2〔A〕
/60
/π
とお い て
す る と き,
375-300
。 if=0.9〔A〕
で はKaφ=
110/ 260
=2790(rpm)
/6.5×110×2
13.100=Ea-0.15×50 と お い て,定
格 状 態 に お い て の 起 電 力EaはEa=100+7.5=107.5〔V〕
荷 抵 抗 をRlと
す れ ば,Rl=100/50=2.0〔
速 度 が1200rpmに な る。 よ っ て,負
I1′=
と な り,端
Ω〕 で あ る 。
な っ た と き の 起 電 力Ea′ 荷 電 流Il′ 86/
で あ る 。 ま た,負
は,Ea′=107.5×(1200/1500)=86〔V〕
と
は,
=40〔A〕
0.15+2.0
子 電 圧Vt′
は,
Vt′=40×2=80〔V〕 とな る。 14.分
巻 界 磁 回 路 の 電 流 は 一 定 で,if=110/55=2.0〔A〕
で あ る。
始 動 時 に 電 機 子 に 流 れ る 電 流Iasは,Ias=110/0.4=275〔A〕 よ って,始
動 時 に 電 動 機 に 流 入 す る 電 流 をIsと
す れ ば,
Is=Ias+if=275+2=277〔A〕 で あ る。 定 格 運 転 状 態 で は 逆 起 電 力 が100Vで
あ る か ら,こ
の と き の 電 機 子 電 流 をIarと
お け ぱ,
110=100+0.4×Iar
と お い て,Iar= よ って,定
10 =25〔A〕 /0.4 格 電 流Ir=25+2=27〔A〕
始 動 電 流 を 定 格 電 流 の1.5倍=27×1.5=40.5〔A〕
に 制 限 す る た め の 始 動 抵 抗 をRsと
す
れ ば, 110
40.5=
+2
/0.4+Rs と お い て, Rs=2.457〔
Ω〕
とな る。 15.式(2・24)に
お い て,νbを
無 視 す る と,
Vt=Ea+RaIa=Kaφ
ωr+RaIa=Kaφ
×
2πnr/
+RaIa
60
両 辺 にIaを
乗 ず れ ば, 2πnr/
VtIa=KaφIa× 60
+RaIa2
2π ×1500
∴215×50=Kaφ
T=Kaφ
×50×
60
×50=
+0.1×502 /60
/2π ×1500
(10750-250)=66.85〔N・m〕
=6.82〔kg・m〕 Ia=25〔A〕
の と き,回
215=Kaφ
×
転 速 度 をnr′,ト
2π ×n′ +0.1×25 /60
は じめ て の状 態 で は, 215=Kaφ
×
2π ×1500 / 60
+0.1×50
で あ るか ら,
トル ク は,
16.式(2・49)の
τj=
加 速 定 数 τjは, Jm× / Pr
で あ り,こ
の 式 に,
ωrr2
×10-3〔s〕
ル ク をT′
〔kg・m〕 とお け ば,
Jm=
GD2
(2πnr/
,ωrr2=
/4
60)2
を入 れ れ ば,
と な る。 17. (1)式(2・46)に
お い てTL=0と
お け ば,電
こ の 問 題 で は,Vt=100〔V〕,Ra=1.25〔
機 子 電 流iaは,
Ω 〕,τ=4〔s〕
で あ る か ら,
とな る。 (2)
で あ る か ら,
=10π ∴(dωr/dt)
で あ り,式(2・44)に ωr=40π
〔rad/s2〕
お い てTL=0と
〔rad/s〕 で あ り,こ 100=Kaφ
と お き,
と な る か ら,
と お い て,
ωr=Kaφ
お き,ま
た,問
題 の ωrの 式 よ りt=∞
の と き の 電 圧 つ り あ い 式 は, ×40π
に お い て,
(3)式(2・41)に
お い て,時
〔Ω 〕 を 追 加 す れ ば,電
ま た,角
τ は 電 機 子 回 路 の 抵 抗Raに
比 例 す る か ら,Rs=3.75
機 子 回 路 の 抵 抗 は 元 の(1.25+3.75)/1.25=4倍
定 数 は 元 の 4秒 か ら16秒 よ っ て,始
定数
に な る。 よ って,時
にな る。
動 過 渡 電 流ia′
は,
速 度 ωr′ は,
とな る。
第 3章
1.(a)銅
損=0.267kW,鉄
変
圧
器
損=0.066kW,(b)4kW,(c)96.77%
2.pcr/pi=1.384,pc′/pi=0.346,3.97.9%,4.% ス=5.53%,二
抵 抗=2.1%,%
次 に 換 算 し た 抵 抗=0.063〔
6.3.786%.7.10kVA側
Ω〕,漏 れ リア ク タ ン ス=0.166〔
の 分 担5kVA,30kVA側
前 も 後 も 等 分 の 分 担 に な る が,取
り 換 え 後 は,前
=80A,I2=120A,10.35kVAず
漏 れ リア ク タ ン スa%(単
位 法)と
格 電 流 をI〔A〕,一 相 の定 格電 圧 をV〔V〕 り,励 磁 電 流b%(単
誘
Ω〕,5.5.90%,
の 分 担25kVA,8.取 よ り 分 担 電 流 が1.98%増
つ の 分 担 と な り,A
第 4章
1.全
漏 れ リア ク タ ン
導
は16.7%の
り換 え 加 す る 。 9.I1
過 負 荷 とな る。
機
い う の は,全
漏 れ リ ア ク タ ン ス をx〔 Ω 〕,定 xI とい う ことで あ とす ると き,a= / V1 ×100〔%〕
位 法)と い うの は,励
磁電 流 をI0〔A〕 とす る と きb=I0/I×100 〔%〕 とい う こ とで あ る。 一 方,機 鉄 損 を 無 視 した 円線 図 は 解 図4・1の
械 損, よう
に な る。 最 大 力 率 はOPを
円へ の 接 線 と し て,
cosψmで あ る。
解 図4・1最
そ う して
大 力率 の 作 図
2.最 大 トル クの と きの 二 次 電流 は 定 格 出 力時 の 二 次電 流 の 3倍 で あ る。 よ って,式(4・ 77)のI1′
の 式 よ り,r1=0
∴sm=0.03√17=0.1237 最 大 トル ク をTm,定
格 トル ク をTrと
す る と,
∴Tm=218〔%〕
始 動 トル ク をTsと
す れ ば,
と お い て,
3.
∴25sm2+25=400sm2+1,Sm2=
24 =0.064,Sm=0.253ま
た は25.3%
/375
∴Tmex=263%
Ts=
2.63 /2.103
=1.21∴Ts=121%
4.ト
ル クは 端 子 に加 え る電 圧 の 2乗 に比 例 し,電 流 は電 圧 に比 例 す るか ら, 2
(2/3) =0.8倍
始 動 トル ク=1.8× 2
始 動 電 流=4.5×
=3.0倍
/3
た だ し,補 償 器 の 一 次 側 の電 流 は 二 次電 流 の2/3倍 2.0倍
にな るか ら,電 源 電 流 は4.5×(2/3)2=
とな る。
5.最 大 と始 動 の両 トル クの 比 を と る。V1を
一 相 の電 圧,x,γ2を
そ れ ぞ れ全 漏 れ リア
ク タ ンス お よ び二 次 抵 抗 とす る と,
r2′ =sm
と お く と,
/ x
1 =4
sm+
よ っ て,最
∴s㎡-4sm+1=0,sm=2±
/Sm
大 トル ク を 生 ず る と き の す べ りsmは26.8%で
定 格 トル ク をTγ,そ
√3=0.268
(+は 不 適 合)
あ る。
れ を 生 ず る と き の す べ り を s と す る。
と お い て,
(複号 の+は 不適) よ っ て,定
格 トル ク は,
定 格 出力 時 の 二 次 銅損 をpc2と
す る と,
6.二 次 回 路 の抵 抗 を γ2′,全 漏 れ リア クタ ンスをx,最
大 トル クお よび定 格 トル クを そ
れ ぞ れTmaxお
よ びTγ
を 〓 結 線 と 仮 定 し,一
と す る と,最
大 トル ク を 生 ず る す べ りsm=γ2′/x=0.16,ま
相 の 定 格 電 圧 をV1と
す る と,
〔同 期 ワ ッ ト〕,
で 表 さ れ る。 た だ し,sγ
た一次
〔同 期 ワ ッ ト〕
は 定 格 出 力 時 の す べ りで あ る。 よ っ て,
と お い て,
ま た
はsγ2-5sγsm-s㎡=sγ2-0.8sγ-0.0256=0
お よ び0.0334 と な る が,0.767は
適 合 しな い 。 す な わ ち,定
定 格 出 力 時 の 二 次 銅 損 をpc2と
始 動 トル ク をTsと
格 出 力 時 の す べ り は3.34%で
あ る 。 つ ぎ に,
す る と,
す る と,
と お い て,
定 格 トル クは,同 期 速 度 が
120x60
=1800〔rpm〕
で あ るか ら,
/4
よ っ て,Ts=205.8×0.78=160.5〔N・m〕
で あ る。
二 次 抵 抗 を 2倍 に す る と 最 大 トル ク を 生 ず るす べ りsm′ 一 次 電 流 も比 例 推 移 を す るか ら
,す
はsm′=0.16×2=0.32と
べ り0.0339×2=0.0678で
す べ り の と き の トル ク も定 格 トル ク で205.8N・mで
あ る。
な り,
定 格 電 流 に な る 。 ま た,こ
の
7.二 次 に1.0Ω の抵 抗 を追 加 した 後 で,定 格 トル クを 生 ず ると きの す べ りは,比 例 推 移 に よ り0.018×
0.25+1.0 /0.25
=0.09で
定 格 出力 時 の トル クをTγ
よ って ,s=0.09の
あ る。
とす る と,
と き の 機 械 的 出 力P0は,
二 次 回路 の抵 抗損pc2は,
追 加 抵 抗 内 で の 抵 抗 損pRは,pc2を0.25Ω
と1.0Ω
に 配 分 し て,
8.そ う入 す べ き抵 抗 は各 相 に0.244〔 Ω〕,二 次回 路 の 銅損 は定 格 出 力 の14.18%。 9.同 期速 度 は
Ns=
120x60
=450(rpm),
/16
1/ 300rpmの
と きのす べ りは
3,
定 格 出力 時 の トル クは
300rpmの
と き の トル ク は,
二次 短 絡 で トル クT′
よ って,追
を生 ず る とき のす べ りs′ は
加 す べ き 抵 抗 をRsと
す る と(一
相 の 抵 抗 は0.035/2=0.0175Ω)
と お い て,Rs=0.481〔
10.一
Ω〕
とな る。
次 電 流 も トル クも比 例 推 移 をす る。 抵 抗 を追 加 後 の一 相 の 二 次抵 抗 は1.25Ω,追
加 前 は 各相0.25Ω
で あ るか ら,抵 抗 は 5倍 に 増 した。 比 例推 移 の原 理 に よ れ ば,二 次 抵抗
の 増 加 割 合 だ けすべ りが 増 せ ば,一 次 電流 も トル クの 元 の値 と 等 し い。 よ って,す べ りは 1.8×5=9〔 % 〕 とな って い るはず で あ る。 この と きの 速 度 は
出力 は,ト ル クが 変 わ らず速 度 か
1-0.09
倍 に な ったか ら,
/1-0.018
と な る。 11.す
べ りs1の
トル ク をT1,s2の
二 次 抵 抗 が 元 の ま ま で,ト ル クT2の
と き の そ れ をT2と
す れば ,
と きのす べ り は
よ って,二 次抵 抗
を m 倍 に す る と して,比 例推 移 の 原理 か ら,
で あ り,追 加 す べ き抵 抗 は,二 次 抵抗 の
倍 で あ る。
第 5章 1.定
格 電 流 をIr〔A〕
同
期
機
と す る と,
同 期 イ ン ピ ー ダ ン ス をZs,短
絡 比 をKsと
す る と,式(5・10)よ
り,
無 負 荷 で定 格 電 圧 を生 じる界 磁電 流 を 流 し た と きの 三 相短 絡 電 流 をIsと
な お,Is=KsIr=1.4×173.2=242.6〔A〕
と し て も 求 め られ る 。
す ると,
2.一
相 の ベ ク トル 図 は 解 図5・1の
ま ず,内
部 横 リ ア ク タ ン ス 電 圧E′=obの
相 と を 求 め る 。Vt=1と
よ う に な る。 大 き さ と位
す る とXqI=0・64×1=0.64
で あ り, E′=1+0.64sin30゚+j0.64×cos30゚ =1.32+j0.554=1.432∠22.76゚ よ っ て,負
荷 角 δ=22.76゚で
あ る 。 ま た,δ+ψ=52.76。
解 図5・1
で あ る 。 I を
E
と 同 相 お よ び90゚の
成 分 に 分 け れ ば,こ
れ ら が そ れ ぞ れIqお
よ びIdで
あ り,
Iq=I(cos22.76゚+jsin22.76゚)=1×cos52.76゚×(cos22.76゚+jsin22.76゚) =0.558+j0.234 Id=1×sin52.76゚(sin22.76゚-jcos22.76゚)=0.308-j0.734
で あ る。
励磁 起 電 力 はE=odで
あ り,そ の大 き さは,
E=Vtcosδ+XdId =Vtcosδ+XqIsin(ψ+δ)+(Xd-Xq)Isin(ψ+δ) =Vtcosδ+XqId+(Xd-Xq)Id =E′+(Xd-Xq)Id
∴E=1.432+(0.96-0.64)×Isin(ψ+δ) =1.432+0.32×0.7961 =1.686ま
3.(a)こ
た,位
相 はVtよ
り
δ=22.76゚だ
け 進 む 。
の電 動機 の 同期 速 度Nsは
ま た,同 期角 速 度 ωsは
で あ る。 よ って,定
(b)力
率1.0,定
格 トル クTγ
は,
格 出力 で 運 転 す る とき の一 相 のベ ク トル 図は 解 図5・2(a)の
よ うに
(a)力
率1.0の ル図
とき のベ ク ト
(b)小
問(c)の 場 合 の一 相 の 回路図
(c)小
問(c)の 場 合 の 一 相 の ベ ク トル図
解 図5・2
な る。 そ う し て,
で あ り,定 格 電流 は
る か ら,
最 大 出 力Pmは,ト
ル ク 角 δ が90゜
の と き に 生 じ,そ
の 値 は,
こ の と き の トル クTmは,
Tmの
定 格 トル クTrに
対す る百分 率 は ,
で あ る。 (c) 発 電 機 を 電 源 に した場 合 で も,電 動 機 が定 格 電 圧,定 格 出力,か つ,力 率1.0の 場 合 は,電 動 機 の一 相 の ベ ク トル 図 は 図(a)の よ うに な り,起 電 力E=Em=3498/√3〔V〕 で あ る。 この と きの発 電 機 の一 相 の起 電 力Egは ベ ク トル 的 に加 え て,
定 格 端子 電 圧 に,同 期 リア ク タ ンス降 下XsgIを
図(b)の 回 路 で,電 動機 が 最大 トル ク(速 度 一 定 で あ るか ら,こ の と き最 大 出 力)と な る の は,図(c)の
よ っ て,こ
ベ ク トル図 の よ うにEgとEmが90゜
の と き の 電 流 は,
最 大 出 力Pm′
よ っ て,最
は,
大 トル クTm′
は,
こ れ は 定 格 トル クTr=487.2〔kg・m〕 次 に,最
の角 を なす とき で あ る゜ この と き,
の118.5〔%〕
に 当 る。
大 出 力 時 の 電 動 機 の 一 相 の 端 子 電 圧 V の 大 き さ を し らべ る 。
ベ ク トル 図 よ り,
ま た,こ
の と き の V とEmの
4.(a)小
問(a)の
1.0,E=1.3と
す る と,出
位 相 差,す
な わ ち トル ク 角 δm′は,
場 合 の ベ ク トル 図 は 解 図5・3(a)の 力 が 単 位 法 で0.5,同
よ う に な る。 図 に お い てV=
期 リ ア ク タ ン ス も 同 法 で0.8で
あ る か ら,
(b)
(a)
解 図5・3
1×1.3
0.5=
×sinδ /0.8
と お い て, 0.4 =0.3077
sinδ=
っ ぎ に,ベ
/1.3
∴5=17.92°
ク トル 図 よ り, (XsI)2=12+1.32-2×l×1.3×cos17.92°=0.2161
∴XsI=0.4649
∴I= つ ぎ に,ベ
0.4649
=0 .581
/0.8 ク トル 図 中 の γ を 求 め る。 1.32+0.46492-2×1.3×0.4649×cosγ=12
cosγ=
よ り,
1.32+0.46492-1 / 2×1.3×0.4649
=0.7496
∴
γ=41.44°
力率 角 を ψ とす れ ば, ψ+δ=90°-γ=48.56° ∴
よ って,ト (b)小
ψ=48.56°-17.92°=30.64°
ル ク 角 は17.92°,電 問(b)の
XsI=0.4649に
0.5=
し い トル ク 角 を δ′,起 電 力 を
あ る か ら, 1×E′
×sinδ ′
/0.8
と お い て,E′sinδ
′=0.40
み)
機 子 電 流 は 単 位 法 で0.581,力
場 合 の ベ ク トル 図 は 解 図5・3(b)の
と り,新
が 元 と 同 じ0.5で
cosψ=0.860(進
率 は0.860(進
み)で
あ る。
よ う に な る 。 こ の 図 はV=1.0, E ′ と し て 画 い た も の で あ る。 出 力
ま た,ベ
ク
トル 図 よ り,
12+E′2-2×l×E′
0.4/ sinδ
′=
E′
×cosδ ′=0.46492
で あ る か ら,
(E′2+0.784)2=4(E′2-0.16)ま
た はE′4−2.432E′2+1.2546=0
∴E′2=1.216±1√1.2162-1.2546=0.7426(複 ∴E′
号 の + は 不 適 合)
=0.8617 1×0.8617/
よ っ て,0.5=
×sinδ ′
0.8 0.40/
と お い て,sinδ
′=
よ っ て,求
め るE′
5.(a)力
=0.4642δ
と
δ′はE′=0.8617,δ′=27.66゚で
率1.0で
ベ ク トル 図 は,解
′=27.66゚
0.8617 あ る 。
運転 す ると きの
図5・4の
よ う に な り,
V=E+jXqIq+jXdId ま だ,ト Id,Iqが
ル ク角 δは 未 知 で あ る か ら, 決 ま ら な い 。 よ っ て,図
のよ う
に, 解 図5・4
E′=V-jXqI の ベ ク トル を つ く っ て み る 。 こ のE′
よ っ て,定
格 出 力 時 の δ=24.38゜
(b)ベ
ク トル 図 よ り,定
は 内 部 横 リ ア ク タ ンス 電 圧 で あ る 。
で あ る。
格 出 力 時 に 力 率1.0で
E は, E=E′+XdId-XqIsinδ=E′+(Xd-Xq)ld そ う し て,
あ る と き の 直 流 励 磁 に よ る一 相 の 起 電 力
で あ る か ら, E=1902+(20-13.6)×23.8=2054〔V〕
一方 ,突 極機 の 出 力 Pは,次 の式 で 与 え られ る。 (1)
そ う し て,
∴
定 格 出 力 時 に は,
P=533.6×sin24.38゚+105.88×sin48.76゜=220.31+79.63≒300〔kW〕 (1)式 よ り,
(2) た だ し,a=P2m/P1mと 式(2)を
お い た も の で あ る。
δ で 微 分 し て,
こ れ を 0 とお く と, 4a・cos2δ+cosδ-2a=0 これ よ り,cosδ
を 求 め る と,
(3) 式(3)は,(P/Plm)が
最 大 と な る と き のcosδ
は,
で あ る か ら,
よ っ て,δm=cos-10.3171=71.51゚
で,こ
の と き の δを
δmと お く,こ
の 間題 で
最 大 出力 をpmと
す れ ば,
Pm=P1msinδm+P2mSin2δm =533.6×0.9484+105.88×0.6015=506.06+63.685=569.75〔kW〕
6. (a) 力 率=120/130=0.923ま (b)力
率 は遅 れ に な る。
(c)力
率 をcosψ
とす れ ば,無
た は92.3%
効 出 力 は,
索 引
円 筒 磁 極 機
あ
行
ア ンダ カ ッ ト(under 油 入 形(ブ
(cylindrical
115 114
温 度 試 験
113
温 度 上 昇(temperature
28
ツ シ ン グ)
油 保 存 槽(conservator)
immersed
transformer)
安定 巻 線
49
安 定 度(stability)
293
イ ル グ ナ 方 式(Ilgner
system)
67
イ ンダ ク タ ン ス(inductance)
156
イ ンピーダ ンス
262
イ ンピー ダ ンス試 験
128
voltage)
97,127
イ ン ピ ー ダ ン ス ワ ッ ト 移 相 器(phase
97
shifter)
4
位 相 特 性 曲 線 (phase
test)
characteristic
curve)
281
一 次(primary)
87
15,78 13
温 度 測 定 法
130
か 行 KaPP法
78 131,307
界磁 制 御 界磁 制 御 法 界磁 調 整 曲線 界磁 抵抗 線 界磁 電 流計 算法 界 磁 巻線
一 次重 畳 等価 負 荷法
236
(regenerative
一 次 抵 抗測 定
186
回 転 機(rotary
一 次 二 相 の誘 導機
215
回 転起 磁 力
88
一 次 漏れ 磁 束
159
一 次 有 効 イ ンダ ク タ ン ス
88
一 般 試験
300 pitch)
25
う ず 電 流 損(eddy
current
内 分 巻 複 巻(short
shunt
loss)
48,63 65 38 36 256 241
回 生 制 動 braking)
74, 203
machine)
3 141
回 転 子(rotor)
23,151,272,275
回 転速 度
273
外 部 特 性 曲 線 (external
characteristic
curve)
外 部特 性 曲線 測 定 開 放 ス ロ ッ ト(open
92,94
15,115
温 度測 定
212
後 ピ ッチ(back
rise)
温 度 上昇 限度
一 次周 波 数制 御
一 次 漏 れ イ ンダ ク タ ン ス
262
77,129,234,305
加圧 試 験
イ ン ピ ー ダ ン ス 電 圧 (impedance
machine)
17 16
(temperature
油 入 変 圧 器 (oil
pole
温度 計法 温 度 限度
cut)
34
75 slot)
136
polarity)
104
22
加 極 性(additive
埋 入 温度 計 法
17
角変 位
105
上 口導体
24
角 変 位0
104
角 変 位30°
105 105
compound)
L形 円線 図
175,187
L形 等価 回 路
171
角 変 位 時 数
エ レ フ ァ ン ト形 変 圧 器
115
加 減速 度 電動 機
エ ン ジ ン発 電 機(engine
generator)
永 久 磁石 同期 電 動機 円 筒 磁 極(cylindrical
240 296
pole)
239
(adjustable
speed
motor)
加減 電 圧 に よ る始 動 か ご形(誘 導 機)
22
60
(squirrel-cage
rotor
type) rotor)
か ご 形 電 動 機(squirrel-cage 重 ね 巻(lap
151
くま取 り コイル 式 け い 素 鋼 帯(silicon steel strip)
181
継 鉄部
135
か ご 形 回 転 子(squirrel-cage
motor)
winding)
24,25,138
230 14 7
減 極 (depolarization)
104 103
加 速
53
減 極 性(subtractive
加 速 定 数
58
減磁 作 用
246
加 速 特 性
199
減 速 試験
304
294
限 時 始動
60
263
限 流 始動 コ イ ル 端(coil
過 渡 安 定 度(transient
stability)
過 渡 電 流(transient 過 渡
current)
リ ア ク タ ン ス
(transient
reactance)
過 複 巻(over
38
簡易 化 等 価 回路
96
乾 式 変 圧 器(dry
type
transformer)
間接 冷却 ギ ャ ッ プ(gap) line)
コ イル辺 の番 号 コ ン サ ベ ー タ(conservator)
114
コ ンデ ン サ 形(ブ
115
57
機 器 温度 の測 定
17
起 磁 力(magnetomotive
force)
138
起 電 力(electromotive 162,243,244,266
230
コ ンデ ン サ モ ー タ (condencer
motor)
230
コ ンデ ン サ ラ ン形
230
tension,high
machine)
基 本 波(fundamental
318,319,320
wave)
逆 起 電 力(counter
emf)
逆接続 impedance)
288 187
46
高 調 波(higher
交 流 機(AC
77,303 machine)
commutator
machine)
2 14
固 定 子(stator)
22,275
固 定 子 鉄 心(stator
core)
135 18,76
18, 76
さ
呼 吸作 用
114
極 数 切 り換 え 法
213
サ イ リス タ 式
極 性 (polarity)
103
最 大 出 力(maximum
極性試験
104
最 大 トル ク(maximum
均 圧 結線
27
最 大 力率
81
さ い 断 波(chopped
154
さ い 断 波 試 験
138
差 動 複 巻(differential
232
三相機
均 圧 母 線(equalzing
busbar)
空 隙(air-gap,gap) く さ り巻(chain
2
固 定損
summation
losses)
147 18,39,99
交 流整 流 子機 (AC
7 by
139
高 調 波 起磁 力
小形 電 動 機 用磁 性 鋼帯
75,233
規 約 効 率(efficiency
harmonic〔s〕)
効率計算
309 74,205 216,267
脚部
test)
効 率(efficiency)
逆 相 分(negative-phase-sequence
逆転法
117
拘 束 試 験(lock
219,227,263
component)
voltage)
139
phase
逆 相 イ ン ピー ダ ンス の測 定 逆相制動
117
公 称 引 き入 れ トル ク
119
逆 相 イ ン ピ ー ダ ン ス(negative
voltage)
299
公 称 電 圧(nominal
(primitive
of
ッ シ ン グ)
高 周 波 発電 機
基 本 形 回 転 機
sequence
24
コ ンデ ン サ 始 動 形
高 圧(high
force,emf)
158 25
114
248
機 械 的 時定 数
(coil end leakage flux) コ イ ル ピ ッチ(coil pitch)
273 13,154
ギ ャ ッ プ 線(air‐gap
60 7
end)
コ イル端 漏 れ磁 束
264, 310
compound)
polarity)
winding)
くま取 りコ イル形
行 242 output) torque)
177 177 117
wave)
132 131
compound)
22 3
三 相結 線
103,104
三 相 整 流 子 電 動 機(three commutator motor)
始 動 トル ク
pbase
313
始動法
57,58,194,284,287
317
始 動 補 償器
三 相 単 層巻 巻 線
137
周 期(period)
三 相 短 絡過 渡 電流
264
集 中 巻(concentrated
三 相 短 絡 曲線
248
充 電 特性
三 相 短 絡特 性 試験
302
充 電 容 量
三 相 直 巻電 動 機
318
出 力(output)
三 相 同 期 電 動 機(three synchronous
phase
197 68 winding)
136
270 271 7,219,278
手動始動
motor)
239, 276
三 相 同期 電 動 機 の試 験
313
三 相 同期 発 電機 の端 子電 圧
59
純 単 相 誘導 機
221
純 単 相 誘導 電 動機
221
昇 圧 機(booster)
に 関 す る基 本式
269
三 相分 巻 電 動機
317,327
67
衝 撃 電圧 試 験 (impulse
voltage
test)
三 相 誘導 電圧 調整 器
124
初 期 過 渡 リア ク タ ン ス
三 巻 線 変 圧 器(three transformer)
125
自励現 象
winding
(sub-transient
ジグ ザ グ漏 れ磁 束
131
reactance)
264 36
自励式
(zig-zag,leakage flux) シ ュ ラ ー ゲ 電 動 機(schrage シ リ ン ク リ ン グ(shirink
motor)
158 329
ring)
243
自励 発電 機 (self-excited
generator)
21,35
28
〓-△
結 線(star-delta
直 入 れ 始 動(line-start)
194
〓-△
始 動法
直入 れ 始 動特 性
194
ス コ ッ ト結 線(Scott
connection)
106
ス ロ ッ トピ ッチ(slot
pitch)
146
直入 れ 法
59
磁化作用
246
試 験(test)
79,186
試 験 項 目
129
試験 時 間
129
試験 法 試 験 用 変 圧 器(testing
自 己 イ ン ダ ク タ ン ス(self‐inductance) 自 己 容 量(self-capacity)
128 5 270
下 口導 体
ス ロ ッ ト漏 れ 磁 束 (slot leakage 水車 発 電 機 (water-wheel
flux)
158
generator)
240,273
す べ り周 波 数(slip セ ル ビウ ス方式
152 frequency)
152 210
静 止 器
120,121,123
自 己 励 磁(self-excitation)
106
196,287
す べ り(slip)
75,128,234,300 transformer)
connection)
24
3
静 止 ク レー マ 方 式
208
静止 誘 導 機器
3
持 続 短 絡 電 流
266
静 止 レオ ナ ー ド方 式
実効 巻 数
145
正 相 イ ン ピ ー ダ ン ス(positive phase sequence impedance) 219,226,263
実 測 効 率(efficiency by input‐output
test)
64,67
18
正 相 分(positive‐phase sequence component)
自動始 動
60
正 比 例法
始 動 器(starter)
60
成 層 鉄 心(laminated
始 動抵 抗 に よ る法
59
制 動 法
始 動抵 抗 の 区分
60
実 負荷 法
129,234,305
216,267 195
core)
13,135
始 動電 流
313
始 動特 性
197
整 流(commutation)
始 動 特性 を 求 め る試 験
313
整 流 時 間(commutating
72,201
制 動 巻 線(damper winding amortisseur winding)
275 41 period)
42
整 流 子(commutator)
243
整 流 子 片(commutator
対数比例法
28
耐 電圧 試 験
segment)
整 流子 片 の番 号
25
絶 縁 耐 力 試 験(dielectric strength test)
絶 縁 の種 類 接 地 試験
零 相 イ ン ピ-ダ
立 て 軸(vertical
131
309
255
零 力 率法
winding)
全 電圧 始 動
(separately 単 一 形(ブ
22
excited
136
端 子 電圧
58 115 dynamo)
(terminal
voltage)
81
33,243,268
短 時 間 定 格(short-time
rating)
19短 節 係 数 短 節 巻(short
117
単相機
capacity
tap)
線 路充 電
270
相互 イ ンダ ク タ ンス inductance) 5,156,158
相 帯(phase-belt)
146 4 212,213
速 度 制御 法
63,206,233 22
18,39,219
損 失 基準 法
236
損 失 の種 類
18,76
損 失 の測 定
76
損 失 分離 法
pitch
factor) pitch
146,147,150
winding)
136 3
単 相 整 流 子 機(single phase commutator motor)
316 323
単 相反 発 電動 機 単 層 巻(single
233 layer
winding)
単 相 誘 導 電 圧 調 整 器(single induction regulator)
compound)
損 失(loss)
(short
単 相 直 巻整 流 子 電 動機
emf.)
速 度 制御
192
単 相 誘 導 電 動 機(single induction motor)
136
phase 122
phase 229
単 巻 変 圧 器(autotransformer)
120
端 絡 環(end
152
ring)
短 絡 試 験(short-circuit 短 絡 比(short-circuit 短 絡 巻 線(short-circuit
test)
97,128
ratio)
248,271
winding)
チ ョ ッパ(chopper)
行
(turbo-generator)
239,272
タ ップ 切 り換 え
voltage)
対 称 三 相電 流
117 116
対 称 分(symmetrical
139 component)
対 称 分 イ ン ピー ダ ン ス
266 226
千 鳥 漏 れ 磁 束(zig-zag
122 48
チ ョ ッパ 制 御
ン発 電 機
タ ッ プ 電 圧(tap
46,53
269
100
タ-ビ
motor)
単 極 発 電 機(unipolar 端子条件
131
efficiency)
た
273
ッ シ ン グ)
全 日効 率(all
shunt
shaft)
他 励 電 動機
254
外 分 巻 複 巻(long
288 21
全 負 荷 飽 和 曲 線(full-load saturation curvet
速 度 起 電 力(speed
22
torque)
他励機
305
194,287
全 波 試験
(mutual
131,236
motor;
単位 慣 性 定 数
零 力 率全 負 荷 飽 和 曲 線
全 容 量 タ ッ プ(full
test)
他 励 付 き分 巻機 263
267
day
voltage
16
sequence
pitch
(withstand
脱 出 トル ク(pull-out
phase
ンス の測 定
零 相 分(zero phase component)
195
306
零 相 イ ン ピ ー ダ ン ス(zero sequence impedance)
266
多 速 度 電 動 機(multispeed change-speed motor)
79,133,307
絶 縁 抵抗 測 定
215,225
対 称 分 の 量 の定 義
25
整 流子 ピ ッチ
全 節 巻(full
対 称 分 計算 法
9,28
整 流 子 な し方 式
68 leakage
flux) 158
超 同期 電 動 機 (super
synchronous
motor)
超 分 巻電 動 機 直 軸(direct
295 317
axis)
直 軸 過 渡 リア ク タ ン ス(direct-axis
250
transient
reactance)
264
直 軸 電流
264
252
直 軸 同 期 リア ク タ ン ス(direct-axis synchronous reactance) 直 接 負 荷 損(load
252
loss)
18,76
line commutation)
直 巻機 直巻形 motor)
直 巻 発 電 機(series
generator)
直 流 機(DC
43
抵 抗測 定
2
82
機(DC
motor)
2,45,321
127
抵 抗 と 温 度 の 関 係
12 17 12 287
定常特性
262
定 数 決 定手 順
190
定 速 度 電 動 機(constant
speed
motor)
2
直列 リア クタ始 動 法 2 コ ンデ ン サ 形
定 態 安定 極 限 出 力 (static stability limit)
鉄 心 材料
244
鉄心 素板
196 230
鉄 損(iron
109 154 loss)
48,63
電 圧 整 流(voltage
T形 等 価 回路
171
電 圧 調 整(voltage
107
電 圧 つ りあ い式 電 圧 変 動 率(voltage
connection)
105
結線
92,95
電圧 制御
178
結線
293 13
Tで 円線 図 T座 変 圧器
294
stability)
鉄 心(core)
241
直流 励 磁
commutation)
45
adjustment)
116
162,216,221 regulation)
35,101,126,127,255,303
電 圧 変 動率 計 算 connection)
tension
low
104
voltage) 117
112 137
電 気 機器 の分 類
定 格 回 転速 度 定 格 周 波 数(rated
258
転 位(transposition) 展開図
定 格(rating) 19,87 19 frequency)
22 22
定 態 安 定 度(static
generator)
直流 発 電 機 方式
低 圧(low
18,97
抵抗 電 圧 率 の決 定
定 速 度 発電 機 64
(delta-delta
loss)
301
低周 波 始 動 38
electro-dynamometer)
(delta-star
43
抵 抗 率(resistivity)
201
直 流 発 電 機(DC
△−△
70
316
machine)
直 流電 源
△−〓
64,70,71
commutation)
抵抗 法
直 流 電気 動 力 計
直 流,動
control)
22 50,53
直流制動 (DC
(rheostatic 抵 抗 制 御法
抵 抗 損(resistance
273
直 巻 電 動 機(series
12
抵 抗 整 流(resistance
直 接 冷却 直 線 整 流(straight
抵 抗 温 度係 数 抵 抗 制御
直 軸 初 期 過 渡 リア ク タ ン ス(direct-axis sub-transient reactance)
2,3
電 気 機器 の歴 史
1
19,88
電 気 機器 用 鋼 帯 の種 類
14
定 格 出 力(rated
output)
19,87
電 気 回 路(electric
定 格 電 圧(rated
voltage)
19,88
電 機 子(armature)
定 格 電 流(rated
current) 19,88
circuit)
154 7,272
電 機 子 回路
240
定 格一 次 電 圧
88
電 機 子起 磁 力
32
定 格一 次 電 流
88
電 機子 起 電 力
29
定 格 二次 電 圧
88
定 格二 次電 流
88
定 格 力 率(rated 低 減 電圧 始 動 低 減電 圧 始 動法 抵 抗(resistance)
power-factor)
88
194,196 194 111
電 機 子 鉄 心(armature
core)
電 機子 発 生 動力
23 46
電機 子 反 作 用 (armature
reaction)
電機 子 反 作 用 リア クタ ンス 電機子巻線
32,245,250 246
(armature
winding)
電 気 抵 抗(electric
7,24,241
resistance)
電 気 鉄 板(electrical
12
sheet)
135
電 磁 力(electro-magnetic
force)
6
電 流(〔electric〕current)
162
電 流 基 準 法
236
電 力 角(power
angle)
252
電 力 の 回 生
204
特 殊 T形 円 線 図
190
特 殊 か ご形 電 動 機
183
特 殊 か ご形 機 の 円 線 図
190
特 殊 試験
301
特 性(characteristic)
171,186
特 別 高 圧(extra-high 突 極(salient
tension)
pole)
突 極 機(salient
117 240,250
pole
machine)
263
トル ク(torque) 7,165,173,219,278,285 トル ク 角(torque
な
angle)
279
トル ク 特 性
231
等 価 温 度 試 験 法
306
等 価 回 路(equivalent
circuit)
88,90,96,126,166,167,170,223
等 価 負 荷 法
19
235
同 期 イ ン ピー ダ ン ス impedance)
同 期 化(synchronizing)
二 次 効率
175
同 期 化 力(synchronizing
power)
2,239 291
同 期 検 定 燈(synchronizing
lamp) speed)
290 2,141
206
二 次 電圧 測定
234
二 次 漏れ 磁 束
159 89
185 152
二 層 巻(double-layer 二 巻線 変圧 器
136
winding)
transformer)
入 力(input)
(synchronous
phase
modifier)
297
は generator)
同 期 外 れ(step-out
of
239,262
synchronism)
行
% 抵 抗 電圧 277
同 期 引 き 入 れ
101
% 導 電 率
12
(pullinto
% 漏 れ リア ク タ ン ス 電 圧 synchronism)
同 期 引 き 入 れ
285,287
トル ク
101
波形 狂 い率
288
同 期 変 流 機
312
はず み 車 効果 の 測定
307
発生 電力
(synchronous
converter)
297
リア ク タ ン ス
(synchronous
同 期 ワ ッ ト(synchronous
247 watt)
loss;ohmic
導 電 率(〔electric〕conductivity) 動 特 性 動 力 計(dynamometer)
発 電 制 動(dynamic
39 braking)
発 電 機 の 自己励磁
reactance)
導 線 数 比 loss)
121 164,219
同 期 発 電 機 (synchronous
88
(double squirrel-cage motor) 二 重 か ご形(double squirrel-cage)
(two-winding
同 期 調 相 機
銅 損(copper
215
二 次 抵抗 制 御
二 重 か ご形 電 動 機 283
machine)
同 期 検 定
同 期
87
二 次有 効 イ ンダ ク タ ンス
277,285
同 期 速 度(synchronous
24,25
二 次 漏 れ イ ン ダ ク タ ン ス 246,247,307
同 期 機(synchronous
252,247,252
波 巻(wave winding) 二 次(secondary) 二 次三 相 の 誘導 機
等 価 定 格
(synchronous
行
内部 電圧
174
反 作 用 電 動 機(reaction reluctance motor)
154
反 発 形
164
反 発 電 動 機(repulsion
12
反 発 始動 形
53
反 復 定格
82
時 定 数 測 定
310
特 殊 L形 円 線 図
190
万 能 電 動 機(universal
72,201 270
motor, 284 317 motor)
325 232 19
motor)
半 閉 ス ロ ッ ト(semienclosed ヒス テ リ シ ス 損(hysteresis
316
slot) 136 loss) 92,93
ヒステ リシス電 動機 (hysteresis
(distribution
motor)
296
非接地試験
144,146,150
winding)
136
分巻機
131,133
左 手 三 指 則
6
非 同 期 機(asynchronous
factor)
分 布 巻(distributed
machine)
2
22
分 巻 電 動 機(shunt ベ ク トル 図(vector
motort diagram)
48,53
標 準 タ ップ 電 圧
116
表 皮 効 果(skin
184
90,163,167,246,278,279 ベ ル ト磁 気 漏 れ 磁 束
175
平 均 リア ク タ ン ス 電 圧
281
並 軸 形(単
effect)
漂 遊 負 荷 損(stray-load
loss) 18,76,97
比 例推 移
V 曲 線(V-curve) V 曲線 の 実測
(belt leakage
313
V − V 結 線(V
結 線)
(V− V connection) ブ ー ス タ(booster)
106 67
ブ ー ス タ制 御
68
ブ ッ シ ン グ(bushing)
114
ブ ラ シ電気 損
39
ブ ラ シ な し方 式
241
プ ラ ッ ギ ン グ(plugging) ブ ロ ン デ ル 線 図(Blondel's
diagram)
ブ ロ ンデ ル の 出力 円
81
compoundt
38
並 列 運 転(parallel
running)
並 列 結 線(parallel
connection) 103,107,108
80,81,290,292
並列投入
290
別 置 直流 励 磁機 式
243
変 圧 器(transformer)
3
変 圧 器 起 電 力(transformer
281
変 圧 比(transformation
282
変圧 比測 定
emf.)
squirrel-cage)
152
(deep-slot 負 荷 角(load
motor)
angle)
184
252,279
負 荷 時 タ ッ プ 切 り換 え
118
128
負 荷 時 電 圧 位 相 調整 器
118 119
負 荷 時 電 圧 調整 器 (regulating 負 荷 損(load
transformer)
119
loss)
97
負 荷 損 の 決 定
126
負 荷 損測 定
98
method)
78,129,235
変 速 度 電 動 機(varying
speed
curve)
負 荷 容 量
22
22 79
triangle)
(Potier
256
reactance)
方 向 性 け い 素 鋼 帯(grain silicon steel strip) 放 射 形(単
255 oriented 15
極 発 電 機)
81
飽和度
飽 和 率(saturation
32
factor)
32 pole) 41,33,45
補償 直巻 形
256
複巻機
245
ポー シ ェ リア クタ ンス
253 120,121,123
負荷力率
motor)
変 速 度発 電 機 Hopkinson法
補 極(interpole;commutating
負 荷 飽和 曲線 saturation
pumping-back
ポ ー シ ェ の 三 角 形(Potier's
負 荷 時 タ ッ プ 切 り換 え 変 圧 器(on-load tap-changing transformer)
87
method,
偏磁 作用
squirrel-cage
5
ratio)
返 還 負 荷 法(loading-back
深 み ぞ か ご形 電 動 機
(load
158 44
極 発 電 機)
平 複 巻(flat
205
深 み ぞ か ご形 (deep-slot
flux)
317
補 償 巻 線(compensating
winding)
45
22
複 巻 電 動 機(compound
motor)
複 巻 発 電 機(compound 副 励 磁 機(sub-exciter)
generator)
ま
50,53 38 241
前 ピ ッ チ(front
不平 衡 運 転 時
263
巻 数 分 比 120
分 相始 動 形 分 布係 数
231
巻 線(winding)
巻 数 比(turn
巻 線 形(誘
行 pitch)
ratio)
導 機)
25 87,154 110
135
揚 水 発 電 所 用 同 期 発 電 機
巻 線 形 回 転 子(wound-rotor)
153
容 量(capacity)
巻 線 係 数(winding
145
横 軸(horizontal
shaft)
273
110
横 軸(quadrature
axis)
250
(wound-rotor
type) factor)
巻線 構 成 巻線 抵 抗 測定
72
右手 三 指 則
5
無 限 大 母 線(infinity
bus-bar)
290
無効横流
87
横 軸電 流
75,128
摩擦制動
252
横 軸 同 期 リ ア ク タ ン ス(quadrature-axis synchronous
reactance)
ら 297
無 電 圧 タ ッ プ 切 り換 え
117
test) 97,129,186
無 負 荷 損(no-load
97 33
無 負 荷 飽 和 曲 線(no-load curve)
saturation
銘 板(name
plate)
262 4
リ ニ ア モ ー タ
3
factor)
254 42,43
臨 境 境磁 抵 抗 19
(critical field resistance)
36
冷 間 圧延 け い 素鋼 帯
inductance)
158
漏 れ リア ク タ ンス (leakage
321
理想整流
75,301
漏 れ イ ンダ ク タ ン ス (leakage
torque)
リア ク タ ン ス
力 率(power 31,248
無 負 荷飽 和 曲線 測定
276
リア ク シ ョ ン トル ク
リ ア ク トル(reactor)
98,301
無 負 荷 中性 帯
行
乱 調(hunting) (reaction
loss)
無 負 荷 損測 定
72
291
motor)
無 負 荷 試 験(no-load
252,308
弱 め 界 磁(field-weakening)
無 整 流子 電 動 機 (commutatorless
276
(cold rolled
silicon steel strip)
冷 却 方 式(cooling
reactance)
111,159
漏 れ リ ア ク タ ン ス 電 圧 率 の 決 定 漏 れ 係 数(leakage
coefficient)
漏 れ 磁 束(leakage
flux)
system)
14
115,272
冷媒 温 度
16
127
励 磁 ア ドミタ ンス
165
励 磁 回路
158,245
96 240
励 磁 機(exciter)
276
励 磁 起電 力
や
行
有 効 イ ンダ ク タ ン ス
156,158
有 効 巻数
有効巻数比
125
有効横流 誘 導 機(induction
291 machine)
2
誘 導 子(inductor)
299
誘 導 子形 誘 導 試 験(induced
145
299 test)
誘 導 電 圧 調 整 器(induction
96
励 磁 サ セ プ タ ンス
96
励磁損
76
励 磁電 源
241
励 磁 方 式 と特 性
52
励磁 リア クタ ンス
160
連 続 定 格(continuous Rogowskiの 係数
rating)
19 113
131 regulator)
4
誘 導 同 期 電 動 機(synchronous induction motort
295
誘 導 発 電 機(induction
204
誘導 補 償形
254
励 磁 コ ンダ ク タ ン ス
generator)
わ
行
ワ ー ドレ オ ナ ー ド法
317
(Ward
Leonard
和 動 複 巻(cumulative
system) compound)
64,66 22
電 気 機器 要 論
〓Naokiti
1977年
4 月20日 第 1版 1刷 発 行
1990年
9 月20日 第 1版 9刷 発行
著 者 発行者
Isobe 1977
磯
学校法人 東
代表者
蓮
部
直 吉
京電 機大 学 見 孝 雄
発行所 東 京 電 機 大 学 出版 局 〒101 東 京 都 千 代 田 区 神 田錦 町2-2 振 替 口 座 東 京6-71715 電 話03(294)1551(代) Printed in Japan
著者承認 検 印省略
印刷 三 美 印 刷(株)
製本 (株)徳 住製 本所
*本 書 の 内容 の 一 部 あ る い は全 部 を無 断 で 複 写 複 製(コ
ピー)す
る
こと は,法 律 で 認 め られ た場 合 を除 き,著 作 権 お よ び 出版 権 の侵 害 と な ります の で ご注 意 下 さ い 。 *落 丁 ・乱丁 本 は お取 替 え い た します
。
ISBN4-501-00920-9
初学者のための電気工学入門書 初等電気
新編 東 京 電機 大学
編
A5判278頁 電 気の最 も基礎 的 な 事 を,数 学 を用 いず 豊富 な図 を使 用 して,や さ し く興 味深 く学 べ る よ うに 解説 した電 気 入 門書 の ベ ス トセ ラー
電 気基礎(上)
電 気 一 般 川 島 純一/宮 崎登/渡 辺 太 著 A5判366頁
電気の専門外の人々が電気の基礎知識を得 ら れる ように配慮 して執筆 したもので,電 気に 関する重要事項を図 ・写真 でや さしく解説。
電気 基礎(下)
電 気 磁 気 ・基 本 交 流 回 路 川 島 純 一/斎
藤広 吉 著
交 流 回 路 ・電 子 回 路 ・基 本 電 気 計 測 川 島 純 一/菊
地 諒/宮
崎登 著
A5判370頁
A5判314頁 電 気磁 気 の現 象 や理 論 いわ ゆ る電 気磁 気 学 の 入 門 書 として,工 業高 校 で現 在 使 われ て い る 「電 気基 礎」 を再編 集 した もので あ る。
交 流 回路 や電 子 回 路 を学ぶ 人 のた めに,工 業 高校 の教 科書 を再編 集 した もの で,問 題 には 詳 しい解 答 を付 け,つ とめ て平易 に した。
ポ イ ン トス タ デ ィ
図解 電 気の理 論
入門 電気磁 気 大 熊 栄作
秋冨勝 著 A5判196頁
著
A5判356頁
図 を右頁 に,各 項 目の 要点 を左頁 に レイ ア ウ
初 めて電 気 を学 ぶ 人,工 業 高校 生,独 習者,
トして,1 項 目を見 開 き 2頁 で 説明 した好 評 の ポイ ン トス タデ ィ形式 の電 気理 論 入門 書。
あ るい は電験 三 種 受験 者 に最 適 の 入門 書 とな る よ うに編 集,執 筆 した 。
入門 交 流 回路
入門 電 気計測 田中謙 一 郎 著
大 熊 栄作
著
A5判306頁
A5判310頁 電 気技 術 を学 び,理 解 し,活 用 して い くため の 基礎 とな る交 流 回路 理論 につ い て,や さ し
広範 囲 の電 気 計測 の うち,将 来,電 気 に関 す る 中堅技 術 者 あ るい は電 験三 種 の受験 を 目 ざ
く,学 び やす い こ とを骨子 と して執 筆 した。
す人 の た めに,必 要 事 項 を基 礎 理 論か ら解 説 。
入門 電気機 器I
入門 電 気機 器 Ⅱ
高 田 勇 次 郎/大
熊 栄作
著
A5判250頁
高 田 勇 次 郎/大
熊栄作 著
A5判350頁
直流器 と変圧 器 の原 理,構 造,特 性,運 転等 を実用 的 な 面 と結 び つけ て や さ しく解 説 し,
同期機,誘 導 機,整 流 機 器,電 動 力応 用 等 を や さ し く解 説 し,自 習 者 の ため に章 末 問題 に
各 章 ご とに練 習 問 題 と詳 しい 解 答 をのせ た。
詳 しい解答 をの せ理 解 の徹 底 を はか っ た。
*定 価,図
書 目録 の お 問い 合 わせ ・ご要望 は出版 局 まで お願 い 致 します。
C-3
電 気工学基礎 シ リーズ
電磁理論
交流理論 東 京電 機 大 学 編
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火 力 ・原 子 力発 電 三好 正 二 著 A5判328頁
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計測 ・計器 の基礎/各 種計器 と測定器/電 圧 /電 流/抵 抗/電 力/周 波数/イ ンピーダ ン ス/高 周波/磁 気測定/遠 隔測定/工 業計測
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水 力 発電 ・変電
変 圧器 ・誘導 機 ・同期 機 道上勉 著 A5判176頁
飯 田源 一/木 村 勇 司/余 村 吉 輔 著 A5判280頁
水力の概要/水 力学/発 電計算/計 画/諸 設 備/揚 水発電所/試 験/運 転 ・保守/変 電の 概要/変 圧器/諸 設備/監 視 ・制御/運 転
原理/構 造/特 性/試 験 と取扱 い/変 圧器の
直 流 機 ・パ ワ-エ
照 明 ・電 熱
レク ト
ロ ニ ク ス ・材 料 高 橋 正 躬/野 口剛/藤 原 謙 二 著 A5判240頁 直流機の原理/構 造/理 論/特 性/始 動/制 御/効 率/パ ワーエレク トロニクス/材 料
結線法 と並行運転/電 圧調整/誘 導機の始動 法/速 度制御/同 期機の平行運転
佐 藤 清史 著 A5判214頁 照明の基礎/測 光法/光 源/計 算/器 具/設 計/照 明の実際/電 熱の基礎/電 気加熱一般 /電 気炉/誘 導加熱/電 気溶接/電 気冷凍
自動 制 御 ・電 動 力 応用 三 好 正 二/佐 藤 清 史 著 A5判230頁 自動制御 とシーケンス制御/基 本 と特性/機 器 と応用/電 動 力応用一般/電 動機/各 種応 用/電 気鉄道/電 気化学/電 気分解/電 池 *定 価,図
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